(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-30
(54)【発明の名称】ビークルのためのフレキシブルバッテリシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220922BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20220922BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/02 H
H02J7/00 302B
B64D27/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506124
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 US2020042631
(87)【国際公開番号】W WO2021040906
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519225026
【氏名又は名称】キティー・ホーク・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】KITTY HAWK CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オレンダー・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】サンダース・クリストファー・スコット
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・デレク
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BA04
5G503BA05
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503CC02
5G503DA04
5G503DA07
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【解決手段】ビークル内の複数のモータに電力を供給する複数のバッテリを構成することに関連付けられている構成命令が受信される。バッテリは、構成命令によって指定されたように構成しており、ここで、バッテリは、バッテリの少なくとも一部が並列に電気的に接続される第1構成、および、バッテリの少なくとも一部が直列に電気的に接続される第2構成、を含む複数の構成に構成されることが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
ビークル内の複数のモータに電力を供給する複数のバッテリと、
バッテリ構成コントローラと、
を備え、
前記バッテリ構成コントローラは、
前記複数のバッテリを構成することに関連付けられている構成命令を受信し、
前記構成命令によって指定されたように前記複数のバッテリを構成するよう構成されており、
前記複数のバッテリは、(1)前記複数のバッテリの少なくとも一部が並列に電気的に接続される第1構成、および、(2)前記複数のバッテリの少なくとも一部が直列に電気的に接続される第2構成、を含む複数の構成に構成されることが可能である、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記構成命令は、前記ビークルの離陸を予期して生成され、
前記バッテリ構成コントローラは、前記ビークルの離陸を予期して生成された前記構成命令の受信に応答して、前記複数のバッテリの少なくとも一部が並列に接続される前記第1構成になるように前記複数のバッテリを構成する、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
前記構成命令は、前記複数のバッテリを充電することを予期して生成され、
前記バッテリ構成コントローラは、前記複数のバッテリを充電することを予期して生成された前記構成命令の受信に応答して、前記複数のバッテリの少なくとも一部が直列に接続される前記第2構成になるように前記複数のバッテリを構成する、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記構成命令は、前記複数のバッテリの中で故障バッテリを検出したことに応答して生成され、
前記バッテリ構成コントローラは、前記故障バッテリを検出したことに応答して生成された前記構成命令の受信に応答して、前記故障バッテリが前記複数のバッテリの内の他のバッテリから絶縁される第3構成になるように前記複数のバッテリを構成する、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
前記構成命令は、前記複数のバッテリの中で故障バッテリを検出したことに応答して生成され、
前記故障バッテリは、電圧閾値または温度閾値の内の1または複数を用いて検出され、
前記バッテリ構成コントローラは、前記故障バッテリを検出したことに応答して生成された前記構成命令の受信に応答して、前記故障バッテリが前記複数のバッテリの内の他のバッテリから絶縁される第3構成になるように前記複数のバッテリを構成する、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、
前記構成命令は、前記複数のバッテリの中で故障バッテリを検出したことに応答して生成され、
前記故障バッテリは、電圧閾値または温度閾値の内の1または複数を用いて検出され、
前記複数のバッテリの内の各バッテリは、内部温度センサおよび外部温度センサを備え、
前記バッテリ構成コントローラは、前記故障バッテリを検出したことに応答して生成された前記構成命令の受信に応答して、前記故障バッテリが前記複数のバッテリの内の他のバッテリから絶縁される第3構成になるように前記複数のバッテリを構成する、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記バッテリ構成コントローラは、さらに、前記構成命令によって指定されたように前記複数のモータを構成するよう構成されており、前記複数のモータは、前記複数のモータの内の第1セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の第1セットの1または複数のバッテリによって給電され、前記複数のモータの内の重複しない第2セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の重複しない第2セットの1または複数のバッテリによって給電される構成に構成されることが可能である、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、
前記バッテリ構成コントローラは、さらに、前記構成命令によって指定されたように前記複数のモータを構成するよう構成されており、前記複数のモータは、前記複数のモータの内の第1セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の第1セットの1または複数のバッテリによって給電され、前記複数のモータの内の重複しない第2セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の重複しない第2セットの1または複数のバッテリによって給電される構成に構成されることが可能であり、
