(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-06
(54)【発明の名称】フリーフロー電子メータ
(51)【国際特許分類】
A01J 5/01 20060101AFI20220929BHJP
A01J 5/04 20060101ALI20220929BHJP
A01J 7/02 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A01J5/01
A01J5/04
A01J7/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021509924
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(85)【翻訳文提出日】2021-03-23
(86)【国際出願番号】 TR2019050468
(87)【国際公開番号】W WO2020256661
(87)【国際公開日】2020-12-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521069593
【氏名又は名称】ラクト ハイヴァンジリク テクノロジレリ サナイ ヴェ ティジャーレット リミテッド シルケット
【氏名又は名称原語表記】LAKTO HAYVANCILIK TEKNOLOJILERI SANAYI VE TICARET LIMITED SIRKETI
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】トメク,バサト
(57)【要約】
本発明は、流体の速度および流量を測定する際に、特に搾乳中に羊、ヤギ、水牛および牛の乳生産性を測定する際に使用されるフリーフロー電子メータに関する。本発明は、フリーフロー電子メータに関し、これは、ミルクが測定パイプ(40)を連続的に貫流する間に、流量測定センサ(20)によって通過する物質の速度が測定される測定パイプ(40)、追加の空気通路を提供することにより乳頭端におけるミルクの流れが増加することによる搾乳中の真空レベルの変化を防止することによって乳房疾患を引き起こす真空変動を防止する空気通路パイプ(30)および/または自由空気通路パイプ(50)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の速度および流量を測定する際に、特に小型反芻動物および牛の両方の酪農企業において搾乳器の乳生産性を測定する際に使用される、フリーフロー電子メータであって、
流量測定センサ(20)によって通過する物質の速度を測定する少なくとも1つの測定パイプ(40)、
ミルクが前記測定パイプ(40)を連続的に貫流する間に空気を供給することにより、搾乳プロセス中に増加するミルク流量により乳頭端における真空レベルが変化することを防止することによって、乳房疾患を引き起こす真空変動を防止する少なくとも1つの空気通路パイプ(30)および/または自由空気通路パイプ(50)
を含む、フリーフロー電子メータ。
【請求項2】
前記測定パイプ(40)を貫流する前記物質の速度を測定する流量センサ(80)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフリーフロー電子メータ。
【請求項3】
前記ミルクが最初に入ったときに収集されるフロント収集チャンバ(20)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフリーフロー電子メータ。
【請求項4】
乳房疾患を特定するために、搾乳プロセス中に前記ミルクの導電率を測定する導電率センサ(70)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフリーフロー電子メータ。
【請求項5】
前記導電率測定データおよび乳生産性データにより、乳房疾患の早期診断を行うソフトウェアを含むことを特徴とする、請求項1に記載のフリーフロー電子メータ。
【請求項6】
前記メータ上の真空ライン(90)との前記空気通路パイプ(30)および前記測定パイプ(40)の両方の接続を切断する下部遮蔽バルブ(110)および/または上部遮蔽バルブ(100)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフリーフロー電子メータ。
【請求項7】
十分な時間および温度中に、洗浄プロセス中に同様の洗浄品質ですべてのミルクメータが洗浄されるかの監視を可能とする温度測定センサ(60)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフリーフロー電子メータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の速度および流量を測定するための、特に搾乳システムにおける牛、水牛および小型反芻動物の乳生産性を測定する際に使用されるフリーフロー電子メータに関する。
【0002】
本発明は、測定パイプを備えるフリーフロー電子メータに関し、通過する材料の流量が、乳量増加により搾乳中に乳房疾患を引き起こす圧力変動を防止する、速度測定センサ、空気/真空通路パイプ、および/または自由大気(free air)通路パイプにより測定される。
【背景技術】
【0003】
小型反芻動物および牛の両方の酪農企業において搾乳ごとに搾乳動物の乳生産性を測定および記録することは、給餌においてなされる過ちや個々の病気を早期に特定するために必要である。これとは別に、群れの中で正しく選択して収益性の高い動物を見出し、母親の乳量に応じて群れに飼育する若い雌を特定するために、個々の乳生産性の測定が必要である。
【0004】
