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特表2022-542491被監視インフラの保護のために電磁パルスを検出して絶縁するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(54)【発明の名称】被監視インフラの保護のために電磁パルスを検出して絶縁するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02H 5/00 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
H02H5/00 150
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521670
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 US2020041366
(87)【国際公開番号】W WO2021071564
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】16/597,427
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520248748
【氏名又は名称】カーティ、ティモシー エー.
(71)【出願人】
【識別番号】522143519
【氏名又は名称】クラークソン グレゴリー ウェイン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】カーティ ティモシー エー
(72)【発明者】
【氏名】クラークソン グレゴリー ウェイン
(57)【要約】
被監視インフラを保護するように、被監視インフラに電気的に接続された第1相(601)、第2相(602)及び第3相(603)電気線に沿った電磁パルス(「EMP」)を検出して絶縁する検出絶縁システム(1000)及び方法が、被監視インフラの上流に存在して被監視インフラに関連付けられた、第1相(601)、第2相(602)及び第3相(603)電気線の各々に個別に電気的に接続されたセンサから、それぞれ電気信号データを受信する位相ユニットを含む。方法は、それぞれの電気線に関連する受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定し、示す場合には、被監視インフラとの電気通信に対してそれぞれの電気線を電気的に絶縁する絶縁サブシステム(507)を300ナノ秒未満で作動させることを含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被監視インフラを保護するように、前記被監視インフラに電気的に接続された第1相、第2相及び第3相電気線に沿った電磁パルス(「EMP」)を検出して絶縁する検出絶縁方法であって、
位相ユニットが、前記被監視インフラの上流に存在して前記被監視インフラに関連付けられた、前記第1相、第2相及び第3相電線の各々に個別に電気的に接続されたセンサから、それぞれ電気信号データを受信することと、
前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定し、示す場合には、前記被監視インフラとの電気通信に対して前記それぞれの電気線を電気的に絶縁する絶縁サブシステムを300ナノ秒未満で作動させることと、
を含むことを特徴とする検出絶縁方法。
【請求項2】
前記それぞれの電気回線を電気的に絶縁するように動作可能な絶縁サブシステムを作動させることは、前記それぞれの電気回線を前記被監視インフラとの電気通信から物理的に切り離すことを含む、
請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項3】
前記センサは、前記被監視インフラの上流に設置された直流センサを含む、
請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項4】
前記受信電気信号データを前記位相ユニットに関連するベースユニットに送信することと、
前記ベースユニットが、前記送信された受信電気信号データを受け取ることと、
をさらに含む、請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項5】
前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがE1パルスを示すかどうかを判定することは、前記受信電気信号データを1秒当たりギガサンプル(GSPS)の所定のレートで繰り返しサンプリングし、該サンプリングに基づいて、変化率(ROC)が所定のROCを上回るかどうかを判定することを含む、
請求項1記載の検出絶縁方法。
【請求項6】
前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがE1パルスを示すかどうかを判定することは、前記受信電気信号データに関連するタイミング図のタイミング及び形状がEMPのE1成分に関連するタイミング図のタイミング及び形状を示すかどうかを分析することを含む、
請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項7】
前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定することは、5ナノ秒以内に最大振幅に上昇して200ナノ秒以内にそのピーク値の半分まで減衰するパルスを前記受信電気信号データが示すかどうかを判定することを含む、
請求項1記載の検出絶縁方法。
【請求項8】
前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE2成分を示すかどうかを判定することは、前記受信電気信号データに関連するタイミング図のタイミング及び形状がEMPのE2成分に関連するタイミング図のタイミング及び形状を示すかどうかを分析することを含む、
請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項9】
前記受信電気信号データがEMPのE2成分を示すかどうかを判定することは、1マイクロ秒以内に最大振幅に上昇して1秒未満の総継続時間を有するパルスを前記受信電気信号データが示すかどうかを判定することを含む、
請求項4記載の検出絶縁方法。
【請求項10】
前記受信電気信号データがEMPのE3成分を示すかどうかを判定することは、前記受信電気信号データに関連するタイミング図のタイミング及び形状がEMPのE3成分に関連するタイミング図のタイミング及び形状を示すかどうかを分析することを含む、
請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項11】
それぞれの電気線に関連する前記受信信号データを、前記被監視インフラの上流に配置されて前記被監視インフラに関連付けられたインフラベースユニットに送信することと、
前記インフラベースユニットが、前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定し、示す場合には、前記被監視インフラとの電気通信に対して前記それぞれの電気線を電気的に絶縁する絶縁サブシステム300ナノ秒未満で作動させることと、
をさらに含む、請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項12】
前記インフラベースユニットが、前記被監視インフラから離れた第三者施設に前記受信信号データを送信することと、
前記受信信号データが前記それぞれの電気線に関連するE1パルスを示すと判定された場合、前記インフラベースユニットが前記第三者施設にアラート信号を送信することと、
をさらに含む、請求項11に記載の検出絶縁方法。
【請求項13】
前記インフラベースユニットが、前記受信電気信号データを使用して、前記受信電気信号データが前記EMPのE1成分を示さずに前記EMPのE2成分又はE3成分を示すかどうかを判定し、示す場合には監視サブシステムを作動させることをさらに含む、
請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項14】
MOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、並びにこれらの組み合わせを含む第1の分路化アセンブリを使用して、前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すことを検出した後の1ナノ秒未満で前記インフラの前記電気線上の過電圧を分路化して前記過電圧のレベルを所定の閾値レベルに減少させることをさらに含む、
請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項15】
被監視インフラを保護するように、前記被監視インフラに電気的に接続された第1相、第2相及び第3相電気線に沿った電磁パルス(「EMP」)を検出して絶縁する検出絶縁システムであって、
前記被監視インフラの上流に存在して前記被監視インフラに関連付けられた、前記第1相、第2相及び第3相電線の各々に個別に電気的に接続されたセンサから、それぞれ電気信号データを受信するように動作可能な電子機器を有する複数の位相ユニットを備え、
各位相ユニットは、前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定し、示す場合には、前記被監視インフラとの電気通信に対して前記それぞれの電気線を電気的に絶縁する絶縁サブシステムを300ナノ秒未満で作動させるように構成された電子機器を含む、
ことを特徴とする検出絶縁システム。
【請求項16】
前記絶縁サブシステムは、前記それぞれの電気回線を前記被監視インフラとの電気的通信から物理的に切り離す信号を送信することによって前記それぞれの電気回線を絶縁するように構成される、
請求項15に記載の検出絶縁システム。
【請求項17】
前記センサは、前記被監視インフラの上流に設置された直流センサを含む、
請求項15に記載の検出絶縁システム。
【請求項18】
前記位相ユニットに電気的に接続されて前記受信電気信号データを送信するように動作可能な送信機と、
前記送信された電気信号データを受け取るように動作可能なインフラベースユニットに関連する受信機と、
をさらに備える、請求項15に記載の検出絶縁システム。
【請求項19】
前記位相ユニットは、前記受信電気信号データを1秒当たりギガサンプル(GSPS)の所定のレートで繰り返しサンプリングし、該サンプリングに基づいて、変化率(ROC)がE1パルスを示す所定のROCを上回るかどうかを判定するように電子的に構成される、
