(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-05
(54)【発明の名称】複合材廃棄物を処理するための装置
(51)【国際特許分類】
B29B 17/04 20060101AFI20220928BHJP
C08J 11/06 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B29B17/04 ZAB
C08J11/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505219
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(85)【翻訳文提出日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 AT2020060271
(87)【国際公開番号】W WO2021011976
(87)【国際公開日】2021-01-28
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522031892
【氏名又は名称】ラダニチュ・イェルク
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ラダニチュ・イェルク
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AD08
4F401CA14
4F401CA84
4F401CB40
4F401DB01
(57)【要約】
複合材廃棄物を処理するための装置。
複合材廃棄物のための寸断設備(2)、寸断された複合材廃棄物の温度調節のための後続の温度調節域(3)、及び複合材廃棄物圧縮物を生成するための成形設備(4)を備えた、複合材廃棄物、特に炭素繊維強化廃棄物を処理するための装置が提案される。複合材廃棄物がどのようなものかには関係なく、有害な複合材廃棄物をゴミ処理場に投棄するための費用節約的でかつ環境に優しい代替手段をリサイクルプラントを持たない企業にも提供するために、寸断設備(2)、温度調節域(3)及び成形設備(4)を、少なくとも本質的に気密に閉じられておりかつ移動可能な作業空間(1)中に配置することが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材廃棄物のための寸断設備(2)、寸断された複合材廃棄物の温度調節のための後続の温度調節域(3)、及び複合材廃棄物圧縮物を生成するための成形設備(4)を備えた、複合材廃棄物、特に炭素繊維強化廃棄物を処理するための装置であって、前記寸断設備(2)、温度調節域(3)及び成形設備(4)が、少なくとも本質的に気密に閉じられておりかつ移動可能な作業空間(1)中に配置されていることを特徴とする、前記装置。
【請求項2】
寸断の際に発生するダストを分離するための粒子分離器(6)が前記寸断設備(2)に取り付けられており、この際、寸断の際に発生するダストを分離するために、搬送ライン(5)が粒子分離器(6)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の複合材廃棄物を処理するための装置。
【請求項3】
粒子分離器(6)が、(場合によりバインダーと混合された)分離された粒子を寸断された複合材廃棄物に加えるための供給デバイス(8)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の複合材廃棄物を処理するための装置。
【請求項4】
温度調節域が、寸断された複合材廃棄物を温度調節域(3)を通して成形設備(4)に搬送するための搬送デバイス(10)を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一つに記載の複合材廃棄物を処理するための装置。
【請求項5】
複合材廃棄物圧縮物の中間貯蔵のために、エアロックを介して作業空間(1)に接続された貯蔵空間(13)が設けられていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一つに記載の複合材廃棄物を処理するための装置。
【請求項6】
複合材廃棄物-及びプロセスパラメータの測定のための制御ユニットに接続されたセンサー(16)が、寸断設備(2)、温度調節域(3)及び粒子分離器(6)に設置されており、この際、少なくとも寸断設備(2)、温度調節域(3)及び成形設備(4)の稼働パラメータは、測定されたプロセスパラメータに応じて制御ユニットを介して制御可能であることを特徴とする、請求項2~5のいずれか一つに記載の複合材廃棄物を処理するための装置。
【請求項7】
