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特表2022-542345構造化されたエコー源性のコーティングが適用された医療デバイス及びその作製方法
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  • 特表-構造化されたエコー源性のコーティングが適用された医療デバイス及びその作製方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(54)【発明の名称】構造化されたエコー源性のコーティングが適用された医療デバイス及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501276
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2020044409
(87)【国際公開番号】W WO2021022114
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】16/527,641
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514300557
【氏名又は名称】アヴェント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン
(72)【発明者】
【氏名】サンドベン、カリー ビー
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE09
4C601FF06
4C601GA20
4C601GA27
(57)【要約】
エコー源性が向上した医療デバイスが提供される。エコー源性が向上した医療デバイスは、ヒトまたは動物の組織内に挿入されるように構成され、第1の音響インピーダンスを有する本体部を備える。医療デバイスの本体部は、第2の音響インピーダンスを有する少なくとも1つの構造化されたエコー源性部をさらに含む。少なくとも1つの構造化されたエコー源性部は、患者に挿入されたときに医療デバイスの超音波イメージングを向上させるように構成される。少なくとも1つの構造化されたエコー源性部は、構造化された形状及び不連続のパターンのうち少なくとも一方を含む。エコー源性が向上した医療デバイスを作製する方法がさらに開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エコー源性が向上した医療デバイスであって、
ヒトまたは動物の組織内に挿入されるように構成され、第1の音響インピーダンスを有する本体部を備え、
前記本体部は、患者に挿入されたときに前記医療デバイスの超音波イメージングを向上させるように構成された第2の音響インピーダンスを有する少なくとも1つの構造化されたエコー源性部をさらに含み、
少なくとも1つの構造化された前記エコー源性部は、構造化された形状及び不連続のパターンのうち少なくとも一方を含むことを特徴とするエコー源性が向上した医療デバイス。
【請求項2】
前記本体部は、カテーテル、カニューレ、ガイドワイヤ、電気リード、埋め込み型デバイス、プローブ、埋め込み可能な流体供給ポート、または呼吸管のうちの1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のエコー源性が向上した医療デバイス。
【請求項3】
前記本体部は、金属材料、プラスチック材料、セラミック材料、及び樹脂ベースの材料のうちの1以上から形成されることを特徴とする請求項1に記載のエコー源性が向上した医療デバイス。
【請求項4】
前記第2の音響インピーダンスは、前記第1の音響インピーダンスとは異なっていることを特徴とする請求項1に記載のエコー源性が向上した医療デバイス。
【請求項5】
少なくとも1つの前記エコー源性部は、前記本体部の材料とは異なる材料から形成されることを特徴とする請求項1に記載のエコー源性が向上した医療デバイス。
【請求項6】
前記エコー源性部の前記不連続のパターンは、アディティブ法またはサブトラクティブ法によって形成されることを特徴とする請求項1に記載のエコー源性が向上した医療デバイス。
【請求項7】
前記構造化された形状または不連続のパターンは、エコー源性材料を前記本体部にプリントすることによって形成されることを特徴とする請求項6に記載のエコー源性が向上した医療デバイス。
【請求項8】
前記構造化された形状または不連続のパターンは、前記エコー源性部の材料を除去するために、レーザを使用することによって刻印されることを特徴とする請求項6に記載のエコー源性が向上した医療デバイス。
【請求項9】
少なくとも1つの前記構造化された形状または不連続のパターンは、矢印、アルファベット文字、数字、シリアル番号、日付、ブルズアイ、QRコード(登録商標)、バーコード、ロゴ、または前記医療デバイスの同一性を示すように構成されたその他の形状の形態の記号であることを特徴とする請求項1に記載のエコー源性が向上した医療デバイス。
【請求項10】
少なくとも1つの前記構造化された形状または不連続のパターンは、日付を形成するアルファベット文字及び/または数字の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載のエコー源性が向上した医療デバイス。
【請求項11】
構造化された前記エコー源性部は、前記本体部の一部をエコー源性材料でコーティングすることによって形成されることを特徴とする請求項1に記載のエコー源性が向上した医療デバイス。
【請求項12】
前記エコー源性部は、エコー源性材料から形成された前記本体部の一部であることを特徴とする請求項1に記載のエコー源性が向上した医療デバイス。
【請求項13】
エコー源性が向上した医療デバイスを作製する方法であって、
ヒトまたは動物の組織内に挿入されるように構成され、第1の音響インピーダンスを有する本体部を準備する準備ステップと、
