(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-05
(54)【発明の名称】局所組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7056 20060101AFI20220928BHJP
A61K 31/327 20060101ALI20220928BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220928BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220928BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220928BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220928BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
A61K31/7056
A61K31/327
A61K9/06
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/02
A61P17/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506666
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2020071715
(87)【国際公開番号】W WO2021019092
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519363845
【氏名又は名称】ボシュ ヘルス アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100136696
【氏名又は名称】時岡 恭平
(72)【発明者】
【氏名】バット,バーシャ
(72)【発明者】
【氏名】ピライ,ラダクリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】アンヘル,アルトゥロ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076BB31
4C076CC23
4C076CC32
4C076DD30Z
4C076DD38
4C076EE09P
4C076FF35
4C076FF61
4C076GG41
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA02
4C086GA07
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA28
4C086MA63
4C086NA05
4C086ZA89
4C086ZA90
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA40
4C206DA17
4C206KA09
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA48
4C206MA83
4C206NA05
4C206ZA89
4C206ZA90
(57)【要約】
本開示は、アクネを含む炎症性皮膚疾患の治療に有用な、1~1.5重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、2.5~3.5重量%の過酸化ベンゾイル、および0.1~0.2重量%のアダパレンを、ゲル化剤、多価アルコール、および水と組み合わせて、含む、局所ゲル製剤、を提供するとともに、その製造方法および使用方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1~1.5重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、2.5~3.5重量%の過酸化ベンゾイル、および、0.1~0.2重量%のアダパレンを、ゲル化剤、多価アルコール、および水と組み合わせて、含む、局所ゲル製剤。
【請求項2】
約1.2重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、約3.1重量%の過酸化ベンゾイル、および約0.15重量%のアダパレン、を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
製剤が、
a.約1.2重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、
b.約3.1重量%の過酸化ベンゾイル、
c.約0.15重量%のアダパレン、
d.約5重量%のプロピレングリコール、
e.約1.75重量%のカルボマーホモポリマータイプC、
f.pH5~6をもたらす量の水酸化カリウム、および、
g.水、
を含む、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
少なくとも1日1回、請求項1、2または3のいずれかに記載の局所ゲル製剤を患部に投与することを含む、それを必要とする患者において、尋常性座瘡を治療する方法。
【請求項5】
炎症性皮膚疾患が、アクネである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
投与が、少なくとも4週間、例えば、少なくとも12週間にわたり、1日1回である、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
治療が、(i)1~1.5重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、および2.5~3.5重量%の過酸化ベンゾイル、(ii)2.5~3.5重量%の過酸化ベンゾイル、および0.1~0.2重量%のアダパレン、および、(iii)1~1.5重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、および0.1~0.2重量%のアダパレン、から選択される有効成分を含む製剤による治療よりも、アクネの治療においてより効果的である、請求項4、5、または6に記載の方法。
【請求項8】
ポンプを備え、請求項1~3のいずれか1項に記載の局所ゲル製剤を含む、容器である医薬品であって、ポンプが押されるごとに特定の量の製剤を放出するようにポンプが調整されている、医薬品。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか1項に記載の局所ゲル製剤を製造する方法であって、
i.下記のプレミックス:
a)水に分散したゲル化剤を含む、プレミックスA、
b)多価アルコールと水に分散した過酸化ベンゾイルを含む、プレミックスB、
c)クリンダマイシンリン酸エステルの水溶液を含む、プレミックスC、
d)多価アルコールと水に分散した微粉化アダパレンを含む、プレミックスD、を提供すること、
ii.プレミックスAとプレミックスDを混合すること、
iii.プレミックスBを、工程iiの混合物に混合すること、
iv.プレミックスCを、工程iiiの混合物に混合すること、
v.工程ivの混合物のpHをpH5~6に調整して、ゲルを形成すること、
を含む、方法。
【請求項10】
請求項4、5、6、または7のいずれか1項に記載の方法で使用するための、請求項1、2、または3に記載の局所ゲル製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクネを含む皮膚疾患の治療のための局所組成物に関する。特に、本開示は、3つの異なる有効成分を含む局所用組成物、および、その製造方法および使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
アクネ(ニキビ、座瘡)は、皮脂腺の濾胞の非常に一般的な障害であり、10代の若者に最も多く見られ、通常、思春期に発生するアンドロゲン産生の増加によって引き起こされる。アクネは、一般的に25歳までに解消するが、25~44歳の成人の約3%~8%が、アクネを患っている。病因は複雑であり、皮脂腺活性の刺激、細菌増殖(特に、以前はPropionibacterium acnesとして知られていた、Cutibacterium acnes)、異常な毛孔性角化とその結果として生じる皮脂腺濾胞の閉塞、および炎症性メディエーターの放出、という、4つの主要な特徴が関与しているとみられる。アクネ患者のこれらの変化は、面皰(一般に「黒ニキビ」または「白ニキビ」として知られている)などの表在性の膿疱、および、より深く位置する丘疹、結節および嚢胞を含む、臨床的炎症性病変の形成をもたらす。この疾患の影響を最も受けている領域として、皮脂腺が特に活発な、頭部と体幹上半部の毛嚢脂腺の濾胞が挙げられる。
【0003】
