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特表2022-542233多相フェライト及びそれを含む複合材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-30
(54)【発明の名称】多相フェライト及びそれを含む複合材
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/11 20060101AFI20220922BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220922BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20220922BHJP
   H01F 1/113 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H01F1/11
C08L101/00
C08K3/22
H01F1/113
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503864
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(85)【翻訳文提出日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 US2020043843
(87)【国際公開番号】W WO2021021789
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/880,278
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521138305
【氏名又は名称】ロジャーズ・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】キファン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ヤジエ・チェン
【テーマコード(参考)】
4J002
5E040
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002BB001
4J002BD121
4J002CH091
4J002CJ001
4J002CK021
4J002CN021
4J002DE116
4J002FB006
4J002FB076
4J002FB096
4J002FB166
4J002FD016
4J002FD206
4J002GQ00
4J002GR00
4J002GR02
5E040AB03
5E040BB04
5E040CA20
(57)【要約】
1つの側面では、多相フェライトは、任意選択でRuでドープされていてもよいCoW相;式:Me’’Co1-rFe2+z(式中、Me’’は、Ni、Zn、又はMgの少なくとも1つであり、rは0~0.5であり、zは、-0.5~0.5である。)を有するCFO相;及び、式:BaCox+yRuFe12-(2/3)x-2y19(式中、xは0~2であり、yは0.01~2であり、Baは、任意選択でSr又はCaの少なくとも1つで部分的に置き換えられていてもよい。)を有するCoRu-BaM相、を含む。別の側面では、複合体は、ポリマー及び前記多相フェライトを含み得る。さらに別の側面では、前記多相フェライトを製造する方法は、CoRu-BaM相フェライトと、CFO相フェライトとを混合及び粉砕して混合物を形成させる工程、及び前記混合物を酸素雰囲気中で焼結して多相フェライトを形成する工程を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意選択でRuでドープされていてもよいCoW相;
式:Me’’Co1-rFe2+z(式中、Me’’は、Ni、Zn、又はMgの少なくとも1つであり、rは0~0.5であり、zは、-0.5~0.5である。)を有するCFO相;及び
式:BaCox+yRuFe12-(2/3)x-2y19(式中、xは0~2であり、yは0.01~2であり、Baは、任意選択でSr又はCaの少なくとも1つで部分的に置き換えられていてもよい。)を有するCoRu-BaM相
を含む、多相フェライト。
【請求項2】
いずれも多相フェライトの総体積に基づいて、
50~95体積%のCoW相;
1~20体積%のCFO相;及び
5~50体積%のCoRu-BaM相
を含む、請求項1に記載の多相フェライト。
【請求項3】
CoW相がRuを含む、請求項1又は2に記載の多相フェライト。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の多相フェライト;及び
ポリマー
を含む、複合体。
【請求項5】
10~90体積%の前記多相フェライト;及び
10~90体積%の前記ポリマー
を含む、請求項4に記載の複合体。
【請求項6】
前記ポリマーが、フルオロポリマー、ポリオレフィン、ポリウレタン、液晶ポリマー、ポリ(アリーレンエーテルケトン)、又はポリ(フェニレンサルファイド)の少なくとも1つを含む、請求項4又は5に記載の複合体。
【請求項7】
1~6ギガヘルツの周波数で1以上の透磁率;
1~6ギガヘルツの周波数で6~15の誘電率;
1~6ギガヘルツの周波数で0.1以下、又は0.03以下の磁気損失正接tanδμ
1~6ギガヘルツの周波数で0.05以下、又は0.01以下の誘電損失正接tanδε
