(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(54)【発明の名称】ナノモリブデン酸亜鉛の製造装置、方法及び応用
(51)【国際特許分類】
C01G 39/00 20060101AFI20220926BHJP
A61K 33/30 20060101ALI20220926BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220926BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20220926BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20220926BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20220926BHJP
C22B 34/34 20060101ALI20220926BHJP
C22B 19/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
C01G39/00 Z
A61K33/30
A61P31/12
A61P31/14
A61P31/18
A61P31/20
C22B34/34
C22B19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506585
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2020089537
(87)【国際公開番号】W WO2021027345
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】201910736311.7
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518193928
【氏名又は名称】湖北中澳納米材料技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUBEI ZHONG’AO NANOTECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Dujiawan, Shili Industrial Park Guangshui City, Hubei 432700 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】陳方吾
(72)【発明者】
【氏名】陳洛丞
(72)【発明者】
【氏名】呉中凱
(72)【発明者】
【氏名】王燿発
(72)【発明者】
【氏名】趙煦
(72)【発明者】
【氏名】陳鎮
【テーマコード(参考)】
4C086
4G048
4K001
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA03
4C086HA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB33
4G048AA03
4G048AB02
4G048AC08
4G048AD04
4G048AE05
4K001AA17
4K001AA30
4K001BA05
4K001CA11
(57)【要約】
本発明は、ナノモリブデン酸亜鉛の製造装置、方法及びその応用に関し、前記装置は、ダ
ブルコーンミキサーを含み、前記ダブルコーンミキサーの排出口の底部に巻上機が設けら
れ、前記巻上機は斜めに配置され、前記巻上機の後端は供給機の上方に位置し、前記供給
機は電気加熱転炉の一端に連通し、前記電気加熱転炉の他端は完成品室に接続され、前記
完成品室の頂部にナノ材料分散剤添加用の霧化噴霧ヘッドが設けられ、前記霧化噴霧ヘッ
ドは配管を介して注射ポンプに接続されている。本発明で提案したナノモリブデン酸亜鉛
の製造装置、方法及びその応用では、高純度ナノ三酸化モリブデンとナノ酸化亜鉛を用い
て電気加熱転炉においてナノモリブデン酸亜鉛を合成するものであり、操作が簡単で制御
しやすく、ゼロエミッションであり、高純度ナノ三酸化モリブデンの利用率が100%に
近く、大規模な工業的生産が可能であり、また、製造されたナノモリブデン酸亜鉛はAS
