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特表2022-542428インビトロデバイスのための試薬カートリッジ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(54)【発明の名称】インビトロデバイスのための試薬カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20220926BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G01N35/10 J
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506339
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2020105030
(87)【国際公開番号】W WO2021018111
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/879,990
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512096768
【氏名又は名称】ビージーアイ シェンチェン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】リン,シー-チン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン,ジアン
(72)【発明者】
【氏名】オウヤン,イーウェン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ヤン-ユウ
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058ED19
2G058ED35
(57)【要約】
本実施形態は、試薬カートリッジから微小流体デバイスへの流体の排出及び試薬カートリッジへの試薬の充填のための方法及び装置を含む。試薬カートリッジは、カートリッジ本体と、ピペットアレイと、と備え得る。ピペットアレイは、微小流体カートリッジ又は他のカートリッジの入口部に係り合うピペットチップを有する。ピペットチップは、微小流体デバイスの複数の入口部の位置に対応する。流体は、プランジャの機構によって微小流体デバイスに充填又は微小流体デバイスから排出され得る。あるいは、試薬カートリッジは、流体溜まり部と分注チップとを有するブリスタを備え得る。各分注チップは、ブリスタに流体接続された通路を有する。流体は、分注チップを介して、ブリスタから排出又はブリスタに充填され得る。変形可能なシールは、ブリスタの上に置かれてブリスタ内のある量の流体をシールし、流体を排出するように変位し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ本体と、ピペットアレイと、を備え、
前記ピペットアレイは、微小流体デバイスの複数の入口部に係り合うように構成された複数のピペットチップを有し、
前記ピペットチップは、前記微小流体デバイスの複数の入口部の位置に対応する、
統合型試薬カートリッジ。
【請求項2】
複数の前記ピペットチップから流体を分注するように構成された複数のプランジャを有するプランジャアレイを更に備える、請求項1に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項3】
各プランジャは、各ピペットチップ内の前記流体に係り合い、各ピペットチップからある量の前記流体を排出するか又はある量の前記流体を各ピペットチップに充填するように構成され、
前記統合型試薬カートリッジは、プランジャ体を更に備え、
前記プランジャ体は、複数のプランジャ頭部を接続するように構成された接続体を有し、
前記プランジャ体は、前記ピペットアレイに取り付けられるように構成される、
請求項2に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項4】
前記プランジャアレイは、第1プランジャと、第2プランジャと、を有し、
前記第1プランジャは、前記第2プランジャが静止している間に作動可能である、
請求項2又は3に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項5】
前記ピペットアレイは、ピペットシェル内に配置される、請求項2~4のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項6】
前記ピペットシェルは、前記プランジャを各ピペットチップに取り付けるための保持特徴部であるように構成された1つ以上の突起部及び/又は溝部を有する、請求項5に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項7】
前記ピペットシェルは、1つ以上の溝部を有し、
前記ピペットアレイに取り付けられたプランジャ体は、1つ以上の突起部を有し、
前記プランジャ体は、前記プランジャのアレイを有し、
前記溝部は、前記突起部を受け入れるように構成される、
請求項5又は6に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項8】
前記プランジャは、エラストマのコーティングを有し、
各プランジャは、各ピペットチップとのシールを形成するように構成される、
請求項2~7のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項9】
前記ピペットチップの開口部をシールして、前記ピペットチップ内の各流体をシールするように構成されたシール板を更に備える、請求項1~8のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項10】
前記シール板は、前記ピペットアレイが配置されたピペットシェルに取り付けられるように構成される、請求項9に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項11】
前記ピペットチップのうち1つ以上のピペットチップ内に貯蔵されシールされた1つ以上の流体を更に備える、請求項9又は10に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項12】
前記シール板は、カバー基部に取り付けられた柔軟なシール部材を有し、
前記カバー基部は、前記柔軟なシール部材が前記ピペットチップの先端部に対して押し当てられるように、ピペットシェルに取り外し可能に取り付けられるように構成される、
請求項9~11のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項13】
前記柔軟なシール部材は、エラストマを有する、請求項12に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項14】
前記カバー基部は、熱可塑性材料を有する、請求項12又は13に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項15】
前記ピペットチップは、前記微小流体デバイスの上に配置されるように構成され、
各ピペットチップは、前記微小流体デバイスの入口開口部に係り合うように構成され、
前記入口開口部は、前記微小流体デバイスの各溜まり部に流体接続する、
請求項1~14のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項16】
充填流体溜まり部と、充填流体分注チップと、を更に備え、
前記充填流体溜まり部は、充填流体を受け入れ、前記充填流体を前記充填流体分注チップに移すように構成され、
前記充填流体分注チップは、前記微小流体デバイスの観点において対応するものと整列するように構成される。
請求項1~15のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項17】
複数のピペットチップを有するピペットアレイと、
複数のプランジャを有するプランジャ体と、
複数の前記プランジャを接続するように構成された接続体と、
を備え、
各プランジャは、各ピペットチップ内の流体に係り合い、各ピペットチップからある量の前記流体を排出するか又はある量の前記流体を各ピペットチップに充填するように構成され、
前記プランジャ体は、前記ピペットアレイに取り付けられるように構成される、
統合型試薬カートリッジ。
【請求項18】
各ピペットチップは、第1開口部と、第2開口部と、を有し、
各ピペットチップは、前記第2開口部を介して前記ピペットチップから排出可能又は前記第2開口部を介して前記ピペットチップに充填可能なある量の前記流体を保持するように構成され、
前記プランジャは、前記第1開口部を介して前記流体に係り合う、
請求項17に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項19】
前記ピペットアレイは、ピペットシェル内に配置される、請求項17又は18に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項20】
前記ピペットシェルは、前記プランジャを各ピペットチップと整列させるための保持特徴部であるように構成された1つ以上の突起部及び/又は溝部を有する、請求項19に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項21】
前記ピペットシェルは、1つ以上の溝部を有し、
前記プランジャ体は、1つ以上の突起部を有し、
前記溝部は、前記突起部を受け入れるように構成される、
請求項19又は20に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項22】
前記プランジャは、各ピペットチップ内に収まる大きさである、請求項19~21のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項23】
前記プランジャは、エラストマのコーティングを有し、
各プランジャは、各ピペットチップとのシールを形成するように構成される、
請求項17~22のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項24】
前記ピペットチップの第2開口部のうち1つ以上の第2開口部をシールして、前記ピペットチップ内の各流体をシールするように構成されたシール板を更に備える、請求項18~23のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項25】
前記シール板は、前記ピペットシェルに取り付けられるように構成される、請求項24に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項26】
前記ピペットチップのうち1つ以上のピペットチップ内に貯蔵されシールされた1つ以上の流体を更に備える、請求項24又は25に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項27】
前記シール板は、カバー基部に取り付けられた柔軟なシール部材を有し、
前記カバー基部は、前記柔軟なシール部材が前記ピペットチップの1つ以上の第2開口部に対して押し当てられるように、ピペットシェルに取り外し可能に取り付けられるように構成される、
請求項26に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項28】
前記柔軟なシール部材は、エラストマを有する、請求項27に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項29】
前記カバー基部は、熱可塑性材料を有する、請求項27又は28に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項30】
前記ピペットチップは、微小流体デバイスの上に配置されるように構成され、
各ピペットチップは、前記微小流体デバイスの入口開口部に係り合うように構成され、
前記入口開口部は、前記微小流体デバイスの各溜まり部に流体接続する、
請求項17~29のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項31】
第1プランジャは、第1位置ロックに接続され、
前記第1位置ロックは、前記第1プランジャをユーザの設定した距離だけ移動させ、前記ユーザの設定した距離を超える前記第1プランジャの作動を防止するように構成される、
請求項17~30のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項32】
第1プランジャは、前記第1プランジャをユーザの設定した距離だけ移動させるように構成された充填デッキによって動かされるように構成される、請求項17~31のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項33】
各プランジャは、個々に動かされるように作動可能である、請求項17~32のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項34】
2つ以上の前記プランジャが、連係して動かされるように作動可能である、請求項17~32のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項35】
