(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(54)【発明の名称】尿路閉塞を診断するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20220926BHJP
G01N 33/493 20060101ALI20220926BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20220926BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20220926BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G01N33/53 D
G01N33/493 A
A61P13/02
C07K16/18
C12N15/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506571
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 US2020044517
(87)【国際公開番号】W WO2021022167
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519096172
【氏名又は名称】ザ リサーチ インスティテュート アット ネーションワイド チルドレンズ ホスピタル
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】チン、クリスティーナ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ベックネル、マイケル ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン、アシュリー アール.
(72)【発明者】
【氏名】グプタ、スディプティ
(72)【発明者】
【氏名】プリース、ジェネー
【テーマコード(参考)】
2G045
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CB03
2G045DA36
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
尿路閉塞の診断および治療方法であって、前記方法は、ヒト患者から尿サンプルを得る工程;前記尿サンプルを抗尿路上皮ペプチド抗体と接触させ、尿路上皮ペプチドと前記抗体との間の結合を検出するか、または、前記尿サンプルを抗尿タンパク質抗体と接触させ、尿タンパク質と前記抗体との間の結合を検出することにより、前記尿サンプル中に所定の尿路上皮ペプチドまたは所定の尿タンパク質が存在するかを検出する工程;前記所定の尿路上皮ペプチドまたは前記所定の尿タンパク質のいずれかが検出された場合に、前記患者を尿路閉塞と診断する工程;および患者を手術または非手術により治療して、前記尿路閉塞を改善または除去する工程を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における尿路上皮ペプチドを検出する方法であって、前記尿路上皮ペプチドの
存在は、尿路閉塞を示すものであり、前記方法は、
(a)ヒト患者から尿サンプルを得る工程と、
(b)前記尿サンプルを抗尿路上皮ペプチド抗体と接触させ、前記尿路上皮ペプチドと前記抗体との間の結合を検出することにより、前記尿サンプル中に所定の尿路上皮ペプチドが存在するかを検出する工程と、
を有する、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドはβディフェンシン1(BD-1)である、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドはヒトαディフェンシン5(HD-5)である、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドは肝癌-腸-膵臓/膵炎関連タンパク質(HIP/PAP)である、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドはカテリシジンLL-37である、方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドは好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)である、方法。
【請求項7】
請求項1~6記載のいずれかの方法であって、さらに、定量的酵素結合免疫吸着法(ELISA)を用いて、前記尿サンプル中の前記尿路上皮ペプチドの量を測定する工程を有する、方法。
【請求項8】
患者における尿タンパク質を検出する方法であって、前記尿タンパク質の
存在は、尿路閉塞を示すものであり、前記方法は、
(a)ヒト患者から尿サンプルを得る工程と、
(b)前記尿サンプルを抗尿タンパク質抗体と接触させ、前記尿タンパク質と前記抗体との間の結合を検出することにより、前記尿サンプル中に所定の尿タンパク質が存在するかを検出する工程と、
を有する、方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、前記尿タンパク質はUPK3Aである、方法。
【請求項10】
請求項8記載の方法において、前記尿タンパク質はUPK2である、方法。
【請求項11】
請求項8記載の方法において、前記尿タンパク質はUPK20である、方法。
【請求項12】
請求項8記載の方法において、前記尿タンパク質はUPK14である、方法。
【請求項13】
請求項7~12記載のいずれかの方法であって、さらに、定量ELISAを用いて、前記尿サンプル中の前記尿タンパク質の量を測定する工程を有する、方法。
【請求項14】
尿路閉塞を診断および治療する方法であって、前記方法は、
(a)ヒト患者から尿サンプルを得る工程と、
(b)前記尿サンプルを抗尿路上皮ペプチド抗体と接触させ、尿路上皮ペプチドと前記抗体との間の結合を検出するか、または、前記尿サンプルを抗尿タンパク質抗体と接触させ、尿タンパク質と前記抗体との間の結合を検出することにより、前記尿サンプル中に所定の尿路上皮ペプチドまたは所定の尿タンパク質が存在するかを検出する工程と、
(c)前記所定の尿路上皮ペプチドまたは前記所定の尿タンパク質のいずれかが検出された場合に、前記患者を尿路閉塞と診断する工程と、
(d)前記患者を手術または非手術により治療して、前記尿路閉塞を改善または除去する工程と、
を有する、方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドはβディフェンシン1(BD-1)である、方法。
【請求項16】