請求項15に記載の検出絶縁システム。
【請求項20】
前記位相ユニットは、前記受信電気信号データに関連するタイミング図のタイミング及び形状がEMPのE1成分に関連するタイミング図のタイミング及び形状を示すかどうかを分析することによって、前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがE1パルスを示すかどうかを判定するように電子的に構成される、
請求項15記載の検出絶縁システム。
【請求項21】
前記位相ユニットは、5ナノ秒以内に最大振幅に上昇して200ナノ秒以内にそのピーク値の半分まで減衰するパルスを前記受信電気信号データが示すかどうかを判定することによって、前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定するように電子的に構成される、
請求項15記載の検出絶縁システム。
【請求項22】
前記位相ユニットは、前記受信電気信号データに関連するタイミング図のタイミング及び形状がEMPのE2成分に関連するタイミング図のタイミング及び形状を示すかどうかを分析することによって、前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE2成分を示すかどうかを判定するように電子的に構成される、
請求項1に記載の検出絶縁システム。
【請求項23】
前記位相ユニットは、1マイクロ秒以内に最大振幅に上昇して1秒未満の総継続時間を有するパルスを前記受信電気信号データが示すかどうかを分析することによって、前記受信電気信号データがEMPのE2成分を示すかどうかを判定するように電子的に構成される、
請求項15に記載の検出絶縁システム。
【請求項24】
前記位相ユニットは、前記受信電気信号データに関連するタイミング図のタイミング及び形状がEMPのE3成分に関連するタイミング図のタイミング及び形状を示すかどうかを分析することによって、前記受信電気信号データがEMPのE3成分を示すかどうかを判定するように電子的に構成される、
請求項15に記載の検出絶縁システム。
【請求項25】
前記位相ユニットは送信機を含み、それぞれの電気線に関連する前記受信信号データを、前記被監視インフラの上流に配置されて前記被監視インフラに関連付けられたインフラベースユニットに送信するように電子的に構成され、
前記インフラベースユニットは、前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定し、示す場合には、前記被監視インフラとの電気通信に対して前記それぞれの電気線を電気的に絶縁する絶縁サブシステム300ナノ秒未満で作動させるように動作可能な電子機器を有する、
請求項15に記載の検出絶縁システム。
【請求項26】
前記インフラベースユニットは、前記被監視インフラから離れた第三者施設に前記受信信号データを送信するように構成された送信機を含み、
前記インフラベースユニットは、前記受信信号データが前記それぞれの電気線に関連するE1パルスを示すと判定された場合、前記第三者施設にアラート信号を送信するように構成される、
請求項25に記載の検出絶縁システム。
【請求項27】
前記インフラベースユニットは、前記受信電気信号データを使用して前記受信電気信号データがEMPのE2又はE3成分のみを示すかどうかを判定し、示す場合には監視サブシステムを作動させるように動作可能な電子機器を含む、
請求項26記載の検出絶縁システム。
【請求項28】
前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すことを検出した後の1ナノ秒未満で前記インフラの前記電気線上の過電圧を分路化して前記過電圧のレベルを所定の閾値レベルに減少させるように構成された第1の分路化アセンブリをさらに備え、
前記分路化アセンブリは、MOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、並びにこれらの組み合わせを含む、
請求項15に記載の検出絶縁システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の参照〕
本出願は、2018年1月9日に出願された「電磁パルス誘導による電気システムサージを抑制するためのシステム及び方法(System and Method For Suppressing Electromagnetic Pulse-Induced Electrical System Surges)」という名称の米国仮特許出願第62/615159号の利益を主張する2019年1月7日に出願された「電磁パルス誘導による電気システムサージを抑制するためのシステム及び方法」という名称の米国本特許出願第16/240,897号の優先権を主張するものであり、これらの両文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、一般に配電網又は商業施設などのインフラに対する電気的損傷を防ぐために、電線を監視し、電磁パルス(EMP)を検出して前記パルスを絶縁することに関する。
【背景技術】
【0003】
電磁パルスすなわちEMPは、一般に自然活動又は人為的活動のいずれかによって生成される電磁放射線の短期バーストとして特徴付けることができる。しかしながら、「EMP」という用語は、具体的には核兵器の爆発に伴って発生する電磁バーストを表すために使用されることが最も一般的である。従って、本明細書で使用する「EMP」という用語は、核兵器などの兵器、又は大規模太陽放出などの非核EMPイベントによって発生する電磁パルスを意味する。
【0004】
このような兵器からのEMPは、広域電力供給網などの電気システム、及び家庭、商業ビルの電気システム、さらには自動車電気システム内に電圧及び対応する電流を誘導することができる。この望ましくない誘導電流は、検出、監視、絶縁又は抑制されない限り、影響を受ける電気システム内のコンポーネントを損傷又は破壊し、電気システムの動作性を弱め、場合によっては修理するまで使用不能にしてしまう恐れがある。同様に、大規模太陽活動も同様の電気的惨事を引き起こす恐れがあると理解される。例えば、コロナ質量放出は、太陽系全体に荷電粒子を噴出する超高温プラズマの太陽噴火であり、配電網内の過電流、変圧器の過熱を誘発して配電網内に大規模な障害を引き起こす恐れがある。
【0005】
一般的現象に関連する電磁放射又はパルスとは異なり、核兵器によって発生するEMPは様々な継続時間の複数のパルスを含むため、EMPは、通常は国際電気標準会議(IEC)によってE1、E2及びE3として定められる3つの主成分によって表される複合電磁マルチパルスと考える方が正確である。
【0006】
EMPを処理する前には、EMPを素早く検出し、検出されたパルスが電力網、商業施設、変圧器又は家庭の電気パネルなどの商業インフラに被害を与える前に対処しなければならない。具体的には、危険又は有害なEMPを検出し、絶縁し、監視し、又は後述するように分路化(shunted)することができる。
【0007】
当業では電気システムのためのサージ抑制器が知られているが、通常これらの抑制器は、落雷又は電気システム障害(例えば、配電網内の変圧器の故障又は電線間に導入される短絡)などの一般的に発生する現象によって引き起こされる比較的短期間のサージのみと共に使用されるように最適化されている。一方で、一般にこれらの既知のサージ抑制器は、兵器誘導性のEMPパルスによって引き起こされる又は発生する複雑な複数のサージに対しては効果がない。
【0008】
理想的には、EMPのE1、E2及びE3成分の組み合わせを抑制する必要がある。しかしながら、本発明は、E1成分の不在時にE2成分及び/又はE3成分のみが検出されると、危険な真のEMP事象が発生している旨の誤報が生じ、この場合、監視されている重要なインフラが誤って又は時期尚早に絶縁され又は完全に停止してしまうことを認識している。米国特許第9,562,938号を含む先行技術には、重要なインフラコンポーネントの保護のために電磁パルスを検出して特性化するシステム及び方法の実施形態が開示されている。これらの先行技術は、その意図される目的には有効であると思われるが、核兵器の爆発によって発生する電磁放射複合マルチパルスのE1、E2及びE3成分によって誘発される電磁パルス誘導性の電気システムサージを検出し、絶縁して監視するシステム及び方法の形態での解決策を提供するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第9,562,938号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、E1、E2及びE3成分で構成されるEMPパルスの性質は複雑であるため、核兵器の爆発又は太陽質量放出から広まるEMPによって発生する電気サージのための改善された総合的解決策、システム及び方法が依然として必要とされている。従って、核兵器の爆発によって発生した電磁放射複合マルチパルスのE1、E2及びE3成分によって誘発される電磁パルス誘導性の電気システムサージを検出し、絶縁し、監視するシステム及び方法を有することが望ましいと思われる。また、本明細書で説明する総合的解決策は、E1、E2及びE3パルスの組み合わせを抑制することを含むこともできる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態は以下の特許請求の範囲によって定められ、この概要のみによって定められるものではない。このため、ここでは本発明の様々な態様の高次の概観を提供して本開示の概観を示すとともに、以下の詳細な説明の部分でさらに説明する概念から選択された内容を紹介する。この概要は、特許請求する主題の重要な特徴又は必須の特徴を識別するように意図するものでも、特許請求する主題の範囲を決定するための補助として単独で使用されるように意図するものでもない。手短に言えば、本開示は、とりわけ核兵器の爆発によって発生した電磁放射線複合マルチパルスのE1、E2及びE3成分によって誘発される電磁パルス誘導性の電気システムサージを検出し、監視して絶縁するシステム及び方法について説明する。
【0012】
1つの態様では、(1)EMPのE1成分が生じているかどうか、及び検出されたパルスを直ちに絶縁することによってインフラを保護する必要があるかどうか、或いは(2)監視される信号をそれ以上、すなわち初期判定を変更する又はそれぞれのインフラの即時の絶縁及び保護を求める他の特性が検出されるまで単純に監視する必要があるかどうかを判定するように、保護されるインフラから上流の電気信号が継続的に収集され監視される。例えば、本発明は、EMPの検出(Detection)、絶縁(Isolation)及び監視(Monitoring)、すなわち頭字語によってDIMEと呼ばれるモジュールを含む。後述するように、DIMEは、位相ユニット又はベースユニットと呼ぶこともできる。