アクネを引き起こす油性皮脂およびケラチンの産生増加は、個体の遺伝、多種多様な薬物(例えば、コルチコステロイド、アンドロゲン、またはリチウム、アザチオプリン、ハロペリドール、ビタミンD、ビタミンB12、ヨウ化物または臭化物などのハロゲン、フェニトイン、またはフェノバルビタール)、および、食事やストレスなどの可能性のある他の要因、による影響を受ける。皮脂とケラチンの産生の増加は、アンドロゲン(例えば、テストステロン、ジヒドロテストステロン(DHT)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA))、成長ホルモン(GH)、およびインスリン様成長因子1(IGF-1)を含む、さまざまなホルモンのレベルの上昇と相関している。嫌気性細菌(例えば、C. acnes)および/または寄生ダニDemodex folliculorumによる毛包の感染は、感染が病気の開始に関与しているかどうかは不明であるものの、病気を悪化させる可能性がある。
【0004】
アクネの現在の治療の選択肢としては、(i)レチノイド、および、トレチノイン(Avita, Retin-A、その他)、アダパレン(Differin)およびタザロテン(Tazorac, Avage)などのレチノイド様薬物;過酸化ベンゾイル併用のクリンダマイシン(Benzaclin, Duac, Acanya)、および、過酸化ベンゾイル併用のエリスロマイシン(Benzamycin)を含む、抗生物質;サリチル酸とアゼライン酸;およびダプソン(Aczone)、が挙げられる。
【0005】
過酸化ベンゾイルは、アクネを治療するための市販の製品、および抗生物質と組み合わせた処方薬に、一般的に見られる。正確な作用機序は不明であるが、殺菌性であり、ケラチンを分解し、毛穴の詰まりを取り除き、皮脂の生成を阻害する可能性がある。しかしながら、過酸化ベンゾイルは、強力な酸化剤であるとともに、水にほとんど溶けないために強い有機溶媒で製剤化されることが多いため、過酸化ベンゾイル製剤は、局所的な刺激を引き起こす可能性がある。また、化学反応性が高いため、他の多くの化合物と適合性がない。
【0006】
局所投与用のクリンダマイシンは、クリンダマイシンのプロドラッグのリン酸エステルである、クリンダマイシンリン酸エステルの形態で、投与され得る。クリンダマイシンには、抗生物質の効果に加えて、抗炎症作用がある。クリンダマイシン(および他の抗生物質)の欠点の1つは、皮膚に抗生物質耐性菌が発生するリスクがあることである。
【0007】
アダパレンは、特定のレチノイン酸核内受容体のアゴニストである、レチノイド化合物である。これは、細胞分化、角質化、および炎症過程を調節し、局所製剤は、アクネの治療のために承認されている。アダパレンの正確な作用機序は不明であるが、濾胞の上皮細胞の分化を正常化し、マイクロコメドン形成を減少させている可能性がある。
【0008】
組み合わせの製品が試みられているが、結果は全く予測不可能である。例えば、Bowman, Sらは、“Comparison of clindamycin/benzoyl peroxide, tretinoin plus clindamycin, and the combination of clindamycin/benzoyl peroxide and tretinoin plus clindamycin in the treatment of acne vulgaris: a randomized, blinded study.” J Drugs Dermatol. 2005 Sep-Oct;4(5):611-8で、クリンダマイシン/過酸化ベンゾイルを含むレジメンは、アクネの治療において、レチノイド(トレチノイン)とクリンダマイシンの併用よりも効果があったが、1日1回のクリンダマイシン/過酸化ベンゾイル治療に、レチノイドとクリンダマイシンの併用を追加することに、臨床的利点はなかったと、報告した。同様の結果は、過酸化ベンゾイル5%/クリンダマイシン1%ゲルと、異なるレチノイドであるタザロテンとの組み合わせの治療を研究した大規模な試験においても、見られた。臨床試験NCT00713609(clinicaltrials.govで入手可能)は、2017年3月に結果が投稿された。12週間後、病変数の減少において、活性のある組み合わせ治療群の間に、統計的に有意な差はなかったとされている。三つの組み合わせは、二つの治療剤と比較して、良くはなく、実際、病変数の減少は数値的に低かった。多くの場合、そのような併用療法は、朝に1つまたは2つの薬物、および夕方に他の1つまたは複数の薬物が、投与されるが、これは、1日の1回の治療よりも患者にとって便利ではないものの、薬物間の予測できない有害な相互作用を減少させる可能性がある。
【0009】
アクネの様々な治療法が知られているが、より効果的な治療法が依然として必要である。病気の複雑な病因および一般的な治療剤の作用の正確なメカニズムの両方に関する、理解とコンセンサスの欠如は、効果的な治療法を設計することを困難にしており、有効性および副作用の欠如を実証するには、費用のかかる臨床試験が必要である。単に既存の活性剤の濃度を上げるだけでは、刺激や他の副作用をもたらす可能性がある。活性剤の組み合わせは、薬剤間の予測できない化学的相互作用、ある薬剤における別の薬剤の送達に対する予測できない影響、予測できない有効性、および、予測できない副作用の可能性のために、制約され得る。許容できない副作用がなく、より効果のある、アクネを治療するための改良された製剤が必要である。
【発明の概要】
【0010】
驚くべきことに、過酸化ベンゾイル、クリンダマイシンリン酸エステル、およびアダパレンの所定の組み合わせを含む局所ゲルが、これらの薬剤のいずれか2つの組み合わせを含むゲルと比較して、効力が有意に増強することを見出した。
【0011】
これらの薬剤のそれぞれは、ある程度の抗炎症活性を有し;過酸化ベンゾイルおよびクリンダマイシンリン酸エステルの両方がC.acnesの増殖を減少させ;過酸化ベンゾイルはまた、角質溶解性であり;そして、アダパレンは、さらに角質化を調節する(Zaenglein 2008)。所定用量の組み合わせ治療剤は、単純化された適用レジメン(例えば、各活性剤の朝/夕の一連の投与に対して、1日1回)により患者のアドヒアランスを向上し、また、適用誤り(例えば、不適合な単剤の薬剤の使用による、酸化)による物質の不適合を排除するのに、最適である。しかしながら、そのような所定用量の製剤が、安定、安全、有効なものとして、設計できるかどうかは、経験的なテストが必要であった。
【0012】
本開示は、一実施形態において、1~1.5重量%(例えば、約1.2重量%)のクリンダマイシンリン酸エステル、2.5~3.5重量%(例えば、約3.1重量%)の過酸化ベンゾイル、および、0.1~0.2重量%(例えば、約0.15重量%)のアダパレンを、ゲル化剤(例えば、カルボマーホモポリマー)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール)、および水と組み合わせて、含む、局所ゲル製剤を提供する。
【0013】
別の実施形態において、本開示は、患部に、例えば、1日1回、例えば、少なくとも12週間、1~1.5重量%(例えば、約1.2重量%)のクリンダマイシンリン酸エステル、2.5~3.5重量%(例えば、約3.1重量%)の過酸化ベンゾイル、および、0.1~0.2重量%(例えば、約0.15重量%)のアダパレンを、ゲル化剤(例えば、カルボマーホモポリマー)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール)、および水と組み合わせて、含む、局所ゲル製剤を投与することを含む、尋常性座瘡を治療する方法、を提供する。
【0014】
別の実施形態において、本開示は、1~1.5重量%(例えば、約1.2重量%)のクリンダマイシンリン酸エステル、2.5~3.5重量%(例えば、約3.1重量%)の過酸化ベンゾイル、0.1~0.2%(例えば、約0.15重量%)のアダパレン、ゲル化剤(例えば、カルボマーホモポリマー)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール)、および水、を混合して、分散液を形成し、次に、混合物のpHをpH5~6に調整することを含む、例えば、上記のような、局所ゲル製剤を製造する方法、を提供する。
【0015】
本開示の適用可能性のあるさらなる領域は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、例示することのみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好ましい実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明、その用途、または使用を限定することを決して意図するものではない。
【0017】
