(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-05
(54)【発明の名称】半炭化処理のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
C10L 9/08 20060101AFI20220928BHJP
C10J 3/02 20060101ALI20220928BHJP
C10L 5/44 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
C10L9/08
C10J3/02 E
C10L5/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506379
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2020071033
(87)【国際公開番号】W WO2021018794
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522040104
【氏名又は名称】シーイージー・テクノロジー・ユーケー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】バロン、トーマス・ハミルトン・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】バトラー、ニール・アラン
(72)【発明者】
【氏名】シェーペルス、ペーテル・フランシスカス・ヨハネス・マリア
【テーマコード(参考)】
4H015
【Fターム(参考)】
4H015AA12
4H015AB01
4H015BA01
4H015BA04
4H015BA08
4H015BB03
4H015CA01
4H015CB01
(57)【要約】
半炭化方法は、バイオマスを処理室に送ること;処理室内のバイオマスを所定の温度に加熱し、バイオマスを熱分解してバイオマスから合成ガスを放出させること、ここで、合成ガスは、バイオマスのフローに含まれるパワーの少なくとも20%を含有する;及び、前記合成ガスを酸化して前記処理室内の前記バイオマスを加熱することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- バイオマスの半炭化処理に対応するように配置された処理室、
- 前記処理室を加熱するために配置された酸化器、及び
- 前記半炭化処理中に前記バイオマスから放出される合成ガスのための導管
を含む半炭化装置であって、
前記導管が、前記合成ガスを前記処理室から前記酸化器に導くように配置されており;前記酸化器が、前記合成ガスの酸化をもたらすように構成され、前記処理室を通過するバイオマスの最大フローに含まれるパワーの少なくとも20%のパワーを放出する、
半炭化装置。
【請求項2】
前記導管が、運転中の合成ガス温度を、前記処理室からの前記合成ガスの凝縮温度より高く維持するように構成される、請求項1に記載の半炭化装置。
【請求項3】
前記合成ガス温度が、330℃より上に、及び/又は前記処理室内の前記バイオマスの最高温度より少なくとも50℃高い温度に、維持される、請求項2に記載の半炭化装置。
【請求項4】
前記導管が断熱されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の半炭化装置。
【請求項5】
前記導管及び/又は前記処理室が、前記合成ガスの一部の燃焼制御を可能にする空気取入口を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の半炭化装置。
【請求項6】
前記酸化器が、前記処理室を通過するバイオマスの最大フローに含まれるパワーの少なくとも23%、25%又は27%のパワーを放出する酸化をもたらすように構成され、好ましくは、前記酸化器が、前記処理室を通過するバイオマスの最大フローに含まれるパワーの36%以下又は40%以下のパワーを放出する酸化をもたらすように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の半炭化装置。
【請求項7】
前記酸化器が、前記処理室を400℃~550℃、好ましくは約500℃に維持するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の半炭化装置。
【請求項8】
前記酸化器が、酸化器エアフィードを備えて配置され、前記酸化器エアフィードは、前記処理室の方向への周囲の希釈用空気のフローを生成することによって、前記処理室の温度を550℃未満、好ましくは500℃未満に維持するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の半炭化装置。
【請求項9】
前記処理室の温度定格が、600℃未満、好ましくは550℃以下である、請求項7又は8に記載の半炭化装置。
【請求項10】