前記第1セットのモータに給電する前記第1セットのバッテリは、前記複数のバッテリの少なくとも一部が並列に接続される前記第1構成であり、
前記第2セットのモータに給電する前記第2セットのバッテリは、前記複数のバッテリの少なくとも一部が直列に接続される前記第2構成である、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、
前記バッテリ構成コントローラは、さらに、前記構成命令によって指定されたように前記複数のモータを構成するよう構成されており、前記複数のモータは、前記複数のモータの内の第1セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の第1セットの1または複数のバッテリによって給電され、前記複数のモータの内の重複しない第2セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の重複しない第2セットの1または複数のバッテリによって給電される構成に構成されることが可能であり、
前記ビークルがホバリングモードにあることに関連付けられている時間が時間閾値を超えたことに応答して生成された構成命令の受信に応答して、前記バッテリ構成コントローラは、前記第1セットのモータが前記第1セットのバッテリによって給電され、前記重複しない第2セットのが前記重複しない第2セットのバッテリによって給電される前記構成に、前記複数のバッテリを構成する、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、
前記バッテリ構成コントローラは、さらに、前記構成命令によって指定されたように前記複数のモータを構成するよう構成されており、前記複数のモータは、前記複数のモータの内の第1セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の第1セットの1または複数のバッテリによって給電され、前記複数のモータの内の重複しない第2セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の重複しない第2セットの1または複数のバッテリによって給電される構成に構成されることが可能であり、
ビークル速度が速度閾値を超えた状態で前記ビークルが前方飛行モードにあることに関連付けられている時間が時間閾値を超えたことに応答して生成された構成命令の受信に応答して、前記バッテリ構成コントローラは、前記第1セットのモータが前記第1セットのバッテリによって給電され、前記重複しない第2セットのが前記重複しない第2セットのバッテリによって給電される前記構成に、前記複数のバッテリを構成する、システム。
【請求項11】
方法であって、
ビークル内の複数のモータに電力を供給する複数のバッテリを構成することに関連付けられている構成命令を受信し、
前記構成命令によって指定されたように前記複数のバッテリを構成することを備え、
を備え、
前記複数のバッテリは、(1)前記複数のバッテリの少なくとも一部が並列に電気的に接続される第1構成、および、(2)前記複数のバッテリの少なくとも一部が直列に電気的に接続される第2構成、を含む複数の構成に構成されることが可能である、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記構成命令は、前記ビークルの離陸を予期して生成され、
前記ビークルの離陸を予期して生成された前記構成命令の受信に応答して、前記複数のバッテリは、前記複数のバッテリの少なくとも一部が並列に接続される前記第1構成に構成される、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、
前記構成命令は、前記複数のバッテリを充電することを予期して生成され、
前記複数のバッテリを充電することを予期して生成された前記構成命令の受信に応答して、前記複数のバッテリは、前記複数のバッテリの少なくとも一部が直列に接続される前記第2構成に構成される、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、
前記構成命令は、前記複数のバッテリの中で故障バッテリを検出したことに応答して生成され、
前記故障バッテリを検出したことに応答して生成された前記構成命令の受信に応答して、前記複数のバッテリは、前記故障バッテリが前記複数のバッテリの内の他のバッテリから絶縁される第3構成に構成される、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって、
前記構成命令は、前記複数のバッテリの中で故障バッテリを検出したことに応答して生成され、
前記故障バッテリは、電圧閾値または温度閾値の内の1または複数を用いて検出され、
前記故障バッテリを検出したことに応答して生成された前記構成命令の受信に応答して、前記複数のバッテリは、前記故障バッテリが前記複数のバッテリの内の他のバッテリから絶縁される第3構成に構成される、方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法であって、
前記構成命令は、前記複数のバッテリの中で故障バッテリを検出したことに応答して生成され、
前記故障バッテリは、電圧閾値または温度閾値の内の1または複数を用いて検出され、
前記複数のバッテリの内の各バッテリは、内部温度センサおよび外部温度センサを備え、
前記故障バッテリを検出したことに応答して生成された前記構成命令の受信に応答して、前記複数のバッテリは、前記故障バッテリが前記複数のバッテリの内の他のバッテリから絶縁される第3構成に構成される、方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法であって、さらに、前記構成命令によって指定されたように前記複数のモータを構成することを備え、
前記複数のモータは、前記複数のモータの内の第1セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の第1セットの1または複数のバッテリによって給電され、前記複数のモータの内の重複しない第2セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の重複しない第2セットの1または複数のバッテリによって給電される構成に構成されることが可能である、方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法であって、
前記方法は、さらに、前記構成命令によって指定されたように前記複数のモータを構成することを備え、
前記複数のモータは、前記複数のモータの内の第1セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の第1セットの1または複数のバッテリによって給電され、前記複数のモータの内の重複しない第2セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の重複しない第2セットの1または複数のバッテリによって給電される構成に構成されることが可能であり、
