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特表2022-542558航空放射線を最適化するための方法および線量モニタリングシステム
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  • 特表-航空放射線を最適化するための方法および線量モニタリングシステム 図1
  • 特表-航空放射線を最適化するための方法および線量モニタリングシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-05
(54)【発明の名称】航空放射線を最適化するための方法および線量モニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20120101AFI20220928BHJP
   B64F 1/36 20170101ALI20220928BHJP
   G08G 5/00 20060101ALN20220928BHJP
【FI】
G06Q10/04
B64F1/36
G08G5/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504047
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(85)【翻訳文提出日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 EP2019069828
(87)【国際公開番号】W WO2021013342
(87)【国際公開日】2021-01-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519462218
【氏名又は名称】フラマトム・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】アケルマン,ラース
(72)【発明者】
【氏名】エピファニオ セバスチァーノ,セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル,ハリー
(72)【発明者】
【氏名】グラスニック,クラウディウス
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181BB04
5H181FF01
5H181FF13
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】航空機および航空機乗組員が蓄積させる長期放射線量を最適化するための手段を提供する。
【解決手段】 航空放射線量を最適化するための方法は、a)少なくとも1つのフライトスケジュールを含めたフライト関連データを収集するステップと、b)少なくとも1つのフライトスケジュールに割当てられた現在の放射線場、フライト関連データに割当てられた履歴的放射線データおよび放射線量閾値を少なくとも含む放射線データを収集するステップと、c)フライト関連データおよび放射線データに基づいて、予想放射線量を計算するステップと、d)フライト関連データを修正し、ステップa)~c)を少なくとも一回反復して、予想放射線量に関する最適化されたフライト関連データを得るステップであって、ここで各反復についてフライト関連データが修正されるステップとを含む。さらに、線量モニタリングシステムが示されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空放射線量を最適化するための方法において、
a) 少なくとも1つのフライトスケジュールを含むフライト関連データを収集するステップと、
b) 前記少なくとも1つのフライトスケジュールに割当てられた現在の放射線場、前記フライト関連データに割当てられた履歴的放射線データおよび放射線量閾値を少なくとも含む放射線データを収集するステップと、
c) 前記フライト関連データおよび前記放射線データに基づいて、予想放射線量を計算するステップと、
d) 前記フライト関連データを修正し、ステップa)~c)を少なくとも一回反復して、前記予想放射線量に関する最適化されたフライト関連データを得るステップであって、ここで各反復毎に前記フライト関連データが修正されるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記フライトスケジュールが、燃料レベル、燃料消費量、飛行時間、飛行高度、地理空間的緯度および/または地理空間的経度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フライト関連データが、さらに、少なくとも1つのスタッフスケジュールを含み、かつ/または前記フライト関連データに割当てられた前記履歴的放射線データがさらに、予定されたスタッフの個別放射線量情報を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップc)で計算された前記予想放射線量が、前記放射線量閾値を超えて前記放射線量を上昇させると考えられる場合に、警告が発せられる、請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記フライト関連データおよび/または前記放射線データが、実時間で更新される、請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記ステップa)~d)が、実時間で少なくとも周期的に、特に連続的に反復される、請求項1から5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記フライト関連データが、さらに、航空機識別子データを含み、また前記放射線データが、前記航空機の少なくとも1つの構成要素の前記現在の放射線量を含む、請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記ステップc)で計算された前記予想放射線量および/または前記個別線量情報が、アクセス可能なサーバ上に記憶されている、請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