複合材廃棄物、特に炭素繊維強化廃棄物を処理するにあたって、複合材廃棄物を第一のプロセスステップにおいて寸断設備(2)によって寸断し、次いで、温度調節域(3)において温度調節し、次いで、成形設備(4)によってプレス加工して複合材廃棄物圧縮物とする方法であって、前記プロセスステップを、少なくとも本質的に気密に閉じられておりかつ移動可能な作業空間(1)中で行うことを特徴とする前記方法。
【請求項8】
複合材廃棄物の寸断の際に発生するダストを吸引しそして粒子分離器(6)中で分離し、その後、分離されたダストを、供給デバイス(8)を介して、寸断された複合材廃棄物に加えることを特徴とする、請求項7に記載の複合材廃棄物を処理するための方法。
【請求項9】
少なくとも寸断設備(2)、温度調節域(3)及び成形設備(4)の稼働パラメータの制御が、センサー(16)によって記録された複合材廃棄物-及びプロセスパラメータに応じて制御ユニット(17)を介して行われることを特徴とする、請求項7または8に記載の複合材廃棄物を処理するための方法。
【請求項10】
センサー(16)によって記録された複合材廃棄物-及びプロセスパラメータをベースにして、計算ユニット(18)に格納されたプロセスシミュレーションを行い、その後、パラメータを変えることによって仮想の稼働パラメータを最適化し、そして見出された解を、制御ユニット(17)を用いた寸断設備(2)の制御並びに温度調節域(3)の稼働パラメータ及び成形設備(4)の制御のために使用することを特徴とする、請求項9に記載の複合材廃棄物を処理するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材廃棄物のための寸断設備、寸断された複合材廃棄物の温度調節のための後続の温度調節域、及び複合材廃棄物のプレス加工物を作製するための成形設備を備える、複合材廃棄物、特に炭素繊維強化及びガラス繊維強化廃棄物を処理するための装置に関する。更に本発明は、複合材廃棄物、特に炭素繊維強化廃棄物を処理するための方法であって、複合材廃棄物を、第一のプロセスステップにおいて寸断設備によって寸断し、次いで、温度調節域において温度調節し、その後、成形設備によってプレス加工して、複合材廃棄物のプレス加工物とする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材は、複数種の材料から構成される加工製作原料であり、それらの材料特性は、各々の個々の材料の性質とは異なるものである。この際、広く知られた複合材は、本質的にプラスチックマトリックス中に埋設された炭素繊維から構成される炭素繊維強化プラスチック(CFK)、口語的には炭素繊維またはカーボン、及びプラスチックマトリックス中に埋設されたガラス繊維から構成されるガラス繊維強化プラスチック(GFK)を形成する。CFKまたはGFK部材を製造するためには、プレプレグを使用することが知られている。プレプレグは、繊維マトリックス半製品であり、これは、圧力及び温度処理して初めて硬化または架橋して、それらの所望の材料特性を得るものである。通常は、このようなプレプレグは、大型のロール上に巻き取られ、そして製造業者の都合に合わせて切断され、そのため当然ながら、多量の裁断くずを生む。しかしながら、プリプレグのタイプに応じて、これらは、可燃性が高い溶剤などの種々の添加剤を含み、皮膚刺激をもたらし、そしてヒトの気道に入ると致命的である場合がある。従って、複合材料、特にプリプレグは、規制に従って廃棄またはリサイクルしなければならない。
【0003】
架橋されていない炭素繊維強化プリプレグをリサイクルする方法は、US20190054662A1(特許文献1)から知られており、そこでは、架橋されていないプリプレグ廃棄物を最初に裁断し、次いで金型に充填し、最後に熱間成形に付す。しかし、その欠点は、この方法は、架橋されていない炭素繊維強化プリプレグのみを対象とする点にある。しかしながら、複合材の製造または再利用の枠内では、異なる性質の廃棄物が生じ、その安全な加工は、費用のかさむ拡張無しでは、従前既知の方法及び装置では達成できない。特に、小規模企業は、そのような特別な装置または特別な方法を実現することができず、そのために、多くの場合に、廃棄物の投棄が好まれる。しかし、他方で、これは、揮発性で有毒な成分が、ゴミ処理場へ輸送する時に既に、未処理の状態で放出されるという欠点を有する。
【0004】
DE4106942A1(特許文献1)は、寸断設備及び押出機を備えた、プラスチック廃棄物を処理するための装置を示している。この際、個々の製造ユニットは、それぞれ輸送ユニット内において環境から隔離されている。それの欠点は、一方で、押出機を用いた複合材廃棄物の成形は、複合材廃棄物の硬化された状態のために、他方では残留繊維の存在の故に、可能ではない点にある。更に、この装置は、個々の製造ユニットの組み立てのために専門家を必要とする、なぜならば、さもなくば、組み立てが規定通りでない場合に、揮発性で毒性の物質が、環境に放出されるかもしれないからである。
