(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-30
(54)【発明の名称】優れたシーリング特性を備えたエチレンコポリマー及びフィルム
(51)【国際特許分類】
C08L 23/08 20060101AFI20220922BHJP
C08F 210/02 20060101ALI20220922BHJP
C08F 255/02 20060101ALI20220922BHJP
C08F 4/76 20060101ALI20220922BHJP
C08F 4/6592 20060101ALI20220922BHJP
C08F 4/654 20060101ALI20220922BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
C08L23/08
C08F210/02
C08F255/02
C08F4/76
C08F4/6592
C08F4/654
C08J5/18 CES
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506080
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 IB2020056903
(87)【国際公開番号】W WO2021019370
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505382548
【氏名又は名称】ノバ ケミカルズ(インターナショナル)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コナガンティ、ヴィノッド
(72)【発明者】
【氏名】カシリ、セピデー
(72)【発明者】
【氏名】ゴヤール、シヴェンドラ
(72)【発明者】
【氏名】クレチェック、モニカ
(72)【発明者】
【氏名】シブタン、ファズル
(72)【発明者】
【氏名】エブラヒミ、マルジアー
【テーマコード(参考)】
4F071
4J002
4J015
4J026
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4F071AA18
4F071AA81
4F071AA82
4F071AA88
4F071AA89
4F071AF13Y
4F071AF15Y
4F071AF16Y
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4F071AF59Y
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4F071BB09
4F071BC01
4F071BC12
4J002BB05W
4J002BB05X
4J002BB05Y
4J002GG02
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4J026DB02
4J026DB17
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4J026FA03
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4J026GA10
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4J100AA16Q
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4J100DA14
4J100DA19
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4J100FA10
4J100FA19
4J100JA58
4J128AA02
4J128AB01
4J128AC01
4J128AC05
4J128AD08
4J128AD11
4J128AD13
4J128BA00B
4J128BA02A
4J128BA03A
4J128BB00B
4J128BB02A
4J128BC05A
4J128BC12A
4J128BC15A
4J128BC24A
4J128EA02
4J128EB02
4J128EB07
4J128EC02
4J128ED01
4J128ED04
4J128ED09
4J128EF02
4J128GA01
4J128GA05
4J128GA06
4J128GA07
4J128GA18
(57)【要約】
エチレンコポリマー組成物は、0.855~0.913g/cm
3の密度、1.7~2.3の分子量分布M
w/M
n、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI
2を有する第1のエチレンコポリマーと、0.875~0.936g/cm
3の密度、2.3~6.0の分子量分布M
w/M
n、及び0.3~100g/10分のメルトインデックスI
2を有する第2のエチレンコポリマーと、任意選択で第3のエチレンコポリマーとを含み、第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーよりも、炭素原子1000個あたりの短鎖分岐が多く、第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度以上である。エチレンコポリマー組成物は、0.865~0.913g/cm
3の密度、0.5~10g/10分のメルトインデックスI
2、及び、CTREF分析において4重量パーセントを超える積分面積を有する90℃~105℃で溶出する画分、並びに少なくとも0.0015百万分率(ppm)のハフニウムを有する。エチレンコポリマー組成物から作製されたインフレーションフィルムは、(約2ミルのフィルム厚さで)少なくとも45℃のホットタックウィンドウ(HTW)と、(約2ミルのフィルム厚さで)95℃未満のシール開始温度(SIT)とを有する。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンコポリマー組成物であって、
(i)0.855~0.913g/cm
3の密度、1.7~2.3の分子量分布M
w/M
n、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI
2を有する、20~80重量パーセントの第1のエチレンコポリマーと、
(ii)0.875~0.936g/cm
3の密度、2.3~6.0の分子量分布M
w/M
n、及び0.3~100g/10分のメルトインデックスI
2を有する、80~20重量パーセントの第2のエチレンコポリマーと、
(iii)0~40重量パーセントの第3のエチレンコポリマーと
を含み、
前記第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、前記第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多く、
前記第2のエチレンコポリマーの密度は、前記第1のエチレンコポリマーの密度以上であり、
前記エチレンコポリマー組成物は、0.865~0.913g/cm
3の密度、0.5~10g/10分のメルトインデックスI
2、及び、CTREF分析において4重量パーセントを超える積分面積を有する90℃~105℃で溶出する画分を有し、
前記エチレンコポリマー組成物は、少なくとも0.0015百万分率(ppm)のハフニウムを有し、
前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量パーセントは、前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量を、(i)前記第1のエチレンコポリマー、(ii)前記第2のエチレンコポリマー、及び(iii)前記第3のエチレンコポリマーの合計の重量で除して100%を乗じたものとして定義される、
前記エチレンコポリマー組成物。
【請求項2】
2.2~5.0の分子量分布を有する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項3】
メルトフロー比I
21/I
2が20~50である、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項4】
前記第1のエチレンコポリマーが、炭素原子1000個あたり10~50個の短鎖分岐(SCB1)を有する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項5】
前記第2のエチレンコポリマーが、炭素原子1000個あたり3~25個の短鎖分岐(SCB2)を有する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項6】
前記第1のエチレンコポリマーが、30~55重量パーセントで存在する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項7】
前記第2のエチレンコポリマーが、70~45重量パーセントで存在する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項8】
前記第1のエチレンコポリマーが30~55重量パーセントで存在し、前記第2のエチレンコポリマーが70~45重量パーセントで存在し、前記第3のエチレンコポリマーが0重量パーセントで存在する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項9】
50~75重量パーセントの組成分布幅指数CDBI
50を有する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項10】
無次元の長鎖分岐係数LCBF≧0.001を有する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項11】
少なくとも3モルパーセントの1つ以上のアルファ-オレフィンを有する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項12】
3~10モルパーセントの1つ以上のアルファ-オレフィンを有する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項13】
3~8モルパーセントの1つ以上のアルファ-オレフィンを有する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項14】
前記1つ以上のアルファ-オレフィンが、1-ヘキセン、1-オクテン及びそれらの混合物を含む群から選択される、請求項11、12又は13に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項15】
前記1つ以上のアルファ-オレフィンが、1-オクテンである、請求項11、12又は13に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項16】
前記第1のエチレンコポリマーが、シングルサイト触媒で作製されている、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項17】
前記第2のエチレンコポリマーが、チーグラー・ナッタ触媒系で作製されている、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項18】
前記第3のエチレンコポリマーが、チーグラー・ナッタ触媒系で作製されている、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項19】
前記第3のエチレンコポリマーが、シングルサイト触媒で作製されている、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項20】
前記第1のエチレンコポリマーが、式(I):
【化1】
(式中、Gは、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ又は鉛から選択される14族元素であり;R
1は、水素原子、C
1-20ヒドロカルビルラジカル、C
1-20アルコキシラジカル、又はC
6-10アリールオキシドラジカルであり;R
2及びR
3は、水素原子、C
1-20ヒドロカルビルラジカル、C
1-20アルコキシラジカル又はC
6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;R
4及びR
5は、水素原子、非置換C
1-20ヒドロカルビルラジカル、置換C
1-20ヒドロカルビルラジカル、C
1-20アルコキシラジカル又はC
6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;Qは独立して、活性化可能な脱離基配位子である。)
を有するメタロセン触媒を含むシングルサイト触媒系で作製されている、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項21】
前記第1のエチレンコポリマーが、少なくとも75重量パーセントの組成分布幅指数CDBI
50を有する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項22】
前記第2のエチレンコポリマーが、75重量パーセント未満の組成分布幅指数CDBI
50を有する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項23】
前記第1のエチレンコポリマーが、均一に分岐したエチレンコポリマーである、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項24】
前記第2のエチレンコポリマーが、不均一に分岐したエチレンコポリマーである、請求項1記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項25】
前記第2のエチレンコポリマーが、2.5~5.0のM
w/M
nを有する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項26】
0.050百万分率(ppm)~2.5ppmのハフニウムを有する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項27】
0.50ppm~14.0百万分率(ppm)のチタンを有する、請求項26に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項28】
前記第3のエチレンコポリマーが、5~30重量パーセントで存在する、請求項1に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項29】
前記第3のエチレンコポリマーが、0.865~0.945g/cm
3の密度、2.0~6.0の分子量分布M
w/M
n、及び0.3~200g/10分のメルトインデックスI
2を有する、請求項1又は28に記載のエチレンコポリマー組成物。
【請求項30】
エチレンコポリマー組成物を含むフィルム層であって、前記エチレンコポリマー組成物は、
(i)0.855~0.913g/cm
3の密度、1.7~2.3の分子量分布M
w/M
n、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI
2を有する、20~80重量パーセントの第1のエチレンコポリマーと、
(ii)0.875~0.936g/cm
3の密度、2.3~6.0の分子量分布M
w/M
n、及び0.3~100g/10分のメルトインデックスI
2を有する、80~20重量パーセントの第2のエチレンコポリマーと、
(iii)0~40重量パーセントの第3のエチレンコポリマーと
を含み、
前記第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、前記第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多く、
前記第2のエチレンコポリマーの密度は、前記第1のエチレンコポリマーの密度以上であり、
前記エチレンコポリマー組成物は、0.865~0.913g/cm
3の密度、0.5~10g/10分のメルトインデックスI
2、及び、CTREF分析において4重量パーセントを超える積分面積を有する90℃~105℃で溶出する画分を有し、
前記エチレンコポリマー組成物は、少なくとも0.0015百万分率(ppm)のハフニウムを有し、
前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量パーセントは、前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量を、(i)前記第1のエチレンコポリマー、(ii)前記第2のエチレンコポリマー、及び(iii)前記第3のエチレンコポリマーの合計の重量で除して100%を乗じたものとして定義される、
前記フィルム層。
【請求項31】
前記フィルム層が、インフレーションフィルムである、請求項30に記載のフィルム層。
【請求項32】
約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも45℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する、請求項31に記載のフィルム層。
【請求項33】
約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、95℃未満のシール開始温度(SIT)を有する、請求項31に記載のフィルム層。
【請求項34】
約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、88℃未満のホットタック開始温度(HTOT)を有する、請求項31に記載のフィルム層。
【請求項35】
約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも800g/ミルのダート衝撃強度を有する、請求項31に記載のフィルム層。
【請求項36】
約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも100J/mmの遅い穿刺抵抗値を有する、請求項31に記載のフィルム層。
【請求項37】
約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、6%未満のヘイズ値を有する、請求項31に記載のフィルム層。
【請求項38】
前記フィルム層が、キャストフィルムである、請求項30に記載のフィルム層。
【請求項39】
エチレンコポリマー組成物を含む少なくとも1つのフィルム層を含む多層フィルム構造体であって、前記エチレンコポリマー組成物は
(i)0.855~0.913g/cm
3の密度、1.7~2.3の分子量分布M
w/M
n、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI
2を有する、20~80重量パーセントの第1のエチレンコポリマーと、
(ii)0.875~0.936g/cm
3の密度、2.3~6.0の分子量分布M
w/M
n、及び0.3~100g/10分のメルトインデックスI
2を有する、80~20重量パーセントの第2のエチレンコポリマーと、
(iii)0~40重量パーセントの第3のエチレンコポリマーと
を含み、
前記第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、前記第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多く、
前記第2のエチレンコポリマーの密度は、前記第1のエチレンコポリマーの密度以上であり、
前記エチレンコポリマー組成物は、0.865~0.913g/cm
3の密度、0.5~10g/10分のメルトインデックスI
2、及び、CTREF分析において4重量パーセントを超える積分面積を有する90℃~105℃で溶出する画分を有し、
前記エチレンコポリマー組成物は、少なくとも0.0015百万分率(ppm)のハフニウムを有し、
前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量パーセントは、前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量を、(i)前記第1のエチレンコポリマー、(ii)前記第2のエチレンコポリマー、及び(iii)前記第3のエチレンコポリマーの合計の重量で除して100%を乗じたものとして定義される、
前記多層フィルム構造体。
【請求項40】
前記少なくとも1つのフィルム層が、インフレーションフィルムである、請求項39に記載の多層フィルム構造体。
【請求項41】
前記少なくとも1つのフィルム層が、約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも45℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する、請求項40に記載の多層フィルム構造体。
【請求項42】
前記少なくとも1つのフィルム層が、約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、95℃未満のシール開始温度(SIT)を有する、請求項40に記載の多層フィルム構造体。
【請求項43】
前記少なくとも1つのフィルム層が、約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、88℃未満のホットタック開始温度(HTOT)を有する、請求項40に記載の多層フィルム構造体。
【請求項44】
前記少なくとも1つのフィルム層が、約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも800g/ミルのダート衝撃強度を有する、請求項40に記載の多層フィルム構造体。
【請求項45】
前記少なくとも1つのフィルム層が、約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも100J/mmの遅い穿刺抵抗値を有する、請求項40に記載の多層フィルム構造体。
【請求項46】
前記少なくとも1つのフィルム層が、約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、6%未満のヘイズ値を有する、請求項40に記載の多層フィルム構造体。
【請求項47】
前記フィルム構造体が、少なくとも3つのフィルム層を有する、請求項39に記載の多層フィルム構造体。
【請求項48】
前記フィルム構造体が、少なくとも5つのフィルム層を有する、請求項39に記載の多層フィルム構造体。
【請求項49】
前記フィルム構造体が、少なくとも7つのフィルム層を有する、請求項39に記載の多層フィルム構造体。
【請求項50】
前記フィルム構造体が、少なくとも9つのフィルム層を有する、請求項39に記載の多層フィルム構造体。
【請求項51】
前記フィルム構造体が、9層を有する、請求項39に記載の多層フィルム構造体。
【請求項52】
前記少なくとも1つのフィルム層が、前記多層フィルム構造体中の少なくとも1つのシーラント層である、請求項39に記載の多層フィルム構造体。
【請求項53】
前記少なくとも1つのフィルム層が、キャストフィルムである、請求項39に記載の多層フィルム構造体。
【請求項54】
約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、90℃未満のシール開始温度(SIT)を有する、請求項53に記載の多層フィルム構造体。
【請求項55】
シーラント層を含む多層フィルム構造体であって、前記シーラント層はエチレンコポリマー組成物を含み、前記エチレンコポリマー組成物は、
(i)0.855~0.913g/cm
3の密度、1.7~2.3の分子量分布M
w/M
n、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI
2を有する、20~80重量パーセントの第1のエチレンコポリマーと、
(ii)0.875~0.936g/cm
3の密度、2.3~6.0の分子量分布M
w/M
n、及び0.3~100g/10分のメルトインデックスI
2を有する、80~20重量パーセントの第2のエチレンコポリマーと、
(iii)0~40重量パーセントの第3のエチレンコポリマーと
を含み、
前記第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、前記第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多く、
前記第2のエチレンコポリマーの密度は、前記第1のエチレンコポリマーの密度以上であり、
前記エチレンコポリマー組成物は、0.865~0.913g/cm
3の密度、0.5~10g/10分のメルトインデックスI
2、及び、CTREF分析において4重量パーセントを超える積分面積を有する90℃~105℃で溶出する画分を有し、
前記エチレンコポリマー組成物は、少なくとも0.0015百万分率(ppm)のハフニウムを有し、
前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量パーセントは、前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量を、(i)前記第1のエチレンコポリマー、(ii)前記第2のエチレンコポリマー、及び(iii)前記第3のエチレンコポリマーの合計の重量で除して100%を乗じたものとして定義される、
前記多層フィルム構造体。
【請求項56】
前記フィルム構造体が、少なくとも3つのフィルム層を有する、請求項55に記載の多層フィルム構造体。
【請求項57】
前記フィルム構造体が、少なくとも5つのフィルム層を有する、請求項55に記載の多層フィルム構造体。
【請求項58】
前記フィルム構造体が、少なくとも7つのフィルム層を有する、請求項55に記載の多層フィルム構造体。
【請求項59】
前記フィルム構造体が、少なくとも9つのフィルム層を有する、請求項55に記載の多層フィルム構造体。
【請求項60】
前記フィルム構造体が、9層を有する、請求項55に記載の多層フィルム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フィルムに吹き込まれたときに(インフレーションフィルムにされたときに)優れたシール性を有する、0.865~0.913g/cm3の密度を有するエチレンコポリマー組成物を提供する。エチレンコポリマー組成物は、シングルサイト重合触媒で作製され得る第1のエチレンコポリマー、マルチサイト重合触媒で作製され得る第2のエチレンコポリマーを含む、及び任意選択で第3のエチレンコポリマーを含む。
【背景技術】
【0002】
多成分ポリエチレン組成物は、当技術分野で周知である。多成分ポリエチレン組成物にアクセスするための1つの方法は、1つ以上の重合反応器において2つ以上の別個の重合触媒を使用することである。例えば、少なくとも2つの別個の溶液重合反応器におけるシングルサイト型重合触媒及びチーグラー・ナッタ型重合触媒の使用が知られている。このような反応器は、直列に構成してもよいし、並列に構成してもよい。
【0003】
溶液重合プロセスは、一般に、作製されるエチレンホモポリマー又はコポリマー生成物の融点を超える温度で実施される。典型的な溶液重合プロセスでは、触媒成分、溶媒、モノマー、及び水素が、圧力下で1つ又は複数の反応器に供給される。
【0004】
液相エチレン重合又はエチレン共重合の場合、反応器温度は約80℃~約300℃の範囲とすることができ、圧力は一般に約3MPag~約45MPagの範囲とすることができる。生成したエチレンホモポリマー又はコポリマーは、反応器条件下で溶媒に溶解したままである。反応器内での溶媒の滞留時間は比較的短く、例えば、約1秒~約20分である。溶液プロセスは、多種多様なエチレンポリマーの生成を可能にする幅広いプロセス条件下で操作することができる。反応器の後、触媒失活剤を添加することにより、重合反応を停止してさらなる重合を防止し、酸補足剤を添加することにより、任意選択で不動態化する。不活性化(及び任意選択で不動態化)されると、ポリマー溶液はポリマー回収操作(脱揮システム)に送られ、そこでエチレンホモポリマー又はコポリマーが、プロセス溶媒、未反応の残留エチレン、及び未反応の任意のα-オレフィンから分離される。
【0005】
生成方法にかかわらず、フィルム用途における多成分ポリエチレン組成物の性能を改善する必要性が残っている。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態は、エチレンコポリマー組成物であって、
(i)0.855~0.913g/cm3の密度、1.8~2.3の分子量分布Mw/Mn、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI2を有する、20~80重量パーセントの第1のエチレンコポリマーと、
(ii)0.875~0.936g/cm3の密度、2.3~6.0の分子量分布Mw/Mn、及び0.3~100g/10分のメルトインデックスI2を有する、80~20重量パーセントの第2のエチレンコポリマーと、
(iii)0~40重量パーセントの第3のエチレンコポリマーと
を含み、
前記第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、前記第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多く、
前記第2のエチレンコポリマーの密度は、前記第1のエチレンコポリマーの密度以上であり、
前記エチレンコポリマー組成物は、0.865~0.913g/cm3の密度、0.5~10g/10分のメルトインデックスI2、及び、CTREF分析において4重量パーセントを超える積分面積を有する90℃~105℃で溶出する画分を有し、
前記エチレンコポリマー組成物は、少なくとも約0.0015百万分率(ppm)のハフニウムを有し、
前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量パーセントは、前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量を、(i)前記第1のエチレンコポリマー、(ii)前記第2のエチレンコポリマー、及び(iii)前記第3のエチレンコポリマーの合計の重量で除して100%を乗じたものとして定義される、
前記エチレンコポリマー組成物。
【0007】
一実施形態は、エチレンコポリマー組成物を含むフィルム層であって、前記エチレンコポリマー組成物は、
(i)0.855~0.913g/cm3の密度、1.8~2.3の分子量分布Mw/Mn、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI2を有する、20~80重量パーセントの第1のエチレンコポリマーと、
(ii)0.875~0.936g/cm3の密度、2.3~6.0の分子量分布Mw/Mn、及び0.3~100g/10分のメルトインデックスI2を有する、80~20重量パーセントの第2のエチレンコポリマーと、
(iii)0~40重量パーセントの第3のエチレンコポリマーと
を含み、
前記第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、前記第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多く、
前記第2のエチレンコポリマーの密度は、前記第1のエチレンコポリマーの密度以上であり、
前記エチレンコポリマー組成物は、0.865~0.913g/cm3の密度、0.5~10g/10分のメルトインデックスI2、及び、CTREF分析において4重量パーセントを超える積分面積を有する90℃~105℃で溶出する画分を有し、
前記エチレンコポリマー組成物は、少なくとも約0.0015百万分率(ppm)のハフニウムを有し、
前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量パーセントは、前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量を、(i)前記第1のエチレンコポリマー、(ii)前記第2のエチレンコポリマー、及び(iii)前記第3のエチレンコポリマーの合計の重量で除して100%を乗じたものとして定義される、
前記フィルム層。
【0008】
一実施形態では、フィルム層は、インフレーションフィルム層である。
【0009】
一実施形態では、インフレーションフィルム層は、約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも45℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。
【0010】
一実施形態では、インフレーションフィルム層は、約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、95℃未満のシール開始温度(SIT)を有する。