フライトレポートが、自動的に発行される、請求項1から8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
航空会社データモジュール(12)、線量計算モジュール(14)およびフライトスケジューラモジュール(16)を含む線量モニタリングシステムにおいて、
該航空会社データモジュール(12)が、少なくとも1つのフライトスケジュールを含むフライト関連データを提供するように構成されており、ここで前記航空会社データモジュール(12)は、さらに、予想放射線量を計算するために前記線量計算モジュール(14)に前記フライト関連データを転送するように構成されており、
前記線量計算モジュール(14)が、現在の放射線場を含む放射線データを処理するように構成されており、ここで前記線量計算モジュール(14)は、さらに、前記放射線データおよび前記フライト関連データに基づいて予想放射線量を計算するように構成されており、かつ、
前記フライトスケジューラモジュール(16)が、前記フライト関連データおよび前記放射線データを受信するように構成されており、ここで前記フライトスケジューラモジュール(16)は、さらに、前記フライト関連データを修正して前記予想放射線量に関する最適化されたフライト関連データを得るように構成されている、
線量モニタリングシステム。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一つに記載の方法を実行するように構成されている、請求項10に記載の線量モニタリングシステム(10)。
【請求項12】
放射線データが、さらに、予定されたスタッフの個別放射線量情報を含む、請求項10または11に記載の線量モニタリングシステム。
【請求項13】
前記放射線データが、さらに、現在の放射線量および/または放射線量閾値を含む、請求項10から12のいずれか一つに記載の線量モニタリングシステム。
【請求項14】
個別の要求を受信し、要求されたそれぞれの情報を転送して単一ユーザに対して前記放射線データを表示するように構成されている要求モジュール(20)をさらに含む、請求項10から13のいずれか一つに記載の線量モニタリングシステム。
【請求項15】
前記要求モジュール(20)が、さらに、前記線量計算モジュール(14)およびフライトスケジューラモジュール(16)に対して、ユーザ調整済みフライト関連データを伝送するために使用される、請求項14に記載の線量モニタリングシステム。
【請求項16】
フライトレポートを自動的に発行するように構成されている報告モジュール(22)が具備されている、請求項10から15のいずれか一つに記載の線量モニタリングシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空放射線量を最適化するための方法および線量モニタリングシステムに向けられている。
【背景技術】
【0002】
航空巡航高度における自然放射線への曝露は、宇宙放射線に起因して地表面での曝露に比べ増大している。
このため、フライト中に航空機およびそれぞれの航空機を運行するスタッフが蓄積させる放射線量はより高いものとなる。
【0003】
したがって、航空会社は、自社の従業員がその労働時間中に蓄積させる放射線量を追跡しなければならない。
航空機内には放射線遮へいのための効果的な手段が全く存在しないため、スタッフ全員に対してバランスのとれた放射線量分布が、航空会社によって保証されなければならない。
これに関連して、航空会社は、ALARA(As Low As Reasonably Achievable(合理的に達成可能な限り低く))の原則にしたがって適切な方法を実装する責任を負っている。
そうでなければ、個々のスタッフメンバが、他のスタッフメンバ達よりもはるかに高い放射線量を蓄積させる可能性がある。
【0004】
スタッフメンバの放射線量に加えて、航空機が曝露される宇宙放射線に起因する航空機の構成要素および部品の物質的老朽化を決定するか、さらに厳密には予測することもまた重要である。
【0005】
独国特許出願公開第102012217038号明細書は、放射線量についての関連事象を考慮に入れた飛行経路の計算方法について記述している。
これらの関連事象は、非常に短時間で許容された年間閾値よりも大きい放射線曝露を導く太陽の放射線バーストの結果である太陽粒子事象に関係する。
該方法は、関連事象に起因するより高い放射線強度を有する領域の空間的位置を推定するためのモデルを作成し、このモデルに基づいて飛行経路を調整するステップを含む。
したがって、該方法は、各フライト中の偶発的な高放射線量を回避する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102012217038号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、航空機および航空機乗組員が蓄積させる長期放射線量を最適化するための方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、このような方法を実行するために使用可能なシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的は、請求項1に係る航空放射線量を最適化するための方法および請求項10に係る線量モニタリングシステムによって解決される。
【0009】
第1の態様によると、本発明は、航空放射線量を最適化するための方法において、
a) 少なくとも1つのフライトスケジュールを含むフライト関連データを収集するステップと、
b) 少なくとも1つのフライトスケジュールに割当てられた現在の放射線場、フライト関連データに割当てられた履歴的放射線データおよび放射線量閾値を少なくとも含む放射線データを収集するステップと、
c) フライト関連データおよび放射線データに基づいて、予想放射線量を計算するステップと、