今日、コンピュータ化された家畜群管理アプリケーションでは、電子ミルクメータから収集された乳量データがデータベースに保存され、農家の要求に応じて報告される;生産性の低い動物が特定され、介入のためにユーザに報告される。これらの性能により、手動記録を必要とする機械式ミルクメータへの需要は徐々に減少する。
【0005】
装置をミルクメータとして定義するために、最も重要な基準は、ICAR(International Committee of Animal Recording)によって承認された認可証を用いて、2.5%未満の偏差で個々のミルク測定を行うことである。
【0006】
動物の健康の点から最も重要な基準は、搾乳中にミルクメータの前後の真空レベルに差がないこと、または、真空レベルに変動を引き起こさないレベルかつ構造であることである。残念ながら、ICARの承認を得る精度で測定を行うが搾乳プロセス中に真空レベルの変動を引き起こすミルクメータが市場にはある;これらのミルクメータは、乳房の健康に悪影響を及ぼし、乳腺炎(哺乳類の炎症)を引き起こす。
【0007】
現在の最新技術で用いられる安定したチャンバを備えた測定アセンブリは、所定の容量の二重または単一のチャンバに充填される各充填後にミルクを排出することによって量を測定する。搾乳プロセスの終わりに測定チャンバが完全に充填されていない場合、そのような量は測定に含まれない。測定に含まれないこの量は、小型反芻動物の各セッションでの搾乳量が少量であるため、比例故障率を増加させる。これに加えて、搾乳の終わりに洗浄する必要がある領域が非常に大きいため、洗浄に必要な総水量、熱湯での洗浄による消費電力、および化学洗浄の必要性が非常に大きくなる;これによって、運転コストおよび自然源の両方がマイナスの態様で増加する。一方、これらの種類のミルクメータは、バランスの不足に非常に敏感である;測定チャンバがいずれかの方向にわずかに傾いている場合、誤った測定が引き起こされる。
【0008】
現在の最新技術で用いられるティッパータイプのミルクメータ;所定の容積で充填され/所定の質量に達する測定チャンバ内の部分が下降する;反対側の部分で中空チャンバが上昇するとすぐにミルクが充填され始める。この動作は搾乳プロセスの間続く。各ターンオーバーは、メータのターンオーバーおよびチャンバの容積を乗算することにより搾乳されるミルクの量を計算する。これは非常に古くて単純な方法である。上記の機構を作動するためには、測定容器内に非常に大きな容積が必要となるため、チャンバを備えたメータタイプよりも洗浄中により多くの洗浄水、洗剤および加熱エネルギーが必要となる。したがって、理想的な条件下で洗浄するために提供される場合、運用コストは高い。これらの種類のミルクメータは、完全なバランスで作動する必要があります。バランスの不足で多くの間違いがなされる。
【0009】
現在の最新技術で用いられる電極を備えたフリーフローメータ;この種のメータでは、測定チャンバ内で高さが異なるモデルに応じて電極の数が異なる。搾乳プロセス中、ミルクの量は、チャンバ内でレベルが増加するミルクが接触する電極の表面積の変化に依存する流量および他から共通の電極に来る瞬間的な流れの増減によって特定される。
【0010】
可動部がないため、運用コストは低い。しかしながら、電極は石灰や乳石に非常に敏感である;熱洗浄中に石灰が電極に付着した。ほぼすべての洗浄段階で、酸でも洗浄する必要がある。他のタイプでは2~3回の搾乳ごとに行う必要のある酸性洗剤の適用は、これらのタイプではすべての搾乳後に行う必要があり、したがって、他のモデルと比較して運用コストが増加する。メータはフルバランスで作動する;バランスの不足に敏感である。
【0011】
現在の最新技術で用いられる赤外線検出器ミルクメータ;ミルクが所定の直径のパイプを通過するプロファイルセクション上のミルクで覆われる領域が測定され、したがって、搾乳プロセス中の瞬間的な流量および搾乳されたミルクが特定される。これらの種類のメータで使用される方法は不十分であるため、測定プロファイルセクションが狭くなる。この状態により、特に搾乳中に乳頭上の真空が過度に変動し、したがって乳房疾患が引き起こされる。
【0012】
結果として、現在の最新技術に含まれる上記の問題を解決するために、乳房疾患を引き起こすことのない経済的で有用なメータが必要とされ、解決策が不十分であるため、関連する技術分野での開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のすべての問題を同時に解決する。この発明は、概して、流体の速度および流量を測定する際に、特に搾乳中の小型反芻動物および牛の両方の乳量を測定する際に用いられるフリーフロー電子メータに関する。
【0014】
本発明の最も重要な目的は、他のプロファイルによって連続的な空気通過を可能にする一方で、より低いプロファイルをフロント収集チャンバと接続し、したがって、ミルク流量が増加するため搾乳プロセス中に乳頭端における真空レベルが変化しないままであることによって、乳房疾患を引き起こす真空変動を排除することである。
【0015】
本発明の別の目的は、測定パイプ内のミルクの一定の断面積および速度を乗算することにより得られる流量を測定することであり、搾乳プロセス中の搾乳量は間違いがない。
【0016】
本発明の別の目的は、測定プロファイルを通過するミルクは泡が少ないので、搾乳中のミルクの導電率の測定を可能とし、乳房疾患を特定することである。
【0017】
本発明の別の目的は、メータ本体上の空気供給パイプおよび測定パイプの両方を閉じるバルブを可能にすることである。これらのバルブは、乳房から除去される搾乳クラスターに、搾乳プロセスの終わりにすべての真空供給を切断することにより、簡単な態様で自動リムーバを提供することである。したがって、自動リムーバアセンブリに対してさらなる真空切断バルブ群は必要ではない。これに加えて、洗浄プロセス中のバルブの開閉により、洗浄液はミルクメータのすべての内壁に接触し適切に洗浄する。