【0005】
EP2108495A1(特許文献2)からは、複合材廃棄物圧縮物を生成するための成形設備を備えた、複合材廃棄物の圧縮のための装置が知られている。成形設備の後には、温度調節域及び寸断設備を接続できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE4106942A1
【特許文献2】EP2108495A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、本発明は、複合材廃棄物がどのようなものであっても、有害な複合材廃棄物をゴミ処理場に投棄するための費用節約的でかつ環境に優しい代替手段をリサイクルプラントを持たない企業にも提供する、冒頭に述べたタイプの装置を提供するという課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、寸断設備、温度調節域及び成形設備を、少なくとも本質的に気密に閉じられておりかつ移動可能な作業空間中に配置することによって、上記の設定された課題を解消する。これらの手段の結果として、該装置は、様々な企業によって一時的にかつ場所の制限なしに利用することができる。該移動可能な装置は、移動可能な作業空間が容器として例えばトラック上に形成される場合には貸し出すこともでき、この場合は、地方自治体の廃棄物管理団体の設立も考慮される。更なる安全予防策を講じる必要なく該装置を任意の場所に設置できるように、作業空間は本質的にその周囲からは気密の状態で分離される。本質的には、これは、装填および取出しのためのエアロックもしくはフラップ、または作業空間を貫通するフレッシュエアー用または排気用の導管などを設け得ることを意味する。この際、作業空間は、寸断設備、例えばシュレッダーまたはギロチンとして構成し得る寸断装置のためのコンパクトで移動可能な部屋を供する。当然ながら、当業者には明白な他の寸断設備、並びに複数の既知の寸断設備の組み合わせも企図することができる。残渣を残さずかつ効率的な寸断に関しての有利な条件は、スプレーミストの導入のためのノズルが寸断設備に設けられ、それにより、寸断の時に発生したダストを結合できるようにした時に、与えられる。更に、寸断設備、または寸断設備が設置されたハウジングの一区画が冷却され、それにより、まだ未硬化の複合材廃棄物の寸断が促進されるようになっている場合も有利であり得る。同じく作業空間に設置された温度調節域は、寸断された複合材廃棄物を熱的に及び/または化学的に処理する反応空間である。好ましくは、温度調節域の温度、並びに温度調節域内における複合材廃棄物の滞留時間は、毒性の有害物質、例えば溶剤が追い出されるように選択される。それにより、プレプレグの架橋、並びに全てのタイプの複合材廃棄物の毒性及び可燃性の本発明による低下が生じる。単に、複合材成分、例えば合成樹脂を硬化しかつ燃焼しないようにするために、(例えば、高炉ルートまたは製鉄所で還元剤、炭素担体、増炭剤または燃料として使用し得る)加工処理された製品をできるだけ高い熱量で得るために、温度域中の温度は複合材廃棄物に依存して変えられる。プロセス系統において温度調節域に後続する成形設備は、最も簡単な場合にはペレット化プレス機であることができるが、但し、該成形設備は、包装のためだけに、それ故、プレス加工されていない複合材廃棄物をゴミ袋に充填するためだけに使用することも考え得る。プレス加工されていない複合材廃棄物を包装する場合は、温度調節域と成形設備との間の振動プレート、ジョークラッシャーまたはシュレッダーの設置を企図することができ、そうして、複合材廃棄物の流れ易さが高められる。
【0009】
ヒトの健康にリスクのある、特に肺吸入性の有害物質に関する法定の年間及び日平均値を遵守するためには、寸断の際に発生したダストを分離するための粒子分離器を寸断設備に取り付けることが提案され、この場合、寸断の際に発生したダストを分離するために、搬送ラインが粒子分離器に接続される。この際、搬送ラインは、閉じられた循環系として作業空間内に形成することができる。しかし、例えば寸断中に強い発熱が生じ得るために、搬送ラインは、第一のフレッシュエアー供給ラインのところで作業空間を貫通し、そしてこのフレッシュエアー供給ラインは寸断設備を介して粒子分離器と接続させることができる。この場合、吸引された空気は、寸断設備の冷却のために使用され、そして同時に、生じたダストを粒子分離器に輸送し、そこで、肺吸入性の有害物質が分離される。清浄された空気は、作業空間内に循環されるか、または排気ラインを介して作業空間を出る。粒子分離器としては、例えばサイクロンまたは濾過式分離器を企図することができる。有利には、濾過式分離器は、セラミックフィルターとして構成される、というのも、それによって、炭素及びガラス繊維強化された廃棄物による静電気帯電が回避され、そして生じるフィルターケーキの清浄が促進されるからである。
