(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-04
(54)【発明の名称】メラノサイト調節ペプチド
(51)【国際特許分類】
C07K 7/08 20060101AFI20220927BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20220927BHJP
A61Q 19/04 20060101ALI20220927BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20220927BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220927BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20220927BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220927BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20220927BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220927BHJP
A61K 47/62 20170101ALI20220927BHJP
【FI】
C07K7/08 ZNA
A61Q19/02
A61Q19/04
A61K8/64
A61P17/00
A61K38/10
A61P35/00
A61P35/04
A61P43/00 105
A61K47/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506027
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 EP2020071629
(87)【国際公開番号】W WO2021023646
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518328508
【氏名又は名称】アイディーピー ディスカバリー ファーマ, エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネヴォラ,ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】エステバン マルティン,サンティアゴ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076CC18
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C083AD411
4C083AD412
4C083CC02
4C083EE16
4C083EE17
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
4C084BA23
4C084BA25
4C084CA59
4C084DA27
4C084DC50
4C084NA14
4C084ZA891
4C084ZB211
4C084ZB261
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA17
4H045BA50
4H045BA72
4H045EA15
4H045EA20
4H045FA20
4H045FA33
(57)【要約】
本発明のペプチドは、配列番号1または2の配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を有する。これらのペプチドは、メラニンの増殖および産生に関してメラノサイト活性を調節する。したがって、それらは、メラノーマの治療だけでなく、化粧品として皮膚の色素沈着過剰又は色素沈着低下の処置にも有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下から選択されるペプチド又はその薬学的若しくは化粧品的に許容される塩:
(a)配列番号1又は2の個々の配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有し:
(Trp)
m-(Asn)
n-Lys-Gly-Thr-Ile-Leu-Lys-Ala-Ser-Val-Asp-Tyr-Ile-Arg-Lys-(Leu)
p-(Gln)
q(配列番号1)
(Arg)
mx-(Arg)
nx-Arg-Arg-Phe-Asn-Ile-Asn-Asp-Arg-Ile-Lys-Glu-Leu-Gly-Thr-Leu-(Ile)
px-(Pro)
qx(配列番号2)
(式中、
「m」、「n」、「p」、及び「q」は整数を表し、0及び1から選択され;
「m
x」、「n
x」、「p
x」、及び「q
x」は整数を表し、0及び1から選択され;
C末端は、-C(O)R
4に対応し;
N末端は、-NHR
5に対応し;
R
4は、-OH及び-NR
17R
18からなる群から選択される基であり;
R
5は、-H、(C
1-C
20)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から選択される基であり;
R
17及びR
18は、-H及び(C
1-C
10)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基である)を有し;
ペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、「i+4」位又は「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子とを連結する以下の式(I)のリンカービラジカル「L」をさらに含み、
-[(R
1)
a-(R
2)-(R
3)
b]
c-(I)
[式中、
「a」及び「b」は、同一であるか、又は異なって、0又は1であり;
「c」は、1~10で構成され;
R
1及びR
3は、(C
1-C
10)アルキル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルケニル;(C
2-C
10)アルキニル;並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルキニル;からなる群から独立して選択されるビラジカルであり;
R
2は、-O-、C(=O)、C(=O)NR
13、C(=O)O、S(=O)、S(=O)
2、NR
14、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、-NR
15-NR
16-、-N=N-、-S-S-、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択され;並びに
該環系は、任意選択で、ハロゲン、-OH、-NO
2、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)ハロアルキル、及び(C
1-C
10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1又は複数の基で置換されている)からなる群から選択されるビラジカルであり;並びに
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、及びR
16は、-H及び(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基であり;並びに
リンカーによって連結されるアミノ酸は式(II)である
【化1】
{式中、
R
19は、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択される)からなる群から選択されるモノラジカルである}]を含むペプチド;並びに
(b)配列番号1又は2の個々の配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列からなり:
(Trp)
m-(Asn)
n-Lys-Gly-Thr-Ile-Leu-Lys-Ala-Ser-Val-Asp-Tyr-Ile-Arg-Lys-(Leu)
p-(Gln)
q(配列番号1)
(Arg)
mx-(Arg)
nx-Arg-Arg-Phe-Asn-Ile-Asn-Asp-Arg-Ile-Lys-Glu-Leu-Gly-Thr-Leu-(Ile)
px-(Pro)
qx(配列番号2)
(式中、
「m」、「n」、「p」、及び「q」は整数を表し、0及び1から選択され;
「m
x」、「n
x」、「p
x」、及び「q
x」は整数を表し、0及び1から選択され;
C末端は、-C(O)R
4に対応し;
N末端は、-NHR
5に対応し;
R
4は、-OH及び-NR
17R
18からなる群から選択される基であり;
R
5は、-H、(C
1-C
20)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から選択される基であり;
R
17及びR
18は、-H、(C
1-C
10)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基である);
但し、配列番号24、25又は26の配列からなるペプチド以外のペプチド。
【請求項2】
配列番号1または2の配列に対して100%の同一性を有する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
式(I)のリンカービラジカルが、配列番号1のペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、配列番号1のペプチド配列中の「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子との間にあるか、又は配列番号2のペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、配列番号2のペプチド配列中の「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子との間にある、請求項1から2のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項4】
a=b=c=1である、請求項1から3のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項5】
R
1及びR
3が、(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;及び(C
2-C
10)アルキニルからなる群から独立して選択されるビラジカルであり;
R
2が、(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;及び(C
2-C
10)アルキニルからなる群から選択されるビラジカルであり;
R
19が、(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;及び(C
2-C
10)アルキニルからなる群から選択されるモノラジカルである、請求項1から4のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項6】
R
1、R
3及びR
19が(C
1-C
10)アルキルであり、R
2が(C
2-C
10)アルケニルである、請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項7】
前記C末端が、-C(O)OHまたは-C(O)NH
2に対応し、前記N末端が、-NH
2に対応する、請求項1から6のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項8】
配列番号3~16のペプチド配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は100%の同一性を有し、「L」、「R19」、「m」、「n」、「p」、「q」、「mx」、「nx」、「px」、及び「qx」が請求項1から7のいずれかで定義される、請求項1から7のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項9】
配列番号17~23からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%の同一性を有するアミノ酸を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項10】
標識、薬物、細胞膜透過性ペプチドまたはPROTACにコンジュゲートされている、請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項11】
治療有効量又は化粧品有効量の、
配列番号1又は2の個々の配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有し:
(Trp)
m-(Asn)
n-Lys-Gly-Thr-Ile-Leu-Lys-Ala-Ser-Val-Asp-Tyr-Ile-Arg-Lys-(Leu)
p-(Gln)
q(配列番号1)
(Arg)
mx-(Arg)
nx-Arg-Arg-Phe-Asn-Ile-Asn-Asp-Arg-Ile-Lys-Glu-Leu-Gly-Thr-Leu-(Ile)
px-(Pro)
qx(配列番号2)
(式中、
「m」、「n」、「p」、及び「q」は整数を表し、0及び1から選択され;
「m
x」、「n
x」、「p
x」、及び「q
x」は整数を表し、0及び1から選択され;
C末端は、-C(O)R
4に対応し;
N末端は、-NHR
5に対応し;
R
4は、-OH及び-NR
17R
18からなる群から選択される基であり;
R
5は、-H、(C
1-C
20)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から選択される基であり;
R
17及びR
18は、-H、(C
1-C
10)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基である)を有し;任意選択で、ペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、「i+4」位又は「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子とを連結する以下の式(I)のリンカービラジカル「L」を含み、
-[(R
1)
a-(R
2)-(R
3)
b]
c-(I)
[式中、
「a」及び「b」は、同一であるか、又は異なって、0又は1であり;
「c」は、1~10で構成され;
R
1及びR
3は、(C
1-C
10)アルキル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルケニル;(C
2-C
10)アルキニル;並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルキニル;からなる群から独立して選択されるビラジカルであり;
R
2は、-O-、C(=O)、C(=O)NR
13、C(=O)O、S(=O)、S(=O)
2、NR
14、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、-NR
15-NR
16-、-N=N-、-S-S-、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択され;並びに
該環系は、任意選択で、ハロゲン、-OH、-NO
2、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)ハロアルキル、及び(C
1-C
10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1又は複数の基で置換されている)からなる群から選択されるビラジカルであり;並びに
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、及びR
16は、-H及び(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基であり;並びに
前記リンカーによって連結されるアミノ酸は式(II)である
【化2】
{式中、
R
19は、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択される)からなる群から選択されるモノラジカルである}]を含むペプチド又はその薬学的若しくは化粧品的に許容される塩を、薬学的又は化粧品的に許容される賦形剤及び/又は担体と一緒に含む医薬組成物又は化粧品組成物。
【請求項12】
前記ペプチド、その薬学的又は化粧品的塩が、請求項1から10のいずれか一項に記載のものである、請求項11に記載の医薬組成物又は化粧品組成物。
【請求項13】
局所組成物である、請求項11から12のいずれか一項に記載の医薬組成物又は化粧品組成物。
【請求項14】
メラニン形成の調節に、特にメラニン産生の低下又は増加のために使用するための、配列番号1又は2の個々の配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有し:
(Trp)
m-(Asn)
n-Lys-Gly-Thr-Ile-Leu-Lys-Ala-Ser-Val-Asp-Tyr-Ile-Arg-Lys-(Leu)
p-(Gln)
q(配列番号1)
(Arg)
mx-(Arg)
nx-Arg-Arg-Phe-Asn-Ile-Asn-Asp-Arg-Ile-Lys-Glu-Leu-Gly-Thr-Leu-(Ile)
px-(Pro)
qx(配列番号2)
(式中、
「m」、「n」、「p」、及び「q」は整数を表し、0及び1から選択され;
「m
x」、「n
x」、「p
x」、及び「q
x」は整数を表し、0及び1から選択され;
C末端は、-C(O)R
4に対応し;
N末端は、-NHR
5に対応し;
R
4は、-OH及び-NR
17R
18からなる群から選択される基であり;
R
5は、-H、(C
1-C
20)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から選択される基であり;
R
17及びR
18は、-H、(C
1-C
10)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基である)を有し;
任意選択で、ペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、「i+4」位又は「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子とを連結する以下の式(I)のリンカービラジカル「L」を含み、
-[(R
1)
a-(R
2)-(R
3)
b]
c-(I)
[式中、
「a」及び「b」は、同一であるか、又は異なって、0又は1であり;
「c」は、1~10で構成され;
R
1及びR
3は、(C
1-C
10)アルキル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルケニル;(C
2-C
10)アルキニル;並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルキニル;からなる群から独立して選択されるビラジカルであり;
R
2は、-O-、C(=O)、C(=O)NR
13、C(=O)O、S(=O)、S(=O)
2、NR
14、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、-NR
15-NR
16-、-N=N-、-S-S-、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択され;並びに
該環系は、任意選択で、ハロゲン、-OH、-NO
2、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)ハロアルキル、及び(C
1-C
10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1又は複数の基で置換されている)からなる群から選択されるビラジカルであり;並びに
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、及びR
16は、-H及び(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基であり;並びに
前記リンカーによって連結されるアミノ酸は式(II)である
【化3】
{式中、
R
19は、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択される)からなる群から選択されるモノラジカルである}]を含むペプチド又はその塩;あるいは
請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記ペプチドまたはその塩が、請求項1から10のいずれか一項に定義される通りである、請求項14に記載の使用のためのペプチド。
