(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(54)【発明の名称】再流入フロー冷却プレート
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20220926BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506388
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(85)【翻訳文提出日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 US2020044220
(87)【国際公開番号】W WO2021022021
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522040230
【氏名又は名称】ジェットクール テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マロイン,バーナード
(72)【発明者】
【氏名】ミゼラック,ジョーダン
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA10
5E322DA04
5E322EA10
5E322FA04
5F136CB06
5F136CB11
(57)【要約】
熱放散電子デバイス又はアセンブリの熱管理のための流体冷却再流入冷却プレート。流体は、冷却プレートの外周を出て、冷却プレートの外周と嵌合コンポーネント/アセンブリとの間の密閉空洞に入り、電子コンポーネントの直接冷却を提供し、次いで、冷却プレートに再流入する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子コンポーネントを冷却するための再流入冷却プレートであって、
1つ又は複数の内部流体通路と、
前記内部流体通路と流体連通する少なくとも1つの流体供給入口ポートと、
前記内部流体通路と流体連通する少なくとも1つの流体流出出口ポートと、
前記冷却プレートに位置し、前記内部流体通路と流体連通するウェルであって、外部環境に曝されている、ウェルと
を含む、再流入冷却プレート。
【請求項2】
前記ウェルの少なくとも一方の面が、前記冷却プレートの少なくとも1つの外面によって形成される、請求項1に記載の再流入冷却プレート。
【請求項3】
前記ウェルの少なくとも一方の面が、冷却される電子コンポーネントの表面によって形成される、請求項1に記載の再流入冷却プレート。
【請求項4】
前記ウェル内の流体が、冷却される電子コンポーネントの少なくとも1つの表面と直接接触する、請求項1に記載の再流入冷却プレート。
【請求項5】
冷却される前記電子コンポーネントと前記冷却プレートとの間には、前記ウェルのみが存在する、請求項1に記載の再流入冷却プレート。
【請求項6】
前記ウェルに放出される流体ジェットを形成するためのノズルプレートをさらに含む、請求項1に記載の再流入冷却プレート。
【請求項7】
前記ノズルが、前記電子コンポーネントにわたる温度勾配を低減するように不均一に構成される、請求項6に記載の再流入冷却プレート。
【請求項8】
前記ノズルが、不均一に分布される、請求項7に記載の再流入冷却プレート。
【請求項9】
前記ノズルのサイズが不均一である、請求項7に記載の再流入冷却プレート。
【請求項10】
前記ノズルが、流体フローを強化するための幾何学的な特徴を含む、請求項6に記載の再流入冷却プレート。
【請求項11】
前記幾何学的な特徴が、前記ノズルを通じる圧力降下を低減する上で役立つ面取りした縁からなる、請求項10に記載の再流入冷却プレート。
【請求項12】
前記冷却プレートと前記電子コンポーネントとの間の流体密封シールをさらに含む、請求項1に記載の再流入冷却プレート。
【請求項13】
前記流体密封シールが、弾性Oリング又はガスケットを含む、請求項12に記載の再流入冷却プレート。
【請求項14】
前記ウェルが、第1の内部流体通路と流体連通する流体入口と、前記流体入口から離隔され、第2の内部流体通路と流体連通する流体出口とを有するように構成される、請求項1に記載の再流入冷却プレート。
【請求項15】
前記内部流体通路中を流れる前記流体がすべて、前記ウェル中を流れる、請求項14に記載の再流入冷却プレート。
【請求項16】
前記内部流体通路中を流れる前記流体の一部のみが、前記ウェル中を流れる、請求項14に記載の再流入冷却プレート。
【請求項17】
前記冷却プレートの複数の別個の外部のウェルを含む、請求項1に記載の再流入冷却プレート。
【請求項18】
2つの前記ウェルが、流体が一方のウェル中を流れ、次いで、第2のウェル中を流れるように直列に配列される、請求項17に記載の再流入冷却プレート。
【請求項19】
2つの前記ウェルが、流体がウェルの両方とも流れるとは限らないように並列に配列される、請求項17に記載の再流入冷却プレート。
【請求項20】
少なくとも1つの他の電子コンポーネントが、前記冷却プレートに搭載される、請求項1に記載の再流入冷却プレート。
【請求項21】
前記他の電子コンポーネントが、内部流体通路によって冷却されるように構成される、請求項20に記載の再流入冷却プレート。
【請求項22】
積層造形法を使用して製作される、請求項1に記載の再流入冷却プレート。
【請求項23】
非金属材料から作られる、請求項1に記載の再流入冷却プレート。
【請求項24】
電子コンポーネントを冷却するための再流入冷却プレートであって、
1つ又は複数の内部流体通路と、
前記内部流体通路と流体連通する少なくとも1つの流体供給入口ポートと、
前記内部流体通路と流体連通する少なくとも1つの流体流出出口ポートと、
前記冷却プレートに位置し、前記内部流体通路と流体連通するウェルであって、前記ウェルの少なくとも一方の面が、前記冷却プレートの少なくとも1つの外面によって形成され、前記ウェルの少なくとも一方の面が、冷却される電子コンポーネントの表面によって形成され、前記ウェル内の流体が、冷却される前記電子コンポーネントの少なくとも1つの表面と直接接触し、冷却される前記電子コンポーネントと前記冷却プレートとの間には前記ウェルのみが存在する、ウェルと、
前記冷却プレートと前記電子コンポーネントとの間の流体密封シールと
