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特表2022-542424液体シリコーンゴム組成物から射出成形によりシリコーンゴム製品を製造するのに有用なプロセス及び装置組立体
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  • 特表-液体シリコーンゴム組成物から射出成形によりシリコーンゴム製品を製造するのに有用なプロセス及び装置組立体 図1
  • 特表-液体シリコーンゴム組成物から射出成形によりシリコーンゴム製品を製造するのに有用なプロセス及び装置組立体 図2
  • 特表-液体シリコーンゴム組成物から射出成形によりシリコーンゴム製品を製造するのに有用なプロセス及び装置組立体 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(54)【発明の名称】液体シリコーンゴム組成物から射出成形によりシリコーンゴム製品を製造するのに有用なプロセス及び装置組立体
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20220926BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220926BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20220926BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
C08L83/07
C08K3/013
C08L83/05
B29C45/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506294
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 US2020043889
(87)【国際公開番号】W WO2021021817
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/880,321
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519289224
【氏名又は名称】エルケム・シリコーンズ・ユーエスエイ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】ELKEM SILICONES USA CORP.
【住所又は居所原語表記】Two Tower Center Boulevard,Suite 1601,East Brunswick,NJ 08816 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】テッド・ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ニコル・マクマレン
(72)【発明者】
【氏名】トッド・ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】リーアン・ブラウン
【テーマコード(参考)】
4F206
4J002
【Fターム(参考)】
4F206AA33
4F206AP13
4F206AR06
4F206JA07
4F206JF01
4F206JF21
4F206JF23
4F206JF46
4F206JQ88
4F206JQ90
4J002CP04X
4J002CP13W
4J002DJ017
4J002EX036
4J002FD017
4J002FD146
4J002FD14X
4J002GB00
4J002GJ02
4J002GQ00
(57)【要約】
液体シリコーンゴム組成物(以下、LSR)から射出成形によって成形シリコーンゴム製品を製造するのに有用な装置組立体及び方法である。本発明の方法は、LSRから迅速に硬化されたシリコーンゴム製品を製造するための柔軟なプロセスを提供し、LSRの硬化速度及び製造された成形シリコーンゴム材料の物性を大幅に低下させることなく成形キャビティ内で低い硬化温度を使用できるため、感熱基材上又は感熱基材にわたって液体シリコーンゴムのオーバーモールドが可能になる。この装置により、液体シリコーンゴム(LSR)から硬化したシリコーンゴム製品をより速く製造するための柔軟なプロセスを構築することができ、より速いサイクルと精密な投入部及び混合部の使用が可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程を含む、射出成形によってシリコーンゴム製品M1を製造するのに有用な方法:
(a)触媒を含まず、かつ、
・1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
・任意に、1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
・任意に、少なくとも1種の充填剤C、
・任意に、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、及び
・任意に、少なくとも1種の添加剤F
を含む液体シリコーンゴムベース組成物A1をベース供給ラインに供給し、
(b)別の触媒供給ラインに、少なくとも1種の白金系触媒Dを含む触媒マスターバッチC1を供給し、
(c)別の供給ラインに、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eを含む抑制剤マスターバッチE1を供給し、
(d)別の供給ラインに、又は触媒マスターバッチC1若しくは抑制剤マスターバッチE1を含む任意の供給ラインに、少なくとも1種の架橋剤XLを供給し、ここで、前記架橋剤は、直鎖又は環状重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンであり、分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンであり、
(e)任意に、別の添加剤供給ラインに少なくとも1種の添加剤Fを供給し、
(f)前記液体シリコーンゴムベース組成物A1、前記触媒マスターバッチC1、前記架橋剤XL、前記抑制剤マスターバッチE1及び任意に前記添加剤Fを、得られる混合物を射出機のバレルに導く前に混合タンク(18)内に導いて又は前記バレルに直接導いて、次のもの:
(1)1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
(2)任意に、1分子Bあたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
(3)任意に、少なくとも1種の充填剤C、
(4)少なくとも1種の白金系触媒D、
(5)少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、
(6)少なくとも1つの架橋剤XL、ここで、前記架橋剤XLは、直鎖又は環状重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、及び
(7)任意に、少なくとも1種の添加剤F
を含む架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を得、ここで、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3における前記白金系触媒D及び前記ヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eの添加量を、前記白金系触媒Dの白金原子に対するヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eのモル比が0.1~900(0.1:1~900:1)、好ましくは10~900(10:1~900:1)、さらに好ましくは20~250(20:1~250:1)の範囲内になるように制御及び調節し、
(g)前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を、成形プレスに設置される型内に導き、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を好ましくは80℃から220℃までの温度で加熱することによって硬化させて、成形されたシリコーンゴム製品M1を得ること。
【請求項2】
次の工程を含む、請求項1に記載の方法:
(a)触媒を含まず、かつ、
・1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
・任意に、1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
・任意に、少なくとも1種の充填剤C、
・任意に、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、及び
・任意に、少なくとも1種の添加剤F
を含む液体シリコーンゴムベース組成物A1をベース供給ライン(8)に供給し、
(b)別の触媒供給ライン(12)に、少なくとも1種の白金系触媒Dを含む触媒マスターバッチC1を供給し、
(c)別の供給ラインに、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eを含む抑制剤マスターバッチE1を供給し、
(d)別の供給ラインに少なくとも1種の架橋剤XLを供給し、ここで、前記架橋剤XLは、直鎖又は環状重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンであり、分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンであり、
(e)任意に、別の添加剤供給ラインに少なくとも1種の添加剤Fを供給し、
(f)前記液体シリコーンゴムベース組成物A1、前記触媒マスターバッチC1、前記架橋剤XL、前記抑制剤マスターバッチE1及び任意に前記添加剤Fを、得られる混合物を射出機のバレルに導く前に混合タンク(18)内に導いて又は前記バレルに直接導いて、次のもの:
(1)1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
(2)任意に、1分子Bあたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
(3)任意に、少なくとも1種の充填剤C、
(4)少なくとも1種の白金系触媒D、
(5)少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、
(6)少なくとも1種の架橋剤XL、ここで、前記架橋剤XLは、直鎖又は環状重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、又は分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、及び
(7)任意に、少なくとも1種の添加剤F
を含む架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を得、ここで、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3における前記白金系触媒D及び前記ヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eの添加量を、前記白金系触媒Dの白金原子に対するヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eのモル比が0.1~900(0.1:1~900:1)、好ましくは10~900(10:1~900:1)、さらに好ましくは20~250(20:1~250:1)の範囲内になるように制御及び調節し、
(g)前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を、成形プレスに設置される型内に導き、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を好ましくは80℃から220℃までの温度で加熱することによって硬化させて、成形されたシリコーンゴム製品M1を得ること。
【請求項3】
前記架橋剤XLが、式R2HSiO1/2のMHシロキシ単位及び式SiO4/2のQシロキシ単位又は式(Ph)SiO3/2のTPhシロキシ単位のいずれかを含むMHQシリコーン樹脂であり、式中、Hは水素原子であり、Rは1~40の炭素原子の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~20の一価炭化水素基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくは、メチル及びフェニルよりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記架橋剤XLが、
(a)式R2HSiO1/2の少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のMHシロキシ単位及び式(Ph)SiO3/2のTPhシロキシ単位(式中、Phはフェニル基であり、Hは水素原子であり、Rは1~40個の炭素原子の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~20の一価炭化水素基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくはメチル及びフェニルよりなる群から選択される。)を含む少なくとも1種の分岐シリコーン樹脂、及び
(b)1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種の直鎖オルガノポリシロキサンB、及び/又は式R2HSiO1/2の少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のMHシロキ単位と式SiO4/2のQシロキ単位とを含む分岐MHQシリコーン樹脂(式中、Hは水素原子であり、Rは1~40個の炭素原子の一価炭化水素基、好ましくは炭素数1~20の一価炭化水素基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくはメチル及びフェニルよりなる群から選択される。)
を含む混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記架橋剤XLが、式R2HSiO1/2のMHシロキシ単位及び式SiO4/2のQシロキシ単位を含むMHQシリコーン樹脂であり、式中、Hは水素原子であり、Rは1~40の炭素原子の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~20の一価炭化水素基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくは、メチル及びフェニルよりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記架橋剤XLが、SiHとして0.10重量%~2.00重量%のHを有し、かつ、式R2HSiO1/2のMHシロキシ単位と式SiO4/2のQシロキシ単位とを含むシリコーン樹脂であり、前記式中、Hは水素原子であり、Rは1~40の炭素原子の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~20の一価炭化水素基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくは、メチル及びフェニルよりなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記架橋剤XLが次式を有するMHQシリコーン樹脂である、請求項1に記載の方法:
H wz
式中、Qは式SiO4/2を有し、MHは式R2HSiO1/2を有し、ここでHは水素原子であり、Rは1~40個の炭素原子の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~20の一価炭化水素基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンタイル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくはメチル及びフェニルよりなる群から選択され、下付文字w及びzは、それぞれ、0.5~4.0、好ましくは0.6~3.5、より好ましくは0.75~3.0、最も好ましくは1.0~3.0の比を有する。
【請求項8】