【請求項16】
色素沈着過剰または色素沈着低下の治療のための、請求項14から15のいずれか一項に記載の使用のためのペプチドまたは組成物。
【請求項17】
医薬品として使用するための、配列番号1又は2の個々の配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有し:
(Trp)
m-(Asn)
n-Lys-Gly-Thr-Ile-Leu-Lys-Ala-Ser-Val-Asp-Tyr-Ile-Arg-Lys-(Leu)
p-(Gln)
q(配列番号1)
(Arg)
mx-(Arg)
nx-Arg-Arg-Phe-Asn-Ile-Asn-Asp-Arg-Ile-Lys-Glu-Leu-Gly-Thr-Leu-(Ile)
px-(Pro)
qx(配列番号2)
(式中、
「m」、「n」、「p」、及び「q」は整数を表し、0及び1から選択され;
「m
x」、「n
x」、「p
x」、及び「q
x」は整数を表し、0及び1から選択され;
C末端は、-C(O)R
4に対応し;
N末端は、-NHR
5に対応し;
R
4は、-OH及び-NR
17R
18からなる群から選択される基であり;
R
5は、-H、(C
1-C
20)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から選択される基であり;
R
17及びR
18は、-H、(C
1-C
10)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基である)を有し;
任意選択で、ペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、「i+4」位又は「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子とを連結する以下の式(I)のリンカービラジカル「L」を含み、
-[(R
1)
a-(R
2)-(R
3)
b]
c-(I)
[式中、
「a」及び「b」は、同一であるか、又は異なって、0又は1であり;
「c」は、1~10で構成され;
R
1及びR
3は、(C
1-C
10)アルキル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルケニル;(C
2-C
10)アルキニル;並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルキニル;からなる群から独立して選択されるビラジカルであり;
R
2は、-O-、C(=O)、C(=O)NR
13、C(=O)O、S(=O)、S(=O)
2、NR
14、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、-NR
15-NR
16-、-N=N-、-S-S-、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択され;並びに
該環系は、任意選択で、ハロゲン、-OH、-NO
2、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)ハロアルキル、及び(C
1-C
10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1又は複数の基で置換されている)からなる群から選択されるビラジカルであり;並びに
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、及びR
16は、-H及び(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基であり;並びに
前記リンカーによって連結されるアミノ酸は式(II)である
【化4】
{式中、
R
19は、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択される)からなる群から選択されるモノラジカルである}]を含むペプチド又はその薬学的塩;あるいは請求項11から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
請求項1から10のいずれか一項に定義される通りである、請求項17に記載の使用のためのペプチド又はその塩。
【請求項19】
がん、特に、転移性メラノーマがんなどのメラノーマがんの治療及び/又は予防に使用するための、配列番号1又は2の個々の配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有し:
(Trp)
m-(Asn)
n-Lys-Gly-Thr-Ile-Leu-Lys-Ala-Ser-Val-Asp-Tyr-Ile-Arg-Lys-(Leu)
p-(Gln)
q(配列番号1)
(Arg)
mx-(Arg)
nx-Arg-Arg-Phe-Asn-Ile-Asn-Asp-Arg-Ile-Lys-Glu-Leu-Gly-Thr-Leu-(Ile)
px-(Pro)
qx(配列番号2)
(式中、
「m」、「n」、「p」、及び「q」は整数を表し、0及び1から選択され;
「m
x」、「n
x」、「p
x」、及び「q
x」は整数を表し、0及び1から選択され;
C末端は、-C(O)R
4に対応し;
N末端は、-NHR
5に対応し;
R
4は、-OH及び-NR
17R
18からなる群から選択される基であり;
R
5は、-H、(C
1-C
20)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から選択される基であり;
R
17及びR
18は、-H、(C
1-C
10)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基である)を有し;
任意選択で、ペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、「i+4」位又は「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子とを連結する以下の式(I)のリンカービラジカル「L」を含み、
-[(R
1)
a-(R
2)-(R
3)
b]
c-(I)
[式中、
「a」及び「b」は、同一であるか、又は異なって、0又は1であり;
「c」は、1~10で構成され;
R
1及びR
3は、(C
1-C
10)アルキル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルケニル;(C
2-C
10)アルキニル;並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルキニル;からなる群から独立して選択されるビラジカルであり;
R
2は、-O-、C(=O)、C(=O)NR
13、C(=O)O、S(=O)、S(=O)
2、NR
14、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、-NR
15-NR
16-、-N=N-、-S-S-、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択され;並びに
該環系は、任意選択で、ハロゲン、-OH、-NO
2、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)ハロアルキル、及び(C
1-C
10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1又は複数の基で置換されている)からなる群から選択されるビラジカルであり;並びに
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、及びR
16は、-H及び(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基であり;並びに
前記リンカーによって連結されるアミノ酸は式(II)である
【化5】
{式中、
R
19は、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択される)からなる群から選択されるモノラジカルである}]を含むペプチド又はその薬学的塩;あるいは請求項11から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記ペプチドまたはその塩が、請求項1から10のいずれか一項に定義される通りである、請求項19に記載の使用のためのペプチド又はその薬学的塩。
【請求項21】
メラニン形成の調節不全に関する疾患の、特にがんメラノサイト増殖を阻害することによる治療及び/又は予防に使用するための、配列番号1又は2の個々の配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有し:
(Trp)
m-(Asn)
n-Lys-Gly-Thr-Ile-Leu-Lys-Ala-Ser-Val-Asp-Tyr-Ile-Arg-Lys-(Leu)
p-(Gln)
q(配列番号1)
(Arg)
mx-(Arg)
nx-Arg-Arg-Phe-Asn-Ile-Asn-Asp-Arg-Ile-Lys-Glu-Leu-Gly-Thr-Leu-(Ile)
px-(Pro)
qx(配列番号2)
(式中、
「m」、「n」、「p」、及び「q」は整数を表し、0及び1から選択され;
「m
x」、「n
x」、「p
x」、及び「q
x」は整数を表し、0及び1から選択され;
C末端は、-C(O)R
4に対応し;
N末端は、-NHR
5に対応し;
R
4は、-OH及び-NR
17R
18からなる群から選択される基であり;
R
5は、-H、(C
1-C
20)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から選択される基であり;
R
17及びR
18は、-H、(C
1-C
10)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基である)を有し;
任意選択で、ペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、「i+4」位又は「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子とを連結する以下の式(I)のリンカービラジカル「L」を含み、
-[(R
1)
a-(R
2)-(R
3)
b]
c-(I)
[式中、
「a」及び「b」は、同一であるか、又は異なって、0又は1であり;
「c」は、1~10で構成され;
R
1及びR
3は、(C
1-C
10)アルキル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルケニル;(C
2-C
10)アルキニル;並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルキニル;からなる群から独立して選択されるビラジカルであり;
R
2は、-O-、C(=O)、C(=O)NR
13、C(=O)O、S(=O)、S(=O)
2、NR
14、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、-NR
15-NR
16-、-N=N-、-S-S-、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択され;並びに
該環系は、任意選択で、ハロゲン、-OH、-NO
2、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)ハロアルキル、及び(C
1-C
10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1又は複数の基で置換されている)からなる群から選択されるビラジカルであり;並びに
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、及びR
16は、-H及び(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基であり;並びに
前記リンカーによって連結されるアミノ酸は式(II)である
【化6】
{式中、
R
19は、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択される)からなる群から選択されるモノラジカルである}]を含むペプチド又はその薬学的塩;あるいは請求項11から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
請求項1から10のいずれか一項に定義される通りである、請求項21に記載の使用のためのペプチドまたはその薬学的塩。
【請求項23】
配列番号1又は2の個々の配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有し:
(Trp)
m-(Asn)
n-Lys-Gly-Thr-Ile-Leu-Lys-Ala-Ser-Val-Asp-Tyr-Ile-Arg-Lys-(Leu)
p-(Gln)
q(配列番号1)
(Arg)
mx-(Arg)
nx-Arg-Arg-Phe-Asn-Ile-Asn-Asp-Arg-Ile-Lys-Glu-Leu-Gly-Thr-Leu-(Ile)
px-(Pro)
qx(配列番号2)
(式中、
「m」、「n」、「p」、及び「q」は整数を表し、0及び1から選択され;
「m
x」、「n
x」、「p
x」、及び「q
x」は整数を表し、0及び1から選択され;
C末端は、-C(O)R
4に対応し;
N末端は、-NHR
5に対応し;
R
4は、-OH及び-NR
17R
18からなる群から選択される基であり;
R
5は、-H、(C
1-C
20)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から選択される基であり;
R
17及びR
18は、-H、(C
1-C
10)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基である)を有し;
任意選択で、ペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、「i+4」位又は「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子とを連結する以下の式(I)のリンカービラジカル「L」を含み、
-[(R
1)
a-(R
2)-(R
3)
b]
c-(I)
[式中、
「a」及び「b」は、同一であるか、又は異なって、0又は1であり;
「c」は、1~10で構成され;
R
1及びR
3は、(C
1-C
10)アルキル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルケニル;(C
2-C
10)アルキニル;並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルキニル;からなる群から独立して選択されるビラジカルであり;
R
2は、-O-、C(=O)、C(=O)NR
13、C(=O)O、S(=O)、S(=O)
2、NR
14、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、-NR
15-NR
16-、-N=N-、-S-S-、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択され;並びに
該環系は、任意選択で、ハロゲン、-OH、-NO
2、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)ハロアルキル、及び(C
1-C
10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1又は複数の基で置換されている)からなる群から選択されるビラジカルであり;並びに
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、及びR
16は、-H及び(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基であり;並びに
前記リンカーによって連結されるアミノ酸は式(II)である
【化7】
{式中、
R
19は、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択される)からなる群から選択されるモノラジカルである}]を含むペプチドと、
1又は複数の化粧品的に許容される賦形剤とを含む脱色素組成物。
【請求項24】
配列番号1又は2の個々の配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有し:
(Trp)
m-(Asn)
n-Lys-Gly-Thr-Ile-Leu-Lys-Ala-Ser-Val-Asp-Tyr-Ile-Arg-Lys-(Leu)
p-(Gln)
q(配列番号1)
(Arg)
mx-(Arg)
nx-Arg-Arg-Phe-Asn-Ile-Asn-Asp-Arg-Ile-Lys-Glu-Leu-Gly-Thr-Leu-(Ile)
px-(Pro)
qx(配列番号2)
(式中、
「m」、「n」、「p」、及び「q」は整数を表し、0及び1から選択され;
「m
x」、「n
x」、「p
x」、及び「q
x」は整数を表し、0及び1から選択され;
C末端は、-C(O)R
4に対応し;
N末端は、-NHR
5に対応し;
R
4は、-OH及び-NR
17R
18からなる群から選択される基であり;
R
5は、-H、(C
1-C
20)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から選択される基であり;
R
17及びR
18は、-H及び(C
1-C
10)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基である)を有し;任意選択で、ペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、「i+4」位又は「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子とを連結する以下の式(I)のリンカービラジカル「L」を含み、
-[(R
1)
a-(R
2)-(R
3)
b]
c-(I)
[式中、
「a」及び「b」は、同一であるか、又は異なって、0又は1であり;
「c」は、1~10で構成され;
R
1及びR
3は、(C
1-C
10)アルキル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルケニル;並びに(C
2-C
10)アルキニル;並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルキニル;からなる群から独立して選択されるビラジカルであり;
R
2は、-O-、C(=O)、C(=O)NR
13、C(=O)O、S(=O)、S(=O)
2、NR
14、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、-NR
15-NR
16-、-N=N-、-S-S-、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択され;並びに
該環系は、任意選択で、ハロゲン、-OH、-NO
2、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)ハロアルキル、及び(C
1-C
10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1又は複数の基で置換されている)からなる群から選択されるビラジカルであり;並びに
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、及びR
16は、-H及び(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基であり;並びに
前記リンカーによって連結されるアミノ酸は式(II)である
【化8】
{式中、
R
19は、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択される)からなる群から選択されるモノラジカルである}]を含むペプチドと、1又は複数の化粧品的に許容される賦形剤とを含む色素形成組成物。
【請求項25】
局所組成物である、請求項23から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記ペプチドが、請求項1から10のいずれか一項に定義される通りである、請求項23から25のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月2日に出願の欧州特許出願第19382674.0号明細書の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、全般に、メラノサイト関連障害の分野に関する。特に、本発明は、メラニン形成を調節し、メラニンの産生を促進又は低下させる能力、並びに悪性メラノサイトの増殖を阻害する能力を有するペプチド、活性成分としてそれらを含有する医薬組成物及び化粧品組成物、並びに治療及び化粧品におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
