(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-05
(54)【発明の名称】電解セルおよび電解セルの製造方法
(51)【国際特許分類】
C25B 9/60 20210101AFI20220928BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20220928BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20220928BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20220928BHJP
C25B 9/63 20210101ALI20220928BHJP
H01M 8/0656 20160101ALI20220928BHJP
【FI】
C25B9/60
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/23
C25B9/63
H01M8/0656
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505526
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2020066091
(87)【国際公開番号】W WO2021018459
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】プロープナー, ローラント
(72)【発明者】
【氏名】シュピース,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シュトラウブ, ヨッヘン
【テーマコード(参考)】
4K021
5H127
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA01
4K021CA02
4K021CA15
4K021DB31
4K021DB46
4K021DB47
4K021DB53
5H127BA02
5H127BA14
5H127EE12
(57)【要約】
要約
本発明は、セルフレームを備えた電解セル、および、電解セルの製造方法に関する。このセルフレームは階段状の内部プロファイルを有する。この内側プロファイルは、セルフレーム内に平面状の構成要素を受け入れるための少なくとも1つの支持面を含む。この支持面にはシール用の凹部がある。まず、この凹部にシールを配置する。次いで、膜-電極ユニット、第1のガス拡散層および導電性閉鎖層が、セルフレーム内に導入される。次いで、セルフレームを回転させ、第2のガス拡散層を被着する。このようにして製造された電解セルは、シールおよび複数の異なる層を備えたセルフレームを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルフレーム(100)と、
第1のシール(6)と、
膜-電極ユニット(7)と、
第1のガス拡散層(8)と、
第2のガス拡散層(11)と、
導電性閉鎖層(9)と、
を備えた電解セル(1)であって、
前記セルフレーム(100)が階段状の内部プロファイル(101)を有し、前記階段状の内部プロファイル(101)がセルフレーム(100)内に平面状の構成要素を受け入れるための少なくとも1つの支持面(102)を含み、前記支持面(102)がシール(6)用の凹部(103)を含んでおり、
前記第1のシール(6)が前記支持面(102)の前記凹部(103)内に配置されており、
前記膜-電極ユニット(7)が前記セルフレーム(100)の支持面(102)および前記シール(6)を覆っており、
前記第1のガス拡散層(8)が前記膜-電極ユニット(7)の第1の面と接しており、
前記第2のガス拡散層(11)が前記膜-電極ユニット(7)の第2の面と接しており、
前記導電性閉鎖層(9)が前記第1のガス拡散層(8)の上に配置されており、前記セルフレーム(100)と強固に結合されている電解セルにおいて、
前記膜-電極ユニット(7)および前記第1のガス拡散層(8)の外形輪郭が前記シール(6)を越えて突き出ている、電解セル(1)。
【請求項2】
前記膜-電極ユニット(7)、前記第1のガス拡散層(8)および前記第2のガス拡散層(11)の大きさが、前記セルフレーム(100)の前記内部プロファイル(101)によって囲まれた面積よりも小さい、請求項1に記載の電解セル(1)。
【請求項3】
前記導電性閉鎖層(9)の大きさが、前記セルフレーム(100)の前記内部プロファイル(101)によって囲まれた面積よりも大きい、請求項1または2に記載の電解セル(1)。
【請求項4】
