IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴィーティー・アドヴァンテック・エルエルシーの特許一覧

特表2022-542237スポーツ用品のための減衰材及びそれを含むスポーツ用品
<>
  • 特表-スポーツ用品のための減衰材及びそれを含むスポーツ用品 図1
  • 特表-スポーツ用品のための減衰材及びそれを含むスポーツ用品 図2
  • 特表-スポーツ用品のための減衰材及びそれを含むスポーツ用品 図3
  • 特表-スポーツ用品のための減衰材及びそれを含むスポーツ用品 図4
  • 特表-スポーツ用品のための減衰材及びそれを含むスポーツ用品 図5
  • 特表-スポーツ用品のための減衰材及びそれを含むスポーツ用品 図6
  • 特表-スポーツ用品のための減衰材及びそれを含むスポーツ用品 図6A
  • 特表-スポーツ用品のための減衰材及びそれを含むスポーツ用品 図7
  • 特表-スポーツ用品のための減衰材及びそれを含むスポーツ用品 図8
  • 特表-スポーツ用品のための減衰材及びそれを含むスポーツ用品 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-30
(54)【発明の名称】スポーツ用品のための減衰材及びそれを含むスポーツ用品
(51)【国際特許分類】
   A63B 60/54 20150101AFI20220922BHJP
   C08L 23/22 20060101ALI20220922BHJP
   C08L 61/00 20060101ALI20220922BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20220922BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220922BHJP
   A63B 60/14 20150101ALI20220922BHJP
   A63B 102/00 20150101ALN20220922BHJP
【FI】
A63B60/54
C08L23/22
C08L61/00
C08K5/09
C08K3/013
A63B60/14
A63B102:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503931
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(85)【翻訳文提出日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 US2020043128
(87)【国際公開番号】W WO2021016386
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】62/877,028
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/892,854
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522025190
【氏名又は名称】ヴィーティー・アドヴァンテック・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】VT ADVANTEC, LLC
【住所又は居所原語表記】410 S. Michigan Avenue #403, Chicago, IL 60605, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】コンデス、ラリー・シー
(72)【発明者】
【氏名】ロング、ジョン・マイケル
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB181
4J002CC002
4J002DA036
4J002DE136
4J002DE146
4J002DE166
4J002DE236
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002EF057
4J002FD016
4J002GC00
4J002GM00
4J002GQ00
(57)【要約】
本開示は、振動又は音などのエネルギーを減衰又は軽減させる、スポーツ用品のための減衰材に関する。この減衰材は、ブチルゴムポリマーと、任意選択的に、フェノール-ホルムアルデヒドをベースとする樹脂とを有するポリマー組成物を含む。この減衰材は、衝撃、振動及び/又は音の軽減及び吸収を必要とするスポーツ用品に使用され得、及びこの減衰材は、ユーザに緩衝作用を提供し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に関連付けられた振動減衰材であって、ブチルゴムを含むポリマー組成物を含む振動減衰材と
を含むスポーツ用品。
【請求項2】
前記振動減衰材は、前記本体に取り付けられる前記ポリマー組成物の層を含む、請求項1に記載のスポーツ用品。
【請求項3】
前記ポリマー組成物は、前記本体の表面に直接接触し、且つそれに取り付けられる、請求項2に記載のスポーツ用品。
【請求項4】
前記層は、ストリップ又はシートを含む、請求項2又は3に記載のスポーツ用品。
【請求項5】
前記振動減衰材は、複数のストリップ又はシートを含む、請求項2~4のいずれか一項に記載のスポーツ用品。
【請求項6】
前記ストリップ又はシートは、前記本体の異なる位置に位置付けられる、請求項5に記載のスポーツ用品。
【請求項7】
前記ストリップ又はシートは、テープを含み、前記テープは、前記ポリマー組成物の前記層と、前記テープを前記本体に取り付けるための接着剤層とを含む、請求項2又は4~6のいずれか一項に記載のスポーツ用品。
【請求項8】
前記減衰材は、グリップ材料の層を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のスポーツ用品。
【請求項9】
前記グリップ材料の前記層と、前記ポリマー組成物を含む前記層との間に接着剤の層をさらに含む、請求項8に記載のスポーツ用品。
【請求項10】
前記本体は、フレームを含み、
前記振動減衰材は、前記フレームに関連付けられる、請求項1~9のいずれか一項に記載のスポーツ用品。
【請求項11】
前記本体は、シャフトを含み、
前記振動減衰材は、前記シャフトに関連付けられる、請求項1~10のいずれか一項に記載のスポーツ用品。
【請求項12】
前記本体は、ハンドルを含み、
前記振動減衰材は、前記ハンドルに関連付けられる、請求項1~11のいずれか一項に記載のスポーツ用品。
【請求項13】
前記振動減衰材は、前記本体に関連付けられたグリップを含む、請求項1に記載のスポーツ用品。
【請求項14】
前記振動減衰材は、前記本体のハンドルの上に位置決めされるスリーブを含む、請求項1に記載のスポーツ用品。
【請求項15】
ラケット、スティック、クラブ、バット、帽子、グローブ、シューズ、パッド又はヘルメットを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のスポーツ用品。
【請求項16】
請求項1~9のいずれか一項に記載のスポーツ用品であって、前記スポーツ用品は、テニスラケットであり、
前記本体は、ヘッドを含み、
前記振動減衰材は、前記ヘッドに取り付けられる、スポーツ用品。
【請求項17】
請求項1~9又は16のいずれか一項に記載のスポーツ用品であって、前記スポーツ用品は、テニスラケットであり、
前記本体は、ハンドルを含み、
前記振動減衰材は、前記ハンドルに取り付けられる、スポーツ用品。
【請求項18】
請求項14に記載のスポーツ用品であって、前記スポーツ用品は、テニスラケットであり、
前記本体は、ハンドルを含み、
前記スリーブは、前記ハンドルの上に配置される、スポーツ用品。
【請求項19】
前記ポリマー組成物は、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のスポーツ用品。
【請求項20】
前記フェノール-ホルムアルデヒド樹脂の含有量は、前記組成物の約5重量%~約15重量%の範囲である、請求項19に記載のスポーツ用品。
【請求項21】
前記フェノール-ホルムアルデヒド樹脂は、ブロモメチル化アルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂を含む、請求項19又は20に記載のスポーツ用品。
【請求項22】
