(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(54)【発明の名称】応力によって誘発される複屈折を伴う高楕円率コアファイバの偏光維持
(51)【国際特許分類】
G02B 6/024 20060101AFI20220926BHJP
G02B 6/036 20060101ALI20220926BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20220926BHJP
H01S 3/067 20060101ALI20220926BHJP
H01S 3/10 20060101ALI20220926BHJP
C03B 37/018 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G02B6/024
G02B6/036
G02B6/02 376A
G02B6/02 356A
H01S3/067
H01S3/10 D
C03B37/018 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506412
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 CA2020051054
(87)【国際公開番号】W WO2021016719
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518384559
【氏名又は名称】ファウェイ テクノロジーズ カナダ カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522040735
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ラヴァル
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】コルシ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ラ ロシェル,ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジュンホ
【テーマコード(参考)】
2H250
4G021
5F172
【Fターム(参考)】
2H250AB04
2H250AB05
2H250AB10
2H250AC46
2H250AD14
2H250AE77
2H250AH22
2H250AH33
4G021BA22
4G021CA11
4G021EA04
5F172AE13
5F172AF03
5F172AM08
5F172BB13
5F172BB84
(57)【要約】
光ファイバは、楕円の断面を有するコアと、円形の断面を有するクラッドとを含む。コアは2~40の楕円率を有する。コア及びクラッドは共通の中心軸線を有しており、コアはクラッドによって囲まれている。クラッドの屈折率とコアの屈折率との差が、1×10-2~1.5×10-1の間である。トレンチが、コアとクラッドの間に位置している。トレンチは、均一な幅を有しており、コアを取り囲んでいる。トレンチの屈折率は、クラッドの屈折率よりも低い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ:であって、当該光ファイバは、
楕円の断面を有するコアであって、2~40の間の楕円率を有するコアと、
該コアを囲む、円形の断面を有するクラッドと、を含む、
光ファイバ。
【請求項2】
前記コア及び前記クラッドは、共通の中心軸線を有する、請求項1に記載の光ファイバ。
【請求項3】
前記クラッドの屈折率と前記コアの屈折率との差が1×10
-2~1.5×10
-1の間である、請求項1又は2に記載の光ファイバ。
【請求項4】
前記コアと前記クラッドとの間に位置するトレンチをさらに含み、該トレンチは、均一な幅を有しており、前記コアを取り囲み、前記トレンチの屈折率は前記クラッドの前記屈折率よりも低い、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光ファイバ。
【請求項5】
y軸に沿った前記コアの幅によってシングルモード伝送が可能になる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光ファイバ。
【請求項6】
x軸に沿った前記コアの幅によって複数のモードペアの伝送が可能になる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光ファイバ。
【請求項7】
前記複数のモードペアのそれぞれが、2つの直交する直線偏光から構成される、請求項6に記載の光ファイバ。
【請求項8】
前記複数のモードペアは、1×10
-4より大きい、隣接するベクトルモードの間の実効屈折率分離を有する、請求項6又は7に記載の光ファイバ。
【請求項9】
前記実効屈折率分離は、当該光ファイバの製造中に誘発される熱応力及び前記コアの前記楕円の形状によって引き起こされる、請求項7に記載の光ファイバ。
【請求項10】
前記コアは、希土類イオンでドープされている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光ファイバ。
【請求項11】
光ファイバ増幅器であって、当該光ファイバ増幅器は、
入力信号及び第1のポンプ光源からの出力を受け取る第1のWDMカプラと、
該第1のWDMカプラからの出力を受け取る光ファイバであって、楕円の断面を有しており、2~40の間の楕円率を有するコアと、該コアを囲む、円形の断面を有するクラッドとを含む光ファイバと、
前記光ファイバの前記出力及び第2のポンプ光源の出力を受け取る第2のWDMカプラであって、増幅した光信号を出力する第2のWDMカプラと、を含む、
光ファイバ増幅器。
【請求項12】
前記コア及び前記クラッドは、共通の中心軸線を有する、請求項11に記載の光ファイバ増幅器。
【請求項13】
前記コアは、希土類イオンでドープされている、請求項11又は12に記載の光ファイバ増幅器。
【請求項14】
前記光ファイバは、前記コアと前記クラッドとの間に位置するトレンチをさらに含み、該トレンチは、均一な幅を有しており、前記コアを取り囲んでおり、前記トレンチの屈折率は、前記クラッドの前記屈折率よりも低い、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の光ファイバ増幅器。
【請求項15】
y軸に沿った前記コアの幅によってシングルモード伝送が可能になり、x軸に沿った前記コアの幅によって複数のモードペアの伝送が可能になる、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の光ファイバ増幅器。
【請求項16】
光ファイバを製造するための方法であって、当該方法は、
内側コア及び外側クラッドを含む断面を有する円柱形のプリフォームを準備するステップであって、前記内側コアは円形プロファイルを有する、準備するステップと、
前記円柱形のプリフォームの長さに沿って前記円柱形のプリフォームの2つの対向する側面を切り取って、切り取られたプリフォームの長手方向軸線に沿って対向する平行な表面を有する前記切り取られたプリフォームを生成するステップと、
切り取られたプリフォームが円形プロファイルになり、前記切り取られたプリフォームの内側コアが楕円プロファイルになるまで、前記切り取られたプリフォームを加熱するステップと、
前記切り取られたプリフォームを引っ張って前記光ファイバを形成するステップであって、該光ファイバは、楕円プロファイルを有しており、2~40の楕円率を有するコアと、円形の断面を有するクラッドとを含み、前記コアは前記クラッドによって囲まれている、形成するステップと、を含む、
方法。
【請求項17】
前記円柱形のプリフォームは、前記コアと前記クラッドとの間に位置するトレンチ部分をさらに含み、該トレンチ部分は、前記光ファイバ内に存在しており、前記コアを前記クラッドから分離させる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記円柱形のプリフォームは、MCVA(modified chemical vapor deposition)プロセスを使用して製造される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
加熱中の表面張力及び材料の流れによって前記楕円プロファイルが形成される、請求項16乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記コア及び前記クラッドは、共通の中心軸線を有する、請求項16乃至19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2020年7月30日に出願された、“POLARIZATION-MAINTAINING HIGHLY ELLIPTICAL CORE FIBER WITH
STRESS-INDUCED BIREFRINGENCE”という表題の米国特許出願第16/943,713号、及び2019年7月31日に出願された、“POLARIZATION-MAINTAINING HIGHLY ELLIPTICAL CORE FIBER WITH
STRESS-INDUCED BIREFRINGENCE”に対して優先権の利益を主張するものであり、これら両文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、光ファイバ通信の分野、特に楕円コアの光ファイバに関する。
【背景技術】
【0003】
インターネットトラフィック及びクラウドコンピューティングの需要によって、現在の光通信インフラストラクチャに高い需要が課されている。特に、データセンタで見受けられるような短距離の相互接続には、高帯域幅のリンクが必要である。少数モードファイバ(FMF)を介したモード分割多重化(MDM)は、これらのデータトラフィックの需要を満たすための有望なアプローチである。MDMシステムでは、空間モード同士の間のクロストークは、信号品質に対する最も重大な障害のうちの1つである。
