IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケンブリッジ モバイル テレマティクス,インク.の特許一覧

<>
  • 特表-車両の安全性能を評価すること 図1
  • 特表-車両の安全性能を評価すること 図2
  • 特表-車両の安全性能を評価すること 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(54)【発明の名称】車両の安全性能を評価すること
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20220926BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/16 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504630
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 US2020042320
(87)【国際公開番号】W WO2021016035
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】16/521,856
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517411036
【氏名又は名称】ケンブリッジ モバイル テレマティクス,インク.
【氏名又は名称原語表記】CAMBRIDGE MOBILE TELEMATICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バラクリシュナン、ハリ
(72)【発明者】
【氏名】マッデン、サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン-グン
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー、ウィリアム
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF10
(57)【要約】
とりわけ、車両の安全性能が、監視され、もしくは評価され、またはその両方が行われる。センサ・データが、車両における1つまたは複数のセンサから受信される。車両の運転の期間中に車両によって遭遇された1つまたは複数のリスク源が、センサ・データに基づいて、識別される。運転の期間中に車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントが、センサ・データに基づいて、識別される。運転の期間中に車両によって経験された安全イベントのリスクが、1つまたは複数のリスク源に基づいて、決定される。車両の運転の期間中における車両の期間中における車両の安全性能が、1つまたは複数の安全イベントと、リスクとに基づいて、決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
車両における1つまたは複数のセンサから、センサ・データを受信する工程と、
機械が、前記センサ・データに基づいて、前記車両の運転の期間中に前記車両によって遭遇された1つまたは複数のリスク源を識別する工程と、
機械が、前記センサ・データに基づいて、前記車両の運転の前記期間中に前記車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントを識別する工程と、
機械が、前記1つまたは複数のリスク源に基づいて、前記車両の運転の前記期間中に前記車両によって経験された安全イベントのリスクを決定する工程と、
機械が、前記1つまたは複数の安全イベントと前記リスクとに基づいて、前記車両の運転の前記期間中における前記車両の安全性能を決定する工程と、を備える方法。
【請求項2】
前記リスクは、リスク・スコアによって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両の運転の前記期間は、前記車両によって走行された距離と関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記車両の運転の前記期間は、前記車両の運転の時間と関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記センサは、前記車両における1つまたは複数のテレマティクス・デバイスに備えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数のリスク源は、前記車両が運転される環境の状態または特徴に起因する、環境リスク源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記環境リスク源は、前記環境にある他の車両を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数のリスク源から、前記車両のドライバの行為に起因するリスク源を取り除く工程を備える、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記1つまたは複数の安全イベントは、前記車両の衝突、もしくは前記車両の衝突寸前、またはその両方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記リスクを決定する工程は、
前記リスク源の各々によってもたらされた安全イベントのリスクを決定する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記リスクを決定するために、前記リスク源の各々によってもたらされた前記安全イベントの前記リスクの和を計算する工程を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記リスクの前記和は、加重和を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記車両の前記安全性能を決定する工程は、前記リスクに関連する前記1つまたは複数の安全イベントの和を決定する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記1つまたは複数の安全イベントの前記和は、加重和を含み、前記1つまたは複数の安全イベントの各々は、前記安全イベントの重大性に基づいて、加重される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記車両の運転の前記期間中に前記車両によって走行された距離に対して前記リスクを適用して、前記車両によって走行されたリスク正規化距離を生成する工程と、
前記1つまたは複数の安全イベントと前記走行されたリスク正規化距離とに基づいて、前記車両の運転の前記期間中における前記車両の前記安全性能を決定する工程と、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記車両の運転の前記期間に経験されたリスクの標準レベルに基づいて、前記リスクを正規化する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記センサ・データに基づいて、前記車両の運転の前記期間の少なくとも一部における前記車両と同じ環境にある第2の車両の安全性能を決定する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記車両の運転の前記期間の少なくとも一部における前記車両と同じ前記環境にある前記第2の車両によって経験された1つまたは複数のリスク源を識別することに基づいて、前記第2の車両の前記安全性能を決定する工程を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記センサ・データに基づいて、前記第2の車両の運転の前記期間の少なくとも一部における前記第2の車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントを識別する工程を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の車両によって経験された1つまたは複数のリスクに基づいて、前記車両の運転の前記期間の少なくとも一部における前記第2の車両によって経験された安全イベントのリスクを決定する工程を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記車両の前記安全性能を前記第2の車両の前記安全性能と比較することによって、前記車両の運転の前記期間の少なくとも一部における前記車両の相対的な安全性能を決定する工程を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記車両についての前記リスクを、前記車両と同じ車両タイプを有する1つまたは複数の他の車両についての安全イベントのリスクと組み合わせる工程と、
前記組み合わされたリスクに部分的に基づいて、前記車両タイプの安全性能を決定する工程と、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
システムであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
コンピュータ・ストレージと、を備え、前記コンピュータ・ストレージは、
車両における1つまたは複数のセンサから、センサ・データを受信する工程と、
前記センサ・データに基づいて、前記車両の運転の期間中に前記車両によって遭遇された1つまたは複数のリスク源を識別する工程と、
前記センサ・データに基づいて、前記車両の運転の前記期間中に前記車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントを識別する工程と、
前記1つまたは複数のリスク源に基づいて、前記車両の運転の前記期間中に前記車両によって経験された安全イベントのリスクを決定する工程と、
前記1つまたは複数の安全イベントと前記リスクとに基づいて、前記車両の運転の前記期間中における前記車両の安全性能を決定する工程と、を行うように、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な実行可能コンピュータ命令を記憶する、システム。
【請求項24】
前記車両の前記安全性能を決定する工程は、前記リスクに関連する前記1つまたは複数の安全イベントの和を決定する工程を備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記コンピュータ・ストレージは、
前記車両によって走行されたリスク正規化距離を生成するために、前記車両の運転の前記期間中に前記車両によって走行された距離に対して前記リスクを適用する工程と、
前記1つまたは複数の安全イベントと前記走行されたリスク正規化距離とに基づいて、前記車両の運転の前記期間中における前記車両の前記安全性能を決定する工程と、を行うための、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令を記憶する、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記コンピュータ・ストレージは、
前記センサ・データに基づいて、前記車両の運転の前記期間の少なくとも一部における前記車両と同じ環境にある第2の車両によって経験された1つまたは複数のリスクを識別する工程と、
前記センサ・データに基づいて、前記車両の運転の前記期間の少なくとも一部における前記第2の車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントを識別する工程と、