前記ポリマー組成物は、少なくとも1つのフィラーをさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のスポーツ用品。
【請求項23】
前記少なくとも1つのフィラーの含有量は、前記組成物の約5重量%~約45重量%の範囲である、請求項22に記載のスポーツ用品。
【請求項24】
前記フィラーは、タルク、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸アルミニウム、カオリン、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、石英及びそれらの混合物から選択される、請求項22又は23に記載のスポーツ用品。
【請求項25】
前記ポリマー組成物は、約35~約65の範囲のショアA硬度を有する、請求項1~24のいずれか一項に記載のスポーツ用品。
【請求項26】
前記ポリマー組成物は、10Hzで0.30より大きく、且つ100Hzで0.60より大きい損失係数を有し、前記損失係数は、動的機械分析において損失弾性率と貯蔵弾性率との比として測定される、請求項1~24のいずれか一項に記載のスポーツ用品。
【請求項27】
前記ブチルゴムの含有量は、前記組成物の約45重量%~約65重量%の範囲である、請求項1~26のいずれか一項に記載のスポーツ用品。
【請求項28】
前記ブチルゴムは、イソブチレン/イソプレンゴムである、請求項1~27のいずれか一項に記載のスポーツ用品。
【請求項29】
前記ポリマー組成物は、ステアリン酸をさらに含む、請求項1~28のいずれか一項に記載のスポーツ用品。
【請求項30】
スポーツ用品のための振動減衰材であって、
ブチルゴムを含むポリマー組成物で構成された層であって、前記スポーツ用品に取り付けられるように構成される層
を含む振動減衰材。
【請求項31】
前記ポリマー組成物の層は、前記スポーツ用品の表面に直接接触し、且つそれに取り付けられるのに十分な粘着性を有する、請求項30に記載の振動減衰材。
【請求項32】
前記層は、ストリップ又はシートを含む、請求項30又は31に記載の振動減衰材。
【請求項33】
前記ストリップ又はシートは、複数のストリップ又はシートを含む、請求項30~32のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項34】
前記ストリップ又はシートは、テープを含み、前記テープは、前記ポリマー組成物の前記層と、前記テープを本体に取り付けるための接着剤層とを含む、請求項30、32又は33のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項35】
グリップ材料の層をさらに含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項36】
接着剤の別の層が、前記グリップ材料の前記層と、前記ポリマー組成物を含む前記層との間にある、請求項35に記載の振動減衰材。
【請求項37】
前記ポリマー組成物の前記層は、前記スポーツ用品のフレームに関連付けられるように構成される、請求項30~36のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項38】
前記ポリマー組成物の前記層は、前記スポーツ用品のシャフトに関連付けられるように構成される、請求項30~37のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項39】
前記ポリマー組成物の前記層は、前記スポーツ用品のハンドルに関連付けられるように構成される、請求項30~38のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項40】
前記ポリマー組成物の前記層を含むグリップをさらに含む、請求項30に記載の振動減衰材。
【請求項41】
前記ポリマー組成物の前記層を含むスリーブをさらに含む、請求項30に記載の振動減衰材。
【請求項42】
前記スリーブは、前記スポーツ用品のハンドルの上に配置されるように構成される、請求項30に記載の振動減衰材。
【請求項43】
前記スポーツ用品は、ラケット、スティック、クラブ、バット、帽子、グローブ、シューズ、パッド又はヘルメットを含む、請求項30~42のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項44】
前記層は、テニスラケットのヘッドに取り付けられるように構成される、請求項30~36のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項45】
前記層は、テニスラケットのハンドルに取り付けられるように構成される、請求項30~36又は44のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項46】
前記ポリマー組成物は、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂をさらに含む、請求項30~45のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項47】
前記フェノール-ホルムアルデヒド樹脂の含有量は、前記組成物の約5重量%~約15重量%の範囲である、請求項46に記載の振動減衰材。
【請求項48】
前記フェノール-ホルムアルデヒド樹脂は、ブロモメチル化アルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂を含む、請求項46又は47に記載の振動減衰材。
【請求項49】
前記ポリマー組成物は、少なくとも1つのフィラーをさらに含む、請求項30~48のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項50】
前記少なくとも1つのフィラーの含有量は、前記組成物の約5重量%~約45重量%の範囲である、請求項49に記載の振動減衰材。
【請求項51】
前記フィラーは、タルク、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸アルミニウム、カオリン、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、石英及びそれらの混合物から選択される、請求項49又は50に記載の振動減衰材。
【請求項52】
前記ポリマー組成物は、約35~約65の範囲のショアA硬度を有する、請求項30~51のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項53】
前記ポリマー組成物は、10Hzで0.30より大きく、且つ100Hzで0.60より大きい損失係数を有し、
前記損失係数は、動的機械分析において損失弾性率と貯蔵弾性率との比として測定される、請求項30~52のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項54】
前記ブチルゴムの含有量は、前記組成物の約45重量%~約65重量%の範囲である、請求項30~53のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項55】
前記ブチルゴムは、イソブチレン/イソプレンゴムである、請求項30~54のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項56】
前記ポリマー組成物は、ステアリン酸をさらに含む、請求項30~55のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項57】
ブチルゴムを含むポリマー組成物で構成されたスリーブを含む、スポーツ用品のための振動減衰材であって、
前記スリーブは、前記スポーツ用品に取り付けられるように構成される、振動減衰材。
【請求項58】
前記スリーブは、グリップである、請求項57に記載の振動減衰材。
【請求項59】
前記スリーブは、ボアを含む、請求項57又は58に記載の振動減衰材。
【請求項60】
前記スリーブは、前記ポリマー組成物で構成されたコアを含む、請求項57~59のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項61】
前記スリーブは、外側グリップ面を含む、請求項57~60のいずれか一項に記載の振動減衰材。
【請求項62】
本体と、
前記本体に関連付けられた振動減衰材であって、振動減衰性ポリマー組成物を含む振動減衰材と
