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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(54)【発明の名称】電気外科用チップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220926BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A61B18/14
C23C14/34 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506243
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 US2020044000
(87)【国際公開番号】W WO2021021883
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/880,226
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】メイヨー、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、マシュー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ゲスラー、レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ドクーニャ、アシャ
(72)【発明者】
【氏名】スコット、セレナ
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン、カトリーナ
(72)【発明者】
【氏名】レルシュ、ジェフェリー ティ.
【テーマコード(参考)】
4C160
4K029
【Fターム(参考)】
4C160KK01
4C160KK13
4C160MM32
4K029AA04
4K029AA21
4K029BA08
4K029BA17
4K029BA25
4K029BC03
4K029BD00
4K029CA05
4K029DC03
4K029DC04
(57)【要約】
本発明は一般に医療装置の分野に関する。特に、本発明は、周囲の組織への熱損傷を最小限に抑えながら高電流密度の高周波エネルギーを提供するための導電性で低プロフィールの切断面を含む電気外科用チップに関する。例えば、本発明の電気外科用チップは、非導電性ベース構成要素の遠位開口部の周りにスパッタコーティングされた導電性材料のリングと、非導電性ベース構成要素の長手方向軸に沿ってスパッタコーティングされた導電性材料のストリップとを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性ベース構成要素を備え、該非導電性ベース構成要素は、長手方向軸と当該非導電性ベース構成要素を通るルーメンとを画定し、
前記ルーメンの遠位開口部の周りにおいて前記非導電性ベース構成要素の外面に配置された導電性材料を備え、
前記長手方向軸に沿って前記非導電性ベース構成要素の外面に配置された導電性材料を備え、
前記遠位開口部の周りに配置された導電性材料は、前記非導電性ベース構成要素に結合された導電性材料の第1の層を含むとともに、前記長手方向軸に沿って配置された導電性材料は、前記非導電性ベース構成要素に結合された導電性材料の第2の層を含む、
医療装置。
【請求項2】
導電性材料の前記第1の層と前記第2の層のうちの1つ以上が前記非導電性ベース構成要素にスパッタコーティングされる、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記長手方向軸に沿って前記非導電性ベース構成要素の外面に形成されたチャネルをさらに備え、導電性材料の前記第2の層が前記チャネルを通って延びる、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項4】
導電性材料の前記第1の層と前記第2の層がチタンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項5】
前記遠位開口部の周りに配置された導電性材料は、導電性材料の前記第1の層に結合された導電性材料の第3の層をさらに含み、前記長手方向軸に沿って配置された導電性材料は、導電性材料の前記第2の層と結合された導電性材料の第4の層を含み、導電性材料の前記第3の層と前記第4の層は、導電性材料の前記第1の層と前記第2の層のそれぞれにスパッタコーティングされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項6】
