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特表2022-542555ホットランナー・バルブ・ピンを駆動する電動アクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-05
(54)【発明の名称】ホットランナー・バルブ・ピンを駆動する電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/27 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
B29C45/27
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503924
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 US2020041963
(87)【国際公開番号】W WO2021015999
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】16/517,616
(32)【優先日】2019-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521553380
【氏名又は名称】インコー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレブ、スコット
(72)【発明者】
【氏名】イェルク、アントン
(72)【発明者】
【氏名】シュトリーゲル、クリスチャン
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AJ02
4F202AJ06
4F202AJ12
4F202CA11
4F202CK03
4F202CK04
4F202CK07
4F202CN05
4F202CN13
4F202CN27
(57)【要約】
ホットランナーを有する射出成形装置のためのバルブ・ゲート組立体は、冷却ブロック上に取り付けられた電動モータ及び伝達装置を含み、冷却ブロックは、それ自身がホットランナー・マニホルド上に直接取り付けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットランナーを有する射出成形装置のためのバルブ・ゲート組立体であって、
射出成形機から型穴に向かって液状樹脂を運ぶ樹脂流路を画定するマニホルドと、
前記加熱されたマニホルドの下側表面に配置されたノズルと、
前記ノズルを通る流れを制御するために、前記ノズルの長手方向軸内で、及び長手方向軸に沿って直線運動するように構成されたバルブ・ピンと、
前記バルブ・ピンを駆動するように構成された電気モータ及び伝達装置と、
前記加熱されたマニホルド上に組み立てられ、前記電動モータ及び前記伝達装置を支持する冷却ブロック又は複数の冷却ブロックと
を備えたバルブ・ゲート組立体。
【請求項2】
前記マニホルドと前記冷却ブロックとの間にアダプタ板が配置されている、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記冷却ブロック又は前記複数の冷却ブロックが、前記モータの側面に沿って延在している、請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記冷却ブロック又は前記複数の冷却ブロックが、前記モータの最上部の上方に延在している、請求項1に記載の組立体。
【請求項5】
前記冷却ブロック又は前記複数の冷却ブロックが、前記モータの側面に沿って、且つ前記モータの最上部の上方に延在している、請求項1に記載の組立体。
【請求項6】
前記電動モータが回転出力軸を有する、請求項1に記載の組立体。
【請求項7】
前記伝達装置が回転-直線変換器を備える、請求項1に記載の組立体。
【請求項8】
前記回転出力軸が水平方向の回転軸を有し、前記伝達装置が、前記出力軸に連結された第1の傘歯車と、垂直方向の回転軸を有する被動軸上の第2の傘歯車であって、前記第1の傘歯車が前記第2の傘歯車と噛み合う、第2の傘歯車と、前記被動軸の回転を前記バルブ・ピンの直線運動に変換する回転-直線変換器とを備える、請求項1に記載の組立体。
【請求項9】
ギア比が2:1より大きい、請求項8に記載の組立体。
【請求項10】
ギア比が3:1以上である、請求項8に記載の組立体。
【請求項11】