メラノサイトは、メラニン形成と呼ばれるプロセスを経て、皮膚、眼、毛髪、鼻腔、及び内耳に見られる色素であるメラニンを生成する。このメラニン形成は、既に存在するメラニンの酸化に由来する色素沈着とは対照的に、長期にわたる色素沈着をもたらす。
【0004】
メラニン形成の基底レベルと活性化レベルの両方が存在し、一般に、色白の皮膚の人々はメラニン形成の基底レベルが低い。UV-B放射線への曝露はメラニン形成の増加を引き起こす。メラニン形成の目的は、皮膚下の層である皮下組織をUV-B放射線による損傷から保護することである。メラニンの色は黒色であり、UV-B光の大部分を吸収し、表皮を通過することを阻止する。
【0005】
人の一生の間に、皮膚の色に明らかな変化が現れ、したがって、例えば、高齢者の顔、胸、手の皮膚に、明らかな老化の兆候であるシミが現れることが知られている。さらに、UV放射線への連続的な過剰曝露は、はるかに早い年齢での皮膚老化の徴候の出現、とりわけUV放射線に過剰曝露された皮膚の領域におけるシミの出現を特徴とする光老化として知られる皮膚の老化の加速を引き起こすだけでなく、色素過剰がん性病変又はメラノーマの形成も引き起こす可能性がある。
【0006】
人の皮膚の領域では、メラノサイト内のメラニンの密度が周囲の領域よりも大きく、その結果、その人の患部の色が他の部分よりも暗くなることが頻繁に起こる。これらの領域は色素沈着過剰領域として公知である。色素沈着過剰の原因の中には、ホルモン変化、肝斑、黒子病、限局性白皮症、アジソン病、放射線の作用を促進する薬剤による紫外線過敏症(光毒性)、又は炎症性病変の結果としての色素沈着過剰がある。座瘡、湿疹、瘢痕又は除毛に関連するシミは、この最後のタイプの色素沈着過剰に属し、数年続くこともあり得るシミである。
【0007】
人の皮膚領域には周囲の領域よりもメラニン密度が低い領域も起こり得る。白斑、白色粃糠疹、癜風、及び炎症後効果は、色素喪失の一般的な原因である。色素沈着の不規則性の減弱は、加齢及び/又は光老化、ホルモン障害又は炎症後プロセスのいずれかによるものであり、特に、局所適用により白斑に冒された領域における色素沈着の回復は、したがって化粧品及び製薬部門にとって興味深い。
【0008】
色素沈着障害は、世界的な問題である。一般的であるにもかかわらず、色素沈着障害は依然として治療が困難である。
【0009】
色素沈着過剰障害の治療のための主なアプローチは、主に、過活動メラノサイトによるメラニンの産生の防止又は表皮細胞代謝回転の増加による表皮からのメラニンの除去の促進に基づく。メラニン合成に関与する律速酵素であるチロシナーゼを阻害するいくつかの薬剤が現在、色素沈着過剰の障害を治療するために使用されており、ある程度の成功を収めている。これらの薬剤には、ハイドロキノン、コウジ酸(「KA」とも呼ばれる)、アルブチン、メキノール及びアゼライン酸が含まれる。接触皮膚炎は、これらの薬剤を使用する患者の最大15%に生じ、その使用を制限する一般的な副作用である。これらの薬剤の有効性は、患者によって大きく異なる。局所レチノイドは、チロシナーゼの阻害を介して表皮メラニンを減少させ、また表皮代謝回転を増加させ、それによってメラニンの分散及び除去を促進する。しかしながら、頻繁な有害作用として刺激性皮膚炎があり得、比較的皮膚の色が濃いタイプに高濃度の局所レチノイドを処方する場合には、結果として生じる刺激が紅斑、落屑及びさらなる炎症後色素沈着過剰をもたらす可能性があるので注意すべきである。レーザー治療は、色素沈着過剰に有効な場合がある。しかしながら、これは、これらの波長において標的とされる表皮メラニンのベースラインが増加している、比較的皮膚の色が濃い患者において重大な問題を引き起こす。
【0010】
色素脱失の障害はまた、炎症性及び自己免疫性の病因を伴うので、局所コルチコステロイド及び免疫調節薬が治療レジメンにおいて有用であり得る。炎症後色素沈着低下は通常、炎症過程が消散した後に臨床的に顕著であるので、これらの同じ局所薬剤はこの後期段階では有益でない可能性がある。光線療法、限定するものではないが、例えば、ソラレン+UVA(経口又は局所)、ソラレン及び自然太陽光、UVB、狭帯域UVB及び308nmエキシマレーザが、色素沈着低下及び色素脱失の両方を治療するために使用されている。色素脱失の障害(例えば、白斑)は、毛胞間表皮にメラノサイトが完全に存在しないため、治療が特に困難であり得る。したがって、治療は、メラノサイトをこれらの部位に動員又は移植することを目的とする。
【0011】
したがって、これらの努力を行ったにもかかわらず、メラノサイト活性を効率的に調節することができ、その結果、色素沈着障害の治療において効率的であり得るさらなる分子(ペプチド)を開発する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、配列番号1及び2の配列のペプチドがメラノサイト活性を効率的に調節することを見出した。
【0013】
一方で、本発明者らは、驚くべきことに、本発明のペプチドがメラニン形成経路に関与することを見出した。したがって、一部のペプチドはメラノサイト活性化の指標となり得るメラニンの産生を刺激したが、F22及びF29などの他のペプチドはメラニンの量を劇的に減少させた。さらにより注目すべきは、本発明のペプチドが、最新技術で公知の他の化合物と比較した場合、メラニン産生の調節においてより効率的であったという事実である。これに関して、色素沈着過剰で一般的に使用されるKAを1μMの濃度で使用した場合、減少は、同じ濃度の本発明のペプチドで達成される減少よりも実質的に低いことが見出された。したがって、これらのデータは、メラニン産生に対する本発明のペプチドの効果を支持するだけでなく、それらが同じ目的で現在使用されている最新技術で利用可能な他の化合物よりもさらに効率的であることも示す。
【0014】
一方、本発明者らは、これらのペプチドがメラニン形成のみならず、細胞増殖の点でもメラノサイト活性を調節することを見出した。表2に示されるように、本発明のペプチドは、がん細胞増殖、特に転移性メラノーマ細胞株を含むメラノーマ細胞株の阻害において活性であった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、第1の態様では、本発明は、以下の配列番号1又は2の個々の配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有し:
(Trp)
m-(Asn)
n-Lys-Gly-Thr-Ile-Leu-Lys-Ala-Ser-Val-Asp-Tyr-Ile-Arg-Lys-(Leu)
p-(Gln)
q(配列番号1)
(Arg)
mx-(Arg)
nx-Arg-Arg-Phe-Asn-Ile-Asn-Asp-Arg-Ile-Lys-Glu-Leu-Gly-Thr-Leu-(Ile)
px-(Pro)
qx(配列番号2)
(式中、
「m」、「n」、「p」、及び「q」は整数を表し、0及び1から選択され;
「m
x」、「n
x」、「p
x」、及び「q
x」は整数を表し、0及び1から選択され;
C末端は、-C(O)R
4に対応し;
N末端は、-NHR
5に対応し;
R
4は、-OH及び-NR
17R
18からなる群から選択される基であり;
R
5は、-H、(C
1-C
20)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から選択される基であり;並びに
R
17及びR
18は、-H及び(C
1-C
10)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基である)を有し;任意選択で、ペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、「i+4」位又は「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子とを連結する以下の式(I)のリンカービラジカル「L」、
-[(R
1)
a-(R
2)-(R
3)
b]
c-(I)
[式中、
「a」及び「b」は、同一であるか、又は異なって、0又は1であり;
「c」は、1~10で構成され;
R
1及びR
3は、(C
1-C
10)アルキル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルケニル;(C
2-C
10)アルキニル;並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルキニル;からなる群から独立して選択されるビラジカルであり;
R
2は、-O-、C(=O)、C(=O)NR
13、C(=O)O、S(=O)、S(=O)
2、NR
14、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、-NR
15-NR
16-、-N=N-、-S-S-、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択され;並びに
環系は、任意選択で、ハロゲン、-OH、-NO
2、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)ハロアルキル、及び(C
1-C
10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1又は複数の基で置換されている)からなる群から選択されるビラジカルであり;並びに
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、及びR
16は、-H及び(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基であり;並びに
リンカーによって連結されるアミノ酸は式(II)である
【化1】
{式中、
R
19は、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択される)からなる群から選択されるモノラジカルである}]を含むペプチド、又はその薬学的に若しくは化粧品的に許容される塩を提供する。
【0016】
第2の態様では、本発明は、化粧品有効量又は治療有効量の本発明の第1の態様で定義されるペプチドと一緒に、許容される化粧品又は医薬品賦形剤及び/又は担体を含む化粧品組成物又は医薬組成物を提供する。
【0017】
第3の態様では、本発明は、医薬品として使用するための、本発明の第1の態様で定義されるペプチド若しくはその薬学的塩又は本発明の第2の態様の医薬組成物を提供する。この態様は、疾患を治療するための医薬品の製造における、本発明の第1の態様で定義されるペプチド若しくはその薬学的塩、又は本発明の第2の態様の医薬組成物の使用として代替的に製剤化することができる。この態様はまた、疾患の治療のための方法であって、有効治療量の、本発明の第1の態様で定義されるペプチド若しくはその薬学的塩、又は本発明の第2の態様の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法として代替的に製剤化することができる。
【0018】
第4の態様では、本発明は、がんの治療に使用するための、本発明の第1の態様で定義されるペプチド若しくはその薬学的塩、又は本発明の第2の態様で定義される医薬組成物を提供する。この態様は、がんを治療するための医薬品の製造における、本発明の第1の態様で定義されるペプチド若しくはその薬学的塩、又は本発明の第2の態様で定義される医薬組成物の使用として代替的に製剤化することができる。この態様はまた、がんの治療のための方法であって、有効治療量の、本発明の第1の態様で定義されるペプチド若しくはその薬学的塩、又は本発明の第2の態様で定義される医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法として代替的に製剤化することができる。
【0019】
第5の態様では、本発明はまた、メラニン形成を調節するための、特にメラニンの産生を減少又は増加させるための、本発明の第1の態様で定義されるペプチド若しくはその化粧品的塩又は本発明の第2の態様で定義される化粧品組成物の非治療的使用を提供する。
【0020】
最後の態様では、本発明は、それを必要とする対象における色素沈着過剰又は色素沈着低下を処置するための美容方法であって、本発明の第1の態様で定義されるペプチド若しくはその化粧品的塩、又は本発明の第2の態様で定義される化粧品組成物を、色素沈着過剰又は色素沈着低下を患っている患部に適用することを含む美容方法を提供する。
【0021】
さらなる態様では、本発明は、(a)本発明の第1又は第2の態様で定義されるペプチド又はその薬学的塩と、治療剤、特に抗がん剤との組合せ;(b)医薬品として使用するための、より具体的にはがんの治療に使用するための、本発明の第1又は第2の態様で定義されるペプチド又はその薬学的塩と、治療剤、特に抗がん剤との組合せ;(c)がんの予防又は治療のための、抗がん剤と同時に、連続して、又は別々に対象に投与することを含む併用療法において使用するための本発明の第1又は第2の態様で定義されるペプチド又はその薬学的塩;(d)本発明の第1又は第2の態様で定義されるペプチド又はその薬学的塩との併用療法で使用するための、がんの予防又は処置を含む使用のための抗がん剤;を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】未処理メラノーマ細胞のメラニンに対する処理メラノーマ細胞におけるメラニンのパーセンテージを示す図である。陽性対照として、コウジ酸(KA)を異なる濃度(0.1、1及び10μM)で使用した。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本出願において本明細書で使用される全ての用語は、特に明記しない限り、当技術分野で公知の通常の意味で理解されるものとする。本出願で使用される特定の用語の他のより具体的な定義は以下に示すとおりであり、特に明示的に述べた定義がより広い定義を提供しない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体に一律に適用されることを意図している。
【0024】
本発明の目的のために、任意の所与の範囲は、その範囲の下限及び上限の両方の終点を含む。
【0025】
本発明は、上記のように、配列番号1又は2と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むペプチドを提供する。
【0026】
本発明において、「同一性」という用語は、配列が最適にアラインメントされたときに2つの配列において同一である残基のパーセンテージを指す。最適なアラインメントにおいて、第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基によって占められている場合、配列は、その位置に関して同一性を示す。2つの配列間の同一性のレベル(又は「配列同一性パーセント」)は、配列のサイズに対して配列が共有する同一の位置の数の比として測定される(すなわち、配列同一性パーセント=(同一の位置の数/位置の総数)×100)。
【0027】
最適なアラインメントを迅速に得て、2つ以上の配列間の同一性を計算するためのいくつかの数学的アルゴリズムが公知であり、いくつかの利用可能なソフトウェアプログラムに組み込まれている。そのようなプログラムの例としては、とりわけ、アミノ酸配列分析のためのMATCH-BOX、MULTAIN、GCG、FASTA及びROBUSTプログラムが挙げられる。好ましいソフトウェア分析プログラムには、ALIGN、CLUSTAL W、及びBLASTプログラム(例えば、BLAST2.1、BL2SEQ及びそれらの後期バージョン)が含まれる。
【0028】
アミノ酸配列分析のために、BLOSUM行列(例えば、BLOSUM45、BLOSUM50、BLOSUM62及びBLOSUM80行列)、Gonnet行列、又はPAM行列(例えば、PAM30、PAM70、PAM120、PAM160、PAM250、及びPAM350行列)などの重み行列が同一性の判定に使用される。
【0029】
BLASTプログラムは、選択された配列をデータベース(例えば、GenSeq)内の複数の配列に対して、又はBL2SEQを用いて2つの選択された配列間でアラインメントすることによって、少なくとも2つのアミノ酸配列の分析を提供する。BLASTプログラムは、好ましくはBLASTプログラム動作に統合される、DUST又はSEGプログラムなどの低複雑度フィルタリングプログラムによって改変されることが好ましい。ギャップ存在コスト(又はギャップスコア)が使用される場合、ギャップ存在コストは、好ましくは約-5~-15の間に設定される。同様のギャップパラメータは、必要に応じて他のプログラムと共に使用することができる。BLASTプログラム及びその基礎となる原理は、例えば、Altschul et al.,“Basic local alignment search tool”,1990,J.Mol.Biol,v.215,pages 403-410にさらに記載されている。
【0030】
多重配列分析には、CLUSTAL Wプログラムを用いることができる。CLUSTAL Wプログラムは、「動的」(「fast」に対して)設定を使用して実行されることが望ましい。アミノ配列は、配列間の同一性のレベルに応じてBLOSUM行列の可変セットを使用して評価される。CLUSTAL Wプログラム及び基本的な動作原理は、例えば、Higgins et al.,“CLUSTAL V:improved software for multiple sequence alignment”,1992,CABIOS,8(2),pages189-191にさらに記載されている。
【0031】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的又は化粧品的に許容される塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などのない、ヒト及び下等動物の組織との接触における使用に適したものであり、合理的な利益/リスク比に見合ったそれらの塩を指す。薬学的及び化粧品的に許容される塩は当技術分野において周知である。薬学的及び化粧品的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸などの無機酸、又は酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸などの有機酸と形成されるアミノ基の塩、又はイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法により形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的及び化粧品的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリル酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基に由来する塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニウムが含まれる。代表的なアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらなる薬学的及び化粧品的に許容される塩には、適切な場合、非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、並びにハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成されるアミンカチオンが含まれる。
【0032】
(C1-C10)アルキルという用語は、1~10個の炭素原子を有する飽和の直鎖又は分枝鎖アルキル鎖を指す。例示的な非限定的な例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオ-ペンチル及びn-ヘキシルである。
【0033】
(C1-C20)アルキルという用語は、1~20個の炭素原子を有する飽和の直鎖又は分枝鎖アルキル鎖を指す。
【0034】
(C2-C10)アルケニルという用語は、2~10個の炭素原子を含み、1又は複数の二重結合をさらに含む飽和の直鎖又は分枝鎖アルキル鎖を指す。例示的な非限定的な例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イルなどである。
【0035】
(C2-C10)アルキニルという用語は、2~20個の炭素原子を含み、1又は複数の三重結合をさらに含む飽和の直鎖又は分枝鎖アルキル鎖を指す。例としては、とりわけ、エチニル、1-プロピニル、2-ブチニル、1,3-ブタジニル、4-ペンチニル及び1-ヘキシニルが挙げられる。