充填流体溜まり部と、充填流体分注チップと、を更に備え、
前記充填流体溜まり部は、充填流体を受け入れ、前記充填流体を前記充填流体分注チップに移すように構成され、
前記充填流体分注チップは、微小流体デバイスの対応する充填流体入口部と整列するように構成される、
請求項17~34のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項36】
試薬を微小流体カートリッジに移す方法であって、
前記方法は、微小流体デバイスの上に試薬カートリッジを配置することを含み、
前記試薬カートリッジは、複数のピペットチップを有するピペットシェルと、プランジャ体と、を備え、
各ピペットチップは、第1開口部と、第2開口部と、を有し、
前記プランジャ体は、複数のプランジャと、複数の前記プランジャに接続するように構成された接続体と、を有し、
前記プランジャ体は、前記ピペットシェルに取り付けられるように構成され、
前記微小流体デバイスは、前記微小流体デバイスの第1溜まり部に流体接続された第1入口開口部を備え、
前記試薬カートリッジを配置することは、複数の前記ピペットチップのうち第1ピペットチップを前記第1入口開口部と整列させて、前記第1入口開口部が前記第1ピペットチップからの第1流体を受け入れるように構成されるようにすることを含み、
前記方法は、第1の量の前記第1流体が前記第1ピペットチップから前記第1入口開口部を介して前記第1溜まり部に排出されるように、前記第1ピペットチップと関連する第1プランジャを動かすことを含む、
方法。
【請求項37】
前記ピペットシェル内に、ピペットアレイが配置される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
複数の前記ピペットチップは、第2流体を有する第2ピペットチップを更に有し、
前記微小流体デバイスは、第2溜まり部に流体接続された第2入口開口部を更に備え、
前記方法は、
前記第1入口開口部が前記第1ピペットチップからの前記第1流体を受け入れるように整列し、前記第2入口開口部が前記第2ピペットチップからの前記第2流体を受け入れるように整列するように、前記試薬カートリッジを前記微小流体デバイスの上に配置することと、
第2の量の前記第2流体が前記第2ピペットチップから前記第2入口開口部を介して前記微小流体デバイスの第2溜まり部に排出されるように、前記第2ピペットチップと関連する第2プランジャを動かすことと、
を更に含む、
請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1プランジャと前記第2プランジャとは、同時に動かされる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第1プランジャと前記第2プランジャとは、順次動かされる、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の量は、前記第2の量と異なる、請求項38~40のいずれか1つに記載の方法。
【請求項42】
前記第1ピペットチップを配置することは、前記第1ピペットチップを前記第1入口開口部に下げることを含み、
前記第1入口開口部は、前記微小流体デバイスの蓋に配置される、
請求項36~41のいずれか1つに記載の方法。
【請求項43】
前記試薬カートリッジから1つ以上のシールを除去することを更に含み、
前記シールは、前記ピペットチップの第2開口部のうち1つ以上の第2開口部をシールするように構成される、
請求項36~42のいずれか1つに記載の方法。
【請求項44】
1つ以上の前記シールは、前記ピペットシェルに取り付けられるように構成されたシール板を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記シール板は、カバー基部に取り付けられた柔軟なシール部材を有し、
前記カバー基部は、前記柔軟なシール部材が前記ピペットチップの1つ以上の第2開口部に対して押し当てられるように、前記ピペットシェルに取り外し可能に取り付けられるように構成される、
請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第1プランジャを動かすことは、前記第1プランジャに接続された位置ロックを使用して、前記第1プランジャをユーザの設定した距離だけ動かすことを含む、請求項36~45のいずれか1つに記載の方法。
【請求項47】
前記第1プランジャを動かすことは、前記第1プランジャをユーザの設定した距離だけ動かすために充填デッキを使用することを含む、請求項36~46のいずれか1つに記載の方法。
【請求項48】
前記微小流体デバイスは、カートリッジを有する、請求項36~47のいずれか1つに記載の方法。
【請求項49】
充填流体を充填流体溜まり部内に導入することと、
前記充填流体を充填流体分注チップを介して前記微小流体デバイスの対応する充填流体入口部に移すことと、
を更に含み、
前記充填流体分注チップは、前記充填流体溜まり部に接続され、前記充填流体入口部と整列するように配置される、
請求項36~48のいずれか1つに記載の方法。
【請求項50】
試薬を試薬カートリッジに充填する方法であって、
前記方法は、ウェルプレートの上に前記試薬カートリッジを配置することを含み、
前記試薬カートリッジは、ピペットチップのアレイと、プランジャ体と、を備え、
各ピペットチップは、第1開口部と、第2開口部と、を有し、
前記プランジャ体は、複数のプランジャと、複数の前記プランジャを接続するように構成された接続体と、を有し、
前記プランジャ体は、ピペットシェルに取り付けられるように構成され、
前記ウェルプレートは、第1ウェルを備え、
前記試薬カートリッジを配置することは、複数の前記ピペットチップのうち第1ピペットチップを前記第1ウェルに収容された第1流体に浸すことを含み、
前記方法は、第1の量の前記第1流体が前記第1ウェルから前記第1ピペットチップに移されるように、前記第1ピペットチップと関連する第1プランジャを動かすことを含む、
方法。
【請求項51】
前記ピペットチップのアレイは、前記ピペットシェルに接続される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
複数の前記ピペットチップは、第2流体を有する第2ピペットチップを更に有し、
前記ウェルプレートは、第2ウェルを更に備え、
前記方法は、
前記第1ピペットチップが前記第1ウェルからの前記第1流体を受け入れるように整列し、前記第2ピペットチップが前記第2ウェルからの前記第2流体を受け入れるように整列するように、前記ウェルプレートの上に前記試薬カートリッジを配置することと、
第2の量の前記第2流体が前記第2ウェルから前記第2ピペットチップに移されるように、前記第2ピペットチップと関連する第2プランジャを動かすことと、
を更に含む、
請求項50又は51に記載の方法。
【請求項53】
前記第1プランジャと前記第2プランジャとは、同時に動かされる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記第1プランジャと前記第2プランジャとは、順次動かされる、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記第1の量は、前記第2の量と異なる、請求項52~54のいずれか1つに記載の方法。
【請求項56】
前記試薬カートリッジに1つ以上のシールを取り付けることを更に含み、
前記シールは、1つ以上の望ましい量の流体が1つ以上の前記ピペットチップの各々に移された後に、1つ以上の前記ピペットチップの前記第2開口部のうち1つ以上の前記第2開口部をシールするように構成される、
請求項51~55のいずれか1つに記載の方法。
【請求項57】
1つ以上の前記シールは、前記ピペットシェルに取り付けられるように構成されたシール板を有する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記シール板は、カバー基部に取り付けられた柔軟なシール部材を有し、
前記カバー基部は、前記柔軟なシール部材が前記ピペットチップの1つ以上の前記第2開口部に対して押し当てられるように、前記ピペットシェルに取り外し可能に取り付けられるように構成される、
請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記第1プランジャを動かすことは、前記第1プランジャに接続された位置ロックを使用して、前記第1プランジャをユーザの設定した距離だけ動かすことを含む、請求項50~58のいずれか1つに記載の方法。
【請求項60】
前記第1プランジャを動かすことは、前記第1プランジャをユーザの設定した距離だけ動かすために充填デッキを使用することを含む、請求項50~59のいずれか1つに記載の方法。
【請求項61】
前記第1プランジャを動かすことは、前記第1プランジャを手動で動かすことを含み、
前記第1ピペットチップは、望ましい第1の量を測定するための、流体の量を示す1つ以上の印を有する、
請求項50~60のいずれか1つに記載の方法。
【請求項62】
1つ以上のブリスタ及び1つ以上の分注チップを有する基板と、
1つ以上の変形可能なシールと、
を備え、
各ブリスタは、ある量の流体を保持するように構成された流体溜まり部を有し、
各分注チップは、前記ブリスタに流体接続された経路を有し、
前記流体は、前記分注チップを介して前記ブリスタから排出可能又は前記分注チップを介して前記ブリスタに充填可能であり、
1つ以上の前記変形可能なシールは、前記流体溜まり部を覆い、1つ以上の前記ブリスタ内のある量の前記流体をシールする、
統合型試薬カートリッジ。
【請求項63】
前記ブリスタは、前記基板の表面内に中空の空洞部を有する、請求項62に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項64】
1つ以上の前記分注チップの1つ以上の開口部に係り合いシールを形成するように構成された基部を更に備える、請求項62又は63に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項65】
前記基部は、前記分注チップの少なくとも一部を収容するように構成された1つ以上の凹部を有する、請求項64に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項66】
前記基部は、1つ以上の前記凹部内に配置された1つ以上のシーリングパッドを更に有し、
各シーリングパッドは、各分注チップの開口部に係り合いシールするように構成される、
請求項65に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項67】
1つ以上の前記変形可能なシールは、熱可塑性フィルムを有する、請求項62~66のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項68】
1つ以上の前記変形可能なシールは、熱可塑性エラストマフィルムを有する、請求項62~66のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項69】
1つ以上の前記変形可能なシールは、ガス透過性を低減するように構成されたコーティングを有する、請求項62~68のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項70】
1つ以上の前記変形可能なシールは、レーザ溶接又は熱ラミネートによって前記基板に取り付けられている、請求項62~69のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項71】
1つ以上の前記変形可能なシールは、感圧接着材を使用して前記基板に取り付けられている、請求項62~69のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項72】
前記基板は、ブリスタアレイに編成された複数の前記ブリスタを有し、
1つ以上の前記変形可能なシールは、前記ブリスタアレイの上に置かれた単一の変形可能なフィルムを有する、
請求項62~71のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項73】
複数の前記ブリスタは、第1流体溜まり部を有する第1ブリスタと、第2流体溜まり部を有する第2ブリスタと、を有する、請求項72に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項74】
第1ブリスタは、分注針から第1分注チップの開口部を介して第1の量の前記流体を受け入れるように構成される、請求項62~73のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項75】
第1ブリスタは、第1プランジャの端部を受け入れるように構成され、更に、前記第1プランジャの端部が受け入れられたときに、第1の量の前記流体を前記第1ブリスタから第1分注チップを介して排出するように構成される、請求項62~74のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項76】
前記第1分注チップは、微小流体デバイスの入口開口部内に配置されるように構成される、請求項75に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項77】