d) フライト関連データを修正し、ステップa)~c)を少なくとも一回反復して、予想放射線量に関する最適化されたフライト関連データを得るステップであって、ここで各反復毎にフライト関連データが修正されるステップと、
を含む方法を提供する。
【0010】
航空放射線量は、フライト中に蓄積した放射線量として定義される。
これには、離陸、巡航、および着陸を含めた各フライトの全ての段階が含まれる。
【0011】
航空放射線量に含まれないのは、例えばバックグラウンド放射線由来または医療由来などの他の放射線源である。
【0012】
フライトスケジュールは、フライトに関する情報、すなわち、出発空港、飛行ルートおよび到着空港ならびにそれぞれの時刻に関する情報を含む。
したがって、航空機が何時にどの場所、特にルートのどの地点にいるかを予測できることから、フライトスケジュールに基づいて、現在の放射線場を決定することができる。
【0013】
したがって、計算される予想放射線量は、フライトスケジュールにしたがってフライト中に航空機および/または航空機乗組員が曝露される追加の放射線量に、つまり、履歴的放射線量すなわちすでに蓄積されている放射線量を加えた放射線量に相当する。
【0014】
したがって、追加の放射線量は、フライトスケジュールおよびフライトスケジュールに割当てられた現在の放射線場に基づいて計算される。
【0015】
現在の放射線場は、特に、衛星データに基づいて決定され、例えば地上配備型測定ステーション由来および/または航空機搭載型測定ステーション由来などの追加の情報を含み得る。
追加の放射線量に加えて、(全部の)蓄積放射線量を決定するために、履歴的放射線データが考慮に入れられる。
上述のように、追加の放射線量が現在の放射線場およびフライトスケジュールに基づいて予測されることから、この(全部の)蓄積放射線量は、予想放射線量に対応する。
【0016】
履歴的放射線データは、それぞれの航空機および/または航空機乗組員、つまり航空機上のスタッフに対して割当てられる。
【0017】
さらに、履歴的放射線データならびに予想放射線量、つまりフライトスケジュールに起因する追加のものを考慮に入れる全放射線量を計算することができる。
【0018】
したがって、予定されたフライトについての予想放射線量を考慮に入れながら、例えばそれぞれの暦年などの一定の期間に航空機および/または航空機乗組員が曝露されることになる絶対放射線量を決定することができる。
【0019】
実際、履歴的放射線データもまた考慮に入れられることから、該方法は、航空機、さらに厳密にはスタッフの長期放射線曝露を決定できることを保証する。
したがって、本発明に係る方法は、各フライト中の偶発的な高放射線曝露の回避ではなく、むしろ長期放射線曝露に向けられている。
【0020】
予想放射線量の計算は、この目的のための公認のあらゆる種類の計算システムおよび/またはソフトウェアによって行なうことができる。
【0021】
その上、例えばフライトスケジュール、つまり飛行ルートなどのフライト関連データを修正する場合、放射線量閾値を考慮に入れることができる。
【0022】
したがって、フライト関連データは、放射線量閾値の超過を回避するような形で修正、さらに厳密には最適化される。
【0023】
概して、放射線量閾値は、人間および/または航空機の一定の構成要素、さらに厳密には部品についての規制機関および/または企業内規則によって設定された放射線量の限界に関係し得る。
【0024】
換言すると、最適化されたフライト関連データには、航空会社の航空機、詳細には航空機の重要な構成要素、さらに厳密には部品、およびスタッフが蓄積させた等分布した放射線量および/またはより低い放射線量が考慮され得る。
【0025】
具体的には、本発明の方法は、航空機乗組員および/または航空機全体にわたり個別の放射線量の等分布を保証する集合的放射線量の最適化に好適である。
集合的放射線量は、一航空会社の全職員および/または全航空機が経験する総放射線量として定義される。
【0026】
フライトスケジュールは、さらに、燃料レベル、燃料消費量、飛行時間、飛行高度、地理空間的緯度および/または地理空間的経度を含むことができる。
したがって、フライトスケジュールは、フライトに割り当てられた情報、さらに厳密にはデータを含む。
【0027】
フライトスケジュールは、異なる視点から最適化することが可能であると考えられ、例えば燃料消費量は、選択された飛行高度に関して最適化され得る。
概して、飛行高度が高くなると、例えば大気中のいわゆるジェット気流を用いることにより燃料消費量が削減され、これにより飛行時間が短縮され、この両方がより高い費用効率を導く。
しかしながら、放射線曝露は、飛行高度が高くなるにつれて増大する。
したがって、蓄積される放射線量は、これらの効果を考慮に入れ、例えば燃料消費量と飛行高度のバランスをとることにより最適化可能である。
【0028】
例えば異なる航空機および/または異なる航空機乗組員由来など、複数のフライトスケジュールをフライト関連データに考慮することができる。
このようにして、一航空会社の全航空機および全従業員について、特に集合的放射線量に関して、本発明の方法により航空放射線量を最適化することができる。
【0029】
フライト関連データは、さらに、少なくとも1つのスタッフスケジュールを含むことができる。
したがって、フライト関連データは、飛行ルートに割当てられたデータならびに、予定されたスタッフに割当てられたデータ、つまり各フライトのために計画されたスタッフのそれぞれの構成を含み得る。
【0030】
さらに、フライト関連データは、乗客情報および乗客の個別放射線量も含むことができる。
このようにして、航空会社は、また、その乗客、特に頻繁に搭乗する乗客の個別線量を追跡することもできる。
したがって、個別のスタッフメンバに関する全ての特徴を、乗客に関しても使用することができる。
【0031】
フライト関連データに割当てられた履歴的放射線データは、さらに、予定されたスタッフの個別放射線量情報を含み得る。