前記セルフレーム(100)が1つの加工部材で構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の電解セル(1)。
【請求項5】
前記セルフレーム(100)が少なくとも3000cm
2の面積を囲んでいる、請求項1から4のいずれか1項に記載の電解セル(1)。
【請求項6】
前記セルフレーム(100)が電気絶縁性を有するように構成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の電解セル(1)。
【請求項7】
前記セルフレーム(100)が電気絶縁材料を含む、請求項5に記載の電解セル(1)。
【請求項8】
前記凹部内で第1のシールが前記セルフレームに強固に結合されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の電解セル(1)。
【請求項9】
フレーム上面(104)と前記導電性閉鎖層(9)との間に第2のシールが配置されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の電解セル(1)。
【請求項10】
セルフレーム(100)を準備するステップであって、前記セルフレーム(100)が階段状の内部プロファイル(101)を有し、前記階段状の内部プロファイル(101)が前記セルフレーム(100)内に平面状の構成要素を受け入れるための少なくとも1つの支持面(102)を含み、前記支持面(102)がシール(6)用の凹部(103)を含む、ステップと、
前記支持面(102)の前記凹部(103)に第1のシール(6)を配置するステップと、
前記支持面(102)上に膜-電極ユニット(7)を配置するステップであって、前記膜-電極ユニット(7)が前記セルフレーム(100)の前記支持面(102)および前記シール(6)を覆う、ステップと、
前記膜-電極ユニット(7)の第1の面上に第1のガス拡散層(8)を配置するステップであって、前記膜-電極ユニット(7)および前記第1のガス拡散層(8)の外形輪郭が前記シール(6)を越えて突き出ている、ステップと、
前記第1のガス拡散層(8)および前記セルフレーム(100)の上に、導電性閉鎖層(9)を配置するステップと、
前記導電性閉鎖層(9)を前記セルフレーム(100)に機械的に固定するステップと、
前記シール(6)、前記膜-電極ユニット(7)、前記第1のガス拡散層(8)および前記閉鎖層(9)を備えた前記セルフレーム(100)を、前記閉鎖層(9)が下側に配置されるとともに、前記膜-電極ユニット(7)が上側に配置されるように、回転させるステップと、
前記セルフレーム(100)内の前記膜-電極ユニット(7)の第2の面上に第2のガス拡散層(11)を被着するステップと、
前記セルフレーム(100)内でこれらの層を固定するステップと、
を有する電解セル(1)の製造方法。
【請求項11】
前記閉鎖層(9)の前記セルフレーム(100)への機械的固定がねじ接続(10)、リベット止めまたはクランプによって行われる、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解セルおよび電解セルの製造方法に関する。
【0002】
電解セルとは、電流を利用して物質を変換(電気分解)する装置である。多種多様な電気分解に応じて、例えば水素電解用の電解装置などの電解装置が数多く存在する。
【0003】
日照と風の多い期間の、つまり太陽光発電量または風力発電量が平均を上回る期間の再生可能エネルギー源からの余剰エネルギーを貯蔵することが現在検討されている。この貯蔵は、特に電気化学セル、とりわけ燃料電池または電解セルにより可能である。特に、リサイクル可能な物質を作ることによってエネルギーを貯蔵することができる。一つのリサイクル可能な物質は特に水素であり、これは水の電解装置で発生される。この水素を用いて、例えば、いわゆるEEガスを製造することができる。
【0004】
この場合、(水素電解の)電解装置は、特に風力エネルギーまたは太陽エネルギーからの電気エネルギーを用いて先ず水素を発生させる。次いで、この水素を二酸化炭素と共にサバティエ反応(Sabatierprozess)で使用し、メタンを生成することができる。次いで、このメタンは、例えば既設の天然ガスネットワークに供給することができ、従って、エネルギーを貯蔵し消費者に輸送することを可能とし、その結果、電力系統の負担を軽減することができる。
【0005】
あるいは、電解装置によって生成された水素を、例えば燃料電池用に直接使用することもできる。
【0006】
水素電解用の電解装置では、水が水素と酸素に分解される。PEM電解装置では、反応物質として通常は蒸留水がアノード側に供給され、プロトン交換膜(英語:「Proton-Exchange-Membrane」;PEM)において水素と酸素に分解される。この場合、水はアノードで酸化されて酸素になる。プロトンはプロトン透過膜を通過する。カソード側でプロトンが再結合して水素が生成される。