前記第2の車両によって経験された前記1つまたは複数のリスクに基づいて、前記車両の運転の前記期間の少なくとも一部における前記第2の車両によって経験された安全イベントのリスクを決定する工程と、
前記第2の車両によって経験された前記1つまたは複数の安全イベントと前記第2の車両についての前記リスクとに基づいて、前記車両の運転の前記期間の少なくとも一部における前記第2の車両の安全性能を決定する工程と、を行うための、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令を記憶する、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
コンピュータ可読記憶媒体であって、
1つまたは複数のプロセッサによって実行可能であり、前記プロセッサに、
車両における1つまたは複数のセンサから、センサ・データを受信する工程と、
前記センサ・データに基づいて、前記車両の運転の期間中に前記車両によって遭遇された1つまたは複数のリスク源を識別する工程と、
前記センサ・データに基づいて、前記車両の運転の前記期間中に前記車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントを識別する工程と、
前記1つまたは複数のリスク源に基づいて、前記車両の運転の前記期間中に前記車両によって経験された安全イベントのリスクを決定する工程と、
前記1つまたは複数の安全イベントと前記リスクとに基づいて、前記車両の運転の前記期間中における前記車両の安全性能を決定する工程と、を備える動作を遂行させる命令を有するコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項28】
前記1つまたは複数のプロセッサによって実行可能であり、前記プロセッサに、
前記車両によって走行されたリスク正規化距離を生成するために、前記車両の運転の前記期間中に前記車両によって走行された距離に対して前記リスクを適用する工程と、
前記1つまたは複数の安全イベントと前記走行されたリスク正規化距離とに基づいて、前記車両の運転の前記期間中における前記車両の前記安全性能を決定する工程と、を備える動作を実行させる命令を有する、請求項27に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項29】
前記1つまたは複数のプロセッサによって実行可能であり、前記プロセッサに、
前記センサ・データに基づいて、前記車両の運転の前記期間の少なくとも一部における前記車両と同じ環境にある第2の車両によって経験された1つまたは複数のリスクを識別する工程と、
前記センサ・データに基づいて、前記車両の運転の前記期間の少なくとも一部における前記第2の車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントを識別する工程と、
前記第2の車両によって経験された前記1つまたは複数のリスクに基づいて、前記車両の運転の前記期間の少なくとも一部における前記第2の車両によって経験された安全イベントのリスクを決定する工程と、
前記第2の車両によって経験された前記1つまたは複数の安全イベントと前記第2の車両についての前記リスクとに基づいて、前記車両の運転の前記期間の少なくとも一部における前記第2の車両の安全性能を決定する工程と、を備える動作を実行させる命令を有する、請求項27に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項30】
システムであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
車両における1つまたは複数のセンサからのセンサ・データに基づいて、前記車両の運転の期間中に前記車両によって遭遇された1つまたは複数のリスク源を識別するように前記1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なリスク識別モジュールと、
前記センサ・データに基づいて、前記車両の運転の前記期間中に前記車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントを識別するように前記1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な安全イベント識別モジュールと、
前記1つまたは複数のリスク源に基づいて、前記車両の運転の前記期間中に前記車両によって経験された安全イベントのリスクを決定するように前記1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なリスク・スコアリング・モジュールと、
前記1つまたは複数の安全イベントと前記リスクとに基づいて、前記車両の運転の前記期間中における前記車両の安全性能を決定するように前記1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な安全性能評価モジュールと、を備えるシステム。
【請求項31】
システムであって、
車両の運転の1つまたは複数の期間の範囲または持続時間を表示する運転期間情報をキャプチャすることと、前記車両の運転の前記1つまたは複数の期間の各々における前記車両または前記車両の近傍にある車両に関わるリスクおよび安全イベントを表示する安全情報をキャプチャすること、とを行うように構成された、前記車両におけるデバイスであって、リスク・スコアと前記安全イベントとに基づいて前記車両の安全性能を決定する処理のために、前記運転期間情報と前記安全情報とをサーバに対して送信するように構成される、デバイスを備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、車両の安全性能を評価することに関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行車は、人間によってドライブされる従来車よりも安全である可能性を秘めている。自律走行車および従来車の相対的な安全性能を査定するために、産業専門家および規制機関は、車両による走行マイル数当たりのその車両が関わっている車両衝突の数の尺度である、衝突率などの安全相関メトリックを用いる。
【0003】
従来車では、自律走行車よりもはるかに多くのマイル数が記録されており、したがって、有意により高いリスクにさらされているため、自律走行車の生産者は、従来車との比較のために、車両の安全性能の、統計的に意味のあるエクスポージャベースの測定結果を獲得するべく、マイル数の蓄積を競っている。
【発明の概要】
【0004】
一般に、態様においては、車両の安全性能が、監視され、もしくは評価され、またはその両方が行われる。センサ・データが、車両における1つまたは複数のセンサから受信される。車両の運転の期間中に車両によって遭遇された1つまたは複数のリスク源が、センサ・データに基づいて、識別される。運転の期間中に車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントが、センサ・データに基づいて、識別される。運転の期間中に車両によって経験された安全イベントのリスクが、1つまたは複数のリスク源に基づいて、決定される。運転の期間中における車両の安全性能が、1つまたは複数の安全イベントと、リスクとに基づいて、決定される。
【0005】
リスクは、リスク・スコアによって測定され得る。車両の運転の期間は、車両によって走行された距離と関連付けられ得る。車両の運転の期間は、車両の運転の時間と関連付けられ得る。センサは、車両における1つまたは複数のテレマティクス・デバイスに備えられ得る。
【0006】
1つまたは複数のリスク源は、車両が運転される環境の状態または特徴に起因する、環境リスク源を含むことができる。環境リスク源は、環境にある他の車両を含むことができる。1つまたは複数の安全イベントは、車両の衝突、もしくは車両の衝突寸前、またはその両方を含むことができる。リスクを決定することは、リスク源の各々によってもたらされた安全イベントのリスクを決定することを含むことができる。
【0007】
車両のドライバの行為に起因するリスク源は、1つまたは複数のリスク源から取り除かれ得る。リスク源の各々によってもたらされた安全イベントのリスクの和が、リスクを決定するために、計算され得る。リスクの和は、加重和であることができる。車両の安全性能を決定することは、リスクに関連する1つまたは複数の安全イベントの和を決定することを含むことができる。リスクに関連する1つまたは複数の安全イベントの和は、加重和であることができる。1つまたは複数の安全イベントの各々は、安全イベントの重大性に基づいて、加重され得る。
【0008】
リスクは、車両によって走行されたリスク正規化距離(risk-normalized distance)を生成するために、車両の運転の期間中に車両によって走行された距離に対して適用され得る。車両の運転の期間中における車両の安全性能は、1つまたは複数の安全イベントと、走行されたリスク正規化距離とに基づいて、決定され得る。リスクは、車両の運転の期間に経験されたリスクの標準レベルに基づいて、正規化され得る。車両の運転の期間の少なくとも一部における車両と同じ環境にある、第2の車両の安全性能は、センサ・データに基づいて、決定され得る。第2の車両の安全性能は、車両の運転の期間の少なくとも一部における車両と同じ環境にある第2の車両によって経験された1つまたは複数のリスク源を識別することに基づいて、決定され得る。第2の車両の運転の期間の少なくとも一部の間に第2の車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントは、センサ・データに基づいて、識別され得る。
【0009】
車両の運転の期間の少なくとも一部の間に第2の車両によって経験された安全イベントのリスクは、第2の車両によって経験された1つまたは複数のリスクに基づいて、決定され得る。車両の運転の期間の少なくとも一部の間における車両の相対的な安全性能は、車両の安全性能を第2の車両の安全性能と比較することによって、決定され得る。車両についてのリスクは、車両と同じ車両タイプを有する1つまたは複数の他の車両についての安全イベントのリスクと組み合わされ得る。車両タイプの安全性能は、組み合わされたリスクに部分的に基づいて、決定され得る。
【0010】
一般に、態様においては、1つまたは複数のプロセッサを含むシステムが、提供される。システムは、車両における1つまたは複数のセンサからセンサ・データを受信するための、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な実行可能コンピュータ命令を記憶する、コンピュータ・ストレージを含む。命令は、センサ・データに基づいて、車両の運転の期間中に車両によって遭遇された1つまたは複数のリスク源を識別するために、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能である。命令は、センサ・データに基づいて、車両の運転の期間中に車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントを識別するために、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能である。命令は、1つまたは複数のリスク源に基づいて、車両の運転の期間中に車両によって経験された安全イベントのリスクを決定するために、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能である。命令は、1つまたは複数の安全イベントと、リスクとに基づいて、車両の運転の期間中における車両の安全性能を決定するために、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能である。
【0011】