第1の実施形態において、本開示は、1~1.5重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、2.5~3.5重量%の過酸化ベンゾイル、および、0.1~0.2重量%のアダパレンと、ゲル化剤、多価アルコール、および水、を含む、局所ゲル製剤(製剤1)、を提供し、例えば、以下のものが挙げられる:
1.1.クリンダマイシンリン酸エステルの濃度が、約1.2重量%である、製剤1。
1.2.過酸化ベンゾイルの濃度が、約3.1重量%である、製剤1または1.1。
1.3.アダパレンの濃度が、約0.15重量%である、上記のいずれかの製剤。
1.4.ゲル化剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー(場合により、ポリアルコールのアリルエーテルで架橋されていてもよい、例えば、カルボマー)、カルボキシビニルコポリマー、ポリアクリレート、アクリレートコポリマー、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、プロピレングリコールアルギネート、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナンガム、および、それらの組み合わせ、から選択される、上記のいずれかの製剤。
1.5.ゲル化剤が、カルボキシビニルポリマー(場合により、ポリアルコールのアリルエーテルで架橋されていてもよい、例えば、カルボマー)、カルボキシビニルコポリマー、ポリアクリレート、アクリレートコポリマー、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、プロピレングリコールアルギネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および、キサンタンガム、から選択される、上記のいずれかの製剤。
1.6.ゲル化剤が、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーを含む、上記のいずれかの製剤。
1.7.ゲル化剤が、アクリルアミド アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/イソヘキサデカン/ポリソルベート80 ゲル化剤を含む、上記のいずれかの製剤。
1.8.ゲル化剤が、ポリアルコールのアリルエーテル(例えば、アリルスクロースまたはアリルペンタエリスリトール)で架橋された、カルボマーホモポリマーを含む、上記のいずれかの製剤。
1.9.ゲル化剤が、ポリアルコールのアリルエーテルで架橋された、アクリル酸のポリマーであり、これは、例えば、56%~68%のカルボン酸基(-COOH)を含み;例えば、粘度(0.5重量%、pH7.5で測定)が、40,000~60,000cPsである、上記のいずれかの製剤。
1.10.ゲル化剤が、カルボマーホモポリマータイプC、例えば、米国薬局方(United States Pharmacopeia)/国民医薬品集(National Formulary)(USP/NF)のモノグラフによって定義されるもので、例えば、Carbopol 980、である、上記のいずれかの製剤。
1.11.ゲル化剤の量が、1.5~2重量%である、上記のいずれかの製剤。
1.12.ゲル化剤の量が、約1.75重量%である、上記のいずれかの製剤。
1.13.ゲル化剤が、約1.75重量%の量のカルボマーホモポリマータイプCである、上記のいずれかの製剤。
1.14.製剤のpHが、pH5~6である、上記のいずれかの製剤。
1.15.ゲル化剤が、カルボキシ部分を含む架橋ポリマーであり、製剤が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、およびそれらの組み合わせから選択される塩基を、ゲル化剤を増粘させるのに十分な量のカルボキシ部分を脱プロトン化するのに十分な量で、さらに含む、上記のいずれかの製剤。
1.16.水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、およびそれらの組み合わせから選択される塩基を、pH5~6をもたらす量で含む、上記のいずれかの製剤。
1.17.pH5~6をもたらす量の水酸化カリウムを含む、上記のいずれかの製剤。
1.18.過酸化ベンゾイルの一部が、溶解しておらず、過酸化ベンゾイルの未溶解部分が、製剤中に均一に分散している、上記のいずれかの製剤。
1.19.過酸化ベンゾイルの一部が、溶解しておらず、過酸化ベンゾイルの未溶解部分が、1~50ミクロン、例えば、2.5~30ミクロンの、平均粒径を有する、上記のいずれかの製剤。
1.20.過酸化ベンゾイルが、マイクロスポンジ中で、カプセル化も同伴(entrained)もされていない、上記のいずれかの製剤。
1.21.過酸化ベンゾイルが、遊離しており、複合体またはポリマーにより制限されていない、上記のいずれかの製剤。
1.22.アダパレンの一部が、溶解しておらず、アダパレンの未溶解部分が、製剤中に均一に分散している、上記のいずれかの製剤。
1.23.アダパレンの一部が、製剤中に、溶解せずに、均一に分散し、そして、過酸化ベンゾイルの一部も、製剤中に、溶解せずに、均一に分散している、上記のいずれかの製剤。
1.24.アダパレンと過酸化ベンゾイルが、互いに実質的な化学反応を起こさない、上記のいずれかの製剤。
1.25.多価アルコールが、プロピレングリコール、エトキシジグリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、グリセロール、およびそれらの組み合わせ、から選択される、上記のいずれかの製剤。
1.26.多価アルコールが、1,2-プロピレングリコール、および1,3-プロイレングリコールから選択される、上記のいずれかの製剤。
1.27.多価アルコールが、1,2-プロピレングリコールである、上記のいずれかの製剤。
1.28.製剤中の多価アルコールの重量が、過酸化ベンゾイルの量の1~4倍(例えば、1~2倍)である、上記のいずれかの製剤。
1.29.製剤中の水と多価アルコールの重量比が、10:1~20:1である、上記のいずれかの製剤。
1.30.多価アルコールの量が、3~7重量%である、上記のいずれかの製剤。
1.31.多価アルコールの量が、約5重量%である、上記のいずれかの製剤。
1.32.多価アルコールが、約5重量%の量のプロピレングリコールである、上記のいずれかの製剤。
1.33.水の量が、80重量%~90重量%、例えば、85重量%~90重量%、である、上記のいずれかの製剤。
1.34.製剤が、約1.2重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、約3.1重量%の過酸化ベンゾイル、および約0.15重量%のアダパレンを含む、上記のいずれかの製剤。
1.35.製剤が、
約1.2重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、
約3.1重量%の過酸化ベンゾイル、
約0.15重量%のアダパレン、
約5重量%のプロピレングリコール、
約1.75重量%のカルボマーホモポリマータイプC、
pH5~6をもたらす量の水酸化カリウム、および
水、
を含む、上記のいずれかの製剤
1.36.約1.2重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、約3.1重量%の過酸化ベンゾイル、および、約0.15重量%のアダパレン、を含む製剤であって、製剤が、先行して記載された製剤と、臨床生物学的に同等であり、例えば、それが、(a)臨床評価項目の生物学的同等性試験(clinical endpoint bioequivalence study)、(b)イン・ビトロ浸透試験(IVPT)、および/または、(c)イン・ビトロ放出試験(IVRT)、のうちの1つまたは複数によって示される、製剤。
1.37.製剤が、イオン性界面活性剤を含まない、上記のいずれかの製剤。
1.38.製剤が、多価アルコール以外の有機溶媒を含まない、上記のいずれかの製剤。
1.39.製剤が、エタノールまたはイソプロパノールの含有量が2%未満である、例えば、エタノールおよびイソプロパノールを含まない、上記のいずれかの製剤。
1.40.製剤が、一価アルコールを実質的に含まない、上記のいずれかの製剤。
1.41.製剤が、水性である、上記のいずれかの製剤。
1.42.製剤が、単相である、上記のいずれかの製剤。
1.43.製剤が、エマルジョンでない、上記のいずれかの製剤。
1.44.製剤が、鉱油を含まない、上記のいずれかの製剤。
1.45.製剤が、ゲル化剤以外のポリマーを含まない、上記のいずれかの製剤。
1.46.製剤が、カルボマーホモポリマー以外のポリマーを含まない、上記のいずれかの製剤。
1.47.製剤が、過酸化ベンゾイルおよびアダパレン以外の、保存剤または抗菌剤を含まない、上記のいずれかの製剤。
1.48.有効成分が、クリンダマイシンリン酸エステル、過酸化ベンゾイル、およびアダパレンのみである、上記のいずれかの製剤。