請求項14記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドはヒトαディフェンシン5(HD-5)である、方法。
【請求項17】
請求項14記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドは肝癌-腸-膵臓/膵炎関連タンパク質(HIP/PAP)である、方法。
【請求項18】
請求項14記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドはカテリシジンLL-37である、方法。
【請求項19】
請求項14記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドは好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)である、方法。
【請求項20】
請求項14記載の方法において、前記尿タンパク質は、UPK3A、UPK2、UPK20、または、UPK14である、方法。
【請求項21】
請求項14~20記載のいずれかの方法であって、さらに、定量ELISAを用いて、前記尿サンプル中の前記尿路上皮ペプチドの量、または、前記尿タンパク質の量を測定する工程を有する、方法。
【請求項22】
請求項14~21記載のいずれかの方法であって、さらに、前記患者から治療後の第2の尿サンプルを取得し、前記第2の尿サンプルを試験して、前記尿タンパク質の量がないことまたは有意に減少していることを確認することにより、前記尿路閉塞の効果的な除去を確認する工程を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府が資金提供した研究に関する声明
本発明は、米国国立衛生研究所が授与する助成金番号DK125469による政府支援を受けて行われたものである。米国政府は、本発明について一定の権利を有している。
【背景技術】
【0002】
記載された発明は、一般に、特定の病状または疾患状態を示すかまたは示す可能性のあるタンパク質および他の分子に関するものであり、より具体的には、尿サンプル中の特定のペプチドまたはタンパク質の存在に基づいて尿路閉塞を診断するための組成物および方法に関するものである。
【0003】
先天性閉塞性尿路症は、小児において慢性腎臓病や腎移植を必要とする最も一般的な原因の一つである[1]。尿路閉塞の適時診断により、腎機能の温存および/または腎疾患の回復を期待した適切な介入が可能となる。現在の尿路閉塞の診断は、ほぼ例外なく、腎臓超音波検査での水腎症や核医学シンチグラフィでの腎機能障害を伴う排尿遅延の兆候などの画像診断結果に依存している。しかし、水腎症は非特異的な所見であり、出生前超音波検査の1~5%で検出され[2,3]、大半の症例で一過性の所見であり、介入は必要ない[4]。核医学シンチグラフィは、適切な腎機能に依存し、巨大な腎臓系によって変化し、オペレーターが変動しやすいため、解釈することが困難な場合がある[5]。ダイナミック磁気共鳴技術は診断ツールとして台頭してきているが、その利便性には制限がある。
【0004】
現在の診断方法を改善するために、尿バイオマーカーが臨床的に重要な尿路閉塞の特定に使用できる可能性が評価されている。現在、クレアチニンなどの血清マーカーが利用されているが、このマーカーは対側腎が健常な患者ではしばしば正常であるため、片側閉塞患者への適用には限界がある[6,7]。好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)やヒト肝癌-腸-膵臓/膵炎関連タンパク質(HIP/PAP)などの尿バイオマーカーは、尿路で発生する傷害の指標として同定されている。しかし、NGALのみが尿路閉塞の尿バイオマーカーとして文献上認識されており、閉塞の外科的除去後に正常化する能力は、一貫した方法で特徴づけられていない。他のある種のタンパク質は、尿路感染症や炎症の際に検出されるが、尿路の解剖学的または機能的閉塞の際には検出されていない。したがって、尿路閉塞の患者を検出およびモニタリングするための、バイオマーカーに基づく非侵襲的な方法が継続的に必要とされており、この方法は、それ自体の感度、特異性および侵襲性(例えば、静脈注射、カテーテル、および放射線への曝露を必要とするなど)により制限される現在の画像化技術を単独でまたは補強して使用され得るものである。
【発明の概要】
【0005】
以下は、本発明の特定の例示的な実施形態の概要を提供するものである。この概要は、広範な概要ではなく、本発明の重要なまたは重要な側面または要素を特定すること、またはその範囲を画定することを意図していない。しかしながら、本発明を説明し請求するために使用される言語における不定冠詞の使用は、記載されたシステムを限定することをいかなる意味でも意図していないことを理解されたい。むしろ、「a」または「an」の使用は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【0006】
機能的または解剖学的な尿路閉塞の結果として尿路の内層(尿路上皮)の損傷を検出するための非侵襲的方法を提供するための尿タンパク質の定量的検出のための組成物および方法が開示される。尿路閉塞を発症するリスクのある人の尿タンパク質を測定することにより、尿路の不顕性障害を同定することが容易になる。さらに、尿路閉塞のX線所見がある患者において、尿タンパク質を定量化することにより、手術と保存的な非手術管理に関する意思決定が容易になる。最後に、これらの尿タンパク質の定量化は、術後の経過観察および手術の成功のモニタリングのためのマーカーとして機能する。
【0007】
一実施態様では、患者における少なくとも1つの尿路上皮ペプチドを検出する方法であって、尿路上皮ペプチドの存在が尿路閉塞の指標となる方法が提供される。この方法は、ヒト患者から尿サンプルを得る工程;および前記尿サンプルを抗尿路上皮ペプチド抗体と接触させ、尿路上皮ペプチドと抗体との間の結合を検出することによって、所定の尿路上皮ペプチドが前記尿サンプル中に存在するかどうかを検出する工程を有する。尿路上皮ペプチドは、βディフェンシン1(BD-1);ヒトαディフェンシン5(HD-5);肝癌-腸-膵臓/膵炎関連タンパク質(HIP/PAP);カテリシジンLL-37;好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL);またはその組み合わせであってもよい。本方法は、定量的酵素結合免疫吸着法(ELISA)を用いて、尿サンプル中の尿路上皮ペプチドの量を測定する工程をさらに有することもできる。
【0008】