を含む、再流入冷却プレート。
【請求項25】
前記ウェルに放出される流体ジェットを形成するためのノズルプレートをさらに含む、請求項24に記載の再流入冷却プレート。
【請求項26】
その外面にウェルを有する再流入冷却プレートと、
前記ウェルに触れ、前記冷却プレート中及び前記ウェル中を通る再流入流体フローを使用して冷却される電子デバイス又は電子アセンブリと
を含む、アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2019年7月31日に出願された米国仮特許出願第62/880,947号及び2020年2月17日に出願された米国仮特許出願第62/977,552号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
電子デバイスは、無線通信、電気自動車及びコンピュータ処理の分野において、現代における最大のイノベーションの一部を推進している。これらの多くの応用における実現因子は、より小型のパッケージサイズでより高い性能をもたらす電子機器の進歩であった。この進歩によりデバイスの電力密度が増しているが、そのことは関連する熱管理システムに対する問題になり得る。以前の手法では、個々のコンポーネント又はコンポーネントのアセンブリ(例えば、プリント回路基板若しくはPCB)を冷却するために、大型のフィン付きヒートシンク及びファンが実装された。これらの手法は魅力的な簡潔性を提供するが、それらの乏しい性能は、現代の高電力密度デバイスにとって瞬く間に不十分なものとなりつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらのタイプのデバイス及びアセンブリを冷却するための現行の手法は、流体冷却による冷却プレートをますます支持するようになっている。冷却プレートは、平板の形態の熱伝導性材料(典型的には、金属)で構成されてきた。次いで、コンポーネント/アセンブリがこのプレートに搭載され、その2つの間に熱伝導性材料が設けられる。冷却プレートの中は冷却液が通る。次いで、コンポーネント/アセンブリからの熱が熱伝導性材料及び冷却プレート材料を通じて伝導され、最終的には冷却液に伝達される。そのような手法は、ファンベースのシステムより高い性能を提供する。しかし、それらは依然として、熱伝導性材料及びプレート自体を通じる伝導による制限を受ける。それに加えて、金属板は重量が重く、電気自動車、航空機及び宇宙応用において重量と性能との間の難しいトレードオフが提起される。
【0004】
従って、最高温度のコンポーネントに対してさらに高い性能を提供し、アセンブリ内の異なる電力レベルのコンポーネント間の熱勾配を最小化し、より軽量に製作することができる冷却プレートを有することが有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
以下で言及されるすべての例及び特徴は、技術的に可能ないかなる方法でも組み合わせることができる。
【0006】
一態様では、電子コンポーネントを冷却するための再流入冷却プレートは、1つ又は複数の内部流体通路と、内部流体通路と流体連通する少なくとも1つの流体供給入口ポートと、内部流体通路と流体連通する少なくとも1つの流体流出出口ポートと、冷却プレートに位置し、内部流体通路と流体連通するウェルであって、外部環境に曝されている、ウェルとを含む。
【0007】
いくつかの例は、上記及び/又は以下の特徴のうちの1つ又はその任意の組合せを含む。例では、ウェルの少なくとも一方の面は、冷却プレートの少なくとも1つの外面によって形成される。例では、ウェルの少なくとも一方の面は、冷却される電子コンポーネントの表面によって形成される。例では、ウェル内の流体は、冷却される電子コンポーネントの少なくとも1つの表面と直接接触する。例では、冷却される電子コンポーネントと冷却プレートとの間には、ウェルのみが存在する。
【0008】
いくつかの例は、上記及び/又は以下の特徴のうちの1つ又はその任意の組合せを含む。いくつかの例では、冷却プレートは、ウェルに放出される流体ジェットを形成するためのノズルプレートをさらに含む。例では、ノズルは、電子コンポーネントにわたる温度勾配を低減するように不均一に構成される。例では、ノズルは、不均一に分布される。例では、ノズルのサイズは不均一である。例では、ノズルは、流体フローを強化するための幾何学的な特徴を含む。
【0009】
いくつかの例は、上記及び/又は以下の特徴のうちの1つ又はその任意の組合せを含む。例では、再流入冷却プレートは、冷却プレートと電子コンポーネントとの間の流体密封シールも含む。例では、流体密封シールは、弾性Oリング又はガスケットを含む。例では、ウェルは、第1の内部流体通路と流体連通する流体入口と、流体入口から離隔され、第2の内部流体通路と流体連通する流体出口とを有するように構成される。例では、内部流体通路中を流れる流体はすべて、ウェル中を流れる。例では、内部流体通路中を流れる流体の一部のみが、ウェル中を流れる。
【0010】
いくつかの例は、上記及び/又は以下の特徴のうちの1つ又はその任意の組合せを含む。いくつかの例では、再流入冷却プレートは、冷却プレートの複数の別個のウェルを含む。例では、2つのウェルは、流体が一方のウェル中を流れ、次いで、第2のウェル中を流れるように直列に配列される。例では、2つのウェルは、流体がウェルの両方とも流れるとは限らないように並列に配列される。例では、少なくとも1つの他の電子コンポーネントは、冷却プレートのウェルから離れた所に搭載され、内部流体通路の流体によって冷却されるように構成される。例では、再流入冷却プレートは、積層造形法を使用して製作される。例では、再流入冷却プレートは、非金属材料から作られる。
【0011】
別の態様では、電子コンポーネントを冷却するための再流入冷却プレートは、1つ又は複数の内部流体通路と、内部流体通路と流体連通する少なくとも1つの流体供給入口ポートと、内部流体通路と流体連通する少なくとも1つの流体流出出口ポートと、冷却プレートに位置し、内部流体通路と流体連通するウェルであって、ウェルの少なくとも一方の面が、冷却プレートの少なくとも1つの外面によって形成され、ウェルの少なくとも一方の面が、冷却される電子コンポーネントの表面によって形成され、ウェル内の流体が、冷却される電子コンポーネントの少なくとも1つの表面と直接接触し、冷却される電子コンポーネントと冷却プレートとの間にはウェルのみが存在する、ウェルと、冷却プレートと電子コンポーネントとの間の流体密封シールとを含む。例では、冷却プレートは、ウェルに放出される流体ジェットを形成するためのノズルプレートも含む。