前記第1プランジャの端部は、前記第1ブリスタの前記流体溜まり部の形状及び大きさに適合する、請求項75又は76に記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項78】
前記基板は、複数の前記ブリスタを有し、
複数の前記ブリスタは、第1流体溜まり部を有する第1ブリスタと、第2流体溜まり部を有する第2ブリスタと、を有し、
第1プランジャの端部は、前記第1ブリスタの流体溜まり部の形状及び大きさに適合し、
第2プランジャの端部は、前記第2ブリスタの流体溜まり部の形状及び大きさに適合する、
請求項62~75のいずれか1つに記載の統合型試薬カートリッジ。
【請求項79】
試薬を微小流体カートリッジに移す方法であって、
前記方法は、微小流体デバイスの上に試薬カートリッジを配置することを含み、
前記試薬カートリッジは、基板と、1つ以上の変形可能なシールと、を備え、
前記基板は、1つ以上のブリスタと、1つ以上の分注チップと、を有し、
各ブリスタは、ある量の流体を保持するように構成された流体溜まり部を有し、
各分注チップは、前記ブリスタに流体接続された経路を有し、
前記流体は、前記分注チップを介して前記ブリスタから排出可能又は前記分注チップを介して前記ブリスタに充填可能であり、
1つ以上の前記変形可能なシールは、1つ以上の前記ブリスタ内のある量の前記流体をシールするために、前記基板に取り付けられ、1つ以上の前記ブリスタの上に置かれ、
前記微小流体デバイスは、前記微小流体デバイスの第1溜まり部に流体接続された第1入口開口部を備え、
前記試薬カートリッジを配置することは、1つ以上の前記分注チップのうち第1分注チップを前記第1入口開口部と整列させて、前記第1入口開口部が前記第1分注チップに流体接続された第1ブリスタからの第1流体を受け入れるように構成されるようにすることを含み、
前記方法は、第1の量の前記第1流体が前記第1ブリスタから前記第1入口開口部を介して前記第1溜まり部に排出されるように、前記変形可能なシールのうち1つ以上の変形可能なシールを変位させることを含む、
方法。
【請求項80】
前記ブリスタは、前記基板の表面内に中空の空洞部を有する、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記試薬カートリッジから基部を除去することを更に含み、
前記基部は、1つ以上の前記分注チップの1つ以上の開口部に係り合いシールを形成するように構成される、
請求項79又は80の方法。
【請求項82】
前記基部は、前記分注チップの少なくとも一部を収容するように構成された1つ以上の凹部を有する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記基部は、1つ以上の前記凹部内に配置された1つ以上のシーリングパッドを更に有し、
各シーリングパッドは、各分注チップの開口部に係り合いシールするように構成される、
請求項82に記載の方法。
【請求項84】
1つ以上の前記変形可能なシールは、熱可塑性フィルムを有する、請求項79~83のいずれか1つに記載の方法。
【請求項85】
1つ以上の前記変形可能なシールは、熱可塑性エラストマフィルムを有する、請求項79~83のいずれか1つに記載の方法。
【請求項86】
1つ以上の前記変形可能なシールは、ガス透過性を低減するように構成されたコーティングを有する、請求項79~85のいずれか1つに記載の方法。
【請求項87】
1つ以上の前記変形可能なシールは、レーザ溶接又は熱ラミネートによって前記基板に取り付けられている、請求項79~86のいずれか1つに記載の方法。
【請求項88】
1つ以上の前記変形可能なシールは、接着材を使用して前記基板に取り付けられている、請求項79~86のいずれか1つに記載の方法。
【請求項89】
1つ以上の前記変形可能なシールは、感圧接着材を使用して前記基板に取り付けられている、請求項79~86のいずれか1つに記載の方法。
【請求項90】
前記基板は、ブリスタアレイに編成された複数の前記ブリスタを有し、
1つ以上の前記変形可能なシールは、前記ブリスタアレイの上に置かれた単一の変形可能なフィルムを有する、
請求項79~89のいずれか1つに記載の方法。
【請求項91】
複数の前記ブリスタは、第1流体溜まり部を有する前記第1ブリスタと、第2流体溜まり部を有する第2ブリスタと、を有する、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記第1ブリスタに接続された前記第1分注チップの開口部に分注針を挿入することと、
第1の量の前記流体を前記分注針を介して前記第1ブリスタに分注することと、
を更に含む、
請求項79~91のいずれか1つに記載の方法。
【請求項93】
1つ以上の前記変形可能なシールを変位させることは、1つ以上の前記変形可能なシールに対して第1プランジャの端部を当てることを含む、請求項79~92のいずれか1つに記載の方法。
【請求項94】
前記微小流体デバイスは、カートリッジである、請求項79~93のいずれか1つに記載の方法。
【請求項95】
前記第1プランジャの端部は、前記第1ブリスタの流体溜まり部の形状及び大きさに適合する、請求項93又は94に記載の方法。
【請求項96】
前記基板は、複数の前記ブリスタを有し、
複数の前記ブリスタは、第1流体溜まり部を有する前記第1ブリスタと、第2流体溜まり部を有する第2ブリスタと、を有し、
第1プランジャの端部は、前記第1ブリスタの流体溜まり部の形状及び大きさに適合し、
第2プランジャの端部は、前記第2ブリスタの流体溜まり部の形状及び大きさに適合する、
請求項93~95のいずれか1つに記載の方法。
【請求項97】
試薬を微小流体カートリッジに移す方法であって、
前記方法は、試薬カートリッジの第1の変形可能なシールを変位させることを含み、
前記試薬カートリッジは、基板と、1つ以上の変形可能なシールと、を備え、
前記基板は、1つ以上のブリスタと、1つ以上の分注チップと、を有し、
各ブリスタは、ある量の流体を保持するように構成された流体溜まり部を有し、
各分注チップは、前記ブリスタに流体接続された経路を有し、
前記流体は、前記分注チップを介して前記ブリスタから排出可能又は前記分注チップを介して前記ブリスタに充填可能であり、
1つ以上の前記変形可能なシールは、1つ以上の前記ブリスタ内のある量の前記流体をシールするために、前記基板に取り付けられ、1つ以上の前記ブリスタの上に置かれ、
前記第1の変形可能なシールを変位させることは、第1の量の第1流体を1つ以上の前記ブリスタのうち第1ブリスタから第1分注チップを介して排出させる、
方法。
【請求項98】
前記試薬カートリッジを微小流体デバイスの上に配置することを更に含み、
前記第1の量の前記第1流体は、第1入口開口部を介して前記微小流体デバイスに排出される、
請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記第1の量の前記第1流体は、第1入口開口部を介して第1溜まり部に排出される、請求項97又は98に記載の方法。
【請求項100】
複数の流体溜まり部及び複数の分注チップを有するブリスタアレイと、
前記流体溜まり部を覆う1つ以上の変形可能なシールと、
を備え、
前記分注チップは、微小流体デバイスの複数の試薬入口部に接続するように構成され、
前記流体溜まり部のうち1つに近接する1つ以上の前記変形可能なシールの変形は、前記流体溜まり部と関連する前記分注チップのうち1つから流体を分注する、
統合型試薬貯蔵カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年7月29日に出願された「インビトロデバイスのための試薬カートリッジ(Reagent Cartridges For In-Vitro Devices)」と題する米国仮特許出願第62/879,990号について優先権を主張するものである。当該米国仮特許出願の全体は、共通に譲渡され、参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
(関連分野)
インビトロデバイスに流体を入れる装置及び方法、特に、流体の収容及び移送のための試薬カートリッジに関する。
【背景技術】
【0003】
診断及びDNA配列決定技術の進歩につれて、アッセイ及び反応が小型の微小流体デバイス内で行われ得るように、インビトロデバイスの小型化の傾向が高まっている。このような小型化されたインビトロデバイスは、要するスペースの削減と同様に、試薬のコストの低減において、特に有用である。また、小型化されたインビトロデバイスは、別の方法では労力及び時間を要し得る生化学アッセイの自動化においても有用である。微小流体カートリッジは、MEMSと、多数の生化学アッセイを単一のカートリッジ上で精密に実施して分析することができるラボ・オン・ア・チップデバイスと共に、診断及びDNA配列決定の分野で特に普及している。微小流体力学(Microfluidics)は、毛細管浸透が物質輸送を支配する小さな規模に、典型的にはサブミリメートル規模に幾何学的に制約され得る流体の挙動、精密な制御、及び操作に対応する。
【0004】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR: Polymerase chain reaction)は、目的のDNA断片の増幅のため、すなわち、目的のDNA断片の複製物を大量に作製するために、分子生物学において広く使用される方法である。PCRを使用すると、DNA配列の複製物が指数関数的に増幅され、特定のDNA断片の数千から数百万の複製物が生成される。PCRのような技術は、DNA配列の決定、診断、又は遺伝子編集などの用途に有用であり得る。PCRは、目的のDNA断片をうまく増幅するために、異なる多様な試薬を必要とし得る。
【0005】
DNA配列決定は、核酸の配列、すなわち、DNAにおけるヌクレオチドの順序を決定する方法である。DNA配列決定は、アデニン、グアニン、シトシン、及びチミンの4塩基のヌクレオチドの順序を決定するために使用される任意の方法又は技術を含む。DNA配列の知見は、基礎的な生物学的研究や、医学的診断、バイオテクノロジー、法生物学、ウイルス学、系統分類学などの多くの適用分野において不可欠になっている。健康なDNA配列と突然変異したDNA配列との比較は、種々の癌を含む様々な疾病の診断し、抗体レパートリーを特徴付けることができ、患者の治療を導くために使用され得る。DNA配列を決定するための迅速な方法を有することによって、より迅速で個別化された医療の実施及び更に多くの生物の識別及び登録(cataloged)が可能になる。
【発明の概要】
【0006】
本特許では、試薬カートリッジを使用して微小流体デバイス(例えば、微小流体カートリッジ、又は1つ以上の反応若しくはアッセイが行われ得る他の任意の適切なデバイス)に試薬などの流体を効率的に導入するための装置、システム、及び方法が説明される。試薬カートリッジは、流体の貯蔵及びある位置から他の位置への流体の移送に使用され得る微小流体デバイスから分離したカートリッジであり得る。本特許では、流体を試薬カートリッジに充填するための装置、システム、及び方法も説明される。
【0007】
1つ以上の微小流体デバイス(例えば、微小流体カートリッジ)での生化学アッセイを統合するインビトロデバイス(例えば、診断装置、DNA配列決定装置、DNAライブラリ調製装置)の小型化は、より従来のアッセイには存在し得ない課題をもたらす。例えば、多くの小型化されたインビトロデバイスでは、特定のアッセイの要求に基づいて、要求に応じて試薬を同時に又は順に放出することが要求され、同時に複数の異なる量の試薬をより確実に貯蔵することが要求され得る。本発明者らは、試薬が予め充填される解決策をエンドユーザに提供することが多くの場合に製造者にとって有利であることを見出している。当該解決策をエンドユーザに提供することによって、特に精密な測定が必要とされ得る多数の試薬が存在するときに、エンドユーザが試薬を個々に測って微小流体デバイスに直接充填する必要はなくなる。しかしながら、多くの用途では、小型化されたインビトロデバイス(例えば、微小流体カートリッジ)は、試薬の貯蔵条件(例えば、-20℃又は-80℃)又は包装工程(例えば、脱ガス又はかしめ)に適合し得ない。本発明者らは、微小流体カートリッジと別に保管することのできる試薬カートリッジを開発している。試薬カートリッジは、エンドユーザが試薬を必要とするときに、要求に応じて試薬を送るように、インビトロ診断デバイス(例えば、微小流体カートリッジ)と係り合わされ(engaged)得る。
【0008】
本明細書に開示される実施形態は、より従来の解決法を超える多くの利点を提供し得る。例えば、試薬カートリッジは、インビトロデバイス(例えば、微小流体カートリッジ)上のソケット設計(例えば、試薬カートリッジの分注チップを受け入れる入口部)と係り合う(engage)ための、差し込みを基礎とした(plug-based)汎用のインターフェースであり得る。当該インターフェースは、1つ又はいくつかの機械的な動きのみによって、全ての異なる試薬又は複数の異なる試薬を送る。このようなインターフェースは、利便性を提供し、インビトロデバイスに試薬を導入するために要する時間及び労力を低減し得る。そのため、高度に訓練された作業者の必要性が低減され得る。このことは、更にコストを削減し得る。関連して、試薬カートリッジによって提供される予め決められた量は、誤りのリスクも低減し得る。
【0009】