前記工程(d)において、前記架橋剤XLの添加量を、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3の重量に基づいて、0.1~5.0重量の範囲に制御及び維持する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記工程(g)において、硬化温度が80~140℃であり、好ましくは90~130℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記工程(g)において、硬化温度が80~140℃であり、好ましくは90~130℃であり、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を基材Pの周囲又は基材Pにわたって硬化させて、前記成形されたシリコーンゴム製品M1を含む複合部品を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記基材Pがプラスチック基材、熱可塑性基材、金属基材、及び繊維基材から選択され、最も好ましくは、基材Pがポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)及びポリカーボネート(PC)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eが1-エチニル-1-シクロヘキサノール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-ブチン-1-オール、3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、2-フェニル-2-プロピン-1-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニルシクロペンタノール、1-フェニル-2-プロピノール、3-メチル-1-ペンテン-4-イン-3-オール及びこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の射出成形によって成形シリコーンゴム製品を製造するのに有用な装置組立体であって、前記装置組立体は、
1)液体を移送し、プラットフォーム(1)又はパレット(1’)を備える投入システム(2)、
2)起立する前記プラットフォーム(1)上又は前記パレット(1’)上に配置され、触媒を含まず、かつ、次のものを含む液体シリコーンゴムベース組成物A1及びA2をそれぞれ含む、第1供給容器(3)及び任意に第2供給容器(4):
・1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
・任意に、1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
・任意に、少なくとも1種の充填剤C、
・任意に、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、及び
・任意に、少なくとも1種の添加剤F、
3)前記液体シリコーンゴムベース組成物A1及びA2の表面に配置され、その大きさ及び形状が前記供給容器(3)及び(4)を密封するように選択され、垂直方向に調節可能な保持具(6)によって保持されるフォロアープレート(5)、
4)前記フォロワープレート(5)に接続され、制御部(20)及び任意に調節部(21)によって操作される駆動部(19)によって駆動して前記液体シリコーンゴムベース組成物A1及び任意に前記シリコーンゴムベース組成物A2を移送するポンプ(7)、
5)前記制御部(20)によって操作される流量制御要素(9)を含む、前記液体シリコーンゴムベース組成物A1を移送するための第1ベース供給ラインホース(8)、
6)任意に、前記制御部(20)によって操作される流量制御要素(11)を含む、前記液体シリコーンゴムベース組成物A2を移送するための第2ベース供給ラインホース(10)、
7)流量制御要素(13)及び任意にセンサ(22)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ライン(12)に連結される、少なくとも1種の白金系触媒Dを含む触媒マスターバッチC1を含む供給容器(30)、
8)流量制御要素(15)及び任意にセンサ(23)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ライン(14)に連結される、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eを含む抑制剤マスターバッチE1を含む供給容器(31)、
9)前記供給容器(30)及び(31)の一方は、直鎖重合体である場合に1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子又は分岐重合体である場合に1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンである少なくとも1種の架橋剤XLをさらに含み、かつ、流量制御要素(17)及び任意にセンサ(24)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ラインホース(16)に連結されており、
10)任意に、流量制御要素(39)及び任意にセンサ(40)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ラインホース(38)に連結される、少なくとも1種の添加剤Fを含む供給容器(37)、
11)任意に、前記液体シリコーンゴムベースA1、前記触媒マスターバッチC1、前記抑制剤マスターバッチE1、前記架橋剤XL、任意に前記液体シリコーンゴムベースA2及び前記添加剤Fが移送及び混合されて、次のものを含む架橋性液体シリコーンゴム組成物A3が得られる混合タンク(18)、好ましくはスタティックミキサー(18’):
(a)1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
(b)任意に、1分子Bあたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
(c)任意に、少なくとも1種の充填剤C、
(d)少なくとも1種の白金系触媒D、
(e)少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、
(f)少なくとも1つの架橋剤XL、ここで、前記架橋剤XLは、直鎖重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、及び
(g)任意に、少なくとも1種の添加剤F、
12)任意に表示部(29)に接続され、前記センサ(21)、(22)、(23)、(24)及び(40)と前記流量制御要素(9)、(13)、(15)、(17)及び(39)とを制御して前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3における前記白金系触媒D及び前記ヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eの添加量を調節し、好ましくは、前記添加量を、白金系触媒Dの白金原子に対するヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eのモル比が0.1~900(0.1:1~900:1)、好ましくは10~900(10:1~900:1)、さらに好ましくは20~250(20:1~250:1)の範囲となるように調節する制御部(20)、
13)射出成形プレス(26)の一部であり、
・前記混合タンク(18)から前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3、又は
・前記架橋性液状シリコーンゴム組成物A3が得られるように、前記液体シリコーンゴムベースA1、前記触媒マスターバッチC1、前記抑制剤マスターバッチE1、前記架橋剤XL、任意に前記液体シリコーンゴムベースA2及び前記添加剤F
が導入されるバレル(25)、及び
14)前記射出成形プレス(26)内に設置され、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3が移送されて、好ましくは80℃~220℃までの温度で加熱することによって硬化し、成形シリコーンゴム製品が得られる型(27)
を備える装置組立体。
【請求項14】
請求項1~12のいずれかに記載の射出成形によって成形シリコーンゴム製品を製造するのに有用な装置組立体であって、前記装置組立体は、
1)液体を移送し、プラットフォーム(1)又はパレット(1’)を備える投入システム(2)、
2)起立する前記プラットフォーム(1)上又は前記パレット(1’)上に配置され、触媒を含まず、かつ、次のものを含む液体シリコーンゴムベース組成物A1及びA2をそれぞれ含む、第1供給容器(3)及び任意に第2供給容器(4):
・1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
・任意に、1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、好ましくは1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
・任意に、少なくとも1種の充填剤C、
・任意に、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、及び
・任意に、少なくとも1種の添加剤F、
3)前記液体シリコーンゴムベース組成物A1及びA2の表面に配置され、その大きさ及び形状が前記供給容器(3)及び(4)を密封するように選択され、垂直方向に調整可能な保持具(6)によって保持されるフォロアープレート(5)、
4)前記フォロワープレート(5)に接続され、制御部(20)及び任意に調節部(21)によって操作される駆動部(19)によって駆動して前記液体シリコーンゴムベース組成物A1及び任意に前記シリコーンゴムベース組成物A2を移送するポンプ(7)、
5)前記制御部(20)によって操作される流量制御要素(9)を含む、前記液体シリコーンゴムベース組成物A1を移送するための第1ベース供給ラインホース(8)、
6)任意に、前記制御部(20)によって操作される流量制御要素(11)を含む、前記液体シリコーンゴムベース組成物A2を移送するための第2ベース供給ラインホース(10)、
(7)流量制御要素(13)及び任意にセンサ(22)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ライン(12)に連結される、少なくとも1種の白金系触媒Dを含む触媒マスターバッチC1を含む供給容器(30)、
8)流量制御要素(15)及び任意にセンサ(23)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ライン(14)に連結される、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eを含む抑制剤マスターバッチE1を含む供給容器(31)、
9)直鎖重合体である場合に1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む又は分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンである少なくとも1種の架橋剤XLをさらに含み、かつ、流量制御要素(17)及び任意にセンサ(24)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ラインホース(16)に連結される供給容器(32)、
10)任意に、流量制御要素(39)及び任意にセンサ(40)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ラインホース(38)に連結される、少なくとも1種の添加剤Fを含む供給容器(37)、
11)任意に、前記液体シリコーンゴムベースA1、前記触媒マスターバッチC1、前記抑制剤マスターバッチE1、前記架橋剤XL、任意に前記液体シリコーンゴムベースA2及び前記添加剤Fが移送及び混合されて、次のものを含む架橋性液体シリコーンゴム組成物A3が得られる混合タンク(18)、好ましくはスタティックミキサー(18’):
(a)1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
(b)任意に、1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
(c)任意に、少なくとも1種の充填剤C、
(d)少なくとも1種の白金系触媒D、
(e)少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、
(f)少なくとも1つの架橋剤XL、ここで、前記架橋剤XLは、直鎖重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子又は分岐重合体である場合にはすくなくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、及び
(g)任意に、少なくとも1種の添加剤F、
12)任意に表示部(29)に接続され、前記センサ(21)、(22)、(23)、(24)及び(40)と前記流量制御要素(9)、(13)、(15)、(17)及び(39)とを制御して前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3における前記白金系触媒D及び前記ヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eの添加量を調節し、好ましくは、前記添加量を、白金系触媒Dの白金原子に対するヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eのモル比が0.1~900(0.1:1~900:1)、最も好ましくは10~900(10:1~900:1)、さらに好ましくは20~250(20:1~250:1)の範囲となるように調節する制御部(20)、
13)射出成形プレス(26)の一部であり、
・前記混合タンク(18)から前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3、又は
・前記架橋性液状シリコーンゴム組成物A3が得られるように、前記液体シリコーンゴムベースA1、前記触媒マスターバッチC1、前記抑制剤マスターバッチE1、前記架橋剤XL、任意に前記液体シリコーンゴムベースA2及び前記添加剤F
が導入されるバレル(25)、及び
14)前記射出成形プレス(26)内に設置され、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3が移送されて、好ましくは80℃~220℃までの温度で加熱することによって硬化し、成形シリコーンゴム製品が得られる型(27)
を備える装置組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体シリコーンゴム組成物(以下、LSR)から射出成形によりシリコーンゴム製品を製造するのに有用な新規な方法及び装置組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
液体シリコーンゴム(「LSR」)組成物を使用してシリコーンゴム製品を形成する液体シリコーンゴム射出成形装置組立体は、ほぼ50年前から存在している。シリコーンゴムの分野では、付加架橋によって反応するLSR組成物が知られている。
【0003】
LSR組成物は、熱硬化性ゴムの一種である。固体シリコーンやエラストマーと比較して、処理加工時の粘度が低いことが特徴である。2成分混合物は、付加プロセスによって架橋が進行する。これは、分解生成物を形成することなく反応が行われることを意味する。このことは、硬化による副生成物がなく、型に付着物が形成する心配がないため、射出成形の分野では重要な利点となる。
【0004】
従来のゴム加工装置と同様に、プラスチック加工機もLSR製品の製造に採用されるようになった。LSR組成物の射出成形は、シリコーンゴム部品の製造業者にとって好ましい選択である場合が多い。その理由は、処理加工が容易で、大量生産が可能で、品質が安定し、生産性が向上するからである。LSRの射出成形は、LSR用に特別に設計された適切な射出成形プレスで実施される。
【0005】
典型的には、2成分の白金触媒付加硬化反応を使用してLSR成形ゴム製品が製造され、その際、第1成分はビニルシロキサン重合体と、処理済み非晶質ヒュームドシリカと、白金触媒との混合物(A成分又はA部)であり、第2成分はビニルシロキサン重合体と、処理済み非晶質ヒュームドシリカと、水素シロキサン架橋重合体と、硬化速度抑制剤との混合物(B成分又はB部)である。LSR組成物は、製造業者から2成分ドラム(20リットル又は200リットル)として出荷されるため、A成分及びB成分の材料の除去は、LSR用に設計された投入部によって実施される。これらの投入部は、「フォロワープレート」と呼ばれるドラムと同じ直径の円形の装置をドラムに押し付け、加えた圧力下で材料を供給ラインホースに送り出すものである。ピストンポンプがコンベア及びポンプとして設置される。上記2種の成分は、導管を通って混合部に送られ、そこで初めて一緒にされる。両ポンプは1:1の混合比を達成するために同期して運転されるように設定されている。さらに均質に混合させるために、射出成形プレスに送られる前に材料成分が通されるスタティックミキサーが下流に設置される。添加剤(顔料、着色剤など)には、別個の投入弁を有する投入システムを使用する。
【0006】
この工程では、A成分とB成分とを混合し、添加剤を添加するための正確な計量が不可欠であるため、投入部及び混合部が重要な工程となる。実際、2種の別個の成分の計量と混合がうまくいかないと、射出成形前に製造される架橋性LSR組成物に存在する水素化シロキサン重合体とシロキサンアルケニル重合体との比率がアンバランスになってしまう。その結果、射出硬化速度が不安定になり、硬化部品の物理的性質が変動することがある。
【0007】
