(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-06
(54)【発明の名称】封止された機能素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20220929BHJP
B28D 1/22 20060101ALI20220929BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20220929BHJP
H01L 21/56 20060101ALN20220929BHJP
【FI】
H01L21/02 B
B28D1/22
H01L21/78 F
H01L21/56 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544275
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(85)【翻訳文提出日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2020069882
(87)【国際公開番号】W WO2021018568
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】102019120844.0
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517145016
【氏名又は名称】ホルスト シデル ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハルダー、エルンスト
(72)【発明者】
【氏名】ウルマー、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】エッケルト、トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ゾシュケ、カイ
【テーマコード(参考)】
3C069
5F061
5F063
【Fターム(参考)】
3C069AA03
3C069BA04
3C069BC04
3C069CA05
3C069CA11
3C069EA01
5F061BA03
5F061CA12
5F061FA06
5F063AA46
5F063BA11
5F063CA04
(57)【要約】
複数の(特に密閉的に)封止された機能素子を製造する方法であって、当該方法は次のステップ:複数の機能素子を含む第1のウェハを提供すること;第2のウェハを提供すること;第2のウェハの第1の表面上に、封止材を複数のフレーム構造の形態で付与すること;第1のウェハ上に第2のウェハを、又はその逆に、配置すること;第1のウェハを第2のウェハと結合すること、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の(特に密閉的に)封止された機能素子(FE;FE1、FE2、...)を製造する方法であって、前記方法は以下のステップ:
複数の機能素子(FE)を含む第1のウェハ(210)を提供すること(100);
第2のウェハ(220)を提供すること(110);
前記第2のウェハ(220)の第1の表面(220a)上に、封止材(DM)を複数のフレーム構造(RS;RS1、RS2、...)の形態で付与すること(120);
前記第1のウェハ(210)上に前記第2のウェハ(220)を、又はその逆に、配置すること(130);
前記第1のウェハ(210)を前記第2のウェハ(220)と結合すること(140);
を含み、ここで、前記方法はさらに、
前記配置すること(130)の前に、互いに隣接するフレーム構造(RS)間の前記第2のウェハ(220)の前記第1の表面(220a)から、前記第2のウェハ(202)の厚み(D2)の80%未満である所定の第1の深さ(T1)まで、材料を除去すること(126)を含む。
【請求項2】
前記機能素子(FE)のいくつか(好ましくは全て)が、表面弾性波(surface acoustic wave)(SAW)機能素子であり、ここで、特に前記機能素子(FE)は前記第1のウェハ(210)の第1の表面(210a)に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記配置すること(130)の後、少なくとも1つのフレーム構造(RS1)が、前記複数の機能素子(FE)の少なくとも1つの機能素子(FE1)を囲んでいる、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項4】
前記配置すること(130)の後、複数のフレーム構造(RS1、RS2、...RS9)がそれぞれ、少なくとも所定の第1の数の機能素子(FE1)を囲んでいる、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項5】
前記配置すること(130)の後、複数のフレーム構造(RS1、RS2、...RS9)がそれぞれ、所定の第2の数の機能素子(FE1)を正確に囲んでおり、ここで、特に前記第2の数は4以下であり、特に前記第2の数は正確に1である、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項6】
