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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(54)【発明の名称】熱界面材料
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20220926BHJP
   H01L 23/373 20060101ALI20220926BHJP
   H05K 7/20 20060101ALN20220926BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01L23/36 M
H05K7/20 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506457
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 US2020044286
(87)【国際公開番号】W WO2021022055
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/880,370
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522041307
【氏名又は名称】リー,ヨンジュン
【氏名又は名称原語表記】LEE, Yong, Joon
(71)【出願人】
【識別番号】522041318
【氏名又は名称】シメカ,ジョセフ
【氏名又は名称原語表記】SCIMECA, Joseph
(71)【出願人】
【識別番号】522041329
【氏名又は名称】ブランビッラ,ニコロ
【氏名又は名称原語表記】BRAMBILLA, Nicolo
(71)【出願人】
【識別番号】522041330
【氏名又は名称】リッチ,ダニエル トンプソン
【氏名又は名称原語表記】RICH, Daniel, Thompson
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】リー,ヨンジュン
(72)【発明者】
【氏名】シメカ,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ブランビッラ,ニコロ
(72)【発明者】
【氏名】リッチ,ダニエル トンプソン
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AB04
5E322AB06
5E322EA10
5E322FA04
5F136BC07
5F136FA23
5F136FA25
5F136FA53
5F136FA63
5F136FA88
(57)【要約】
熱界面材料が開示される。この材料は、第1の主表面と第2の主表面との間に延在するシートを含み、シートが、低音材料と基材に埋め込まれた充填材とを含み、基材は、異方性配向された熱伝導素子を含み得る。いくつかの実施形態では、熱伝導素子は、第1の主表面から第2の主・表面に向かう一次の方向に沿って優先配向されて、一次の方向に沿ってシートを通る熱伝導を促進する。いくつかの実施形態では、基材に、シリコーンが実質的になく、いくつかの実施形態では、一次の方向に沿ったシートの熱伝導率は、少なくとも20W/mK、30W/mK 40W/mK、50W/mK、60W/mK、70W/mK、80W/mK、90W/mK、100W/mKであるか、またはそれよりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱界面材料であって、
第1の主表面と第2の主表面との間に延在するシートを備え、前記シートが、
基材と、
異方性配向された熱伝導素子を備える、前記基材に埋め込まれた充填材と、
を備え、
前記熱伝導素子が、前記第1の主表面から前記第2の主表面に向かう一次の方向に沿って優先配向されて、前記一次の方向に沿って前記シートを通る熱伝導を促進し、
前記基材に、シリコーンが実質的になく、
前記一次の方向に沿った前記シートの熱伝導率が、少なくとも20W/mKである、熱界面材料。
【請求項2】
前記シートが、一括して圧縮された基材の複数の層のスタックから分離されたスライスを備え、
前記層の各々に充填材が埋め込まれており、各層中の前記充填材が、異方性配向された熱伝導素子を備え、
前記スタックからの分離中の前記スライスの前記配向が、前記熱伝導素子が、前記第1の主表面から前記第2の主表面に向かう一次の方向に沿って優先配向されて、前記一次の方向に沿って前記シートを通る熱伝導を促進するようになっている、
先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項3】
前記基材が、自立型可撓性層を備える、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項4】
前記基材が、熱可塑性材料を備える、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項5】
前記一次の方向に沿った前記シートの前記熱伝導率が、少なくとも30W/mKである、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項6】
前記一次の方向に沿った前記シートの前記熱伝導率が、少なくとも50W/mKである、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項7】
前記一次の方向に沿った前記シートの前記熱伝導率が、少なくとも60W/mKである、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項8】
前記シートが、40~90の範囲のショア硬さによって特徴付けられる、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項9】
前記シートが、50~80の範囲のショア硬さによって特徴付けられる、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項10】
前記シートが、60~70の範囲のショア硬さによって特徴付けられる、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項11】
前記充填材が、セラミックフレークを備える、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項12】
前記充填材が、窒化ホウ素のフレークを備える、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項13】
前記充填材が、黒鉛フレークを備える、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項14】
前記充填材が、グラフェンフレークを備える、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項15】
前記充填材が、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの束、および配列されたカーボンナノチューブの凝集体からなるリストから選択される少なくとも1つを備える、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項16】
前記シートが、前記シートの前記第1の主表面または前記第2の主表面と近位の領域を備え、前記領域が、前記表面に対してより遠位に位置する前記熱伝導素子よりも小さく異方性配向されている前記充填材の前記熱伝導素子のサブセットを含有する、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項17】
前記シートが、前記シートの前記第1の主表面と近位の第1の領域と、前記シートの前記第2の主表面に対して近位の第2の領域と、を備え、前記第1および第2の領域の各々が、前記表面に対してより遠位に位置する前記熱伝導素子よりも小さく異方性配向されている前記充填材の前記熱伝導素子のそれぞれのサブセットを含有する、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項18】