【0004】
現在のMDMシステムでは、チャネルクロストークを補償し、受信機側で情報データを受け取るために、多入力多出力(MIMO)デジタル信号処理(DSP)が一般に必要とされる。この完全MIMOアプローチの欠点は、その複雑さである。モード間群遅延差(differential modal group delay)を最小化することによって複雑さをある程度軽減することができるが、それでも大量の計算リソース及び消費電力が必要になる。
【0005】
DSPの複雑さを軽減するために、FMFにおける様々な設計的戦略が提案されている。1つのアプローチは、MIMO DSP構成要素の複雑さを軽減するために、空間モード同士の間の実効屈折率差δneffを増やすことである。
【0006】
部分的MIMO-DSPアプローチは、システムの複雑さを軽減し得るが、依然としてMIMOフリーの設計にすることが望ましい。これを実現するために、いくつかのソリューションでは、楕円リングコアファイバ(ERCF)、PANDAリングコアファイバ、又は内部エアホールのあるERCFを使用して、空間モードの偏波縮退(polarization degeneracy)を低減する偏波保持(PM: polarization-maintaining)FMF設計を提案している。これらのファイバ設計は、隣接するベクトルモードの間の実効屈折率差を高めることを目的としている。しかしながら、これらのソリューションには、モードの数が制限されるという欠点に悩まされる。
【0007】
従って、従来技術の1つ又は複数の制限を受けない光ファイバが必要である。
【0008】
この背景情報は、出願人が本発明に関連する可能性があると信じる情報を明らかにするために提供される。前述した情報のいずれかが本発明に対する先行技術を構成することを必ずしも認めることを意図しておらず、またそのように解釈すべきではない。
【発明の概要】
【0009】
本発明の実施形態の目的は、MDM通信システムで使用するための改良した光ファイバを提供することである。
【0010】
本開示の一態様は、楕円の断面及び2~40の間の楕円率を有するコアを含む光ファイバを含む。光ファイバは、円形の断面を有するクラッドも含み、クラッドがコアを囲んでいる。
【0011】
本開示の一態様は、共通の中心軸線を有するコア及びクラッドを含む。
【0012】
本開示の一態様は、クラッドの屈折率とコアの屈折率との差が1×10-2~1.5×10-1の間である光ファイバを含む。
【0013】
本開示の一態様は、コアの屈折率に対するクラッドの屈折率の比が1×10-2~1.5×10-1の間である光ファイバを含む。
【0014】
本開示の一態様は、コアとクラッドとの間に位置するトレンチを有する光ファイバを含む。トレンチは、均一な幅を有しており、コアを取り囲んでいる。トレンチの屈折率は、クラッドの屈折率よりも低い。
【0015】
本開示の一態様は、y軸に沿ったコアの幅によってシングルモード伝送が可能になる光ファイバを含む。
【0016】
本開示の一態様は、x軸に沿ったコアの幅によって複数のモードペアの伝送が可能になる光ファイバを含む。
【0017】
本開示の一態様は、複数のモードペアのそれぞれが2つの直交する直線偏光を有する光ファイバを含む。
【0018】
本開示の一態様は、複数のモードペアが、1×10-4より大きい、隣接するベクトルモードの間の実効屈折率分離を有する光ファイバを含む。
【0019】
本開示の一態様は、実効屈折率分離が、光ファイバの製造中に誘発される熱応力及びコアの楕円の形状によって引き起こされる光ファイバを含む。
【0020】
本開示の一態様は、コアが希土類イオンでドープされている光ファイバを含む。
【0021】
本開示の一態様は、入力信号及び第1のポンプ光源からの出力を受け取る第1のWDM(波長分割多重)カプラを含む光ファイバ増幅器(OFA)を含む。光ファイバが、第1のWDMカプラからの出力を受け取る。光ファイバは、2~40の間の楕円率を有する楕円の断面を有するコアを含む。光ファイバは、コアを囲む、円形の断面を有するクラッドも含む。OFAは、光ファイバの出力及び第2のポンプ光源の出力を受け取る第2のWDMカプラも含む。第2のWDMカプラは、増幅した光信号を出力する。
【0022】
本開示の一態様は、コア及びクラッドが共通の中心軸線を有するOFAを含む。
【0023】
本開示の一態様は、コアが希土類イオンでドープされているOFAを含む。
【0024】
本開示の一態様は、光ファイバがコアとクラッドとの間に位置するトレンチを含むOFAを含む。トレンチは、均一な幅を有しており、コアを取り囲んでいる。トレンチの屈折率は、クラッドの屈折率よりも低い。
【0025】
本開示の一態様は、y軸に沿ったコアの幅によってシングルモード伝送が可能なり、x軸に沿ったコアの幅によって複数のモードペアの伝送が可能になるOFAを含む。
【0026】
本開示の一態様は、光ファイバを製造するための方法を含む。この方法は、内側コア及び外側クラッドを含む断面を有する円柱形のプリフォームを準備するステップであって、内側コアは円形プロファイルを有する、準備するステップと;円柱形のプリフォームの長さに沿って円柱形のプリフォームの2つの対向する側面を切り取って、切り取られたプリフォームの長手方向軸線に沿って対向する平行な表面を有する切り取られたプリフォームを生成するステップと;切り取られたプリフォームが円形プロファイルになり、切り取られたプリフォームの内側コアが楕円プロファイルになるまで、切り取られたプリフォームを加熱するステップと;切り取られたプリフォームを引っ張って、楕円プロファイルを含むコアを有する光ファイバを形成するステップであって、コアは、2~40の楕円率を有しており、クラッドは、円形の断面を有しており、コアはクラッドによって囲まれる、形成するステップと;を含む。
【0027】
本開示の一態様は、共通の中心軸線を有するコア及びクラッドを含む。
【0028】
本開示の一態様は、コアとクラッドとの間に位置するトレンチ部分を含む。トレンチ部分は、光ファイバ内に存在し、コアをクラッドから分離させる。
【0029】
本開示の一態様は、MCVA(modified chemical vapor deposition)プロセスを使用して製造される円柱形のプリフォームを含む。
【0030】
本開示の別の態様では、プリフォームは、コアとクラッドとの間に位置するトレンチ部分をさらに含む。トレンチ部分は、光ファイバ内に存在し、コアをクラッドから分離させる。
【0031】
本開示の別の態様では、楕円プロファイルは、加熱中の表面張力及び材料の流れによって形成される。
【0032】
実施形態について、それら実施形態を実施することができる本発明の態様と併せて上で説明してきた。当業者は、実施形態が、説明している態様と併せて実施され得るが、その態様の他の実施形態と一緒に実施してもよいことを理解するだろう。実施形態が互いに排他的である場合、又はそうでなければ互いに互換性がない場合に、それは当業者には明らかであろう。いくつかの実施形態は、1つの態様に関連して説明し得るが、当業者に明らかであるように、他の態様にも適用可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付の図面と組み合わせて考慮する際に、以下の詳細な説明から明らかになろう。
【
図1】一実施形態による光ファイバの断面図である。
【
図2】一実施形態による、光ファイバのx軸に沿った屈折率プロファイルを示す図である。
【
図3】光ファイバの断面図と、ファイバ延伸プロセス中にコア/クラッド境界の法線方向に沿ってコア内に誘発される圧縮熱応力とを示す図である。
【
図4】別の実施形態による光ファイバの断面図である。
【
図5】一実施形態による、光ファイバのx軸に沿った屈折率プロファイルを示す図である。
【
図6】WDMとMDMとを組み合わせた光通信システムを示す図である。
【
図7】一実施形態による、光ファイバへのデータのモード多重化を示す図である。
【
図8】一実施形態による、光ファイバへのデータのモード逆多重化を示す図である。
【
図9】一実施形態による、光ファイバを利用する光ファイバ増幅器を示す図である。
【
図10】一実施形態による、光ファイバを利用する光ファイバ感知機器を示す図である。
【
図11】一実施形態による、光ファイバを利用するMDM送信機を示す図である。
【
図12】一実施形態による、光ファイバを利用するMDM受信機を示す図である。
【
図13】一実施形態による、光ファイバを利用するMDMトランシーバを示す図である。
【
図14】一実施形態による、HECFを製造する方法を示す図である。
【
図15】一実施形態による、HECFを製造する方法のフローチャートである。 添付の図面全体を通して、同様の特徴が同様の参照符号によって特定されることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態は、偏波保持性の高楕円コアファイバ(HECF:highly elliptical core fiber)を含む。高楕円のコア形状と、ファイバ製造中に誘発される熱応力とを組み合わせることにより、複屈折の値が1×10-4より高くなり、モード結合が減少し、次に、このファイバがMIMOフリーMDM伝送システムでの使用に適したものになる。
【0035】
図1は、本発明の第1の実施形態による、高楕円(高度に楕円の)コアファイバ(HECF)100の断面図を示している。光ファイバは、典型的に、業界標準である直径125μm(マイクロメートル)のクラッド102を含む。トレンチ106によって囲まれた中実のコア104が、ファイバの中心にある。
図1に示していないが、殆どの実施形態において、クラッドは、当技術分野で知られているように、バッファ(buffer:緩衝層)によりさらに囲まれており、次にジャケットによって覆われる。
【0036】
