(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-06
(54)【発明の名称】フレキシブル光電及び光熱二重反応性相変化生地の製造方法
(51)【国際特許分類】
D06M 15/53 20060101AFI20220929BHJP
D06M 13/17 20060101ALI20220929BHJP
D06M 13/188 20060101ALI20220929BHJP
D06M 13/03 20060101ALI20220929BHJP
D06M 101/40 20060101ALN20220929BHJP
【FI】
D06M15/53
D06M13/17
D06M13/188
D06M13/03
D06M101:40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020543575
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2020-08-11
(86)【国際出願番号】 CN2020096596
(87)【国際公開番号】W WO2021253286
(87)【国際公開日】2021-12-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520302969
【氏名又は名称】スーヂョウ ユーニバーシティー オブ サイエンス アンド テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.298, Binhe Road Suzhou, Jiangsu 215000 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】リー アン
(72)【発明者】
【氏名】ワン グェァ
(72)【発明者】
【氏名】ユェン フーゲン
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AA09
4L033AB04
4L033AC15
4L033BA03
4L033BA14
4L033BA16
4L033CA48
(57)【要約】
本発明は、炭素繊維生地をベースとし、炭素繊維上で成長した金属有機構造体と、前記金属有機構造体中に吸着した相変化材とを含む、フレキシブル光電及び光熱二重反応性相変化生地を開示する。本発明は、さらに、主に次のことを含む製造方法を開示する。(1)炭素繊維生地上で金属有機骨格を原位置合成し、炭素繊維生地@MOFs担体を得る。(2)溶液浸漬法で相変化材を吸着し、フレキシブル光電及び光熱二重反応性相変化生地を得る。本発明のフレキシブル光電及び光熱二重反応性相変化生地は、ベース生地、相変化コア材およびMOFの有機結合により、有機相変化材が光/電反応を実現することができず、熱により変形し、高温で漏れるという欠点を効果的に改善し、光電及び光熱変換能力が高く、構造完全性が強く、循環安定性が高く、耐せん断性に優れており、広範に用いられる見通しを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維生地と、炭素繊維上で成長した金属有機構造体と、前記金属有機構造体中に吸着した相変化材とを含むことを特徴とするフレキシブル光電及び光熱二重反応性相変化生地。
【請求項2】
相変化材は、ポリオール系、脂肪酸系、直鎖アルカンから選ばれる1種または複数種の任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル光電及び光熱二重反応性相変化生地。
【請求項3】
前記ポリオール系は、平均分子量は1000~20000のポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトールを含み、前記脂肪酸系は、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ペンタデカン酸、カプリン酸、セバシン酸を含み、前記直鎖アルカンは、ヘキサデカン、デカン、テトラデカン、オクタデカンを含むことを特徴とする請求項2に記載のフレキシブル光電及び光熱二重反応性相変化生地。
【請求項4】
請求項1に記載のフレキシブル光電及び光熱二重反応性相変化生地の製造方法であって、
(1)炭素繊維生地上で金属有機骨格を原位置合成し、炭素繊維生地@MOF担体を得る工程と、
(2)工程1で製造した炭素繊維生地@MOF担体を、40~200℃の条件下で2~10時間真空引きした後、炭素繊維生地@MOF担体の質量と溶液中の相変化材の質量との比を1:9以上として相変化材の溶液の中に置き、次に、相変化材の相転移温度の条件下で乾燥させ、炭素繊維生地@MOF複合相変化材を得る工程とを含むことを特徴とするフレキシブル光電及び光熱二重反応性相変化生地の製造方法。
【請求項5】
前記工程(1)は、
炭素繊維生地を濃HNO
3溶液30mLの中に含浸し、100℃で3時間反応させた後、真空で24時間乾燥させ、活性化した炭素繊維生地を得てから、
