(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(54)【発明の名称】堆肥化可能な板紙構造物およびそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
B32B 29/00 20060101AFI20220926BHJP
C09D 167/02 20060101ALI20220926BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20220926BHJP
【FI】
B32B29/00
C09D167/02
C09D7/61
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506237
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 US2020036975
(87)【国際公開番号】W WO2021021319
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504376810
【氏名又は名称】ウエストロック・エム・ダブリュー・ヴイ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チータイ・シー・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ラーフル・バルドワージ
(72)【発明者】
【氏名】チェスター・イー・アルキエヴィチ
【テーマコード(参考)】
4F100
4J038
【Fターム(参考)】
4F100AA01B
4F100AA07A
4F100AA08B
4F100AA20B
4F100AA32B
4F100AC03B
4F100AC04B
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4F100AD00B
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4F100BA07
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4F100JA06B
4F100JA13A
4F100JA13B
4F100JC00B
4F100JL12B
4F100YY00A
4F100YY00B
4J038DD051
4J038HA536
4J038KA08
4J038MA14
4J038NA27
4J038PC08
4J038PC10
(57)【要約】
第1の主面および該第1の主面の反対側の第2の主面を有する板紙基材と、第1の主面上のコーティング層とを含む板紙構造物であって、該コーティング層はポリマーおよびタルクを含み、該ポリマーはポリ(ブチレンサクシネート)およびポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)のうちの少なくとも1つを含む、板紙構造物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面(12)および前記第1の主面(12)の反対側の第2の主面(14)を含む板紙基材(10)と、
前記第1の主面(12)上のコーティング層(20)であり、ポリマーおよび充填剤を含み、前記ポリマーはポリ(ブチレンサクシネート)およびポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)のうちの少なくとも1つを含む、コーティング層(20)と
を含む、
板紙構造物(100)。
【請求項2】
前記板紙基材(10)は固体漂白硫酸塩を含む、
請求項1に記載の板紙構造物(100)。
【請求項3】
前記板紙基材(10)は少なくとも40lb/3000ft
2の坪量を有する、
請求項1または2に記載の板紙構造物(100)。
【請求項4】
前記板紙基材(10)は約85lb/3000ft
2から約350lb/3000ft
2までに及ぶ坪量を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項5】
前記板紙基材(10)は約8ポイントから約32ポイントまでに及ぶキャリパを有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項6】
前記板紙基材(10)は約10ポイントから約24ポイントまでに及ぶキャリパを有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項7】
前記板紙基材(10)は約12ポイントから約18ポイントまでに及ぶキャリパを有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項8】
前記コーティング層(20)は少なくとも約8lb/3000ft
2のコート重量を有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項9】
前記コーティング層(20)は約10lb/3000ft
2から約50lb/3000ft
2までに及ぶコート重量を有する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項10】
前記コーティング層(20)は約15lb/3000ft
2から約40lb/3000ft
2までに及ぶコート重量を有する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項11】
前記コーティング層(20)は約20lb/3000ft
2から約25lb/3000ft
2までに及ぶコート重量を有する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項12】
前記コーティング層(20)はヒートシール可能である、
