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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-30
(54)【発明の名称】誘導結合プラズマ処理システム
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20220922BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H05H1/46 L
H01L21/302 101C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504725
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 CN2020076758
(87)【国際公開番号】W WO2021017463
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】201910694285.6
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519453825
【氏名又は名称】江蘇魯▲もん▼儀器有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU LEUVEN INSTRUMMENTS CO. LTD
【住所又は居所原語表記】Liaohe West Road 8, Pizhou Economic Development Zone Xuzhou, Jiangsu 221300, China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】劉 海洋
(72)【発明者】
【氏名】劉 小波
(72)【発明者】
【氏名】李 雪冬
(72)【発明者】
【氏名】李 娜
(72)【発明者】
【氏名】程 実然
(72)【発明者】
【氏名】郭 頌
(72)【発明者】
【氏名】胡 冬冬
(72)【発明者】
【氏名】許 開東
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB25
2G084BB28
2G084BB29
2G084CC04
2G084CC05
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD25
2G084DD38
2G084DD40
2G084DD55
2G084DD62
2G084DD63
2G084DD64
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB30
5F004CA02
(57)【要約】
本発明に係る誘導結合プラズマ処理システムは、切り替えるスイッチによって高周波数電力を、高周波数コイルとファラデーシールドデバイスとの間の接続を切り替える。高周波数電源がマッチングネットワークによって高周波数コイルに接続されている場合、高周波数電力は高周波数コイルに結合されてプラズマ処理プロセスを実行する。高周波数電源がマッチングネットワークによってファラデーシールドデバイスに接続されている場合、高周波数電源はファラデーシールドデバイスに結合され、誘電体窓およびプラズマ処理反応チャンバーの内壁の洗浄プロセスを実行する。さらに、ファラデーシステムと誘電体窓が同じ部品であるため、高周波コイルの取り付けやメンテナンスが容易になり、プラズマ処理反応チャンバーの内壁、特に誘電体窓を効率的に洗浄できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ反応チャンバー(102)と、励起高周波数電源(104)と、マッチングネットワークA(106)と、高周波数コイル(108)と、誘電体窓(110)と、バイアス高周波数電源(114)と、マッチングネットワークB(116)と、電極(118)と、基板(120)と、ガス源(130)と、ガス入口(140)と、圧力制御弁(142)と、真空ポンプ(144)と、3路スイッチ(150)と、を含み、
前記励起高周波数電源(104)は、前記マッチングネットワークA(106)によって調整された後、さらに前記3路スイッチ(150)を介して前記誘電体窓(110)の上方に配置される前記高周波数コイル(108)に電力を供給し、
プラズマ(112)は、誘導結合を介して前記プラズマ反応チャンバー(102)内において生成され、
前記バイアス高周波数電源(114)は、前記マッチングネットワークB(116)を介して前記電極(118)に電力を供給し、
前記基板(120)は、前記電極(118)上に配置され、
前記高周波数コイル(108)は、2つ以上のサブコイルを含み、高周波数コイル(108)は、1つの高周波数電源を有し、
前記ガス源(130)は、前記ガス入口(140)によって前記プラズマ反応チャンバー(102)に接続され、
前記圧力制御弁(142)および前記真空ポンプ(144)は、前記プラズマ反応チャンバー(102)を1mtorrから100mtorrに維持し、前記プラズマ反応チャンバー(102)内の過剰なガスおよび反応副生成物を除去する、誘導結合プラズマ処理システム
【請求項2】
前記励起高周波数電源(104)および前記バイアス高周波数電源(114)は、いずれも特定の周波数に設定され、前記特定の周波数は、400KHz、2MHz、13.56MHz、27MHz、60MHzおよび2.54GHzのうちの1つまたは複数の組み合わせである、ことを特徴とする請求項1に記載の誘導結合プラズマ処理システム。