1.49.保湿剤、エモリエント剤、pH安定剤、保存剤、キレート剤、および抗酸化剤から選択される、1つまたは複数の追加の不活性成分をさらに含む、上記のいずれかの製剤。
1.50.有効量の保存剤、例えば、パラヒドロキシ安息香酸保存剤(パラベン)から選択されるもの、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびそれらの組み合わせから選択されるもの、をさらに含む、上記のいずれかの製剤。
1.51. 1~1.5重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、2.5~3.5重量%の過酸化ベンゾイル、0.1~0.2重量%のアダパレン、ゲル化剤、多価アルコール、および水、を混合して、均一な分散液を形成し、その後、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、およびそれらの組み合わせから選択される塩基を、pH5~6をもたらす量で加えることにより、製造される、上記のいずれかの製剤。
1.52.製剤が、少なくとも4、6または8週間、例えば、少なくとも12週間、にわたって患部に1日1回投与されるときに、クリンダマイシンリン酸エステル、過酸化ベンゾイル、およびアダパレンが、アクネを治療するのに有効な濃度で存在する、上記のいずれかの製剤。
1.53.製剤が、2.5~3.5重量%の過酸化ベンゾイル、および0.1~0.2重量%のアダパレンを含む製剤よりも、副作用が少ない、上記のいずれかの製剤。
1.54.製剤が、2.5~3.5重量%の過酸化ベンゾイル、および0.1~0.2重量%のアダパレンを含む製剤よりも、有意に副作用が多くない、上記のいずれかの製剤。
1.55.製剤が、(i)1~1.5重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、および2.5~3.5重量%の過酸化ベンゾイル、(ii)2.5~3.5重量%の過酸化ベンゾイル、および0.1~0.2重量%のアダパレン、および、(iii)1~1.5重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、および0.1~0.2重量%のアダパレン、から選択される有効成分を含む製剤よりも、アクネの治療においてより効果的である、上記のいずれかの製剤。
1.56.製剤が、室温で、少なくとも6週間、例えば、少なくとも10週間、安定である、上記のいずれかの製剤。
1.57.製剤が、患者に分配する前に、例えば、2℃~8℃(36°F~46°F)で、冷蔵されたときに、安定であり、その後、室温で、例えば、25℃(77°F)以下で、少なくとも6週間、例えば、少なくとも10週間、安定である、上記のいずれかの製剤。
1.58.アクネの治療に使用するための、例えば、患部への毎日の局所塗布によるもので、例えば、方法1以下のいずれかにしたがったものである、上記のいずれかの製剤。
1.59.方法2以下のいずれかの方法によって得た、または得られ得る、上記のいずれかの製剤。
【0018】
別の実施形態において、本開示は、製剤1~1.59のいずれかを含む容器、例えば、製剤1~1.59のいずれかを含むポンプ容器または変形可能なチューブ、例えば、ポンプを備え製剤1~1.59のいずれかを含む容器、である医薬品であって、ポンプが押されるごとに特定の量の製剤(例えば、0.5~1立方センチメートル、例えば、豆粒大の量)を放出するようにポンプが調整されている、医薬品、を提供する。
【0019】
別の実施形態において、本開示は、少なくとも1日1回、患部に、1~1.5重量%(例えば、約1.2重量%)のクリンダマイシンリン酸エステル、2.5~3.5重量%(例えば、約3.1重量%)の過酸化ベンゾイル、および0.1~0.2重量%(例えば、約0.15重量%)のアダパレン、ゲル化剤(例えば、カルボマーホモポリマー)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール)、および、水、を含む局所ゲル製剤を投与することを含む、それを必要とする患者において、尋常性座瘡を治療する方法(方法1)を提供する。例えば、本開示は、以下の方法を提供する:
1.1.投与が、1日1回である、方法1。
1.2.患部が、顔、首、背中、および/または胸である、方法1または1.1。
1.3.患部が、顔である、上記のいずれかの方法。
1.4.投与が、患部全体、例えば、顔全体、に行われる、上記のいずれかの方法。
1.5.局所ゲル製剤の薄層が、1日1回、夕方に、就寝時刻の少なくとも30分前、ほぼ毎日同じ時間に、12週間、顔全体に適用される、上記のいずれかの方法。
1.6.塗布1回あたりに使用される局所ゲル製剤の量が、約0.5~1立方センチメートル(豆粒大の量)である、上記のいずれかの方法。
1.7.患者が、少なくとも9歳である、上記のいずれかの方法。
1.8.患者が、中等度から重度のアクネの臨床診断を受けている、上記のいずれかの方法。
1.9.患者が、下記に示す評価者による総合重症度スコア(EGSS)に基づいて、3または4のスコアでアクネを患っている、上記のいずれかの方法:
【表1】
1.10.治療が、少なくとも4週間、例えば、少なくとも8週間、例えば、少なくとも12週間、継続する、上記のいずれかの方法。
1.11.治療が、少なくとも12週間、継続する、上記のいずれかの方法。
1.12.治療が、炎症性皮膚疾患の症状を改善するのに十分な時間である、上記のいずれかの方法。
1.13.炎症性皮膚疾患が、尋常性座瘡であり、治療により、評価者による総合重症度スコア(EGSS)のスコアが改善される、上記のいずれかの方法。
1.14.投与が、1日1回夕方(evening)に行われる、上記のいずれかの方法。
1.15.治療が、2.5~3.5重量%の過酸化ベンゾイルおよび0.1~0.2重量%のアダパレンを含む製剤による治療よりも、副作用が少ない、例えば、適用部位での痛みおよび/または乾燥の発生率が低い、上記のいずれかの方法。
1.16.治療が、(i)1~1.5重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、および2.5~3.5重量%の過酸化ベンゾイル、(ii)2.5~3.5重量%の過酸化ベンゾイル、および0.1~0.2重量%のアダパレン、および、(iii)1~1.5重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、および0.1~0.2重量%のアダパレン、から選択される有効成分を含む製剤による治療よりも、アクネの治療においてより効果的である、上記のいずれかの方法。
1.17.患者が、治療の開始時に、顔に、20以上、例えば、20~40の炎症性病変を有し、および/または、25以上、例えば、25~100の非炎症性病変を有する、上記のいずれかの方法。
1.18.患者が、中等度から重度のアクネと診断されている、上記のいずれかの方法。
1.19.患者が、治療の開始時に、EGSSにおいて、3(中程度)または4(重度)である、上記のいずれかの方法。
1.20.患者が、9歳以上である、上記のいずれかの方法。
1.21.患者が、12歳以上である、上記のいずれかの方法
1.22.患者が、治療の開始時に、30以上100以下の数の顔面のアクネの炎症性病変(丘疹、膿疱、および結節)を有する、上記のいずれかの方法。
1.23.患者が、治療の開始時に、35以上150以下の数の顔面のアクネの非炎症性病変(開大した面皰および閉鎖した面皰)を有する、上記のいずれかの方法。
1.24.患者が、女性であり、妊娠しておらず、治療期間全体にわたって避妊をしている、上記のいずれかの方法。
1.25.局所ゲル製剤が、製剤1~1.59のいずれか1つから選択される製剤である、上記のいずれかの方法。
1.26.局所ゲル製剤が、約1.2重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、約3.1重量%の過酸化ベンゾイル、および約0.15重量%のアダパレン、を含む、上記のいずれかの方法。
1.27.局所ゲル製剤が、
約1.2重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、
約3.1重量%の過酸化ベンゾイル、
約0.15重量%のアダパレン、
約5重量%のプロピレングリコール、
約1.75重量%のカルボマーホモポリマータイプC、
pH5~6をもたらす量の水酸化カリウム、および
水、
を含む、上記のいずれかの方法。
1.28.局所ゲル製剤が、約1.2重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、約3.1重量%の過酸化ベンゾイル、および約0.15重量%のアダパレンを含む製剤であり、製剤が、先行して記載された製剤と、臨床生物学的に同等であり、例えば、それが、(a)臨床評価項目の生物学的同等性試験(clinical endpoint bioequivalence study)、(b)イン・ビトロ浸透試験(IVPT)、および/または、(c)イン・ビトロ放出試験(IVRT)、のうちの1つまたは複数によって示される、上記のいずれかの方法。