を含むスポーツ用品。
【請求項63】
前記ポリマー組成物は、ブチルゴムを含む、請求項62に記載のスポーツ用品。
【請求項64】
前記ポリマー組成物は、ポリマー及び金属を含む、請求項62に記載のスポーツ用品。
【請求項65】
スポーツ用品のための振動減衰材であって、
ポリマー組成物で構成された層であって、スポーツ用品に取り付けられるように構成される層
を含む振動減衰材。
【請求項66】
前記ポリマー組成物は、ブチルゴムを含む、請求項65に記載の振動減衰材。
【請求項67】
前記ポリマー組成物は、ポリマー及び金属を含む、請求項65に記載の振動減衰材。
【請求項68】
前記ポリマー組成物は、
約600psi/分~約800psi/分、好ましくは約680psi/分~約750psi/分、より好ましくは約722psi/分の引張強度、
約900%~約1000%、好ましくは約950%~約997%、より好ましくは約985%の伸び率、
約100pli~約200pli、好ましくは約110pli~約135pli、より好ましくは約129pliの引裂強度、
約40~約55、好ましくは約44~約55、より好ましくは約53のショアA硬度、
約3%~約7%、好ましくは約4%~約6%、より好ましくは約5%のベイショア反発、
約900psi/分~約1000psi/分、好ましくは約970psi/分~約990psi/分、より好ましくは約985psi/分の極限引張強度、及び
約680%~740%、好ましくは約700%~約730%、より好ましくは約722%の極限伸び率
の1つ又は複数を含む、請求項1~67のいずれか一項に記載のスポーツ用品又は振動減衰材。
【請求項69】
前記ポリマー組成物は、
約45~約75、好ましくは約55~約65、より好ましくは約60のショアA硬度、
約1,050psi/分~約1950psi/分、好ましくは約1,400psi/分~約1,600psi/分、より好ましくは約1,500psi/分の引張強度、及び
約300%~400%、好ましくは約325%~375%、より好ましくは約350%の伸び率
の1つ又は複数を含む、請求項1~68のいずれか一項に記載のスポーツ用品又は振動減衰材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年7月22日に提出された米国仮特許出願第62/877,028号明細書及び2019年8月28日に提出された米国仮特許出願第62/892,854号明細書の利益及びそれに対する優先権を主張し、それらの両方が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、振動又は音などのエネルギーを減衰又は軽減させる、スポーツ用品のための減衰材に関する。この減衰材は、ブチルゴムポリマーと、任意選択的に、フェノール-ホルムアルデヒドをベースとする樹脂とを有するポリマー組成物を含む。この減衰材は、衝撃、振動及び/又は音の軽減及び吸収を必要とするスポーツ用品に使用され得、及びこの減衰材は、ユーザに緩衝作用を提供し得る。本開示は、このような減衰材を含むスポーツ用品にも関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかのタイプのスポーツ用品は、叩き、打ち、且つ/又は衝撃を吸収するために使用される。ユーザを保護するために、スポーツ用品の使用中に過剰なエネルギーを減衰させることが多くの場合に望まれる。様々な材料がこのような軽減及び吸収の必要性に応えている。一方では、スポーツ用品の衝撃、振動及び音の軽減及び吸収を改善する材料について、満たされていない必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、デバイスの使用中にエネルギーを軽減及び/又は減衰するスポーツ用品及びスポーツ用品のためのデバイスに対する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本体と、本体に関連付けられた振動減衰材であって、ブチルゴムを含むポリマー組成物を含む振動減衰材とを含むスポーツ用品である。
【0006】
別の態様では、スポーツ用品のための振動減衰材であって、ブチルゴムを含むポリマー組成物で構成された層であって、スポーツ用品に取り付けられるように構成される層を含む振動減衰材である。
【0007】
振動減衰材は、ストリップ、シート、フィルム、ストリング、ロープ、ファイバ、チップ、リング、形状品、成形品、スラブ、テープ、コーティング、穴あきシート、波形構造、ビーズ、フォーム及び積層体から選択される形状であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】スポーツ用品の正面立面図である。
図2】本開示による減衰材の一実施形態の斜視図である。
図3】スポーツ用品上の図2の減衰材の位置決めを示す斜視図である。
図4】スポーツ用品上の図2の減衰材の位置決めを示す斜視図である。
図5】スポーツ用品上の図2の減衰材の位置決めを示す斜視図である。
図6】本開示による減衰材の別の実施形態の斜視図である。
図6A図6の減衰材の一端の上面拡大図である。
図7図7a~dは、図6の減衰材がスポーツ用品のハンドルに適用されている状態を示す斜視図である。
図8】別のスポーツ用品の斜視図である。
図9図8に示したスポーツ用品のスリーブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
本特許出願で表されるすべてのパーセンテージは、別の方法で表されない限り、組成物の総重量の重量パーセントである。
【0010】
本特許出願で表されるすべての比率は、別の方法で表されない限り、重量に基づいており、すなわち重量基準である。
【0011】
本特許出願において、範囲は、単に範囲内のあらゆる値を列挙して記載することを避けるために略記として使用される。範囲内の任意の適切な値を範囲の上限値、下限値又は終点として選択することができる。
【0012】
本特許出願において、文脈上特段の指示のない限り、単語の単数形は、その複数形を含み、その逆も同様である。したがって、「1つの(a)」、「1つn(an)」及び「その」という言及は、一般に、それらが修飾するそれぞれの用語の複数形を含む。例えば、「方法」への言及は、その複数形の「方法」を含む。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含んでいる」という用語は、特許請求の範囲内で移行句として使用されるかどうかにかかわらず、排他的ではなく、包括的に解釈されるべきである。同様に、「包含する」、「包含している」及び「又は」という用語は、包括的に解釈されるべきである。但し、そのような解釈が文脈から明らかに禁止される場合を除く。同様に、「例」という用語は、特に用語の列記が後に続く場合、単なる例示及び実例であり、排他的又は総合的であるとみなされるべきではない。
【0013】
本特許出願に開示される方法、組成物及び他の進歩は、当業者が理解するように、それらが変化する可能性があるため、本出願に記載される特定の方法論、プロトコル及び試薬に限定されない。さらに、本出願で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するものであり、開示又は特許請求されるものの範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0014】
他に定義されない限り、本出願で使用されるすべての技術的及び科学的用語、技術用語並びに頭字語は、本発明の分野又はその用語が使用される分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。本特許出願に記載されるものと同様の又は均等な任意の組成物、方法、製造品又は他の手段若しくは材料を本発明の実施に使用することができる。しかし、特定の組成物、方法、製造品又は他の手段若しくは材料が例示のためにのみ記載される。
【0015】
本特許出願で引用又は参照されるすべての特許、特許出願、刊行物、技術的及び/又は学術的記事並びに他の参考文献は、法律で認められる範囲内において、参照によりその全体が組み込まれる。それらの参考文献の議論は、単にこれらの参考文献で行われた主張を要約することを意図している。このような特許、特許出願、刊行物若しくは参考文献又はその一部が、関連性があるか、重要であるか又は従来技術であることを認めるものではない。このような特許、特許出願、刊行物及び他の参考文献を、関連性があるか、重要であるか、又は従来技術であるとする主張の正確性及び適切性に異議を唱える権利が特に留保される。