前記シートの前記第1の主表面および前記第2の主表面のうちの少なくとも1つが、表面平滑性を促進するための溶剤で処理された表面領域を備える、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項19】
前記一次の方向に沿って前記第1の主表面から前記第2の主表面に前記シートを通って延在し、かつ前記第1の表面から前記第2の表面への熱流を促進するように構成された炭素素子をさらに備える、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面材料。
【請求項20】
前記炭素素子が、黒鉛シートを備える、請求項18に記載の熱界面。
【請求項21】
前記炭素素子が、黒鉛ストリップを備える、請求項18に記載の熱界面。
【請求項22】
前記異方性配向された熱伝導素子が、主表面を有するフレーク状素子を備え、前記フレーク状素子のうちの少なくとも65%が、前記シートの前記第1および第2の表面を横断して前記一次の方向に沿って延在する平面内に前記主表面が実質的に存在するように、配列されている、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面。
【請求項23】
前記異方性配向された熱伝導素子が、主表面を有するフレーク状素子を備え、
前記フレーク状素子のうちの少なくとも75%が、前記シートの前記第1および第2の表面を横断して前記一次の方向に沿って延在する平面内に前記フレーク状素子の前記主表面が実質的に存在するように、配列されている、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面。
【請求項24】
前記異方性配向された熱伝導素子が、主表面を有するフレーク状素子を備え、前記フレーク状素子のうちの少なくとも85%が、前記シートの前記第1および第2の主表面を横断して前記一次の方向に沿って延在する平面内に前記フレーク状素子の前記主表面が実質的に存在するように、配列されている、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面。
【請求項25】
前記異方性配向された熱伝導素子が、主表面を有するフレーク状素子を備え、前記フレーク状素子のうちの少なくとも95%が、前記シートの前記第1および第2の主表面を横断して前記一次の方向に沿って延在する平面内に前記主表面が実質的に存在するように、配列されている、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面。
【請求項26】
前記充填材が、前記シートの少なくとも50重量%である、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面。
【請求項27】
前記充填材が、前記シートの少なくとも70重量%である、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面。
【請求項28】
前記充填材が、前記シートの少なくとも80重量%である、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面。
【請求項29】
前記充填材が、前記シートの少なくとも90重量%である、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面。
【請求項30】
前記充填材が、前記シートの少なくとも95重量%である、先行請求項のいずれか一項に記載の熱界面。
【請求項31】
熱界面材料を作製する方法であって、
複数の層を備えるスタックを形成するステップであって、
各層が、基材と、異方性配向された熱伝導素子を備える充填材と、を備え、
各層が、垂直方向に沿って下面から上面に延在し、前記層が、前記垂直方向に積層される、形成するステップと、
前記スタックに力を印加して、前記垂直方向に沿って前記スタックを圧縮するステップと、前記垂直方向に延在し、かつ前記層の前記上面および下面を横断する平面に沿って前記スタックをスライスして、シートを形成するステップと、
を含み、
前記熱伝導素子が、前記垂直方向に横断する方向への優先的に促進される熱流に配向され、
前記シートが、第1の主表面と第2の主表面との間に延在し、前記基材および前記充填材の一部分であって、前記第1の主表面から前記第2の主表面に向かう一次の方向に沿って優先配向されて、前記一次の方向に沿って前記シートを通る熱伝導を促進する、異方性配向された熱伝導素子を備える、一部分を備える、方法。
【請求項32】
前記スタックを形成する前記ステップの完了前に、
基材と熱伝導素子を備える充填材との混合物を提供するステップと、
前記混合物を物理的に操作して、前記熱伝導素子を前記層内で異方性配向させるステップと、
を含む方法で各層を形成すること
をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記混合物を物理的に操作して、前記熱伝導素子を前記層内で異方性配向させることが、前記層のために前記混合物を押し出すこと、前記混合物を圧縮して前記層を形成すること、前記混合物を繰り返し折り畳んで前記層を形成すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記基材が、自己修復材料である、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記スタックをスライスする前記ステップの前に、前記スタックの前記層のうちの少なくともいくつかの間に炭素素子を挟むこと
をさらに含む、請求項30~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記炭素素子が、黒鉛シート、黒鉛ストリップ、グラフェンシート、およびグラフェンストリップからなるリストからの少なくとも1つを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記表面の平滑性を強化するために、前記シートの前記第1の主表面および前記第2の主表面のうちの少なくとも1つに溶剤を塗布することをさらに含む、請求項30~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記表面の少なくとも一部分に圧力を印加することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記シートの前記第1の主表面または第2の主表面と近位の、前記シートの領域を形成することをさらに含み、前記領域が、前記表面に対してより遠位に位置する前記熱伝導素子よりも小さく異方性配向されている前記充填材の前記熱伝導素子のサブセットを含有する、請求項30~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記シートの前記第1の主表面および前記第2の主表面のうちの少なくとも1つに対する接着剤の層をさらに備える、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記熱界面材料が、請求項1~29のいずれか一項に記載の前記熱界面材料を備える、請求項30~39のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月30日付けの、「THERMAL INTERFACE MATERIALS」と題された、米国仮特許出願第62/880,370号の利益および優先権を主張し、これらの各々の内容は、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示される本発明は、熱界面材料に関し、特に、電子部品からの熱の効率的な伝達を提供するための複合材料に関する。
【背景技術】
【0003】
エレクトロニクスが、サイズの縮小を続けながら能力を増大させるに当たり、実際に即した極限的な問題は、発熱の問題である。すなわち、有効な放熱がなければ、高密度回路の性能が実質的に損なわれ得る。放熱における1つの重要なツールセットは、多様な熱界面材料を含む。
【0004】