【0012】
別の態様では、アセンブリは、その外面にウェルを有する再流入冷却プレートと、ウェルに触れ、冷却プレート中及びウェル中を通る再流入流体フローを使用して冷却される電子デバイス又は電子アセンブリとを含む。
【0013】
図面の簡単な説明
本開示をより良く理解するため、ここでは添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】冷却プレート上のコンポーネント又はアセンブリの概念概略図を示す。
【
図2】プリント基板アセンブリを冷却するように設計された、内部流体通路を有する先行技術の冷却プレートの断面図を示す。
【
図3】コンポーネント及びプリント基板アセンブリを冷却するように設計された、内部流体通路を有する先行技術の冷却プレートの断面図を示す。
【
図4】先行技術の冷却プレートの中の内部流体通路の上面図を示す。
【
図5】再流入フロー冷却プレートの一実施形態の断面図を示し、流体は、コンポーネントと接触するために冷却プレートを出て、次いで、冷却プレートに戻る。
【
図6】嵌合用電子コンポーネント又はアセンブリなしで使用されている再流入フロー冷却プレートの動作不良を示す。
【
図7A】再流入フロー冷却プレート上に配置されたコンポーネントの断面図を示し、さらに、流体がどのように冷却プレートの外周を越え、次いで、冷却プレートに再流入するかを示す。
【
図7B】再流入フロー冷却プレート上に配置されたコンポーネントの断面図を示し、さらに、流体がどのように冷却プレートの外周を越え、次いで、冷却プレートに再流入するかを示す。
【
図8】コンポーネント及びアセンブリの組合せの冷却が可能な再流入フロー冷却プレートの断面図を示す。
【
図9A】再流入フロー冷却プレートの流体通路の上面図を示し、従来の冷却プレートとは異なり、再流入フロー冷却プレートの少なくとも1つのセクションは、プレートの中にとどまらない。
【
図9B】
図9Aの線9B-9Bに沿って取られた断面を示し、従来の冷却プレートとは異なり、再流入フロー冷却プレートの少なくとも1つのセクションは、プレートの中にとどまらない。
【
図10】再流入フロー冷却プレートの一構成の断面図を示し、高性能再流入セクションは、高電力コンポーネントを冷却し、従来の内部フィーチャは、低電力コンポーネント又はアセンブリを冷却する。このアーキテクチャは、異なる電力レベルのコンポーネント間の熱勾配を最小化する上で役立つ。
【
図11】再流入フローセクション及び従来のセクションを特徴とする再流入フロー冷却プレートの流体通路の上面図を示す。
【
図12】再流入フロー冷却プレートの流体通路の上面図を示し、高電力コンポーネントに対する再流入セクション及び低電力コンポーネントに対する別個の従来のセクションを示す。
【
図13】複数の再流入フローセクションを特徴とする再流入フロー冷却プレートの断面図を示す。
【
図14】再流入フロー冷却プレートの流体通路の上面図を示し、全体的な圧力降下を低減する再流入フローセクションの並列フロー能力を示す。
【
図15】再流入フロー冷却プレートの一実施形態の断面図を示し、再流入フローの冷却効果を強化するためにマイクロジェットノズルが使用されている。
【
図16】
図15のアセンブリの断面詳細図を示し、再流入フロー冷却プレートのマイクロジェットノズルを示す。
【
図17A】例えば、冷却する電子機器の「ホットスポット」において有用であり得る、不均一なノズルアレイの使用を示す。
【
図17B】例えば、冷却する電子機器の「ホットスポット」において有用であり得る、不均一なノズルアレイの使用を示す。
【
図18A】流体フローを強化するための幾何学的な特徴を有するノズルを使用する一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
この開示は、冷却液が冷却プレート表面を通過し、熱発生デバイスと直接接触し、再び冷却プレートに再流入できるようにすることによって、熱伝達性能を増大させる冷却プレートの使用について説明する。本開示は、この「再流入フロー」冷却プレートのいくつかの有益な特徴をさらに説明し、単一のアセンブリ内の高電力及び低電力コンポーネントを効果的に冷却する能力、全く異なる電力損失のコンポーネントを有するアセンブリにわたって熱勾配を低減又は排除する能力、及び熱伝導性材料の冷却プレートの必要性を排除する能力を含み、それにより、性能を維持しながら、重量を大幅に低減する。
【0016】
本開示は、再流入フロー冷却プレートのいくつかの可能な実施形態をさらに説明し、高性能の再流入フロー冷却プレート及び再流入フロー冷却プレートを含むアセンブリのいくつかの例を達成するための内部ジオメトリアーキテクチャを含む。この開示は、高性能を達成し、材料制約を緩和するために、一般的な熱管理手法(冷却プレート)に新しいフィーチャ(再流入フロー)を追加している。
【0017】
多くのシステムレベルのアセンブリは、多くの電気/電子コンポーネント及び/又はプリント基板(PCB)を含む複数のコンポーネントで構成されている。これらのシステムレベルのアセンブリは、ファン、ヒートスプレッダ又は冷却プレートなどの熱管理ハードウェアを含む場合が多い。そのような配列は、
図1に示されており、1つ又は複数の熱発生要素又はアセンブリ(101)は、冷却プレート(102)上に配置される。
【0018】
冷却プレートの事例では、熱伝導性プレートの中を冷却液が循環する。次いで、典型的には熱伝導性材料(TIM)によって、熱放散コンポーネント及び/又はアセンブリが冷却プレートの外面に取り付けられる。このTIMは、一般的には、弾性パッド、放熱エポキシ樹脂又は放熱ペーストである。TIMは、コンポーネント表面と冷却プレート表面との間の小さなエリアを埋めるが、そうでなければ、そのエリアは、伝導性が非常に低い空気で占められることになる。この方法では、コンポーネントから発生した熱は、コンポーネントの外面に伝導され、次いで、TIMを通り、次いで、冷却プレートの伝導性表面を通り、最終的には、冷却プレートの中に埋められた冷却液に伝達される。