導電性材料の前記第3の層と前記第4の層は、ニオブを含む、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記遠位開口部の周りに配置された導電性材料は、導電性材料の前記第3の層に結合された導電性材料の第5の層をさらに含むとともに、前記長手方向軸に沿って配置された導電性材料は、導電性材料の前記第4の層に結合された導電性材料の第6の層を含む、請求項5又は6に記載の医療装置。
【請求項8】
導電性材料の前記第5の層が金を含むとともに、導電性材料の前記第6の層がニッケル-銅合金を含む、請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
導電性材料の前記第5の層が導電性材料の前記第3の層にろう付けされるとともに、導電性材料の前記第6の層が導電性材料の前記第4の層にスパッタコーティングされる、請求項7又は8に記載の医療装置。
【請求項10】
導電性材料の前記第6の層にはんだ付けされた、導電性ワイヤの遠位部分をさらに備える、請求項7~9のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項11】
電気外科用シースの遠位端に取り付けられた非導電性ベース構成要素を備え、前記非導電性ベース構成要素は、当該非導電性ベース構成要素の遠位開口部の周りに塗布された導電性材料と、当該非導電性ベース構成要素の長手方向軸に沿って塗布された導電性材料のストリップとを含み、
前記電気外科用シースのルーメン内に配置可能であり、かつ、前記非導電性ベース構成要素を介して延び得るアクセスカニューレを備える、
システム。
【請求項12】
前記導電性材料及び導電性材料の前記ストリップのうちの1つ以上が、スパッタコーティングを介して塗布される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記長手方向軸に沿って前記非導電性ベース構成要素の外面に形成されたチャネルをさらに備え、導電性材料の前記ストリップが前記チャネルを通って延びる、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記チャネルが前記電気外科用シースの遠位部分に配置される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記チャネル内に配置される導電性ワイヤの遠位部分をさらに備える、請求項13又は14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に医療装置の分野に関する。特に本発明は、周囲の組織への熱損傷を最小限に抑えながら高電流密度の高周波エネルギーを提供するための導電性で低プロフィールの切断面を含む電気外科用チップに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの超音波内視鏡(EUS)ガイダンス治療は、組織貫通針を使用して対象の解剖学的構造の(複数の)組織層に穿刺路(例えば瘻孔)を形成することと、対象の解剖学的構造内にガイドワイヤの遠位端を配置するために組織貫通針を通して当該ガイドワイヤを前進させることと、次いで、穿刺管を拡張するためにガイドワイヤに被さった円形の電気外科用チップを有する医療装置を前進させることとに連関する。最小限の熱損傷(例えば、炭化、燃焼、凝固など)で(複数の)組織層を効果的に拡張するために、電気外科用チップは、低表面積プロファイルを通じて十分な電流密度の高周波エネルギーを供給しなければならない。これらの設計基準のために、従来の電気外科用チップは高価で製造が難しい傾向にあった。
【0003】
これらの考慮事項を念頭に置いて、本発明の装置、システム、及び方法によって、様々な有利な医学的成果が実現され得る。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、本発明は、非導電性ベース構成要素を備え、該非導電性ベース構成要素は、長手方向軸と、該非導電性ベース構成要素を通るルーメンとを画定する医療装置に関する。導電性材料は、ルーメンの遠位開口部の周りにおける非導電性ベース構成要素の外面に配置され得る。非導電性ベース構成要素の外面に、長手方向軸に沿って導電性材料を配置し得る。遠位開口部の周りに配置された導電性材料は、非導電性ベース構成要素に結合された導電性材料の第1の層を含み得る。長手方向軸に沿って配置された導電性材料は、非導電性ベース構成要素に結合された導電性材料の第2の層を含み得る。導電性材料の第1の層と第2の層とは、非導電性ベース構成要素にスパッタコーティングされ得る。