前記処理室が、特定の量のバイオマスを、少なくとも15分間、好ましくは少なくとも30分間、前記処理室内に保持するように構成された、供給要素、運搬要素及び/又は分配要素を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の半炭化装置。
【請求項11】
前記処理室が、内容物と周囲の空気との間の自然な空気の交換が最小限となるように構成され、前記処理室は、好ましくは、エアロックを有する入口及びエアロックを有する出口を含み、前記入口、前記処理室及び前記出口を通過してバイオマスは運搬され、前記処理室は、好ましくは、周囲の空気圧より低い圧力に維持される、請求項1~10のいずれか一項に記載の半炭化装置。
【請求項12】
前記合成ガスが、タール、H
2、CH
4及び/又はCOを含有し、前記酸化器が、好ましくは、タールの少なくとも一部を燃焼するように構成された、請求項1~11のいずれか一項に記載の半炭化装置。
【請求項13】
- バイオマスを処理室に送ること;
- 前記処理室内の前記バイオマスを加熱し、前記バイオマスを熱分解して前記バイオマスから合成ガスを放出させること、ここで、前記合成ガスは、前記バイオマスのフローに含まれるパワーの少なくとも20%を含有する;及び
- 前記合成ガスを酸化して前記処理室内の前記バイオマスを加熱すること
を含む半炭化方法。
【請求項14】
特定の量のバイオマスが、少なくとも15分間、好ましくは少なくとも30分間、前記処理室内に保持される、請求項13に記載の半炭化方法。
【請求項15】
前記合成ガスの温度が、330℃より上に、及び/又は前記処理室内の前記バイオマスの最高温度より少なくとも50℃高い温度に、維持される、請求項13又は14に記載の半炭化方法。
【請求項16】
前記合成ガスが、制御された空気のフローと混合され、前記空気は、好ましくは、加熱される、請求項15に記載の半炭化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半炭化処理のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭や石油といった化石燃料の資源がない国々や、持続可能なエネルギーの産生への移行を望んでいる国々では、バイオマスは代替エネルギー源と考えられている。その点、通常バイオガスと呼ばれる、酸素の非存在下で有機物が分解して得られたガスが、かなり長い間用いられてきた。しかし、バイオガスは、一般に、貯蔵のためのガスタンクを必要とするが、このことは、貯蔵能力が大きく制限される。さらに、一部の成分は、有毒であるか、温室効果ガスであると考えられている。バイオガスの生産は、その生産後に残る発酵残渣を更に産出する。発酵残渣は処分が難しい場合がある。
【0003】
半炭化は、バイオマスを、投入バイオマスと比較して、水分含有量が低く、炭素の量、特に質量百分率が増加した固体である、バイオコール又はバイオ炭に変換することが見いだされている。バイオマスは通常、木材チップを意味するが、多種多様なバイオマスが考えられる。半炭化によって得られたバイオコールは、投入バイオマスと比較して、重量が少なく、特に酸素重量が少なく、体積及び質量に関してエネルギー密度が高いことがわかっている。半炭化に由来するバイオコールは、石炭火力発電所におけるエネルギー生成のために従来の石炭と同様に使用できる。バイオコールの評価が十分に高い場合、他の用途、例えば鉄鋼生産も考えられる。さらに、バイオコールは化学的に安定しており、したがって、従来の石炭と同じように容易に貯蔵及び輸送できる。
【0004】
原則として、半炭化は、バイオマス自体に含まれる酸素以外の酸素が基本的に存在しない、本質的に大気圧下での熱分解工程である。通常、バイオマスは、10分~120分の滞留時間で、200℃~350℃にさらされる。得られるバイオコールの品質は、上記温度及び滞留時間によって決まる。半炭化中、合成ガスがバイオマスから分離される。合成ガスは、タール、H2、CH4及び/又はCOを含有する。合成ガスは、通常は気体であるが、凝縮タールの液滴を含有する場合もある。従来の用途において、例えば電気エネルギーを生成するためのガス機関において、合成ガスの使用が可能であるように、主として、合成ガスは、タールを凝縮させて除去するために冷却される。
【0005】
従来の半炭化処理は、通常、20~21GJ/トンのエネルギー密度のバイオコールを提供する。以下で詳細に議論するように、エネルギー密度は、主に処理雰囲気におけるバイオマスの温度及び滞留時間に依存し、長い滞留時間又は高い温度は、元のバイオマスからのエネルギー量は少ないが高いエネルギー密度を有するバイオコールを提供する。
【0006】
しかし、エネルギー密度が増加すると、生成された合成ガスに含まれるタールの量も増加する。このため、合成ガスから除去するタールの量を増加させることが必要となる。そうしなければ、合成ガス中のタールは、自然に凝縮し、ガス機関内を汚したり、ガス機関を詰まらせたりするおそれがある。また、タールが使用される場合、種々の形態のがんに関連することが判明している多環芳香族炭化水素が放出される可能性がある。そのため、タールは、通常ビチューメンに置き換えられるが、これにより半炭化中に生成されたタールを利用することがより困難になる。