車両の安全性能を決定することは、リスクに関連する1つまたは複数の安全イベントの和を決定することを含むことができる。コンピュータ・ストレージは、車両によって走行されたリスク正規化距離を生成するために、車両の運転の期間中に車両によって走行された距離に対してリスクを適用することと、1つまたは複数の安全イベントと、走行されたリスク正規化距離とに基づいて、車両の運転の期間中における車両の安全性能を決定することとを行うための、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令を記憶することができる。
【0012】
コンピュータ・ストレージは、センサ・データに基づいて、車両の運転の期間の少なくとも一部における車両と同じ環境にある第2の車両によって経験された1つまたは複数のリスクを識別するための、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令を記憶することができる。コンピュータ・ストレージは、センサ・データに基づいて、車両の運転の期間の少なくとも一部の間に第2の車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントを識別するための、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令を記憶することができる。コンピュータ・ストレージは、第2の車両によって経験された1つまたは複数のリスクに基づいて、車両の運転の期間の少なくとも一部の間に第2の車両によって経験された安全イベントのリスクを決定するための、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令を記憶することができる。コンピュータ・ストレージは、第2の車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントと、第2の車両についてのリスクとに基づいて、車両の運転の期間の少なくとも一部の間における第2の車両の安全性能を決定するための、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令を記憶することができる。
【0013】
一般に、態様においては、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令を有する、コンピュータ可読記憶媒体が、提供される。命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能であり、プロセッサに1つまたは複数の動作を遂行させる。1つまたは複数の動作は、車両における1つまたは複数のセンサからセンサ・データを受信することを含む。1つまたは複数の動作は、センサ・データに基づいて、車両の運転の期間中に車両によって遭遇された1つまたは複数のリスク源を識別することを含む。1つまたは複数の動作は、センサ・データに基づいて、車両の運転の期間中に車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントを識別することを含む。1つまたは複数の動作は、1つまたは複数のリスク源に基づいて、車両の運転の期間中に車両によって経験された安全イベントのリスクを決定することを含む。1つまたは複数の動作は、1つまたは複数の安全イベントと、リスクとに基づいて、車両の運転の期間中における車両の安全性能を決定することを含む。
【0014】
1つまたは複数の動作は、車両によって走行されたリスク正規化距離を生成するために、車両の運転の期間中に車両によって走行された距離に対してリスクを適用することを含むことができる。1つまたは複数の動作は、1つまたは複数の安全イベントと、走行されたリスク正規化距離とに基づいて、車両の運転の期間中における車両の安全性能を決定することを含むことができる。1つまたは複数の動作は、センサ・データに基づいて、車両の運転の期間の少なくとも一部における車両と同じ環境にある第2の車両によって経験された1つまたは複数のリスクを識別することを含むことができる。1つまたは複数の動作は、センサ・データに基づいて、車両の運転の期間の少なくとも一部の間に第2の車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントを識別することを含むことができる。1つまたは複数の動作は、第2の車両によって経験された1つまたは複数のリスクに基づいて、車両の運転の期間の少なくとも一部の間に第2の車両によって経験された安全イベントのリスクを決定することを含むことができる。1つまたは複数の動作は、第2の車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントと、第2の車両についてのリスクとに基づいて、車両の運転の期間の少なくとも一部の間における第2の車両の安全性能を決定することを含むことができる。
【0015】
一般に、態様においては、1つまたは複数のプロセッサと、複数のモジュールとを含む、システムが、提供される。システムは、車両における1つまたは複数のセンサからのセンサ・データに基づいて、車両の運転の期間中に車両によって遭遇された1つまたは複数のリスク源を識別するための、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なリスク識別モジュールを含む。システムは、センサ・データに基づいて、車両の運転の期間中に車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントを識別するための、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な安全イベント識別モジュールを含む。システムは、1つまたは複数のリスク源に基づいて、車両の運転の期間中に車両によって経験された安全イベントのリスクを決定するための、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なリスク・スコアリング・モジュールを含む。システムは、1つまたは複数の安全イベントと、リスクとに基づいて、車両の運転の期間中における車両の安全性能を決定するための、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な安全性能評価モジュールを含む。
【0016】
一般に、態様においては、車両の運転の1つまたは複数の期間の範囲または持続時間を表示する運転期間情報をキャプチャするように構成された、車両にあるデバイスを含む、システムが、提供される。デバイスは、車両の運転の1つまたは複数の期間の各々の間の、車両または車両の近傍の車両に関わるリスクおよび安全イベントを表示する、安全情報をキャプチャするように構成される。デバイスは、リスク・スコアと安全イベントとに基づいて車両の安全性能を決定する処理のために、運転期間情報と安全情報とをサーバに対して送信するように構成される。
【0017】
これらおよび他の態様、特徴、および実施は、方法、装置、システム、コンポーネント、プログラム製品、仕事を行う方法、機能を遂行するための手段またはステップとして、および他の方法で、表現され得、特許請求の範囲を含む、以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】車両安全性能評価技術100を例示した概略図。
図2】車両安全性能を評価するための例示的なサーバ130を描いたブロック図。
図3】車両の安全性能を監視および評価するための方法を描いたフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
車両が、運転されるたびに、車両、その車両のユーザ、または周辺の公衆の安全を危うくする、ある状況または状態にさらされることがある。例えば、車両は、天候または他の車両の近接など、車両が運転される環境の特徴または状態に起因するリスク、車両のドライバによる行為に起因するリスク(例えば、速度違反、不注意ドライブなど)、車両自体に起因するリスク(例えば、車両に対する損傷、または車両の故障などに遭遇することがある。リスクを生成する状況または状態は、時には「リスク源」と呼ばれ、1つまたは複数のリスク源に起因する、負傷、損害、または別の望ましくない結果の可能性に言及するために、「リスク」という用語は広義に使用される。
【0020】
幸いなことに、車両が遭遇するリスクの大部分は、車両またはそれのドライバによって回避され、または他の方法で対処され得る。しかしながら、いくつかのケースにおいては、リスクは、時には一括して「安全イベント」と呼ばれる、車両衝突、衝突寸前、または車両における別の危険な状態という形で、具体化し得る。
【0021】
車両もしくはその車両のドライバ、またはその両方の安全性(時には車両またはその車両のドライバの「安全性能」と呼ばれる)を測定するために、安全イベントのリスクにさらされたときに、車両またはそれのドライバがどのように反応するかを理解することが、有益であることがある。例えば、車両衝突率は、車両走行マイル(VMT:vehicle-miles traveled)当たりの、報告された車両衝突の数を計算することによって、車両の安全性能を測定しようと努める。このように、車両衝突は、車両におけるリスクの具体化の尺度として機能することができ、VMTは、車両によって経験されたリスクの代用として機能することができる。
【0022】
しかしながら、車両衝突率は、安全性能の不正確な尺度であり得る。多くの車両衝突は、報告されないことがあり、車両衝突だけに基づいて安全性を測定することは、車両もしくはドライバ、またはその両方の安全性能を測定するために重要であり得る、衝突寸前などの他の安全イベントを考慮しそこなうことがあり得る。さらに、車両によって経験された安全イベントのリスクは、一般に、マイルごとに変化する。例えば、通常の天候状態の下で真夜中に田舎の道路上において車両を運転することは、雪が降っているときにラッシュアワー中の混雑した都会の道路上において同じ車両を運転することよりも、著しく低いマイル当たりのリスクをもたらし得る。結果として、車両によって経験されたリスクの代用としてVMTを使用することは、それだけでは、車両の安全性能の不正確または偏った測定結果を生成することがある。
【0023】
本願明細書において説明される車両安全性能評価技術(時には「本技術」と呼ばれる)は、車両において生み出されたセンサ・データを獲得および処理して、車両または周辺環境にある他の車両の安全性能を評価することができる。そうするために、本技術は、車両に設置された1つもしくは複数のセンサ、車両に持ち込まれたテレマティクス・デバイス(例えば、スマートフォン)備えられた1つもしくは複数のセンサ、またはその両方から、センサ・データを受信することができる。本技術は、獲得されたセンサ・データを処理して、運転中に車両によって遭遇されたリスクの源、および車両によって経験された安全イベントを識別することができる。いくつかのケースにおいては、本技術は、識別されたリスク源、車両についての安全イベント、および他の車両についての安全イベントを使用して、各リスク源によってもたらされた安全イベントのリスクを確立することが可能である。識別されたリスク源および確立されたリスクに基づいて、本技術は、走行された距離または運転された時間など、特定の運転の期間中に車両によって経験された安全イベントのリスクに対応する、リスク・スコアを生み出すことができる。生み出されたリスク・スコアは、車両によって遭遇されたリスクの実際の源と、各源によってもたらされた安全イベントのリスクとの両方を考慮することができるので、本技術は、従来のシステムと比較したとき、運転の期間中に車両によって経験されたリスクのより正確な尺度として機能する、リスク・スコアを生み出すことができる。
【0024】