【0036】
「ハロゲン」という用語は、5つの化学的に関連する元素:フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、及びアスタチン(At)からなる周期表の群を指す。
【0037】
(C1-C10)ハロアルキルという用語は、(C1-C10)アルキル基の1又は複数の水素原子が、1又は複数の、好ましくは1~6個の同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子で置き換えられた基を指す。例としては、とりわけ、トリフルオロメチル、フルオロメチル、1-クロロエチル、2-クロロエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2-ブロモエチル、2-ヨードエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3-クロロプロピル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、4-フルオロブチル及びノナフルオロブチルが挙げられる。
【0038】
本明細書で使用される「公知の」環系という用語は、化学的に実現可能であり、当技術分野で公知の環系を指し、したがって化学的に不可能な環系を除外することを意図する。
【0039】
本発明によれば、環系が「孤立」環によって形成される場合、環系が2、3又は4個の環によって形成され、該環が一方の環の原子から他方の環の原子への結合を介して結合されることを意味する。用語「孤立」は、環系が1個のみの環を有する実施形態も包含する。1個の環からなる公知の環系の例示的な非限定的な例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、フェニル及びシクロヘプテニルから誘導されるものである。
【0040】
本発明によれば、環系が「完全に縮合した」環を有する場合、環系が、2個以上の原子が2つの隣接する環に共通である2、3又は4個の環によって形成されることを意味する。例示的な非限定的な例は、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、1-ナフチル、2-ナフチル、アントリル又はフェナントリルである。
【0041】
本発明によれば、環系が「部分的に縮合している」場合、環系が3個又は4個の環によって形成され、該環の少なくとも2個が完全に縮合しており(すなわち、2個以上の原子が2個の隣接する環に共通である)、残りの環が1個の環の原子から縮合環の1個の原子への結合を介して結合していることを意味する。
【0042】
特に明記しない限り、本発明のペプチドを形成するアミノ酸は、L配置又はD配置を有することができる。
【0043】
本発明のペプチドの構築に使用されるアミノ酸は、有機合成により調製されてもよく、又は例えば、天然源の分解若しくは天然源からの単離などの他の経路により得られてもよい。
【0044】
本発明の第1の態様の一実施形態では、ペプチドは、配列番号24、25又は26の配列以外のペプチドである。
【0045】
本発明の第1の態様の一実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチドはmとnとが同じペプチドである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチドはpとqとが同じペプチドである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、m及びnは1を表し、p及びqは0を表す。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、m及びnは0を表し、p及びqは1を表す。
【0046】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチドは線状ペプチドである。
【0047】
本発明において、「線状ペプチド」という用語は、「L」ビラジカルを含まないことを意味する。
【0048】
本発明の第1の態様の一実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチドは、配列番号1
(式中、
-「m」と「n」とが同じである場合、「p」と「q」とは異なる;及び
-mが0であり、n=p=1である場合、qは1である)
からなる線状ペプチドである。
【0049】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチドは、配列番号1からなる線状ペプチドであり、以下のペプチドから選択される:
-m、n、p及びqのうちの少なくとも3つが同じである;あるいは、
-「m」が0であり、「n」が1である場合、「p」は0であり、「q」は0又は1である;あるいは、
-「m」が0であり、「n」が1である場合、「p」は0又は1であり、「q」は1である。
【0050】
本発明の第1の態様の一実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチドはmxとnxとが同じペプチドである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチドはpxとqxとが同じペプチドである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、mx及びnxは1を表し、px及びqxは0を表す。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、mx及びnxは0を表し、px及びqxは1を表す。
【0051】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、a=1の「L」リンカーを含むものである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、b=1の「L」リンカーを含むものである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、c=1の「L」リンカーを含むものである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、a=b=c=1の「L」リンカーを含むものである。
【0052】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、R1及びR3が(C1-C10)アルキル;(C2-C10)アルケニル;及び(C2-C10)アルキニルからなる群から独立して選択されるビラジカルである「L」リンカーを含むものである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、R1及びR3が同一であるか又は異なっている(C1-C10)アルキルで表される「L」リンカーを含むものである。
【0053】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、R2が、-O-、C(=O)、C(=O)NR13、C(=O)O、S(=O)、S(=O)2、NR14、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、-NR15-NR16-、-N=N-、-S-S-、及び3~6個のメンバーの1個の環からなる公知の環系
(環は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択され;並びに
環系は、任意選択で、ハロゲン、-OH、-NO2、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)ハロアルキル、及び(C1-C10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1又は複数の基によって置換されている)からなる群から選択されるビラジカルである「L」リンカーを含むものである。
【0054】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、R2が、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、及び(C2-C10)アルキニルからなる群から選択されるビラジカルである「L」リンカーを含むものである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、R2が、(C2-C10)アルケニルである「L」リンカーを含むものである。
【0055】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、R1及びR3が同一であるか又は異なっている(C1-C10)アルキルで表され、R2が、(C2-C10)アルケニルである「L」リンカーを含むものである。
【0056】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、R1及びR3が同一であるか又は異なっている(C1-C10)アルキルで表され、R2が、(C2-C10)アルケニルであり、及びa=b=c=1である「L」リンカーを含むものである。
【0057】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、R19が、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、及び(C2-C10)アルキニルからなる群から選択されるものである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、R19が、(C1-C10)アルキルモノラジカルであるものである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、R1、R3及びR19が同一であるか又は異なっている(C1-C10)アルキルで表され、R2が、(C2-C10)アルケニルである「L」リンカーを含むものである。
【0058】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、R4が-OHである(すなわち、C末端が-C(O)OHである)ものである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、R4が-NR17R18であり、R17及びR18が同じものを意味するものである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、N末端は-NH2に対応する。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、本発明のペプチドのC末端及びN末端は、それぞれ、-C(O)OH及び-NH2である。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、本発明のペプチドのC末端及びN末端は、それぞれ、-C(O)NH2及び-NH2である。
【0059】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、本発明のペプチドのC末端及びN末端は、それぞれ、-C(O)OH及び-NHR5(式中、R5は、(C1-C20)アルキル、並びにハロゲン、(C1-C10)アルキル、-OR6、-NR7R8、-SR9、-SOR10、-SO2R11、及び-CO2R12からなる群から選択される1又は複数の基で置換されている(C1-C10)アルキルから選択される)である。
【0060】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、本発明のペプチドのC末端及びN末端は、それぞれ、-C(O)R4及び-NH2(式中、R4は-NHR18を意味し、R18は、(C1-C10)アルキル、並びにハロゲン、(C1-C10)アルキル、-OR6、-NR7R8、-SR9、-SOR10、-SO2R11、及び-CO2R12からなる群から選択される1又は複数の基で置換されている(C1-C10)アルキルからなる群から選択される基である)である。
【0061】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、本発明のペプチドのC末端及びN末端は、それぞれ、-C(O)R4及び-NH2(式中、R4は-NR17R18を意味し、R17及びR18は、(C1-C10)アルキル、並びにハロゲン、(C1-C10)アルキル、-OR6、-NR7R8、-SR9、-SOR10、-SO2R11、及び-CO2R12からなる群から選択される1又は複数の基で置換されている(C1-C10)アルキルからなる群から独立して選択される基である)である。
【0062】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、式(I)のリンカービラジカルは、配列番号1の配列のペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、配列番号1のペプチド配列中の「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子との間にある。
【0063】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、配列番号3~8のアミノ酸配列からなる群から選択される:
【化2】
(式中、「m」、「n」、「p」、「q」、「L」及び「R
19」は、先行する実施形態のいずれかで定義されたとおりである)。
【0064】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、式(I)のリンカービラジカルは、配列番号2のペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、配列番号2のペプチド配列中の置「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子との間にある。
【0065】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、配列番号9~16のアミノ酸配列からなる群から選択される:
【化3】
(式中、「m
x」、「n
x」、「p
x」、「q
x」、「L」及び「R
19」は、先行する実施形態のいずれかで定義されたとおりである)。
【0066】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、配列番号3~8(式中、R1、R3及びR19が、同一であるか又は異なっている(C1-C10)アルキルで表され、R2が、(C2-C10)アルケニルである)と少なくとも85%の同一性を有するものである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、配列番号3~8(式中、R1、R3及びR19が、同一であるか又は異なっている(C1-C10)アルキルで表され、R2が、(C2-C10)アルケニルであり、C末端が-C(O)OH及び-CONH2から選択され、N末端が-NH2である)と少なくとも85%の同一性を有するものである。
【0067】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、配列番号9~16(式中、R1、R3及びR19が、同一であるか又は異なっている(C1-C10)アルキルで表され、R2が、(C2-C10)アルケニルである)と少なくとも85%の同一性を有するものである。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、配列番号9~16(式中、R1、R3及びR19が、同一であるか又は異なっている(C1-C10)アルキルで表され、R2が、(C2-C10)アルケニルであり、C末端が-C(O)OH及び-CONH2から選択され、N末端が-NH2である)と少なくとも85%の同一性を有するものである。
【0068】
本発明の第一の態様の別の実施形態では、ペプチドは、以下の配列番号17~23からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するペプチド、又はその薬学的若しくは化粧品的塩である:
【化4】
【0069】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、配列番号1~23(「m」、「n」、「p」、「q」、「mx」、「nx」、「px」、「qx」、L及びR19は、上記実施形態のいずれかで定義されたとおりである)の配列のいずれかと85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するペプチドである本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又はその塩は、配列番号1~23(「m」、「n」、「p」、「q」、「mx」、「nx」、「px」、「qx」、L及びR19は、上記実施形態のいずれかで定義されたとおりである)の配列のいずれかと100%の同一性を有するペプチドである一実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、リンカーによって連結された2つのアミノ酸性残基は、同一性の程度を確認するために同一の位置を決定するためのアライメントを実施するときに考慮されない。
【0070】
本発明の第1の態様の一実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、第1の態様のペプチドは、標識、薬物又は細胞膜透過性ペプチドなどの部分とコンジュゲートされる。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチドは標識とコンジュゲートされる。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、標識はペプチドのN末端又はC末端にコンジュゲートされる。
【0071】
本明細書で使用される「標識」は、蛍光、電気伝導率、放射能、サイズなどを含む、様々な方法によって検出することができる分子又は化合物である。標識は、例えば、別のより低い特徴的な波長の光による励起後に特定の波長の光を放射する蛍光標識などのシグナルを放射することが本質的に可能であり得る。あるいは、標識は、シグナルを本質的に放射することができなくてもよいが、シグナルを放射する別の化合物に結合させることができる。この後者の状況の例は、それ自体はシグナルを放射しないが、標識されたアビジン又はストレプトアビジン分子に結合された場合に検出可能なビオチンなどの標識である。この後者の種類の標識の他の例は、特定の受容体に特異的に結合するリガンドである。検出可能に標識された受容体は、可視化のために、リガンド標識単位特異的マーカーに結合させることができる。
【0072】
本発明に従って使用することができる標識としては、限定するものではないが、電子スピン共鳴分子、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、酵素、ビオチン分子、アビジン分子、電荷移送分子、半導体ナノ結晶、半導体ナノ粒子、コロイド金ナノ結晶、リガンド、マイクロビーズ、磁気ビーズ、常磁性分子、量子ドット、発色基質、親和性分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、ハプテン、抗原、抗体、抗体断片及び脂質が挙げられる。
【0073】
放射性同位体は、フィルム又は電荷結合素子(CCD)で検出することができ、リガンドは、蛍光、化学発光又は酵素タグを有する受容体の結合によって検出することができ、マイクロビーズは、電子又は原子間力顕微鏡を使用して検出することができる。
【0074】
標識のペプチドへのコンジュゲーションは、当業者に周知の日常的なプロトコルに従って行うことができる。
【0075】
別の実施形態では、本発明の第1の態様のペプチドは、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、薬物とコンジュゲートされる。一実施形態では、薬物はペプチドのN末端にコンジュゲートされる。
【0076】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチドは細胞膜透過性ペプチドとコンジュゲートされる。
【0077】