AとBの混合物は、型に射出する前に、LSR装置の移送スクリューでさらに混合される。ヒドロシリル化加硫反応用抑制剤は、LSR組成物に使用される重要な化学物質である。抑制剤を使用しない場合には、室温であっても2成分を混合すると直ちに架橋反応を開始することがあるからである。したがって、抑制剤のレベルは、架橋反応が始まる前に必要な処理時間を与えるのに必要な重要なパラメータである。その後、AとBの混合物は、部品のサイズに応じて特定の時間及び温度で加熱硬化される。完成した硬化物は、ロボット装置などを用いて型から排出され、この工程が繰り返される。
【0008】
従来技術の例としては、米国特許第3,884,866号が挙げられ、この文献には、第1成分として2種類のビニルシロキサン重合体、白金触媒及び前処理を受けたシリカ充填剤を使用し、第2成分として同じビニルシロキサン重合体及び前処理を受けたシリカ充填剤にシリルヒドリド含有オルガノポリシロキサン及び硬化速度抑制剤を加えた2成部LSR工程が開示されている。米国特許第4,162,243号には、in situ処理された非晶質シリカ充填剤を使用した2成分型LSRプロセスが開示されている。米国特許第5,977,220号には、窒素有機陽イオン塩を使用してシリコーン混合物の圧縮永久歪を改善する2成分型LSRプロセスが開示されている。米国特許第6,034,199号には、硬化速度抑制剤が改善された2成分型LSRプロセスが開示されている。米国特許第6,464,923号には、3成分型LSRプロセスが開示されている。第1成分はジオルガノポリシロキサン重合体及び無機充填剤であり、第2成分は液体触媒とジオルガノポリシロキサン重合体との混合物であり、第3成分はオルガノポリシロキサン重合体と混合された水素シロキサンである。また、この特許文献には、無機充填剤としてカーボンブラックを使用することも開示されている。このように3種の成分に分けることで、2成分型LSRプロセスよりも保存安定性が向上する。
【0009】
以上のように、標準的なLSRプロセスには、全ていくつかの問題がある。第1の問題は、2種の別個の成分の計量及び混合がうまくいかないことに関連し、完成品に存在するシリコーン水素架橋剤の量が不均衡になり、注入硬化速度が不安定になり、硬化部品の物性が変動する可能性がある。第2の問題は、2種の別個の混合物を計量・混合装置に送り込むために高価な装置が必要になることである。第3の問題は、数日間の室温での作業寿命を獲得するのに必要な、成分Bに存在する抑制剤の量が大量かつ特定量(非可変量又は設定量)になることである。この抑制剤レベルは、成形品の硬化速度を遅くすることができ、これによって作業寿命を長くすることができる。
【0010】
別のアプローチでは、米国特許第8,063,137号及び米国特許第8,198,357号に、少なくとも1種のビニルシロキサン重合体、少なくとも1種のヒドリド架橋剤、及び任意に少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤を含む液体シリコーンゴム(LSR)ベースを使用して成形シリコーンゴム製品を製造する方法が記載されているが、当該ベース中には触媒が存在しない。その後、この単一のLSRベースを混合装置に供給し、混合装置中に、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用液体抑制剤及び少なくとも1種のビニルシロキサン重合体を含む抑制剤マスターバッチと、少なくとも1種の触媒及び少なくとも1種のビニルシロキサン重合体を含む触媒マスターバッチとを供給する。その後、成形を行うことで、ある程度のサイクルタイムの改善が可能になる。しかしながら、特に低温硬化が必要な場合、例えば80~120℃の温度では、硬化速度を悪化させることなく、射出成形サイクルの生産性を向上させる必要性が依然として存在する。
【0011】
実際に、液体シリコーンゴムの加硫速度は、型の温度、部品の形状厚み(型の加熱面間の間隙及び表面積と体積の関係)、一般的な加硫挙動及び硬化の化学反応という3つの主要因に依存することがよく知られている。サイクル時間は型温度を上昇させることによって減少でき(すなわち生産性が増大する)、コールドランナーは、温度調節器及び硬化の速い材料を使用して40~80℃に設定される。しかしながら、硬化の速い材料を使用することは、液体シリコーンゴム原料の組成を変更することを意味し、射出成形機で既に利用可能な広範囲の射出成形装置について挙動が変動する場合がある。
【0012】
さらに、シリコーンゴム製品の製造の自由度を高めつつ、射出成形サイクルの生産性を向上させることができる装置組立体に対する強い要望がある。
【0013】
さらに、LSR組成物を使用して、熱可塑性プラスチックの対象物又は基材をオーバーモールドすることもできる。しかし、熱可塑性材料などの非シリコーン系基材は、その組成のため、高温(160℃以上など)で変形しやすいものが多い。実際に、熱可塑性プラスチック材料は、固体から液体への転移を示す正確な融点を示さないが、温度が上昇するとゆっくりと軟化する。そこで、表面の軟化(ビカット軟化温度)又は本体の軟化(熱変形(若しくは歪み)温度、HDT)を説明する2種類の技術が導入された。
【0014】
ビカット軟化温度は、特定の荷重(10N又は50N、ASTM D1525-09及びISO 306参照)下で、平先針が試料を1mmの深さまで貫通する温度である。ビカット軟化温度は、材料が高温用途で使用される場合に予想される軟化点を反映する。
【0015】
ASTM D648-07などの荷重たわみ温度法では、高温で所定の荷重に耐える重合体の能力を反映した任意の試験条件のセットを試験片に与えたときに任意の変形が発生するたわみ温度を測定する。
【0016】
ビカット軟化温度(1kg荷重時)が160℃未満であり、LSR組成物の表面架橋により損傷を受ける可能性のある感熱材料の例としては、ポリ塩化ビニル(PVC、92℃)、ポリエチレン(PE、127.3℃)、ポリプロピレン(PP、152.2℃)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS、102.3℃)及びポリカーボネート(PC、156.2℃)が挙げられる。
【0017】
したがって、熱可塑性物などの感熱基材に液体シリコーンゴムをオーバーモールドすることは、品質を損なわずに行うことが困難である。さらに、シリコーンゴム架橋材料は、埃、水、衝撃、熱、電気ショックに対する保護カバーとして機能することができるため、感熱プラスチック材料が広く使用されている移植可能なデバイスに広く利用される可能性がある。LSR組成物を感熱性プラスチック基材にオーバーモールドするという課題を解決することで恩恵を受ける可能性のある他の用途としては、電子機器の医療用カプセル化、オーバーモールドガスケット、外科用ハンドル、医療機器の位置決め用の電波不透過マーカー、ウェアラブル、キーパッド、ガード、電気・熱絶縁などがある。
【0018】
しかし、標準的なLSRの射出成形において、成形温度を下げると液体シリコーンゴムの硬化速度が極端に遅くなり、経済性に影響を与えるため、許容できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第3,884,866号明細書
【特許文献2】米国特許第4,162,243号明細書
【特許文献3】米国特許第5,977,220号明細書
【特許文献4】米国特許第6,034,199号明細書
【特許文献5】米国特許第6,464,923号明細書
【特許文献6】米国特許第8,063,137号明細書
【特許文献7】米国特許第8,198,357号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、LSRの硬化速度及び製造されたシリコーンゴム成形体の物性を低下させることなく、完全自動製造シーケンスを使用して、適宜、型キャビティ内の硬化温度を大幅に低下(160℃未満、140℃未満、120℃未満、110℃未満又は100℃未満)させる、明確に再現性のある製造条件を可能にする、LSR組成物を用いたシリコーンゴム製品を製造する新規の柔軟な方法を提供する要望が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の概要
本発明の目的の一つは、液体シリコーンゴム(LSR)から急速硬化シリコーンゴム製品を製造するための柔軟なプロセスを提供することである。
【0022】
本発明の他の目的は、LSRの硬化速度及び製造されたシリコーンゴム成形材料の物性を大幅に低下させることなく、成形キャビティ内で低い硬化温度(160℃未満、140℃未満、120℃未満、110℃未満又は100℃未満)を使用でき、それによって、熱に影響を受けやすい基材上又は当該基材にわたって液体シリコーンゴムをオーバーモールドすることができる、新規で柔軟なプロセスを提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、より速いサイクルと、正確な投入部及び混合部の使用を可能にし、それによって液体シリコーンゴム(LSR)からより速く硬化シリコーンゴム製品を製造するための柔軟なプロセスを創作できる、射出成形によって成形シリコーンゴム製品を製造するのに有用な装置組立体を提供することである。
【0024】
本発明の性質、目的、及び利点のさらなる理解のために、以下の図面と共に次の詳細な説明を参照されたい。図面において、同様の符号は同様の部材を示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明に係る方法及び射出成形によって成形シリコーンゴム製品を製造するのに有用な装置組立体の概略図であり、抑制剤マスターバッチE1(31)、触媒マスターバッチC1(30)及び架橋剤XL(32)が、触媒を含まない液体シリコーンゴムベースA1(3)から分離されており、射出成形プレスのバレル(25)への導入前に好ましくはスタティックミキサーである混合タンク(18)に供給される。この図では、添加剤の別の供給ライン及び容器の任意の存在は示されていない。
図2図2は、本発明の一実施形態であり、本発明に係る方法によって、射出成形により成形シリコーンゴム製品を製造するのに有用な装置組立体の概略図である。抑制剤マスターバッチE1(31)、触媒マスターバッチC1(30)及び架橋剤XL(32)を、触媒を含まない2種の液体シリコーンゴムベースA1及びA2から分離し、そして射出成形プレスのバレル(25)に導入する前に、好ましくはスタティックミキサー(18)である混合タンク(18)に供給する。シリコーンゴムベースA1(3)及びA2(4)は、連続プロセスを可能にするために同様の組成を有し、又は最終成形シリコーン製品のショアAデュロメーターの範囲を広くするという観点から大きな柔軟性を与えるために異なる組成を有することができる。この図では、添加剤の別の供給ライン及び容器の任意の存在は示されていない。
図3図3は硬化曲線又はトルク対時間のトルク曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
本発明をさらに説明する前に、本発明は以下に説明する本発明の特定の実施形態に限定されず、特定の実施形態を変形してもよく、その変形例も依然として特許請求の範囲に包含されるものと解すべきである。また、使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、限定を意図しないと解すべきである。その代わりに、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定されることになる。
【0027】
本明細書及び特許請求の範囲において、単数形の「a」、「an」、「the」には、文脈上明らかに異なる指示がない限り、複数形が含まれる。本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、他に定義されない限り、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。
【0028】
このような目的は、とりわけ、次の工程を含む、射出成形によってシリコーンゴム製品M1を製造するのに有用な方法に関する本発明によって達成される:
(a)触媒を含まず、かつ、
・1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
・任意に、1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
・任意に、少なくとも1種の充填剤C、
・任意に、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、及び
・任意に、少なくとも1種の添加剤F
を含む液体シリコーンゴムベース組成物A1をベース供給ラインに供給し、
(b)別の触媒供給ラインに、少なくとも1種の白金系触媒Dを含む触媒マスターバッチC1を供給し、
(c)別の供給ラインに、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eを含む抑制剤マスターバッチE1を供給し、
(d)別の供給ラインに、又は触媒マスターバッチC1若しくは抑制剤マスターバッチE1を含む任意の供給ラインに、少なくとも1種の架橋剤XLを供給し、ここで、前記架橋剤は、直鎖又は環状重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンであり、分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンであり、好ましくは分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンであり、
(e)任意に、別の添加剤供給ラインに少なくとも1種の添加剤Fを供給し、
(f)前記液体シリコーンゴムベース組成物A1、前記触媒マスターバッチC1、前記架橋剤XL、前記抑制剤マスターバッチE1及び任意に前記添加剤Fを、得られる混合物を射出機のバレルに導く前に混合タンク(18)内に導いて又は前記バレルに直接導いて、次のもの:
(1)1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
(2)任意に、1分子Bあたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
(3)任意に、少なくとも1種の充填剤C、
(4)少なくとも1種の白金系触媒D、
(5)少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、
(6)少なくとも1種の架橋剤XL、ここで、前記架橋剤XLは、直鎖又は環状重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、及び
(7)任意に、少なくとも1種の添加剤F
を含む架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を得、ここで、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3における前記白金系触媒D及び前記ヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eの添加量を、前記白金系触媒Dの白金原子に対するヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eのモル比が0.1~900(0.1:1~900:1)、最も好ましくは10~900(10:1~900:1)、さらに好ましくは20~250(20:1~250:1)の範囲内になるように制御及び調節し、
(g)前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を、成形プレスに設置される型内に導き、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を好ましくは80℃から220℃までの温度で加熱することによって硬化させて、成形されたシリコーンゴム製品M1を得ること。
【0029】
本出願人は、この目的を達成するために鋭意検討の結果、予想外に、特に異なる供給ラインを介して抑制剤マスターバッチE1、液体シリコーンゴムベースA1及び触媒マスターバッチC1を供給し、別の供給ライン又は触媒マスターバッチC1若しくは抑制剤マスターバッチE1を含む任意の供給ラインに、架橋剤XLを、
(1)架橋剤XLの添加量を制御し、及び
(2)前記液体シリコーンゴム組成物A3において、射出成形工程の直前に、白金系触媒Dの白金原子に対するヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eのモル比を0.1~900(0.1:1~900:1)、最も好ましくは10~900(10:1~900:1)、さらに好ましくは20~250(20:1~250:1)範囲内に維持する
ように供給することによって製造される、本発明に係る架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を射出成形機で成形することによって、従来技術の米国特許第8,063,137号及び米国特許第8,198,357号に記載の方法と比較して、硬化速度の深刻な喪失なしに、110℃で移動ダイレオメーター(MDR)によって測定したときに90%の硬化が生じる最適硬化時間(Tc90)を劇的に改善することが可能になることを実証した。