【0019】
図2は、そのような先行技術の冷却プレートアセンブリを示す。熱伝導性冷却プレート(201)は、その中に1つ又は複数の流体通路(202)を含む。冷却液は、入口(209)から出口(210)までこれらの通路中を流れ、冷却プレート(201)を冷却する。多くの例では、プリント基板(203)は、恐らくは、締結部(206)を冷却プレート自体又はスタンドオフ(208)に挿入することによって、冷却プレート上に配置される。PCB(203)は、その上に少なくとも1つの高電力コンポーネント(204)が配置され、1つ又は複数の他のコンポーネント(207)を有する場合もある。PCBが冷却プレートに締結されると、TIM(205)の層によって任意の高電力コンポーネント(204)と冷却プレート(201)表面との間で接触が生じる。
【0020】
このアーキテクチャでは、高電力コンポーネント(204)によって放散された熱は、コンポーネント自体の外面に伝導され、TIM層(205)を通り、冷却プレート(201)の上層を通った後、最終的に、冷却液(202)に放熱されなければならない。熱発生から排熱までのこの長い経路(低伝導性TIMを含む)は、著しい温度蓄積をもたらす。ある状況では、高性能のTIMでさえ、その熱伝導性は約5W/mKであり、これは、アルミニウムのような標準の材料(235W/mK)よりかなり少ない。従って、これらのTIM層の必要性により、全体的な熱性能に害が及ぶ。
【0021】
当然ながら、冷却プレートは、
図3に示されるようなものなど、冷却プレート(301)がプリント基板(305)及びスタンドアロンコンポーネント(311+312)に対する構造上の及び熱的なサポートであるさらに大きなアセンブリでも使用することができる。ここでは、先行技術の冷却プレート(301)は、依然として、その中に1つ又は複数の流体通路(302)を含み、1つ又は複数の流体通路(302)は、入口(303)から出口(304)まで冷却液を通す。PCB(305)は、締結部(306)をスタンドオフ(307)に挿入することによって冷却プレート上に配置される。高電力コンポーネント(308)は、基板上に配置され、この場合もやはり、冷却プレート表面と接触させるためにTIM層(309)が使用されている。また、冷却プレート上には、搭載用ハンドル(312)とパッケージ化されたスタンドアロン高電力コンポーネント(311)が配置される。スタンドアロンコンポーネント及びPCBは、独立したものであっても、又は例えば、ワイヤ(313)によって電気的に連結されたものであってもよい。
【0022】
先行技術の冷却プレートの中では、冷却液は、様々な通路ジオメトリで循環する。
図4は、そのような内部フロージオメトリのうちの1つを示す。先行技術の冷却プレート(401)の中には、入口(403)から出口(404)継手まで冷却液を送る流体通路(402)が存在する。
【0023】
上記の手法は、中程度の電力のコンポーネントからの熱の伝達に効果的である。しかし、高電力コンポーネントの場合は、TIMを通じて伝導される熱の損失がかなり大きく、熱は、流体に達する前に、冷却プレート自体の層を通じてさらに移動しなければならない。その上、低電力コンポーネントの場合でさえ、従来の冷却プレート設計では、冷却プレート表面が熱伝導性である必要があり、その構築は、主に金属に限定され、その重量に多大な影響が及ぶ。
【0024】
この開示は、電子機器冷却のための再流入フロー冷却プレートについて説明する。再流入フロー冷却プレートは、流体がコンポーネントに直接接触するために冷却プレートの表面を通って出られるようにすることによって、高性能冷却を生み出す。TIM層は不要である。これにより、典型的にはTIM層と関連付けられる損失が排除される。次いで、流体は、プレート又は他のコンポーネントのより一般的な冷却のために、冷却プレートに再流入する。それに加えて、再流入流体は、冷却プレートの構造範囲を脱して、コンポーネントの熱を伝達するために使用されるため、冷却プレートが熱伝導性材料で作られる必要はもはやなく、それにより、プラスチックなどのはるかに軽量の材料を使用することができる。また、そのような材料選択の自由により、熱膨張率(CTE)が一致する材料の使用など、他の利点も得られるようになる。取り付けられる電子機器とCTEが一致する冷却プレートが得られることにより、感度の高い電子機器で生じる応力を大幅に減らすことができる。
【0025】
図5は、再流入フロー冷却プレートの一実施形態を示す。冷却プレート(501)は、その中に流体通路(502)が配置され、流体通路(502)は、入口(503)から出口(504)まで冷却液を導く。この実施形態では、プリント基板(505)は、スタンドオフ(507)に備え付けられた機械式締結部(506)によって又は他の任意の公知の方法で、冷却プレート上に配置される。高電力コンポーネント(508)は、回路基板(505)上に配置される。流体密封シール(511)は、高電力コンポーネント(508)と冷却プレート(501)との間に設けられる。そのようなシール(511)は、ガスケット、Oリング、エポキシ樹脂、はんだ又は他の一般的な取付デバイス/方法であり得る。弾性シールを使用することができる。当然ながら、回路基板上には、他のコンポーネント(509)を配置することもできる。
【0026】
しかし、
図5に示される再流入フロー冷却プレートの流体通路(502)は、冷却プレート(501)の中に完全にはとどまらない。代わりに、冷却液は、冷却プレート表面を出て、冷却プレート(501)に最も近いウェル(512)に入ることができる。このウェル(512)は、一方の面は、冷却プレート(501)によって境界され、他方の面は、冷却されるコンポーネント(508)の表面(510)によって境界される。従って、ウェルは、冷却プレートの外部の環境に曝されている。この方法では、流体は、冷却プレートを出て、冷却プレートに最も近いウェルに入り、コンポーネントの表面との直接接触によって熱を伝達し、次いで、冷却プレートに再流入し、通常の流体通路(502)をたどる。注目すべきは、現行の冷却プレート手法とは異なり、この再流入フロー冷却プレート構成にはTIM層がないことである。
【0027】
現在の冷却プレートは、入口から出口まで流体を通し、それらの表面にコンポーネントが配置されるか否かにかかわらず機能する。しかし、再流入フロー冷却プレートは、少なくとも1つの表面にコンポーネントが配置されることがなければ正しく機能しない。