コア104の断面プロファイルは、楕円の形状である。コアの断面104は、x軸110及びy軸108を有する。一実施形態では、コア104は、x軸110に沿って38.5μm202及びy軸108に沿って6.1μmのおよその断面寸法を有する。短いy軸108に沿った寸法は、シングルモード動作、TEm,n/TMm,nモードの場合はn=1を可能にするように選択される。x軸110の寸法は、複数の空間モードがx軸110の一次元アレイに分散されるのを可能にするように選択される。他の実施形態では、コアの楕円率ηは、y方向の断面長に対するx方向の断面長の比として規定され、2~40の間である。当業者は、x軸110が楕円コアの主軸とも呼ばれ得る一方、y軸108が楕円コアの短軸と呼ばれ得ることを理解するだろう。主軸がもはや水平でなくなるようにファイバを回転させても、X軸及びY軸の位置合わせが変わるとは見なされない。当業者は、楕円率ηが、y軸108に沿ったコアの幅に対するx軸110に沿ったコアの幅の比として考えられ得ることも理解するだろう。
【0037】
コア104は、x軸110の長さがy軸の長さよりも長く、従って、x軸110が楕円の主軸を形成し、y軸108が楕円の短軸を形成するように、楕円シリンダ(cylinder:円柱)と考えることができる。x軸110及びy軸108は直角に交差し、x軸110及びy軸108の交点は、楕円の断面の中心を規定する。コア104は、コア104の各楕円の断面の中心を通って延びる、長手方向軸線としても知られる中心軸線を有する楕円シリンダの形状を有する。クラッド102は、中心を含む円形の断面を有すると見ることができ、中心軸線がクラッド102の各円形の断面の中心を通って延びる円筒形を有する。コア104及びクラッド102は、コア104がクラッド102内で中心となるように、共通の中心軸線を有する。従って、HECFは、クラッド102及びコア104が共通の中心軸線を共有するように形成される。
【0038】
光ファイバは、主にSiO2から構成されるシリカガラス材料を使用して製造され、クラッド102は、実質的に純粋なシリカガラス材料から構成される。コア104は、SiO2材料にGeO2をドープすることによって製造される。いくつかの実施形態では、コア104は、7.3モル%のGeO2がドープされたSiO2から構成される。
【0039】
トレンチ106は、コア104を取り囲み、いくつかの実施形態では、約4.7μmの幅206である。トレンチは、F、フッ素がドープされたSiO2で作製される。いくつかの実施形態では、トレンチは2モル%のFでドープされる。HECFが経験する曲げ損失は、楕円率が増加するにつれて増加するが、トレンチは、光ファイバの高次モードの曲げ損失を低減するのに役立つ。
【0040】
図2は、光ファイバ100のx軸110に沿った屈折率プロファイルを示している。コア104、トレンチ106、及びクラッド102は、それぞれの材料によって決定される異なる屈折率を有する。一実施形態では、コア104とクラッド102との間の屈折率の差、Δn204は、約1.1×10
-2である。実施形態では、コア104とクラッド102との間の屈折率の差は、1×10
-2<=Δn<=1.5×10
-1の範囲内にある。一実施形態では、トレンチ106とクラッド102との間の屈折率の差、-Δn
trench208は、約5.7×10
-3である。
【0041】
高楕円コアの幾何学的形状は、光ファイバに幾何学的形状によって増強された複屈折をもたらす。この複屈折の原因は、コアの幾何学的構造に関連しており、コアの楕円率が高いほど、複屈折の値が高くなる。
【0042】
図3を参照すると、光ファイバの製造中に、不定の圧縮熱応力302が、主にy軸108方向に沿ってコア104に誘発される。ファイバ延伸及びアニール(annealing:熱処理)プロセス中に、コア104及びクラッド層102の異なる熱膨張係数のためにファイバに応力がかかる。異なる量の応力が、そのコア構造の非対称性によって、長いx軸110及び短いy軸108に沿って加えられる。この応力の増加に伴い、等方性ガラスは異方性になり始め、その結果、主応力、x及びy応力方向に沿って屈折率が変化する。熱応力は、同じ空間モードの2つの偏光の間の実効屈折率差(δn
eff)を増加させる効果がある。
【0043】
本発明の一実施形態による光ファイバは、10個のMDMチャネルを得るために、2倍の偏波縮退を伴う5つの空間モードグループに関するデータを送信することができる。サポートされるモードは、偏光状態に応じて(それぞれ、x軸又はy軸に沿って)TE1n及びTM1nとラベル付けされる。特に、下付き文字「1」は短軸(y軸)に沿ったシングルモード動作を示す一方、「n」は長軸(x軸)に沿ったモードプロファイルの暗線の数を示す整数である。
【0044】
製造中に生成される熱応力と組み合わされたコアの楕円の形状は、比較的大きな複屈折を生成するので、モード間実効屈折率分離δneffは1×10-4よりも大きくなる。これにより、HECF内のモード結合が減少するので、ファイバモードが約1km(キロメートル)のファイバ長まで大きなクロストークなしに伝搬できるようになる。これにより、MIMO DSPを必要としない伝送システムを設計することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、光学活性(optical active:旋光性)ファイバを生成するために、コアに、エルビウム及び/又はイッテルビウム等の希土類イオンをドープすることができる。
【0046】
図4は、代替構造を有する別の実施形態による光ファイバ400を示している。
図1に示される実施形態と比較して、この実施形態は、クラッド102及びコア104を含むが、コアとクラッドとの間のトレンチ106を欠いている。トレンチ106は、ファイバ内の高次モードの曲げ損失を低減するのに役立つ。しかしながら、いくつかの実施形態では、屈折率差204、Δnを約1.5×10
-1に増加させることによって、曲げ損失を低減することもできる。
【0047】
図5は、光ファイバ400のx軸110に沿った屈折率プロファイルを示している。コア104及びクラッド102は、それぞれの材料によって決定される異なる屈折率を有する。一実施形態では、コア104とクラッド102との間の屈折率の差、Δn204は、約1.1×10
-2である。
【0048】
図6は、本発明の実施形態を組み込んだシステムを示している。本発明は、MIMOフリーのモード分割多重化システムで使用することができる。WDM送信機602からの出力は、WDMカプラ604に入力され、単一の出力ファイバ内に多重化される。次に、WDMカプラ604からの各出力は、モードマルチプレクサ606によって多重化され、HECF608で対応するモードに変換される。HECF608を通した伝送後に、ファイバモードはモードデマルチプレクサ610によって受信及び分離され、続いて複数のWDMカプラ612によって波長チャネルが分離され、最終的に受信機614によって検出される。ファイバ内部のモード同士の間のクロストークが低いため、MIMO DSPは必要ない。
【0049】
図7は、HECF702を利用するモード分割マルチプレクサの実施形態を示している。異なるモードTE
11、TE
12、・・・、TE
1nの光入力は、溶融ファイバモードカプラ704を使用してHECF702に多重化され得る。
【0050】
図8は、HECF802を利用するモード分割デマルチプレクサの実施形態を示している。溶融ファイバモードカプラ804は、TE
11、TE
12、・・・、TE
1nから信号を受け取るために、所定のモードの光を通過させて光ファイバ806に出力する。
【0051】
図9は、一実施形態によるHECF902を含む光ファイバ増幅器(OFA)900を示している。HECF902は、エルビウム等の希土類イオンがドープされ、2つのWDMカプラ904を接続するコアを有する。各WDMカプラは、ポンプダイオード908の出力を受け取る。入力906の光パワーは、OFAとファイバ910の出力とによって増幅される。
【0052】
図10は、別の実施形態による感知システム1000を示している。HECF1002は、感知素子1004を通過する。信号源及びデータ取得モジュールは、デバイス1006内で同じ場所に配置される。いくつかの実施形態では、感知素子1004は、ファイバブラッグ格子(FBG)である。光信号源1006からの光が感知素子1004を通過するときに、所定のファイバモードの光は、信号源に逆反射され、データ取得モジュール1006によって受け取られる。
【0053】
図11は、統合したモード分割多重化モジュールを含む光送信機1100を示している。送信機は、典型的に、光伝送機器に容易に統合できるようにハウジングに含まれている。送信機1100は、それ自体でパッケージ化されるか、又は受信機と統合してトランシーバを形成することができる。いくつかの実施形態では、ダイオード又はレーザであり得る光源1102は、連続的な波長又はモードで出力する。データは、変調器1104によって光源1102に適用され、次に、変調器1104は、HECF1108上で送信される他の変調された光源と多重化される。いくつかの実施形態では、光源及び変調器は、一緒に統合され得る。
【0054】
図12は、統合したモード分割逆多重化モジュールを含む光受信機1200を示している。受信機は、典型的に、光伝送機器に容易に統合できるようにハウジングに含まれている。受信機1100は、それ自体でパッケージ化されるか、又は送信機1100と統合してトランシーバを形成することができる。モード多重化データは、HECF1108から受信され、モードデマルチプレクサ1206においてそのモードに分割される。次に、各モードの光は、PINダイオード又はAPDであり得る光検出器1202で受信される。
【0055】
