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特表2022-542577NT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法
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  • 特表-NT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法 図1
  • 特表-NT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-05
(54)【発明の名称】NT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/26 20060101AFI20220928BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220928BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20220928BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220928BHJP
   A61K 38/18 20060101ALI20220928BHJP
   A61L 27/22 20060101ALI20220928BHJP
   A61L 27/48 20060101ALI20220928BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20220928BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20220928BHJP
   A61F 2/08 20060101ALI20220928BHJP
   C07K 14/475 20060101ALN20220928BHJP
   C07K 14/435 20060101ALN20220928BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20220928BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20220928BHJP
   C12N 15/63 20060101ALN20220928BHJP
   C12P 21/02 20060101ALN20220928BHJP
【FI】
A61L27/26
A61P25/00
A61P25/02
A61P43/00 107
A61K38/18
A61L27/22
A61L27/48
A61L27/54
A61L27/36 200
A61F2/08
C07K14/475 ZNA
C07K14/435
C12N15/12
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12P21/02 C
C12P21/02 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504619
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2020104048
(87)【国際公開番号】W WO2021227255
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】202010396807.7
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511128206
【氏名又は名称】南通大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】劉 炎
(72)【発明者】
【氏名】劉 梅
(72)【発明者】
【氏名】顧 暁松
(72)【発明者】
【氏名】管 徒晨
【テーマコード(参考)】
4B064
4C081
4C084
4C097
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG13
4B064CA02
4B064CA19
4B064DA01
4B064DA20
4C081AB18
4C081BA12
4C081BB06
4C081CD111
4C081CD112
4C081CD27
4C081CD33
4C081DA03
4C081DC12
4C081DC14
4C081EA02
4C081EA03
4C081EA04
4C081EA05
4C081EA06
4C081EA12
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA41
4C084CA18
4C084DB59
4C084MA67
4C084NA12
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA201
4C084ZA202
4C084ZB221
4C084ZB222
4C097AA20
4C097BB01
4C097DD13
4C097MM02
4C097MM04
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA21
4H045EA34
4H045FA74
4H045GA01
(57)【要約】