前記第1セットのモータに給電する前記第1セットのバッテリは、前記複数のバッテリの少なくとも一部が並列に接続される前記第1構成であり、
前記第2セットのモータに給電する前記第2セットのバッテリは、前記複数のバッテリの少なくとも一部が直列に接続される前記第2構成である、方法。
【請求項19】
請求項11に記載の方法であって、
前記方法は、さらに、前記構成命令によって指定されたように前記複数のモータを構成することを備え、
前記複数のモータは、前記複数のモータの内の第1セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の第1セットの1または複数のバッテリによって給電され、前記複数のモータの内の重複しない第2セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の重複しない第2セットの1または複数のバッテリによって給電される構成に構成されることが可能であり、
前記ビークルがホバリングモードにあることに関連付けられている時間が時間閾値を超えたことに応答して生成された構成命令の受信に応答して、前記複数のバッテリは、前記第1セットのモータが前記第1セットのバッテリによって給電され、前記重複しない第2セットのが前記重複しない第2セットのバッテリによって給電される前記構成に構成される、方法。
【請求項20】
請求項11に記載の方法であって、
前記方法は、さらに、前記構成命令によって指定されたように前記複数のモータを構成することを備え、
前記複数のモータは、前記複数のモータの内の第1セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の第1セットの1または複数のバッテリによって給電され、前記複数のモータの内の重複しない第2セットの1または複数のモータが、前記複数のバッテリの内の重複しない第2セットの1または複数のバッテリによって給電される構成に構成されることが可能であり、
ビークル速度が速度閾値を超えた状態で前記ビークルが前方飛行モードにあることに関連付けられている時間が時間閾値を超えたことに応答して生成された構成命令の受信に応答して、前記複数のバッテリは、前記第1セットのモータが前記第1セットのバッテリによって給電され、前記重複しない第2セットのが前記重複しない第2セットのバッテリによって給電される前記構成に構成される、方法。
【請求項21】
コンピュータプログラム製品であって、持続性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体内に具現化され、
ビークル内の複数のモータに電力を供給する複数のバッテリを構成することに関連付けられている構成命令を受信するためのコンピュータ命令と、
前記構成命令によって指定されたように前記複数のバッテリを構成するためのコンピュータ命令と、
を備え、
前記複数のバッテリは、(1)前記複数のバッテリの少なくとも一部が並列に電気的に接続される第1構成、および、(2)前記複数のバッテリの少なくとも一部が直列に電気的に接続される第2構成、を含む複数の構成に構成されることが可能である、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
新しいタイプのバッテリ駆動ビークルが、新しい設計および/または構成で開発されている。例えば、Kitty Hawk社は、必要に応じて、水上から離陸および/または水上に着陸することができるバッテリ駆動マルチコプタを開発してきた。かかる新しいビークル設計および/または構成の枠組みまたは制約の中で機能し、さらに、ビークルの利用および/または管理のある側面を改善する新しいタイプのバッテリシステムおよび/またはアーキテクチャが望まれている。
【図面の簡単な説明】
【0002】
以下の詳細な説明と添付の図面において、本発明の様々な実施形態を開示する。
【0003】
【
図1A】バッテリ駆動ビークルの一実施形態を示す斜視図。
【0004】
【
図1B】バッテリ駆動ビークルの一実施形態を示す側面図。
【0005】
【
図2】ビークル内の複数のモータに電力を供給する複数のバッテリを構成するための処理の一実施形態を示すフローチャート。
【0006】
【
図3】フレキシブルバッテリシステムの一実施形態を示す図。
【0007】
【
図4】バッテリおよびモータが並列構成であるフレキシブルバッテリシステムの一実施形態を示す図。
【0008】
【
図5】ビークルの離陸を予期して生成された構成命令に応答して、少なくともいくつかのバッテリを並列に接続することなどによって、複数のバッテリを構成するための処理の一実施形態を示すフローチャート。
【0009】
【
図6】バッテリが直列になっているフレキシブルバッテリシステムの一実施形態を示す図。
【0010】
【
図7】複数のバッテリを充電することを予期して生成された構成命令に応答して、少なくともいくつかのバッテリを直列に接続することなどによって、複数のバッテリを構成するための処理の一実施形態を示すフローチャート。
【0011】
【
図8】不良バッテリが絶縁されているフレキシブルバッテリシステムの一実施形態を示す図。
【0012】
【
図9】故障バッテリを絶縁することなどによって、複数のバッテリを構成するための処理の一実施形態を示すフローチャート。
【0013】
【
図10A】あるグループのバッテリが直列に接続され、別のグループのバッテリが並列に接続されているフレキシブルバッテリシステムの一実施形態を示す図。
【0014】
【
図10B】第1セットのバッテリによって給電される第1セットの1または複数のモータと、第2セットの1または複数のバッテリによって給電される第2セットの1または複数のモータとの一実施形態を示す図。
【0015】
【
図11】第1セットのバッテリによって給電される第1セットの1または複数のモータと、第2セットの1または複数のバッテリによって給電される第2セットの1または複数のモータとを構成するための処理の一実施形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、処理、装置、システム、物質の組成、コンピュータ読み取り可能な格納媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品、および/または、プロセッサ(プロセッサに接続されたメモリに格納および/またはそのメモリによって提供される命令を実行するよう構成されたプロセッサ)を含め、様々な形態で実施されうる。本明細書では、これらの実施例または本発明が取りうる任意の他の形態が、技術と呼ばれうる。一般に、開示されている処理のステップの順序は、本発明の範囲内で変更されてもよい。特に言及しない限り、タスクを実行するよう構成されるものとして記載されたプロセッサまたはメモリなどの構成要素は、ある時間にタスクを実行するよう一時的に構成された一般的な構成要素として、または、タスクを実行するよう製造された特定の構成要素として実装されてよい。本明細書では、「プロセッサ」という用語は、1または複数のデバイス、回路、および/または、コンピュータプログラム命令などのデータを処理するよう構成された処理コアを指すものとする。