【請求項3】
前記誘電体窓(110)の底部には、酸化イットリウムコーティング層がスプレーコーティングされており、前記酸化イットリウムコーティング層の厚さは、50μm以上であり、前記酸化イットリウムコーティング上には、ファラデーシールドデバイス(160)がスプレーコーティングされており、前記スプレーコーティングされた厚さは、50μm以上であり、前記ファラデーシールドデバイス(160)によりチャンバーが汚染されるのを防ぎ、前記誘電体窓(110)および前記ファラデーシールドデバイス(160)がエッチングプロセスによって損傷されるのを防ぐため、前記酸化イットリウムコーティング層のスプレーコーティング範囲は、前記ファラデーシールドデバイス(160)の最大直径よりも大きく、前記誘電体窓(110)は、酸化アルミニウムを焼結することによって作製され、前記誘電体窓(110)の底部には、電気リードピン(211)が焼結またはろう付けされ、前記電気リードピン(211)には、電気リード線(210)が接続され、前記電気リード線(210)を介して前記3路スイッチ(150)に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の誘導結合プラズマ処理システム。
【請求項4】
前記ファラデーシールドデバイス(160)の材料は、炭化ケイ素または酸化亜鉛である、ことを特徴とする請求項3に記載の誘導結合プラズマ処理システム。
【請求項5】
前記電気リードピン(211)および前記誘電体窓(110)が一体に焼結される場合、前記電気リードピン(211)の材料は、高い導電率を有する銅、銀、金またはパラジウムであり、前記電気リードピン(211)および前記誘電体窓(110)が一体にろう付けされる場合、前記電気リードピン(211)の材料はコバールである、ことを特徴とする請求項3に記載の誘導結合プラズマ処理システム。
【請求項6】
プラズマ処理プロセスにおいて、
まず、基板(120)をプラズマ反応チャンバー(102)内に配置し、ガス源(130)からプラズマ反応チャンバー(102)へプラズマ処理プロセス反応ガスを導入すること、
続いて、圧力制御弁(142)および真空ポンプ(144)によって、プラズマ反応チャンバー(102)を1mtorrから100mtorrに維持すること、
続いて、3路スイッチ(150)のオン位置を切り替え、励起高周波数電源(104)は、マッチングネットワークA(106)によって調整されて、誘電体窓(110)の上方に位置する高周波数コイル(108)に電力を供給すること、
続いて、誘導結合によりプラズマ反応チャンバー内において、プラズマ(112)が生成され、基板(120)に対してプラズマ処理を行うこと、
続いて、プラズマ処理プロセスが完了した後、励起高周波数電源(104)からの高周波数電力の供給を停止させ、ガス源(130)からのプラズマ処理プロセス反応ガスの供給を停止させること、
を含み、
洗浄プロセスが必要である場合、
基板(120)をプラズマ反応チャンバー(102)内に配置し、プラズマ反応チャンバー(102)に洗浄プロセス反応ガスを導入すること、
続いて、圧力制御バルブ(142)および真空ポンプ(144)によって、プラズマ反応チャンバー(102)を1mtorrから100mtorrに維持すること、
続いて、3路スイッチ(150)のオン位置を切り替え、励起高周波数電源(104)は、マッチングネットワークA(106)によって調整されて、誘電体窓(110)と高周波数コイル(108)との間に配置されたファラデーシールドデバイス(160)に電力を供給すること、
続いて、高周波数電力は、ファラデーシールドデバイス(160)に結合され、プラズマ反応チャンバーおよび誘電体窓について洗浄を行うこと、
続いて、洗浄プロセスが完了した後、励起高周波電源(104)からの高周波電力の供給を停止させ、ガス源(130)からの洗浄プロセス反応ガスの供給を停止させること、
を含むことを特徴とする請求項5に記載の誘導結合プラズマ処理システム。
【請求項7】
前記洗浄プロセスが必要である場合の誘導結合プラズマ処理システムにおける具体的な動作フローは、
まず、3路スイッチ(150)を切り替えることにより、励起高周波数電源(104)は、マッチングネットワークA(106)によって調整され、電気リード線(210)および電気リードピン(211)を介してファラデーシールドデバイス(160)に電力を供給すること、
続いて、ガス源(130)は、ガス入口(140)によってプラズマ反応チャンバー(102)に接続され、プラズマ反応チャンバー(102)に洗浄プロセス反応ガスを導入すること、
続いて、圧力制御弁(142)および真空ポンプ(144)によって、プラズマ反応チャンバー(102)を1mtorrから100mtorrに維持し、プラズマ反応チャンバー(102)内の過剰なガスおよび反応副生成物を除去すること、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の誘導結合プラズマ処理システム。
【請求項8】