本発明において、用語「細胞膜透過性ペプチド」(「CPP」)は、さまざまな分子カーゴ(ナノサイズ粒子から小さな化学分子及び大きなDNA断片まで)の細胞取り込みを促進する短いペプチドを指す。「カーゴ」は、共有結合による化学結合を介して、又は非共有結合相互作用を介して、C(t)又はN(t)でペプチドと会合される。CPPの機能は、細胞内にカーゴを送達することであり、これは一般にエンドサイトーシスによって起こるプロセスである。現在の使用は、CPP媒介カーゴ送達における細胞特異性の欠如と、それらの取り込みモードの不十分な理解により制限されている。CPPは通常、リジン又はアルギニンなどの正に帯電したアミノ酸を比較的高い相対量で含むか、又は極性/帯電アミノ酸と非極性の疎水性アミノ酸の交互パターンを含む配列を有するかのいずれかのアミノ酸組成を有している。これらの2つのタイプの構造は、それぞれポリカチオン性、又は両親媒性と呼ばれる。CPPの第3のクラスは、正味の電荷が低い無極性残基のみを含むか、又は細胞の取り込みに重要な疎水性アミノ酸基を有するかの疎水性ペプチドである。本発明で提供されるペプチドへのCPPのコンジュゲーションは、固相合成又は溶液選択的キャッピングなどの周知の日常的なプロトコルに従って実施することができる(Copolovici D.M.et al.,“Cell-Penetrating Peptides:Design,Synthesis,and Applications”,2014,ACS Nano,2014,8(3),pp1972-1994を参照されたい)。本発明の第1の態様の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、細胞膜透過性ペプチドは、ポリカチオン性CPP、ポリArg又はペネトラチンである。
【0078】
本発明の第1の態様によるペプチドの調製方法は、以下を含む:
(1.a)ペプチドの対応するアミノ酸と、「i」及び「i+4」又は「i+7」と呼ばれるアミノ酸に対応する式(III)の化合物及び式(IV)の化合物との、縮合によるカップリング。化合物(III)及び(IV)は、「L」ビラジカルを生成するための後続の環化工程を受けるものになる:
【化5】
(式中、R
19は上記に定義される通りであり、Z
1及びZ
2は同一であるか又は異っている(C
2-C
10)アルケニルを表す);並びに
(1.b)Grubbs(I又はIIの生成)触媒を用いて溶液中で行われるZ
1及びZ
2の閉環メタセシスを含む環化工程(Kim Young-Woo et al.,“Synthesis of all-hydrocarbon stapled a-helical peptides by ring-closing olefin metathesis”,Nature Protocols,2011,6(6),p.761-771;Scott J.M.et al.,“Application of Ring-Closing Metathesis to the Synthesis of Rigidified Amino Acids and Peptides”,J.Am.Chem.Soc.,1996,v.118(40),pp 9606-9614);あるいは、
(2a)「i」及び「i+4」又は「i+7」と呼ばれるアミノ酸に対応する、式(V)の化合物及び式(VI)の化合物を含む必要なアミノ酸の縮合によるカップリング。化合物(V)及び(VI)は、「L」ビラジカルを生成するための後続の環化工程を受けるものになる:
【化6】
[式中、R
19は上記に定義される通りであり、Z
3及びZ
4は同一であるか又は異って、ハロゲン-SH、-NHR
20、-OH、(C
2-C
10)アルキル-SH、(C
1-C
10)アルキル-OH、(C
1-C
10)アルキル-NHR
21、C(=O)OH、(C
1-C
10)C(=O)OH、C(=O)NHR
22、(C
1-C
10)アルキルC(=O)NHR
23、OR
24、C(=O)-ハロゲン、C(=O)-OR
25、S(=O)-ハロゲン、S(=O)-OR
26、S(=O)
2R
27(式中、R
20、R
21 R
22、R
23、R
24、R
25 R
26及びR
27は、水素、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、及び(C
2-C
10)アルキニル;3~14個の炭素原子を含み、1~3個の環を含む公知の環系(ここで、環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択され;並びに
環系は、任意選択で、ハロゲン、-OH、-NH
2、-SH、C(=O)-ハロゲン(C
1-C
10)ハロアルキル、及び(C
1-C
10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1又は複数の基によって置換されている)からなる群から選択されるモノラジカルである];並びに
(2b)Z
3基とZ
4基との間のカップリング反応を含む環化工程;あるいは、
(3a)ペプチドの対応するアミノ酸と、「i」及び「i+4」又は「i+7」と呼ばれるアミノ酸に対応する式(VII)の化合物及び式(VIII)の化合物との縮合によるカップリング。
化合物(VII)及び(VIII)は、「L」ビラジカルを生成するための後続の環化工程を受けるものになる:
【化7】
(式中、R
19は上記に定義される通りであり、Z
5及びZ
6の一方は(C
2-C
10)アルキニルであり、他方は(C
2-C
10)アルキルN
3である);並びに
(3.b)周知のプロトコル、例えば、1,4-置換1,2,3トリアゾール架橋を生成するための、Cu(I)媒介Huisgen 1,3-双極子環状付加反応(別名「クリック」反応)(Kolb H.C.et al.,“The growing impact of click chemistry on drug discovery”,2003,Drug Discov Today,8(24):1128-1137を参照されたい)による、Z
5基及びZ
6基の縮合を含む環化工程。
【0079】
本発明の第2の態様によるペプチドの調製方法は、あるアミノ酸のカルボキシル基又はC末端と、別のアミノ酸のアミノ基又はN末端との縮合によるカップリングを含み、このカップリング反応は、所望のペプチドが得られるまで必要な回数繰り返される。
【0080】
式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)の化合物は市販されており、縮合によってペプチド配列の既に形成された部分にカップリングされる。これらの化合物は、ペプチドの適切な固相合成のためのビーズ、並びにカルボキシ、アミノ又は側鎖の保護基を担持することができる。化合物の例示的な非限定的な例は、とりわけ、2-(2’-プロペニル)アラニン、2-(3’-ブテニル)グリシン、2-(4’-ペンテニル)アラニン、2-(6’-ヘプテニル)アラニン、2-(7’-オクテニル)アラニン、アリル-グリシン、5-アジド-ノルバリン、及びアルファ-プロパルギルアラニンである。
【0081】
「カップリング」工程は、プロトコル「脱保護-洗浄-カップリング-洗浄」に従って、上記で定義したアミノ酸並びに式(II)~(VII)のアルファ-アルファ-二置換アミノ酸を使用して、あるアミノ酸のカルボキシル基と、別のアミノ酸残基のアミノ基とを縮合させることによって、固相で実施することができる。
【0082】
固相ペプチド合成の一般原理は、脱保護-洗浄-カップリング-洗浄のサイクルを繰り返すことである。固相結合ペプチドの遊離N末端アミンは、単一のN保護アミノ酸単位にカップリングされる。次いで、この単位を脱保護し、さらなるアミノ酸が結合し得る新しいN末端アミンをあらわにする。アミノ酸は、N末端及びC末端に反応性部分を有し、これらが合成中のアミノ酸カップリングを促進する。多くのアミノ酸はまた反応性側鎖官能基を有し、これらは、合成及びペプチド伸長中に遊離の末端又は他の側鎖基と相互作用し、収率及び純度に悪影響を及ぼし得る。最小限の側鎖反応性で適切なアミノ酸合成を容易にするために、特定のアミノ酸官能基に結合し、官能基を非特異的反応から遮断又は保護する化学基が開発されている。これらの保護基は、本質的に膨大であるが、以下のように3つの基に分けることができる:N末端保護基、C末端保護基(主に液相合成で使用される)、及び側鎖保護基。
【0083】
ペプチドをカップリングするために、カルボキシル基が通常活性化される。これは、反応を高速化するために重要である。2つの主要なタイプの活性化基:カルボジイミド及びトリアゾロールが存在する。しかしながら、ペンタフルオロフェニルエステル(FDPP、PFPOH])及びBOP-Clの使用が、ペプチドの環化に有用である。
【0084】
精製された個々のアミノ酸は、合成前にこれらの保護基と反応し、次いでペプチド合成の特定の工程中に選択的に除去される。
【0085】
本発明によって使用され得る例示的な樹脂としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:(1)アルケニル樹脂(例えば、REM樹脂、ビニルスルホンポリマー結合型樹脂、ビニル-ポリスチレン樹脂);(2)アミン官能化樹脂(例えば、アミジン樹脂、N-(4-ベンジルオキシベンジル)ヒドロキシルアミン ポリマー結合型、(アミノメチル)ポリスチレン、ポリマー結合型(R)-(+)-a-メチルベンジルアミン、2-クロロトリチルKnorr樹脂、2-N-Fmoc-アミノ-ジベンゾシクロヘプタ-1,4-ジエンポリマー結合型樹脂、4-[4-(1-Fmoc-アミノエチル)-2-メトキシ-5-ニトロフェノキシ]ブチルアミドメチル-ポリスチレン樹脂、4-ベンジルオキシベンジルアミン ポリマー結合型、4-カルボキシベンゼンスルホンアミド ポリマー結合型、ビス(tert-ブトキシカルボニル)チオプソイド尿素 ポリマー結合型、ジメチルアミノメチル-ポリスチレン、Fmoc-3-アミノ-3-(2-ニトロフェニル)プロピオン酸 ポリマー結合型、N-メチルアミノメチル化ポリスチレン、PAL樹脂、Sieberアミド樹脂、tert-ブチルN-(2-メルカプトエチル)カルバメート ポリマー結合型、トリフェニルクロロメタン-4-カルボキサミド ポリマー結合型);(3)ベンズヒドリルアミン(BHA)樹脂(例えば、2-クロロベンズヒドリルクロリド ポリマー結合型、HMPB-ベンズヒドリルアミン ポリマー結合型、4-メチルベンズヒドロール ポリマー結合型、ベンズヒドリルクロリド ポリマー結合型、ベンズヒドリルアミン ポリマー結合型);(4)Br官能化樹脂(例えば、4-(ベンジルオキシ)ベンジルブロミド ポリマー結合型、4-ブロモポリスチレン、臭素化PPOA樹脂、臭素化Wang樹脂、ブロモアセタール ポリマー結合型、ブロモポリスチレン、HypoGel(登録商標)200 Br、ペプチド合成用ポリスチレンA-Br、臭化セレン ポリマー結合型、TentaGel HL-Br、TentaGel MB-Br、TentaGel S-Br);(5)クロロメチル樹脂(例えば、5-[4-(クロロメチル)フェニル]ペンチル]スチレン ポリマー結合型、4-(ベンジルオキシ)ベンジルクロリド ポリマー結合型、4-メトキシベンズヒドリルクロリド ポリマー結合型);(6)CHO官能化樹脂(例えば、(4-ホルミル-3-メトキシフェノキシメチル)ポリスチレン、(4-ホルミル-3-メトキシフェノキシメチル)ポリスチレン、3-ベンジルオキシベンズアルデヒド ポリマー結合型、4-ベンジルオキシ-2,6-ジメトキシベンズアルデヒド ポリマー結合型、ホルミルポリスチレン、HypoGel(登録商標)200 CHO、インドール樹脂、ポリスチレンA-CH(OEt)2、TentaGel HL-CH(OEt)2);(7)Cl官能化樹脂(例えば、ベンゾイルクロリド ポリマー結合型、(クロロメチル)ポリスチレン、メリフィールド樹脂);(8)CO2H官能化樹脂(例えば、カルボキシエチルポリスチレン、HypoGel(登録商標)200COOH、ポリスチレンAM-COOH、TentaGel HL-COOH、TentaGel MB-COOH、TentaGel S-COOH);(9)ハイポゲル樹脂(例えば、HypoGel(登録商標)200FMP、HypoGel(登録商標)200PHB、HypoGel(登録商標)200 Trt-OH、HypoGel(登録商標)200HMB);(10)I官能化樹脂(例えば、4-ヨードフェノール ポリマー結合型、ヨードポリスチレン);Janda-Jels(商標)(JandaJel(商標)Rinkアミド、JandaJel-NH2、JandaJel-Cl、JandaJel-4-メルカプトフェノール、JandaJel-OH、JandaJel-1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド、JandaJel-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-2H-ピリミド-[1,2-a]ピリミジン、JandaJel-モルホリン、JandaJel-ポリピリジン、JandaJel-トリフェニルホスフィン、JandaJel-Wang);(11)MBHA樹脂((3[4’-(ヒドロキシメチル)フェノキシ]プロピオン酸-4-メチルベンズヒドリルアミン樹脂、4-(ヒドロキシメチル)フェノキシ酢酸 MBHA樹脂ポリマー結合型、HMBA-4-メチルベンズヒドリルアミン ポリマー結合型、4-メチルベンズヒドリルアミンハイドロクロリド ポリマー結合型Capacity(アミン));
(12)NH2官能化樹脂((アミノメチル)ポリスチレン、(アミノメチル)ポリスチレン、HypoGel(登録商標)200NH2、ポリスチレンAM-NH2、ポリスチレンミクロスフェア2-アミノエチル化、ポリスチロールミクロスフェア2-ブロモエチル化、ポリスチロールミクロスフェア2-ヒドロキシエチル化、TentaGel HL-NH2、Tentagel M Br、Tentagel M NH2、Tentagel M OH、TentaGel MB-NH2、entaGel S-NH2、TentaGel S-NH2);(13)OH官能化樹脂(例えば、4-ヒドロキシメチル安息香酸 ポリマー結合型、ヒドロキシメチル樹脂、OH-官能化Wang Resins);(14)オキシム樹脂(例えば、4-クロロベンゾフェノンオキシム ポリマー結合型、ベンゾフェノンオキシム ポリマー結合型、4-メトキシベンゾフェノンオキシム ポリマー結合型);(15)PEG樹脂(例えば、エチレングリコール ポリマー結合型);(16)Boc-/Blzペプチド合成樹脂(例えば、Boc-Lys(Boc)-Lys[Boc-Lys(Boc)]-Cys(Acm)-b-Ala-O-PAM 樹脂、Boc-Lys(Fmoc)-Lys[Boc-Lys(Fmoc)]-b-Ala-O-Pam樹脂、Boc-Lys(Boc)-Lys[Boc-Lys(Boc)]-Lys{Boc-Lys(Boc)-Lys[Boc-Lys(Boc)]}-b-Ala-O-PAM樹脂、Boc-Lys(Fmoc)-Lys[Boc-Lys(Fmoc)]-Lys[Boc-Lys(Fmoc)-Lys{Boc-Lys(Fmoc)]}-b-Ala-O-PAM樹脂、Boc-Lys(Boc)-Lys[Boc-Lys(Boc)]-Lys{Boc-Lys(Boc)-Lys[Boc-Lys(Boc)]}-Cys(Acm)-b-Ala-O-PAM樹脂、Preloaded PAM樹脂);(17)Fmoc-/t-Buペプチド合成樹脂(例えば、Fmoc-Lys(Fmoc)-Lys[Fmoc-Lys(Fmoc)]-b-Ala-O-Wang樹脂、Fmoc-Lys(Fmoc)-Lys[Fmoc-Lys(Fmoc)]-Lys{Fmoc-Lys(Fmoc)-Lys[Fmoc-Lys(Fmoc)]}-b-Ala-O-Wang樹脂、Preloaded TentaGel(登録商標)S Trityl樹脂、Preloaded TentaGel(登録商標)樹脂、Preloaded Trityl樹脂、Preloaded Wang樹脂、アミノアルコールPreloaded Trityl樹脂);(19)チオール官能化樹脂(例えば、HypoGel(登録商標)200 S-Trt、ポリスチレン AM-S-Trityl、TentaGel HL-S-Trityl、TentaGel MB-S-Trityl、TentaGel S-S-Trityl);並びに(20)Wang樹脂(例えば、Fmoc-Ala-Wang樹脂、Fmoc-Arg(Pbf)-Wang樹脂、Fmoc-Arg(Pmc)-Wang樹脂、Fmoc-Asn(Trt)-Wang樹脂、Fmoc-Asp(OtBu)-Wang樹脂、Fmoc-Cys(Acm)-Wang樹脂、Fmoc-Cys(StBu)-Wang樹脂、Fmoc-Cys(Trt)Wang樹脂、Fmoc-Gln(Trt)-Wang樹脂、Fmoc-Glu(OtBu)-Wang樹脂、Fmoc-Gly-Wang樹脂、Fmoc-His(Trt)-Wang樹脂、Fmoc-Ile-Wang樹脂、Fmoc-Leu-Wang樹脂、Fmoc-Lys(Boc)-Wang樹脂、Fmoc-Met-Wang樹脂、Fmoc-D-Met-Wang樹脂、Fmoc-Phe-Wang樹脂、Fmoc-Pro-Wang樹脂、Fmoc-Ser(tBu)-Wang樹脂、Fmoc-Ser(Trt)-Wang樹脂、Fmoc-Thr(tBu)-Wang樹脂、Fmoc-Trp(Boc)Wang樹脂、Fmoc-Trp-Wang樹脂、Fmoc-Tyr(tBu)-Wang樹脂、Fmoc-Val-Wang樹脂)。
【0086】
「保護基」(PG)は、分子中の反応性基に結合すると、その反応性をマスク、低減又は防止する原子のグループ分けを指す。
【0087】
適切なアミノ保護基としては、以下が挙げられる、メチルカルバメート、エチルカルバメート、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、9-(2-スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9-(2,7-ジブロモ)フルオレニルメチルカルバメート、2,7-ジ-t-ブチル-[9-(10,10-ジオキソ-10,10,10,10テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート(DBD-Tmoc)、4-メトキシフェナシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2-トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2-トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2-フェニルエチルカルバメート(hZ)、1-(1-アダマンチル)-1-メチルエチルカルバメート(Adpoc)、1,1-ジメチル-2-ハロエチルカルバメート、1,1-ジメチル-2,2-ジブロモエチルカルバメート(DB-t-BOC)、1,1-ジメチル-2,2,2-トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、1-メチル-1-(4-ビフェニリルイル)エチルカルバメート(Bpoc)、1-(3,5-ジ-t-ブチルフェニル)-1-メチルエチルカルバメート(t-Bumeoc)、2-(2’-及び4’-ピリジル)エチルカルバメート(Pyoc)、2-(N,N-ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチルカルバメート、t-ブチルカルバメート(BOC)、1-アダマンチルカルバメート(Adoc)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、1-イソプロピルアリルカルバメート(Ipaoc)、シンナミルカルバメート(Coc)、4-ニトロシンナミルカルバメート(Noc)、8-キノリルカルバメート、N-ヒドロキシピペリジニルカルバメート、アルキルジチオカルバメート、ベンジルカルバメート(Cbz)、p-メトキシベンジルカルバメート(Moz)、p-ニトベンジルカルバメート(nitobenzyl)、p-ブロモベンジルカルバメート、p-クロロベンジルカルバメート、2,4-ジクロロベンジルカルバメート、4-メチルスルフィニルベンジルカルバメート(Msz)、9-アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、2-メチルチオエチルカルバメート、2-メチルスルホニルエチルカルバメート、2-(p-トルエンスルホニル)エチルカルバメート、[2-(1,3-ジチアニル)]メチルカルバメート(Dmoc)、4-メチルチオフェニルカルバメート(Mtpc)、2,4-ジメチルチオフェニルカルバメート(Bmpc)、2-ホスホニオエチルカルバメート(Peoc)、2-トリフェニルホスホニオイソプロピルカルバメート(Ppoc)、1,1-ジメチル-2-シアノエチルカルバメート、m-クロロ-p-アシルオキシベンジルカルバメート、p-(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバメート、5-ベンズイソオキサゾリルメチルカルバメート、2-(トリフルオロメチル)-6-クロモニルメチルカルバメート(Tcroc)、m-ニトロフェニルカルバメート、3,5-ジメトキシベンジルカルバメート、o-ニトロベンジルカルバメート、3,4-ジメトキシ-6-ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o-ニトロフェニル)メチルカルバメート、フェノチアジニル-(10)-カルボニル誘導体、N’-p-トルエンスルホニルアミノカルボニル誘導体、N’-フェニルアミノチオカルボニル誘導体、t-アミルカルバメート、S-ベンジルチオカルバメート、p-シアノベンジルカルバメート、シクロブチルカルバメート、シクロヘキシルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、p-デシルオキシベンジルカルバメート、2,2-ジメトキシカルボニルビニルカルバメート、o-(N,N-ジメチルカルボキサミド)ベンジルカルバメート、1,1-ジメチル-3-(N,N-ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバメート、1,1-ジメチルプロピニルカルバメート、ジ(2-ピリジル)メチルカルバメート、2-フラニルメチルカルバメート、2-ヨードエチルカルバメート、イソボルニルカルバメート、イソブチルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、p-(p’-メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、1-メチルシクロブチルカルバメート、1-メチルシクロヘキシルカルバメート、1-メチル-1-シクロプロピルメチルカルバメート、1-メチル-1-(3,5-ジメトキシフェニル)エチルカルバメート、1-メチル-1-(p-フェニルアゾフェニル)エチルカルバメート、1-メチル-1-フェニルエチルカルバメート、1-メチル-1-(4-ピリジル)エチルカルバメート、フェニルカルバメート、p-(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6トリ-t-ブチルフェニルカルバメート、4-(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバメート、2,4,6トリメチルベンジルカルバメート、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3-フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3-ピリジルカルボキサミド、N-ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p-フェニルベンズアミド、o-ニトロフェニルアセトアミド、o-ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(N’-ジチオベンジルオキシカルボニルアミノ)アセトアミド、3-(p-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3-(o-ニトロフェニル)プロパンアミド、2-メチル-2-(o-ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2-メチル-2-(o-フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4-クロロブタンアミド、3-メチル-3-ニトロブタンアミド、o-ニトロシンナミド、N-アセチルメチオニン誘導体、o-ニトロベンズアミド、o-(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミド、4,5-ジフェニル-3-オキサゾリン-2-オン、N-フタルイミド、N-ジチアスクシンイミド(Dts)、N-2,3-ジフェニルマレイミド、N-2,5-ジメチルピロール、N-1,1,4,4-テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加物(STABASE)、5-置換1,3-ジメチル-1,3,5-トリアザシクロヘキサン-2-オン、5-置換1,3-ジベンジル-1,3,5-トリアザシクロヘキサン-2-オン、1-置換3,5-ジニトロ-4-ピリドン、N-メチルアミン、N-アリルアミン、N-[2-トリメチルシリル]エトキシ]メチルアミン(SEM)、N-3-アセトキシプロピルアミン、N-(1-イソプロピル-4-ニトロ-2-オキソ-3-ピロリン-3-イル)アミン、第四級アンモニウム塩、N-ベンジルアミン、N-ジ(4-メトキシフェニル)メチルアミン、N-5-ジベンゾスベリルアミン、Nトリフェニルメチルアミン(Tr)、N-[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N-9-フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N-2,7-ジクロロ-9-フルオレニルメチレンアミン、N-フェロセニルメチルアミノ(Fcm)、N-2-ピコリルアミノN’-オキシド、N-1,1-ジメチルチオメチレンアミン、N-ベンジリデンアミン、N-p-メトキシベンジリデンアミン、N-ジフェニルメチレンアミン、N-[(2-ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N-(N’,N’-ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N’-イソプロピリデンジアミン、N-p-ニトロベンジリデンアミン、N-サリチリデンアミン、N-5-クロロサリチリデンアミン、N-(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N-シクロヘキシリデンアミン、N-(5,5-ジメチル-3-オキソ-1-シクロヘキセニル)アミン、N-ボラン誘導体、N-ジフェニルボリン酸誘導体、N-[フェニル(ペンタカルボニルクロム-又はタングステン)カルボニル]アミン、N-銅キレート、N-亜鉛キレート、N-ニトロアミン、N-ニトロソアミン、アミンN-オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホルアミデート、ジベンジルホスホルアミデート、ジフェニルホスホルアミデート、ベンゼンスルフェンアミド、o-ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4-ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2-ニトロ-4-メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、3-ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)、p-トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6,-トリメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6-トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6-ジメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6-テトラメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6-ジメトキシ-4-メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β-トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9-アントラセンスルホンアミド、4-(4’,8’-ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド、及びフェナシルスルホンアミド。
【0088】
適切に保護されたカルボン酸の例には、限定するものではないが、シリル-、アルキル-、アルケニル-、アリール-及びアリールアルキル-保護カルボン酸がさらに含まれる。適切なシリル基の例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリルなどが挙げられる。適切なアルキル基の例としては、メチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、トリチル、t-ブチル、テトラヒドロピラン-2-イルが挙げられる。適切なアルケニル基の例としては、アリルが挙げられる。適切なアリール基の例としては、置換されていてもよいフェニル、ビフェニル又はナフチルが挙げられる。適切なアリールアルキル基の例としては、置換されていてもよいベンジル(例えば、p-メトキシベンジル(MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、O-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル)、並びに2-及び4-ピコリルが挙げられる。
【0089】
第2の態様では、本発明は、医薬組成物又は化粧品組成物を提供する。
【0090】
本明細書で使用される「治療有効量」という表現は、投与されると、血流を通り、対処される疾患の症状の1又は複数の発症を予防するか、又はある程度緩和するのに十分な化合物の量を指す。本発明に従って投与されるペプチドの特定の用量は、当然のことながら、投与される化合物、投与経路、治療される特定の状態、及び同様の考慮事項を含む、症例を取り巻く特定の状況によって決定される。本発明の第2の態様の一実施形態では、医薬組成物は非経口組成物である。別の実施形態では、医薬組成物は経口投与用である。
「化粧品有効量」という表現は、本発明の文脈において、適用されたとき(例えば局所的に)、血流に著しく到達することなく、又は到達することなく、皮膚組織内に(例えば皮下レベルで)保持され、したがって皮膚構造内で局所効果を発揮する化合物の量を指す。本発明に従って投与されるペプチドの特定の用量は、当然のことながら、その症例を取り巻く特定の状況によって決定される。本発明の一実施形態では、本発明のペプチドの「化粧品有効量」は、非経口経路、特に静脈内経路によって投与された場合に治療効果を達成するのに必要な量よりも高い、等しい、又は低い。
【0091】
「薬学的に許容される」という用語は、医薬用途で組成物を調製するための製薬技術における使用に適した賦形剤又は担体を指す。
【0092】
本明細書で互換的に使用される「化粧品として許容される」という用語は、とりわけ、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応なしにヒト皮膚と接触して使用するのに適した賦形剤又は担体を指す。
【0093】
「賦形剤及び/又は担体」という表現は、許容される材料、組成物又はビヒクルを指す。各成分は、組成物の他の成分と適合性があるという意味で薬学的に、又は化粧品的に許容されなければならない。また、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性若しくは他の問題、又は合理的な利益/リスク比に見合った合併症なしに、ヒト及び非ヒト動物の組織又は臓器と接触して使用するのに適している必要がある。適切な許容される賦形剤の例は、溶媒、分散媒、希釈剤又は他の液体ビヒクル、分散助剤又は懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤又は乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑沢剤などである。望ましくない生物学的効果を生じるか、さもなければ医薬組成物又は化粧品組成物の任意の他の(1又は複数の)成分と有害な様式で相互作用するなどして、従来の賦形剤媒体が物質又はその誘導体と不適合である場合を除き、その使用は、本発明の範囲内であることが企図される。
【0094】
本明細書に記載の医薬組成物及び化粧品組成物の製剤は、薬理学及び化粧品の分野で公知の又は今後開発される任意の方法によって調製することができる。一般に、そのような調製方法は、活性成分(ペプチド)を賦形剤及び/又は1若しくは複数の他の補助成分と組合わせ、次いで、必要及び/又は望ましい場合、製品を所望の単回又は複数回投与単位に成形及び/又は包装する工程を含む。
【0095】
本発明の医薬組成物は、バルク固体で、単一単位用量として、及び/又は複数の単一単位用量として調製、包装、及び/又は販売され得る。本明細書で使用される場合、「単位用量」は、所定量の活性成分を含む医薬組成物の離散量である。
【0096】
本発明の医薬組成物中の活性成分(すなわち、先行する態様及び実施形態において定義されるペプチド)、薬学的に許容される賦形剤、及び/又は任意の追加成分の相対量は、治療される対象の個性、サイズ、及び/又は状態に応じて、さらに組成物が投与される経路に応じて変化するものである。
【0097】
これらの組成物の製造に使用される許容される賦形剤としては、限定するものではないが、不活性希釈剤、分散剤及び/又は造粒剤、界面活性剤及び/又は乳化剤、崩壊剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤、滑沢剤及び/又は油が挙げられる。そのような賦形剤は、任意選択で本発明の製剤に含むことができる。調合者の判断に従って、カカオバター及び座薬用ワックス、着色剤、コーティング剤、甘味料、香味料及び芳香剤などの賦形剤が組成物に存在してもよい。
【0098】
例示的な希釈剤としては、限定するものではないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウムラクトース、スクロース、セルロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉砂糖及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0099】
例示的な造粒剤及び/又は分散剤としては、限定するものではないが、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、柑橘類パルプ、寒天、ベントナイト、セルロース及び木製品、天然スポンジ、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン)(クロスポビドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、アルファ化デンプン(デンプン1500)、微結晶デンプン、水不溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)、ラウリル硫酸ナトリウム、第4級アンモニウム化合物及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0100】
例示的な界面活性剤及び/又は乳化剤としては、限定するものではないが、天然乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス及びレシチン)、コロイド状粘土(例えば、ベントナイト[ケイ酸アルミニウム]及びVeegum[ケイ酸アルミニウムマグネシウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、トリアセチンモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、グリセリルモノステアレート及びプロピレングリコールモノステアレート、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、及びカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル{例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[Tween20]、ポリオキシエチレンソルビタン[Tween60]、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート[Tween80]、ソルビタンモノパルミテート[Span40]、ソルビタンモノステアレート[Span60]、ソルビタントリステアレート[Span65]、グリセリルモノオレエート、ソルビタンモノオレエート[Span80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンモノステアレート[Myrj45]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアレート、及びSolutol)、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、Cremophor)、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[Brij30])、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、トリエタノールアミン、ナトリウムオレート、カリウムオレート、エチルオレート、オレイン酸、エチルラウレート、ラウリル硫酸ナトリウム、Pluronic F68、ポロキサマー188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドキュセートナトリウムなど、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0101】
例示的な結合剤としては、限定するものではないが、デンプン(例えば、コーンスターチ及びデンプンペースト);ゼラチン;糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、乳糖、ラクチトール、マンニトール);天然及び合成のゴム(アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモスの抽出物、パンワールゴム(panwar gum)、ガッティゴム、イサポール殻の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)及びカラマツアラボガラクタン(larch arabogalactan));アルギン酸塩;ポリエチレンオキシド;ポリエチレングリコール;無機カルシウム塩;ケイ酸;ポリメタクリレート;ワックス;水;アルコール;及びその組み合わせが挙げられる。
【0102】
例示的な防腐剤としては、抗酸化剤、キレート剤、抗菌防腐剤、抗真菌防腐剤、アルコール防腐剤、酸性防腐剤及び他の防腐剤を挙げることができる。抗酸化剤の例としては、限定するものではないが、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムが挙げられる。例示的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸及びエデト酸三ナトリウムが挙げられる。例示的な抗菌防腐剤としては、限定するものではないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、及びチメロサールが挙げられる。例示的な抗真菌防腐剤としては、限定するものではないが、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム及びソルビン酸が挙げられる。例示的なアルコール防腐剤としては、限定するものではないが、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシ安息香酸、及びフェニルエチルアルコールが挙げられる。例示的な酸性防腐剤としては、限定するものではないが、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸及びフィチン酸が挙げられる。他の防腐剤としては、限定するものではないが、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロキシムメシレート(deteroxime mesylate)、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、Glydant Plus、Phenonip、メチルパラベン、Germall115、Germaben II、Neolone、Kathon及びEuxylが挙げられる。特定の実施形態では、防腐剤は抗酸化剤である。特定の実施形態では、防腐剤はキレート剤である。
【0103】
例示的な緩衝剤としては、限定するものではないが、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D-グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リンゲル溶液、エチルアルコール及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0104】
例示的な滑沢剤としては、限定するものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、ベヘン酸グリセリル、硬化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0105】