のうちの少なくとも1つを有する、請求項4~6のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載の多相フェライト、又は、請求項4~7のいずれか一項に記載の複合体を含む、物品。
【請求項9】
アンテナ、フィルタ、インダクタ、サーキュレータ、又は移相器である、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
マイクロ波アンテナである、請求項8又は9に記載の物品。
【請求項11】
0.1ギガヘルツ以上、又は0.3ギガヘルツ以上、又は0.1~6ギガヘルツの周波数で動作可能なアンテナである、請求項8~10のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
請求項1~3のいずれか一項に記載の多相フェライトを製造する方法であって、
CoRu-BaM相フェライトとCFO相フェライトとを混合及び粉砕して混合物を形成する工程であって、CoRu-BaM相フェライトは、式:BaCox+yRuFe12-(2/3)x-2y19(式中、xは0~2であり、yは0.01~2である。)を有する、工程;及び
前記混合物を酸素雰囲気中で焼結して、多相フェライトを形成する工程
を含む、方法。
【請求項13】
前記多相フェライトを粉砕して、体積中央粒径(D50)が1~50マイクロメートルである複数の粒子を形成し、前記複数の粒子を、800~1,000℃にて1~10時間酸素中でアニールする工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記焼結が、1,000~1,300℃、又は1,200~1,250℃の焼結温度にて、1~20時間、又は5~12時間の焼結時間で起こる、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記混合の前にCoRu-BaM相フェライトを形成する工程をさらに含み、前記CoRu-BaM相フェライトを形成する工程が、
Fe、Ba、Co、及びRuを含むCoRu-BaM前駆体化合物を混合する工程;及び
前記CoRu-BaM前駆体化合物を酸素雰囲気中で焼結してCoRu-BaM相フェライトを形成する工程
を含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記混合の前にCFO相フェライトを形成する工程をさらに含み、前記CFO相フェライトを形成する工程が、
Fe及びCoを含むCFO前駆体化合物を混合する工程;及び
前記CFO前駆体化合物を酸素雰囲気中で焼結してCFO相フェライトを形成する工程
を含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記混合物が、いずれも前記混合物の総質量に基づいて、
45~95質量%のCoRu-BaM相フェライトと、
5~55質量%のCFO相フェライトと
を含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記多相フェライトをポリマーと混合して、請求項4~7のいずれか1項に記載の複合体を形成することをさらに含む、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年7月30日に出願された米国仮特許出願第62/880,278の号の利益を主張する。この関連出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は、多相フェライトに関する。
【背景技術】
【0002】
極超短波(UHF)、Lバンド、及びSバンドアプリケーションで使用されるデバイスの絶えず増大する要求を満たすために、改良された性能及び小型化が必要であり、これらは、様々な商業及び防衛関連産業において特に関心が持たれている。レーダーや最新の無線通信システムの重要なコンポーネントとして、コンパクトなサイズのアンテナエレメントが絶えず開発されている。しかし、ほとんどのフェライト材料が高周波では比較的高い磁気損失を示すため、そのような高周波用途で使用するためのフェライト材料を開発することは困難であった。一般に、六方晶フェライト、すなわちヘキサフェライトは、六方晶の結晶構造を持ち、磁気特性を示す酸化鉄セラミック化合物の一種である。ヘキサフェライトのいくつかのタイプのファミリーが知られており、Z型フェライトBaMeFe2441、Y型フェライトBaMeFe1222などが含まれる。ここで、MeはCo、Ni、又はZnなどの小さな2+カチオンであり得、SrはBaに置き換えられ得る。その他のヘキサフェライトのタイプには、M型フェライト〔(Ba、Sr)Fe1219〕、W型フェライト〔(Ba、Sr)MeFe1627〕、X型フェライト〔(Ba、Sr)MeFe2846〕、U型フェライト〔(Ba、Sr)MeFe3660〕が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フェライト複合体におけるこれらの進歩にもかかわらず、これらの代替品も磁気損失の増大をもたらすため、高周波及びマイクロ波デバイスにおけるそれらの使用は制限されている。したがって、改良されたフェライト組成物が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書は、多相フェライトを開示する。
【0005】