別の実施態様では、患者における尿タンパク質を検出する方法が提供され、尿タンパク質の存在は、尿路閉塞の指標となる。この方法は、ヒト患者から尿サンプルを得る工程;および前記尿サンプルを抗尿タンパク質抗体と接触させ、尿タンパク質と前記抗体との間の結合を検出することにより、前記尿サンプル中に所定の尿タンパク質が存在するか否かを検出する工程を有する。尿タンパク質は、UPK3A、UPK2、UPK20、UPK14、またはそれらの組み合わせであってもよい。本方法は、定量的酵素結合免疫吸着法(ELISA)を用いて、尿サンプル中の尿タンパク質の量を測定する工程をさらに有することもできる。
【0009】
さらに別の実施態様では、尿路閉塞を診断し治療する方法が提供される。この方法は、ヒト患者から尿サンプルを得る工程;前記尿サンプルを抗尿路上皮ペプチド抗体と接触させて、尿路上皮ペプチドと抗体との間の結合を検出するか、または前記尿サンプルを抗尿タンパク質抗体と接触させて、尿タンパク質と抗体との間の結合を検出することにより、前記尿サンプル中に所定の尿路上皮ペプチドまたは所定の尿タンパク質が存在するかどうかを検出する工程;前記所定の尿路上皮ペプチドまたは所定の尿タンパク質のいずれかが検出された場合に、前記患者を尿路閉塞と診断する工程;および前記患者を手術または非手術により治療して、前記尿路閉塞を改善または除去する工程を有する。尿路上皮ペプチドは、βディフェンシン1(BD-1);ヒトαディフェンシン5(HD-5);肝癌-腸-膵臓/膵炎関連タンパク質(HIP/PAP);カテリシジンLL-37;好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL);またはそれらの組合せであってもよい。尿タンパク質は、UPK3A、UPK2、UPK20、UPK14、またはそれらの組み合わせであってもよい。本方法は、定量ELISAを用いて、尿サンプル中の尿路上皮ペプチドの量または尿タンパク質の量を測定する工程を更に含んでもよい。本方法は、患者から第2の治療後の尿サンプルを取得し、第2の尿サンプルを試験して、尿タンパク質の量がないことまたは有意に減少していることを確認することにより、尿路閉塞の効果的な除去を確認する工程をさらに有する。
【0010】
本発明の追加の特徴および態様は、例示的な実施形態に関する以下の詳細な説明を読み、理解することにより、当業者にとって明らかになるであろう。当業者によって理解されるように、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本発明のさらなる実施形態が可能である。したがって、図面および関連する記載は、例示的なものとみなされ、本質的に制限的なものではないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の1つ以上の例示的な実施形態を模式的に示し、上に与えられた一般的な説明および下に与えられた詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立ち、ここで:
【0012】
【
図1A-D】
図1A~Dは、尿管骨盤接合部閉塞(UPJO)の外科的矯正前(Pre)およびUPJOの外科的矯正後(Post)の患者における尿中AMP発現を示す一連のELISAの結果を示しており、ここで、
図1Aは、HIP/PAP ELISAの結果を示し、
図1Bは、BD-1 ELISAの結果を示し、
図1Cは、NGAL-37 ELISAの結果を示し、
図1Dは、LL-37 ELISAの結果を示す(*および**は、*p=0.0215および**p=0.0052の統計的有意差を意味する)。
【
図2A-D】
図2A~Dは、尿管骨盤接合部閉塞(UPJO)の外科的矯正前(Pre)およびUPJOの外科的矯正後(Post)の個々の患者における尿中AMPレベルを比較的に示す一連のELISAの結果を示しており、ここで、
図1Aは、HIP/PAP ELISAの結果を示し、
図1Bは、BD-1 ELISAの結果を示し、
図1Cは、NGAL-37 ELISAの結果を示し、
図1Dは、LL-37 ELISAの結果を示す。
【
図3A-B】
図3A~3Bは、閉塞解除に成功した患者(Post)と年齢および性別が一致した健常対照(Control)との間で尿中BD-1およびHIP/PAPを例示的に比較する一連のELISAの結果を示しており、
図1AはBD-1のELISAの結果を示し;
図1BはHIP/PAPのELISAの結果を示している。
【
図4A-C】
図4Aは、尿管骨盤接合部閉塞(UPJO)患者対非閉塞対照における尿中UPK3AおよびUPK2のレベルの上昇を示す実験結果を示す(*は統計的有意性を表す)。
図4Bおよび
図4Cは、尿管骨盤接合部閉塞(UPJO)患者対非閉塞対照における尿中UPK20(
図4B)およびUPK14(
図4C)のそれぞれのレベルの上昇を示す実験の結果を示す;および
【
図5】
図5は、健常対照と比較して、神経因性膀胱(NGB)患者における尿中HIP/PAPのレベルが上昇していることを示す実験結果を示す(*は統計的有意性を表す)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の例示的な実施形態について、図を参照しながら説明する。参照数字は、様々な要素および構造を参照するために詳細な説明を通じて使用される。以下の詳細な説明は、説明のために多くの具体的な内容を含んでいるが、当業者であれば、以下の詳細に対する多くの変形および変更が本発明の範囲内であることを理解するであろう。したがって、本発明の以下の実施形態は、請求された発明に対する一般性を損なうことなく、また、請求された発明に制限を課すことなく、記載される。
【0014】
バイオマーカーは、通常、生物学的プロセスの客観的で定量可能な特性として定義され、血液、他の体液、または組織中に見出され、正常または異常(例えば、病原)プロセス、あるいは状態または疾患の兆候である1つまたは複数の生体分子でありうる。バイオマーカーは、特定の疾患や病状に対する治療の効果(例えば、治療的介入に対する薬理学的反応)を判定するために使用されることがある。バイオマーカーは、特定のタンパク質またはタンパク質群を指すこともあり、その存在および/または濃度は、疾患状態の存在または重症度を示すことがある。バイオマーカーは、身体検査、実験室でのアッセイ、医療画像など、様々な方法で検出および測定することができる。
【0015】
抗菌ペプチド(AMP)は、殺菌および静菌活性を発揮し、尿路の無菌化を促進する。他の科学的証拠は、AMPが非感染性の状態でも存在し、それによって、損傷後の尿路上皮の適応および再生の間のより広い機能性を潜在的に反映している可能性があることを示唆している。本明細書に開示される組成物および方法は、解剖学的または機能的尿路閉塞の文脈における尿路上皮由来のバイオマーカーのパネル(例えば、尿路上皮AMPおよび尿路構造タンパク質)を提供するものである。これらの組成物および方法は、尿管骨盤接合部閉塞の手術的修復を受けている小児患者において、健康で閉塞していない対照患者と比較して、尿タンパク質バイオマーカーの有意差を同定するのに有用であった。開示された方法を用いて、尿管骨盤接合部閉塞の矯正に成功した小児患者におけるこれらの尿タンパク質バイオマーカーのサブセットにおける有意な減少が観察され、同様に、健常対照患者と比較して、脊髄形成異常による神経因性膀胱の小児患者における尿タンパク質バイオマーカーの有意差も確認された。