【0016】
いくつかの用途において、本開示の配合物は、例えば、減衰目的のために現在利用可能な例示的なポリウレタンベースの材料に対して予想外の驚くべき改善を示す。より具体的には、ポリマー組成物の配合物は、室温及び様々な周波数で測定される、そのような配合物から作られた物品の動的機械分析中、タンデルタ値、すなわち材料の貯蔵弾性率に対する損失弾性率の比において少なくとも約20%~約500%の改善を示す。
【0017】
一実施形態では、ポリマー組成物は、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂又は硫黄で硬化されたブチルゴム、少なくとも1つの充填剤並びに任意選択的にステアリン酸及び鉱油を含む。未硬化配合物の成分を以下に記載する。本開示は、本明細書に記載の未硬化配合物及び硬化配合物の両方に関する。代わりに、ポリマー組成物は、使用中の振動及び周波数を低減するようにエネルギーを減衰又は軽減させる任意の適切なポリマーを含み得る。
【0018】
図を参照すると、本開示は、スポーツ用品のための減衰材に向けられている。減衰材又は振動減衰材は、スポーツ用品の使用中に発生する振動、音及び/又は他の形態のエネルギーを減衰及び/又は軽減させ得る。減衰材は、スポーツ用品と一体化され得るか、スポーツ用品に取り付けられ得るか、他の方法でスポーツ用品に関連付けられ得る。本明細書では、減衰材は、特定のスポーツ用品に関連して記載され得る。しかし、そのような記載は、例示的なものである。減衰材は、あらゆるスポーツ用品に適用することができる。このようなスポーツ用品は、ラケット(テニス、ラケットボール、バドミントン等)、パドル(卓球、ピックルボール、テニス、プラットホームテニス等)、スティック(ホッケー、ラクロス等)、クラブ(ゴルフ等)、バット(野球、ソフトボール、クリケット等)、帽子、グローブ(野球、ホッケー、ゴルフ等)、靴、パッド(フットボール、サッカー、ホッケー、ラクロス、すね、ひざ、肩等)、ヘルメット及びヘッドギア(フットボール、野球、自転車、オートレース、ホッケー、サッカー、レスリング等)を含むが、これらに限定されない。
【0019】
一実施形態では、スポーツ用品は、本体と、本体に関連付けられた減衰材とを含む。減衰材は、ポリマー組成物を含む。一実施形態では、ポリマー組成物は、本明細書に開示されるブチルゴム含有ポリマー組成物のいずれかなど、ブチルゴムを含む組成物であり得る。代替的な実施形態では、ポリマー組成物は、使用中の振動及び周波数を低減するようにエネルギーを減衰又は軽減させ、したがってスポーツ用品のユーザの経験を向上させる任意のポリマー組成物であり得る。例えば、ポリマー組成物は、任意の適切なポリマーを含み得る。任意選択的に、ポリマー組成物は、他の成分も含み得る。一実施形態では、ポリマー組成物は、ポリマー及び金属を含み得る。例えば、ポリマー組成物は、ポリマー及びタングステンを含み得る。一実施形態では、ポリマー組成物は、ポリエーテルブロックアミド及びタングステンを含み得る。他の実施形態では、ポリマー組成物は、アフラス、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリン、エチレンプロピレン、フルオロエラストマー、フルオロシリコーン、水素化ニトリル、天然ゴム、ニトリル、パーフルオロエラストマー、ポリアクリル、ポリクロロプレン、ポリウレタン、シリコーン、スチレンブタジエン、フォーム、プラスチック、シート素材、ムーンゲル、エアロゲル、玄武岩及びタングステンを含み得る。
【0020】
上述したように、減衰材は、本体と一体若しくはワンピースであり得、且つ/又は本体に取り付けられ得るか、或いは他の方法で本体に関連付けられ得る。一実施形態では、スポーツ用品の本体は、フレームを含み、及び減衰材は、フレームに関連付けられる。別の実施形態では、本体は、シャフトを含み、かつ、減衰材は、シャフトに関連付けられる。シャフトが中空である場合、減衰材は、固体若しくは粒子の挿入又はフォームスプレータイプの適用を介してシャフトの内部に適用され得る。フレームが中空である場合、減衰材は、フォーム、スプレー、ビーズ又はストリップの形態において、製造プロセス中に中空フレームの内部に配置され得る。さらに、減衰材は、テニスラケットのグロメットに取って代わることができる。本体は、ハンドルも含み得る。その場合、減衰材は、ハンドルに関連付けられる。
【0021】
減衰材は、スポーツ用品の本体の一部であるか、又は本体に取り付けられるポリマー組成物の層を含み得る。ポリマー組成物の層は、ストリップ又はシートの形態であり得る。ストリップは、幅広であるよりも長い長尺状の細長いストリップであり得る。ストリップは、所望のサイズに予めカットされ得る。代わりに、ストリップは、ロールにおいて又はテープとして提供され得る。その場合、ユーザは、ストリップを所望のサイズにカスタムカットし得る。シートの場合、シートは、ストリップよりも比較的大きいサイズをカバーするように構成され得る。シートは、規則的又は不規則な形状であり得る。例えば、シートは、正方形、長方形、円形、楕円形等であり得るか、又はシートは、カスタム形状であり得るか、若しくはカスタム形状に切断されるように構成され得る。
【0022】
一実施形態では、減衰材は、ポリマー組成物の層を含むストリップ又はテープであって、ストリップ又はテープをスポーツ用品の本体に取り付けるための接着剤層を含むストリップ又はテープであり得る。任意選択的に、ストリップ又はテープは、ユーザがスポーツ用品を握ることを補助するグリップ材料を含み得る。グリップ材料の層は、例えば、本革若しくは合成皮革、ポリマー層又は合成ポリマー層であり得る。グリップ材料は、ユーザの手で握られることを意図した外面を有し得る。外面は、握ることを補助するためにテクスチャ加工されるか、又は粘着性があり得る。グリップ材料は、接着剤、熱、噛み合い等などの任意の適切な方法でポリマー組成物の層に取り付けられ得る。一実施形態では、接着剤は、グリップ材料の層とポリマー組成物の層との間に存在し得る。
【0023】
任意選択的に、減衰材は、複数のストリップ又はシートを含み得る。ストリップ又はシートは、スポーツ用品の本体の異なる位置に位置付けられ得る。
【0024】
任意選択的に、減衰材は、スポーツ用品の一部を受け入れるためのボアを有するスリーブであり得る。スリーブは、ポリマー組成物を成形又は切断することによって形成され得る。一実施形態では、スリーブは、ハンドルの上に位置決めされるように構成される。スリーブは、手で握るように構成された外面を有し得る。例えば、スリーブは、ポリマー組成物の外面がテクスチャ又は他のグリップ表面を含むポリマー組成物を含み得る。任意選択的に、スリーブは、ポリマー組成物の上にグリップ材料の層を含み得る。
【0025】
図1に戻ると、本体12を有するテニスラケット10が示されている。本体12は、ビーム15を含むヘッド14を含む。本体は、シャフト16及びハンドル18も含む。
【0026】
図2は、減衰材20の例示的な実施形態を示す。この例では、図示された減衰材20は、ストリップ22である。ストリップ22は、個々のプレカットされたストリップとして提供され得るか、又はロール若しくはテープ(図示せず)として提供され得る。その場合、ユーザは、ストリップ22をサイズに合わせてカスタムカットし得る。ストリップ22は、本明細書に開示されるもののいずれかなどのポリマー組成物の層24を含む。一実施形態では、ポリマー組成物は、本明細書に開示されるブチルゴム組成物のいずれかなどのブチルゴムを含み得る。
【0027】
任意選択的に、ストリップ22は、ストリップ22をスポーツ用品に取り付けるための接着剤層26を含み得る。接着剤層26が含まれる場合、ストリップは、接着剤層26の底面28の上に剥離層又はライナ(図示せず)も含み得る。剥離ライナは、ストリップ22をスポーツ用品に適用するために除去される。任意選択的に、ストリップ22は、ポリマー組成物層24の上面30の上にバッキング層(図示せず)を含み得る。バッキング層は、ポリマー材料を保護するためのものであり得、且つ/又は装飾、格言若しくは画像を含み得る。
【0028】
ストリップは、所望の用途及びそれが取り付けられるスポーツ用品に応じて、実際上、いかなる長さ及び幅でもあり得る。一実施形態では、ストリップは、約7.62cm~約15.24cmの長さと、約0.635cm~約0.76cmの幅と、約15ミル(0.015インチ)~約60ミル(0.060インチ)の厚さとを有する。