第2の音響インピーダンスを有する構造化されたエコー源性部を形成する形成ステップであって、構造化された前記エコー源性部は、患者に挿入されたときに前記医療デバイスの超音波イメージングを向上させるように構成され、少なくとも1つの構造化された前記エコー源性部は、形状及び不連続のパターンのうち少なくとも一方を含む、該形成ステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
構造化された前記エコー源性部を形成する前記形成ステップは、前記医療デバイスの前記本体部の少なくとも一部にエコー源性材料のコーティングを適用する適用ステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記形状及び前記不連続のパターンのうち少なくとも一方を形成するために、前記エコー源性のコーティングから前記エコー源性材料をサブトラクティブ法によって除去する除去ステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記形状及び前記不連続のパターンのうち少なくとも一方を形成するために、前記エコー源性材料のコーティング上に少なくとも1つの付加構造をプリントするプリントステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの前記構造化された形状または不連続のパターンは、矢印、アルファベット文字、数字、シリアル番号、日付、ブルズアイ、QRコード(登録商標)、バーコード、ロゴ、または前記医療デバイスの同一性を示すように構成されたその他の形状の形態の記号であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの構造化された前記形状または前記不連続のパターンは、日付を形成するアルファベット文字及び/または数字の組み合わせであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記形状及び前記不連続のパターンのうち少なくとも一方は、前記医療デバイスの前記本体部にアディティブ法によって形成されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの付加構造が、前記医療デバイスの前記本体部にプリントされることにより、前記形状及び前記不連続のパターンのうち少なくとも一方を形成することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
エコー源性が向上した医療デバイスを患者の体内で識別する方法であって、
ヒトまたは動物の組織内に挿入されるように構成され、第1の音響インピーダンスを有する本体部を準備する準備ステップと、
第2の音響インピーダンスを有する少なくとも1つの構造化されたエコー源性部を前記医療デバイスの前記本体部に形成する形成ステップであって、前記構造化されたエコー源性部は、前記患者に挿入されたときに前記医療デバイスの超音波イメージングを向上させるように構成され、前記少なくとも1つの構造化されたエコー源性部は、形状及び不連続のパターンのうち少なくとも一方を含む、該形成ステップと、
前記医療デバイスの前記本体部を前記患者の身体に挿入する挿入ステップと、
自動超音波イメージングシステムからデータ信号を受信する受信ステップであって、前記データ信号は、自動超音波生成システムの超音波プローブによって生成された複数の超音波に関連する情報を含む、該受信ステップと、
前記構造化されたエコー源性部の前記形状及び前記不連続のパターンのうち少なくとも一方を識別することにより、受信した前記データ信号を使用して前記医療デバイスの前記本体部の前記構造化されたエコー源性部を識別する識別ステップと、を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2019年7月31日に出願された米国特許出願第16/527,641号の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の主題は、一般に、エコー源性が向上した医療デバイス及びエコー源性が向上した医療デバイスを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医療分野での超音波イメージングは、様々な用途で広く使用されている。臓器、腫瘍、血管などの生理学的構造及び組織をイメージングすることに加えて、患者の組織または経路に挿入された医療デバイスの画像を見ることは、医師または技術者にとって多くの場合望ましい。外科的に滅菌され、患者に挿入されるデバイスの種類は多数存在する。典型的な例として、ニードル、カテーテル、及び、ステント、拡張器、ペーシングリード、イントロデューサ、血管造影デバイス、血管形成デバイス、ペースメーカー及びポンプや他のデバイスなどの入院器具などの様々な他の医療製品が挙げられる。例えば、神経ブロックの処置中、超音波下におけるそのような医療デバイスの可視性は特に重要である。より具体的には、そのような処置では、カテーテルの先端の位置を神経部位の周囲で決定することが重要であり得る。例えば表面の形状の変更、表面粗さの増加、ガスを閉じ込め得る表面の製造などの、これらのデバイスの反射表面特性の変更によって、このようなデバイスの超音波イメージングを改良するための様々なアプローチが使用されてきた。
【0004】