さらに、放射線データは、各予定されたスタッフメンバの個別放射線量に関する情報を含み得る。
実際、予定されたスタッフの個別放射線量情報は、フライト関連データに割当てられた履歴的放射線データ、つまり履歴的放射線データが割当てられたフライト関連データの一部であるスタッフスケジュールに関係する。
【0032】
これにより、概して、個別のスタッフメンバが蓄積した放射線量を個別に追跡することが可能になる。
さらに、スタッフスケジュールに基づいて、予想放射線量を各スタッフメンバについて個別に計算することができる。
さらに、予想放射線量をこの人物に割当てることができ、集合的放射線量を分析し、将来に予定されるフライトのために最適化することができる。
【0033】
さらに、放射線データは、航空機、詳細にはその部品および構成要素の個別放射線量に関する情報を含み得る。
実際、航空機の個別放射線量情報は、また、フライト関連データに割当てられた、つまりフライトに予定された特定の航空機に割当てられた履歴的放射線データにも関係する。
【0034】
前記ステップc)で計算された予想放射線量が、放射線量閾値を超えて(全部の)放射線量を上昇させると考えられる場合、警告を発することができる。
個別のスタッフメンバについての放射線量閾値は、規制当局によるまたは企業内の指針に基づくものであり得る。
警告は、放射線量が放射線量閾値を超えて上昇しないよう保証するべく、前記ステップd)においてフライト関連データを修正するときに考慮され得る。
【0035】
さらに、放射線量閾値は、航空機自体、詳細には航空機の特定の部品、さらに厳密には構成要素に関するものであり得る。
【0036】
スタッフメンバおよび航空機のために、異なる放射線量閾値を使用することができる。
【0037】
フライト関連データおよび/または放射線データは、実時間で更新され得る。
こうして、予想放射線量を計算する場合にはつねに、最新のひいては最も正確なフライト関連データおよび/または放射線データが考慮に入れられる。
例えば、放射線データは、周期的に更新される。
【0038】
さらに、前記ステップa)~d)は、実時間で少なくとも周期的に、特に連続的に反復され得る。
これにより、離陸前および着陸後のみならず、飛行中も航空放射線量を最適化することが可能になる。
したがって、あらゆる時点で、太陽粒子事象、他の短期高放射線量事象または現在の放射線場の他の変化を考慮に入れることができる。
【0039】
別の実施形態では、フライト関連データは、さらに、航空機識別子データを含み、また放射線データは、航空機の少なくとも1つの構成要素の現在の放射線量を含む。
放射線量閾値は、上記ですでに論述した通り、それぞれの構成要素の1つに関するものであり得る。
したがって、放射線量は、航空機のスタッフだけに関連するものでなく、航空機の構成要素、さらに厳密には部品にも関連するものである。
すでに説明した通り、蓄積した放射線量は、予定された航空機の構成要素、さらに厳密には部品の故障および/または老朽化を導く可能性がある。
航空機識別子データを提供する航空機識別子を用いて航空機が追跡される場合、航空機の放射線量に基づいた計画的老朽化が可能となる。
これにより、損傷を受けた構成要素の交換が容易になり、計画外のメンテナンス期間が削減され、ひいてはコストが削減される。
【0040】
全放射線量、つまり履歴的放射線データに予想放射線量を加えたものが、予定される航空機の一定の構成要素についての放射線量閾値を上回ると思われる場合、フライト関連データ、詳細にはフライトスケジュールは、別の航空機および/または別の飛行ルートを選択することによって最適化され得る。
【0041】
概して、例えば燃料コストを節約するためにフライト関連データの一部としての飛行高度を適応させることができ、この場合航空機乗組員および/または航空機は、それぞれの放射線量閾値を超えないことを保証するような形で選択される。
【0042】
前記ステップc)で計算された予想放射線量および/または個別線量情報は、アクセス可能なサーバ上に記憶され得る。
サーバは、特に、異なるエンドデバイスがアクセスできるクラウドベースのサーバである。
記憶されたデータ、さらに厳密には情報は、コンピュータおよび/または、スマートフォンおよびタブレットのようなモバイルデバイスを介してアクセス可能である。
これにより、フライトの前、最中および/または後で、すなわち実時間で、容易に個別放射線量情報を得ることが可能となる。
乗組員メンバは、各々、サーバにアクセスすることによって直接かつ個別に、各自の放射線量情報を収集することができる。
【0043】
該方法は、さらに、フライトレポートを自動的に発行するステップを含むことができる。
フライトレポートは、スタッフおよび/または航空機の放射線量情報、特に個別のスタッフメンバおよび/または航空機の放射線量を含み得る。
したがって、放射線量についてのレポートが自動的に生成されるため、本発明の方法は、これらのレポートの容易かつ迅速な獲得方法を提供する。
典型的には、これらのレポートは、着陸後に発行され、こうして関係各部門、例えば運行会社および/または当局などに対して各スタッフメンバの全放射線量が自動的に伝達されることになる。
【0044】
別の態様において、本発明は、航空会社データモジュール、線量計算モジュールおよびフライトスケジューラモジュールを含む線量モニタリングシステムを提供する。
【0045】
航空会社データモジュールは、少なくとも1つのフライトスケジュールを含むフライト関連データを提供するように構成されており、ここで航空会社データモジュールは、さらに、予想放射線量を計算するために線量計算モジュールにフライト関連データを転送するように構成されている。
【0046】
線量計算モジュールは、現在の放射線場を含む放射線データを処理するように構成されており、ここで線量計算モジュールは、さらに、放射線データおよびフライト関連データに基づいて予想放射線量を計算するように構成されている。
【0047】
フライトスケジューラモジュールは、フライト関連データおよび放射線データを受信するように構成されており、ここでフライトスケジューラは、さらに、フライト関連データを修正して予想放射線量に関する、