【0016】
バイオマーカーとしてのAMP
以下の実験およびデータは、Gupta S, et al. Urinary antimicrobial peptides: potential novel biomarkers of obstructive uropathy. J Pediatr Urol 14 (3): 238.e1-238.e6.PMID 29706289;およびGupta S et al., Impact of successful pediatric ureteropelvic junction obstruction surgery on urinary HIP/PAP and BD-1 levels, J Pediatr Urol, https://doi.org/10.1016/j.jpurol.2020.03.006に開示された方法および結果と同様に、開示された発明に関して例示されるものであり、これらは、すべての目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に開示されたデータは、市販の個々のELISAキットを用いた尿タンパク質のELISAベースの検出から得られたものである。他の実施態様では、複数の尿タンパク質分析物の迅速な定量のために、マルチプレックスビーズベース免疫アッセイを用いて個々の検査を尿分析物の単一パネルに統合し、それによってコスト、時間、および尿サンプル量を削減する。尿のpHおよび浸透圧は、生理的および病理的状態で大きく変化するため、尿のpHは5~9、浸透圧は50~1200mOsm/kgの範囲で検出条件を最適化したものもある。
【0017】
尿管骨盤接合部閉塞(UPJO)が必ずしも症候性でない小児患者においては、画像診断が外科的成功を検出する最も一般的な手段である。しかし、術後モニタリングの他の手段にも関心が持たれている。UPJOでは特定のAMPが上昇することが以前からわかっていたが、外科的矯正がこれらのAMPに及ぼす影響は不明であった。本明細書に記載されている研究の目的は、尿路閉塞の尿中AMPバイオマーカー候補の濃度上昇がUPJO修復後に減少するかどうかを決定することである。
【0018】
AMPは、尿路感染症に反応して尿路上皮、腎臓間在細胞、食細胞によって、自然免疫系の一部として通常生成される小さなカチオン性ペプチドである[8,9]。AMPは、出血性膀胱炎や急性腎不全などの非感染状態で発現し、尿路病態のより広範なマーカーとなる可能性が示唆されている[10,11]。特定のAMPは、手術を必要とする片側UPJOの非感染患者において、年齢および性別を一致させた健常対照患者と比較して上昇することが判明しており[12]、尿中AMPレベルは、閉塞状況において変化しうる尿路上皮バリアの変化を反映しており、したがって重大閉塞のマーカーとして使用可能であることが示唆されている。本明細書で述べる研究は、外科的修復から少なくとも6ヶ月経過した患者のサブセットにおいて、閉塞の修正が成功した後のこれらのAMPの発現を調査したものである。この研究では、外科的矯正が成功した後の、これらの同じAMPの術後の発現を評価した。この研究ではまた、閉塞で上昇したマーカーが減少し、閉塞が緩和されると正常に戻るという予想のもと、減少したAMPの術後発現を閉塞の病歴のない対照患者の発現と比較し、これらの値が正常に戻るかどうかを判断した。
【0019】
材料および方法
UPJOの外科的矯正を受けている小児患者を研究参加のために募集した。感染していない承諾/同意患者の膀胱尿は、手術の直前と、その後少なくとも6ヶ月後に採取した。UPJO患者対対照患者で、βディフェンシン1(BD-1)、肝癌-腸-膵臓/膵炎関連タンパク質(HIP/PAP)、カテリシジン(LL-37)、好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)の有意な上昇を示した先行研究に基づいて、これら4つのAMPについて酵素免疫吸着分析(ELISA)を行い、外科的介入前と後の発現量を比較検討した。有意な減少が認められた場合、AMPレベルを健常対照と比較した。AMPレベルは尿クレアチニンに対して正規化された。結果は、Graphpadソフトウェアを用いて、対応のあるt検定(paired t test)またはウィルコクソン検定で解析した。相関は、ピアソンまたはスピアマン相関を用いて計算した。p値<0.05を有意とした。
【0020】
この研究には13名のUPJO患者が含まれ、9名が男性であった(69%)。手術時の年齢は中央値4.3歳(平均6.1歳、範囲0.4~18.4歳)であった。経過観察の尿サンプルは、術後中央値27.4ヶ月(平均27.4ヶ月、範囲7.8~45.3ヶ月)に採取された。13名の患者すべてにおいて、術後の画像診断で臨床的な改善および/または水腎症改善の徴候が認められた。HIP/PAPとBD-1は術前と比較して有意に減少し(それぞれp=0.02および0.01)、NGALとLL-37は有意な変化を認めなかった。全体として、HIP/PAPは12名の患者(92%)、BD-1は11名の患者(85%)で減少した。修復成功後のBD-1レベルは健常対照と差がなかった(p=0.06)。
【0021】
閉塞の尿バイオマーカーは、重大な閉塞性病態を検出するだけでなく、その解消を反映することが期待されるため、術後のモニタリングに使用でき、画像診断により成功した手術結果を判定する現在の方法を補強することができる。AMPのHIP/PAPおよびBD-1はUPJOで有意に上昇し、腎盂形成術後に有意に低下し、BD-1は健常対照レベルまで回復する。したがって、これらのAMPは成功した外科的介入のマーカーとして有用である。尿中HIP/PAPおよびBD-1レベルの上昇は臨床的に重大な上部尿路閉塞を示唆するのと同様、その低下は外科的介入の成功を示唆する。潜在的に、このことは、腎盂形成術後の患者の必要な術後モニタリングや経過観察を簡略化することにつながる可能性がある。
【0022】