活性化した炭素繊維生地を、可溶性金属塩と有機カルボン酸配位子のモル比を2:1として可溶性金属塩と有機カルボン酸配位子を含有するDMFまたは水溶液の中に浸漬し、100~200℃で50mL反応釜で12~48時間反応させ、N,N-ジホルムアミド(DMF)で3回ろ過洗浄し、副生成物および不純物を除去し、60~150℃で4~48時間乾燥させ、炭素繊維生地@MOF担体材料を得るものであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノコンポジット材料および複合相変化材の分野に属し、具体的には、フレキシブル光電及び光熱二重反応性相変化生地の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーは、化石燃料の乱開発および乱用に代わり、重要な作用を奏する。中でも、太陽光エネルギーは、豊富で持続的な再生可能エネルギーとして、光電変換と光触媒分野において、顕著な応用効果が得られる。しかしながら、上記太陽光エネルギーシステムは、エネルギー変換効率が依然として低いという問題がある。熱エネルギーを蓄え放出することができる相変化材(潜熱蓄熱材)を光熱変換分野に同時に適用することができれば、太陽光エネルギーの利用率が効果的に向上する。しかしながら、大多数の相変化材は、光に対する吸収能力が悪く、かつ、熱による変形の問題が存在する。また、太陽光の間欠性の問題のため、熱が断続的になる。そのため、光熱系の良好な力学性能を保障するとともに熱エネルギーの持続的な供給を実現することが課題となっており、優れた力学性能を有する光電及び光熱二重反応性相変化材を開発することには重要な意味がある。炭素繊維生地は、優れた光吸収性と導電性を有するフレキシブル材料として、系のために連続した電子伝動パスを提供し、熱の持続的な供給を促進することができる。しかしながら、主に炭素繊維生地は、熱を蓄え伝える性能を有する相変化コア材を担持することができないため、炭素繊維生地を光電及び光熱二重反応性相変化材としてそのまま用いることはできない。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、先行技術の欠陥に対し、炭素繊維生地をベースとし、炭素繊維上で成長した金属有機構造体と、前記金属有機構造体中に吸着した相変化材とを含む、フレキシブル光電及び光熱二重反応性相変化生地を提供することである。
【0004】
1つの側面において、MOF細孔の表面張力、毛細作用力または水素結合作用力により、相変化コア材を細孔の中に効果的にパッケージすることにより、複合相変化材の高コア材担持量と高潜熱蓄エンタルピーを実現することができる。
【0005】
もう1つの側面において、炭素繊維生地@MOFの多段孔構造により、太陽光が炭素繊維生地表面に集光することを促進し、光源の捕獲を増強することにより、光-熱変換効率を向上させる。これと同時に、フレキシブルな炭素繊維生地のベースが、系に対して連続した電子伝動パスを提供し、相変化材が低励起電圧下で電気エネルギーを熱エネルギーに急速に変換することを実現する。
【0006】
また、MOFは、担体材料の濡れ性を増加させ、PCMと炭素繊維生地が、MOFによって連鎖効果を実現し、材料の耐せん断性を増強する。本願に適用する相変化材は、ポリオール系、脂肪酸系、直鎖アルカンのいずれか1種または複数種の任意の組み合わせとすることができる。
【0007】
このうち、前記ポリオール系は、ポリエチレングリコール(平均分子量1000~20000)、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトールなどを含むが、これらに限られない。前記脂肪酸系は、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ペンタデカン酸、カプリン酸、セバシン酸などを含むが、これらに限られない。前記直鎖アルカンは、ヘキサデカン、デカン、テトラデカン、オクタデカンなどを含むが、これらに限られない。
【0008】
本発明のもう1つの目的は、以下の工程を含む、上記フレキシブル光電及び光熱二重反応性相変化生地の製造方法を提供することである。
(1)炭素繊維生地上で金属有機骨格を原位置合成し、炭素繊維生地@MOF担体を得る。
(2)工程1で製造した炭素繊維生地@MOF担体を、40~200℃の条件下で2~10時間真空引きした後、相変化材の溶液の中に置く。ただし、炭素繊維生地@MOF担体の質量と溶液中の相変化材の質量との比は、1:9以上とする。次に、相変化材の相転移温度の条件下で乾燥させ、炭素繊維生地@MOF複合相変化材を得る。
【0009】
いくつかの実施例において、次の方法を用いて原位置合成を行う。炭素繊維生地を濃HNO3溶液30mLの中に含浸し、100℃で3時間反応させた後、真空で24時間乾燥させ、活性化した炭素繊維生地を得る。
【0010】
活性化した炭素繊維生地を、可溶性金属塩と有機カルボン酸配位子を含有するDMFまたは水溶液の中に浸漬する。ただし、可溶性金属塩と有機カルボン酸配位子のモル比は2:1である。
【0011】
100~200℃で50mL反応釜で12~48時間反応させ、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)で3回ろ過洗浄し、副生成物および不純物を除去し、60~150℃で4~48時間乾燥させ、炭素繊維生地@MOF担体材料を得る。
【0012】
本発明の金属有機骨格合成に適用する可溶性金属塩は、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、酢酸鉄(III)、硝酸コバルト(II)、塩化コバルト(II)、硫酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、硝酸銅(II)、塩化銅(II)、硫酸銅(II)、酢酸銅(II)、硝酸クロム(III)、塩化クロム(III)、硫酸クロム(III)、酢酸クロム(III)、硝酸ジルコニウム(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、硫酸ジルコニウム(IV)、酢酸ジルコニウム(IV)、硝酸ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸マンガン(II)、塩化マンガン(II)、硫酸マンガン(II)、酢酸マンガン(II)、硫酸チタン、硝酸チタン、塩化チタンなどのうちの1種または複数種を含むが、これらに限られない。
【0013】
有機カルボン酸配位子は、テレフタル酸、2-ニトロテレフタル酸、2-スルホテレフタル酸、2-アミノテレフタル酸などのうちの1種または複数種を含むが、これらに限られない。
【0014】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。
【0015】
本発明の長所は、フレキシブル光電及び光熱二重反応性相変化生地が、ベース生地、相変化コア材およびMOFの有機結合により、光吸収能力が悪く、電気伝導率が低く、熱により変形し、漏れやすいという有機相変化材の欠点を効果的に改善し、光/電熱変換能力が高く、構造完全性が強く、循環安定性が高く、耐せん断性に優れており、広範に用いられる見通しを有する。
【0016】
1)炭素繊維生地@MOFの多段孔構造により、太陽光が炭素繊維生地表面に直接集光することを促進し、光源の捕獲を増強することにより、材料の光-熱変換効率を効果的に向上させる。
2)炭素繊維生地を電子伝動パスとして、電気エネルギーを熱エネルギーに急速に変換することを実現することができるとともに、炭素繊維生地フレキシブルベースは、材料の連続性と構造完全性を保障し、光電及び光熱二重反応性相変化材の適用範囲を広げる。
3)多段孔構造MOFを蓄エネルギーユニットとし、細孔の表面張力、毛細作用力または水素結合作用力を利用し、相変化コア材を細孔の中に効果的にパッケージし、炭素繊維生地材料がエネルギーを蓄えることができないという核心的な問題を効果的に解決する。
4)本発明で提供する製造方法は簡単で、光/電熱性能がよく、構造完全性が強く、コア材の選択が多様で、循環安定性がよく、量産に適している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例1で得られた炭素繊維生地@MOF担体のSEM画像である。
【
図2】本発明の実施例1で得られた炭素繊維生地@MOF担体のXRDチャートである。
【
図3】本発明の実施例1で得られた炭素繊維生地@MOF担体にPEG2000を担持したXRDチャートである。
【
図4】本発明の実施例1で得られた炭素繊維生地@MOF担体にPEG2000を担持したDSCチャートである。
【
図5】本発明の実施例1で得られた炭素繊維生地@MOF担体にPEG2000を担持した光熱温度変化曲線である。
【
図6】本発明の実施例1で得られた炭素繊維生地@MOF担体にPEG2000を担持した電熱温度変化曲線である。
【
図7】本発明の実施例1で得られた炭素繊維生地@MOF担体にPEG2000を担持した耐せん断性対比図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、具体的な実施形態を組み合わせて、本発明の技術手法についてさらに説明する。
【0019】
<実施例1>
(1)炭素繊維生地@MOF-5担体材料の製造:
2cm×3cmの炭素繊維生地を濃HNO3溶液30mLの中に含浸し、100℃で3時間反応させた後、真空で24時間乾燥させ、活性化した炭素繊維生地を得た。活性化した炭素繊維生地(2cm×3cm)を、硝酸亜鉛六水和物0.743gおよびテレフタル酸0.207gを含有するDMF溶剤25mLの中に置き、50mL反応釜の中に入れた。120℃で10時間反応させた後、DMFで3回ろ過洗浄し、80℃で24時間乾燥させ、炭素繊維生地@MOF-5担体材料を得た。
【0020】
(2)複合相変化材の製造:
製造した上記炭素繊維生地@MOF-5(2cm×3cm)担体材料を、120℃の条件下で8時間真空引きし、素体の細孔を完全に開いた。PEG2000 0.18gをエタノール20mLの中に溶解し、均一な相変化材溶液を得た。次に、準備しておいた相変化材溶液の中に担体材料を入れた後、80℃のオーブンの中に置いて24時間乾燥させ、PEG2000/炭素繊維生地@MOF-5光電及び光熱二重反応性相変化材を得た。