【0007】
国際公開第2015/084162号(A1)は、改変された乾燥機が、従来の半炭化プラントで使用されていたものとは異なる原理で動作することを記載している。この発明は、熱伝導を利用して、振動反応器内のバイオマスを半炭化する。振動反応器内では、下方のプレートの加熱に使用されるガスから上方のバイオマスを分離するために、加熱された中実無孔プレートが反応器内に密封されている。また、この方法で発生した合成ガスは、ガス機関に動力を供給するために利用され、ガス機関の排気出力は、反応器プレートを加熱するために再循環される。ガス機関が発電機に接続されると、利用されないエネルギーは、プラントの他の部分で使用するために回収されるか、他の場所に送り出される。
【発明の概要】
【0008】
本発明は各独立請求項に定義されているが、本発明の別の側面は、従属請求項、図面及び以下の項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一態様による半炭化装置を示す。
【
図2】
図2は、異なるエネルギー容量に対する半炭化処理の反応物及び生成物の態様を示す、概略図である。
【発明を実施するための態様】
【0010】
図1は、処理室11a及び酸化器12を有する半炭化装置を示す。半炭化装置を詳しく説明する前に、本発明のいくつかの一般的な側面について考察する。
【0011】
一側面によれば、半炭化装置は、
- バイオマスの半炭化処理に対応するように配置された処理室;
- 処理室を加熱するために配置された酸化器;及び
- 半炭化処理中にバイオマスから放出される合成ガスのための導管
を含み、
導管は、合成ガスを処理室から酸化器に導くように配置されており;酸化器は、合成ガスを酸化するように構成され、処理室を通過するバイオマスの最大フローに含まれるパワーの少なくとも20%のパワーを放出する。
【0012】
得られたバイオコールは疎水性であるため、さらなる雨除けなしに容易に貯蔵できる。得られたバイオコールは、特定の添加剤により耐水性にすることができる。バイオコールは、既存の設備内で粉塵発火する可能性がある。
【0013】
以下では、バイオマスのフローは、単位時間当たりのバイオマスの量を指す。例えば、バイオマスのフローは、時間[hr]単位の時間当たりのキログラム[kg]単位のバイオマスの質量、すなわち
【0014】
【0015】
として表すことができる。
【0016】
処理室を通過するバイオマスの最大フローは、単位時間内に処理室が最大限の処理を行うバイオマスの量を表す。バイオマスのフローは時間当たりの量であることから、単位時間当たりのその量に含まれるエネルギーはパワーに相当する。
【0017】
一部の態様では、導管は、運転中の合成ガス温度を、処理室からの合成ガスの凝縮温度より高く維持するように構成される。各種態様において、合成ガス温度は、330℃より上に、及び/又は処理室内のバイオマスの最高温度より少なくとも50℃高い温度に、維持される。各種態様において、バイオマスの最高温度は個々の粒子のコア温度である。通常、コア温度は周囲の温度に遅れて適合し、粒子の表面温度とは異なる場合がある。処理室に隣接する酸化器内で合成ガスを燃焼させることもまた、合成ガス温度をその凝縮温度より高く維持するために必要な労力を制限する。
【0018】
例えば、処理室を通過する間、バイオマスは最大280℃に加熱される。したがって、導管は合成ガス温度を330℃に維持する。別の例では、バイオマスは最大300℃に加熱される。したがって、導管は、合成ガス温度を350℃に維持する。バイオマスは、処理室を出る直前に最高温度に達する。
【0019】
一部の態様では、導管は断熱されている。
【0020】
一部の態様では、導管及び/又は処理室は、合成ガスの一部の燃焼制御を可能にする空気取入口を含む。これは通常、酸化器に到達する前に合成ガスの一部が燃焼することを意味する。例えば、約4MWを燃焼する酸化器を有する装置において、導管及び/又は処理室内で燃焼される合成ガスは、約100kWに対応する。
【0021】
一部の態様では、酸化器は、処理室を通過するバイオマスの最大フローに含まれるパワーの少なくとも23%、25%又は27%のパワーを放出する酸化をもたらすように構成される。一部の態様では、酸化器は、処理室を通過するバイオマスの最大フローに含まれるパワーの36%以下又は40%以下のパワーを放出する酸化をもたらすように構成される。一部の態様において、酸化器は、23%~40%のパワーを放出する酸化をもたらすように構成される。一部の態様において、酸化器は、23%~36%のパワーを放出する酸化をもたらすように構成される。一部の態様において、酸化器は、25%~40%のパワーを放出する酸化をもたらすように構成される。一部の態様において、酸化器は、25%~36%のパワーを放出する酸化をもたらすように構成される。一部の態様において、酸化器は、27%~40%のパワーを放出する酸化をもたらすように構成される。一部の態様において、酸化器は、27%~36%のパワーを放出する酸化をもたらすように構成される。