請求項1から11のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項13】
前記ポリマーは基本的にポリ(ブチレンサクシネート)からなる、
請求項1から12のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項14】
前記ポリマーは基本的にポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)からなる、
請求項1から12のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項15】
前記ポリマーはポリ(ブチレンサクシネート)とポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)の両方を含む、
請求項1から12のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項16】
前記ポリマーは10分当たり約1グラムから10分当たり約100グラムまでのメルトフローレートを有する、
請求項1から15のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項17】
前記ポリマーは10分当たり少なくとも約3グラムのメルトフローレートを有する、
請求項1から16のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項18】
前記ポリマーは10分当たり少なくとも約10グラムのメルトフローレートを有する、
請求項1から17のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項19】
前記ポリマーは10分当たり少なくとも約20グラムのメルトフローレートを有する、
請求項1から18のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項20】
前記ポリマーは堆肥化可能である、
請求項1から19のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項21】
前記ポリマーは生分解性である、
請求項1から20のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項22】
前記ポリマーは石油系源およびバイオ系源のうちの少なくとも1つから生じる、
請求項1から21のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項23】
前記充填剤は無機充填剤を含む、
請求項1から22のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項24】
前記無機充填剤は、タルク、炭酸カルシウム、雲母、珪藻土、シリカ、クレイ、カオリン、珪灰石、軽石、ゼオライト、およびセラミック球のうちの少なくとも1つを含む、
請求項23に記載の板紙構造物(100)。
【請求項25】
前記充填剤は有機充填剤を含む、
請求項1から22のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項26】
前記有機充填剤は、セルロース、天然繊維、および木粉のうちの少なくとも1つを含む、
請求項25に記載の板紙構造物(100)。
【請求項27】
前記充填剤は最大で12マイクロメートルの平均粒径を有する、
請求項1から26のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項28】
前記充填剤は最大で6マイクロメートルの平均粒径を有する、
請求項1から27のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項29】
前記充填剤は最大で3マイクロメートルの平均粒径を有する、
請求項1から28のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項30】
前記充填剤は最大で1マイクロメートルの平均粒径を有する、
請求項1から29のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項31】
前記コーティング層(20)は少なくとも1重量パーセントの前記充填剤を含む、
請求項1から30のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項32】
前記コーティング層(20)は少なくとも5重量パーセントの前記充填剤を含む、
請求項1から31のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項33】
前記コーティング層(20)は少なくとも10重量パーセントの前記充填剤を含む、
請求項1から32のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項34】
前記第1の主面(12)上に最上層(30)をさらに含み、前記コーティング層(20)は前記板紙基材(10)と前記最上層(30)との間にある、
請求項1から33のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項35】
前記最上層(30)はポリ(ブチレンサクシネート)およびポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)のうちの少なくとも1つを含む、
請求項34に記載の板紙構造物(100)。
【請求項36】
3.0秒の滞在時間で60psiのシール圧力下で325°Fのヒートシールバー温度でシールされると、少なくとも40パーセントの繊維切れを伴う、コーティング層と板紙基材とのヒートシールを含む、