【0005】
記載された実施形態及び他の実施形態において、導電性材料の第1の層及び第2の層のうちの1つ以上は、非導電性ベース構成要素にスパッタコーティングされ得る。非導電性ベース構成要素の外面内に、長手方向軸に沿ってチャネルを形成し得る。導電性材料の第2の層は、チャネルを通って延び得る。導電性材料の第1の層と第2の層は、チタンを含み得る。遠位開口部の周りに配置された導電性材料は、導電性材料の第1の層に結合された導電性材料の第3の層をさらに含み得るとともに、長手方向軸に沿って配置された導電性材料は、導電性材料の第2の層に結合された導電性材料の第4の層を含み得る。導電性材料の第3及び第4の層は、導電性材料のそれぞれの第1の層と第2の層にスパッタコーティングされ得る。導電性材料の第3及び第4の層は、ニオブを含み得る。遠位開口部の周りに配置された導電性材料は、導電性材料の第3の層に結合された導電性材料の第5の層をさらに含み得る。長手方向軸に沿って配置された導電性材料は、導電性材料の第4の層に結合された導電性材料の第6の層を含み得る。導電性材料の第5の層は、金を含み得る。導電性材料の第6の層は、ニッケル-銅合金を含み得る。導電性材料の第5及び第6の層は、導電性材料のそれぞれの第3~第4の層にスパッタコーティングされ得る。導電性材料の第5の層は、導電性材料の第3の層にろう付けされ得る。導電性材料の第6の層は、導電性材料の第4の層にスパッタコーティングされ得る。導電性ワイヤの遠位部分は、導電性材料の第6の層にはんだ付けし得る。
【0006】
別の態様において、本発明は、電気外科用シースの遠位端に取り付けられた非導電性ベース構成要素を備えるシステムに関する。非導電性ベース構成要素は、非導電性ベース構成要素の遠位開口部の周りに塗布される導電性材料と、非導電性ベース構成要素の長手方向軸に沿って塗布される導電性材料のストリップとを含み得る。アクセスカニューレが、電気外科用シースのルーメン内に配置可能であり得るとともに、非導電性ベース構成要素を通して延び得る。
【0007】
記載された他の実施形態において、1つ以上の導電性材料及び導電性材料のストリップは、スパッタコーティングを介して塗布され得る。非導電性ベース構成要素の外面内に、長手方向軸に沿ってチャネルを形成し得る。導電性材料のストリップがチャネルを通って延び得る。チャネルは、電気外科用シースの遠位部分内に配置され得る。導電性ワイヤの遠位部分は、チャネル内に配置され得る。導電性ワイヤの遠位部分は、はんだを使用することによりチャネルに結合し得る。導電性ワイヤは、電気外科用シースに沿って延び得るとともに、導電性ワイヤの近位端は、電気外科用発電機に接続可能であり得る。ガイドワイヤがアクセスカニューレのルーメンを通って延び得る。
【0008】
さらに別の態様において、本発明は、非導電性ベース構成要素を備え、該非導電性ベース構成要素は、長手方向軸と、該非導電性ベース構成要素を通るルーメンとを規定する医療装置に関する。導電性材料の第1の層が、螺旋状のパターンで非導電性ベース構成要素の外面の周りに配置され得る。導電性材料の第2の層は、螺旋状のパターンで非導電性ベース構成要素の外面の周りに配置され得る。導電性材料の第1の層と第2の層は、互いに電気的に絶縁され得る。
【0009】
記載された実施形態及び他の実施形態において、導電性材料の第1の層と第2の層は同じであり得る。導電性材料の第1の層と第2の層は異なり得る。導電性材料の第1の層と第2の層は、非導電性ベース構成要素にスパッタコーティングされ得る。
【0010】
本発明の非限定的な実施形態は、概略的であり、縮尺通りに描かれることを意図されていない添付の図を参照して例として説明されている。図では、図示されている各同一又はほぼ同一の構成要素は、通常、単一の数字で表されている。明確にするために、すべての図にすべての構成要素がラベル付けされているわけではなく、また当業者が開示を理解できるようにするために図示が必要でない場合、各実施形態のすべての構成要素が示されているわけでもない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本発明の一実施形態による、電気外科用チップの斜視図。
図1B】本発明の一実施形態による、導電性材料の様々な層の断面図を提供する。