【0010】
異なる材料特性の複合材廃棄物を処理する場合でも非常に均一な生成物が生成され、また同時に、本発明による装置のまたはそれと結びつく方法の生成物の収率が最大化されるようにプロセス系統を設計できるようにするために、粒子分離器は、(場合によってはバインダーと混合された)分離した粒子を、寸断された複合材廃棄物に加えるための供給装置を備えることができる。それにより、寸断の際に生じたダストが、該プロセスに再び導入され、再使用され、そして特に、(特にバインダーまたは水と混合されている場合には)化学的及び熱的に処理された複合材廃棄物のための接着剤として作用する。このようにして、プレプレグ、繊維材料、樹脂残渣及びリサイクルされるべき物などの非常に様々な複合材廃棄物も、均一な最終製品に再利用することができる。
【0011】
プロセス技術的に特に有利な条件は、温度調節域が、寸断された複合材廃棄物を温度調節域を介して成形設備に搬送するための搬送デバイスを有する時に与えられる。この搬送デバイスは、例えば、スクリューコンベア、コンベアベルトまたは振動コンベアであることができる。後者は、異なる粒径の複合材廃棄物を分級するためにも使用することができる。
【0012】
加工処理された生成物の該装置からの簡単な取り出しを可能とするためには、複合材廃棄物圧縮物の中間貯蔵のために、エアロックを介して作業空間に接続された貯蔵空間を設けることが提案される。従って、この貯蔵空間は、作業空間本体からは隔離され、それにより、何時でも危険を冒すことなくそれに立ち入ることができる。前記エアロックは、最も簡単な場合には、シールされたフラップであることができる。包装された製品の取り出しは、バッチ式にまたは連続式に行うことができる。本発明による装置の好ましい設計の一つでは、前記貯蔵空間は温度調節することができ、それにより、包装及び処理された複合材廃棄物の完全な架橋または硬化が保証される。このようにして、例えば、未だ完全に硬化されていない複合材廃棄物を、成形またはプレス加工の前に、バインダーの代替品として使用することができる。この場合、完全な架橋は、貯蔵空間中で初めて達成される。
【0013】
該装置の大部分を自動化して稼働できるようにするためには、本発明による装置の特に実際的な実施形態では、寸断設備、温度調節域及び粒子分離器には、複合材廃棄物-及びプロセスパラメータの測定のための、制御ユニットに接続されたセンサーが設置されることが推奨され、この場合、少なくとも寸断設備、温度調節域及び成形設備の稼働パラメータは、測定されたプロセスパラメータに依存して、制御ユニットを介して調節可能である。プロセスパラメータは、例えば、寸断設備中に使用されたロータの回転数、温度調節域及び寸断設備中の温度、温度調節域中に配置された搬送デバイスの搬送速度、温度調節域中での複合材廃棄物の滞留時間、複合材廃棄物圧縮物の生成のための成形設備によって印加される圧力、粒子分離器における圧力低下、排気の有害物質濃度または負荷量、及び当業者には明らかでかつプロセス制御にとって重要な他のプロセスパラメータであることができる。複合材廃棄物パラメータは、例えば、粒子直径、嵩密度、燃料比、及び当業者には明らかでかつ複合材廃棄物特性の評価に重要な複合材廃棄物パラメータであることができる。記録されたデータは、制御ユニットによって記録され、加工され、そして稼働パラメータの調節のための所与の設定値に基づいて使用される。この際、設定値は、複合材廃棄物の種類に応じて変わり得る。
【0014】
該装置は、複合材廃棄物、特に炭素繊維強化及びガラス繊維強化廃棄物を処理するにあたって、複合材廃棄物を第一のプロセスステップにおいて寸断設備によって寸断し、次いで、温度調節域において温度調節し、次いで、成形設備によってプレス加工して複合材廃棄物圧縮物とする方法であって、前記プロセスステップを、少なくとも本質的に気密に閉じられておりかつ移動可能な作業空間中で行うことを特徴とする方法の実行のために使用できる。
【0015】
複合材廃棄物の処理の際の付加価値を高めることができるようにするために、複合材廃棄物の寸断の際に生じるダストを吸い取りそして粒子分離器中で分離し、それにより、分離されたダストを供給デバイスを介して、寸断された複合材廃棄物に加えるようにすることが提案される。
【0016】
この際、本発明による方法のほぼ自動化された制御は、少なくとも寸断設備、温度調節域及び成形設備の稼働パラメータの制御が、制御ユニットを介して、センサーによって記録された複合材廃棄物-及びプロセスパラメータに依存して行われる場合に、達成できる。
【0017】