請求項1から35のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項37】
3.0秒の滞在時間で60psiのシール圧力下で350°Fのヒートシールバー温度でシールされると、少なくとも70パーセントの繊維切れを伴う、コーティング層と板紙基材とのヒートシールを含む、
請求項1から35のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項38】
3.0秒の滞在時間で60psiのシール圧力下で375°Fのヒートシールバー温度でシールされると、少なくとも80パーセントの繊維切れを伴う、コーティング層と板紙基材とのヒートシールを含む、
請求項1から35のいずれか一項に記載の板紙構造物(100)。
【請求項39】
ポリマーおよび充填剤を含むコーティング組成物を準備するステップ(210)であって、前記ポリマーはポリ(ブチレンサクシネート)およびポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)のうちの少なくとも1つを含む、準備するステップ(210)と、
前記コーティング組成物を板紙基材(10)に塗布して、前記板紙基材(10)上にコーティング層(20)を形成するステップ(230)と、
を含む、
板紙構造物(100)を製造する方法(200)。
【請求項40】
前記コーティング組成物を前記板紙基材(10)に塗布する前記ステップ(230)は、前記コーティング組成物を前記板紙基材(10)上へ押し出すステップ(240)を含む、
請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記コーティング組成物を準備する前記ステップ(210)は、
第1のバッチと第2のバッチとを組み合わせて、前記コーティング組成物を生み出すステップ(220)を含み、
前記第1のバッチはポリ(ブチレンサクシネート)およびポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)のうちの少なくとも1つを含み、
前記第2のバッチは、充填剤と、ポリ(ブチレンサクシネート)およびポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)のうちの少なくとも1つとを含む、
請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
185℃で、前記コーティング組成物は、
0.01s
-1の剪断速度で少なくとも670Pa・sの剪断粘度、
10s
-1の剪断速度で少なくとも240Pa・sの剪断粘度、
100s
-1の剪断速度で少なくとも180Pa・sの剪断粘度、及び
600s
-1の剪断速度で少なくとも100Pa・sの剪断粘度、
を含む、
請求項39から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
185℃で、前記コーティング組成物は、
0.01s
-1の剪断速度で約1,410Pa・sの剪断粘度、
10s
-1の剪断速度で約520Pa・sの剪断粘度、
100s
-1の剪断速度で約260Pa・sの剪断粘度、及び
600s
-1の剪断速度で約125Pa・sの剪断粘度、
を含む、
請求項39から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
185℃で、前記コーティング組成物は、
0.01s
-1の剪断速度で最大2,150Pa・sの剪断粘度、
10s
-1の剪断速度で最大805Pa・sの剪断粘度、
100s
-1の剪断速度で最大340Pa・sの剪断粘度、及び
600s
-1の剪断速度で最大155Pa・sの剪断粘度、
を含む、
請求項39から43のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2019年7月30日付で出願された米国特許出願第62/880,229号の優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本出願は塗工板紙(coated paperboard)に関し、より詳細には、板紙基材上のポリ(ブチレンサクシネート)コーティングおよび/またはポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)コーティングへの充填剤の添加に関する。
【背景技術】
【0003】
パッケージングの分野において、ポリマーコーティングを有するパッケージング構造物を用意することが望ましいことが多い。そのようなポリマーコーティングは、耐久性、耐湿性、およびヒートシール性などの他の有用な特性をもたらし得る。最近、そのようなパッケージング構造物のポリマーコーティングにおいてバイオポリマーを使用することに関心が高まっている。バイオポリマーの例には、ポリ(ブチレンサクシネート)およびポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)が含まれる。しかし、ポリ(ブチレンサクシネート)およびポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)はどちらも、押出しコーティングプロセスの安定性およびダウンストリーム変換(downstream converting)、特にヒートシール性において課題を提示している。
【0004】
したがって、当業者は板紙製造の分野において研究開発努力を続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
板紙構造物、および板紙構造物を製造する関連する方法が開示されている。
【0006】