前記回転出力軸が垂直方向の回転軸を有し、前記伝達装置が、前記出力軸に連結された第1の歯車と、垂直軸を有する被動軸上の第2の歯車であって、前記第1の歯車が前記第2の歯車と噛み合う、第2の歯車と、前記被動軸の回転を前記バルブ・ピンの直線運動に変換する回転-直線変換器とを備える、請求項1に記載の組立体。
【請求項12】
前記アダプタ板が、前記冷却板と前記マニホルドとの間の5.08cm(2インチ)未満である間隔を画定する、請求項2に記載の組立体。
【請求項13】
前記アダプタ板が、前記冷却板と前記マニホルドとの間の0.64cm(0.25インチ)より大きい間隔を画定する、請求項2に記載の組立体。
【請求項14】
前記アダプタ板が、前記冷却板の底部と前記マニホルドの最上部との間に空隙を画定する、請求項2に記載の組立体。
【請求項15】
前記アダプタ板がステンレス鋼から構成される、請求項2に記載の組立体。
【請求項16】
前記アダプタ板がチタン合金から構成される、請求項2に記載の組立体。
【請求項17】
前記アダプタ板がセラミック材料から構成される、請求項2に記載の組立体。
【請求項18】
前記冷却ブロック、前記電動モータ、及び前記伝達装置が、前記マニホルドを囲む型板で画定された空間内に境界を有する、請求項1に記載の組立体。
【請求項19】
前記型板が、下側表面を有する上部型板と前記下側表面に画定された窪みとを含み、前記電動モータ及び前記伝達装置が前記窪み内に配置され、前記電動モータ及び前記伝達装置の少なくとも一方が、前記窪みの下側壁に熱的に接触している、請求項18に記載の組立体。
【請求項20】
ホットランナーを有する射出成形装置であって、
射出成形機から少なくとも1つの型穴に向かって液状樹脂を運ぶ複数の樹脂流路を画定するマニホルドと、
前記加熱されたマニホルドの下側表面に配置された第1のノズルと、
前記ノズルを通る流れを制御するために、前記ノズルの長手方向軸内で、及び長手方向軸に沿って直線運動するように構成された第1のバルブ・ピンと、
前記バルブ・ピンを駆動するように構成された第1の電動モータ及び第1の伝達装置と、
前記第1の電動モータ及び前記第1の伝達装置を支持する、前記加熱されたマニホルド上の第1の冷却ブロックであって、前記第1の電動モータ及び前記第1の伝達装置が、離間して、細長いモータ軸によって動作可能に接続されている、第1の冷却ブロックと、
前記加熱されたマニホルドの下側表面に配置された第2のノズルと、
前記ノズルを通る流れを制御するために、前記ノズルの長手方向軸内で、及び長手方向軸に沿って直線運動するように構成された第2のバルブ・ピンと、
前記バルブ・ピンを駆動するように構成された第2の電動モータ及び第2の伝達装置であって、前記第2の伝達装置が前記第1の電動モータと前記第1の伝達装置との間の空間内に少なくとも部分的に配置される、第2の電動モータ及び第2の伝達装置と、
前記加熱されたマニホルド上に組み立てられ、前記第2の電動モータ及び前記第2の伝達装置を支持する第2の冷却ブロックと
を備えた射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2019年7月21日に出願した米国出願第16/517,616号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、射出成形機のホットランナー・バルブ・ピンを駆動する電動アクチュエータの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
射出成形システムは、ホットランナー・システム又はコールド・ランナー・システムのいずれかとして分類することができる。コールド・ランナー射出成形システムの場合、複数の金型部品で画定される型穴への液状樹脂の供給を容易にするために、少なくとも1つの金型部品(例えば、半金型)に液状樹脂を流すための流路が設けられる。型穴が液状樹脂で充填された後、樹脂が冷却され、固化又は硬化して、固形射出成形部品を形成する。金型部品の流路内側の樹脂も固化してコールド・ランナーを形成し、コールド・ランナーは一般に再生利用又は廃棄される。ホットランナー・システムでは、液状樹脂が型穴へと流れる流路は、製造工程を通じて樹脂を液状に保つ加熱されたマニホルド及び加熱されたノズルによって画定される。その結果、コールド・ランナーが生成されず、通常生産中の再生利用及び廃棄物が実質的になくなる。さらに、ホットランナー・システムにより、サイクル時間の短縮及び生産速度の向上が実現される。ホットランナー・システムにより、典型的には、ランナー及びスプルーの取り外し、廃棄、及び再生利用などの生産後の作業に必要な労働力やロボット技術の量が削減される。したがって、ホットランナー金型システムは、コールド・ランナー金型システムよりも費用がかかる傾向があるが、単位(部品)あたりの総合的な生産コストは、コールド・ランナー金型システムよりも実質的に低くできることが多い。