【0030】
実際に、110℃での90%硬化時間(Tc90)が30秒を下回り、110℃での10%硬化時間(Tc10)が20秒を下回るという最適な硬化時間が得られるようになり、対象物を型から取り出した後に通常必要となる、加熱炉での数時間にわたる滞留時間を含むことがある後硬化工程が抑制される。
【0031】
硬化速度を大きく損なうことなく硬化(成形)温度を低下させることの利点は、成形品を低温で操作することによる省エネルギー化など、数多くある。
【0032】
本発明の別の利点は、LSR材料の最適な硬化速度を悪化させることなく、低い硬化温度(80℃~120℃)を選択する際の柔軟性であり、それにより感熱材料に対するオーバーモールドを可能にすることである。感熱材料とは、熱接触時に歪みや変形の問題が発生する材料のことである。
【0033】
本発明の方法により、LSR材料の最適な硬化速度を悪化させることなく、80℃~220℃、80℃~160℃、80℃~140℃、80℃~120℃未満、80℃~110℃未満又は80℃~100℃未満の成形温度範囲を効率的に使用することができる。
【0034】
また、標準的な高温でのより迅速な硬化時間によって、標準的な成形品のサイクルタイムを短縮させることができる。
【0035】
好ましい実施形態では、本発明は、次の工程を含む射出成形によってシリコーンゴム製品M1を製造するのに有用な方法に関する:
(a)触媒を含まず、かつ、
・1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
・任意に、1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
・任意に、少なくとも1種の充填剤C、
・任意に、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、及び
・任意に、少なくとも1種の添加剤F
を含む液体シリコーンゴムベース組成物A1をベース供給ライン(8)に供給し、
(b)別の触媒供給ライン(12)に、少なくとも1種の白金系触媒Dを含む触媒マスターバッチC1を供給し、
(c)別の供給ライン(14)に、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eを含む抑制剤マスターバッチE1を供給し、
(d)別の供給ライン(16)に少なくとも1種の架橋剤XLを供給し、ここで、前記架橋剤XLは、直鎖又は環状重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンであり、分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンであり、好ましくは分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンであり、
(e)任意に、別の添加剤供給ライン(38)に少なくとも1種の添加剤Fを供給し、
(f)前記液体シリコーンゴムベース組成物A1、前記触媒マスターバッチC1、前記架橋剤XL、前記抑制剤マスターバッチE1及び任意に前記添加剤Fを、得られる混合物を射出機のバレルに導く前に混合タンク(18)内に導いて又は前記バレルに直接導いて、次のもの:
(1)1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
(2)任意に、1分子Bあたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
(3)任意に、少なくとも1種の充填剤C、
(4)少なくとも1種の白金系触媒D、
(5)少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、
(6)少なくとも1つの架橋剤XL、ここで、前記架橋剤XLは、直鎖又は環状重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、又は分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、及び
(7)任意に、少なくとも1種の添加剤F
を含む架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を得、ここで、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3における前記白金系触媒D及び前記ヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eの添加量を、前記白金系触媒Dの白金原子に対するヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eのモル比が0.1~900(0.1:1~900:1)、最も好ましくは10~900(10:1~900:1)、さらに好ましくは20~250(20:1~250:1)の範囲内になるように制御及び調節し、
(g)前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を、成形プレスに設置される型内に導き、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を好ましくは80℃から220℃までの温度で加熱することによって硬化させて、成形されたシリコーンゴム製品M1を得ること。
【0036】
別の供給ラインで供給される好適な架橋剤XLは、1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む直鎖オルガノポリシロキサン、1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む環状オルガノポリシロキサン重合体、又は1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む分岐オルガノポリシロキサン重合体である。
【0037】
別の好ましい実施形態では、架橋剤は、1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種の直鎖オルガノポリシロキサンと、1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種の分岐オルガノポリシロキサン重合体との混合物である。
【0038】
「分岐オルガノポリシロキサン重合体」とは、その構造内に式SiO4/2のQシロキシ単位又は式RSiO3/2のTシロキシ単位(式中Rは水素原子又は1~40個の炭素原子の一価炭化水素基、好ましくは1~20個の炭素原子の一価炭化水素基を有し、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくは、メチル及びフェニルよりなる群から選択されるものを有するオルガノポリシロキサン重合体を意味する。
【0039】
好ましい実施形態において、架橋剤XLは、1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、かつ、少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含み、その構造内に式SiO4/2のQシロキシ単位又は式RSiO3/2のTシロキシ単位を有するオルガノポリシロキサンを意味する分岐重合体であり、上記式中、Rは水素原子又は炭素数1~40の一価炭化水素基、好ましくは炭素数1~20の一価炭化水素基であり、一価炭化水素基は、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくは、メチル及びフェニルよりなる群から選択される。式R3SiO1/2のMシロキシ単位又は式R2SiO2/2のDシロキシ単位(式中、記号Rは同一のもの又は異なるものであり、水素原子又は1~40個の炭素原子の一価炭化水素基から選択され、好ましくは炭素数1~20の一価炭化水素基から選択され、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくは、メチル及びフェニルよりなる群から選択される)などの他の標準的なシロキシ単位も存在することができる。
【0040】
このような成分は、後述する触媒の存在下で架橋剤XLのケイ素結合水素原子とオルガノポリシロキサンA成分のアルケニル基とが付加反応することによってオルガノポリシロキサンAの架橋剤として作用してネットワーク構造を形成し、それによって組成物を硬化させる。
【0041】
直鎖である場合に1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む適切な架橋剤XLの例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:トリメチルシロキシ末端ブロック化メチル水素ポリシロキサン;トリメチルシロキシ末端ブロック化ジメチルシロキサン-メチル水素シロキサン共重合体;トリメチルシロキシ末端ブロック化メチル水素シロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体;トリメチルシロキシ末端ブロック化ジメチルシロキサン-メチル水素シロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体;ジメチル水素シロキシ末端ブロック化ジメチルポリシロキサン;ジメチル水素シロキシ末端ブロック化メチル水素シロキサン;ジメチル水素シロキシ末端ブロック化ジメチルシロキサン-メチル水素シロキサン共重合体;ジメチル水素ジロキサン末端ブロック化ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体及びジメチル水素シロキシ末端ブロック化メチルフェニルポリシロキサン。
【0042】
粘度は、他の成分との良好な混和性を得るために、典型的には、25℃で0.001~100Pa・s、好ましくは25℃で0.001~1Pa・sである。
【0043】
好ましい実施形態において、1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む架橋剤XLが直鎖状である場合には、架橋剤XLは1分子あたり15mmol/g未満のSiHを含むものから選択される。
【0044】
分岐重合体である場合に1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含む好適な架橋剤XLの例としては、次式(I)の分岐重合体が挙げられる:
(R2HSiO1/2x(R3SiO1/2y(RHSiO22z(R2SiO2/2p(RSiO3/2q(HSiO3/2v(SiO4/2r (I)
式中、
・Hは水素であり、Rは1~40個の炭素原子の一価炭化水素基、好ましくは1~20個の炭素原子の一価炭化水素基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され;最も好ましくはメチル及びフェニルよりなる群より選択され、
・x≧2、y≧0、z≧0、p≧0、v≧0、及びq又はrの少なくとも一方が≧1であり;あるいはx≧2、y≧0、z≧0、p≧0、q≧0;v≧0、r≧1であり;あるいはx≧2、y≧0、r≧1(ただし、r=1、x+y=4の場合)及びz、p、q、v=0である。あるいはx>2、y>0、r>1及びz、p、q、v=0である。
【0045】
分岐重合体である場合に1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含む特定の架橋剤XLとしては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:(H)(CH32SiO1/2シロキシ単位(MH)及びSiO4/2シロキシ単位(Q単位)を含むシリコーン樹脂MHQ、(CH33SiO1/2シロキシ単位(M)、(CH32HSiO1/2シロキシ単位(MH)及びSiO4/2(Q)を含むシリコーン樹脂MMHQ、(CH32HSiO1/2シロキシ単位(MH)、(CH3)HSiO2/2(DH)及びSiO4/2シロキシ単位(Q)を含むシリコーン樹脂MHHQ、ならびに(CH33SiO1/2単位(M単位)、(CH32HSiO1/2(MH)、(CH3)HSiO2/2(DH)及びSiO4/2単位(Q)を含むシリコーン樹脂MMHHQ。
【0046】
好ましい実施形態において、架橋剤XLは、式R2HSiO1/2の少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のMHシロキシ単位及び式SiO4/2のQシロキシ単位を含むMHQシリコーン樹脂であり、式中、Hは水素原子であり、Rは1~40の炭素原子の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~20の一価炭化水素基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくは、メチル及びフェニルよりなる群から選択される。
【0047】
好ましい実施形態では、架橋剤XLは、次式を有するMHQシリコーン樹脂である:
H wz
式中、Qは式SiO4/2を有し、MHは式R2HSiO1/2を有し、ここでHは水素原子であり、Rは1~40個の炭素原子の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~20の一価炭化水素基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンタイル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくはメチル及びフェニルよりなる群から選択され、下付文字w及びzは、それぞれ、0.5~4.0、好ましくは0.6~3.5、より好ましくは0.75~3.0、最も好ましくは1.0~3.0の比を有する。
【0048】
別の好ましい実施形態では、架橋剤XLは、次式を有するMHQシリコーン樹脂である:
(MH wzj
式中、Qは式SiO4/2を有し、MHは式R2HSiO1/2を有し、ここでHは水素原子であり、Rは1~40個の炭素原子の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~20の一価炭化水素基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンタイル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくはメチル及びフェニルよりなる群から選択され、下付文字w及びzは、0.5~4.0、好ましくは0.6~3.5、より好ましくは0.75~3.0、最も好ましくは1.0~3.0の比を有し、下付き文字jは、約2.0~約100、好ましくは約2.0~約30、より好ましくは約2.0~約10、最も好ましくは約3.0~約5.0の範囲である。
【0049】
別の好ましい実施形態では、架橋剤XLは、SiHとして0.10重量%~2.00重量%のHを有し、かつ、式R2HSiO1/2のMHシロキシ単位と式SiO4/2のQシロキシ単位とを含むシリコーン樹脂であり、上記式中、Hは水素原子であり、Rは1~40の炭素原子の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~20の一価炭化水素基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくは、メチル及びフェニルよりなる群から選択される。
【0050】
好適な市販のMHQシリコーン樹脂の例は、Siltech社が販売するSilmer(登録商標)HQ20(比M/Qは2:1、SiHとしてのHの重量%は0.65%)及びHQ203(比M/Qは1.2:1、SiHとしてのHの重量%は0.12%)、Gelest社が販売するシリコーン樹脂HQM(登録商標)-105及びHQM-107である。
【0051】
最も好ましいMHQシリコーン樹脂は、式R2HSiO1/2及びSiO4/2(式中、Hは水素原子であり、RはSiHとして1.10~1.30重量%のHを有するメチルである。)のシロキシ単位を含むMHQシリコーン樹脂である。
【0052】
別の好ましい実施形態では、本発明に係る架橋剤は、次の群及びそれらの対応する混合物から選択される:
・XL1=ポリフェニル(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサンヒドリド末端、Gelest社製、参照番号HDP-111、粘度50~80mPa・s、全SiH(mmol/g)=5.2;式(MH2+n(TPhnのシリコーン樹脂(ここで、M=R2HSiO1/2シロキシ単位及びTPh=PhSiO3/2であり、式中、Hは水素原子であり、Rはメチル及びPhはフェニルである);
【化1】
XL1
・XL2:両分子末端がジメチル水素シロキシ基で部分的にキャップされた、ジメチルシロキサンとメチル水素シロキサンとの共重合体(粘度は18~26mPa・s;全SiH(mmol/g)=7.2(直鎖架橋剤);
・XL3:R2HSiO1/2及び式SiO4/2のQシロキシ単位のMHQシリコーン樹脂(式中、Hは水素原子であり、Rはメチルであり、全SiH(mmol/g)=7.3である);ミリケン社製、参照番号SiVance MQH-8MQヒドリド樹脂;
・XL4:式MHQの分岐シリコーン樹脂(ここで、MH=R2HSiO1/2であり、Qは式SiO4/2のシロキシ単位であり、式中、Hは水素原子であり、Rはメチルであり、全SiH(mmol/g)=8.8である);