例示的な油としては、限定するものではないが、アーモンド、アプリコット穀粒、アボガド、ババス、ベルガモット、ブラックカレント(black current)種子、ルリジサ、カデ、カモミール、キャノーラ、キャラウェイ、カルナウバ、ヒマシ、シナモン、ココアバター、ココナッツ、タラの肝臓、コーヒー、コーン、綿実種、エミュー、ユーカリ、月見草、魚、亜麻仁、ゲラニオール、ひょうたん、ブドウ種子、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイナッツ、ラバンジン、ラベンダー、レモン、アオモジ、マカデミアナッツ、アオイ、マンゴー種子、メドウフォーム種子、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、パーム、パーム核、桃仁、ピーナッツ、ケシ種子、カボチャ種子、ナタネ、米ぬか、ローズマリー、ベニバナ、ビャクダン、サスカナ(sasquana)、セイボリ、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、ダイズ、ヒマワリ、ティーツリー、アザミ、ツバキ、ベチバー、クルミ及び小麦胚芽油が挙げられる。例示的な油としては、限定するものではないが、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0106】
非経口投与用の液体剤形としては、限定するものではないが、薬学的に許容されるリポソームエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物を含み得る。非経口投与のための特定の実施形態では、本発明のコンジュゲートは、ポリエトキシル化ヒマシ油(例えば、CREMOPHOR(商標))、アルコール、油、改質油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、及びそれらの組み合わせなどの可溶化剤と混合される。
【0107】
注射用調製物、例えば、滅菌注射用水性又は油性懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して公知の技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液又はエマルジョン、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であり得る。使用され得る許容され得るビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル液、U.S.P.及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油は、溶媒又は懸濁媒体として従来から使用されている。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射剤の調製に使用される。あるいは、調製物はリポソームの形態であり得る。
【0108】
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターによる濾過によって、又は使用前に滅菌水若しくは他の滅菌注射用媒体に溶解又は分散させることができる滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
【0109】
薬物の効果を延長するために、多くの場合皮下注射又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、難水溶性の結晶性又は非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成され得る。薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、溶解速度は結晶サイズ及び結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与された薬物形態の遅延吸収は、薬物を油性ビヒクルに溶解又は懸濁することによって達成される。
【0110】
本発明のペプチドは、上記のように1又は複数の賦形剤と共にマイクロカプセル化された形態であってもよい。一実施形態では、本発明のペプチドはリポソームに製剤化される。
【0111】
本発明のペプチド及び医薬組成物は、併用療法で使用できることが理解されよう。併用レジメンで使用する治療法(治療薬又は手順)の特定の組み合わせは、所望の治療薬及び/又は手順の適合性及び達成される所望の治療効果を考慮に入れることになる。使用される治療法は、同じ目的で所望の効果を達成することができ(例えば、腫瘍を検出するのに有用な本発明のコンジュゲートを、腫瘍を検出するのに有用な別の薬剤と同時に投与することができる)、又は異なる効果を達成することができる(例えば、任意の有害作用の制御)ことが理解されよう。
【0112】
本発明の医薬組成物は、単独で、又は1又は複数の他の治療剤と組み合わせて投与することができる。「~と組み合わせて」とは、これらの送達方法は本発明の範囲内であるが、薬剤を同時に投与しなければならないこと、及び/又は一緒に送達するために製剤化しなければならないことを意図するものではない。組成物は、1又は複数の他の所望の治療薬又は医療処置と同時に、その前に、又はその後に投与することができる。一般に、各薬剤は、その薬剤について決定された用量及び/又はタイムスケジュールで投与される。さらに、本発明は、それらの生物学的利用能を改善し、それらの代謝を減少及び/若しくは改変し、それらの排泄を阻害し、及び/又は体内でのそれらの分布を改変し得る薬剤と組み合わせたペプチド又は医薬組成物の送達を包含する。
【0113】
併用レジメンで使用する治療法の特定の組み合わせは、所望の治療薬及び/又は手順の適合性、及び/又は達成される所望の治療効果を考慮に入れることになる。使用される治療法は、同じ障害に対する所望の効果を達成することができ(例えば、本発明のペプチドを別の生理活性物質と同時に投与して、同じ障害を治療することができる)、及び/又は異なる効果を達成することができる(例えば、任意の有害作用の制御)ことが理解されよう。この組み合わせで利用される生理活性物質は、単一の組成物で一緒に投与されてもよく、又は異なる組成物で別々に投与されてもよいことがさらに理解されよう。
【0114】
「~と組み合わせて」という表現はまた、本発明のペプチドと、とりわけ、治療薬又はペプチドのプロファイル(生物学的利用能など)を改善するための薬剤のいずれかであり得る上記及び下記のさらなる薬剤のいずれかとを、(化学的-物理的相互作用によって)コンジュゲートする可能性を包含する。
【0115】
一実施形態では、本発明のペプチドは、1又は複数の抗がん剤と組み合わせて投与される。抗がん剤は、例えば、メトトレキサート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、クロロエチルニトロソウレアを含有する非糖、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダカルバジン、タキソール、フラジリン、メグラミンGLA、バルルビシン、カルムタイン及びポリフェルポサン、MMI270、BAY12-9566、RASファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、MMP、MTA/LY231514、LY264618/ロメテキソール、グラモレック、CI-994、TNP-470、ヒカンチン/トポテカン、PKC412、バルスポダール/PSC833、ノバントロン/ミトロキサントロン(Mitroxantrone)、メタレット(Metaret)/スラミン、バチマスタット、E7070、BCH-4556、CS-682、9-AC、AG3340、AG3433、インセル(Incel)/VX-710、VX-853、ZD0101、ISI641、ODN698、TA2516/マルミスタット(Marmistat)、BB2516/マルミスタット(Marmistat)、CDP845、D2163、PD183805、DX895 if、レモナール(Lemonal)DP2202、FK 317、ピシバニール/OK-432、AD32/バルルビシン(Valrubicin)、メタストロン/ストロンチウム誘導体、テモダール(Temodal)/テモゾロマイド(Temozolomide)、エバセット(Evacet)/リポソームドキソルビシン、イエウタキサン(Yewtaxan)/パクリタキセル、タキソール/パクリタキセル、ゼロード(Xeload)/カペシタビン、フルツロン/ドキシフルリジン、シクロパックス(Cyclopax)/経口パクリタキセル、経口タキソイド、SPU-077/シスプラチン、HMR1275/フラボピリドール、CP-358(774)/EGFR、CP-609(754)/RASがん遺伝子阻害剤、BMS-182751/経口白金、UFT(テガフール/ウラシル)、エルガミソール/レバミソール、エニルウラシル/776C85/5FUエンハンサー、カンプト/レバミソール、カンプトサ/イリノテカン、ツモデックス(Tumodex)/ラリトレキセド(Ralitrexed)、ロイスタチン/クラドリビン、パクセクス(Paxex)/パクリタキセル、ドキシル/リポソームドキソルビシン、カエチクス(Caelyx)/リポソームドキソルビシン、フルダラ/フルダラビン、ファルマルビシン(Pharmarubicin)/エピルビシン、デポサイト、ZD1839、LU79553/ビス-ナフタルイミド、LU103793/ドラスタチン、カエチクス(Caetyx)/リポソームドキソルビシン、ジェムザール/ゲムシタビン、ZD0473/Anormed、YM116、ヨウ素シード、CDK4及びCDK2阻害剤、PARP阻害剤、D4809/デキシホサミド(Dexifosamide)、イフェス(Ifes)/メスネックス(Mesnex)/イフォスアミド、ブモン(Vumon)/テニポシド、パラプラチン/カルボプラチン、プランチノール(Plantinol)/シスプラチン、ベプシド(Vepeside)/エトポシド、ZD9331、タキソテール/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、タキサン類似体、ニトロソ尿素、メルフェラン及びシクロホスファミドなどのアルキル化剤、アミノグルテチミド、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロロムブシル、シタラビンHCl、ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エトポシド(VP16-213)、フロクスウリジン、フルオロウラシル(5-FU)、フルタミド、ヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)、イホスファミド、インターフェロンアルファ-2a、アルファ-2b、酢酸ロイプロリド(LHRH放出因子アナログ)、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミンHCl(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ、ミトタン(o.p-DDD)、ミトキサントロンHCl、オクトレオチド、プリカマイシン、プロカルバジンHCl、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アムサクリン(m-AMSA)、アザシチジン、エリスロポエチン、ヘキサメチルメラミン(HMM)、インターロイキン2、ミトグアゾン(メチル-GAG;メチルグリオキサールビス-グアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’-デオキシコホルマイシン)、セムスチン(メチル-CCNU)、テニポシド(VM-26)又は硫酸ビンデシン、シグナル伝達阻害剤(MEK、BRAF、AKT、her2、mTOR、及びPI3K阻害剤など)である。
【0116】
以下に例示されるように、本発明の第1の態様のペプチドは、悪性メラノサイトの増殖を低下させることによるメラノーマ、特に転移性メラノーマの治療的処置において有用である。一実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又は医薬組成物が治療目的で使用される場合、それは経口投与又は非経口投与される。
【0117】
本発明はまた、メラニン形成の調節、特に、メラニンの産生を低下又は増加させるための、ペプチド又はその化粧品的塩の非治療的使用も提供する。ペプチド及び化粧品組成物に関して上記に提供される全ての実施形態もまた、この態様の実施形態である。一実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチドは、色素沈着過剰(メラニンの量を減少させることによる)又は色素沈着低下(メラニンの量を増加させることによる)の処置に使用するためのものである。非治療的使用の別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、皮膚又は毛髪、特に皮膚のメラニン形成が調節される。別の実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、対象は皮膚がんに罹患していない。一実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又は化粧品組成物が非治療的/美容目的で使用される場合、それは局所投与される。
【0118】
本発明はまた、色素沈着過剰又は色素沈着低下を処置するための美容方法であって、本発明の第1の態様で定義されるペプチド若しくはその化粧品的塩、又は本発明の第2の態様で定義される化粧品組成物を適用することを含む美容方法を提供する。この美容方法は、治療方法を包含しない。ペプチド及び化粧品組成物に関して上記に提供される全ての実施形態もまた、この態様の実施形態である。美容方法の一実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又は化粧品組成物は皮膚及び/又は毛髪に適用される。美容方法の一実施形態では、任意選択で上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、ペプチド又は化粧品組成物は皮膚に適用される。
【0119】
本発明はまた、上記に提供される実施形態のいずれかで定義されるペプチド又はその塩を含む、局所用化粧品色素形成組成物又は医薬色素形成組成物などの色素形成組成物を提供する。
【0120】
本発明はまた、上記に提供される実施形態のいずれかで定義されるペプチド又はその塩を含む、局所用化粧品脱色素組成物又は医薬脱色素組成物などの脱色素組成物を提供する。
【0121】
明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む」という単語及びその単語の変形は、他の技術的特徴、添加物、成分又は工程を除外することを意図するものではない。さらに、「含む」という単語は、「からなる」という場合も包含する。本発明の追加の目的、利点及び特徴は、説明を検討することにより当業者に明らかになるか、又は本発明の実施により習得することができる。以下の実施例は例示のために提供されるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。さらに、本発明は、本明細書に記載された特定の好ましい実施形態のすべての可能な組み合わせを網羅する。
【実施例】
【0122】
1.材料及び方法:
【0123】
合成の一般手順
【0124】
化合物IDP-F
【0125】
材料は以下のように購入した:Fmoc保護α-アミノ酸(---);Rinkamide MBHA樹脂(Tianjin Nankai HECHENG S&T Co.,Ltd);HBTU((2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、GL Biochem);N-メチルモルホリン(Sinopharm Chemical Reagent Co.,Ltd.);無水コハク酸(Aladdin);アセトニトリル(Xingke Chemical);ニンヒドリン(Sinopharm Chemical Reagent Co.,Ltd.);ピペリジン(Vertellus);ジメチルホルムアミド、DMF(Zhejiang jiangshan chemical co.,Ltd);トリフルオロ酢酸、TFA(トリフルオロ酢酸、Solvay)、TIS(チオアニソール、Solvay)
【0126】
簡潔には、支持体としてのRink amide MBHA樹脂上においてFmocベースのSPPS(固相ペプチド合成)を使用して、線状ポリペプチドを手動で合成した。
【0127】
以下のプロトコルを使用した:
1.DMF中20%ピペリジンを用いてFmoc保護基を除去した。
2.樹脂をDMFで5回洗浄した。
3.その後のFmoc保護アミノ酸を、Fmoc-AA(3当量)、HBTU(3当量)、及びN-メチルモルホリン(6当量)を使用して45分間カップリングさせた。
4.樹脂をDMFで5回洗浄した。カップリングはニンヒドリン試験によって確認した。
5.工程1から繰り返す。
6.N末端を、無水コハク酸(10当量)及びN-メチルモルホリン(10当量)と反応させることによってキャップした。
【0128】
ペプチドを樹脂から切断し、溶液F(95%TFA、2.5%水、2.5%TIS)への曝露によって脱保護し、凍結乾燥させた。
【0129】
凍結乾燥ペプチドを、C18カラムを使用して逆相HPLCによって精製した(詳細については化合物の特性評価を参照されたい)。ペプチドをLC-MS-ESIによって同定した。全ての化合物の全ての質量スペクトルデータを以下の表1に示す。
【0130】
材料は以下のように購入した:Fmoc保護α-アミノ酸(オレフィンアミノ酸、Fmoc-[(S)-2-(4ペンテニル)アラニン]OH、Fmoc-[(R)-2-(4ペンテニル)アラニン]OH、Fmoc-[(S)-2-(7オクテニル)アラニン]OH、Fmoc-[(R)-2-(4ペンテニル)アラニン]OH以外を含むもの、2-(6-クロロ-1-H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート(TBTU)、樹脂、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、トリフルオロ酢酸(TFA)、1,2-ジクロロエタン(DCE)、Grubbs Ru(IV)触媒及びピペリジンを含む)を異なる供給業者から購入した。
【0131】
簡潔には、Fmoc固相ペプチド化学を使用して自動合成機を用いて線状ポリペプチドを合成した。前のセクションで開示したように、反応容器から樹脂を除去した後、オレフィンアミノ酸とのカップリングのみを手動で行った。
【0132】
Scott J.M.らによって開示されているように、樹脂から線状ペプチドを切断した後、第1世代Grubbs触媒を用いて溶液中で閉環メタセシス反応を行った(Scott J.M.et al.,“Application of Ring-Closing Metathesis to the Synthesis of Rigidified Amino Acids and Peptides”,1996,J.Am.Chem.Soc.,1996,118(40),pp 9606-9614)。
【0133】
脱保護ペプチドを、4℃でメチル-tert-ブチルエーテルにより沈殿させ、凍結乾燥した。
【0134】
凍結乾燥ペプチドを、C18カラムを使用して逆相HPLCによって精製した(詳細については化合物の特性評価を参照されたい)。ペプチドをLC-MS-ESIによって同定した。全ての化合物の全ての質量スペクトルデータを以下の表1に示す。
【0135】
HPLC条件:
【0136】
IDP-F05;化合物を、HPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0.1% TFAを含むH2O;ポンプB 0.1% TFAを含むアセトニトリル)によって、20分でBが30%~40%の直線勾配(R.T.=10.2)を使用して精製した。HPLCによる純度グレード95.06%;
【0137】
IDP-F13;化合物を、HPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0.1% TFAを含むH2O;ポンプB 0.1% TFAを含むアセトニトリル)によって、20分でBが32%~42%の直線勾配(R.T.=14.26)を使用して精製した。HPLCによる純度グレード97.5%;
【0138】
IDP-F16;化合物を、HPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0.1% TFAを含むH2O;ポンプB 0.1% TFAを含むアセトニトリル)によって、20分でBが35%~45%の直線勾配(R.T.=7.30)を使用して精製した。HPLCによる純度グレード95.7%;
【0139】