【0021】
図1のSEM図から観察できるように、MOF-5が炭素繊維の表面で均一に成長しているためこの多孔質構造がコア材分子吸着の面で比較的強い潜在性をもつ。
【0022】
図2のXRDの結果から、MOF-5のすべての特徴的なピークを確認することができた。
図1のSEM走査電子顕微鏡の結果と合わせ、本手法を採用すると、炭素繊維生地@MOF-5担体材料を製造することができ、炭素繊維生地@MOF-5担体は、PEG2000をその多段細孔内に吸着するとともに、吸着飽和後に、その表面で一部のPEG2000を吸着し続けることが実証された。そのため、
図3のフレキシブル相変化生地のXRD結果から、PEG2000の顕著な特徴的なピークを確認することができ、本実験の手法を採用すると、優れた結晶性能を有するフレキシブル相変化生地が得られることが実証された。
【0023】
図4に示すDSC測定結果からわかるように、フレキシブル相変化生地の溶融温度は61.6℃、融解エンタルピーは116.5J/g、溶融温度は31.5℃、融解エンタルピーは112.3J/gであった。
【0024】
図5の光熱性能測定結果からわかるように、このフレキシブル相変化生地は、1 Sun(疑似太陽光)の光の強度の下で300s以内に138℃まで昇温することができた。
図6の電熱性能測定結果からわかるように、このフレキシブル相変化生地は、2.0Vの低励起電圧の下で、42s以内に熱の貯蔵と変換を迅速に実現することができた。
【0025】
また、
図7のせん断強度測定結果からわかるように、このフレキシブル導電相変化生地のせん断強度は、純炭素繊維生地よりも61.5%上昇した。以上の結果から、本発明により製造されるフレキシブル光電及び光熱二重反応性相変化生地は、優れた光/電熱変換および貯蔵特性ならびに良好な力学性能を有することを証明することができ、炭素繊維生地材料がエネルギーを蓄えることができず、相変化材の光吸収能力が悪く、電気伝導率が低く、熱により変形し、漏れやすいという核心的な問題を効果的に解決することができるとともに、提供する製造方法は簡単で、量産に適している。
【0026】
<実施例2>
(1)炭素繊維生地@IRMOF-3担体材料の製造:
2cm×3cmの炭素繊維生地を濃HNO3溶液30mLの中に含浸し、100℃で3時間反応させた後、真空で24時間乾燥させ、活性化した炭素繊維生地を得た。活性化した炭素繊維生地(2cm×3cm)を、硝酸亜鉛六水和物0.892gおよび2-アミノテレフタル酸0.181gを含有するDMF溶剤30mLの中に置き、50mL反応釜の中に入れた。100℃で24時間反応させた後、DMFで3回ろ過洗浄し、80℃で24時間乾燥させ、炭素繊維生地@IRMOF-3担体材料を得た。
【0027】
(2)複合相変化材の製造:
製造した上記炭素繊維生地@IRMOF-3(2cm×3cm)担体材料0.25gを、120℃の条件下で8時間真空引きし、素体の細孔を完全に開いた。オクタデカン酸0.25gをエタノール20mLの中に溶解し、均一な相変化材溶液を得た。次に、準備しておいた相変化材溶液の中に担体材料を入れた後、80℃のオーブンの中に置いて24時間乾燥させ、オクタデカン酸/炭素繊維生地@IRMOF-3光電及び光熱二重反応性相変化材を得た。測定結果からわるように、このフレキシブル導電相変化生地は、1 Sun(疑似太陽光)の光の強度の下で300s以内に102℃まで昇温することができ、かつ3.2Vの励起電圧の下で58s以内に熱の貯蔵と変換を実現することができたとともに、そのせん断強度は純炭素繊維生地よりも46.2%上昇した。
【0028】
<実施例3>
(1)炭素繊維生地@MIL-101(Cr)-NH2担体材料の製造:
2cm×3cmの炭素繊維生地を濃HNO3溶液30mLの中に含浸し、100℃で3時間反応させた後、真空で24時間乾燥させ、活性化した炭素繊維生地を得た。活性化した炭素繊維生地(2cm×3cm)を、硝酸クロム(III)九水和物1.6g、2-アミノテレフタル酸0.72gおよびNaOH 0.4gを含有する脱イオン水30mLの中に置き、50mL反応釜の中に入れた。150℃で24時間反応させた後、DMFで3回ろ過洗浄し、80℃で24時間乾燥させ、炭素繊維生地@MIL-101(Cr)-NH2担体材料を得た。
【0029】
(2)複合相変化材の製造:
製造した上記炭素繊維生地@MIL-101(Cr)-NH2(2cm×3cm)担体材料を、120℃の条件下で8時間真空引きし、素体の細孔を完全に開いた。オクタデカン酸0.20gをエタノール20mLの中に溶解し、均一な相変化材溶液を得た。次に、準備しておいた相変化材溶液の中に担体材料を分散させ入れた後、80℃のオーブンの中に置いて24時間乾燥させ、オクタデカン酸/炭素繊維生地@MIL-101(Cr)-NH2光電及び光熱二重反応性相変化材を得た。測定結果からわるように、このフレキシブル導電相変化生地は、1 Sun(疑似太陽光)の光の強度の下で300s以内に116℃まで昇温することができ、かつ2.8Vの励起電圧の下で69s以内に熱の貯蔵と変換を実現することができたとともに、そのせん断強度は純炭素繊維生地よりも52.6%上昇した。
【国際調査報告】