Fウイルス、コロナウイルス、エイズI期、エボラ出血熱、デング熱及びポリオの治療に
用いることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノモリブデン酸亜鉛の製造装置であって、
ダブルコーンミキサー(1)を含み、前記ダブルコーンミキサー(1)の排出口の底部に
巻上機(2)が設けられ、前記巻上機(2)は斜めに配置され、前記巻上機(2)の後端
は供給機(3)の上方に位置し、前記供給機(3)は電気加熱転炉(4)の一端に連通し
、前記電気加熱転炉(4)の他端は完成品室(5)に接続され、前記完成品室(5)の頂
部にナノ材料分散剤添加用の霧化噴霧ヘッド(6)が設けられ、前記霧化噴霧ヘッド(6
)は配管を介して注射ポンプ(7)に接続されている、ことを特徴とするナノモリブデン
酸亜鉛の製造装置。
【請求項2】
前記電気加熱転炉(4)は2520材質を用いる、ことを特徴とする請求項1に記載のナ
ノモリブデン酸亜鉛の製造装置。
【請求項3】
前記注射ポンプ(7)は医療用定量注射ポンプである、ことを特徴とする請求項1に記載
のナノモリブデン酸亜鉛の製造装置。
【請求項4】
前記前記供給機(3)は定量供給機である、ことを特徴とする請求項1に記載のナノモリ
ブデン酸亜鉛の製造装置。
【請求項5】
具体的には、
高純度ナノ三酸化モリブデンとナノ酸化亜鉛をモル比1:1.02でダブルコーンミキサ
ー(1)に加えて十分に混合し、その後、巻上機(2)、供給機(3)を経て材料を電気
加熱転炉(4)に供給して合成反応を反応温度460±1℃で、40min行い、製造し
たナノモリブデン酸亜鉛を完成品室(5)に入れ、注射ポンプ(7)に接続された霧化噴
霧ヘッド(6)によって完成品室(5)にナノ材料分散剤を噴霧し、最終的にナノモリブ
デン酸亜鉛完成品を得るステップを含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項
に記載のナノモリブデン酸亜鉛の製造装置を用いた製造方法。
【請求項6】
前記電気加熱転炉(4)には複数の加熱ゾーンが設けられ、高温ゾーンでの材料の反応時
間は10minである、ことを特徴とする請求項5に記載のナノモリブデン酸亜鉛の製造
方法。
【請求項7】
前記ナノモリブデン酸亜鉛の粒径が25~120nmである、ことを特徴とする請求項5
に記載のナノモリブデン酸亜鉛の製造方法。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたナノモリブデン酸亜鉛の
ASFウイルス、及び抗コロナウイルス、エイズI期、エボラ出血熱、デング熱、ポリオ
の予防、治療における応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモリブデン酸亜鉛の製造に関する技術分野に関し、特にナノモリブデン酸亜鉛の
製造装置、方法及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
モリブデン酸亜鉛の工業的な製造方法は、一般的には、工業グレードのモリブデン酸と酸
化亜鉛とを混合した後、転炉にて600~700℃の温度で、水に不溶で粒径が8~10
μmのモリブデン酸亜鉛を合成するものである。腐食抑制剤、防錆剤、難燃制煙剤、油化
添加剤、無公害型冷却水系の金属腐食抑制剤や動物・植物に必要な微量成分に一般的に用
いられている。近年、有機抗生物質の乱用により、リスクが多くならい、深刻な二次汚染
をもたらした。無機銀、亜鉛、銅などのイオン系殺菌剤がまだ普及している。しかし、銀
イオンは殺菌が強すぎて、環境における善玉菌も破壊するので、アメリカは使用が厳重に
制御されるものとして指定され、このため、亜鉛、銅などのイオン塩類は今後の重要な発
展方向である。
【0003】
西北工業大学の張文鉦教授のチームはモリブデン酸亜鉛分子が非極性原理を有し、亜鉛イ
オンを放出できるが、分子が安定していることを活用して、長年の研究を行った結果、モ
リブデン酸亜鉛粒子が小さいほど効果が顕著であり、ナノメートルレベルのモリブデン酸
亜鉛が同じ効果の場合、使用量のパーセンテージが10~100ppmレベル以下に低下
することを見出した。環境を改善し、資源を節約し、モリブデン酸亜鉛粒子は使用中にモ