本技術は、リスク・スコアを使用して、車両の安全性能を評価することができる。いくつかのケースにおいては、本技術は、運転の特定の期間にわたる車両についてのリスク・スコア当たりの、同じ期間にわたる車両によって経験された安全イベントの数を計算することによって、車両の安全性能を決定することができる。例えば、本技術は、センサ・データから、1マイル(1609メートル)の距離にわたって、車両が、10個のリスク源に遭遇し、衝突寸前という形の1個の安全イベントを経験したことを決定し得る。10個の識別されたリスク源と、各源によってもたらされた安全イベントのリスクとに基づいて、本技術は、リスク・スコアとして表され得る、そのマイルにわたる車両についての安全イベントのリスクを決定することができる。例えば、そのマイルにわたる車両についてのリスク・スコアが、(5%の安全イベントの可能性を表示する)0.05であると決定されたと仮定すると、本技術は、安全イベントの数(1)をリスク・スコア(0.05)によって除算して、そのマイルにわたる車両の安全性能は、20に等しいと決定することができる。このように、安全イベントは、車両におけるリスクの具体化の尺度として機能することができ、リスク・スコアは、車両によって経験された安全イベントのリスクの尺度として機能することができる。リスク・スコアを通して、リスクに対する車両のエクスポージャ(exposure)をより正確に定義することによって、本技術は、リスクの代用としてのVMTだけに依存する技法と比較して、車両の安全性能をより良好に近似することができる。
【0025】
いくつかのケースにおいては、本技術は、運転の複数の期間にわたる、車両または車両タイプの安全性能を評価することができる。「車両タイプ」という用語は、とりわけ、車両形式、車両モデル、自律走行車、従来車、またはセダン、SUV、もしくはトラックなどの車両クラスなど、共通の特徴を共有する2つ以上の車両からなる任意のセットを含むものとして、広義に使用される。そうするために、本技術は、車両または車両タイプについての複数のリスク・スコアを組み合わせて、運転の複数の期間にわたって車両または車両タイプによって遭遇された安全イベントの総リスクを表す、組み合わされたリスク・スコアを決定することができる。本技術は、次に、車両または車両タイプによって経験された組み合わされたリスク・スコア当たりの、安全イベントの組み合わされた数を計算して、車両または車両タイプの安全性能を決定することができる。安全イベントと、リスク・スコアとを組み合わせることによって、安全性能の統計的に有意なメトリックが、決定され、異なる車両または車両タイプ間において比較され得る。例えば、従来車によるすべての走行に対して適用されたとき、本技術は、すべての従来車と、その従来車の人間のドライバの安全性能を評価することができる。自律走行車によるすべての走行に対して適用されたとき、本技術は、すべての自律走行車と、その自律走行車の自律(例えば、コンピュータで実施される)ドライバの安全性能を評価することができる。このように、本技術は、従来車、自律走行車、およびそれらの人間のドライバまたはコンピュータで実施されるドライバの相対的な安全性能を査定することができる。
【0026】
いくつかのケースにおいては、ここで説明される安全性能メトリックを、リスクの代用としてVMTを使用するものなど、従来のメトリックと比較することが、有益であることがある。したがって、本技術は、リスク・スコアを、一定のレベルまたはリスクの下でドライブされたマイルなど、運転の特定の期間についての、安全イベントの標準または平均リスクに正規化することができる。本技術は、正規化されたリスク・スコアを適用して、例えば、車両または車両タイプによって遭遇された実際のリスクに基づいて、車両または車両タイプによって走行された正規化された距離を生成することができる。このようにして、午前2時に砂漠において1マイルをドライブするなどの低リスク走行は、低減された走行されたリスク正規化距離(例えば、0.1標準マイル)という結果になり得るが、一方、ラッシュアワー中のニューヨーク州マンハッタンにおいて1マイルをドライブするなどの高リスク・マイル走行は、増加された走行されたリスク正規化距離(例えば、3.5標準マイル)という結果になり得る。本技術は、次に、走行されたリスク正規化距離当たりの、車両または車両タイプによって経験された安全イベントの数を計算して、車両または車両タイプの安全性能を決定することができる。これは、車両衝突が分子として取られ、VMTが分母として取られる、従来のメトリックに類似している。
【0027】
走行された距離を正規化するために、環境において走行された距離は、「典型的な」リスク正規化距離と比較され得る。いくつかの実施においては、典型的な走行されたリスク正規化距離は、「年平均」マイルを指す。このような場合においては、リスクは、与えられた時間フレームの間における与えられた場所についての典型的なリスクを決定するために、(異なる属性、類似の属性、またはその両方を有することができる)いくつかのドライブ環境にわたって集約される。例えば、1つの「年平均」マイルは、2019年に米国全土においてランダム(または疑似ランダム)に選択された1標準マイル区間100個に対応する、集約されたリスクを反映していると仮定する。午前2時の砂漠における1標準マイル区間は、1「年平均」マイルと比較され得、午前2時の砂漠において1標準マイルをドライブするリスクが、1平均標準マイルをドライブするよりも低リスクであり得ることを反映して、0.1標準マイルのリスク正規化距離に低減され得る。
【0028】
いくつかの実施においては、典型的な走行されたリスク正規化距離は、「ケンブリッジ」マイル(“Cambridge” mile)を指す。そのような場合においては、規範的な道路区間および時点が、任意に決定され、決定された区間および時点が、「ケンブリッジ」マイルとして定義される。例えば、1「ケンブリッジ」マイルは、2019年4月13日の午後1時から午後2時における、マサチューセッツ州ケンブリッジのポータ・スクエア地区のマサチューセッツ通りの、選択された1標準マイル区間をドライブするリスクを反映していると仮定する。ニューヨーク州マンハッタンの午後5時から午後6時の間における1標準マイル区間は、1「ケンブリッジ」マイルと比較され得、マンハッタンにおいて午後5時から午後6時の間に1標準マイルをドライブするリスクは、1「ケンブリッジ」マイルをドライブするよりも高リスクであり得ることを反映して、3.5標準マイルのリスク正規化距離に増加され得る。
【0029】
いくつかの実施においては、本技術は、車両において生成されたセンサ・データを使用して、周辺環境にある他の車両の安全性能を評価することができる。例えば、本技術は、車両において生成されたセンサ・データを処理して、車両、および周辺環境にある他の車両の各々についての、リスク源、安全イベント、およびリスク・スコアを識別することができる。本技術は、次に、安全イベントおよびリスク・スコアを使用して、車両、および周辺環境にある他の車両の各々の、安全性能を評価することができる。車両および周辺環境にある他の車両の両方の安全性能を評価することによって、本技術は、収集されたデータの量を増加させることができ、車両と他の周辺車両の安全性能の間の比較を行うことができる。運転中に車両および周辺車両によって経験されたリスク源(天候、道路状態、および交通量など)は、類似し得るので、そのような比較は、重要であることがある。
【0030】
図1は、車両安全性能評価技術100を例示した概略図である。一般に、技術100は、本願明細書において説明される活動および機能を遂行するために協働する、様々なコンポーネントおよびデバイスを含むことができる。コンポーネントおよびデバイスの各々は、1つまたは複数のハードウェア・コンポーネント、ソフトウェア・アプリケーション、ならびに本技術の一部であるデバイスのハードウェア・コンポーネントおよびソフトウェア・アプリケーション間においてデータを伝達するためのデータ通信チャネルを含むことができる。コンポーネントおよびデバイスのいくつかは、技術100内の1つまたは複数のプロセッサによる実行のためのコンピュータ可読命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体として実施され得る。図1に示された技術100は、先に論じられたもの、および後に論じられるものを含む、追加の、より少数の、または代替のコンポーネントを含むことができる。
【0031】
図1を参照すると、技術100は、1つまたは複数の車両102の安全性能を、車両102が環境104内において運転されるときに、監視および評価することが可能である。車両102の各々は、ドライバ106によって(例えば、従来車)、車載コンピュータ108によって(例えば、自律走行車)、またはドライバ106と車載コンピュータ108の組み合わせによって(例えば、半自律走行車)、運転されることが可能である。しかしながら、ここで説明される技法は、これらの車両に限定されず、「車両」という用語は、例えば、とりわけ、自動車、トラック、バス、自転車、オートバイ、またはレクリエーション車両などの、任意の種類の地上の乗り物を含むものとして、広義に使用される。環境104は、道路、インフラ、歩行者、または他の車両などの周辺物、および車両102が運転される時間帯、天候、または照明のレベルなどの状態を含み得る。
【0032】
各車両102が、環境104内において運転されるとき、車両は、車両、車両のユーザ、または周辺の公衆をリスクにさらす、1つまたは複数のリスク源110に遭遇することがある。
【0033】
例えば、いくつかのケースにおいては、車両102は、環境104に起因する1つまたは複数のリスク源110(時には「環境リスク源」と呼ばれる)に遭遇することがある。環境に起因する1つまたは複数のリスク源110は、とりわけ、天候、時間帯、照明のレベル、照明の角度、道路タイプ、道路状態、車両が運転されている道路の領域(例えば、交差点、合流車線、および路肩など)、車両交通のレベル、歩行者交通のレベル、環境における車両の速度、地理、道路標識の存在(もしくは非存在)、工事の存在(もしくは非存在)、他の車両もしくは物体に対する車両の近接、他の車両の速度、または他の車両の加速度、他の車両の挙動など、環境の1つまたは複数の特徴または状態を含むことができる。
【0034】
いくつかのケースにおいては、車両102は、車両のドライバ106に起因する1つまたは複数のリスク源110(時には「ドライバ固有のリスク源」と呼ばれる)にさらされることがある。例えば、ドライバ106に起因する1つまたは複数のリスク源110は、以下のうちの、すなわち、不注意ドライブ(例えば、電話で話しながらの運転)、無能力状態中のドライブ、速度違反、急加速、急ブレーキ、急コーナリング、ドリフト、または蛇行のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0035】
いくつかのケースにおいては、車両102は、損傷されている、または故障していることがあり、したがって、その車両自体または環境104にある他の車両に対するリスクの源(時には「車両固有のリスク源」と呼ばれる)であることがある。
【0036】
時には、車両102によって遭遇されたリスク源110の1つまたは複数によってもたらされたリスクは、車両のユーザ、環境104内の他の人、またはその両方の安全性を危うくし得る、安全イベント111(車両衝突、衝突寸前、または車両における別の危険な状態など)の形で、具体化されることがある。
【0037】