「熱界面材料」(本明細書では「TIM」とも呼ばれる)という用語は、概して、2つの部品間の熱結合を強化するために、2つの部分の間に挿入される任意の材料を記述する。多くの設計は、発熱デバイス(例えば、プロセッサなどの熱源)と放熱デバイス(例えば、ヒートシンク)との間に挿入される熱界面材料の使用を伴う。
【0005】
一般的に使用される熱界面材料には、いくつかの種類がある。これらには、熱グリース、熱接着剤、熱伝導パッド、熱着テープ、および相変化材料が含まれる。
【0006】
熱グリースは、薄い接合ライン、したがって、小さな熱抵抗をもたらす。熱グリースには実効的な機械的強度がなく、したがって、外部の機械的固定機構を必要とする。熱グリースは硬化しないため、使用は、材料を含有することができる場所、またはグリースの粘度が材料を使用中に適切な位置に留めることを可能にする薄い用途に限定される。
【0007】
熱接着剤または熱粘着剤は、硬化後に接合剤にいくらかの機械的強度を提供する。熱粘着剤は、熱グリースが硬化するにつれて、熱グリースよりも厚い接合ラインを可能にする。
【0008】
熱伝導パッドは、概して、ほとんどがシリコーンまたはシリコーン様材料でできている。熱伝導パッドは、被着するのが容易であり、かつより厚い結合ラインを可能にする利点を有する。典型的には、熱伝導パッドは、熱パッドが特定のデバイスの表面に形状追従するように、熱源上のヒートシンクを押圧するためのより高い力を必要とする。このことは、変形があると信号干渉をもたらす高感受性デバイスにとって問題となり得るか、または禁止され得る。
【0009】
熱着テープが使用されてもよい。概して、熱着テープは、表面に付着し、硬化時間を必要とせず、被着するのが容易である。熱着テープは、接着特性を有する熱パッドに類似している。
【0010】
相変化材料(PCM)が、使用されてもよい。概して、相変化材料は、自然粘着性材料であり、熱グリースの代わりに使用されてもよい。用途は、固体パッドに類似している。典型的には約55~60℃の融点に到達した後、相変化材料は、少なくとも部分的に液体の状態に変化し、熱源とヒートシンクとの間のすべてのギャップを満たす。
【0011】
熱界面材料のこれらおよび他の実施形態は、多様な組成物を使用する。組成物のいくつかの実施形態は、次元材料の分散体を含む。例えば、いくつかの組成物は、熱伝導ファイバを含んでもよい。いくつかの実施形態では、カーボンナノチューブが含まれてもよい。そのような実施形態はいくらかの有望性を示し得るが、性能に対する需要は、さらなる改善を必要としている。
【0012】
すなわち、不運にも、回路設計の進歩は、放熱技術の改善を上回っている。前述のタイプの熱界面材料は、今日の電子機器に役立っているが、システム設計の進歩は、発熱によって次第に制約されつつある。
【0013】
必要なものは、電子システムにおける放熱のための改善された技術である。
【発明の概要】
【0014】
一態様では、第1の主表面と第2の主表面との間に延在するシートを含む熱界面材料が開示され、シートは、基材、および基材に埋め込まれた充填材を含む。充填材は、異方性配向された熱伝導素子を含む。いくつかの実施形態では、熱伝導素子が、第1の主表面から第2の主表面に向かう一次の方向に沿って優先配向されて、一次の方向に沿ってシートを通る熱伝導を選択的に促進する。いくつかの実施形態では、基材に、シリコーンが実質的にない。いくつかの実施形態では、一次の方向に沿ったシートの熱伝導率は、少なくとも15W/mK、20W/mK、30W/mK、40W/mK、50W/mK、60W/mK、70W/mK、80W/mK、90W/mK、100W/mKである、またはそれよりも大きい。
【0015】
別の態様では、以下のステップを含む、熱界面材料を作製する方法が開示される。あるステップでは、複数の層を備えるスタックを形成する。いくつかの実施形態では、各層が、基材と、異方性配向された熱伝導素子を備える充填材と、を備える。いくつかの実施形態では、各層が、垂直方向に沿って下面から上面に延在し、層が、当該垂直方向に積層される。いくつかの実施形態では、各層中の熱伝導素子が、垂直方向に横断する方向への熱流を優先的に促進するように異方性配向される。
【0016】
さらなるステップでは、スタックに力を印加して、垂直方向に沿ってスタックを圧縮する。いくつかの実施形態では、この圧縮により、スタックの層がつながり、モノリシック素子を形成する。
【0017】
さらなるステップでは、垂直方向に延在し、かつ層の上面および下面を横断する平面に沿って、スタックをスライスして、シートを形成する。いくつかの実施形態では、シートは、第1の主表面と第2の主表面との間に延在し、スタックから切断された基材および充填材の一部分を含む。充填材は、第1の主表面から第2の主表面に向かう一次の方向に沿って優先配向されて、一次の方向に沿ってシートを通る熱伝導を促進する、異方性配向された熱伝導素子を含む。
【0018】
様々な実施形態は、本明細書に記載される特徴および要素のうちのいずれかを、単独でまたは任意の好適な組み合わせのいずれかで含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の特徴および利点は、添付の図面と併せて以下の説明から明らかである。
【0020】
図1】発熱部品、ヒートシンク、および熱界面材料の使用の態様を描示する概略図である。
図2】熱界面材料パッドの概略図である。
図3図2の熱界面材料パッドの表面処理の説明図である。
図4】熱界面材料パッドの6つのサンプルに対する熱インピーダンス対圧力のプロットである。上側の3つのトレースは、表面処理なしのサンプルの結果を示す。下側の3つのトレースは、図3に例示されるタイプの表面処理を伴うサンプルの結果を示す。
図5】代替の実施形態の熱界面材料パッドの概略図である。
図6A図2に示されるタイプの熱界面パッドの加工方法の初期ステップの説明図である。
図6B図2に示されるタイプの熱界面パッドの加工方法における最終ステップの説明図である。
図7A図5に示されるタイプの熱界面パッドの加工方法における初期ステップの説明図である。
図7B図5に示されるタイプの熱界面パッドの加工方法における最終ステップの説明図である。
図8】次元材料の分散体を含む熱界面材料の別の例の態様を描示する概略図である。
図9】次元的に配向された材料の分散体を含む熱界面材料の別の例の態様を描示する概略図である。
図10】積層された熱界面材料層のブロックの描示であり、各層は、図9に示されるもののような次元的に配向された材料の分散体で構成されている。
図11図10に示されるもののようなブロックから切断され得る、次元的に配向された材料を含有する熱界面材料パッドの描示である。
図12】競合製品と比較して本明細書に開示される配向パッドの熱性能を描示するグラフである。
図13】熱界面材料の実施形態の比較性能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では、熱界面材料の実施形態を、熱界面材料を加工するためおよび使用するための方法とともに開示する。概して、熱界面材料は、高度の熱伝導率を呈し、異方性放熱をさらに提供する。
【0022】
熱界面材料(TIM)を導入する前に、本明細書での教示のための文脈を確立するために、いくつかの用語を提供する。
【0023】
概して、「自己修復」という用語は、問題の外部診断または人間の介入なしに、自己の損傷を自動的に修復する内蔵能力を有する材料を指す。典型的には、従来の材料は、疲労、環境条件、または動作中に生じる損傷に起因して、経時的に劣化する。顕微鏡レベルでの亀裂および他の種類の損傷は、従来の材料の熱的特性、電気的特性、および音響的特性を変化させることが示されており、亀裂の伝播は、従来の材料の最終的な欠陥につながる可能性がある。一般に、亀裂を早期に検出することは困難であり、定期点検および修理には、手動による介入が必要とされる。対照的に、自己修復材料は、微小損傷に応答する修復機構の開始を通じて劣化に対抗する。
【0024】
概して、「熱伝導率」(多くの場合、k、λ、またはκと表記される)は、熱を伝導する材料の能力を指す。熱伝導率は、主に熱伝導についてのフーリエの法則の観点から評価される。一般に、熱伝導率は、テンソル特性であり、特性の異方性を表す。
【0025】