前記ファラデーシールドデバイス(160)は、1組の同じ形状の花弁形状部材(212)によって構成され、隣接する2つの花弁形状部材(212)の間の隙間は、同じ形状およびサイズを有し、前記花弁形状部材(212)は、垂直軸を中心に周りを回転しながら対称分布され、垂直軸に近い前記花弁形状部材(212)の端部は、導電性部材(204)に接続され、前記導電性部材(204)は、同じラジアンおよびサイズを有し、互いに分離され、絶縁されている2つの扇形導電性部材によって形成され、前記導電性部材(204)は、電気リードピン(211)にスプレーコーティングされており、2つの前記扇形導電性部材は、電気リードピン(211)および電気リード線(210)によって高周波数マッチングネットワークA(106)に並列に接続され、励高周波数電源(104)との接続を実現する、ことを特徴とする請求項3に記載の誘導結合プラズマ処理システム。
【請求項9】
前記ファラデーシールドデバイス(160)は、1組の同じ形状のブレード形状部材(202)によって構成され、隣接する2つのブレード形状部材(202)の間の隙間は、同じ形状およびサイズを有し、前記ブレード形状部材(202)は、垂直軸を中心に周りを回転しながら対称分布され、垂直軸に近い前記ブレード形状部材(202)の端部は、導電性部材(204)に接続され、前記導電性部材(204)は、同じラジアンおよびサイズを有し、互いに分離され、絶縁されている2つの扇形導電性部材によって形成され、前記導電性部材(204)は、電気リードピン(211)にスプレーコーティングされており、2つの前記扇形導電性部材は、電気リードピン(211)および電気リード線(210)によって高周波数マッチングネットワークA(106)に並列に接続され、励高周波数電源(104)との接続を実現する、ことを特徴とする請求項3に記載の誘導結合プラズマ処理システム。
【請求項10】
ファラデーシールドデバイス(160)の直径は、基板(120)の直径の80%より大きく、導電性部材(204)の半径は、基板の半径の10%以下であり、プラズマ処理プロセスにおいて、高周波数電力がマッチングネットワークA(106)を介して高周波数コイル(108)に結合される場合、ファラデーシールドデバイス(160)は、電気リードピン(211)および電気リード線(210)によって接地されてもよく、フローティングしてもよいため、プラズマによるチャンバーの内壁、特に誘電体窓(110)への侵食を低減でき、プロセス終了後の洗浄時間を短縮でき、前記フローティングするとは、ファラデーシールドデバイス(160)が接地されておらず、高周波数にも接続されていないことである、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の誘導結合プラズマ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファラデーシールドシステムの技術分野に関し、特に誘導結合プラズマ(ICP)処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、Pt、Ru、Ir、NiFeおよびAuなどの不揮発性材料は、主にICPによってドライエッチングされている。ICPは通常、プラズマ処理チャンバーの外側に配置され、誘電体窓に隣接するコイルによって生成され、チャンバー内のプロセスガスが点火されてプラズマを形成する。しかしながら、プラズマコイルの異なる部分の間の電圧がプラズマに容量結合されることは避けられず、ある程度望ましくもない。このような結合は点火および安定化を促進するが、容量結合された部品は、プラズマシース全体に局所的に増強された電圧を誘導する可能性があり、結果として、プラズマからのイオンの放出が加速され、誘電体窓に局所的に影響を及ぼし、局所的なスパッタリング損傷を引き起こす可能性がある。その他の場合、容量結合は局所的な堆積を引き起こす可能性があり、スパッタされた粒子は、コイルの真下の領域に凝集する可能性がある。チップが処理する間、スパッタリングによって誘電体窓の表面コーティングが損傷され、粒子が脱落して製造されたチップに落下し、欠陥が発生する可能性がある。このような粒子を除去するためのチップレス洗浄においては、不均一な洗浄になることがあり、洗浄は主にコイルの真下で行われ、コイルから遠く離れた部分はわずかにしか洗浄されない。その結果、窓の洗浄が不均一になり、汚染物質が生成されてチップに欠陥が生じる可能性がある。不揮発性材料のドライエッチングプロセスにおいて、反応生成物の蒸気圧は低く、真空ポンプによって反応生成物をポンプして排出することは困難である。その結果、反応生成物は誘電体窓や他のプラズマ処理チャンバーの内壁に堆積する。粒子汚染が発生するだけでなく、プロセスは時間の経過とともにドリフトし、プロセスの再現性が低下する。このため、プラズマ処理チャンバーを洗浄する必要がある。しかしながら、実際の使用において、洗浄はプロセスの中断につながり、プラズマ処理装置の生産効率を低下させてしまう。
【0003】
近年、第三世代メモリ、すなわち磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)の継続的な発展および集積度の向上に伴い、金属ゲート材料(MoやTaなど)およびhigh-kゲート誘電体材料(A1、HfO、ZrOなど)など新しい不揮発性材料のドライエッチングの需要が増え続けている。不揮発性材料のドライエッチングにおいて発生する側壁堆積および粒子汚染を解決するとともに、プラズマ処理チャンバーでの洗浄プロセスの効率を向上させることは非常に必要である。
【0004】