UPJOと推定されて腎盂形成術を受けた小児患者(18歳)の承諾/同意のもとに以前に採取した膀胱尿のアリコートを使用した[12]。これらのサンプルは「Pre」グループを表す。経過観察膀胱尿サンプルは、術後6ヶ月以上経過し、すべての排液管(例えば、ステント、腎瘻チューブ、カテーテル)を抜去した同じ患者から採取された。採取時期は、異物に直接反応する炎症や尿路上皮の変化がAMP発現を人為的に変化させる可能性を排除するため、いずれかの管が抜去された時期を基準とした。これらのサンプルは「Post」グループを表す。これらのサンプルは、クリーンキャッチまたはバッグ入り尿によって収集された。患者は、手術とすべての尿道ドレーンの除去から6ヶ月以上経過した経過観察尿サンプルが得られた場合のみ含まれた。尿検査(微量白血球以上または亜硝酸塩陽性など)および/または採取時の症状でUTIの兆候を示した患者は解析から除外した。電子カルテをレビューし、術後に症状が持続する懸念があるかどうかを確認した。術後直近の腎臓超音波検査と核医学シンチグラフィがある場合はそれを含む、すべての画像がレビューされた。水腎症については、SFU(胎児泌尿器科学会)システムにより、1名の評者(C.B.C.)が腎臓超音波検査を読み、評定した。画像または症状に基づく再閉塞の懸念の有無にかかわらず、患者を対象とした。
【0023】
健常な小児患者から採取した対照尿のアリコートを、「Post」グループとの比較に使用した。選択された「対照」サンプルは、「Post」サンプルが得られた患者と年齢および性別が一致したものが選ばれた。患者は、「Post」患者の年齢とほぼ同じになるように1対1で一致させたが、年齢差は1歳まで許容された。これらのサンプルは、ボイドフリーまたはバッグ入りサンプルによって採取された膀胱尿であった。検体の尿分析は、採取後すぐにディップスティック(Siemens Healthcare Diagnostics,Inc.,Tarrytown NY)により行い、その後プロテアーゼ阻害剤(Assay Assure, Sierra Molecular,Incline Village NV)を加えた。その後、サンプルを処理し、分注し、先に述べたように分析まで80℃で保存した[12]。サンプルは、分析前に単一の凍結/解凍サイクルに制限された。
【0024】
AMPベータディフェンシン1(BD-1)、肝癌性腸炎膵炎関連タンパク質(HIP/PAP)、カテリシジン(LL-37)、および好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)が対照と比較してUPJO患者では有意に上昇していたことから[12]、これら4種類のAMPについて酵素免疫吸着測定法(ELISA)を実施し、外科手術前(Pre)と後(Post)の発現を比較検討した。BD-1は1:1000希釈(Peprotech, Rocky Hill,NJ)で、HIP/PAP(Fisher Scientific, Pittsburgh,PA)、LL-37(Hycult Biotech,Plymouth Meeting,PA)およびNGAL(Hycult Biotech, Plymouth Meeting,PA)はすべて未希釈のまま測定された。ELISAは、無細胞上清に対して二重に実施された。ELISAプレートの読み取りの間の変動が観察されたため、対応する比較群を同じELISAプレートで実行した。AMPレベルは、以前に記載されたように尿クレアチニン(UCr)に対して正規化し[12]、UCrに対する比率(ng/mg)として表した。D’Agostino-ピアソン オムニバス正規性検定により、サンプルがパラメトリックであるかどうかを判定した。対のサンプル解析は、サンプルがパラメトリックかノンパラメトリックかによって、それぞれ対のt検定またはウィルコクソン検定によって行われた。変数間の関係を評価するために、ピアソンまたはスピアマンの相関を使用した。統計解析はGraphPad(La Jolla,CA)を用いて行った。すべての場合において、p<0.05は統計的に有意であるとみなされた。
【0025】
先行研究の対象となった30名の患者のうち、13名については術後6ヶ月を超える経過観察の尿サンプルを採取している。他の17名の患者について、経過観察サンプルを採取できなかった理由として、経過観察の欠如、分析のために適切に尿を採取し処理することができない施設での経過観察、および、経過観察訪問時に尿サンプルを提供することができない患者またはその意志がないことが挙げられた。患者は、腎超音波検査で水腎症が悪化した、腎シンチグラフィで同側の相対的腎機能が低下した、および痛みなどの症状があるなどの理由で、最終的には手術担当者の判断でUPJOに対する腎盂形成術を受けたことがある。1人の患者は機能的に孤立した腎臓であったが、他の患者はすべて対側腎臓が正常であった。13名の患者全員に術前からの臨床的改善を示し、および/または術後画像で水腎症改善の兆候を示した。症状が改善した1名の患者は、レビューに利用できる画像がなかった。術前に尿路感染症を発症した患者はおらず、術後に尿路感染症を発症した患者は1名のみであり、これはPostサンプル採取の11ヶ月前であった。
【0026】
図1A~1Dに示すように、HIP/PAPおよびBD-1は、術前サンプル(Pre)と比較して術後サンプル(Post)で有意に減少した(それぞれ、p=0.0215および0.0052)。NGALとLL-37は有意に変化しなかった(それぞれp>0.9999およびp=0.5417)。NGALとPost SFU gradeの相関は、以前に確認されたPre SFU gradeとNGALの相関に基づいて検討された[12]。有意な相関は認められなかった(p=0.653、スピアマン相関)。興味深いことに、機能的に孤立した腎臓を持つ患者において、すべてのマーカーのレベルが術後に低下した。
【0027】
術前術後の各個体の値を評価したところ、術後にHIP/PAPおよび/またはBD-1が上昇した個体は2名だけであった(
図2A~2D参照)。観察された値の上昇を説明する明確な統一要因はなかった:1人は7歳の男性で、18%が機能する閉塞した腎臓を有し、もう1人は18歳の女性で、43%が機能する閉塞した腎臓を有した。どちらの患者も尿路結石の既往がなく、術後に腎臓の機能を評価するためのスキャンも行っていない。両者とも術後の腎臓超音波検査でSFU gradeが改善されていた。術後にBD-1が2名、HIP/PAPが1名のみ上昇したという所見から、BD-1の特異度は85%、HIP/PAPの特異度は92%と算出された。腎盂形成術が失敗した患者(疾患の真陽性)がいなかったため、マーカーの感度の算出、または、受信者動作特性曲線の算出は不可能であった。
【0028】
HIP/PAPとBD-1がPostサンプルで有意に減少した唯一の2つのAMPであったため、これら2つのAMPのみを対照尿サンプルと比較検討した。HIP/PAPの発現は年齢と相関することが以前に判明しているため[12]、Post尿の8検体は、以前に採取した対照尿の8検体と年齢(p=0.9591)および性別(p=0.5896)を一致させた検体とした。BD-1Post尿サンプルは健常対照尿サンプルのコホートと正規化したが、HIP/PAPは正規化しなかった(