低熱伝導率の材料では、高熱伝導率の材料よりも低い速度で熱伝達が生じる。それに応じて、高熱伝導率の材料は、ヒートシンク用途に使用され、低熱伝導率の材料は、断熱材として使用される。材料の熱伝導率は、温度に依存し得る。熱伝導率の逆数は、「熱抵抗率」と呼ばれる。
【0026】
熱伝導率は、式(1)に提供されるように表現され得る。
【数1】
式中、
【数2】
は、熱流束を表し、-kは、熱伝導率を表し、
【数3】
は、温度勾配を表す。
【0027】
概して、本明細書で論じられるように、「熱インピーダンス」という用語は、材料の熱抵抗およびすべての接触抵抗の合計を指す。材料の熱インピーダンスが低い場合、材料は、その用途においてより良好な熱伝導体である。したがって、表面粗さ、表面平坦度、クランプ圧力、接着剤の存在、不均一、および材料厚さなどの要因は、材料の熱インピーダンスに影響を与える要因である。概して、熱インピーダンスは、熱インピーダンスが用途に特有のより多くの変数を考慮するため、熱性能を評価するための有用な指標である。
【0028】
本明細書で使用される場合、素子の「等方性配向された」セットは、素子が空間内の特定の方向に沿って優先的に配列されないか、または実質的に優先的に配列されないように、ランダムにまたは実質的にランダムに配置されると理解されたい。
【0029】
本明細書で使用される場合、素子の「異方性配向された」セットは、素子が空間内の特定の方向に沿って実質的に優先的に配列されるように配置されると理解されたい。
【0030】
ここで図1を参照し、電子デバイスの熱管理システムの態様を示す。示される熱管理システム1では、熱源5は、熱を発生する。熱源5の非限定的な例として、プロセッサ、メモリ、電源、電力変換器、発光ダイオード、およびレーザダイオードのうちの少なくとも1つが挙げられる。概して、熱源5は、支持体4に取り付けられている。支持体4の非限定的な例は、プリント基板(PCB)である。この説明図では、熱源5は、支持体4上に表面実装されている。熱界面材料(TIM)10の第1の堆積物は、熱源5の直上にあり、熱源5と熱連通している。ヒートスプレッダ7は、第1の堆積物の上を覆って、かつそれと熱連通して、配設されている。ヒートスプレッダ7の上に、それと熱連通して、熱界面材料(TIM)10の第2の堆積物がある。ヒートシンク2は、第2の堆積物の上を覆って、かつそれと熱連通して、配設されている。
【0031】
通電されると、熱源5は、熱を発生する。熱は、ヒートスプレッダ7およびヒートシンク2を伴う熱界面材料(TIM)10の堆積物によって、熱源5から外へ伝導される。概して、熱界面材料(TIM)10の堆積物は、部品間のギャップおよび空隙を排除することによって、熱源5とヒートシンク2との間の熱伝導を強化する。
【0032】
概して、ヒートシンク2は、熱源5からの熱を周囲空気中に放散するために、表面積(フィンまたはピンを使用して)および気流(ファンを使用して)を最大化する伝統的な冷却ソリューションである。ヒートシンク2は、簡易な、軽量の、かつ完全に自立した冷却ソリューションとして、冷却ファンを備えて構築されてもよい。利用可能な気流に応じて、ヒートシンク2は、多くの場合、同様のサイズのヒートスプレッダ7よりも高性能であり得る。
【0033】
概して、ヒートスプレッダ7は、上部に大きな平坦な表面を有する。いくつかの実施形態では、ヒートスプレッダ7は、ファンおよびフィンを有していない。ヒートスプレッダ7は、別の大きな平坦な表面(例えば、車両のフレームまたは密封容器の内壁)に直接押し当てられてもよく、熱は、ヒートスプレッダ7からより大きな金属(熱伝導性の)表面に伝わることが可能になる。典型的な設計では、ヒートスプレッダ7は、熱源5(例えば、CPU)を単独で冷却しない。むしろ、ヒートスプレッダ7は、熱が熱源5から外に安全に放散することができる別の物体に熱を伝達するように設計されている。概して、ヒートスプレッダ7は、極端な衝撃および振動下で動作することを想定する電子システム、または環境から保護されるように容器内に完全に密封される必要があるシステムに理想的である。理解できるように、ヒートシンク2およびヒートスプレッダ7、したがって熱源2(プロセッサなど)の性能は、熱界面材料(TIM)10の性能によって実質的に影響され得る。
【0034】
パッドとして利用可能な熱界面材料(TIM)10を有する図1の熱管理システム1において、組み立てを高速化し、かつ一貫した品質を提供し得ることは直ちに明らかであり得る。すなわち、例えば、グリースまたはペーストの形態の熱界面材料(TIM)10を分注するには、体積制御ならびに一貫した広がりが必要となる。対照的に、好適な物理的特性を有するパッドとしての実装態様の熱界面材料(TIM)10を設計することによって、卓越した品質制御を達成することができる。
【0035】
図2を参照し、例示的な熱界面材料(TIM)101を示す。TIM101は、第1の主表面103(示されるように、下面)と第2の主表面104(示されるように、上面)との間に延在するパッドまたはシート102として形成されている。平坦なシートが示されているが、所与の用途に望ましいように、湾曲したシート、またはカスタム形状および寸法に切断されたシートなどの、他の形状が使用され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0036】
シート102は、基材105で形成されており、基材には熱伝導充填材106が埋め込まれている。
【0037】
基材105は、所望の機械的特性および熱的特性を有するように選定された材料であり得る。多数の例示的な好適な材料を以下に説明する。描示される例示的な実施形態の目的で、基材を、アクリルゴムまたはアクリル樹脂材料であると見なす。いくつかの実施形態では、基材105は、可塑剤材料と組み合わされた樹脂などの構成要素の混合物であってもよい。
【0038】
有利には、いくつかの実施形態では、基材に、高温での劣化、ガス放出、および他の望ましくない特性を呈することが知られているシリコーンまたは他のシロキサン系ポリマーがないか、または実質的になくてもよい。
【0039】
示されるように、充填材106は、異方性配向された熱伝導素子107を含み得る。熱伝導素子107は、第1の主表面103から第2の主表面104に向かう一次の方向(示されるように、垂直方向)に沿って優先配向されて、一次の方向に沿ってシートを通る熱伝導を促進し得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、充填材の包含は、一次の方向に沿ってシート102を通した優れた熱伝導率を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、一次の方向に沿ったシートの熱伝導率は、少なくとも10W/mK、15W/mK、20W/mK、30W/mK、40W/mK、50W/mK、60W/mK、70W/mK、80W/mK、90W/mK、100W/mKであるか、またはそれよりも大きい。いくつかの実施形態では、熱伝導率は、当技術分野で知られているASTM標準D5470を使用して測定され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、TIM101は、印加圧力の関数として優れた熱インピーダンスを呈する。例えば、いくつかの実施形態では、この特性は、当技術分野で知られているASTM標準D5470に記載された手法を使用して測定されてもよく、10psi圧力で0.1℃・インチ/W未満、0.09℃・インチ/W未満、0.08℃・インチ/W未満、0.07℃・インチ/W未満、0.05℃・インチ/W未満か、またはそれよりも小さい熱インピーダンスをもたらす(例えば、0.5mm~5.0mmの範囲の厚さを有するシートの場合)。例えば、いくつかの実施形態では、この特性は、当技術分野で知られているASTM標準D5470に記載された手法を使用して測定されてもよく、30psi圧力で0.06℃・インチ/W未満、0.05℃・インチ/W未満、0.04℃・インチ/W未満、0.03℃・インチ/W未満、0.02℃・インチ/W未満、0.01℃・インチ/W未満か、またはそれよりも小さい熱インピーダンスをもたらす(例えば、0.5mm~5.0mmの範囲の厚さを有するシートの場合)。
【0042】