コイルの容量結合部分がより均一となるように制御するため、静電シールド部材を使用できる。プラズマ処理チャンバーにおいて、ファラデーシールドが使用されると、プラズマによるチャンバー材料の侵食を低減できるが、一部のプラズマは、ファラデーシールドユニット間の隙間を通って誘電体窓を汚染できる。ファラデーシールドを高周波コイルと誘電体窓の間に配置すれば、高周波電界によって誘発されるイオンによるチャンバーの壁への侵食を減らすことができる。このようなシールドは、接地またはフローティングにすることができる。ファラデーシールドが接地される場合、容量結合が減少するために高周波電界強度が低下し、プラズマ放電を引き起こすことが非常に困難になる。また、プラズマがフローティング設計である場合、プラズマの励起は過度に妨げられないが、プラズマによるチャンバーへの侵食を防ぐにはあまり効果的ではない。なお、ファラデーデバイスは高周波数コイルと誘電体窓の間に配置されているため、高周波コイルおよびファラデーデバイスの取り付けや絶縁が非常に複雑になり、その後のメンテナンスはさらに困難になる。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、従来技術における問題点に鑑みてなされ、局所的なスパッタリング損傷、窓洗浄の不均一、後のメンテナンスが困難で、プラズマ処理装置の生産効率を低下させることを解消可能なICP処理システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係るICP処理システムは、プラズマ反応チャンバーと、励起高周波数電源と、マッチングネットワークAと、高周波数コイルと、誘電体窓と、バイアス高周波数電源と、マッチングネットワークBと、電極と、基板と、ガス源と、ガス入口と、圧力制御弁と、真空ポンプと、3路スイッチと、を含み、
前記励起高周波数電源は、前記マッチングネットワークAによって調整された後、さらに前記3路スイッチを介して前記誘電体窓の上方に配置される前記高周波数コイルに電力を供給し、
プラズマは、誘導結合を介して前記プラズマ反応チャンバー内において生成され、
前記バイアス高周波数電源は、前記マッチングネットワークBを介して前記電極に電力を供給し、
前記基板は、前記電極上に配置され、
前記高周波数コイルは、2つ以上のサブコイルを含み、高周波数コイルは、1つの高周波数電源を有し、
前記ガス源は、前記ガス入口によって前記プラズマ反応チャンバーに接続され、
前記圧力制御弁および前記真空ポンプは、前記プラズマ反応チャンバーを1mtorrから100mtorrに維持し、前記プラズマ反応チャンバー内の過剰なガスおよび反応副生成物を除去する。
【0007】
さらに、前記励起高周波数電源および前記バイアス高周波数電源は、いずれも特定の周波数に設定され、前記特定の周波数は、400KHz、2MHz、13.56MHz、27MHz、60MHzおよび2.54GHzのうちの1つまたは複数の組み合わせである。
【0008】
さらに、前記誘電体窓の底部には、酸化イットリウムコーティング層がスプレーコーティングされており、前記酸化イットリウムコーティング層の厚さは、50μm以上であり、前記酸化イットリウムコーティング上には、ファラデーシールドデバイスがスプレーコーティングされており、前記スプレーコーティングされた厚さは、50μm以上であり、前記ファラデーシールドデバイスによりチャンバーが汚染されるのを防ぎ、前記誘電体窓および前記ファラデーシールドデバイスがエッチングプロセスによって損傷されるのを防ぐため、前記酸化イットリウムコーティング層のスプレーコーティング範囲は、前記ファラデーシールドデバイスの最大直径よりも大きく、前記誘電体窓は、酸化アルミニウムを焼結することによって作製され、前記誘電体窓の底部には、電気リードピンが焼結またはろう付けされ、前記電気リードピンには、電気リード線が接続され、前記電気リード線を介して前記3路スイッチに接続されている。
【0009】
さらに、前記ファラデーシールドデバイスの材料は、炭化ケイ素または酸化亜鉛である。
【0010】
さらに、前記電気リードピンおよび前記誘電体窓が一体に焼結される場合、前記電気リードピンの材料は、高い導電率を有する銅、銀、金またはパラジウムであり、前記電気リードピンおよび前記誘電体窓が一体にろう付けされる場合、前記電気リードピンの材料はコバールである。
【0011】
さらに、プラズマ処理プロセスにおいて、
まず、基板をプラズマ反応チャンバー内に配置し、ガス源からプラズマ反応チャンバーへプラズマ処理プロセス反応ガスを導入すること、
続いて、圧力制御弁および真空ポンプによって、プラズマ反応チャンバーを1mtorrから100mtorrに維持すること、
続いて、3路スイッチのオン位置を切り替え、励起高周波数電源は、マッチングネットワークAによって調整されて、誘電体窓の上方に位置する高周波数コイルに電力を供給すること、
続いて、誘導結合によりプラズマ反応チャンバー内において、プラズマが生成され、基板に対してプラズマ処理を行うこと、
続いて、プラズマ処理プロセスが完了した後、励起高周波数電源からの高周波数電力の供給を停止させ、ガス源からのプラズマ処理プロセス反応ガスの供給を停止させること、
を含み、
洗浄プロセスが必要である場合、
基板をプラズマ反応チャンバー内に配置し、プラズマ反応チャンバーに洗浄プロセス反応ガスを導入すること、
続いて、圧力制御バルブおよび真空ポンプによって、プラズマ反応チャンバーを1mtorrから100mtorrに維持すること、
続いて、3路スイッチのオン位置を切り替え、励起高周波数電源は、マッチングネットワークAによって調整されて、誘電体窓と高周波数コイルとの間に配置されたファラデーシールドデバイスに電力を供給すること、