例えば、既存の解決策の1つは、医療デバイスにエコー源性を有するコーティング(エコー源性のコーティング)を施すことである。医療デバイスの一部は、ポリマーコーティング、例えば、多孔質材料または微小孔性材料から形成されたポリマーコーティングで覆われている。エコー源性のコーティングは、非金属材料の小さな気泡、ボイド、球体、またはその他の多孔質構造を有する。しかしながら、医療デバイスの表面に対するそのようなエコー源性のコーティングの適用は、カテーテルまたはカニューレの共形形状にのみコーティングを適合させることが可能な浸漬またはスプレーコーティングによって、エコー源性材料をコーティングするプロセスに制限される。例えば、ニードルまたはカテーテルがエコー源性材料でコーティングされているとき、コーティングされた領域の形状は、神経ブロックなどの医療処置中に超音波イメージングが使用される場合には、ねじまたは骨の形状に類似し得る。このため、臨床医が神経ブロック処置用のカテーテルを不正確な場所に挿入する可能性がある。さらに、コーティングにパターンを作成するためのマスキング方法(例えば、ステンシル)の使用は、医療デバイス(例えば、カテーテルの先端またはニードル)のサイズが、達成可能なマスキングのサイズと比較して一般的に非常に小さいことに起因して、バンドすなわち矩形などの非常に単純な形状に制限される。既存のマスキング方法を使用しても、より小さく、及び/または、より正確な、あるいは複雑なパターンや形状を作成することは不可能である。残念なことに、マスキング方法を使用して形成されたこのようなバンドすなわち矩形の形状は、医療デバイスが骨またはチタンのねじに紛らわしいほど酷似しているように見える、決定的でない超音波画像をもたらし得る。
【0005】
したがって、骨やねじなどの体内の他の物品との潜在的な混乱をもたらさない方法で、医療デバイスのエコー源性を向上させる必要がある。特に、配置されている医療デバイスを確実に識別するために、明確な形状及び/またはパターンを有する医療デバイスのエコー源性を向上させることも有用であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エコー源性が向上した医療デバイスに関する。エコー源性が向上した医療デバイスは、ヒトまたは動物の組織内に挿入されるように構成され、第1の音響インピーダンスを有する本体部を備える。本体部は、患者に挿入されたときに医療デバイスの超音波イメージングを向上させるように構成された第2の音響インピーダンスを有する少なくとも1つの構造化されたエコー源性部をさらに含む。少なくとも1つの構造化されたエコー源性部は、構造化された形状及び不連続のパターンのうちの少なくとも一方を含む。
【0007】
特定の一実施形態では、本体部は、カテーテル、カニューレ、ガイドワイヤ、電気リード、埋め込み型デバイス、プローブ、埋め込み可能な流体供給ポート、呼吸管のうちの1つを含む。
【0008】
別の実施形態では、本体部は、金属材料、プラスチック材料、セラミック材料、及び樹脂ベースの材料のうちの1以上から形成される。
【0009】
さらなる実施形態では、第2の音響インピーダンスは、第1の音響インピーダンスとは異なっている。
【0010】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つのエコー源性部は、本体部の材料とは異なる材料から形成される。
【0011】
追加の実施形態では、エコー源性部の不連続のパターンは、アディティブ法またはサブトラクティブ法によって形成される。さらに、構造化された形状または不連続のパターンは、エコー源性材料を本体部にプリントすることによって形成することができる。さらに、構造化された形状または不連続のパターンは、エコー源性部の材料を除去するために、レーザを使用することによって刻印することができる。
【0012】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの構造化された形状または不連続のパターンは、矢印、アルファベット文字、数字、シリアル番号、日付、ブルズアイ、QRコード(登録商標)、バーコード、ロゴ、または医療デバイスの同一性を示すように構成されたその他の形態の記号である。
【0013】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの構造化された形状または不連続のパターンは、日付を形成するアルファベット文字及び/または数字の組み合わせである。
【0014】
追加の実施形態では、構造化されたエコー源性部は、本体部の一部をエコー源性材料でコーティングすることによって形成される。
【0015】
もう1つの実施形態では、エコー源性部は、エコー源性材料から形成された本体部の一部である。
【0016】
本発明はさらに、エコー源性が向上した医療デバイスを作製する方法に関する。本方法は、ヒトまたは動物の組織内に挿入されるように構成され、第1の音響インピーダンスを有する本体部を準備する準備ステップと、第2の音響インピーダンスを有する構造化されたエコー源性部を形成する形成ステップであって、構造化されたエコー源性部は、患者に挿入されたときに医療デバイスの超音波イメージングを向上させるように構成され、少なくとも1つの構造化されたエコー源性部は、形状及び不連続のパターンのうち少なくとも一方を含む、該形成ステップと、を含む。
【0017】
特定の一実施形態では、構造化されたエコー源性部を形成する形成ステップは、医療デバイスの本体部の少なくとも一部にエコー源性材料のコーティングを適用する適用ステップを含む。さらに、本方法は、形状及び不連続のパターンのうち少なくとも一方を形成するために、エコー源性のコーティングからエコー源性材料をサブトラクティブ法によって除去する除去ステップをさらに含み得る。さらに、本方法は、形状及び不連続のパターンのうちの少なくとも一方を形成するために、エコー源性材料のコーティング上に少なくとも1つの付加構造をプリントするプリントステップをさらに含み得る。
【0018】
別の実施形態では、少なくとも1つの構造化された形状または不連続のパターンは、矢印、アルファベット文字、数字、シリアル番号、日付、ブルズアイ、QRコード(登録商標)、バーコード、ロゴ、または医療デバイスの同一性を示すように構成されたその他の形状の形態の記号である。
【0019】
追加の実施形態では、少なくとも1つの構造化された形状または不連続のパターンは、日付を形成するアルファベット文字及び/または数字の組み合わせである。