いくつかの実施形態では、シート102は、自立型であり、例えば、可撓性ポリマー樹脂基材105から形成され得る。いくつかの実施形態では、シートは、0.1mm~10mmの範囲、またはその任意の部分範囲、例えば、0.5mm~5.0mmの範囲の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、TIM101は、ASTM D2240(ショア00)に説明されている手法によって決定されるような、40~90の範囲、または50~80、または60~70などのその任意の部分範囲の範囲のショア硬さを呈し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、TIM101は、0.5g/mL~5.0g/mL、またはその任意の部分範囲、例えば1.0g/mL~2.0g/mL、の範囲の密度を有し得る。いくつかの実施形態では、TIM101は、約1.7g/mLの密度を有し得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、TIM101は、印加圧力の関数として望ましくは高いたわみを呈する。いくつかのそのような実施形態では、この特性は、圧力が印加される用途において、TIM101と他の熱源およびヒートシンクとの間の優れた熱接触を可能にする。圧縮の関数としてのいくつかのたわみでは、当技術分野で知られているASTM D5470およびASTM C165標準の手法を使用して測定され得る。いくつかの実施形態では、TIM102は、30psiの圧縮圧力で少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、またはそれよりも大きなたわみを呈し、50psiの圧力で少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはそれよりも大きなたわみを呈する。
【0045】
いくつかの実施形態では、TIM101は、有意な劣化を伴わずに、-40℃~150℃の範囲の温度で動作することができる。例えば、いくつかの実施形態では、TIM101は、当技術分野で知られているASTM E595標準に説明されている手法を使用した熱重量分析下で、150℃、160℃、170℃、180℃、またはそれよりも高い温度で0.2%未満の総質量損失を呈する。
【0046】
いくつかの実施形態では、充填材は、窒化ホウ素フレークなどのセラミックフレークを含んでもよい。いくつかの実施形態では、充填材は、窒化ホウ素ナノフレークまたはナノスクロールを含んでもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、充填材は、黒鉛フレークまたはグラフェンフレークなどの炭素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、充填材は、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの束、および配列されたカーボンナノチューブの凝集体を含んでもよい。充填材の他の好適な例は、以下の例に提示される。
【0048】
いくつかの実施形態では、異方性配向された熱伝導素子は、主表面を有するフレーク状素子を含み、フレーク状素子のうちの少なくとも65%、75%、85%、95%、99%、またはそれよりも多くが、シートの第1および第2の表面を一次の方向に沿って横断して延在する平面内に主表面が実質的に存在するように、配列されている。例えば、図2に示されるように、伝導素子の大部分は、フレークの主表面が上面および下面に対して横断して配向されるように、配向されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、異方性配向された熱伝導素子は、主寸法および1つ以上の副寸法を有する長尺の素子(例えば、カーボンナノチューブ)を含み、長尺の素子のうちの少なくとも65%、75%、85%、95%、99%、またはそれよりも多くが、主寸法がシートの第1および第2の表面を一次の方向に沿って横断して延在するように、配列されている。
【0050】
様々な実施形態では、使用される充填材の量は、所望の特性をもたらすように選択され得る。一般に、充填材の量が多いほど、より高い熱伝導率を提供する傾向がある(以下に詳述するように、充填材が不要な表面粗さを確実にもたらさないように十分な注意が払われている場合)。いくつかの実施形態では、充填材は、シートの少なくとも20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%であるか、またはそれよりも多い。
【0051】
図3を参照し、いくつかの実施形態では、基材105に埋め込まれた充填材素子107の存在は、主表面103、104(104が示されている)の一方または両方の不要な粗さをもたらし得る。いくつかのそのような実施形態では、表面104は、熱源およびヒートシンクなどの物体との良好な熱接触により適した、より平滑な表面を提供し、それによって熱インピーダンスを低減するように処理されてもよい。
【0052】
例えば、いくつかの実施形態では、溶剤110を表面104上に塗布(例えば、ノズルを介して噴霧)して、基材を部分的に溶解させてもよい。基材105がアクリル樹脂である実施形態では、イソプロピルアルコール(IPA)が、好適な溶剤選定である。次いで、圧力を表面に印加し(例えば、機械的ローラまたは同様の手法を使用して)、基材105を平滑化し、表面104の近くで充填材素子107を再配向して、より平滑な界面を提供してもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、この表面処理に続いて、シート102は、充填材素子107が再配向されたシートの第1の主表面103(図示せず)および/または第2の主表面104(図示)と近位の領域112を含むことができる。この場合に、この領域112は、シートの内部部分の表面に対してより遠位に位置する熱伝導素子よりも小さく異方性配向されている充填材106の熱伝導素子107のサブセットを含有し得る。例えば、基材105が少なくとも部分的に溶解した状態で、領域112の充填材106は、より大きな等方配向に戻るように解放され得る。
【0054】
代わりに、この場合に、領域112は、シート102の内部部分の表面に対してより遠位に位置する熱伝導素子107とは異なる方向に沿って異方性配向されている充填材106の熱伝導素子107のサブセットを含有してもよい。例えば、圧延素子によって印加される圧力により、表面104の近くの素子107は、表面を横断して延在するのではなく、表面に沿って平坦に配向され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、溶剤110に代えて、または加えて、熱を表面103、104に印加して、領域112の基材を軟化させるか、または溶融させてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、上述した表面処理に加えて、または代えて、接着材料の薄層(図示せず)の薄層を(例えば、噴霧ノズルを使用して)表面103、04に被着してもよい。接着層は、表面粗さを充填し、熱源またはヒートシンクへのTIM101の接着を促進することができる。いくつかの実施形態では、接着材料は、空間充填材料(例えば、アクリルゴムなどの、基材としての使用に好適な材料)を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、空間充填材料は、溶剤中に溶解され、表面104内のようなもののギャップ、亀裂、くぼみ等を充填するために表面104上に噴霧されてもよい。いくつかの例では、次いで、溶剤は、乾燥し、空間充填材料を跡に残し、それによってシート102上により平滑な表面103、104を作成し得る。
【0057】
図4は、上述した溶剤ベースの表面処理の利益を例示している。各々の厚さが1.0mmである、TIM101の6つのサンプルを作製した。サンプルを、当技術分野で知られているASTM標準D5470に説明された手法を使用して、様々な圧力で熱インピーダンスについて試験した。サンプルのうち3つは、表面処理を改善するための表面処理を経たが、3つは経なかった。図4に示されるように、処理された試料(下側のトレース)の熱インピーダンスは、特に低圧では未処理の試料(上側のトレース)の熱インピーダンスよりも小さかった。このことは、表面処理が、評価に使用されるTIM101と熱源およびヒートシンクとの間のより良好な熱接触を促進することを明確に示している。