リスク源110、および車両102または環境104内の他の車両によって経験された安全イベント111を監視するために、車両102は、1つまたは複数のセンサ112を含むことができる。いくつかの実施においては、1つまたは複数のセンサ112は、以下のうちの、すなわち、1つもしくは複数の加速度計、1つもしくは複数の速度センサ、または1つもしくは複数の位置センサ(全地球測位システム(GPS)などの)のうちの1つまたは複数を含む。そのような場合においては、1つまたは複数のセンサ112は、以下のうちの、すなわち、車両102の加速度、速度、または位置のうちの1つまたは複数を監視することができる。いくつかの実施においては、1つまたは複数のセンサ112は、以下のうちの、すなわち、1つもしくは複数の音声センサ(マイクロフォンなどの)、または1つもしくは複数の画像センサ(車内カメラなどの)のうちの1つまたは複数を含む。そのような場合においては、1つまたは複数のセンサ112は、例えば、車両のドライバ106を監視することができる。いくつかの実施においては、1つまたは複数のセンサ112は、以下のうちの、すなわち、1つもしくは複数のレーダ・システム、1つもしくは複数のLIDARシステム、または1つもしくは複数のソナー・システムのうちの1つまたは複数を含む。そのような場合においては、1つまたは複数のセンサ112は、例えば、車両102、または周辺環境104にある他の特徴を監視することができる。
【0038】
一般に、車両102は、車両102、それのドライバ106、および周辺環境104を監視するのに適した、とりわけ、以下のうちの、すなわち、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、慣性測定ユニット(IMU)、速度センサ、位置センサ(GPSなどの)、気圧センサ、重量センサ、エンジン・センサ、オルタネータ・センサ、走行距離センサ、振動センサ、電圧センサ、酸素センサ、生体センサ、光センサ、画像センサ、音声センサ、超音波センサ、電子コントロール・ユニット(ECU)デバイス、レーダ・システム、LIDARシステム、またはソナー・システムのうちの1つまたは複数を含む、任意の数またはタイプのセンサ112を含むことができる。
【0039】
センサ112は、車両102内(または上)に設置され、車両に持ち込まれた1つもしくは複数のテレマティクス・デバイス114に備えられ、またはその両方であり得る。1つまたは複数のテレマティクス・デバイス114の各々は、センサ・データおよび他の情報を処理し、記憶するための、1つまたは複数のプロセッサ116、およびメモリ118と、センサ112、車載コンピュータ108、およびサーバ130など、本技術の他のコンポーネントまたはデバイスとの有線または無線通信を可能にするための、通信インターフェース120とを含み得る。テレマティクス・デバイス114は、車両102の製造中に設置された相手先商標による製造会社(OEM)のテレマティクス・デバイス、または例えば、車両102の車載診断(OBD)ポートを通して接続される、もしくは車両102に対する無線通信接続を通して接続される、アフターマーケット・テレマティクス・デバイスを含むことができる。1つまたは複数のテレマティクス・デバイス114の各々は、バッテリ給電されること、太陽電池給電されること、車両102の電気システムに対して接続されること、またはそれらの組み合わせであることができる。いくつかのケースにおいては、テレマティクス・デバイス114は、車両102内または車両102上に取り付けられることが可能である。
【0040】
いくつかのケースにおいては、テレマティクス・デバイス114は、車両内または車両外において移動可能であるように、車両102から解放されることが可能である。いくつかのケースにおいては、テレマティクス・デバイス114は、本願明細書に援用する、2014年10月31日に出願された、「車両テレマティクス・データを獲得するためのシステムおよび方法(System and Method for Obtaining Vehicle Telematics Data)」と題する、米国特許出願第14/529,812号、および2019年5月9日に出願された、「車両ユーザのための安全性(Safety for Vehicle Users)」と題する、米国特許出願第16/407,502号において説明される種類のタグなど、車両102に配置または貼付されたタグ・デバイスを含む。いくつかのケースにおいては、テレマティクス・デバイス114は、スマートフォン、ウェアラブル・デバイス、タブレット・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、または別のポータブル・コンピューティング・デバイスなどの、モバイル・デバイスを含み、必ずしも、特定の車両102専用のテレマティクス・デバイスでなくてよい。いくつかのケースにおいては、テレマティクス・デバイス114は、1つまたは複数のタグ・デバイスと1つまたは複数のモバイル・デバイスとの組み合わせを含む。いくつかのケースにおいては、車載コンピュータ108は、テレマティクス・デバイス114の機能の一部または全部を実行することが可能である。
【0041】
いくつかの実施においては、車載コンピュータ108は、車両102を運転するために、またはドライバ106が車両を運転するのを支援するために、センサ・データを受信し、処理することが可能である。いくつかの実施においては、車載コンピュータ108は、センサ112、テレマティクス・デバイス114、またはその両方から、センサ・データを受信することが可能であり、センサ・データをメモリ122に記憶することができる。例えば、いくつかのケースにおいては、車載コンピュータ108は、センサ・データを受信するために、有線または無線通信インターフェース124を使用して、センサ112の一部または全部とインターフェースする。いくつかのケースにおいては、テレマティクス・デバイス114は、センサ・データを受信するために、有線または無線通信インターフェース120を使用して、センサ112の一部または全部とインターフェースすることが可能であり、車載コンピュータ108とテレマティクス・デバイス114は、センサ・データおよび他の情報を交換するために、互いの間に通信チャネル128を確立することができる。通信チャネル128は、とりわけ、Bluetooth(商標)、Wi-Fi(商標)、セルラ、無線周波数識別(RFID)、近距離無線通信(NFC)、またはそれらの組み合わせなどの、有線または無線通信チャネルであることができる。いくつかのケースにおいては、車載コンピュータ108、もしくはテレマティクス・デバイス114、またはその両方は、インフラストラクチャ、または別の車両102における車載コンピュータ108もしくはテレマティクス・デバイス114など、周辺環境104にある1つまたは複数のコンポーネントまたはデバイスから、センサ・データまたは他の情報を受信することが可能である。
【0042】
いくつかの実施においては、ひとたび受信されると、車載コンピュータ108の1つまたは複数のプロセッサ126は、例えば、車両102のステアリング、スロットル、またはブレーキをコントロールするために、メモリ122に記憶されたソフトウェア命令またはアプリケーションに従って、センサ・データを処理することが可能である。そのようなコントロールを容易にするために、車載コンピュータ108は、様々な電気的または電気機械的コンポーネントによって、車両102のコントロールまたはコンポーネントと通信可能に結合され得る。完全自律走行車に関わるもののような、いくつかのケースにおいては、車両102は、車載コンピュータ108だけによって運転可能である。いくつかのケースにおいては、車載コンピュータ108は、ステアリング・ホイール、スロットル・ペダル、またはブレーキ・ペダルなど、車両102のドライバ106によって操作されるコントロールまたはコンポーネントを補助する。
【0043】
様々な実施においては、技術100は、車両102または環境104内の他の車両の安全性能を評価するために、センサ・データを処理することが可能である。いくつかのケースにおいては、車載コンピュータ108、テレマティクス・デバイス114、またはその両方は、本願明細書において説明される技術に従って、安全性能評価を実施するために、センサ・データを処理することが可能である。いくつかのケースにおいては、車載コンピュータ108、テレマティクス・デバイス114、またはその両方は、処理のために、センサ・データをサーバ130に対して送信することが可能である。例えば、車載コンピュータ108、テレマティクス・デバイス114、またはその両方は、センサ・データおよび他の情報をサーバ130と交換するために、ネットワーク134を用いて、通信チャネル132を確立することができる。ネットワーク134は、インターネット、セルラ・ネットワーク、Wi-Fiネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、衛星ネットワーク、もしくは他の任意の適切なデータ送信ネットワーク、またはそれらの組み合わせであることができる。ひとたび受信されると、サーバ130は、センサ・データおよび他の情報を、データベース136に記憶することが可能である。データベース136は、ハード・ディスク・ドライブ、ソリッド・ステート・ドライブ、光記憶ドライブ、またはそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読記憶媒体を使用して、実施され得る。
【0044】
いくつかの実施においては、車載コンピュータ108、テレマティクス・デバイス114、またはその両方は、条件付きデータ・アップロード・プロトコルに従って、センサ・データをサーバ130に対して送信する。例えば、車載コンピュータ108、テレマティクス・デバイス114、またはその両方は、データの他の部分を、例えば、メモリ118、122に維持しながら、センサ・データの一部だけをサーバ130に対して送信し得る。センサ・データの送信された部分は、車両114の安全性能を評価する際に、有益である可能性が最も高いと考えられる、データであることができる。後で、サーバ130が、データの記憶されている部分が、関心のあるものであり得ると決定した場合、車載コンピュータ108、テレマティクス・デバイス114、またはその両方は、記憶されているセンサ・データの少なくとも一部を、サーバ130に対して送信することができる。テレマティクス・デバイス114と車載コンピュータ108は、互いの間でデータを送信するとき、同様の条件付きデータ・アップロード・プロトコルに従うことができる。条件付きデータ・アップロード・プロトコルに従って、データを送信することは、帯域幅の制約、および計算能力の制約に関連する懸念を軽減することができる。
【0045】
いくつかの実施においては、センサ・データは、階層化データ処理プロトコルに従って、処理される。例えば、センサ・データは、テレマティクス・デバイス114によって、第1の階層のデータ処理アルゴリズムに従って、処理され得、一方、サーバ130は、第2の階層のデータ処理アルゴリズムに従って、データを処理する。そのような場合においては、第1の階層のデータ処理アルゴリズムは、第2の階層のデータ処理アルゴリズムと比較されたとき、単純であまり計算集約的でないアルゴリズム(あまり正確でないことがある)を含む。いくつかの実施においては、階層化データ処理プロトコルは、データ処理アルゴリズムの3つの階層を含むことができ、1つのテレマティクス・デバイス114は、第1の階層のアルゴリズムを使用して、データを処理し、第2のテレマティクス・デバイス114は、第2の階層のアルゴリズムを使用して、データを処理し、サーバ130は、第3の階層のアルゴリズムを使用して、データを処理する。各階層は、前の階層と比較されたとき、より計算集約的で正確なアルゴリズムを含むことができる。階層化データ処理プロトコルに従って、データを処理することは、計算能力の制約、帯域幅の制約、および計算速度の制約に関連する懸念を軽減することができる。
【0046】