図2】本発明の一実施形態による、電気外科用チップの斜視図。
図3A】本発明の一実施形態による、物理蒸着用の固定具内に収容された電気外科用チップの斜視図。
図3B】本発明の一実施形態による、物理蒸着用の固定具内に収容された電気外科用チップの斜視図。
図4】本発明の一実施形態による、物理蒸着チャンバ内に配置された固定具(図3A~3B)の概略図。
図5A】本発明の実施形態による、代替の電気外科用チップ構成の斜視図。
図5B】本発明の実施形態による、代替の電気外科用チップ構成の斜視図。
図6】本発明の一実施形態による、電気外科システムの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態に限定されない。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、添付の特許請求の範囲を逸脱して限定することを意図するものではない。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての専門用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0013】
本発明の実施形態は、物理蒸着(PVD)、無電解めっき、電解めっき又はろう付けを使用して非導電性セラミックベースにコーティングされた(複数の)導電性金属の1つ以上の層を備えた電気外科用外科用チップを特に参照して説明されるが、開示される装置及び方法は、医療装置又は電気外科装置に限定されず、様々な導電性材料の1つ以上の層にコーティングされた様々な非導電性装置を含み得る。
【0014】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形をも含むことを意図している。本明細書で使用される場合、「備える/からなる」及び/又は「備えている/からなる」又は「含む」及び/又は「含んでいる」という用語は、記載された特徴、領域、ステップ要素及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。
【0015】
本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、装置を患者に導入するときに医療専門家から最も遠い端を指し、「近位」という用語は、装置を患者に導入するときに医療専門家に最も近い端を指す。
【0016】
様々な実施形態において、本発明は、一般に、制御された場所及び/又はパターンで非導電性(例えば、セラミック)のベース上に正確に塗布/蒸着された(複数の)導電性材料の単層又は複数層を備え、表面積が小さい医療装置(例えば、電気外科用チップ)に関する。(複数の)導電性材料の層は、高電流密度の高周波(RF)エネルギーを提供して、周囲の組織への付随的な熱損傷を最小化又は防止し得る。導電性材料の(複数の)層に隣接する医療装置の構成要素は、患者への危害を防止するため、及び/又は医療装置自体への熱的損傷を防止するために、電気的及び熱的に絶縁性であり得る。
【0017】
図1Aを参照すると、一実施形態において、本発明の医療装置100(例えば、電気外科用チップ)は、非導電性ベース構成要素110を含み得る。該非導電性ベース構成要素110は、円錐形又はテーパ状の遠位部分118(例えば、一定に又は変化して遠位から近位方向へ延びる、増加するテーパ又は角度付の表面)と、(例えば、概ね一定の外寸を有する)円筒形の近位部分120とからなる。ルーメン112は、非導電性ベース構成要素110の長手方向軸に沿って延び得る。円筒形の近位部分120の外寸は、テーパ付きの遠位部分118の最大外寸法より小さくてもよい。溝又はチャネル116が、近位部分120の長手方向軸に沿って非導電性ベース構成要素110の外面に(例えば、それに沿って延びる)形成され得る。加えて、チャネル116は、非導電性ベース構成要素110の遠位部分118の近位端に(例えば、それに沿って延びる)形成され得る。様々な実施形態において、非導電性ベース構成要素110は、セラミック、硬質プラスチックなどを含むがこれらに限定されない様々な絶縁材料を含み得る。導電性材料のリング122(例えば、円形リング、トレースなど)が、ルーメン112の遠位開口部114の周りの非導電性ベース構成要素110の外面に配置され得る。導電性材料のストリップ124(例えば、長手方向ストリップ、トレースなど)が、非導電性ベース構成要素110の長手方向軸に沿って、遠位部分118及び近位部分120の外面上に配置され得る。ストリップ124の遠位端は、リング122の一部と交差するか、重なり合うか、或いは接触して、非導電性ベース構成要素110の遠位部分118及び近位部分120の外面に又は外面に沿って、導電性材料の連続層(例えば、シングル/単一導電層)を提供し得る。様々な実施形態において、導電性材料のストリップ124の一部は、チャネル116内に配置され得る(例えば、チャネルを通って延び得る)。