【0017】
以下では、本発明の原理を示す図面を参照しつつ、本発明の1または複数の実施形態の詳細な説明を行う。本発明は、かかる実施形態に関連して説明されているが、どの実施形態にも限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、本発明は、多くの代替物、変形物、および、等価物を含む。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細事項が記載されている。これらの詳細事項は、例示を目的としたものであり、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも特許請求の範囲に従って実施可能である。簡単のために、本発明に関連する技術分野で周知の技術事項については、本発明が必要以上にわかりにくくならないように、詳細には説明していない。
【0018】
ビークルでの利用またはビークルによる利用のためのフレキシブルバッテリシステムの様々な実施形態が、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態において、ビークル内の複数のモータに電力を供給する複数のバッテリを構成することに関連付けられている構成命令が(例えば、バッテリ構成コントローラによって)受信される。複数のバッテリは、構成命令によって指定されたように構成され、ここで、複数のバッテリは、(1)複数のバッテリの少なくとも一部が並列に電気的に接続される第1構成、および、(2)複数のバッテリの少なくとも一部が直列に電気的に接続される第2構成、を含む複数の構成で構成されることが可能である。一部の例では、ビークル内のモータすべてが、バッテリセット全体によって給電される。あるいは、あるセットのモータが、あるセットのバッテリによって給電されてもよく、別のセットのモータが、別のセットのバッテリによって給電されてもよい。後に詳述するように、様々な構成が、様々な状況で有用および/または有益でありうる。
【0019】
図1Aは、バッテリ駆動ビークルの一実施形態を示す斜視図である。図の例において、マルチコプタ(100a)は、必要に応じて、水上で離陸および着陸を実行できるバッテリ駆動ビークルである。マルチコプタは、2つのフロートまたは浮き(102a)を有しており、それらは、中空であり、マルチコプタが正の浮力を有することで水上に浮かぶのに十分な水置換を提供する。あるいは、マルチコプタは、必要に応じて、固い地面で離陸または着陸できる。
【0020】
図1Bは、バッテリ駆動ビークルの一実施形態を示す側面図である。
図1Bは、
図1Aの例を継続している。この例において、ビークル(100b)における各フロート(102b)は、5つのバッテリ(104)を保持するために用いられている。(胴体(106)ではなくフロート(102b)にバッテリを収容する)この設計上の選択は、部分的には、フロート(102b)の上部およびブーム(110)の遠位端に分散されているモータ(108)への電気接続を短くすることを可能にするのでなされたものである。また、これは、リカバリシステム(例えば、1または複数のパラシュート)を胴体(106)のコックピットの後ろに収容することも可能にする。
【0021】
単一の大型バッテリではなく複数の小型バッテリを利用する設計上の選択は、フロート内部へのアクセスが限られているビークルでも奏功する。フロート(モータを制御するプリント回路基板など、その他の水に弱い電気構成要素も含む)への水の浸入を防ぐために、フロートの内部へのアクセスは、フロートの上部にある3つのアクセスポート(112)に制限されている。これらの比較的小さいアクセスポートでは、単一の大型バッテリよりも複数の小型バッテリを挿入するほうが簡単である。
【0022】
このビークルの旧式の型では、各バッテリが1つのバッテリにのみ電力を供給し、各モータが1つのバッテリによってのみ給電されるように、各バッテリ(104)が、対応するモータ(108)と対になっていた。しかしながら、後に詳述するように、フレキシブルまたは構成可能なバッテリシステム(例えば、バッテリおよび/またはモータを様々な方法で電気的に接続することができる)が、充電目的、安全性、より良い飛行性能などにとって望ましい場合がある。以下の図では、かかるフレキシブルバッテリシステムの様々な例を記載する。
【0023】
図2は、ビークル内の複数のモータに電力を供給する複数のバッテリを構成するための処理の一実施形態を示すフローチャートである。例えば、
図1Aおよび
図1Bにおけるマルチコプタ100aおよび100bの10個のバッテリは、10個のモータ(例えば、
図1Bの108)に電力を供給するために様々な方法で構成されてよい。
【0024】
ステップ200で、ビークル内の複数のモータに電力を供給する複数のバッテリを構成することに関連付けられている構成命令が受信される。いくつかの実施形態において、構成命令は、ビークルの状態に基づいて生成される。例えば、ビークルが充電されている場合、対応する構成命令(例えば、バッテリが充電に望ましい方法で構成されるような命令)が、構成可能電気コネクタを制御するコントローラに送信される。もしくは、ビークルが(例えば、離陸を予期して)始動している場合、飛行に対応しおよび/または飛行性能に役立つ構成命令が、構成可能電気コネクタを制御するコントローラに送信されてよい。
【0025】
ステップ202において、複数のバッテリは、構成命令によって指定されたように構成され、ここで、複数のバッテリは、(1)複数のバッテリの少なくとも一部が並列に(例えば、電気的に)接続される第1構成、および、(2)複数のバッテリの少なくとも一部が直列に(例えば、電気的に)接続される第2構成、を含む複数の構成に構成されることが可能である。例えば、バッテリの少なくとも一部が並列に接続される場合、その(第1)構成は、あるモータがその他のモータより著しく多い電力を利用している時に、飛行性能を向上させうる。これの一例については、後に詳述する。
【0026】
図3は、フレキシブルバッテリシステムの一実施形態を示す図である。説明を簡単かつ容易にするために、本明細書に記載されているこの例およびいくつかのその他の例は、2つのバッテリおよび2つのモータのみを含む。当然、他の実施形態が、異なる数のバッテリおよび/またはモータを含んでもよい。
【0027】
バッテリ構成コントローラ(300)は、例えば、フライトコントローラまたは中央コントローラなどの何らかのその他のコントローラ(例えば、ビークルが着陸していて充電されようとしているかどうか、すぐに離陸しようとしているかどうか、などを知っているコントローラ)から構成命令を受信し、それに従って電気コネクタ(302)を構成する。
【0028】
バッテリ(304aおよび304b)の正コネクタおよび負コネクタ(例えば、B1+、B1-、B2+、および、B2-)が、構成可能電気コネクタ(302)に接続されている。例えば、構成可能電気コネクタは、バッテリ接続(例えば、B1+、B1-、B2+、および、B2-)が様々な方法(例えば、並列または直列)で接続されることを可能にする1または複数のスイッチを備えてよい。構成可能電気コネクタ(302)内のスイッチは、バッテリ構成コントローラ(300)によって制御される。