【0011】
一実施形態では、インフレーションフィルム層は、約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、88℃未満のホットタック開始温度(HTOT)を有する。
【0012】
一実施形態では、インフレーションフィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも800g/ミルのダート衝撃強度を有する。
【0013】
一実施形態では、インフレーションフィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも100J/mmの遅い穿刺抵抗値(slow puncture resistance value)を有する。
【0014】
一実施形態では、インフレーションフィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、6%未満のヘイズ値を有する。
【0015】
一実施形態では、フィルム層は、キャストフィルム層である。
【0016】
一実施形態では、多層キャストフィルム構造体は、約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、90℃未満のシール開始温度(SIT)を有する。
【0017】
一実施形態は、エチレンコポリマー組成物を含む少なくとも1つのフィルム層を含む多層フィルム構造体であって、前記エチレンコポリマー組成物は
(i)0.855~0.913g/cm3の密度、1.8~2.3の分子量分布Mw/Mn、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI2を有する、20~80重量パーセントの第1のエチレンコポリマーと、
(ii)0.875~0.936g/cm3の密度、2.3~6.0の分子量分布Mw/Mn、及び0.3~100g/10分のメルトインデックスI2を有する、80~20重量パーセントの第2のエチレンコポリマーと、
(iii)0~40重量パーセントの第3のエチレンコポリマーと
を含み、
前記第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、前記第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多く、
前記第2のエチレンコポリマーの密度は、前記第1のエチレンコポリマーの密度以上であり、
前記エチレンコポリマー組成物は、0.865~0.913g/cm3の密度、0.5~10g/10分のメルトインデックスI2、及び、CTREF分析において4重量パーセントを超える積分面積を有する90℃~105℃で溶出する画分を有し、
前記エチレンコポリマー組成物は、少なくとも約0.0015百万分率(ppm)のハフニウムを有し、
前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量パーセントは、前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量を、(i)前記第1のエチレンコポリマー、(ii)前記第2のエチレンコポリマー、及び(iii)前記第3のエチレンコポリマーの合計の重量で除して100%を乗じたものとして定義される、前記多層フィルム構造体である。
【0018】
一実施形態は、シーラント層を含む多層フィルム構造体であって、前記シーラント層はエチレンコポリマー組成物を含み、前記エチレンコポリマー組成物は、
(i)0.855~0.913g/cm3の密度、1.8~2.3の分子量分布Mw/Mn、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI2を有する、20~80重量パーセントの第1のエチレンコポリマーと、
(ii)0.875~0.936g/cm3の密度、2.3~6.0の分子量分布Mw/Mn、及び0.3~100g/10分のメルトインデックスI2を有する、80~20重量パーセントの第2のエチレンコポリマーと、
(iii)0~40重量パーセントの第3のエチレンコポリマーと
を含み、
前記第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、前記第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多く、
前記第2のエチレンコポリマーの密度は、前記第1のエチレンコポリマーの密度以上であり、
前記エチレンコポリマー組成物は、0.865~0.913g/cm3の密度、0.5~10g/10分のメルトインデックスI2、及び、CTREF分析において4重量パーセントを超える積分面積を有する90℃~105℃で溶出する画分を有し、
前記エチレンコポリマー組成物は、少なくとも約0.0015百万分率(ppm)のハフニウムを有し、
前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量パーセントは、前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量を、(i)前記第1のエチレンコポリマー、(ii)前記第2のエチレンコポリマー、及び(iii)前記第3のエチレンコポリマーの合計の重量で除して100%を乗じたものとして定義される、前記多層フィルム構造体である。
【0019】
一実施形態では、多層フィルム構造体は、少なくとも3つのフィルム層を有する。
一実施形態では、多層フィルム構造体は、少なくとも5つのフィルム層を有する。
一実施形態では、多層フィルム構造体は、少なくとも7つのフィルム層を有する。
一実施形態では、多層フィルム構造体は、少なくとも9つのフィルム層を有する。
一実施形態では、多層フィルム構造体は、9つのフィルム層を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本開示に従って作製されたエチレンコポリマー組成物の屈折率検出を用いたゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を示す。
【0021】
【
図2】
図2A-
図2Fは、本開示に従って作製されたエチレンコポリマー組成物について得られたフーリエ変換赤外(GPC-FTIR)検出を用いたゲル浸透クロマトグラフを示す。1000個の骨格炭素あたりの短鎖分岐の数(y軸)として示されるコモノマー含量は、コポリマーの分子量(x軸)に対して与えられる。上向きに傾斜した破線(左から右へ)は、FTIRによって決定された短鎖分岐(炭素原子1,000個あたりの短鎖分岐)である。
図2A~
図2Fからわかるように、発明例1~6の場合、短鎖分岐の数は、分子量が大きくなると最初に増加し、次いで分子量がさらに大きくなると再び減少するため、コモノマーの取り込みは、ピーク又は極大値で「部分的に逆転(partially reversed)」していると言われている。
【0022】
【
図3】
図3は、本開示に従って作製されたエチレンコポリマー組成物について得られたCTREFプロファイルを示す。
図3において、T
P
CTREFは、CTREFクロマトグラムにおける第1のエチレンコポリマーのピーク溶出温度である。
【0023】
【
図4】
図4Aは、本開示に従って作製されたエチレンコポリマー組成物を用いて作製された単層インフレーションフィルムのホットタックプロファイルを示し、
図4Bは、比較ポリエチレンを用いて作製された単層インフレーションフィルムのホットタックプロファイルを示す。
【0024】
【
図5】
図5は、本開示に従って作製されたエチレンコポリマー組成物を用いて作製された共押出キャストフィルムのホットタックプロファイル、及び比較ポリエチレンのホットタックプロファイルを示す。
【0025】
【
図6】
図6は、多層インフレーションフィルムのホットタックプロファイルを示しており、多層インフレーションフィルム中のシーラント層は、本開示に従って作製されたエチレンコポリマー組成物又は比較ポリエチレンを用いて作製された。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<用語の定義>
例又は別段の指示がある場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、押出条件などに関するすべての数字又は表現は、すべての場合において「約」という用語によって変更されるものとして理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、様々な実施形態が取得することを望む所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字を考慮して、通常の丸め技法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。具体例に記載されている数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値もそれぞれの試験測定で見出された標準偏差から必然的に生じる特定のエラーを本質的に含む。
【0027】
本明細書に記載される任意の数値範囲は、そこに包含されるすべての部分範囲を含むことを意図していることを理解されたい。例えば、「1~10」の範囲は、記載されている最小値1と記載されている最大値10とを含むそれらの間のすべての部分範囲を含むことを意図しており、すなわち、最小値が1以上で、最大値が10以下である。開示されている数値範囲は連続しているため、最小値と最大値との間のすべての値が含まれる。特に明記されていない限り、本出願で指定されている様々な数値範囲は近似値である。
【0028】
本明細書で表されるすべての組成範囲は、実際には合計で100パーセント(体積パーセント又は重量パーセント)に制限され、100パーセントを超えない。組成物中に複数の成分が存在することができる場合、当業者が容易に理解するように、実際に使用される成分の量が最大100パーセントに適合するという理解を前提とすると、各成分の最大量の合計は、100パーセントを超えることができる。
【0029】
本開示のより完全な理解を形成するために、以下の用語が定義され、添付の図面及び全体を通して様々な実施形態の説明とともに使用されるべきである。
【0030】
本明細書で使用される場合、「モノマー」という用語は、化学的に反応し、それ自体又は他のモノマーと化学的に結合してポリマーを形成し得る小分子を指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「α-オレフィン」又は「アルファ-オレフィン」という用語は、鎖の一端に二重結合を有する3~20個の炭素原子を含む直鎖状炭化水素鎖を有するモノマーを説明するために使用され、同等の用語は「直鎖状α-オレフィン」である。 本明細書で使用される場合、「ポリエチレン」又は「エチレンポリマー」という用語は、エチレンポリマーを作製するために使用される特定の触媒又は特定のプロセスにかかわらず、エチレンモノマー及び任意選択で1つ以上の追加のモノマーから生成された高分子を指す。ポリエチレンの分野では、1つ以上の追加のモノマーは「コモノマー」と呼ばれ、しばしばα-オレフィンを含む。「ホモポリマー」という用語は、1種類のモノマーのみを含むポリマーを指す。「エチレンホモポリマー」は、重合性モノマーとしてエチレンのみを用いて作製される。「コポリマー」という用語は、2種以上のモノマーを含むポリマーを指す。「エチレンコポリマー」は、エチレン及び1種以上の他の重合性モノマーを用いて作製される。一般的なポリエチレンには、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、極低密度ポリエチレン(ULDPE)、プラストマー、及びエラストマーが含まれる。ポリエチレンという用語には、エチレンに加えて、2つ以上のコモノマーを含み得るポリエチレンターポリマーが含まれる。ポリエチレンという用語には、上記のポリエチレンの組合せ又はブレンドも含まれる。
【0032】
「不均一に分岐したポリエチレン」という用語は、不均一触媒系を用いて生成されるエチレンポリマーグループのポリマーのサブセットを指し、その非限定的な例には、チーグラー・ナッタ又はクロム触媒が含まれ、これらは両方とも当技術分野で周知である。
【0033】
「均一に分岐したポリエチレン」という用語は、シングルサイト触媒を用いて生成されるエチレンポリマーグループのポリマーのサブセットを指し、その非限定的な例には、メタロセン触媒、ホスフィンイミン触媒、及び拘束幾何形状の触媒が含まれ、これらはすべて当技術分野で周知である。
【0034】
典型的には、均一に分岐したポリエチレンは、分子量分布が狭く、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)のMw/Mn値が約2.8未満、特に約2.3未満であるが、例外が生じる場合があり、MwとMnは、それぞれ重量と数の平均分子量を指す。対照的に、不均一に分岐したエチレンポリマーのMw/Mnは、典型的には、均一なポリエチレンのMw/Mnよりも大きい。一般に、均一に分岐したエチレンポリマーは、コモノマー分布も狭く、すなわち、分子量分布内の各高分子は、同様のコモノマー含量を有している。多くの場合、組成分布幅指数「CDBI」は、コモノマーがエチレンポリマー内でどのように分布しているかを定量化し、異なる触媒又はプロセスで生成されたエチレンポリマーを区別するために使用される。「CDBI50」は、組成がコモノマー組成の中央値の50重量パーセント(wt%)以内であるエチレンポリマーのパーセントとして定義されており、この定義は、Exxon Chemical Patents Inc.に譲渡されたWO93/03093に記載されている定義と一致している。エチレンコポリマーのCDBI50は、TREF曲線(Temperature Rising Elution Fractionation)から計算することができ、TREF法は、Wild他,J.Polym.Sci.,Part B,Polym.Phys.,20(3)巻,441-455頁に記載されている。典型的には、均一に分岐したエチレンポリマーのCDBI50は、約70%超又は約75%超である。対照的に、α-オレフィンを含有した不均一に分岐したエチレンポリマーのCDBI50は、一般に、均一なエチレンポリマーのCDBI50よりも低い。例えば、不均一に分岐したエチレンポリマーのCDBI50は、約75%未満、又は約70%未満であり得る。
【0035】
当業者にはよく知られているように、均一に分岐したエチレンポリマーは、しばしば「直鎖状の均一なエチレンポリマー」と「実質的に直鎖状の均一なエチレンポリマー」にさらに細分される。これらの2つのサブグループは、長鎖分岐の量が異なる。より具体的には、直鎖状の均一なエチレンポリマーは、炭素原子1000個あたり約0.01未満の長鎖分岐を有し、一方、実質的に直鎖状のエチレンポリマーは、炭素原子1000個あたり約0.01~約3.0を超える長鎖分岐を有する。長鎖分岐は本質的に高分子であり、すなわち、長鎖分岐が結合している高分子と長さが類似している。以下、本開示において、「均一に分岐したポリエチレン」又は「均一に分岐したエチレンポリマー」という用語は、直鎖状の均一なエチレンポリマーと実質的に直鎖状の均一なエチレンポリマーの両方を指す。
【0036】
「熱可塑性」という用語は、加熱すると液体になり、圧力下で流動し、冷却すると固化するポリマーを指す。熱可塑性ポリマーには、エチレンポリマーだけでなく、プラスチック業界で使用される他のポリマーも含まれる。フィルム用途で一般的に使用される他のポリマーの非限定的な例には、バリア樹脂(EVOH)、タイ(tie)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミドなどが含まれる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「単層フィルム」という用語は、1つ以上の熱可塑性プラスチックの単層を含むフィルムを指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「多層フィルム」又は「多層フィルム構造体」という用語は、複数の熱可塑性層、又は任意選択で非熱可塑性層から構成されるフィルムを指す。非熱可塑性材料の非限定的な例には、金属(箔)又はセルロース(紙)製品が含まれる。多層フィルム(又はフィルム構造体)内の1層以上の熱可塑性層は、複数の熱可塑性プラスチックから構成されてもよい。
【0039】
本明細書で使用される場合、「タイ樹脂(tie resin)」という用語は、多層フィルム構造内の中間層又は「タイ層(tie layer)」に形成されたときに、化学組成が異なる隣接するフィルム層間の接着を促進する熱可塑性プラスチックを指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「シーラント層」という用語は、第2の基材に取り付けられて漏れ防止シールを形成することができる熱可塑性フィルムの層を指す。「シーラント層」は、多層フィルム構造体のスキン層又は最内層であってもよい。
【0041】
本明細書で使用される場合、「接着積層(adhesive lamination)」という用語及び「押出積層(extrusion lamination)」という用語は、2つ以上の基材又は材料のウェブが組み合わせて多層製品又はシートを形成する連続プロセスを記載しており、2つ以上のウェブは、それぞれ、接着剤又は溶融熱可塑性フィルムを用いて接合される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「押出コーティング」という用語は、溶融熱可塑性層が移動する固体ウェブ又は基材と組み合わされるか、又はその上に堆積される連続プロセスを記載している。基材の非限定的な例には、紙、板紙、箔、単層プラスチックフィルム、多層プラスチックフィルム又は布が含まれる。溶融熱可塑性層は、単層又は多層であってもよい。
【0043】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビルラジカル」又は「ヒドロカルビル基」という用語は、水素及び1つの水素が不足している炭素を含む、直鎖状又は環状の脂肪族、オレフィン、アセチレン及びアリール(芳香族)ラジカルを指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「アルキルラジカル」には、1つの水素ラジカルが不足している直鎖状、分枝状及び環状パラフィンラジカルが含まれ、非限定的な例には、メチル(-CH3)及びエチル(-CH2CH3)ラジカルが含まれる。「アルケニルラジカル」という用語は、1つの水素ラジカルが不足している少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む直鎖状、分枝状及び環状炭化水素を指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、「アリール」基という用語には、フェニル、ナフチル、ピリジル及び分子が芳香環構造を有する他のラジカルを含まれ、非限定的な例には、ナフチレン、フェナントレン及びアントラセンが含まれる。「アリールアルキル」基は、そこからペンダントしたアリール基を有するアルキル基であり、非限定的な例には、ベンジル、フェネチル及びトリルメチルが含まれる。「アルキルアリール」は、そこからペンダントした1つ以上のアルキル基を有するアリール基であり、非限定的な例には、トリル、キシリル、メシチル及びクミルが含まれる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」という句は、炭素及び炭素に結合することができる水素以外の任意の原子を含む。「ヘテロ原子含有基」は、ヘテロ原子を含み、同じ又は異なるヘテロ原子を1つ以上含み得る炭化水素ラジカルである。一実施形態では、ヘテロ原子含有基は、ホウ素、アルミニウム、シリコン、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素及び硫黄からなる群から選択される1~3個の原子を含むヒドロカルビル基である。ヘテロ原子含有基の非限定的な例には、イミン、アミン、オキシド、ホスフィン、エーテル、ケトン、オキソアゾリン複素環式化合物、オキサゾリン、チオエーテルなどのラジカルが含まれる。「複素環式」という用語は、ホウ素、アルミニウム、シリコン、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素及び硫黄からなる群から選択される1~3個の原子を含む炭素骨格を有する環系を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「非置換」という用語は、水素ラジカルが、非置換という用語に続く分子基に結合していることを意味する。「置換」という用語は、この用語に続く基が、基内の任意の位置で1つ以上の水素ラジカルを置き換えた1つ以上の部分(非水素ラジカル)を有することを意味する。部分の非限定的な例には、ハロゲンラジカル(F、Cl、Br)、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、シリル基、アミン基、ホスフィン基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、C1~C30アルキル基、C2~C30アルケニル基、及びそれらの組合せが含まれる。置換アルキル及びアリールの非限定的な例には、アシルラジカル、アルキルシリルラジカル、アルキルアミノラジカル、アルコキシラジカル、アリールオキシラジカル、アルキルチオラジカル、ジアルキルアミノラジカル、アルコキシカルボニルラジカル、アリールオキシカルボニルラジカル、カルボモイルラジカル、アルキル-及びジアルキル-カルバモイルラジカル、アシルオキシラジカル、アシルアミノラジカル、アリールアミノラジカル並びにそれらの組合せが含まれる。
【0048】
本開示において、エチレンコポリマー組成物は、密度d1を有する第1のエチレンコポリマーと、密度d2を有する第2のエチレンコポリマーと、任意選択で、密度d3を有する第3のエチレンコポリマーとを含み、第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度以上である。これらのエチレンコポリマー成分のそれぞれ、及びそれらがその一部であるエチレンコポリマー組成物について、以下にさらに説明する。
【0049】
<第1のエチレンコポリマー>
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、シングルサイト触媒で作製され、その非限定的な例には、ホスフィンイミン触媒、メタロセン触媒、及び拘束幾何形状の触媒が含まれ、これらはすべて当技術分野で周知である。
【0050】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、活性金属中心としてハフニウム(Hf)を有するシングルサイト触媒で作製されている。
【0051】
本開示の実施形態では、エチレンと共重合して第1のエチレンコポリマーを作製し得るアルファ-オレフィンは、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテン、並びにそれらの混合物を含む群から選択されてもよい。
【0052】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、均一に分岐したエチレンコポリマーである。
【0053】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、エチレン/1-オクテンコポリマーである。
【0054】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、メタロセン触媒で作製されている。
【0055】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、架橋メタロセン触媒で作製されている。
【0056】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、式(I)を有するメタロセン触媒で作製される。
【化1】
【0057】
式(I)中、Mは、チタン、ジルコニウム又はハフニウムから選択される4族金属であり;Gは、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ又は鉛から選択される14族元素であり;R1は、水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、又はC6-10アリールオキシドラジカルであり;R2及びR3は、水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;R4及びR5は、水素原子、非置換C1-20ヒドロカルビルラジカル、置換C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;Qは独立して、活性化可能な脱離基配位子である。
【0058】
一実施形態では、R4及びR5は、独立してアリール基である。
一実施形態では、R4及びR5は、独立してフェニル基又は置換フェニル基である。
一実施形態では、R4及びR5は、フェニル基である。
一実施形態では、R4及びR5は、独立して置換フェニル基である。
一実施形態では、R4及びR5は、置換フェニル基であり、フェニル基は置換シリル基で置換されている。
一実施形態では、R4及びR5は、置換フェニル基であり、フェニル基はトリアルキルシリル基で置換されている。
一実施形態では、R4及びR5は、置換フェニル基であり、フェニル基はパラ位にトリアルキルシリル基で置換されている。一実施形態では、R1及びR2は、置換フェニル基であり、フェニル基はパラ位にトリメチルシリル基で置換されている。一実施形態では、R1及びR2は、置換フェニル基であり、フェニル基はパラ位にトリエチルシリル基で置換されている。
一実施形態では、R4及びR5は、独立してアルキル基である。
一実施形態では、R4及びR5は、独立してアルケニル基である。
【0059】
一実施形態では、R1は、水素である。
一実施形態では、R1は、アルキル基である。
一実施形態では、R1は、アリール基である。
一実施形態では、R1は、アルケニル基である。
【0060】
一実施形態では、R2及びR3は、独立して、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。
一実施形態では、R2及びR3は、独立してアリール基である。
一実施形態では、R2及びR3は、独立してアルキル基である。
一実施形態では、R2及びR3は、独立して、1~20個の炭素原子を有するアルキル基である。
一実施形態では、R2及びR3は、独立してフェニル基又は置換フェニル基である。
一実施形態では、R2及びR3は、tert-ブチル基である。
一実施形態では、R2及びR3は、水素である。
【0061】
一実施形態では、Mは、ハフニウム(Hf)である。
【0062】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、式(I)を有するメタロセン触媒で作製される。
【化2】
【0063】
式(I)中、Gは、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ又は鉛から選択される14族元素であり;R1は、水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、又はC6-10アリールオキシドラジカルであり;R2及びR3は、水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;R4及びR5は、水素原子、非置換C1-20ヒドロカルビルラジカル、置換C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;Qは独立して、活性化可能な脱離基配位子である。
【0064】
本開示において、「活性化可能」という用語は、配位子Qがプロトノリシス反応を介して金属中心Mから切断されるか、又は適切な酸性又は求電子性触媒活性化合物(「共触媒」化合物としても知られる)によって金属中心Mから引き抜かれ得ることを意味する。それぞれ、その例を以下に記載する。活性化可能な配位子Qはまた、金属中心Mから切断又は引き抜かれる別の配位子に変換され得る(例えば、ハロゲン化物は、アルキル基に変換され得る)。単一の理論に拘束されることを望まないが、プロトノリシス又は引き抜き反応は、オレフィンを重合することができる活性な「カチオン性」金属中心を生成する。
【0065】
本開示の実施形態では、活性化可能な配位子Qは、下記からなる群から独立して選択される:水素原子;ハロゲン原子;C1~20ヒドロカルビルラジカル、C1~20アルコキシラジカル、及びC6-10アリール又はアリールオキシラジカル、ここで、ヒドロカルビル、アルコキシ、アリール、又はアリールオキシドラジカルのそれぞれは、非置換であるか、1つ以上のハロゲン又は他のグループでさらに置換され得る;C1-8アルキル;C1-8アルコキシ;C6-10アリール又はアリールオキシ;アミド又はホスフィドラジカルであるが、Qはシクロペンタジエニルではない。2つのQ配位子も互いに結合して、例えば、置換又は非置換のジエン配位子(例えば、1,3-ブタジエン);又は、アセテート又はアセトアミジネート基などの非局在化ヘテロ原子含有基を形成し得る。本開示の便利な実施形態では、各Qは、ハロゲン化物原子、C1~4アルキルラジカル及びベンジルラジカルからなる群から独立して選択される。特に適切な活性化可能な配位子Qは、ハロゲン化物(例えば、塩化物)又はヒドロカルビル(例えば、メチル、ベンジル)などのモノアニオン性である。
【0066】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンを作製するために使用されるシングルサイト触媒は、下記の分子式を有するジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドである:[(2,7-tBu2Flu)Ph2C(Cp)HfCl2]。
【0067】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンを作製するために使用されるシングルサイト触媒は、下記の分子式を有するジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ハフニウムジメチルである:[(2,7-tBu2Flu)Ph2C(Cp))HfMe2]。
【0068】
シングルサイト触媒分子自体に加えて、活性シングルサイト触媒系(system)は、以下の1つ以上をさらに含んでもよい:アルキルアルミノキサン共触媒及びイオン性活性剤。シングルサイト触媒系はまた、任意選択で、ヒンダードフェノールを含んでもよい。
【0069】
アルキルアルミノキサンの正確な構造は不明であるが、対象分野の専門家の間では、下記の一般式の繰り返し単位を含むオリゴマー種であることが一般的に同意されている:
(R)2AlO-(Al(R)-O)n-Al(R)2
(式中、R基は、1~20個の炭素原子を含む同じ又は異なる直鎖状、分岐状又は環状ヒドロカルビルラジカルであってもよく、nは、0~約50である)。アルキルアルミノキサンの非限定的な例は、メチルアルミノキサン(又はMAO)であり、各R基はメチルラジカルである。
【0070】
本開示の一実施形態では、アルキルアルミノキサンのRはメチルラジカルであり、mは10~40である。
【0071】
本開示の一実施形態では、共触媒は、変性メチルアルミノキサン(MMAO)である。
【0072】
アルキルアルミノキサンが、アルキル化剤及び活性剤の両方として二重の役割を果たすことができることは、当技術分野でよく知られている。したがって、アルキルアルミノキサン共触媒は、ハロゲンなどの活性化可能な配位子と組み合わせて使用されることがよくある。
【0073】
一般に、イオン性活性剤は、カチオンとかさ高いアニオンで構成されており、後者は実質的に非配位性である。イオン性活性剤の非限定的な例は、ホウ素原子に結合した4つの配位子を有する4つの配位であるホウ素イオン性活性剤である。ホウ素イオン性活性剤の非限定的な例には、以下に示す複数の式が含まれる:
[R5]+[B(R7)4]-
(式中、Bは、ホウ素原子を表し、R5は、芳香族ヒドロカルビル(例えば、トリフェニルメチルカチオン)であり、各R7は、下記から独立して選択される:非置換又はフッ素原子から選択される3~5個の置換基で置換されているフェニルラジカル、非置換又はフッ素原子で置換されているC1~4アルキル又はアルコキシラジカル、及び式-Si(R9)3のシリルラジカル、ここで、各R9は、水素原子及びC1-4アルキルラジカルから独立して選択される)、並びに
[(R8)tZH]+[B(R7)4]-
(式中、Bは、ホウ素原子であり、Hは、水素原子であり、Zは、窒素又はリン原子であり、tは、2又は3であり、R8は、C1~8のアルキルラジカル、非置換若しくは最大3つのC1-4アルキルラジカルで置換されたフェニルラジカルから選択されるか、又は1つのR8が窒素原子と共にアニリニウムラジカルを形成してもよく、R7は上記で定義されたとおりである)。