【0058】
図5を参照し、いくつかの実施形態では、TIM101は、一次の方向(示されるように、垂直方向)に沿って第1の主表面103から第2の主表面104にシート102中を延在する熱伝導素子120を含む。これらの熱伝導素子は、表面103、104間の熱流を促進し得る。いくつかの実施形態では、これらの要素120は、炭素でできていてもよい。例えば、シート、ストリップ、ピラー、または他の好適な形状として形成された黒鉛またはグラフェンが使用されてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、熱伝導素子の一部分が、シート102の第1および第2の主表面103、104で露出され得る。いくつかのそのような場合では、例えば、上述した溶剤系表面処理を使用することによって、または表面103、104に薄い保護接着層を被着することによって、表面を処理してこれらの領域を保護することが望ましい場合がある。
【0060】
図6Aおよび図6Bを参照し、TIM101を加工するための例示的な方法を示す。
【0061】
図6Aを参照し、複数の層501を含むスタック500を形成する。
【0062】
各層501は、示されるように、各層501は、ある方向(示されるように、垂直方向)に沿って下面502から上面503に延在し、層は、その方向に互いに上下に積層されている。
【0063】
各層501は、図2を参照して上述したタイプの基材105および充填材106を含む。各層中の充填材106は、異方性配向された熱伝導素子107で構成されている。しかしながら、最終的なTIM101で使用されるシート102におけるのとは異なり、素子107は、下面502から上面503までの垂直方向を、それに沿ってではなく、横断する熱流方向を、促進するように配向されている。よって、スタックのこれらの層501は、さらなる処理を行わずにTIM101として使用するのに好適ではない。
【0064】
図6Bを参照し、よって、いくつかの実施形態では、層501をつなぎ合わせてモノリシック素子を形成するために、スタック500を圧縮するための力を(任意選択で、熱とともに)垂直方向に印加してもよい。スタック501は、例えば、微細なブレードを使用して、または垂直方向に延在する平面に沿って超音波またはレーザ切断(太い黒ずんだ矢印を用いて図6Bに示される)して、所望の厚さのシート102を形成してもよい。このシート102は、スタックから取り外され、TIM101を形成する。注目すべきことに、TIM101は、適正な方向に配向された異方性配向された熱伝導素子107で構成された充填材106を有するシート102を含む。すなわち、シート102は、第1の主表面103と第2の主表面104との間に延在し、充填材106は、異方性配向された熱伝導素子107であって、第1の主表面103から第2の主表面104に向かう一次の方向に沿って優先配向されて、一次の方向に沿ってシート102を通る熱伝導を促進する熱伝導素子107を含む。
【0065】
追加のスライスを取って、追加のTIM101パッドを生成してもよい。言い換えると、上述した積層およびスライスプロセスは、充填材がTIM101としての使用に好適でない方向の異方性配向を有する複数の層を取り、いくつかのTIM101パッドを、所望の配向を有する充填材とともに生成する。
【0066】
以下に詳細に記載されるように、層501を、大量生産手法に好適な簡易なプロセスを使用して生成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、各積層501を、基材と熱伝導素子を含む充填材との混合物を提供することによって形成することができる。一般に、この混合物を、充填材を配向するためのいかなるステップも行わずに作製し、基材中の熱伝導素子の等方的な分布をもたらすことができる。次いで、結果として得られた混合物を物理的に操作して、熱伝導素子を層内で異方性配向させることができる。例えば、以下の追加の例で詳細に記載されるように、混合物を、押し出し成形して層501を形成し、圧縮して層501を形成し、それ自体の上に繰り返し折り畳んで層501を形成し、またはそれらを組み合わせることができる。
【0067】
上述したように、この物理的操作は、TIM101で使用するために望ましくない方向に配向された異方性配向された熱伝導素子107を有する層をもたらすこととなる。しかしながら、このことを、図6Aおよび図6Bを参照して上述した積層、圧縮、およびスライスステップを実行することによって修正することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、基材105は、自己修復材料であり、それによって、上記で提供された圧縮ステップ中に、層501を融合させてモノリシック素子にすることを促進する。自己修復材料はまた、図6Bを参照して上述したスライスステップ中に生じ得る損傷(例えば、亀裂)に耐性を有する点で有利である。
【0069】
様々な実施形態では、方法は、図3を参照して上述したように、TIM101の主表面103、104の1つ以上に表面処理を適用することをさらに含み得る。
【0070】
図7Aおよび図7Bを参照し、上述のプロセスを、図5に示されるTIM101の代替バージョンを生成するように容易に修正することができる。いくつかの実施形態では、スタックを圧縮およびスライスするステップの前に、スタック500の層501のうちの少なくともいくつかの間に、導電素子、例えば炭素素子510を挟む。炭水化物
【0071】
炭素素子は、黒鉛またはグラフェンを含んでもよく、シート(例えば、層501の表面を横断して連続的に延在する)もしくはストリップ(例えば、層501の一部分のみを覆う)または任意の他の好適な形状として形成されてもよい。いくつかの実施形態では、炭素素子501は、黒鉛またはグラフェンで形成されてもよい。
【0072】
図7Bに示されるように、スタック500をスライスしてTIM101のシート102を形成すると、炭素素子520の部分が、図5を参照して上述したように、シート102中を第1の主表面103から第2の主表面104まで延在する熱伝導素子120を形成する。
【0073】
当業者に明らかであろうように、上記のプロセスを、本明細書に記載されるタイプのうちのいずれかのTIM101を提供するように容易に適合させることができる。
【0074】
なお、図6A図7Aは、特定の数の層501および導電素子510を示しているが、好適な数を使用してもよい。例えば、いくつかの実施形態は、例えば2~100層の範囲またはその部分範囲で、2、3、4、5、10、15、20、またはそれよりも多くの層501を使用する。
【0075】
追加の例
【0076】
図8図11に関して、例示的なTIMパッドの加工プロセスを説明する。当業者に明らかであろうように、本明細書に記載される例示的な材料および手法を、前の例において使用するために容易に適合させ得る。
【0077】
熱界面材料(TIM)のパッド10を加工するためのプロセスは、図8に示されるものから始まる。
【0078】
図8に、ある体積の好適な熱伝導組成物21を示す。熱伝導組成物21は、充填材、例えば、金属粉末およびそれらの混合物(例えば、アルミニウム粉末、銀粉末、銅粉末)、黒鉛フレーク、セラミック粉末(例えば、アルミナ、窒化ホウ素など)を含み得る。組成物21はまた、ゴム(例えば、アクリルゴム)、油、ポリマー、熱可塑性樹脂、および熱硬化性樹脂などの材料を含む自立型基材を含んでもよい。概して、熱伝導組成物21は、好適な特性を呈する材料から加工され得る。この特性は、例えば、たわみ性および良好な熱伝導率を含み得る。多様な他の材料を使用してもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、室温で実質的に固体である熱可塑性樹脂が使用される。好適な熱可塑性樹脂のいくつかの例としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。これらは、単独で、または(実行可能な限り)他の材料と組み合わせて使用され得る。