【0020】
さらなる実施形態では、形状及び不連続のパターンのうち少なくとも一方は、医療デバイスの本体部にアディティブ法によって形成される。さらに、少なくとも1つの付加構造が、医療デバイスの本体部にプリントされることにより、形状及び不連続のパターンのうち少なくとも一方を形成することができる。
【0021】
本発明はさらに、エコー源性が向上した医療デバイスを患者の体内で識別する方法に関する。本方法は、ヒトまたは動物の組織内に挿入されるように構成され、第1の音響インピーダンスを有する本体部を準備する準備ステップと、第2の音響インピーダンスを有する少なくとも1つの構造化されたエコー源性部を医療デバイスの本体部に形成する形成ステップであって、構造化されたエコー源性部は、患者に挿入されたときに医療デバスの超音波イメージングを向上させるように構成され、少なくとも1つの構造化されたエコー源性部は、形状及び不連続のパターンのうち少なくとも一方を含む、該形成ステップと、医療デバイスの本体部を患者の身体に挿入する挿入ステップと、自動超音波イメージングシステムからデータ信号を受信する受信ステップであって、データ信号は、自動超音波生成システムの超音波プローブによって生成された複数の超音波に関連する情報を含む、該受信ステップと、構造化されたエコー源性部の形状及び不連続のパターンのうち少なくとも一方を識別することにより、受信したデータ信号を使用して医療デバイスの本体部の構造化されたエコー源性部を識別する識別ステップと、を含む。
【0022】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照することにより、よりよく理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0023】
当業者に向けられた、その最良の形態を含む本発明の完全かつ実施可能な程度の開示は、以下の添付の図面を参照して本明細書に記載されている。
【0024】
図1】本発明の特定の一実施形態による、エコー源性が向上した医療デバイスの斜視図である。
図2】本発明による、エコー源性が向上した医療デバイスの別の実施形態の斜視図である。
図3】アディティブ法によって構造化されたエコー源性のコーティングを有する、本発明のエコー源性が向上した医療デバイスの断面図である。
図4】サブトラクティブ法によって構造化されたエコー源性のコーティングを有する、本発明のエコー源性が向上した医療デバイスの断面図である。
図5】本発明による、エコー源性が向上した医療デバイスのさらに別の実施形態の斜視図である。
図6】エコー源性が向上した医療デバイスを作製し、エコー源性が向上した医療デバイスを患者の体内で識別する方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、本発明の実施形態を詳細に参照し、その1以上の実施例を図面に示す。各実施例は、本発明の限定ではなく、本発明の説明として提供されている。事実、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明において様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明されている特徴を別の実施形態とともに使用することにより、さらに別の実施形態を得ることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に入るような修正及び変形を包含することが意図されている。
【0026】
位置についての用語「近位」及び「遠位」は、本明細書では、様々な構成要素を相互及び患者に対して方向付けるために使用される。「遠位」は、創傷部位及び/または患者に最も近い方向を指し(例えば、カテーテルまたはニードルの遠位端は、患者のカテーテルまたはニードルの挿入部位に向けられた端部である)、「近位」は、反対方向を指す(例えば、カテーテルの近位端は、流体送達デバイスの遠位端に挿入される)。
【0027】
本明細書で使用するとき、「エコー源性」は、超音波の反射またはエコーを生じさせることを意味する。「エコー源性」は、表面が超音波エネルギーを反射して、超音波エネルギーのエネルギー源またはエミッタの近位のセンサに直接戻る相対的な範囲を指す。医療デバイスなどのデバイスの実際のエコー源性が低いと、媒体内のデバイスの正確なイメージングが妨げられる。滑らかなデバイスが超音波に対して直角に配向されている場合、超音波はデバイスから直接反射されて超音波トランスデューサに戻り、デバイスは比較的高く実用的なエコー源性を有していると言われる。他の配向角度では、直接反射されてトランスデューサに戻る超音波エネルギーが少ないため、デバイスの実際のエコー源性が低下する。
【0028】
本明細書で使用されているように、「約」、「およそ」または「略」という用語は、値を変更するために使用するとき、値を5%増加または減少させることができ、開示された実施形態内に留まることができることを示す。
【0029】
一般に、本発明は、エコー源性が向上した医療デバイスに関する。エコー源性が向上した医療デバイスは、ヒトまたは動物の組織内に挿入されるように構成され、第1の音響インピーダンスを有する本体部を備える。本体部は、患者に挿入されたときに医療デバイスの超音波イメージングを向上させるように構成された第2の音響インピーダンスを有する少なくとも1つのエコー源性部をさらに含む。少なくとも1つのエコー源性部は、エコー源性材料から形成された形状及び不連続のパターンのうち少なくとも一方を含む。本発明はさらに、エコー源性材料から形成された形状及び不連続のパターンのうち少なくとも一方を含むエコー源性が向上した医療デバイスを作製する方法に関する。本発明者らは、本発明のエコー源性が向上した医療デバイスの特定の構成要素が、超音波イメージングを使用して観察したときに、骨またはチタンのねじの形状及び/または材料に類似して見える典型的なエコー源性のコーティングの長年の問題を克服することを見出した。特に、エコー源性材料によって形成された形状及び/またはパターンを有していない標準的なエコー源性のコーティングは、一般に、カテーテルまたはニードルの広い、あるいは均一な表面上にコーティングされ得るので、超音波イメージングを使用して観察したときに、骨またはチタンのねじの形状及び/または材料に類似して見える細長い、あるいは円筒形のエコー源性のコーティングが得られる。エコー源性のコーティングに少なくとも1つの形状及び/またはパターンを提供することにより、本発明者らは、患者の体内の医療デバイスの位置をガイド及び確認するために超音波イメージングを使用して観察したときに、エコー源性が向上した本発明の医療デバイスを明確に識別できることを見出した。