【0074】
両方の式において、R7の非限定的な例は、ペンタフルオロフェニルラジカルである。一般に、ホウ素イオン性活性剤は、テトラ(パーフルオロフェニル)ホウ素の塩として説明することができ、非限定的な例には、テトラ(パーフルオロフェニル)ホウ素とアニリニウム及びトリチル(又はトリフェニルメチリウム)とのアニリニウム、カルボニウム、オキソニウム、ホスホニウム及びスルホニウム塩が含まれる。イオン性活性剤の追加の非限定的な例には、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、N,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)n-ブチルホウ素、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、ジ-(イソプロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トロピリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トロピリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、及びベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレートが含まれる。容易に入手可能な市販のイオン性活性剤には、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、及びトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートが含まれる。
【0075】
ヒンダードフェノールの非限定的な例には、ブチル化フェノール酸化防止剤、ブチル化ヒドロキシトルエン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及びオクタデシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが含まれる。
【0076】
活性シングルサイト触媒系を生成するために、シングルサイト触媒、アルキルアルミノキサン、イオン性活性剤、及び任意選択でヒンダードフェノールの3つ又は4つの成分の量とモル比が最適化される。
【0077】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーを作製するために使用されるシングルサイト触媒は長鎖分岐を生成せず、及び/又は第1のエチレンコポリマーは測定可能な量の長鎖分岐を含まない。
【0078】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーを生成するために使用されるシングルサイト触媒は長鎖分岐を生成し、第1のエチレンコポリマーは長鎖分岐(以下「LCB」)を含む。LCBは、エチレンコポリマーのよく知られた構造現象であり、当業者には周知である。従来、LCB分析には下記の3つの方法が存在する:すなわち、核磁気共鳴分光法(NMR)(例えば、J.C.Randall著,J.Macromol.Sci.,Rev.,Macromol.Chem.Phys.,1989年,29巻,201頁参照);DRI、粘度計、低角レーザー光散乱検出器を備えた三重検出SEC(例えば、W.W.Yau及びD.R.Hill著,Int.J.Polym.Anal.Charact.,1996年,2巻,151頁参照);及び、レオロジー、(例えば、W.W.Graessley著,Acc.Chem.Res.,1977年,10巻,332-339頁参照)。本開示において、長鎖分岐は、本質的に高分子であり、すなわち、NMRスペクトル、三重検出器SEC実験又はレオロジー実験で見られるのに十分な長さである。
【0079】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、本明細書に開示されるLCBFによって特徴付けられる長鎖分岐を含む。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーのLCBFの上限は、約0.5、他の場合には約0.4、さらに他の場合には約0.3(無次元)であってもよい。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーのLCBFの下限は、約0.001、他の場合には約0.0015、さらに他の場合には約0.002(無次元)であってもよい。
【0080】
第1のエチレンコポリマーは、それを作製するために使用される触媒配合物の化学組成を反映する触媒残留物を含んでもよい。当業者は、触媒残留物が、典型的には、例えば、第1のエチレンコポリマー(又はエチレンコポリマー組成物;下記参照)において、金属の百万分率によって定量化されることを理解するであろう。ここで、存在する金属は、それを作製するために使用された触媒配合物中の金属に由来する。存在し得る金属残留物の非限定的な例には、4族金属、チタン、ジルコニウム及びハフニウムが含まれる。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の金属のppmの上限は、約3.0ppm、他の場合には約2.0ppm、さらに他の場合には約1.5ppmであってもよい。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の金属のppmの下限は、約0.03ppm、他の場合には約0.09ppm、さらに他の場合には約0.15ppmであってもよい。
【0081】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、0.855~0.926g/cm3の密度、1.7~2.3の分子量分布Mw/Mn、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI2を有している。
【0082】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、0.855~0.913g/cm3の密度、1.7~2.3の分子量分布Mw/Mn、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI2を有している。
【0083】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーの分子量分布Mw/Mnの上限は、約2.8、又は約2.5、又は約2.4、又は約2.3、又は約2.2であってもよい。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーの分子量分布Mw/Mnの下限は、約1.6、又は約1.7、又は約1.8、又は約1.9であってもよい。
【0084】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、分子量分布Mw/Mnが、2.3未満、又は2.3以下、又は2.1未満、又は2.1以下、又は2.0未満、又は2.0以下、又は約2.0未満である。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、分子量分布Mw/Mnが、約1.7~約2.3、又は約1.8~約2.3、又は約1.8~約2.2である。
【0085】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1~150個の短鎖分岐(SCB1)を有する。さらなる実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり3~100個の短鎖分岐(SCB1)、又は、炭素原子1000個あたり5~100個の短鎖分岐(SCB1)、又は、炭素原子1000個あたり5~75個の短鎖分岐(SCB1)、又は、炭素原子1000個あたり10~75個の短鎖分岐(SCB1)、又は、炭素原子1000個あたり5~50個の短鎖分岐(SCB1)、又は、炭素原子1000個あたり10~50個の短鎖分岐(SCB1)、又は、炭素原子1000個あたり15~75個の短鎖分岐(SCB1)を有する。さらに別の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり15~50個の短鎖分岐(SCB1)、又は、炭素原子1000個あたり20~75個の短鎖分岐(SCB1)、又は、炭素原子1000個あたり20~50個の短鎖分岐(SCB1)、又は、炭素原子1000個あたり5~40個の短鎖分岐(SCB1)、又は、炭素原子1000個あたり10~40個の短鎖分岐(SCB1)、又は、炭素原子1000個あたり15~40個の短鎖分岐(SCB1)、又は、炭素原子1000個あたり20~35個の短鎖分岐(SCB1)を有する。
【0086】
短鎖分岐(すなわち、1000個の骨格炭素原子あたりの短鎖分岐、SCB1)は、エチレンコポリマー中にアルファ-オレフィンコモノマーが存在することによる分岐であり、例えば、1-ブテンコモノマーの場合は2つの炭素原子、1-ヘキセンコモノマーの場合は4つの炭素原子、1-オクテンコモノマーの場合は6個の炭素原子などを有する。
【0087】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多い。
【0088】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、第3のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB3)よりも多い。
【0089】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)及び第3のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB3)のそれぞれよりも多い。
【0090】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーの密度d1の上限は、約0.941g/cm3、場合によっては約0.936g/cm3、他の場合には約0.931g/cm3、さらに他の場合には約0.926g/cm3、さらに他の場合には約0.921g/cm3、又は約0.918g/cm3、又は約0.913g/cm3、又は約0.912g/cm3、又は約0.910g/cm3であってもよい。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーの密度d1の下限は、約0.855g/cm3、場合によっては約0.865g/cm3、他の場合には約0.875g/cm3であってもよい。
【0091】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーの密度d1は、約0.855g/cm3~約0.941g/cm3、又は約0.855g/cm3~約0.936g/cm3、又は約0.855g/cm3~約0.931g/cm3、又は約0.855g/cm3~約0.926g/cm3、又は約0.855g/cm3~約0.921g/cm3、又は約0.855g/cm3~約0.914g/cm3、又は約0.855g/cm3~約0.913g/cm3、又は約0.855g/cm3~約0.912g/cm3、又は約0.855g/cm3~約0.910g/cm3、又は約0.855g/cm3~約0.906g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.941g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.936g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.931g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.926g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.921g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.914g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.913g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.912g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.910g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.906g/cm3、又は0.875g/cm3~約0.941g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.936g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.931g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.926g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.921g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.914g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.913g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.912g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.910g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.906g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.941g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.936g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.931g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.926g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.921g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.914g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.913g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.912g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.910g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.906g/cm3であってもよい。
【0092】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーの密度d1は、第2のエチレンコポリマーの密度d2以下である。
【0093】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーの密度d1は、第2のエチレンコポリマーの密度d2よりも小さい。
【0094】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーのCDBI50の上限は、約98重量%、他の場合には約95重量%、さらに他の場合には約90重量%であってもよい。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーのCDBI50の下限は、約70重量%、他の場合には約75重量%、さらに他の場合には約80重量%であってもよい。
【0095】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーI2
1のメルトインデックスは、約0.01dg/分~約100dg/分、又は約0.01dg/分~約75dg/分、又は約0.1dg/分~約100dg/分、又は約0.1dg/分~約70dg/分、又は約0.01dg/分~約50dg/分、又は約0.1dg/分~約50dg/分、又は約0.1dg/分~約25dg/分、又は約0.1dg/分~約20dg/分、又は約0.1dg/分~約15dg/分、又は約0.1~約10dg/分、又は約0.1~約5dg/分、又は約0.1~2.5dg/分、又は約5dg/分未満、又は約3dg/分未満、又は約1.0dg/分未満、又は約0.75dg/分未満であってもよい。
【0096】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、重量平均分子量Mwが、約50,000~約300,000、又は約50,000~約250,000、又は約60,000~約250,000、又は約70,000~約250,000、又は約75,000~約200,000、又は約75,000~約175,000、又は約70,000~約175,000、又は約75,000~約150,000である。
【0097】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、第2のエチレンコポリマーの重量平均分子量Mwよりも大きい重量平均分子量Mwを有する。
【0098】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物中の第1のエチレンコポリマーの重量パーセント(wt%)の上限(すなわち、第1、第2及び第3のエチレンコポリマーの総重量に基づく第1のエチレンコポリマーの重量パーセント)は、約80重量%、又は約75重量%、又は約70重量%、又は約65重量%、又は約60重量%、又は約55重量%、又は約50重量%、又は約45重量%、又は約40重量%であってもよい。本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物中の第1のエチレンコポリマーの重量%の下限は、約5重量%、又は約10重量%、又は約15重量%、又は約20重量%、又は約25重量%、又は約30重量%、又は他の場合には約35重量%であってもよい。
【0099】
<第2のエチレンコポリマー>
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、マルチサイト触媒系(system)で作製され、その非限定的な例には、チーグラー・ナッタ及びクロム触媒が含まれ、これらは両方とも当技術分野で周知である。
【0100】
本開示の実施形態では、エチレンと共重合して第2のエチレンコポリマーを作製し得るアルファ-オレフィンは、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテン、並びにそれらの混合物を含む群から選択されてもよい。
【0101】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、不均一に分岐したエチレンコポリマーである。
【0102】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、エチレン/1-オクテンコポリマーである。
【0103】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒系で作製されている。
【0104】
チーグラー・ナッタ触媒系(system)は、当業者によく知られている。チーグラー・ナッタ触媒は、インライン式チーグラー・ナッタ触媒系又はバッチ式チーグラー・ナッタ触媒系であってもよい。「インライン式チーグラー・ナッタ触媒系」という用語は、少量の活性チーグラー・ナッタ触媒系の連続合成と、この触媒を少なくとも1つの連続運転反応器に直ちに注入することを指し、ここで、触媒は、エチレンと1つ以上の任意選択のα-オレフィンを重合してエチレンポリマーを形成する。「バッチ式チーグラー・ナッタ触媒系」又は「バッチ式チーグラー・ナッタプロ触媒」という用語は、連続運転される溶液重合プロセスの外部にあるか、又はそれらから分離されている、1つ以上の混合容器内における、はるかに大量の触媒又はプロ触媒の合成を指す。調製されたバッチ触媒チーグラー・ナッタ触媒系、又はバッチ式チーグラー・ナッタプロ触媒は、触媒貯蔵タンクに移される。「プロ触媒」という用語は、不活性触媒系(エチレン重合に関して不活性)を指し、プロ触媒は、アルキルアルミニウム共触媒を添加することにより活性触媒に変換される。必要に応じて、プロ触媒は、貯蔵タンクから少なくとも1つの連続運転反応器にポンプで送られ、そこで、活性触媒は、エチレン及び1つ以上の任意選択のα-オレフィンを重合してエチレンコポリマーを形成する。プロ触媒は、反応器内で、反応器の外部で、又は反応器に向かう途中で、活性触媒に変換されてもよい。
【0105】
多種多様な化合物を使用して、活性チーグラー・ナッタ触媒系を合成できる。以下に、活性チーグラー・ナッタ触媒系を生成するために組み合わせることができる様々な化合物について説明する。当業者は、本開示における実施形態が、開示された特定の化合物に限定されないことを理解するであろう。
【0106】
活性チーグラー・ナッタ触媒系は、マグネシウム化合物、クロリド化合物、金属化合物、アルキルアルミニウム共触媒及びアルミニウムアルキルから形成され得る。当業者によって理解されるように、チーグラー・ナッタ触媒系は、追加の成分を含んでもよく、 追加の成分の非限定的な例は、電子供与体、例えばアミン又はエーテルである。
【0107】
活性なインライン式(又はバッチ式)チーグラー・ナッタ触媒系の非限定的な例は、以下のように調製することができる。第1のステップにおいて、マグネシウム化合物の溶液を、クロリド化合物の溶液と反応させて、溶液中に懸濁した塩化マグネシウム担体を形成する。マグネシウム化合物の非限定的な例には、Mg(R1)2が含まれ、式中、R1基は、1~10個の炭素原子を含み、同じ又は異なる、直鎖状、分枝状又は環状ヒドロカルビルラジカルであってもよい。クロリド化合物の非限定的な例には、R2Clが含まれ、式中、R2は、水素原子、又は1~10個の炭素原子を含む直鎖状、分岐状、又は環状ヒドロカルビルラジカルを表す。第1のステップでは、マグネシウム化合物の溶液に、アルミニウムアルキルが含まれていてもよい。アルミニウムアルキルの非限定的な例には、Al(R3)3が含まれ、式中、R3基は、1~10個の炭素原子を含み、同じ又は異なる、直鎖状、分枝状又は環状ヒドロカルビルラジカルであってもよい。第2のステップにおいて、金属化合物の溶液が塩化マグネシウムの溶液に添加され、金属化合物が塩化マグネシウム上に担持される。好適な金属化合物の非限定的な例には、M(X)n又はMO(X)nが含まれ、式中、Mは、周期表の4族~8族から選択される金属、又は4族~8族から選択される金属の混合物を表し、Oは、酸素を表し、Xは、クロリド又はブロミドを表し、nは、金属の酸化状態を満たす3~6の整数である。好適な金属化合物の追加の非限定的な例には、4族~8族の金属アルキル、金属アルコキシド(金属アルキルをアルコールと反応させることによって調製され得る)、並びにハライド、アルキル及びアルコキシド配位子の混合物を含む混合配位子金属化合物が含まれる。第3のステップにおいて、アルキルアルミニウム共触媒の溶液が、塩化マグネシウム上に担持された金属化合物に添加される。以下の式で表されるように、多種多様なアルキルアルミニウム共触媒が好適である:
Al(R4)p(OR9)q(X)r
(式中、R4基は、同じ又は異なる、1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であってもよく、OR9基は、同じ又は異なる、アルコキシ又はアリールオキシ基であってもよく、R9は、酸素に結合した1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Xは、クロリド又はブロミドであり、(p+q+r)=3、ただしpは0より大きい)。一般的に使用されるアルキルアルミニウム共触媒の非限定的な例には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド、ジメチルアルミニウムクロリド又はブロミド、ジエチルアルミニウムクロリド又はブロミド、ジブチルアルミニウムクロリド又はブロミド、及びエチルアルミニウムジクロリド又はジブロミドが含まれる。
【0108】
活性インライン式(又はバッチ式)チーグラー・ナッタ触媒系を合成するための上記の段落で説明したプロセスは、様々な溶媒中で実施することができ、溶媒の非限定的な例には、直鎖状若しくは分枝状C5~C12アルカン又はそれらの混合物が含まれる。
【0109】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、0.875~0.936g/cm3の密度、2.3~6.0の分子量分布Mw/Mn、及び0.3~100g/10分のメルトインデックスI2を有している。
【0110】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、分子量分布Mw/Mnが、2.3以上、又は2.3超、又は2.5以上、又は2.5超、又は2.7以上、又は2.7超、又は2.9以上、又は2.9超、又は3.0以上、又は3.0である。本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、分子量分布Mw/Mnが、2.3~6.0、又は2.3~5.5、又は2.3~5.0、又は2.3~4.5、又は2.3~4.0、又は2.3~3.5、又は2.3~3.0、又は2.5~5.0、又は2.5~4.5、又は2.5~4.0、又は2.5~3.5、又は2.7~5.0、又は2.7~4.5、又は2.7~4.0、又は2.7~3.5、又は2.9~5.0、又は2.9~4.5、又は2.9~4.0、又は2.9~3.5である。
【0111】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1~100個の短鎖分岐(SCB2)を有する。さらなる実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、炭素原子1000個あたり1~50個の短鎖分岐(SCB2)、又は、炭素原子1000個あたり1~30個の短鎖分岐(SCB2)、又は、炭素原子1000個あたり1~25個の短鎖分岐(SCB2)、又は、炭素原子1000個あたり3~50個の短鎖分岐(SCB2)、又は、炭素原子1000個あたり5~50個の短鎖分岐(SCB2)、又は、炭素原子1000個あたり3~30個の短鎖分岐(SCB2)、又は、炭素原子1000個あたり5~30個の短鎖分岐(SCB2)、又は、炭素原子1000個あたり3~25個の短鎖分岐(SCB2)、又は、炭素原子1000個あたり5~25個の短鎖分岐(SCB2)を有する。
【0112】
短鎖分岐(すなわち、1000個の骨格炭素原子あたりの短鎖分岐、SCB2)は、エチレンコポリマー中にアルファ-オレフィンコモノマーが存在することによる分岐であり、例えば、1-ブテンコモノマーの場合は2つの炭素原子、1-ヘキセンコモノマーの場合は4つの炭素原子、1-オクテンコモノマーの場合は6個の炭素原子などを有する。
【0113】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーの密度d2の上限は、約0.945gg/cm3、場合によっては約0.941g/cm3、他の場合には約0.936g/cm3であってもよい。本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーの密度d2の下限は、約0.865g/cm3、場合によっては約0.875g/cm3、他の場合には約0.885g/cm3であってもよい。
【0114】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーの密度d2は、約0.875g/cm3~約0.945g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.941g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.936g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.931g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.929g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.926g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.945g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.941g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.936g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.931g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.929g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.926g/cm3、又は約0.895g/cm3~約0.945g/cm3、又は約0.895g/cm3~約0.941g/cm3、又は約0.895g/cm3~約0.936g/cm3、又は約0.895g/cm3~約0.931g/cm3、又は約0.895g/cm3~約0.929g/cm3、又は約0.895g/cm3~約0.926g/cm3、又は約0.910g/cm3~約0.945g/cm3、又は約0.910g/cm3~約0.941g/cm3、又は約0.910g/cm3~約0.936g/cm3、又は約0.910g/cm3~約0.931g/cm3、又は約0.910g/cm3~約0.929g/cm3、又は約0.910g/cm3~約0.926g/cm3であってもよい。
【0115】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーの密度d2は、第1のエチレンコポリマーの密度d1以上である。
【0116】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーの密度d2は、第1のエチレンコポリマーの密度d1よりも大きい。
【0117】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、組成分布幅指数CDBI50が、75重量%未満又は70重量パーセント以下である。本開示のさらなる実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、CDBI50が、65重量%以下、又は60重量%以下、又は55重量%以下、又は50重量%以下、又は45重量%である。
【0118】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックス、I2
2は、約0.1dg/分~約1,000dg/分、又は約0.5dg/分~約500dg/分、又は約0.5dg/分~約100dg/分、又は約0.3dg/分~約100dg/分、又は約1.0dg/分~約500dg/分、又は約1.0dg/分~約75dg/分、又は約0.5dg/分~約75dg/分、又は約0.3dg/分~約75dg/分、又は約0.5dg/分~約50dg/分、又は約0.3dg/分~約50dg/分、又は約0.5dg/分~約30dg/分、又は約0.3dg/分~約30dg/分、又は約0.5dg/分~約25dg/分、又は約0.3dg/分~約25dg/分、又は約0.1dg/分~約25dg/分、又は約0.1dg/分~約15dg/分、又は約0.5dg/分~約15dg/分、又は約0.3dg/分~約15dg/分、又は約0.1dg/分~約10dg/分、又は約0.5dg/分~約10dg/分、又は約0.3dg/分~約10dg/分、又は約1.0dg/分~約30dg/分、又は約1.0dg/分~約25dg/分、又は約1.0dg/分~約15dg/分、又は約1.0dg/分~約10dg/分であってもよい。
【0119】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、重量平均分子量Mwが、約25,000~約250,000、又は約25,000~約200,000、又は約30,000~約150,000、又は約40,000~約150,000、又は約50,000~約130,000、又は約50,000~約110,000である。