【0004】
型穴への流れを慎重に制御すると、成形部品の冷却及び固化の間の収縮による表面欠陥を、著しく削減又は除去することができる。ホットランナー・システムの型穴への流入の制御を向上させるためには、より従来的に使用されている油圧又は空気圧のアクチュエータではなく、ノズルからの流れを制御するバルブ・ピンを調整する電動アクチュエータ(モータ)を使用することが望ましい。ホットランナー(マニホルド流路)を通る流れを制御するために電動モータを使用することに伴う問題として、マニホルド及びノズルを高温に保つことは、電動モータの信頼性、効率、及び寿命に悪影響を及ぼし得る。従来この問題は、成形サイクル中にマニホルドから離れた成形板又は他の構造物の1つで電動モータを支持することで、主に解決されていた。これらの構成により、一般に射出成形装置の組み立て及び維持管理がより複雑になっていた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ホットランナーを有する射出成形装置のための、開示されているバルブ・ゲート組立体は、射出成形機から液状樹脂が流れることを可能にする1つ又は複数の樹脂流路を画定する加熱されたマニホルドと、対応する樹脂流路とノズルと流体連通している1つ又は複数のホットランナー・ノズルと、ノズルから型穴への樹脂の流入を制御するために、対応するノズルの長手方向軸内で、及び長手方向軸に沿って直線運動するように構成されたバルブ・ピンとを含む。バルブ・ピンは、加熱されたマニホルド上に取り付けられた冷却板上に配置された電動モータ及び伝達装置によって駆動される。この構成により、射出成形装置の組み立て及び分解がより容易になり、装置の維持管理及び修繕に関連する時間及び費用が削減される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示によるバルブ・ゲート組立体の正面図である。
図2図2に示すバルブ・ゲート組立体の側面図である。
図2A図1及び図2に示す組立体の変形例の側面図である。
図3】開示されているバルブ・ゲート組立体の他の実施例の斜視図である。
図4図3に示すバルブ・ゲート組立体の正面図である。
図5図3及び図4に示すバルブ・ゲート組立体の側面図である。
図6】開示されているバルブ・ゲート組立体の第3の実施例の斜視図である。
図7図6に示すバルブ・ゲート組立体の正面図である。
図8】開示されているバルブ・ゲート組立体の第4の実施例の斜視図である。
図9図2に示すゲート組立体の一部の拡大断面図である。
図10】修正された冷却構成を有する、図2に示すモータ及び伝達装置の斜視図である。
図11】修正された冷却構成を有する、図2に示すモータ及び伝達装置の斜視図である。
図12】成形装置上に組み立てられた、2つのモータ及び関連付けられる伝達装置の相対位置を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
射出成形機(図示せず)から型板14、16によって画定される型穴12に、液状樹脂(典型的には溶融した熱可塑性組成物)を供給するのに使用するバルブ・ゲート組立体10が、図1及び図2に示されている。樹脂は、射出成形機から電気抵抗発熱体22によって加熱されたスプルー・ブッシュ20内に配置された流路18に流入し、加熱された(又は加熱可能な)マニホルド26によって画定されたマニホルド流路24を通って分配される。加熱されたマニホルドには、樹脂を流れやすい所望の温度に保つことができる電気抵抗発熱体28が設けられている。樹脂は、マニホルド流路24からノズル34の内壁32とバルブ・ピン36との間に画定された環状空間30に流入し、バルブ・ピン36は、ノズル34内でノズルの垂直長手方向軸に沿って、(図1では左のノズルについて示されている)開位置と(図1では右のノズルについて示されている)閉位置との間で直線的に移動可能である。バルブ・ピン36が開位置にあるとき、液状樹脂が型穴12に流入する。ノズル34は、電気抵抗発熱体38によって、樹脂を液体状態(流動可能状態)に保つのに十分な温度で維持される。ノズル34は、ノズルの入口端に、マニホルド26の底部に開けたボアの雌ねじに係合する雄ねじ40を備えて、液密シールを提供できる。金型は単一の型穴又は複数の型穴を画定でき、各型穴には単一のノズル又は複数のノズルから樹脂が供給できる。