【0013】
DIMEは、保護される設備及びインフラを絶縁できるEMP保護装置を示す。DIMEは専用固定ロジックで実装されているため、サイバーセキュリティの脅威を受けない。DIMEの専用固定ロジックは、EMP E1パルスのシグネチャを10ナノ秒未満で識別することができる。DIMEの専用固定ロジックは、陽性のシグネチャを検出すると、EMPイベントのE2相及びE3相の前に(本明細書では「保護インフラ」と呼ぶ)接続された設備を確実に保護するように、300ナノ秒未満で絶縁シグナルを供給することができる。
【0014】
DIMEは、入力信号データを継続的に収集して後処理のために中央位置に送信することによって低水準EMPイベントを監視する。複数のDIMEが後処理されると、低水準EMP源の位置特定のための三角測量が行われる。この能力を使用して、EMP兵器システムを構築するターゲットを識別することができる。
【0015】
例えば、監視され収集された信号データがEMPのE1成分を示す場合には、その信号が監視されていたインフラを直ちに物理的に絶縁して保護するための信号が送信される。しかしながら、E1成分が示されず、例えばE2成分又はE3成分のみが示される場合(或いはサージが全く示されない場合)には、収集された信号の監視のみが行われて絶縁は行われない。信号の収集、監視及び送信手段については後で詳述する。
【0016】
総合的EMPソリューションの別の態様では、本発明によるシステム及び方法が、検出された電磁パルス誘導性の電気システムサージを被監視インフラが抑制する必要があると判定することができ、このシステムは、電気システム内の複数の電力線間に配置されてこれらと電気通信する複数の分路を含むことにより、所定のレベルを上回る電力線間の電圧差が複数の分路のうちの少なくとも1つによって分路化されて電圧差が望ましいレベルを上回るのを防ぐ。
【0017】
この抑制態様では、核兵器の爆発によって発生する複合マルチパルスEMPパルスのE1、E2及びE3成分に反応するように、複数の分路の応答時間と分路の許容可能な差動電圧レベルとを選択し、組み合わせて、所望の応答時間及び保護レベルを達成することができる。
【0018】
抑制に関するさらなる態様では、システム及び方法が、電気システムの電力線の線間、線-中性間、中性-接地間及び線-接地間の配置、並びにこれらの組み合わせ及び部分的組み合わせを保護する。この点、本発明のシステム及び方法は、単相及び三相陸上電気システムを保護するように構成され、さらなる代替実施形態では、システム及び方法が、自動車、トラック、機関車、ボート、航空機及び車載電気システムを採用するその他の車両などの車両の電気システム上で使用されるように構成される。
【0019】
以下、添付図面の図を参照しながら本発明の例示的な実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の例示的な実施形態による、電磁パルスを検出して絶縁するシステムの斜視図である。
図2】本発明の例示的な実施形態による、電磁パルスを検出して絶縁するシステムのブロック図である。
図3図1に示すようなシステムの一部の動作を示すブロック図である。
図4】本発明の例示的な実施形態による、電磁パルスを検出して絶縁するプロセスの方法論を示すフローチャートである。
図5】本発明による位相DIMEユニットの機能を示すブロック図である。
図6】本発明によるベースDIMEユニットの機能を示すブロック図である。
図7】位相DIMEユニットの電子部品を示すブロック図である。
図8】例示的な先行技術の単相電気システムの概略図である。
図9】例示的な先行技術の三相電気システムの概略図である。
図10】例示的なEMPパルスのE1成分の図形的タイミング図表現である。
図11】例示的なEMPパルスのE2成分の図形的タイミング図表現である。
図12】例示的なEMPパルスのE3成分の図形的タイミング図表現である。
図13】典型的な単相電気システムと共に使用される本発明の抑制特徴の例示的な実施形態の概略図である。
図14】典型的な三相電気システムと共に使用される本発明の抑制特徴の例示的な実施形態の概略図である。
図15】典型的な単相電気システムと共に使用される本発明の抑制特徴の実施形態の概略図である。
図16】典型的な三相電気システムと共に使用される本発明の例示的な封入システム(encased system)の実施形態の概略図である。
図17】本発明の実施形態によるシステムの動作を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では、法定要件を満たすために、本発明の選択的な実施形態の主題を具体的に説明する。しかしながら、この説明自体は、必ずしも特許請求の範囲を限定するように意図するものではない。むしろ、特許請求する主題は、本文書で説明するものと同様の異なるコンポーネント、ステップ又はこれらの組み合わせを含む他の方法で、他の現在の又は将来の技術と併せて具体化することもできる。用語については、個々のステップの順序を明確に説明する場合を除き、本明細書に開示する様々なステップ間又はステップ同士のいずれかの特定の順序を意味するものとして解釈すべきではない。本明細書で使用する「約(about、approximately)」又は他のその近似用語は、機能にとって重要ではない変更又は偏差の形態の正確な値からの偏差を示す。
【0022】
被監視インフラを保護するように電磁パルスを検出し、絶縁して監視することに関する本発明を詳細かつ文脈的に説明する前に、従来の電気環境及び設定の文脈でEMPの特性のより深い理解について説明する。
【0023】
核兵器の爆発によって発生するEMPは、継続時間の異なる複数のパルスを含み、従ってEMPは、通常は国際電気標準会議(IEC)によってE1、E2及びE3として定められる3つの主成分によって表される複合電磁マルチパルスとして考える方が正確である。以下、これらのパルスの性質について説明する。
【0024】
複合マルチパルスのE1成分は、核爆発からのガンマ線が上層大気中の原子から電子をはじき出す際に発生する。電子は、相対論的速度(すなわち、光速の90%を上回る速度)で概ね下向き方向に移動し始める。磁場が存在しなければ、この変位した電子は、被害地全体にわたる上層大気中で垂直方向に大きな電流パルスを発生させる。しかしながら、地球の磁場が電子に作用して、電子の流れる方向を地磁気と直角になるように変化させる。この地球の磁場と下向きの電子流との相互作用により、被害地にわたって非常に大きな、ただし非常に短い電磁パルスが発生する。
【0025】
中間成層圏においてガンマ線が原子から電子をはじき出す過程では、その地域が電離して導電体になり、この電離によってさらなる電磁信号の生成が妨げられ、電界強度が1メートル当たり約5万ボルトで飽和するようになる。E1パルスの強度は、兵器によって生じるガンマ線の数及び強度に依存する。これよりも程度は低いが、E1パルスの強度は、核兵器が爆発する高度にも依存する。
【0026】
非常に動きの速い負電荷電子と磁場との相互作用によって、短期間の強電磁エネルギーパルスが放射される。通常、このパルスは約5ナノ秒で最大振幅に達し、200ナノ秒以内にピーク値の半分まで減衰する。IECの定義では、E1パルスは開始後1マイクロ秒以内に終了する。
【0027】
このように、E1成分は、導電体に超高電圧を誘導できる短期間の強電磁パルスである。この誘導された高電圧は、コンピュータ及び通信設備などで使用される一般的な電気システムコンポーネントの絶縁破壊電圧を上回り、これらのコンポーネントを劣化させ及び/又は破壊する。E1パルスは非常に速く発生するため、最も一般的に入手可能な雷サージプロテクタは、E1パルスによって電気システムに誘導されるサージを抑制する役割を果たすことができない。
【0028】
複合マルチパルスのE2成分は、兵器から放出された中性子によって生成される散乱ガンマ線及び非弾性ガンマ線によって発生する。IECの定義によれば、E2成分は、電磁パルスの開始後約1マイクロ秒~1秒続く中間的な時間継続のパルスである。パルスのE2成分は雷によって発生する電磁パルスとの類似点が多いが、非常に近い落雷によって引き起こされる電磁パルスは核EMPのE2成分よりも大幅に大きいことがある。
【0029】
落雷で発生するパルスと類似しており、また落雷防止技術が広く利用可能であることから、一般的にはE2パルスが最も防御しやすいと考えられている。しかしながら、核兵器によって発生するEMPは複合マルチパルス(すなわち、E1、E2及びE3成分)を含むため、E2成分の主な潜在的問題点は、E1成分の直後に発生することで、E2成分パルスからは保護できたはずの落雷型サージから保護するように意図されたあらゆる装置が損傷する可能性が高い点である。2004年の米国EMP委員会のエグゼクティブレポートでは、E2成分パルスについて、「一般に、重要なインフラシステムは、時折発生する落雷に対する既存の防御手段を備えているため問題にはならないであろう。最も重大なリスクは、多くの保護機能及び制御機能を損傷又は破壊する能力を有する第1の成分による影響のほんの数分の一秒後にE2成分が訪れることによる相乗的なものである。従って、第2の成分に関連するエネルギーがシステム内に入り込んで損傷を与える可能性がある。」と述べられている。
【0030】
複合マルチパルスのE3成分は、核爆発によって地球の磁場が動いた後に磁場がその自然の場所に戻ることによって引き起こされる、数十秒~数百秒続く非常に遅いパルスである。E3成分は、非常に激しい太陽コロナ質量放出(CME)による磁気嵐、又は恒星ガンマ線バースト源、超新星、極超新星、及び中性子星の衝突による恒星誘導EMPに類似する。E3パルスは、磁気嵐と同様に長い導電体に地磁気誘導電流を発生させ、これによって電力線変圧器などのコンポーネントが損傷又は破壊されることがある。E3誘導電流は、その長い継続時間によって短期間パルスよりもむしろバッテリーからの直流電流に類似しているため、しばしば準DC電流と呼ばれる。現在のシステムにおけるE3からの被害のほとんど全ては、一般に直流電流に対処するように設計されていないAC電力網、特にAC配電システムでよく見られる電力変圧器などの重要な装置において発生する。
【0031】