図13は、統合したモード分割マルチプレクサ/デマルチプレクサモジュールを含む光トランシーバ1300を示している。トランシーバは、典型的に、光伝送機器に容易に統合できるようにハウジングに含まれている。トランシーバ1300は、送信機1100及び受信機1200の機能を組み合わせる。いくつかの実施形態では、ダイオード又はレーザであり得る光源1102は、連続的な波長又はモードで出力する。データは、変調器1104によって光源1102に適用され、サーキュレータ1312を通過し、次にHECF1108上で送信される他の変調された光源と多重化される。いくつかの実施形態では、光源及び変調器は一緒に統合され得る。受け取った光は、モードMUX/DeMUX1310を通過してサーキュレータ1312に入り、サーキュレータ1312は、データを受け取るために、受け取った逆多重化した光を、PINダイオード又はAPDであり得る光検出器1202に送る。
【0056】
図14に示されるように、HECF1400は、MCVA(modified chemical vapor deposition)プロセスを使用して調製されたプリフォームから製造され得る。プリフォームは円柱形であり、同軸の内側コア104及び外側クラッド102を含む。内側コア104は、円形の断面を有する。対向する長手方向の側面1402、1404は、プリフォームから切り取られて、2つの対向する平坦な平行な側面14061408をもたらす。次に、切り取られたプリフォームは、表面張力及び材料の流れのために平坦な表面が消えるように加熱される。その結果、円形コア104は、加熱プロセス中に楕円になる。楕円のコアを含む切り取られたプリフォームを引っ張って光ファイバを形成する。得られた光ファイバは、2~40の間の楕円率を有する楕円の断面を有するコア104と、円形の断面を有するクラッド102とを含む。コア104及びクラッド102は、コア104がクラッド102によって囲まれた状態で共通の中心軸線を有する。プリフォームは、MCVDによって製造されたので、コアを取り囲むトレンチ106を含むことができた。
【0057】
当業者は、必ずしも互いに整列しているわけではないが(例えば、長手方向の側面を形成せずに)、全体として、加熱によって誘発された再形成の結果として上記の楕円のコアで生じる複数の切り取りを行うことが可能であり得ることを理解するだろう。
【0058】
図15は、
図14に示されるようなHECFを製造する方法1500を示すフローチャートである。ステップ1502において、内側コア104及び外側クラッド102を有する円柱形のプリフォームが形成される。内側コア104は、円形の断面プロファイルを有する。円柱形のプリフォームは、MCVDプロセスを使用して形成することができる。ステップ1504において、円柱形のプリフォームの2つの対向する側面1402、1404は、円柱形のプリフォームの長さに沿って切り取られ、円柱形のプリフォームの長手方向軸線に沿って対向する平行な表面14061408を有する切り取られたプリフォームを生成する。様々な実施形態では、プリフォームの切り取りは、内側コア104の切り取りを回避する方法で行われる。ステップ1506において、切り取られたプリフォームは加熱される。加熱によって軟化する切り取られたプリフォームの外面の表面張力により、プリフォームの外面が再び円形になるまで切り取られたプリフォームを変形させることができる。表面張力はプリフォーム全体に歪みを引き起こすため、切り取られたプリフォームが外側の円形プロファイルをとるときに、内側コア104が歪んで、コア104のプロファイルが楕円になる。前述したように、この一般的に楕円のコアは、2~40の間の楕円率を有する。楕円のコアを囲んだ(又は包んだ)後の外側のクラッドは、略円形の断面を有する。ステップ1508において、切り取られ加熱されたプリフォームを引っ張って、光ファイバが形成される。いくつかの実施形態では、コア104及びクラッド102は、一般に同軸であり、共通の中心軸線を有する。
【0059】
本開示の一態様は、楕円の断面及び2~40の間の楕円率を有するコアを含む光ファイバを含む。光ファイバは、コアを囲む、円形の断面を有するクラッドも含む。
【0060】
本開示の一態様は、共通の中心軸線を有するコア及びクラッドを含む。
【0061】
本開示の一態様は、クラッドの屈折率とコアの屈折率との差が1×10-2~1.5×10-1の間である光ファイバを含む。
【0062】
本開示の一態様は、コアの屈折率に対するクラッドの屈折率の比が1×10-2~1.5×10-1の間である光ファイバを含む。
【0063】
本開示の一態様は、コアとクラッドとの間に位置するトレンチを有する光ファイバを含む。トレンチは、均一な幅を有しており、コアを取り囲んでいる。トレンチの屈折率は、クラッドの屈折率よりも低い。
【0064】
本開示の一態様は、y軸に沿ったコアの幅によってシングルモード伝送が可能になる光ファイバを含む。
【0065】
本開示の一態様は、x軸に沿ったコアの幅によって複数のモードペアの伝送が可能になる光ファイバを含む。
【0066】
本開示の一態様は、複数のモードペアのそれぞれが2つの直交する直線偏光を有する光ファイバを含む。
【0067】
本開示の一態様は、複数のモードペアが、1×10-4より大きい、隣接するベクトルモードの間の実効屈折率分離を有する光ファイバを含む。
【0068】
本開示の一態様は、実効屈折率分離が、光ファイバの製造中に誘発される熱応力及びコアの楕円の形状によって引き起こされる光ファイバを含む。
【0069】
本開示の一態様は、コアが希土類イオンでドープされている光ファイバを含む。
【0070】
本開示の一態様は、入力信号及び第1のポンプ光源からの出力を受け取る第1のWDRDカプラを含む光ファイバ増幅器(OFA)を含む。光ファイバは、第1のWDMカプラからの出力を受け取る。光ファイバは、2~40の間の楕円率を有する楕円の断面を有するコアを含む。光ファイバは、コアを囲む、円形の断面を有するクラッドも含む。OFAは、光ファイバの出力と第2のポンプ光源の出力とを受け取る第2のWDMカプラも含む。第2のWDMカプラは、増幅した光信号を出力する。
【0071】
本開示の一態様は、コア及びクラッドが共通の中心軸線を有するOFAを含む。
【0072】
本開示の一態様は、コアが希土類イオンでドープされているOFAを含む。
【0073】
本開示の一態様は、光ファイバがコアとクラッドとの間に位置するトレンチを含むOFAを含む。トレンチは、均一な幅を有しており、コアを取り囲んでいる。トレンチの屈折率は、クラッドの屈折率よりも低い。
【0074】
本開示の一態様は、y軸に沿ったコアの幅によってシングルモード伝送が可能なり、x軸に沿ったコアの幅によって複数のモードペアの伝送が可能になるOFAを含む。
【0075】
本開示の一態様は、光モードの光透過を検出する光センサを含む。光センサは、光ファイバに沿って配置された複数の感知素子を含む。光ファイバは、楕円の断面及び2~40の間の楕円率を有するコアを含む。光ファイバは、円形の断面を有するクラッドを含む。コアはクラッドによって囲まれている。光ファイバは、複数のベクトルモードを含む入力信号を受け取る。複数の感知素子のそれぞれは、複数のベクトルモードのうちの1つを反射する。データ取得モジュールは、複数の感知素子のうちの1つによって反射された複数のベクトルモードのうちの1つを受け取る。いくつかの実施形態では、コア及びクラッドは、共通の中心軸線を有する。
【0076】
本開示の一態様は、光送信機モジュールを含む。モジュールは、複数の光源を含む。複数の光源のそれぞれは、複数のベクトルモードのうちの1つで一定の光信号を出力する。複数の光変調器は、一定の光信号のうちの1つを受信し、変調した光信号を出力する。モードマルチプレクサは、変調した光信号のそれぞれを受信して、モード多重化光出力を生成する。光ファイバは、モード多重化光出力を受け取る。光ファイバは、2~40の間の楕円率を有する楕円の断面を有するコアを含む。光ファイバは、円形の断面を有するクラッドも含み、コアは、クラッドによって囲まれている。いくつかの実施形態では、コア及びクラッドは、共通の中心軸線を有する。
【0077】
本開示の一態様は、光ファイバを含む光受信機モジュールを含む。光ファイバは、モード多重化光信号を受け取る。光ファイバは、2~40の間の楕円率を有する楕円の断面を有するコアを含む。光ファイバはクラッドも含む。コアはクラッドによって囲まれている。光受信機モジュールはまた、光ファイバからモード多重化光信号を受信し、複数の変調した光信号を出力するモードデマルチプレクサを含む。複数の変調した光信号のそれぞれには、複数のベクトルモードのうちの1つでの光が含まれる。複数の光検出器はそれぞれ、複数の変調した光信号のうちの1つを受け取る。いくつかの実施形態では、コア及びクラッドは共通の中心軸線を有する。
【0078】
本開示の一態様は、送信経路及び受信経路を含む光トランシーバを含む。送信経路は、複数のベクトルモードのうちの1つで一定の光信号を出力する複数の光源を含む。複数の光変調器は、一定の光信号のうちの1つを受信し、変調した光信号を出力する。複数のサーキュレータは、変調した光信号のうちの1つを受信し、変調した光信号のうちの1つを出力する。モードマルチプレクサは、複数のサーキュレータから変調した光信号のそれぞれを受信して、モード多重化光出力を生成する。光ファイバは、モード多重化光出力を受け取る。光ファイバは、楕円の断面及び2~40の間の楕円率を有するコアを含む。光ファイバは、円形の断面を有するクラッドも含み、コアはクラッドによって囲まれている。いくつかの実施形態では、コア及びクラッドは共通の中心軸線を有する。
【0079】
受信経路には、光ファイバからモード多重化光信号を受信し、受信した複数の変調光信号を出力するモードデマルチプレクサが含まれる。受信した複数の変調光信号のそれぞれには、複数のベクトルモードのうちの1つでの光が含まれる。複数の光検出器はそれぞれ、複数のサーキュレータを介して、受信した複数の変調光信号のうちの1つを受け取る。
【0080】