図2は、車両安全性能を評価するための例示的なサーバ130を描いたブロック図である。示されたサーバ130は、データ・バス206によって相互接続される、1つまたは複数のプロセッサ200、メモリ202、および通信インターフェース204などの、ハードウェアおよびソフトウェア・コンポーネントを含む。メモリ202は、任意の非一時的コンピュータ可読記憶媒体であることができ、プロセッサ200によって実行可能なコンピュータ可読命令を記憶することができる。特に、メモリ202は、サーバ130、または他のコンポーネントおよびデバイスが、本明細書において説明される技法を実施することを可能にする、リスク識別モジュール208、安全イベント識別モジュール210、リスク相関モジュール212、リスク・スコアリング・モジュール214、安全性能評価モジュール216、および他のモジュールと関連付けられた、実行可能命令を記憶することができる。「モジュール」という用語は、例えば、1つまたは複数の活動、機能、または設備を遂行するために、1つまたは複数のプロセッサによって実行され得る、任意のコード、プログラム、ファームウェア、ソフトウェア・オブジェクト、または他のソフトウェア・デバイスもしくは構成を含むものとして、広義に使用される。
【0047】
リスク識別モジュール208は、車両102において生成されたセンサ・データを処理して、車両または周辺環境104にある他の車両によって遭遇されたリスク源110を識別することが可能である。一般に、リスク識別モジュール208は、環境リスク源、ドライバ固有のリスク源、および車両固有のリスク源を識別するように構成され得るが、いくつかの実施においては、追加の、より少数の、または代替のリスク源が、識別され得る。例えば、リスク識別モジュール208は、とりわけ、天候、時間帯、照明のレベル、照明の角度、道路タイプ、道路状態、車両が動作している道路の領域(例えば、交差点、合流車線、および路肩など)、車両交通のレベル、歩行者交通のレベル、環境における車両の速度、地理、道路標識の存在(もしくは非存在)、工事の存在(もしくは非存在)、他の車両もしくは物体に対する車両の近接、または他の車両の速度、加速度、もしくは挙動、またはそれらの組み合わせなど、環境104の特徴または状態に起因する、1つまたは複数のリスク源110を識別することができる。いくつかのケースにおいては、リスク識別モジュール208は、とりわけ、不注意ドライブ、無能力状態中のドライブ、速度違反、急加速、急ブレーキ、急コーナリング、ドリフト、もしくは蛇行、またはそれらの組み合わせなど、車両のドライバ106による行動(または無行動)に起因する、1つまたは複数のリスク源110を識別することが可能である。いくつかのケースにおいては、リスク識別モジュール208は、車両102に対する損傷、または車両102の故障に起因する、1つまたは複数のリスク源を識別することが可能である。
【0048】
車両102における1つまたは複数のリスク源110を識別するために、リスク識別モジュール208は、車両において生成されたセンサ・データを処理して、例えば、とりわけ、車両におけるリスク源の存在、もしくは車両におけるリスク源のエクスポージャ・レベル、またはその両方を検出することが可能である。1つまたは複数のリスク源110は、車両102において存在することも、または存在しないこともあり、リスク識別モジュール208は、センサ・データを処理して、リスク源、したがって、リスクが、存在するか(または存在しないか)を決定することができる。例えば、リスク識別モジュール208は、道路に面したカメラなど、車両102における画像センサからの画像データを処理して、車両102における道路工事の存在(または非存在)を検出することができる。いくつかのケースにおいては、1つまたは複数のリスク源110は、連続的に(along a continuum)存在するリスクをもたらすことがあり、リスク識別モジュール208は、センサ・データを処理して、車両102におけるリスク源のエクスポージャ・レベルを決定することが可能である。例えば、車両102における照明のレベルは、連続的に存在し得、照明のより低いレベルは、一般に、低減された可視性に起因する、安全イベントのより高いリスクに対応する。したがって、リスク識別モジュール208は、センサ・データを処理して、リスク源110のエクスポージャ・レベル(例えば、照明のレベル)を識別することができる。いくつかのケースにおいては、1つまたは複数のリスク源110は、存在成分と、エクスポージャ・レベル成分との両方を含み得る。例えば、車両102における天候は、降雨の存在などの存在成分と、降雨量などのエクスポージャ・レベル成分とを有することができる。したがって、リスク識別モジュール208は、センサ・データを処理して、リスクの存在と、リスク源のエクスポージャ・レベルとの両方を識別することができる。
【0049】
いくつかのケースにおいては、リスク識別モジュール208は、センサ・データと組み合わせた他の情報を処理して、1つまたは複数のリスク源110を識別することが可能である。そのような場合においては、リスク識別モジュール208は、車両102において生成されたセンサ・データが、リスクの源を表示するかどうかを決定する際に使用するための、しきい値情報などの情報を、技術100の1つまたは複数のコンポーネントまたはデバイスから受信することができる。例えば、車両102の速度が、リスクの源を提示するかどうかを決定するために、車両102における1つまたは複数のセンサ112によって生成された速度データを、車両が走行している道路についての速度制限と比較することが有益であることがある。したがって、リスク識別モジュール208は、例えば、とりわけ、データベース136から、またはコンピューティング・デバイス138上において提供されるアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)もしくは他のサービスへの要求を通して、(例えば、車両におけるセンサから受信される位置データに基づいた)適用可能な速度制限データを受信することができる。ひとたび受信されると、リスク識別モジュール208は、速度制限データを、車両において生成された速度データと比較して、車両102の速度が、リスクの源であるかどうかを決定することができる。いくつかのケースにおいては、リスク識別モジュール208は、技術100の1つまたは複数のコンポーネントまたはデバイスから情報を受信して、車両102におけるリスク源110の存在またはエクスポージャ・レベルを決定することが可能である。例えば、リスク識別モジュール208は、車両102における1つまたは複数のセンサによって生成された位置データを使用して、例えば、コンピューティング・デバイス138上において提供される天候サービスに天候情報を要求し、天候リスクの存在もしくはレベル、またはその両方を識別することができる。
【0050】
いくつかの実施においては、リスク識別モジュール208は、車両102から受信されたセンサ・データを処理して、環境104にある1つまたは複数の他の車両によって遭遇されたリスク源110を識別することが可能である。例えば、リスク識別モジュール208は、車両102について識別された1つまたは複数のリスク源110を、周辺環境104にある他の車両と関連付け得る。例えば、車両102における低い照明に起因する、あるレベルのリスクが存在すると決定された場合、リスク識別モジュール208は、同じ環境104にある他の車両に対して、車両102と同じリスクを帰属させ得る。いくつかのケースにおいては、リスク識別モジュール208は、車両102において生成されたセンサ・データを使用して、環境104にある他の車両によって経験された1つまたは複数のリスク源110を決定することが可能である。例えば、リスク識別モジュール208は、とりわけ、レーダ・データ、LIDARデータ、ソナー・データ、または画像データなど、車両102において生成されたセンサ・データを処理して、環境104にある別の車両の、とりわけ、距離、位置、速度、もしくは加速度、またはそれらの組み合わせを決定することができる。リスク識別モジュール208は、次に、このデータを使用して、車両102、もしくは環境104にある他の車両、またはその両方についての1つまたは複数のリスク源110を識別し得る。これらの識別されたリスク源、およびそれらがもたらすリスクは、以下で論じられるように、車両102についてのリスク・スコアに組み込まれること、もしくは他の車両についてのリスク・スコアを決定するために使用されること、またはその両方が可能である。このようにして、技術100は、環境にある別の車両について、その車両が、センサ112を含まない、または本技術の参加者でない場合であっても、リスク源を識別し、リスク・スコアを決定し、安全性能を評価することができる。さらに、同じ時間期間にわたって、車両102および周辺環境104にある他の車両の両方についてのデータを収集することによって、技術100は、車両と他の車両についてのリスク・スコア、もしくは安全性能、またはその両方を比較することができる。そうする際に、技術100は、車両102と環境104にある他の車両の相対的な安全性能を評価して、車両102および環境104にある他の車両の両方の全体的な安全性能について、統計的に意味のある観測を行うことができる。
【0051】
安全イベント識別モジュール210は、車両102において生成されたセンサ・データを処理して、車両または周辺環境104にある他の車両が、車両衝突、衝突寸前、または別の危険な状態などの、安全イベントを経験したかどうかを決定することが可能である。例えば、安全イベント識別モジュール210は、とりわけ、画像データ、音声データ、速度データ、もしくは加速度データ、またはそれらの組み合わせなど、車両102において生成されたセンサ・データを処理して、車両または他の車両による衝突の特徴である、1つまたは複数の衝撃を識別し得る。いくつかのケースにおいては、安全イベント識別モジュール210は、センサ・データを処理して、車両もしくは車両のドライバ106による回避行動がなければ、衝突という結果になった状況など、車両102もしくは他の車両の衝突寸前、または車両が道路外をドライブするなど、車両もしくは他の車両における別の危険な状態を識別することが可能である。いくつかのケースにおいては、安全イベント識別モジュール210は、とりわけ、レーダ・データ、LIDARデータ、ソナー・データ、または画像データなど、車両102において生成されたセンサ・データを処理して、環境104にある他の車両によって経験された安全イベントを識別することが可能である。いくつかのケースにおいては、安全イベント識別モジュール210は、1つまたは複数のコンピューティング・デバイス138上において提供される、衝突記録または衝突報告サービスなどの、技術100の1つまたは複数の他のコンポーネントまたはデバイスから、安全イベントに関する情報を受信することが可能である。車両における車両衝突、衝突寸前、または別の危険な状態を識別するための技法は、本願明細書に援用する、2018年7月16日に出願された、「車両衝突の車両テレマティクス(Vehicle Telematics of Vehicle Crashes)」と題する、米国特許出願第16/035,861号において説明されている。
【0052】
識別後、車両102または周辺環境104にある他の車両によって経験された、リスク源110および安全イベントは、リスク相関モジュール212、リスク・スコアリング・モジュール214、および安全性能評価モジュール216など、1つまたは複数の他のモジュールに対して報告されることができる。例えば、リスク識別モジュール208は、各リスク源110の存在もしくはエクスポージャ・レベル、またはその両方を、1つまたは複数の他のモジュールに対して報告することができ、安全イベント識別モジュール210は、各安全イベントの発生もしくはタイプ、またはその両方を、1つまたは複数の他のモジュールに対して報告することができる。いくつかのケースにおいては、リスク識別モジュール208、もしくは安全イベント識別モジュール210、またはその両方は、識別を直接的に報告することに加えて、またはそうする代わりに、識別されたリスク源110または安全イベントの、センサ・データにおけるタイムスタンプまたは別のマーカを、他のモジュールに対して提供することが可能である。
【0053】