ここで、家屋又は住宅の電気システムなどの典型的な先行技術の単相電気システムの概略図を大まかに数字10によって示す図8を最初に参照する。電気システムは、外部配電網から家屋内に電力を供給する3つの電力線12、14、16を含む。通常、家屋内への電力は、柱上位置又は表面実装位置などの近隣の変圧器から取り込まれる。通常、家屋に入る線12、14及び16は、それぞれが(中性に対して)約120ボルトの電位の交流電力を伝える2つの電力線(12、16)と、約0ボルトの電位を有する中性線(14)とを含む。通常、このような電力システムは120/240ボルトシステムと呼ばれ、典型的にはそれぞれL1線及びL2線と呼ばれる2つの電力線(12、16)がそれぞれ中立線に対して120ボルトを供給し、互いに対して240ボルトを供給する。従って、家屋への電力システムは、120ボルト電力の2つの「脚」、すなわちL1線とL2線との間で取り込まれる240ボルトを供給する。
【0032】
外部変圧器からの電力線12、16は、一般に屋内のブレーカーボックス18に導かれた後に、下流の過電流からの保護を行うとともに住宅所有者又はサービスマンが入力電力を遮断できるようにする主回路ブレーカー(又はブレーカー)20a、20bに至る。通常、電気は、(単複の)主回路ブレーカー20a、20bから、照明及び家電製品などを作動させるための電力が供給される屋内の電気回路を定めるさらなる一連の回路ブレーカーに分配される。
【0033】
ブレーカーボックス内には、埋設された導電性の杭又は埋設された導電性水道管などの接地に取り付けられたアース線22が同様に配線されて、ブレーカーボックス内でアクセス可能な接地経路を提供する。通常、アース線は、L1、L2及び中性線12、14、16のように外部配電網からは提供されない。地方建築基準法及び所望の屋内電気システム構成にもよるが、アース線は、名目上はその場所において中性線が接地電位であるようにブレーカーボックスで中性線に接続されることが多い。
【0034】
図9に、商業ビル用の電気システムなどの典型的な先行技術の三相電気システムの概略図を大まかに数字50によって示す。この電気システムは、外部配電網から建物内に電力を供給する4つの電力線52、54、56、58を含む。通常、建物内への電力は、柱上位置又は表面実装位置などの近隣の変圧器から取り込まれる。通常、建物に入る線52、54、56、58は、それぞれが(中性に対して)約120ボルトの電位の交流電力を伝える3つの電力線(52、54、56)と、約0ボルトの電位を有する中性線(58)とを含む。通常、このような電力システムは208ボルト三相システムと呼ばれ、典型的にはP1線、P2線及びP3線、又は第1相線、第2相線及び第3相線と呼ばれる3つの電力線52、54、56を含み、各相の電流は先行する相及び後続する相と120度位相ずれしているため、様々な相間の電圧は208ボルトである。
【0035】
単相システムと同様に、三相システムの外部変圧器からの電力線52、54、56、58は、一般に建物内のブレーカーボックス60に導かれた後に、下流の過電流からの保護を行うとともにサービスマンが入力電力を遮断できるようにする主回路ブレーカー(又はブレーカー)62a、62b、62c内に至る。通常、電気は、(単複の)主回路ブレーカー62a、62b、62cから、照明及び設備などを作動させるための電力が供給される建物内の電気回路を定めるさらなる一連の回路ブレーカーに分配される。
【0036】
ブレーカーボックス内には、埋設された導電性の杭又は埋設された導電性水道管などの接地に取り付けられたアース線64が同様に配線されて、ブレーカーボックス内に接地経路を提供する。通常、アース線は、L1、L2、L3及び中性線52、54、56、58のように外部配電網からは提供されない。地方建築基準法及び所望の建物電気システム構成にもよるが、アース線は、名目上はその場所において中性線が接地電位であるようにブレーカーボックスで中性線に接続されることが多い。
【0037】
このように、住宅及び商業ビルにおける典型的な単相及び三相陸上電気システムは、何マイルもの相互接続された電線と、広大な地理的地域にわたって電力を分配する変圧器とを含む電力網システムを通じて分配された電力を受け取り、通常、送電線及び送電ワイヤは電柱間に張られ、又は比較的浅い地中に埋められる。送電網システムの広がりは、送電網システムのいずれかの部分の近傍での核兵器の爆発によって発生する誘導電圧及び/又は誘導電流の影響を特に受けやすくし、このような核EMPのE1、E2及びE3成分によって引き起こされる外乱の分散を容易にする。
【0038】
三相電気システムは、EMPを検出し、絶縁して監視する本発明に特に関連し、これについては後でさらに詳細に説明する。一方で、完全を期すために、図にはEMPのE1、E2及びE3成分の特性も示す。
【0039】
図10図12に、核兵器の爆発によって発生する複合マルチパルスEMPの3つの成分E1、E2及びE3の振幅及びタイミングの図を示す。当業者には、このタイミング図が対数尺度を使用して経過時間(x軸)を示していることが明らかであろう。また、このタイミング図における振幅(Y軸)は絶対値ではなく、所与の基準点又は測定点からの電磁エネルギーの値を表すと理解されたい。例えば、以下のE1、E2及びE3成分に関して説明する最大振幅は、核兵器の爆発地点に対して任意の地点から測定した最大振幅を意味し、異なる場所から測定されたピーク値は、爆発地点からの距離を含む数多くの要因に依存して大きく又は小さくなることがあると理解されたい。さらに、任意の測定地点における絶対的ピーク値にかかわらず、任意の測定地点ではパルスの形状及びタイミングが基本的に同一であると理解されたい。さらに、EMPパルスによって電力網及び/又は電気システムに誘導される電圧は電力網に導入される電磁エネルギーの振幅に比例するので、同様に誘導電圧のタイミング図のタイミング及び形状も電磁エネルギー図のタイミング及び形状と基本的に同一であると理解されたい。
【0040】
E1成分パルスは、電子回路を使用して検出することができる。最初に図10を参照すると、上述したように、E1成分パルスは、数字100として示す短期間の強烈なエネルギーパルスである。図で分かるように、このパルスは約5ナノ秒以内にその最大振幅102まで上昇し、約200ナノ秒以内にそのピーク値の半分104まで減衰する。IECによって定められるように、E1パルスは開始時点から1000ナノ秒(すなわち、1マイクロ秒)以内に終了する(106)。
【0041】
さらに、E2成分パルスも電子回路を使用して検出することができる。次に図4を参照すると、上述したように、E2成分は、電磁パルスの開始後約1マイクロ秒後にピーク112に達する中間的な時間継続のパルス110であり、通常、継続時間は1秒未満である。やはり上述したように、E2成分パルス110は、付近の落雷によって生じるパルスと多くの類似性を有し、(E1成分と比べて)相対的に遅い上昇時間及び(約1秒を超えない)中間的継続時間を有する。
【0042】
最後に、図12を参照すると、E3成分パルス120は、最大振幅122に達して数十秒~数百秒間続く非常に遅いパルスというその特性に適した回路によって検出することができる。
【0043】
次に、商業施設、変電所(electrical station)、変圧器又はタワーなどのインフラに入る電気の三相に対応する3つの電気線2、4、6(一般に電気線又は相線とも呼ばれる)を示す図1を参照しながら、本発明の好ましい実施形態についてさらに詳細に説明する。図面には、本発明によって監視され保護されるインフラの例示的な実施形態として電気タワー8の保護を示す(図1)。本発明による、一般に位相ユニット600と呼ばれる電気装置は、保護すべきインフラから上流の各電気線にそれぞれ電気的に接続することができ、EMPのE1成分を検出し、下流のインフラを保護するように検出されたE1成分を絶縁し、或いはE1成分が特定されない又は現在のところ最終的に特定できないと位相ユニット600によって判定された場合に単純にパルスを監視するように電気的に動作可能である。従って、位相ユニット600は、電磁パルス(Electromagnetic pulse)の検出(Detection)、絶縁(Isolation)及び監視(Monitoring)機能を示す頭字語である「DIME」と呼ぶことができる。位相ユニット600は、電気的相線に電子的に接続することができ、従って位相DIME又は線実装DIME(wire mounted DIME)と呼ぶことができる。参照数字600は、一般的に位相ユニット又は複数の位相ユニットを示し、以下及び図面において明らかになるように、例示的な実施形態による3つのグループで使用される位相ユニットは位相ユニット601、602及び603と呼ばれる。位相DIMEは、位相ユニット内の単一の故障が他の位相DIMEの好ましい機能を妨げないことを確実にするために、自律的な位相毎の検出及び絶縁を行うように電子的に構成されてそのように動作可能である。この結果、好ましい実施形態では、3つの位相ユニット601、602、603が、監視され保護されるインフラから上流の3つの相線2、4、6にそれぞれ電気的に接続される。
【0044】
各位相ユニット601、602、603は、電気的に結合されているそれぞれの相線を監視するセンサ601b、602b、603bを介してそれぞれ電力データ信号を受け取る。このデータ収集行為は、図2では参照数字503によって識別される。後述するように、これらの受信信号からEMPの検出を行うことができる。
【0045】
また、電気タワー8などの保護されるインフラの基部には、インフラの上流に線実装位相ユニット600(すなわち、位相DIMEから)から離れて別の位相ユニットを配置することができる。タワーの基部に配置された位相ユニットは、「ベースDIME」、ベースユニット610又は「タワーベースDIME」(これらは同義的に同じ参照数字で使用することができる)と呼ばれ、位相ユニットについて上述したものと実質的に同様の、すなわち電磁パルスを検出し、絶縁して監視する動作性を有する。各位相DIMEは、対応するベースDIMEに信号を送信するように構成され、各ベースDIMEは、当業で周知の送受機-受信機技術などをそれぞれ使用して、或いはハードワイヤ接続を使用して前記送信信号を受け取るように構成されると理解される。ベースユニット610は、ワイヤ接続された位相ユニット600の動作性を確認してその二重安全バックアップを別様に提供するように構成されるため有利である。
【0046】