IDP-F18;化合物を、HPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0.1% TFAを含むH2O;ポンプB 0.1% TFAを含むアセトニトリル)によって、20分でBが51%~61%の直線勾配(R.T.=10.97~11.97)を使用して精製した。HPLCによる純度グレード95.6%;
【0140】
IDP-F22;化合物を、HPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0.1% TFAを含むH2O;ポンプB 0.1% TFAを含むアセトニトリル)によって、20分でBが53%~63%の直線勾配(R.T.=10.1~11.36)を使用して精製した。HPLCによる純度グレード97.06%;
【0141】
IDP-F29;化合物を、HPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0.1% TFAを含むH2O;ポンプB 0.1% TFAを含むアセトニトリル)によって、20分でBが30%~40%の直線勾配(R.T.=8.91)を使用して精製した。HPLCによる純度グレード≦50%;
【0142】
IDP-F31;化合物を、HPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0.1% TFAを含むH2O;ポンプB 0.1% TFAを含むアセトニトリル)によって、20分でBが38%~48%の直線勾配(R.T.=10,65)を使用して精製した。HPLCによる純度グレード95.49%;
【0143】
【0144】
Xビラジカルは、式:
【化8】
の化合物を表し
-(CH
2)
3-CH=CH-(CH
2)
3-又は-(CH
2)
6-CH=CH-(CH
2)
3-に対応するLビラジカルが、各配列中の両方のX基を連結する。
【0145】
細胞株:
【0146】
SK-MEL-28、皮膚、ヒト悪性メラノーマ、ATCC-HTB-72(商標)。
IGR-37、皮膚、転移部位に由来するヒトメラノーマ:鼠径リンパ節。
IGR-39、皮膚、転移部位に由来するヒトメラノーマ:鼠径リンパ節。
B16-F10、皮膚、マウスメラノーマ、ATCC-CRL-6475(商標)。
501-MEL、皮膚、ヒト悪性メラノーマ。
【0147】
細胞培養
【0148】
細胞株SK-MEL-28、IGR-37、IGR-39、B16-F10、501-MEL及びA-375を、10% 不活化ウシ胎児血清(FBS、Dutscher、France)、ペニシリン(50 U/ml)及び硫酸ストレプトマイシン(50 mg/ml)(Gibco BRL、Germany)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(Invitrogen Life Technologies、Foster City、CA)中で、37℃のインキュベーター内で培養した。増幅工程及びアッセイの間、接着細胞をDPBS(ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水、Sigma D1283)で3回すすぎ、その後、37℃のDPBS溶液中のトリプシン([0.5 g/ml]/EDTA[0.2 g/ml])(Gibco-BRL、15400054)で5分間処理し、剥離したら培養培地に移した。細胞を、Tripan-Blueで標識した後、Neubauerチャンバーで計数した。各アッセイは、生存率が90%を超えた場合にのみ行った。
【0149】
生存アッセイ
【0150】
細胞株SK-MEL-28、IGR-37、B16-F10、501-MEL及びA-375を、96ウェルプレートに1,000細胞/ウェルの密度で播種した。24時間後、試験する化合物を添加して、段階希釈による10μMの濃度での有効性を計算した。対照は未処理細胞である。各実験は3連で行った。
【0151】
細胞を37℃のCO2雰囲気下のインキュベーター中で72時間インキュベートした。細胞生存率を比色MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイによって測定した。MTTをさらに4時間インキュベートし、次いで、培地を捨てた。DMSOを添加してホルマザン生成物を溶解し、マイクロプレートリーダー(MULTISKAN、Labsystems)で570 nmにおける吸光度を測定した。細胞生存パーセンテージは、所与の化合物で処理した細胞の吸光度値を、未処理細胞の吸光度で割ることによって計算した。
【0152】
統計
【0153】
データ分析を行って、100%に等しいとみなした陰性対照の値に対して正規化された細胞生存率のパーセンテージを計算した。用量/反応曲線をシグモイド式用量-反応(可変勾配)にフィッティングし、EC50値を以下のように計算した:
Y=Bottom+(Top-Bottom)/(1+10^{[(LogEC50-X)*HillSlope]}、
(式中、Xは化合物濃度(対数スケール)であり、Yは応答である)
【0154】
計算及びグラフは、GraphPad Prism(Windows用のPrism 6)を用いて行った。
【0155】
2.結果
【0156】
2.1 有効性の結果
【0157】
表2a、2b及び2cは、10uMでのいくつかのメラノーマ細胞株における抗増殖活性を提供する。
【表2】
【0158】
本発明の全てのペプチドは、試験したメラノーマ細胞株が悪性表現型であっても、それに対して顕著な抗がん活性を示す。
【0159】
2.2 B16-F10メラノーマ細胞中のメラニン含有量の測定
【0160】
B16-F10メラノーマ細胞を25cm2細胞培養フラスコに播種し、24時間インキュベートした。次いで、0.1μMのα-MSHを添加し、細胞をそれぞれのIC50よりも低い用量で合計48時間のインキュベーションの間、上述のペプチドにより処理した。リン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄した後、細胞を1mLの1N NaOHに溶解した。次いで、メラニン含有量の測定のために、溶液の100μLアリコートを96ウェルプレートに入れ、マイクロプレートリーダーを使用して450nmにおける吸光度を測定した。抗メラニン活性を、未処理メラノーマ細胞のメラニンに対するメラニンのパーセンテージによって表した。陽性対照として、コウジ酸(KA)を異なる濃度(0.1、1及び10μM)で使用した。
【0161】
結果を
図1に要約した。見て分かるように、本発明のペプチドはメラニン形成経路に関与している。したがって、一部のペプチドはメラノサイト活性化の指標となり得るメラニンの産生を刺激したが、F22及びF29などの他のペプチドはメラニンの量を劇的に減少させている。さらにより注目すべきは、本発明のペプチドが、他の化合物と比較した場合、メラノサイトの調節においてより効率的であったという事実である。これに関して、KAを1uMの濃度で使用した場合、減少は、本発明のペプチドF22を同じ濃度で使用した場合に達成される減少よりも実質的に低いことが見出された。
【0162】
したがって、このデータは、メラノサイト活性に対する本発明のペプチドの効果を支持するだけでなく、それらが同じ目的で現在使用されている最新技術で利用可能な他の化合物よりもさらに効率的であることも示している。
【0163】
2.3 ゼブラフィッシュ胚における脱色素活性の決定。
【0164】
ゼブラフィッシュ発生中の色素形成は、網膜色素上皮(RPE)によって約24hpfで始まり、その後、メラノサイトが分布する背外側皮膚に向かって進行する。化合物F22で処理した胚と比較するために未処理胚で行った生化学的メラニン定量。F22を1×PBSに溶解してストック溶液とした。ゼブラフィッシュ胚薬物インキュベーションに進むために、F22をE3培地で段階希釈して、以下を得た:最終容量1ml中2.5μM。
【0165】
メラニン定量アッセイ
【0166】
三連あたり50個の胚を収集し、95℃で30分間溶解緩衝液中で溶解した。200μLの溶液を96ウェルプレートに入れ、分光計を使用して490nmにおいて総メラニン含有量を定量した。結果を合成メラニンと比較した。各メラニン標準についての、ブランクにより補正された490nmの平均測定値を、その濃度(μg/mL)に対してプロットすることによる標準曲線。標準曲線を使用して、各未知試料のメラニンタンパク質濃度を決定した。
【0167】
画像解析:
【0168】
顕微鏡(Leica、DM6-B)下での幼生の自動吸引、配置及び回転を可能にするロボットマイクロ流体システムVAST(Union Biometrica)に胚を入れた。胚が直角の下に配置されると(背面図)、VAST搭載カメラで画像が取得される。1つの幼生につき1つの背側画像を取得した。定量にはFIJIプログラムを用いた。RGB画像を8ビットに変換し、幼生の向きを決定した。画像からバイナリマスクを生成するために固定閾値を適用した。特定の対象領域ROIを、幼生の向きに応じて選択した。ROIは、眼が定量から除外されるように生成された。次に、ROI内のセグメント化された領域を、画素分析コマンドを使用して測定した。色素沈着のレベルは、それらの領域のすべてのピクセルの合計として提供された。
【0169】
結果:メラニン定量
【0170】
【0171】
使用した両方の定量から、生化学的メラニン量を分析し、画像研究の分析と比較すると、2.5μMの化合物F22の脱色素効果のエビデンスがあると結論付けることができる。
【0172】
参照文献リスト
Altschul et al., “Basic local alignment search tool”, 1990, J. Mol. Biol, v. 215, pages 403-410;
Copolovici D. M. et al., “Cell-Penetrating Peptides: Design, Synthesis, and Applications”, 2014, ACS Nano, 2014, 8 (3), pp 1972-1994;
Higgins et al., “CLUSTAL V: improved software for multiple sequence alignment”, 1992, CABIOS, 8(2), pages 189-191;
Kim Young-Woo et al., “Synthesis of all-hydrocarbon stapled a-helical peptides by ring-closing olefin metathesis”, Nature Protocols, 2011, 6(6), p. 761-771;
Kolb H.C. et al., “The growing impact of click chemistry on drug discovery”, 2003, Drug Discov Today, 8(24):1128-1137); and
Scott J.M. et al., “Application of Ring-Closing Metathesis to the Synthesis of Rigidified Amino Acids and Peptides”,1996, J. Am. Chem. Soc., 1996, 118 (40), pp 9606-9614;
【0173】
完全を期すために、本願発明の種々の面を以下の番号の項に提示する。
第1項;
以下から選択されるペプチド又はその薬学的若しくは化粧品的に許容される塩:
(a)配列番号1又は2の個々の配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有し:
(Trp)
m-(Asn)
n-Lys-Gly-Thr-Ile-Leu-Lys-Ala-Ser-Val-Asp-Tyr-Ile-Arg-Lys-(Leu)
p-(Gln)
q(配列番号1)
(Arg)
mx-(Arg)
nx-Arg-Arg-Phe-Asn-Ile-Asn-Asp-Arg-Ile-Lys-Glu-Leu-Gly-Thr-Leu-(Ile)
px-(Pro)
qx(配列番号2)
(式中、
「m」、「n」、「p」、及び「q」は整数を表し、0及び1から選択され;
「m
x」、「n
x」、「p
x」、及び「q
x」は整数を表し、0及び1から選択され;
C末端は、-C(O)R
4に対応し;
N末端は、-NHR
5に対応し;
R
4は、-OH及び-NR
17R
18からなる群から選択される基であり;
R
5は、-H、(C
1-C
20)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から選択される基であり;
R
17及びR
18は、-H及び(C
1-C
10)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基である)を有し;
ペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、「i+4」位又は「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子とを連結する以下の式(I)のリンカービラジカル「L」をさらに含み、
-[(R
1)
a-(R
2)-(R
3)
b]
c-(I)
[式中、
「a」及び「b」は、同一であるか、又は異なって、0又は1であり;
「c」は、1~10で構成され;
R
1及びR
3は、(C
1-C
10)アルキル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルケニル;(C
2-C
10)アルキニル;並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
2-C
10)アルキニル;からなる群から独立して選択されるビラジカルであり;
R
2は、-O-、C(=O)、C(=O)NR
13、C(=O)O、S(=O)、S(=O)
2、NR
14、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、-NR
15-NR
16-、-N=N-、-S-S-、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択され;並びに
該環系は、任意選択で、ハロゲン、-OH、-NO
2、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)ハロアルキル、及び(C
1-C
10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1又は複数の基で置換されている)からなる群から選択されるビラジカルであり;並びに
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、及びR
16は、-H及び(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基であり;並びに
リンカーによって連結されるアミノ酸は式(II)である
【化9】
{式中、
R
19は、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、及び3~14個のメンバーを含み、1~3個の環を含む公知の環系
(ここで、前記環の各々は、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であり;
該環は孤立しているか、部分的又は完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する各メンバーは、-CH-、-CH
2-、-NH-、-N-、-SH-、-S-及び-O-からなる群から選択される)からなる群から選択されるモノラジカルである}]を含むペプチド;並びに
(b)配列番号1又は2の個々の配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列からなり:
(Trp)
m-(Asn)
n-Lys-Gly-Thr-Ile-Leu-Lys-Ala-Ser-Val-Asp-Tyr-Ile-Arg-Lys-(Leu)
p-(Gln)
q(配列番号1)
(Arg)
mx-(Arg)
nx-Arg-Arg-Phe-Asn-Ile-Asn-Asp-Arg-Ile-Lys-Glu-Leu-Gly-Thr-Leu-(Ile)
px-(Pro)
qx(配列番号2)
(式中、
「m」、「n」、「p」、及び「q」は整数を表し、0及び1から選択され;
「m
x」、「n
x」、「p
x」、及び「q
x」は整数を表し、0及び1から選択され;
C末端は、-C(O)R
4に対応し;
N末端は、-NHR
5に対応し;
R
4は、-OH及び-NR
17R
18からなる群から選択される基であり;
R
5は、-H、(C
1-C
20)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から選択される基であり;
R
17及びR
18は、-H、(C
1-C
10)アルキル、並びにハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
6、-NR
7R
8、-SR
9、-SOR
10、-SO
2R
11、及び-CO
2R
12からなる群から選択される1又は複数の基で置換された(C
1-C
10)アルキルからなる群から独立して選択される基である);
但し、配列番号24、25又は26の配列からなるペプチド以外のペプチド。
第2項;
配列番号1または2の配列に対して100%の同一性を有する、第1項に記載のペプチド。
第3項;
式(I)のリンカービラジカルが、配列番号1のペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、配列番号1のペプチド配列中の「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子との間にあるか、又は配列番号2のペプチド配列中の「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と、配列番号2のペプチド配列中の「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子との間にある、先の項のいずれか一項に記載のペプチド。
第4項;
a=b=c=1である、先の項のいずれか一項に記載のペプチド。
第5項;
R
1及びR
3が、(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;及び(C
2-C
10)アルキニルからなる群から独立して選択されるビラジカルであり;
R
2が、(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;及び(C
2-C
10)アルキニルからなる群から選択されるビラジカルであり;
R
19が、(C
1-C
10)アルキル;(C
2-C
10)アルケニル;及び(C
2-C
10)アルキニルからなる群から選択されるモノラジカルである、先の項のいずれか一項に記載のペプチド。
第6項;
R
1、R
3及びR
19が(C
1-C
10)アルキルであり、R
2が(C
2-C
10)アルケニルである、先の項のいずれか一項に記載のペプチド。
第7項;
前記C末端が、-C(O)OHまたは-C(O)NH
2に対応し、前記N末端が、-NH
2に対応する、先の項のいずれか一項に記載のペプチド。
第8項;
配列番号3~16のペプチド配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は100%の同一性を有し、「L」、「R19」、「m」、「n」、「p」、「q」、「mx」、「nx」、「px」、及び「qx」が請求項1から7のいずれかで定義される、先の項のいずれか一項に記載のペプチド。
第9項;
配列番号17~23からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%の同一性を有するアミノ酸を有する、先の項のいずれか一項に記載のペプチド。
第10項;
治療有効量又は化粧品有効量の、第1項~第9項のいずれか1項に記載のペプチドを、薬学的又は化粧品的に許容される賦形剤及び/又は担体と一緒に含む、医薬組成物又は化粧品組成物。
第11項;
メラニン形成の制御のための、特にメラニン産生の増加又は減少のための、第1項~第9項のいずれか1項に記載のペプチド若しくはその化粧用塩の、又は第10項に記載の化粧品組成物の、非治療的使用。
第12項;
色素沈着過剰または色素沈着低下の治療のための、第11項に記載の非治療的使用。
第13項;
医薬として使用するための、第1項~第9項のいずれか1項に記載のペプチド若しくはその薬学的塩又は第10項に記載の医薬組成物。
第14項;
がん、特に、転移性メラノーマがんなどのメラノーマがんの治療及び/又は予防に使用するための、第1項~第9項のいずれか1項に記載のペプチド若しくはその薬学的塩又は第10項に記載の医薬組成物。
第15項;
メラニン形成の調節不全に関する疾患の、特にがんメラノサイト増殖を阻害することによる治療及び/又は予防に使用するための、第1項~第9項のいずれか1項に記載のペプチド若しくはその薬学的塩又は第10項に記載の医薬組成物。
【配列表】
【国際調査報告】