前記複数のフレーム構造(RS)の50%超がそれぞれ、前記第2の数の機能素子(FE1)を正確に囲んでおり、ここで、特に前記複数のフレーム構造(RS)の90%超がそれぞれ、前記第2の数の機能素子(FE1)を正確に囲んでいる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フレーム構造(RS)の少なくとも一部(好ましくは前記フレーム構造(RS)の全て)が1.0マイクロメートル(μm)~30μm、特に2.5μm~20μm、さらに特に5μm~15μm、好ましくは約10μmの高さ(H1)を有する、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項8】
前記封止材(DM)を前記複数のフレーム構造(RS;RS1、RS2、...)の形態で付与すること(120)が、前記複数のフレーム構造(RS;RS1、RS2、...)を複数の行と複数の列とを有するマトリックス状配置で付与することを含む、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項9】
前記封止材(DM)を前記複数のフレーム構造(RS;RS1、RS2、...)の形態で付与すること(120)が、
特に第1の座標軸(x1)に沿って見た、前記第2のウェハ(220)の前記第1の表面(220a)上の隣接するフレーム構造(RS;RS1、RS2、...)の少なくとも第1の距離(d1)が、前記第1のウェハ(210)上の隣接する機能素子(FE)の対応する第2の距離(d2)に対応するように、前記複数のフレーム構造(RS;RS1、RS2、...)を付与すること(120)を含み、
ここで、特に、前記封止材(DM)を前記複数のフレーム構造(RS;RS1、RS2、...)の形態で付与すること(120)が、特に前記第1の座標軸(x1)に沿って見た、前記第2のウェハ(220)の前記第1の表面(220a)上の隣接するフレーム構造(RS;RS1、RS2、...)の前記第1の距離(d1)が、前記第1のウェハ(210)上の隣接する機能素子(FE)の対応する第2の距離(d2)に対応するように、かつ、特に前記第1の座標軸(x1)に対して垂直な第2の座標軸(x2)に沿って見た、前記第2のウェハ(220)の前記第1の表面(220a)上の隣接するフレーム構造(RS;RS1、RS2、...)の第3の距離(d3)が、前記第1のウェハ(210)上の隣接する機能素子(FE)の対応する第4の距離(d4)に対応するように、前記複数のフレーム構造(RS;RS1、RS2、...)を付与すること(120)を含む、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項10】
前記フレーム構造(RS)の少なくとも一部(好ましくは前記フレーム構造(RS)の全て)が、実質的に多角形の基本形状(特に長方形の形状又は正方形の形状)を有する、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項11】
前記封止材(DM)を付与すること(120)が、スクリーン印刷法を用いて行われる、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項12】
前記封止材(DM)としてガラスはんだが使用される、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項13】
前記封止材(DM)が前記複数のフレーム構造(RS;RS1、RS2、...)の形態で付与されている前記第2のウェハ(220)上で熱処理を行うこと(125)をさらに含み、
ここで、特に前記熱処理は所定の温度プロファイルを有する、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項14】
前記熱処理を行うこと(125)が、前記第2のウェハ(220)を、第1の期間中に所定の第1の温度に加熱すること(125a)を含み、
ここで、特に前記第1の期間は20分~120分であり、好ましくは60分であり、特に前記第1の温度は420~690℃であり、好ましくは520~600℃であり、さらに好ましくは約560℃である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記熱処理を行うこと(125)が、所定の第2の温度を第2の期間維持すること(125b)を含み、
ここで、特に前記所定の第2の温度は前記第1の温度と少なくともほぼ等しく、特に前記第2の期間は10分~90分であり、さらに特に約20分~約60分であり、さらに好ましくは約40分である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記熱処理を行うこと(125)が、第3の期間中に(特に室温まで)冷却すること(125c)を含み、
ここで、特に前記第3の期間は6時間~24時間であり、さらに特に12時間~20時間であり、さらに好ましくは15時間~18時間である、請求項14又は請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のウェハ(200)のクリーニングが、前記除去(126)中及び/又は前記除去(126)後に行われる、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項18】
前記除去(126)が、(前記)熱処理を行うこと(125)の後に行われる、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項19】