他の例として、試薬カートリッジは、1つの単一のカートリッジにいくつかの試薬(例えば、30個までの試薬)を貯蔵するような柔軟性を提供し得る。そのため、これらの試薬カートリッジは、「反応キット」として出荷され得る。当該反応キットは、例えば、PCRなどの特定の種類の反応に要する全ての試薬を有するので、便利で使用しやすい。
【0010】
本明細書に開示される実施形態は、以下の説明から明らかになり得る他の利点も提供し得る。他の例として、差し込みを基礎とした汎用のインターフェースは、異なる試薬量の構成(例えば、試薬カートリッジのピペット又は溜まり部の寸法を調整することによる)を提供でき、同一の微小流体デバイスに対して異なるアッセイを実施する柔軟性を提供する。
【0011】
他の例として、試薬カートリッジは、製造中に1ステップのシーリング工程において、複数の試薬で容易且つ迅速に充填されることができる。
【0012】
他の例として、本明細書に開示される構成は、試薬カートリッジの製造における低コストの射出成形部品の使用を可能にするために適し得る。そのため、これらの試薬カートリッジを使い捨ての消耗品として使用することが可能であり得る。このことは、利便性を向上させるだけでなく、汚染のリスクも低減させる。
【0013】
他の例として、ピペットなどの他の解決策とは全く対照的に、本明細書に記載される試薬カートリッジのうち少なくともいくつかは、測定が不要であるように、高度に制御された条件下で製造者によって試薬で充填され、試薬と共に出荷されることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジは、カートリッジ本体と、ピペットアレイと、を備え得る。ピペットアレイは、微小流体カートリッジ(又は他の微小流体デバイス)の複数の入口部に係り合うように構成された複数のピペットチップを有する。ピペットチップは、微小流体カートリッジの複数の入口部の位置に対応する。
【0015】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジは、複数のピペットチップを有するピペットアレイを備え得る。試薬カートリッジは、複数のプランジャを有するプランジャ体を更に備え得る。各プランジャは、各ピペットチップ内の流体に係り合い、各ピペットチップからある量の流体を排出するか又はある量の流体を各ピペットチップに充填するように構成され得る。プランジャは、各ピペットチップ内に収まる大きさにされ得る。プランジャは、エラストマのコーティングを有し得る。各プランジャは、各ピペットチップとのシールを形成するように構成され得る。プランジャ体は、複数のプランジャを接続するように構成された接続体を更に有し得る。プランジャ体は、ピペットアレイに取り付けられるように構成され得る。各ピペットチップは、第1開口部と、第2開口部と、を有する。各ピペットチップは、第2開口部を介してピペットチップから排出可能又は第2開口部を介してピペットチップに充填可能なある量の流体を保持するように構成される。プランジャは、第1開口部を介して流体に係り合い得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、ピペットアレイは、ピペットシェル内に配置され得る。いくつかの実施形態では、ピペットシェルは、プランジャを各ピペットチップと整列させるための保持特徴部であるように構成された1つ以上の突起部及び/又は溝部を有し得る。いくつかの実施形態では、ピペットシェルは、1つ以上の溝部を有し得る。プランジャ体は、1つ以上の突起部を有する。溝部は、突起部を受け入れるように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジは、ピペットチップの第2開口部のうち1つ以上の第2開口部をシールして、ピペットチップ内の各流体をシールするように構成されたシール板を更に備え得る。いくつかの実施形態では、シール板は、ピペットシェルに取り付けられるように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の流体が、ピペットチップのうち1つ以上のピペットチップ内にシールされて(例えば、シール板を使用して)貯蔵され得る。シール板は、カバー基部に取り付けられた柔軟なシール部材を有し得る。カバー基部は、柔軟なシール部材がピペットチップの先端部に対して押し当てられるように、ピペットシェルに取り外し可能に取り付けられるように構成され得る。例えば、柔軟なシール部材は、ピペットチップの1つ以上の第2開口部に対して押し当てられてもよく、ピペットチップの外壁に対して押し当てられる開口部を有してもよい。柔軟なシール部材は、エラストマを有し得る。カバー基部は、熱可塑性材料を有し得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、ピペットチップは、微小流体カートリッジ(又は他の適切な微小流体デバイス)の上に配置されるように構成され得る。各ピペットチップは、微小流体カートリッジの入口開口部に係り合うように構成され得る。入口開口部は、微小流体カートリッジの各溜まり部に流体接続する。
【0019】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジを配置することは、複数のピペットチップのうち第1ピペットチップを微小流体カートリッジの第1入口開口部と整列させて、第1入口開口部が第1ピペットチップからの第1流体を受け入れるように構成されるようにすることを含み得る。いくつかの実施形態では、第1ピペットチップと関連する第1プランジャは、動かされ得る。このことにより、第1の量の第1流体は、第1ピペットチップから微小流体カートリッジの第1入口開口部を介して第1溜まり部に排出される。
【0020】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジを配置することは、第1ピペットチップを第1入口開口部と整列させ、更に第2ピペットチップを第2入口開口部と整列させることを含み得る。第1プランジャが動かされることによって、第1の量の第1流体は、第2ピペットチップから第2入口開口部を介して微小流体デバイスの第2溜まり部に排出され得る。第2プランジャが動かされることによって、第2の量の第2流体は、第2ピペットチップから第2入口開口部を介して微小流体カートリッジの第2溜まり部に排出され得る。
【0021】
第1プランジャと第2プランジャとは、同時に動かされてもよく、順次動かされてもよい。いくつかの実施形態では、第1の量は、第2の量と異なり得る。他の実施形態では、第1の量は、第2の量と同じであり得る。いくつかの実施形態では、ピペットチップを配置することは、ピペットチップを各入口開口部に下げることを含み得る。各入口開口部は、微小流体デバイスの蓋に配置され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1プランジャは、第1位置ロックに接続され得る。第1位置ロックは、第1プランジャをユーザの設定した距離だけ移動させ、ユーザの設定した距離を超える第1プランジャの作動を防止するように構成される。いくつかの実施形態では、第1プランジャは、第1プランジャをユーザの設定した距離だけ移動させるように構成された充填デッキによって動かされるように構成され得る。いくつかの実施形態では、各プランジャは、個々に動かされるように作動可能である。いくつかの実施形態では、2つ以上のプランジャが、連係して動かされるように作動可能である。
【0023】
いくつかの実施形態では、試薬は、試薬カートリッジに充填され得る。いくつかの実施形態では、試薬カートリッジは、第1ウェルを有するウェルプレートの上に配置され得る。試薬カートリッジを配置することは、試薬カートリッジの第1ピペットチップを第1ウェルに収容された第1流体に浸すことを含み得る。第1ピペットチップに関連する第1プランジャが動かされることによって、第1の量の第1流体は、第1ウェルから第1ピペットチップに移され得る。
【0024】
試薬カートリッジをウェルプレートの上に配置することは、第1ピペットチップを第1ウェルからの第1流体を受け入れるように整列させることと、第2ピペットチップをウェルプレートの第2ウェルからの第2流体を受け入れるように整列させることと、を含み得る。第1プランジャと、第2ピペットチップに関連する第2プランジャとが動かされることによって、第2の量の第2流体は、第2ウェルから第2ピペットチップに移され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1プランジャを動かすことは、プランジャを手動で動かすことを含み得る。ピペットチップは、移される望ましい量を測定するための、流体の量を示す1つ以上の印を有し得る。第1プランジャと第2プランジャとは、同時に動かされてもよく、順次動かされてもよい。いくつかの実施形態では、第1の量は、第2の量と異なり得る。いくつかの実施形態では、第1の量は、第2の量と同じであり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のシール(例えば、シール板)は、試薬カートリッジに取り付けられ得る。シールは、1つ以上の望ましい量の流体が1つ以上のピペットチップの各々に移された後に、1つ以上のピペットチップの第2開口部のうち1つ以上の第2開口部をシールするように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジは、充填流体溜まり部と、充填流体分注チップと、を備え得る。充填流体溜まり部は、充填流体を受け入れ、充填流体を充填流体分注チップに移すように構成される。充填流体分注チップは、微小流体デバイスの対応する充填流体入口部と整列するように構成される。ユーザは、充填流体溜まり部に充填流体を導入し得る。充填流体は、重力によって対応する充填流体入口部に移され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジは、1つ以上のブリスタを有する基板を備え得る。各ブリスタは、ある量の流体を保持するように構成された流体溜まり部を有する。いくつかの実施形態では、ブリスタは、基板の表面内の中空の空洞部を有し得る。試薬カートリッジは、1つ以上の分注チップを更に備え得る。各分注チップは、ブリスタに流体接続された経路を有する。いくつかの実施形態では、流体は、分注チップを介してブリスタから排出可能であり得る。いくつかの実施形態では、流体は、分注チップを介して(又は、専用ポートなどの他の任意の適切な入口を介して)ブリスタに導入可能であり得る。いくつかの実施形態では、試薬カートリッジは、流体溜まり部を覆う1つ以上の変形可能なシールを更に備え得る。1つ以上の変形可能なシールは、1つ以上のブリスタ内のある量の流体をシールし得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、1つ以上の変形可能なシールは、熱可塑性フィルム(例えば、熱可塑性エラストマフィルム)を有し得る。いくつかの実施形態では、基板は、ブリスタアレイに編成された複数のブリスタを有し得る。1つ以上の変形可能なシールは、ブリスタアレイの上に置かれた単一の変形可能なフィルムを有する。いくつかの実施形態では、複数のブリスタは、第1流体溜まり部を有する第1ブリスタと、第2流体溜まり部を有する第2ブリスタと、を有し得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジは、1つ以上の分注チップの1つ以上の開口部に係り合いシールを形成するように構成された基部を更に備え得る。いくつかの実施形態では、基部は、分注チップの少なくとも一部を収容するように構成された1つ以上の凹部を有し得る。いくつかの実施形態では、基部は、1つ以上の凹部内に配置された1つ以上のシーリングパッドを更に有し得る。各シーリングパッドは、各分注チップの開口部に係り合いシールするように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、1つ以上の変形可能なシールは、熱可塑性フィルムを有し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の変形可能なシールは、熱可塑性エラストマフィルムを有し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の変形可能なシールは、ガス透過性を低減するように構成されたコーティングを有し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の変形可能なシールは、レーザ溶接又は熱ラミネートによって基板に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の変形可能なシールは、感圧接着材を使用して基板に取り付けられ得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1ブリスタは、第1プランジャの端部を受け入れるように構成され、更に、第1プランジャの端部が受け入れられたときに、第1の量の流体を第1ブリスタから第1分注チップを介して排出するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1分注チップは、微小流体カートリッジの入口開口部内に配置されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1プランジャの端部は、第1ブリスタの流体溜まり部の形状及び大きさに適合し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、基板は、複数のブリスタを有し得る。