【0007】
PEM電解装置の一般的な構成は、第1のガス拡散層および第2のガス拡散層を含む。これらのガス拡散層の間にプロトン交換膜(英語:「Proton-Exchange-
Membrane」;PEM)が配置されている。すべての層が1つのセルフレーム内に配置される。セルフレーム内のこれらのガス拡散層の配置は、確実に機能する電解セルを製造するために、現時点では、不都合なことに、高い精度で実施されなければならない。これにより、構成部品の製造および組立が複雑になる。
【0008】
特許文献1は、アルカリ塩の溶液を電気分解するための電解セルを開示している。この電解セルは互いに隣り合って配置された双極電極と、電解ゾーンの少なくとも1つのチャンバーを囲む少なくとも1つの外側フレームとを含んでいる。
【0009】
シールされた複数のセルフレームを有する別の電気化学セルが、例えば、特許文献2および特許文献3に記載されている。特許文献4にPEM膜電極ユニットの製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第2533728 A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第6,117,287A号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/068208A1号明細書
【特許文献4】中国特許出願公開第107881528A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、セルフレームを備えた電解セル、および、その電解セルの製造方法を提供することにあり、この方法により、電解セルの構造およびその電解セルの製造方法を、特に、大きなセル面積に対して、簡素化し、かつ、その電気化学セルの作動中の高い信頼性を可能にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、請求項1に記載の電解セルおよび請求項10に記載の方法により解決される。
【0013】
本発明に係る電気化学セル用の、特に燃料電池または電解セル用の、セルフレームは階段状の内部プロファイルを有する。この階段状の内部プロファイルは、セルフレーム内に平面状の構成要素を受け入れるための少なくとも1つの支持面を含む。この支持面にはシール用の凹部がある。
【0014】
本発明による電解セルは、階段状の内部プロファイルを有するセルフレームを備えている。この階段状の内部プロファイルは、セルフレーム内に平面状の構成要素を受け入れるための少なくとも1つの支持面を含む。この支持面にはシール用の凹部がある。この電解セルは、さらに、支持面の凹部内に配置されたシールを有する。この電解セルは、さらに、セルフレームの支持面およびシールを覆う膜-電極ユニットを有している。この電解セルは、また、膜-電極ユニットの第1の面に接する第1のガス拡散層を有する。この電解セルは、膜-電極ユニットの第2の面に接する第2のガス拡散層をも有する。また、この電解セルは導電性閉鎖層を有し、この閉鎖層は第1のガス拡散層上に配置され、セルフレームに強固に結合されている。
【0015】
階段状の内部プロファイルがあるので、第1のガス拡散層は第2のガス拡散層の境界を越えて突き出ている。したがって、セルフレームと膜ないしこれらのガス拡散層との間のギャップ寸法を、有利に、より大きくすることができる。これは有利に、組立工程を容易にし、短縮する。さらに、膜および/または複数のガス拡散層の外側輪郭は、好都合に、自由に選択することができる。シールの十分な支持を保証するためには、膜および第1のガス拡散層の外側輪郭がシールを越えて突き出ていさえすればよい。また、このシールは好都合に、電解セルのカソード側とアノード側との間の封止をも保証する。
【0016】
本発明の有利な実施態様および展開形態において、支持面は本質的に平坦である。言い換えれば、この支持面は平面状である、すなわち、湾曲していない。この平坦な面は凹部によってのみ中断される。有利には、特にMEA(英語:「Membrane-Electrode-Assembly」;膜-電極-アセンブリ)としての膜およびこれらのガス拡散層は平らであり、したがって、支持面上に嵌め合い結合的に配置することができる。このようにして、有利に、高度のシール性能が達成される。
【0017】