一例では、開示されている板紙構造物は、第1の主面と、該第1の主面の反対側の第2の主面とを含む板紙基材を含む。また、該板紙構造物は第1の主面上にコーティング層を含み、該コーティング層は、ポリマーと充填剤とを含み、該ポリマーはポリ(ブチレンサクシネート)およびポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)のうちの少なくとも1つを含む。
【0007】
一例では、板紙構造物を製造する開示されている方法は、ポリマーおよび充填剤を含むコーティング組成物を準備するステップであって、該ポリマーはポリ(ブチレンサクシネート)およびポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)のうちの少なくとも1つを含む、準備するステップを含む。本方法は、該コーティング組成物を板紙基材に塗布して、該板紙基材上にコーティング層を形成するステップをさらに含む。
【0008】
開示されている板紙構造物および方法の他の例が、次の詳細な説明、添付図面、および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示による、板紙基材とコーティング層とを有する板紙構造物の略示横断面図である。
【
図2】本開示による、板紙基材とコーティング層と最上層とを有する板紙構造物の略示横断面図である。
【
図3】板紙構造物を製造する開示されている方法のある例を示す流れ図である。
【
図5】本開示による板紙に塗布されている押出コーティングの正面図である。
【
図6】100%PBSおよび90%PBS+10%タルクの、剪断速度に対する剪断粘度のグラフ表示である。
【
図7】板紙基材に沿った様々な位置での、板紙基材の塗工部分の幅のグラフ表示である。
【
図8】押し出されている時のサンプル1~4に関連する、コーティング組成物の平均カーテン幅の標準偏差のグラフ表示である。
【
図9】サンプル1~4の、温度に対するパーセントの繊維切れのグラフ表示である。
【
図10】サンプル1~5の、剪断速度に対する剪断粘度のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次の詳細な説明は、本開示により説明される特定の例を示す添付図面を参照する。様々な構造および動作を有する他の例が本開示の範囲から逸脱しない。同様の参照符号が異なる図面の同一の特徴、要素、または構成要素を指す可能性がある。
【0011】
本開示による主題の、特許請求される可能性があるが必ずしもそうとは限らない、実例となる包括的でない例が以下に与えられている。本明細書において「例」という言及は、該例に関連して記載されている1つまたは複数の特徴、構造、要素、構成要素、特性、および/または動作ステップが本開示による主題の少なくとも1つの実施形態および/または実装形態に包含されることを意味する。したがって、本開示を通じて「ある例」という表現および同様の言語は同一の例を指す可能性があるが、必ずしもそうとは限らない。さらに、任意の一例を特徴付ける主題は、任意の他の例を特徴付ける主題を含む可能性があるが、必ずしもそうとは限らない。
【0012】
図1を参照すると、本開示は板紙構造物100の例を提供する。該板紙構造物100は、第1の主面12と、該第1の主面12の反対側の第2の主面14とを有する板紙基材10を含む。また、板紙構造物100は該板紙基材10の第1の主面12上にコーティング層20を含む。該コーティング層20はポリマーと充填剤とを含み、該ポリマーはポリ(ブチレンサクシネート)およびポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)のうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
コーティング層20が全体的に示され、板紙基材10の第1の主面12上にあるように描写されているが、板紙基材10の第1の主面12上のコーティング層20の代替案として、またはそれに加えて、のいずれかで、コーティング層20が板紙基材10の第2の主面14上にもあり得ると一般に考えられる。
【0014】
板紙構造物100の板紙基材10は、開示されているコーティング層20などでコーティングされることが可能な任意のセルロース系材料であり得る(またはそれを含み得る)。板紙基材10は単層基材または多層基材、および漂白基材または無漂白基材であり得る。適切な板紙基材の例には、中芯、ライナーボード、固体漂白硫酸塩(SBS: solid bleached sulfate)、折り畳み箱用板紙(FBB: folding box board)、および塗工無漂白クラフト(CUK: coated unbleached kraft)が含まれる。
【0015】
結合剤、顔料等の添加成分が、本開示の範囲から逸脱することなく、板紙基材10に添加され得る。さらに、板紙基材10は、中空プラスチック顔料もしくは発泡性ミクロスフェアなどの、嵩を増すためのプラスチック顔料、または他の化学的充填剤を実質的に含まない可能性がある。さらに、板紙基材10は粉末木材粒子を実質的に含まない可能性がある。
【0016】
板紙基材10は、3000平方フィート当たり少なくとも約40ポンドの非塗工坪量を有し得る。一例では、板紙基材10は少なくとも40lb/3000ft2の非塗工坪量を有し得る。別の例では、板紙基材10は約85lb/3000ft2から約350lb/3000ft2までに及ぶ非塗工坪量を有し得る。別の例では、板紙基材10は約85lb/3000ft2から約250lb/3000ft2までに及ぶ非塗工坪量を有し得る。さらに別の表現では、板紙基材10は約100lb/3000ft2から約250lb/3000ft2までに及ぶ非塗工坪量を有し得る。
【0017】
さらに、板紙基材10は、例えば約8ポイントから約32ポイントまで(0.008インチから0.032インチまで)に及ぶキャリパ(caliper)(厚さ)を有し得る。一例では、キャリパ範囲は約10ポイントから約24ポイントまでである。別の例では、キャリパ範囲は約12ポイントから約18ポイントまでである。