さらに、ベースDIME610は、検出及び監視機能を提供するように構成されるとともに各位相DIME600から収集されたデータの監視収集点(monitoring collection point)として動作可能な回路を含む。また、ベースDIME610は、E1パルスが検出された場合にアラートを作動させるための電子機器も含む。ベースDIME610は、対応する位相ユニット601、602、603の全てから監視入力を受け取り、高周波アンテナ、セルラー信号、無線信号又はインターネット接続などを介してこのデータを中央位置に送信することができる。また、上述したように、ベースDIME610は、線ベースの位相ユニット600(すなわち、位相DIME)が誤動作しているかどうかを判定するように構成される。また、位相DIME及びベースDIMEは、いずれもDCセンサを介して電気データを収集することが好ましい。電気信号データを収集するセンサは、本明細書で説明する位相ユニット600の電子機器と同じケーシング内に配置することができる。
【0047】
位相ユニット600(すなわち、位相DIME)の内部コンポーネントについては図7に示す。位相ユニット600及びベースユニット610(例えば、位相DIME及びベースDIME)は、実際には同じ電子部品を含みながら異なる形で機能するように構成することができ、例えばコントローラ又は回路を、相線又はタワーのベースのどちらに取り付けられているかに応じて異なる方法で送信、受信又は作動を行うように構成又はプログラムすることができると理解されるであろう。
【0048】
次に、各位相ユニット600及びベースユニット610によって収集された電気データがどこに送信されるかを追いかけることが適切である。具体的には、位相ユニット601、602、603から収集された信号及びデータは、関連するベースユニット610に送信される。このデータ及び関連するベースDIMEによって実際に生成されたデータ(例えば、位相DIMEからの受信信号データ)、並びに位相ユニット600の機能性を示す追加データは、現場から離れた(遠隔)施設(例えば、リモートサーバ)に送信されることが好ましい。現場から離れた位置は「中央位置」と呼ぶこともできるが、その地理的位置は重要ではない。上述したデータ送信は、携帯電話データネットワークを介したセルラー信号によるものであることが好ましいが、有線、インターネット、高周波アンテナ又は衛星ネットワークによる送信が有効な場合もある。遠隔地によって受け取られたデータは、分析し、監視してこれに対応することができるが、これを行うアルゴリズム自体は専用のものであり、現時点では未開示にしておくことができる。
【0049】
位相ユニット601、602、603及びベースユニット610をさらに参照すると、位相ユニット601、602、603(例えば、位相DIME)及びベースユニット(例えば、タワーDIME)の機能は類似点及び相違点を有する。具体的には、(それぞれ相線に電気的に取り付けられた)各位相ユニット600は、電気信号を検出し(例えば、EMPを検出し)、保護すべきインフラに向かって流れる電流を監視し、それぞれの相線の絶縁を作動させる(すなわち、電気機械式リレーなどのスイッチ601a、602a、603aをそれぞれ作動させて、保護すべきインフラからそれぞれの相線を切断する(図1))ように動作することができる。このような相線の絶縁は、本明細書で説明して図2において参照数字507で参照する発明方法及びシステムの絶縁サブシステムと呼ぶこともできる。しかしながら、各ベースDIME610は、回路又はプログラミングを含むソフトウェアなどを使用して、上述した検出ステップにおいてEMPのE1成分が検出された場合に中央位置にアラート信号を送信するように構成されてはいるが、相線を絶縁するようには構成されていない。
【0050】
信号収集及び分析に関してさらに詳細に述べると、本システム1000は、被監視インフラの上流で生じる電気信号データを収集する。「インフラ」は、変圧器、営利企業又は政府施設などを意味することができると理解されるであろう。電気信号データの収集は、位相ユニット601、602、603に関連する直流センサなどの複数のセンサ601b、602b、603bからの電気信号データの受信と呼ぶこともできる。センサから受信された信号を受け取って調整することは参照数字501によって参照され、取得サブシステムによって実行することができる。電気信号データを収集する動作は、参照数字503(図2)によって示すブロックに示される。
【0051】
次に、収集された信号データをそれぞれの位相ユニット600によって分析し、上述したEMPのE1、E2又はE3成分のシグネチャ特性(signature characteristic)に基づいてE1、E2又はE3成分を検出することができる。入ってくる電気は、1.0GSPS(1秒当たりギガサンプル)を上回る速度で、換言すれば非常に速い速度でサンプリングし、その後に専用の変化率(ROC)アルゴリズムに従って分析することができると理解される。位相ユニット600のサンプリング時間は構成可能である。上記及び下記では、特に三相電気システムにおいて示されるようなEMPを、具体的にはEMPのE1、E2及びE3成分を検出する手段について説明している。所定の量よりも大きなROCは、EMPのE1成分を示すことができる。図2では、EMPを検出する位相ユニット600又はベースDIME610の動作を、参照数字505を用いたブロックに示す。
【0052】
次に、位相ユニット601、602、603のみが、関連する位相ワイヤの絶縁を作動させるように構成された回路を含み、この動作は、参照数字507を用いたブロックに示す。例えば、第1の相線2上でE1成分が検出された場合、この相線2に関連する(すなわち、これを継続的にサンプリングしている)位相ユニット601は、専用ロジックがそれぞれのスイッチ601a(図1)の作動を引き起こすことによって300ナノ秒未満で絶縁される。位相ユニット601、602、603は、作動時に相線2、4、6との接触をそれぞれ断つように構成された関連するスイッチ601a、602a、603aをそれぞれ含むと理解される。EMPのE1成分が検出されない場合、位相ユニット600(位相DIME)又はベースDIME610の回路は、本発明の方法論を示す図4を参照して図示及び後述するように相線の監視のみを継続する。引き続き図2を参照すると、ベースDIME610は、参照数字509で示すブロックに示すように、回路又はプログラミングを含むソフトウェアなどを使用して、監視データ(すなわち、位相ユニット600及びベースDIME610自体からの信号データ)を中央位置又はリモートサーバにアップロードするように構成される。上述したように、監視データの転送はセルラーネットワークを使用して達成することができる。さらに、参照数字511に関連するブロックに上述したアラート信号送信動作を示す。
【0053】
図4を参照すると、受信信号データは、それぞれの位相DIME600及びベースDIME610によって、本出願ではプロセス500と呼ぶDIMEアルゴリズムに従って分析される。プロセス500は、その動作速度のためには電子部品及び直接電気接続の固定ロジック(すなわち、専用ロジック)が好ましいが、不揮発性メモリに記憶されてプロセッサによって実行されるコンピュータソフトウェアによって実行することも、或いはマイクロコントローラ又はプロセッサと協働する電気部品の組み合わせを含むこともできると理解されるであろう。換言すれば、本明細書に示す方法、プロセス及びロジックを明確にするにはソフトウェア制御の説明が有用である。DIME電子部品は、ハードウェア及びソフトウェア(又はこれらの両方)を利用するかどうかにかかわらず、それぞれDIMEユニットに収容することができる。インフラの電気システムに向かって下流に流れる電気に関連する信号データは、503aに示すように収集されて分析され、プロセス500は、受信信号を監視する監視サブシステムと呼ぶことができるステップ502に進む。上述したように、EMPのE1成分は、検出可能な周波数すなわちシグネチャを有する。また、E1成分は、所定のシグネチャ量よりも大きな変化率(ROC)を有することもできる。ステップ504において、プロセッサ、コントローラ又はその他の(好ましい)電子回路は、受け取られた分析信号がEMPのE1成分を示すかどうかを判定し、そうであればプロセス500はステップ506に進む。ステップ506において、プロセス500は(専用ロジックを介して)、関連するインフラを絶縁するように動作可能な絶縁サブシステムを作動させる。説明するように、絶縁は、それぞれの相線から被監視インフラへの電気の流れを物理的に断つスイッチをそれぞれの相線ユニットが作動させる機械的機能を伴う。プロセス500は、制御をステップ502に戻して信号データの監視を継続することができる。
【0054】
再びステップ504を参照すると、継続的に監視される電気信号からE1成分シグネチャが検出されない場合、制御はステップ508に進む。ステップ508において、プロセスは、収集された信号がE2又はE3成分の特性を有しているかどうかを分析し、そうであればステップ510に進み、そうでなければ制御はステップ502に戻ってプロセス500をやり直す。EMPのE2成分及びE3成分の特性は、収集された信号の信号周波数に基づいて検出可能であり、この詳細については後述する。ステップ510において、プロセス500は、継続的に収集された信号データの継続的な監視を単純に作動させて制御をステップ502に戻す。上述したような監視に関するステップは、監視サブシステム又はプロセスによって実行されるものとみなすことができる。
【0055】
任意に、インフラ保護のためにEMPを検出し、絶縁して監視する方法及びシステムは、遠隔絶縁サブシステム又はモジュール513(図2)を含むこともできる。遠隔絶縁サブシステムは、3MHz~30MHz帯で動作する複数の符号化チャネルに分割された符号化メッセージを受け取る。これらの複数のチャネルは遠隔地で独立して符号化され、遠隔絶縁サブシステムによって独立して復号される。これらの複数の復号されたメッセージ断片は完全なメッセージに組み合わされる。その後、この完全なメッセージは遠隔絶縁サブシステムによって復号され、有効な遠隔絶縁コマンドの存在時には、絶縁作動モジュールにトリガーを提供する結果、保護される設備に絶縁信号が送出されるようになる。換言すれば、遠隔絶縁モジュール513は、監視され保護されるインフラが遠隔地、すなわちインフラから離れた中央位置から絶縁されることをEMPの決定の有無にかかわらず可能にするように構成される。例えば、近くに存在する他の位相ユニットによってE1成分が検出された場合、或いは地域又は国内当局が差し迫ったEMPの可能性を疑っている場合には、1又は2以上のインフラをそれぞれの電力網からオフラインにすることができる。このような事例では、遠隔絶縁モジュール513(すなわち、遠隔施設)が、選択されたインフラに関連する位相ユニット601、602、603に高周波の、場合によっては暗号化された信号を送信することができる。
【0056】