本発明は、生物医学材料の分野に属し、具体的には、NT3を融合した絹フィブロイン神経移植片及びその製造方法に関し、前記製造方法は、絹フィブロイン軽鎖及びNT-3を含む遺伝子断片を合成してpET-30発現ベクターに結合し、得られた組換え発現ベクターをBL21大腸菌に形質転換して、融合タンパク質を得るステップと、絹繊維ネットを鋳型内に置き、融合タンパク質及び絹フィブロイン溶液を混合して冷凍乾燥し、絹フィブロイン及び融合タンパク質を架橋させて神経導管を形成するステップと、変形処理した後、最終的にNT-3活性を有する絹フィブロイン神経移植片を得るステップと、を含む。本発明で製造された絹フィブロイン神経移植片は、機械的支持作用を果たすと共に神経保護及び神経再生促進の作用を長時間持続することができ、また、実際の状況に応じて神経導管におけるNT-3活性ペプチドの割合を調整することもでき、神経損傷の修復に寄与する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絹フィブロイン軽鎖及びNT-3を含む遺伝子断片を合成してpET-30発現ベクターに結合し、得られた組換え発現ベクターをBL21大腸菌に形質転換して、融合タンパク質を得るステップと、
融合タンパク質及び絹フィブロイン溶液を混合して、混合タンパク質溶液を得、絹繊維ネットを鋳型内に置き、混合タンパク質溶液を鋳型に注ぎ込んで冷凍乾燥して、神経導管を形成するステップと、変形処理した後、最終的にNT-3活性を有する絹フィブロイン神経移植片を得るステップと、を含む、ことを特徴とするNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【請求項2】
前記絹繊維ネットが絹繊維用編機で編まれる、ことを特徴とする請求項1に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【請求項3】
前記絹フィブロイン溶液の調製方法は、絹繊維をチオシアン酸リチウム溶液に入れて溶解させ、溶解後の溶液を透析用袋に入れ、三重蒸留水を透析液として60~80時間透析し、絹フィブロイン溶液を得るものである、ことを特徴とする請求項1に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【請求項4】
前記絹繊維の製造方法は、カイコ糸を炭酸ナトリウム溶液に入れて20分間以上煮沸し、取り出した後、三重蒸留水で十分に洗浄する、という工程を2~4回繰り返し、外部セリシンを除去した絹繊維を得るものである、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【請求項5】
混合タンパク質溶液の濃度が5%-40%であり、融合タンパク質及び絹フィブロインの質量割合が1:99~50:50である、ことを特徴とする請求項1に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【請求項6】
変形処理は、60%エタノール中の浸漬で10~14h処理するものである、ことを特徴とする請求項1に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【請求項7】
透析用袋の分画分子量が12~16kDaである、ことを特徴とする請求項1に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【請求項8】
冷凍乾燥の温度が-70℃である、ことを特徴とする請求項1に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【請求項9】
チオシアン酸リチウム溶液の濃度が9mol/Lである、ことを特徴とする請求項1に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の製造方法で製造される、ことを特徴とするNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学材料の分野に属し、具体的には、神経回復を促進できるNT3活性を有する絹フィブロイン神経移植片に関し、末梢神経、脊髄損傷、脳損傷の修復及び再生に応用可能である。
【背景技術】
【0002】
組織工学、生体材料学等の新興学科の発展に伴い、神経の修復に用いられる生体材料が増えている。優れた生体材料は、良好な生体適合性を有すると共に、細胞の接着、移動、細胞間の相互作用、増殖及び分化をサポートするものである必要がある。また、これらの生体材料には、適切な生分解速度、力学的性質、制限された免疫反応及び多種の加工選択肢が求められるほか、組織の特定ニーズに応じて構造及び形態を変更できることも要求される。天然組織の構成部分であるタンパク質は、組織工学応用における理性的な選択である。コラーゲン、エラスチン、弾性ペプチド、アルブミン及びフィブリンのような構造タンパク質は、縫合線、組織スキャフォールド、止血剤及び薬物送達剤として使用されている。
【0003】