複数のブリスタは、第1流体溜まり部を有する第1ブリスタと、第2流体溜まり部を有する第2ブリスタと、を有する。第1プランジャの端部は、第1ブリスタの流体溜まり部の形状及び大きさに適合し得る。第2プランジャの端部は、第2ブリスタの流体溜まり部の形状及び大きさに適合し得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、試薬カートリッジは、試薬カートリッジの第1の変形可能なシールを変位させることによって、微小流体デバイス(例えば、微小流体カートリッジ)に流体を導入するように使用され得る。試薬カートリッジは、基板と、1つ以上の変形可能なシールと、を備える。基板は、1つ以上のブリスタと、1つ以上の分注チップと、を有する。各ブリスタは、ある量の流体を保持するように構成された流体溜まり部を有する。各分注チップは、ブリスタに流体接続された経路を有する。流体は、分注チップを介してブリスタから排出可能又は分注チップを介してブリスタに充填可能である。1つ以上の変形可能なシールは、1つ以上のブリスタ内のある量の前記流体をシールするために、基板に取り付けられ、1つ以上のブリスタの上に置かれる。いくつかの実施形態では、第1の変形可能なシールを変位させることは、第1の量の第1流体を1つ以上のブリスタのうち第1ブリスタから第1分注チップを介して排出させ得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、統合型カートリッジは、複数の流体溜まり部及び複数の分注チップを有するブリスタアレイと、流体溜まり部を覆う1つ以上の変形可能なシールと、を備え得る。分注チップは、微小流体カートリッジの複数の試薬入口部に接続するように構成される。流体溜まり部のうち1つに近接する1つ以上の変形可能なシールの変形は、流体溜まり部と関連する分注チップのうち1つから流体を分注し得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジの第1ブリスタは、分注針から第1分注チップの開口部を介して第1の量の流体を受け入れるように構成され得る。
【0036】
本概要は、以下に詳細に更に説明される本開示の様々な実施形態を簡略化した形式で導入するために提供される。請求された主題の範囲を限定するために本概要を使用することは、意図されていない。請求された主題の他の特徴、詳細、有用性、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、試薬カートリッジのピペットアレイの一例を示す図である。
図2A図2Aは、統合型試薬カートリッジの一部としての図1のピペットアレイを示す図である。
図2B図2Bは、例示的なピペットチップのシール機構を示す図である。
図2C図2Cは、例示的なピペットチップのシール機構を示す図である。
図3図3は、微小流体カートリッジに取り付けられた統合型試薬カートリッジの一例を示す図である。
図4図4は、統合型試薬カートリッジの他の例を示す図である。
図5図5は、微小流体カートリッジの入口部に係り合うピペットの一例を示す拡大図である。
図6A図6Aは、試薬カートリッジを使用してある量の流体を微小流体カートリッジに排出する一例を示す図である。
図6B図6Bは、試薬カートリッジを使用してある量の流体を微小流体カートリッジに排出する一例を示す図である。
図7A図7Aは、試薬カートリッジへのある量の流体の充填の一例を示す図である。
図7B図7Bは、試薬カートリッジへのある量の流体の充填の一例を示す図である。
図8A図8Aは、ある量の流体の試薬カートリッジからの排出又は試薬カートリッジからの充填を補助するための充填デッキの使用の一例を示す図である。
図8B図8Bは、ある量の流体の試薬カートリッジからの排出又は試薬カートリッジからの充填を補助するための充填デッキの使用の一例を示す図である。
図9A図9Aは、流体の便利な排出のためのブリスタアレイを有する統合型試薬カートリッジの一例を示す図である。
図9B図9Bは、流体の便利な排出のためのブリスタアレイを有する統合型試薬カートリッジの一例を示す図である。
図10A図10Aは、ブリスタからの流体の排出の一例を示す図である。
図10B図10Bは、ブリスタからの流体の排出の一例を示す図である。
図10C図10Cは、微小流体カートリッジの上に配置されたブリスタアレイの一例を示す図である。
図11図11は、複数のブリスタへの流体の充填の一例を示す図である。
図12A図12Aは、ブリスタの追加の例を示す図である。
図12B図12Bは、ブリスタの追加の例を示す図である。
図13A図13Aは、充填流体のための溜まり部1310を備えた試薬カートリッジ1300の一例を示す図である。
図13B図13Bは、充填流体のための溜まり部1310を備えた試薬カートリッジ1300の一例を示す図である。
図14図14は、試薬を微小流体デバイス(例えば、微小流体カートリッジ)に移すための例示的な方法を示す図である。
図15図15は、試薬を試薬カートリッジに充填するための例示的な方法を示す図である。
図16図16は、試薬を微小流体カートリッジに移すための例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図面に示された部品は、説明を平易で明確なものにするために、必ずしも縮尺に合わせて示されているとは限らないことが理解されるであろう。例えば、いくつかの部品の寸法は、明確にするために、互いに対して誇張されている。さらに、適切と考えられる場合には、対応する部品を示すために、参照番号が図面で繰り返し使用されている。
【0039】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面が参照される。添付図面には、本発明の実施され得る例示のための特定の実施形態が示される。「高さ」、「頂部」、「底部」などの用語は、示された図の向きと関連して使用される。本発明の実施形態の構成要素は、多数の異なる向きにおいて位置決めされることができる。そのため、前記の用語は、例示の目的のために使用され、限定するものではない。
【0040】
「試薬」との用語は、反応を誘導するか又は別の方法で反応を促進するために使用される物質を指す。いくつかの実施形態では、例示的な試薬は、微小流体カートリッジ上でPCR(polymerase chain reactions)を行うために有用な試薬を含み得る。このような試薬は、例えば、緩衝液、PCRプライマ、DNA試料、ポリメラーゼなどの酵素、オイル、及び/又は磁気応答性ビーズ(例えば、DNA試料を移送する)を有する溶液の任意の組合せを含み得る。
【0041】
図1は、試薬カートリッジのピペットアレイの一例を示す図である。いくつかの実施形態では、試薬カートリッジは、複数のピペットチップを有するピペットアレイを備え得る。例えば、図1を参照すると、試薬カートリッジは、いくつかの列に配置された複数のピペットチップ110を備え得る。図3に示すように、ピペットチップは、微小流体デバイス(例えば、微小流体カートリッジ)の複数の入口部の位置に対応するように、ピペットアレイに配置され得る。いくつかの実施形態では、ピペットチップは、試薬などの流体を保持するように構成された内腔部を有し得る。いくつかの実施形態では、複数のピペットチップは、微小流体カートリッジの複数の入口部に係り合うように構成され得る。例えば、チップは、入口部の壁の内部に延びるように構成され得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、ピペットアレイは、ピペットシェルの一部であり得る。当該ピペットシェルは、統合型試薬カートリッジを形成するために他の部品と一体化されて構成されたハウジングであり得る。例えば、図1を参照すると、ピペットチップ110又はピペットシェル100の一部である。
【0043】
ピペットシェル100は、他の部品を一体化し保持するために、1つ以上の保持特徴部を有し得る。いくつかの実施形態では、これらの保持特徴部は、他の部品を、当該部品のピペットシェル100に対する適切な位置に案内し整列させるように構成され得る。例えば、図1に示すように、ピペットシェル100は、溝部120,130を有し得る。溝部120,130は、他の部品から1つ以上の突起部又は畝部(ridges)を受け入れることによって他の部品を保持するように構成され得る。また、図1に示すように、ピペットシェル100は、補助突起部131を有し得る。補助突起部131は、溝部130と関連し、部品の保持において追加の支持を提供するために使用され得る。いくつかの実施形態では、補助突起部は、支持の程度(levels)を高めるように広がり得る。別の例としては、ピペットシェル100は、他の部品の溝部に収まる1つ以上の突起部又は畝部を有し得る。いくつかの実施形態では、図1に示すように、ピペットシェルは、ピペットシェル内に保持される部品の溝部に収まり得る突起部137を有し得る。
【0044】
図2Aは、統合型試薬カートリッジの一部としての図1のピペットアレイを示す図である。いくつかの実施形態では、図2Aを参照すると、統合型試薬カートリッジは、複数のプランジャ225を有するプランジャ体を備え得る。いくつかの実施形態では、プランジャ体は、複数のプランジャ225を接続するように構成された接続体220も有し得る。各プランジャは、各ピペットチップからの流体の排出又はピペットチップ内への流体の導入のためにピペットに接続され得る。
【0045】
図2Aの例を参照すると、各プランジャ225は、プランジャ先端部225aと、作動端部(図2Aでは接続体220内に隠れている)とを有し得る。当該作動端部は、プランジャを作動させるために従事し得る(例えば、押されるか又は引っ張られる)。例えば、プランジャ先端部225aは、第1開口部210aを介してピペットチップ210に進入し、その内部の流体に係り合う(engage)するように構成され得る。作動端部が押されることによって、流体は、ピペットチップ210の第2開口部210bを介して排出される。別の例として、第2開口部210bが流体に浸されている間に作動端部が引っ張られ得ることによって、流体は、ピペットチップ210内へ引き入れられる。いくつかの実施形態では、プランジャ先端部225aは、広くされた部分(例えば、プランジャの本体よりも大きな表面積を有する部品)を有し得る。当該広くされた部分は、プランジャとピペットチップの内壁との間をより確実にシールする。
【0046】
いくつかの実施形態では、複数のプランジャは、単一の作動部品に接続され得る。単一の作動部品は、作動端部を1回押したり引いたりすることによって複数のプランジャが同時に動かされることを可能にする作動の要部(point of actuation)であり得る。例えば、2つの異なるピペットチップ内の2つのプランジャは、単一の作動部品に接続され得る。当該単一の作動部品は、流体を2つのピペットチップの両方から同時に排出する(又は、2つのピペットチップの両方に同時に充填する)ように押され得る(又は引っ張られ得る)。
【0047】
プランジャを押す又は引くことによって、望ましい量の流体を試薬カートリッジから排出するか又は望ましい量の流体を試薬カートリッジに充填するために、任意の適した手段が使用され得る。いくつかの実施形態では、プランジャの長さは、数十センチメートルの範囲にされることができる。プランジャの直径は、1mm~数mmの範囲であり得る。ピペットチップの内腔部の寸法は、プランジャの寸法に対応し得る。ピペットチップから排出された(又は、ピペットチップに充填された)流体の量は、各プランジャの移動した距離に基づいて計算され得る。いくつかの実施形態では、プランジャは、ステップモータを有する充填デッキを使用して動かされ得る。当該ステップモータは、例えば0.025mm/ステップの分解能を有する。本例では、流体は、0.02μL単位で排出(又は充填)され得る。したがって、プランジャを数センチメートル動かすことによって、数十マイクロリットルの流体を送ることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、プランジャは、ユーザによって手動で動かされ得る。例えば、プランジャは、位置ロックに接続され得る。当該位置ロックは、プランジャをユーザの設定した距離だけ移動させ、ユーザの設定した距離を超える第1プランジャの作動を防止するように構成される。本例では、ユーザは、プランジャが0.025mmの距離だけ移動する(又は、流体を0.02μLの量の流体を排出する)ように指定し得る。その後、ユーザは、プランジャを位置ロックに当たるまで押す(又は引く)ことによってプランジャを作動させて、0.02μLの流体の排出(又は導入)を引き起こし得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、ピペットチップは、ユーザがプランジャを手動で作動させて、望ましい量を排出(又は充填)することが可能であり得るように、流体の量を示す印を有し得る。いくつかの実施形態では、各ピペットチップ内の容量は、望ましい量を含むように予め測定され得る。このことにより、ユーザは、プランジャを単に最後まで押し下げて、ピペットチップの中の全体を空にすることができる。このことは、ユーザにとって特に便利であり得る。いくつかの実施形態では、種々のピペットチップは、異なる最大容量を有するように、異なる内部容量を有し得る。例えば、ピペットアレイにおける第1セットのピペットは、10μLの容量を有し得る。一方、第2セットのピペットは、20μLの容量を有し得る。