【0120】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーの重量平均分子量は、第1のエチレンコポリマーの重量平均分子量よりも小さい。
【0121】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物中の第2のエチレンコポリマーの重量パーセント(wt%)の上限(すなわち、第1、第2及び第3のエチレンコポリマーの総重量に基づく第2のエチレンコポリマーの重量パーセント)は、約85重量%、又は約80重量%、又は約70重量%、又は約65重量%、他の場合には約60重量%であってもよい。本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物中の第2のエチレンコポリマーの重量%の下限は、約5重量%、又は約10重量%、又は約15重量%、又は約20重量%、又は約25重量%、又は約30重量%、又は約35重量%、又は約40重量%、又は約45重量%、又は他の場合には約50重量%であってもよい。
【0122】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、長鎖分岐が存在しないか、又は検出可能なレベルの長鎖分岐を有さない。
【0123】
<第3のエチレンコポリマー>
本開示の一実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、シングルサイト触媒で作製され、その非限定的な例には、ホスフィンイミン触媒、メタロセン触媒、及び拘束幾何形状の触媒が含まれ、これらはすべて当技術分野で周知である。
【0124】
本開示の一実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、マルチサイト触媒系(system)で作製され、その非限定的な例には、チーグラー・ナッタ及びクロム触媒が含まれ、これらは両方とも当技術分野で周知である。
【0125】
本開示の実施形態では、エチレンと共重合して第3のエチレンコポリマーを作製し得るアルファ-オレフィンは、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテン、並びにそれらの混合物を含む群から選択されてもよい。
【0126】
本開示の一実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、均一に分岐したエチレンコポリマーである。
【0127】
本開示の一実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、エチレン/1-オクテンコポリマーである。
【0128】
本開示の一実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、メタロセン触媒で作製されている。
【0129】
本開示の一実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒で作製されている。
【0130】
本開示の一実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、不均一に分岐したエチレンコポリマーである。
【0131】
本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、長鎖分岐が存在しないか、又は検出可能なレベルの長鎖分岐を有さない。
【0132】
本開示の一実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、長鎖分岐(以下「LCB」)を含む。LCBは、ポリエチレンのよく知られた構造現象であり、当業者には周知である。従来、LCB分析には下記の3つの方法が存在する:すなわち、核磁気共鳴分光法(NMR)(例えば、J.C.Randall著,J.Macromol.Sci.,Rev.,Macromol.Chem.Phys.,1989年,29巻,201頁参照);DRI、粘度計、低角レーザー光散乱検出器を備えた三重検出SEC(例えば、W.W.Yau及びD.R.Hill著,Int.J.Polym.Anal.Charact.,1996年,2巻,151頁参照);及び、レオロジー、(例えば、W.W.Graessley著,Acc.Chem.Res.,1977年,10巻,332-339頁参照)。本開示において、長鎖分岐は、本質的に高分子であり、すなわち、NMRスペクトル、三重検出器SEC実験又はレオロジー実験で見られるのに十分な長さである。
【0133】
本開示の一実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、本明細書に開示されるLCBFによって特徴付けられる長鎖分岐を含む。本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーのLCBFの上限は、約0.5、他の場合には約0.4、さらに他の場合には約0.3(無次元)であってもよい。本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーのLCBFの下限は、約0.001、他の場合には約0.0015、さらに他の場合には約0.002(無次元)であってもよい。
【0134】
本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーの分子量分布Mw/Mnの上限は、約2.8、又は約2.5、又は約2.4、又は約2.3、又は約2.2であってもよい。本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーの分子量分布Mw/Mnの下限は、約1.4、又は約1.6、又は約1.7、又は約1.8、又は約1.9であってもよい。
【0135】
本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、分子量分布Mw/Mnが、が2.3未満、又は2.3以下、又は2.1未満、又は2.1以下、又は2.0未満、又は2.0以下、又は約2.0である。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、分子量分布Mw/Mnが、約1.7~約2.3、又は約1.8~約2.3、又は約1.8~2.2である。
【0136】
本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、分子量分布Mw/Mnが、2.3以上、又は2.3超、又は2.5以上、又は2.5超、又は2.7以上、又は2.7超、又は2.9以上、又は2.9超、又は3.0以上、又は3.0超である。本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、分子量分布Mw/Mnが、2.3~6.5、又は2.3~6.0、又は2.3~5.5、又は2.3~5.0、又は2.3~4.5、又は2.3~4.0、又は2.3~3.5、又は2.3~3.0、又は2.5~5.0、又は2.5~4.5、又は2.5~4.0、又は2.5~3.5、又は2.7~5.0、又は2.7~4.5、又は2.7~4.0、又は2.7~3.5、又は2.9~5.0、又は2.9~4.5、又は2.9~4.0、又は2.9~3.5である。
【0137】
本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、分子量分布Mw/Mnが、2.0~6.5、又は2.3~6.5、又は2.3~6.0、又は2.0~6.0である。
【0138】
本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーの密度d3の上限は、約0.975g/cm3、場合によっては約0.965g/cm3、他の場合には約0.955g/cm3、さらに他の場合には約0.945g/cm3であってもよい。本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーの密度d3の下限は、約0.855g/cm3、場合によっては約0.865g/cm3、他の場合には約0.875g/cm3であってもよい。
【0139】
本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーの密度d3は、約0.875g/cm3~約0.965g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.960g/cm3、又は約0.875g/cm3~0.950g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.945g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.940g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.936g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.932g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.926g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.921g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.918g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.916g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.916g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.912g/cm3、又は約0.880g/cm3~約0.912g/cm3、又は約0.890g/cm3~約0.916g/cm3、又は約0.900g/cm3~約0.916g/cm3、又は約0.880g/cm3~約0.916g/cm3、又は約0.880g/cm3~約0.918g/cm3、又は約0.880g/cm3~約0.921g/cm3、又は約0.880g/cm3~約0.926g/cm3、又は約0.880g/cm3~約0.932g/cm3、又は約0.880g/cm3~約0.936g/cm3であってもよい。
【0140】
本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーのCDBI50の上限は、約98重量%、他の場合には約95重量%、さらに他の場合には約90重量%であってもよい。本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーのCDBI50の下限は、約70重量%、他の場合には約75重量%、さらに他の場合には約80重量%であってもよい。
【0141】
本開示の一実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、組成分布幅指数CDBI50が、75重量%未満、又は70重量%以下であるエチレンコポリマーである。本開示のさらなる実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、CDBI50が、65重量%以下、又は60重量%以下、又は55重量%以下、又は50重量%以下、又は45重量%であるエチレンコポリマーである。
【0142】
本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーI2
3のメルトインデックスは、約0.01dg/分~約1000dg/分、又は約0.01dg/分~約500dg/分、又は約0.01dg/分~約100dg/分、又は約0.01dg/分~約50dg/分、又は約0.01dg/分~約25dg/分、又は約0.01dg/分~約10dg/分、又は約0.01dg/分~約5dg/分、又は約0.01dg/分~約3dg/分、又は約0.01dg/分~約1dg/分、又は約5dg/分未満、又は約3dg/分未満、又は約1.0dg/分未満、又は約0.75dg/分未満、又は約0.50dg/分未満であってもよい。
【0143】
本開示の実施形態では、第3のエチレンコポリマーI2
3のメルトインデックスは、約0.1dg/分~約1000dg/分、又は約0.2dg/分~約500dg/分、又は約0.3dg/分~約200dg/分であってもよい。
【0144】
本開示の一実施形態では、第3のエチレンコポリマーは、重量平均分子量Mwが、約50,000~約300,000、又は約50,000~約250,000、又は約60,000~約250,000、又は約70,000~約250,000、又は約75,000~約200,000、又は約80,000~約275,000、又は約80,000~約250,000、又は約80,000~約200,000、又は約80,000~約175,000である。
【0145】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物中の第3のエチレンコポリマーの重量パーセント(wt%)の上限(すなわち、第1、第2及び第3のエチレンコポリマーの総重量に基づく第3のエチレンコポリマーの重量パーセント)は、約60重量%、又は約55重量%、又は50重量%、他の場合には約45重量%、他の場合には約40重量%、又は約35重量%、又は約30重量%、又は約25重量%、又は約20重量%であってもよい。本開示の実施形態では、最終エチレンコポリマー組成物中の第3のエチレンコポリマーの重量%の下限は、0重量%、又は約1重量%、又は約3重量%、又は約5重量%、又は約10重量%、又は約15重量%であってもよい。
【0146】
<エチレンコポリマー組成物>
本明細書に開示されるポリエチレン組成物は、当技術分野において任意の周知の技術を用いて作製することができ、これには、溶融ブレンド、溶液ブレンド、又は反応器内ブレンドが含まれるが、これらに限定されず、第1のエチレンコポリマー、第2のエチレンコポリマー、及び任意選択で第3のエチレンコポリマーを一緒にすることができる。
【0147】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、シングルサイト触媒を第1の反応器で使用して第1のエチレンコポリマーを生成し、マルチサイト触媒を第2の反応器で使用して第2のエチレンコポリマーを生成して、作製する。
【0148】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、シングルサイト触媒を第1の反応器で使用して第1のエチレンコポリマーを生成し、マルチサイト触媒を第2の反応器で使用して第2のエチレンコポリマーを生成し、マルチサイト触媒を第3の反応器で使用して第3のエチレンコポリマーを生成して、作製する。
【0149】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、シングルサイト触媒を第1の反応器で使用して第1のエチレンコポリマーを生成し、マルチサイト触媒を第2の反応器で使用して第2のエチレンコポリマーを生成し、シングルサイト触媒を第3の反応器で使用して第3のエチレンコポリマーを生成して、作製する。
【0150】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること。
【0151】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること; マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること;及び、マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第3の反応器で第3のエチレンコポリマーを形成すること。
【0152】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること; マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること;及び、シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第3の反応器で第3のエチレンコポリマーを形成すること。
【0153】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の液相重合反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の液相重合反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること。
【0154】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の液相重合反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること; マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の液相重合反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること;及び、マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第3の液相重合反応器で第3のエチレンコポリマーを形成すること。
【0155】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の液相重合反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること; マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の液相重合反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること;及び、シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第3の液相重合反応器で第3のエチレンコポリマーを形成すること。
【0156】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の液相重合反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の液相重合反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること、第1及び第2の液相重合反応器は、互いに直列に構成されている。
【0157】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の液相重合反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること;及び、マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の液相重合反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること、第1及び第2の液相重合反応器は、互いに並列に構成されている。
【0158】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の液相重合反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること; マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の液相重合反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること;及び、マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第3の液相重合反応器で第3のエチレンコポリマーを形成すること、第1及び第2の液相重合反応器は、互いに直列に構成されている。
【0159】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の液相重合反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること; マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の液相重合反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること;及び、マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第3の液相重合反応器で第3のエチレンコポリマーを形成すること、少なくとも第1及び第2の液相重合反応器は、互いに直列に構成されている。
【0160】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の液相重合反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること; マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の液相重合反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること;及び、マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第3の液相重合反応器で第3のエチレンコポリマーを形成すること、第1、第2及び第3の液相重合反応器は、互いに直列に構成されている。
【0161】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の液相重合反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること; マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の液相重合反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること;及び、マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第3の液相重合反応器で第3のエチレンコポリマーを形成すること、第1、第2及び第3の液相重合反応器のそれぞれは、互いに並列に構成されている。
【0162】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の液相重合反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること; マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の液相重合反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること;及び、マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第3の液相重合反応器で第3のエチレンコポリマーを形成すること、第1及び第2の液相反応器は、互いに直列に構成され、第3の液相反応器は、第1及び第2の反応器と並列に構成されている。
【0163】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の液相重合反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること; マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の液相重合反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること;及び、シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第3の液相重合反応器で第3のエチレンコポリマーを形成すること、少なくとも第1及び第2の液相重合反応器は、互いに直列に構成されている。
【0164】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の液相重合反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること; マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の液相重合反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること;及び、シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第3の液相重合反応器で第3のエチレンコポリマーを形成すること、第1、第2及び第3の液相重合反応器は、互いに直列に構成されている。
【0165】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の液相重合反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること; マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の液相重合反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること;及び、シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第3の液相重合反応器で第3のエチレンコポリマーを形成すること、第1、第2及び第3の液相重合反応器のそれぞれは、互いに並列に構成されている。
【0166】
一実施形態では、本開示のエチレンコポリマー組成物は、以下によって作製される:シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第1の液相重合反応器で第1のエチレンコポリマーを形成すること; マルチサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第2の液相重合反応器で第2のエチレンコポリマーを形成すること;及び、シングルサイト触媒でエチレンとアルファオレフィンとを重合することにより、第3の液相重合反応器で第3のエチレンコポリマーを形成すること、第1及び第2の液相反応器は、互いに直列に構成され、第3の液相反応器は、第1及び第2の反応器と並列に構成されている。
【0167】
一実施形態では、第1の液相反応器、第2の液相反応器、又は第3の液相反応器として使用される液相重合反応器は、連続撹拌タンク反応器又は管状反応器である。
【0168】
一実施形態では、第1の液相反応器、第2の液相反応器、又は第3の液相反応器として使用される液相重合反応器は、連続撹拌タンク反応器である。
【0169】
一実施形態では、第1の液相反応器、第2の液相反応器、又は第3の液相反応器として使用される液相重合反応器は、管状反応器である。
【0170】
一実施形態では、第1の液相反応器及び第2の液相反応器として使用される液相重合反応器は、連続撹拌タンク反応器であり、第3の液相反応器として使用される液相重合反応器は、管状反応器である。
【0171】
溶液重合では、モノマーは、反応器に供給される前に溶媒中に溶解/分散される(又はガス状モノマーの場合は、モノマーを反応器に供給して、反応混合物に溶解させてもよい)。混合する前に、溶媒とモノマーは、一般に、水、酸素、金属不純物などの潜在的な触媒毒を除去するために精製される。供給原料の精製は、当技術分野の標準的な慣行に従う。例えば、モノマーの精製には、モレキュラーシーブ、アルミナ床、及び酸素除去触媒を使用する。溶媒自体(例えば、メチルペンタン、シクロヘキサン、ヘキサン又はトルエン)も同様に処理することが好ましい。
【0172】
供給原料は、反応器に供給する前に加熱又は冷却してもよい。
【0173】
一般に、触媒成分は、反応のために溶媒中で予備混合してもよく、又は別個の流れ(stream)として反応器に供給してもよい。場合によっては、触媒成分の反応時間を確保するために、反応に入る前に触媒を予備混合することが望ましい。そのような「インライン混合」技術は、DuPont Canada Inc.の名で多くの特許に記載されている(例えば、1996年12月31日に発行された米国特許第5,589,555号)。
【0174】
エチレンの重合又は共重合のための溶液重合プロセスは、当技術分野で周知である(例えば、米国特許第6,372,864号及び第6,777,509号参照)。これらのプロセスは、不活性炭化水素溶媒の存在下で行われる。液相重合反応器では、様々な溶媒をプロセス溶媒として使用することができ、非限定的な例には、直鎖状、分岐状又は環状のC5~C12アルカンが含まれる。α-オレフィンの非限定的な例には、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテンが含まれる。好適な触媒成分溶媒には、脂肪族及び芳香族炭化水素が含まれる。脂肪族触媒成分溶媒の非限定的な例には、直鎖状、分岐状又は環状のC5~C12脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、メチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン、水素化ナフサ、又はそれらの組合せが含まれる。芳香族触媒成分溶媒の非限定的な例には、ベンゼン、トルエン(メチルベンゼン)、エチルベンゼン、o-キシレン(1,2-ジメチルベンゼン)、m-キシレン(1,3-ジメチルベンゼン)、p-キシレン(1,4-ジメチルベンゼン)、キシレン異性体の混合物、ヘメリテン(1,2,3-トリメチルベンゼン)、プソイドクメン(1,2,4-トリメチルベンゼン)、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、トリメチルベンゼン異性体の混合物、プレヘニテン(1,2,3,4-テトラメチルベンゼン)、デュレン(1,2,3,5-テトラメチルベンゼン)、テトラメチルベンゼン異性体の混合物、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、及びそれらの組合せが含まれる。
【0175】
従来の溶液プロセスにおける重合温度は、約80℃~約300℃であってもよい。本開示の一実施形態では、溶液プロセスにおける重合温度は、約120℃~約250℃である。溶液プロセスにおける重合圧力は、「中圧プロセス」であってもよく、これは、反応器内の圧力が約6,000psi(約42,000キロパスカル又はkPa)未満であることを意味する。本開示の一実施形態では、溶液プロセスにおける重合圧力は、約10,000~約40,000kPa、又は約14,000~約22,000kPa(すなわち、約2000psi~約3,000psi)であってもよい。
【0176】
エチレンとの共重合に適したモノマーには、C3-20モノ-及びジ-オレフィンが含まれる。好ましいコモノマーには、非置換又は最大2つのC1-6アルキルラジカルによって置換されているC3-12アルファオレフィン、非置換又はC1-4アルキルラジカルからなる群から選択される最大2つの置換基によって置換されているC8-12ビニル芳香族モノマー、非置換又はC1-4アルキルラジカルで置換されているC4-12直鎖状又は環状ジオレフィンが含まれる。そのようなアルファ-オレフィンの例示的な非限定的な例は、1つ以上のプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン及び1-デセン、スチレン、アルファメチルスチレン、及び拘束環状オレフィンであり、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、アルキル置換ノルボルネン、アルケニル置換ノルボルネンなど(例えば、5-メチレン-2-ノルボルネン及び5-エチリデン-2-ノルボルネン、ビシクロ-(2,2,1)-ヘプタ-2,5-ジエン)である。
【0177】
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、少なくとも1モルパーセントの1つ以上のアルファオレフィンを有する。
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、少なくとも3モルパーセントの1つ以上のアルファオレフィンを有する。
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、約1~約10モルパーセントの1つ以上のアルファ-オレフィンを有する。
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、約3~約10モルパーセントの1つ以上のアルファ-オレフィンを有する。
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、約3~約8モルパーセントの1つ以上のアルファオレフィンを有する。
【0178】
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマーは、エチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン及びそれらの混合物を含む群から選択される1つ以上のアルファオレフィンとを含む。
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマーは、エチレンと、1-ヘキセン、1-オクテン及びそれらの混合物を含む群から選択される1つ以上のアルファオレフィンとを含む。
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマーは、エチレンと1-オクテンとを含む。
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマーは、エチレンと、少なくとも1モルパーセントの1-オクテンとを含む。
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマーは、エチレンと、1~10モルパーセントの1-オクテンとを含む。
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマーは、エチレンと、3~8モルパーセントの1-オクテンとを含む。
【0179】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、密度が、約0.855g/cm3~約0.914g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.913g/cm3、又は約0.865g/cm3~0.912g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.913g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.912g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.910g/cm3、又は約0.865g/cm3~約0.910g/cm3、又は約0.875g/cm3~約0.910g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.913g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.912g/cm3、又は約0.885g/cm3~約0.910g/cm3、又は約0.895g/cm3~約0.913g/cm3、又は約0.895g/cm3~約0.912g/cm3、又は約0.895g/cm3~約0.910g/cm3、又は約0.895g/cm3~約0.913g/cm3であってもよい。
【0180】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物のメルトインデックスI2は、約0.01dg/分~約1000dg/分、又は約0.01dg/分~約500dg/分、又は約0.01dg/分~約100dg/分、又は約0.01dg/分~約50dg/分、又は約0.01dg/分~約25dg/分、又は約0.01dg/分~約10dg/分、又は約0.01dg/分~約5dg/分、又は約0.01dg/分~約3dg/分、又は約0.01dg/分~約1dg/分、又は約0.1dg/分~約10dg/分、又は約0.1dg/分~約5dg/分、又は約0.1dg/分~約3dg/分、又は約0.1dg/分~約2dg/分、又は約0.1dg/分~約1.5dg/分、又は約0.1dg/分~約1dg/分、又は約0.5dg/分~約100dg/分、又は約0.5dg/分~約50dg/分、又は約0.5dg/分~約25dg/分、又は約0.5dg/分~約10dg/分、又は約0.5dg/分~約5dg/分、又は約5dg/分未満、又は約3dg/分未満、又は約1.0dg/分未満であってもよい。
【0181】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物の高負荷メルトインデックスI21は、約10dg/分~約10,000dg/分、又は約10dg/分~約1000dg/分、又は約10dg/分~約500dg/分、又は約10dg/分~約250dg/分、又は約10dg/分~約150dg/分、又は約10dg/分~約100dg/分であってもよい。
【0182】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物のメルトフロー比I21/I2は、約15~約1,000、又は約15~約100、又は約15~約75、又は約15~約50、又は約15~約40、又は約18~約50、又は約20~約75、又は約20~約50、又は約20~約45、又は約20~約40、又は約20~約38、又は約20~約35、又は約45未満、又は約40未満、又は約35未満、又は約30未満であってもよい。
【0183】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、重量平均分子量Mwが、約40,000~約300,000、又は約40,000~約250,000、又は約50,000~約250,000、又は約50,000~約225,000、又は約50,000~約200,000、又は約50,000~約175,000、又は約50,000~約150,000、又は約50,000~約125,000である。
【0184】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、分子量分布Mw/Mnの下限が、2.0、又は2.1、又は2.2、又は2.3である。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、分子量分布Mw/Mnの上限が、6.0、又は5.5、又は5.0、又は4.5、又は4.0、又は3.75、又は3.5である。
【0185】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、分子量分布Mw/Mnが、2.1~6.0、又は2.1~5.5、又は2.1~5.0、又は2.1~4.5、又は2.1~4.0、又は2.1~3.5、又は2.1~3.0、又は2.2~5.5、又は2.2~5.0、又は2.2~4.5、又は2.2~4.0、又は2.2~3.5、又は2.2~3.0である。
【0186】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、Z平均分子量分布MZ/MWが、4.0以下、又は4.0未満、又は3.5以下、又は3.5未満、又は3.0以下、又は3.0未満、又は2.75以下、又は2.75未満、又は2.50以下、又は2.50未満である。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、Z平均分子量分布MZ/MWが、1.5~4.0、又は1.75~3.5、又は1.75~3.0、又は2.0~4.0、又は2.0~3.5、又は2.0~3.0、又は2.0~2.75である。
【0187】
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、ASTM D6474-99の方法に従って生成されたゲル浸透クロマトグラフにおいて、単峰性プロファイルを有する。「単峰性」という用語は、本明細書では、GPC曲線において、明らかな有意なピーク又は極大値が1つだけあることを意味すると定義される。単峰性プロファイルには、幅広い単峰性プロファイルが含まれる。対照的に、「二峰性」という用語の使用は、第1のピークに加えて、より高い又はより低い分子量成分を表す第2のピーク又はショルダーがあることを伝えることを意味する(すなわち、分子量分布は、分子量分布曲線に2つの極大値があると言える)。あるいは、「二峰性」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線において、2つの極大値が存在することを意味する。「多峰性」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線において、2つ以上、典型的には2つを超える極大値が存在することを意味する。
【0188】
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、GPC-FTIRを用いて測定されるように、逆又は部分的に逆のコモノマー分布プロファイルを有する。GPC-FTIRを用いて測定されるように、コモノマーの取り込みが分子量とともに減少する場合、分布は「正常」と記載される。GPC-FTIRを用いて測定されるように、コモノマーの取り込みが分子量に対してほぼ一定である場合、コモノマーの分布は「フラット」又は「均一」と記載される。「逆コモノマー分布」及び「部分的に逆コモノマー分布」という用語は、コポリマーについて得られたGPC-FTIRデータにおいて、1つ以上の低分子量成分よりも高いコモノマー取り込みを有する1つ以上の高分子量成分が存在することを意味する。「逆(d)コモノマー分布」という用語は、本明細書では、エチレンコポリマーの分子量範囲にわたって、様々なポリマー画分のコモノマー含量が実質的に均一ではなく、その高分子量画分が比例的により高いコモノマー含量を有することを意味するために使用される(すなわち、コモノマーの取り込みが分子量とともに上昇する場合、その分布は、「逆(reverse)」又は「逆転した(reversed)」として記載される)。コモノマーの取り込みが分子量の増加とともに上昇し、その後低下する場合でも、コモノマーの分布は「逆」と見なされるが、「部分的に逆」として記載されてもよい。部分的に逆のコモノマー分布は、ピーク又は極大値を示す。
【0189】
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、GPC-FTIRを用いて測定されるように、逆転したコモノマー分布プロファイルを有する。
【0190】
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、GPC-FTIRを用いて測定されるように、部分的に逆転したコモノマー分布プロファイルを有する。
【0191】
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、CTREF装置(「CRYSTAF/Temperature Rising Elution Fractionation instrument」)を用いて得られる温度上昇溶出分別(TREF)分析において、3.0重量パーセントより大きい積算面積を有する、90℃~105℃で溶出する画分を有している。本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、CTREF装置(「CRYSTAF/Temperature Rising Elution Fractionation instrument」)を用いて得られる温度上昇溶出分別(TREF)分析において、3.5重量パーセントを超える積算面積を有する、90℃~105℃で溶出する画分を有している。本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、CTREF装置(「CRYSTAF/Temperature Rising Elution Fractionation instrument」)を用いて得られる温度上昇溶出分別(TREF)分析において、4.0重量パーセントを超える積算面積を有する、90℃~105℃で溶出する画分を有している。本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、CTREF装置(「CRYSTAF/Temperature Rising Elution Fractionation instrument」)を用いて得られる温度上昇溶出分別(TREF)分析において、4.5重量パーセントを超える積算面積を有する、90℃~105℃で溶出する画分を有している。本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、CTREF装置(「CRYSTAF/温度上昇溶出分画装置」)を用いて得られる温度上昇溶出分別(TREF)分析において、5.0重量パーセントを超える積算面積を有する、90℃~105℃で溶出する画分を有している。
【0192】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、CDBI50が、約50~85重量%、又は約60~85重量%、又は約60~約80重量%、又は約60~約75重量%、又は約50~約80重量%、又は約50~約75重量%、又は約55~約80重量%、又は約55~約75重量%である。
【0193】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物中のハフニウムの百万分率(ppm)の上限は、約3.0ppm、又は約2.5ppm、又は約2.0ppm、又は約1.5ppm、又は約1.0ppm、又は約0.75ppm、又は約0.5ppmであってもよい。本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物中のハフニウムの百万分率(ppm)の下限は、約0.0015ppm、又は約0.0050ppm、又は約0.0075ppm、又は約0.010ppm、又は約0.015ppm、又は約0.030ppm、又は約0.050ppm、又は約0.075ppm、又は約0.100ppm、又は約0.150ppm、又は約0.175ppm、又は約0.200ppmであってもよい。
【0194】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、0.0015~2.5ppmのハフニウム、又は0.0050~2.5ppmのハフニウム、又は0.0075~2.5ppmのハフニウム、又は0.010~2.5ppmのハフニウム、又は0.015~2.5ppmのハフニウム、又は0.050~3.0ppmのハフニウム、又は0.050~2.5ppmのハフニウム、又は0.075~2.5ppmのハフニウム、又は0.075~2.0ppmのハフニウム、又は0.075~1.5ppmのハフニウム、又は0.075~1.0ppmのハフニウム、又は0.075~0.5ppmのハフニウム、又は0.100~2.0ppmのハフニウム、又は0.100~1.5ppmのハフニウム、又は0.100~1.0ppmのハフニウム、又は0.100~0.75ppmのハフニウム、又は0.10~0.5ppmのハフニウム、又は0.15~0.5ppmのハフニウム、又は0.20~0.5ppmのハフニウムを有する。
【0195】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、少なくとも0.0015ppmのハフニウム、又は少なくとも0.005ppmのハフニウム、又は少なくとも0.0075ppmのハフニウム、又は少なくとも0.015ppmのハフニウム、又は少なくとも0.030ppmのハフニウム、又は少なくとも0.050ppmのハフニウム、又は少なくとも0.075ppmのハフニウム、又は少なくとも0.100ppmのハフニウム、又は少なくとも0.125ppmのハフニウム、又は少なくとも0.150ppmのハフニウム、又は少なくとも0.175ppmのハフニウム、又は少なくとも0.200ppmのハフニウムを有する。
【0196】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物中のチタンの百万分率(ppm)の上限は、約18.0ppm、又は約16.0ppm、又は約14.0ppm、又は約12.0ppm、又は約10.0ppm、又は約8.0ppmであってもよい。本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物中のチタンの百万分率(ppm)の下限は、約0.1ppm、又は0.5ppm、又は約1.0ppm、又は約2.0ppm、又は約3.0ppmであってもよい。
【0197】
本開示の実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、0.5~20.0pmpのチタン、又は0.5~18.0ppmのチタン、又は0.5~14.0ppmのチタン、又は1.0~18.0ppmのチタン、又は1.0~16.0ppmのチタン、又は1.0~14.0ppmのチタン、又は2.0~18.0ppmのチタン、又は2.0~16.0ppmのチタン、又は2.0~14.0ppmのチタン、又は3.0~18.0ppmのチタン、又は3.0~16.0ppmのチタン、又は3.0~14.0ppmのチタンを有する。
【0198】
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、Log10[I6/I2]/Log10[6.48/2.16]として定義される応力指数を有し、この応力指数は、≦1.40である。本開示のさらなる実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、応力指数Log10[I6/I2]/Log10[6.48/2.16]を有し、この応力指数は、1.38未満、又は1.35未満、又は1.33未満、又は1.30未満である。
【0199】
本開示の一実施形態では、エチレンコポリマー組成物は、無次元の長鎖分岐係数LCBF≧0.001を有する。
【0200】
本明細書に開示されるエチレンコポリマー組成物は、単層フィルム又は多層フィルムなどのフレキシブルな製造物品に変換することができる。そのようなフィルムは、当業者には周知であり、そのようなフィルムを調製するためのプロセスの非限定的な例には、インフレーションフィルムプロセス及びキャストフィルムプロセスが含まれる。
【0201】
インフレーションフィルム押出プロセスでは、押出機が熱可塑性プラスチック又は熱可塑性ブレンドを加熱、溶融、混合、及び搬送する。溶融すると、熱可塑性プラスチックを環状ダイに押し込み、熱可塑性プラスチックチューブを生成する。共押出の場合、複数の押出機を用いて多層熱可塑性チューブを生成する。押出プロセスの温度は、主に、処理中の熱可塑性プラスチック又は熱可塑性ブレンド、例えば熱可塑性プラスチックの融解温度又はガラス転移温度、及び融解物の所望の粘度によって決定される。ポリオレフィンの場合、典型的な押出温度は、330°F~550°F(166℃~288℃)である。環状ダイから出ると、熱可塑性プラスチックチューブは空気で膨らみ、冷却され、固化して、一対のニップローラーに引き込まれる。空気の膨張により、チューブの直径が大きくなり、所望のサイズの気泡が形成される。ニップローラーの引張作用により、気泡は機械方向に延伸される。したがって、気泡は2つの方向:膨張する空気が気泡の直径を大きくする横方向(TD:transverse direction);及びニップローラーが気泡を延伸する機械方向(MD:machine direction)に延伸される。その結果、インフレーションフィルムの物理的特性は、典型的には異方性であり、すなわち、物理的特性はMD方向及びTD方向で異なり;例えば、フィルムの引き裂き強度及び引張特性は、典型的には、MD及びTDで異なる。いくつかの先行技術文献では、「横断方向(cross direction)」又は「CD」という用語が使用され;これらの用語は、本開示で使用される「横方向」又は「TD」という用語と同等である。インフレーションフィルムプロセスでは、空気が気泡の外周に吹き付けられ、熱可塑性プラスチックが環状ダイを出るときに冷却される。フィルムの最終的な幅は、膨張する空気又は内部の気泡圧を制御することにより決定され;換言すれば、気泡の直径を増大又は減少させる。フィルムの厚さは、主にニップローラーの速度を増減してドローダウン速度を制御することで制御される。ニップローラーを出た後、気泡又はチューブはつぶれ、機械方向に切れ目が入り、シートが作られることがある。各シートは、フィルムのロールに巻き取られてもよい。各ロールにさらに切れ目を入れ、所望の幅のフィルムを作ってもよい。フィルムの各ロールは、以下で説明するように、様々な消費者製品にさらに加工される。
【0202】
キャストフィルムプロセスは、単一又は複数の押出機を使用し得る点で同様であるが、様々な熱可塑性材料は、フラットダイに計量され、チューブではなく単層又は多層シートに押し出される。キャストフィルムプロセスでは、押し出されたシートは、チルロール上で固化される。
【0203】
キャストフィルムプロセスでは、フィルムは、フラットダイからチルドロール又はニップロール上に押し出され、任意選択で、真空ボックス及び/又はエアナイフを用いて押し出される。キャストフィルムは、単一又は複数のダイを介した様々な押出しによって得られる単層又は共押出多層フィルムであってもよい。得られたフィルムは、そのまま使用してもよいし、他のフィルム又は基板に積層してもよく、例えば、熱的積層(thermal lamination)、接着積層(adhesive lamination)、又は基板への直接押出しによって積層してもよい。得られたフィルム及び積層体(laminates)には、エンボス加工、延伸、熱成形などの他の成形加工を施してもよい。コロナなどの表面処理を施して、フィルムを印刷してもよい。
【0204】
キャストフィルム押出プロセスでは、薄いフィルムが、冷却され高度に研磨された回転ロール上に、スリットを通して押し出され、そこで片側から急冷される。ローラーの速度によって、延伸比と最終的なフィルム厚さが制御される。次いで、フィルムは、第2のローラーに送られ、他方の側が冷却される。最後に、そのフィルムは、ローラーのシステムを通過し、ロールに巻き取られる。
【0205】
一実施形態では、2つ以上の薄いフィルムが、冷却され高度に研磨された回転ロール上に、2つ以上のスリットを通して共押出され、その共押出フィルムは片側から急冷される。ローラーの速度によって、延伸比と最終的な共押出フィルムの厚さが制御される。次いで、共押出フィルムは、第2のローラーに送られ、他方の側が冷却される。次に、共押出しされたフィルムは、反対側で冷却するために第2のローラーに送られる。最後に、そのフィルムは、ローラーのシステムを通過し、ロールに巻き取られる
【0206】
キャストフィルムは、さらに、1層以上の層を積層して、多層構造にしてもよい。
【0207】
最終用途に応じて、開示されたエチレンコポリマー組成物は、広範囲の厚さにわたるフィルムに変換され得る。非限定的な例には、厚さが約0.5ミル(13μm)~約4ミル(102μm)の範囲の食品包装フィルムが含まれ:頑丈な袋(heavy duty sack)の用途では、フィルムの厚さは約2ミル(51μm)~約10ミル(254μm)の範囲であってもよい。
【0208】
本明細書に開示されるエチレンコポリマー組成物は、単層フィルムにおいて使用してもよく、単層には、2種以上のエチレンコポリマー組成物及び/又は追加の熱可塑性プラスチックが含まれてもよく、熱可塑性プラスチックの非限定的な例には、ポリエチレンポリマー及びプロピレンポリマーが含まれる。単層フィルム中のエチレンコポリマー組成物の重量パーセントの下限は、約3重量%、他の場合には約10重量%、さらに他の場合には約30重量%であってもよい。単層フィルム中のエチレンコポリマー組成物の重量パーセントの上限は、100重量%、他の場合には約90重量%、さらに他の場合には約70重量%であってもよい。
【0209】
本明細書に開示されるエチレンコポリマー組成物はまた、多層フィルムの1つ以上の層において使用してもよく、多層フィルムの非限定的な例には、3、5、7、9、11又はそれ以上の層が含まれる。多層フィルム内の特定の層(エチレンコポリマー組成物を含む)の厚さは、多層フィルムの厚さの全体の約5%、他の場合には約15%、さらに他の場合には約30%であってもよい。他の実施形態では、多層フィルム内の特定の層(エチレンコポリマー組成物を含む)の厚さは、多層フィルムの厚さの全体の約95%、他の場合には約80%、さらに他の場合には約65%であってもよい。多層フィルムの個々の層は、複数のエチレンコポリマー組成物及び/又は追加の熱可塑性プラスチックを含んでもよい。
【0210】
追加の実施形態は、積層及びコーティングを含み、開示されたエチレンコポリマー組成物を含む単層フィルム又は多層フィルムが、押出積層され、若しくは接着積層され、又は押出コーティングされる。押出積層(extrusion lamination)又は接着積層(adhesive lamination)では、2つ以上の基材が、それぞれ熱可塑性プラスチック又は接着剤で結合される。押出コーティングでは、熱可塑性プラスチックを基材の表面に塗布する。これらのプロセスは、当業者には周知である。多くの場合、接着積層又は押出積層は、異種材料を結合するために使用され、非限定的な例には、紙ウェブの熱可塑性ウェブへの結合、アルミニウム箔含有ウェブの熱可塑性ウェブへの結合、又は化学的に互換性のない2つの熱可塑性ウェブの結合が含まれ、例えば、エチレンコポリマー組成物含有ウェブとポリエステルウェブ又はポリアミドウェブとの結合が含まれる。積層の前に、開示されたエチレンコポリマー組成物を含むウェブは、単層又は多層であってもよい。積層の前に、個々のウェブは、結合を改善するために表面処理されてもよく、表面処理の非限定的な例としては、コロナ処理が挙げられる。一次ウェブ又はフィルムは、その上面、その下面、又はその上面と下面の両方に、二次ウェブを積層してもよい。二次ウェブ及び三次ウェブは、一次ウェブに積層することができ、ここで、二次ウェブと三次ウェブは化学組成が異なる。非限定的な例として、二次ウェブ又は三次ウェブには、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、又はEVOHなどのバリア樹脂層を含むウェブが含まれ得る。そのようなウェブには、蒸着されたバリア層、例えば、薄い酸化ケイ素(SiOx)又は酸化アルミニウム(AlOx)層も含まれ得る。多層ウェブ(又はフィルム)は、3、5、7、9、11、又はそれ以上の層を含んでもよい。
【0211】
本明細書に開示されるエチレンコポリマー組成物は、1つ以上のフィルム又はフィルム層(単層又は多層)を含む広範囲の製造物品に使用することができる。そのような製造品の非限定的な例には、以下が含まれる:食品包装フィルム(生鮮食品、冷凍食品、液体食品、粒状食品)、スタンドアップパウチ、レトルト包装、及びバッグインボックス包装;バリアフィルム(酸素、水分、芳香、油など)及びガス置換包装(modified atmosphere packaging);軽量及び頑丈な収縮フィルム及びラップ、照合収縮フィルム、パレット収縮フィルム、収縮バッグ、収縮結束及び収縮シュラウド;軽量及び頑丈な延伸フィルム、手延伸ラップ、機械延伸ラップ及び延伸フードフィルム;高透明度フィルム;頑丈な袋;家庭用ラップ、オーバーラップフィルム、サンドイッチバッグ;工業用及び施設用フィルム、ゴミ袋、缶ライナー、雑誌のオーバーラップ、新聞袋、郵便袋、袋及び封筒、バブルラップ、カーペットフィルム、家具バッグ、衣服バッグ、コインバッグ、自動車パネルフィルム;ガウン、ドレーピング、外科用衣服などの医療用途;建設用フィルム及びシート、アスファルトフィルム、断熱袋、マスキングフィルム、造園用フィルム及びバッグ;都市ごみ処理及び鉱業用途向けのジオメンブレンライナー;一括封入バッグ;農業用フィルム、マルチフィルム、グリーンハウスフィルム;店内用包装、セルフサービス用バッグ、ブティック用バッグ、食料品用バッグ、持ち帰り用袋、Tシャツ用バッグ;配向フィルム、機械方向及び二軸配向フィルム、及び配向ポリプロピレン(OPP)フィルムの機能性フィルム層(例えば、シーラント及び/又は靭性層)。少なくとも1つのエチレンコポリマー組成物を含む1つ以上のフィルムを含む追加の製造物品には、積層体及び/又は多層フィルム、多層フィルム及び複合材料中のシーラント及びタイ(tie)層、紙との積層、アルミ箔積層体、又は真空堆積アルミニウムを含む積層体、ポリアミド積層体、ポリエステル積層体、押出コーティングされた積層体、並びにホットメルト接着剤配合物が含まれる。この段落で要約した製造物品は、開示されたエチレンコポリマー組成物の少なくとも1つの実施形態を含む少なくとも1つのフィルム(単層又は多層)を含む。
【0212】
本開示のエチレンコポリマー組成物から作製されたキャストフィルム及び積層体は、例えば、 食品包装用(乾燥食品、生鮮食品、冷凍食品、液体、加工食品、粉末、顆粒)、 洗剤、歯磨き粉、タオル、ラベル及び剥離ライナーの包装用など、様々な最終用途に使用することができる。キャストフィルムは、ユニット化及び工業用包装、特にストレッチフィルムにも使用することができる。キャストフィルムは、衛生及び医療用途、例えば、おむつ、成人用失禁用製品、女性用衛生製品、オストミーバッグに用いられる通気性フィルム及び非通気性フィルムにも適している可能性がある。本開示のエチレンコポリマー組成物は、テープ及び人工芝の用途においても有用であり得る。
【0213】
所望のフィルムの物性(単層又は多層)は、典型的には、対象となる用途に依存する。所望のフィルム特性の非限定的な例には、光学特性(光沢、ヘイズ及び透明度)、ダート衝撃(dart impact)、エルメンドルフ引裂度、弾性率(1%及び2%割線係数)、穿刺伝播引裂抵抗(puncture-propagation tear resistance)、引張特性(降伏強度、破断強度、破断時伸び、靭性等)、並びにヒートシーリング特性(ヒートシール開始温度及びホットタック強度)が含まれる。特定のホットタック特性及びヒートシーリング特性が、市販製品(液体、固体、ペースト、部品など)をパウチ状包装内に充填してシールする、高速の垂直製袋充填プロセス及び水平製袋充填プロセスにおいて、望まれている。
【0214】
所望のフィルムの物理的特性に加えて、開示されたエチレンコポリマー組成物は、フィルムライン上で加工しやすいことが望ましい。当業者は、「加工性」という用語を頻繁に用いて、加工性が改善されたポリマーを、加工性が劣るポリマーと比較して区別する。加工性を定量化するために一般的に使用される尺度は、押出圧力であり、より具体的には、加工性が改善されたポリマーは、加工性が劣るポリマーと比較して、(インフレーションフィルム又はキャストフィルム押出ライン上で)より低い押出圧力を有する。
【0215】
このセクションで説明されている製造物品で使用されるフィルムは、その使用目的に応じて、添加剤及び補助剤を任意選択で含んでもよい。添加剤及び補助剤の非限定的な例には、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、スリップ剤、加工助剤、帯電防止添加剤、着色剤、染料、フィラー材料、光安定剤、光吸収剤、潤滑剤、顔料、可塑剤、核剤及びそれらの組合せが含まれる。
【0216】
本開示の一実施形態では、フィルム又はフィルム層は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含む。
【0217】
本開示の一実施形態では、フィルム又はフィルム層は単層フィルムであり、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含む。
【0218】
一実施形態では、フィルム又はフィルム層は、インフレーションフィルムである。
【0219】
一実施形態では、フィルム又はフィルム層は、キャストフィルムである。
【0220】
本開示の実施形態では、フィルム又はフィルム層は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含み、0.5~10ミルの厚さを有する。
【0221】
本開示の実施形態では、フィルム又はフィルム層は、0.5~10ミルの厚さを有する。
【0222】
本開示の実施形態では、多層フィルム構造体は、0.5~10ミルの厚さを有する。
【0223】
本開示の一実施形態では、多層フィルム構造体は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含む少なくとも1つの層を含み、多層フィルム構造体は、0.5~10ミルの厚さを有する。
【0224】
本開示の一実施形態は、多層共押出インフレーションフィルム構造体である。
本開示の一実施形態は、0.5~10ミルの厚さを有する多層共押出インフレーションフィルム構造体である。
本開示の一実施形態は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含むフィルム層を含む多層共押出インフレーションフィルム構造体である。
本開示の一実施形態は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含むフィルム層を含む多層共押出インフレーションフィルム構造体であり、多層フィルム構造体は、0.5~10ミルの厚さを有する。
【0225】
本開示の一実施形態は、多層共押出キャストフィルム構造体である。