1つの側面では、多相フェライトは、任意選択でRuでドープされていてもよいCoW相;式:Me’’Co1-rFe2+ (式中、Me’’は、Ni、Zn、又はMgの少なくとも1つであり、rは0~0.5であり、zは-0.5~60.5である、CFO相;及び、式:BaCox+yRuFe12-(2/3)x-2y19(式中、xは0~2であり、yは0.01~2であり、BaはSr又はCaの少なくとも1つで部分的に置き換えられていてよい。)を有するCoRu-BaM相を含む。
【0006】
別の側面では、複合体は、ポリマー及び前記多相フェライトを含むことができる。
【0007】
さらに別の側面では、物品は、前記多相フェライト又は前記複合体を含むことができる。
【0008】
さらに別の側面では、多相フェライトを製造する方法は、CoRu-BaM相フェライトとCFO相フェライトとを混合及び粉砕して混合物を形成する工程であって、CoRu-BaM相フェライトは、式:BaCox+yRuFe12-(2/3)x-2y19(式中、xは0から2であり、yは0.01から2である。)を有する工程;及び、前記混合物を酸素雰囲気中で焼結して多相フェライトを形成する工程、を含むことができる。
【0009】
上記及び他の特徴を、以下の図、詳細な説明、及び特許請求の範囲によって例示する。
以下の図は、例示的な実施形態であり、本開示を説明するために提供する。これらの図は1つの例を例示するものであり、本開示に従って製造されるデバイスを、本明細書に記載の材料、条件、又はプロセスパラメータに限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例3のX線回折データのグラフ図である。
図2】実施例4のX線回折データのグラフ図である。
図3】フェライト-ポリマー複合体の実施例5及び6の、周波数に対する磁気損失正接のグラフ図である。
図4図4は、フェライト-ポリマー複合体の実施例5及び6の、周波数に接する誘電損失正接のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
多相フェライトを含む複合体が、高周波、例えば、最大6ギガヘルツ(gHz)で、低磁気損失正接tanδμを達成し得ることが見出された。この多相フェライトは、任意選択でRuでドープされていてもよいCoW相;式:Me’’Co1-rFe2+ (式中、Me’’は、Ni、Zn、又はMgのうちの少なくとも1つであり、rは0~0.5であり、zは-0.5~0.5である)を有するCFO相;及び、CoRu-BaM相を含む。
【0012】
多相フェライトは、多相フェライトの総体積に基づいて、50~95体積パーセント、又は60~75体積パーセントのCoW相を含むことができる。多相フェライトは、多相フェライトの総体積に基づいて、1~20体積パーセント、又は5~10体積パーセントのCFO相を含むことができる。多相フェライトは、多相フェライトの総体積に基づいて、5~50体積パーセント、又は10~25体積パーセントのCoRu-BaM相を含むことができる。多相フェライトの平均粒径は、1~100マイクロメートル、又は5~50マイクロメートルであり得る。粒径は、透過型電子顕微鏡法、電界放出型走査電子顕微鏡法、又はX線回折の少なくとも1つを使用して測定することができす。
【0013】
CoW相は、式:BaRuCoMeFe16-t27を有することができ、式中、Meは、Ni又はZn、Mg、Coのうちの少なくとも1つを含むことができ、mは0~1であり、nは0~2であり、tは0~2である。MeがCoであるということは、単にCoW相が増加したCoの量を有することを意味することに留意されたい。
【0014】
CoRu-BaM相は、式:BaCox+yRuFe12-(2/3)x-2y19を有することができ、式中、xは0~2であり、yは0.01~2であり、Baは、Sr又はCaの少なくとも1つで部分的に置き換えられていてよい。
【0015】
複合体は、多相フェライト及びポリマーを含むことができる。ポリマーは、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を含むことができる。本明細書で使用される場合、「熱可塑性」という用語は、塑性又は変形可能であり、加熱されると溶融して液体になり、十分に冷却されると脆いガラス状態に凍結する材料を指す。使用することができる熱可塑性ポリマーの例には、環状オレフィンポリマー(ポリノルボルネン及びノルボルネニル単位を含むコポリマー、例えば、ノルボルネンなどの環状ポリマーと、エチレン又はプロピレンなどの非環式オレフィンとのコポリマーを含む)、フルオロポリマー〔例えば、ポリビニルフルオリド(PVF)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(エチレン-テトラフルオロエチレン(PETFE)、又はパーフルオロアルコキシ(PFA)〕、ポリアセタール(例えば、ポリオキシエチレン及びポリオキシメチレン)、ポリ(C1-6アルキル)アクリレート、ポリアクリルアミド〔非置換及びモノ-N-又はジ-N-(C1-8アルキル)アクリルアミドを含む〕、ポリアクリロニトリル、ポリアミド(例えば、脂肪族ポリアミド、ポリフタルアミド、又はポリアラミド)、ポリアミドイミド、ポリ無水物、ポリアリーレンエーテル(例えば、ポリフェニレンエーテル)、ポリアリーレンエーテルケトン〔例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及びポリエーテルケトンケトン(PEKK)〕、ポリアリーレンケトン、ポリアリーレンスルフィド〔例