本発明の別の有利な実施態様および展開形態では、このセルフレームは1つの加工部材で構成されている。換言すれば、このセルフレームは複数のコンポーネントで構成されているのではなく、1つのワークピースから作成されている。このセルフレームは、特に、1つのポリマーを含むことができる。このセルフレームは特にこのポリマーから鋳造することができる。あるいは、セルフレームを板状の原材料から機械的加工により製造することも考えられる。このセルフレームは、好ましくは、電気絶縁材料を含む。
【0018】
本発明の別の有利な実施態様および展開形態では、このセルフレームが少なくとも3000cm2の面積を囲んでいる。
【0019】
本発明の別の有利な実施態様および展開形態では、膜-電極ユニット、第1のガス拡散層および第2のガス拡散層のそれぞれの大きさが、セルフレームの内側プロファイルによって囲まれた面積よりも小さい。一方のガス拡散層の面積が他方のガス拡散層よりも大きいことが特に好ましい。すなわち、これらのガス拡散層の大きさは異なる。これらの層はセルフレームの内部プロファイルの中に入れることができる。すなわち、これらの層はセルフレームの上方に置かれているのではなく、セルフレームの内部プロファイルを囲んでいる平面内に配置されている。こうして、これらの層は、有利に、これらの層の高さがセルフレームの高さを超えないように、セルフレームの内側プロファイル内に配置することができる。言い換えれば、セルフレーム内でのこれらの層の配置はセルフレームの内部を満たすが、これらの層はセルフレームからはみ出さない。
【0020】
本発明の別の有利な実施態様および展開形態では、導電性閉鎖層の大きさは、セルフレームの内側プロファイルによって囲まれた面積よりも大きい。換言すれば、この導電性閉鎖層はセルフレーム上に配置されている。したがって、この閉鎖層は、有利に、セルフレームの上面または下面に容易に機械的に固定することができる。この層をセルフレームの内部プロファイルにおいて固定することは不要であり、このことは有利である。
【0021】
支持面がシール用の凹部を有することは、換言すれば、特に、シール用の凹部が支持面の縁部に配置されていないことを意味する。したがって、この凹部は、支持面と共通の横方向の境界を有していない。この凹部は支持面の内側に配置されている。このようにして、シールを滑らないように、すなわち、言い換えると、場所的に固定して、支持面の内側に配置することが有利に達成される。第1のシールがセルフレームに強固に結合されていると特に有利である。こうして、封止は、従来のように、セルフレームと膜および/またはガス拡散層との間の小さなギャップを介して行われるのではなく、セルフレームの支持面に配置されたシールを介して行われる。
【0022】
電解セルを製造するための本発明による方法は、いくつかのステップを含む。まず、セルフレームを準備する。このセルフレームは階段状の内部プロファイルを有する。この階段状の内部プロファイルは、セルフレーム内に平面状の構成要素を受け入れるための少なくとも1つの支持面を有する。この支持面はシール用の凹部を含む。次のステップで、シールが支持面の凹部に配置される。強固に結合された第1のシールを備えたセルフレームを使用する場合には、このステップは省略することができる。次いで、支持面上に膜-電極ユニットを配置し、この膜-電極ユニットはセルフレームの支持面およびシールを覆う。次に、第1のガス拡散層を膜-電極ユニットの第1の面上に配置する。次いで、導電性閉鎖層を第1のガス拡散層およびセルフレーム上に配置する。この閉鎖層はセルフレームに機械的に固定される。次に、シール、第1のガス拡散層の膜-電極ユニットおよび閉鎖層を備えたセルフレームが、閉鎖層が下側に配置され膜触媒層が上側に配置されるように、回転される。ここで、下側と上側は、地球の重力場との関連で見ることができる。すなわち、下側とは、この層が上側に配置された層よりも地球に近い位置に配置されていることを意味する。次いで、第2のガス拡散層がセルフレーム内の膜-電極ユニットの第2の面上に配置される。
【0023】
有利に、セルフレームの階段状の内部プロファイルを使用することにより、先ず、シール、膜-電極ユニット、第1のガス拡散層および導電性閉鎖層の配置が、セルフレーム内に簡単に配置することにより、可能になる。それに続く回転によって、膜-電極ユニット上の第2のガス拡散層の取り付けが有利に著しく容易になる。回転中、膜-電極ユニットは第1のガス拡散層および閉鎖層によって支持され、セルフレーム内でクランプされる。この支持により、有利に、膜-電極ユニットが滑らず、その結果、シールが覆われているように配置されたままであることが保証される。次いで、第2のガス拡散層を膜-電極ユニット上に容易に配置することができる。この回転により、複数の層を備えたセルフレームの簡単な実装が、非常に大きなセル面積に対しても、低コストで可能である。
【0024】
本発明の有利な実施形態では、セルフレームおよび導電性閉鎖層が互いにシールされる。