【0018】
適切な板紙基材10の1つの特定の非制限的例が、ジョージア州アトランタのウエストロック社(WestRock Company)製の13ポイントSBSカップストックである。適切な板紙基材10の別の特定の非制限的例が、ウエストロック社(WestRock Company)製の12.4ポイントSBSカップストックである。適切な板紙基材10のさらに別の特定の例が、ウエストロック社(WestRock Company)製の18ポイントSBSカップストックである。
【0019】
図1をさらに参照すると、板紙構造物100は板紙基材10の第1の主面12上にコーティング層20を含む。該コーティング層20は、例えば溶融コーティング組成物のカーテンを板紙基材10上へ押し出すことによるなど、任意の適切な方法により、第1の主面12に塗布され得る。さらに、コーティング層20は様々なコート重量で塗布され得る。ある例では、コーティング層20は少なくとも約8lb/3000ft
2のコート重量を有し得る。ある例では、コーティング層20は約10lb/3000ft
2から約50lb/3000ft
2までに及ぶコート重量を有し得る。ある例では、コーティング層20は約15lb/3000ft
2から約40lb/3000ft
2までに及ぶコート重量を有し得る。ある例では、コーティング層20は約20lb/3000ft
2から約25lb/3000ft
2までに及ぶコート重量を有し得る。塗布されるコーティングの総量は必要に応じて変化し得るが、最終的な板紙構造物100の物理的特性(例えば、重量、密度、ヒートシール性等)が考慮されるであろうと一般に考えられる。
【0020】
現時点で、当業者には当然のことながら、また、板紙基材10の第2の主面14に追加コーティング層が塗布され得る(図示せず)。該追加コーティング層は、例えばコーティング層20を塗布するのに使用された同じ押出法を使用して、塗布され得る。同様に、追加コーティング層のコート重量も、本開示の範囲から逸脱することなく、変化し得る。
【0021】
コーティング層20は、他にも理由があるが、板紙構造物100にヒートシール性を与えるために塗布され得る。より具体的には、コーティング層20は、コーティング層20が熱および/または圧力に暴露される場合、コーティング層と板紙基材とのヒートシールの形成を可能にする可能性がある。当業者には当然のことながら、例えば、板紙カップの製造中になど、板紙構造物100を複雑な形状に形成することを含む用途において、良好なヒートシール性が望ましいことがある。
【0022】
コーティング層20はポリマーと充填剤とを含み、該ポリマーはポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)およびポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)(PBSA)のうちの少なくとも1つを含む。PBSは(ASTM D6868-11により決定されているような)生分解性半結晶性ポリエステルバイオポリマーであり、PBSAはPBSの共重合体ある。当業者には当然のことながら、PBSおよびPBSAは、それらがどちらもASTM D6400規格およびEN13432規格により生分解性でかつ堆肥化可能であるため、他のポリマー材料より優れて好適であり得る。より具体的には、PBSおよびPBSAはどちらも、堆肥の質に影響を及ぼすことなく、二酸化炭素、水、およびミネラルに分解することができる。Table 1(表1)は、タイ国バンコクのPTT MCC Biochemから入手可能な適切なPBSおよびPBSAの例を提供する。さらに、開示されている板紙構造物および作製するための関連する方法の任意の所与の例で使用されているPBSおよび/またはPBSAは石油系源およびバイオ系源のうちの少なくとも1つから生じ得ることも考えられる。
【0023】
【0024】
PBSおよびPBSAは(分子量に基づく)様々な異なるグレードにおいて利用可能であり得る。したがって、分子量の間接的測定であるメルトフローレート(例えば、圧力下で流れる材料の溶融能力)は、PBSまたはPBSAの異なるグレード間で変化し得る。(PBSおよびPBSAのうちの少なくとも1つを含む)適切なポリマーが所望のメルトフローレートに基づいて選択され得る。あるいは、PBSおよび/またはPBSAの2つ以上のグレードが、所望のメルトフローレートが結果として生じるポリマーにおいて達成されるように混合され得る。ある例では、ポリマーは10分当たり少なくとも約1グラムから10分当たり約100グラムまでのメルトフローレートを有し得る。ある例では、ポリマーは10分当たり少なくとも約3グラムのメルトフローレートを有する。ある例では、ポリマーは10分当たり少なくとも約10グラムのメルトフローレートを有する。ある例では、ポリマーは10分当たり少なくとも約20グラムのメルトフローレートを有する。
【0025】
コーティング層20はポリマーと充填剤とを含む。しかし、ポリマーと充填剤との相対濃度は、結果として生じるコーティング組成物の加工性および結果として生じるコーティング層20のヒートシール性を考慮して、必要に応じて変えられ得る。一例では、コーティング層20は少なくとも1重量パーセントの充填剤を含み得る。別の例では、コーティング層20は少なくとも5重量パーセントの充填剤を含み得る。さらに別の例では、コーティング層20は少なくとも10重量パーセントの充填剤を含み得る。
【0026】