そして特に個別のスタッフメンバ、航空機乗組員および/または航空機の集合的放射線量に関する最適化されたフライト関連データを得るように構成されている。
【0048】
線量モニタリングシステムは、特にクラウドベースのソリューションである。
【0049】
フライトスケジューラモジュールは、さらに、最適化されたフライト関連データを得るために使用されるマシンラーニングモジュールを含むことができる。
【0050】
透明性のある情報を保証するためのいわゆる「モノのインターネット」(IoT)要素を使用し、および、インテリジェントアルゴリズム、特に実時間更新メカニズムでの関連データのオンデマンド送達による単純な放射線量最適化プロセスを使用することが、本発明の基本的な考え方である。
【0051】
航空放射線量を最適化するため、線量モニタリングシステムは、上述の方法を実行するように構成され得る。
【0052】
航空会社データモジュールによって提供される放射線データは、さらに、予定されたスタッフの個別放射線量情報を含むことができる。
これにより、各スタッフメンバについて線量計算モジュール内で個別の予想放射線量を計算することが可能となる。
【0053】
その上、放射線データは、現在の放射線量および/または放射線量閾値をさらに含むことができる。
これにより、放射線量が放射線量閾値を超えて上昇すると考えられるか否かをチェックすることが可能になる。
したがって、必要な場合には、計算された予想放射線量に基づいてフライト関連データを変更することができる。
【0054】
現在の放射線場は、外部サプライヤによって提供され得、測定および/または計算された現在の放射線場に基づくものであってもよいと考えられる。
現在の放射線場の決定は、当該技術分野において公知であるように、航空放射線量を計算するために公認されているアルゴリズムを用いて行なわれる。
【0055】
別の実施形態において、線量モニタリングシステムは、個別の要求を受信し、要求されたそれぞれの情報を転送して単一ユーザに対して放射線データを表示するように構成されている要求モジュールをさらに含む。
したがって、単一ユーザ、例えばスタッフメンバは、いかなる時点においても放射線データをチェックすることができる。
単一ユーザが操作するモバイルデバイスまたは他の任意のコンピュータ上に放射線データを表示させることが、可能である。
さらに、例えば放射線量閾値に到達するという警告などの全ての警告を、表示される放射線データ中に含めることができる。
【0056】
要求モジュールは、さらに、線量計算モジュールおよびフライトスケジューラモジュールに対して、ユーザ調整済みフライト関連データを伝送するために使用され得る。
これにより、最適化されたフライトスケジュールのために、個別のスタッフメンバまたは指定運行要員からの提案および問い合わせを提出することが可能になる。
【0057】
線量モニタリングシステムは、さらに、フライトレポートを自動的に発行するように構成されている報告モジュールを提供することができる。
フライトレポートは、個別放射線量、フライトスケジュール、フライトスケジュールに対して行なわれた変更および/または航空機の構成要素/部品に必要なメンテナンスについての情報のような全ての関連情報を含むことができる。
【0058】
本発明のさらなる態様および利点は、好ましい実施形態についての以下の説明および添付図面からより明確になるものである。
好ましい実施形態は、単なる例示として提供されており、添付の請求項から明らかである本発明の範囲を限定するように意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明に係る線量モニタリングシステムの概略図を示す。
図2図1の線量モニタリングシステムにより実行される本発明に係る航空放射線量を最適化するための方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1では、線量モニタリングシステム10の概略図が示されている。
線量モニタリングシステム10は、航空会社データモジュール12、線量計算モジュール14、フライトスケジューラモジュール16、通信モジュール18、要求モジュール20および報告モジュール22を含む。
【0061】
線量モニタリングシステム10は、クラウドベースのサーバである。
【0062】
図示された実施形態において、線量モニタリングシステム10は、データを送受信するため、すなわち外部デバイスから線量モニタリングサーバ10にアクセスするための通信モジュール18を含む。
概して、モジュール12~22の各々は、また、例えばコンピュータおよび/またはモバイルデバイスを用いて単独でアクセス可能である。
【0063】
航空会社データモジュール12は、個別のスタッフメンバ26a、26bおよび26cと共にスタッフ26を伴う航空機24の少なくとも1つのフライトスケジュールを含むフライト関連データを収集する(図2中のステップS1)。
【0064】
フライト関連データは、さらに、スタッフ26の少なくとも1つのスタッフスケジュール、つまり個別のスタッフメンバ26a、26bおよび26cの構成を含む。
【0065】
フライト関連データは、航空会社データモジュール12から線量計算モジュール14へと転送される。
【0066】
線量計算モジュール14は、さらに、航空機24のフライトスケジュールに割当てられた現在の放射線場、およびフライト関連データに割当てられた履歴的放射線データを少なくとも含む放射線データを収集する(図2中のステップS2)。
【0067】
現在の放射線場は、衛星28および/または地上配備型測定ステーション29によって測定され、測定データを放射線モデルサプライヤ27に送る。
概して、例えば航空機搭載型測定ステーションから、現在の放射線場についてのさらなる情報が提供され得る。
【0068】
図示された実施形態において、放射線モデルサプライヤ27は、線量モニタリングシステム10内に組込まれていない外部モジュールである。