【0025】
セルスタックを得るためには、いくつかの電解セルが互いに積層され、互いにシールされ、プレスされる。
【0026】
本発明の有利な実施態様および展開形態では、閉鎖層は、ねじ止め、リベット止め、または、クランプ手段によって、セルフレームに機械的に固定される。
【0027】
本発明の更なる特徴、特性および利点を、添付の図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図3】複数の層と機械的固定部とを備えた組立中のセルフレームの断面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、電気化学セル用の、特に燃料電池または電解セル用の、セルフレーム100の断面を示し、その内部プロファイル101は階段状である。階段状の内部プロファイル101は支持面102を有する。支持面102には凹部103が配置されている。セルフレーム100はフレーム上面104およびフレーム下面105を有する。
【0030】
図2は、階段状の内部プロファイル101を備えたセルフレーム100の平面図を示す。この例では、セルフレーム100は四角形に形成されている。しかし、これは円形もしくは楕円形、または、他の技術的に意味のある形状とすることも可能である。
【0031】
本実施例では電解セルの構造について説明する。しかしながら、代替的に、このセルフレーム100を、燃料電池を構成するために使用することも可能である。
【0032】
電解セルの構築の最初に、セルフレーム100は、フレーム上面104が上側、すなわち地球から離れる方向に向き、フレーム下面105が下側、すなわち地球に向くように、地球の重力場に配置される。このことを
図1に示す。セルフレーム100は1つの加工部材で作られる。第1の組立ステップで、シール6が凹部103内に配置される。このシール6は、シールテープとして、塗布式シールとして、または、シールリングとして製作することができる。シール6は、一般的には、PTFE、シリコーン、フッ素ゴムのような材料、または、エラストマーのグループに属する複数の他の材料を含む。
【0033】
図3は中間組立状態におけるセルフレーム100を示す。シール6が凹部103内に配置されている。次いで、膜-電極ユニット7を支持面102上に配置する。この膜-電極ユニット7はセルフレームをほぼ完全に満たす大きさを有する。この膜-電極ユニット7の大きさは、好適には、
図3に見られるように、少なくとも、この膜-電極ユニット7が確実に、すべての許容誤差のケースにおいてシール6を越えて延びているように、選択されるべきである。次いで、第1のガス拡散層8を膜-電極ユニット7上に上方から配置する。この第1のガス拡散層8の大きさは、少なくとも、シールで囲まれた領域よりも大きくなるように選択されるべきである。換言すれば、このガス拡散層8は階段状の内部プロファイル101の階段の上に間接的に配置されている。膜-電極ユニット7の大きさも第1のガス拡散層8の大きさも、セルフレーム100によって囲まれた領域より大きくならないように選択されるべきである。次に、セルフレーム100と導電性閉鎖層との間を封止するためのもう一つのシールが導入されると有利である。このシールは、場合によっては、既にセルフレーム100または導電性閉鎖層9の一部であるようにすることもできる。次いで、導電性閉鎖層9を第1のガス拡散層8の上に配置する。この導電性閉鎖層9は機械的な固定手段で、この例ではねじ10を用いて、セルフレーム100に強固に固定される。
図3は、組立のこの時点で、異なる層7、8、9、シール6およびねじ接続10によってセルフレームがどのように形成されているかを示している。次のステップで、シール6、膜-電極ユニット7、第1のガス拡散層8および閉鎖層9を備えたセルフレーム100が回転される。
【0034】
図4は、回転された後のセルフレーム100を示す。今度は、フレーム上面104が下側に配置され、フレーム下面105が上側に配置されている。言い換えると、地球の重力場において、フレーム下面105は、今や、フレーム上面104よりも地球から遠く離れて配置されている。次のステップで、第2のガス拡散層11が膜-電極ユニット7上に配置される。こうして、この膜-電極ユニット7の一方の面が第2のガス拡散層11と直接に接する。この膜-電極ユニット7の反対側の面は第1のガス拡散層8と直接に接している。このようにして組み立てられた電解セル1は、今や、いくつかの電解セル1と積み重ねて1つのスタックを形成することができる。これらの電解セルは互いにシールされる。有利に、
図3の中間組立状態の後で半実装状態のセルを回転することにより、少なくとも3000cm