いくつかの実施形態では、ピペットの種々のセットは、必要に応じて、異なる量の試薬を許容するような寸法にされ得る。例えば、第1セットのピペットが第1試薬のための寸法にされ得る一方で、第2セットのピペットは、第2試薬のための寸法にされ得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、プランジャのプランジャ先端部225aは、対応するピペットチップの内腔部内に収まるような大きさ及び形状であり得る。いくつかの実施形態では、プランジャ先端部225aは、対応するピペットチップの内壁に対するシールを形成し得る。プランジャは、流体に係り合う端部225aを通じて流体が漏れるのを防止するために、プランジャとピペットチップの内壁との間のシールを改善するように構成された材料を有し得る。例えば、プランジャは、オーバーモールドされたエストラマコート又はエストラマ層(例えば、TPU)を有するステンレス鋼を含み得る。当該エストラマコート又はエストラマ層は、ピペットチップの内壁に向かって押し当てられて、より良好なシールを可能にする。いくつかの実施形態では、接続体220は、ABS又はPCなどの収縮率の低い熱可塑性物質を含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジは、ピペットアレイと整列してプランジャ体を保持するように構成され得る。例えば、図2Aに示すように、プランジャ体の接続体220は、両側部に1つ以上の突起部222を有し得る。突起部222は、ピペットシェル240の対応する溝部(例えば、図1においてピペットシェル100の両側部にある溝部120)に収まり得る。本例では、組立者は、ピペットシェル100の頂部において、溝部120に突起部222を挿入し、接続体220を正しい位置にスライドさせる。図2Aに示す例において、溝部と突起部とのこの機構を有することは、当該機構がプランジャ体の保持のみに役立つだけでなく、プランジャ体を整列させるための案内機構として機能するという点で有利である。
【0052】
いくつかの実施形態では、複数のこのような接続体が、ピペットシェルに取り付けられ得る。例えば、図1を参照すると、ピペットシェル100は、3セットの溝部120を有する。3セットの溝部120は、最大3つの別々の接続体を受け入れ得る。いくつかの実施形態では、製造者又はユーザは、最大数の接続体をピペットシェルに取り付けないように決定し得る。例えば、図2Aに示すように、ピペットシェル240が3つの接続体220のための溝部を有していても、製造者は、ピペットシェル240に接続体220を2つだけ挿入することに決めてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、統合型試薬カートリッジのピペットチップは、製造者又は他の適切な実在体(entity)によって予め充填され、ユーザに送られる前にシールされ得る。このことにより、ピペットを必要な流体で満たす追加の作業から生じ得るユーザの誤りのリスクが低減され得る。このことは、複数の異なる流体を用いたピペットアレイが必要とされるいくつかの場合に特に有利であり得る。例えば、微小流体カートリッジ上における一連のPCR反応の実施には、多数の異なる試薬を用いたピペットアレイが必要とされ得る。必要とされる順序(sequence)において各ピペットを手動で充填することは、ユーザの誤り(例えば、ピペットに誤った試薬を充填すること及び誤った量の試薬を充填すること)の可能性をもたらす。さらに、予め充填された試薬カートリッジは、充填工程を除くことによって、利便性を大きく向上させる。
【0054】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジは、後の使用のために、異なるときにユーザによって予め充填されシールされ得る。このことは、場合によっては、ユーザが、1つ以上の反応を行っているときに、ピペットに試薬を充填する時間及び労力を費やすことなく、試薬カートリッジを用いた多くの連続した反応を行うことを可能にし得るという点で有利であり得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、ピペットチップの内部の流体をシールするためのシール機構は、ピペットチップの第2開口部のうち1つ以上をシールするように構成されたシール板である。例えば、図2Aを参照すると、試薬貯蔵カートリッジ200は、シール板230を備える。シール板230は、ピペットシェル240に取り付けられるように構成され得る。図2Aに示す例では、シール板は、カバー基部232に取り付けられた柔軟なシール部材235を有する。本例では、シール板は、シール板230をピペットシェル240に取り外し可能に取り付けるように構成された保持特徴部237を有する。より具体的には、この特定の例では、保持特徴部237は、ピペットシェル240の対応する特徴部(例えば、図1を参照すると、ピペットシェル100の両側部にある溝部130)に留められ(snapped)得る。また、いくつかの実施形態では、シール板は、溝部236を有し得る。溝部236には、図1に示すピペットシェルの突起部136が、シール板を固定するように収まり得る。
【0056】
シール板230は、ピペットシェル240に取り付けられたときに、柔軟なシール部材235がピペットチップの第2開口部210bに対して押されることによって、ピペットチップ210内に存在する流体をシールするように構成され得る。いくつかの実施形態では、柔軟なシール部材235は、エラストマ(例えば、シリコーン、ポリウレタン)を含み得る。いくつかの実施形態では、カバー基部232は、ABS、PMMA、又はPCのような1つ以上の熱可塑性物質を含み得る。いくつかの実施形態では、柔軟なシール部材235は、オーバーモールドすること又は両面感圧接着材の層を使用することによって、カバー基部に取り付けられ得る。
【0057】
図2B及び図2Cは、例示的なピペットチップのシール機構の拡大図である。図2Bは、図2Aの柔軟なシール部材235と同様の柔軟なシール部材235aを備えた、例示的なシール機構を示す。柔軟なシール部材235aには、ピペットチップ内の流体をより確実にシールするように、ピペットチップ210aの開口部が押し当てられる。
【0058】
図2Cは、シール部材235b(柔軟であってもなくてもよい)を有する他の例示的なシール機構を示す。シール部材235bは、1つ以上のピペットチップ210bの先端部が挿入されるように構成された1つ以上の開口部を有し得る。図2Cに示すように、シール部材235bは、ピペットチップ210bが適切に挿入されたときに、ピペットチップ210bの先端部の外壁を放射方向に内向きに押すように構成され得る。このことにより、シール部材235bは、ピペットチップ210b内の流体をシールするのに十分なほどにピペットチップを狭くする。図2B及び図2Cには、別のシール基部(図2Aに示すシール板230など)が示されていない。しかしながら、本開示は、そのようなシール板がシール部材235a,235bの底部に固定されてもよいことを意図している。
【0059】
図3は、微小流体カートリッジ320に取り付けられた統合型試薬カートリッジ310の一例を示す図である。いくつかの実施形態では、図3を参照すると、統合型試薬カートリッジ310は、各ピペットチップ315が微小流体カートリッジの入口開口部325に係り合うように、微小流体カートリッジに接続され得る。いくつかの実施形態では、各入口開口部325は、微小流体カートリッジの溜まり部の各々に流体接続され得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、統合型試薬カートリッジ310は、試薬カートリッジ310を微小流体カートリッジ320に取り付けるように構成された保持特徴部を備え得る。例えば、図1を参照すると、保持特徴部は、ピペットシェル100の両側部に、溝部130と、関連する補助突起部131とを有し得る。保持特徴部は、シール板230を保持するために使用され得る保持特徴部と同じであってもよい。また、保持特徴部は、微小流体カートリッジの各溝部に収まるように構成され得る突起部136を有し得る。本例では、図2及び図3を参照すると、ユーザは、シール板230を取り外し、その後、試薬カートリッジ310を微小流体カートリッジ320に取り付け得る。
【0061】
図3の例に示すように、統合型試薬カートリッジ310は、複数の異なる微小流体デバイスの「ソケット」(例えば、入口開口部325の壁によって画定される空洞部)に差し込むための、差し込みを基礎とした(plug-based)汎用のインターフェースを提供し得る。このことにより、多数の微小流体デバイスに対して多数の適切な試薬を任意の望ましい組合せで迅速かつ効率的に導入するための、「全てに収まる1つのサイズの(one-size-fits-all)」汎用な解決策がもたらされる。例えば、第1セットの試薬を有する第1試薬カートリッジは、生物学的アッセイを行うように構成された第1微小流体デバイス又はPCRを行うように構成された第2微小流体デバイスに差し込まれ得る。他の例として、第1セットの試薬を有する第1試薬カートリッジは、ある種類の生物学的アッセイを行うために第1微小流体デバイスに差し込まれ、第2試薬セットを有する第2試薬カートリッジは、異なる種類の生物学的アッセイを行うために同じ第1微小流体デバイスに差し込まれ得る。
【0062】
図4は、統合型試薬カートリッジ400の一例を示す図である。図4に示す実施形態は、ピペット体475に取り付けられた蓋470を備える。本例では、蓋470は、1つ以上のねじ477によってピペット体475に固定されている。代替的又は追加的に、蓋470は、ピペット体475にレーザ溶接され得る。いくつかの実施形態では、ピペット体475は、射出成形された単一の部品であってもよく、1つ以上の内腔部の各々を有する。いくつかの実施形態では、作動端部430と流体に係り合う端部435とを有する1つ以上のプランジャは、ピペット体475の1つ以上の内腔部の各々の内部に配置され得る。いくつかの実施形態では、プランジャは、1つ以上のシール450と整列して維持され得る。ピペット体475は、外向きに延びる複数のピペットチップ450を有し得る。本例では、取り外し可能なシール板460は、ピペット体475の内腔部の内容物(例えば、試薬440)をシールする。
【0063】
図5は、微小流体カートリッジ520の入口部に係り合うピペット510の一例を示す拡大図である。図5に示すように、ピペットチップ510は、微小流体カートリッジ520の蓋525から外向きに突出し得る壁527によって画定される入口部に差し込まれ得る。微小流体カートリッジの底部は、基板530であり得る。基板530は、いったん配置されたピペットチップ510から流体を受け入れるための溜まり部を有し得る。いくつかの実施形態では、ピペットチップ510は、ピペットアレイの一部であり得る。その場合、ピペットチップは、微小流体カートリッジ520の入口部の各々に差し込まれる(例えば、同時に差し込まれる)複数のピペットチップのうちの1つであり得る。
【0064】
図6A及び図6Bは、試薬カートリッジ610を使用してある量の流体を微小流体カートリッジ620に排出する一例を示す図である。図6Aに示すように、試薬カートリッジ610は、試薬カートリッジ610のピペットチップが微小流体カートリッジ620の入口部に係り合うように配置されるように整列され得る。試薬カートリッジ610の1つ以上のプランジャ615は、微小流体カートリッジ620に向かって押し下げられ得る。このことにより、流体は、各ピペットチップから各入口部を介して微小流体カートリッジ620内に排出され得る。
【0065】
図6Bは、プランジャの頂部630が例えば開始位置Aから終了位置Bに押し下げられた(例えば、図示されない作動端部を介する)試薬カートリッジの一例の内部を示す拡大図である。このプランジャの移動によって、ピペットチップ640内の流体660は、微小流体カートリッジ650の溜まり部内に排出され得る。
【0066】
図7A及び図7Bは、試薬カートリッジ710へのある量の流体の充填の一例を示す図である。図7Aに示すように、試薬カートリッジ710は、試薬カートリッジ710のピペットチップがウェルプレート725の入口部に係り合うように配置されるように整列され得る。当該ピペットチップのうち1つ以上は、ウェルプレート725の1つ以上のウェル内の流体に浸され得る。試薬カートリッジ710の1つ以上のプランジャ715は、ウェルプレート725のウェルから引き上げられ得る。このことにより、流体は、ウェルから試薬カートリッジ710の各ピペットチップに充填され得る。
【0067】
図7Bは、プランジャの頂部730が例えば開始位置Bから終了位置Aに引き上げられた(例えば、図示されない作動端部を介する)試薬カートリッジの一例の内部を示す拡大図である。このプランジャの移動によって、流体760は、ウェルプレート750のウェルからピペットチップ740内に充填され得る。
【0068】
図8A及び図8Bは、ある量の流体の試薬カートリッジからの排出又は試薬カートリッジからの充填を補助するための充填デッキ830の使用の一例を示す図である。いくつかの実施形態では、図8Aに示すように、微小流体カートリッジ820は、充填デッキ830の充填台832の上に配置され得る。試薬カートリッジ810は、ピペットチップのうち1つ以上のピペットチップ内に流体(例えば、試薬)を備え得る。試薬カートリッジ810は、試薬カートリッジ810の1つ以上のピペットチップが微小流体カートリッジ820の1つ以上の入口部に係り得るように、微小流体カートリッジ820の上に配置され得る。充填デッキ830のレバー835は、充填デッキ830の機構の回転を引き起こすために動かされ得る。このことによって、次に、係合面837は、回転に対応する距離だけ下向きに移動する。係合台837の動作は、試薬カートリッジ810のプランジャを下向きに押し得る。このことによって、試薬カートリッジ810のピペット内の流体は、微小流体カートリッジ820内に排出される。