【0029】
同様に、モータ(306aおよび306b)への正電力供給および負電力供給(例えば、M1PS+、M1PS-、M2PS+、および、M2PS-)が、構成可能電気コネクタ(302)に接続されており、構成可能電気コネクタ(302)を用いて様々な方法で構成されうる。例えば、第1モータおよび第2モータ(306aおよび306b)への電力供給は、共有電力供給であってよく(例えば、B1+およびB2+が電気的に接続され、B1-およびB2-が電気的に接続される)、または、2つのモータへの電力供給は、電気的に絶縁されてもよい(例えば、B1+およびB2+が電気的に絶縁され、B1-およびB2-が電気的に絶縁される)。
【0030】
図2のステップ202へ一時的に戻ると、第1構成(バッテリの少なくとも一部が並列に接続される)は、飛行中、あるモータが別のモータより著しく多い電力を消費している時に望ましい場合がある。以下の図は、かかる構成の一例を示しており、これは、飛行性能を向上させるために飛行中に望ましい場合がある。
【0031】
図4は、バッテリおよびモータが並列構成であるフレキシブルバッテリシステムの一実施形態を示す図である。見やすくするために、
図3に示したバッテリ構成コントローラ(300)および構成可能電気コネクタ(302)は、この図では示されていない。ただし、ここに示されている構成を作り出すために、コントローラ(例えば、
図3の300)が、1または複数の構成可能電気コネクタ(例えば、
図3の302)(スイッチなど)を構成したことを理解されたい。
図4は、複数のバッテリの少なくとも一部が並列に電気的に接続される(第1)構成の一例を示している(
図2のステップ202を参照)。
【0032】
この図に示されている構成は、ビークルの飛行中に、モータの1つ(この例では、第2モータ(406)が他のモータ(この例では、第1モータ(404))よりも多くの電力を消費している時に望ましい場合がある。例えば、第2モータ(406)に取り付けられたプロペラが、第1モータ(404)に取り付けられたプロペラよりも大きい推進力を生み出しおよび/または速く回転している場合がある。
【0033】
より古い型のビークル(図示せず)では、第1バッテリ(400)が、第1モータ(404)のみに電力を供給し、第2バッテリ(402)が、第2モータ(406)のみに電力を供給する。しかしながら、モータの1つがそれのバッテリを大量に消費している場合、システム内の他のバッテリが完全には利用されていなくても、そのモータは、その(単一の)バッテリの電流制限もしくはその他の容量または性能の制限によって制限されまたはその他の形で制約を受ける。例えば、ビークルが旋回またはバンクしている場合、そのビークルにおいては一部のモータが他のモータよりも強く働いているため、一部バッテリが他のバッテリよりも十分に利用されることになる。図に示すようにバッテリおよびモータを並列に接続することにより、より大きい電力を必要としているモータ(例えば、406)が、単一バッテリを超える程度すなわち限度まで許容されうる。例えば、各バッテリが1つのモータのみに接続されている場合、より強く駆動するモータ(406)は、1×単一バッテリの電力許容限度または制限までに制限される。図に示す並列配置では、電力許容限度は、1×単一バッテリよりも厳密に大きい値(例えば、1.1×、1.2×、など)まで上昇しうる。換言すると、バッテリの配列を変更することにより、個々のバッテリのバッテリ容量が同じであると仮定すると、一部のモータに、より大きい電力を供給することができる。これは、重量を大幅に増加させおよび/またはより高価なバッテリを必要とすることなしに、飛行性能(例えば、バンクまたは旋回)を改善するので望ましい。
【0034】
いくつかの実施形態において、フレキシブルバッテリシステムは、離陸前に、図に示した構成(または、何らかの他の同様な構成)に移行される。以下の図は、これについて、より一般的および/または形式的にフローチャートで記載する。
【0035】
図5は、ビークルの離陸を予期して生成された構成命令に応答して、少なくともいくつかのバッテリを並列に接続することなどによって、複数のバッテリを構成するための処理の一実施形態を示すフローチャートである。
図2の例と同様に、いくつかの実施形態において、その処理は、何らかのバッテリ構成コントローラ(例えば、
図3の300)によって実行される。
【0036】
ステップ500では、ビークル内の複数のモータに電力を供給する複数のバッテリを構成することに関連付けられている構成命令が受信され、ここで、構成命令は、ビークルの離陸を予期して生成されたものである。
【0037】
例えば、ビークルが何らかの飛行前状態(例えば、着陸状態、離陸準備中)にある時に、構成命令(例えば、ビークルがすぐに離陸しようとしている、バッテリの少なくとも一部が並列構成にされるべきである、などの命令)を生成し、バッテリ構成コントローラにその命令を送信する何らかの中央コントローラまたはフライトコントローラが存在してよい。
【0038】
ステップ502では、複数のバッテリは、構成命令によって指定されたように構成され、ここで、複数のバッテリは、(1)複数のバッテリの少なくとも一部が並列に接続される第1構成、および、(2)複数のバッテリの少なくとも一部が直列に接続される第2構成、を含む複数の構成に構成されることが可能であり、ビークルの離陸を予期して生成された構成命令の受信に応答して、複数のバッテリは、複数のバッテリの少なくとも一部が並列に接続される第1構成に構成される。
【0039】
例えば、
図4で上述したように、このようにバッテリを構成することは、いくつかの大きい電力を必要としているモータ(例えば、
図4の406)が、一部の場合(例えば、他のモータ(
図4の404など)の消費している電力が小さく、バッテリが利用可能な容量またはリソースを有する場合)に、単一バッテリの電力を超える電力にアクセスできるようにすることによって、飛行性能を改善しうる。
【0040】
図2のステップ202へ一時的に戻ると、第2構成(バッテリの少なくとも一部が直列に接続される)は、バッテリが充電されている時には望ましい場合がある。以下の図は、かかる構成の一例を示しており、これは、充電中に望ましい場合がある。
【0041】
図6は、バッテリが直列になっているフレキシブルバッテリシステムの一実施形態を示す図である。例えば、
図3のバッテリ構成コントローラ300が、図に示す電気構成にするように、1または複数のスイッチを備えてよい構成可能電気コネクタ(302)を設定したのであってよい。前述したのと同様に、バッテリ構成コントローラ(例えば、
図3の300)および少なくとも一部の構成可能電気コネクタ(例えば、
図3の302)は、見やすくするために図示されていない。
【0042】
この構成において、2つのバッテリ(600および602)は、直列に接続されている。例えば、スイッチまたはその他の構成可能電気コネクタは、1つのバッテリの負コネクタ(例えば、B1-)が他のバッテリの正コネクタ(例えば、B2+)へ電気的に接続されるように設定または構成されてよい。