【0022】
酸化器が処理するパワーが多いほど、得られるバイオコールのエネルギー密度は高くなる。より高いエネルギー密度は、バイオコールを鉄鋼生産などの追加の用途に適用可能である。
【0023】
一部の態様では、酸化器は、750℃より高い温度、より好ましくは850℃又は1050℃より高い温度で合成ガスを燃焼させるように配置される。各種態様において、酸化器は、合成ガスが、1秒、好ましくは2秒以内の滞留時間で通過するように構成される。1秒の滞留時間に構成された酸化器の場合、少なくとも850℃の温度は、合成ガスの可燃性成分の本質的に完全な燃焼を可能にすることが見いだされた。各種態様において、酸化器の温度及び合成ガスの滞留時間は、本質的に完全な燃焼を可能にするように調整される。
【0024】
一部の態様では、酸化器は、処理室を400℃~650℃、好ましくは約500℃に維持するように構成される。さらなる態様では、半炭化装置は、処理室の温度を制御するために、酸化による熱エネルギーの一部をシンクで放散する冷却構造を備える。各種態様において、この冷却構造は、低コストの材料のプラント建設を可能にする。
【0025】
一部の態様では、酸化器は、酸化器エアフィードを備えて配置される。酸化器エアフィードは、周囲からの希釈用空気のフローを処理室の方向へ生成することによって、処理室の温度を600℃未満、好ましくは550℃未満に維持するように構成される。一部の態様では、追加的又は代替的に、温かいガスが、処理室から乾燥機に送られ、そこではバイオマスが処理室に入る前に乾燥される。一部の態様における酸化器エアフィードは、送風機又はファンである。
【0026】
一部の態様では、処理室の温度定格は、600℃未満、好ましくは550℃以下である。温度定格は、装置に損傷を与えることなく処理室を運転できる温度を指す。より高い温度定格を有する処理室は、異なる材料及び異なる構造を必要とし、このことは、通常、処理室をはるかに高価にする。
【0027】
一部の態様では、処理室は、500℃を超える、950℃もの高い温度になり、高いグレードの材料及び断熱材を使用して、低いグレードの材料を保護して、コークスなどの非常に高いグレードの炭素材料の生産におけるバイオマス処理能力の増加を助ける。
【0028】
一部の態様では、処理室は、特定の量のバイオマスを、15~30分の時間、処理室内に保持するように構成された、供給要素、運搬要素及び/又は分配要素を含む。いくつかの例では、上記の構成は、温度及び滞留時間が実質的に生産物のエネルギー含有量を決定するため、約14.6MWのパワーに対応する3100kg/時のバイオマス投入に対して、22GJ/トン~30GJ/トンのエネルギー含有量を有するバイオコール産生につながる。
【0029】
一部の態様では、処理室は、内容物と周囲の空気との間の自然な空気の交換が最小限となるように構成され、処理室は、好ましくは、エアロックを有する入口及びエアロックを有する出口を有し、バイオマスは、入口、処理室及び出口を通過して運搬され、処理室は、好ましくは、周囲の空気圧より低い圧力に維持される。処理室を周囲の空気圧より低くすることから、処理室のわずかな漏れによって合成ガスが周囲に放出されることはなく、合成ガスが周囲に放出されることによる健康上の問題及び安全上の問題のいずれも生じることはない。一部の態様では、導管は、処理室内に低圧を作り出すためのファン又は送風器を有する。
【0030】
一部の態様では、合成ガスは、タール、H2、CH4及び/又はCOを含有し、酸化器は、好ましくは、タールの少なくとも一部を燃焼するように構成される。
【0031】
さらなる側面によれば、半炭化法は、
- バイオマスを処理室に送ること;
- 処理室内のバイオマスを所定の温度に加熱し、バイオマスを熱分解してバイオマスから合成ガスを放出させること、ここで、合成ガスは、バイオマスのフローに含まれるパワーの少なくとも20%を含有する;及び
- 合成ガスを酸化して処理室内のバイオマスを加熱すること
を含む。
【0032】
一部の態様において、特定の量のバイオマスは、15~30分間、処理室内に保持される。
【0033】
一部の態様では、合成ガスは、合成ガスの成分の凝縮温度を超える温度に維持される。各種態様において、合成ガス温度は、330℃より上に、及び/又は処理室内のバイオマスの最高温度より少なくとも50℃高い温度に、維持される。合成ガスを上記の温度に維持することで、タールが、それを燃焼する酸化器に到達する前に凝縮することを回避する。
【0034】
一部の態様では、合成ガスは、制御された空気のフローと混合され、空気は、好ましくは、加熱される。合成ガスをいくらかの空気と混合することにより、合成ガスの温度を維持する燃焼制御が可能になる。
【0035】
一部の態様では、酸化器は、750℃より高い温度、より好ましくは850℃又は1050℃より高い温度で合成ガスを燃焼させて、処理室内のバイオマスを加熱するための熱エネルギーを提供する。一部の態様では、合成ガスは、少なくとも1秒以内、好ましくは2秒以内に、酸化器を通過する。これらの温度で燃焼させると、相当量のタールの酸化が可能になる。