【0030】
本発明のエコー源性が向上した医療デバイスの特定の特徴は、図1-5を参照することにより、よりよく理解され得る。
【0031】
ここで図面を参照すると、図1及び図2は、本開示によるエコー源性を有するカテーテルアセンブリ10の様々な実施形態を示している。例えば、図示のように、カテーテルアセンブリ10は、近位端22及び遠位端24を有するカテーテル14を含む。より具体的には、図1に示されるように、カテーテルアセンブリ10は、オーバ・ザ・ニードル(OTN)式のカテーテルアセンブリであり、すなわち、カテーテル14は、ニードル12に対して同軸に取り付けられている。したがって、カテーテルアセンブリ10は、カテーテル14及びニードル12を患者に同時に挿入することができるように構成され得る。あるいは、図2に示されるように、カテーテル14は、ニードル12なしで使用されてもよい。さらに、カテーテル14(及び/またはニードル12)は、カテーテル14の近位端22から遠位端24まで延びるルーメン26を画定する。したがって、カテーテル14は、ルーメン26を介して治療液を患者の体内の標的部位(例えば、神経束)に送達するように構成される。より具体的には、図1に示されるように、カテーテルアセンブリ10は開口した遠位端28を含み、これにより、ニードル12は開口した遠位端28を超えて延び得る。
【0032】
代替実施形態では、図2に示されるように、カテーテルアセンブリ10は、例えば、患者への治療液の所望の送達適用に応じた、閉口した遠位端29を含み得る。より具体的には、図示のように、カテーテルアセンブリ10は、ニードル12を有していない閉口した遠位端29を含み得る。このような実施形態では、カテーテル14は、カテーテル14のルーメン26を介して患者の体内の標的部位に治療液を送達するように、その外面17に構成された1以上の注入孔25を備え得る。さらに、本開示によるカテーテルアセンブリは、任意選択で、患者に治療液を投与するための1以上の注入孔25と、開口した遠位端28とを備えていてもよいことも理解されるべきである。
【0033】
より具体的には、特定の実施形態では、カテーテル14の近位端22は、流体送達デバイス(図示せず)との嵌合による連通のためにカテーテル14上に構成されたハブ16を有していてもよく、これにより、カテーテル14及び/またはニードル12のルーメン26と、開口した遠位端28及び/または注入孔25とを介して患者の体内の標的部位に、治療流体を送達することができる。本明細書に記載の流体送達デバイスは、ポンプ、リザーバ、シリンジ等の当該技術分野で既知の適切なデバイスであってよい。さらに、ハブ16は、ルアーロック継手などの任意の従来の構成を有していてよい。
【0034】
さらに図1-2を参照すると、ヒト及び/または動物の組織内に挿入されるように構成されたエコー源性を有するカテーテルアセンブリ10の本体部15は、カテーテルアセンブリ10の超音波イメージングを向上させるように構成された少なくとも1つの構造化されたエコー源性部30を含む。より具体的には、図3-4に示されるように、構造化されたエコー源性部30は、カテーテル14の外面17の一部またはニードル12の一部に、エコー源性材料の構造化されたコーティング32として形成され得る。追加的に、あるいは代替的に、構造化されたエコー源性部30は、カテーテル14自体の一部として一体的に形成され得る。すなわち、カテーテル14の少なくとも一部は、エコー源性材料から形成される。エコー源性部30は、エコー源性部30内またはエコー源性部上に形成される少なくとも1つの構造化した形状または不連続のパターン34をさらに含むことができる。エコー源性部30の少なくとも1つの構造化した形状または不連続のパターン34は識別可能であるように構成され、これにより、患者の体内のエコー源性を有するカテーテルアセンブリ10の挿入経路及び/または位置を、超音波イメージングによって容易に識別することができる。例えば、図1-2及び5に示されるように、構造化されたエコー源性部30は、カテーテル14の遠位端24すなわち先端またはニードル12の遠位端に、あるいはそれらに隣接して、配置され得る。
【0035】
本発明のエコー源性が向上したデバイスの少なくとも1つの構造化されたエコー源性部30は、有用な超音波散乱特性を有する。例えば超音波イメージングを使用して、音波によって画像化されると、エコー源性が向上したデバイス(例えば、カテーテルアセンブリ10)のエコー源性部30は、挿入される媒体との高いコントラストを作り出す。エコー源性材料は、エコー源性部30を形成するために医療デバイスに適用されるコーティング溶液に懸濁された微小固体、例えば微粒子を含み得る。いくつかの実施形態では、懸濁された微小固体に加えて、あるいは代替的に、コントラストは、エコー源性部の表面の多孔質部分に閉じ込められたガスまたは流体によって増強され得る。超音波イメージングで観察したときに異なる材料間で予想されるコントラストの量は、各材料の音響インピーダンスを比較することによって推定できる。音響インピーダンスは、材料の密度と、材料中の音速との積として定義される。いくつかの一般的な材料の音響インピーダンス(単位:10kg・m-2・s-1)は以下の通りである:空気-0.0004、水-1.48、筋肉-1.7、骨-7.8、金属-75。媒体内のデバイスをイメージングする場合、観察されるコントラストのレベルは、音響インピーダンスの高い材料(例えば、金属や骨)と音響インピーダンスの低い材料(例えば、空気)との比率に関連し得る。上記の音響インピーダンスを調べることにより、血液などの水性媒体の場合、空気との音響インピーダンス比は高く(1.48/0.0004=3,700)、金属(75/1.48=51)よりも媒体とのコントラストが高くなると予想することができる。したがって、医療デバイスの少なくとも一部、例えば、カテーテルアセンブリ10のニードル12にエコー源性材料を提供すると、エコー源性部30は、水性媒体において、ニードル12自体の金属材料よりも著しく高いコントラストを示す。