【0020】
別の実施形態において、本開示は、皮膚の炎症疾患の治療(例えば、方法1~1.19のいずれかによる)のための医薬(例えば、製剤1~1.59のいずれか1つに記載の製剤)の製造における、クリンダマイシンリン酸エステル、過酸化ベンゾイル、およびアダパレン、の使用、を提供する。
【0021】
別の実施形態において、本開示は、局所ゲル製剤、例えば、製剤1~1.59のいずれか、を製造する方法であって、
i.下記のプレミックス:
a.水に分散したゲル化剤を含む、プレミックスA、
b.多価アルコールと水に分散した過酸化ベンゾイルを含む、プレミックスB、
c.クリンダマイシンリン酸エステルの水溶液を含む、プレミックスC、
d.多価アルコールと水に分散した微粉化アダパレンを含む、プレミックスD、を提供すること、
ii.プレミックスAとプレミックスDを混合すること、
iii.プレミックスBを、工程iiの混合物に混合すること、
iv.プレミックスCを、工程iiiの混合物に混合すること、
v.工程ivの混合物のpHをpH5~6に調整して、ゲルを形成すること、
を含む、方法(方法2)、を提供する。
例えば、本開示は、下記を提供する:
2.1.ゲル化剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー(場合により、ポリアルコールのアリルエーテルで架橋されていてもよい、例えば、カルボマー)、カルボキシビニルコポリマー、ポリアクリレート、アクリレートコポリマー、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、プロピレングリコールアルギネート、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナンガム、および、それらの組み合わせ、から選択される、方法2。
2.2.ゲル化剤が、カルボキシビニルポリマー(場合により、ポリアルコールのアリルエーテルで架橋されていてもよい、例えば、カルボマー)、カルボキシビニルコポリマー、ポリアクリレート、アクリレートコポリマー、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、プロピレングリコールアルギネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および、キサンタンガム、から選択される、上記のいずれかの方法。
2.3.ゲル化剤が、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーを含む、上記のいずれかの方法。
2.4.ゲル化剤が、アクリルアミド アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/イソヘキサデカン/ポリソルベート80 ゲル化剤を含む、上記のいずれかの方法。
2.5.ゲル化剤が、ポリアルコールのアリルエーテル(例えば、アリルスクロース、またはアリルペンタエリスリトール)で架橋された、カルボマーホモポリマーを含む、上記のいずれかの方法。
2.6.ゲル化剤が、ポリアルコールのアリルエーテルで架橋された、アクリル酸のポリマーであり、これは、例えば、56%~68%のカルボン酸(-COOH)基を含み;例えば、粘度(0.5重量%、pH7.5で測定)が、40,000~60,000cPsである、上記のいずれかの方法。
2.7.ゲル化剤が、カルボマーホモポリマータイプC、例えば、米国薬局方(United States Pharmacopeia)/国民医薬品集(USP/NF)のモノグラフによって定義されるもので、例えば、Carbopol 980である、上記のいずれかの方法。
2.8.多価アルコールが、プロピレングリコール、エトキシジグリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、グリセロール、およびそれらの組み合わせ、から選択される、上記のいずれかの方法。
2.9.多価アルコールが、1,2-プロピレングリコール、および1,3-プロピレングリコール、から選択される、上記のいずれかの方法。
2.10.多価アルコールが、1,2-プロピレングリコールである、上記のいずれかの方法。
2.11.最終製品中の有効成分の量が、約1.2重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、約3.1重量%の過酸化ベンゾイル、および約0.15重量%のアダパレンである、上記のいずれかの方法。
2.12.製造された局所ゲル製剤が、
約1.2重量%のクリンダマイシンリン酸エステル、
約3.1重量%の過酸化ベンゾイル、
約0.15重量%のアダパレン、
約5重量%のプロピレングリコール、
約1.75重量%のカルボマーホモポリマータイプC、
pH5~6をもたらす量の水酸化カリウム、および
水
を含む、上記のいずれかの方法。
2.13.プレミックスCのpHが、pH6~7、例えば、pH6.2~6.8、に調整される、上記のいずれかの方法。
2.14.工程vにおいて、pHが、5.4~5.8に調整される、上記のいずれかの方法。
2.15.pH調整剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびそれらの混合物、から選択される、上記のいずれかの方法。
2.16.pH調整剤が、水酸化カリウムである、上記のいずれかの方法。
2.17.工程vの製品を、分配容器、例えば、変形可能なチューブまたはポンプ容器、に充填する工程をさらに含む、上記のいずれかの方法、。
【0022】
本開示はさらに、例えば、方法2~2.17のいずれかの生産物である、製剤1~1.59のいずれかの局所ゲル製剤を提供する。
【0023】
特に断りのない限り、本明細書において示される組成物の成分のすべてのパーセンテージは、総組成物または製剤合計を100%の重量とした、重量によるものである。
【0024】
本明細書で提供される組成物および製剤は、当技術分野で通常のものである、それらの成分を参照して、記載および請求される。当業者には明らかであるように、成分は、場合によっては互いに反応する可能性があり、その結果、最終製剤の真の組成は、記載された成分に正確に対応しない可能性がある。したがって、本発明は、記載された成分の組み合わせの生産物にまで及ぶものと理解されるものである。
【0025】
量または濃度に関する「約」は、示された値の、80%~120%、あるいは90%~110%、を意味する。
【0026】
全体を通して、数値範囲は、その範囲内にあるそれぞれおよびすべての値を説明するための省略形として使用されている。範囲内の任意の値を範囲の末端として選択できる。さらに、本明細書で引用されるすべての参考文献は、それらの全体が参照されることにより、本明細書に組み込まれる。本開示の定義と、引用された文献の定義に矛盾がある場合、本開示が優先される。
【0027】
特に断りのない限り、本明細書において表されるすべてのパーセンテージおよび量は、重量パーセントを意味するものと理解されるべきである。与えられた量は、材料の活性な重量に基づくものである。
【0028】
本発明を、以下の実施例によりさらに説明するが、これらは、例示を意味しており、これらに限定的されるものではない。
【実施例】
【0029】
実施例1:3つの組み合わせと2つの組み合わせを比較する臨床試験
この研究は、クリンダマイシンリン酸エステル(CP)、過酸化ベンゾイル(BPO)、およびアダパレン(1.2%/3.1%/0.15%)の、新規な所定用量の組み合わせについて、9歳以上の被験者における、中等度から重度の尋常性座瘡の治療のために、そのビヒクル、および、2成分の組み合わせ(BPO/アダパレン、クリンダマイシン/BPO、およびクリンダマイシン/アダパレン)と比較して、安全性および有効性を評価することを意図する。
【0030】
これは、多施設、無作為化、二重盲検、ビヒクル対照、12週間の試験であり、クリンダマイシンリン酸エステル(CP)、過酸化ベンゾイル(BPO)、およびアダパレンを含む、3成分(1.2%/3.1%/0.15%)の組み合わせのゲルについての組み合わせの、安全性、忍容性、および有効性を、2、4、8、および12週目において、そのビヒクル、および2成分の組み合わせ(BPO/アダパレン、クリンダマイシン/BPO、およびクリンダマイシン/アダパレン)と比較して、評価するために設計されている。試験した製剤は以下の通りである:
【表2】
【0031】