【0029】
以下に記載するストリップ及び/又は減衰材34のポリマー材料は、本明細書に開示されるポリマー材料(ブチルゴム材料など)のいずれかであり得、以下の1つ又は複数を有し得る:
- ASTM D412によって測定された約600psi/分~約800psi/分の引張強度。好ましくは約680psi/分~約750psi/分、より好ましくは約722psi/分。
- ASTM D412によって測定された約900%~1000%の伸び率。好ましくは約950%~約997%、より好ましくは約985%。
- ASTM D624によって測定された約100pli~約200pliの引裂強度。好ましくは約110pli~約135pli、より好ましくは約129pli。
- ASTM D2240によって測定された約40~約55のショアA硬度。好ましくは約44~約55、より好ましくは約53。
- ASTM D2632によって測定された約3%~約7%のベイショア反発。好ましくは約4%~約6%、より好ましくは約5%。
- ASTM D412によって測定された約900psi/分~約1000psi/分の極限引張強度。好ましくは約970psi/分~約990psi/分、より好ましくは約985psi/分。
- ASTM D412によって測定された約680%~740%の極限伸び率。好ましくは約700%~約730%、より好ましくは約722%。
【0030】
次に、図3~5を参照すると、これらの図は、図示されたテニスラケット10などのスポーツ用品に取り付けられる減衰材20の例を示す。スポーツ用品上の減衰材のサイズ、数及び配置は、カスタマイズ可能であり得る。すなわち、減衰材のサイズは、実質的にいかなるサイズでもあり得る。減衰材の数は、いかなる数でもあり得る。減衰材は、いかなる場所にも配置され得る。図3では、減衰材20は、ストリング32の一方の側でヘッド14のビームに取り付けられている。図4では、減衰材20は、ストリング32の一方の側において、ヘッド14の上部でビームの内側に配置されている。任意選択的に、減衰材20は、ストリング32の他方の側でヘッド14のビーム上に配置され得る。減衰材20は、整列又はオフセットされ得る。図5では、減衰材20は、ヘッド14の一方の側及びストリング32の一方の側でビーム上に配置されている。任意選択的に、減衰材20は、ヘッド14の他方の側及びストリング32の他方の側でビーム上に配置され得る。代わりに、減衰材20は、ヘッド14の同じ側及びストリング32の反対側に配置され得る。同じく代わりに、減衰材20は、ヘッド14の反対側及びストリング32の同じ側に配置され得る。ラケットは、2つの減衰材とともに示されている。しかし、3つ以上の減衰材が存在し得ることと、減衰材が任意の数の様々な位置に配置され得ることとが理解されるであろう。さらに、減衰材は、ビームの外側又は中空のビームの内側に配置することができる。
【0031】
次に、図6を参照すると、別の減衰材34の実施形態が示されている。減衰材34は、ストリップ、シート又はテープとして提供され得る。減衰材34は、ポリマー組成物の層36と、グリップ材料の1つ又は複数の外層38とを含む。ポリマー組成物の層36及び外層38は、任意の適切な方法で互いに接合され得る。例えば、接着剤の層40を使用して、ポリマー組成物の層36を外層/グリップ層38に接合し得る。別の実施形態では、層は、熱によって接合され得るか、又は外層38は、ポリマー組成物の層36と噛み合わされ得る。任意選択的に、減衰材は、減衰材をスポーツ用品に取り付けるための接着剤の層42も含み得る。接着剤の層42が存在しない場合、ポリマー組成物の層は、スポーツ用具の表面に直接適用され得る。例えば、本明細書に開示されるブチルゴム組成物などのポリマー組成物は、介在する接着剤層を使用せずに、減衰材34(ストリップ、シート又はテープ)をスポーツ用具の表面に直接適用できるように十分な粘着性を有し得る。すなわち、ポリマー組成物は、接着剤層を用いずに採用した場合、減衰材がスポーツ用具に十分に付着、固着又は取り付けられるような十分な粘着性を有し得る。図6Aを参照すると、減衰材34の1つの端部35の拡大上面図が示されている。端部35は、上面37と、反対側の側面39及び41とを含む。側面部39及び41の一方又は両方は、減衰材の末端の方向に内側に向かってテーパし得る。これは、連続的なテーパであり得るか、又はテーパは、減衰材の末端に向かって水平になり得る。
【0032】
ポリマー組成物の層36は、14ミル(0.014インチ)~25ミル(0.025インチ)、好ましくは約0.018の、上面36aと下面36bとの間で測定される厚さを有し得る。ポリマー組成物の層の長さ及び幅は、その意図された用途に応じて変化し得る。一実施形態では、長さは、約50インチであり得、幅は、約0.50インチであり得る。本明細書に記載のポリマー組成物のいずれかであり得るポリマー組成物の層36は、カレンダープロセスによって形成され得る。そのようなプロセスでは、ポリマーを加熱し、2つ以上のローラ間でカレンダリングして連続シートを形成する。シートの厚さは、最後の2つのローラ間のギャップの大きさに依存し得る。任意選択的に、カレンダープロセスは、表面仕上げを形成するローラのセットを含むことができる。例えば、それらは、表面の光沢及び質感に影響を与えることができる。任意選択的に、ポリマー組成物の層を形成するプロセスは、ポリマーの加硫を含み得る。シートを形成した後、シートを所望の形状、例えばストリップ/テープに切断する。切断は、レーザー、ウォータージェット、ダイカットなど、任意の適切な方法で行われ得る。接着層及びグリップ層を使用する場合、これらの層は、シートを所望の形状に切断する前又は後に適用され得る。
【0033】
一実施形態では、上に開示された減衰材34及び/又はストリップ20のポリマー層は、本明細書に開示されるポリマー材料(ブチルゴム材料など)のいずれかであり得、以下の1つ又は複数を有し得る:
- ASTM D2240によって測定された約45~約75のショアA硬度。好ましくは、約55~約65、より好ましくは約60。
- ASTM D412によって測定された約1,050psi/分~約1950psi/分の引張強度。好ましくは約1,400psi/分~約1,600psi/分、より好ましくは約1,500psi/分。
- ASTM D412によって測定された約300%~400%の伸び率。好ましくは、約325%~375%、より好ましくは約350%。
【0034】
図7a~dでは、減衰材34は、テニスラケットのシャフト16又はハンドル18などのスポーツ用品のシャフト又はハンドルに適用されるテープ、ロール又は細長いストリップとして提供されている。減衰材34は、シャフト16又はハンドル18に巻き付けられた後、切断され得る。上述したように、減衰材34は、減衰材をハンドルに取り付けるための底部接着層42(図6)を含み得る。代わりに、ポリマー組成物36が十分な粘着性を有する場合、減衰材は、介在する接着層を含まなくてもよく、ポリマー組成物36をハンドルの表面に直接適用し得る。減衰材34は、テニスラケットのオーバーグリップ若しくはアンダーグリップを形成するか、又はその一部を形成することができる。さらに、減衰材34は、製造中にラケット上に配置され得る。代わりに、ユーザは、市場に出た後にラケットに減衰材を適用することができる。
【0035】
図8及び9を参照すると、シャフト52を有するゴルフクラブ50などのスポーツ用品が示されている。シャフト52は、スリーブ56の形態のグリップ54を含む。図9に示されているように、スリーブ56は、シャフト52を受け入れるためのボア58を含む。スリーブ56は、ポリマー組成物で作られ得るか、又はポリマー組成物を含み得る。スリーブ56は、所望のスリーブ形状に成形又は切断され得る。任意選択的に、スリーブは、ポリマー組成物で作られたコア60と、グリップ材料で作られた外層62とを含み得る。任意選択的に、本明細書に開示されるもののいずれかなど、1つ又は複数の減衰ストリップをシャフト52又はゴルフクラブヘッド53に配置し得る。
【0036】
ブチルゴム
ブチルゴムは、イソブチレンと少量のイソプレンとのコポリマーである。未加硫状態のブチルゴムは、プラスチックガムの典型的な特性を有する弱い材料であり、明確な弾性限界を有さず、すなわち、ゆっくりと引張応力を加えると、破断することなくほぼ無限に伸長し、応力を除去した後に実質的に弾性回復を示さない。一方、加硫又は硬化したブチルゴムは、強力な非可塑性材料であり、弾性限界があり、数百パーセントも伸張された後に元の長さに実質的に戻る能力がある。