・XL5:式MHQの分岐シリコーン樹脂(ここで、MH=R2HSiO1/2であり、Qは式SiO4/2のシロキシ単位であり、式中、Hは水素原子であり、Rはメチルであり、全SiH(mmol/g)=9.7である)(ミリケン社製の参照番号SiVance MQH-9ヒドリド樹脂);
・XL6:式(MH3(TPh)の分岐シリコーン樹脂(ここで、M=R2HSiO1/2シロキシ単位であり、TPh=PhSiO3/2であり、式中、Hは水素原子であり、Rはメチルであり、Phはフェニルである)、Gelest社製、参照番号SIP6826、フェニルトリス(ジメチルヒドロシロキシ)シラン、合計SiH(mmol/g)=5.2;
【化2】
XL6
・XL7:式MHQの分岐シリコーン樹脂(ここで、MH=R2HSiO1/2であり、Qは式SiO4/2のシロキシ単位であり、式中、Hは水素原子であり、Rはメチルである)、Gelest社製、参照番号SIT7278.0、全SiH(mmol/g)=6.7:
【化3】
XL7
【0053】
別の好ましい実施形態では、本発明に係る架橋剤XLは、次のものを含む混合物である:
(a)式R2HSiO1/2の少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のMHシロキシ単位及び式(Ph)SiO3/2のTPhシロキシ単位(式中、Phはフェニル基であり、Hは水素原子であり、Rは1~40個の炭素原子の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~20の一価炭化水素基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくはメチル及びフェニルよりなる群から選択される。)を含む少なくとも1種の分岐シリコーン樹脂、及び
(b)1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種の直鎖オルガノポリシロキサンB、及び/又は式R2HSiO1/2の少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のMHシロキシ単位と式SiO4/2のQシロキシ単位とを含む分岐MHQシリコーン樹脂(式中、Hは水素原子であり、Rは1~40個の炭素原子の一価炭化水素基、好ましくは炭素数1~20の一価炭化水素基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、フェニル、ベンジル及びメシチルよりなる群から選択され、最も好ましくはメチル及びフェニルよりなる群から選択される。)。
【0054】
別の好ましい実施形態では、工程(d)において、架橋剤XLの添加量は、架橋性液体シリコーンゴム組成物A3の重量に基づいて、0.1~5.0重量%、好ましくは0.1~3.5重量%の範囲に制御及び維持される。架橋剤XLは、組成物を硬化させるのに十分な前記量で、好ましくは、アルケニル含有オルガノポリシロキサンA中のアルケニル基あたり約1.0~約10個のケイ素結合水素原子を与える量で使用される。
【0055】
別の好ましい実施形態では、工程(g)において、硬化温度は80~140℃であり、好ましくは90~130℃である。
【0056】
別の好ましい実施形態では、工程(g)において、硬化温度は80~140℃であり、好ましくは90~130℃であり、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を基材Pの周囲又は基材Pにわたって硬化させて、前記成形シリコーンゴム製品M1を含む複合部品を形成する。
【0057】
基材Pは、硬質であってもよいし、可撓性であってもよい。好ましい実施形態では、基材Pは、プラスチック基材、熱可塑性基材、金属基材、及び繊維基材から選択される。
【0058】
プラスチック基材及び熱可塑性基材(有機樹脂も含む)の例としては、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリフェニレン/スチレンブレンド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、スチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、フッ素樹脂、液晶樹脂及び非樹脂含有ポリエーテルイミドが挙げられる。
【0059】
好ましい実施形態では、基材Pは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)及びポリカーボネート(PC)である。
【0060】
金属基材の例としては、銅、アルクラッドアルミニウム、アルマイト、チタン、亜鉛メッキ鋼、冷間圧延鋼、鋳造アルミニウム及び鋳造マグネシウムから選択される金属基材が挙げられる。
【0061】
このような複合部品としては、プラスチック基材又は熱可塑性基材及びシリコーンエラストマーのいずれかを一体部品として使用した構造が挙げられる。このような複合部品の例は、自動車用途、医療用途、消費者用途、工業用途、電子用途を含めた様々な産業において見出すことができるが、これらに限定されない。
【0062】
ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子あたり少なくとも2個含むオルガノポリシロキサンA
オルガノポリシロキサンAは、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子あたり少なくとも2個含む液体ポリジオルガノシロキサンである。好適なアルケニル基は、2~10個の炭素原子を含み、好ましい例は、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、及び5-ヘキセニル基である。オルガノポリシロキサンAは、アルケニル基以外のケイ素結合有機基を含む。このようなケイ素結合有機基は、典型的には、非置換又はハロゲン原子等の硬化を妨げない基で置換された、1~10個の炭素原子を含む一価飽和炭化水素基、及び典型的には6~12個の炭素原子を含む一価芳香族炭化水素基から選択される。好ましいケイ素結合有機基は、例えば、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル基;3,3,3-トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基;及びフェニルなどのアリール基である。
【0063】
本発明に係る好適なオルガノポリシロキサンAの例としては、次式(1)の重合体が挙げられる:
【化4】
(1)
式中、
R及びR”は、互いに独立して選択され、典型的には1~10個の炭素原子を含む一価飽和炭化水素基であり、又は典型的には6~12個の炭素原子を含む一価芳香族炭化水素基であり、これらの基は非置換又はハロゲン原子等の硬化反応を妨げない基で置換されている。ケイ素結合有機基の好ましい種類としては、例えば、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル基;3,3,3-トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基;フェニルなどのアリール基が挙げられる。
R’は、それぞれ2~14個の炭素原子を含むアルケニル基であり、好ましくは前記アルケニル基はビニル、アリル、ヘキセニル、デセニル及びテトラデセニルよりなる群から選択され、最も好ましくは前記アルケニル基はビニル基であり、最も好ましくはR’はビニル基であり、nは重合度を表し、25℃で少なくとも100mPa・sの粘度を達成するのに十分なものとすべきである。重合度の上限は特に制限されず、典型的には、本発明のLSR組成物の加工性によってのみ制限される。
【0064】
本明細書で検討する全ての粘度は、回転式レオメーターAnton-Paar M302を使用して、25℃でそれ自体公知の方法で測定される動粘度の大きさに相当する。流体製品に関して、本明細書で検討する粘度は、「ニュートン」粘度として知られる25℃での動粘度、すなわち、測定される粘度が速度勾配に依存しないように十分に低いせん断速度勾配でそれ自体公知の方法で測定された動粘度である。
【0065】
使用できるオルガノポリシロキサンAの他の例としては次のものが挙げられる。好適なオルガノポリシロキサンAの他の例としては、トリメチルシロキシ末端ブロック化ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン共重合体;トリメチルシロキシ末端ブロック化メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体;トリメチルシロキシ末端ブロック化ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体;ジメチルビニルシロキシ末端ブロック化ジメチルポリシロキサン;ジメチルシロキシ末端ブロック化メチルビニルポリシロキサン;ジメチルビニルシロキシ末端ブロック化メチルビニルフェニルシロキサン;ジメチルビニルシロキシ末端ブロック化ジメチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体;ジメチルビニルシロキシ末端ブロック化ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体;ジメチルビニルシロキシ末端ブロック化ジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサン共重合体;及び上記オルガノポリシロキサンの少なくとも1種を含む混合物が挙げられる。
【0066】
好ましい実施形態では、オルガノポリシロキサンAは、次のものから選択される:ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチル-3,3,3-トリフルオロプロピルシロキサン、ジメチルビニルシロキサン-3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサン共重合体、及びジメチルビニルシロキサン/メチルフェニルシロキサン共重合体。
【0067】
1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンB
オルガノポリシロキサンBは、存在してもよい任意成分であり、少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含有する。このような成分は、3個のケイ素結合水素原子を含む場合には、オルガノポリシロキサンA用の架橋剤として作用することができる。オルガノポリシロキサンBの分子構造は特に制限されず、直鎖、分岐含有重合体又は環状であることができる。この成分の分子量は特に制限されないが、粘度は、他の成分との良好な混和性を得るために、典型的には25℃で0.001~100Pa・s、好ましくは25℃で0.001~1Pa・sである。
【0068】
好適なオルガノポリシロキサンBの例としては、トリメチルシロキシ末端ブロック化メチル水素ポリシロキサン;トリメチルシロキシ末端ブロック化ジメチルシロキサン-メチル水素シロキサン共重合体;トリメチルシロキシ末端ブロック化メチル水素シロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体;トリメチルシロキシ末端ブロック化ジメチルシロキサン-メチル水素シロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体;ジメチル水素シロキシ末端ブロック化ジメチルポリシロキサン;ジメチル水素シロキシ末端ブロック化メチル水素ポリシロキサン;ジメチル水素シロキシ末端ブロック化ジメチルシロキサン-メチル水素シロキサン共重合体;ジメチル水素シロキシ末端ブロック化メチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体;ジメチル水素シルキシ末端ブロック化メチルフェニルポリシロキサン、(H)(CH32SiO1/2単位(MH単位)及びSiO4/2単位(Q単位)を含むシリコーン樹脂MHQ、ならびに(CH33SiO1/2単位(M単位)、(CH32HSiO1/2単位(MH単位)及びSiO4/2単位を含むシリコーン樹脂MMHQが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
好ましい実施形態において、架橋性液体シリコーンゴム組成物A3の成分の量は、比RHalk=nH/tAlkの値が1.1~3.5となるように選択され、ここで、nH=前記液体シリコーンゴム組成物A3のケイ素原子に直接結合した水素原子のモル数であり、tAlk=前記液体シリコーンゴム組成物A3のケイ素原子に直接結合したアルケニル基のモル数である。
【0070】
充填剤C
高レベルの物性を達成するために、微粉砕シリカなどの補強充填剤及び他の補強充填剤は、硬化性組成物の処理中に「クレーピング」又は「クレープ硬化」と呼ばれる現象を防ぐために、1種以上の公知の充填剤処理剤で処理されることが多い。
【0071】
典型的には、充填剤を、例えば脂肪酸若しくはステアリン酸などの脂肪酸エステル、又は有機シラン、ポリジオルガノシロキサン若しくは有機シラザンのヘキサアルキルジシラザン又は短鎖シロキサンジオールで表面処理して充填剤を疎水性にするため、取り扱いが容易になり、他の成分との均一な混合物が得られる。
【0072】
コロイダルシリカは、典型的には1グラムあたり少なくとも50m2という比較的高い表面積を有するため、特に好ましい。コロイダルシリカは、ヒュームドシリカとして、又は表面処理されていてもよい沈殿シリカとして提供できる。表面処理の方法の一つでは、ヒュームドシリカ又は沈殿シリカを、熱及び圧力下で環状オルガノポリシロキサンに曝露する。充填剤を処理する追加の方法は、シリカをアミン化合物の存在下でシロキサン類又はシラン類に暴露するものである。
【0073】
また、シリカ充填剤の他の表面処理方法として、メチルシラン又はシラザンの表面処理剤が使用される。メチルシラン又はシラザンで表面処理されたヒュームドシリカ又は沈殿シリカ充填剤は、ポンプ操作可能なシリコーン化合物を生成する特性を示すが、未硬化液状前駆体シリコーン組成物の低い粘度を過度に上昇させることはない。硬化後、シラザンで処理されたシリカは、硬化エラストマーに対して、改善された引裂強度を付与する。米国特許第3,365,743号及び同第3,847,848号には、このような方法が記載されている。
【0074】
より好ましいシリカ充填剤は、ブルナウアー・エメット・テラー(BET)法に従って測定した表面積が1グラム当たり約50m2~約600m2、最も好ましくは1グラム当たり約100m2~約400m2である、その場で形成されたフュームドシリカである。その場で処理されたヒュームドシリカは、ヒュームドシリカの表面のシラノールが、ミキサー内で重合体と化合する間に、アルキル、アリール、又はアルケニルペンダント基を含むケイ素原子でキャップされる場合に生じる。このプロセスは、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジビニルジシラザン、又はトリメチルシラノール及びジメチルビニルシラノールなどの当該技術分野で知られている好適なシラノールキャッピング剤を利用して、充填剤を処理することができる。
【0075】
本発明の硬化性LSR組成物に使用される微粉砕シリカ又は他の補強充填剤の量は、少なくとも部分的には、硬化エラストマーに望まれる物性によって決定される。本発明の硬化性LSR組成物は、典型的には、オルガノポリシロキサンA100部に対して5~100部、典型的には10~60部の補強充填剤を含む。
【0076】
好適な充填剤の別の例は、高比表面積、高空隙率、低密度、低誘電率及び優れた断熱性を有するナノ構造体である疎水性シリカエアロゲルである。シリカエアロゲルは、多孔質構造を得るように超臨界乾燥法又は常圧乾燥法で合成される。このものは、現在広く市販されている。
【0077】
疎水性シリカエアロゲルは、500~1500m2/g、あるいは500~1200m2/gの範囲の表面積を特徴とし、いずれの場合もBET法によって決定される。疎水性シリカエアロゲルは、さらに、80%以上、あるいは90%以上の気孔率を特徴とすることができる。疎水性シリカエアロゲルは、レーザー光散乱法によって測定されるときに、5~1000μm、あるいは5~100μm、あるいは5~25μmの範囲の平均粒子径を有することができる。疎水性シリカエアロゲルの一例は、トリメチルシリル化エアロゲルである。疎水性シリカエアロゲルは、硬化性液体シリコーンゴム組成物中に、硬化性液体シリコーンゴムの全重量に対して、1~30重量%の量で存在することができる。
【0078】
白金系触媒D