この場合、本発明による方法の制御は、センサーによって記録された複合材廃棄物-及びプロセスパラメータをベースにして、計算ユニットに格納されたプロセスシミュレーションを行い、その後、パラメータを変えることによって仮想の操業パラメータを最適化し、そして見出された解を、制御ユニットを用いた寸断設備の制御並びに温度調節域及び成形設備の稼働パラメータの制御のために使用した時に、特に正確になる。複合材廃棄物パラメータをベースとして、処理すべき複合材廃棄物のいわゆる仮想ツインがモデル化され、その処理は、プロセスシミュレーション及び記録された稼働パラメータを用いて計算される。パラメータを変えることによって、所与の設定値の達成、例えば処理された生成物の熱量または排気を介して放出される有害物質の限界値の達成のために必要な稼働パラメータを計算でき、そしてこれを、実際の設備(寸断設備、温度調節域、搬送デバイス、成形設備、粒子分離器)の制御のために制御ユニットによって使用できる。プロセス最適化のための計算されたデータは中央記録装置に格納でき、そして他の本発明による装置の本発明による方法の制御のために使用できる。それにより、本発明による複数の装置を互いに連絡させることができ、そして人工知能の意味で互いに学習させることができ、それにより、プロセスの最適化が連続的に達成される。仮想ツインを用いた上述のプロセスシミュレーションが、複合材廃棄物、特に炭素繊維強化廃棄物の処理のための方法に制限されないことは更に説明する必要はないであろう。
【0018】
図面において、本発明の対象を例示的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、複合材廃棄物、特に炭素繊維強化廃棄物の処理のための本発明の装置を部分断面の側面図として示したものである。
【
図2】
図2は、該装置の更なる実施形態を示すものであり、見やすさの理由から、粒子分離器及び該装置を輸送するためのトラックは示していない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明による装置は、本質的に気密に閉じられかつ移動可能な作業室1を有し、そこには、寸断設備2、温度調節域3及び(複合材廃棄物を次いで包装するためにも使用できる)成形設備4が配置されている。
【0021】
寸断装置2は、搬送ライン5を介して粒子分離器6、例えば濾過式分離器に接続され、それにより、寸断の際に生じるダストが分離され、排気ライン7aからは放出されない。
【0022】
この際、供給装置8を粒子分離器6に設置でき、この供給装置8は、分離されたダストを、これをバインダー貯蔵容器9から取り出されたバインダーと混合した後に、寸断された複合材廃棄物上に載せる。
【0023】
温度調節域3は、寸断された複合材廃棄物を温度調節域3を通して成形設備4にまで搬送するための搬送デバイス10を有する。温度調節域における温度の調節は、加熱コイル11により行うことができる。温度調節装置は反応空間として見なすことができ、そこでは、毒性の物質が複合材廃棄物から追い出され、そして熱的に処理される。追い出されたガスは、場合によっては空気浄化機構12によって後処理されてから、排気ライン7bを介して作業室1を出る。
【0024】
加えて、作業空間1には貯蔵室13を接続でき、この貯蔵室13は、寸断設備2と類似して、エアロックとして機能するフラップ14によって、作業室1から隔離されている。貯蔵室13への立ち入りは、戸口15によって可能である。
【0025】
プロセス制御の概自動化及び最適化のためには、寸断設備2、温度調節域3、粒子分離器6に、複合材廃棄物-及びプロセスパラメータの測定のためのセンサー16を設置し、これらのセンター16は制御ユニット17に接続されている。制御ユニット17は、求めたデータを計算ユニット18に伝えることができ、そして所与の設定値に基づいて、寸断設備2、温度調節域3、搬送デバイス10、成形設備4、粒子分離器6、連続流動機19及び図示されていない任意選択の弁を制御することができる。加えて、計算ユニット18は、他の本発明による装置の他の計算ユニットと連絡することができ、それの求められたデータは、同様にプロセス最適化のために使用することができる。
【0026】
図2から分かるように、温度調節域3は、任意選択の分離デバイス20によって、異なる温度の複数の温度調節域3a、3b、3cに分割することができる。個々の分離域3a、3b、3cは、それぞれに設置された加熱コイル11a、11b、11cによって温度調節される。空気またはプロセスガスの流れは、排気ライン7bの弁21を介して制御でき、そうして様々な温度のプロセスガスを、空気浄化機構12を通して、寸断設備2のハウジングに戻すことができる。このようにして、複合材廃棄物、特に炭素繊維強化廃棄物の硬化及び架橋を、プロセスガス循環により制御することができる。
【0027】
更に、
図2には、複数の寸断設備2の可能な組み合わせが示されている。この場合、硬化されていない材料、特にプレプレグのためのギロチン、その後の、硬化した材料のためのシュレッダーが使用される。
【国際調査報告】