【0008】
回転出力軸44を有する電動モータ42(図2)は、大きい方の傘歯車又は被動歯車52の歯50と噛み合う歯48を有する小さい方の傘歯車又は駆動歯車46によってバルブ・ピン36に機械的に連結されており、水平方向の出力軸44の周囲の高速・低トルク回転が、垂直軸に沿った低速・高トルク回転に変換される。被動歯車52は、回転-直線変換器54(例えばねじ及びナット式の構成)に機械的に連結され得、回転運動が円筒形状ノズル34の長手中心線と概ね一致する垂直軸に沿ったバルブ・ピン36の直線(上下)動作に変換される。歯車46及び52は、変換器54と共に、モータ42からの水平方向の出力軸の回転運動をバルブ・ピン36の直線的な垂直運動に変換する好適な又は好ましい伝達装置組立体55を構成する。好ましい実施例では、ギア比(すなわち、被動軸又は被動歯車に対する駆動軸又は駆動歯車の回転の割合)は、2:1より大きく、好ましくは少なくとも3:1であり、より好ましくは少なくとも4:1である。
【0009】
図2Aは、図1及び図2のバルブ・ゲート組立体の変形例を示し、上部型板64には、アクチュエータ(すなわち、モータ42及び伝達装置)の支持を補助するポケット又は凹部63が設けられている。この構成は、モータ及び伝達装置から伝導により熱を取り去るのにも役立つ(すなわち、ポケットがヒート・シンクとして作用する)。より具体的には、電動モータ及び伝達装置の少なくとも一方は、この窪みの下側壁又は下側表面と熱的に接触している。
【0010】
冷却液(例えば、水)を循環させるための内部流路58を有する冷却板又は冷却ブロック56が、マニホルド26上に(スペーサ板60を介して)取り付けられ、又は組み立てられている。冷却ブロック及びスペーサ板(又はアダプタ板)は、全体的にマニホルドに支持され、マニホルドに重なっている。好ましくは、冷却ブロック56は、スペーサ板60によってマニホルド26から離間しており、これにより、マニホルド26と冷却ブロック56との間に空隙62をもたらし、冷却ブロック56とアダプタ板60と間の接触を最小限にすることができる。スペーサ板60の厚さ(すなわち、マニホルド26の最上部と冷却ブロック56の底部との間の距離)は、約0.64cm~約5.08cm(約0.25インチ~約2インチ)とすることができる。概して、モータ42を加熱されたマニホルド26からより良好に熱的に分離するには、厚さがより厚い方が好ましく、一方、装置の全体寸法がこの新規構成から比較的影響を受けないまま、より小型の成形装置を提供するには、厚さがより薄い方が望ましい。いくつかの実施例では、スペーサ板60は、伝導性熱伝達に耐性のある材料であってよい。例えば、ある種のステンレス鋼及びチタン合金は20W/mK未満の熱伝導率を有する。ある種のセラミック材料は、さらに低い熱伝導率を有し得る。
【0011】
冷却ブロック56は、上部型板64と、周壁又は側壁65を含む中間型板66とが概ね境界をなす空間内に配置され、周壁又は側壁65は、マニホルド、冷却ブロック、並びに伝達装置及びモータの少なくとも一部を囲む。
【0012】
また、組立体10は、組立体の構成要素の適切な位置合わせ及び間隔を容易にするための様々な下側支持要素68、ダボ70、及び上側支持要素72を含む。
【0013】
出力軸79が垂直方向に向けられ、大きい方の歯車85上の歯84と係合する歯82を有する小さい方の歯車80を有し、出力軸79からの高速・低トルク回転が歯車85及び関連する軸又はハブ86の低速・高トルク回転に変換されるように、モータ42が構成されている代替実施例110が、図3図5に示されている。伝達装置組立体は、またハブ86の回転運動をバルブ・ピン36の直線運動に変換するための回転-直線動作変換デバイス88(例えば、ねじ又はナットのいずれか一方が固定されているねじ及びナット式の構成)を含んでもよい。組立体110は、他の点では組立体10と概ね同様であり、共通の又は類似した構成要素には図1及び図2の実施例と同じ参照符号が付されている。図3図5に示されていない型板及びその他の構成要素は、図1及び図2に示されたものと同じであるか又は類似してよく、好ましくは同じであるか又は類似している。