好適な触媒の例としては、米国特許第3,715,334号に示されるカールシュテッド触媒などのヒドロシリル化触媒又は当該技術分野において知られている他の白金が挙げられ、また、マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒、例えば米国特許第5,009,957号に記載されるような当該技術分野において知られているものも挙げられる。触媒は、任意に、不活性担体又は活性担体と組み合わされてもよい。使用可能な好ましい触媒の例としては、クロロ白金酸、クロロ白金酸のアルコール溶液、白金とオレフィンとの錯体、白金と1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの錯体(カールシュテッド触媒として知られている)及び白金が担持された粉末などの白金型触媒が挙げられる。白金触媒は、文献に十分に記載されている。特に、白金と有機物との錯体としては、米国特許第3,159,601号、同第3,159,602号及び同第3,220,972号ならびに欧州特許第057459号、同188,978号及び同190,530号に記載された白金と有機生成物との錯体、ならびに米国特許第3,419,593号、同3,715,334号、同3,377,432号、同3,814,730号、及び同3,775,452号に記載されている白金とビニル化オルガノポリシロキサンとの錯体が挙げられる。
【0079】
ヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E
ヒドロシリル化反応用抑制剤は、硬化反応を遅らせるように設計されており、硬化速度制御剤としても知られている。硬化速度制御剤は当該技術分野でよく知られており、当該材料の例が米国特許に記載されている。米国特許第3,923,705号には、ビニルを含む環状シロキサンを使用することが言及されている。米国特許3,445,420号には、アセチレン性アルコールを使用することが記載されている。米国特許3,188,299号には、複素環式アミンの有効性が示されている。米国特許第4,256,870号には、硬化を制御するために使用されるアルキルマレイン酸塩が記載されている。米国特許第3,989,667に記載されているように、オレフィン性シロキサンも使用することができる。ビニル基を含むポリジオルガノシロキサンも使用されており、この技術は米国特許第3,498,945号、同4,256,870号、及び同4,347,346号に記載されている。この組成物のための好ましい抑制剤は、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン;3-メチル-1-ブチン-3-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-ブチン-1-オール、3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、2-フェニル-2-プロピン-1-オール、3、5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニルシクロペンタノール、1-フェニル-2-プロピノール、3-メチル-1-ペンテン-4-イン-3-オール、1-エチニル-1-シクロヘキサノール(ECH)及びこれらの混合物であり、最も好まくは、1-エチニル-1-シクロヘキサノール(ECH)である。
【0080】
さらに好適な抑制剤の種類としては、ヒドラジン、トリアゾール、ホスフィン、メルカプタン、有機窒素化合物、アセチレン性アルコール、シリル化アセチレン性アルコール、マレエート、フマレート、エチレン性又は芳香族不飽和アミド、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン性シロキサン、不飽和炭化水素モノエステル及びジエステル、共役エン-イン、ヒドロペルオキシド、ニトリル及びジアジリジンが挙げられる。
【0081】
本発明の好ましい実施形態では、ヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eは、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-ブチン-1-オール、3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、2-フェニル-2-プロピン-1-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニルシクロペンタノール、1-フェニル-2-プロピノール、3-メチル-1-ペンテン-4-イン-3-オール及びこれらの混合物よりなる群から選択される。
【0082】
例えば混合タンク18内における架橋性液体シリコーンゴム組成物A3の作業時間又は「ポットライフ」を長くするために、ヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eの量を供給ラインホース(12)を介して正確に調節して、所望の「ポットライフ」に到達させる。シリコーンゴムベース組成物A1及びA2中に存在する場合には、添加された触媒抑制剤の濃度は非常に低く保たれ、その濃度は、使用される特定の抑制剤、及びオルガノ水素ポリシロキサンの性質によって大きく変動することになる。
【0083】
添加剤F
本発明に有用な代表的な添加剤としては、添加剤カラーマスターバッチ、紫外線安定剤、湿潤剤、圧縮永久歪み添加剤、可塑剤、自己融着剤、抗菌剤、熱安定剤、難燃剤、接着促進剤、導電性充填剤、熱伝導性充填剤、非導電性充填剤、潤滑剤、帯電防止剤、低圧縮永久歪み添加剤、デュロメーター調節剤、低摩擦係数添加剤(桐油など)、耐油性添加剤、クレープ防止硬化用添加剤、離型剤、可塑剤、増粘剤又は粘度増加添加剤、鎖延長剤、発泡剤及びこれらの組合せが挙げられる。
【0084】
添加剤が液状でない場合には、ポリジメチルシロキサン及び/又はオルガノポリシロキサンAなどのシリコーン希釈剤と組み合わせて、例えば混合タンク18内で供給ラインホース(38)を介して、シリコーンゴムベース組成物A1及びA2に直接添加できるようにしてもよいし、架橋性液体シリコーンゴム組成物A3中に添加できるようにしてもよい。
【0085】
本発明では、シリコーンエラストマーに適用可能であるが、ただしヒドロシリル化触媒による付加反応を阻害しない任意の顔料及び染料を使用することができる。本発明の好ましい実施形態では、顔料及び染料は、顔料をポリジオルガノシロキサンに分散させてなる顔料マスターバッチの形態で使用される。添加剤の例としては、カーボンブラック、酸化鉄、二酸化チタン、酸化クロム、酸化ビスマスバナジウム、及びそれらの混合物又は誘導体などの顔料が挙げられる。「顔料」とは、着色された、黒色の、白色の又は蛍光の粒子状有機又は無機固体であって、通常、それらが導入されるビヒクル又は基材に不溶であり、かつ、本質的に物理的及び化学的に影響を受けないものを意味する。顔料は、光の選択的吸収及び/又は散乱によって外観を変化させる。顔料は、概して、着色プロセスを通じて結晶又は粒子構造を保持する。また、バット染料、反応性染料、酸性染料、クロム染料、分散染料、陽イオン性染料、及びそれらの混合物などの着色剤も挙げられる。「染料」とは、光の選択的吸収によって基材に色を付与する、着色された又は蛍光の有機物質のみを意味する。顔料及び染料は当該技術分野でよく知られており、本明細書で詳細に説明する必要はない。
【0086】
導電性充填剤の例としては、黒鉛、カーボンブラック、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどの炭素;及び導電性金属が挙げられるが、これらに限定されない。硬化シリコーンに導電性を生じさせる粒子状及び微粒子状の導電性材料としては、金、銀、ニッケル、銅などの粉末及び微粉末、ならびに前述の金属の少なくとも1種を含む合金が例示される。また、セラミック、ガラス、石英、有機樹脂などの微粉末の表面に金、銀、ニッケル、銅などの金属やそれらの合金を真空蒸着又はめっきして作製された粉末及び微粉末も挙げられる。上記説明に適合する充填剤の例としては、銀、銀被覆アルミニウム、銀被覆銅、銀被覆固体・中空ガラス、銀被覆セラミック、銀被覆ニッケル、ニッケル、ニッケル被覆黒鉛、カーボン等が挙げられる。
【0087】
熱安定剤の例としては、酸化鉄及びカーボンブラック、カルボン酸鉄塩、セリウム水和物、二酸化チタン、ジルコン酸バリウム、オクタン酸セリウム及びオクタン酸ジルコニウム、及びポルフィリンなどが挙げられる。
【0088】
難燃剤としては、例えば、カーボンブラック、水和水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハンタイト/ハイドロマグネサイトブレンド、ホウ酸亜鉛及びウォラストナイトなどのケイ酸塩、白金及び白金化合物ならびにこれらの混合物又は誘導体などを挙げることができる。アルミニウム三水和物(ATH)は、一般的な難燃剤である。このものは180~200℃以上に加熱すると分解し、この温度で熱を吸収して水を放出し、炎を消す。水酸化マグネシウム(MDH)は、ATHよりも熱安定性が高い。吸熱分解は300℃から始まり、そこで水が放出され難燃剤として作用することができる。ハンタイト/ハイドロマグネサイトブレンド(Mg3Ca(CO34/Mg5(CO34(OH)2・4H2O)。ハンタイト及びハイドロマグネサイトは、自然界ではほとんど必ず混合物として存在する。ハイドロマグネサイトは、難燃剤として使用できる程度に高い220℃(大気)~250℃(押出機内での圧力下)で分解を開始する。ハイドロマグネサイトは、ATH及びMDHと同じように水を放出し、熱を吸収する。これに対し、ハンタイトは400℃を超えると分解し、熱は吸収するが二酸化炭素を放出する。
【0089】
非導電性充填剤の例としては、石英粉末、珪藻土、タルク、クレー、アルミナ、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、中空ガラス、特にガラスバブル又はガラスマイクロバブルとしても知られている中空ホウケイ酸ガラス微小球などの中空ガラスビーズ、ガラス繊維、中空樹脂、めっき粉末及びこれらの混合物又は誘導体などが挙げられる。
【0090】
鎖延長剤の例としては、テトラメチルジヒドロゲンジシロキサン又はジメチル水素末端ポリジメチルシロキサンなどの、末端位置に2個のケイ素結合水素原子を含むジシロキサン又は低分子量ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。
【0091】
接着促進剤の例としては、ジルコニウムキレート、ならびに、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、5,6-エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシイソブチルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン及びそれらの混合物などのシランが挙げられる。
【0092】
好適な発泡剤の例としては、当業者によく知られている化学分解又は蒸発によってガスを発生する任意の液体又は固体が挙げられる。好ましくは、発泡剤は化学発泡剤であり、最も好ましくは、発泡剤は、重炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素アルカリ金属及びそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0093】
また、本発明は、請求項1~12のいずれかに記載の射出成形によって成形シリコーンゴム製品を製造するのに有用な装置組立体に関するものでもあり、該装置組立体は、
1)液体を移送し、プラットフォーム(1)又はパレット(1’)を備える投入システム(2)、
2)起立する前記プラットフォーム(1)上又は前記パレット(1’)上に配置され、触媒を含まず、かつ、次のものを含む液体シリコーンゴムベース組成物A1及びA2をそれぞれ含む、第1供給容器(3)及び任意に第2供給容器(4):
・1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
・任意に、1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
・任意に、少なくとも1種の充填剤C、
・任意に、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、及び
・任意に、少なくとも1種の添加剤F、
3)前記液体シリコーンゴムベース組成物A1及びA2の表面に配置され、その大きさ及び形状が前記供給容器(3)及び(4)を密封するように選択され、垂直方向に調節可能な保持具(6)によって保持されるフォロアープレート(5)、
4)前記フォロワープレート(5)に接続され、制御部(20)及び任意に調節部(21)によって操作される駆動部(19)によって駆動して前記液体シリコーンゴムベース組成物A1及び任意に前記シリコーンゴムベース組成物A2を移送するポンプ(7)、
5)前記制御部(20)によって操作される流量制御要素(9)を含む、前記液体シリコーンゴムベース組成物A1を移送するための第1ベース供給ラインホース(8)、
6)任意に、前記制御部(20)によって操作される流量制御要素(11)を含む、前記液体シリコーンゴムベース組成物A2を移送するための第2ベース供給ラインホース(10)、
7)流量制御要素(13)及び任意にセンサ(22)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ライン(12)に連結される、少なくとも1種の白金系触媒Dを含む触媒マスターバッチC1を含む供給容器(30)、
8)流量制御要素(15)及び任意にセンサ(23)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ライン(14)に連結される、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eを含む抑制剤マスターバッチE1を含む供給容器(31)、
9)供給容器(30)及び(31)の一方は、直鎖重合体である場合に1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子又は分岐重合体である場合に1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンである少なくとも1種の架橋剤XLをさらに含み、かつ、流量制御要素(17)及び任意にセンサ(24)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ラインホース(16)に連結されており、
10)任意に、流量制御要素(39)及び任意にセンサ(40)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ラインホース(38)に連結される、少なくとも1種の添加剤Fを含む供給容器(37)、
11)任意に、前記液体シリコーンゴムベースA1、前記触媒マスターバッチC1、前記抑制剤マスターバッチE1、前記架橋剤XL、任意に前記液体シリコーンゴムベースA2及び前記添加剤Fが移送及び混合されて、次のものを含む架橋性液体シリコーンゴム組成物A3が得られる混合タンク(18)、好ましくはスタティックミキサー(18’):
(a)1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
(b)任意に、1分子Bあたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
(c)任意に、少なくとも1種の充填剤C、
(d)少なくとも1種の白金系触媒D、
(e)少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、
(f)少なくとも1つの架橋剤XL、ここで、前記架橋剤XLは、直鎖重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、及び
(g)任意に、少なくとも1種の添加剤F、
12)任意に表示部(29)に接続され、前記センサ(21)、(22)、(23)、(24)及び(40)と前記流量制御要素(9)、(13)、(15)、(17)及び(39)とを制御して前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3における前記白金系触媒D及び前記ヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eの添加量を調節し、好ましくは、前記添加量を、白金系触媒Dの白金原子に対するヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eのモル比が0.1~900(0.1:1~900:1)、最も好ましくは10~900(10:1~900:1)、さらに好ましくは20~250(20:1~250:1)の範囲となるように調節する制御部(20)、
13)射出成形プレス(26)の一部であり、
・前記混合タンク(18)から前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3、又は
・前記架橋性液状シリコーンゴム組成物A3が得られるように、前記液体シリコーンゴムベースA1、前記触媒マスターバッチC1、前記抑制剤マスターバッチE1、前記架橋剤XL、任意に前記液体シリコーンゴムベースA2及び前記添加剤F
が導入されるバレル(25)、及び
14)前記射出成形プレス(26)内に設置され、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3が移送されて、好ましくは80℃~220℃までの温度で加熱することによって硬化し、成形シリコーンゴム製品が得られる型(27)
を備える。
【0094】
好ましい実施形態では、本発明は、上記射出成形によって成形シリコーンゴム製品を製造するのに有用な装置組立体に関するものでもあり、該装置組立体は、