以下、EMPのE1、E2及びE3成分を検出する手段についてさらに詳細に説明する。図10図12のE1、E2及びE3成分のタイミング図で明らかなように、核兵器の爆発によって発生するEMPの複合マルチパルスは、既知のサージ抑制装置を使用して全てを抑制することができない様々なタイミングシグネチャを有する複数のパルスを示す。本発明の別の態様では、多相EMPイベントを完全に抑制することができる(後述するように、適切に保護されたインフラ位置によって「分路化」されるとも表現される)。
【0057】
本発明の別の態様として、図13に、図8に関して上述したような典型的な単相電気システムに接続された、核兵器の爆発によって発生するEMPを実際に抑制する追加機能を有する本発明の実施形態を数字200によって大まかに示す。
【0058】
システム200は、電力線の様々な組み合わせ間に接続された複数の分路アセンブリ202、204、205、206、207、208を含む。分路アセンブリは、単に「分路」と呼ぶこともできる。分路アセンブリ202は、L1(210)と中性(212)との間に接続され、分路アセンブリ204は、L2(214)と中性(212)との間に接続され、分路アセンブリ206は、L1(210)とL2(214)との間に接続され、分路化アセンブリ208は、中性(212)と接地(216)との間に接続される。分路アセンブリ205は、L2(214)と接地(216)との間に接続され、分路アセンブリ(207)は、L1(210)と接地(216)との間に接続される。システム200は、上述したような単相システムと共に典型的に使用される回路ブレーカーボックス内又はその付近に設置されることが好ましい。
【0059】
各分路アセンブリ202、204、205、206、207、208は、金属酸化物バリスタ(MOV)、ガス放電管及びこれらの組み合わせなどの複数の分路装置、並びにその他の機械的、電気的及びイオン化放電装置を含むという点で正しくは「アセンブリ」と呼ばれる。各分路アセンブリ202、204、205、206、207、208は、EMPパルスのE1、E2及びE3成分のうちの1つ又は2つ以上に反応するように構成されてそのように動作可能な、様々な反応時間及び電圧を有する分路装置及び/又は分路装置の組み合わせを含むことが最も好ましい。
【0060】
例えば、分路202、204、205、206、207、208の各々は、E1成分パルスの特性を有する過電圧パルスに反応してこれを分路化するように構成された、MOV、ガス放電管、又はその他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、或いはその他の分路コンポーネントの組み合わせと、E2成分パルスの特性を有する過電圧パルスに反応してこれを分路化するように構成された、MOV、ガス放電管、又はその他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、或いはその他の分路コンポーネントの組み合わせと、E3成分パルスの特性を有する過電圧パルスに反応してこれを分路化するように構成された、MOV、ガス放電管、又はその他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、或いはその他の分路コンポーネントの組み合わせとを含むことが好ましい。MOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的、イオン化放電装置、及び/又はその他の分路コンポーネントは、線間、共通モード、線-中性間及び線-接地間の過電圧イベントを検出してこれらから保護するように構成されることが好ましい。1つの例示的な実施形態では、装置が、中性と接地との間の過電圧を保護して分路化するようにさらに構成される。
【0061】
この例を続けると、各分路は、E1、E2及びE3成分パルスの各々を分路化して図10図12に示すようなパルスのタイミングに反応するように動作可能なMOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、及び/又はその他の分路コンポーネントの組み合わせを含む。MOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、及び/又はその他の分路コンポーネントの構成は、軍用規格MIL-STD-188-125-1に準拠して過電圧に反応して分路化することを可能にする定格及び特性を有することが最も好ましい。MOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、及び/又はその他の分路コンポーネントは、複数の分路事象後にもシステム200が電気システムを保護するように動作可能であり続けるように、E1、E2及びE3成分を最小限の劣化で分路化するように定格されることが好ましい。
【0062】
1つの例示的な実施形態では、システム200のコンポーネント(すなわち、MOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、及び/又はその他の分路コンポーネント)及び他のいずれかの関連する回路及び配線が、図8に示すような電力網からの電力線が家屋又は建物に入り込むブレーカーボックスに近接して取り付けられるように、プリント回路基板上に組み立てられてケース内に封入される。さらなる実施形態では、システム200、並びに関連する回路及び配線が、エポキシ樹脂などのポッティング材料に封入される。
【0063】
図14には、図9に関して上述したシステム200と同様に、図13に関して上述したような典型的な三相電気システムに接続された、核兵器の爆発によって発生するEMPを抑制するためのシステム300を示す。
【0064】
システム300は、単相システムに関して上述した方法と同様の方法で電力線(並びに接地及び中性)の様々な組み合わせ間に接続された複数の分路302、304、305、306、307、308、309、310及び312を含む。やはり上述したように、各分路は、金属酸化物バリスタ(MOV)、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、及びこれらの組み合わせを含む複数の分路装置を含むとともに、EMPパルスのE1、E2及びE3成分のうちの1つ又は2つ以上に反応するように構成されてそのように動作可能な、様々な反応時間及び電圧を有する分路装置及び/又は分路装置の組み合わせを含む。
【0065】
これらの閾値及びコンポーネント構成は、上述したシステム300と実質的に同様の方法で米国277/480三相電源の保護をサポートするように修正することができる。このシステムは上記のシステム300と同一に見えるが、上記のシステム300で説明した120/208動作電圧とは対照的に277/480動作電圧の高電圧をサポートする過電圧及び過電流閾値を有する。この修正されたシステム300の実施形態は、線-線間、線-中性間、線-接地間及び中性-接地間の過電圧/過電流を検出してこれらから保護する。
【0066】
これらの閾値及びコンポーネント構成は、上述したシステム300と実質的に同様の方法で400ボルト、50Hzの欧州連合共通三相電気供給の保護をサポートするように修正することができる。このシステムは上記のシステム300と同一に見えるが、上記のシステム300で説明した120/208動作電圧とは対照的に240/400動作電圧の高電圧をサポートする過電圧及び過電流閾値を有する。この修正されたシステム300の実施形態は、線-線間、線-中性間、線-接地間及び中性-接地間の過電圧/過電流を検出してこれらから保護する。
【0067】
同様に、各分路は、E1、E2及びE3成分パルスの各々を分路化して図10図12に示すようなパルスのタイミングに反応するように動作可能なMOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、及び/又はその他の分路コンポーネントの組み合わせを含む。MOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、及び/又はその他の分路コンポーネントの構成は、軍用規格MIL-STD-188-125-1に準拠して過電圧に反応して分路化することを可能にする定格及び特性を有することが最も好ましい。
【0068】
1つの例示的な実施形態では、システム300のコンポーネント(すなわち、MOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、及び/又はその他の分路コンポーネント)及び他のいずれかの関連する回路及び配線が、図16に示すような電力網からの電力線が家屋又は建物に入り込むブレーカーボックスに近接して取り付けられるように、プリント回路基板上に組み立てられてケース内に封入される。さらなる実施形態では、システム300、並びに関連する回路及び配線が、エポキシ樹脂などのポッティング材料に封入される。
【0069】
EMPタイプの電気サージを抑制する実施形態では、上述したような例示的なシステム200及び300が、(E1、E2及びE3成分パルスを含む)EMPパルスを以下のように抑制するように動作可能である。1又は2以上のMOV、1又は2以上のガス放電管、又はその他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、或いはこれらの組み合わせを使用して、複数の電力線のうちのいずれか1つにおける第1のE1の所定の閾値を上回る過電圧の検出から1ナノ秒未満で過電圧を中性又は接地に分路化して、電圧レベルの振幅を第2のE1の所定の閾値未満に減少させる。高速継続時間(fast duration)E1成分パルスの検出及び分路と同時に、中間継続時間E2成分パルスが第1のE2の所定の閾値を上回っていることを検出し、MOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、及び/又はその他の分路コンポーネントの組み合わせを使用して、マイクロ秒未満で第2の過電圧を第2のE2の所定の閾値未満に分路化する。同時に、長期継続時間E3成分パルスが第1のE3の所定の閾値を上回っていることを検出し、MOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、及び/又はその他の分路コンポーネントの組み合わせを使用して、約1秒以内に第3の過電圧を第2のE3の所定の閾値に分路化する。
【0070】