【0036】
本発明のエコー源性部を形成するエコー源性材料は、身体組織と比較して音響コントラストを増強する、懸濁された微小固体(例えば、微粒子)を有するポリマー材料、及び/または微孔性高分子材料などの多孔質ポリマー材料の溶液またはコーティングであり得る。しかしながら、本発明は、ヒトの身体組織とは対照的に、エコー源性の特性または効果を有する任意の他の適切な材料を使用し得ることを企図している。懸濁された微小固体(例えば、微粒子)を有する溶液は、医療デバイスに対する接着の改善、エコー源性のコーティングの作業性の改善、及び/またはエコー源性のコーティングの処理の改善を可能にする材料を含み得る。微小固体または微粒子は、非金属材料であり得る。コーティング溶液は、粘性または非粘性を有し得る。多孔質ポリマーのエコー源性材料は、材料の表面または内部にかかわらず、媒体(例えば、血液、あるいはヒト及び/または動物の組織などの水性媒体)に挿入されたときに多孔質高分子材料の表面の多孔質部分にガス及び/または流体を閉じ込めるための中空キャビティを有するように構成される。本発明のいくつかの態様では、多孔質ポリマー材料が形成され、及び/または、エコー源性部30用のエコー源性材料の作成のために処理される条件は、所望の細孔サイズ及び/または細孔容積を生成するべく、変更可能である。細孔サイズは、当該技術分野で既知の任意の適切な方法によって調整してもよい。いくつかの態様では、細孔サイズは、少なくとも約10ナノメートル、例えば少なくとも約50ナノメートル、例えば少なくとも約1マイクロメートルである。いくつかの態様では、細孔サイズは、約500マイクロメートル以下、例えば約100マイクロメートル以下、例えば約10マイクロメートル以下である。超音波イメージングの分野で一般的に使用されているように、細孔容積及び細孔サイズの合計を調整することにより、十分なエコー源性造影剤を閉じ込めてもよい。
【0037】
本発明のエコー源性材料は生体適合性であることが理解されるべきである。生体適合性材料は、体内で分解するか、長期間留まるか、または全体が排泄されるかにかかわらず、一般的に、体内で重大な副作用(例えば、毒性または抗原反応など)を引き起こさない。理想的には、生体適合性材料は、体液または組織との接触の結果として、例えばアレルギー反応、異物反応(拒絶)、炎症反応、血液凝固、組織死、または腫瘍形成などの望ましくない反応を体内で誘発しない。
【0038】
エコー源性材料のコーティング32は、当該技術分野で既知の任意のコーティング方法によってエコー源性を有するカテーテルアセンブリ10に適用することができる。本発明のエコー源性のコーティングを適用するために、バッチ法または連続コーティング法のいずれかを使用してもよい。適切なコーティング方法には、以下に限定しないが、例えばディップコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、及びそれらの組み合わせが含まれる。本発明の一態様では、単一ステップのディップコーティングプロセスが使用される。コーティングが適用された後、コーティングは、当該技術分野で既知の方法によって乾燥され得る。適切な乾燥方法としては、以下に限定しないが、例えば熱風(すなわち、熱の適用)、伝導乾燥、対流乾燥、紫外線照射、赤外線照射、及びマイクロ波照射が挙げられる。理想的には、コーティング及び乾燥方法は、以下でさらに詳細に説明するように、エコー源性部30の少なくとも1つの形状または不連続のパターン34のアディティブ法またはサブトラクティブ法による形成の前に、実質的に均一なコーティング(すなわち、厚さが実質的に均一であり、かつ表面粗さが低いコーティング層)を提供するように選択される。
【0039】
いくつかの態様では、少なくとも1つの形状または不連続のパターン34のアディティブ法またはサブトラクティブ法による形成より前のエコー源性のコーティング32の乾燥厚さは、少なくとも約1マイクロメートル、例えば少なくとも約10マイクロメートルである。エコー源性のコーティング32の乾燥厚さは、エコー源性のコーティング32が提供される医療デバイス、例えば、カテーテル14のサイズに基づいて選択され得る。例えば、外径が約1mmの24ゲージカテーテルに対し、乾燥厚さが約1mmであるエコー源性のコーティングを実現可能には適用し得ないが、これは、そのようなコーティングによりエコー源性部の外径が約3mmに増加するためである。24ゲージカテーテルの初期外径の3倍の大きさとなり、これは意図した目的に適さない場合がある。同様に、エコー源性のコーティング32の厚さは、医療デバイスを挿入する必要があるイントロデューサのサイズ、または医療デバイスを別の装置と組み合わせて使用しなければならない場合の他のサイズの考慮事項に基づいて選択し得る。
【0040】