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)〕、ポリアリーレンスルホン〔例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルホン(PPS)など〕、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリカーボネート(ホモポリカーボネート又はポリカーボネートコポリマー、例えば、ポリカーボネート-シロキサン、ポリカーボネート-エステル、又はポリカーボネート-エステル-シロキサン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリーレート、又はポリエステルコポリマー、例えばポリエステル-エーテルなど)、ポリエーテルイミド(例えば、ポリエーテルイミド-シロキサンなどのコポリマー)、ポリイミド(例えば、ポリイミド-シロキサンコポリマーなどのコポリマー)、ポリ(C1-6アルキル)メタクリレート、ポリアルキルアクリルアミド〔例えば、非置換及びモノ-N-又はジ-N-(C1-8アルキル)アクリルアミド〕、ポリオレフィン〔例えば、ポリエチレン、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び線状低密度ポリエチレン(LLDPE)など、ポリプロピレン、及びそれらのハロゲン化誘導体(例えばポリテトラフルオロエチレンなど)、及びそれらのコポリマー、例えば、エチレン-アルファ-オレフィンコポリマー〕、ポリオキサジアゾール、ポリオキシメチレン、ポリフタリド、ポリシラザン、ポリシロキサン(シリコーン)、ポリスチレン〔例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)又はメチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)〕、ポリサルファイド、ポリスルホンアミド、ポリスルホネート、ポリスルホン、ポリチオエステル、ポリトリアジン、ポリ尿素、ポリウレタン、ビニルポリマー〔例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルハライド(例えば、ポリ塩化ビニル)、ポリビニルケトン、ポリビニルニトリル、又はポリビニルチオエーテル〕、パラフィンワックスなどが含まれる。前述の熱可塑性ポリマーの少なくとも1つを含む組み合わせを使用することができる。
【0016】
熱硬化性ポリマーは、熱、又は放射線〔例えば、紫外線、可視光、赤外線、又は電子ビーム(e-ビーム)放射線〕への曝露によって有機される重合又は硬化によって非可逆的に硬化され不溶性になり得る、熱硬化性のモノマー又はプレポリマーから誘導される。熱硬化性ポリマーには、アルキッド、ビスマレイミドポリマー、ビスマレイミドトリアジンポリマー、シアネートエステルポリマー、ベンゾシクロブテンポリマー、ベンゾオキサジンポリマー、ジアリルフタレートポリマー、エポキシド、ヒドロキシメチルフランポリマー、メラミン-ホルムアルデヒドポリマー、フェノリック(フェノール-ホルムアルデヒドポリマー、例えばノボラック及びレゾールなどを含む)、ベンゾオキサジン、ポリジエン、例えばポリブタジエンなど〔そのホモポリマー及びコポリマー、例えば、ポリ(ブタジエン-イソプレン)を含む〕、ポリイソシアネート、ポリ尿素、ポリウレタン、トリアリルシアヌレートポリマー、トリアリルイソシアヌレートポリマー、特定のシリコーン、及び重合性プレポリマー(例えば、エチレン性不飽和を有するプレポリマー、例えば不飽和ポリエステル、ポリアミドなど)などが含まれる。プレポリマーは、例えば反応性モノマー、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、(C1-6アルキル)アクリレート、(C1-6アルキル)メタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、酢酸アリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、又はアクリルアミドにと共に、重合、共重合、又は架橋され得る。
【0017】
ポリマーは、フルオロポリマー、ポリオレフィン、ポリウレタン、液晶ポリマー、ポリ(アリーレンエーテルケトン)、又はポリ(フェニレンサルファイド)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0018】
複合体は、複合体の総体積に基づいて、10~90体積パーセント、又は30~70体積パーセントの多相フェライトを含むことができる。複合体は、複合体の総体積に基づいて、10~90体積パーセント、又は30~70体積パーセントのポリマーを含むことができる。
【0019】
複合体は、高透磁率、高動作周波数、低誘電損失、又は低磁気損失のうちの少なくとも1つを有することができ、S-L帯域周波数でのアンテナ又はインダクタとしての使用に適している。複合体は、1~6ギガヘルツ、又は3~6ギガヘルツの周波数で、1以上、1.3以上、又は1~2の透磁率を有することができる。複合体は、1~3ギガヘルツの周波数で0.05以下、0.02以下、又は0.02~0.05の磁気損失正接tanδμを有することができる。複合体は、1~6ギガヘルツ又は3~6ギガヘルツの周波数で、0.03以下、又は0.1以下の磁気損失正接tanδμを有することができる。複合体は、1~6ギガヘルツ、又は3~6ギガヘルツの周波数で6~15、又は8~10の誘電率を有することができる。複合体は、1~6ギガヘルツ、又は3~6ギガヘルツの周波数で0.1以下、0.05以下、0.01以下、0.006以下、又は0.006~0.05の誘電損失正接tanδεを有することができる。コンポジットの動作周波数は、0.1~6ギガヘルツ、又は4~6ギガヘルツ