コーティング層20を特定の用途に合わせる方法として、充填剤がポリマーに添加され得る。該充填剤は、有機充填剤、無機充填剤、および当該2つのうちの1つまたは複数の混合を含む、ポリマーに添加されることおよび板紙基材10上でコーティング層20に形成されることが可能な任意の適切な材料を含み得る。適切な有機充填剤の例には、セルロース、天然繊維、木粉等が含まれ得る。適切な無機充填剤の例には、タルク、炭酸カルシウム、雲母、珪藻土、シリカ、クレイ(例えば、カオリンクレイ)、珪灰石、軽石、ゼオライト、セラミック球等が含まれ得る。当業者には当然のことながら、他の有機充填剤および/または無機充填剤が、本開示の範囲から逸脱することなく、使用され得る。
【0027】
充填剤が、一定の物理的特性(例えば、特定の重力、アスペクト比、平均粒径等)に基づいてかつ板紙構造物100の加工に関連する任意の加工限界を考慮して、選択され得る。例えば、比較的小さい平均粒径を有する充填剤が、特に狭い、押出機の出力スロットを通してコーティング層20を押し出すことを含む用途に、比較的大きい平均粒径を有する充填剤よりも良好に適し得る。ある例では、充填剤は最大で6マイクロメートルの平均粒径を有し得る。ある例では、充填剤は最大で3マイクロメートルの平均粒径を有し得る。ある例では、充填剤は最大で1マイクロメートルの平均粒径を有し得る。当業者には当然のことながら、1つまたは複数の例において、コーティング層20は、本開示の範囲から逸脱することなく、多種類の充填剤を含み得る。
【0028】
1つまたは複数の用途において、タルクの添加がもたらす可能性がある、加工性の向上により、タルクが充填剤として特によく適する可能性がある。当業者には当然のことながら、PBSおよびPBSAは、通常、高い加工温度でも高い粘度を有するPBSおよびPBSAにより、押し出すことが困難である。さらに、また、当業者には当然のことながら、無機充填剤を溶融ポリマー中に入れることは、通常、ベースポリマー粘度を高めるかまたは「濃くする」。驚いたことに、モンタナ州ヘレナのバレッツミネラルズ社(Barretts Minerals)から入手可能なFortiTalc(登録商標) AG609 LCなどのタルクが、PBSおよび/またはPBSAに添加されると逆効果であることが見出されている。任意の特定の論理に制約されることなく、タルクをPBSおよび/またはPBSA中に入れることが、実際、ポリマー分子のより容易な流動を促進することにおいて希釈または「潤滑」効果をもたらし得る(それにより押出性を向上させ得る)と考えられる。しかし、また、比較的大きいパーセンテージのタルク(重量)を含有するコーティング層20が優れた押出性を示す可能性があるが、コーティング層20内の過剰なタルクがヒートシール性能を損なう可能性があると考えられる。使用される場合、コーティング層20内のタルクに対するポリマーの割合は、必要に応じて変えられ得るさらに別の加工要因である。
【0029】
図2を参照すると、一例では、板紙構造物100は板紙基材10の第1の主面12上に1つまたは複数の最上層30を含んでいてもよく、コーティング層20は板紙基材10と最上層30との間にある。さらに、板紙構造物100が板紙基材10の第2の主面14上にコーティング層20を含む例では、最上層30は板紙基材10の第2の主面14にも同様に塗布され得ることが一般に考えられる。最上層30は、コーティング層20と同時に(例えば、同一の機械で)またはそれとは別に(例えば、後で別個の機械で)、のいずれかで、板紙基材10に塗布され得る。組成の観点から、最上層30はコーティング層20と類似していてもよいか、または完全に異なっていてもよい。一例では、最上層30はコーティング層20と組成的に異なっていてもよい。別の例では、最上層30はPBSおよびPBSAのうちの少なくとも1つを含み得る。さらに別の例では、最上層30はPBSとPBSAの両方を含み得る。
【0030】
ポリマーおよび充填剤に加えて、当業者には当然のことながら、コーティング層20および最上層30のうちの少なくとも1つが、本開示の範囲から逸脱することなく、顔料、安定剤等の1つまたは複数の添加物も含み得る。
【0031】
図3を参照すると、本開示は、板紙構造物100を製造する方法200の例を提供する。本方法200は、ポリマーおよび充填剤を含むコーティング組成物を準備するステップ(ブロック210)を含み、該ポリマーはPBSおよびPBSAのうちの少なくとも1つを含む。充填剤に対する所望のポリマー割合に応じて、準備する前記ステップ(ブロック210)は、ある量の充填剤とある量のポリマーとを物理的に組み合わせるように簡単であり得る。あるいは、準備する前記ステップ(ブロック210)は、ポリマーおよび充填剤のマスターバッチを希釈することによるなど、他の組合せ方法を含み得る。一例では、準備する前記ステップ(ブロック210)は、第1のバッチと第2のバッチとを組み合わせて、コーティング組成物を生み出すステップ、を含み得、該第1のバッチはPBSおよびPBSAのうちの少なくとも1つを含み、該第2のバッチ(例えば、マスターバッチ)は充填剤と、PBSおよびPBSAのうちの少なくとも1つとを含む(ブロック220)。第1のバッチと第2のバッチとを組み合わせることにより、結果として生じるコーティング組成物中の充填剤の濃度は、第2のバッチ中にあった充填剤の濃度よりも低い。
【0032】
当業者には当然のことながら、準備する前記ステップ(ブロック210)は、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な他の加工ステップをさらに含み得る。これらの他の加工ステップは、例えば、ある量のPBSとある量のPBSAとを混合するステップ、2つの異なるグレードのPBSを混合するステップ、ポリマーを加熱するステップ、コーティング組成物をペレットに形成するステップ等を含み得る。
【0033】