本開示の一態様は、光ファイバを製造するための方法を含む。この方法は、内側コア及び外側クラッドを含む断面を有する円柱形のプリフォームを準備するステップであって、内側コアは円形プロファイルを有する、準備するステップと;円柱形のプリフォームの長さに沿って円柱形のプリフォームの2つの対向する側面を切り取って、切り取られたプリフォームの長手方向軸線に沿って対向する平行な表面を有する切り取られたプリフォームを生成するステップと;切り取られたプリフォームが円形プロファイルになり、切り取られたプリフォームの内側コアが楕円プロファイルになるまで、切り取られたプリフォームを加熱するステップと;切り取られたプリフォームを引っ張って、楕円プロファイルを含むコアを有する光ファイバを形成するステップであって、コアは2~40の楕円率を有しており、クラッドは円形の断面を有しており、コアはクラッドによって囲まれている、形成するステップと;を含む。いくつかの実施形態では、コア及びクラッドは、共通の中心軸線を有する。
【0081】
本開示の一態様は、コアとクラッドとの間に位置するトレンチ部分を含む。トレンチ部分は、光ファイバ内に存在しており、コアをクラッドから分離させる。
【0082】
本開示の一態様は、MCVA(modified chemical vapor deposition)プロセスを使用して製造される円柱形のプリフォームを含む。
【0083】
本開示の別の態様では、プリフォームは、コアとクラッドとの間に位置するトレンチ部分をさらに含む。トレンチ部分は、光ファイバ内に存在しており、コアをクラッドから分離させる。
【0084】
本開示の別の態様では、楕円プロファイルは、加熱中の表面張力及び材料の流れによって形成される。
【0085】
別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0086】
本発明について、その特定の特徴及び実施形態を参照して説明してきたが、本発明から逸脱することなく、様々な修正及び組合せを行うことができることは明らかである。従って、明細書及び図面は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の例示として単に見なすべきであり、本発明の範囲内にある全ての修正、変形、組合せ、又は同等物を網羅すると考えられる。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ:であって、当該光ファイバは、
楕円の断面を有するコアであって、2~40の間の楕円率を有するコアと、
該コアを囲む、円形の断面を有するクラッドと、を含む、
光ファイバ。
【請求項2】
前記コア及び前記クラッドは、共通の中心軸線を有する、請求項1に記載の光ファイバ。
【請求項3】
前記クラッドの屈折率と前記コアの屈折率との差が1×10
-2~1.5×10
-1の間である、請求項1又は2に記載の光ファイバ。
【請求項4】
前記コアと前記クラッドとの間に位置するトレンチをさらに含み、該トレンチは、均一な幅を有しており、前記コアを取り囲み、前記トレンチの屈折率は前記クラッドの前記屈折率よりも低い、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光ファイバ。
【請求項5】
y軸に沿った前記コアの幅によってシングルモード伝送が可能になる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光ファイバ。
【請求項6】
x軸に沿った前記コアの幅によって複数のモードペアの伝送が可能になる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光ファイバ。
【請求項7】
前記複数のモードペアのそれぞれが、2つの直交する直線偏光から構成される、請求項6に記載の光ファイバ。
【請求項8】
前記複数のモードペアは、1×10
-4より大きい、隣接するベクトルモードの間の実効屈折率分離を有する、請求項6又は7に記載の光ファイバ。
【請求項9】
前記実効屈折率分離は、当該光ファイバの製造中に誘発される熱応力及び前記コアの前記楕円の形状によって引き起こされる、請求項
8に記載の光ファイバ。
【請求項10】
前記コアは、希土類イオンでドープされている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光ファイバ。
【請求項11】
光ファイバ増幅器であって、当該光ファイバ増幅器は、
入力信号及び第1のポンプ光源からの出力を受け取る第1のWDMカプラと、
該第1のWDMカプラからの出力を受け取る光ファイバであって、楕円の断面を有しており、2~40の間の楕円率を有するコアと、該コアを囲む、円形の断面を有するクラッドとを含む光ファイバと、
前記光ファイバの前記出力及び第2のポンプ光源の出力を受け取る第2のWDMカプラであって、増幅した光信号を出力する第2のWDMカプラと、を含む、
光ファイバ増幅器。
【請求項12】
前記コア及び前記クラッドは、共通の中心軸線を有する、請求項11に記載の光ファイバ増幅器。
【請求項13】
前記コアは、希土類イオンでドープされている、請求項11又は12に記載の光ファイバ増幅器。
【請求項14】
前記光ファイバは、前記コアと前記クラッドとの間に位置するトレンチをさらに含み、該トレンチは、均一な幅を有しており、前記コアを取り囲んでおり、前記トレンチの屈折率は、前記クラッドの前記屈折率よりも低い、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の光ファイバ増幅器。
【請求項15】
y軸に沿った前記コアの幅によってシングルモード伝送が可能になり、x軸に沿った前記コアの幅によって複数のモードペアの伝送が可能になる、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の光ファイバ増幅器。
【請求項16】
光ファイバを製造するための方法であって、当該方法は、
内側コア及び外側クラッドを含む断面を有する円柱形のプリフォームを準備するステップであって、前記内側コアは円形プロファイルを有する、準備するステップと、
前記円柱形のプリフォームの長さに沿って前記円柱形のプリフォームの2つの対向する側面を切り取って、切り取られたプリフォームの長手方向軸線に沿って対向する平行な表面を有する前記切り取られたプリフォームを生成するステップと、
切り取られたプリフォームが円形プロファイルになり、前記切り取られたプリフォームの内側コアが楕円プロファイルになるまで、前記切り取られたプリフォームを加熱するステップと、
前記切り取られたプリフォームを引っ張って前記光ファイバを形成するステップであって、該光ファイバは、楕円プロファイルを有しており、2~40の楕円率を有するコアと、円形の断面を有するクラッドとを含み、前記コアは前記クラッドによって囲まれている、形成するステップと、を含む、
方法。
【請求項17】
前記円柱形のプリフォームは、前記コアと前記クラッドとの間に位置するトレンチ部分をさらに含み、該トレンチ部分は、前記光ファイバ内に存在しており、前記コアを前記クラッドから分離させる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記円柱形のプリフォームは、MCVA(modified chemical vapor deposition)プロセスを使用して製造される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
加熱中の表面張力及び材料の流れによって前記楕円プロファイルが形成される、請求項16乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記コア及び前記クラッドは、共通の中心軸線を有する、請求項16乃至19のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ通信の分野、特に楕円コアの光ファイバに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットトラフィック及びクラウドコンピューティングの需要によって、現在の光通信インフラストラクチャに高い需要が課されている。特に、データセンタで見受けられるような短距離の相互接続には、高帯域幅のリンクが必要である。少数モードファイバ(FMF)を介したモード分割多重化(MDM)は、これらのデータトラフィックの需要を満たすための有望なアプローチである。MDMシステムでは、空間モード同士の間のクロストークは、信号品質に対する最も重大な障害のうちの1つである。
【0003】
現在のMDMシステムでは、チャネルクロストークを補償し、受信機側で情報データを受け取るために、多入力多出力(MIMO)デジタル信号処理(DSP)が一般に必要とされる。この完全MIMOアプローチの欠点は、その複雑さである。モード間群遅延差(differential modal group delay)を最小化することによって複雑さをある程度軽減することができるが、それでも大量の計算リソース及び消費電力が必要になる。
【0004】
DSPの複雑さを軽減するために、FMFにおける様々な設計的戦略が提案されている。1つのアプローチは、MIMO DSP構成要素の複雑さを軽減するために、空間モード同士の間の実効屈折率差δneffを増やすことである。
【0005】
部分的MIMO-DSPアプローチは、システムの複雑さを軽減し得るが、依然としてMIMOフリーの設計にすることが望ましい。これを実現するために、いくつかのソリューションでは、楕円リングコアファイバ(ERCF)、PANDAリングコアファイバ、又は内部エアホールのあるERCFを使用して、空間モードの偏波縮退(polarization degeneracy)を低減する偏波保持(PM: polarization-maintaining)FMF設計を提案している。これらのファイバ設計は、隣接するベクトルモードの間の実効屈折率差を高めることを目的としている。しかしながら、これらのソリューションには、モードの数が制限されるという欠点に悩まされる。
【0006】
従って、従来技術の1つ又は複数の制限を受けない光ファイバが必要である。
【0007】
この背景情報は、出願人が本発明に関連する可能性があると信じる情報を明らかにするために提供される。前述した情報のいずれかが本発明に対する先行技術を構成することを必ずしも認めることを意図しておらず、またそのように解釈すべきではない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態の目的は、MDM通信システムで使用するための改良した光ファイバを提供することである。