であり得る。
【0020】
本明細書で使用されるように、磁気特性及び誘電特性は、ニコルソン-ロス-ウィアー(NRW)法を使用するベクトルネットワークアナライザ(VNA)によって同軸最短距離(coaxial airline)で測定され、その透磁率及び誘電率の値は、それぞれ比透磁率及び比誘電率である。
【0021】
多相フェライトは、CoRu-BaM相フェライトとCFO相フェライトとを混合及び粉砕して混合物を形成することによって調製することができる。CoRu-BaM相フェライトは、式:BaCox+yRuFe12-(2/3)x-2y19を有することができ、式中、xは0~2であり、yは0.01~2である。
【0022】
CoRu-BaM相フェライトは、Fe、Ba、Co、及びRuを含むCoRu-BaM前駆体化合物を混合する工程;及び、このCoRu-BaM前駆体化合物を、酸素雰囲気中で焼結して、CoRu-BaM相フェライトを形成する工程によって形成され得る。CoRu-BaM前駆体化合物の焼結は、800~1,300℃のCoRu-BaM焼結温度で起こり得る。焼結されたCoRu-BaMは、0.5~10マイクロメートルの体積中央粒径D50を持つように粉砕することができる。
【0023】
CFO相フェライトは、少なくともFe及びCoを含むCFO前駆体化合物を混合することによって形成する工程;及び、このCFO前駆体化合物を、酸素雰囲気中で焼結してCFO相フェライトを形成する工程によって形成され得る。CFO前駆体化合物の焼結は、800~1,200℃のCFO焼結温度で起こり得る。焼結されたCFOは、0.5~10マイクロメートルの質量中央粒径D50を持つように粉砕することができる。
【0024】
CoRu-BaM相フェライトとCFO相フェライトとの混合物は、CoRu-BaM相フェライト及びCFO相フェライトの混合物の総質量に基づいて、45~95質量パーセントのCoRu-BaM相フェライトを含むことができる。この混合物は、いずれもCoRu-BaM相フェライト及びCFO相フェライトの混合物の総質量に基づいて、5~55質量パーセントのCFO相フェライトを含むことができる。次に、この混合物を、酸素雰囲気中で焼結して多相フェライトを形成することができる。焼結は、1,000~1,300℃又は1,200~1,250℃の焼結温度で起こり得る。焼結は、1~20時間、又は5~12時間の焼結時間で起こり得る。
【0025】
多相フェライトを粉砕して、1~30マイクロメートルの質量中央粒径D50を有する複数の粒子を形成することができる。この多相フェライトは、酸素中で800~1,000℃で1~10時間焼鈍する(アニールする)ことができる。
【0026】
多相フェライトをポリマーと混合して複合体を形成することができる。混合は、ポリマーの融点の温度での混合を含むことができる。混合は、ポリマー前駆体を多相フェライトと混合する工程と、ポリマー前駆体を反応させてポリマーを形成する工程とを含むことができる。複合体を形成する方法は限定されず、射出成形、反応射出成形、積層、押出し、圧縮成形、カレンダリング、鋳造などが含まれ得る。複合体には、空隙(void space)がないものであり得る。
【0027】
多相フェライトは、ポリマー又はポリマー前駆体への分散を助けるために、例えば、界面活性剤(例えばオレイルアミンオレイン酸など)、無機材料(例えばSiO、Al、及びMgOなど)、シラン、チタネート、又はジルコネートの少なくとも1つで表面処理(本明細書ではコーティングとも称する)することができる。
【0028】
コーティングは、シランコーティング、チタネートコーティング、又はジルコネートコーティングのうちの少なくとも1つを含むことができる。コーティングは、フェニルトリメトキシシラン、p-クロロメチルフェニルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)-1-トリエトキシシラン、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリネオデカノイルチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリ(ジオクチル)ホスフェートチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリ(ジオクチル)ピロホスフェートジルコネート、又はネオペンチル(ジアリル)オキシトリ(N-エチレンジアミノ)エチルジルコネートのうちの少なくとも1つを含むことができる。コーティングは、フェニルトリメトキシシランなどの芳香族シラン、又は(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)トリエトキシシランなどのフッ素化脂肪族アルコキシシランのうちの少なくとも1つを含むシランコーティングを含むことができる。
【0029】
多相フェライトは、複合体混合物を形成する前に、コーティング剤で前処理することができ、あるいは、複合体を形成する前に、コーティング剤を複合体混合物に添加することができる。コーティングは、多相フェライトの総質量に基づいて、0.2~4質量%、又は1~3質量%の量で存在していてよい。