研究が適格であるために、被験者は、少なくとも9歳であり、中等度から重度のアクネ(評価者による総合重症度スコア[EGSS、上記]が、3または4で定義される)の臨床診断を有し、30~100個の炎症性顔面病変(丘疹、膿疱、および結節)、35~150個の非炎症性顔面病変(開大した面皰および閉鎖した面皰)、および、2つ以下の顔面結節、を示さなければならない。すべての被験者は、12週間、1日1回、顔に、局所塗布の治療を受ける。被験者の来院は、スクリーニング、ベースライン、第2週、第4週、第8週、および第12週、が含まれ、その際、安全性と有効性の評価が行われる(ウォッシュアウトが不要な場合、スクリーニングとベースラインは、同日に行われる場合がある)。ベースライン、4週、および8週目の試験来院時に、1つのポンプ式試験薬が、被験者に配分される。被験者は、ベースライン後の各試験来院(2、4、8、および12週目)で、薬剤使用コンプライアンスについて評価される。被験者は、各研究センターの研究コーディネーターまたは指定された者の指示に従って、自宅で1日1回(夕方(evening)に)、治療薬を塗布する。
【0032】
治験責任医師(investigator)は、各試験来院で被験者の顔を評価する。報告および観察された有害事象(AE)に関する情報は、来院ごとに取得される。簡略化した身体検査とバイタルサイン測定を、すべての被験者に対して、ベースラインと12週目(試験の終わり)において、実施する。血液サンプルを、CBC/Diffおよび血清化学検査のために、ベースラインおよび12週目に、被験者から収集する。出産の可能性のあるすべての女性被験者(FOCBP)について、尿妊娠検査を、スクリーニング、ベースライン(無作為化前)、および、2、4、8、12週目に、実施する。さらに、血清妊娠検査を、ベースラインおよび12週目に、実施する。
【0033】
さらに、選択された研究センターでは、顔の標準化した写真撮影を、ベースライン、ならびに、4、8、および12週目に、実施する。
【0034】
約750人の被験者が、1:1:1:1:1の比率で、以下の治療群に、無作為化される:
・テストゲル(クリンダマイシンリン酸エステル1.2%/BPO3.1%/アダパレン0.15%)適用の、被験者150人
・構成A(BPO3.1%/アダパレン0.15%)適用の、被験者150人
・構成B(クリンダマイシンリン酸エステル1.2%/BPO3.1%)適用の、被験者150人
・構成C(クリンダマイシンリン酸エステル1.2%/アダパレン0.15%)適用の、被験者150人
・ビヒクルゲル適用の、被験者150人
【0035】
調査センターにおいて試験来院が終了した後に試験薬を(被験者によって)適用する試験来院日(ベースライン、2、4および8週)を除いて、割り当てられた試験薬を、自宅で、1日1回、夕方に、12週間(12週目の来院前の夕方まで)、顔に局所的に適用する。
【0036】
以下の基準のすべてを満たす被験者は、研究エントリーの資格がある:
1.少なくとも9歳以上の男性または女性。
2.書面および口頭によるインフォームドコンセントが得られる必要がある。同意承諾年齢未満の被験者は、研究の同意書に署名する必要があり、親または法的保護者は、インフォームドコンセントに署名する必要がある(被験者が研究中に同意年齢に達した場合、次の試験来院で、再同意がなされるべきである)。
3.被験者は、ベースライン来院時に、EGSSが、3(中程度)または4(重度)である必要がある。
4.顔面のアクネの炎症性病変(丘疹、膿疱、結節)を、30以上、100以下の数で有する被験者。
5.顔面のアクネの非炎症性病変(開大した面皰と閉鎖した面皰)を、35以上、150以下の数で有する被験者。
6.顔面結節が2つ以下である被験者。
7.FOCBP1および月経前の女性は、試験期間中、効果的な避妊を進んで実行する必要がある。(効果的な避妊は、少なくとも3か月間の経口避妊薬についての安定化、子宮内避妊器具、殺精子剤を含むコンドーム、殺精子剤を含む避妊具(diaphragm)、インプラント、NuvaRing(商標)、注射、経皮パッチ、または自制(禁欲)、と定義される)。避妊薬を服用している女性は、試験に入る前に少なくとも3か月間、同じ種類の薬を服用している必要があり、試験中に種類を変更してはいけない。過去に経口避妊薬を使用したことがある人は、試験開始の少なくとも3か月前に使用を中止している必要がある。アクネの制御のためだけに避妊薬を使用する女性は、除外されるべきである。
8.月経前の女性とFOCBPは、スクリーニング来院において、尿妊娠検査が陰性であり、そして、ベースライン来院において、尿妊娠検査が陰性でなければならない。
9.被験者は、研究の指示を順守し、必要な来院のために進んでクリニックに来る必要がある。同意年齢未満の被験者は、同意/承諾署名の際に、親または法的保護者の同伴が必要である。
10.試験中に、洗顔剤(cleanser)、保湿剤(moisturizer)、または日焼け止め剤(sunscreen)が必要な場合、被験者は許可された洗顔剤、保湿剤、日焼け止め剤、または、保湿剤/日焼け止め剤の組み合わせ製品のみを進んで使用する必要がある(Appendix 17.2を参照)。被験者は、面皰が生じにくい(non-comedogenic)製品(メーキャップ品およびシェービング製品を含む)の使用に同意する必要がある。
【0037】
以下の基準のいずれかを満たす被験者は、試験から除外される:
1.この試験と同時に行われた研究試験において、登録または参加から30日以内の試験薬または装置の使用。
2.集簇性座瘡(acne conglobata)、電撃性座瘡(acne fulminans)、続発性座瘡(secondary acne)、口囲皮膚炎、臨床的に重大な酒さ、グラム陰性桿菌性座瘡(Gram-negative folliculitis)、皮膚炎、湿疹などの、臨床的評価を妨げる可能性のある顔の皮膚疾患。
3.干渉する局所または全身の療法剤の使用を要する、または、評価および病変数を決定させない、顔の基礎疾患またはその他の皮膚科学的疾患。
4.試験評価を妨げる可能性のある顔のあごひげまたは口ひげのある被験者。
5.顔面結節が2つよりも多くある被験者。
6.化粧品に関連したアクネの証拠または病歴。
7.被験者が、顔にフェイシャルトリートメント(例えば、化粧品、石鹸、マスク、洗顔、日焼け止め剤など)を適用したときに、著しい灼熱感や刺痛を経験した病歴がある。
8.妊娠中である、授乳中の母親である、試験期間中に妊娠を計画している、または試験中に妊娠した、女性の被験者。
9.試験開始直前の12週間未満のエストロゲン(例えば、デポゲン、デポ-テスタジオール、ギノゲン、バレルゲンなど)の使用;被験者が、試験開始の直前の12週間以上で継続してエストロゲンで治療された被験者が除外される必要はない;ただし、試験中に、用量、薬物を変更するか、または、エストロゲンの使用を中止しない場合は除外される。
10.女性の場合、被験者が、多毛症、多嚢胞性卵巣疾患、または臨床的に重大な月経不順の病歴を有する。
11.局所的腸炎、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、偽膜性大腸炎、慢性または再発性下痢、または抗生物質関連大腸炎の病歴。
12.治療領域外の皮膚癌の完全な外科的切除を除いて、最近6か月以内の任意の種類の癌の治療。
13.被験者が、試験中に、アクネを悪化させると報告されている薬物および/またはビタミンを使用する(アザチオプリン、ハロペリドール、ビタミンD、ビタミンB12、ヨウ化物や臭化物などのハロゲン、リチウム、治療領域における全身性または局所性の中から超高力価のコルチコステロイド、フェニトイン、およびフェノバルビタール)。推奨される1日量のビタミンA、および安定した量のビタミンDを含む、マルチビタミンは、許容される。
14.クリンダマイシンリン酸エステル、BPO、またはアダパレンの任意の剤形に対する既知の感受性を含む、治験薬概要書に記載されている、任意の試験製剤に対する、過敏症またはアレルギー反応の病歴。
15.BPO、アルファ-ヒドロキシ酸、サリチル酸、レチノール、またはグリコール酸などの成分を含む、刺激性であり得る市販薬の併用。
16.顔に用いられる、下記の局所製剤または物理的治療のために、指定されたウォッシュアウト期間を経ていない被験者;または、治療領域において、下記のいずれかを同時に使用する必要がある被験者:
・顔への局所収斂剤および研磨剤(abrasives)(面皰除去ストリップ剤を含む):1週間
・顔への許可されていない保湿剤または日焼け止め剤:1週間
・顔への抗生物質:2週間
・顔へのその他の局所抗アクネ薬:2週間
・顔への抗菌剤を含む石鹸:2週間
・顔への抗炎症剤およびコルチコステロイド:4週間
・顔へのレチノールを含むレチノイド類:4週間
・ケミカルピーリング、マイクロダーマブレーション、光(PDT、LED)およびレーザー治療、およびアクネ手術を含む、顔の施術:4週間
被験者が顔以外の領域(胸および/または背中など)のアクネの局所治療を必要とする場合、治験責任医師は、クリンダマイシンリン酸エステル、BPO、またはアダパレンのいずれも含まない製品を処方してもよいが、ソースドキュメントおよび電子ケース・レポート・フォーム(eCRF)に記載する必要がある。
17.下記の全身薬の指定されたウォッシュアウト期間を経ていない被験者;または、下記の全身薬のいずれかを同時に使用する必要がある被験者:
・コルチコステロイド(筋肉内注射を含む)(吸入コルチコステロイドは許容される):4週間
・抗生物質:4週間
・その他の全身性座瘡治療剤:4週間
・全身性レチノイド:6ヶ月
18.被験者が、試験中に、日焼けブースまたは日光浴を使用することを意図している。
19.言語の問題、精神発達の低下、または脳機能の障害のために、治験責任医師とコミュニケーションまたは協力することができない被験者。
20.治験責任医師が制御されていないとみなし、試験に参加している間、被験者の安全性に懸念をもたらす基礎疾患のある被験者。
【0038】
被験者の離脱基準:離脱の理由には、これらに限定されるものではないが、下記を挙げることができる:
・許可されていない治療の処置を必要とする、治験責任医師が決定した、アクネの突発性炎症。
・治験責任医師の要求、忍容性の理由(重度の副作用など)、または被験者の要求のいずれか。
・プロトコルの要件が満たされていない場合。
・試験の結果を妨げる可能性のある併用療法が、被験者によって、報告または要求された場合(治験責任医師は、そのような情報のすべてを、ソースドキュメント/eCRFに報告し、治験依頼者に従って、被験者を離脱させるかどうかを決定する)。
・被験者が、フォローアップにいなくなる場合。治験責任医師は、電話、電子メール、および/またはテキストメッセージで、被験者に連絡することを2回試み、そして、被験者がフォローアップにいなくなると考える前に、配達証明付き郵便でフォローアップレターを送信する。これらのアクションは、試験終了のソースドキュメント、および最終的なeCRFで報告され、フォローアップレターのコピーが、治験責任医師のファイルに保持される。
【0039】
すべての途中の中止およびそれに関連する理由は、治験責任医師によって、ソースドキュメントおよび最終的なeCRF、ならびに必要に応じて、AEフォームに、注意深く文書化されなければならない。いずれの場合でも、被験者が何らかの理由で途中に中止した場合、参加者となり、試験番号が割り当てられている被験者を、別の被験者に置き換えることはできない。終了前に被験者に関して収集されたすべてのデータは、治験依頼者が利用できるようになる。
【0040】
最終報告書に記載されている試験の終了/中止の理由は、以下のように定義される:
通常の試験の終了- 被験者はプロトコルで計画されたとおりに試験を終了する。
有害事象- AEフォームに記入する。
死亡- 重大な有害事象(SAE)フォームに記入する。
被験者要求- 同意の撤回、被験者の移動、スケジュールの衝突。
プロトコル違反- 決定の前に、治験依頼者または被指定人に連絡。
フォローアップ失敗- 2回の電話、電子メールおよび/またはテキストメッセージ、および、配達証明付き郵便レターによる、ドキュメント。
妊娠- 被験者はすぐに試験薬を中止するが、期間までフォローされる。妊娠フォームに記入する。
病状の悪化- 被験者は、試験終了前にアクネの代替の治療を必要とし、治験責任医師は、それが有効性の欠如によるものではないと判断する。
有効性の欠如- 被験者は、試験薬治療の少なくとも2週間後に、アクネの代替治療を必要とし、治験責任医師が決定して、利益よりも被験者が試験を継続するリスクが上回る。
親/保護者による離脱- 試験参加者が、親または法的保護者によって試験から除外されたことを示す;同意の撤回、被験者住所移動、スケジュール衝突などが含まれる。
治験依頼者による試験終了- 治験依頼者によって臨床試験が中止されたことを示す。
その他- eCRFのコメントセクションに特記する。
【0041】
評価基準:
【0042】
一次有効性:
主要な有効性エンドポイントは、テストゲルとビヒクルゲル、および各比較ゲル(構成A、BおよびC)を、1日1回塗布した場合の、数値的優位性を比較することを目的とする。具体的には、記述統計と推測統計を使用してまとめられるエンドポイントは、以下のとおりである:
(1)平均炎症性病変数について、ベースラインから12週目までの絶対変化。
(2)平均非炎症性病変数について、ベースラインから12週目までの絶対変化。
(3)評価者による総合重症度スコア(EGSS)に基づいて、ベースラインから少なくとも2グレードの低下を達成し、12週目に「きれい」または「ほぼきれい」である、被験者のパーセンテージ。
【0043】
二次有効性:
【0044】
二次有効性エンドポイントは、テストゲルとビヒクルゲル、および各比較ゲル(構成A、BおよびC)を、1日1回塗布した場合の、数値的優位性を比較することを目的とする。具体的には、記述統計を使用してまとめられる二次エンドポイントは、以下のとおりである:
(1)2、4、および8週目において、ベースラインからの炎症性病変数および非炎症性病変数の絶対変化。
(2)EGSSに基づいて、ベースラインから少なくとも2グレードの低下を達成し、2、4、および8週目に「きれい」または「ほぼきれい」である、被験者のパーセンテージ。
(3)2、4、8、および12週目において、ベースラインからの炎症性病変数および非炎症性病変数の平均パーセンテージ変化。
【0045】
有効性測定:
【0046】
病変数:各来院時に、評価者は、被験者の顔の炎症性病変(丘疹、膿疱、および結節)の総数を数える。結節は、別に数えるが、炎症性病変の総数には含まれる。ベースラインでは、適格な被験者は、2つ以下の結節を有している可能性がある。結節は、炎症性病変数の統計分析に含まれる。丘疹と膿疱を別に数えるのではなく、すべての炎症性病変を同時に数える。評価者はまた、非炎症性病変(開大した面皰と閉鎖した面皰)の総数を数える。同じ盲検評価者が、同じ被験者に対して、ベースラインから12週までのすべての来院で、病変数とEGSS評価を実施する。
【0047】
炎症性病変は、以下のように定義される:
丘疹- 直径5mm未満の小さくて固い隆起。病変のほとんどは皮膚の表面より上にある。
膿疱- 直径5mm未満の小さな限局性の隆起。黄色から白色の滲出液が含まれている。
結節- 直径5mm以上の皮下病変。
【0048】
非炎症性病変は、以下のように定義される:
開大した面皰(ブラックヘッド)- 毛包の開口部が広く拡張し、内容物が皮膚の表面に突き出ている、病変。
閉鎖した面皰(ホワイトヘッド)- 毛包の開口部が閉じているが、皮脂の蓄積の圧力によって皮脂腺が拡大し、それによって毛包の周りの皮膚が薄くなり、白い外観で隆起する、病変。
【0049】
評価者による総合重症度スコア(EGSS):各来院において、重症度は、尋常性座瘡の徴候および症状についての評価者の盲検化した評価に基づいて決定される。各来院で、同じ評価者が同じ被験者を評価するようにあらゆる努力が払われるべきである。これができない場合は、同じ評価者が、ベースラインと12週目の両方の来院で、被験者を評価するべきである。評価は、0~4のスケールで採点され、0はきれい、4は重度である。
【表3】
EGSSは、病変数を数える前にいつも終了されるべきである。
【0050】
安全性測定:安全性評価には、以下が含まれる:
・試験薬の最初の適用後の試験の任意の時点において、レベル3に分類される、皮膚反応(紅斑、鱗屑、色素沈着低下・過剰、かゆみ、灼熱感、または刺痛)を経験した被験者の割合。
・試験薬の最初の適用後の試験の任意の時点において、重症度に関係なく、皮膚有害事象(AE)を経験した被験者の割合。
・治療群および試験来院によって記述統計を使用してまとめられた、すべての安全性検査値およびバイタルサイン測定値のベースラインからの変化。
・被験者は、新たなおよび進行中のAEの発生について評価される。
【0051】
皮膚の安全性および忍容性は、各試験来院で評価される、AE集計および皮膚の安全性および忍容性評価スコア(鱗屑、紅斑、色素沈着低下・過剰、かゆみ、灼熱感、および刺痛)によって評価される。かゆみ、灼熱感、および刺痛(皮膚の忍容性)は、前回の来院以降の期間の平均として、各試験来院で被験者によってレビューされる。鱗屑、紅斑、および色素沈着低下・過剰(皮膚安全性)は、各来院時に評価者によって評価される。被験者が、併用療法、治療の中断、または試験の中止を必要とする結果となる、皮膚の忍容性の兆候および症状は、AEとして報告される。
【0052】
統計的方法:すべての統計処理は、特に断りのない限り、SAS(商標)バージョン9.3以降を使用して、実施する。
【0053】
統計的有意性は、0.05以下のp値をもたらす帰無仮説の両側検定に基づく。選択された変数のp値は、判断者が試験の結果を評価するのを支援するために提示される。0.05のα水準で統計的に有意な結果を達成できなかったとしても、試験の失敗を意味するものではない。
【0054】
ベースラインから12週目までの炎症性病変および非炎症性病変の平均数の絶対変化を、治療群および分析センターのファクターを用いた共分散分析(ANCOVA)、およびそれらのそれぞれのベースライン病変数の共変量で、分析する。ノンパラメトリック分析を使用できる。さらに、4つのペアワイズテストが実施され、テストゲルとビヒクルゲル、およびテストゲルと各二成分ゲルが、比較される。
【0055】