続いて、高周波数電力は、ファラデーシールドデバイスに結合され、プラズマ反応チャンバーおよび誘電体窓について洗浄を行うこと、
続いて、洗浄プロセスが完了した後、励起高周波電源からの高周波電力の供給を停止させ、ガス源からの洗浄プロセス反応ガスの供給を停止させること、
を含む。
【0012】
さらに、前記洗浄プロセスが必要である場合の誘導結合プラズマ処理システムにおける具体的な動作フローは、
まず、3路スイッチを切り替えることにより、励起高周波数電源は、マッチングネットワークAによって調整され、電気リード線および電気リードピンを介してファラデーシールドデバイスに電力を供給すること、
続いて、ガス源は、ガス入口によってプラズマ反応チャンバーに接続され、プラズマ反応チャンバーに洗浄プロセス反応ガスを導入すること、
続いて、圧力制御弁および真空ポンプによって、プラズマ反応チャンバーを1mtorrから100mtorrに維持し、プラズマ反応チャンバー内の過剰なガスおよび反応副生成物を除去すること、
を含む。
【0013】
さらに、前記ファラデーシールドデバイスは、1組の同じ形状の花弁形状部材によって構成され、隣接する2つの花弁形状部材の間の隙間は、同じ形状およびサイズを有し、前記花弁形状部材は、垂直軸を中心に周りを回転しながら対称分布され、垂直軸に近い前記花弁形状部材の端部は、導電性部材に接続され、前記導電性部材は、同じラジアンおよびサイズを有し、互いに分離され、絶縁されている2つの扇形導電性部材によって形成され、前記導電性部材は、電気リードピンにスプレーコーティングされており、2つの前記扇形導電性部材は、電気リードピンおよび電気リード線によって高周波数マッチングネットワークAに並列に接続され、励高周波数電源との接続を実現する。
【0014】
さらに、前記ファラデーシールドデバイスは、1組の同じ形状のブレード形状部材によって構成され、隣接する2つのブレード形状部材の間の隙間は、同じ形状およびサイズを有し、前記ブレード形状部材は、垂直軸を中心に周りを回転しながら対称分布され、垂直軸に近い前記ブレード形状部材の端部は、導電性部材に接続され、前記導電性部材は、同じラジアンおよびサイズを有し、互いに分離され、絶縁されている2つの扇形導電性部材によって形成され、前記導電性部材は、電気リードピンにスプレーコーティングされており、2つの前記扇形導電性部材は、電気リードピンおよび電気リード線によって高周波数マッチングネットワークAに並列に接続され、励高周波数電源との接続を実現する。
【0015】
さらに、ファラデーシールドデバイスの直径は、基板の直径の80%より大きく、導電性部材の半径は、基板の半径の10%以下であり、プラズマ処理プロセスにおいて、高周波数電力がマッチングネットワークAを介して高周波数コイルに結合される場合、ファラデーシールドデバイスは、電気リードピンおよび電気リード線によって接地されてもよく、フローティングしてもよいため、プラズマによるチャンバーの内壁、特に誘電体窓への侵食を低減でき、プロセス終了後の洗浄時間を短縮でき、前記フローティングするとは、ファラデーシールドデバイスが接地されておらず、高周波数にも接続されていないことである。
【発明の効果】
【0016】
上述の技術的解決手段によれば、先行技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を奏する。
1.本発明に係るシステムでは、スイッチを使用して、高周波数コイルとファラデーシールドデバイスとの間の高周波数電力との接続を切り替える。高周波数電源がマッチングネットワークによって高周波数コイルに接続される場合、高周波数電力が高周波数コイルに結合されて、プラズマ処理プロセスを実行する。また、高周波電源がマッチングネットワークによってファラデーシールドデバイスに接続される場合、高周波電力がファラデーシールドデバイスに結合されて、誘電体窓およびプラズマ処理チャンバーの内壁の洗浄プロセスを実行する。
【0017】
2.ファラデーシステムと誘電体窓が同じ部品であるため、高周波コイルの取り付けおよびメンテナンスが容易になり、プラズマ処理チャンバーの内壁、特に誘電体窓が効率的に洗浄される。
【0018】
3.異なるプラズマ処理プロセスおよび/または洗浄プロセスの要件に基づいて、同じプラズマ処理プロセスまたは洗浄プロセスにおいて、マッチングデバイスを介した後、切り替え可能なスイッチを使用することにより高周波数電源を、高周波数コイルとファラデーシールドデバイスとの間で自由に切り替えることができため、プラズマ処理プロセスまたは洗浄プロセスの要件を満たせる。
【0019】
4.洗浄プロセスにおいて、マッチングデバイスを介した後、まずは切り替え可能なスイッチによって高周波数電源をコイルに接続させ、プラズマの点火が安定した後、さらにスイッチを使用して高周波数電源を、マッチングデバイスを介してファラデーシールドデバイスに接続させてから洗浄プロセスを実行する。
【0020】
5.構造設計がシンプルで、ファラデーシールドデバイスと誘電体窓が同じ部品になっているため、製造が比較的に簡単で、後からの取り付けやメンテナンスが簡単になり、省スペース化を実現するとともに、プラズマ処理チャンバーの内壁、特に誘電体窓を効率的に洗浄できる。
【0021】
一体型の導電性リングと比較して、ラジアンおよびサイズが同じであり、互いに分離され、絶縁されている2つの扇形導電性部材によって導電性部材が形成されるため、導電性部材における電流の渦電流が低減され、高周波電力のファラデーシールドデバイスへの結合が向上され、ファラデーシールドデバイスによるプラズマ処理チャンバーの内壁、特に誘電体窓およびスプレーヘッダーの洗浄効率が向上される。