【0069】
いくつかの実施形態では、図8Bに示すように、ウェルプレート825は、充填台832の上に配置され得る。ウェルプレート825の1つ以上のウェルは、流体(例えば、試薬)を有し得る。試薬カートリッジ810は、試薬カートリッジ810のピペットチップのうち1つ以上がウェルプレート825のウェルに係り合うように(例えば、ピペットチップがウェル内の流体に少なくとも部分的に浸されるように)ウェルプレートの上に配置され得る。係合面837は、微小流体カートリッジ810のプランジャに接触し得る。係合面837は、微小流体カートリッジ810のプランジャを把持するように構成され得る。レバー835は、(例えば、図8Aに示す方向と反対方向に)動かされ、充填デッキ830の機構の回転を引き起こし得る。このことにより、次に、係合面837は、回転に対応する距離だけ上向きに移動し得る。このことに応じて、微小流体カートリッジ810のプランジャは、引っ張られる。このことにより、最終的に、流体は、ウェルプレート825のウェルから試薬カートリッジ810のピペットチップに充填され得る。
【0070】
図9A及び図9Bは、流体の便利な排出のためのブリスタアレイ920を有する統合型試薬カートリッジ900の一例を示す図である。本例では、統合型試薬カートリッジは、「ブリスタ」を備える。当該ブリスタは、その内部の流体(例えば、試薬)を保持するための流体溜まり部であるように構成される。いくつかの実施形態では、ブリスタは、基板の面内の中空の空洞部であり得る。いくつかの実施形態では、基板は、PC、COP、又はPPのような良好な化学的適合性を有する熱可塑性物質で作製され得る。
【0071】
図9Aに示すように、ブリスタは、ブリスタアレイ920を構成する基板内で凹んだドーム形状の空洞部であり得る。いくつかの実施形態では、図9Aに示すように、ブリスタアレイ920は、複数のブリスタ(例えば、1列以上の列に配置される)を有し得る。いくつかの実施形態では、ブリスタの容量は、その寸法(例えば、深さ、直径など)及び/又は形状を変化させることによって制御され得る。いくつかの実施形態では、ブリスタアレイは、容量の異なるブリスタを有し得る。図9Aは、異なって構成された3列のブリスタ925a,925b,925cを有するブリスタアレイの例示的な実施形態を示す図である。図9Aに示す例では、ブリスタのこれらの列の各々は、異なる寸法及び/又は形状を有し得る。
【0072】
例えば、図9Bに示すように、ブリスタ925bは、ブリスタ925cよりも小さい直径を有し得る。その結果、ブリスタ925bは、ブリスタ925cよりも少ない流体容量を有する。また、本例では、ブリスタ925aは、ブリスタ925b,925cよりも浅く構成され得る。その結果、ブリスタ925aは、ブリスタ925b,925cよりも少ない流体容量を有する。他の例として、ブリスタは、円形、楕円形、矩形、又は他の任意の適切な形状の外形を有するように形成され得る。ブリスタアレイ内のブリスタは、任意の適切な寸法を有し得る。例えば、ブリスタは、4mm以上10mm以下の外径を有し得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、図9Aに示すように、各ブリスタは、ブリスタ内に位置する流体を分注するための経路を提供し得る分注チップ930に流体接続され得る。いくつかの実施形態では、図9Bを参照すると、分注チップは、ブリスタ(例えば、ブリスタ925c)と隣り合う第1開口部(例えば、第1開口部922c)と、ブリスタから遠位の第2開口部(例えば、第2開口部929c)とを有し得る。いくつかの実施形態では、ブリスタ内の流体は、分注チップ(例えば、分注チップ930c)の対応する分注管(例えば、分注管927c)の第2開口部(例えば、第2開口部929c)を介して、試薬カートリッジから分注され得る。いくつかの実施形態では、各分注チップの管は、数百ミクロンの内径を有し得る。分注チップは、任意の適切な高さであり得る。例えば、分注チップは、8mm以上25mm以下の高さであり得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジは、1つ以上の変形可能なシールを備え得る。当該1つ以上の変形可能なシールは、ブリスタの流体溜まり部の上に置かれるか、又はさもなければ当該流体溜まり部を覆う。例えば、図9Aに示すように、変形可能なシール910は、ブリスタアレイ920の上に置かれ得る。例として、変形可能なシール910は、レーザ溶接、熱ラミネート、又は感圧接着材の適用によってブリスタアレイに取り付けられたフィルムであり得る。いくつかの実施形態では、変形可能なシール910は、薄い熱可塑性フィルム(例えば、PET、PP、PMMA、COC、COP)又は熱可塑性エラストマフィルム(例えば、シリコーン、ポリウレタン)であり得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、ブリスタアレイ内のブリスタは、変形可能なシール910とブリスタアレイの表面との間に十分な面積のシール面を確保するために、十分に(例えば、1~数ミリメートル)離され得る。例えば、ブリスタアレイ内のブリスタは、4.5mm以上9mm以下の間隔を有し得る。いくつかの実施形態では、フィルムのガス透過性を更に低減することによってより良好なシールを作製するために、フィルムに適切なコーティングが加えられ得る。フィルムの厚さは、数百ミクロンの範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、図9Aに示すように、ブリスタアレイ内の全てのブリスタの流体溜まり部を覆うために、単一のフィルムが使用され得る。これらの実施形態では、フィルムの設置面積は、ブリスタアレイとおよそ同じ面積であり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の変形可能なシールは、1つ以上のブリスタ内のある量の流体をシールし得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジは、試薬カートリッジの1つ以上の分注チップの1つ以上の開口部に係り合うように構成されたブリスタ基部を備え得る。ブリスタ基部は、試薬カートリッジのブリスタ内及び/又は分注チップ内の流体をシールするために使用され得る。例えば、図9Aを参照すると、試薬カートリッジ900は、分注チップ930の開口部に蓋をするか又は分注チップ930の開口部を覆うように固定され得るブリスタ基部940を備え得る。本例では、図示のように、ブリスタ基部は、分注チップ930の少なくとも一部を収容するような寸法にされた凹部を有し得る。いくつかの実施形態では、ブリスタ基部940は、ブリスタ基部940をブリスタアレイ920に固定するように構成された保持特徴部を有し得る。例えば、図9Bに示すように、ブリスタ基部940は、ブリスタアレイ920に対して留められるように構成された1つ以上の突出部945を有し得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、ブリスタ基部は、1つ以上の凹部内に配置された1つ以上のシーリングパッドを有し得る。当該1つ以上の凹部内において、各シーリングパッドは、各分注チップの開口部に係り合う、当該開口部をシールするように構成されている。例えば、図9Bに示すように、シーリングパッド929cは、ブリスタ基部940のブリスタ925cに対応する凹部内に配置され得る。シーリングパッド929cは、分注チップ930cの分注管927cの第2開口部929cに直接接触するように構成され得る。いくつかの実施形態では、シーリングパッドは、シリコーン又はポリウレタンのようなエラストマ材料を含み得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、ブリスタ基部は、PET、PE、PS、PP、PMMA、又はPCのような熱可塑性物質を含み得る。いくつかの実施形態では、ブリスタ基部940は、使用前に除去され得る。このことにより、分注チップ930の第2開口部が開けられ、流体を各ブリスタから分注することが可能になる。
【0079】
図10A及び図10Bは、ブリスタからの流体の排出の一例を示す図である。いくつかの実施形態では、ブリスタアレイの分注チップ(例えば、分注チップ1030a,1030b)は、適切な分注位置(例えば、微小流体カートリッジの入口部)に配置され得る。この配置から、ブリスタのうち1つ以上のブリスタ(例えば、ブリスタ1025a,1025b)内の流体は、ブリスタの流体溜まり部を覆う変形可能なシールを変形させることによって、入口部に排出され得る。ブリスタ(例えば、ブリスタ1025a、1025b)は、任意の適切な方法によって変形し得る。例えば、図10A及び図10Bに示すように、プランジャ1020a,1020bは、プランジャ1020a,1020bがブリスタを変形させることによって、ブリスタ内の流体が分注チップ1030a,1030bを介して出て行き排出されるまで、対応するブリスタ1025a,1025bに向かって動かされ得る。本例では、プランジャ1020a,1020bがブリスタ1025a,1025b内に適切に収まるような寸法の球頭(ball heads)形状にされているので、最適な(例えば、最大)量の流体が排出され得る。
【0080】
プランジャのような要素は、充填デッキによって動かされてもよく、あるいは単にユーザによって手動で動かされてもよい。いくつかの実施形態では、ブリスタアレイ内のブリスタは、単一のプランジャによって個々に(例えば、定められた順序で)変形されてもよく、又は多数の一体化されたプランジャを有する単一の突入構造体(plunging structure)によって群で(又は全て一緒に)変形されてもよい。
【0081】
図10Cは、微小流体カートリッジ1040の上に配置されたブリスタアレイ1020の一例を示す図である。図10Cに示すように、いくつかの実施形態では、ブリスタアレイ1020は、ブリスタアレイ1020の各分注チップが微小流体カートリッジ1040の各入口部の位置に対応するように、微小流体カートリッジ1040の上で取り付け又は位置決めされるように構成され得る。これらの実施形態では、まず、ブリスタアレイ1020は、微小流体カートリッジ1040の上方に配置され得る。その後、ブリスタアレイ1020のブリスタのうち1つ以上のブリスタの上の変形可能なシールは、当該ブリスタ内の流体が微小流体カートリッジ1040内に排出されるように変形され得る。
【0082】
例えば、ユーザは、ブリスタアレイ1020の第1セットのブリスタを変形させて、第1セットのブリスタ内の流体を押し出すことによって、流体をブリスタから微小流体カートリッジ1040の各入口部に排出し得る。他の例として、ユーザは、ブリスタアレイ1020の全てのブリスタを変形させて(例えば、同時に変形させて)、全てのブリスタ内の流体を微小流体カートリッジ1040の各入口部に導入し得る(例えば、同時に導入し得る)。
【0083】
図11は、複数のブリスタ1125への流体の充填の一例を示す図である。いくつかの実施形態では、ブリスタには、製造者又はユーザによって、(ブリスタアレイのブリスタが1つ以上の変形可能なシールによってシールされた後に)流体(例えば、試薬)が充填され得る。いくつかの実施形態では、図11に示すように、ブリスタアレイは、ブリスタアレイの分注チップが上を向くように、逆さにされ得る。図11を参照すると、ブリスタ1125には、分注チップ1130を介して、分注針1140が挿入され得る。いくつかの実施形態では、分注針1140は、十分に小さい外径を有するように選択される。当該十分に小さい外径は、分注針1140が分注チップ1130に挿入可能である一方で、ブリスタが分注針1140からの流体によって充填されるときにブリスタ内の気体(例えば、空気)を放出可能にするために十分に小さい。ブリスタアレイを逆さにすることによって、ブリスタが充填されるときのブリスタからの気体の放出が容易にされ得る。
【0084】
各分注針1140は、望ましい流体を有する供給内腔部に接続され得る。分注針1140は、適切なブリスタ1125に挿入された後、望ましい量の流体をブリスタ1125に充填し得る。ブリスタが充填されると、ブリスタ基部は、分注チップ1130をシールするように、ブリスタアレイの上に留められ得る。いくつかの実施形態では、ブリスタは、異なる経路(例えば、分注チップとは異なる専用のポート)を介して充填され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、ブリスタアレイは、50μLの最大貯蔵容量を有するブリスタを有し得る。しかしながら、製造者は、最大貯蔵容量よりも少ない量を充填することを選択し得る。例えば、製造者は、20μL~30μLの流体をブリスタに充填することを選択し得る。
【0086】