【0043】
充電器(604)が、直列に接続されているバッテリ(600および602)へ並列に接続されており、バッテリを充電する。この例において、充電中に充電器(604)からモータ(606および608)へのあらゆる電流を防ぐために、ダイオード(614および616)と並列のスイッチ(610および612)が、充電器と各モータとの間に配置されている。図に示す状態では、スイッチ(610および612)は、充電器からモータの各々への唯一可能な経路がダイオードを介するように開いており、ダイオードの方向性が、このモードでモータへのあらゆる電流を防いでいる。
【0044】
図3の例において、スイッチ(
図6の610および612)ならびにダイオード(
図6の614および616)は、構成可能電気コネクタ(
図3の302)に含まれている。スイッチ(
図6の610および612)の状態(例えば、開状態と閉状態)は、
図3のバッテリ構成コントローラ300によって制御される。
【0045】
図4の例において、バッテリ構成コントローラが、飛行中にバッテリ(
図4の400および402)がモータ(
図4の404および406)へ電力を供給できるように、スイッチ(
図6の610および612)を閉じてよい。
【0046】
この図に示すようにバッテリを直列構成にすることは、充電器のコストを削減し、利用できる市販の充電器の数を増やすので、充電の際に役立つ。例えば、各バッテリがそれに対応するモータのみに給電する(かつ、構成を変更できない)上述した旧式の固定された配列では、単一の充電器で充電を実行できるが、市販の選択肢はほとんどなく、存在するものも高価である。上述のフレキシブルバッテリシステムが、充電の際に直列構成(例えば、
図6を参照)にされる場合、これは、「民生品での」充電の選択肢の数を増やす。
【0047】
同様に、単一の充電器が、
図4に示した並列構成を充電するために利用可能であるとしても、より高い電流が必要とされることから、配線および接続から生じる熱が著しく増大することになる。これは、かかる充電器が、これに対応するために、より耐熱性の高い(そして、コストのかかる)構成要素を必要とすることを意味する。また、より低い電圧で必要とされるより高い電流は、(例えば、配線を通過すると予測されるより高い電流を許容するために)ビークル上の配線の重量、および、多くの推進システムの熱性能構成要素(例えば、より多くの熱に対処できる必要があるため、より高価なものが必要になる)へ、実質的に影響を与える。対照的に、フレキシブルバッテリシステムが、直列構成(例えば、
図6を参照)にされた場合、バッテリシステムは、より低い電流を用いてより高い電圧で充電されることが可能であり、これは、様々な理由(例えば、配線重量の削減、安価な熱構成要素、など)で、より望ましい。
【0048】
いくつかの実施形態において、バッテリをこの構成にするための構成命令が、充電を予期して生成されてよい。以下の図は、これの例を、より形式的および/または一般的にフローチャートで示している。
【0049】
図7は、複数のバッテリを充電することを予期して生成された構成命令に応答して、少なくともいくつかのバッテリを直列に接続することなどによって、複数のバッテリを構成するための処理の一実施形態を示すフローチャートである。いくつかの実施形態において、その処理は、何らかのバッテリ構成コントローラ(例えば、
図3の300)によって実行される。
【0050】
ステップ700では、ビークル内の複数のモータに電力を供給する複数のバッテリを構成することに関連付けられている構成命令が受信され、ここで、構成命令は、複数のバッテリを充電することを予期して生成されたものである。
【0051】
例えば、構成命令は、充電ポートを覆う何らかのキャップまたはカバーが取り外されたことの検出に応答して、もしくは、充電器の(例えば、オス)コネクタがビークルの(例えば、メス)充電ポートに接続または挿入されていることに応答して、生成されてよい。
【0052】
ステップ702では、複数のバッテリは、構成命令によって指定されたように構成され、ここで、複数のバッテリは、(1)複数のバッテリの少なくとも一部が並列に接続される第1構成、および、(2)複数のバッテリの少なくとも一部が直列に接続される第2構成、を含む複数の構成に構成されることが可能であり、複数のバッテリを充電することを予期して生成された構成命令の受信に応答して、複数のバッテリは、複数のバッテリの少なくとも一部が直列に接続される第2構成に構成される。
【0053】
例えば、
図6に示した構成を参照されたい。
図6の例に示したように、いくつかの実施形態において、充電時に停止中のモータに電力が供給されないように、バッテリ構成コントローラ(例えば、
図3の300)が、モータ(例えば、
図6の606および608)への何らかの接続または入力における1または複数のスイッチ(例えば、
図6の610および612)を設定する。
【0054】
一部の例では、バッテリ構成コントローラが、故障または不良バッテリを電気的に絶縁するようにスイッチおよび/または構成可能電気コネクタを変更する。以下の図では、これの一例を記載する。
【0055】
図8は、不良バッテリが絶縁されているフレキシブルバッテリシステムの一実施形態を示す図である。図の例において、ビークルは、飛行中である。この図に示す状態の前、バッテリおよびモータは、
図4にした構成にあった。この例では、飛行中に、第2バッテリ(802)が不具合を生じた。第2バッテリがシステムの残り部分と電気的に接続されたままであった場合、不良バッテリの電圧が低いために、良好な第1バッテリ(800)が、不良な第2バッテリ(802)に電流を送ることになる。しかしながら、不良な第2バッテリ(802)へのさらなる電流は、単に、そのバッテリをさらに劣化させる(例えば、さらに加熱する)。これを避ける(または少なくとも損傷を緩和する)ために、バッテリ構成コントローラは、第2バッテリが、図に示すようにシステムの残り部分から電気的に絶縁される(すなわち、もはや接続されない)ように、スイッチおよび/または構成可能電気接続の設定を変更する。第1バッテリ(800)は、モータ(804および806)をビークルの着陸に利用できるように、両方のモータに接続されたままになっている。
【0056】
さらに、この図に示す構成は、モータすべてがまだバッテリにアクセスできるので、有用である。各バッテリが単一の対応するモータにのみ電力を供給する(そして、接続が再構成できない)旧式の固定構成において、不良バッテリは、対応するモータ(プロペラ)がそれのバッテリを失うことになるので、「モータ不能」状態をもたらす。(一例として)10個の動作可能なモータ(プロペラ)を有する代わりに、9個のモータ(プロペラ)のみが動作可能になる。対照的に、本明細書に記載のフレキシブルバッテリシステムは、モータ(プロペラ)を失うことなしに不良バッテリを絶縁することを可能にする。
【0057】