追加的に、または代替的に、上記のように、構造化されたエコー源性部30は、エコー源性材料から形成されるデバイスの一部、例えばカテーテル14であり得る。デバイスの少なくとも一部、例えばカテーテル14は、必要に応じてエコー源性材料を成形してデバイスの本体部の少なくとも一部(例えば、カテーテル14のチューブ)を形成することによって作製され得る。適切な成形方法は当該技術分野で既知であり、例えば、押出成形、圧縮成形、及び押出成形が含まれる。エコー源性材料から形成される構造部品は、例えば、より高いレベルのエコー源性を提供することによって、エコー源性を向上させるためにエコー源性のコーティングでコーティングされた非エコー源性構造部品よりも利点を提供し、コーティングの亀裂や層間剥離などのコーティング層からの潜在的な問題を排除する。
【0041】
構造化されたエコー源性部30は、アディティブ法、サブトラクティブ法、またはそれらの組み合わせによって形成されたエコー源性部30に、少なくとも1つの構造化された形状または不連続のパターン34を含む。例えば、構造化された形状または不連続のパターン34は、デバイス、例えば、ニードル12またはカテーテル14へのエコー源性材料のプリントなどによるアディティブ法によって形成することができる。アディティブ法によるプリントは、インクジェットプリント、エアロゾルジェットプリント、直接のインクジェットプリント、加圧ニードルプリント、体積圧力によるインクの塗布、及び/またはエコー源性材料をプリントすることができる他の適切なプリントプロセスまたは積層造形プロセスによって実行することができる。本発明のいくつかの態様では、積層造形プロセスは、例えば、直接エネルギー堆積、直接レーザ堆積、または任意の他の適切な積層造形プロセスを含み得る。積層造形を用いることにより、構造化された形状またはパターン34の様々な構成要素を、カテーテル14またはニードル12の全体的な効果を妨げないように(例えば、患者の必要な組織を穿刺する際のニードル12の全体的な効果を妨げないように)、カテーテル14またはニードル12に薄層でプリントすることができる。例えば、一実施形態では、少なくとも1つの構造化された形状またはパターン34は、約0.01mmから約0.5mmの範囲の所定の厚さまたは高さHを有し得る。エコー源性材料のアディティブ法による印刷は、24ゲージ(すなわち、約0.040インチまたは約1mmの外径を有する)と同じくらい小さいカテーテル14またはニードル12上で実行することができる。さらに、カテーテル14またはニードル12へのアディティブ構造36の積層造形またはプリントは、カテーテル14またはニードル12上の特定の形状及び特定の位置に適用される。例えば、カテーテル14またはニードル12へのアディティブ構造36の積層造形またはプリントは、カテーテル14またはニードル12の遠位端から特定の距離(例えば、遠位端から約0.1mm近く)に配置することができる。さらに、カテーテル14またはニードル12へのアディティブ構造36の積層造形またはプリントは、カテーテル14またはニードル12の外面17について、特定の角度すなわち半径方向の位置に配置することができる。例えば、図3に示すように、複数のアディティブ構造36が、カテーテル14の周囲に放射状に配置される。
【0042】
図3に示されるように、構造化されたエコー源性部30は、エコー源性を有するカテーテルアセンブリ10(医療デバイス)にプリントされるアディティブ構造36を含み得る。アディティブ構造36は、図3に示すように、エコー源性のコーティング32上にアディティブ法によってプリントされ得る、あるいはカテーテル14の外面17上に直接プリントされ得る。アディティブ構造36は、エコー源性を有するカテーテルアセンブリ10(医療デバイス)にアディティブ法によって接着されることにより、形状及び/または不連続のパターン34を構築及び形成する。
【0043】
追加的に、または代替的に、構造化されたエコー源性部30内の少なくとも1つの構造化された形状または不連続のパターン34は、サブトラクティブ法によって形成することができる。例えば、エコー源性を有するカテーテルアセンブリ10は、上記のようにカテーテル14の少なくとも一部にわたってエコー源性のコーティング32でコーティングされ得、次いで、少なくとも1つの構造化された形状または不連続のパターン34を、ネガティブ型の形状及び/またはパターンで、コーティング32から除去することができる。例えば、少なくとも1つのレーザを使用して、ネガティブ型の構造化された形状及び/またはパターンで、エコー源性材料をエコー源性のコーティング32から正確な方法で除去することができる。他のサブトラクティブ法には、以下に限定しないが、例えばレーザアブレーション、プラズマ、化学エッチング、及び機械的除去が含まれる。例えば、一実施形態では、少なくとも1つの構造化された形状またはパターン34は、コーティング32内に0.01mmほどの小ささの所定の深さDを有し得る。エコー源性材料の、コーティング32上へのサブトラクティブ法による形状及び/またはパターンの形成は、24ゲージ(すなわち、約0.040インチまたは約1mmの外径を有する)と同じくらい小さいカテーテル14またはニードル12上で実行することができる。さらに、カテーテル14またはニードル12の、エコー源性のコーティング32上へのサブトラクティブ領域38のサブトラクティブ形成またはプリントは、特定の形状に、かつ、カテーテル14またはニードル12上の特定の位置に形成される。例えば、カテーテル14またはニードル12のコーティング32上へのサブトラクティブ領域38のサブトラクティブ形成は、カテーテル14またはニードル12の遠位端から特定の距離(例えば、遠位端から約0.1mm近く)に配置することができる。さらに、カテーテル14またはニードル12のコーティング32上へのサブトラクティブ領域38のサブトラクティブ形成は、カテーテル14またはニードル12の外面17の周囲の特定の角度または半径方向の位置に配置することができる。例えば、図3に示すように、複数のサブトラクティブ領域38が、カテーテル14の周囲に、半径方向に配置される。
【0044】