2の大きなセルフレームに対して、第2のガス拡散層11の簡単な取り付けが可能になる。膜-電極ユニット7の大きさは、少なくともシール6を覆うが、セルフレームの内側面よりも小さくなるように選択しさえすればよい。この膜-電極ユニット7は、第1のガス拡散層8に支持され、クランプ止めにより滑り止めされる。これにより、膜-電極ユニット7の組立をより迅速かつ効率的に行うことができると同時に、第1のガス拡散層8が配置されたセルの第1の半分と、第2のガス拡散層11が配置されたセルの第2の半分との間の気密性を確実に保証することができる。
【0035】
図5は、複数の異なるステップを有する組立工程のフローチャートを模式的に示す。まず、ステップ50でセルフレーム100を準備する。次いで、ステップ51でシール6が凹部103に配置される。このシールがセルフレームの一部として既に実装されている場合には、ステップ51を省略することができる。次いで、ステップ52で膜-電極ユニットがセルフレーム内に配置される。次いで、ステップ53で、第1のガス拡散層8を膜-電極ユニット7上に配置する。次に、セルフレームにもう一つのシールを配置することができる。このシールが既にセルフレーム100または閉鎖層9の一部である場合には、このステップを省略することができる。次のステップ55で、第1のガス拡散層8の上に閉鎖層9が配置される。続いて、ステップ56で、閉鎖層9がセルフレーム100に機械的に固定される。次いで、ステップ57で、層7、8、9を備えたセルフレーム100が回転される。続いて、ステップ58で、第2のガス拡散層11が膜-電極ユニット7に被着される。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
電解セルを製造するための本発明による方法は、いくつかのステップを含む。まず、セルフレームを準備する。このセルフレームは階段状の内部プロファイルを有する。この階段状の内部プロファイルは、セルフレーム内に平面状の構成要素を受け入れるための少なくとも1つの支持面を有する。この支持面はシール用の凹部を含む。次のステップで、シールが支持面の凹部に配置される。強固に結合された第1のシールを備えたセルフレームを使用する場合には、このステップは省略することができる。次いで、支持面上に膜-電極ユニットを配置し、この膜-電極ユニットはセルフレームの支持面およびシールを覆う。次に、第1のガス拡散層を膜-電極ユニットの第1の面上に配置する。次いで、導電性閉鎖層を第1のガス拡散層およびセルフレーム上に配置する。この閉鎖層はセルフレームに機械的に固定される。次に、シール、膜-電極ユニット、第1のガス拡散層および閉鎖層を備えたセルフレームが、閉鎖層が下側に配置され膜触媒層が上側に配置されるように、回転される。ここで、下側と上側は、地球の重力場との関連で見ることができる。すなわち、下側とは、この層が上側に配置された層よりも地球に近い位置に配置されていることを意味する。次いで、第2のガス拡散層がセルフレーム内の膜-電極ユニットの第2の面上に配置される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
図3は中間組立状態におけるセルフレーム100を示す。シール6が凹部103内に配置されている。次いで、膜-電極ユニット7を支持面102上に配置する。この膜-電極ユニット7はセルフレームをほぼ完全に満たす大きさを有する。この膜-電極ユニット7の大きさは、好適には、
図3に見られるように、少なくとも、この膜-電極ユニット7が確実に、すべての許容誤差のケースにおいてシール6を越えて延びているように、選択されるべきである。次いで、第1のガス拡散層8を膜-電極ユニット7上に上方から配置する。この第1のガス拡散層8の大きさは、少なくとも、シールで囲まれた領域よりも大きくなるように選択されるべきである。換言すれば、このガス拡散層8は階段状の内部プロファイル101の階段の上に間接的に配置されている。膜-電極ユニット7の大きさも第1のガス拡散層8の大きさも、セルフレーム100によって囲まれた領域より大きくならないように選択されるべきである。次に、セルフレーム100と導電性閉鎖層との間を封止するためのもう一つのシールが導入されると有利である。このシールは、場合によっては、既にセルフレーム100または導電性閉鎖層9の一部であるようにすることもできる。次いで、導電性閉鎖層9を第1のガス拡散層8の上に配置する。この導電性閉鎖層9は機械的な固定手段で、この例ではねじ
接続10を用いて、セルフレーム100に強固に固定される。
図3は、組立のこの時点で、異なる層7、8、9、シール6およびねじ接続10によってセルフレームがどのように形成されているかを示している。次のステップで、シール6、膜-電極ユニット7、第1のガス拡散層8および閉鎖層9を備えたセルフレーム100が回転される。
【国際調査報告】