図6は、再流入フロー冷却プレート(601)上にコンポーネントが配置されなければ、流体通路(602)からの冷却液は冷却プレート表面を出ることになるが、流体の一部分はウェル(603)に入り、冷却プレートに再流入する一方で、流体の別の部分は押し出され(605)、恐らくは噴出が飛び散り(606)、又は流体が周囲に流れ出る(607)ことを示す。すなわち、再流入冷却プレート上に少なくとも1つのコンポーネント又は他の構造(PCBなど)が配置されてウェルを覆うことがなければ、流体の一部分が冷却プレートに再流入することはない。これは、従来の冷却プレートには当てはまらない。
【0028】
図7A及び7Bは、再流入フロー冷却プレートの別の実施形態を描写しており、ここでは、スタンドアロンコンポーネントと共に使用されている。
図7Aでは、冷却プレート(701)は、入口(703)から出口(704)まで冷却液を通す内部フロー流路(702)を特徴とする。この冷却プレート上には、電子要素(705)及びそのパッケージ(706)を有するパッケージ化された電気デバイスが配置されている。要素のパッケージ(706)はベースプレートとして示されているが、そのようなパッケージは、フランジ、ケース、プラスチック製カプセル材料、要素レベルのヒートスプレッダ又は他の一般的なパッケージタイプでもあり得る。
【0029】
また、
図7Aの再流入フロー冷却プレートは、冷却プレート(701)に最も近いウェル(709)も特徴とする。流体通路(702)からの流体は、この外部のウェル(709)と連通し、この外部のウェル(709)は、少なくとも一方の面は、冷却プレート(701)表面によって境界され、少なくとも1つの他方の面は、コンポーネント要素(705)又はパッケージ(706)によって境界される。締結部(707)は、ガスケット、Oリング、エラストマー、エポキシ樹脂又は同様のもので構成され得る流体密封シール(708)を用いて、コンポーネントパッケージ(707)を冷却プレート(701)に取り付けるために使用することができる。
【0030】
この方法では、冷却プレート通路(712)の中からの冷却液は、冷却プレートの内部から出され、電子デバイスの直接冷却を実行する。
図7Bは、流体(712)が冷却プレートの内部を移動し、冷却プレートの表面から外に誘導され(713)、冷却プレート(701)の外部境界(711)(外部境界は、太い破線によって示される)を越えるものとして、これを示す。すなわち、流体フローは、冷却プレートを出て、冷却プレートと電子デバイスとの間のウェル(714)に入る。ウェルでは、電子デバイスと接触した流体は、いかなるTIM層も必要とすることなく、デバイスから流体に効果的に熱を伝達する。
【0031】
ウェル(714)の物理的な境界のため、電子デバイスと流体との間で熱が伝達された後、流体は、内部流体通路(712)の中でのさらなる利用又は処分のために、冷却プレートに強制的に再流入させられる(715)。すなわち、冷却プレートからの流体は、冷却プレートの外部境界を出て、ウェルに入り、熱伝達が起こると、冷却プレートに再流入する。
【0032】
図7Aには、再流入フロー冷却プレートの別の利点も見られる。高電力デバイス(705+706)での主な熱伝達は、流体が冷却プレート(701)を出て、ウェル(709)に入った際に起こる。そのような熱伝達は、主に、デバイスの接液表面(710)で起こる。冷却プレート(701)自体を通じる熱伝導はもはや、電子デバイスの冷却において重要な役割を果たさない。従って、再流入フロー冷却プレートはもはや、依然として効果的であるために熱伝導性材料から構築されなければならないものではない。代わりに、再流入フロー冷却プレートに対して、ほぼどのような材料でも使用することができる一方で、依然として、高性能冷却を達成することができる。これにより、金属、セラミックス、プラスチック又は他の材料などの材料から、再流入フロー冷却プレートを構築することができる。この材料の柔軟性により、再流入フロー冷却プレートの重量は、先行技術の冷却プレートよりも大幅に減らすことができる。
【0033】
図8は、再流入フロー冷却プレートの別の実施形態を示す。ここでは、従来の冷却プレートを使用する際には一般的であるように、再流入フロー冷却プレートは、その上に複数の電子デバイス又はアセンブリが配置されている。冷却プレート(801)は、その中に流体通路(802)を含み、流体通路(802)には、入口(803)によって流体が供給され、最終的には、出口(804)から流体が分配される。この実施形態では、高電力コンポーネント(805)及びそのパッケージ(806)は、締結部(809)又は他の一般的な取付技法によって冷却プレート(801)上に配置される。この高電力コンポーネントからの熱に対処するため、再流入セクションが導入され、冷却液は、冷却プレートの表面を出て、ウェル(812)に入り、ウェル(812)は、少なくとも一方の面は、冷却プレート(801)によって境界され、少なくとも一方の面は、電子コンポーネントパッケージ(805)によって境界される。次いで、高性能熱伝達がコンポーネントの接液表面(813)で起こり、その後、流体は、冷却プレートに再流入し、流体通路(802)に戻る。
【0034】
追加の要素又はアセンブリもまた、同じ冷却プレート(801)上に配置される。この実施形態では、プリント基板(807)は、冷却プレートに取り付けられ、その取り付けは、締結部(809)を冷却プレート上のボス(810)に挿入することによって遂行することができる。当然ながら、スタンドオフ、搭載用ポスト、直接接合及び他のものを含む、他の取付方法も可能である。プリント基板(807)は、その上に1つ又は複数の電気コンポーネント(808)を配置することができる。複数のデバイス又はアセンブリは、例えば、ワイヤ(811)によって電気的に連結することができる。
【0035】
冷却プレート上に配置された追加の要素は、熱伝達のために再流入フローを使用しても又は使用しなくてもよい。例えば、
図8の実施形態では、高性能再流入フローは、高電力コンポーネント(805)に対して使用されている。この例では、低電力PCB(807)は、高性能再流入フローによる熱伝達を受け取らない。しかし、低電力PCB(807)は、依然として、従来の冷却プレートの実体化に見合う中程度の冷却から利点を得ている。すなわち、再流入フローは、再流入フロー冷却プレートにおいて単独で使用することも、又は再流入フロー冷却プレートの選択部分にのみ存在することも可能である。