【0009】
本開示の一態様は、楕円の断面及び2~40の間の楕円率を有するコアを含む光ファイバを含む。光ファイバは、円形の断面を有するクラッドも含み、クラッドがコアを囲んでいる。
【0010】
本開示の一態様は、共通の中心軸線を有するコア及びクラッドを含む。
【0011】
本開示の一態様は、クラッドの屈折率とコアの屈折率との差が1×10-2~1.5×10-1の間である光ファイバを含む。
【0012】
本開示の一態様は、コアの屈折率に対するクラッドの屈折率の比が1×10-2~1.5×10-1の間である光ファイバを含む。
【0013】
本開示の一態様は、コアとクラッドとの間に位置するトレンチを有する光ファイバを含む。トレンチは、均一な幅を有しており、コアを取り囲んでいる。トレンチの屈折率は、クラッドの屈折率よりも低い。
【0014】
本開示の一態様は、y軸に沿ったコアの幅によってシングルモード伝送が可能になる光ファイバを含む。
【0015】
本開示の一態様は、x軸に沿ったコアの幅によって複数のモードペアの伝送が可能になる光ファイバを含む。
【0016】
本開示の一態様は、複数のモードペアのそれぞれが2つの直交する直線偏光を有する光ファイバを含む。
【0017】
本開示の一態様は、複数のモードペアが、1×10-4より大きい、隣接するベクトルモードの間の実効屈折率分離を有する光ファイバを含む。
【0018】
本開示の一態様は、実効屈折率分離が、光ファイバの製造中に誘発される熱応力及びコアの楕円の形状によって引き起こされる光ファイバを含む。
【0019】
本開示の一態様は、コアが希土類イオンでドープされている光ファイバを含む。
【0020】
本開示の一態様は、入力信号及び第1のポンプ光源からの出力を受け取る第1のWDM(波長分割多重)カプラを含む光ファイバ増幅器(OFA)を含む。光ファイバが、第1のWDMカプラからの出力を受け取る。光ファイバは、2~40の間の楕円率を有する楕円の断面を有するコアを含む。光ファイバは、コアを囲む、円形の断面を有するクラッドも含む。OFAは、光ファイバの出力及び第2のポンプ光源の出力を受け取る第2のWDMカプラも含む。第2のWDMカプラは、増幅した光信号を出力する。
【0021】
本開示の一態様は、コア及びクラッドが共通の中心軸線を有するOFAを含む。
【0022】
本開示の一態様は、コアが希土類イオンでドープされているOFAを含む。
【0023】
本開示の一態様は、光ファイバがコアとクラッドとの間に位置するトレンチを含むOFAを含む。トレンチは、均一な幅を有しており、コアを取り囲んでいる。トレンチの屈折率は、クラッドの屈折率よりも低い。
【0024】
本開示の一態様は、y軸に沿ったコアの幅によってシングルモード伝送が可能なり、x軸に沿ったコアの幅によって複数のモードペアの伝送が可能になるOFAを含む。
【0025】
本開示の一態様は、光ファイバを製造するための方法を含む。この方法は、内側コア及び外側クラッドを含む断面を有する円柱形のプリフォームを準備するステップであって、内側コアは円形プロファイルを有する、準備するステップと;円柱形のプリフォームの長さに沿って円柱形のプリフォームの2つの対向する側面を切り取って、切り取られたプリフォームの長手方向軸線に沿って対向する平行な表面を有する切り取られたプリフォームを生成するステップと;切り取られたプリフォームが円形プロファイルになり、切り取られたプリフォームの内側コアが楕円プロファイルになるまで、切り取られたプリフォームを加熱するステップと;切り取られたプリフォームを引っ張って、楕円プロファイルを含むコアを有する光ファイバを形成するステップであって、コアは、2~40の楕円率を有しており、クラッドは、円形の断面を有しており、コアはクラッドによって囲まれる、形成するステップと;を含む。
【0026】
本開示の一態様は、共通の中心軸線を有するコア及びクラッドを含む。
【0027】
本開示の一態様は、コアとクラッドとの間に位置するトレンチ部分を含む。トレンチ部分は、光ファイバ内に存在し、コアをクラッドから分離させる。
【0028】
本開示の一態様は、MCVA(modified chemical vapor deposition)プロセスを使用して製造される円柱形のプリフォームを含む。
【0029】
本開示の別の態様では、プリフォームは、コアとクラッドとの間に位置するトレンチ部分をさらに含む。トレンチ部分は、光ファイバ内に存在し、コアをクラッドから分離させる。
【0030】
本開示の別の態様では、楕円プロファイルは、加熱中の表面張力及び材料の流れによって形成される。
【0031】
実施形態について、それら実施形態を実施することができる本発明の態様と併せて上で説明してきた。当業者は、実施形態が、説明している態様と併せて実施され得るが、その態様の他の実施形態と一緒に実施してもよいことを理解するだろう。実施形態が互いに排他的である場合、又はそうでなければ互いに互換性がない場合に、それは当業者には明らかであろう。いくつかの実施形態は、1つの態様に関連して説明し得るが、当業者に明らかであるように、他の態様にも適用可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付の図面と組み合わせて考慮する際に、以下の詳細な説明から明らかになろう。
【
図1】一実施形態による光ファイバの断面図である。
【
図2】一実施形態による、光ファイバのx軸に沿った屈折率プロファイルを示す図である。
【
図3】光ファイバの断面図と、ファイバ延伸プロセス中にコア/クラッド境界の法線方向に沿ってコア内に誘発される圧縮熱応力とを示す図である。
【
図4】別の実施形態による光ファイバの断面図である。
【
図5】一実施形態による、光ファイバのx軸に沿った屈折率プロファイルを示す図である。
【
図6】WDMとMDMとを組み合わせた光通信システムを示す図である。
【
図7】一実施形態による、光ファイバへのデータのモード多重化を示す図である。
【
図8】一実施形態による、光ファイバへのデータのモード逆多重化を示す図である。
【
図9】一実施形態による、光ファイバを利用する光ファイバ増幅器を示す図である。
【
図10】一実施形態による、光ファイバを利用する光ファイバ感知機器を示す図である。
【
図11】一実施形態による、光ファイバを利用するMDM送信機を示す図である。
【
図12】一実施形態による、光ファイバを利用するMDM受信機を示す図である。
【
図13】一実施形態による、光ファイバを利用するMDMトランシーバを示す図である。
【
図14】一実施形態による、HECFを製造する方法を示す図である。
【
図15】一実施形態による、HECFを製造する方法のフローチャートである。 添付の図面全体を通して、同様の特徴が同様の参照符号によって特定されることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施形態は、偏波保持性の高楕円コアファイバ(HECF:highly elliptical core fiber)を含む。高楕円のコア形状と、ファイバ製造中に誘発される熱応力とを組み合わせることにより、複屈折の値が1×10-4より高くなり、モード結合が減少し、次に、このファイバがMIMOフリーMDM伝送システムでの使用に適したものになる。
【0034】
図1は、本発明の第1の実施形態による、高楕円(高度に楕円の)コアファイバ(HECF)100の断面図を示している。光ファイバは、典型的に、業界標準である直径125μm(マイクロメートル)のクラッド102を含む。トレンチ106によって囲まれた中実のコア104が、ファイバの中心にある。
図1に示していないが、殆どの実施形態において、クラッドは、当技術分野で知られているように、バッファ(buffer:緩衝層)によりさらに囲まれており、次にジャケットによって覆われる。
【0035】
コア104の断面プロファイルは、楕円の形状である。コアの断面104は、x軸110及びy軸108を有する。一実施形態では、コア104は、x軸110に沿って38.5μm202及びy軸108に沿って6.1μmのおよその断面寸法を有する。短いy軸108に沿った寸法は、シングルモード動作、TEm,n/TMm,nモードの場合はn=1を可能にするように選択される。x軸110の寸法は、複数の空間モードがx軸110の一次元アレイに分散されるのを可能にするように選択される。他の実施形態では、コアの楕円率ηは、y方向の断面長に対するx方向の断面長の比として規定され、2~40の間である。当業者は、x軸110が楕円コアの主軸とも呼ばれ得る一方、y軸108が楕円コアの短軸と呼ばれ得ることを理解するだろう。主軸がもはや水平でなくなるようにファイバを回転させても、X軸及びY軸の位置合わせが変わるとは見なされない。当業者は、楕円率ηが、y軸108に沿ったコアの幅に対するx軸110に沿ったコアの幅の比として考えられ得ることも理解するだろう。
【0036】
コア104は、x軸110の長さがy軸の長さよりも長く、従って、x軸110が楕円の主軸を形成し、y軸108が楕円の短軸を形成するように、楕円シリンダ(cylinder:円柱)と考えることができる。x軸110及びy軸108は直角に交差し、x軸110及びy軸108の交点は、楕円の断面の中心を規定する。コア104は、コア104の各楕円の断面の中心を通って延びる、長手方向軸線としても知られる中心軸線を有する楕円シリンダの形状を有する。クラッド102は、中心を含む円形の断面を有すると見ることができ、中心軸線がクラッド102の各円形の断面の中心を通って延びる円筒形を有する。コア104及びクラッド102は、コア104がクラッド102内で中心となるように、共通の中心軸線を有する。従って、HECFは、クラッド102及びコア104が共通の中心軸線を共有するように形成される。
【0037】