1つの例示的な実施形態では、E1、E2及びE3成分をそれぞれ検出して分路化するために使用されるMOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、及び/又はその他の分路コンポーネントが独立しており、他の例示的な実施形態では、E1、E2及びE3成分を検出して分路化するために使用されるMOV、ガス放電管及び/又はその他の分路コンポーネントが少なくとも何らかの共通性を有していて、この場合、MOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、及び/又はその他の分路コンポーネントのうちの1つ又は2つ以上がE1、E2及びE3成分イベントのうちの1つ又は2つ以上の検出及び分路化において使用される。
【0071】
使用時には、電磁パルス誘導性の電気システムサージを抑制するための追加モジュール及び回路を使用して配電網及びグリッドコンポーネント(すなわち、変圧器、変電所、配線、絶縁体及び関連するハードウェア)を保護することができる。最初は、各分路化装置が金属酸化物バリスタ(「MOV」)、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置を含む本明細書で説明する分路化装置を、各ヒューズの電力起点側に配置して取り付けることができる。システムは、所定のレベルを上回る電圧サージ又は過電流を検知すると、ヒューズを介して過電圧又は過電流状態を分路化する(すなわち、ブレーカーを落とし、ヒューズを飛ばし、又は別様に電流を接地させる)ように動作可能である。従って、変圧器又は変電所がグリッドから絶縁されることによって「アンテナ」(すなわち、グリッド配線)からも絶縁され、変圧器又は変電所を通過する潜在的な電流の能力が無効になり、変圧器又は変電所内の熱の蓄積が排除され、これによって変圧器又は変電所自体へのあらゆる損傷が排除又は軽減される。
【0072】
図17に示すブロック図を参照すると、本明細書で説明するような電気システムを保護するために本明細書で説明するアセンブリを設置できる複数の場所が最も良く理解される。電気は、電気施設、原子力発電所、又は水力発電所などの発電所400において生成することができる。次に、発電された電気を、カナダから米国などに山頂を越えて伸びる長くて重い電力線などの長距離の又は国を跨いだ送電線402を介して伝送することができる。電気は、超高電圧で効率性高く伝送される。本明細書で説明する分路化装置は、それぞれの送電線402を電磁パルスから絶縁するようにこれらの送電線402の上流に設置することができ、これは第1段階保護404と呼ばれる。次に、伝送された電気の電圧を、これらの電気を分割して地域に分流できるそれぞれの変電所403において下げることができ、これらの変電所403の上流における本発明の分路化装置の設置は第2段階保護405と呼ばれる。
【0073】
次に、自治体すなわち街の電柱406間に見られる電線などの地域電力網を通じて電気を導くことができる。このレベルにおける本発明の設置は第3段階保護407と呼ばれる。最後に再び電圧が下げられ、変圧器を介して住宅又は商業施設などの顧客施設408に供給される。上述した分路化装置は、住宅又は建物に隣接する又はこれらの内部のそれぞれのメーター又は電力ボックスの上流に設置することもでき、この保護は第4段階保護409として知られている。
【0074】
従って、最初の発電所から下流の全てのエンドユーザまでの各変圧器又は変電所のそれぞれのヒューズに上述したシステム及び装置を取り付けることで、配電網全体を構成するために使用される全ての変圧器及び変電所を、グリッドを構成する配線から絶縁できることが分かる。換言すれば、電気を使用する全ての家庭、企業又は施設において上記システムを利用すると、これらの場所は、損傷及び障害を引き起こすサージ(すなわち、E1、E2及びE3スパイク)、並びにエンドユーザ施設への供給配線及びエンドユーザ施設配線内から発生するその後のあらゆるサージから保護されるようになる。
【0075】
従って、本発明のシステム及び方法は、EMPのそれぞれの成分を検出し、絶縁し、監視して、これらの成分が検出された時にアラートを発するのに適しており、いくつかの実施形態では、核兵器の爆発、及びこの爆発によって発生した関連するE1、E2及びE3複合マルチパルスによって誘発される電気サージ及び過電圧を実際に抑制できることが分かる。上述した及び以下の特許請求の範囲に示すシステム及び方法は、太陽嵐によって誘発される電磁パルスを分路化する方法と実質的に同様の方法で機能すると理解されるであろう。例えば、コロナ質量放出は、太陽系全体に荷電粒子を噴出する超高温プラズマの太陽噴火であり、配電網内の電流、変圧器の過熱を誘発して、配電網内に大規模な障害を引き起こす恐れがある。
【0076】
以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、説明及び図示したシステムの多くの異なる配置及び構成、並びに図示していないコンポーネント及び特徴も可能である。同様に、説明した方法のステップの順序の変動、及びステップの異なる組み合わせも本発明の範囲に含まれる。限定ではなく例示を意図して本技術の実施形態を説明した。本開示の読者には、本開示を読んだ後に、及び読んだことによって別の実施形態が明らかになるであろう。以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、上記の内容を実施する代替手段を完成することもできる。本開示及び以下の特許請求の範囲において特定の機能を果たすように構成されたものとしての構造の識別は、本開示の範囲に含まれ、当業者によって容易に識別可能であり、同様の方法で特定の機能を果たすことができる構造及びその配置又は設計を含むように意図される。特定の特徴及び部分的組み合わせも有用であり、これらは他の特徴及び部分的組み合わせを参照することなく採用することができ、特許請求の範囲内で企図される。
【0077】
本明細書では、法定要件を満たすために、本発明の選択的な実施形態の主題を具体的に説明した。しかしながら、この説明自体は、必ずしも特許請求の範囲を限定するように意図するものではない。むしろ、特許請求する主題は、本文書で説明するものと同様の異なるコンポーネント、ステップ又はこれらの組み合わせを含む他の方法で、他の現在の又は将来の技術と併せて具体化することもできる。用語については、個々のステップの順序を明確に説明する場合を除き、本明細書に開示する様々なステップ間又はステップ同士のいずれかの特定の順序を意味するものとして解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0078】
600 位相ユニット
601~603 位相ユニット
601a~603a スイッチ
601b~603b センサ
610 ベースDIME
8 電気タワー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被監視インフラを保護するように、前記被監視インフラに電気的に接続された第1相、第2相及び第3相電気線に沿った電磁パルス(「EMP」)を検出して絶縁する検出絶縁方法であって、
位相ユニットが、前記被監視インフラの上流に存在して前記被監視インフラに関連付けられた、前記第1相、第2相及び第3相電気線の各々に個別に電気的に接続されたセンサから、それぞれ電気信号データを受信することと、
前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定し、示す場合には、前記被監視インフラとの電気通信に対して前記それぞれの電気線を電気的に絶縁する絶縁サブシステムを300ナノ秒未満で作動させることと、
前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがE1パルスを示すかどうかを判定することは、前記受信電気信号データを1秒当たりギガサンプル(GSPS)の所定のレートで繰り返しサンプリングし、該サンプリングに基づいて、変化率(ROC)が所定のROCを上回るかどうかを判定することと、
を含む、検出絶縁方法。
【請求項2】
前記それぞれの電気回線を電気的に絶縁するように動作可能な前記絶縁サブシステムを作動させることは、前記それぞれの電気回線を前記被監視インフラとの電気通信から物理的に切り離すことを含む、請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項3】
前記センサは、前記被監視インフラの上流に設置された直流センサを含む、請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項4】
前記受信電気信号データを前記位相ユニットに関連するベースユニットに送信することと、
前記ベースユニットが、前記送信された受信電気信号データを受け取ることと、
をさらに含む、請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項5】
前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがE1パルスを示すかどうかを判定することは、前記受信電気信号データに関連するタイミング図のタイミング及び形状がEMPのE1成分に関連するタイミング図のタイミング及び形状を示すかどうかを分析することを含む、請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項6】
被監視インフラを保護するように、前記被監視インフラに電気的に接続された第1相、第2相及び第3相電気線に沿った電磁パルス(「EMP」)を検出して絶縁する検出絶縁方法であって、
位相ユニットが、前記被監視インフラの上流に存在して前記被監視インフラに関連付けられた、前記第1相、第2相及び第3相電気線の各々に個別に電気的に接続されたセンサから、それぞれ電気信号データを受信することと、
前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定し、示す場合には、前記被監視インフラとの電気通信に対して前記それぞれの電気線を電気的に絶縁する絶縁サブシステムを300ナノ秒未満で作動させることと、
を含み、
前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定することは、5ナノ秒以内に最大振幅に上昇して200ナノ秒以内にそのピーク値の半分まで減衰するパルスを前記受信電気信号データが示すかどうかを判定することを含む、検出絶縁方法。
【請求項7】
前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE2成分を示すかどうかを判定することは、前記受信電気信号データに関連するタイミング図のタイミング及び形状がEMPのE2成分に関連するタイミング図のタイミング及び形状を示すかどうかを分析することを含む、請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項8】