【0036】
図9Aでは、再流入フロー冷却プレートの1つの可能な内部フロージオメトリが描写されている。冷却プレート(901)は、その中にフロー通路(902)が配置され、フロー通路(902)は、入口(904)から出口(903)まで冷却液を導く。また、冷却プレート(901)上には、冷却プレートの中から冷却プレートの外部境界の外まで流体を通す2つのセクション(905)も配置されている。これらは、外部の流体ウェルを形成することになるセクションである。また、これらのセクション(905)は、冷却プレートに再流入するように流体を導き、内部流体通路(902)に戻す。セクション(905)延いてはウェルは、直列に示されているが、これは、同じ流体が両方のウェルを通過することを意味する。
【0037】
図9Bは、
図9Aの線9B-9Bに沿って切り取られた1つの可能な断面図を示す。内部フロー通路(902)からの流体は、外部のウェル(906)と連通する内部アニュラスに供給される。再流入フロー冷却プレートに嵌合コンポーネントが取り付けられると、密閉空洞が形成され、この内部のウェル(906)には、内部フロー通路(902)から流体が入る。冷却プレート上のフィーチャ(例えば、壁(908))は、冷却プレートを出る(ウェルに入る)流体と、冷却プレートに再流入する(910)(ウェルから出る)流体とを分離する。
図9Aでは描写されていないが、冷却プレートには、形成することができる密閉(909)用の追加のフィーチャ又は冷却プレートにコンポーネントを機械式で締結するためのフィーチャ(
図9A及び9Bには示されていないが、
図8(810)で同様に示されている)も存在し得る。
【0038】
再流入フロー冷却プレートの他の実施形態は、内部流体通路の中に依然として位置しながら、流体の熱伝達能力をさらに利用することができる。
図10は、そのような実施形態の1つを示し、複数の電子デバイス又はアセンブリ(807、805)が再流入フロー冷却プレート(801)上に配置されている。高電力電子デバイス(805)は、再流入フロー冷却プレートの外部のウェル(812)及びデバイスの接液表面(813)で起こる直接流体接触と関連付けられた熱伝達から利点が得られるように、冷却プレート(801)上に配置される。ウェル(812)を移動した後、流体は、冷却プレート及び内部流体通路(802)に再流入する。
【0039】
内部流体通路(802)の流体は、PCB(807)など、冷却プレート上に配置された他のデバイス又はアセンブリを冷却するためにさらに使用することができる。PCB(807)は、高電力デバイス(805)の最も近くに位置しても又は位置しなくてもよいが、熱伝達メカニズムは、ウェル(812)とは別物である。
図10は、高性能再流入フローセクションによって冷却されないコンポーネント又はアセンブリの熱伝達を強化するために、熱伝達強化フィーチャ(1001)を内部流体通路(802)の中にどのように配置できるかを示す。そのようなフィーチャは、冷却しているコンポーネント又はアセンブリに近い冷却プレートの一部において、表面積を増大すること及び/又は乱流を生み出すことがあり得る。そのようなフィーチャは、例えば、フィン、ピラー又は表面の粗度を含み得る。
【0040】
図11は、再流入フロー冷却プレート(1101)の実施形態を示し、いくつかの熱伝達戦略が含まれている。流体入口(1104)と流体出口(1103)の間では、流体は、再流入フローの1つ又は複数のセクション(1105)を経験する。また、流体は、標準の内部流体搬送(1102)セクションも移動し、また、内部ピラー(1106)又は内部フィン(1107)を用いてなど、熱伝達を強化した他の内部のセクションも経験し得る。
【0041】
図12は、再び、再流入フローを含む複数の熱伝達手法が実装されている再流入フロー冷却プレートレイアウトを示す。この実施形態では、1つ又は複数の再流入フローセクション(1105)で構成された最高の熱伝達性能を有するセクション(1201)が存在する。また、内部流体通路(1102)、及びピンアレイ(1106)又はフィン(1107)などの内部フィーチャを使用することによって熱伝達を強化したセクション(1202)も存在する。一般に、再流入セクション(1201)の熱伝達能力は、内部フィーチャ強化セクション(1202)を含む他のセクションより高い。
【0042】
要望に合わせて調整できる熱伝達性能のセクションを用いることで、
図12に示されるものなどの再流入フロー冷却プレートは、様々な電力レベルのアセンブリにわたる熱勾配を低減又は排除するために使用することができる。例えば、高性能再流入フローセクション(1201)は、最高電力コンポーネント又はアセンブリの近くに位置し得る。次いで、他の低電力コンポーネント又はアセンブリは、同じ再流入冷却プレート上において、内部フィーチャセクション(1202)などの低性能セクションで冷却することができる。この方法では、高電力コンポーネント又はアセンブリの最大温度は、低電力コンポーネント又はアセンブリと同様又は均等にすることができ、それにより、コンポーネント又はアセンブリ間の熱勾配を低減することができる。熱勾配の低減により、デバイス、基板及び構造の応力の低減において重要な利点を得ることができる。
【0043】
当然ながら、再流入フロー冷却プレート上の再流入セクションの使用は、1つのコンポーネント又はアセンブリに限定されない。
図13は、再流入フロー冷却プレートの別の実施形態を示し、複数のコンポーネント又はアセンブリが再流入フローの熱伝達効果を利用している。
【0044】
図13では、再流入フロー冷却プレート(1301)は、内部流体通路(1302)で構成され、内部流体通路(1302)は、1つ又は複数の流体入口(1303)と1つ又は複数の流体出口(1304)とを接続する。冷却プレート(1301)上には、例えば、電子要素(1309)及びそのパッケージ(1310)で構成された、高電力デバイスが配置されている。また、冷却プレート(1301)上には、高電力電子要素(1308)を有するプリント基板(1307)も配置されている。デバイスとPCBは、例えば、1つ又は複数のワイヤ(1312)を使用することによって、電気的に接続することができる。この実施形態では、再流入フローは、両方の高電力要素を効果的に冷却するために使用される。流体通路(1302)の中からの冷却液は、表面を通って導かれるものであり、冷却プレート(1301)を出て、外部の流体ウェル(1305)を形成する。熱は、電子要素(1308)又はパッケージ(1310)と接液表面(1306)で直接接触して、冷却液に効果的に伝達される。この熱伝達の後、冷却液は、冷却プレート及び内部流体通路(1302)に再流入する。