【0022】
ファラデーシールドデバイスは、電気リードピンおよび電気リード線によって接地されてもよく、フローティングして接地も高周波数への接続もしなくてよいため、プラズマによるチャンバーの内壁、特に誘電体窓への侵食を低減でき、プロセス終了後の洗浄時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るICP処理システムの構造を示す図である。
図2】本発明に係るICP処理システムの洗浄プロセスのフローチャートである。
図3】本発明に係るICP処理システムにおけるファラデーと高周波数との間の結合を示す図である。
図4】本発明に係るICP処理システムにおけるファラデースプレー構造を示す図である。
図5】本発明に係るICP処理システムにおける花弁形状ファラデー構造を示す図である。
図6】本発明に係るICP処理システムにおけるブレード形状構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る技術的解決手段について詳細に説明する。ファラデーシールドデバイス160については、以下に示すような2つの具体的な実施形態を提供するが、2つの構造に加えて、本発明はさらに、三角形、四辺形、弓形、三日月形などのシート構成要素によっても構成されうる。
【0025】
<実施形態1>
図1に示すように、ICP処理システムは、プラズマ反応チャンバー102と、励起高周波数電源104と、マッチングネットワークA106と、高周波数コイル108と、誘電体窓110と、バイアス高周波数電源114と、マッチングネットワークB116と、電極118と、基板120と、ガス源130と、ガス入口140と、圧力制御弁142と、真空ポンプ144と、3路スイッチ150と、を含む。励起高周波数電源104は、マッチングネットワークA106によって調整された後、さらに3路スイッチ150を介して誘電体窓110の上方に配置される高周波数コイル108に電力を供給する。プラズマ112は、誘導結合を介してプラズマ反応チャンバー102内において生成される。バイアス高周波数電源114は、マッチングネットワークB116を介して電極118に電力を供給する。基板120は、電極118上に配置される。高周波数コイル108は、2つ以上のサブコイルを含む。高周波数コイル108は、1つの高周波数電源を有する。ガス源130は、ガス入口140によってプラズマ反応チャンバー102に接続されている。圧力制御弁142および真空ポンプ144は、プラズマ反応チャンバー102を1mtorrから100mtorrに維持し、プラズマ反応チャンバー102内の過剰なガスおよび反応副生成物を除去する。励起高周波数電源104およびバイアス高周波数電源114は、いずれも特定の周波数に設定される。特定の周波数は、400KHz、2MHz、13.56MHz、27MHz、60MHzおよび2.54GHzのうちの1つまたは複数の組み合わせである。
【0026】
図3および図4に示すように、誘電体窓110の底部には、酸化イットリウムコーティング層がスプレーコーティングされている。酸化イットリウムコーティング層の厚さは、50μm以上である。また、酸化イットリウムコーティング上には、ファラデーシールドデバイス160がスプレーコーティングされている。スプレーコーティングされた厚さは、50μm以上である。ファラデーシールドデバイス160によりチャンバーが汚染されるのを防ぎ、誘電体窓110およびファラデーシールドデバイス160がエッチングプロセスによって損傷されるのを防ぐため、酸化イットリウムコーティング層のスプレーコーティング範囲は、ファラデーシールドデバイス160の最大直径よりも大きい。誘電体窓110は、酸化アルミニウムを焼結することによって作製される。誘電体窓110の底部には、電気リードピン211が焼結またはろう付けされている。電気リードピン211には、電気リード線210が接続され、電気リード線210を介して3路スイッチ150に接続されている。ファラデーシールドデバイス160の材料は、炭化ケイ素または酸化亜鉛である。電気リードピン211および誘電体窓110が一体に焼結される場合、電気リードピン211の材料は、高い導電率を有する銅、銀、金またはパラジウムである。電気リードピン211および誘電体窓110が一体にろう付けされる場合、電気リードピン211の材料はコバールである。
【0027】
図2に示すように、プラズマ処理プロセスにおいて、まず、基板120をプラズマ反応チャンバー102内に配置し、ガス源130からプラズマ反応チャンバー102へプラズマ処理プロセス反応ガスを導入する。続いて、圧力制御弁142および真空ポンプ144によって、プラズマ反応チャンバー102を1mtorrから100mtorrに維持する。続いて、3路スイッチ150のオン位置を切り替え、励起高周波数電源104は、マッチングネットワークA106によって調整(整合)されて、誘電体窓110の上方に位置する高周波数コイル108に電力を供給する。続いて、誘導結合によりプラズマ反応チャンバー内において、プラズマ112が生成され、基板120に対してプラズマ処理を行う。続いて、プラズマ処理プロセスが完了した後、励起高周波数電源104からの高周波数電力の供給を停止させ、ガス源130からのプラズマ処理プロセス反応ガスの供給を停止させる。