【0014】
出力軸90がバルブ・ピン36と軸方向に整列し、バルブ・ピン36に連結された回転-線形変換器92に直接連結されて、モータからの回転出力が、バルブ・ピン36をノズル34のボア流路30に対して上下に動かす直線動作に変換される、伝達装置組立体を提供するようにモータ42が構成された別の代替実施例210が、図6及び図7に示されている。本実施例では、単一のマニホルド流路24が、単一ノズル34への液状樹脂の流れを促進する。しかしながら、一般に、任意の数のマニホルド流路及びノズルを設けることができ、図示の実施例は、本明細書に開示されている概念及びデバイスへの理解を容易にするための、比較的単純な設計である。別途記載のない限り、実施例210の構成要素は、第1の実施例10及び第2の実施例110に関して説明したものと概ね同様又は同一であり、そのような構成要素には前述の実施例と同様に番号を付している。
【0015】
6セットのモータ42及びノズル34を有する別の実施例410が、図8に示されている。様々なバルブ・ピン36は、異なる速度(例えば、v3>v2>v1)で駆動されて、異なる型穴又は異なるレートの同じ型穴の異なる入口に樹脂を供給することができる。それぞれの速度は一定でもよく、又は別々に変化(加速及び/又は減速)してもよい。また、開閉速度はノズルごとに異なってよい。型穴の異なる部分への樹脂の流れをそれぞれ異なるように精密に制御するこの機能は、生産品質及び/又は生産速度を最適化するように調整され得る。
【0016】
図9に最も良く示されているように、漏洩防止ブッシュ90は、マニホルド壁96とバルブ・ピン36との間にシールを提供するフランジ部分92を有する環状カラー状構造を画定する。ブッシュ90は、プラスチック流体が伝達装置(例えば、歯車及び/又は変換器)内に漏れるのを防ぐために、冷却ブロック56を通ってバルブ・ピン開口部に対して付勢される。例えば、ばね座金98を使用してブッシュ90をバルブ・ピン開口部に対して付勢することができる。図示の実施例では、冷却ブロック56は、マニホルド26上に(アダプタ板60を介して)支持され、モータ42と伝動装置組立体との両方を支持している。しかしながら、複数の冷却ブロック(例えば、伝達装置組立体用の第1の冷却ブロック及びモータ用の第2の冷却ブロック)が使用されてもよいことが理解されよう。図2では、スペーサ・ブロック60と伝達装置組立体55(例えば、歯車46及び48から構成される)との間に配置された単一の冷却ブロック56のみが示されている。しかしながら、いくつかの適用例では、上側冷却ブロック56A(図10)、側面冷却ブロック56B(図11)又は側面冷却ブロック56Aと上側冷却ブロック56Bとの両方の組み合わせを追加することが望ましい場合があり、これらは、下側冷却ブロック56と共に使用することができる。
【0017】
いくつかの適用例では、第2のモータ42A及び第2の伝達装置組立体55Aを、モータ42及び伝達装置組立体55に、他の方法で可能であるよりも近接して位置決めできる空間を作るために、伝達装置組立体55とモータ42との間に空間を作るために延在又は伸長したモータ軸300(図12)を使用することが望ましい場合がある。これにより、成形装置においてノズルをより柔軟に位置決めできるようになる。
【0018】
本明細書に記載された構成又は実施例により、ホットランナー・マニホルド上、及び組み立てられた型板の設計によってマニホルドに提供される空間内の、電動モータ及び伝達装置組立体の取付けを容易にする小型の金型設計が提供される。通常ホットランナー・マニホルドのために提供される空間内で冷却される電動モータを使用することにより、バリュー・ピンの位置及び動きの精確且つ信頼性の高い調整をもたらし、これは、生産速度、生産品質、並びに廃棄物及び破損の削減などに関する利点がある。
【0019】
上記の説明は、例示を意図するものであり、限定的なものではない。本発明の範囲は、均等物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。当技術分野において将来的な発展が起こり、開示されているデバイス、キット及び方法がそのような将来的な実施例に組み込まれることが、予想され、意図されている。したがって、本発明は変更及び変形することが可能であり、以下の特許請求の範囲によってのみ制限される。
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】