本開示の一実施形態は、0.5~10ミルの厚さを有する多層共押出キャストフィルム構造体である。
本開示の一実施形態は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含むフィルム層を含む多層共押出キャストフィルム構造体である。
本開示の一実施形態は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含むフィルム層を含む多層共押出キャストフィルム構造体であり、多層フィルム構造体は、0.5~10ミルの厚さを有する。
【0226】
本開示の実施形態では、1ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、≧600g/ミル、又は≧700g/ミル、又は≧800g/ミル、又は≧850g/ミルのダート衝撃強度を有する。本開示の別の実施形態では、1ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、600g/ミル~1200g/ミルのダート衝撃強度を有する。本開示のさらなる実施形態では、1ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、700g/ミル~1100g/ミルのダート衝撃強度を有する。本開示のさらなる実施形態では、1ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、800g/ミル~1200g/ミルのダート衝撃強度を有する。本開示のさらに別の実施形態では、1ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、800g/ミル~1100gミルのダート衝撃強度を有する。本開示のさらに別の実施形態では、1ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、850g/ミル~1050g/ミルのダート衝撃強度を有する。
【0227】
本開示の実施形態では、1ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、10%以下、又は8%以下、6%以下、又は5%以下のヘイズを有する。本開示の実施形態では、1ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、2%~10%、又は2%~8%、又は3%~6%のヘイズを有する。
【0228】
本開示の実施形態では、1ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、≧80J/mm、又は≧90J/mm、又は≧95J/mm、又は≧100J/mmのASTM穿刺抵抗値を有する。本開示の実施形態では、1ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、80J/mm~140J/mm、又は90J/mm~130J/mm、又は100J/mm~125J/mmのASTM穿刺値を有する。
【0229】
本開示の実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、100℃以下、又は95℃以下、又は90℃以下、又は85℃以下、又は100℃未満、又は95℃未満、又は90℃未満、又は85℃未満のシール開始温度(SIT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、75℃~105℃のシール開始温度(SIT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、80℃~100℃のシール開始温度(SIT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、80℃~95℃のシール開始温度(SIT)を有する。
【0230】
本開示の実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、100℃以下、又は95℃以下、又は90℃以下、又は88℃以下、又は85℃以下、又は100℃未満、又は95℃未満、又は90℃未満、又は88℃未満、又は85℃未満のホットタック開始温度(HTOT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、55℃~100℃のホットタック開始温度(HTOT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、60℃~88℃のホットタック開始温度(HTOT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、60℃~85℃のホットタック開始温度(HTOT)を有する。
【0231】
本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、40℃以上のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、45℃以上のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、50℃以上のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、55℃以上のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、40℃~75℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、40℃~70℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、45℃~75℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、45℃~70℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのインフレーションフィルム又はインフレーションフィルム層は、45℃~65℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。
【0232】
本開示の一実施形態は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含む少なくとも1つのフィルム層を含む多層フィルム構造体である。
本開示の一実施形態は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含む少なくとも1つのフィルム層を含む多層フィルム構造体であって、少なくとも3層、又は少なくとも5層、又は少なくとも7層、又は少なくとも9層を有する多層フィルム構造体である。
本開示の一実施形態は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含む少なくとも1つのフィルム層を含む多層フィルム構造体であって、9層を有する多層フィルム構造体である。
【0233】
本開示の一実施形態は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含む少なくとも1つのシーラント層を含む多層フィルム構造体である。
【0234】
本開示の一実施形態は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含むシーラント層を含む多層フィルム構造体である。
本開示の一実施形態は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含むシーラント層を含む多層フィルム構造体であり、少なくとも3層を有する多層フィルム構造体である。
本開示の一実施形態は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含むシーラント層を含む多層フィルム構造体であり、少なくとも5層を有する多層フィルム構造体である。
本開示の一実施形態は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含むシーラント層を含む多層フィルム構造体であり、少なくとも7層を有する多層フィルム構造体である。
本開示の一実施形態は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含むシーラント層を含む多層フィルム構造体であり、少なくとも9層を有する多層フィルム構造体である。
本開示の一実施形態は、本明細書に記載のエチレンコポリマー組成物を含むシーラント層を含む多層フィルム構造体であり、9層を有する多層フィルム構造体である。
【0235】
本開示の実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、100℃以下、又は95℃以下、又は90℃以下、又は100℃未満、又は95℃未満、又は90℃未満のシール開始温度(SIT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、75℃~105℃のシール開始温度(SIT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、80℃~100℃のシール開始温度(SIT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、80℃~95℃のシール開始温度(SIT)を有する。
【0236】
本開示の実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、100℃以下、又は95℃以下、又は90℃以下、又は100℃未満、又は95℃未満、又は90℃未満のシール開始温度(SIT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、75℃~105℃のシール開始温度(SIT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、80℃~100℃のシール開始温度(SIT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、80℃~95℃のシール開始温度(SIT)を有する。
【0237】
本開示の実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、100℃以下、又は95℃以下、又は90℃以下、又は88℃以下、又は85℃以下、又は100℃未満、又は95℃未満、又は90℃未満、又は88℃未満、又は85℃未満のホットタック開始温度(HTOT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、65℃~100℃のホットタック開始温度(HTOT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、70℃~95℃のホットタック開始温度(HTOT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、75℃~95℃のホットタック開始温度(HTOT)を有する。
【0238】
本開示の実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、100℃以下、又は95℃以下、又は90℃以下、又は88℃以下、又は85℃以下、又は100℃未満、又は95℃未満、又は90℃未満、又は88℃未満、又は85℃未満のホットタック開始温度(HTOT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、65℃~100℃のホットタック開始温度(HTOT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、70℃~95℃のホットタック開始温度(HTOT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、75℃~95℃のホットタック開始温度(HTOT)を有する。
【0239】
本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、15℃以上のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、17.5℃以上のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、20℃以上のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、15℃~40℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、17.5℃~40℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、20℃~40℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム又はキャストフィルム層は、20℃~35℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。
【0240】
本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、15℃以上のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、17.5℃以上のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、20℃以上のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、15℃~40℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、17.5℃~40℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、20℃~40℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのキャストフィルム構造体は、20℃~35℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する。
【0241】
以下の例は、本開示の選択された実施形態を説明する目的で提示されており、提示された例は、提示された特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【実施例】
【0242】
<一般的な試験手順>
試験の前に、各ポリマー試験片を23±2℃及び相対湿度50±10%で少なくとも24時間コンディショニングし、その後の試験を23±2℃及び相対湿度50±10%で行った。本明細書では、「ASTM条件」という用語は、23±2℃及び相対湿度50±10%に維持されている実験室を指し、試験対象の試験片は、試験前にこの実験室で少なくとも24時間コンディショニングした。ASTMは、米国材料試験協会を指す。
【0243】
<密度>
エチレンコポリマー組成物の密度は、ASTM D792-13(2013年11月1日)を用いて決定した。
【0244】
<メルトインデックス>
エチレンコポリマー組成物のメルトインデックスは、ASTM D1238(2013年8月1日)を用いて決定した。メルトインデックス、I2、I6、I10、及びI21は、それぞれ2.16kg、6.48kg、10kg、及び21.6kgの重量を用いて190℃で測定した。本明細書では、「応力指数」という用語又はその頭字語「S.Ex.」は、以下の関係によって定義される:
S.Ex.=log(I6/I2)/log(6480/2160)
(式中、I6及びI2は、それぞれ6.48kg及び2.16kgの負荷を使用して190℃で測定されたメルトフローレートである)。
【0245】
<従来のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)>
エチレンコポリマー組成物試料(ポリマー)溶液(1~3mg/mL)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、オーブン内で150℃で4時間ホイール上で回転させることにより調製した。酸化劣化に対してポリマーを安定化させるために、酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。
ポリマー溶液は、流速が1.0mL/分の移動相としてTCBを使用し、濃度検出器として示差屈折率(DRI)を用いた、4つのShodexカラム(HT803、HT804、HT805、及びHT806)を装備したPL 220高温クロマトグラフィーユニットで140℃でクロマトグラフィーにかけた。BHTを250ppmの濃度で移動相に添加して、GPCカラムを酸化分解から保護した。試料注入量は200μLであった。GPCカラムは、狭い分布のポリスチレン標準で較正された。ASTM標準試験法D6474-12(2012年12月)に記載されているように、Mark-Houwink方程式を使用して、ポリスチレン分子量をポリエチレン分子量に変換した。GPC生データをCIRRUS GPCソフトウェアで処理して、モル質量平均(Mn、Mw、Mz)及びモル質量分布(例えば、多分散性、Mw/Mn)を生成した。ポリエチレンの分野では、SECと同等の一般的に使用される用語は、GPC、すなわち、ゲル浸透クロマトグラフィーである。
【0246】
<トリプル検出サイズ排除クロマトグラフィー(3D-SEC)>
エチレンコポリマー組成物試料(ポリマー)溶液(1~3mg/mL)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、オーブン内で150℃で4時間ホイール上で回転させることにより調製した。酸化劣化に対してポリマーを安定化させるために、酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。試料溶液は、示差屈折率(DRI)検出器、二重アングル光散乱検出器(15度及び90度)、並びに示差粘度計を装備したPL 220高温クロマトグラフィーユニットで140℃でクロマトグラフィーにかけた。使用したSECカラムは、4つのShodexカラム(HT803、HT804、HT805、及びHT806)、又は4つのPL Mixed ALS若しくはBLSカラムのいずれかであった。TCBは、流速1.0mL/分の移動相であり、SECカラムを酸化分解から保護するために、BHTを250ppmの濃度で移動相に添加した。試料注入量は200μLであった。SEC生データはCIRRUS GPCソフトウェアで処理され、絶対モル質量及び固有粘度([η])が生成された。「絶対」モル質量という用語を使用して、3D-SECで決定した絶対モル質量と従来のSECで決定したモル質量とを区別した。3D-SECによって決定した粘度平均モル質量(Mv)を計算に使用して、長鎖分岐係数(LCBF)を決定した。
【0247】
<GPC-FTIR>
エチレンコポリマー組成物(ポリマー)溶液(2~4mg/mL)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)で加熱し、オーブン内で150℃で4時間ホイール上で回転させることにより調製した。酸化劣化に対してポリマーを安定化させるために酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。試料溶液は、流速1.0mL/分の移動相としてTCBを使用する4つのShodexカラム(HT803、HT804、HT805、及びHT806)を装備したWaters GPC 150Cクロマトグラフィーユニットで140℃でクロマトグラフィーにかけ、FTIR分光計及び加熱FTIRフロースルーセルが検出システムとして加熱された移送ラインを通じてクロマトグラフィーユニットに結合された。SECカラムを酸化分解から保護するために、BHTを250ppmの濃度で移動相に添加した。試料注入量は300μLであった。生のFTIRスペクトルをOPUS FTIRソフトウェアで処理し、OPUSに関連付けられたChemometricソフトウェア(PLS technique)を用いて、ポリマー濃度及びメチル含量をリアルタイムで計算した。次いで、ポリマー濃度及びメチル含量を取得し、CIRRUS GPCソフトウェアでベースライン補正した。SECカラムは、狭い分布のポリスチレン標準で較正された。ASTM標準試験法D6474に記載されているように、Mark-Houwink方程式を使用して、ポリスチレン分子量をポリエチレン分子量に変換した。コモノマー含量は、Paul J.DesLauriers,Polymer 43,pages 159-170(2002);に記載されているように、ポリマー濃度及びPLS技術によって予測されたメチル含量に基づいて計算され;参照により本明細書に組み込まれる。
【0248】
GPC-FTIR法は、各高分子鎖の末端に位置するメチル基、すなわちメチル末端基を含む総メチル含量を測定する。したがって、生のGPC-FTIRデータは、メチル末端基から寄与分を差し引くことにより補正する必要がある。より明確にするために、生のGPC-FTIRデータは、短鎖分岐(SCB)の量を過大評価し、この過大評価は分子量(M)が減少するにつれて増加する。本開示では、生のGPC-FTIRデータは、2-メチル補正を使用して補正された。所与の分子量(M)で、以下の式;NE=28000/Mを使用してメチル末端基(NE)の数を計算し、NE(M依存)を生のGPC-FTIRデータから差し引いて、SCB/1000C(2-メチル補正)GPC-FTIRデータを作成した。
【0249】
<CRYSTAF/TREF(CTEF)>
エチレンコポリマー組成物(及び比較例)の「組成分布幅指数」(以下CDBI)は、IR検出器(以下CTREF)を装備したCRYSTAF/TREF200+ユニットを使用して測定された。「TREF」という頭字語は、Temperature Rising Elution Fractionation(温度上昇溶出分別)を指す。CTREFは、PolymerChar S.A.(Valencia Technology Park,Gustave Eiffel,8,Paterna,E-46980 Valencia,Spain)から供給された。CTREFは、TREFモードで操作され、これは溶出温度、Co/Ho比(コポリマー/ホモポリマー比)、及びCDBI(組成分布幅指数)、すなわち、CDBI50及びCDBI25の関数としてポリマー試料の化学組成を生成する。ポリマー試料(80~100mg)をCTREFの反応容器に入れた。反応容器に35mlの1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)を充填し、溶液を150℃に2時間加熱することによりポリマーを溶解した。次いで、溶液のアリコート(1.5mL)をステンレス鋼ビーズが詰められたCTREFカラムに装填した。試料を装入したカラムを、110℃で45分間安定化させた。次いで、温度を0.09℃/分の冷却速度で30℃に下げることにより、カラム内の溶液からポリマーを結晶化させた。次いで、カラムを30℃で30分間平衡化した。次いで、TCBを0.75mL/分でカラムに流しながら、結晶化したポリマーをカラムから溶出し、カラムを0.25℃/分の加熱速度で30℃から120℃にゆっくりと加熱した。生のCTREFデータは、社内で開発されたPolymer ChARソフトウェア、Excelスプレッドシート、及びCTREFソフトウェアを使用して処理された。CDBI50は、組成が中央コモノマー組成の50%以内であるポリマーのパーセントとして定義され;CDBI50は、米国特許第5,376,439号に記載されているように、組成分布硬化及び組成分布曲線の正規化された累積積分から計算された。当業者は、CTREF溶出温度をコモノマー含量、すなわち特定の温度で溶出するエチレン/α-オレフィンポリマー画分中のコモノマーの量に変換するために較正曲線が必要であることを理解するであろう。そのような較正曲線の作成は、先行技術、例えば、Wild他著,J.Polym.Sci.,Part B,Polym.Phys.,20(3)巻,441-455に頁に記載されており、参照により本明細書に完全に組み込まれる。同様の方法で計算されたCDBI25;CDBI25は、組成が中央コモノマー組成の25%であるポリマーのパーセントとして定義される。各試料の実行終了時に、CTREFカラムは30分間クリーニングされ;具体的には、CTREFカラムの温度を160℃にして、TCBを30分間カラムに流した(0.5mL/分)。
【0250】
CTREFピーク溶出温度を用い、以下の式:SCB1(#C
6/1000C)=74.29-0.7598(T
P
CTREF)(式中、T
P
CTREFは、CTREFクロマトグラムの第1のエチレンコポリマー組成物のピーク溶出温度である)及びSCB1(#C
6/1000C)=9341.8(ρ
1)
2-17766(ρ
1)+8446.8(式中、ρ
1は第1のエチレンコポリマー組成物の密度であった)を用いて、第1のエチレンコポリマーの分岐量(SCB1(#C
6/1000C))及び密度を決定した。第2のエチレンコポリマーのSCB2(#C
6/1000C)及び密度は、ブレンド規則を用い、エチレンコポリマー組成物の全体的なSCB、SCB全体の組成物(#C
6/1000C(式中、#C
6はヘキシル分岐の数)として測定され、あるいは、ヘキシル分岐のプロキシである#CH
3/1000C(式中、CH
3はメチル基の数)としてFTIRから測定される)、及びエチレンコポリマー組成物の全体的な密度を考慮して、決定した。発明例1の第1のエチレンコポリマーのT
P
CTREFの相対位置を示している
図3を参照されたい。
【0251】
上記のCTREF手順は、TREFプロファイルのモダリティ(modality)、溶出強度の最大値(溶出ピーク)が生じる温度若しくは温度範囲、及び、90℃~105℃の温度で溶出するエチレンコポリマー組成物の重量パーセント(wt%)(すなわち、CTREF分析で90℃~105℃で溶出するエチレンコポリマー組成物の画分の積算面積(重量パーセント))を決定するためにも使用される。
【0252】
<中性子放射化(元素分析)>
中性子放射化分析(以下N.A.A.)を用いて、エチレンコポリマー組成物中の触媒金属残留物を以下のように決定した。放射線バイアル(超高純度ポリエチレンで構成され、内部容量7mL)にエチレンコポリマー組成物試料を充填し、試料重量を記録した。空気圧移送システムを用いて、試料をSLOWPOKE(商標)原子炉(Atomic Energy of Canada Limited,オタワ、オンタリオ州、カナダ)内部に配置し、半減期の短い元素(例えば、Ti、V、Al、Mg、及びCl)の場合は30~600秒、又は半減期の長い元素(例えば、Zr、Hf、Cr、Fe、及びNi)の場合は3~5時間照射した。原子炉内の平均熱中性子束は、5×1011/cm2/sであった。照射後、試料を原子炉から取り出してエージングし、放射能を減衰させ;半減期の短い元素は300秒間エージングされ、半減期の長い要素は数日間エージングされた。エージング後、ゲルマニウム半導体ガンマ線検出器(OrtecモデルGEM55185、Advanced Measurement Technology Inc.,オークリッジ、テネシー州、米国)及びマルチチャネル分析装置(OrtecモデルDSPEC Pro)を使用して、試料のガンマ線スペクトルを記録した。試料中の各元素の量は、ガンマ線スペクトルから計算され、エチレンコポリマー組成物試料の総重量に対する百万分の一で記録された。N.A.A.システムは、Specpure標準(所望の元素の1000ppm溶液(99%を超える純度))で較正された。1mLの溶液(目的の要素)を15mm×800mmの長方形のペーパーフィルターにピペットで取り、風乾した。次いで、濾紙を1.4mLのポリエチレン照射バイアルに入れ、N.A.A.システムで分析した。標準を使用して、N.A.A.手順(カウント/μg)の感度を決定する。
【0253】
<不飽和>
エチレンコポリマー組成物の不飽和基、すなわち二重結合の量は、ASTM D3124-98(ビニリデン不飽和、2011年3月発行)及びASTM D6248-98(ビニル及びトランス不飽和、2012年7月発行)に従って決定された。エチレンコポリマー組成物の試料は、a)最初に二硫化炭素抽出に供して、分析に干渉する可能性のある添加剤を除去し;b)試料(ペレット、フィルム、又は顆粒状)をプレスして均一な厚さ(0.5mm)のプラークにし;c)プラークをFTIRで分析した。
【0254】
<コモノマー含量:フーリエ変換赤外(FTIR)分光法>
エチレンコポリマー組成物中のコモノマーの量は、FTIRによって決定され、CH3#/1000C(1000個の炭素原子あたりのメチル分岐の数)の寸法を有する短鎖分岐(SCB)含量として報告された。この試験は、ASTM D6645-01(2001)に従って、圧縮成形されたポリマープラーク及びThermo-Nicolet 750 Magna-IR分光光度計を用いて完了した。ポリマープラークは、ASTM D4703-16(2016年4月)に従って、圧縮成形装置(Wabash-Genesisシリーズプレス)を使用して調製した。
【0255】
<13C核磁気共鳴(NMR)>
0.21~0.30gのポリマー試料を10mm NMRチューブに計量した。次いで、試料を重水素化オルトジクロロベンゼン(ODCB-d4)で溶解し、125℃に加熱し;ヒートガンを使用して混合プロセスを支援した。13C NMRスペクトル(スペクトルあたり24000スキャン)は、125℃に維持された10mm PABBOプローブヘッドを装着したBruker AVANCE III HD 400 MHz NMR分光計で収集された。化学シフトは、30.0ppmの値が割り当てられたポリマー骨格共鳴を基準とした。13Cスペクトルは、1.0Hzのラインブロードニング(LB)係数を用いた指数乗算を使用して処理された。それらはまた、解像度を高めるために、LB=-0.5Hz及びGB=0.2のガウス乗算を使用して処理された。
【0256】
<示差走査熱量測定(DSC)>
一次融解ピーク(℃)、融解ピーク温度(℃)、融解熱(J/g)、及び結晶化度(%)は、示差走査熱量測定(DSC)を使用して次のように決定した。機器は最初にインジウムで較正された。キャリブレーション後、ポリマー試験片を0℃で平衡化し、10℃/分の加熱速度で温度を200℃に上げた。次に、溶融物を等温で200℃で5分間保持した。次に、溶融物を10℃/分の冷却速度で0℃に冷却し、0℃で5分間維持した。次に、試験片を10℃/分の加熱速度で200℃に加熱した。DSC Tm、融解熱、及び結晶化度は、2回目の加熱サイクルから報告する。
【0257】
<動的機械分析(DMA)>
小さな歪み振幅での振動せん断測定を実施して、N2雰囲気下の190℃、10%の歪み振幅、10ポイントあたり5ポイントで0.02~126rad/sの周波数範囲で線形粘弾性関数を取得した。周波数掃引実験は、5°の円錐角、137μmの切頭、及び25mmの直径の円錐板形状を使用して、TA Instruments DHR3応力制御レオメーターで実行した。この実験では、正弦波の歪み波が適用され、線形粘弾性関数の観点から応力応答が分析された。DMA周波数スイープの結果に基づくゼロせん断速度粘度(η0)は、Ellisモデル(R.B.Bird他著,「Dynamics of Polymer Liquids.Volume1:Fluid Mechanics」Wiley-Interscience Publications(1987年)228頁を参照)又はCarreau-Yasudaモデル(K.Yasuda(1979年)PhD Thesis,IT Cambridgeを参照)によって予測された。本開示では、LCBF(長鎖分岐係数)は、DMAで決定されたη0を使用して決定された。
【0258】
<溶融強度>
溶融強度は、Rosand RH-7キャピラリーレオメーター(バレル直径=15mm)で、直径2mm、L/D比10:1のフラットダイを使用して、190℃で測定される。圧力変換器:10,000psi(68.95MPa)。ピストン速度:5.33mm/分。運搬角度:52°。運搬の増分速度:50~80m/min2又は65±15m/min2。ポリマー溶融物は、一定の速度でキャピラリーダイを通して押し出され、次いで、ポリマーストランドは、それが破裂するまで、増加する運搬速度で引き出される。力対時間曲線のプラトー領域における力の最大定常値は、ポリマーの溶融強度として定義される。
【0259】
<フィルムダート衝撃>
フィルムダート衝撃強度(film dart impact strength)は、ASTM D1709-09方法A(2009年5月1日)を使用して決定した。本開示では、ダート衝撃試験は、直径1.5インチ(38mm)の半球形頭付きダートを使用した。
【0260】
<フィルム穿刺>
フィルム「穿刺(puncture)」、フィルムを破壊するのに必要なエネルギー(J/mm)は、ASTM D5748-95(最初は1995年に採用され、2012年に再承認)を使用して決定した。