この例の別の利点は、他のシステムよりも早く不良バッテリを絶縁できることである。例えば、他のシステムは、受動素子(ヒューズ(例えば、各バッテリと直列のヒューズ)など)を用いて、不良バッテリを電気的に絶縁しようとしうる。ヒューズおよびバッテリを通して流れる電流が大きすぎた時、ヒューズが飛んで、バッテリが電気的に絶縁される。しかしながら、この例では、電圧センサ(例えば、バッテリの電圧を測るセンサ)によって、所与のバッテリが何らかの電圧閾値よりも低い電圧を有すると検出された場合、または、温度センサによって、何らかの温度閾値よりも高い温度が記録された場合、不良バッテリが、検出または他の方法でフラグを立てられる。
【0058】
同様に、いくつかの実施形態において、システムは、(例えば、モータコントローラ、推進ユニット、などでの)故障の検出に応答して、あるタイプの故障を有するモータの周りに開回路を(すみやかに)作り出しおよび/またはそのモータを電気的に絶縁するよう構成されてもよい。これは、必要であれば、どのバッテリも電気的に絶縁することなしに達成されてもよいことに注意されたい。
【0059】
いくつかの実施形態において、バッテリの(金属)ケースまたはコンテナに隣接する1または複数の外部温度センサ810(例えば、故障セルがケースの近くの最も外側のセルの1つである場合の検出に効果的である)と、セルの層の間にある1または複数の内部温度センサ812(例えば、故障セルが、層の中心の近くの最も内側のセルの1つである場合の検出に効果的である)とを含む、複数の温度センサが存在する。
【0060】
(例えば、温度閾値および/または電圧閾値を用いて)バッテリ故障が検出されると、適切な構成命令が生成されてバッテリ構成コントローラに送信され、スイッチまたはその他の構成可能電気コネクタがそれに従って設定される(すなわち、不良バッテリを絶縁するように設定される)。
【0061】
以下の図は、これについて、より形式的および/または一般的にフローチャートで記載する。
【0062】
図9は、故障バッテリを絶縁することなどによって、複数のバッテリを構成するための処理の一実施形態を示すフローチャートである。いくつかの実施形態において、その処理は、バッテリ構成コントローラ(例えば、
図3の300)によって実行される。
【0063】
ステップ900では、ビークル内の複数のモータに電力を供給する複数のバッテリを構成することに関連付けられている構成命令が受信され、ここで、構成命令は、複数のバッテリの中で故障バッテリを検出したことに応答して生成されたものである。
【0064】
例えば、故障バッテリは、(上述したように)電圧閾値または温度閾値の内の1または複数を用いて、ステップ900で検出されてよい。いくつかの実施形態において、複数のバッテリの中の各バッテリは、内部温度センサ(例えば、バッテリのコンテナの内部にある、セルの層の間に位置する)と、外部温度センサ(例えば、バッテリコンテナの外部にある)と、を備える。
【0065】
ステップ902では、複数のバッテリは、構成命令によって指定されたように構成され、ここで、複数のバッテリは、(1)複数のバッテリの少なくとも一部が並列に接続される第1構成、および、(2)複数のバッテリの少なくとも一部が直列に接続される第2構成、を含む複数の構成に構成されることが可能であり、故障バッテリを検出したことに応答して生成された構成命令の受信に応答して、複数のバッテリは、故障バッテリが複数のバッテリの内の他のバッテリから絶縁される第3構成に構成される。例えば、
図8を参照されたい。
【0066】
図1Aおよび
図1Bへ一時的に戻ると、それらの図に示したマルチコプタ例に関連付けられている設計上の選択または制約は、プロペラが固定角度になっており、傾斜できないことである。この結果として、マルチコプタが長期間にわたって空中でホバリングする場合、これは、ビークルの重心、プロペラの分布、プロペラの角度、などを考慮すると、2つの最前部のモータに大きい負担をかける。逆に、図のビークルの高速前方飛行の継続中には、最後部のモータに最も負担がかかる。いくつかの実施形態において、フレキシブルバッテリシステムは、長期間運転の前方飛行(あるいは、若干異なる構成を使用してホバリング)により良好にするために、以下の図に記載する方法で述べるように、バッテリとモータへの電力供給とを構成する。
【0067】
図10Aは、あるグループのバッテリが直列に接続され、別のグループのバッテリが並列に接続されているフレキシブルバッテリシステムの一実施形態を示す図である。上述のように、この図に示すマルチコプタが長時間にわたって高速で前方に飛行する場合、これは、最後部のモータ(この図では、その内の1つのみが見えている(例えば、1000a))に負担をかける。この例では、これに対処するために、バッテリ構成コントローラ(図を見やすくするために図示されていない)が、この図に示す構成を実現するように、1または複数のスイッチおよび/または構成可能電気コネクタ(同様に、見やすくするために図示されていない)を構成する。いくつかの実施形態において、この構成にシステムを設定する決定と、構成変更自体は、離陸の前に実行される(例えば、飛行中にバッテリ構成を変更することは困難でありうるため)。
【0068】
第1グループのバッテリ(1002aおよび1004a)は、より高い電圧(この場合、単一バッテリの2倍の電圧)のバッテリを生み出すために直列に接続されている。その後、直列バッテリは、(例えば、左または右の)最後部のモータ(1002a)に給電するために用いられる。モータが、単一バッテリの2倍の電圧の電力供給を受ける。
【0069】
残りのバッテリ(1006a、1008a、および、1010a)は、ビークルのその側にある最前部から4つのモータ(1012a、1014a、1016a、および、1018a)へ集合的に給電するために用いられる。このグループのバッテリは、並列に接続されているので、それら4つのモータに供給される電圧は、単一バッテリの電圧の2倍ではなく1倍である。
【0070】
図3へ一時的に戻ると、モータ(306aおよび306b)への電力供給ライン(例えば、M1PS+、M1PS-、M2PS+、および、M2PS-)は、構成可能電気コネクタ(302)から出ていることに注意されたい。これは、システムが、あるセットのバッテリ(例えば、
図10Aにおける直列接続バッテリ1002aおよび1004a)によって給電されるあるセットのモータ(
図10Aにおける1000a)と、別のセットのバッテリ(例えば、
図10Aにおける並列バッテリ1006a、1008a、および、1010a)によって給電される別のセットのモータ(例えば、
図10Aにおける1012a、1014a、1016a、および、1018a)と、を有することを可能にする。
【0071】
以下の図は、電気接続をより明確に示している。
【0072】
図10Bは、第1セットのバッテリによって給電される第1セットの1または複数のモータと、第2セットの1または複数のバッテリによって給電される第2セットの1または複数のモータとの一実施形態を示す図である。
図10Bは、
図10Aの例を継続しており、
図10Aにおける電気接続をより明確に示している。
【0073】
上述のように、2つのバッテリ(1002bおよび1004b)は、互いに直列になるよう構成されており、直列接続バッテリは、マルチコプタが長時間にわたって高速で前方飛行モードにある時に、最後部のモータ(1000b)に給電するために用いられる。この配置の利点は、直列接続バッテリ(1002bおよび1004b)のより高い電圧の結果として、モータ(1000b)に供給する必要がある電流が小さく、ひいては、モータによって発せられる熱が少ないことである。