したがって、外部モジュールの結果は、線量モニタリングシステム10に転送され、線量モニタリングシステムにより使用され得る。
しかしながら放射線モデルサプライヤ27は、また、線量モニタリングシステム10の一部でもあり得ると考えられる。
【0069】
現在の放射線場は、放射線モデルサプライヤ27に移送された測定データに直接基づくものであり得、あるいは、この測定データを用いてさらなる計算の後に得ることもできると考えられる。
現在の放射線場の生成のために使用されるアルゴリズムは、当該技術分野において公知であるように、航空放射線量を計算するため公認されている必要がある。
【0070】
予想放射線量の計算に関連する現在の放射線場は、放射線モデルサプライヤ27から通信モジュール18へと送られ、この通信モジュール18から線量計算モジュール14へと移送される。
【0071】
フライト関連データに割当てられた履歴的放射線データは、スタッフメンバ26a、26bおよび26cの個別放射線量情報および/または、各フライトについて予定された航空機24の個別放射線量情報に関係し得る。
【0072】
線量計算モジュール14は、次に、フライト関連データおよび放射線データに基づいて予想放射線量を計算する(図2中のステップS3)。
【0073】
予想放射線量を計算するために、フライト関連データは特に、少なくとも1つのフライトスケジュールによって提供される飛行時間、飛行高度、地理空間的緯度および/または地理空間的経度などの飛行ルートについての情報を含む。
【0074】
フライト関連データおよび予想放射線量を含む放射線データは、次に、フライトスケジューラモジュール16に伝送され、このフライトスケジューラモジュール16によって受信される。
【0075】
予想放射線量が、放射線量閾値を超えて(全部の)放射線量を上昇させる場合には、フライトスケジューラモジュール16により警告が発せられる。
各航空機24、詳細にはその構成要素について、放射線量閾値は、スタッフメンバ26a、26bおよび26cについての放射線量閾値と異なるものであり得る。
【0076】
放射線量は、航空機24、詳細にはその構成要素、およびスタッフ26のメンバ26a~26cについて個別に決定され得る。
したがって、スタッフ26の個別メンバおよび/または航空機24について警告を発することもできる。
【0077】
航空機24に言及するためには、それぞれの航空機24を一義的に識別する目的で航空機識別子データを提供する航空機識別子25を使用することができる。
このようにして、航空機24の放射線量を追跡することができ、航空機24の構成要素に必要なメンテナンスまたは交換を、故障が発生する前に計画することができる。
【0078】
フライトスケジューラモジュール16は、予想放射線量に関する最適化されたフライト関連データを得るために、少なくとも一回、フライト関連データを修正する(図2中のステップS4)。
【0079】
最適化のために、フライトスケジューラモジュール16は、異なる飛行高度、異なる航空機スケジューリングおよび/または異なるスタッフスケジューリングのような、フライト関連データに対する1つ以上の変更を提供し得ると考えられる。
修正されたフライト関連データは、その後、再び線量計算モジュール14に送られ、線量計算モジュール14は、修正されたフライト関連データに基づいて予想放射線場を計算する。
【0080】
フライトスケジューラ16は、また、個別のスタッフメンバ、航空機乗組員および航空機の放射線量分布が可能なかぎり等しい、すなわち集合的放射線量が最適化されていることも保証する。
最適化アルゴリズムは、個別の放射線量閾値よりも等しい放射線量分布の方をより指向し得ると考えられる。
また、等しい放射線量分布と個別の放射線量との間のバランスを、パラメータと称されるものに基づいて最適化することができる。
【0081】
このプロセスは、十分に最適化されたフライト関連データが得られるまで、または規定数の反復サイクルが行なわれるまで、数回反復され得る。
【0082】
さらに、プロセスは、実時間で周期的にまたは連続的に反復可能である。
フライト関連データの最適化は、また、現在の放射線場が放射線モデルサプライヤ27から送られ、通信モジュール18および/または線量計算モジュール14によって受信される毎に、トリガされ得る。
【0083】
図示された実施形態において、フライトスケジューラモジュール16は、マシンラーニングモジュール30を含む。
該マシンラーニングモジュール30は、フライト関連データを最適化するために訓練され得、早期の最適化プロシージャから学習することができる。
【0084】
最適化されたフライト関連データは、航空機24の離陸前と、航空機24の飛行中も計算され得る。
したがって、フライト関連データおよび放射線データは、少なくとも周期的に、特に実時間で更新される。
したがって、航空放射線量もまた少なくとも周期的に、特に実時間で最適化され得る。
【0085】
フライト関連データは、通信モジュール18によって航空機24に移送され得る。
【0086】
さらに、個別のスタッフメンバ、例えばスタッフメンバ26a~26cのうちの一人は、個別の要求を、モバイルデバイス32を介して線量モニタリングシステム10に送ることができる。
個別の要求は、要求モジュール20に送られ、要求モジュール20は、それぞれのスタッフメンバが要求したそれぞれの情報をモバイルデバイス32に転送することができ、ここでこの情報は、スタッフメンバに知らせるために表示される。
【0087】
さらに、スタッフメンバは、ユーザ調整済みフライト関連データを要求モジュール20に送ることができ、このデータは、次に線量計算モジュール14およびフライトスケジューラモジュール16に対して伝送される。
ユーザ調整済みフライト関連データは、その後、フライトスケジューラモジュール16によって考慮され得、最適化されたフライト関連データとして識別され得ると考えられる。
【0088】
以下では、2つの例示的シナリオが、本発明の特徴および利点をさらに例示するために提供されている。
【実施例1】
【0089】
飛行ルートA上で特定の航空機24について、フライトが予定される。