リブデン酸イオンと亜鉛イオンを放出し、モリブデン酸イオンと亜鉛イオンは殺菌をした
後、安定したモリブデン酸亜鉛分子を形成し、15年間も持続する。
したがって、粒度がより小さく、純度がより高いモリブデン酸亜鉛をどのように製造する
かは本発明の解決する課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の上述の欠点を克服するために、本発明はナノモリブデン酸亜鉛の製造装置、方
法及び応用を提案し、従来のモリブデン酸亜鉛の製造に存在する、環境汚染しやすく、モ
リブデン酸亜鉛の粒径が大きく、量産を実現できないという問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の技術案によって達成される。
【0006】
ナノモリブデン酸亜鉛の製造装置であって、
ダブルコーンミキサーを含み、前記ダブルコーンミキサーの排出口の底部に巻上機が設け
られ、前記巻上機は斜めに配置され、前記巻上機の後端は供給機の上方に位置し、前記供
給機は電気加熱転炉の一端に連通し、前記電気加熱転炉の他端は完成品室に接続され、前
記完成品室の頂部にナノ材料分散剤添加用の霧化噴霧ヘッドが設けられ、前記霧化噴霧ヘ
ッドは配管を介して注射ポンプに接続されている。
【0007】
さらに、前記電気加熱転炉は2520材質を用いる。
【0008】
さらに、前記注射ポンプは医療用定量注射ポンプである。
【0009】
さらに、前記前記供給機は定量供給機である。
【0010】
ナノモリブデン酸亜鉛の製造方法であって、具体的には、
高純度ナノ三酸化モリブデンとナノ酸化亜鉛をモル比1:1.02でダブルコーンミキサ
ーに加えてよく混ぜ、その後、巻上機、供給機を経て材料を電気加熱転炉に供給して合成
反応を反応温度460±1℃で、40min行い、製造したナノモリブデン酸亜鉛を完成
品室に入れ、注射ポンプに接続された霧化噴霧ヘッドによって完成品室にナノ材料分散剤
を噴霧し、最終的にナノモリブデン酸亜鉛完成品を得るステップを含む。
【0011】
さらに、前記電気加熱転炉には複数の加熱ゾーンが設けられ、高温ゾーンでの材料の反応
時間は10minである。
【0012】
さらに、前記ナノモリブデン酸亜鉛の粒径が25~120nmである。
【0013】
ナノモリブデン酸亜鉛のASFウイルス、及び抗コロナウイルス、エイズI期、エボラ出
血熱、デング熱、ポリオの予防、治療における応用。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は次の通りである。
本発明で提案したナノモリブデン酸亜鉛の製造装置、方法及びその応用では、高純度ナノ
三酸化モリブデンとナノ酸化亜鉛を用いて電気加熱転炉においてナノモリブデン酸亜鉛を
合成し、操作が簡単で制御しやすく、ゼロエミッションであり、高純度ナノ三酸化モリブ
デンの利用率が100%に近く、大規模な工業的生産が可能であり、また、本出願の装置
及び方法を用いて製造されたナノモリブデン酸亜鉛はASFウイルスの治療に用いること
ができ、また、抗コロナウイルス、エイズ第1期、エボラ、デング熱及びポリオ等のRN
Aウイルスの治療においても非常に治療効果が高く、従来の一般的な殺菌剤に比べて、殺
菌効果が良く、効き目が速い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例に係るナノモリブデン酸亜鉛の製造装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、例を示して本発明のいくつかの実施例を具体的に説明し、本発明の範囲を限定する
ものとして解釈すべきではない。本発明で開示される内容に対しは、材料、方法及び反応
条件から同時に改良することができ、これらすべての改良は、本発明の精神及び範囲に含
まれるべきである。
【0017】
図1に示すように、ナノモリブデン酸亜鉛の製造装置は、ダブルコーンミキサー1を含み
、前記ダブルコーンミキサー1の排出口の底部に巻上機2が設けられ、前記巻上機2は斜
めに配置され、前記巻上機2の後端は供給機3の上方に位置し、前記供給機3は2520
材質を用いた電気加熱転炉4の一端に連通し、前記電気加熱転炉4の他端は完成品室5に
接続され、前記完成品室5の頂部にナノ材料分散剤添加用の霧化噴霧ヘッド6が設けられ