【0037】
本開示の一実施形態では、イソプレン成分に由来するブチルポリマー又はブチルゴム中の不飽和度は、ポリマー配合物の減衰特性並びに老化防止特性及び抗菌特性を同時に付与し得る。一実施形態では、ブチルゴムの不飽和度の範囲は、1.65~2.60モル%の不飽和度である。別の実施形態では、不飽和度は、0.7モル%~2-45モル%までである。不飽和度が低いと、架橋密度が低くなり、改善された減衰性が得られる可能性があるが、応力/歪み特性及び硬化特性が悪化する可能性もある。一実施形態では、ブチルゴムは、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂加硫で架橋されるか、又は硫黄で架橋される。ブチルゴムは、当技術分野でよく知られており、米国特許第3,031,423号明細書の第1欄、第15行~第24行に記載されている。低不飽和ブチルゴムは、0.5~1.1モル%のイソプレン及び98.9~99.5モル%のイソブチレンを含み得、例えば米国特許第2,356,128号明細書に記載されているようなよく知られた従来技術の方法のいずれかによって調製することができる。
【0038】
代わりに、有用な衝撃改質ゴムは、例えば、熱可塑性エラストマーポリマー樹脂を含む。衝撃改質ゴムは、例えば、以下から選択され得る。ポリブタジエン、ポリイソブチレン、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、スルホン化エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、ポリクロロプレン、ポリ(2,3-ジメチルブタジエン)、ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリル-ブタジエンゴム(HNBR)、ポリ(ブタジエン-コ-ペンタジエン)、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリスルフィドエラストマー、ブロックコポリマーであって、ポリスチレン、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(t-ブチルスチレン)、ポリエステル等などのガラス質又は結晶質ブロックと、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-ブチレンコポリマー、ポリエーテルエステル等などのエラストマーブロックとのセグメントで構成されるもの、例えばShell Chemical CompanyによってKRATONの商品名で製造されているポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)ブロックコポリマー中のコポリマーなど。
【0039】
一実施形態では、ブチルゴムは、配合物の総重量の約45%~65%の範囲で組成物中に存在する。別の言い方をすれば、ブチルゴムは、以下の配合物のパーセント重量で存在し得る:45;45.5;46;46.5;47;47.5;48;48.5;49;49.5;50;50.5;51;51.5;52;52.5;53;53.5;54;54.5;56;56.5;57;57.5;58;58.5;59;59.5;60;60.5;61;61.5;62;62.5;63;63.5;64;64.5;及び約65。別の実施形態では、ブチルゴムは、以下の重量パーセントで組成物中に存在し得る:45;45.1;45.2;45.3;64.7;64.8;64.9;及び65。ブチルゴムの含有量は、上記の任意の2つの数字によって定義される範囲で存在し得る。
【0040】
フェノール-ホルムアルデヒド樹脂
硬化剤は、フェノール及び塩基の存在下でフェノールをホルムアルデヒドと縮合させることによって製造されるフェノール-ホルムアルデヒド樹脂であり得る。代表的な硬化剤としては、2、6-ジヒドロキシメチル-4-アルキルフェノール及びその多環式縮合ポリマーが挙げられる。その例は、米国特許第2,701,895号明細書に記載されている。硬化は、フェノール又は樹脂のメチロール基と未硬化ゴムとの反応によって起こり、架橋構造を形成する。
【0041】
一実施形態では、ポリマー組成物は、ブチルゴムを、低レベルのエーテル架橋を有する低量のフェノール-ホルムアルデヒド樹脂で硬化させることによって形成される。そのような改善された特性には、改善された高温老化特性、より速い硬化速度及びより優れた応力/歪み特性が含まれ得る。ポリマー組成物は、このような樹脂、未硬化ブチルゴム、ハロゲン含有化合物並びに任意選択的に充填剤及びプロセスオイルを含み得る。
【0042】
塩基触媒によるフェノール-ホルムアルデヒド樹脂は、塩基の存在下でフェノールをホルムアルデヒドと縮合させることによって製造することができる。この反応により、フェノール-アルコールが形成される。これらは、その後、縮合反応を経て多環式フェノールを形成し得る。多環式フェノール-ホルムアルデヒド樹脂の例を以下に示す。
【化1】
【0043】
図示のように、フェノール部位は、R’によって架橋される。これらの架橋部位であるR’は、同じであるか又は異なり得、メチレン(-CH2-)又はジメチレンエーテル(-CH2-O-CH2)のいずれかであり得る。整数nは、o~10、好ましくはo~5の値を有し得る。整数nは、樹脂が固体になるのに十分に高い値を有することが好ましい。基Rは、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。それは、最大で約12個の炭素原子を含み得る。一実施形態では、R基は、最大で8個の炭素原子を含むアルキル基、特にメチル基、tert-ブチル基、tert-オクチル基である。参照により本明細書に組み込まれるさらなる例については、米国特許第2,701,895号明細書を参照されたい。
【0044】
改善された特性を有する樹脂硬化ブチルゴムは、低レベルのエーテル架橋を有するフェノール-ホルムアルデヒド樹脂で硬化させることによって得ることができる。一実施形態では、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂中のジメチレンエーテルブリッジとメチレンブリッジとのモル比は、約2.5:1未満又は約1.7:1未満、最も好ましくは約1:1未満である。使用することができる適切なフェノール-ホルムアルデヒド樹脂の例には、ジメチレンエーテルブリッジとメチレンブリッジとのモル比が約0.65:1である樹脂が含まれる。
【0045】
一実施形態では、ブチルゴム組成物は、組成物が架橋又は硬化を経ることができるように、少量のジエンコモノマー、通常、イソプレンを必要とする。ブチルゴムのグレードは、イソプレン含有量及びムーニー粘度(分子量に関連する)によって区別することができる。未硬化ブチルゴムの例は、約0.5mol%~約10mol%のイソプレンを有する。そのブチルゴムは、約0.5~約2.5mol%のイソプレンを含有するか、又は約0.9~約2.1mol%のイソプレンを含有する。特に、約1-4~約1.6mol%のイソプレンを有するブチルゴムについて言及する。いくつかの適切なブチルゴムは、約25~約70、好ましくは約30~約63(RPML1+8@125℃)のムーニー粘度を有する。
【0046】
一実施形態では、ハロゲンが配合物中に存在する。ハロゲン含有化合物の例としては、ベイプレン(Bayer)、ブタクロール(Distagul)及びネオプレン(DuPont)などの商標で入手可能なポリクロロプレンなど、ペンダント塩素原子を有するオレフィン含有ポリマーなどの有機化合物が挙げられる。一実施形態では、配合物中に存在する量は、未硬化ブチルゴムの約95部に対して約1~約10重量部若しくは約4~約6重量部の範囲又は約5重量部である。代わりに、ハロゲン含有化合物として塩素含有塩、例えば塩化第一スズを使用することもできる。必要なハロゲン、例えば塩素又は臭素の原子は、別個に添加された化合物によって提供されるのではなく、配合物の他の構成要素の1つの成分として提供されることが可能である。例えば、ポリクロロプレン又は塩化第一スズなどの別個に添加された化合物ではなく、塩素化若しくは臭素化されたブチルゴム又は塩素化若しくは臭素化された多環式フェノール-ホルムアルデヒド樹脂を使用することが可能である。一実施形態では、非ハロゲン化ブチルゴム及び非ハロゲン化フェノール-ホルムアルデヒド樹脂が使用される。ハロゲンは、例えば、ポリクロロプレン又は塩化第一スズにおいて添加される。