光ファイバは、主にSiO2から構成されるシリカガラス材料を使用して製造され、クラッド102は、実質的に純粋なシリカガラス材料から構成される。コア104は、SiO2材料にGeO2をドープすることによって製造される。いくつかの実施形態では、コア104は、7.3モル%のGeO2がドープされたSiO2から構成される。
【0038】
トレンチ106は、コア104を取り囲み、いくつかの実施形態では、約4.7μmの幅206である。トレンチは、F、フッ素がドープされたSiO2で作製される。いくつかの実施形態では、トレンチは2モル%のFでドープされる。HECFが経験する曲げ損失は、楕円率が増加するにつれて増加するが、トレンチは、光ファイバの高次モードの曲げ損失を低減するのに役立つ。
【0039】
図2は、光ファイバ100のx軸110に沿った屈折率プロファイルを示している。コア104、トレンチ106、及びクラッド102は、それぞれの材料によって決定される異なる屈折率を有する。一実施形態では、コア104とクラッド102との間の屈折率の差、Δn204は、約1.1×10
-2である。実施形態では、コア104とクラッド102との間の屈折率の差は、1×10
-2<=Δn<=1.5×10
-1の範囲内にある。一実施形態では、トレンチ106とクラッド102との間の屈折率の差、-Δn
trench208は、約5.7×10
-3である。
【0040】
高楕円コアの幾何学的形状は、光ファイバに幾何学的形状によって増強された複屈折をもたらす。この複屈折の原因は、コアの幾何学的構造に関連しており、コアの楕円率が高いほど、複屈折の値が高くなる。
【0041】
図3を参照すると、光ファイバの製造中に、不定の圧縮熱応力302が、主にy軸108方向に沿ってコア104に誘発される。ファイバ延伸及びアニール(annealing:熱処理)プロセス中に、コア104及びクラッド層102の異なる熱膨張係数のためにファイバに応力がかかる。異なる量の応力が、そのコア構造の非対称性によって、長いx軸110及び短いy軸108に沿って加えられる。この応力の増加に伴い、等方性ガラスは異方性になり始め、その結果、主応力、x及びy応力方向に沿って屈折率が変化する。熱応力は、同じ空間モードの2つの偏光の間の実効屈折率差(δn
eff)を増加させる効果がある。
【0042】
本発明の一実施形態による光ファイバは、10個のMDMチャネルを得るために、2倍の偏波縮退を伴う5つの空間モードグループに関するデータを送信することができる。サポートされるモードは、偏光状態に応じて(それぞれ、x軸又はy軸に沿って)TE1n及びTM1nとラベル付けされる。特に、下付き文字「1」は短軸(y軸)に沿ったシングルモード動作を示す一方、「n」は長軸(x軸)に沿ったモードプロファイルの暗線の数を示す整数である。
【0043】
製造中に生成される熱応力と組み合わされたコアの楕円の形状は、比較的大きな複屈折を生成するので、モード間実効屈折率分離δneffは1×10-4よりも大きくなる。これにより、HECF内のモード結合が減少するので、ファイバモードが約1km(キロメートル)のファイバ長まで大きなクロストークなしに伝搬できるようになる。これにより、MIMO DSPを必要としない伝送システムを設計することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、光学活性(optical active:旋光性)ファイバを生成するために、コアに、エルビウム及び/又はイッテルビウム等の希土類イオンをドープすることができる。
【0045】
図4は、代替構造を有する別の実施形態による光ファイバ400を示している。
図1に示される実施形態と比較して、この実施形態は、クラッド102及びコア104を含むが、コアとクラッドとの間のトレンチ106を欠いている。トレンチ106は、ファイバ内の高次モードの曲げ損失を低減するのに役立つ。しかしながら、いくつかの実施形態では、屈折率差204、Δnを約1.5×10
-1に増加させることによって、曲げ損失を低減することもできる。
【0046】
図5は、光ファイバ400のx軸110に沿った屈折率プロファイルを示している。コア104及びクラッド102は、それぞれの材料によって決定される異なる屈折率を有する。一実施形態では、コア104とクラッド102との間の屈折率の差、Δn204は、約1.1×10
-2である。
【0047】
図6は、本発明の実施形態を組み込んだシステムを示している。本発明は、MIMOフリーのモード分割多重化システムで使用することができる。WDM送信機602からの出力は、WDMカプラ604に入力され、単一の出力ファイバ内に多重化される。次に、WDMカプラ604からの各出力は、モードマルチプレクサ606によって多重化され、HECF608で対応するモードに変換される。HECF608を通した伝送後に、ファイバモードはモードデマルチプレクサ610によって受信及び分離され、続いて複数のWDMカプラ612によって波長チャネルが分離され、最終的に受信機614によって検出される。ファイバ内部のモード同士の間のクロストークが低いため、MIMO DSPは必要ない。
【0048】
図7は、HECF702を利用するモード分割マルチプレクサの実施形態を示している。異なるモードTE
11、TE
12、・・・、TE
1nの光入力は、溶融ファイバモードカプラ704を使用してHECF702に多重化され得る。
【0049】
図8は、HECF802を利用するモード分割デマルチプレクサの実施形態を示している。溶融ファイバモードカプラ804は、TE
11、TE
12、・・・、TE
1nから信号を受け取るために、所定のモードの光を通過させて光ファイバ806に出力する。
【0050】
図9は、一実施形態によるHECF902を含む光ファイバ増幅器(OFA)900を示している。HECF902は、エルビウム等の希土類イオンがドープされ、2つのWDMカプラ904を接続するコアを有する。各WDMカプラは、ポンプダイオード908の出力を受け取る。入力906の光パワーは、OFAとファイバ910の出力とによって増幅される。
【0051】
図10は、別の実施形態による感知システム1000を示している。HECF1002は、感知素子1004を通過する。信号源及びデータ取得モジュールは、デバイス1006内で同じ場所に配置される。いくつかの実施形態では、感知素子1004は、ファイバブラッグ格子(FBG)である。光信号源1006からの光が感知素子1004を通過するときに、所定のファイバモードの光は、信号源に逆反射され、データ取得モジュール1006によって受け取られる。
【0052】
図11は、統合したモード分割多重化モジュールを含む光送信機1100を示している。送信機は、典型的に、光伝送機器に容易に統合できるようにハウジングに含まれている。送信機1100は、それ自体でパッケージ化されるか、又は受信機と統合してトランシーバを形成することができる。いくつかの実施形態では、ダイオード又はレーザであり得る光源1102は、連続的な波長又はモードで出力する。データは、変調器1104によって光源1102に適用され、次に、変調器1104は、HECF1108上で送信される他の変調された光源と多重化される。いくつかの実施形態では、光源及び変調器は、一緒に統合され得る。
【0053】
図12は、統合したモード分割逆多重化モジュールを含む光受信機1200を示している。受信機は、典型的に、光伝送機器に容易に統合できるようにハウジングに含まれている。受信機1100は、それ自体でパッケージ化されるか、又は送信機1100と統合してトランシーバを形成することができる。モード多重化データは、HECF1108から受信され、モードデマルチプレクサ1206においてそのモードに分割される。次に、各モードの光は、PINダイオード又はAPDであり得る光検出器1202で受信される。
【0054】
図13は、統合したモード分割マルチプレクサ/デマルチプレクサモジュールを含む光トランシーバ1300を示している。トランシーバは、典型的に、光伝送機器に容易に統合できるようにハウジングに含まれている。トランシーバ1300は、送信機1100及び受信機1200の機能を組み合わせる。いくつかの実施形態では、ダイオード又はレーザであり得る光源1102は、連続的な波長又はモードで出力する。データは、変調器1104によって光源1102に適用され、サーキュレータ1312を通過し、次にHECF1108上で送信される他の変調された光源と多重化される。いくつかの実施形態では、光源及び変調器は一緒に統合され得る。受け取った光は、モードMUX/DeMUX1310を通過してサーキュレータ1312に入り、サーキュレータ1312は、データを受け取るために、受け取った逆多重化した光を、PINダイオード又はAPDであり得る光検出器1202に送る。
【0055】
図14に示されるように、HECF1400は、MCVA(modified chemical vapor deposition)プロセスを使用して調製されたプリフォームから製造され得る。プリフォームは円柱形であり、同軸の内側コア104及び外側クラッド102を含む。内側コア104は、円形の断面を有する。対向する長手方向の側面1402、1404は、プリフォームから切り取られて、2つの対向する平坦な平行な側面14061408をもたらす。次に、切り取られたプリフォームは、表面張力及び材料の流れのために平坦な表面が消えるように加熱される。その結果、円形コア104は、加熱プロセス中に楕円になる。楕円のコアを含む切り取られたプリフォームを引っ張って光ファイバを形成する。得られた光ファイバは、2~40の間の楕円率を有する楕円の断面を有するコア104と、円形の断面を有するクラッド102とを含む。コア104及びクラッド102は、コア104がクラッド102によって囲まれた状態で共通の中心軸線を有する。プリフォームは、MCVDによって製造されたので、コアを取り囲むトレンチ106を含むことができた。
【0056】
当業者は、必ずしも互いに整列しているわけではないが(例えば、長手方向の側面を形成せずに)、全体として、加熱によって誘発された再形成の結果として上記の楕円のコアで生じる複数の切り取りを行うことが可能であり得ることを理解するだろう。