神経損傷は、末梢神経損傷及び中枢神経損傷を含み、現在、長距離末梢神経損傷及び脊髄損傷の治療には、異なるタイプの移植片の適用が必要になることが多いが、自己神経又は異種移植片等は、供給源が乏しく、応用範囲が限られる等の欠点があるため、組織工学移植片の新たな代替物が考案されている。カイコフィブロインは、一般的な天然生体高分子材料であり、古くから縫合線として人体に適用されている。近年、カイコフィブロインは、一部の特性から生体材料として注目されるようになる。同種又は異種由来組織からの他のタンパク質系生体材料に比べて、絹フィブロインは良好な生体適合性、優れた機械的特性、制御可能な生分解性、簡単な加工工程等、いくつかの主要な利点を持っている。また、絹フィブロイン重合物は、加工において異なる可塑性を示し、異なる製造技術により、三次元多孔質発泡体、ナノ繊維、ハイドロゲル、チューブ及びフィルムを含む様々なマトリックス構成を実現でき、様々な組織修復に応用できる。神経栄養因子3は、NTF3遺伝子によってコーディングされるタンパク質であり、神経成長因子ファミリーの重要なメンバーであり、末梢及び中枢神経系のニューロンに栄養を与えることができ、既存のニューロンの生存に役立つだけでなく、新生ニューロンの生存、分化及びシナプス結合を促進することもできる。
【0004】
現在、絹フィブロインのみで構築された組織工学スキャフォールドは、機能が単一であり、神経組織の回復を促進する作用が限られている。神経移植片を栄養因子(例えば、NGF)に浸漬させるか、又は絹フィブロインと混合した後に冷凍乾燥して導管を形成することで、初期段階で良好な神経成長促進作用を達成した研究があるが、その神経成長促進作用が経時的に弱くなっていき、それらの使用も栄養因子の体内での不安定性及び限られた供給源により大きく制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術の欠点に対して、神経保護因子3(NT-3)の活性ペプチド断片及び絹フィブロイン軽鎖のペプチド断片を結合して融合タンパク質を構成し、この融合タンパク質をベースとして絹フィブロインの自己組織化を行い、これにより良好な機械的支持作用を果たすと共に神経保護機能を長時間安定的に持続することができる新規な神経移植片を得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術的解決手段は以下のとおりである。
【0007】
NT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法は、
絹フィブロイン軽鎖及びNT-3を含む遺伝子断片を合成してpET-30発現ベクターに結合し、得られた組換え発現ベクターをBL21大腸菌に形質転換して、融合タンパク質を得るステップと、
融合タンパク質及び絹フィブロイン溶液を混合して、混合タンパク質溶液を得、絹繊維ネットを鋳型内に置き、混合タンパク質溶液を鋳型に注ぎ込んで冷凍乾燥して、神経導管を形成するステップと、変形処理した後、最終的にNT-3活性を有する絹フィブロイン神経移植片を得るステップと、を含む。さらに、前記絹繊維ネットは絹繊維用編機で編まれる。
【0008】
さらに、前記絹フィブロイン溶液の調製方法は、絹繊維をチオシアン酸リチウム溶液に入れて溶解させ、溶解後の溶液を透析用袋に入れ、三重蒸留水を透析液として60~80時間透析し、絹フィブロイン溶液を得るものである。
【0009】
さらに、前記絹繊維の製造方法は、カイコ糸を炭酸ナトリウム溶液に入れて20分間以上煮沸し、取り出した後、三重蒸留水で十分に洗浄する、という工程を2~4回繰り返し、外部セリシンを除去した絹繊維を得るものである。
【0010】
さらに、融合タンパク質及び絹フィブロイン溶液の濃度は5%-40%であり、融合タンパク質及び絹フィブロインの質量割合は1:99~50:50である。
【0011】
さらに、変形処理は、60%エタノール中の浸漬で10~14h処理するものである。
【0012】
さらに、透析用袋の分画分子量は12~16kDaである。
【0013】
さらに、冷凍乾燥の温度は-70℃である。
【0014】
さらに、チオシアン酸リチウム溶液の濃度は9mol/Lである。
【0015】
本発明は、上記製造方法によって製造されるNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片をさらに提供する。
【発明の効果】
【0016】
従来技術は、主に神経栄養因子をスキャフォールドに吸着させるか又は共有結合する結合方法を使用しているが、本発明では、NT-3の生物活性断片及び軽鎖絹フィブロインは融合タンパク質において同時発現され、該融合タンパク質は、絹フィブロインを主体としてNT-3の有効成分を融合したものであり、絹フィブロインと共に絹フィブロイン導管に固定化可能である。本発明により、絹フィブロインの成分を変更せずに、神経保護及び神経再生促進の作用を長時間持続することが可能になる。
【0017】
本発明では、絹フィブロインを主材、NT-3活性ペプチド断片を融合した絹フィブロイン軽鎖を副材として使用し、加工プロセスにおいて、架橋剤、界面活性剤等のような有毒・有害な物質は一切添加しないため、良好な生体適合性を有する。
【0018】
本発明に記載の絹フィブロイン融合タンパク質は、神経組織細胞とインビトロで共培養する場合、形態学的観察及びNT-3関連因子の発現分析において、いずれも顕著な成長促進作用を示しており、そのうちFIBL-NT3-L-NT3の活性が最も高い。
【0019】
本発明に記載の絹フィブロイン導管は、絹フィブロインの結晶化前にNT-3機能性ペプチド断片を融合した絹フィブロイン軽鎖が導入されるため、絹フィブロインの自己組織化プロセスにおいて、NT-3活性ポリペプチドは、絹フィブロイン軽鎖と共に絹フィブロイン導管内に固定化され、機械的支持作用を果たすと共に神経保護及び神経再生促進の作用を長時間持続することができ、また、実際の状況に応じて神経導管におけるNT-3活性ペプチドの割合を調整することもでき、神経損傷の修復に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】インビトロで培養した背側根神経節の神経突起成長に対する異なる設計のNT3含有融合タンパク質の影響である。