【0018】
一実施形態において、導電性材料のリング122は、非導電性ベース構成要素110に結合された、導電性材料の第1の層を含み得るとともに、導電性材料のストリップ124は、非導電性ベース構成要素110に結合された、導電性材料の第2の層を含み得る。導電性材料の第1の層と第2の層は、同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。様々な実施形態において、導電性材料の第1の層と第2の層は、非導電性ベース構成要素110(例えば、セラミック)との強い原子結合(例えば、固着)を形成/作成する利点を提供する金属(例えば、チタン)を含み得る。様々な実施形態において、導電性材料の第1及び/又は第2の層は、物理蒸着(例えば、スパッタコーティング、熱蒸着、アーク溶射など)、無電解めっき、電解めっき又はろう付け、又はその他のコーティング塗布を使用することにより、非導電性ベース構成要素110に塗布又は蒸着され得る。
【0019】
一実施形態において、導電性材料のリング122は、導電性材料の第1の層に結合された導電性材料の第3の層を含み得るとともに、導電性材料のストリップ124は、導電性材料の第2の層に結合された導電性材料の第4の層を含み得る。導電性材料の第3、第4の層は、同一の又は異なる材料(例えば、互いに異なる材料、及び/又は、第1の層と第2の層とは異なる材料)であり得る。様々な実施形態において、導電性材料の第3及び第4の層は、導電性材料のそれぞれの第1の層と第2の層との強い原子結合(例えば、はんだ付け性)を形成/生成する利点を提供する金属(例えば、ニオブ)を含み得る。様々な実施形態において、導電性材料の第3及び第4の層は、物理蒸着(例えば、スパッタコーティング、熱蒸着、アーク溶射など)、無電解めっき、電解めっき又はろう付け、又は他のコーティング塗布を使用して、非導電性ベース構成要素110に塗布又は蒸着され得る。
【0020】
一実施形態において、導電性材料のリング122は、導電性材料の第3の層に結合された導電性材料の第5の層を含み得るとともに、導電性材料のストリップ124は、導電性材料の第4の層に結合された導電性材料の第6の層を含み得る。導電性材料の第5及び第6の層は、同一の又は異なる材料(例えば、互いに異なる材料、及び/又は、第1、第2、第3、及び第4の層とは異なる材料)であり得る。様々な実施形態において、導電性材料の第5の層は、導電性材料の第3の層との強い原子結合を形成/生成する高導電性金属(例えば、金)を含み得る。様々な実施形態において、導電性材料の第6の層は、導電性材料の第4の層と強い原子結合を形成/生成するとともに、はんだの層(後述)と強い原子結合を形成し得る導電性金属(例えば、ニッケル-銅合金)を含み得る。様々な実施形態において、導電性材料の第5及び第6の層は、物理蒸着(例えば、スパッタコーティング、熱蒸着、アーク溶射など)、無電解めっき、電解めっき、又はろう付け、又は他のコーティング塗布を使用することにより、非導電性ベース構成要素110に塗布又は蒸着され得る。一実施形態において、リング122を構成する導電性材料の層(例えば、第1、第3、及び第5の層)と、ストリップ124を構成する導電性材料の層(例えば、第2、第4、及び第6の層)は、導電材料の連続層を形成するために、様々な異なるパターン、層、及び/又は構成で互いに交差(例えば、重複、接触、当接など)し得る(図1B)。代替的に、導電性材料の第5の層は、(例えば、物理蒸着を使用するのではなく)非導電性ベース構成要素にろう付け又は溶接される(図2)、適合性のあるフィラー材料123(例えば、金、銀、スズなど)を含み得るとともに、導電性材料の第6の層は、物理蒸着(例えば、スパッタコーティング、熱蒸着、アーク溶射など)、無電解めっき、電解めっき、又はろう付け、又は他のコーティング塗布を使用することにより、非導電性ベース構成要素110に塗布又は蒸着され得る。様々な実施形態において、導電性材料のろう付け又は溶接された層は、特定の用途のために設計された形状(例えば、隆起した、拡大された、又はより厚い切断面など)を備えた切断面を提供し得る。
【0021】