車両102によって経験された安全イベントのリスクを正確に決定するために、各リスク源110またはリスク源のセットによってもたらされた、安全イベントのリスクを理解することは、有益であることができる。したがって、リスク相関モジュール212は、車両102において生成されたセンサ・データ、リスク識別モジュール208から受信された識別されたリスク源110、および安全イベント識別モジュール210から受信された識別された安全イベントを処理して、各リスク源110またはリスク源のセットと、安全イベントの発生との間の相関を確立し得る。この相関は、各リスク源110もしくはリスク源のセットによってもたらされた安全イベントのリスクを決定するために使用され、または各リスク源もしくはリスク源のセットによってもたらされたリスクを決定するために、存在およびエクスポージャ・レベル情報などの他の情報と組み合わされ得る。リスク相関モジュール212は、多くのマイルにわたって、1つまたは複数の車両102または車両のタイプから受信された、センサ・データ、識別されたリスク、および識別された安全イベントを集約して、サンプル・サイズを増加させ、より高い精度で相関を確立することができる。さらに、リスク相関モジュール212は、新しいセンサ・データが、1つまたは複数の車両102から受信されるにつれて、継続的に相関を更新することができる。
【0054】
リスク相関モジュール212は、1つまたは複数のアルゴリズムを使用して、各リスク源またはリスク源のセットと、安全イベントとの間の相関を確立することが可能である。例えば、リスク相関モジュール212は、相関を確立するために、安全イベントの発生中に、リスク源またはリスク源のセットが、どれほどの頻度で存在するかを決定することができる。いくつかのケースにおいては、リスク相関モジュール212は、相関を確立するために、どのリスク源またはリスク源のセットが、安全イベントの実際の原因または近因であるかを決定することが可能である。いくつかのケースにおいては、リスク相関モジュール212は、相関を確立するために、安全イベントの発生中の、リスク源またはリスク源のセットのエクスポージャ・レベルを考慮することが可能である。いくつかのケースにおいては、リスク相関モジュール212は、相関を確立するために、機械学習技法を使用することが可能である。いくつかのケースにおいては、リスク相関モジュール212は、あるリスクの累積効果を考慮するために、特定のリスク源が単独で出現するときとは異なる、それが1つまたは複数の他のリスク源とともに出現するときの、それについての相関を決定することが可能である。様々な状況下において相関の強度を増加させるために、リスク相関モジュール212は、例えば、とりわけ、車両タイプ、特定の安全イベント、または特定の環境104に固有の、複数の相関行列を確立し得る。
【0055】
ひとたび相関が確立されると、リスク・スコアリング・モジュール214は、相関およびセンサ・データを使用して、車両102または環境104にある他の車両についてのリスク・スコアを導出することが可能である。各車両についてのリスク・スコアは、車両によって遭遇された実際のリスク源と、各リスクによってもたらされた安全イベントのリスクとに基づいて、特定の走行された距離または運転された時間など、運転の特定の期間中に、車両によって経験された安全イベントのリスクを表すことができる。このようにして、リスク・スコアは、運転の期間中に車両によって経験された安全イベントのリスクの正確な尺度として機能することができる。
【0056】
車両102または環境104にある他の車両についてのリスク・スコアを決定するために、リスク・スコアリング・モジュール214は、例えば、リスク識別モジュール208から、運転の特定の期間中に車両によって遭遇されたリスク源110の表示を受信することが可能である。運転の期間は、とりわけ、1マイルもしくは他の任意の距離など、特定の走行された距離、または5分もしくは他の任意の時間など、特定の運転された時間を含むことができる。リスク・スコアリング・モジュール214は、リスク相関モジュール212から受信された相関情報を使用して、各リスク源によってもたらされたリスクを決定することができる。いくつかのケースにおいては、リスク・スコアリング・モジュール214は、とりわけ、リスク源のエクスポージャ・レベル、またはリスク源もしくは他のリスク源の存在(もしくは非存在)、またはその両方に基づいて、識別されたリスク源110の一部または全部に対して加重を適用することが可能である。リスク・スコアリング・モジュール214は、例えば、各リスク源によってもたらされたリスクまたは加重されたリスクの和を計算することによって、運転の特定の期間についてのリスク・スコアを決定することができる。いくつかのケースにおいては、リスク・スコアリング・モジュール214は、リスク・スコアを正規化して、運転の特定の期間についての標準リスクにすることが可能である。例えば、先に表示されたように、リスク・スコアリング・モジュール214は、標準リスク状態下における1マイルなど、走行された単位距離にわたって車両によって経験されたリスクの平均または中央値レベルを決定することができ、高リスクの走行が、通常以上のリスク・スコアを受信し、低リスクの走行が、通常以下のリスク・スコアを受信するように、各リスク・スコアを正規化することができる。
【0057】
いくつかのケースにおいては、リスク・スコアリング・モジュール214(またはリスク・スコアリング・モジュール212などの別のモジュール)は、リスク・スコアを決定するとき、あるリスク源またはリスク源のタイプを取り除き、割り引き、または無視することが可能である。例えば、自律走行車と従来車の安全性能を比較するとき、車両102または車両のドライバ106が、環境リスク源にどのように反応するかに基づいて、各車両の安全性能が、評価されるように、ドライバ固有のリスク源、もしくは車両固有のリスク源、またはその両方を取り除くことが、有益なことがある。このようにして、技術100は、ドライバ固有の挙動または車両固有の問題によって作り出されたリスクに起因する偏りなしに、例えば、自律走行車と従来車の安全性能を比較することができる。
【0058】
安全性能評価モジュール216(時には「安全性能モジュール」と呼ばれる)は、リスク・スコアおよび識別された安全イベントを使用して、車両または車両タイプの安全性能を評価することが可能である。例えば、安全性能モジュール216は、リスク・スコアリング・モジュール214から、1マイルなど、運転の特定の期間についての、リスク・スコアを受信することができる。安全性能モジュール216は、安全イベント識別モジュール210から受信された情報を使用して、リスク・スコアが計算されたのと同じ期間にわたって、車両によって経験された安全イベントの数を決定することができる。安全性能モジュール216は、次に、車両についてのリスク・スコア当たりの、車両によって経験された安全イベントの数を計算して、運転の特定の期間についての車両の安全性能(例えば、リスク・スコアによって除算された安全イベントの数)を決定することができる。車両の安全性能は、比率、パーセンテージ、スコア、ランキング、または他の任意のメトリックとして表されてよく、以下で論じられるように、車載コンピュータ108、1つもしくは複数のテレマティクス・デバイス114、データベース136、または演算デバイス138、あるいはそれらの組み合わせなど、技術100の1つまたは複数のコンポーネントまたはデバイスに対して伝達され得る。
【0059】
いくつかのケースにおいては、安全性能評価モジュール216は、複数のリスク・スコアおよび安全イベントを組み合わせて、運転の複数の期間にわたる車両または車両タイプの安全性能を評価することが可能である。いくつかのケースにおいては、安全性能モジュール216は、例えば、車両による旅程(trip)の各マイルからのリスク・スコアを組み合わせて、旅程全体のリスク・スコアを決定することが可能である。「旅程」という用語は、例えば、出発地から目的地までの走行の任意のインスタンスを含むものとして、広義に使用される。いくつかのケースにおいては、安全性能モジュール216は、車両または車両タイプによって走行された各マイルについてのリスク・スコアを組み合わせて、車両または車両タイプによって走行された累積距離についてのリスク・スコアを決定し得る。安全性能モジュール216は、組み合わされたリスク・スコアが計算されたのと同じ運転期間にわたって、車両または車両タイプによって経験された安全イベントの組み合わされた数を決定することが可能である。安全性能モジュール216は、次に、車両または車両タイプについての組み合わされたリスク・スコア当たりの、車両または車両タイプによって経験された安全イベントの組み合わされた数を計算して、車両または車両タイプについての安全性能を決定することができる。複数の運転の期間にわたる車両または車両タイプの安全性能を決定することによって、安全性能モジュール216は、車両または車両のタイプ間で比較され得る、より正確で統計的に有意な性能メトリックを達成することができる。
【0060】
いくつかのケースにおいては、安全性能評価モジュール216は、リスク・スコアを適用して、車両または車両タイプによって走行されたリスク正規化距離を決定することが可能である。例えば、リスク・スコアが、マイル増分で(in mile increments)計算されるケースにおいては、安全性能モジュール216は、特定のマイルについてリスク・スコアを適用して、車両または車両タイプについてリスク正規マイル(risk-normalized mile)を決定することができる。このようにして、車両または車両タイプによって走行された距離は、安全性能評価目的のために、より大きい加重を高リスク走行に対して提供し、より小さい加重を低リスク走行に対して提供するように、調整され得る。そのような場合においては、リスク正規化マイルを決定することは、走行された距離を、典型的なリスク正規化マイル(「年平均」マイルまたは先に論じた「ケンブリッジ」マイルなど)と比較することに関わる。いくつかのケースにおいては、安全性能モジュール216は、特定の車両または車両タイプについてのリスク正規化距離を組み合わせて、車両または車両タイプによって走行された総リスク正規化距離を決定し得る。安全性能モジュール216は、リスク正規化距離当たりの、車両または車両タイプによって走行された実際の距離にわたって経験された安全イベントの数を計算して、車両または車両タイプの安全性能を決定することができる。リスク・スコアを適用して、リスク正規化走行距離を決定することによって、本願明細書において説明される安全性能メトリックは、車両走行マイル(VMT)当たりの安全イベントの数など、車両安全性能についての従来のメトリックと比較され得る。
【0061】
車両または車両タイプの安全性能を決定した後、安全性能評価モジュール216は、安全性能を分析し、その安全性能を他の車両または車両のタイプの安全性能と比較することが可能である。例えば、安全性能モジュール216は、異なる車両または車両のタイプの安全性能を比較して、各車両または車両タイプの相対的な安全性能に基づいたランキングを決定することができる。いくつかのケースにおいては、安全性能モジュール216は、異なる車両または車両のタイプの安全性能を比較して、車両または車両タイプの運転者についての相対的な主張を行うことが可能である。例えば、安全性能モジュール216は、自律走行車の安全性能を従来車の安全性能と比較して、そのような車両の人間の運転者およびコンピュータで実施される運転者の相対的な安全性能を決定することができる。いくつかのケースにおいては、安全性能モジュール216は、特定の車両102またはドライバ106の安全性能を、1つまたは複数の先行する安全性能評価と比較して、車両またはドライバの安全性能を経時的に決定することが可能である。
【0062】