前記所定の第1の深さ(T1)が、前記第2のウェハ(202)の厚さ(D2)の60%未満である、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項20】
材料を除去すること(126)が、ソーカットを行うことを含む、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項21】
前記第1の深さ(T1)が20μm~150μmであり、特に20μm~100μmである、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項22】
前記結合すること(140)が、所定の圧力及び/又は所定の温度下で前記第1のウェハ(210)を前記第2のウェハ(220)に押し付けることを含み、
ここで、前記所定の圧力は、約200パスカル(Pa)~約12000Paであり、特に500Pa~6000Paであり、特に前記所定の温度は、300℃~700℃である、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項23】
前記押し付けることが、5秒~10時間、特に10秒~5時間の期間行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
特に研削(grinding)及び/又はミリング(milling)によって、前記第2のウェハ(220)の前記第2の表面(220b)から材料を除去すること(150)をさらに含み、
ここで、特に前記除去すること(150)は、前記第2のウェハ(220)の複数の領域が互いに分離されるように行われる、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項25】
特にウェハレベルで、個々の又は複数の機能素子(FE)を試験する(特に好ましくは電気的特性評価を行う)こと(160)をさらに含む、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項26】
特にソーイングによって、前記複数の機能素子(FE1、FE2、FE3)を分離すること(170)をさらに含む、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの分離された機能素子(FE1、FE2、FE3)をさらに処理すること(180)、特に、前記少なくとも1つの分離された機能素子(FE1、FE2、FE3)をターゲットシステムに設置することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1のウェハ(210)及び/又は前記第2のウェハ(220)が、石英ウェハであるか、又は、次の材料:ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムの少なくとも1種を含む、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項29】
複数の機能素子(FE)を有する第1のウェハ(210)と、第2のウェハ(220)と、を備え、先行する請求項の少なくとも1つに記載の方法により得られるウェハアセンブリ(200)。
【請求項30】
請求項1~請求項28の少なくとも1つに記載の方法により得られる、封止された機能素子(FE1、FE2、FE3;FE1’)。
【請求項31】
トルクを特徴づける量を決定するための、請求項30に記載の少なくとも1つの封止された機能素子(FE1、FE2、FE3;FE1’)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、封止された機能素子(sealed functional elements)の製造方法に関する。
【0002】
本開示は、封止された機能素子にも関する。
【0003】
好ましい実施形態は、複数の(特に密閉的に)封止された機能素子を製造する方法に関し、当該方法は次のステップ:複数の機能素子を含む第1のウェハを提供すること;第2のウェハを提供すること;第2のウェハの第1の表面上に、封止材(sealing material)を複数のフレーム構造の形態で付与すること;第1のウェハ上に第2のウェハを、又はその逆に、配置すること;第1のウェハを第2のウェハと結合(joining)すること、を含む。このようにして、様々な封止された機能素子をウェハレベルで効率的に製造することが可能である。
【0004】
好ましくは、本明細書において「密閉的に封止された(hermetically sealed)」とは、機能素子が気密的に封止(gas-tight sealing)されていること、特に23℃等の通常条件下で気密性を有する(gas-tight)ことを意味すると理解される。より好ましくは、気密的な封止は、使用条件下(すなわち、-40℃~+125℃の温度範囲において)提供される。これにより、さらに好ましい実施形態では、それぞれの機能素子の内部と該それぞれの機能素子の周囲との間で、物質(特に粒子又は固体、及び気体(複数可))の交換が行われないことが有利に保証される。このようにして、特に機能素子(複数可)の内部を、機能素子の誤動作を引き起こす可能性のある妨害的な影響から守ることが可能である。
【0005】