【0045】
複数の再流入フローセクションが実装される一定の実施形態(例えば、高性能冷却を必要とする複数のコンポーネント又はアセンブリを有するもの)の場合、再流入フローセクションは、並列又は直列に流体連結することができる。
図14は、複数の再流入フローセクション(1407)を有する冷却プレート(1401)の一実施形態を示す。これらの再流入フローセクション(1407)は、主要な内部流体通路(1402)と連通する並列内部フロー通路(1408)を通じて流体連結することができ、入口(1404)から出口(1403)に冷却液を搬送することができる。並列フローでは、流体は、各ウェルを別々に通って流れる。再流入フローセクションの並列接続は、個々のセクションの各々に必要な圧力及び流量を低減する。当然ながら、そのような冷却プレートは、非再流入セクション(1405、1406)も含み得る。
【0046】
再流入フロー冷却プレートを使用した際のさらに優れた熱伝達性能のため、再流入フローセクションは、それら自体の強化を実施することができる。そのような強化は、ピン、フィン、又は、嵌合コンポーネント若しくはアセンブリの接液表面の粗度を含み得る。さらに優れた性能のため、再流入冷却プレートの中にノズルを配置して流体ジェットを形成することができ、そのような実施形態の1つは、
図15に示される。
【0047】
図15では、再流入冷却プレート(1501)は、入口(1503)から出口(1504)に冷却液を搬送するための内部流体通路(1502)を含む。冷却プレート(1501)上には、プリント基板(1505)が配置され、プリント基板(1505)は、例えば、締結部(1507)によって、冷却プレート又はスタンドオフ(1506)に取り付けることができる。このPCB(1505)は、その上に様々な電力レベルの多くのコンポーネント(1509)を配置することができ、能動冷却を必要とする少なくとも1つのコンポーネント(1508)を含む。シール(1511)は、高電力コンポーネント(1508)と再流入フロー冷却プレート(1501)との間の流体密封シールを生成する。
【0048】
再流入フローは、冷却プレートの中から、冷却プレート(1501)の境界の外に誘導されて出て、外部のウェル(1510)に入る冷却液として生み出される。しかし、この実施形態では、冷却プレートは、その中にノズルプレート(1513)が配置され、ノズルプレート(1513)は、1つ又は複数のオリフィス又はノズルを有する。ノズルプレート上のオリフィスは、例えば、100μm~750μmの範囲の直径を有する断面が円形のものであり得る。当然ながら、他の形状及び直径も可能である。このノズルプレート(1513)は、冷却プレートを出た冷却液を取り入れ、1つ又は複数の流体ジェット(1514)を形成する。流体ジェットは、例えば、3m/s~27m/sの速度で噴出することができる。当然ながら、他の速度も可能である。
【0049】
そのようなマイクロジェット冷却は、高電力デバイスを冷却するための技法であり、流体がノズルを通って移動し、ある方向において別の方向より実質的に大きな運動量を有する小さな流体ジェットを形成することによって特徴付けられる。この高運動量流体が表面に衝突すると、その表面における熱境界層を最小化し、そのスポットにおいて非常に高い熱伝達率を生み出す。次いで、マイクロジェットのアレイを高い熱伝達率のスポットサイズ全体に拡大することができる。マイクロジェット冷却技術は、200,000W/m2Kを超える熱伝達係数を生み出すことを実証しており、それは、競合手法の10倍を超えるものである(例えば、マイクロチャネルでは、約20,000W/m2K)。これにより、追加の金属ヒートスプレッダを必要とすることなく、流体は、さらなる熱を集めることができる。
【0050】
1つ又は複数の流体ジェット(1514)は、外部のウェル(1510)に放出され、冷却されるデバイスの接液表面(1512)に当たる。熱は、コンポーネントから流体に効果的に伝達される。接液表面に当たった後、ジェット流体は、冷却プレートに再流入して内部流体通路(1502)に至るまで、ウェルを満たしている。
【0051】
図15の実施形態に対して、
図16は、再流入フローセクションの詳細図を提示する。ここでは、再流入フロー冷却プレート(1501)は、外面の一部分の中に、ノズルプレート(1513)を形成するための1つ又は複数のノズルが配置される。流体は、このノズルプレート中を勢いよく流れ、その後、流体は、1つ又は複数の流体ジェット(1514)として冷却プレート(1501)の外部境界を出て、外部のウェル(1510)内に入る。これらの流体ジェットは、コンポーネントの少なくとも1つの外面(接液表面(1512))に当たり、流体に熱が伝達される。次いで、ウェルからの流体は、冷却プレート内部流体通路(1502)に再流入する。
【0052】
また、アセンブリの変形形態も可能である。例えば、PCBが全く存在しない場合もあり、代わりに、電子要素(1508)がそれ自体のパッケージに取り付けられるか又は冷却プレートに直接取り付けられる。ノズルプレートから形成されるマイクロジェットは、冷却される表面に垂直に当たるように方向付けることも、又は垂直方向からの何らかの公称角度を与えることもできる。その上、表面は、平坦且つ平滑なものとして示されているが、そのようなものには限定されず、角度が付いたセクション、粗度のあるもの又は他の特徴を有するものを含み得る。
【0053】
ノズル又はノズルプレートを含むそのような実施形態では、ノズルは、様々な異なるサイズの電子デバイスに対する冷却を提供するために、アレイ状に配置することができる。そのようなデバイスは、例えば、5~50mmの範囲の長さのものを含み得る。従って、ノズルのサイズ、場所及び分布は、デバイス全体の適切な冷却を提供するように慎重に選ばれる。ノズルは、線形アレイ、円形アレイ、又は、熱発生デバイスの表面をカバーするために役立つ他の任意のパターンに配置することができる。ノズルは、互いに離しても又は近づけてもよく、その詳細は、例えば、熱伝達及び圧力降下などの熱流体均衡を考慮して、慎重に選ばれる。