【0030】
物品は、前記複合体を含むことができる。物品は、アンテナ又はインダクタコアにすることができる。物品は、0.1~4ギガヘルツの周波数範囲、又は0.5~2ギガヘルツの周波数範囲で使用することができる。物品は、極超短波範囲内で動作する様々なデバイス、例えば、高周波又はマイクロ波アンテナ、フィルター、インダクター、サーキュレーター、又は移相器などに使用することができる。物品は、1GHz以上の周波数、又は1~6GHzの周波数で動作可能である。このような物品は、商業的及び軍事的用途、気象レーダー、科学通信、無線通信、自動運転車、航空機通信、宇宙通信、衛星通信、又は監視で使用することができる。
【0031】
多相フェライトは、任意選択でRuでドープされていてもよいCoW相;式:Me’’Co1-rFe2+z(式中、Me’’は、Ni、Zn、又はMgのうちの少なくとも1つであり、rは0~0.5であり、zは-0.5~0.5である)を有するCFO相;及び、式:BaCox+yRuFe12-(2/3)x-2y19(式中、xは0~2であり、yは0.01~2であり、BaはSr又はCaの少なくとも1つで部分的に置き換えられていてよい。)を有するCoRu-BaM相を含むことができる。多相フェライトは、いずれも多相フェライトの総体積に基づいて、50~95体積パーセントのCoW相、1~20体積パーセントのCFO相、5~50体積パーセントのCoRu-BaM相を含むことができる。CoW相はRuを含むことができる。複合体は、この多相フェライトを含むことができる。複合体は、いずれも複合体の総量に基づいて、10~90体積パーセントの多相フェライト、10~90体積パーセントのポリマーを含むことができる。ポリマーは、フルオロポリマー、ポリオレフィン、ポリウレタン、液晶ポリマー、ポリ(アリーレンエーテルケトン)、又はポリ(フェニレンサルファイド)のうちの少なくとも1つを含むことができる。複合体は、次の少なくとも1つ:1~6ギガヘルツの周波数で1以上の透磁率;1~6ギガヘルツの周波数で6~15の誘電率;及び、1~6ギガヘルツの周波数で0.1以下、又は0.03以下の磁気損失正接tanδμ;1~6ギガヘルツの周波数で0.05以下、又は0.01以下の誘電損失正接tanδεを有することができる。物品は、多相フェライトまたは複合体を含むことができる。物品は、前記多相フェライト又は前記複合体を含むことができる。物品は、アンテナ、フィルター、インダクター、サーキュレーター、または移相器であり得る。物品は、マイクロ波アンテナであり得る。アンテナは、0.1ギガヘルツ以上、または0.3ギガヘルツ以上、または0.1~6ギガヘルツの周波数で動作可能である。
【0032】
多相フェライトを製造する方法は、CoRu-BaM相フェライトとCFO相フェライトとを混合及び粉砕して混合物を形成する工程;及び、この混合物を、酸素雰囲気中で焼結して、多相フェライトを形成する工程を含むことができる。この方法は、多相フェライトを粉砕して、体積中央粒径(D50)が1~50マイクロメートルである複数の粒子を形成し、この複数の粒子を、酸素中で800~1,000℃で1~10時間アニールする工程を含むことができる。焼結は、1,000~1,300℃又は1,200~1,250℃の焼結温度で起こり得る。焼結は、1~20時間、又は5~12時間の焼結時間で起こり得る。この方法はさらに、前記混合前にCoRu-BaM相フェライトを形成する工程を含むことができる。ここで、前記形成は、Fe、Ba、Co、及びRuを含むCoRu-BaM前駆体化合物を混合する工程;及び、このCoRu-BaM前駆体化合物を、酸素雰囲気中で焼結して、CoRu-BaM相フェライトを形成する工程を含む。この方法はさらに、前記混合前にCFO相フェライトを形成する工程をさらに含むことができる。ここで、前記形成は、Fe及びCoを含むCFO前駆体化合物の混合;及びCFO前駆体化合物を、酸素雰囲気中で焼結して、CFO相フェライトを形成する工程を含む。混合物は、いずれも2つのフェライトの混合物の総質量に基づいて、45~95質量パーセントのCoRu-BaM相フェライト及び5~55質量パーセントのCFO相フェライトを含むことができる。複合体は、前記多相フェライトを、ポリマーと混合することによって形成することができる。
【0033】
以下の実施例は、本開示を説明するために提供される。実施例は単に例示的なものであり、本開示に従って作製されたデバイスを、そこに記載された材料、条件、又はプロセスパラメータに限定することを意図するものではない。
【実施例
【0034】
本実施例では、得られたフェライトサンプルの透磁率を、0.1~10GHzの周波数にわたってNicholson-Ross-Weir(NRW)法を使用してベクトルネットワークアナライザ(VNA)によって同軸最短距離で測定した。
【0035】
粒子サイズは、Horiba LA-910レーザー光散乱PSD分析器を使用して、ASTM D4464-15により定義されているとおりに決定した。報告した粒子サイズは、体積中央粒径D50である。
【0036】
[実施例1]:CoRu-BaM相フェライトの調製
湿式遊星ミル中で適切な量のBaCO、Co、Fe、及びRuOを混合して混合物を形成することにより、CoRu-BaM相フェライトの2つのサンプルを形成した。これらの混合物を、1200℃の温度で4時間の空気浸漬時間で焼結した。焼結混合物を圧砕し、湿式遊星ミル内で粉砕して、中央粒径が1~2マイクロメートルの粒子を形成した。CoRu-BaM相フェライトは、それぞれ式:BaCo0.5Ru0.2Fe11.419及びBaCo0.2Ru0.2Fe11.619を有していた。