【0036】
一部の態様では、空気のフローが処理室に供給される熱エネルギーを調整する。一部の態様では、熱エネルギーは更に乾燥機に送られ、そこでバイオマスは処理室に入る前に乾燥される。一部の態様では、酸化器エアフィードは、圧力を発生させ、酸化に由来する熱エネルギーを含む温かいガスが処理室を通過して乾燥機に向かわせる。これにより、酸化器と乾燥機の間にファンを追加する必要がなくなる。酸化器エアフィードがなければ、非常に高い温度に対応するように構成する必要がある。
【0037】
処理室、導管及び/又は酸化器内での燃焼によって、半炭化中に生成されるタールの量を低減できることが判明した。燃焼したタールは、処理室内及び/又は酸化器内でバイオマスを加熱するために使用してもよい。
【0038】
図1の説明に戻ると、各種態様におけるバイオマス21は、貯蔵され、乾燥機17に送られ、そこでは、好ましくは蒸発によって水を除去するために加熱される。次いで、乾燥バイオマス22は処理室11aに供給される。運転中、酸化器12は、処理室11aに熱エネルギー25を提供する。処理室11aは、一方では、タール、水素、メタン及び一酸化炭素といった合成ガス23を生成し、他方では、半炭化工程で乾燥バイオマス22を処理することによって固体成分24を生成する。以下で、固体成分をバイオ炭又はバイオコールという。各種態様において、酸化器は、合成ガス23を燃焼させて熱エネルギー25を提供するように構成される。
【0039】
一定の時間内の合成ガス23のフローには、同じ時間内のバイオマスのフローの少なくとも20%のエネルギーが含まれている。したがって、酸化器12は、その時間内で対応する量を燃焼するように構成される。当技術分野において理解されているように、このことは、酸化器へのエアフィード又は酸素フィードは、それに応じて、その量が決められることを意味する。上記時間内に処理されるバイオマスのエネルギー含有量の20%の少なくとも一部は、基本的に、ほぼその時間内に処理室11aを加熱するために使用される。
【0040】
半炭化装置は、合成ガス23を酸化器12に供給するための導管13を更に有する。各種態様において、処理室11a及び導管13は、合成ガス23の温度を、合成ガスのほとんどの成分の凝縮温度より高く維持するように構成される。特に、タールなどの凝縮温度が高い成分は、気体のまま酸化器12に送られる。したがって、半炭化装置から放出されるタールの量は減少する。
【0041】
以下で更に説明するように、これにより、特に単位質量当たりのエネルギー含有量において、より高いエネルギー密度を有するバイオコール24の生産が可能になる。特に、本発明によって生産されるバイオコールのエネルギー密度は、少なくとも22GJ/トン、好ましくは24GJ/トンであるが、28GJ/トン以上のグレードも可能である。
【0042】
各種態様において、導管13は、合成ガス23の温度を維持するための断熱材を備えて配置される。さらなる態様では、導管13は、加熱された圧縮空気を導管13に供給するように構成された第1のエアフィード15を備えて配置される。各種態様において、処理室11aは、加熱された圧縮空気を処理室11aに供給するように構成された第2のエアフィード16を備えて配置される。各種態様において、第1及び第2のエアフィード15、16の空気は、酸化器12によって加熱される。
【0043】
処理室11a及び/又は導管13に供給される加熱された空気は、合成ガス23を加熱し、タールの一部の燃焼制御を可能にして、合成ガス23の温度を維持する。タールの一部の燃焼により、合成ガス23中のタールの量が減少する。
【0044】
各種態様において、第1及び第2のエアフィード15、16は、周囲の温度の空気を供給する。さらなる態様では、第1及び第2のエアフィード15、16は、酸化器12によって加熱された空気を供給する。さらなる態様では、第1及び第2のエアフィード15、16は、同じ圧縮空気源に接続されている。各種態様において、第1及び第2のエアフィードは閉じたループ内で制御され、合成ガス23の温度を、合成ガス23のほとんどの成分の凝縮温度より高く維持する。
【0045】
各種態様において、酸化器12は、処理室11aに隣接して配置された加熱室11bに収容されている。各種態様において、加熱室11bは、処理室11aの下に配置される。加熱室11bは、処理室11aに隣接して熱エネルギー25を保つように配置される。酸化器12は、酸化器エアフィード14を更に備えて配置される。各種態様において、酸化器エアフィード14は、合成ガス23を酸化するための酸素を供給するように配置される。各種態様において、酸化器エアフィード14は、合成ガス23を酸化するために必要とされるよりも多くの空気を供給するように構成される。各種態様において、酸化器エアフィード14は、処理室11aに供給される熱エネルギー25を調整し、したがって、処理室11aの温度を制御するための空気を供給するように構成される。各種態様において、酸化器エアフィード14は、周囲の空気を供給する。異なる態様では、酸化器12には、空気以外の供給源からの酸素を提供する供給路が設けられる。