図4に示すように、構造化されたエコー源性部30は、カテーテル14の外面17を取り囲むエコー源性のコーティング32によって形成され得、エコー源性のコーティング32は、コーティング32から除去されて構造化された形状またはパターン34を形成するサブトラクティブ領域38を含む。本発明の他の態様(図示せず)では、構造化されたエコー源性部30は、コーティング32から除去されたサブトラクティブ領域38を有し、かつ、エコー源性のコーティング32上に、またはその周囲にプリントされた、あるいはその他の方法でアディティブ形成されたアディティブ構造36をさらに有するエコー源性のコーティング32によって形成され得る。
【0045】
図1-2及び5に示すように、エコー源性部30の少なくとも1つの形状または不連続のパターン34は、例えば以下の1以上の形状の形態であり得る:多角形または他の幾何学的形状、矢印、ブルズアイ、チェックマーク、または他の容易に識別可能な形状;英数字、例えば、数字、単語、数字及び/または文字のランダムまたはコード化された組み合わせ(シリアル番号、日付、製品コード、ロケーションコード、有効期限など);QRコード(登録商標);バーコード;パターン、例えば、ストライプ、一点鎖線、渦巻きまたは湾曲した線/形状、またはその他の繰り返しあるいは非繰り返しの形状のシーケンス;または、超音波イメージングによって表示したときにデバイスを明確に識別するのに適した任意の他の適切な文字または画像(会社のロゴや名前など)。例えば、図1は矢印の形状(パターン34)を示している。図2は、カテーテルのエコー源性部30の文字「ABC」を示している。図5は、ニードル12のエコー源性部30の文字/記号「XXX」と、カテーテル14のエコー源性部30のQRコード(登録商標)とを示している。
【0046】
エコー源性を有するカテーテルアセンブリ10のエコー源性部30に少なくとも1つの形状及び/または不連続のパターン34を設けることによって、本発明は、超音波画像を使用して表示したときに、骨またはチタンのねじの形状及び/または材料に類似して見える典型的なエコー源性のコーティングの長年の問題を克服する。特に、エコー源性材料によって形成された形状及び/またはパターンを有していない標準的なエコー源性のコーティングは、一般に、カテーテルまたはニードルの広い表面上にコーティングされ得、これにより、超音波イメージングを使用して表示したときに骨またはチタンのねじの形状及び/または材料に類似して見える略細長い、円形または円筒形のエコー源性のコーティングが得られる。
【0047】
エコー源性を有するカテーテルアセンブリ10が図1-5に示されているが、本発明は、超音波イメージングを使用して観察されるように構成される任意の医療デバイスアセンブリに、上記のように少なくとも1つの形状または不連続のパターン34を有するエコー源性部30を企図することを理解されたい。例えば、本発明によって説明されるようなエコー源性部を有する医療デバイスまたは医療デバイスアセンブリは、以下に限定しないが、例えばカテーテル、ニードル、カニューレまたはイントロデューサ、ガイドワイヤ、電気リード、埋め込み型デバイス、高周波アブレーションプローブまたは任意の他の挿入可能なプローブなどのプローブ、埋め込み可能な流体供給ポート、及び呼吸管を含む。エコー源性部がその中またはその上に形成される医療デバイスの本体部15は、金属材料、プラスチック材料、セラミック材料、及び樹脂ベースの材料のうちの1以上から形成される。
【0048】
図6は、エコー源性が向上した医療デバイス(エコー源性部を有するカテーテルアセンブリ10)を準備し、エコー源性が向上した医療デバイスを患者の体内で識別する方法600を示している。第1に、ステップ602において、医療デバイス、例えば、カテーテルアセンブリが提供される。医療デバイスは、ヒトまたは動物の組織内に挿入されるように構成された本体部15を有する。医療デバイスの本体部15は、第1の音響インピーダンスを有する。次に、ステップ604において、第2の音響インピーダンスを有する少なくとも1つの構造化されたエコー源性部30が、医療デバイスの本体部15に形成される。構造化されたエコー源性部30は、本体部15が患者に挿入されると、医療デバイスの本体部15の超音波イメージングを強化するように構成される。ステップ604において形成される少なくとも1つの構造化されたエコー源性部30は、形状及び不連続のパターン34のうちの少なくとも1つを含む。ステップ606において、エコー源性が向上したエコー源性部30を含む医療デバイスの本体部15は、患者の体内に挿入される。続いて、ステップ608では、本方法は、自動超音波イメージングシステム(図示せず)からデータ信号を受信する受信ステップを含む。データ信号は、自動超音波生成システムの超音波プローブによって生成された複数の超音波に関連する情報を含む。例えば、データ信号は、少なくとも1つの形状及び/または不連続のパターン34などの、医療デバイスの本体部15のエコー源性が向上したエコー源性部30で反射される複数の超音波に関連する情報を含む。次に、ステップ610は、構造化されたエコー源性部30の形状及び不連続のパターン34のうち少なくとも一方を識別することにより、受信したデータ信号を使用して医療デバイスの本体部15の構造化されたエコー源性部30を識別する識別ステップを含む。
【0049】
この書面による説明は、実施例を使用して、最良の形態を含む本発明を開示し、また、任意のデバイスまたはシステムの作成及び使用、並びに任意の組み込まれた方法の実行を含む当業者による本発明の実施を可能にする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に想起される他の実施例を含み得る。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、または特許請求の範囲の文言と実質的には異なっていない均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】