【0037】
[実施例2]:CFO相フェライトの調製
CFO相フェライトは、湿式遊星ミル中で適切な量のCo及びFeを混合して混合物を形成することによって形成した。この混合物を、900℃の温度で4時間の空気浸漬時間で焼結した。焼結混合物を圧砕し、湿式遊星ミル内で粉砕して、中央粒径が1~2マイクロメートルの粒子を形成した。
【0038】
[実施例3-4]:多相フェライトの調製
実施例1のCoRu-BaM相フェライト及び実施例2のCFO相フェライトを表1に従って混合し、遊星ボールミルで粉砕して、2つのフェライトの混合物を形成した。混合物を、酸素雰囲気中、1260℃にて10時間焼結して、多相フェライトを形成した。酸素の流量は0.1~2L/分であり、温度の上昇は1~5℃/分であった。焼結混合物は、10~20マイクロメートルの中央粒径を有する粒子を形成することが見出された。粒子を、酸素雰囲気中で900℃にて3時間ポストアニールした。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例3及び実施例4の粒子を、X線回折を使用して分析し、結果を図1及び図2にそれぞれ示した。これらの図において、四角で識別されたピークは、CoW相の存在を示し、三角形で識別されたピークは、CoRu-BaM相の存在を示し、円で識別されたピークは、CFO相フェライトの存在を示す。図1及び図2は、実施例3及び実施例4の多相フェライトにおける3つの相の存在をそれぞれ明確に示している。
【0041】
[実施例5-6]:多相フェライト複合体の調製
複合体サンプルを、60体積%の実施例3又は実施例4の多相フェライトと、40体積%のパラフィンとを混合して、それぞれ実施例5及び6の複合体を形成することによって形成した。次に、この複合体を成形してトロイド(troid)を形成し、結果として得られる特性を測定した。実施例5及び6の透磁率及び磁気損失正接tanδμ図3に示し、実施例5及び6の透磁率及び誘電損失正接tanδε図4に示し、実施例5及び実施例6の両方の値を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
図3及び図4は、0.1未満から最大で6ギガヘルツまでの広い周波数範囲にわたって実施例5及び実施例6の両方が、低い磁気損失正接値で留まることを示し、同時に、その周波数範囲にわたって良好な透磁率、誘電率、及び誘電損失値を示すことも示す。
【0044】
以下に記載されるのは、本開示の非限定的な態様である。
【0045】
態様1:任意選択でRuでドープされていてもよいCoW相;
式:Me’’Co1-rFe2+z(式中、Me’’は、Ni、Zn、又はMgの少なくとも1つであり、rは0~0.5であり、zは、-0.5~0.5である。)を有するCFO相;及び
式:BaCox+yRuFe12-(2/3)x-2y19(式中、xは0~2であり、yは0.01~2であり、Baは、任意選択でSr又はCaの少なくとも1つで部分的に置き換えられていてもよい。)を有するCoRu-BaM相
を含む、多相フェライト。
【0046】
態様2:いずれも多相フェライトの総体積に基づいて、
50~95体積%のCoW相;
1~20体積%のCFO相;及び
5~50体積%のCoRu-BaM相
を含む、態様1に記載の多相フェライト。
【0047】
態様3:Co2W相がRuを含む、態様1又は2に記載の多相フェライト。
【0048】
態様4:態様1~3のいずれか1つに記載の多相フェライト;及び
ポリマー
を含む、複合体。
【0049】
態様5:10~90体積%の前記多相フェライト;及び
10~90体積%の前記ポリマー
を含む、態様4に記載の複合体。
【0050】
態様6:前記ポリマーが、フルオロポリマー、ポリオレフィン、ポリウレタン、液晶ポリマー、ポリ(アリーレンエーテルケトン)、又はポリ(フェニレンサルファイド)の少なくとも1つを含む、態様4又は5に記載の複合体。
【0051】
態様7:1~6ギガヘルツの周波数で1以上の透磁率;
1~6ギガヘルツの周波数で6~15の誘電率;
1~6ギガヘルツの周波数で0.1以下、又は0.03以下の磁気損失正接tanδμ
1~6ギガヘルツの周波数で0.05以下、又は0.01以下の誘電損失正接tanδε
のうちの少なくとも1つを有する、態様4~6のいずれか1つに記載の複合体。
【0052】
態様8:態様1~3のいずれか1つに記載の多相フェライト、又は、態様4~7のいずれか1つに記載の複合体を含む、物品。
【0053】
態様9:アンテナ、フィルタ、インダクタ、サーキュレータ、又は移相器である、態様8に記載の物品。
【0054】
態様10:マイクロ波アンテナである、態様8又は9に記載の物品。
【0055】
態様11:0.1ギガヘルツ以上、又は0.3ギガヘルツ以上、又は0.1~6ギガヘルツの周波数で動作可能なアンテナである、態様8~10のいずれか1つに記載の物品。
【0056】
態様12:態様1~3のいずれか1項に記載の多相フェライトを製造する方法であって、
CoRu-BaM相フェライトとCFO相フェライトとを混合及び粉砕して混合物を形成する工程であって、CoRu-BaM相フェライトは、式:BaCox+yRuFe12-(2/3)x-2y19(式中、xは0~2であり、yは0.01~2である。)を有する、工程;及び
前記混合物を酸素雰囲気中で焼結して、多相フェライトを形成する工程
を含む、方法。
【0057】