【0080】
熱可塑性樹脂を、固体と組み合わせて使用してもよい。使用され得る熱可塑性ポリマー/樹脂としては、例えば、ポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)、2-エチルヘキシルアクリレート-アクリル酸コポリマー、ポリメタクリル酸またはそのエステル、ポリアクリル酸またはそのエステルなどのアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレンコポリマー、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、-スチレンアクリロニトリルコポリマー、アクリトリル-ブタジエン-スチレン(ABS樹脂)--コポリマー、スチレンブタジエンブロックコポリマーまたはその水素化物、スチレン-イソプレンブロックコポリマーコポリマーまたはその水素化物、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、脂肪族ポリアミド、および芳香族ポリアミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリウレタン、液晶ポリマー、アイオノマーなどが挙げられる。これらは、単独で、または(実行可能な限り)他の材料と組み合わせて使用され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、熱可塑性フルオロカーボン樹脂が使用される。これは、耐熱性、耐油性、および耐薬品性の改善などの特定の他の利点をもたらし得る。
【0082】
有用であり得る固体熱可塑性フッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-プロピレン、テトラフルオロエチレン-[papuruorobiniruete-ru[papuruorobinirueteru]系など、結果として得られたエラストマーのフッ素含有重合性モノマーなどが挙げられる。より具体的には、ポリ-テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン-エチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン[kurorohuruoroechiren[kurorohuruoroechiren]コポリマー、テトラフルオロエチレン[pahuruorojiokisoru[pahuruorojiokisoru]コポリマー、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン-プロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー[biniridenhuruoraido[biniridenhuruoraido]アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン変性エステル、エポキシ変性シラン変性ポリテトラフルオロエチレンおよびポリテトラフルオロフルオロエチレンなどである。
【0083】
熱硬化性樹脂として使用され得る追加の材料としては、例えば、天然ゴム、アクリレートゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリアクリルゴム、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリフェニレンエーテル、熱硬化性ポリフェニレンエーテルなどが挙げられる。
【0084】
いくつかの実施形態では、熱伝導組成物21は、ポリ(酢酸ビニル)(PVA)またはポリ(エテニルエタノエート)(PVAc)を含む。概して、PVAは、式(C4H6O2)を有する脂肪族ゴム合成ポリマーである。PVAは、一般式-[RCOOCHCH]-を有するポリビニルエステルファミリーに属し、熱可塑性物質の一種である。いくつかの実施形態では、熱伝導組成物21は、非シリコーン基材である。追加の一例としては、大豆油基材が挙げられる。
【0085】
前述の材料のうちのいずれも、単独で、またはこれらもしくは他の材料と組み合わせて(実行可能な限り)使用され得る。
【0086】
熱伝導組成物21内には、熱充填材の分散体が配設されている。熱充填材は、ナノ材料および/またはマイクロ材料として提供され得る。
【0087】
概して、熱充填材は、何らかの形状または形態を呈し、したがって、少なくとも1つの寸法態様(例えば、主表面かつ1つの副寸法を有する薄いフレーク、または1つの主寸法および2つの横方向の副寸法を有する長尺の素子)を有する。熱充填材は、分散のために選択され、優れた熱伝導率に良好であることを呈し得る。ナノ材料のいくつかの例としては、カーボンナノチューブの形態(単壁カーボンナノチューブ(SWCNT)および多壁カーボンナノチューブ(MWCNT)を含む)、ならびにナノホーン、ナノオニオン、カーボンブラック、フラーレン、グラフェン、酸化グラフェン、および前述の様々な処理形態が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ナノ材料は、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、および/または熱伝導性ポリマーの少なくとも1つの形態をさらに含む。熱充填材は、マイクロ材料として提供され、黒鉛、窒化ホウ素、窒化ホウ素フレーク、窒化ホウ素ナノスクロール、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムウィスカー、カーボンナノチューブ、金属粒子、金属酸化物粒子、および/または熱伝導性ポリマーの少なくとも1つの形態を含み得るが、これらに限定されない。
【0088】
本明細書で使用される場合、「マイクロ材料」という用語は、約0.1ミクロン~約200ミクロンの範囲の1つ以上の寸法を呈する次元熱充填材料(例えば、マイクロスケール粒子またはフレーク)を指す。概して、「ナノ材料」という用語は、約数ナノメートル~約100ナノメートル(0.1ミクロン)の範囲の1つ以上の寸法を呈する次元熱充填材料(例えば、ナノチューブ、ナノロッド、ナノ粒子、ナノシェル、ナノホーン、およびグラフェンフレークなどのナノスコピックフレーク)を指す。
【0089】
熱充填材が本来小さいことを考慮すると、いくつかの実施形態では、それらを混合して熱伝導組成物21にするときの配向を制御することはできない。よって、熱充填材の分散は、熱伝導組成物21の体積内に配設されたランダムに配向された次元材料22をもたらす。
【0090】
熱充填材が熱伝導組成物21内でランダムに配向されるため、方向性の熱伝導率の有利な特性は、存在しない。より具体的には、方向の矢印によって図8に示されるように、方向性の配置がなければ、熱充填材の等方性の熱伝導率の選好により、熱はランダムな方向に外へ伝導する。しかしながら、熱充填材のポテンシャルは、図9に示されるように、次元熱充填材を異方性配向に再配置して配向された材料100を形成するときに、利用され得る。
【0091】
図9に示されるように、熱伝導組成物21中に分散された熱充填材は、例えば図6A図7Bを参照して上述したスタックおよびスライスのプロセスにおける層501としての使用に好適な、配向された材料層100中に方向性配向された次元材料32として、配置され得る。
【0092】
配向次元材料32を提供するための例示的な手法としては、油圧プレス加工または油圧押し出しが挙げられる。いくつかの実施形態では、油圧プレス加工は、ランダムに配向された次元材料22の分散体を有するある体積の熱伝導組成物21から始まる。材料の体積は、実質的に平面状の形態にプレス加工するか、または押し出す。いくつかの実施形態では、次いで、実質的に平面状の形態を、それ自体の上へと折り畳み、例えば、ボールまたは立方体の体積に実効的に再成形する。次いで、材料の体積を、再度、実質的に平面状の形態にプレス加工する。概して、繰り返しのプレス加工および折り畳みを通じて、ランダムな配向に配設された充填材は、例えば、図6Aまたは図6Bを参照して層501に上記で示したように、平面状の配向に助勢される。