【0047】
PF樹脂の代替として、ブロモメチル化PF樹脂などのハロアルキル化PF樹脂を使用することができる。アルキルPF樹脂のアルキル化の範囲は、約8%~12.5%である。ブロモメチルアルキル化フェノール樹脂は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,972,600号明細書に記載されており、2-ヒドロキシメチル4-アルキルフェノール、2,6-ジヒドロキシメチル4-アルキルフェノール、レシトールが最大で4つのフェノール単位の平均を有するそのようなヒドロキシメチル4-アルキルフェノールのレシトール及び4-アルキルフェノールと、前記フェノールの1モル当たり0.5~2.1モルのホルムアルデヒドとの混合物からなる群から選択されるフェノール材料を臭素化することにより調製される。前記アルキル基は、4~20個の炭素原子を含む。臭素化された材料の平均臭素含有量は、約1~約9パーセントである。
【0048】
一実施形態では、ブロモメチルアルキル化フェノール樹脂及び金属ハロゲン化物を含む低不飽和ブチルゴムが使用される。
【0049】
一実施形態では、PF樹脂は、配合物の総重量の約5%~15%の範囲で組成物中に存在する。別の言い方をすると、PF樹脂は、以下の配合物のパーセント重量で存在し得る:5;5.5;6;6.5;7;7.5;8;8.5;9;9.5;10;10.5;11;11.5;12;12.5;13;13.5;14;14.5;及び15。
【0050】
別の実施形態では、PF樹脂は、以下の重量パーセントで組成物中に存在し得る:5;5.1;5.2;5.3;14.7;14.8;14.9;及び15。PF樹脂の含有量は、上記の任意の2つの数字によって定義される範囲でも存在し得る。
【0051】
他の硬化剤
ブチルゴム組成物は、多くの異なる方法でも架橋され得る。硫黄は、ゴム用硫黄(S8)又はポリマー硫黄(不溶性硫黄)(Sx)の両方の形態において、チアゾール類、スルフェンアミド類、グアニジン類、カルバメート類、チウラム類、アルキルフェノールジスルフィド類、チオモルホリン類、ジオキシム類、ホスホロジチオエート類、アニリン及びその誘導体などの様々な促進剤とともに使用される。
【0052】
臭素化イソブチレン-コ-パラメチルスチレン(BIMSM)を含むハロゲン化ブチルゴムを使用することもできる。ハロゲン化ブチルゴムは、架橋助剤を用いて、チオ尿素、金属酸化物若しくは金属塩化物又は過酸化物によって架橋することもできる。
【0053】
フィラー
フィラーを配合物に添加することができる。フィラーの例としては、タルク、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸アルミニウム、カオリン、モンモリロナイト、炭酸カルシウム及び石英が挙げられる。
【0054】
カーボンブラックは、N-770~N-110の範囲である。一実施形態では、カーボンブラックは、ASTM D1765に従って分類されたN-351である(Maurice Morton,“Rubber Technology”3rd Edition,Chapman&Hall,New York,1995,pages 69-70を参照されたく、これは、参照により本明細書に組み込まれる)。別の実施形態では、カーボンブラックは、N550である。
【0055】
一実施形態では、フィラーは、配合物の総重量の約5%~約45%の量で存在する。別の実施形態では、2つ以上のフィラーが存在し得る。ここで、各フィラーは、配合物の総重量の約5%~約45%の量である。別の言い方をすると、フィラーは、以下の配合物のパーセント重量で存在し得る:5;5.5;6;6.5;7;7.5;8;8.5;9;9.5;10;10.5;11;11.5;12;12.5;13;13.5;14;14.5;15;15.5;16;16.5;17;17.5;18;18.5;19;19.5;20;20.5;21;21.5;22;22.5;23;23.5;24;24.5;25;25.5;26;26.5;27;27.5;28;28.5;29;29.5;30;30.5;31;31.5;32;32.5;33;33.5;34;34.5;35;35.5;36;36.5;37;37.5;38;38.5;39;39.5;40;40.5;41;41.5;42;42.5;43;43.5;44;44.5;及び45。
【0056】
別の実施形態では、1つ又は複数のフィラーは、個々に以下の重量パーセントで組成物中に存在することができる:5;5.1;5.2;5.3、44.7;44.8;44.9;及び45。
【0057】
一実施形態では、配合物は、2つ以上のフィラーを含有する。一実施形態では、第1のフィラーは、配合物の重量の約5%~約15%の範囲で配合物中に存在する。第2のフィラーが存在する実施形態では、第2のフィラーは、配合物の重量の約20%~35%の範囲で存在する。
【0058】
配合物は、プロセスオイルを含有し得る。多くの適切なプロセスオイルが当業者に知られている。適切なプロセスオイルの例としては、ヒマシ油及びパラフィン油が挙げられる。
【0059】
酸化亜鉛を活性剤として添加することができ、好適にはゴム100部に対して最大で約8部、好ましくは約5部の量で添加する。配合物中の酸化亜鉛を可溶化することを促進するために、ステアリン酸を添加することもできる。
【0060】
記載されるブチルゴム配合物は、上述のブチルゴム配合物の成分及び追加的に加硫促進剤、エクステンダー、潤滑剤、可塑剤等など、他の所望の任意選択の構成要素を、ゴム産業で使用される任意の便利な方法、例えばミル上又は内部ミキサで混合することによって製造することができる。
【0061】
加硫物は、配合物を任意の所望の形状及びサイズに変換し、高温で加硫することにより、配合物から製造することができる。
【0062】
別の態様では、配合物は、未硬化ブチルゴムと、ハロゲン含有化合物と、ジメチレンエーテルブリッジ及びメチレンブリッジを有する多環式フェノール-ホルムアルデヒド樹脂とを含む。ジメチレンエーテルブリッジ対メチレンブリッジのモル比は、約2.5:1未満である。未硬化ブチルゴム対前記多環式フェノール-ホルムアルデヒド樹脂の比は、10:1未満であり、5:1程度であり得る。
【0063】
本製品は、ストリップ、シート、テープ、ロール、フィルム、形状品、成形品、スラブ、テープ、コーティング、穴あきシート、波形構造、積層体、ビーズ、スプレーフォーム及び減衰目的の任意の所望の形状の形成を容易にするように配合することができる。
【0064】
一態様では、振動減衰組成物は、炭素含有ナノ材料を含む。さらに別の態様では、多層物品は、炭素含有ナノ材料を含む振動減衰組成物を含む。
【0065】
他の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、複数の炭素含有ナノ材料を含み得る。
【0066】
使用される炭素含有ナノ材料は、特に限定されない。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)であり得るか、又は2層カーボンナノチューブ(DWCNT)であり得る。DWCNTは、例えば、触媒化学蒸着を含む任意の手段で得ることができる。このような調製技術は、1~3nmの範囲の直径と、100μmに達することができる長さとを有する約80%のDWCNTを与え得る。そのようなナノチューブの電気伝導度は、ペレットの形態にプレスされたときに25S/cmを超え得る。
【0067】
他のカーボンナノチューブは、多層ナノチューブ(MWCNT)を含む。MWCNTは、PCT公開特許出願の国際公開第03/002456A2号パンフレットに記載されているように、担持された触媒の存在下での蒸着によって得ることができる。このようにして調製されたMWCNTは、透過型電子顕微鏡により、チューブの100%に近い部分がMWCNTであることを示し得る。そのようなMWCNTは、10~50nmの範囲の直径と、70μmに達することができる長さとを有し得る。そのようなMWCNTの電気伝導度は、ペレットの形態にプレスされたときに20S/cmを超え得る。
【0068】