さらに好ましい実施形態では、機能素子のいくつか(好ましくは全て)が、表面弾性波(surface acoustic wave)(SAW)機能素子であり、特に機能素子は第1のウェハの第1の表面に配置されていることが規定される。
【0006】
表面弾性波(SAWと略す)とは、表面上を平面的に伝播する構造物由来の音波のことである。SAW機能素子又はSAWセンサは、表面波の速度が、機械的応力(変形)及び/又は質量付与(mass application)(例えば、表面への付着物)及び/又は温度(音速の温度係数)に依存することを利用している。SAWセンサの使用は、測定対象となる場所(location)へのアクセスが何らかの理由で困難な場合に特に好適であり得る。
【0007】
SAW機能素子、又は1つ若しくは複数のSAW機能素子を備えるSAWセンサを製造及び使用する際に特に問題となるのが、SAW機能素子(複数可)の表面を汚染から保護することである。
【0008】
好ましい実施形態に係る原理により、SAW機能素子及びSAWセンサをプロセスセーフでかつ特に経済的に製造することが可能となり、また、製造プロセス及びその後の使用の際に、SAW機能素子(複数可)の特に表面を効率的に汚染から保護することが可能となる。
【0009】
さらに好ましい実施形態では、上記配置することの後、少なくとも1つのフレーム構造が、複数の機能要素の少なくとも1つの機能要素を囲んでいることが規定される。このようにして、少なくとも1つの機能要素を含み、2つのウェハ及びフレーム構造によって周囲から(好ましくは密閉的に)封止され得る内部を画定することができる。言い換えれば、さらに好ましい実施形態では、第1のウェハの各領域は、内部を画定する底壁を形成してもよく、第2のウェハの各領域は、内部を画定する頂壁を形成してもよく、フレーム構造は、底壁及び頂壁に好ましくは密閉的に封止された形態で結合可能な少なくとも1つの側壁を形成してもよい。
【0010】
さらに好ましい実施形態では、上記配置することの後、複数のフレーム構造がそれぞれ、少なくとも所定の(predeterminable)第1の数の機能素子を囲んでいることが規定される。したがって、1つ又は複数の機能素子が、フレーム構造(複数可)によって少なくとも横方向に囲まれることが可能となる。
【0011】
さらに好ましい実施形態では、上記配置することの後、複数のフレーム構造がそれぞれ、所定の第2の数の機能素子を正確に囲んでいることが規定され、ここで、特に第2の数は4以下であり、特に第2の数は正確に1である。
【0012】
したがって、さらに好ましい実施形態では、1つ又は複数のフレーム構造は、第1のウェハ上の機能素子の配置に応じて第2のウェハ上に付与されていることを規定することができる。
【0013】
さらに好ましい実施形態では、複数のフレーム構造の50%超がそれぞれ、(それぞれの)第2の数の機能素子を正確に囲んでいることが規定され、ここで、特に複数のフレーム構造の90%超がそれぞれ、第2の数の機能素子を正確に囲んでいる。
【0014】
さらに好ましい実施形態では、フレーム構造の少なくとも一部(好ましくはフレーム構造の全て)が、1.0マイクロメートル(μm)~30μm、特に2.5μm~20μm、さらに特に5μm~15μm、好ましくは約10μmの高さを有することが規定される。このように、封止される内部は、例えば結合後の第2のウェハに接触することなく、第1のウェハの表面から突出し得る任意のSAW機能素子又はその個々のSAW構造を収容するのに十分な高さを有している。
【0015】
さらに好ましい実施形態では、封止材を複数のフレーム構造の形態で付与することが、複数のフレーム構造を複数の行と複数の列とを有するマトリックス状配置で付与することを含むことが規定される。
【0016】
さらに好ましい実施形態では、封止材を複数のフレーム構造の形態で付与することが、特に第1の座標軸に沿って見た、第2のウェハの第1の表面上の隣接するフレーム構造の少なくとも第1の距離が、第1のウェハ上の隣接する機能素子の対応する第2の距離に対応するように、複数のフレーム構造を付与することを含むことが規定され、
ここで、特に、封止材を複数のフレーム構造の形態で付与することが、特に第1の座標軸に沿って見た、第2のウェハの第1の表面上の隣接するフレーム構造の第1の距離が、第1のウェハ上の隣接する機能素子の対応する第2の距離に対応するように、かつ、特に第1の座標軸に対して垂直な第2の座標軸に沿って見た、第2のウェハの第1の表面上の隣接するフレーム構造の第3の距離が、第1のウェハ上の隣接する機能素子の対応する第4の距離に対応するように、複数のフレーム構造を付与することを含む。
【0017】
さらに好ましい実施形態では、フレーム構造の少なくとも一部(好ましくはフレーム構造の全て)が、実質的に多角形の基本形状(特に長方形(若しくは丸みを帯びた長方形)の形状又は正方形の形状)を有することが規定される。
【0018】
さらに好ましい実施形態では、封止材を付与することが、スクリーン印刷法を用いて行われることが規定される。
【0019】
さらに好ましい実施形態では、封止材としてガラスはんだが使用されることが規定される。
【0020】
さらに好ましい実施形態では、上記方法は、封止材が複数のフレーム構造の形態で付与されている第2のウェハ上で熱処理を行うことをさらに含むことが規定され、ここで、特に熱処理は所定の温度プロファイルを有する。
【0021】