1)液体を移送し、プラットフォーム(1)又はパレット(1’)を備える投入システム(2)、
2)起立する前記プラットフォーム(1)上又は前記パレット(1’)上に配置され、触媒を含まず、かつ、次のものを含む液体シリコーンゴムベース組成物A1及びA2をそれぞれ含む、第1供給容器(3)及び任意に第2供給容器(4):
・1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
・任意に、1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、好ましくは1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
・任意に、少なくとも1種の充填剤C、
・任意に、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、及び
・任意に、少なくとも1種の添加剤F、
3)前記液体シリコーンゴムベース組成物A1及びA2の表面に配置され、その大きさ及び形状が前記供給容器(3)及び(4)を密封するように選択され、垂直方向に調整可能な保持具(6)によって保持されるフォロアープレート(5)、
4)前記フォロワープレート(5)に接続され、制御部(20)及び任意に調節部(21)によって操作される駆動部(19)によって駆動して前記液体シリコーンゴムベース組成物A1及び任意に前記シリコーンゴムベース組成物A2を移送するポンプ(7)、
5)前記制御部(20)によって操作される流量制御要素(9)を含む、前記液体シリコーンゴムベース組成物A1を移送するための第1ベース供給ラインホース(8)、
6)任意に、前記制御部(20)によって操作される流量制御要素(11)を含む、前記液体シリコーンゴムベース組成物A2を移送するための第2ベース供給ラインホース(10)、
7)流量制御要素(13)及び任意にセンサ(22)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ライン(12)に連結される、少なくとも1種の白金系触媒Dを含む触媒マスターバッチC1を含む供給容器(30)、
8)流量制御要素(15)及び任意にセンサ(23)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ライン(14)に連結される、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eを含む抑制剤マスターバッチE1を含む供給容器(31)、
9)直鎖重合体である場合に1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む又は分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンである少なくとも1種の架橋剤XLをさらに含み、かつ、流量制御要素(17)及び任意にセンサ(24)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ラインホース(16)に連結される供給容器(32)、
10)任意に、流量制御要素(39)及び任意にセンサ(40)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ラインホース(38)に連結される、少なくとも1種の添加剤Fを含む供給容器(37)、
11)任意に、前記液体シリコーンゴムベースA1、前記触媒マスターバッチC1、前記抑制剤マスターバッチE1、前記架橋剤XL、任意に前記液体シリコーンゴムベースA2及び前記添加剤Fが移送及び混合されて、次のものを含む架橋性液体シリコーンゴム組成物A3が得られる混合タンク(18)、好ましくはスタティックミキサー(18’):
(a)1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
(b)任意に、1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
(c)任意に、少なくとも1種の充填剤C、
(d)少なくとも1種の白金系触媒D、
(e)少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、
(f)少なくとも1つの架橋剤XL、ここで、前記架橋剤XLは、直鎖重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子又は分岐重合体である場合にはすくなくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、及び
(g)任意に、少なくとも1種の添加剤F、
12)任意に表示部(29)に接続され、前記センサ(21)、(22)、(23)、(24)及び(40)と前記流量制御要素(9)、(13)、(15)、(17)及び(39)とを制御して前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3における前記白金系触媒D及び前記ヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eの添加量を調節し、好ましくは、前記添加量を、白金系触媒Dの白金原子に対するヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eのモル比が0.1~900(0.1:1~900:1)、最も好ましくは10~900(10:1~900:1)、さらに好ましくは20~250(20:1~250:1)の範囲となるように調節する制御部(20)、
13)射出成形プレス(26)の一部であり、
・前記混合タンク(18)から前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3、又は
・前記架橋性液状シリコーンゴム組成物A3が得られるように、前記液体シリコーンゴムベースA1、前記触媒マスターバッチC1、前記抑制剤マスターバッチE1、前記架橋剤XL、任意に前記液体シリコーンゴムベースA2及び前記添加剤F
が導入されるバレル(25)、及び
14)前記射出成形プレス(26)内に設置され、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3が移送されて、好ましくは80℃~220℃までの温度で加熱することによって硬化し、成形シリコーンゴム製品が得られる型(27)
を備える。
【0095】
本発明に係る装置組立体の化学成分は、全て上記の通りである。
【0096】
本発明に係る装置組立体は、本発明に係る方法を効率的に実行することを可能にする。
【0097】
実際に、本発明によれば、装置組立体は、触媒を含まないLSRベース組成物を含む単一の容器を使用し、必要量の触媒、架橋剤及び抑制剤は、制御部(20)によって操作される流量制御要素及び任意のセンサを含む別個の供給ラインを介して、成形前に現場でのみ添加される。これにより、容器の長期保管中の予備硬化に関連する問題が回避される。
【0098】
本発明に係る装置組立体の使用に関連する別の利点は、型射出の直前に、抑制剤マスターバッチE1、架橋剤XL、触媒を含まない液体シリコーンゴムベース、触媒マスターバッチC1及び添加剤Fを、全て単一の制御装置(20)によって操作され、プロセス全体を完全に制御することができる別個の供給ラインホースを介して混合機に供給することが可能になることである。
【0099】
さらに、任意に表示部(29)に接続される前記制御部(20)から、シリコーンゴムベース組成物への架橋剤XL、白金系触媒D及び液体射出成形抑制剤Eの添加量を容易に調節することが可能であり、これにより架橋性液体シリコーンゴム組成物の硬化速度を制御することができる。白金系触媒Dの白金原子に対する射出成形用抑制剤Eのモル比を射出成形の作業範囲に制御することにより、本発明に係る装置組立体は、さらに柔軟性が付与される。このような比率の好ましい作業範囲は、0.1~900(0.1:1~900:1)、10~900(10:1~900:1)、20~250(20:1~250:1)である。
【0100】
好ましい実施形態では、制御部(20)は、成形プロセスの条件、特にセンサ(21)、(22)、(23)、(24)及び(40)と流量制御要素(9)、(13)、(15)、(17)及び(39)との制御を変更できるオペレータが、全ての必要な情報を見ることができるように表示部(29)に接続されている。それに加えて又はその代わりに、制御部は、架橋剤XLの添加及び白金系触媒Dの白金原子に対する射出成形抑制剤Eのモル比に関する予め定められた作業範囲外の逸脱を監視及び特定するように構成されていてもよい。また、制御部は、最適な操作精度を確保するために、異なる供給ラインを通じて搬送される材料の流量を監視し、予め決められた最小流量を維持するようにしてもよい。
【0101】
別の好ましい実施形態では、液体シリコーンゴムベースA2を含む第2供給容器(4)が装置組立体に追加されることで、標準的な2成分LSR工程用に構成された標準的なLSR混合装置を使用することができるようになるため、複雑な投入システムを設定する必要性を回避することができる。供給容器(4)の使用により、連続的な自動製造シーケンスが可能になり、成形シーケンスを停止することなく、空の容器を移動させて新たな充填容器に交換する柔軟性が得られる。
【0102】
さらに、別の好ましい実施形態では、パレット(1’)を使用することで、スタッカ式台車又は同様の装置を使用して容易に移動できるため、装置組立体に対する容器の手間のかかる移送が不要となる。例えば、容器が供給されるパレット(1’)は、装置組立体に直接押し込むことができる。一度の搬入作業で、複数の容器を装置組立体に搬入することができる。別の好ましい実施形態では、パレット(1’)は、クリーンルーム対応であり、好ましくは、プラスチック、鋼、亜鉛メッキ鋼又はステンレス鋼から構成される。これらの材料は、洗浄が容易であるため、クリーンルームに適合する。
【0103】
別の好ましい実施形態では、前記フォロワープレート(5)は、前記制御部(20)によって操作可能な圧力センサに接続された少なくとも1個のエアパージ弁(28)を備える。液体表面にフォロワープレートを配置した後、容器は空気を含有することがあり、液体中に含まれる空気は生産工程に侵入してはならないため、容器から材料を排出開始前に除去しなければならず、その結果測定値が不正確になるからである。
【0104】
別の好ましい実施形態では、前記垂直方向に調節可能な保持装置(6)は、フォロワープレート(5)を下方向に駆動して液状シリコーンゴムベース組成物A1及び任意に液体シリコーンゴムベース組成物A2を変位させるピストンである。
【0105】
別の好ましい実施形態では、前記垂直方向に調節可能な保持装置(6)内にセンサを配置してもよい。このセンサは、容器内の水準を測定し、調節部に接続され、この調節部は同様に容器を空にするために使用されるポンプに接続されている。容器内の水準を測定するセンサを配置して、調節部を介して空にすることを制御することにより、容器内に残る可能性のある残留液体を回避し、それによって容器を完全に空にすることを確保することができる。
【0106】
別の好ましい実施形態では、前記ポンプ(7)は、ディッパーピストンポンプ、ギアポンプ、偏心ネジポンプ、押出ポンプ、ネジ軸ポンプ又はスクープピストンポンプであり、好ましくは、前記ポンプ(7)は、ネジ軸ポンプである。ネジ軸ポンプの重要な利点は、その一定の送出圧力と、任意の時点で維持される正確な混合比を与える一定の送出量である。
【0107】
別の好ましい実施形態では、前記ポンプ(7)はネジ軸ポンプであり、かつ、フォロワープレート(5)に接続され、フォロワープレート(5)は垂直方向に調節可能であり、それぞれの液面上に静止してそれぞれの容器を密封している。ネジ軸ポンプの利点は、その一定の送出圧力及び一定の送出量である。
【0108】
この実施形態の別の態様では、前記ポンプ(7)は、空気圧、油圧又は電気により駆動され、かつ、電気制御部(20)によって操作される押出ポンプである。
【0109】
別の好ましい実施形態では、前記流量制御要素(9)、(11)、(13)、(15)、(17)及び(39)は、流量制御弁である。
【0110】
別の好ましい実施形態では、前記供給容器(3)及び(4)は、500リットルまで、好ましくは250リットルまでの体積を有するドラムである。
【0111】
別の好ましい実施形態では、前記供給容器(30)、(31)及び(32)、並びに任意の容器(37)は、その内容物を混合タンク(18)内に、又は混合タンク(18)が存在しない場合にはバレル(25)内に送り込むエアライン(36)に接続される。
【0112】
別の実施形態では、センサ(21)、(22)、(23)、(24)及び(40)は、体積計、流量計又は差圧式流量センサであってよい流量センサである。様々な流量センサが当該技術分野で知られている。流量センサは、体積計(すなわち、体積流量計)と流量計とに分類される。体積計(すなわち、体積流量計)には、楕円ホイール計、振動ピストン計、又は回転ピストン計などの直接計(すなわち、変位計)と、タービンホイール計、インペラ計、ハイドロメトリックベーン、ウォームホイール計、渦流計、又はスパイラル流量計などの間接計とが含まれる。流量計には、差圧計、回転計、磁気誘導式流量計、超音波流量計などの体積式流量計、並びにコリオリ式質量流量計、熱式質量流量計などの質量式流量計が含まれる。差圧式流量センサは、流量制御弁の前後の圧力を測定し、その圧力差から流量を差し引くものである。
【0113】
別の実施形態では、前記型(27)は、開位置と閉位置との間で移動可能であり、閉位置にあるときに少なくとも1個の型キャビティを形成する、少なくとも2個の対応する部品を備える。
【0114】
別の実施形態では、前記液体シリコーンゴム射出成形装置組立体は、前記型(27)に連結されたコールドランナーシステム(34)をさらに備える。これは、架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を、型(27)の高温のキャビティに注入するまで低温に保つため、潜在的な浪費が低減される。
【0115】
図1には、LSR材料を搬送し、触媒を含まずかつ以下のものを含む液体シリコーンゴムベース組成物A1を含むドラム(3)用のプラットフォーム(1)を備える本発明に係る投入システム(2)が示されている:
・1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
・任意に、1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
・任意に、少なくとも1種の充填剤C、
・任意に、少なくとも1種の液体射出成形抑制剤E、及び
・任意に、少なくとも1種の添加剤F。
【0116】
投入システム(2)、立設プラットフォーム(1)又はパレット(1’)を移動させるための転入装置(33)(図示しない)を設けて、大きな力をかけずに変位させることができる。前記液体シリコーンゴムベース組成物A1の表面には、前記供給容器(3)を密閉するようにそのサイズ及び形状が選択されたフォロアープレート(5)が配置される。このフォロワープレート(5)は、フォロワープレート(5)を上下に移動させることができる垂直方向に調節可能な保持装置(6)によって保持される。この保持装置(6)は、好ましくは、前記フォロワープレート(5)を下方向に駆動して前記液体シリコーンゴムベース組成物A1を変位させるピストンである。フォロワープレート(5)は、様々な直径を有していてもよく、空にされる供給容器(3)に適合される。フォロワープレート(5)が供給容器(3)上に配置されるときに、空気が逃げることができなければならないことが好ましく、これは、前記制御部(20)によって操作可能なエアパージ弁(28)によって確保される。
【0117】
多くの場合、供給容器(3)はドラムである。固定シールが容器を密閉する目的を果たすことができる。20リットル又は200リットルのドラムには、インフレータブルシールを使用することが可能である。これにより、軽微な欠陥のあるドラムを処理加工することが可能となる。フォロワープレート(5)は、軽量構造(例えば、労働安全衛生規定が作業スタッフによる交換を許容するような15kg以下の重量)であってもよい。供給容器(3)の材料は、ディッパーピストンポンプ、ギアポンプ、偏心スクリューポンプ、押出ポンプ、ネジ軸ポンプ、スクープピストンポンプなどの供給ポンプ(7)により圧送される。前記ポンプ(7)は、制御部(20)及び任意に調節部(21)によって操作される駆動部(19)(図示せず)によって駆動できる。このものは、前記制御部(20)によって操作される流量制御要素(9)を備える供給ラインホース(8)を介して、液体シリコーンゴムベース組成物A1を、好ましくはスタティックミキサー(18’)である混合タンク(18)(この図面のために選択された選択肢)又は射出成形プレス(26)(この選択肢は図面に記載されていない)の一部であるバレル(25)に直接移送できる。
【0118】
少なくとも1種の白金系触媒Dを含む触媒マスターバッチC1を含有する供給容器(30)は、流量制御要素(13)及び任意にセンサ(22)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ライン(12)に連結されている。これによって、混合タンク(18)(この図面のために選択された選択肢)に、又はバレル(25)(この選択肢は図示されていない)に直接その内容物を移送することが可能となる。