1つまたは複数の例では、準備する前記ステップ(ブロック210)は、結果として生じるコーティング組成物のレオロジー特性を考慮して実施され得る。例えば、コーティング組成物が(押出などの)製造プロセスの後続のステップに適することを確実にする方法として、レオロジー限界を事前に規定することが望ましい可能性がある。一例では、コーティング組成物は、少なくとも: 0.01s-1の剪断速度で670Pa・s、10s-1の剪断速度で240Pa・s、100s-1の剪断速度で180Pa・s、600s-1の剪断速度で100Pa・sの剪断粘度を含み得る。別の例では、コーティング組成物は約: 0.01s-1の剪断速度で1,410Pa・s、10s-1の剪断速度で520Pa・s、100s-1の剪断速度で260Pa・s、600s-1の剪断速度で125Pa・sの剪断粘度を含み得る。さらに別の例では、コーティング組成物は、最大で: 0.01s-1の剪断速度で670Pa・s、10s-1の剪断速度で240Pa・s、100s-1の剪断速度で180Pa・s、600s-1の剪断速度で100Pa・sの剪断粘度を含み得る。当業者には当然のことながら、コーティング組成物のレオロジーは、ポリマーのメルトフローレートおよび充填剤の濃度により、少なくとも部分的に決定され得る。したがって、コーティング組成物を準備する前記ステップ(ブロック210)では、これらの要因は、コーティング組成物が所定のレオロジー限界に基づいているように、必要に応じて変えられ得る。
【0034】
コーティング組成物が準備された(ブロック210)後、方法200は、次いで、該コーティング組成物を板紙基材10に塗布して、板紙基材10上にコーティング層20を形成するステップ(ブロック230)へ進んでもよい。ブロック230は、コーティング組成物を板紙基材10に塗布する任意の適切な方法により実施され得る。例えば、ブロック230は、
図4および
図5に示されているアセンブリを使用して、コーティング組成物を板紙基材10上へ押し出すステップ(ブロック240)により実施され得る。
【0035】
図4を参照すると、板紙基材10が供給ロール16から展開されている時にその上へ、押出機ダイ40がポリマーのカーテン24を塗布する押出コーティングの略示図面が示されている。板紙基材10とカーテン24とは、圧力ロール44とチルロール42との間のニップ46内で共に押し付けられ、それが、塗工板紙基材18が該プロセスの別のステップ(例えば、曲げるステップ、仕上げるステップ等)に進む前に、ポリマーを冷却する。
【0036】
図5を参照すると、押出コーティングプロセスの正面図が示されている。押出機ダイ40を離れると、コーティング組成物のカーテン24は、組成、温度、およびコーティング組成物の供給速度、押出機ダイ40にあるスロット開口部、およびダイ40内のデッケルロッドの位置を含む加工条件に依存する可能性がある、幅W
1を有し得る。カーテン24の線速度V
2もこれらの要因に依存している。スロット開口部がT
1ミルである場合、塗工板紙基材18上のコーティング組成物の結果として生じる薄膜厚さT
2はおよそT
1*V
2/V
1ミルであろう。通常、板紙速度V
1はカーテン速度V
2よりも数倍速く、相応に薄膜厚さT
2はT
1よりも数倍薄いであろう。
【0037】
時々起こり、廃棄物を発生させる加工欠陥が「エッジウィーブ」であり、ここで、カーテン24のエッジ26が横に揺れる。カーテン24のこの揺れは、板紙基材10の塗工板紙基材18上の波状エッジ26によって示される。エッジ26における不均一な覆いにより、板紙基材10のどちらかと言えば側部が廃棄物として切り取られる必要がある。
図5では、コーティングのエッジウィーブが波状エッジ26により単純過ぎる方法で示されており、コーティング幅は、幅W
3およびW
4により示されているように板紙基材10の長さに沿って変化し得るということが示されている。
【実施例1】
【0038】
Table 2(表2)は、開示されている板紙構造物100の4つの異なるサンプルに関するコーティング組成物およびコート重量を示す。
【0039】
【0040】
全4つのサンプルがFZ71PM PBSを含有する。特に、サンプル1およびサンプル2はタルクを含有しない一方、サンプル3およびサンプル4は10重量%のタルクを含有する。これらのサンプルを製造するために、(Table 2(表2)に示されている)様々なコーティング組成物のペレットを準備し、次いで、Table 3(表3)に示されている設定を有するスクリュー押出機内へ供給した。
【0041】
【0042】
融解されると、次いで、コーティング組成物を、カーテンコーティング装置により18ポイントSBS板紙基材上へ押し出した。該カーテンコーティング装置を、30インチ×0.025インチのスロットサイズと、4.5インチの空隙と、22インチでのダイデッケルを有するように構成した。押出機のスクリューを全4つのサンプルに関して80rpmに設定した。ライン速度(line speed)(例えば、V1)を、20lb/3000ft2および25lb/3000ft2のコート重量を達成するために変えた。Table 2(表2)のコーティング組成物の押出に関連する追加加工条件をTable 4(表4)に要約する。
【0043】
【0044】
タルクの添加がコーティング組成物のレオロジーにもたらす効果を評価するために、サンプル1~4のコーティング組成物の押出物を押出機ダイ出口で収集し、185℃で、平行板タイプのレオメータ、デラウェア州ニューキャッスル郡のティーエイインスツルメンツ社(TA Instruments)から入手可能なモデルNo. AR2000ex上で測定した。Y軸上の剪断粘度値およびX軸上の剪断速度をプロットしている
図6を参照すると、10重量%のタルクの添加は、特にゼロに近いまたは低い剪断速度条件(例えば、10s
-1未満)で、コーティング組成物の全体的な粘度を大幅に低減することにより、PBS押出加工を向上させることが示されている。
【0045】
製造された後、サンプル1~4をエッジウィーブおよびヒートシール性に関して評価した。結果を
図7、
図8、および
図9にグラフで示す。
【0046】