【0093】
充填材を所望の配向に移動させることを助勢するために、熱伝導組成物21とランダムに配向された次元材料22の分散体との混合物を、例えば、上述したようなプレス加工プロセスまたは押し出しプロセス中に加熱してもよい。概して、ランダムに配向された次元材料22の分散体を用いて熱伝導組成物21の混合物を加熱することは、熱伝導組成物21の粘度を低下させ、それによって、ランダムに配向された次元材料22を所望の配向に移動させることを助勢する。
【0094】
方向の矢印によって図9に示されるように、次元材料32が方向性の配置で提供される場合、ナノ材料の異方性熱伝導率の選好により、概して、熱は、X-Y平面内で外へ伝導する。この特性は、本明細書に開示される熱パッドを提供するために利用される。いくつかの実施形態では
【0095】
図10に示されるように、配向された材料100を、セグメント化し、スタック40中に配置し得る。スタック40に入ると、配向された熱界面材料(TIM)100を、さらにセグメント化し得る。例えば、スタック40を、X-Z平面内にある、A平面として表記された、仮想平面に沿って切断し得る。結果を図11に描示する。
【0096】
図11に示されるように、配向されたパッド50は、図4に示されるスタック40の一部分を含む。概して、配向されたパッド50は、図1に例示される熱管理システム1での使用に好適な寸法に加工される。結果として得られるベクトルは、熱源5からの熱を、X-Y平面を通して実質的に伝達する。熱充填材のうちのいくつかは、実質的にX方向に熱を伝達するが、ナノ材料の実質的に同等の一部分が、実質的にY方向に熱を伝達することが想定される。別の言い方をすれば、熱充填材の異方性熱伝導率は、熱のかなりの部分を、X-Y平面を通して伝達させるが、Z方向の熱の伝達は(同じ理由で)制限される。したがって、配向されたパッド50内での熱の再循環は、制限される。
【0097】
配向されたパッド50の熱伝導率の性能を、標準化された試験台を使用して一連の試験で評価した。試験は、競合製品との比較を含んでいた。試験台に設置されると、各製品は、いくらかの圧縮を受けた。呈される圧縮を、下の表1で説明する。以下のデータ表において、「NaLパッド」は、配向されたパッド50を指す。熱伝導率の評価のための試験データを、図12に提示する。
【表1】
【0098】
図12に示されるように、結果として生じる配向されたパッド50は、試験されたすべての競合するパッド製品よりも高性能である。データは、配向されたパッド50の熱伝導率性能が、ポッティング材の熱性能(すなわち、ポッティング材による熱源5の被覆)と実質的に同等であることを示す。
【0099】
図13に、次元熱材料の配向から実現される効果を示す比較を示す。示されるデータを生成するために使用される熱管理システム1では、ヒートスプレッダ7を省略した。熱界面材料10の3つのサンプルを試験した。第1のサンプルは、実質的に垂直に配向された熱充填材料を有する標準品(STD)を含んでいた。熱源5とヒートシンク2との温度差は、すぐに平衡に達し、約5℃に維持された。熱界面材料10(45度)の第2のサンプルは、本明細書に記載されるスライス手法を使用して加工され、スライスは約45度の角度で行われた。熱界面材料10の第3のサンプルは、熱流束の所望の方向に対して実質的に直交して(90度)配向された熱充填材を含有していた。
【0100】
熱源5とヒートシンク2との間の呈する温度差が小さいほど、熱抵抗率が低いことを示す。したがって、第1のサンプルが最小の温度差を有することから、(図11に定義されるような)X-Y平面を通して伝熱されるように粒子を配向することが熱界面材料10の熱伝導率を改善することは、明らかである。
【0101】
熱界面材料の態様を導入した後、いくつかのさらなる態様および例を提供する。
【0102】
熱界面材料は、軟質材料として形成されてもよい。概して、熱界面材料は、加工(スライスおよびスタックの手順)中に自己修復する。
【0103】
概して、熱界面材料は、ギャップ充填を必要とする用途に有用である。すなわち、熱界面材料は、不規則な表面に対して卓越した形状追従を提供する。
【0104】
いくつかの実施形態では、熱界面材料は、約0.25mm~約5mmの厚さ選択肢と最大約60W/mK以上の熱伝導率とを有する可撓性ポリマーシート材料を含む。現在の高性能TIMシートは、およそ5W/mKである傾向がある。結果として得られる4倍の性能向上は、高出力を使用する用途に有効な技術である。事実上任意の電源供給されるシステムが、高性能TIMを利用し得る。
【0105】
熱界面材料の用途としては、電源装置、自動車電子機器、モータ制御、電力半導体、ヒートシンク界面、処理システム、ならびに、コンピュータ、増幅器、ビデオ処理機器、制御システム、および多くの他のものなどの他の電子デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
いくつかの実施形態では、結果として得られる生成物は、少なくとも60W/mKである熱伝導率を呈する。製品は、シートで、いくつかの実施形態ではほぼ標準プリンタ用紙サイズのサイズを有するシートで、提供されてもよい。生成物は、約0.25mm~5mmの厚さを有してもよく、厚さは、より小さくても、より大きくてもよい。生成物は、-60℃~250℃(またはその任意の部分範囲、例えば、-40℃~150℃)の範囲の温度で有用であってもよく、より小さいか、またはより大きい温度範囲で有用であってもよい。概して、生成物は、非ガス放出性であり、熱サイクルでクリープを呈さない。概して、製品は、たわみ性があり、周辺部品に形状追従する。概して、製品は、再加工可能であり、既存の/一般的な製造プロセスで使用され得る。
【0107】
本明細書における教示の態様を提供するために、様々な他の構成要素が含まれ、要請されてもよい。例えば、追加の材料、材料の組み合わせ、および/または材料の省略を使用して、本明細書における教示の範囲内にある追加される実施形態を提供してもよい。
【0108】
本明細書における教示の多様な修正を実現してもよい。概して、修正は、ユーザ、設計者、製造業者、または他の同様に利害関係者の必要性に応じて設計されてもよい。修正は、その当事者によって重要であると見なされる、性能の特定の標準を満たすことを意図してもよい。
【0109】
添付の請求項または請求項の要素は、「のための手段」または「のためのステップ」との語が特定の請求項において明示的に使用されない限り、米国特許法第112条(f)を想起させると解釈されるものではない。
【0110】
本発明の要素またはその実施形態を導入する場合、冠詞「a」、「an」、および「the」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することが意図されている。同様に、形容詞「別の」は、要素を導入するために使用される場合、1つ以上の要素を意味することが意図されている。「含む(including)」および「有する(having)」という用語は、列挙される要素以外の追加の要素があり得るように包含的であることが意図されている。本明細書で使用される場合、「例示的な」という用語は、最上の例を含意するものではない。むしろ、「例示的な」は、多くの可能な実施形態のうちの1つである実施形態を指す。
【0111】
本発明を、例示的な実施形態を参照して記載してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行ってもよく、均等物をその要素に置き換えてもよいことを、当業者は理解するであろう。加えて、特定の器具、状況、または材料を、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく本発明の教示に適応させるための、多くの修正を、当業者は認識するであろう。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図される最良のモードとして開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、添付の請求項の範囲内に入るすべての実施形態を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】