【0261】
<フィルム潤滑穿刺>
「潤滑穿刺」試験は、次のように行われた:毎分10インチ(25.4cm/分)で移動する直径0.75インチ(1.9cm)の洋ナシ形のフルオロカーボンコーティングしたプローブを使用して、フィルム試料を穿刺するエネルギー(J/mm)を決定した。
ASTM条件を用いた。試験片を試験する前に、摩擦を低減するためにプローブヘッドにMuko Lubricating Jellyを手で塗った。Muko Lubricating Jellyは水溶性パーソナル潤滑剤であり、Cardinal Health Inc.(1000 Tesma Way,Vaughan,ON L4K 5R8 カナダ)から入手可能である。プローブをInstron Model 5 SL Universal Testing Machineに装着し、1000-Nの負荷セルを使用した。フィルム試料(厚さ1.0ミル(25μm)、幅5.5インチ(14cm)、長さ6インチ(15cm))をInstronに装着し、穿刺した。
【0262】
<フィルム引張>
引張破断強度(MPa)、破断時伸び(%)、引張降伏強度(MPa)、引張降伏時伸び(%)、及びフィルム強靭性、又は破断するまでの総エネルギー(ft・lb/in3)のフィルム引張特性群は、ASTM D882-12(2012年8月1日)を使用して決定した。引張特性は、インフレーションフィルムの縦方向(MD)及び横断方向(TD)の両方で測定した。
【0263】
<フィルム割線係数>
割線係数(secant modulus)は、フィルム剛性の尺度である。割線係数は、応力-歪み曲線上の2点間に引かれた線の傾き、すなわち割線である。応力-歪み曲線上の第1の点は、起点、すなわち、起点に対応する点(ゼロパーセント歪み及びゼロ応力の点)であり、応力-歪み曲線上の第2の点は、1%の歪みに対応する点であり、これらの2点が与えられると、1%割線係数が計算され、単位面積当たりの力(MPa)で表現される。2%割線係数も同様に計算される。ポリエチレンの応力-歪み関係はフックの法則に従わない、すなわち、ポリエチレンの応力-歪み挙動はその粘弾性質により非線形であるため、この方法を使用してフィルム弾性率を計算する。割線係数は、200lbfの負荷セルを備えた従来のInstron引張試験機を使用して測定した。試験用に単層フィルム試料片を長さ14インチ、幅1インチ、及び厚み1ミルの寸法に切断し、試料の縁部に傷又は切込みがないことを確認する。フィルム試料片を縦方向(MD)及び横断方向(TD)の両方に切断し、試験した。ASTM条件を用いて、試料を調整した。各フィルムの厚さを、携帯型マイクロメータで正確に測定し、試料名と共にInstronソフトウェアに入力した。10インチのグリップ間隔でInstronに試料を装着し、1インチ/分の速度で引っ張り、応力-歪み曲線を生成した。Instronソフトウェアを使用して、1%割線係数、及び2%割線係数を計算した。
【0264】
<フィルム穿刺伝播引裂>
インフレーションフィルムの穿刺伝播引裂抵抗(film puncture-propagation tear)は、ASTM D2582-09(2009年5月1日)を用いて決定した。この試験は、インフレーションフィルムの引っ掛かり(snagging)に対する抵抗、より正確には、引裂をもたらす動的穿刺及びその穿刺の伝播に対する抵抗を測定する。穿刺伝播引裂抵抗は、インフレーションフィルムの縦方向(MD)及び横断方向(TD)で測定した。
【0265】
<フィルムエルメンドルフ引裂度>
フィルム引裂性能は、ASTM D1922-09(2009年5月1日)により決定され、引裂に対する同様の用語は「エルメンドルフ引裂度」(“Elmendorf tear”)である。フィルムの引裂度は、インフレーションフィルムの縦方向(MD)及び横断方向(TD)の両方で測定した。
【0266】
<フィルム光学>
フィルム光学特性は、以下のように測定された:ヘイズ、ASTM D1003-13(2013年11月15日)、及び;光沢、ASTM D2457-13(2013年4月1日)。
【0267】
<フィルムDynatup衝撃>
計装衝撃試験は、Illinois Test Works Inc.(サンタバーバラ、カリフォルニア州、米国)から購入したDynatup衝撃試験機と呼ばれる機械で実施した。当業者はこの試験を頻繁にDynatup衝撃試験と呼んでいる。試験は、以下の手順に従って完了した。試験試料は、インフレーションフィルムのロールから幅約5インチ(12.7cm)及び長さ約6インチ(15.2cm)の細片を切り取ることにより調製し、フィルムの厚さは約1ミルであった。試験の前に、各試料の厚さを携帯型マイクロメータで正確に測定し、記録した。ASTM条件を用いた。試験試料は、空気圧クランプを用いて9250 Dynatup衝撃ドロップタワー/試験機に取り付けられた。直径0.5インチ(1.3cm)のDynatupタップ#1を、付属のアレンボルトを用いてクロスヘッドに装着した。試験の前に、フィルム衝撃速度が10.9±0.1ft/sになるような高さまでクロスヘッドを上げる。1)クロスヘッドの減速又はタップの減速が、試験の開始からピーク負荷の時点まで20%以下であり、2)タップが試験片を貫通しなければならないように、クロスヘッドに重量を追加した。タップがフィルムを貫通しない場合は、打撃速度を上げるために、クロスヘッドに追加の重量が追加される。各試験中に、Dynatupインパルスデータ取得システムソフトウェアは、実験データ(負荷(lb)対時間)を収集した。少なくとも5つのフィルム試料が試験され、ソフトウェアは、以下の平均値を報告する:「Dynatup 最大(Max)負荷(lb)」、衝撃試験中に測定された最大負荷;「Dynatup 総エネルギー(ft・lb)」、試験開始から試験終了までの負荷曲線下の領域(試料の穿刺)、及び;「最大負荷時のDynatup総エネルギー(ft・lb)」、試験開始から最大負荷点までの負荷曲線下の領域。
【0268】
<フィルムヘキサン抽出物>
ヘキサン抽出物は、連邦規則21 CFR§177.1520Para(c)3.1及び3.2に従って決定した。フィルム中のヘキサン抽出可能物質の量は、重量測定により決定される。精巧な、2.5グラムの3.5ミル(89μm)単層フィルムをステンレス鋼バスケットに入れ、フィルム及びバスケットを軽量した(wi)。バスケットに入れたままで、フィルムを、49.5℃のn-ヘキサンで2時間抽出し;真空オーブン内で80℃で2時間乾燥し;デシケーターで30分間冷却し;軽量した(wf)。重量減少率は、ヘキサン抽出物の割合(wC6):wC6=100×(wi-wf)/wiである。
【0269】
<フィルムホットタック>
本開示では、「ホットタック試験」は、ASTM条件を用いて、以下のように行った。ホットタックデータは、Jbi Hot Tack,Geloeslaan 30,B-3630 Maamechelen,Belgiumから市販されているJ&Bホットタック試験機を使用して作成した。ホットタック試験において、ポリオレフィンとポリオレフィンのシール強度は、2つのフィルム試料を一緒にヒートシールした直後(2つのフィルム試料は2.0ミル(51μm)の厚さのフィルムの同じロールから切断された)、すなわち、フィルムを構成するポリオレフィン高分子は半溶融状態であるときに、測定する。この試験は、高速自動包装機、例えば、垂直又は水平型、充填及び密封装置でのポリエチレンフィルムのヒートシールをシミュレートする。J&Bホットタック試験では、以下のパラメータが使用された:フィルム試験片の幅、1インチ(25.4mm);フィルムシール時間、0.5秒;フィルムシール圧力、0.27N/mm2;遅延時間、0.5秒;フィルム剥離速度、7.9インチ/秒(200mm/秒);試験温度範囲、131°F~293°F(55℃~145℃);温度の増分、9°F(5℃);5つのフィルム試料を各温度増分で試験して、各温度での平均値を計算した。このようにして、引張力vsシール温度のホットタックプロファイルを生成する。このホットタックプロファイルから以下のデータを計算することができる:「ホットタック開始温度@1.0N(℃)」又は「HTOT」は、1Nのホットタック力が観察された温度(5つのフィルム試料の平均)であり;「最大ホットタック強度(N)」は、試験温度範囲にわたって観察された最大ホットタック力(5つのフィルム試料の平均)であり;「温度-最大ホットタック(℃)」は、最大ホットタック力が観察された温度である。最後に、ホットタック(強度)ウィンドウ(「ホットタックウィンドウ」又は「HTW」)は、特定のシール強度、例えば2.5ニュートンでのホットタック曲線がまたがる温度範囲(℃)として定義される。当業者であれば、ホットタックウィンドウは、異なる方法で定義されたシール強度に対して決定できることを理解するであろう。一般的に言えば、所与のシール強度に対して、ホットタックウィンドウが大きいほど、高いシール力を維持又は達成することができる温度ウィンドウが大きくなる。
【0270】
<フィルムヒートシール強度>
本開示において、「ヒートシール強度試験」(コールドシール試験としても知られる)は、以下のように行った。ASTM条件を用いた。ヒートシールデータは、従来のInstron引張試験機を使用して作成した。この試験では、2つのフィルム試料を一定の温度範囲でシールする(2つのフィルム試料を厚さ2.0ミル(51μm)のフィルムの同じロールから切断した)。ヒートシール強度(又はコールドシール)試験では、以下のパラメータを使用した:フィルム試験片幅、1インチ(25.4mm);フィルムシール時間、0.5秒;フィルムシール圧力、40psi(0.28N/mm2);温度範囲、212°F~302°F(100℃~150℃)及び温度増分、9°F(5℃)。ASTM条件で少なくとも24時間エージングした後、以下の引張パラメータを使用してシール強度を決定した:引張(クロスヘッド)速度、12インチ/分(2.54cm/分);シールするための引張り方向、90°、及び;フィルムの5つの試料を各温度増分で試験した。シール開始温度(以下、「SIT」)は、商業的に実行可能なシールを形成するのに必要な温度として定義され;商業的に実行可能なシールのシール強度は、シール1インチあたり2.0lb(シール25.4mmあたり8.8N)である。
【0271】
<長鎖分岐係数(LCBF)>
エチレンコポリマー組成物のLCBF(無次元)は、米国特許出願公開第2018 / 0305531号に記載されている方法を使用して決定し、当該公開公報は、参照により本明細書に組み込まれる
【0272】
<エチレン共重合体組成物>
エチレンコポリマー組成物はそれぞれ、混合二重触媒系を用いて「直列(in-series)」二重反応器溶液重合プロセスで製造されたものである。その結果、エチレンコポリマー組成物はそれぞれ、シングルサイト触媒で作製された第1のエチレンコポリマーと、マルチサイト触媒で作製された第2のエチレンコポリマーとを含んでいた。混合二重触媒を使用するものを含む「直列」二重反応器、液相重合プロセスは、米国特許出願公開第2018/0305531号に記載されている。基本的に、「直列」二重反応器システムでは、第1の重合反応器(R1)からの出口流は、第2の重合反応器(R2)に直接流れ込む。
【0273】
R1の圧力は約14MPa~約18MPaであり、R2は、R1からR2への連続的な流れを促進するためにより低い圧力で運転した。R1とR2は両方とも連続撹拌反応器(CSTR)であり、反応器の内容物が十分に混合される条件で撹拌した。このプロセスは、新鮮なプロセス溶媒、エチレン、1-オクテン、及び水素を反応器に供給し、生成物を除去することによって連続的に運転した。メチルペンタンをプロセス溶媒(メチルペンタン異性体の市販ブレンド)として使用した。第1のCSTR反応器(R1)の体積は3.2ガロン(12L)、第2のCSTR反応器(R2)の体積は5.8ガロン(22L)であった。モノマー(エチレン)及びコモノマー(1-オクテン)は、反応器に添加する前に、従来のフィード調製システム(水、酸素、極性汚染物質などの不純物を除去するための様々な吸収媒体との接触など)を使用して、精製した。反応器フィードは、表1に示す比率で反応器にポンプで送られた。反応器内の平均滞留時間は、平均流量を反応器の体積で割ることによって計算され、主に、各反応器を流れる溶媒の量及び溶液プロセスを流れる溶媒の総量によって影響を受ける。
【0274】
以下のシングルサイト触媒(SSC)成分を使用して、第2の反応器(R2)と直列に構成された第1の反応器(R1)で第1のエチレンコポリマーを調製した:ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ハフニウムジメチド[(2,7-tBu2Flu)Ph2C(Cp)HfMe2];メチルアルミノキサン(MMAO-07);トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレート(トリチルボレート)、及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール(BHEB)。メチルアルミノキサン(MMAO-07)と2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールをインラインで予備混合し、重合反応器(R1)に入る直前に、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフオレニル)ハフニウムジメチド及びトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートと組み合せた。
触媒成分のモル比とR1触媒入口温度を調整することにより、シングルサイト触媒配合物の効率を最適化した。
【0275】
以下のチーグラー・ナッタ(ZN)触媒成分を使用して、第1の反応器(R1)と直列に構成された第2の反応器(R2)で第2のエチレンコポリマーを調製した:ブチルエチルマグネシウム;ターシャリーブチルクロリド;四塩化チタン;ジエチルアルミニウムエトキシド;及びトリエチルアルミニウム。メチルペンタンを触媒成分溶媒として使用し、インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物を以下のステップを使用して調製し、次いで第2の反応器(R2)に注入した。ステップ1では、トリエチルアルミニウムとブチルエチルマグネシウム(Mg:Al=20、モル:モル)の溶液をターシャリーブチルクロリドの溶液と混合し、約30秒間反応させて、MgCl2担体を生成した。ステップ2では、四塩化チタンの溶液をステップ1で形成された混合物に加え、約14秒間反応させてから、第2の反応器(R2)に注入した。インライン式チーグラー・ナッタ触媒は、R2にジエチルアルミニウムエトキシドの溶液を注入することにより、反応器内で活性化された。反応器に添加された四塩化チタンの量を、表1に示す。触媒成分のモル比を調整することにより、インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物の効率を最適化した。
【0276】
連続溶液重合プロセスでの重合は、第2の反応器出口流に触媒失活剤を添加することにより終了した。使用された触媒失活剤は、P&G Chemicals,Cincinnati,OH,U.S.Aから市販されているオクタン酸(カプリル酸)であった。触媒失活剤は、添加される脂肪酸のモルが重合プロセスに添加されるハフニウム、チタン、及びアルミニウムの総モル量の50%になるように添加され;明確にするために、添加されたオクタン酸のモル=0.5×(ハフニウムのモル+チタンのモル+アルミニウムのモル)であった。
【0277】
2段階脱揮プロセスを用いて、プロセス溶媒からエチレンコポリマー組成物を回収した。すなわち、2つの蒸気/液体分離器を使用して、第2のボトム流(第2のV/L分離器から)をギアポンプ/ペレタイザーの組合せに通過させた。協和化学工業株式会社(東京、日本)により供給されるDHT-4V(ハイドロタルサイト)を、連続溶液プロセスにおいて不動態化剤、又は酸スカベンジャーとして使用した。プロセス溶媒中のDHT-4Vのスラリーを第1のV/L分離器の前に添加した。添加したDHT-4Vのモル量は、溶液プロセスに添加したtertブチルクロリド及び四塩化チタンのモル量よりも10倍高かった。
【0278】
ペレット化の前に、エチレンコポリマー組成物の重量に基づいて、500ppmのIrganox 1076(一次酸化防止剤)及び500ppmのIrgafos 168(二次酸化防止剤)を添加することにより、エチレンコポリマー組成物を安定化させた。酸化防止剤をプロセス溶媒に溶解し、第1のV/L分離器と第2のV/L分離器との間に添加した。
【0279】
表1に、本発明のエチレンコポリマー組成物のそれぞれを作製するために使用される反応器条件を示す。表1には、反応器(R1及びR2)間のエチレンのスプリット及び1-オクテンのスプリット、反応器温度、エチレン転化率などのプロセスパラメータが含まれている。
【0280】
本発明のエチレンコポリマー組成物(発明例1~6)の特性、及びいくつかの比較樹脂(比較例1~7)の特性を表2に示す。比較例1は、Dow Chemical Companyから市販されている樹脂であるELITE(登録商標)AT6202である。ELITE AT6202の密度は約0.908g/cm3で、メルトインデックスI2は約0.83dg/分である。比較例2は、Dow Chemical Companyから市販されている樹脂であるAFFINITY(登録商標)PL1840Gである。AFFINITY PL1840Gの密度は0.909g/cm3で、メルトインデックスI2は0.88dg/分である。比較例3は、Borealis AGから市販されている樹脂であるQueo(登録商標)1001である。QUEO(登録商標)1001の密度は0.909g/cm3で、メルトインデックスI2は1.11dg/分である。比較例4は、ExxonMobilから市販されている樹脂であるEXCEED(登録商標)1012HAである。EXCEED 1012HAの密度は約0.912g/cm3で、メルトインデックスI2は約0.98dg/分である。比較例5は、ExxonMobilから市販されている樹脂であるEXCEED 3812である。EXCEED 3812の密度は約0.911g/cm3で、メルトインデックスI2は約3.78dg/分である。比較例6は、米国特許出願公開第2016/0108221号に従って作製された樹脂である。比較例6は、エチレン/1-オクテンコポリマーであり、密度は約0.914g/cm3であり、メルトインデックスI2は約0.86dg/分であり、第1の反応器と第2の反応器が互いに直列に構成されているマルチ反応器溶液プロセスで作製される。比較例7は、NOVA Chemicals Corporationから市販されている樹脂であるSURPASS(登録商標)FPs317-Aである。SURPASS FPs317-Aの密度は0.917g/cm3で、メルトインデックスI2は3.83dg/分である。
【0281】
本発明のエチレンコポリマー組成物成分の詳細:第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマーを、表3に示す。表3に示すエチレンコポリマー組成物の成分特性は、CTREF分析法と重合プロセスモデルからの計算とを組み合わせて用い、決定した(例えば、SCB1、SCB2、d1及びd2、wt1及びwt2、Mw1、Mw2、Mn1、Mn2、I2
1及びI2
2の決定について)。
【0282】
<重合プロセスモデル>
多成分(又は二峰性樹脂)ポリエチレンポリマーについて、Mw、Mn、及びMw/Mnを、実際のパイロットスケールの運転条件に採用された入力条件を使用して、反応器モデルシミュレーションにより、本明細書において計算した(関連する反応器モデリング方法の参考文献として、A.Hamielec,J.MacGregor,及びA.Penlidis著,「Copolymerization」,Comprehensive Polymer Science and Supplements,3巻,2章,17頁,Elsevier,(1996年)及び、J.B.P Soares及びA.E Hamielec著,「Copolymerization of Olefins in a Series of Continuous Stirred-Tank Slurry-Reactors using Heterogeneous Ziegler-Natta and Metallocene Catalysts I.General Dynamic Mathematical Model」,Polymer Reaction Engineering,4(2&3),153頁,(1996年)を参照)。
【0283】
このモデルは、各反応器に向かういくつかの反応種(例えば:触媒、エチレンなどのモノマー、1-オクテンなどのコモノマー、水素、溶媒)の流れ、(各反応器内の)温度、及び(各反応器内の)モノマーの転化率を入力し、直列に接続された連続撹拌タンク反応器(CSTR)の末端反応速度論モデルを用いて、(各反応器内で作製されたポリマーの、すなわち、第1及び第2のエチレンコポリマーの)ポリマー特性を計算する。この「末端反応速度モデル(terminal kinetic model)」は、反応速度が、活性触媒部位が位置するポリマー鎖内のモノマー単位に依存すると仮定としている(A.Hamielec,J.MacGregor,及びA.Penlidis著,「Copolymerization」,Comprehensive Polymer Science and Supplements,3巻,2章,17頁,Elsevier,(1996年)を参照)。このモデルでは、活性触媒中心でのモノマー/コモノマー単位の挿入の統計が有効であり、伝播以外の経路で消費されるモノマー/コモノマーが無視できることを保証するために、コポリマー鎖は適度に大きな分子量であると仮定される。これは「長鎖」近似として知られている。
【0284】
重合の末端反応速度論モデルには、活性化、開始、伝播、連鎖移動、及び非活性化経路の反応速度式が含まれている。このモデルは、上記で特定された反応種を含む反応性流体の定常状態の保存方程式(例えば、総物質収支と熱収支)を解く。
【0285】
所与の数の入口と出口を有する一般的なCSTRの総物質収支は、次式で与えられる:
【数1】
(式中、
は個々の流れ(stream)の質量流量を表し、インデックスiは入口流(inlet stream)と出口流(outlet stream)を示す)。
【0286】
式(1)をさらに展開して、個々の種と反応を示すことができる。
【数2】
(式中、M
iは流体入口又は出口(i)の平均モル重量であり、x
ijは流れi中の種jの質量分率であり、ρ
mixは反応器混合物のモル密度であり、Vは反応器の容積であり、R
jは種jの反応速度(単位はkmol/m
3s)である)。
【0287】
総熱収支は断熱反応器について解かれ、次式で与えられる:
【数3】
(式中、
は流れi(入口又は出口)の質量流量であり、ΔH
iは流れiの参照状態に対するエンタルピーの差であり、q
Rxは反応によって放出される熱であり、Vは反応器の容積であり、
は作業入力(すなわち,撹拌機)であり、Qは熱の入力/損失である)。
【0288】
各反応器に入力される触媒濃度は、反応速度論モデルの方程式(例えば、伝播速度、熱収支、物質収支)を解くために、実験的に決定されたエチレン転化率と反応器温度の値に一致するように調整される。
【0289】
各反応器に入力されるH2濃度は、両方の反応器で作製されたポリマーの計算された分子量分布(したがって、各反応器で作製されたポリマーの分子量)が、実験的に観察されたものと一致するように、同様に調整することができる。
【0290】
各反応器(R1及びR2)で作製される材料の重量分率(wt1及びwt2)は、各反応器へのモノマー及びコモノマーの質量流量を知ることと、速度論的反応に基づいて計算された各反応器でのモノマー及びコモノマーの転化率を知ることから決定される。
【0291】
重合反応の重合度(dp
n)は、連鎖移動/停止反応の速度に対する連鎖伝播反応の速度の比率で与えられる:
【数4】
(式中、k
p12は、モノマー1が終端の成長ポリマー鎖にモノマー2を付加するための伝播速度定数であり、[m
1]は、反応器内のモノマー1(エチレン)のモル濃度であり、[m
2]は、反応器内のモノマー2(1-オクテン)のモル濃度であり、k
tm12は、モノマー1が終端の成長鎖の、モノマー2への連鎖移動の停止速度定数であり、k
tS1は、モノマー1が終端の鎖の自発的な連鎖停止速度定数であり、k
tH1は、モノマー1が終端の鎖の水素による連鎖停止速度定数である。Φ
1及びΦ
2は、それぞれモノマー1又はモノマー2で終端する鎖が占める触媒サイトの分率である)。
【0292】
ポリマーの数平均分子量(M
n)は、重合度とモノマー単位の分子量から求められる。所与の反応器におけるポリマーの数平均分子量から、シングルサイト触媒のFlory-Schultz分布を仮定し、次の関係式を用いてポリマーの分子量分布が決定される。
【数5】
ここで、nはポリマー鎖中のモノマー単位の数であり、w(n)は鎖長nを有するポリマー鎖の重量分率であり、τは次の式を用いて計算される:
【数6】
(式中、dp
nは重合度であり、R
pは伝播速度であり、R
tは停止速度である)。
【0293】
Flory-Schultz分布は、以下を適用することにより、一般的な対数スケールのGPCトレースに変換できる:
【数7】
(式中、dW/dlog(MW)は、鎖長n(n=MW/28、ここで28はC
2H
4単位に対応するポリマーセグメントの分子量)を有するポリマーの示差重量分率であり、dp
nは重合度である)。
【0294】
Flory-Schultzモデルを仮定すると、分子量分布の異なるモーメントは、以下のように計算することができる:
【数8】
したがって、
μ
0=1、
μ
1=dp
n、及び
μ
2=2dp
n
2;
このようにして、
【数9】
【数10】
ここで、Mw
モノマーは、モノマーのC
2H
4単位に対応するポリマーセグメントの分子量である。
【0295】
あるいは、チーグラー・ナッタ触媒を使用する場合、チーグラー・ナッタ触媒によって所与の反応器で作製されたポリマーの分子量分布は、上記のようにモデル化することができるが、4つのそのようなシングルサイト触媒部位(sites)の合計を用いて、それぞれがFlory-Schultz分布を有していると仮定される。チーグラー・ナッタ触媒のプロセスモデルの反応速度(kinetics)を考慮する場合、反応器に供給されるチーグラー・ナッタ触媒成分の総量が既知であり、モデル化された4つの活性触媒部位(sites)のそれぞれに同じ重量分率があると仮定されるが、各部位は独自の反応速度(kinetics)を有する。
【0296】
最後に、シングルサイト触媒で長鎖分岐が生じる場合、以下の関係を用いてポリマーの分子量分布が決定される(J.B.P Soares著,「Polyolefins with Long Chain Branches Made with Single-Site Coordination Catalysts: A Review of Mathematical Modeling Techniques for Polymer Microstructure」,Macromolecular Materials and Engineering,289巻,1号,70-87頁,Wiley-VCH,(2004年)、並びにJ.B.P Soares及びT.F.L.McKenna著,「Polyolefin Reaction Engineering」,Wiley-VCH,(2012年)を参照)。
【数11】
ここで、nはポリマー鎖中のモノマー単位の数であり、w(n)は鎖長nを有するポリマー鎖の重量分率であり、τ
B及びαは、以下の式を用いて計算される:
【数12】
【数13】
ここで、dp
n
Bは重合度であり、R
pは伝播速度であり、R
tは停止速度であり、R
LCBは、以下の式を用いて計算される長鎖分岐形成の速度である:
【数14】
(式中、k
p13は、モノマー1が終端の成長ポリマー鎖にモノマー3(反応器内で生成するマクロモノマー)を付加するための伝播速度定数であり、[m
3]は、反応器内のマクロモノマーのモル濃度である)。
【0297】
重量分布は、以下を適用することにより、一般的な対数スケールのGPCトレースに変換できる:
【数15】
(式中、dW/dlog(MW)は、鎖長n(n=MW/28、ここで28はC
2H
4単位に対応するポリマーセグメントの分子量)を有するポリマーの示差重量分率である)。
【0298】
重量分布から、分子量分布の異なるモーメントは、以下のように計算することができる。
【数16】
【数17】
ここで、dp
n
Bは重合度であり、αは上記のように計算される。
【0299】
【0300】
【0301】
【0302】
表2のデータが明確に示すとおり、比較例1~5とは対照的に、発明例のエチレンコポリマー組成物は、TREF分析において90~100℃で溶出する材料を4重量パーセントを超えて有している。発明例のエチレンコポリマー組成物はまた、0.100ppmを超えるハフニウムと、1ppmを超えるチタンを有しているが、一方で、異なる触媒系(ハフニウム系重合触媒を用いないも触媒系)で作製された比較例6及び7は、両方とも、ハフニウムをゼロppm有すると予想される。
【0303】
<インフレーションフィルム(単層)>
本発明のエチレンコポリマー組成物である発明例1~4(メルトインデックスI
2は1g/10分以下)を、比較樹脂である比較例1、2、3、4及び6(メルトインデックスI
2は1.11g/10分以下)と同様に、Gloucester Blown Film Lineを用いて単層フィルムに吹き込み、インフレーションフィルムとした。
Gloucester Blown Film Lineは、Gloucester押出機(2.5インチ(6.45cm)バレル直径、24/1L/D(バレル長/バレル直径))を備え、以下が装備されている:バリアスクリュー;35ミル(0.089cm)のダイギャップを備えた直径4インチ(10.16cm)の低圧ダイ;及びWestern Polymer Airリング。溶融破壊を回避するために、高濃度のPPAマスターバッチを、前記Lineにスパイクすることにより、ダイをポリマー加工助剤(PPA)でコーティングした。押出機は、スクリーンパック(20/40/60/80/20メッシュ)を装備していた。厚さ約1.0ミル(25.4μm)、及び厚さ2.0ミル(50.8μm)のインフレーションフィルム(2.5:1のブローアップ比(BUR))を、押出機のスクリュー速度を調整することにより、100lb/hr(45.4kg/hr)の一定の出力速度で生成し、冷却空気を調整することにより、フロストラインの高さを16~18インチ(40.64~45.72cm)に維持した。ブローアップ比(BUR)2.5で生成された単層1ミルのフィルムを用いて、フィルムの物理的特性を取得した。単層2ミルのフィルム(BUR=2.5)を用いて、コールドシールプロファイル及びホットタックプロファイルを取得した。インフレーションフィルムの処理条件を、表4に示す。本開示のエチレンコポリマー組成物から吹き出されて得られたインフレーションフィルムのデータと、様々な比較樹脂から作製されたフィルムのデータを、表5に示す。表5に示した本開示のエチレンコポリマー組成物のフィルム特性と、様々な比較樹脂から作製されたフィルムのデータは、ホットタック特性及びコールドシール特性を除いて、1ミルのフィルム(BUR=2.5)上で測定されている。本開示のエチレンコポリマー組成物から吹き込まれて得られたインフレーションフィルムと、様々な比較樹脂から作製されたフィルムの、ホットタック試験プロファイルを、
図4に示す。
【0304】
【0305】
【0306】
表5に示されているデータと
図4のデータは、本発明のエチレンコポリマー組成物(発明例1~4)を、良好な特性のバランスを有するインフレーションフィルムに作製することができることを実証しており、前記特性には、良好なダート衝撃特性、良好な穿刺抵抗特性、及び良好なシーリング特性が含まれる。例えば、
図4を参照すると、本発明のエチレンコポリマー組成物(発明例1~4)から作製されたインフレーションフィルムは、良好なホットタック性能及びコールドシール性能を有する。
【0307】
理論に拘束されることを望まないが、ホットタック(又はコールドシール)プロファイル(シール温度vs.シール力)において、良好なホットタック(又はコールドシール)性能は、ホットタック(又はコールドシール)の開始温度が早い(又は低い)ことにより、次いで、シーリング力が広範囲のホットタックシール温度にわたって比較的高いことにより、示される。例えば、比較例1~4及び6と比較した、発明例1~4の
図4の曲線の形状を参照されたい。発明例1及び2のホットタック曲線の形状は、特に良好であって、ホットタックシール開始温度が早いことと、シーリング力が広範囲のホットタックシール温度にわたって高いことの組合せを有している。この改善されたホットタックシーリング性能をより定量的に測定して提供するために、本明細書では、新しいパラメータである「ホットタック(強度)ウィンドウ」(「ホットタックウィンドウ」又は「HTW」)を定義している。本例では、シール強度2.5ニュートンでのホットタック曲線にまたがる温度範囲(℃)をHTWとする。ホットタックウィンドウが大きいほど、高いシーリング力を維持又は達成することができる温度ウィンドウが大きくなる。