【0054】
ある電子デバイスでは、冷却されるデバイス表面にわたって、熱が均一に発生しない場合がある。従って、より多くの熱が発生しているそのような表面のセクションは、温度が上昇する傾向が強く、「ホットスポット」と呼ばれる場合がある。これらの事例では、高熱発生を起こすホットスポットの近くにノズルを集中させる一方で、低熱発生を起こすか又は熱発生が起こらない所はアレイを疎らに分布させることが有利であり得る。これにより、ノズルプレート上にノズルが均一に配置される事例と比べて、同じ量の流体フローを使用して、より優れた冷却を行えるため、冷却効率を改善することができる。
【0055】
ノズルの分布に加えて、個々のノズルの各々のサイズ及び形状は、例えば、圧力、流量及び熱伝達と電子デバイスの熱発生特性とのトレードオフのバランスを取るために、アレイにわたって異なり得る。例えば、低い熱伝達能力を有する1組のジェットは、低熱発生エリアの辺りに投射することができ、高い熱伝達能力を有するジェットは、ホットスポットの近くに投射することができる。
【0056】
図17A及び17Bは、デバイス上の「ホットスポット」と再流入フロー領域(両方のホットスポットは1702を含む)とを一致させるための1つの可能な実装形態を示す。熱発生デバイス(1701)は、その中に1つ又は複数のエリア(1702)を有し得、1つ又は複数のエリア(1702)は、デバイスの残りのエリアより熱放散率が高い。再流入フロー領域(1703)は、デバイス(1701)を冷却するためのノズルのアレイを有し得る。デバイスホットスポット(1702)に対してより優れた冷却を提供するためにノズルを不均一に配置することができる(1704)ノズルの不均一な分布を有することが有益であり得る。他のエリアでは、ノズル分布は、例えば、熱負荷が低い所では、より疎らであるか(1705)、又は、異なる形状若しくはサイズ(1706)にすることができる。これらの不均一な配列により、デバイス上において、より均一な温度を生成することができる。
【0057】
これらの及び他の実施形態では、ノズルの形状は、特に、圧力降下、流量及び熱伝達能力などの熱流体特性を最適化するように、慎重に選ぶことができる。
図18A及び18Bは、ある厚さ(1802)のジェットノズルプレート(1801)がマイクロジェットノズル(1803)のアレイを有する一実施形態を示す。ノズルプレート(1801)の断面を取ることにより、
図18Bのように、ノズル形状が明らかになる。ジェットノズル(1803)の出口側に面取りした縁(1804)を含めることにより、流体フロー及び熱伝達への影響を最小限に抑えて、圧力降下を低減することによって、流体フローを強化することができる。角度、深さ及び直径などの面取りの幾何学的な特徴は、所望の最適な結果を生み出すように選ばれることに留意されたい。当然ながら、幾何学的な特徴は、面取りに限定する必要はない。
【0058】
再流入フロー冷却プレートの製作のための方法はいくつかある。そのような冷却プレートは、例えば、積層造形法を使用して、単一のモノリシック部品として構築することができる。また、それらの冷却プレートは、層状に構築することもでき、それらの層は、例えば、ろう付け、溶接又は接着を使用して、後に接合される。当然ながら、再流入フロー冷却プレートは、熱伝導性金属の材料制約を軽減するため、例えば、プラスチック成形又は3D印刷など、非金属材料を使用する他の方法も使用することができる。
【0059】
この開示の一部として、流体冷却による冷却プレート(電子デバイスを有する多くの集積システムにおいて使用されるような)が構築され、冷却液は、プレートの中に完全には含まれず、むしろ、制御方式でプレートを出て、付随するコンポーネントを直接濡らした後に、冷却プレートに再流入する。この手法は、現在の冷却プレートの2つの共通の欠点、すなわち、熱伝導性材料の必要性と、重量の重い熱伝導性金属からの冷却プレートの構築の必要性とを排除する。この手法は、冷却プレートの熱抵抗を大幅に低減し(TIM関連の損失を回避することによって)、冷却プレートの重量を大幅に低減することができる(軽量且つ伝導性の低いプラスチックの使用を可能にすることによって)。これらの再流入フロー冷却プレートは、高性能応用において、一般的に利用可能な冷却プレートに取って代わるように設計される。
【0060】
一実施形態では、本開示は、再流入フロー冷却プレートを使用して電子デバイスを冷却する方法を開示する。最初に、デバイス又はそのキャリアが再流入冷却プレート上に配置され、流体密封シールがデバイスと冷却プレート表面との間に形成される。1つ又は複数の流体フロー通路が冷却プレートの中に配置され、冷却プレートの中で流体を循環させる。少なくとも1つの例では、流体は、これらの内部通路から冷却プレートの外部境界を出るように誘導される。次いで、流体は、冷却プレート境界と冷却されるデバイスの少なくとも1つの表面との間に形成されたウェルに入る。このウェル内の流体は、デバイスの少なくとも1つの表面を濡らし、デバイスから流体に熱を直接伝達する(熱伝導性材料を必要とすることなく)。次いで、流体は、冷却プレートに再流入し、再び流体通路に入り、一緒に熱を運ぶ。
【0061】
本開示は、その範囲において、本明細書で説明される特定の実施形態によって制限されるものではない。実際に、当業者であれば、前述の説明及び添付の図面から、本明細書で説明されるものに加えて、本開示の他の様々な実施形態及び変更形態が明らかであろう。従って、そのような他の実施形態及び変更形態は、本開示の範囲内に収まることが意図される。その上、本明細書では、本開示は、特定の目的での特定の環境における特定の実装形態の文脈において説明してきたが、当業者であれば、その有用性はその特定の実装形態に限定されず、本開示はいかなる数の目的のいかなる数の環境においても有益に実装できることが認識されよう。それに従って、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書で説明されるような本開示の全容及び精神を踏まえて解釈すべきである。
【国際調査報告】