【0057】
図15は、
図14に示されるようなHECFを製造する方法1500を示すフローチャートである。ステップ1502において、内側コア104及び外側クラッド102を有する円柱形のプリフォームが形成される。内側コア104は、円形の断面プロファイルを有する。円柱形のプリフォームは、MCVDプロセスを使用して形成することができる。ステップ1504において、円柱形のプリフォームの2つの対向する側面1402、1404は、円柱形のプリフォームの長さに沿って切り取られ、円柱形のプリフォームの長手方向軸線に沿って対向する平行な表面14061408を有する切り取られたプリフォームを生成する。様々な実施形態では、プリフォームの切り取りは、内側コア104の切り取りを回避する方法で行われる。ステップ1506において、切り取られたプリフォームは加熱される。加熱によって軟化する切り取られたプリフォームの外面の表面張力により、プリフォームの外面が再び円形になるまで切り取られたプリフォームを変形させることができる。表面張力はプリフォーム全体に歪みを引き起こすため、切り取られたプリフォームが外側の円形プロファイルをとるときに、内側コア104が歪んで、コア104のプロファイルが楕円になる。前述したように、この一般的に楕円のコアは、2~40の間の楕円率を有する。楕円のコアを囲んだ(又は包んだ)後の外側のクラッドは、略円形の断面を有する。ステップ1508において、切り取られ加熱されたプリフォームを引っ張って、光ファイバが形成される。いくつかの実施形態では、コア104及びクラッド102は、一般に同軸であり、共通の中心軸線を有する。
【0058】
本開示の一態様は、楕円の断面及び2~40の間の楕円率を有するコアを含む光ファイバを含む。光ファイバは、コアを囲む、円形の断面を有するクラッドも含む。
【0059】
本開示の一態様は、共通の中心軸線を有するコア及びクラッドを含む。
【0060】
本開示の一態様は、クラッドの屈折率とコアの屈折率との差が1×10-2~1.5×10-1の間である光ファイバを含む。
【0061】
本開示の一態様は、コアの屈折率に対するクラッドの屈折率の比が1×10-2~1.5×10-1の間である光ファイバを含む。
【0062】
本開示の一態様は、コアとクラッドとの間に位置するトレンチを有する光ファイバを含む。トレンチは、均一な幅を有しており、コアを取り囲んでいる。トレンチの屈折率は、クラッドの屈折率よりも低い。
【0063】
本開示の一態様は、y軸に沿ったコアの幅によってシングルモード伝送が可能になる光ファイバを含む。
【0064】
本開示の一態様は、x軸に沿ったコアの幅によって複数のモードペアの伝送が可能になる光ファイバを含む。
【0065】
本開示の一態様は、複数のモードペアのそれぞれが2つの直交する直線偏光を有する光ファイバを含む。
【0066】
本開示の一態様は、複数のモードペアが、1×10-4より大きい、隣接するベクトルモードの間の実効屈折率分離を有する光ファイバを含む。
【0067】
本開示の一態様は、実効屈折率分離が、光ファイバの製造中に誘発される熱応力及びコアの楕円の形状によって引き起こされる光ファイバを含む。
【0068】
本開示の一態様は、コアが希土類イオンでドープされている光ファイバを含む。
【0069】
本開示の一態様は、入力信号及び第1のポンプ光源からの出力を受け取る第1のWDRDカプラを含む光ファイバ増幅器(OFA)を含む。光ファイバは、第1のWDMカプラからの出力を受け取る。光ファイバは、2~40の間の楕円率を有する楕円の断面を有するコアを含む。光ファイバは、コアを囲む、円形の断面を有するクラッドも含む。OFAは、光ファイバの出力と第2のポンプ光源の出力とを受け取る第2のWDMカプラも含む。第2のWDMカプラは、増幅した光信号を出力する。
【0070】
本開示の一態様は、コア及びクラッドが共通の中心軸線を有するOFAを含む。
【0071】
本開示の一態様は、コアが希土類イオンでドープされているOFAを含む。
【0072】
本開示の一態様は、光ファイバがコアとクラッドとの間に位置するトレンチを含むOFAを含む。トレンチは、均一な幅を有しており、コアを取り囲んでいる。トレンチの屈折率は、クラッドの屈折率よりも低い。
【0073】
本開示の一態様は、y軸に沿ったコアの幅によってシングルモード伝送が可能なり、x軸に沿ったコアの幅によって複数のモードペアの伝送が可能になるOFAを含む。
【0074】
本開示の一態様は、光モードの光透過を検出する光センサを含む。光センサは、光ファイバに沿って配置された複数の感知素子を含む。光ファイバは、楕円の断面及び2~40の間の楕円率を有するコアを含む。光ファイバは、円形の断面を有するクラッドを含む。コアはクラッドによって囲まれている。光ファイバは、複数のベクトルモードを含む入力信号を受け取る。複数の感知素子のそれぞれは、複数のベクトルモードのうちの1つを反射する。データ取得モジュールは、複数の感知素子のうちの1つによって反射された複数のベクトルモードのうちの1つを受け取る。いくつかの実施形態では、コア及びクラッドは、共通の中心軸線を有する。
【0075】
本開示の一態様は、光送信機モジュールを含む。モジュールは、複数の光源を含む。複数の光源のそれぞれは、複数のベクトルモードのうちの1つで一定の光信号を出力する。複数の光変調器は、一定の光信号のうちの1つを受信し、変調した光信号を出力する。モードマルチプレクサは、変調した光信号のそれぞれを受信して、モード多重化光出力を生成する。光ファイバは、モード多重化光出力を受け取る。光ファイバは、2~40の間の楕円率を有する楕円の断面を有するコアを含む。光ファイバは、円形の断面を有するクラッドも含み、コアは、クラッドによって囲まれている。いくつかの実施形態では、コア及びクラッドは、共通の中心軸線を有する。
【0076】
本開示の一態様は、光ファイバを含む光受信機モジュールを含む。光ファイバは、モード多重化光信号を受け取る。光ファイバは、2~40の間の楕円率を有する楕円の断面を有するコアを含む。光ファイバはクラッドも含む。コアはクラッドによって囲まれている。光受信機モジュールはまた、光ファイバからモード多重化光信号を受信し、複数の変調した光信号を出力するモードデマルチプレクサを含む。複数の変調した光信号のそれぞれには、複数のベクトルモードのうちの1つでの光が含まれる。複数の光検出器はそれぞれ、複数の変調した光信号のうちの1つを受け取る。いくつかの実施形態では、コア及びクラッドは共通の中心軸線を有する。
【0077】
本開示の一態様は、送信経路及び受信経路を含む光トランシーバを含む。送信経路は、複数のベクトルモードのうちの1つで一定の光信号を出力する複数の光源を含む。複数の光変調器は、一定の光信号のうちの1つを受信し、変調した光信号を出力する。複数のサーキュレータは、変調した光信号のうちの1つを受信し、変調した光信号のうちの1つを出力する。モードマルチプレクサは、複数のサーキュレータから変調した光信号のそれぞれを受信して、モード多重化光出力を生成する。光ファイバは、モード多重化光出力を受け取る。光ファイバは、楕円の断面及び2~40の間の楕円率を有するコアを含む。光ファイバは、円形の断面を有するクラッドも含み、コアはクラッドによって囲まれている。いくつかの実施形態では、コア及びクラッドは共通の中心軸線を有する。
【0078】
受信経路には、光ファイバからモード多重化光信号を受信し、受信した複数の変調光信号を出力するモードデマルチプレクサが含まれる。受信した複数の変調光信号のそれぞれには、複数のベクトルモードのうちの1つでの光が含まれる。複数の光検出器はそれぞれ、複数のサーキュレータを介して、受信した複数の変調光信号のうちの1つを受け取る。
【0079】
本開示の一態様は、光ファイバを製造するための方法を含む。この方法は、内側コア及び外側クラッドを含む断面を有する円柱形のプリフォームを準備するステップであって、内側コアは円形プロファイルを有する、準備するステップと;円柱形のプリフォームの長さに沿って円柱形のプリフォームの2つの対向する側面を切り取って、切り取られたプリフォームの長手方向軸線に沿って対向する平行な表面を有する切り取られたプリフォームを生成するステップと;切り取られたプリフォームが円形プロファイルになり、切り取られたプリフォームの内側コアが楕円プロファイルになるまで、切り取られたプリフォームを加熱するステップと;切り取られたプリフォームを引っ張って、楕円プロファイルを含むコアを有する光ファイバを形成するステップであって、コアは2~40の楕円率を有しており、クラッドは円形の断面を有しており、コアはクラッドによって囲まれている、形成するステップと;を含む。いくつかの実施形態では、コア及びクラッドは、共通の中心軸線を有する。
【0080】
本開示の一態様は、コアとクラッドとの間に位置するトレンチ部分を含む。トレンチ部分は、光ファイバ内に存在しており、コアをクラッドから分離させる。
【0081】
本開示の一態様は、MCVA(modified chemical vapor deposition)プロセスを使用して製造される円柱形のプリフォームを含む。
【0082】
本開示の別の態様では、プリフォームは、コアとクラッドとの間に位置するトレンチ部分をさらに含む。トレンチ部分は、光ファイバ内に存在しており、コアをクラッドから分離させる。
【0083】
本開示の別の態様では、楕円プロファイルは、加熱中の表面張力及び材料の流れによって形成される。
【0084】
別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0085】
本発明について、その特定の特徴及び実施形態を参照して説明してきたが、本発明から逸脱することなく、様々な修正及び組合せを行うことができることは明らかである。従って、明細書及び図面は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の例示として単に見なすべきであり、本発明の範囲内にある全ての修正、変形、組合せ、又は同等物を網羅すると考えられる。
【国際調査報告】