【0074】
他の3つのバッテリ(1006b、・・・、1010b)は、システムの別の電気的に独立した部分において、並列に接続されている。それらのバッテリは、他の4つのモータ(1012b、・・・、1018b)に電力を供給する。
【0075】
いくつかの実施形態において、モータ(1000b)、モータコントローラ、および/または、プロペラは、直列接続バッテリ(1002bおよび1004b)から恩恵を受けるよう設計される。より具体的には、スタティックモータとプロペラとの組みあわせ(すなわち、1×から2×までの電圧ステップを利用するよう設計されていない)は、電流引き込みの観点で恩恵を受けない。必要な推力により、(プロペラの設計を通して)必要なトルクが決まり、トルク要件により、(モータの設計を通して)必要な電流が決まる。したがって、モータに供給される3相電流(0°、120°、240°の位相)は、それでも同じであるが、モータコントローラに給電するDCラインの電流は、電圧の上昇に比例して減少する。
【0076】
対照的に、ダイナミックモータおよび/または構成可能なモータとモータコントローラとの組みあわせでは、モータのトルク定数は、動的に変更可能である。例えば、これは6相モータ(例えば、0°、60°、120°、・・・)と、適切な制御戦略を備えたモータコントローラとでなされてよい。これは、DCライン、モータコントローラ、および、3相ライン上の電流ひいては熱応力を低下させる。
【0077】
一応用例において、フレキシブルバッテリシステムは、
図4に示した状態になるよう構成される。例えば、ビークルが運転中である場合に、モータによる過渡的または一時的なサージ(例えば、ビークルがバンクまたはその他の操作を実行した時のサージ)が、バッテリおよびモータのすべてが単一の電気的グループ内で互いに並列になっている
図4に示した構成によって、より良好に満たされうる。
【0078】
対照的に、
図10Aおよび
図10Bに示した構成は、単一のモータへの需要が持続している時に、より適切でありうる。一例において、強風の際には、特定のモータが、ホバリング中に静止位置を維持するために、より激しく稼働し、ビークルが次の飛行中に多くホバリングすることは事前にわかっている。マルチコプタ例は、リアルタイムの条件(例えば、風速)を収集し、それを、意図した方向および/または速度(例えば、飛行が自律飛行である場合)と比較する。ライブ条件における予測負荷に応じて、システムは、最も高い予測負荷を持つモータが、直列バッテリを有するよう構成されるように、(例えば、飛行の前に)構成されうる。
【0079】
いくつかの他の実施形態において、スイッチまたは構成の変更は、飛行中になされる。前述したのと同様に、風速などのリアルタイムの条件、ならびに/もしくは、所望のビークル速度、高度、および/または、推進力が測定されてよく、モデルが、その情報を用いて、(例えば、持続的な強風を考慮して)どのモータがより大きい電力を必要とするのかを予測し、それに応じて、そのモータからの最大電力引き出しに到達する前にシステムを再構成する。
【0080】
以下の図は、上記の例について、より一般的および/または形式的にフローチャートで記載する。
【0081】
図11は、第1セットのバッテリによって給電される第1セットの1または複数のモータと、第2セットの1または複数のバッテリによって給電される第2セットの1または複数のモータとを構成するための処理の一実施形態を示すフローチャートである。上記の例と同様に、以下に記載する処理は、バッテリ構成コントローラによって実行されてよい。
【0082】
ステップ1100では、ビークル内の複数のモータに電力を供給する複数のバッテリを構成することに関連付けられている構成命令が受信される。例えば、
図10Aおよび
図10Bに示したこの構成は、マルチコプタが長時間にわたって空中でホバリングしようとする場合に有用でありうる。いくつかの実施形態において、ビークルが特定の時間(すなわち、閾値時間)よりも長くホバリングしていた時に、適切な構成命令が生成される。
【0083】
ステップ1102では、複数のバッテリは、構成命令によって指定されたように構成され、ここで、複数のバッテリは、(1)複数のバッテリの少なくとも一部が並列に接続される第1構成、および、(2)複数のバッテリの少なくとも一部が直列に接続される第2構成、を含む複数の構成に構成されることが可能である。
【0084】
例えば、正および負のバッテリコネクタ(例えば、B1+、B1-、B2+、および、B2-)は、
図3において構成可能電気コネクタ302に接続されているため、そのブロックの中のスイッチまたはその他のコネクタは、所望の直列および/または並列バッテリ接続を達成するよう設定または構成されうる。
【0085】
ステップ1104では、複数のモータは、構成命令によって指定されたように構成され、ここで、複数のモータは、複数のモータの内の第1セットの1または複数のモータが、複数のバッテリの内の第1セットの1または複数のバッテリによって給電され、複数のモータの内の重複しない第2セットの1または複数のモータが、複数のバッテリの内の重複しない第2セットの1または複数のバッテリによって給電される構成に構成されることが可能である。
【0086】
上述のように、いくつかの実施形態において、(第1セットのモータに給電する)第1セットのバッテリは、ステップ1104において、複数のバッテリの少なくとも一部が並列に接続される第1構成である。例えば、
図10Bの並列バッテリ1006b~1010bを参照されたい。(第2セットのモータに給電する)第2セットのバッテリは、同様に、複数のバッテリの少なくとも一部が直列に接続される第2構成であってよい。例えば、
図10Bの直列バッテリ1002bおよび1004bを参照されたい。
【0087】
いくつかの実施形態において、ビークルがホバリングモードにあることに関連付けられている時間が時間閾値を超えたことに応答して生成された構成命令の受信に応答して、バッテリ構成コントローラは、
図11におけるステップ1104において、第1セットのモータが第1セットのバッテリによって給電され、重複しない第2セットのが重複しない第2セットのバッテリによって給電される構成に、複数のバッテリを構成する。
【0088】
同様に、いくつかの実施形態において、ビークル速度が速度閾値を超えた状態でビークルが前方飛行モードにあることに関連付けられている時間が時間閾値を超えたこと(例えば、ビークルが、時間閾値よりも長く速度閾値よりも速く飛行していたこと)に応答して生成された構成命令の受信に応答して、バッテリ構成コントローラは、
図11におけるステップ1104で、第1セットのモータが第1セットのバッテリによって給電され、重複しない第2セットのが重複しない第2セットのバッテリによって給電される構成に、複数のバッテリを構成する。
【0089】
上述の実施形態は、理解しやすいようにいくぶん詳しく説明されているが、本発明は、提供された詳細事項に限定されるものではない。本発明を実施する多くの代替方法が存在する。開示された実施形態は、例示であり、限定を意図するものではない。
【国際調査報告】