図3A~3B参照)。術後の核シンチグラフィで腎機能が確認されたのは2名のみであったため、術後のバイオマーカー値とそれに対応する腎機能との相関を確認することは制限された。手術からの時間の変動性を考慮して、関連するAMPの発現の時間との相関が評価された。HIP/PAP、BD-1、NGAL、またはLL-37のPost尿レベルと手術からの時間との間に有意な相関は認められなかった(それぞれp=0.591(スピアマンの相関)、p=0.449(ピアソンの相関)、p=0.176(スピアマンの相関)、p=1.000(スピアマンの相関))。
【0029】
現在、UPJOの外科手術が成功したかどうかを評価する手段には、画像診断と臨床症状がある。小児患者はUPJOの症状が常にあるわけではないので、解消が閉塞の改善を意味するかどうか判断できないし、術後の画像診断には限界がある[13,14]。そのため、尿路の閉塞過程を追跡するための客観的な代替手段が求められている。
【0030】
現在の放射線検査の低侵襲的代替手段として、現在の診断方法に取って代わるものではないにしても、補足する小児尿路閉塞の尿中バイオマーカーを特定することは、大きな関心が寄せられている[15]。AMPのHIP/PAP、BD-1、NGAL、およびLL-37は、年齢と性を一致させた対照と比較してUPJOの子どもで有意に高いことが以前に判明しており[12]、尿中AMPは尿路閉塞の新規マーカーとなり得ることが示唆されている。優れたバイオマーカーはその解決策も反映するはずであることから[16]、外科的修復の成功が、HIP/PAP、BD-1、NGAL、およびLL-37の尿中レベルの低下と正常化につながるかどうかを判断するためにその後の研究が行われた。
【0031】
4つの初期バイオマーカーのうち、2つは臨床的な有用性が示唆された。HIP/PAPとBD-1は、外科的矯正が成功した後に有意に減少し、外科的成功に対する特異度が比較的高かった。残念ながら、外科的失敗がなかったため、これらのマーカーの感度を評価することはできず、その結果、予測値を評価することはできなかった。HIP/PAPは尿路上皮で特異的に作られ[11,17]、BD-1は主に腎遠位尿細管と集合管で作られる[18,19]。尿路閉塞は上皮障害を引き起こすことが知られており[20,21]、これらの細胞で作られるペプチドが閉塞性尿路疾患の状況において放出されることは適切であると思われる。それらの上昇した発現が閉塞のマーカーである可能性があるのと同様に、術後のそれらの低下する発現は外科的成功のマーカーである可能性があり、HIP/PAPおよびBD-1は、UPJOの診断および修復のためのバイオマーカー候補であることが示唆される。これらのマーカーが減少することは、閉塞が改善されると尿路上皮細胞がリモデリングし、修復する能力を持つことを意味し、特にBD-1の場合、実際に健常対照者のレベルにまで正常化する。
【0032】
逆に、UPJO患者で以前から上昇が確認されていたNGALおよびLL-37[12]は、術後も有意に減少しなかった。NGALは、遠位ネフロン遺伝子発現の増加と近位尿細管再吸収の変化の両方の結果として、腎障害のマーカーとして機能する[22-24]。LL-37は尿路上皮細胞によって発現する[25]。これらのマーカーの持続的な上昇は、超音波画像や臨床歴に基づく明らかな外科的成功にもかかわらず、不可逆的または継続的な尿細管損傷の要素がある可能性を示唆している。NGALはUPJO修復術の成功後、早ければ1ヶ月で有意に減少することが証明されている[26,27]。しかし、尿中NGALレベルは術後6ヶ月までに対照で検出されるレベルまで正常化することを示した研究と、術後1年および3年経過しても持続的に低いままであることを示した研究の2件があり、正常化する能力はややまちまちである[24,26]。しかし、別の研究では、NGALは術後3ヶ月で有意に低下するものの(p<0.05)、健常児よりも依然として高い(p>0.05)ことが明らかにされている[28]。Xieらは、閉塞性腎結石症に対する外科的矯正の72時間後に測定した尿中NGALレベルが、1年後に腎機能が悪化した患者と安定した患者を識別することを見出した[29]。彼らの研究は、NGALが術後に不可逆的な腎機能障害を持つ患者を予測できることを発見したという点で新規である。先行研究では、NGALレベルは単に採取時の患部腎臓の相対機能と逆相関することが示されていた[22,28,30]。UPJOに対する腎盂形成術の時点で患者を評価する今後の研究では、尿中NGALレベルが患者の機能回復を予測できるかどうか、特に核シンチグラフィでの腎機能低下が介入の適応となった場合に評価できるかもしれない。
【0033】
バイオマーカーとしてのタンパク質
AMPに加えて、閉塞性尿路症患児では、尿路上皮の健全性に関わるタンパク質(例えばケラチン)も増加することが示された。さらに実験では、尿管骨盤接合部閉塞(UPJO)に対して外科的介入を受けた小児における尿タンパク質UPK3A、UPK2、UPK20、およびUPK14の発現を閉塞していない対照と比較して分析した。UPK3A(p=0.005)、UPK2(p=0.0006)、K20(p=0.0133)およびK14(p=0.0047;マン・ホイットニーのU検定)の有意に高い発現が、外科的減圧時にUPJOを有する患者において観察された。
図4Aは、尿管骨盤接合部閉塞(UPJO)を有する患者と閉塞していない対照における尿中UPK3AおよびUPK2のレベルの上昇を示す実験結果を示し(*は統計的有意性を表す)、
図4Bおよび
図4Cは、尿管骨盤接合部閉塞(UPJO)患者と閉塞していない対照における尿中UPK20およびUPK14それぞれのレベルの上昇を実証する実験結果を示す。これらの結果は、UPK3A、UPK2、UPK20、UPK14などの尿中構造タンパク質が、単独でまたは互いに組み合わせて、尿路上皮損傷のバイオマーカーとして機能し得ることを示唆している。
【0034】
また、脊髄損傷の結果として機能的な尿路閉塞を有する患者に、尿路上皮タンパク質の上昇の観察が適用できるかどうかを調べるための実験も行われた。二分脊椎の結果として神経因性膀胱(NGB)を有する26人の患者を含む研究は、健常小児対照と比較してNGBを有する小児の尿中HIP/PAPレベルの有意な上昇を確認した(p=0.0005;マン・ホイットニー検定)。
図5は、健常対照と比較した神経因性膀胱(NGB)患者における尿中HIP/PAPレベルの上昇を実証する実験結果を示す(*は統計的有意性を表す)。これらの結果は、HIP/PAPのような尿路上皮タンパク質が、膀胱の動態に異常のある子どもの尿中に蓄積する可能性があることを示唆している。
【0035】