続いて、洗浄プロセスが必要である場合、基板120をプラズマ反応チャンバー102内に配置し、プラズマ反応チャンバー102に洗浄プロセス反応ガスを導入する。圧力制御バルブ142および真空ポンプ144によって、プラズマ反応チャンバー102を1mtorrから100mtorrに維持する。続いて、3路スイッチ150のオン位置を切り替え、励起高周波数電源104は、マッチングネットワークA106によって調整されて、誘電体窓110と高周波数コイル108との間に配置されたファラデーシールドデバイス160に電力を供給する。高周波数電力は、ファラデーシールドデバイス160に結合され、プラズマ反応チャンバーおよび誘電体窓について洗浄を行う。洗浄プロセスが完了した後、励起高周波電源104からの高周波電力の供給を停止させ、ガス源130からの洗浄プロセス反応ガスの供給を停止させる。洗浄プロセスが必要である場合のICP処理システムにおける具体的な動作フローは次のとおりである。まず、3路スイッチ150を切り替えることにより、励起高周波数電源104は、マッチングネットワークA106によって調整され、電気リード線210および電気リードピン211を介してファラデーシールドデバイス160に電力を供給する。続いて、ガス源130は、ガス入口140によってプラズマ反応チャンバー102に接続され、プラズマ反応チャンバー102に洗浄プロセス反応ガスを導入する。続いて、圧力制御弁142および真空ポンプ144によって、プラズマ反応チャンバー102を1mtorrから100mtorrに維持し、プラズマ反応チャンバー102内の過剰なガスおよび反応副生成物を除去する。
【0028】
図5に示すように、ファラデーシールドデバイス160は、1組の同じ形状の花弁形状部材212によって構成され、隣接する2つの花弁形状部材212の間の隙間は、同じ形状およびサイズを有する。花弁形状部材212は、垂直軸を中心に周りを回転しながら対称分布されている。垂直軸に近い花弁形状部材212の端部は、導電性部材204に接続されている。導電性部材204は、同じラジアンおよびサイズを有し、互いに分離され、絶縁されている2つの扇形導電性部材によって形成される。導電性部材204は、電気リードピン211にスプレーコーティングされている。2つの扇形導電性部材は、電気リードピン211および電気リード線210によって高周波数マッチングネットワークA106に並列に接続され、励高周波数電源104との接続を実現する。
【0029】
ファラデーシールドデバイス160の直径は、基板120の直径の80%より大きい。導電性部材204の半径は、基板の半径の10%以下である。プラズマ処理プロセスにおいて、高周波数電力がマッチングネットワークA106を介して高周波数コイル108に結合される場合、ファラデーシールドデバイス160は、電気リードピン211および電気リード線210によって接地されてもよく、フローティングしてもよいため、プラズマによるチャンバーの内壁、特に誘電体窓110への侵食を低減でき、プロセス終了後の洗浄時間を短縮できる。フローティングするとは、ファラデーシールドデバイス160が接地されておらず、高周波数にも接続されていないことである。
【0030】
<実施形態2>
図1に示すように、ICP処理システムは、プラズマ反応チャンバー102と、励起高周波数電源104と、マッチングネットワークA106と、高周波数コイル108と、誘電体窓110と、バイアス高周波数電源114と、マッチングネットワークB116と、電極118と、基板120と、ガス源130と、ガス入口140と、圧力制御弁142と、真空ポンプ144と、3路スイッチ150と、を含む。励起高周波数電源104は、マッチングネットワークA106によって調整された後、さらに3路スイッチ150を介して誘電体窓110の上方に配置される高周波数コイル108に電力を供給する。プラズマ112は、誘導結合を介してプラズマ反応チャンバー102内において生成される。バイアス高周波数電源114は、マッチングネットワークB116を介して電極118に電力を供給する。基板120は、電極118上に配置される。高周波数コイル108は、2つ以上のサブコイルを含む。高周波数コイル108は、1つの高周波数電源を有する。ガス源130は、ガス入口140によってプラズマ反応チャンバー102に接続されている。圧力制御弁142および真空ポンプ144は、プラズマ反応チャンバー102を1mtorrから100mtorrに維持し、プラズマ反応チャンバー102内の過剰なガスおよび反応副生成物を除去する。励起高周波数電源104およびバイアス高周波数電源114は、いずれも特定の周波数に設定される。特定の周波数は、400KHz、2MHz、13.56MHz、27MHz、60MHzおよび2.54GHzのうちの1つまたは複数の組み合わせである。
【0031】
図3および図4に示すように、誘電体窓110の底部には、酸化イットリウムコーティング層がスプレーコーティングされている。酸化イットリウムコーティング層の厚さは、50μm以上である。また、酸化イットリウムコーティング上には、ファラデーシールドデバイス160がスプレーコーティングされている。スプレーコーティングされた厚さは、50μm以上である。ファラデーシールドデバイス160によりチャンバーが汚染されるのを防ぎ、誘電体窓110およびファラデーシールドデバイス160がエッチングプロセスによって損傷されるのを防ぐため、酸化イットリウムコーティング層のスプレーコーティング範囲は、ファラデーシールドデバイス160の最大直径よりも大きい。誘電体窓110は、酸化アルミニウムを焼結することによって作製される。誘電体窓110の底部には、電気リードピン211が焼結またはろう付けされている。電気リードピン211には、電気リード線210が接続され、電気リード線210を介して3路スイッチ150に接続されている。ファラデーシールドデバイス160の材料は、炭化ケイ素または酸化亜鉛である。電気リードピン211および誘電体窓110が一体に焼結される場合、電気リードピン211の材料は、高い導電率を有する銅、銀、金またはパラジウムである。電気リードピン211および誘電体窓110が一体にろう付けされる場合、電気リードピン211の材料はコバールである。