図12A及び図12Bは、ブリスタ1225,1226の追加の例を示す図である。図12A及び図12Bの例示的なブリスタ1225,1226は、試薬カートリッジの基板の表面内の空洞部と空洞部の上に置かれた変形可能なシールとによって画定された溜まり部を有するのではなく、全体が変形可能な材料によって画定された溜まり部を有する。そのため、これらのブリスタでは、図9A及び図9Bに示すブリスタ925a~925cと比較して、変形可能な材料の総表面積が大きい。このことによって、変形可能な材料が変形したときに、流体をブリスタ1225,1226から排出する能力が向上させて、ブリスタ内部の流体の全て又は殆どを排出することを容易にし得る。
【0087】
図12Aは、試薬カートリッジの基板の表面1210の平面と実質的に平行に向けられたブリスタの一例を示す図である。図にはブリスタが1つだけ示されているが、ブリスタアレイの全体において、1つ又は全てのブリスタがブリスタ1225と同様に構成されることが意図される。矢印で示すように、部品1250(例えば、充填ドックの係合部品)は、ブリスタ1225に向かって進められて、基板の表面1210に押し当てられ得る。このことにより、ブリスタ1225内の流体は、排出されて、分注チップ1230を介してブリスタ1225を出て行く。あるいは、ブリスタ1225は、同じ効果のために、ユーザによって手動で押しつぶされ得る。
【0088】
図12Bは、試薬カートリッジの基板の表面1210の平面に対して実質的に垂直に向けられたブリスタの一例を示す図である。ブリスタアレイの全体において、1つ又は全てのブリスタがブリスタ1226と同様に構成されることが意図される。矢印で示すように、部品1260a,1260b(例えば、充填ドックの係合部品)は、ブリスタ1226に向かって両側から進められて、ブリスタ1226内の流体を排出し得る。このことにより、流体は、分注チップ1230を介してブリスタ1226を出て行く。
【0089】
図13A及び図13Bは、充填流体のための溜まり部1310を備えた試薬カートリッジ1300の一例を示す図である。充填流体は、微小流体デバイス内に流れて、媒体(例えば、反応又はアッセイが行われる媒体)として機能し得る。いくつかの実施形態では、充填流体は、油であり得る。いくつかの実施形態では、充填流体は、1つ以上の他の成分(例えば、界面活性剤)と混合された油であり得る。例示的な試薬カートリッジ1300は、充填流体分注チップ1315を備える。油は、充填流体分注チップ1315を通って、微小流体デバイスに流れ得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジ1300において、ピペットチップ1320内は、製造者によって試薬で予め充填され、溜まり部1310は満たされていない状態であり得る。これらの実施形態では、ユーザは、試薬カートリッジを微小流体デバイスの上に整列させた後に、ある量の充填流体を溜まり部1310内に導入し得る。溜まり部1310及び充填流体分注チップ1315は、充填流体が重力によって充填流体分注チップ1315を介して溜まり部1310を出て行くように構成され得る。いくつかの実施形態では、溜まり部1310と充填流体分注チップ1315との間に、充填流体を出口部に案内するのに役立つ漏斗が存在し得る。充填流体分注チップ1315は、微小流体デバイスが充填流体を微小流体デバイスの各受け部内に受け入れることによって、充填流体が微小流体デバイス内に流れ得るように、整列され得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、試薬カートリッジ1300において、ピペットチップ1320内は製造者によって試薬で予め充填され、溜まり部1310内も製造者によって充填流体で予め充填され得る。これらの実施形態では、充填流体分注チップ1315は、充填流体分注チップ1315の開口部にシール(例えば、試薬カートリッジ1300が微小流体デバイスに対して適切に配置されたときに移動可能又は突き刺し可能なシール)を有し得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される異なる実施形態の様々な構成要素は、射出成形工程を用いて製造され得る。このような工程によれば、部品が低コストなものになり、使い捨ての消耗品として使用される試薬カートリッジの費用効率を高めることが可能になり得る。
【0093】
図14は、試薬を微小流体デバイス(例えば、微小流体カートリッジ)に移すための例示的な方法1400を示す図である。当該方法は、ステップ1410で開始され得る。ステップ1410では、試薬カートリッジが微小流体デバイスの上に配置される。試薬カートリッジは、複数のピペットチップを有するピペットシェルと、プランジャ体とを備える。各ピペットチップは、第1開口部と、第2開口部とを有する。プランジャ体は、複数のプランジャと、複数のプランジャを接続するように構成された接続体とを有する。プランジャ体は、ピペットシェルに取り付けられるように構成される。微小流体デバイスは、微小流体デバイスの第1溜まり部に流体接続された第1入口開口部を備える。試薬カートリッジが配置することは、複数のピペットチップのうち第1ピペットチップを第1入口開口部と整列させて、第1入口開口部が第1ピペットチップからの第1流体を受け入れるように構成されるようにすることを含む。
【0094】
ステップ1420では、第1の量の第1流体が第1ピペットチップから第1入口開口部を介して第1溜まり部に排出されるように、第1ピペットチップと関連する第1プランジャが動かされ得る。
【0095】
特定の実施形態は、適切な場合には、図14の方法における1つ以上のステップを繰り返し得る。本開示は、図14の方法における特定の順序で行われる特定のステップを示し、説明している。しかしながら、本開示は、図14の方法における任意の適切な順序で行われる任意の適切なステップを意図する。さらに、本開示は、微小流体デバイスに試薬を移すための例示的な方法を示し、説明している。当該例示的な方法は、図14の方法における特定のステップを含む。しかしながら、本開示は、微小流体デバイスに試薬を移すための任意の適切な方法を意図する。当該任意の適切な方法は、任意の適切なステップを含む。当該任意の適切なステップは、適切な場合には、図14の方法におけるステップのうち全てのステップ又はいくつかのステップを含んでもよく、若しくは図14の方法におけるステップを含まなくてもよい。さらに、本開示は、図14の方法における特定のステップを実行する特定の構成要素、装置、又はシステムを示し、説明している。しかしながら、本開示は、図14の方法における任意の適切なステップを実行する任意の適切な構成要素、装置、又はシステムの任意の適切な組合せを意図する。
【0096】
図15は、試薬を試薬カートリッジに充填するための例示的な方法1500を示す図である。当該方法は、ステップ1510で開始され得る。ステップ1510では、試薬カートリッジがウェルプレートの上に配置される。試薬カートリッジは、ピペットチップのアレイと、プランジャ体とを備える。各ピペットチップは、第1開口部と、第2開口部とを有する。プランジャ体は、複数のプランジャと、複数のプランジャを接続するように構成された接続体とを有する。プランジャ体は、ピペットシェルに取り付けられるように構成される。ウェルプレートは、第1ウェルを備える。試薬カートリッジを配置することは、複数のピペットチップのうち第1ピペットチップを第1ウェルに収容された第1流体に浸すことを含む。
【0097】
ステップ1520では、第1ピペットチップと関連する第1プランジャが動かされ得る。このことにより、第1の量の第1流体は、第1ウェルから第1ピペットチップに移される。
【0098】
特定の実施形態は、適切な場合には、図15の方法における1つ以上のステップを繰り返し得る。本開示は、図15の方法における特定の順序で行われる特定のステップを示し、説明している。しかしながら、本開示は、図15の方法における任意の適切な順序で行われる任意の適切なステップを意図する。さらに、本開示は、試薬カートリッジに試薬を充填するための例示的な方法を示し、説明している。当該例示的な方法は、図15の方法における特定のステップを含む。しかしながら、本開示は、試薬カートリッジに試薬を充填するための任意の適切な方法を意図する。当該任意の適切な方法は、任意の適切なステップを含む。当該任意の適切なステップは、適切な場合には、図15の方法におけるステップのうち全てのステップ又はいくつかのステップを含んでもよく、若しくは図15の方法におけるステップを含まなくてもよい。さらに、本開示は、図15の方法における特定のステップを実行する特定の構成要素、装置、又はシステムを示し、説明している。しかしながら、本開示は、図15の方法における任意の適切なステップを実行する任意の適切な構成要素、装置、又はシステムの任意の適切な組合せを意図する。
【0099】
図16は、試薬を微小流体カートリッジに移すための例示的な方法1600を示す図である。当該方法は、ステップ1610で開始され得る。ステップ1610では、試薬カートリッジが微小流体カートリッジの上に配置される。試薬カートリッジは、基板と、1つ以上の変形可能なシールとを備える。基板は、1つ以上のブリスタと、1つ以上の分注チップとを有する。各ブリスタは、ある量の流体を保持するように構成された流体溜まり部を有する。各分注チップは、ブリスタに流体接続された経路を有する。流体は、分注チップを介して、ブリスタから排出されるか又はブリスタに充填されることができる。1つ以上の変形可能なシールは、基板に取り付けられ、1つ以上のブリスタ内のある量の流体をシールするために1つ以上のブリスタの上に置かれる。微小流体デバイスは、微小流体デバイスの第1溜まり部に流体接続された第1入口開口部を備える。試薬カートリッジを配置することは、1つ以上の分注チップのうち第1分注チップを第1入口開口部と整列させて、第1入口開口部が第1分注チップに流体接続された第1ブリスタからの第1流体を受け入れるように構成されるようにすることを含む。
【0100】
ステップ1620では、変形可能なシールのうち1つ以上のシールが変位し得る。このことにより、第1の量の第1流体は、第1ブリスタから第1入口開口部を介して第1溜まり部に排出される。
【0101】
特定の実施形態は、適切な場合には、図16の方法における1つ以上のステップを繰り返し得る。本開示は、図16の方法における特定の順序で行われる特定のステップを示し、説明している。しかしながら、本開示は、図16の方法における任意の適切な順序で行われる任意の適切なステップを意図する。さらに、本開示は、微小流体カートリッジに試薬を移すための例示的な方法を示し、説明している。当該例示的な方法は、図16の方法における特定のステップを含む。しかしながら、本開示は、微小流体カートリッジに試薬を移すための任意の適切な方法を意図する。当該任意の適切な方法は、任意の適切なステップを含む。当該任意の適切なステップは、適切な場合には、図16の方法におけるステップのうち全てのステップ又はいくつかのステップを含んでもよく、若しくは図16の方法におけるステップを含まなくてもよい。さらに、本開示は、図16の方法における特定のステップを実行する特定の構成要素、装置、又はシステムを示し、説明している。しかしながら、本開示は、図16の方法における任意の適切なステップを実行する任意の適切な構成要素、装置、又はシステムの任意の適切な組合せを意図する。
【0102】
本明細書に記載の方法は、ある順序で実行されるある数のステップに関して説明されている。しかしながら、明示的に示されていない及び/又は明示的に説明されていない追加のステップが含まれ得ることが意図される。さらに、説明された実施形態の範囲を逸脱することなく、説明され示されたステップよりも少ないステップが含まれ得ることが意図される(すなわち、説明されたステップのうち1つ又はいくつかが任意であり得る)。加えて、本明細書に記載のステップは、記載された順序とは異なる順序で実行され得ることが意図される。
【0103】
本明細書に記載された例及び実施形態は例示のためだけのものであって、様々な修正又は変更は、前記の例及び実施形態に照らして当業者に示唆され、本願の精神及び範囲並びに添付の特許請求の範囲に含まれることが理解される。本明細書に引用された全ての刊行物、特許、及び特許出願は、全ての目的のために、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0104】
上記の説明は例示を意図するものであって、限定ではないことが理解されるべきである。当業者にとって、上記の説明の検討に基づいて多くの実施形態が明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、その代わりに、添付の特許請求の範囲を参照し、その均等物の全範囲と共に決定されるべきである。
【0105】
前記の開示は、本開示の例示的な態様を示す。しかしながら、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の範囲から逸脱することなしに様々な修正及び変更がなされ得ることに留意すべきである。本明細書に記載された開示の態様に応じた方法クレームの機能、ステップ、及び/又は作動は、任意の特定の順序で実行される必要はない。さらに、本開示の部品は、単数形で記載又は請求されてもよいが、単数の限定が明示的に述べられていない限り、複数であることが意図される。
【0106】
本明細書における全てのフローチャートについて、達成される機能に影響を与えることなく、多くのステップが組み合わされ得ること、並行して実行され得ること、又は異なる順序で実行され得ることが理解されるであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
【国際調査報告】