様々な実施形態において、導電性材料のリング122は、医療装置100の患者接触部分(例えば、切断面)であり得るとともに、導電性材料のストリップ124は、医療装置の非患者接触部分であり得る。一実施形態において、導電性ワイヤ(図示せず)の遠位部分が溝116内に配置される。該遠位部分は、導電性材料の第6層と、溝116との間に配置された導電性ワイヤとの上にある(例えば、被さった)、溝116内に形成されたはんだの層によって、導電性材料の第6層に取り付けられ得る。導電性ワイヤの近位端は、以下で説明するように、電気外科用発電機に電気的に接続され得る。
【0022】
様々な実施形態において、ルーメン112の内壁は、ルーメン112と、該ルーメン112を通って延びる任意の医療装置(例えば、カニューレ、ガイドワイヤなど)とを導電性リング122及び/又はストリップ124から熱的及び電気的に絶縁するために、導電材料で被覆されない場合がある。様々な実施形態において、導電性リング122とストリップ124の低プロフィール/低表面積、並びに、非導電性ベース構成要素110の周囲表面(例えば、遠位部分118、近位部分120、及びルーメン112)は、周囲の組織への付随的な熱損傷を最小限に抑えながら、様々な軟組織壁(胃、十二指腸、胆嚢、膵臓、肝臓など)を効率的に切断/貫通するための十分なRFエネルギーを伝導し得る。リング122は、組織が最初にリング122と接触して組織を貫通するためにRFエネルギーにさらされるように、遠位部分118の最遠位部分に配置され得る。
【0023】
様々な実施形態において、導電性材料の(複数の)層は、不活性プラズマ原子を使用してカソードから金属原子を変位する視線PVDプロセスを使用することにより、非導電性ベース構成要素110に塗布/蒸着され得る。図3A図3Bを参照すると、一実施形態において、本発明の非導電性ベース構成要素110は、リング122とストリップ124が適用されるべき表面を除いて、非導電性ベース構成要素110の外面全体をマスキングする固定具130内に配置され得る。プラグすなわちブランク132は、ルーメン112を霧化金属との接触/コーティングから遮蔽するために、非導電性ベース構成要素110の遠位開口部114内に配置され得る。代替的に、非導電性ベース構成要素110は、リング122及びストリップ124を縁取るために、予め形成されたテープ、パターン化コーティング、フォトレジスト、又は他の除去可能なコーティングでマスキングされ得る。
【0024】
図4を参照すると、一実施形態において、固定具130は、固定具130の一方の側が金属ターゲット148a(例えば、スパッタされる導電性材料)の真向かいになるように、スパッタチャンバ140内に配置され得る。スパッタチャンバ140は、アノードとして機能し得る。金属ターゲット148aは、カソードとして機能し得る。スパッタチャンバ140の内面は、電極として機能し得る。不活性ガス146(例えば、アルゴン)をスパッタチャンバ140にポンプで送り込み、プラズマ状態にエネルギーを与え、電界を印加して、カソード/金属ターゲット148aに衝突させ得る。プラズマ原子が金属ターゲット148aに接触すると、金属原子は、金属ターゲット148aから変位し、固定具130の表面に向けられ得る。次いで、スパッタされた金属148bの薄層(例えば、約50ミクロン)が、その中に配置された非導電性ベース構成要素110のマスクされていない/露出された部分を含む固定具130の表面上に形成され得る。様々な実施形態において、固定具130は、非導電性ベース構成要素の他のマスクされていない表面を金属ターゲット148aに露出させるために、スパッタチャンバ140内で回転し得る。該工程が繰り返される。さらに、金属ターゲット148aは、上記のように、非導電性ベース構成要素110のそれぞれの部分(例えば、リング122及びストリップ124)に金属の様々な層を塗布/蒸着するために、異なる金属ターゲットと置き換えられ得る。
【0025】
図6を参照すると、一実施形態において、本発明のシステム200は、非導電性電気外科用シース126の遠位端に取り付けられた医療装置100の非導電性ベース構成要素110を含み得る。様々な実施形態において、非導電性ベース構成要素110の近位部分(図示せず)は、チャネル116(図示せず)と該チャネルに配置される導電性ワイヤの遠位部分(図示せず)とが熱的及び電気的に絶縁されるように、電気外科用シース126の遠位部分内に受け入れられ/配置され得る。導電性ワイヤは、当該導電性ワイヤの近位端を電気外科用発電機に接続するために、電気外科用シース126に沿って(例えば、電気外科用シースの側壁内に埋め込まれて)延び得る。アクセスカニューレ129が、非導電性ベース構成要素110のルーメン(図示せず)を通って延び得る。