いくつかのケースにおいては、安全性能モジュール216は、同時に同じ環境104を走行している2つ以上の車両の安全性能を比較することが可能である。例えば、技術100は、上で論じられたように、車両102において獲得されたセンサ・データを使用して、車両102および周辺環境104にある他の車両の両方の安全性能を決定することができる。代替として、追加的に、技術100は、環境104にある各車両102における別々のセンサ112によって獲得されたセンサ・データを使用して、各車両の安全性能を決定することができる。各車両は、環境104におけるそれらの近接性に起因して、同じまたは実質的に同様のリスクに直面している可能性が高いので、各車両または車両運転者の相対的な安全性能の強力な比較が、行われ得る。
【0063】
いくつかの実施においては、安全性能評価モジュール216は、安全性能評価を、技術100の1つまたは複数のコンポーネントまたはデバイスに対して提供することができる。例えば、いくつかのケースにおいては、安全性能モジュール216は、記憶用のデータベース136に対して、ネットワーク134を介して、車載コンピュータ108もしくはテレマティクス・デバイス114に対して、またはインターネットであることができるネットワーク140を介して、1つもしくは複数のコンピューティング・デバイス138に対して、安全性能評価を提供することを、サーバ130に行わせることが可能である。コンピューティング・デバイス138の各々は、とりわけ、車両102のユーザもしくはオーナ、テレマティクス・デバイス114のユーザもしくはオーナ、車両安全組織、車両生産者、保険会社、ライドシェアリング会社、緊急サービス、コール・センタ、アナリスト、研究者、本技術のホスト、またはこれらの参加者の組み合わせと関連付けられ得る。サーバ130は、とりわけ、ウェブページ、アプリケーション、API、もしくは通知、またはそれらの組み合わせを通して、コンポーネントまたはデバイスに対して、安全性能評価を提供することができる。ひとたび受信されると、コンポーネントまたはデバイスの各々は、例えば、コンポーネントまたはデバイスのディスプレイ上に提示されるグラフィカルユーザインターフェースを使用して、コンポーネントまたはデバイスのユーザに対して、安全性能評価を提示し得る。
【0064】
一般に、安全性能評価モジュール216は、とりわけ、識別されたリスク源110、識別された安全イベント、リスク・スコア、もしくは決定された安全性能、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含む、安全性能評価の任意の態様を、他のコンポーネントまたはデバイスに対して提供することができる。いくつかのケースにおいては、安全性能モジュール216は、車両についての安全性能の、同じまたは異なる車両の安全性能との、1つまたは複数の比較を提供することが可能である。いくつかのケースにおいては、安全性能モジュール216は、より安全な方法で車両を運転するための、車両102もしくはドライバ106、またはその両方に対する提案、あるいは将来の旅程においてより安全なルートを辿るための、車両もしくはドライバ、またはその両方に対する推奨など、車両の安全性能を増加させるための推奨または提案を提供することが可能である。いくつかのケースにおいては、安全性能モジュール216は、特定の車両または車両タイプが、安全性能のあるレベルを達成するために走行する必要がある、リスク正規化マイルの数などの、時間または距離を表示することが可能である。例えば、安全性能モジュール216は、従来車および人間のドライバと同等の、またはより高い安全性能を成し遂げるために、自律走行車が走行する必要があり得る、リスク正規化マイルの数を表示することができる。
【0065】
いくつかのケースにおいては、安全性能評価は、例えば、自律走行車の安全性を認証する際に、政府機関によって使用され得る。いくつかのケースにおいては、安全性能評価は、自律走行車をナビゲートするために使用されるアルゴリズムの安全性を向上させるために、使用され得る。例えば、自律走行車をコントロールするために使用されるアルゴリズムは、安全性能評価を向上させる方法で、更新され得る。これらの更新は、とりわけ、ドライブ安全性の評価を向上させるために、もしくは実際のドライブ安全性を向上させるために、または2つの組み合わせのために、使用され得る。いくつかのケースにおいては、安全性能評価は、車両の往来(vehicle’s commute)中に取られるべき1つまたは複数のルートを、環境リスクを低減するように決定するために、使用され得る。
【0066】
安全性能評価技術100に対する様々な変更が、可能である。例えば、いくつかのケースにおいては、技術100は、同じ走行された距離にわたる、1つまたは複数の車両または車両のタイプからの複数のリスク・スコアを平均して、その特定の距離についての平均リスク・スコアを決定することができる。このようにして、技術100は、高リスクのルートを識別することができ、これは、技術100が、とりわけ、車両102もしくはドライバ106、またはその両方に対して、より安全な代替を提案することを可能にし得る。いくつかのケースにおいては、技術100は、ドライブされた時間など、他のリスク・エクスポージャ・メトリックを正規化するために、リスク・スコアを適用することができ、走行された距離を正規化することに限定されない。
【0067】
サーバ130が、車両102と関連付けられたセンサ・データを処理して、車両または環境104内の他の車両の安全性能を評価すると説明されたが、ここで説明される技法を実施するために、車載コンピュータ108、テレマティクス・デバイス114、もしくはコンピューティング・デバイス138、またはそれらの組み合わせなど、技術100の他のコンポーネントおよびデバイスが、サーバ130に加えて、それと組み合わせて、またはそれの代わりに、センサ・データを処理してよい。同様に、リスク識別モジュール208、安全イベント識別モジュール210、リスク相関モジュール212、リスク・スコアリング・モジュール214、および安全性能評価モジュール216を含む、具体的なモジュールが、ここで説明される技法のある態様を実施すると説明されたが、いくつかの実施においては、技法の一部またはすべては、追加の、より少数の、または代替のモジュールによって実施され得る。さらに、図1には、1つのサーバ130、1つのデータベース136、および1つのコンピューティング・デバイス138だけが、例示されているが、技術100は、単一の場所に配置された、または分散され、任意の数のネットワークを使用して通信可能に接続された、任意の数のコンピューティング・デバイスおよびデータ記憶デバイスを含んでよい。
【0068】
図3は、車両の安全性能を評価するための例示的なプロセス300を例示している。プロセス300の少なくとも一部は、サーバ130上において動作するプロセッサ200など、1つまたは複数のプロセッサを使用して、実施され得る。プロセス300の動作は、車両における1つまたはセンサによって生成されたセンサ・データを受信することを含む(302)。センサは、車両に設置されて、もしくは車両へと持ち込まれたテレマティクス・デバイスに備えられて、またはその両方であってよい。
【0069】
センサ・データは、運転の期間中に車両によって経験された1つまたは複数のリスク源を識別するために、処理される(304)。リスク源は、安全イベントのリスクを車両に負わせることがある。いくつかのケースにおいては、1つまたは複数のリスク源は、車両が距離にわたって走行する環境の状態または特徴に起因する環境リスク源を含み得る。いくつかのケースにおいては、環境リスク源は、環境にある他の車両を含み得る。いくつかのケースにおいては、車両のドライバの行為に起因するドライバ固有のリスク源、または車両に対する損傷、もしくは車両の故障に起因する車両固有のリスク源、またはその両方は、1つまたは複数のリスク源から取り除かれてよい。いくつかのケースにおいては、運転の期間は、車両によって走行された距離、または車両の運転の時間と関連付けられ得る。
【0070】
センサ・データは、運転の期間中に車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントを識別するために、処理される(306)。いくつかのケースにおいては、1つまたは複数の安全イベントは、車両の衝突、車両の衝突寸前、もしくは車両における別の危険な状態、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0071】
運転の期間中に車両によって経験された安全イベントのリスクが、1つまたは複数のリスク源に基づいて、決定される(308)。いくつかのケースにおいては、リスクは、リスク・スコアによって、測定され得る。いくつかのケースにおいては、リスクを決定することは、とりわけ、リスク源の各々によってもたらされた安全イベントのリスク、リスク源のエクスポージャ・レベル、もしくはリスク源の存在、またはそれらの組み合わせを決定することを含み得る。各リスク源によってもたらされた安全イベントのリスクは、運転の期間中における車両についてのリスクを決定するために、和を取られ得る。いくつかのケースにおいては、リスクは、運転の期間中に車両または他の車両によって経験された安全イベントの標準的なリスクに基づいて、正規化され得る。いくつかのケースにおいては、リスク・スコアは、車両によって走行されたリスク正規化距離など、運転のリスク正規化期間を生成するために、運転の期間に対して適用され得る。いくつかのケースにおいては、車両によって経験された安全イベントのリスクは、車両または車両タイプについての安全イベントの組み合わせリスクを生成するために、車両または同じ車両タイプを有する他の車両によって経験された安全イベントの他のリスクと組み合わされ得る。
【0072】
運転の期間中における車両の安全性能は、1つまたは複数の安全イベントと、リスクとに基づいて、決定される(310)。いくつかのケースにおいては、車両の安全性能を決定することは、リスクに関連する1つまたは複数の安全イベントの和を決定することを含み得る。いくつかのケースにおいては、リスクは、車両によって走行されたリスク正規化距離など、運転のリスク正規化期間を生成するために、運転の期間に対して適用され得、運転の期間中における車両の安全性能は、運転のリスク正規化期間に関連する1つまたは複数の安全イベントの和に基づいて、決定され得る。いくつかのケースにおいては、1つまたは複数の安全イベントの和は、加重和である。いくつかのケースにおいては、1つまたは複数の安全イベントの安全イベントの各々は、安全イベントの重大性に従って、加重される。例えば、全壊された車両という結果になる安全イベントは、車両に対する軽微な塗装損傷という結果になる安全イベントよりも重く加重され得る。いくつかのケースにおいては、車両によって経験された安全イベントのリスクは、車両または車両タイプについての安全イベントの組み合わされたリスクを生成するために、車両または同じ車両タイプを有する他の車両によって経験された安全イベントの他のリスクと組み合わされ得、車両または車両タイプの安全性能は、安全イベントの組み合わされたリスクに部分的に基づいて、決定され得る。
【0073】
いくつかの実施においては、センサ・データは、運転の期間中に車両と同じ環境にいる第2の車両によって経験された1つまたは複数のリスク源および安全イベントを識別するために、処理され得る。運転の期間中に第2の車両によって経験された安全イベントのリスクは、第2の車両によって遭遇された1つまたは複数のリスク源に基づいて、決定され得る。第2の車両の安全性能は、第2の車両についてのリスクに関連する第2の車両によって経験された1つまたは複数の安全イベントの和に基づいて、運転の期間中に決定され得る。いくつかのケースにおいては、運転の期間中における車両の相対的な安全性能は、車両の安全性能を第2の車両の安全性能と比較することによって、決定され得る。
【0074】
他の実施も、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
【国際調査報告】