【0090】
航空会社データモジュール12からの当初のフライト関連データと線量計算モジュール14によって収集された放射線データに基づいて、フライトスケジューラモジュール16により、最適化されたフライト関連データセットが決定される。
最適化されたフライト関連データは、10kmの飛行高度での8時間の飛行時間を含む。
この飛行ルートについての放射線データに基づいて、線量計算モジュール14により50μSvの予想放射線量つまり追加の放射線量が決定された。
【0091】
航空機24のパイロットであるスタッフメンバ26aが、航空機24の燃料レベルをチェックし、11kmの飛行高度を提案することによって、ユーザ調整済みフライト関連データを伴う要求を線量モニタリングシステム10に対して提出する。
【0092】
このユーザ調整済みフライト関連データは、要求モジュール20により、フライトスケジューラモジュール16および線量計算モジュール14に対して伝送される。
代替的には、自動最適化プロセスが最適化ステップを開始する。
【0093】
フライトスケジューラモジュール16は、この高さではジェット気流をより効率良く使用できることを理由として、このより高い飛行高度において7時間40分という新たな飛行時間を計算する。
【0094】
しかしながら、線量計算モジュール14は、飛行高度がより高く飛行時間がより短いことに起因して55μSvという新しい予想放射線量を計算する。
【0095】
その後、フライトスケジューラモジュール16は、フライト関連データつまり特定の航空機24および予定されたスタッフ26に割当てられた履歴的放射線データ、ならびに最大放射線量を考慮に入れて、修正されたフライト関連データに関して新しい予想放射線量が受諾できるものであるか否かを確認する。
【0096】
代替的には、線量計算モジュール14は、フライトスケジューラモジュール16を使用せずに、スタッフメンバ28a、すなわち要求を行なうパイロットのモバイルデバイス32に対し予想放射線量を直接送ることができる。
【0097】
たとえ、その年の残存期間について現在のフライトスケジュールを考慮に入れたとしても、このわずかに高い線量が航空機24/スタッフメンバ26aの放射線量も航空機24の他のスタッフメンバの放射線量も最大放射線量より高く増大させないことをフライトスケジューラモジュール16がチェックした後、最適化されたフライト関連データは航空機24へと送り戻される。
【0098】
スタッフメンバ26aは、自らの提案が受諾されたというメッセージを受取り、更新済み飛行高度でのフライトを計画することができる。
自動最適化プロセスの場合には、いかなるメッセージも送られない。
【0099】
たとえ放射線量が、この特定のフライトについての予想放射線量での放射線量閾値を全く超えていなくても、フライトスケジューラモジュール16は、新しい放射線量を考慮に入れ、さらなるスケジューリングにおいては、航空会社全体の全てのスタッフメンバ、航空機乗組員および/または航空機にわたる線量分布が等しく保たれることを保証する。
【0100】
さらに、スタッフメンバ26aまたはオペレータには、飛行高度が高くなると燃料消費量が3%削減されるというメッセージが与えられる可能性がある。
【実施例2】
【0101】
スタッフ26は、合計10カ月について特定の航空機24での飛行ルートBに予定されている。
別のスタッフ36は、合計10カ月について別の航空機34での飛行ルートCに予定されている。各スタッフ26、36には、1年に2カ月の休暇がある。
【0102】
航空機24、34は、それぞれの航空機識別子25、35によって互いに区別可能である。
【0103】
放射線場の差に起因して、ルートB上の放射線曝露は、ルートC上での放射線曝露よりも高いことが決定された(ルートC上では一カ月あたり0.3mSvであるのに対してルートB上では1カ月あたり0.7mSv)。
【0104】
6カ月後、スタッフ26のメンバならびに航空機24の個別放射線量は蓄積して4.2mSvとなった。
したがって、個別放射線量は、履歴的放射線データに関係する。
当初のフライトスケジュールは、スタッフ26ならびに航空機24についてルートB上でのさらに3カ月を含んでいることから、個別放射線量は、この実施例では6mSvである放射線量閾値を超えて上昇すると考えられる。
したがって、フライトスケジューラモジュール16により警告が表示されることになる。
【0105】
対照的に、スタッフ36および航空機34は、ルートC上での4カ月が予定されていた。
さらに、スタッフ36は2カ月間、休暇中であった。
したがって、スタッフ36のスタッフメンバは、わずか1.2mSvの個別放射線量しか蓄積させなかった。
ルートC上でのさらに6カ月後の彼らの予想個別放射線量は、わずか3mSvとなると考えられる。
【0106】
したがって、フライトスケジューラモジュール16は、スタッフ36をルートB上で航空機24に再スケジューリングし、スタッフ26をルートC上で航空機34に再スケジューリングすることによって、フライト関連パラメータの最適化されたセットを提案する。
【0107】
したがって、スタッフ26、36の各々が、1年の終わりには5.4mSvの個別放射線量を有することになる。
この場合、放射線量は、航空会社の職員全体にわたり首尾よく均等に分布されており、どのスタッフメンバも放射線量閾値を超える放射線量を経験していない。
【0108】
付加的にまたは代替的に、航空機24、34は、各航空機24、34の放射線量閾値を超えないことを保証するために、フライト関連データつまりフライトスケジュールの一部として異なる形でスケジューリングされる。
【符号の説明】
【0109】
10 線量モニタリングシステム
12 航空会社データモジュール
14 線量計算モジュール
16 フライトスケジューラモジュール
18 通信モジュール
20 要求モジュール
22 報告モジュール
24 航空機
25 航空機識別子
26 スタッフ
26a スタッフメンバ
26b スタッフメンバ
26c スタッフメンバ
27 放射線モデルサプライヤ
28 衛星
29 地上配備型測定ステーション