【0308】
表5及び
図4に示すように、発明例1、2、3、及び4は、それぞれ40℃を大幅に超えるHTW(2.5N)を有しており、一方、比較例1~4、及び6は、それぞれ40℃未満のHTW(2.5N)を有している。発明例1~4は、約85℃未満の比較的低いホットタック開始温度(HTOT)も有している。
【0309】
良好なコールドシール特性は、発明例1、2、3、及び4について表5に示されているデータによって証明されている。表5に示されたデータから、当業者は、発明例1、2、3、及び4がそれぞれ、約94℃未満という比較的低いコールドシール開始温度(SIT)を有することを認識するであろう。
【0310】
優れたシーリング性能に加えて、表5のデータは、発明例1、2、3及び4が、比較例1~4及び6と比較して、高いダート衝撃値、低いヘイズ値、及び高い穿刺抵抗値の優れた組み合わせを有することを示している。
【0311】
<キャストフィルム>
本発明のエチレンコポリマー組成物である発明例5及び6(メルトインデックスI
2は3~4g/10分以下)を、比較樹脂である比較例5及び7(メルトインデックスI
2は3~4g/10分以下)と同様に用いて、Gloucester cast film line上に共押出キャストフィルムを作製した。共押出フィルムは、3層のA/B/A構造を有し、Aはスキン層であり、Bはコア層であり、各層は同じポリマーであった。押出機のバレルとアダプターの温度を380°Fに設定し、ダイの温度を400°Fに設定した。押出機は、スクリーンパック(20/40/60/80/20メッシュ)を装備していた。キャスティングロールと冷却ロールは、それぞれ90°Fと80°Fの温度に設定されている。厚さ約0.8ミル(20.3μm)、2.0ミル(50.8μm)、及び厚さ3.5ミル(88.9μm)のキャストフィルムを、表6に示すように巻取機のパラメータを調整することによって生成した。キャストフィルムの処理条件を、表6に示す。本開示のエチレンコポリマー組成物(発明例5及び6)から作製された、厚さ0.8ミルの3層キャストフィルムのデータと、様々な比較樹脂(比較例5及び7)から作製された、厚さ0.8ミルの3層キャストフィルムのデータを、表7に示す。表7には、本開示のエチレンコポリマー組成物(発明例5及び6)から作製された、厚さ2ミルの3層キャストフィルムのコールドシール特性及びホットタック特性と、様々な比較樹脂(比較例5及び7)から作製された、厚さ2ミルの3層キャストフィルムのコールドシール特性及びホットタック特性も含まれている。発明例5又は6、及び比較例5又は7から作製された、厚さ2ミルの3層キャストフィルムのホットタック試験プロファイルを、
図5に示す。
【0312】
【0313】
【0314】
表7に示されているデータと
図5のデータは、本発明のエチレンコポリマー組成物(発明例5及び6)を、良好なシーリング特性を有するキャストフィルム構造体に作製することができることを実証している。例えば、表7及び
図5を参照すると、本発明のエチレンコポリマー組成物(発明例5及び6)から作製された3層キャストフィルムは、良好なホットタック性能及びコールドシール性能を有する。表7及び
図5に示すように、発明例5は、比較例5及び7のいずれよりも優れた(すなわち、より低い)ホットタック開始温度(HTOT)及び優れた(すなわち、より低い)シール開始温度(SIT)を示し;発明例5では、HTOT値は約80℃未満であったが、比較例5及び7では、HTOT値はそれぞれ90.3℃及び101.8℃であり;発明例5では、SIT値は約90℃未満であったが、比較例5及び7では、SIT値はそれぞれ93.1℃及び101.5℃であった。また、表7及び
図5に示すように、発明例6は、キャストフィルム構造体に使用された場合に、30℃を超える、より大きなホットタックウィンドウ(2.5NでのHTW)を示したが、比較例5及び7は、キャストフィルム構造体に使用した場合に、30℃未満のホットタックウィンドウ(2.5NでHTW)を示した。発明例6は、約90℃よりわずかに低いSITを示したが、比較例5及び7は、それぞれ、93.1℃及び101.5℃のSIT値を示した。
【0315】
<インフレーションフィルム(多層)>
多層インフレーションフィルムを、Brampton Engineering(ブランプトン、オンタリオ州、カナダ)から市販されている9層ラインで生成した。生成した9層フィルムの構造を、表8に示す。層1は、シーラント層として、本開示に従って作製された本発明のエチレンコポリマー組成物、又は比較樹脂のいずれかを含んでいた。より具体的には、層1には、発明例1又は発明例2又は比較例6のいずれか89.5重量%が含まれ、アンチブロックマスターバッチ4.0重量%、スリップマスターバッチ2.5重量%、及び加工助剤マスターバッチ4.0重量%が含まれており、層1は、6250ppmのアンチブロック(シリカ(珪藻土))、1500ppmのスリップ(エルカミド)、及び1500ppmの加工助剤(フルオロポリマー化合物)を含んでいた。添加剤マスターバッチキャリア樹脂は、メルトインデックスI2が約2.0g/10分で、密度が約0.918g/ccのLLDPEであることに留意されたい。層1はインサイダー層であり、すなわち、インフレーションフィルムライン(blown film line)上で多層フィルムが生成されたときの、気泡(bubble)の内側であった。9層フィルムの総厚は3.5ミルで一定に保たれ;層1の厚さは0.525ミル(13.3μm)、すなわち3.5ミルの15%であった(表8参照)。層2、5、及び8は、約0.967g/ccの密度及び約1.20dg/分のメルトインデックスI2を有する、NOVA Chemicals Corporationから市販されている高密度ポリエチレン樹脂SURPASS(登録商標)HPs167-ABを含んでいた。層3、4、6及び7は、約0.920g/ccの密度及び約1dg/分のメルトインデックスI2を有する、NOVA Chemicals Corporationから市販されているエチレン/1-オクテンコポリマー樹脂であるSCLAIR(登録商標)FP120-Cを含んでいた。層9は、シーラント樹脂として、約0.958g/ccの密度及び約0.95dg/分のメルトインデックスI2を有する、NOVA Chemicals Corporationから市販されている高密度ポリエチレン樹脂であるSCLAIR(登録商標)19Cを、含んでいた。より具体的には、層9には、97.0重量%のシーラント樹脂を97.0重量%、アンチブロックマスターバッチを3.0重量%が含まれており、層9は、6250ppmのアンチブロック(シリカ(珪藻土))を含んでいた。多層ダイ技術は、パンケーキダイ、FLEX-STACK共押出ダイ(SCD)で構成され、プレートの両側に流路が機械加工されており、ダイ工具の直径は6.3インチで、本開示では85ミルのダイギャップを一貫して使用し、フィルムを2.5のブローアップ比(BUR)で生成し、ラインの出力速度を250lb/hrに一定に保持した。9台の押出機の仕様は以下の通りであった:直径1.5インチ、長さ対直径の比率が30/1のスクリュー、シングルフライト及びMadddoxミキサーを備えた7-ポリエチレンスクリュー、2-ナイロンスクリュー、押出機は空冷式で、20馬力(20-H.P.)のモーターを装備しており、すべての押出機には重量式ブレンダーが装備されていた。ニップと折りたたみフレームには、ニップのすぐ下にあるDECATEX水平振動運搬装置とパール冷却スラットが含まれていた。ラインにはタレット巻取機と振動スリッターナイフが装備されていた。
【0316】
上記のようにして作製した9層のインフレーションフィルム(厚さ3.5ミル)のシーリング特性を、表9に示す。9層のインフレーションフィルムのホットタック試験プロファイルを、
図6に示す。
【0317】
【0318】
【0319】
表9に示したデータは、
図6のデータと共に、本発明のエチレンコポリマー組成物が、多層インフレーションフィルム構造体のシーラント層(層1)として使用される場合、その構造体が改善されたシーリング特性を有することを示している。シーラント層として使用される場合、発明例1及び発明例2は、比較例6よりも、優れた(すなわち、より低い)ホットタック開始温度(HTOT)及び優れた(すなわち、より低い)シール開始温度(SIT)を示し;発明例1及び発明例2では、HTOT値は約81°C未満であったが、比較例6では、HTOT値は92.8であり;発明例1及び発明例2では、SIT値は約90℃以下であったが、比較例6では、SIT値は101.1℃であった。また、表9及び
図6に示すように、多層フィルム構造体のシーラント層1に使用された場合、発明例1及び発明例2は、60℃を越える、より大きなホットタックウィンドウ(5NでのHTW)を示したが、比較例6は、約50℃未満のホットタックウィンドウ値を示した。発明例1及び発明例2はまた、約9Nを超える、より高い最大ホットタック強度をもたらしたが、比較例6は、7.5Nの最大ホットタック強度を示した。
【0320】
理論に拘束されることを望まないが、本発明のエチレンコポリマー組成物によってもたらされる優れたホットタック特性は、生成物(液体、固体、ペースト、部品など)をパウチ状包装内に充填してシールする、高速の垂直製袋充填プロセス及び水平製袋充填プロセスにおいて望まれている。一般に、包装業界では、広いホットタックウィンドウを有するエチレンコポリマー組成物(例えば、シーラント樹脂として使用するためのもの)が好まれる。このような製品は、包装機器上で様々なパラメータを変更しても漏れのないパッケージを一貫して生成し得るからである。さらに、ホットタック開始温度(HTOT(℃))は、可能な限り低い温度で生じることが望ましい。高温の範囲でもシール強度が十分なままであるように、高温でのホットタックシール強度が高いことも望ましい。対照的に、ホットタック特性の低い樹脂を使用すると、包装ラインの生産速度が制限されるおそれがある。最後に、上記に加えて、最終用途のためには、シール開始温度(SIT)が低いことが望ましい。
【0321】
本開示の非限定的な実施形態には、以下が含まれる。
【0322】
実施形態A. エチレンコポリマー組成物であって、
(i)0.855~0.913g/cm3の密度、1.7~2.3の分子量分布Mw/Mn、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI2を有する、20~80重量パーセントの第1のエチレンコポリマーと、
(ii)0.875~0.936g/cm3の密度、2.3~6.0の分子量分布Mw/Mn、及び0.3~100g/10分のメルトインデックスI2を有する、80~20重量パーセントの第2のエチレンコポリマーと、
(iii)0~40重量パーセントの第3のエチレンコポリマーと
を含み、
前記第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、前記第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多く、
前記第2のエチレンコポリマーの密度は、前記第1のエチレンコポリマーの密度以上であり、
前記エチレンコポリマー組成物は、0.865~0.913g/cm3の密度、0.5~10g/10分のメルトインデックスI2、及び、CTREF分析において4重量パーセントを超える積分面積を有する90℃~105℃で溶出する画分を有し、
前記エチレンコポリマー組成物は、少なくとも0.0015百万分率(ppm)のハフニウムを有し、
前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量パーセントは、前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量を、(i)前記第1のエチレンコポリマー、(ii)前記第2のエチレンコポリマー、及び(iii)前記第3のエチレンコポリマーの合計の重量で除して100%を乗じたものとして定義される、
前記エチレンコポリマー組成物。
【0323】
実施形態B. 2.2~5.0の分子量分布を有する、実施形態Aのエチレンコポリマー組成物。
【0324】
実施形態C. メルトフロー比I21/I2が20~50である、実施形態A又はBのエチレンコポリマー組成物。
【0325】
実施形態D. 前記第1のエチレンコポリマーが、炭素原子1000個あたり10~50個の短鎖分岐(SCB1)を有する、実施形態A、B又はCのエチレンコポリマー組成物。
【0326】
実施形態E. 前記第2のエチレンコポリマーが、炭素原子1000個あたり3~25個の短鎖分岐(SCB2)を有する、実施形態A、B、C又はDのエチレンコポリマー組成物。
【0327】
実施形態F. 前記第1のエチレンコポリマーが、30~55重量パーセントで存在する、実施形態A、B、C、D又はEのエチレンコポリマー組成物。
【0328】
実施形態G. 前記第2のエチレンコポリマーが、70~45重量パーセントで存在する、実施形態A、B、C、D、E又はFのエチレンコポリマー組成物。
【0329】
実施形態H. 前記第1のエチレンコポリマーが30~55重量パーセントで存在し、前記第2のエチレンコポリマーが70~45重量パーセントで存在し、前記第3のエチレンコポリマーが0重量パーセントで存在する、実施形態A、B、C又はDのエチレンコポリマー組成物。
【0330】
実施形態I. 50~75重量パーセントの組成分布幅指数CDBI50を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G又はHのエチレンコポリマー組成物。
【0331】
実施形態J. 無次元の長鎖分岐係数LCBF≧0.001を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H又はIのエチレンコポリマー組成物。
【0332】
実施形態K. 少なくとも3モルパーセントの1つ以上のアルファ-オレフィンを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I又はJのエチレンコポリマー組成物。
【0333】
実施形態L. 3~10モルパーセントの1つ以上のアルファ-オレフィンを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I又はJのエチレンコポリマー組成物。
【0334】
実施形態M. 3~8モルパーセントの1つ以上のアルファ-オレフィンを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I又はJのエチレンコポリマー組成物。
【0335】
実施形態N. 前記1つ以上のアルファ-オレフィンが、1-ヘキセン、1-オクテン及びそれらの混合物を含む群から選択される、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L又はMのエチレンコポリマー組成物。
【0336】
実施形態O. 前記1つ以上のアルファ-オレフィンが、1-オクテンである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L又はMのエチレンコポリマー組成物。
【0337】
実施形態P. 前記第1のエチレンコポリマーが、シングルサイト触媒で作製されている、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N又はOのエチレンコポリマー組成物。
【0338】
実施形態Q. 前記第2のエチレンコポリマーが、チーグラー・ナッタ触媒系(Ziegler-Natta catalyst system)で作製されている、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O又はPのエチレンコポリマー組成物。
【0339】
実施形態R. 前記第3のエチレンコポリマーが、チーグラー・ナッタ触媒系で作製されている、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P又はQのエチレンコポリマー組成物。
【0340】
実施形態S. 前記第3のエチレンコポリマーが、シングルサイト触媒で作製されている、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P又はQのエチレンコポリマー組成物。
【0341】
実施形態T. 前記第1のエチレンコポリマーが、式(I):
【化3】
(式中、Gは、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ又は鉛から選択される14族元素であり;R
1は、水素原子、C
1-20ヒドロカルビルラジカル、C
1-20アルコキシラジカル、又はC
6-10アリールオキシドラジカルであり;R
2及びR
3は、水素原子、C
1-20ヒドロカルビルラジカル、C
1-20アルコキシラジカル又はC
6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;R
4及びR
5は、水素原子、非置換C
1-20ヒドロカルビルラジカル、置換C
1-20ヒドロカルビルラジカル、C
1-20アルコキシラジカル又はC
6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;Qは独立して、活性化可能な脱離基配位子である。)
を有するメタロセン触媒を含むシングルサイト触媒系(single site catalyst system)で作製されている、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R又はSのエチレンコポリマー組成物。
【0342】
実施形態U. 前記第1のエチレンコポリマーが、少なくとも75重量パーセントの組成分布幅指数CDBI50を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S又はTのエチレンコポリマー組成物。
【0343】
実施形態V. 前記第2のエチレンコポリマーが、75重量パーセント未満の組成分布幅指数CDBI50を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T又はUのエチレンコポリマー組成物。
【0344】
実施形態W. 前記第1のエチレンコポリマーが、均一に分岐したエチレンコポリマーである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U又はVのエチレンコポリマー組成物。
【0345】
実施形態X. 前記第2のエチレンコポリマーが、不均一に分岐したエチレンコポリマーである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V又はWのエチレンコポリマー組成物。
【0346】
実施形態Y. 前記第2のエチレンコポリマーが、2.5~5.0のMw/Mnを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W又はXのエチレンコポリマー組成物。
【0347】
実施形態Z. 0.050百万分率(ppm)~2.5ppmのハフニウムを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X又はYのエチレンコポリマー組成物。
【0348】
実施形態AA. 0.50ppm~14.0百万分率(ppm)のチタンを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y又はZのエチレンコポリマー組成物。
【0349】
実施形態BB. 前記第3のエチレンコポリマーが、5~30重量パーセントで存在する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z又はAAのエチレンコポリマー組成物。
【0350】
実施形態CC. 前記第3のエチレンコポリマーが、0.865~0.945g/cm3の密度、2.0~6.0の分子量分布Mw/Mn、及び0.3~200g/10分のメルトインデックスI2を有する、実施形態A又はBBのエチレンコポリマー組成物。
【0351】
実施形態DD. エチレンコポリマー組成物を含むフィルム層であって、エチレンコポリマー組成物は、
(i)0.855~0.913g/cm3の密度、1.7~2.3の分子量分布Mw/Mn、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI2を有する、20~80重量パーセントの第1のエチレンコポリマーと、
(ii)0.875~0.936g/cm3の密度、2.3~6.0の分子量分布Mw/Mn、及び0.3~100g/10分のメルトインデックスI2を有する、80~20重量パーセントの第2のエチレンコポリマーと、
(iii)0~40重量パーセントの第3のエチレンコポリマーと
を含み、
前記第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、前記第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多く、
前記第2のエチレンコポリマーの密度は、前記第1のエチレンコポリマーの密度以上であり、
前記エチレンコポリマー組成物は、0.865~0.913g/cm3の密度、0.5~10g/10分のメルトインデックスI2、及び、CTREF分析において4重量パーセントを超える積分面積を有する90℃~105℃で溶出する画分を有し、
前記エチレンコポリマー組成物は、少なくとも0.0015百万分率(ppm)のハフニウムを有し、
前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量パーセントは、前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量を、(i)前記第1のエチレンコポリマー、(ii)前記第2のエチレンコポリマー、及び(iii)前記第3のエチレンコポリマーの合計の重量で除して100%を乗じたものとして定義される、
前記フィルム層。
【0352】
実施形態EE. 前記フィルム層が、インフレーションフィルムである、実施形態DDのフィルム層。
【0353】
実施形態FF. 約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも45℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する、実施形態DD又はEEのフィルム層。
【0354】
実施形態GG. 約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、95℃未満のシール開始温度(SIT)を有する、実施形態DD、EE又はFFのフィルム層。
【0355】
実施形態HH. 約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、88℃未満のホットタック開始温度(HTOT)を有する、実施形態DD、EE、FF又はGGのフィルム層。
【0356】
実施形態II. 約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも800g/ミルのダート衝撃強度を有する、実施形態DD、EE、FF、GG又はHHのフィルム層。
【0357】
実施形態JJ. 約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも100J/mmの遅い穿刺抵抗値(slow puncture resistance value)を有する、実施形態DD、EE、FF、GG、HH又はIIのフィルム層。
【0358】
実施形態KK. 約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、6%未満のヘイズ値を有する、実施形態DD、EE、FF、GG、HH、II又はJJのフィルム層。
【0359】
実施形態LL. 前記フィルム層が、キャストフィルムである、実施形態DDのフィルム層。
【0360】
実施形態MM. エチレンコポリマー組成物を含む少なくとも1つのフィルム層を含む多層フィルム構造体であって、前記エチレンコポリマー組成物は
(i)0.855~0.913g/cm3の密度、1.7~2.3の分子量分布Mw/Mn、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI2を有する、20~80重量パーセントの第1のエチレンコポリマーと、
(ii)0.875~0.936g/cm3の密度、2.3~6.0の分子量分布Mw/Mn、及び0.3~100g/10分のメルトインデックスI2を有する、80~20重量パーセントの第2のエチレンコポリマーと、
(iii)0~40重量パーセントの第3のエチレンコポリマーと
を含み、
前記第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、前記第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多く、
前記第2のエチレンコポリマーの密度は、前記第1のエチレンコポリマーの密度以上であり、
前記エチレンコポリマー組成物は、0.865~0.913g/cm3の密度、0.5~10g/10分のメルトインデックスI2、及び、CTREF分析において4重量パーセントを超える積分面積を有する90℃~105℃で溶出する画分を有し、
前記エチレンコポリマー組成物は、少なくとも0.0015百万分率(ppm)のハフニウムを有し、
前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量パーセントは、前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量を、(i)前記第1のエチレンコポリマー、(ii)前記第2のエチレンコポリマー、及び(iii)前記第3のエチレンコポリマーの合計の重量で除して100%を乗じたものとして定義される、
前記多層フィルム構造体。
【0361】
実施形態NN. 前記少なくとも1つのフィルム層が、インフレーションフィルムである、実施形態MMの多層フィルム構造体。
【0362】
実施形態OO. 前記少なくとも1つのフィルム層が、約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも45℃のホットタックウィンドウ(HTW)を有する、実施形態NNの多層フィルム構造体。
【0363】
実施形態PP. 前記少なくとも1つのフィルム層が、約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、95℃未満のシール開始温度(SIT)を有する、実施形態NN又はOOの多層フィルム構造体。
【0364】
実施形態QQ. 前記少なくとも1つのフィルム層が、約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、88℃未満のホットタック開始温度(HTOT)を有する、実施形態NN、OO又はPPの多層フィルム構造体。
【0365】
実施形態RR. 前記少なくとも1つのフィルム層が、約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも800g/ミルのダート衝撃強度を有する、実施形態NN、OO、PP又はQQの多層フィルム構造体。
【0366】
実施形態SS. 前記少なくとも1つのフィルム層が、約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、少なくとも100J/mmの遅い穿刺抵抗値(slow puncture resistance value)を有する、実施形態NN、OO、PP、QQ又はRRの多層フィルム構造体。
【0367】
実施形態TT. 前記少なくとも1つのフィルム層が、約1ミルのフィルム厚さで測定したときに、6%未満のヘイズ値を有する、実施形態NN、OO、PP、QQ、RR又はSSの多層フィルム構造体。
【0368】
実施形態UU. 前記フィルム構造体が、少なくとも3つのフィルム層を有する、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS又はTTの多層フィルム構造体。
【0369】
実施形態VV. 前記フィルム構造体が、少なくとも5つのフィルム層を有する、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS又はTTの多層フィルム構造体。
【0370】
実施形態WW. 前記フィルム構造体が、少なくとも7つのフィルム層を有する、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS又はTTの多層フィルム構造体。
【0371】
実施形態XX. 前記フィルム構造体が、少なくとも9つのフィルム層を有する、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS又はTTの多層フィルム構造体。
【0372】
実施形態YY. 前記フィルム構造体が、9層を有する、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS又はTTの多層フィルム構造体。
【0373】
実施形態ZZ. 前記少なくとも1つのフィルム層が、前記多層フィルム構造体中の少なくとも1つのシーラント層である、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WW、XX又はYYの多層フィルム構造体。
【0374】
実施形態AAA. 前記少なくとも1つのフィルム層が、キャストフィルムである、実施形態MMの多層フィルム構造体。
【0375】
実施形態BBB. 約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、90℃未満のシール開始温度(SIT)を有する、実施形態AAAの多層フィルム構造体。
【0376】
実施形態CCC. シーラント層を含む多層フィルム構造体であって、前記シーラント層はエチレンコポリマー組成物を含み、前記エチレンコポリマー組成物は、
(i)0.855~0.913g/cm3の密度、1.7~2.3の分子量分布Mw/Mn、及び0.1~20g/10分のメルトインデックスI2を有する、20~80重量パーセントの第1のエチレンコポリマーと、
(ii)0.875~0.936g/cm3の密度、2.3~6.0の分子量分布Mw/Mn、及び0.3~100g/10分のメルトインデックスI2を有する、80~20重量パーセントの第2のエチレンコポリマーと、
(iii)0~40重量パーセントの第3のエチレンコポリマーと
を含み、
前記第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB1)は、前記第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数(SCB2)よりも多く、
前記第2のエチレンコポリマーの密度は、前記第1のエチレンコポリマーの密度以上であり、
前記エチレンコポリマー組成物は、0.865~0.913g/cm3の密度、0.5~10g/10分のメルトインデックスI2、及び、CTREF分析において4重量パーセントを超える積分面積を有する90℃~105℃で溶出する画分を有し、
前記エチレンコポリマー組成物は、少なくとも0.0015百万分率(ppm)のハフニウムを有し、
前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量パーセントは、前記第1、第2又は第3のエチレンコポリマーの重量を、(i)前記第1のエチレンコポリマー、(ii)前記第2のエチレンコポリマー、及び(iii)前記第3のエチレンコポリマーの合計の重量で除して100%を乗じたものとして定義される、
前記多層フィルム構造体。
【0377】
実施形態DDD. 前記フィルム構造体が、少なくとも3つのフィルム層を有する、実施形態CCCの多層フィルム構造体。
【0378】
実施形態EEE. 前記フィルム構造体が、少なくとも5つのフィルム層を有する、実施形態CCCの多層フィルム構造体。
【0379】
実施形態FFF. 前記フィルム構造体が、少なくとも7つのフィルム層を有する、実施形態CCCの多層フィルム構造体。
【0380】
実施形態GGG. 前記フィルム構造体が、少なくとも9つのフィルム層を有する、実施形態CCCの多層フィルム構造体。
【0381】
実施形態HHH. 前記フィルム構造体が、9層を有する、実施形態CCCの多層フィルム構造体。
【産業上の利用可能性】
【0382】
開示されているのは、フィルムに吹き込まれたときに(インフレーションフィルムにされたときに)優れたシール性を有する、0.865~0.913g/cm3の密度を有するエチレンコポリマー組成物である。開示されているエチレンコポリマー組成物は、例えば、食品包装フィルムなどの1つ以上のフィルム又はフィルム層を含む製造物品において有用であり得る。
【国際調査報告】