【0046】
各種態様において、酸化器12は、750℃より高い温度、好ましくは850℃より高い温度、より好ましくは950℃又は1050℃より高い温度で合成ガス23を燃焼させるように配置される。各種態様において、酸化器は、合成ガスが、少なくとも1秒、好ましくは2秒又はそれ以上の滞留時間内に通過することを可能にするように構成される。滞留時間及び酸化器の温度は、好ましくは、合成ガス23の可燃性成分の本質的に完全な燃焼を可能にするように構成される。各種態様において、酸化器エアフィード14は、処理室11aが、400℃以上、好ましくは500℃に加熱されるように、酸化器12によって生成される熱エネルギー25を制御するように配置される。
【0047】
各種態様において、加熱室11bは、600℃以下、好ましくは550℃に維持される。処理室11a及び/又は加熱室11bの温度を制限することにより、より安価な材料を使用して処理室11a及び/若しくは加熱室11b、又は半炭化装置全体を構築でき、したがって、経済的に実行可能な設計が可能になる。各種態様において、酸化器エアフィード14からの空気は、酸化器12と処理室11aとの間の熱エネルギー25を調整して、処理室11a及び/又は加熱室11bの温度を調整するために使用される。各種態様において、酸化器エアフィード14は、合成ガス23を酸化するための空気を供給し、処理室11a及び/又は加熱室11bの温度を調整するための、2つの別個のファンを有する。
【0048】
各種態様において、酸化器エアフィード14によって供給される空気及び酸化された合成ガスは、熱源として使用される温かいガス26のフローを形成する。各種態様において、温かいガス26のフローは、加熱室11bから乾燥機17へと向かう。乾燥機17において、温かいガス26のフローは、水27を蒸発させることによってバイオマス21を乾燥させる。次いで、温かいガス26のフロー及び蒸発した水27が乾燥機17から放出される。
【0049】
さらなる態様では、乾燥機17は処理室11aに隣接して配置される。各種態様において、酸化器エアフィード14は、温かいガス26のフローが加熱室11bから乾燥機17へ向かうように、十分な圧力下で酸化器12に空気を供給するように構成される。各種態様において、温かいガス26のフローはバイオマス21と混合される。各種態様において、酸化器12及び乾燥機は、温かいガス26のフローがバイオマス21に接触することなく乾燥機17を加熱するように配置される。各種態様において、温かいガス26の配管は、酸化器12を有するチャンバーと乾燥機17の間に配置される。好ましくは、乾燥機は、温かいガス26のフローがバイオマス21のフローに対して垂直に通過する、クロスフロー乾燥機である。さらなる態様では、温かいガス26のフロー及びバイオマス21のフローは、同じ方向に同時に乾燥機17を通過するか、又は反対方向に向流する。
【0050】
各種態様において、バイオマスのフローのパワーの少なくとも20%を含有する合成ガスを処理するサイズの酸化器は、本質的に、バイオマスのフローのパワーの少なくとも20%を含有する可燃性合成ガスの対応するフローの本質的に全てを燃焼させるために十分な量の酸素を供給する酸化器エアフィード14を備えて配置される。各種態様において、酸化器エアフィード14は、合成ガスとの燃焼で消費されるよりも多くの酸素を供給する。
【0051】
各種態様において、処理室11aは、周囲の圧力とは異なる圧力に維持される。一部の態様では、処理室11a内の圧力は、周囲の圧力よりも低い。このことにより、処理室11a内で生成された合成ガス23が周囲に漏れることが防止される。合成ガス23は、そうでなければ、オペレーターに健康上のリスクをもたらす可能性があり、合成ガスが処理室11aから漏れ、周囲の空気に接触するとすぐに発火する可能性もある。
【0052】
各種態様において、処理室11aは、処理室11a内部と周囲の間の空気交換を防止しながら、乾燥バイオマス22が処理室11aに入ることを可能にする入口エアロック18を有する。各種態様において、処理室11aは、処理室11aの内部と周囲の間の空気交換を防止しながら、バイオコール24が処理室11aを出ることを可能にする出口エアロック19を有する。
【0053】
導管13は、合成ガス23を処理室11aから酸化器12に移動させるためのファン20を有する。一部の態様では、処理室11a内の圧力が合成ガス23を酸化器12に送り、ファンは必要とされない。さらなる態様では、ファン20は、処理室11aの内部に周囲の圧力よりも低い圧力を発生させる。したがって、処理室11aに穴があっても、処理室11aから周囲への漏れる合成ガスはほとんどない。
【0054】