図7を参照すると、タルク添加がエッジウィーブに及ぼす効果が示されている。より具体的には、(カーテンの幅と相関する)板紙基材の塗工部分の幅を位置1~10で測定し、各位置を3インチ間隔で連続して離間する。該位置をX軸上にプロットし、板紙基材の塗工部分の幅をY軸上にプロットする。図示の通り、サンプル1は幅が18.70インチと19.09インチとの間に及び、サンプル2は幅が18.62インチと18.98インチとの間に及び、サンプル3は幅が17.95インチと18.03インチとの間に及び、サンプル4は幅が17.83インチと17.91インチとの間に及ぶ。したがって、10%タルクの添加はカーテンのエッジウィーブを大幅に減少させる。
【0047】
図7に示されているデータから、平均カーテン幅および該カーテン幅の標準偏差を計算した。サンプル1~4の平均カーテン幅の標準偏差を比較する
図8を参照すると、10重量%タルクの添加は平均カーテン幅の標準偏差を、25lb/3000ft
2のコート重量で0.087インチおよび20lb/3000ft
2のコート重量で0.096インチ下げることができたことが示されている。
【0048】
図9を参照すると、タルク添加のヒートシール性への効果が示されている(パーセントの繊維切れで格付けされて)。ヒートシール性を評価するために、60psiの圧力、3秒の滞在時間、ならびに325°F、350°F、および375°Fのヒートシールバー温度で、マサチューセッツ州ハイアニスのSencorpWhiteから入手可能なSencorpWhite Ceratekバーシーラを使用して、サンプル1~4にヒートシールを生成した。ヒートシールを、TAPPI T539試験法に示されている規格および条件に準じて評価した。
【0049】
図9はY軸上にパーセントの繊維切れおよびX軸上に温度をプロットしている。一般に、それは、ヒートシール温度を上昇させることおよびコート重量を20lb/3000ft
2から25lb/3000ft
2へ増大させることがヒートシール性能を向上させる2つの実行可能な方法であることを示す。さらに、サンプル1およびサンプル2をサンプル3およびサンプル4と比較することにおいて、
図9は、10重量%タルクの添加が、コーティング層のヒートシール性能を、325°F、350°F、および375°Fで約10%から約35%まで向上させることを示す。したがって、開示されている板紙構造物は、325°Fで少なくとも40%の繊維切れ、350°Fで70%の繊維切れ、および375°Fで80%の繊維切れで、コーティング層と板紙基材とのヒートシールを含み得る。驚いたことに、サンプル1がサンプル4よりも多いコート重量を有したにも関わらず、試験された全ての温度で、(タルクを含有する)サンプル4でさえも、(タルクを含有しない)サンプル1よりも良好なヒートシール性能を示した。
【実施例2】
【0050】
Table 5(表5)は、5つの異なる押出物サンプル(ES)を形成するのに使用されるコーティング組成物を提供する。
【0051】
【0052】
押出物サンプル1~3がFZ91PMを含有し、押出物サンプル2~5がFZ71PMを含有し、押出物サンプル3および5がタルクを含有する。これらの押出物サンプルを、Table 5(表5)のコーティング組成物をTable 6(
図6)に示されている設定を有するスクリュー押出機内へ供給することにより、準備した。
【0053】
【0054】
スクリュー速度を80rpmにし、ライン速度を1分当たり140フィートで保ち、空隙を4.5インチで維持した。Table 5(表5)のコーティング組成物をスクリュー押出機内で融解し、次いで押し出した。Table 5(表5)のコーティング組成物の押出に関連する追加加工条件をTable 7(表7)に要約する。
【0055】
【0056】
押出物サンプル1~5を押出機ダイ出口で収集し、185℃で、平行板タイプのレオメータ、デラウェア州ニューキャスルのティーエイインスツルメンツ社(TA Instruments)から入手可能なモデルNo. AR2000ex上で測定した。剪断速度の範囲に亘る押出物サンプル1~5の剪断粘度をTable 8(表8)に要約する。
【0057】
【0058】
Y軸上に剪断粘度およびX軸上に剪断速度をプロットしている
図10を参照すると、押出物サンプル1~5のレオロジープロファイルが示されている。予期されている通り、押出物サンプルは、高い剪断速度よりも低い剪断速度で、より高い粘度および粘度間のより大きな差異を示した。FZ91PMへの20重量%のFZ71PMの添加は、(純粋なFZ91PMと比較して)低剪断速度でほとんど半分、結果として生じるコーティング組成物の粘度を低減するのを助けたが、実行可能であるように押し出されるには粘性があり過ぎることを最終的に示した。しかし、15重量%のFZ71PMおよび75重量%のFZ91PMへの10重量%タルクの添加は、粘度を低減することおよび押出加工性を向上させることにより、3成分混合物を押出し可能にした。同様に、90重量%のFZ71PMへの10重量%タルクの添加は、(純粋なFZ71PMと比較して)低剪断速度で半分超、結果として生じるコーティング組成物の剪断粘度を低減した。
【0059】
開示されている板紙構造物の様々な態様および関連する方法を示し、説明したが、本明細書を読むと、当業者が変更を思い付く可能性がある。本出願はそのような変更を含み、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0060】
1~4 サンプル
1~10 位置
1~5 押出物サンプル
10 板紙基材
12 第1の主面
14 第2の主面
16 供給ロール
18 塗工板紙基材
20 コーティング層
24 カーテン
26 エッジ
30 最上層
40 押出機ダイ
42 チルロール
44 圧力ロール
46 ニップ
100 板紙構造物
200 方法
210、220、230、240 ブロック
T1 ミル
T2 薄膜厚さ
V1 板紙速度、ライン速度
V2 線速度、カーテン速度
W1、W3、W4 幅
【国際調査報告】