【0018】
本発明の構造的および特有の特徴は、以下の図面およびこれらの図面を参照して作成された詳細な説明によって明確に理解されるものであり、したがって、これらの図面および詳細な説明を考慮して検討が行われる。
【0019】
本発明は、参照番号を参照しておよび添付の図面を参照して説明されると明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、流体の速度および流量を測定する際に、特に小型反芻動物および牛の両方の酪農企業の乳生産性を測定する際に使用される、フリーフロー電子メータに関する。
【0022】
図1には、本発明のフリーフロー電子メータが示されている。本発明におけるこの新しいメータは、2つの円形パイプからなり、これらは連続空気通路パイプ(30)およびミルク測定パイプ(40)である。搾乳されたミルクは、入口(10)からフロント収集チャンバ(20)に入る。ミルクが測定パイプ(40)を完全に貫流すると次いで連続空気通路パイプ(30)および/または自由空気通路パイプ(50)が真空を提供し、したがって、搾乳中のミルク流量の増加によって乳頭における真空レベルは変わらず、乳房疾患を引き起こす真空変動は生じない。
【0023】
測定パイプ(40)のミルク入口レベルと出口レベルとの間には高さの違いがある。測定パイプの出口ポートは、少なくとも測定パイプの直径と同じ高さである。したがって、計算流体の原理に従って、測定パイプ(40)では、完全に充填された後は流れは排出の方向になる。物質が測定パイプ(40)を完全に貫流する場合、流れている物質の速度は、測定パイプ(40)上の流量センサ(80)によっておそらく測定することができる。直径が一定であるため、ミルクが最初に入る測定パイプ(40)では、測定パイプ(40)の入口での圧力上昇による流体の速度が増加する、または、搾乳されたミルクの量が減少すると、第1のフロント収集チャンバ(20)内のレベルおよびしたがって圧力が減少し、次いで、流体の速度が増加する。搾乳プロセス中のミルク量は、一定の断面積および速度を乗算する結果として得られる流量によって間違いなく測定することができる。
【0024】
導電率は、搾乳プロセス中に導電率センサ(70)によって間違いなく測定され、測定パイプ(40)を通過するミルクは泡が少ないので乳房疾患を特定する。したがって、本発明のメータは、許容誤差が極めて少なく乳生産性を測定し、かつ、乳房疾患の早期診断に使用される導電率測定も行い、したがって、このデータはミルク測定データと共に群れ管理ソフトウェアに送信される。
【0025】
下部遮蔽バルブ(110)および上部遮断バルブ(100)があり、メータ上の真空ライン(90)との空気通路パイプ(30)および測定パイプ(40)の両方の接続を切断する。これらのバルブは、搾乳プロセスの終わりにすべての真空供給を切断することにより自動リムーバを用いて簡単な態様で乳房から取り外される搾乳クラスターを提供する。したがって、自動リムーバアセンブリに追加の真空切断バルブグループは必要ない。
【0026】
ミルクメータは、各搾乳プロセスの終わりに搾乳システムと共に洗浄される。浄プロセス中、メータ本体のすべての表面を適切な態様で洗浄するため、上記の真空切断のために、所定の間隔で下部バルブ(110)および上部バルブ(100)がそれぞれ開閉される。したがって、洗浄溶液は、空気通路パイプ(30)およびミルク測定パイプ(40)を通過し、フロント収集チャンバ(20)のすべての表面が完全に洗浄される。
【0027】
洗浄プロセス中に、測定パイプ(40)を通過する洗浄溶液の量、溶液の密度、溶液の導電率および温度が測定され、測定パイプ(40)内に備えられる流体流量測定センサ(80)、導電率測定センサ(70)および温度測定センサ(60)によってソフトウェアに通知される。したがって、すべてのミルクメータが互いに類似した十分な品質で洗浄されているかどうか、つまり、十分な時間および十分な温度で洗浄されているかどうかを監視する。シフトするメータがある場合、ユーザは警告され、洗浄システムの失敗の可能性を排除するために、臨時メータがユーザー向けられる。
【0028】
測定パイプ(40)の入口と出口との間に明確な高低差がある限り、適切な測定を行うことができ、メータのバランス位置に対する許容度が大きくなる;したがって、本発明のミルクメータは、搾乳室で使用されるだけでなく、表面の悪い場所で使用されるバケツ/移動式搾乳機でも使用できる。
【0029】
あるいは、熱、コリオリ、磁気、超音波、渦センサによってだけでなく、空気の干渉なしにミルクだけが測定パイプ(40)を貫流するためパドルメータによっても測定を行うことができる。
【0030】
本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に定められており、例示の目的でのみ行われる上記の説明に限定することはできず、当業者が、同様の実施形態により本発明により提示される新規性を提示することができる、および/または、関連技術内で使用される同様の目的を有する他の領域でこれを適用できることは明らかである。したがって、そのような実施形態は、新規性、特に進歩性の基準を欠くことは明らかである。
【符号の説明】
【0031】
10 入口
20 フロント収集チャンバ
30 空気通路パイプ
40 測定パイプ
50 自由大気通路パイプ
60 温度センサ
70 導電率センサ
80 流量測定センサ
90 遮蔽バルブの空気真空および大気空気接続
100 上部遮蔽バルブ
110 下部遮蔽バルブ
120 流体出口
【国際調査報告】