態様13:前記多相フェライトを粉砕して、質量中央粒径(D50)が1~50マイクロメートルである複数の粒子を形成し、前記複数の粒子を、800~1,000℃にて1~10時間酸素中でアニールする工程をさらに含む、態様12に記載の方法。
【0058】
態様14:前記焼結が、1,000~1,300℃、又は1,200~1,250℃の焼結温度にて、1~20時間、又は5~12時間の焼結時間で起こる、態様12又は13に記載の方法。
【0059】
態様15:前記混合の前にCoRu-BaM相フェライトを形成する工程をさらに含み、前記CoRu-BaM相フェライトを形成する工程が、
Fe、Ba、Co、及びRuを含むCoRu-BaM前駆体化合物を混合する工程;及び
前記CoRu-BaM前駆体化合物を酸素雰囲気中で焼結してCoRu-BaM相フェライトを形成する工程
を含む、態様12~14のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
態様16:前記混合の前にCFO相フェライトを形成する工程をさらに含み、前記CFO相フェライトを形成する工程が、
Fe及びCoを含むCFO前駆体化合物を混合する工程;及び
前記CFO前駆体化合物を酸素雰囲気中で焼結してCFO相フェライトを形成する工程
を含む、態様12~15のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
態様17:前記混合物が、いずれも前記混合物の総質量に基づいて、
45~95質量%のCoRu-BaM相フェライトと、
5~55質量%のCFO相フェライトと
を含む、態様12~16のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
態様18:前記多相フェライトをポリマーと混合して、態様4~7のいずれか1項に記載の複合体を形成することをさらに含む、態様12~17のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
組成物、方法、及び物品は、本明細書に開示される任意の適切な材料、工程、又は構成要素「を含む」か、「からなる」か、又は「本質的にからなる」ことができる。本組成物、方法、及び物品は、追加的又は代替的に、組成物、方法、および物品の機能又は目的を達成するために組成物、方法、および物品の機能又は目的を達成するために必要とされない材料(又は種)、工程、または構成要素を欠くか、または実質的に含まないように構成され得る。
【0064】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、「the」、及び「少なくとも1つ」は、量の制限を示すものではなく、文脈が明らかに他のことを示さない限り、単数形及び複数形の両方を包含することが意図されている。例えば、「要素」は、文脈で明確に示されていない限り、「少なくとも1つの要素」と同じ意味を持つ。「組み合わせ」という用語には、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などが含まる。また、「の少なくとも1つ」は、リストの各要素が個別に含まれることのみならず、リストの2つ以上の要素の組み合わせ、及びリストの少なくとも1つの要素と指定されていない同様の要素との組み合わせが含まれることを意味する。
【0065】
「又は」という用語は、文脈が明らかに他のことを示ない限り、「及び/又は」を意味する。「態様」、「別の態様」、「いくつかの態様」などへの本明細書全体での言及は、その態様に関連して説明される特定の要素(例えば、特徴、構造、工程、又は特性)が、本明細書に記載される少なくとも1つの態様に含まれ、他の態様には存在する場合も存在しない場合もあることを意味する。加えて、記載されたその要素を、様々な態様において任意の適切な方法で組み合わせることができることを理解されたい。
【0066】
本明細書で反対に指定されない限り、すべての試験規格は、本出願の出願日現在で有効な最新の規格であり、優先権が主張される場合は、その試験規格が記載されている最も早い優先出願の出願日現在で有効な最新の規格である。
【0067】
同じコンポーネント又は特性に向けられたすべての範囲の末端の値は、その末端の値を包含し、独立して組み合わせることができ、そのすべての中間の値及び範囲を包含する。たとえば、「最大で25体積%、又は5~20体積%」という範囲には、末端の値と、「5~25体積%」の範囲のすべての中間の値(例えば10~23体積%など)が包含される。
【0068】
別段の定義がない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0069】
引用したすべての特許、特許出願、及び他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ただし、本出願の用語が、組み込まれた参照の用語と矛盾又は矛盾する場合、本出願の用語は、組み込まれた文献の矛盾する用語に優先する。
【0070】
特定の実施形態が記載されているが、出願人又は当業者には、現在予想されていない、又は予想されない可能性のある、代替、修正、変形、改善、及び実質的な同等物が想起され得る。したがって、出願時に提出され、修正される可能性のある、添付の特許請求の範囲は、そのようなすべての代替案、修正のバリエーション、改善、及び実質的な同等物を包含することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】