【0032】
図2に示すように、プラズマ処理プロセスにおいて、まず、基板120をプラズマ反応チャンバー102内に配置し、ガス源130からプラズマ反応チャンバー102へプラズマ処理プロセス反応ガスを導入する。続いて、圧力制御弁142および真空ポンプ144によって、プラズマ反応チャンバー102を1mtorrから100mtorrに維持する。続いて、3路スイッチ150のオン位置を切り替え、励起高周波数電源104は、マッチングネットワークA106によって調整(整合)されて、誘電体窓110の上方に位置する高周波数コイル108に電力を供給する。続いて、誘導結合によりプラズマ反応チャンバー内において、プラズマ112が生成され、基板120に対してプラズマ処理を行う。続いて、プラズマ処理プロセスが完了した後、励起高周波数電源104からの高周波数電力の供給を停止させ、ガス源130からのプラズマ処理プロセス反応ガスの供給を停止させる。続いて、洗浄プロセスが必要である場合、基板120をプラズマ反応チャンバー102内に配置し、プラズマ反応チャンバー102に洗浄プロセス反応ガスを導入する。圧力制御バルブ142および真空ポンプ144によって、プラズマ反応チャンバー102を1mtorrから100mtorrに維持する。続いて、3路スイッチ150のオン位置を切り替え、励起高周波数電源104は、マッチングネットワークA106によって調整されて、誘電体窓110と高周波数コイル108との間に配置されたファラデーシールドデバイス160に電力を供給する。高周波数電力は、ファラデーシールドデバイス160に結合され、プラズマ反応チャンバーおよび誘電体窓について洗浄を行う。洗浄プロセスが完了した後、励起高周波電源104からの高周波電力の供給を停止させ、ガス源130からの洗浄プロセス反応ガスの供給を停止させる。洗浄プロセスが必要である場合のICP処理システムにおける具体的な動作フローは次のとおりである。まず、3路スイッチ150を切り替えることにより、励起高周波数電源104は、マッチングネットワークA106によって調整され、電気リード線210および電気リードピン211を介してファラデーシールドデバイス160に電力を供給する。続いて、ガス源130は、ガス入口140によってプラズマ反応チャンバー102に接続され、プラズマ反応チャンバー102に洗浄プロセス反応ガスを導入する。続いて、圧力制御弁142および真空ポンプ144によって、プラズマ反応チャンバー102を1mtorrから100mtorrに維持し、プラズマ反応チャンバー102内の過剰なガスおよび反応副生成物を除去する。
【0033】
図6に示すように、ファラデーシールドデバイス160は、1組の同じ形状のブレード形状部材202によって構成され、隣接する2つのブレード形状部材202の間の隙間は、同じ形状およびサイズを有する。ブレード形状部材202は、垂直軸を中心に周りを回転しながら対称分布されている。垂直軸に近いブレード形状部材202の端部は、導電性部材204に接続されている。導電性部材204は、同じラジアンおよびサイズを有し、互いに分離され、絶縁されている2つの扇形導電性部材によって形成される。導電性部材204は、電気リードピン211にスプレーコーティングされている。2つの扇形導電性部材は、電気リードピン211および電気リード線210によって高周波数マッチングネットワークA106に並列に接続され、励高周波数電源104との接続を実現する。
【0034】
ファラデーシールドデバイス160の直径は、基板120の直径の80%より大きい。導電性部材204の半径は、基板の半径の10%以下である。プラズマ処理プロセスにおいて、高周波数電力がマッチングネットワークA106を介して高周波数コイル108に結合される場合、ファラデーシールドデバイス160は、電気リードピン211および電気リード線210によって接地されてもよく、フローティングしてもよいため、プラズマによるチャンバーの内壁、特に誘電体窓110への侵食を低減でき、プロセス終了後の洗浄時間を短縮できる。フローティングするとは、ファラデーシールドデバイス160が接地されておらず、高周波数にも接続されていないことである。
【符号の説明】
【0035】
102 プラズマ反応チャンバー、
104 励起高周波数電源、
106 マッチングネットワークA、
108 高周波数コイル、
110 誘電体窓、
114 バイアス高周波数電源、
116 マッチングネットワークB、
118 電極、
120 基板、
130 ガス源、
140 ガス入口、
142 圧力制御弁、
144 真空ポンプ、
150 3路スイッチ、
160 ファラデーシールドデバイス、
202 ブレードシート形状部品、
204 導電性部材、
210 電気リード線、
211 電気リードピン、
212 花弁形状部品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】