図2は、処理室11a内の反応物の態様、及び異なるエネルギー含有量の生成物の態様を示す概略図である。木材由来のバイオマスを本質的に含む態様では、処理室11aに送られる反応物は、主に炭素C、酸素O、及び水素Hを含む。各種態様において、木材由来の反応物は、更に、灰、木材を使用する場合は木材に含まれる水分、水素由来の水分及び空気由来の水分を含む。一態様では、木材の質量の約49%が炭素Cであり、約44%が酸素Oであり、約6%が水素Hであり、残り(約1%)が灰、窒素及び他の元素である。他の反応物は、異なる供給源に由来する水分、例えば、木材の水分、水素に由来する水分、並びに乾燥バイオマス及び/又は圧縮空気と共に処理室11aに入る空気に由来する水分である。
【0055】
図2における3本の傾斜した実線は、半炭化後のバイオコール24、1トン当たりのさまざまなエネルギー密度における、バイオマス含有量のバイオコール及び合成ガスへの定性的分布を示す。特に、それぞれの傾斜した実線の左側はバイオコール24になり、それぞれの傾斜した実線の右側は合成ガス23になる。
【0056】
したがって、エネルギー密度が21GJ/トンであるバイオコールの傾斜線は、バイオコールの含有量が乾燥バイオマスとそれほど変わらないことを示す。最も重要なことは、得られる合成ガスの炭素C含有量がごくわずかなことである。したがって、合成ガスから除去する必要のあるタールはほとんどない。
【0057】
エネルギー密度が24GJ/トンであるバイオコールの傾斜線は、バイオコールに含まれる酸素Oや水素Hといった非炭素元素がおよそ4分の1~2分の1程度少ないことを示す。相当なエネルギーが炭素に含まれているので、酸素Oが除去されると、エネルギー密度が増加する。ただし、24GJ/トンのエネルギー密度のバイオコールの合成ガスは、前述のバイオコールと比較して、多くの炭素Cを含み、多くのタールを含む。
【0058】
エネルギー密度が30GJ/トンであるバイオコールの傾斜線は、バイオコールが比較的少量の酸素O及び水素Hを含み、そのような高いエネルギー密度を可能にすることを示す。ただし、
図2は、30GJ/トンのエネルギー密度の合成ガスが、相当量の炭素を含み、相当量のタールを含むことも示している。
【0059】
本発明による処理で、タールは、合成ガスと共に残留し、処理室11aを運転しバイオマスを乾燥させるために燃焼される。したがって、タールは、半炭化装置からの分離処理を必要とせず、代わりに、半炭化装置を稼働させるためのエネルギーを供給する。タールのエネルギーは、通常、合成ガスの炭素及び水素含有量からもたらされる。
【0060】
バイオコールのエネルギー密度は、特に、処理室11aで乾燥バイオマス22を半炭化処理する際の滞留時間及び生じたバイオマス22の最終温度によって決まる。例えば、約500℃の処理室11aの場合、15分の滞留時間で、エネルギー密度が約22GJ/トンのバイオコールを提供する。時間の矢印で示されているように、同じ温度での滞留時間が長くなると、エネルギー密度が高くなる。滞留時間が30分では、エネルギー密度は約28GJ/トンである可能性がある。
【0061】
このことはまた、半炭化中のバイオマスから放出されるタールの量が経時的に増加することを意味する。一部の態様では、第1及び/又は第2のエアフィード15、16は、合成ガス温度をタールの凝縮温度より高く維持するために、処理室11a及び/又は導管13への高温圧縮空気の供給を、半炭化中のバイオマスから放出されるタールの量に適合させるように制御される。一部の態様では、半炭化の程度が異なるバイオマスが処理室11a内にあり、経時的に放出されるタールの量が本質的に一定であるように、処理室11aは連続的に運転されるように配置される。
【0062】
以下では、本発明の半炭化装置における半炭化処理について説明する。以下の説明はバイオマスのバッチに基づくが、生成した合成ガスが後続のバッチにおいて処理室を加熱するために使用できるように、処理は連続的であることに留意されたい。
【0063】
バイオマス21は乾燥機17に送られ、そこで酸化器12からの温かいガス26の助けを得て乾燥される。乾燥機17は、バイオマス21から、暖かいガス26と共に水27を放出する。乾燥機17は乾燥バイオマス22を供給する。乾燥バイオマス22は、入口エアロック18を通って処理室11aに送られる。
【0064】
処理室11aにおいて、乾燥バイオマス22は、半炭化され、合成ガス23を放出しながら、経時的にバイオコール24に変わるように、約280℃~400℃に加熱される。各種態様において、処理室11a内での乾燥バイオマス22の滞留時間は、15分~30分である。各種態様において、処理室11aの温度は、400℃~550℃であり、好ましくは約500℃である。乾燥バイオマス22が所定のグレードのバイオコール24に変化すると、すなわち、処理室11a内で所定の滞留時間が経過した後、バイオコール24は、出口エアロック19を通って放出される。次に、バイオコール24は、種々の可能な用途、例えば、エネルギー生産、鉄鋼生産における添加剤又は恒久的な炭素貯蔵に用いられる。
【0065】