【0119】
少なくとも1種の液体射出成形抑制剤Eを含む抑制剤マスターバッチE1を含有する供給容器(31)は、流量制御要素(15)及び任意にセンサ(23)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ラインホース(14)に連結されている。これによって、混合タンク(18)(この図面のために選択された選択肢)に、又はバレル(25)(この選択肢は図示されていない)に直接その内容物を移送することが可能になる。混合タンク(18)は、好ましくは、静的混合装置である。
【0120】
少なくとも1種の架橋剤XLを含む供給容器(32)は、流量制御要素(17)及び任意にセンサ(24)であって両方とも前記制御部(20)によって操作されるものを含む供給ライン(16)に連結されている。これによって、混合タンク(18)(この図面のために選択された選択肢)に、又はバレル(25)(この選択肢は図示されていない)に直接その内容物を移送することが可能になる。
【0121】
混合タンク(18)(存在する場合)及びバレル(25)において、つぎのものを含む架橋性液体シリコーンゴム組成物A3が得られる:
(a)1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
(b)任意に、1分子Bあたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
(c)任意に、少なくとも1種の充填剤C、
(d)少なくとも1種の白金系触媒D、
(e)少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、
(f)少なくとも1つの架橋剤XL、ここで、前記架橋剤XLは、直鎖重合体である場合には1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、分岐重合体である場合には1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサンであり、及び
(g)任意に、少なくとも1種の添加剤F。
【0122】
任意に表示部(29)(この図面のための選択肢)に接続された制御部(20)は、前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3中における前記白金系触媒D及び前記液体射出成形抑制剤Eの添加量を調節するように、センサ(21)、(22)、(23)、(24)及び(40)と流量制御要素(9)、(13)、(15)、(17)及び(39)とを操作する。前記添加量は、前記白金系触媒Dの白金原子に対する前記射出成形抑制剤Eのモル比が0.1~900(0.1:1~900:1)の範囲、最も好ましくは10~900(10:1~900:1)の範囲に維持されるように調節される。好ましい実施形態では、工程(d)において、架橋剤XLの添加量は、架橋性液体シリコーンゴム組成物A3の重量に基づいて、0.1~3.5重量%の範囲に制御及び維持される。
【0123】
バレル(25)は、射出成形プレス(26)の一部であり、その中に次のものが導入される:
・前記混合タンク(18)から前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3、又は
・前記架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を得るように、前記液体シリコーンゴムベースA1、前記架橋剤XL、前記触媒マスターバッチC1、ヒドロシリル化加硫反応用抑制剤Eを含む前記抑制剤マスターバッチE1、任意に前記液体シリコーンゴムベースA2及び前記添加剤F。
【0124】
架橋性LSR組成物A3が射出部に入る前に、圧力調節が必要な場合がある。この装置(図面には示されていない)は、圧力を上昇させることができる流体経路の規制を可能にし、これにより適切なショット添加が可能になる。圧力調節装置は調整可能であるが、典型的には、計量されたショットの過圧縮を防止するために、0.7~3.5MPa(100~500psi)の範囲に維持される。
【0125】
添加及び注入中に、早すぎる架橋又は硬化を防ぐために、注入部のバレルを水冷してもよい。これにより、架橋性LSR組成物A3とスクリューとバレルとの間で発生する粘性加熱の影響が制限される。
【0126】
注入時には閉位置にあるがショット添加時には開くバネ付勢又は浮き球のいずれかを有するボール逆止弁などのポジティブ遮断弁(図示せず)又は逆止弁付きのスクリュー先端を使用してもよい。
【0127】
架橋性液体シリコーンゴム組成物A3を型(27)に導入する前の注入及び添加時に早期架橋を防ぎ、部分硬化時の逆流を防止するために水冷された逆止ノズルを使用することが好ましい。ノズル内では、材料は逆止針を駆動するピストンの周囲で分流され、ノズル先端付近の流路に再導入される。また、前記型(27)には、コールドランナーシステム(34)が接続されていてもよい。
【0128】
型(27)への架橋性LSR組成物A3の充填が完了したら、80℃~220℃の範囲の温度で硬化が生じるまで充填圧力を材料上で維持し、必要に応じて、LSR材料の最適な硬化速度を悪化させることなく、80℃~220℃、80℃~160℃、80℃~140℃、80℃~120℃未満、80℃~110℃未満又は80℃~100℃未満の温度範囲に低下させることができる。
【0129】
射出及び充填の後に硬化時間があり、これは部品の形状に依存する。厚い部品については時間が長く、薄い部品について時間が短い。
【0130】
硬化が完了すると、型(27)が開き、部品の脱型及び次のショットへの続行が可能になる。
【0131】
図2を参照すると、別の実施形態である本発明に係る投入システム(2)が示されている。図1との唯一の相違点は、触媒を含まずかつ次のものを含む液体シリコーンゴムベース組成物A2を含む第2供給容器(4)を追加したことである:
・1分子あたりケイ素原子に結合した少なくとも2個のアルケニル基を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
・任意に、1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合水素原子、好ましくは1分子あたり少なくとも3個のケイ素結合水素原子を含む少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
・任意に、少なくとも1種の充填剤C、
・任意に、少なくとも1種のヒドロシリル化加硫反応用抑制剤E、及び
・任意に、少なくとも1種の添加剤F。
【0132】
この第2供給容器(4)は、第1供給容器(3)が空になった直後に使用することができるため、連続プロセスの製造サイクル時間を最適化することが可能になる。又は、例えば、異なるデュロメーター特性(充填剤及び他の成分の異なる含有量)を有する2種類LSRベースを使用できるように、第1供給容器(3)と共に使用することができ、異なるタイプのシリコーンゴム材料の製造に対してさらなる柔軟性が可能になる。
【実施例
【0133】
ASTM-D5289に準拠した移動ダイレオメーター(MDR)で、110℃で5分間にわたり硬化を監視した。約5gの材料を室温で2枚の薄いナイロンシート間に配置し、次に加熱された2つのプラテン間に加えられた振動力によって圧縮した。一方のプラテン又はダイは回転振動するのに対し、他方はトルク変換器に取り付けられている。最初に、未加硫(未硬化)のゴム試料では、移動ダイからのトルクはほとんど又は全く変換器に結合されない。化合物を加圧下で加熱すると粘度が降下し、ローターにかかるトルクが減少する。記録されたトルクの最小値(dN*mで測定)をML(最小モーメント)という。これは、ある温度における未硬化ゴム化合物の剛性の測定値である。ゴムが硬化又は加硫するにつれて、弾性が増す。ゴムは、トルクを変換器に結合させると効果が増す。トルクは、ゴムの加硫又は硬化の程度を示すパラメータである。S字状曲線は、実際の硬化曲線に近似し得る。以下に示すように、黒い曲線(2で示す)は硬化曲線又はトルク対時間のトルク曲線である。トルクは最小値から始まる。トルクは最初にゆっくりと増加し、その後急速に増加する。最後に硬化カーブは水平になり、ほぼ一定になる。図3では、最大トルクを1単位の値に設定している。加硫は最小トルク(正確に0でない場合もある)から最大トルクまで進む。導出統計量のなかには、注目すべき点に到達する様々な時間がある。これらはt2(2%硬化)、t10(10%硬化)などであり、t90(90%硬化)にも通常大きな関心がある。
【0134】
図3において1で示された曲線は、微分曲線、すなわち硬化曲線の傾きである。この微分を使用して、硬化の最大速度とその最大値に達するまでの時間とを求めることができる。これらの統計量は、それぞれPrate及びt@Prateである。t2及びPrateを最も重要な統計量とする考え方もある。
【0135】
例1
成分
対照配合物:エルケム・シリコーンズUSA社が販売する液体シリコーンゴムベース組成物Silbione(登録商標)LSR-4350、成分A及びB(標準的なLSR組成物)。
・R2HSiO1/2及び式SiO4/2のQシロキシ単位のMHQシリコーン樹脂(式中、Hは水素原子であり、Rはメチルである(SiHとしてのHの重量%=1.23%))。
添加されたMHQシリコーン樹脂の量が異なる本発明のプロセスに従って、対照配合物を使用した。比較試験として、MHQシリコーン樹脂を添加しない対照試験を行った。ASTM-D5289に準拠した移動ダイレオメーター(MDR)で、110℃で5分間にわたって硬化を監視した。結果を表1に示す。
【0136】
【表1】
表1:樹脂を添加した場合の特性測定結果
【0137】
比較試験は、139秒のt90(90%硬化)値を示すところ、これは本発明に係る全ての試験よりもはるかに緩やかである。
【0138】
例2
(a)試験した架橋剤
XL1=ポリフェニル(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサンヒドリド末端、Gelest製性、参照番号HDP-111、粘度50~80mPa・s、全SiH(mmol/g)=5.2;式(MH2+n(TPhn(ここで、M=R2SiO1/2シロキシ単位及びTPh=PhSiO3/2であり、式中、Hは水素原子であり、Rはメチルであり、Phはフェニルである)のシリコーン樹脂。
【化5】
XL2:ジメチルシロキサンとメチル水素シロキサンとの共重合体で、両分子末端がジメチル水素シロキシ基で部分的にキャップされているもの(粘度は18~26mPa・s;全SiH(mmol/g)=7.2(直鎖架橋剤))。
XL3:R2HSiO1/2及び式SiO4/2のQシロキシ単位(式中、Hは水素原子であり、Rはメチルであり、全SiH(mmol/g)=7.3(ミリケン社製、参照番号SiVance MQH-8MQヒドリド樹脂))のMHQシリコーン樹脂。
XL4:式MHQの分岐状シリコーン樹脂(ここで、MH=R2HSiO1/2であり、Qは式SiO4/2のシロキシ単位であり、式中、Hは水素原子であり、Rはメチルであり、全SiH(mmol/g)=8.8である)。
XL5:式MHQの分岐シリコーン樹脂(式中、MH=R2HSiO1/2であり、Qは式SiO4/2のシロキシ単位であり、Hは水素原子であり、Rはメチルであり、全SiH(mmol/g)=9.7である(ミリケン社製、参照番号SiVance MQH-9 MQヒドリド樹脂)。
XL6:次式:(MH3(TPh)の分岐シリコーン樹脂(ここで、M=R2HSiO1/2シロキシ単位であり、TPh=PhSiO3/2であり、式中、Hは水素原子であり、Rはメチルであり、Phはフェニルである(Gelest社製、参照番号SIP6826.0、フェニルトリス(ジメチルヒドロシロキシ)シラン、合計SiH(mmol/g)=5.2))。
【化6】
XL6
XL7:式MHQの分岐シリコーン樹脂(ここで、MH=R2HSiO1/2であり、Qは式SiO4/2のシロキシ単位であり、式中、Hは水素原子であり、Rはメチルであり、Gelest社製、参照番号SIT7278.0、全SiH(mmol/g)=6.7)。
【化7】
XL7
XL8:α,ω-ビス(トリメチルシロキシ)ポリメチル水素シロキサン、粘度17~27mPa・s、全SiH(mmol/g)=15.7。
【0139】
液体シリコーンゴムベース組成物Rの組成:
・末端にジメチルビニルシロキシ基が存在するポリジメチルシロキサン(粘度範囲80,000~120,000mPa・s):35.74重量%。
・末端にジメチルビニルシロキシ基が存在するポリジメチルシロキサン(粘度範囲55,000~65,000mPa.s):31.28重量%。
・ジビニルテトラメチルジシラザン及びヘキサメチルジシラザンで表面処理されたフュームドシリカ(現場処理)(25.59重量%)。
・ジビニルテトラメチルジシラザン及びヘキサメチルジシラザン(全体=6.99重量%)。
・可塑剤添加剤(0.40重量%)。
【0140】
試験される配合物を製造するために、別々の供給物を製造し、混合タンクで混ぜ合わせる。
・供給物(1)液体シリコーンゴムベース組成物Rを製造し、これに、
-末端にトリメチルシロキシ基が存在するメチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサン共重合体(約1000mPa・sの粘度)-FLD619;
-末端にジメチルビニルシロキシ基が存在するメチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサン共重合体(粘度範囲350~420mPa.s)-FLD-506
の様々な量を添加する。
・供給物(2)触媒マスターバッチ(エルケム・シリコーンズ社製のLSR SELECT CATA)。
・供給物(3)抑制剤マスターバッチ(エルケム・シリコーンズ社製のLSR SELECT CONTROL)。
・供給物(4)試験した架橋剤XL。
【0141】
全ての成分を混合した後、全てポットライフを手動による「スナップタイム」ポットライフ試験で決定した。この試験は、混合物を完成させたらすぐに開始し、弾性特性が、混合物を監視し、混合物を手作業で撹拌し、その容器からかき持ち上げることによって最初に観察された時点で終了する。弾性特性は、混合物が容器に「元の状態」に戻ったときに観察される。
硬化の評価は、Paar-MC302レオメーターを使用して、温度を40℃で開始し、毎分7℃の速度で上昇させることにより行った。
各配合物の硬化データを、To及びkをパラメータとするロジスティック方程式に適合させた。MDR(移動ダイレオメーター)からのデータの適合に使用したロジスティック関数は、次式1で示される。
G’(T)=ML+(MH-ML/1+e-k(T-To)) (1)
式中:
G’(T)は温度変化に応じた貯蔵弾性率であり、
MLはG’の観察値の最小値であり、
MHはG’の観察値の最大値であり、
kは曲線の最大傾斜に関連する係数であり、
Tは温度独立変数であり、
Toは曲線の垂直中点での温度である。
一次関数は次のとおりである:
dG’/dT=-k(-MH)e-k(T-To)/1+2e-k(T-To)+(e(-k(T-To)2 (2)
T=Toのとき、温度の中間点又は変曲点はToである。指数表現はe0=1となり、次の関数となる:
dG’/dT=k(MH)/4;T=To (3)
T0はロジスティック関数のパラメータである。これは上記のとおりである。これは、曲線の変曲点に相当する横軸の点である。また、これは、最大の硬化速度が達成される点でもある。
【0142】
混合後、これらの配合物について、Paar MC302レオメーターで1%の振動捻れ歪みを使用して試験を行った。プラテンは直径25mmで、ギャップは0.5mmである。正弦波振動周波数は1Hzであった。温度は40℃から始まり、7℃/分で上昇させ、最高温度は140℃であった。各試験は18分間続行した。温度上昇に伴い、18秒間隔でトルクの計測を行った。これらの測定値を、トルクの同相成分と逆相成分とに分解し、最終的にそれぞれ貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”に変換した。
【0143】
RHAlkの値を変化させた配合物の組成(各成分の重量%)及び測定した特性を表2、3及び4にまとめる。
【0144】
【表2】
表2:RHAlk=1.5で測定された特性。
【0145】
式R2HSiO1/2のMHシロキシ単位と式(Ph)SiO3/2のTPhシロキシ単位とを含む分岐シリコーン樹脂である架橋剤XL-1及びXL-6は、低温(T0は85℃未満)で硬化が可能となり、T0が最小値(硬化の最大速度が達成される点)であり、他の架橋剤と比較してポットライフ(それぞれ25及び28分)が改善されることが特筆される。これにより、当該XLを使用する自由度を高めると共に、ポリ塩化ビニル(PVC、92℃)、ポリエチレン(PE、127.3℃)、ポリプロピレン(PP、152.2℃)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS、102.3℃)及びポリカーボネート(PC、156.2℃)といった、ビカット軟化温度を有する感熱材料にわってオーバーモールドする自由度を高めることが可能である。
同じ結果を次の表3及び表4にまとめる。
【0146】
【表3】
表3:RHAlk=2.0で測定された特性。
【0147】
【表4】
表4:RHAlk=2.5で測定された特性。
図1
図2
図3
【国際調査報告】