【0026】
様々な利点が、本発明の装置、システム、及び方法によって実現され得る。例えば、PVDを使用して電気外科装置の外面に塗布/蒸着された(複数の)導電性材料の開示された(複数の)層は、より微細な表面特徴(例えば、より低い表面積、より低プロフィールなど)を提供するために高温でのより広い処理条件を可能にし得る。それによって、製造コストを削減し、製造を簡素化し、付随する熱損傷を最小限に抑え、患者の安全を最大化させる。開示されたPVDプロセスは、新しい医療装置に適用され得る。及び/又は、既存の医療装置の製造又は修正のコストを低減し得る。例えば、金の両極トレースを非導電性チップの周りに螺旋状に印刷する(Gold Probe(商標) Boston Scientific Corp.、マールボロ、マサチューセッツ州、図5A)、或いは、鋼線をセラミックチップの周りに形成する(Hot Axios(商標) Boston Scientific Corp.、マールボロ、マサチューセッツ州、図5B)といった、従来の電気外科用チップの製造に関わる手作業で高価なプロセスは、PVDプロセスを使用することにより、両極又は単極導電層を塗布/蒸着するように修正し得る。様々な実施形態において、より厚い導電層が必要とされ得る医療用途のために、(複数の)導電性材料の追加の層が、無電解めっき、電解めっき、及び/又はろう付けを使用することにより、PVD層に適用され得る。
【0027】
様々な実施形態において、上述した導電性材料の様々な層(例えば、チタン、ニオブ、金、ニッケル-銅合金)を非導電性ベース構成要素に塗布/蒸着し得る順序は、非導電性ベース(例えば、セラミック)への接着特性、はんだ付け性(例えば、高導電性の外層/上層を接着性の内/下層に固着/結合する能力)、及び/又は導電性(例えば、外部の/組織への接触層)といった、それぞれの特性に基づき得る。しかしながら、本発明は、これらの材料/金属、そのような材料の層の数、及び/又はそれらの蒸着の順序又はパターンに決して限定されないことを理解されたい。非限定的な例として、チタン、ニオブ、金、モリブデン、窒化チタン、タンタル、タングステン、プラチナ、パラジウム、イリジウム、スズ、ニッケル、銅、バナジウム、銀、亜鉛、又はその他の生体適合性金属、並びにそのような材料の合金、酸化物、及び窒化物を含む様々な導電性材料は、様々な順序/層、パターン、及び/又は厚さで、開示された医療装置100に塗布/蒸着され得る。
【0028】
様々な追加の実施形態において、非導電性ベース構成要素(例えば、リング122及び/又はストリップ124)に適用される導電性材料の層の数は、上で説明した第1から第6の層に限定されるのではなく、1つの層、2つの層、又は任意の数の追加層を含み得る。
【0029】
様々な追加の実施形態において、リング122を構成する導電性材料の層(例えば、第1、第3、及び第5の層)と、ストリップ124を構成する導電性材料の層(例えば、第2、第4、及び第6の層)とは、導電性材料の連続層を形成するように、様々な異なるパターン、層、及び/又は構成で互いに交差し得る(例えば、重なり合う、接触し合う、コンタクトし合う)。例えば、第2の層の一部は導電性材料の第1の層の一部と部分的に重なり得る。導電性材料の第3の層の一部は導電性材料の第2の層の一部と部分的に重なり得る。導電性材料の第4の層の一部は導電性材料の第3の層の一部と部分的に重なり得る。導電性材料の第5の層の一部は導電性材料の第4の層の一部と部分的に重なり得る。導電性材料の第6の層の一部は導電性材料の第5層の一部と部分的に重なり得る。
【0030】
本明細書に開示及び特許請求されるすべての装置及び/又は方法は、本発明に照らして、過度の実験なしに作成及び実行することができる。本発明の装置及び方法は、好ましい実施形態に関して説明されてきたが、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、変形例を装置及び/又は方法に、並びに本明細書に記載した方法のステップ又はステップのシーケンスに適用可能であることは当業者には明らかであり得る。当業者に明らかなそのようなすべての同様の代替物及び修正は、添付の特許請求の範囲によって定義される開示の精神、範囲及び概念の範囲内であるとみなされる。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】