SWCNT、DWCNT及びMWCNTは、残留する無機及び金属の不純物を取り除くために、酸溶液(硫酸及び塩酸など)で洗浄して精製され得る。SWCNTは、Kang及びTatonによってJournal of the American Chemical Society,vol.125,5650(2003)に記載されたように、架橋された両親媒性のコポリマーミセル内にナノチューブを封入することで非共有結合的にも修飾され得る。別の実施形態では、カーボンナノチューブは、例えば、Wang、Iqbal及びMitraによってJournal of the American Chemical Society,vol.128,95(2006)に記載されたように表面官能化され得る。
【0069】
他の炭素含有ナノ材料としては、例えば、カーボンナノファイバーが挙げられる。
【0070】
適切なナノファイバーの例としては、スペインのGrupo Antolin社からGrupo Antolin Carbon Nanofibers(GANF)として入手可能である、非常に小さい直径(20~80nm)、高いアスペクト比(>100)及び高度なグラファイト構造(>60%)を有するサブミクロンのVaporGrown Carbon Fibers(s-VGCF)が挙げられる。
【0071】
代わりに、Pyrograf(登録商標)-IIIは、70~200ナノメートルの範囲の直径及び50~100ミクロンと推定される長さにおいて利用可能であり、Cedarville,Ohioに所在するApplied Sciences,Inc.(ASI)から入手可能である。
【0072】
さらに別の実施形態では、本明細書に記載の振動減衰組成物は、非炭素含有ナノ材料をさらに含み得る。そのような材料としては、例えば、シリカナノ粒子、ジルコニアナノ粒子及びアルミナナノ粒子、Ti02、クレー、インジウムスズ(酸化物)、酸化鉄、酸化亜鉛及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0073】
本明細書に記載の組成物は、顔料、流動制御添加剤、酸化防止剤、硬化性化合物、共硬化剤、硬化促進剤、ミネラルフィラーなどの不活性フィラー、難燃剤、押出助剤などの加工助剤(フルオロポリマーベースの加工助剤、ミネラルオイル及びワックスなどの潤滑剤を含む)、グラスバブル、ポリマーバブル(Pierce and Stevens,Corp.,Buffalo,N.Y.から入手可能なDualite(登録商標)Hollow Composite Microsphere Fillersなど)及び他の添加剤をさらに含み得る。
【0074】
炭素含有ナノ材料と;硬化性マトリックスと;機能性ブロック及び非機能性ブロックを含み、硬化性マトリックスと相容れないブロックがないブロックコポリマーとを含む成形品を形成することもできる。これらの成形品において、炭素含有ナノ材料は、硬化性マトリックス中に分散され得る。いくつかの実施形態では、硬化性マトリックスは、電気的に非伝導性である一方、複合物品自体は、電気的に伝導性である。
【0075】
成形品は、例えば、スリーブ、シャフト、ハンドル、フレーム、支柱、ボディ等を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、炭素含有ナノ材料の効率的及び/又は均一な分散を可能にする。この効率的な分散は、引張強度、弾性率の向上、柔軟性、電気伝導性、5の熱伝導率及び粘弾性振動減衰などの好ましい特性を生じさせる可能性がある。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の硬化組成物は、本明細書に記載の炭素含有ナノ材料を欠く硬化マトリクスを含有する比較可能な硬化組成物よりも少なくとも20%高いタンデルタ値を有する。他の実施形態では、本明細書に記載の硬化組成物のタンデルタ値は、本明細書に記載の炭素含有ナノ材料及びブロックコポリマーを欠く硬化マトリックスを含有する硬化組成物と比較して20%以上、25%以上、35%以上又は50%以上増加する。
【0077】
本ポリマー組成物は、抗菌特性も有し得る。したがって、所望の形状の1つ又は複数の配合物は、減衰及び衝撃改質のためのみならず、この材料が提供しなければならない追加の微生物耐性のために使用することができる。この材料は、一実施形態において、市場の同等の製品と比較して軽量であり、且つより長い耐用年数も有する。
【0078】
一般的に言えば、本ポリマー組成物は、その使用において以下の物理的特性の1つ又は複数を提供する:衝撃減衰;音響減衰;振動散逸;快適さのための緩衝;音の軽減;軽量;より長い寿命;抗微生物特性;空気への暴露に対する耐性;及びUV耐性。
【0079】
本ポリマー組成物の使用は、様々な分野で想定される。いくつかの例として、スポーツ用品(テニスラケット、ゴルフクラブ、ホッケースティック、マウスガード、フットボールヘルメット等)のグリップ、シート(オートバイ用又は椅子用)、履物(靴底、インサート、トゥパッド等を含む)、電子機器(コンピュータ、携帯電話、ディスクドライブ等)、車両、自動車の内装及びルーフ、台所用品、船外モータ、制動システム、医療機器等が挙げられる。さらに、自動車用アンダーフード断熱材、自動車用フロアパネル、卓上実験器具、建築用ウォールパネル、携帯電話ケース、コンプレッサーモータ、コーティング、コンピュータパッド、食器洗浄機の壁、パーカッション(ドラム)減衰材、フィルム、光学機器、(レーザー)、集積部品、医療機器、シートクッション、スラブストックなどの用途がある。
【0080】
例えば、本ポリマー組成物の物理的特性の観点から、以下の例示的な用途が挙げられる。
振動
I.卓上実験器具の隔離
II.テニスラケットの衝撃
III.フットボールのヘルメット
IV.集積システムメーカー
V.シートクッションの音
VI.建築用ウォールパネル
VII.コンプレッサーモータ
VIII.食器洗浄機の壁
IX.ドラム減衰材
X.繊維製品及び表面
XI.抗菌性コーティング又は表面/使い捨ての抗菌性繊維製品
【実施例
【0081】
減衰特性の実験-評価
いくつかのサンプルを、動的機械分析装置(DMA)を用いて分析し、tanΔ(タンデルタ)値、すなわち損失弾性率E’’対貯蔵弾性率E’の比を測定した。
1.デュロメータA硬度が55のREB5A-55の材料
2.デュロメータA硬度が45のREB5A-45の材料
3.比較材料 - Otter Boxの携帯電話ケース
4.比較材料 - Belkinの携帯電話ケース
5.比較材料 - Wilsonのイエローマウスガード
6.比較材料 - Riddellのヘルメット及び防具 - ブラックフォーム
7.比較材料 - Spaldingのネオプレン材料 - 黒に青の裏地の四角い材料
8.比較材料 - Moon Gelの減衰パッド
9.比較材料 - Sorbothaneの0208060-50-10(50デュロメータ硬度)
【0082】
REB5Aの材料を2つの異なる硬度値(45及び55デュロメータA)で試験し、競合他社から市販されている材料と比較した。比較のために7つの材料を試験した。試験の主な目的は、DMAを用いて、室温(26±1℃)において、10Hz、20Hz、50Hz及び100Hzの振動周波数で9つのサンプルからtan6及びE’の値を得ることであった。これらの測定値を競合製品のテクニカルデータシートに報告した。DMA用語では減衰定数としても知られているtanδは、一般的に試験対象となる材料のエネルギー減衰特性に関連する。E’は、貯蔵弾性率であり、材料の剛性に関連する。tan dは、貯蔵弾性率E’に対する損失弾性率E’’の比を測定する。
【0083】
Netzch242DMAを引張モードで使用した。力係数1.01、振幅50μmで0Nの静的な力及び5Nの動的な力を使用した。試験は、室温(26±1℃)において、10Hz、20Hz、50Hz及び100Hzの周波数で行った。表1は、DMAの結果をまとめたものである。結果は、tan8の最大値から最小値の順に記載される。表2は、比較材料に対する本開示の材料のタンデルタ値の改善率を計算する。
【0084】
45及び55デュロメータA硬度の自社開発材料(REB5A-45及びREB5A-55)は、試験されたすべてのサンプルの中で最大tan8値を提供した。したがって、これらの材料は、試験された条件において優れた機械的エネルギー減衰特性を有するであろう。
【0085】
材料の貯蔵弾性率E’は、サンプルの物理的な剛性とよく対応していた。一方、E’で表されるこの剛性は、tanδで表される減衰性能と直接相関していないようであった。例えば、剛性の低い材料(E’の値が低い)は、従来予想され得るような高い減衰のレベル(tanδの値が高い)に対応していなかった。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
図8
図9
【国際調査報告】