本明細書に開示されたデータは、AMPおよびウロプラキンなどの尿路上皮タンパク質の尿中レベルの上昇が、閉塞性尿路症のバイオマーカーとして機能し得るという結論を支持するものである。開示された組成物は、尿路閉塞を検出するための尿バイオマーカーのアレイを提供し、尿路閉塞の診断またはリスク層別化のための尿ベースのアッセイにおいて使用され得る。これらの尿ベースアッセイの結果は、尿路閉塞の管理および経過観察を導くために使用され、どの患者がより頻繁または侵襲的な連続画像診断、追加の実験室モニタリングを必要とするか、および最も重大なことに、どの患者が手術(すなわち、外科的)管理を必要とするかに関する意思決定において泌尿器科および腎臓学の医師を特に支援するために使用されてもよい。本発明はまた、尿路閉塞の手術的修復を必要とする患者、または機能的閉塞の結果として尿路減圧のリスクを有する患者を同定する際の予測値を提供し得る。
【0036】
他の実施態様は、尿路閉塞の手術的管理を必要とする患者を、非手術的管理が可能な患者と区別するために、開示された組成物および関連する方法を利用するものである。出生前の水腎症の患者から採取した尿サンプルを使用して、尿タンパク質バイオマーカーが、状態が自然に消失する患者と比較して、どの患者が臨床的に有意な水腎症を示すかを予測するかどうかを決定するために使用できる。さらに、尿タンパク質バイオマーカーは、様々なタイプの尿路閉塞(例えば、UPJOと後部尿道弁)を区別するために、また、原発性膀胱尿管逆流などの尿路の他の構造異常に関してバイオマーカーレベルが異なるかどうかを判断するために使用することが可能である。
【0037】
特許、特許出願、論文、書籍、論文、ウェブページを含むが、これらに限定されない、本出願で引用されたすべての文献および類似の資料は、かかる文献および類似の資料の形式に関係なく、参照によりその全体が明示的に組み込まれる。組み込まれた文献および類似資料の1つ以上が、定義された用語、用語の使用法、記載された技術などを含むがこれに限定されず、本願と異なるかまたは矛盾する場合、本願が支配的となる。
【0038】
先に述べたように、また本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、単数形だけでなく複数形の両方を指す。本明細書で使用される用語「有する(comprising)」は、「含む(including)」、「含む(containing)」、または「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義であり、包括的または開放的であり、追加の、再現されていない要素または方法の工程を除外しない。本明細書に記載されるものと類似または同等の多くの方法および材料を使用することができるが、特定の好適な方法および材料が本明細書に記載される。文脈が他に示さない限り、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数値を含む。さらに、「1つの実施態様」への言及は、言及された特徴も組み込んだ追加の実施態様の存在を排除すると解釈することを意図していない。さらに、反対のことを明示的に述べない限り、特定の特性を有する要素または複数の要素を「有する(comprising)」または「有する(having)」実施形態は、その特性を有するか否かにかかわらず、追加の要素を含むことができる。
【0039】
本明細書を通じて使用される用語「実質的に」および「約」は、処理の変動に起因するような小さな変動を記述し、説明するために使用される。例えば、これらの用語は、±5%以下、例えば±2%以下、例えば±1%以下、例えば±0.5%以下、例えば±0.2%以下、例えば±0.1%以下、例えば±0.05%以下、および/または0%を指すことができる。
【0040】
下線および/または斜体の見出しと小見出しは、便宜上のみ使用され、開示された主題を限定するものではなく、開示された主題の説明の解釈に関連して参照されることはない。当業者に既知であるか、または後に既知となる、本開示を通じて説明される様々な実施形態の要素に対する全ての構造的および機能的等価物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、開示される主題に包含されることが意図される。さらに、本明細書で開示されるものは、そのような開示が上記の説明で明示的に述べられているかどうかにかかわらず、一般向けに専用化されることを意図していない。
【0041】
開示された発明的主題を実施する多くの代替的な方法が存在する可能性がある。本明細書に記載された様々な機能および要素は、開示された発明的主題の範囲から逸脱することなく、示されたものとは異なるように分割されてもよい。本明細書で定義された一般的な原理は、他の実施態様に適用することができる。所定のモジュールまたはユニットの異なる数が採用されてもよく、所定のモジュールまたはユニットの異なるタイプまたは種類が採用されてもよく、所定のモジュールまたはユニットが追加されてもよく、または所定のモジュールまたはユニットが省略されてもよい。
【0042】
前述の概念および本明細書でより詳細に議論される追加の概念のすべての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件とする)は、開示された発明の主題の一部であると企図されることを理解されたい。特に、本開示の末尾に現れるクレームされた主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示された発明的主題の一部であることが企図される。開示された発明の主題は、例示的な実施形態の説明によって例示され、例示的な実施形態は、特定の詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限する、または何らかの方法で制限する意図はない。追加の利点および修正は、当業者には容易に現れるであろう。したがって、その広い態様で開示された発明の主題は、示され、説明された特定の詳細、代表的な装置および方法、および/または例示的な実施例のいずれにも限定されることはない。従って、一般的な発明概念の精神または範囲から逸脱することなく、そのような詳細から逸脱することができる。
【0043】
以下の参考文献は、本願明細書の一部を構成し、各参考文献は、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
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【手続補正書】
【提出日】2022-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における尿路上皮ペプチドを検出する方法であって、前記尿路上皮ペプチドの
存在は、尿路閉塞を示すものであり、前記方法は、
(a)ヒト患者から尿サンプルを得る工程と、