30 マシンラーニングモジュール
32 モバイルデバイス
34 航空機
35 航空機識別子
36 スタッフ
36a スタッフメンバ
36b スタッフメンバ
36c スタッフメンバ

図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空放射線量を最適化するための方法において、
a) 異なる航空機および異なる航空機乗組員由来の少なくとも1つのスタッフスケジュールおよび複数のフライトスケジュールを含むフライト関連データを収集するステップと、
b) 前記少なくとも1つのフライトスケジュールに割当てられた現在の放射線場、前記フライト関連データに割当てられた履歴的放射線データおよび放射線量閾値を少なくとも含む放射線データを収集するステップであって、ここで前記フライト関連データに割当てられた前記履歴的放射線データが、予定されたスタッフの個別放射線量情報と各予定されたスタッフメンバの個別放射線量に関する情報を含むステップと
c) 前記フライト関連データおよび前記放射線データに基づいて、予想放射線量を計算し、予定されたフライトについての予想放射線量を考慮に入れながら、一定の期間に航空機および/または航空機乗組員が曝露されることになる絶対放射線量を決定するステップと、
d) 前記フライト関連データを修正し、ステップa)~c)を少なくとも一回反復して、前記予想放射線量に関する最適化されたフライト関連データを得、また、個別のスタッフメンバ、航空機乗組員および航空機の放射線量分布が可能なかぎり等しいことを保証するステップであって、ここで各反復毎に前記フライト関連データが修正されるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記フライトスケジュールが、燃料レベル、燃料消費量、飛行時間、飛行高度、地理空間的緯度および/または地理空間的経度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップc)で計算された前記予想放射線量が、前記放射線量閾値を超えて前記放射線量を上昇させると考えられる場合に、警告が発せられる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記フライト関連データおよび/または前記放射線データが、実時間で更新される、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記ステップa)~d)が、実時間で少なくとも周期的に、特に連続的に反復される、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記フライト関連データが、さらに、航空機識別子データを含み、また前記放射線データが、前記航空機の少なくとも1つの構成要素の前記現在の放射線量を含む、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記ステップc)で計算された前記予想放射線量および/または前記個別線量情報が、アクセス可能なサーバ上に記憶されている、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
フライトレポートが、自動的に発行される、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
航空会社データモジュール(12)、線量計算モジュール(14)およびフライトスケジューラモジュール(16)を含む線量モニタリングシステムにおいて、
該航空会社データモジュール(12)が、異なる航空機および異なる航空機乗組員由来の少なくとも1つのスタッフスケジュールおよび複数のフライトスケジュールを含むフライト関連データを提供するように構成されており、ここで前記航空会社データモジュール(12)は、さらに、予想放射線量を計算するために前記線量計算モジュール(14)に前記フライト関連データを転送するように構成されており、
前記線量計算モジュール(14)が、少なくとも1つのフライトスケジュールに割当てられた現在の放射線場、フライト関連データに割当てられた履歴的放射線データおよび放射線量閾値を含む放射線データを収集し、前記放射線データを処理するように構成されており、ここで前記線量計算モジュール(14)は、さらに、前記放射線データおよび前記フライト関連データに基づいて予想放射線量を計算し、および、予定されたフライトについての予想放射線量を考慮に入れながら、一定期間に航空機および/または航空機乗組員が曝露されることになる絶対放射線量を決定するように構成されており、かつ、
前記フライトスケジューラモジュール(16)が、前記フライト関連データおよび前記放射線データを受信するように構成されており、ここで前記フライトスケジューラモジュール(16)は、さらに、前記フライト関連データを修正して前記予想放射線量に関する最適化されたフライト関連データを得、また、個別のスタッフメンバ、航空機乗組員および航空機の放射線量分布が可能なかぎり等しいことを保証するように構成されている、
線量モニタリングシステム。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一つに記載の方法を実行するように構成されている、請求項に記載の線量モニタリングシステム(10)。
【請求項11】
個別の要求を受信し、要求されたそれぞれの情報を転送して単一ユーザに対して前記放射線データを表示するように構成されている要求モジュール(20)をさらに含む、請求項9または10に記載の線量モニタリングシステム。
【請求項12】
前記要求モジュール(20)が、さらに、前記線量計算モジュール(14)およびフライトスケジューラモジュール(16)に対して、ユーザ調整済みフライト関連データを伝送するために使用される、請求項11に記載の線量モニタリングシステム。
【請求項13】
フライトレポートを自動的に発行するように構成されている報告モジュール(22)が具備されている、請求項から12のいずれか一つに記載の線量モニタリングシステム。
【国際調査報告】