前記受信電気信号データがEMPのE2成分を示すかどうかを判定することは、1マイクロ秒以内に最大振幅に上昇して1秒未満の総継続時間を有するパルスを前記受信電気信号データが示すかどうかを判定することを含む、請求項4記載の検出絶縁方法。
【請求項9】
前記受信電気信号データがEMPのE3成分を示すかどうかを判定することは、前記受信電気信号データに関連するタイミング図のタイミング及び形状がEMPのE3成分に関連するタイミング図のタイミング及び形状を示すかどうかを分析することを含む、請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項10】
それぞれの電気線に関連する前記受信信号データを、前記被監視インフラの上流に配置されて前記被監視インフラに関連付けられたインフラベースユニットに送信することと、
前記インフラベースユニットが、前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定し、示す場合には、前記被監視インフラとの電気通信に対して前記それぞれの電気線を電気的に絶縁する前記絶縁サブシステムを300ナノ秒未満で作動させることと
をさらに含む、請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項11】
前記インフラベースユニットが、前記被監視インフラから離れた第三者施設に前記受信信号データを送信することと、
前記受信信号データが前記それぞれの電気線に関連するE1パルスを示すと判定された場合、前記インフラベースユニットが前記第三者施設にアラート信号を送信することと、
をさらに含む、請求項10に記載の検出絶縁方法。
【請求項12】
前記インフラベースユニットが、前記受信電気信号データを使用して、前記受信電気信号データが前記EMPのE1成分を示さずに前記EMPのE2成分又はE3成分を示すかどうかを判定し、示す場合には監視サブシステムを作動させることをさらに含む、請求項1に記載の検出絶縁方法。
【請求項13】
被監視インフラを保護するように、前記被監視インフラに電気的に接続された第1相、第2相及び第3相電気線に沿った電磁パルス(「EMP」)を検出して絶縁する検出絶縁方法であって、
位相ユニットが、前記被監視インフラの上流に存在して前記被監視インフラに関連付けられた、前記第1相、第2相及び第3相電気線の各々に個別に電気的に接続されたセンサから、それぞれ電気信号データを受信することと、
前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定し、示す場合には、前記被監視インフラとの電気通信に対して前記それぞれの電気線を電気的に絶縁する絶縁サブシステムを300ナノ秒未満で作動させることと、
を含み、
MOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、並びにこれらの組み合わせを含む第1の分路化アセンブリを使用して、前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すことを検出した後の1ナノ秒未満で、前記インフラの前記電気線上の過電圧を分路化して前記過電圧のレベルを所定の閾値レベルに減少させることをさらに含む、検出絶縁方法。
【請求項14】
被監視インフラを保護するように、前記被監視インフラに電気的に接続された第1相、第2相及び第3相電気線に沿った電磁パルス(「EMP」)を検出して絶縁する検出絶縁システムであって、
前記被監視インフラの上流に存在して前記被監視インフラに関連付けられた、前記第1相、第2相及び第3相電気線の各々に個別に電気的に接続されたセンサから、それぞれ電気信号データを受信するように動作可能な電子機器を有する複数の位相ユニットを備え、
各位相ユニットは、前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定し、示す場合には、前記被監視インフラとの電気通信に対して前記それぞれの電気線を電気的に絶縁する絶縁サブシステムを300ナノ秒未満で作動させるように構成された電子機器を含み、 前記位相ユニットは、前記受信電気信号データを1秒当たりギガサンプル(GSPS)の所定のレートで繰り返しサンプリングし、該サンプリングに基づいて、変化率(ROC)がE1パルスを示す所定のROCを上回るかどうかを判定するように電子的に構成される、検出絶縁システム。
【請求項15】
前記絶縁サブシステムは、前記それぞれの電気回線を前記被監視インフラとの電気的通信から物理的に切り離す信号を送信することによって前記それぞれの電気回線を絶縁するように構成される、請求項14に記載の検出絶縁システム。
【請求項16】
前記センサは、前記被監視インフラの上流に設置された直流センサを含む、請求項14に記載の検出絶縁システム。
【請求項17】
前記位相ユニットに電気的に接続されて前記受信電気信号データを送信するように動作可能な送信機と、
前記送信された電気信号データを受け取るように動作可能なインフラベースユニットに関連する受信機と、
をさらに備える、請求項14に記載の検出絶縁システム。
【請求項18】
前記位相ユニットは、前記受信電気信号データに関連するタイミング図のタイミング及び形状がEMPのE1成分に関連するタイミング図のタイミング及び形状を示すかどうかを分析することによって、前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがE1パルスを示すかどうかを判定するように電子的に構成される、請求項14記載の検出絶縁システム。
【請求項19】
被監視インフラを保護するように、前記被監視インフラに電気的に接続された第1相、第2相及び第3相電気線に沿った電磁パルス(「EMP」)を検出して絶縁する検出絶縁システムであって、
前記被監視インフラの上流に存在して前記被監視インフラに関連付けられた、前記第1相、第2相及び第3相電気線の各々に個別に電気的に接続されたセンサから、それぞれ電気信号データを受信するように動作可能な電子機器を有する複数の位相ユニットを備え、
各位相ユニットは、前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定し、示す場合には、前記被監視インフラとの電気通信に対して前記それぞれの電気線を電気的に絶縁する絶縁サブシステムを300ナノ秒未満で作動させるように構成された電子機器を含み、
前記位相ユニットは、5ナノ秒以内に最大振幅に上昇して200ナノ秒以内にそのピーク値の半分まで減衰するパルスを前記受信電気信号データが示すかどうかを判定することによって、前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定するように電子的に構成される、検出絶縁システム。
【請求項20】
前記位相ユニットは、前記受信電気信号データに関連するタイミング図のタイミング及び形状がEMPのE2成分に関連するタイミング図のタイミング及び形状を示すかどうかを分析することによって、前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE2成分を示すかどうかを判定するように電子的に構成される、請求項14に記載の検出絶縁システム。
【請求項21】
前記位相ユニットは、1マイクロ秒以内に最大振幅に上昇して1秒未満の総継続時間を有するパルスを前記受信電気信号データが示すかどうかを分析することによって、前記受信電気信号データがEMPのE2成分を示すかどうかを判定するように電子的に構成される、請求項14に記載の検出絶縁システム。
【請求項22】
前記位相ユニットは、前記受信電気信号データに関連するタイミング図のタイミング及び形状がEMPのE3成分に関連するタイミング図のタイミング及び形状を示すかどうかを分析することによって、前記受信電気信号データがEMPのE3成分を示すかどうかを判定するように電子的に構成される、請求項14に記載の検出絶縁システム。
【請求項23】
前記位相ユニットは送信機を含み、それぞれの電気線に関連する前記受信信号データを、前記被監視インフラの上流に配置されて前記被監視インフラに関連付けられたインフラベースユニットに送信するように電子的に構成され、
前記インフラベースユニットは、前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定し、示す場合には、前記被監視インフラとの電気通信に対して前記それぞれの電気線を電気的に絶縁する絶縁サブシステム300ナノ秒未満で作動させるように動作可能な電子機器を有する、
請求項14に記載の検出絶縁システム。
【請求項24】
前記インフラベースユニットは、前記被監視インフラから離れた第三者施設に前記受信信号データを送信するように構成された送信機を含み、
前記インフラベースユニットは、前記受信信号データが前記それぞれの電気線に関連するE1パルスを示すと判定された場合、前記第三者施設にアラート信号を送信するように構成される、
請求項23に記載の検出絶縁システム。
【請求項25】
前記インフラベースユニットは、前記受信電気信号データを使用して前記受信電気信号データがEMPのE2又はE3成分のみを示すかどうかを判定し、示す場合には監視サブシステムを作動させるように動作可能な電子機器を含む、請求項24記載の検出絶縁システム。
【請求項26】
被監視インフラを保護するように、前記被監視インフラに電気的に接続された第1相、第2相及び第3相電気線に沿った電磁パルス(「EMP」)を検出して絶縁する検出絶縁システムであって、
前記被監視インフラの上流に存在して前記被監視インフラに関連付けられた、前記第1相、第2相及び第3相電気線の各々に個別に電気的に接続されたセンサから、それぞれ電気信号データを受信するように動作可能な電子機器を有する複数の位相ユニットを備え、
各位相ユニットは、前記それぞれの電気線に関連する前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すかどうかを判定し、示す場合には、前記被監視インフラとの電気通信に対して前記それぞれの電気線を電気的に絶縁する絶縁サブシステムを300ナノ秒未満で作動させるように構成された電子機器を含み、
前記受信電気信号データがEMPのE1成分を示すことを検出した後の1ナノ秒未満で前記インフラの前記電気線上の過電圧を分路化して前記過電圧のレベルを所定の閾値レベルに減少させるように構成された第1の分路化アセンブリを備え、
前記分路化アセンブリは、MOV、ガス放電管、その他の機械的、電気的及びイオン化放電装置、並びにこれらの組み合わせを含む、検出絶縁システム。
【国際調査報告】