(b)前記尿サンプルを抗尿路上皮ペプチド抗体と接触させ、前記尿路上皮ペプチドと前記抗体との間の結合を検出することにより、前記尿サンプル中に所定の尿路上皮ペプチドが存在するかを検出する工程と、
を有する、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドはβディフェンシン1(BD-1)である、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドはヒトαディフェンシン5(HD-5)である、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドは肝癌-腸-膵臓/膵炎関連タンパク質(HIP/PAP)である、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドはカテリシジンLL-37である、方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドは好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)である、方法。
【請求項7】
請求項1~6記載のいずれかの方法であって、さらに、定量的酵素結合免疫吸着法(ELISA)を用いて、前記尿サンプル中の前記尿路上皮ペプチドの量を測定する工程を有する、方法。
【請求項8】
患者における尿タンパク質を検出する方法であって、前記尿タンパク質の存在は、尿路閉塞を示すものであり、前記方法は、
(a)ヒト患者から尿サンプルを得る工程と、
(b)前記尿サンプルを抗尿タンパク質抗体と接触させ、前記尿タンパク質と前記抗体との間の結合を検出することにより、前記尿サンプル中に所定の尿タンパク質が存在するかを検出する工程と、
を有する、方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、前記尿タンパク質はUPK3Aである、方法。
【請求項10】
請求項8記載の方法において、前記尿タンパク質はUPK2である、方法。
【請求項11】
請求項8記載の方法において、前記尿タンパク質はUPK20である、方法。
【請求項12】
請求項8記載の方法において、前記尿タンパク質はUPK14である、方法。
【請求項13】
請求項7~12記載のいずれかの方法であって、さらに、定量ELISAを用いて、前記尿サンプル中の前記尿タンパク質の量を測定する工程を有する、方法。
【請求項14】
尿路閉塞を
同定する方法であって、前記方法は、
(a
)患者から尿サンプルを得る工程と、
(b)前記尿サンプルを抗尿路上皮ペプチド抗体と接触させ、尿路上皮ペプチドと前記抗体との間の結合を検出するか、または、前記尿サンプルを抗尿タンパク質抗体と接触させ、尿タンパク質と前記抗体との間の結合を検出することにより、前記尿サンプル中に所定の尿路上皮ペプチドまたは所定の尿タンパク質が存在するかを検出する工程と、
(c)前記所定の尿路上皮ペプチドまたは前記所定の尿タンパク質のいずれかが検出された場合に
、尿路閉塞と
結論付ける工程と
、
を有する、方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドはβディフェンシン1(BD-1)である、方法。
【請求項16】
請求項14記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドはヒトαディフェンシン5(HD-5)である、方法。
【請求項17】
請求項14記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドは肝癌-腸-膵臓/膵炎関連タンパク質(HIP/PAP)である、方法。
【請求項18】
請求項14記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドはカテリシジンLL-37である、方法。
【請求項19】
請求項14記載の方法において、前記尿路上皮ペプチドは好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)である、方法。
【請求項20】
請求項14記載の方法において、前記尿タンパク質は、UPK3A、UPK2、UPK20、または、UPK14である、方法。
【請求項21】
請求項14~20記載のいずれかの方法であって、さらに、定量ELISAを用いて、前記尿サンプル中の前記尿路上皮ペプチドの量、または、前記尿タンパク質の量を測定する工程を有する、方法。
【請求項22】
請求項14~21記載のいずれかの方法であって、さらに、前記患者から治療後の第2の尿サンプルを取得し、前記第2の尿サンプルを試験して、前記尿タンパク質の量がないことまたは有意に減少していることを確認することにより、前記尿路閉塞の効果的な除去を確認する工程を有する、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
現在の診断方法を改善するために、尿バイオマーカーが臨床的に重要な尿路閉塞の特定に使用できる可能性が評価されている。現在、クレアチニンなどの血清マーカーが利用されているが、このマーカーは対側腎が健常な患者ではしばしば正常であるため、片側閉塞患者への適用には限界がある[6,7]。好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)やヒト肝癌-腸-膵臓/膵炎関連タンパク質(HIP/PAP)などの尿バイオマーカーは、尿路で発生する傷害の指標として同定されている。しかし、NGALのみが尿路閉塞の尿バイオマーカーとして文献上認識されており、閉塞の外科的除去後に正常化する能力は、一貫した方法で特徴づけられていない。他のある種のタンパク質は、尿路感染症や炎症の際に検出されるが、尿路の解剖学的または機能的閉塞の際には検出されていない。したがって、尿路閉塞の患者を検出およびモニタリングするための、バイオマーカーに基づく非侵襲的な方法が継続的に必要とされており、この方法は、それ自体の感度、特異性および侵襲性(例えば、静脈注射、カテーテル、および放射線への曝露を必要とするなど)により制限される現在の画像化技術を単独でまたは補強して使用され得るものである。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2014/0038203号明細書
(非特許文献)
(非特許文献1) BECKNELL et al.,Molecular Basis of Renal Adaptation in a Murine Model of Congenital Obstructive Nephropathy, Plos One,September 2013,Vol.8,No.9,pg 1-12.Entire document
【国際調査報告】