EGSSにおけるベースラインからの少なくとも2グレードの改善、および「きれい」または「ほぼきれい」に等しいEGSSとして定義される、治療成功を得た被験者のパーセンテージは、治療群と分析センターのファクターを用いたロジスティック回帰検定、および12週目のベースライン重症度の共変量、で分析される。4つのペアワイズテストが実施され、テストゲルとビヒクルゲル、およびテストゲルと各二成分ゲルが、比較される。
【0056】
欠落している有効性データを処理する主な方法は、MCMC多重代入法である。他の方法、およびMCMC代入法は、データベースロックの前に最終決定される統計分析計画において指定される。
【0057】
分析した集団および治療群:炎症性病変および非炎症性病変の数は、ベースラインおよび2、4、8、および12週目において、各被験者について記録される。炎症性病変および非炎症性病変におけるベースラインからの絶対変化およびパーセント変化は、2、4、8、および12週目において、各被験者について得られる。EGSSは、各被験者について記録される。EGSSは、「成功」と「失敗」に二分され、2、4、8、12週目のEGSSがベースラインより少なくとも2グレード低く、「きれい」または「ほぼきれい」を達成した場合、被験者は成功と見なされる。治療意図(ITT)分析は、すべての試験被験者に対して実施される。ITT集団は、試験薬を投与されたすべての無作為化された被験者で構成される。安全性集団は、試験薬を少なくとも1回使用したと推定され、少なくとも1回のベースライン後の評価を提供する、すべての無作為化された被験者で構成される。パー・プロトコル(PP)分析も行われる。被験者は、注目に値する試験プロトコル違反(すなわち、治療剤の治療的投与または治療効果の正確な評価を妨げる可能性がある、被験者または治験責任医師の活動)を有さずに12週間の評価を完了した場合、PP分析の適格者となる。PP集団には、以下の基準のいずれかを満たさないITT集団の被験者が含まれる。
・採用/除外基準により失敗した。
・干渉する併用薬を服用した。
・12週目の来院に参加しなかった。ただし、試験治療に関連するAEまたは治療効果の文書化欠如による試験の中止を除く。
・12週より前のベースライン後の試験来院を1回以上参加しなった。
・投与計画に準拠していない(すなわち、被験者は、5日以上連続して投与を逃してはならず、予定用量の80%~120%を適用しなければならない)。予定用量の数は、試験への参加の長さに基づいて、被験者ごとに決定される。
・12週目の来院時において、来院対象外である。
【0058】
盲検を破る前に、他の追加の基準をリストに追加して、注目すべき試験プロトコル違反をもたらす、試験の実施中に発生した予期しない事象に、対応することができる。
【0059】
被験者の統計学的およびベースライン特性は、ITT、PP、および安全性の分析セットの記述統計を用いて、治療群に対して、まとめられる。
【0060】
有効性評価-一次:炎症性病変および非炎症性病変におけるベースラインからの絶対的変化の主要一次有効性分析が、ITT集団で実施される。事前に指定された時点は、12週目である。記述統計は、炎症性病変と非炎症性病変についての治療群によって、および炎症性病変と非炎症性病変の絶対変化によって、示される。炎症性病変および非炎症性病変の分析に関連するすべてのテストは、上記の方法を使用する。ITT集団の二分されたEGSS(成功は、少なくとも2グレードの改善であり、「きれい」または「ほぼきれい」を達成する)の主要一次分析は、治療群と分析センターのファクターを使用したロジスティック回帰検定およびベースラインの重症度の共変量に基づいている。。
【0061】
有効性評価-二次:炎症性病変数および非炎症性病変数についてのベースラインからの平均パーセント変化、および、EGSSについてのベースラインからの少なくとも2グレードの改善を有する被験者の割合が、2、4、8、および12週目に評価される。
【0062】
安全性評価:投与を受け、少なくとも1つのベースライン後の評価を提供する、すべての被験者は、安全性集団を構成する。安全性は、AE集計、皮膚の安全性と忍容性の評価、バイタルサイン/簡略化した身体検査、および安全性検査結果によって、評価される。皮膚の安全性と忍容性の評価スコア(紅斑、鱗屑、色素沈着低下・過剰、かゆみ、灼熱感、および刺痛)は、各治療群について、ベースライン時と2、4、8、12週目に、記述統計で示される。各結果カテゴリーの頻度とパーセンテージは、これらの統計に含まれる。平均値は、週および治療群ごとにグラフで表示される。バイタルサインの測定、簡略化した身体検査、および安全性検査結果は、規定の来院時にすべての被験者に対して実施される。月経前の女性およびFOCBPの場合、尿妊娠と血清妊娠検査が、規定の来院時に行われる。安全性検査値およびバイタルサイン測定値のベースラインからの変化は、該当するすべての試験来院時に、各治療群について、記述統計によってまとめられる。ベースラインと12週目に収集された検査試験結果をまとめるために、シフトテーブルが、安全性検査値の変化について提示される。中央研究所によって確立された通常範囲が、シフトを決定するために使用される。任意の評価時点で全範囲外試験結果のリストも、提供される。全範囲外試験値の臨床的有意性の決定は、各治験責任医師によって行われ、リストに含まれる。さらに、すべての臨床的に有意な試験結果のリストが、提供される。
【0063】
従来の併用薬はすべて、世界保健機関のドラッグディクショナリの用語に基づいて分類されている。従来の治療剤と併用薬のデータは、データリストに示される。試験中に発生したすべてのAEは、記録され、Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)の用語を使用して分類される。AEの説明には、発症日、AEの終了日、AEの重症度、試験薬との関係、試験薬の使用に関して取られた措置、AEの治療のために取られた措置、およびその結果、が含まれる。有害事象は、治療群と重症度ごとにまとめられる。各被験者は、各カテゴリー内で最も重症度の高いAEを使用して、器官別大分類(system organ class)または基本語(preferred term)の範囲で、1回だけカウントされる。
【0064】
有害事象は、治療群、および試験薬との関係によって、まとめられる。各被験者は、各カテゴリー内で最大の関係を有するAEを使用して、器官別大分類または基本語の範囲内で、1回だけカウントされる。試験中に記録されたAEに関連するすべての情報は、治験責任医師による逐語的説明、基本語、器官別大分類、開始日、中止日、重症度、取られた措置、および薬物の関連性、を詳述して、被験者ごとにリストされる。AEの発症は、無作為化試験薬の初回投与日に対して(日数で)示される。重大な有害事象(SAE)は、治療群内の被験者ごとに集計される。さらに、試験を中止した被験者のリスト、およびSAEを経験した被験者のリストも、提供される。
【0065】
被験者の自己評価:被験者は、試験中、アクネ特有の生活の質に関する質問票に記入することが求められる。治験責任医師の評価(EGSSおよび病変数)は、この被験者の自己評価とは独立して実施される。質問票では、推測統計分析は実施されない。被験者反応は、傾向について治療群間で比較される。
【0066】
本試験は、必須研究文書のアーカイブを含む、医薬品の臨床試験の実施基準に従って実施される。このプロトコルは、調和国際会議で概説されているガイドラインに従う。
【0067】
臨床試験により、テストゲルが、ビヒクルまたは3つの2成分比較品のどれよりも有意に有効であることが示される。
表3:一次有効性分析:病変数のベースラインからの絶対変化と12週目での二分された総合重症度(治療意図(ITT)集団)
【表4】
(a)最小二乗平均、標準偏差、対比p値、および治療群と分析センターのファクターとの共分散分析からの全体p値、および共変量としてのそれぞれのベースライン病変数。多重代入法のために調整された値。
(b)中央値、最小値、および最大値は、各代入データセットから生成された概要統計値を平均して得られた平均値を表す。
(c)歪度テスト。これは、代入データセットごとに評価される。平均p値が示される。
(d)治療群と分析センターのファクターを用いた共分散分析のランク付けからの対比p値と全体p値、および共変量としてのそれぞれのベースライン病変数。多重代入法のために調整された値。
(e)治療群と分析センターのファクターを用いた、ロジスティック回帰による、対比p値と全体p値。多重代入法のために調整された値。
注:欠落値を代入するために多重代入(MCMC)法を使用。変化は、12週目-ベースラインとして計算。
【0068】
3成分テストゲルは、2成分比較品よりも有効であっただけでなく、過酸化ベンゾイル/アダパレンの組み合わせよりも副作用が少なかった。
表4:治療で発生した有害事象の特徴の要約(安全性集団)
【表5】
注:治療で発生した有害事象は、試験薬の初回投与日以降に発症したものである。
【国際調査報告】