図2】インビトロで培養した背側根神経節の神経突起成長に対する異なる設計のNT3含有融合タンパク質の影響である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例1)
NT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法であって、以下のステップを含む。
【0022】
ステップ1で、絹フィブロイン融合タンパク質の発現及び精製を行い、具体的には、組換え発現ベクターを構築し、目的タンパク質を発現してから精製する。
【0023】
ステップ2で、カイコ絹繊維を取得し、具体的には、カイコ生糸を取り、セリシンを除去し、カイコ絹繊維を得る。
【0024】
ステップ3で、絹フィブロイン溶液を調製する。
【0025】
ステップ4で、絹繊維ネットを製造する。
【0026】
ステップ5で、絹繊維ネットを鋳型内に置き、ステップ1及び3で得られたタンパク質溶液を混合してから鋳型に注ぎ込み、冷凍乾燥して絹フィブロインを自己組織化させて、神経導管を形成する。
【0027】
(実施例2)
NT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法であって、以下のステップを含む。
【0028】
ステップ1で、組換え発現ベクターを構築し、具体的には、絹フィブロイン軽鎖及びNT-3を含む遺伝子断片を合成してpET-30発現ベクターに結合し、組換え発現ベクターの構築を完了させる。タグ(tag)及びlinkerを含む異なる融合タンパク質の配列を以下に示す。
【0029】
融合タンパク質の配列(N端Hisタグ及びフレキシブルLinkerを含む)
FIBL Protein Length=253 MW=26898.8 pI=6.10
MHHHHHHAPSVTINQYSDNEIPRDIDDGKASSVISRAWDYVDDTDKSIAILNVQEILKDMASQGDYASQASAVAQTAGIIAHLSAGIPGDACAAANVINSYTDGVRSGNFAGFRQSLGPFFGHVGQNLNLINQLVINPGQLRYSVGPALGCAGGGRIYDFEAAWDAILASSDSSFLNEEYCIVKRLYNSRNSQSNNIAAYITAHLLPPVAQVFHQSAGSITDLLRGVGNG NDATGLVANAQRYIAQAASQVHV
FIBL-NT3 Protein Length=372 MW=40503.7 pI=7.39
MHHHHHHAPSVTINQYSDNEIPRDIDDGKASSVISRAWDYVDDTDKSIAILNVQEILKDMASQGDYASQASAVAQTAGIIAHLSAGIPGDACAAANVINSYTDGVRSGNFAGFRQSLGPFFGHVGQNLNLINQLVINPGQLRYSVGPALGCAGGGRIYDFEAAWDAILASSDSSFLNEEYCIVKRLYNSRNSQSNNIAAYITAHLLPPVAQVFHQSAGSITDLLRGVGNGNDATGLVANAQRYIAQAASQVHVYAEHKSHRGEYSVCDSESLWVTDKSSAIDIRGHQVTVLGEIKTGNSPVKQYFYETRCKEARPVKNGCRGIDDKHWNSQCKTSQTYVRALTSENNKLVGWRWIRIDTSCVCALSRKIGRT
FIBL-linker-NT3 Protein Length=382 MW=41134.1 pI=7.39
MHHHHHHAPSVTINQYSDNEIPRDIDDGKASSVISRAWDYVDDTDKSIAILNVQEILKDMASQGDYASQASAVAQTAGIIAHLSAGIPGDACAAANVINSYTDGVRSGNFAGFRQSLGPFFGHVGQNLNLINQLVINPGQLRYSVGPALGCAGGGRIYDFEAAWDAILASSDSSFLNEEYCIVKRLYNSRNSQSNNIAAYITAHLLPPVAQVFHQSAGSITDLLRGVGNGNDATGLVANAQRYIAQAASQVHVGGGGSGGGGSYAEHKSHRGEYSVCDSESLWVTDKSSAIDIRGHQVTVLGEIKTGNSPVKQYFYETRCKEARPVKNGCRGIDDKHWNSQCKTSQTYVRALTSENNKLVGWRWIRIDTS CVCALSRKIG RT
FIBL-(NT3)2 Protein Length=501 MW=54739.0 pI=8.28
MHHHHHHAPSVTINQYSDNEIPRDIDDGKASSVISRAWDYVDDTDKSIAILNVQEILKDMASQGDYASQASAVAQTAGIIAHLSAGIPGDACAAANVINSYTDGVRSGNFAGFRQSLGPFFGHVGQNLNLINQLVINPGQLRYSVGPALGCAGGGRIYDFEAAWDAILASSDSSFLNEEYCIVKRLYNSRNSQSNNIAAYITAHLLPPVAQVFHQSAGSITDLLRGVGNGNDATGLVANAQRYIAQAASQVHVYAEHKSHRGEYSVCDSESLWVTDKSSAIDIRGHQVTVLGEIKTGNSPVKQYFYETRCKEARPVKNGCRGIDDKHWNSQCKTSQTYVRALTSENNKLVGWRWIRIDTSCVCALSRKIGRTGGGGSGGGGSYAEHKSHRGEYSVCDSESLWVTDKSSAIDIRGHQVTVLGEIKTGNSPVKQYFYETRCKEARPVKNGCRGIDDKHWNSQCKTSQTYVRA LTSENNKLVGWRWIRIDTSCVCALSRKIGRT