、前記霧化噴霧ヘッド6は配管を介して注射ポンプ7に接続されている。
【0018】
本実施例では、前記注射ポンプ7は医療用定量注射ポンプである。
【0019】
本実施例では、前記供給機3は定量供給機である。
【0020】
ナノモリブデン酸亜鉛の製造方法は、具体的には、高純度ナノ三酸化モリブデンとナノ酸
化亜鉛をモル比1:1.02でダブルコーンミキサー1に加えて十分に混合し、その後、
巻上機2、定量供給機を経て電気加熱転炉4に材料を供給して合成反応を反応温度460
±1℃で、40min行い、製造したナノモリブデン酸亜鉛を完成品室5に入れ、医療用
定量注射ポンプに接続された霧化噴霧ヘッド6によって完成品室5にナノ材料分散剤を噴
霧し、最終的にナノモリブデン酸亜鉛完成品を得るステップを含む。
【0021】
本実施例では、前記電気加熱転炉4には複数の加熱ゾーンが設けられ、高温ゾーンでの材
料の反応時間は10minである。
【0022】
本実施例では、前記ナノモリブデン酸亜鉛の粒径が25~120nmである。
【0023】
高純度ナノ三酸化モリブデンとナノ酸化亜鉛を用いて電気加熱転炉においてナノモリブデ
ン酸亜鉛を合成することにより、操作が簡便で制御しやすく、ゼロエミッションであり、
高純度ナノ三酸化モリブデンの利用率が100%に近く、大規模な工業的製造が可能であ
る。
【0024】
ASFウイルスの予防、治療におけるナノモリブデン酸亜鉛の応用。使用方法:ナノモリ
ブデン酸亜鉛を濃度100ppmで経口投与する。又は注射方法を用い、すなわち、ナノ
モリブデン酸亜鉛と蒸留水とを混合して濃度0.5%のナノモリブデン酸亜鉛注射液を調
製し、豚に3~8ml注射する(豚の体重に応じて使用量を調整する)。
【0025】
具体的な殺菌原理:第一に、ASFウイルスのサイズは175~215nmであり、一般
的な病原菌のサイズは270nmであり、このことから、ASF病原菌は一般的な病原菌
の「体積」の3分の2であることを示し、第二に、嚢膜があり、第三に、多くの脂質溶剤
と殺菌剤がそれを破壊することができ、ナノモリブデン酸亜鉛は豚の体内で代謝が速く、
安全性が良く、モリブデン酸亜鉛分子が豚のウイルス膜にぶつかると、嚢膜の電極エネル
ギーが高いため、モリブデン酸亜鉛分子がモリブデン酸イオン、亜鉛イオンに分解し、こ
の2種類のイオンはウイルス膜を迅速に貫通し、ウイルスを殺し、ウイルスがなくなると
、自動的にモリブデン酸亜鉛分子を合成し、このように無限に繰り返し、流失しない限り
、有効期間は15年に達する。ナノモリブデン酸銅は豚コレラウイルスに対して同等の作
用効果を有する。
【0026】
抗コロナウイルス、エイズI期、エボラ、デング熱、ポリオなどのRNAウイルスにおけ
るナノモリブデン酸亜鉛の応用。ナノモリブデン酸亜鉛の粒径は25~120nmであり
、約100個のモリブデン酸亜鉛分子から、硬い塊であるナノサイズの微粒子を形成し、
モリブデンの価数は+2、+3、+4、+5、+6であるため、異なる価数で安定なモリ
ブデン酸イオンを形成することができる。体液環境では、モリブデン原子が電子を放出し
やすいか、いくつかのモリブデン原子が外層電子を共有しているので、ナノモリブデン酸
亜鉛は一定の条件下で亜鉛イオンを極めて放出しやすい。放出された亜鉛イオンが微生物
と接触して反応すると、微生物本来の成分が破壊されたり、機能障害(遺伝物質の複製が
阻害される)が生じたりして、細菌や真菌が死滅することになる。ウイルスに対しては、
ナノモリブデン酸亜鉛は広いスペクトルと薬剤耐性を有し、ナノモリブデン酸亜鉛はヒト
体内での代謝速度が速く、安全性に優れており、ナノモリブデン酸亜鉛粒子が感染細胞に
入ると、亜鉛イオンはウイルスタンパク質中毒を引き起こし、モリブデン酸イオンはウイ
ルス合成酵素の活性を阻害し、両者は協働して死亡を引き起こす。
【0027】
上記は本発明の実施例に過ぎず、本発明の特許範囲を限定するものではなく、本発明の明
細書及び図面の内容を利用して行われる等価な構造若しくは等価な手順の変換、又は他の
関連する技術分野への直接的若しくは間接的な利用は、同様に本発明の特許範囲に含まれ
るものとする。
【符号の説明】
【0028】
1、ダブルコーンミキサー
2、巻上機
3、供給機
4、電気加熱転炉
5、完成品室
6、霧化噴霧ヘッド
7、注射ポンプ。
【国際調査報告】