タール、H2、CH4及び/又はCOを含有する合成ガス23が、半炭化中に乾燥バイオマス22から分離され、導管13を通過する。処理室11a及び導管13内の合成ガス23は、タールの凝縮を防ぐために、タールの凝縮温度を超える温度に維持される。各種態様において、凝縮温度は約400℃である。各種態様において、温度は、処理室11a及び導管13の周囲との温度交換を防ぐことによって維持される。各種態様において、温度は、少量のタールを燃焼させることによって維持される。一部の態様では、空気が、タールを燃焼させるために処理室11a及び/又は導管13に送られる。一部の態様では、空気のフローは、合成ガス23の温度をタールの凝縮温度より高く維持するために制御される。
【0066】
合成ガス23は酸化器12に送られる。各種態様において、空気が酸化器12に送られる。各種態様において、酸化器12に送られる空気のフローは、合成ガス23の可燃性成分の全てを燃焼させるのに少なくとも十分である。各種態様において、酸化器12に送られる空気のフローは、合成ガス23の全ての可燃性成分を燃焼させるように調整され、酸化器12から処理室11aに提供される熱エネルギー25を調整する。各種態様において、酸化器12に送られる空気のフローは、バイオマス21を乾燥させるため、乾燥機17に温かいガス26を提供するように調整される。各種態様において、処理室11aの温度を400℃~550℃、好ましくは約500℃に調整するために、酸化器12内の空気のフローが調整される。
【0067】
各種態様において、酸化器エアフィード14は空気のフローを調整する。各種態様において、酸化器12及び/又は酸化器エアフィード14中の空気のフローをチョークして、空気のフローを調整する。各種態様において、酸化器12内の空気のフローは、処理室11aの温度を調整するために調整される。各種態様において、処理室11aを構成する材料は、温度変動を吸収し減衰させる。このことは、半炭化中にさまざまな割合の成分の合成ガスを放出する、品質が変動するバイオマスにとって、特に有利である。
【0068】
以下では、バイオマス投入量及びバイオコール産生量のいくつかの例を提示する。一般に、含水率が約10%のバイオマスは、およそ16GJ/トン~19GJ/トンのエネルギーを有する。以下の例では、バイオマスのフローは3100kg/時で提供される。これは約14.6MWの熱出力容量に相当する。
【0069】
第1の例では、酸化器12は、処理室11aを加熱しバイオマスを乾燥させるために、合成ガスの形態でおよそ3MWを消費する。処理室11aは500℃に加熱される。処理室11a内のバイオマスの滞留時間は約15分である。滞留時間中、バイオマスを約280℃に加熱する。エネルギー収量は約22GJ/トン又は11.6MWであり、これは元のバイオマスに含まれるエネルギーの約79%に相当する。
【0070】
第2の例では、酸化器12は、処理室11aを加熱しバイオマスを乾燥させるために、合成ガスの形態でおよそ3.4MWを消費する。処理室11aは500℃に加熱される。処理室11a内のバイオマスの滞留時間は約20分である。滞留時間中、バイオマスを約300℃に加熱する。エネルギー収量は約24GJ/トン又は11.2MWであり、これは元のバイオマスに含まれるエネルギーの約77%に相当する。
【0071】
第3の例では、酸化器12は、処理室11aを加熱しバイオマスを乾燥させるために、合成ガスの形態でおよそ4MWを消費する。処理室11aは500℃に加熱される。処理室11a内のバイオマスの滞留時間は約25分である。滞留時間中、バイオマスを約350℃に加熱する。エネルギー収量は約28GJ/トン又は10.6MWであり、これは元のバイオマスに含まれるエネルギーの約72%に相当する。
【0072】
第4の例では、酸化器12は、処理室11aを加熱しバイオマスを乾燥させるために、合成ガスの形態で4MW超を消費する。処理室11aは500℃に加熱される。処理室11a内のバイオマスの滞留時間は約30分である。滞留時間中、バイオマスを400℃超に加熱する。エネルギー収量は約30GJ/トンである。
【0073】
全ての例において、生成された熱は、反応チャンバーの温度を維持すると同時に、処理室の入口において含水量が50重量%の湿ったバイオマスを含水量約10重量%まで乾燥させるのに十分なエネルギーを有する。
【0074】
25GJ/トンを超える高エネルギー密度の場合、バイオコールは鉄鋼生産に使用できることに留意されたい。これらの例では、最大100kWの合成ガス23が処理室11a及び/又は導管13内で燃焼されて、合成ガス23の温度をタールの凝縮温度より高く維持する。
【0075】
さまざまな態様による処理の複数の例を以下の表に示す。
【0076】
【0077】
ここで、「処理エネルギー収率」は、半炭化処理後にバイオコール中に保持されるエネルギーを示し、「生成物エネルギー比」は、投入バイオマスに対する得られたバイオコールのエネルギー密度の比を示し、「入力エネルギー MJ/kg」は、投入バイオマスのエネルギー密度を示し、「出力エネルギー MJ/kg」は、得られたバイオコールのエネルギー密度を示し、「質量収率」は、投入バイオマスに対する得られたバイオコールの質量の比を示す。
【国際調査報告】