【0030】
ステップ2で、融合タンパク質の発現及び精製を行い、具体的には、ステップ1で得られた組換え発現ベクターをBL21大腸菌に形質転換し、37℃で誘導発現した後、超音波粉砕し、Ni-NTAで融合タンパク質を精製して同定を行い、融合タンパク質を得る。
【0031】
ステップ3で、適量のカイコ糸を0.2%の炭酸ナトリウム溶液に入れて30分間煮沸し、取り出した後、三重蒸留水で十分に洗浄する、という工程を3回繰り返し、外部セリシンを除去した絹繊維を得て、クリーンベンチに置いて乾かし、使用に備える。
【0032】
ステップ4で、絹繊維を9Mのチオシアン酸リチウム溶液に入れて溶解させ、溶解後の溶液を透析用袋(分画分子量は約14kDa)に入れ、三重蒸留水を透析液として72時間透析し、絹フィブロイン溶液を得る。
【0033】
ステップ5で、ステップ3で得られた絹繊維を編機で絹繊維ネットとして編む。
【0034】
ステップ6で、ステップ2で得られた融合タンパク質及びステップ4で得られた絹フィブロイン溶液を所定の割合で混合し、混合タンパク質溶液を得、混合タンパク質溶液の濃度を5%-40%にし、融合タンパク質及び絹フィブロインの質量割合を1:99~50:50にし、ステップ5で得られた絹繊維ネットを鋳型内に置き、混合タンパク質溶液を鋳型に注ぎ込んで-70℃で冷凍乾燥し、絹フィブロイン、融合タンパク質及び絹繊維ネットを架橋させて神経導管を形成する。
【0035】
ステップ7で、60%エタノール中の浸漬で12h変形処理し、三重蒸留水で洗浄してから乾かし、最終的にNT-3活性を有する絹フィブロイン神経移植片を得る。
【0036】
図1は、NT-3、FIBL、FIBL-NT3、FIBL-linker-NT3、FIBL-(NT3)を融合した絹フィブロインによるDRG軸索の成長促進を示す図であり、図2はその統計図であり、統計図のデータは、各グループの30個のニューロン軸索の長さを計数した平均値によるものである。図から分かるように、ブランクグループに比べて、NT3は細胞の軸索成長を促進することができ、FIBL-NT3、FIBL-linker-NT3、FIBL-(NT3)は軸索の成長をさらに効果的に促進することができる。
【0037】
(付記)
(付記1)
絹フィブロイン軽鎖及びNT-3を含む遺伝子断片を合成してpET-30発現ベクターに結合し、得られた組換え発現ベクターをBL21大腸菌に形質転換して、融合タンパク質を得るステップと、
融合タンパク質及び絹フィブロイン溶液を混合して、混合タンパク質溶液を得、絹繊維ネットを鋳型内に置き、混合タンパク質溶液を鋳型に注ぎ込んで冷凍乾燥して、神経導管を形成するステップと、変形処理した後、最終的にNT-3活性を有する絹フィブロイン神経移植片を得るステップと、を含む、ことを特徴とするNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【0038】
(付記2)
前記絹繊維ネットが絹繊維用編機で編まれる、ことを特徴とする付記1に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【0039】
(付記3)
前記絹フィブロイン溶液の調製方法は、絹繊維をチオシアン酸リチウム溶液に入れて溶解させ、溶解後の溶液を透析用袋に入れ、三重蒸留水を透析液として60~80時間透析し、絹フィブロイン溶液を得るものである、ことを特徴とする付記1に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【0040】
(付記4)
前記絹繊維の製造方法は、カイコ糸を炭酸ナトリウム溶液に入れて20分間以上煮沸し、取り出した後、三重蒸留水で十分に洗浄する、という工程を2~4回繰り返し、外部セリシンを除去した絹繊維を得るものである、ことを特徴とする付記2又は3に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【0041】
(付記5)
混合タンパク質溶液の濃度が5%-40%であり、融合タンパク質及び絹フィブロインの質量割合が1:99~50:50である、ことを特徴とする付記1に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【0042】
(付記6)
変形処理は、60%エタノール中の浸漬で10~14h処理するものである、ことを特徴とする付記1に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【0043】
(付記7)
透析用袋の分画分子量が12~16kDaである、ことを特徴とする付記1に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【0044】
(付記8)
冷凍乾燥の温度が-70℃である、ことを特徴とする付記1に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【0045】
(付記9)
チオシアン酸リチウム溶液の濃度が9mol/Lである、ことを特徴とする付記1に記載のNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片の製造方法。
【0046】
(付記10)
付記1から9のいずれか1つに記載の製造方法で製造される、ことを特徴とするNT3を融合した絹フィブロイン神経移植片。
図1
図2
【国際調査報告】