さらに好ましい実施形態では、上記熱処理を行うことが、第2のウェハを、第1の(時間)期間中に所定の第1の温度に加熱することを含むことが規定され、ここで、特に第1の期間は20分~120分であり、好ましくは60分であり、特に第1の温度は420~690℃であり、好ましくは520~600℃であり、さらに好ましくは約560℃である。
【0022】
さらに好ましい実施形態では、上記熱処理を行うことが、所定の第2の温度を第2の期間維持することを含むことが規定され、ここで、特に所定の第2の温度は第1の温度と少なくともほぼ等しく、特に第2の期間は10分~90分であり、さらに特に約20分~約60分であり、さらに好ましくは約40分である。
【0023】
さらに好ましい実施形態では、上記熱処理を行うことが、第3の期間中に(特に室温まで)冷却することを含むことが規定され、ここで、特に第3の期間は6時間~24時間であり、さらに特に12時間~20時間であり、さらに好ましくは15時間~18時間である。
【0024】
さらに好ましい実施形態では、上記方法は、第2のウェハの厚みの80%未満(特に第2のウェハの厚みの60%未満)である所定の第1の深さまで、第2のウェハの第1の表面から材料を除去することをさらに含むことが規定される。
【0025】
さらに好ましい実施形態では、上記除去することが、上記熱処理を行うことの後に行われることが規定される。
【0026】
さらに好ましい実施形態では、上記材料を除去することが、互いに隣接するフレーム構造の間で行われることが規定される。
【0027】
さらに好ましい実施形態では、上記材料を除去することが、ソーカットを行うことを含むことが規定される。
【0028】
さらに好ましい実施形態では、第1の深さが20μm~150μmであり、特に20μm~100μmであることが規定される。
【0029】
さらに好ましい実施形態では、上記結合すること(joining)が、所定の圧力及び/又は所定の温度下で第1のウェハを第2のウェハに押し付けること(pressing)を含むことが規定され、ここで、所定の圧力は、約200パスカル(Pa)~約12000Paであり、特に500Pa~6000Paであり、特に所定の温度は、300~700℃である。
【0030】
さらに好ましい実施形態では、上記押し付けることが、5秒~10時間、特に10秒~5時間の期間行われることが規定される。
【0031】
さらに好ましい実施形態では、上記方法は、特に研削(grinding)及び/又はミリング(milling)によって、第2のウェハの第2の表面から材料を除去することをさらに含むことが規定され、ここで、特に、上記除去することは、第2のウェハの複数の領域が互いにダイシング(分離)されるように行われる。
【0032】
さらに好ましい実施形態では、上記方法は、特にウェハレベルで、個々の又は複数の機能素子を試験する(特に好ましくは電気的特性評価を行う)ことをさらに含むことが規定される。
【0033】
さらに好ましい実施形態では、上記方法は、特にソーイング(sawing)によって、複数の機能素子をダイシング(分離)することをさらに含むことが規定される。
【0034】
さらに好ましい実施形態では、上記方法は、少なくとも1つの分離された機能素子をさらに処理すること、特に、少なくとも1つの分離された機能素子をターゲットシステムに設置すること(例えば、機械的シャフト上にはんだ付け及び/又は接着すること)をさらに含むことが規定される。
【0035】
さらに好ましい実施形態では、第1のウェハ及び/又は第2のウェハが、石英ウェハであることが規定される。さらに好ましい実施形態では、第1のウェハ及び/又は第2のウェハが、次の材料:ニオブ酸リチウム(LiNbO3)及び/又はタンタル酸リチウム(LiTaO3)の少なくとも1種を含むことが規定される。さらに好ましい実施形態は、複数の機能素子を有する第1のウェハと、第2のウェハと、を備え、本実施形態に係る方法により得られるウェハアセンブリに関する。
【0036】
さらに好ましい実施形態は、本実施形態に係る方法により得られる、封止された機能素子に関する。
【0037】
さらに好ましい実施形態は、機能素子が配置された第1の基板と、少なくとも1つの第2の基板と、機能素子を囲む少なくとも1つのフレーム構造と、を備える密封された機能素子に関し、ここで、第1の基板はフレーム構造によって第2の基板と連結(特に密着的に連結)されており、特に密封された内部が第1の基板と第2の基板とフレーム構造との間に画定されている。
【0038】
さらに好ましい実施形態は、トルクを特徴づける量を決定するための、本実施形態に係る少なくとも1つの封止された機能素子の使用に関する。
【0039】
本発明の更なる特徴、用途、及び利点は、図面に示されている本発明の実施形態の以下の説明から得ることができる。ここで、説明又は図示された全ての特徴は、個別に又は任意の組み合わせで、特許請求の範囲におけるそれらの組み合わせ若しくはそれらの相関関係に関係ないか、又は説明若しくは図面におけるそれらの処方又は表現に関係なく、本発明の主題を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、好ましい実施形態に係る第1のウェハの上面図を模式的に示す。
【
図2】
図2は、さらに好ましい実施形態に係る第2のウェハの上面図を模式的に示す。
【
図3】
図3は、さらに好ましい実施形態に係る、
図1に係る第1のウェハと
図2に係る第2のウェハの仮想的な重ね合わせの上面図を模式的に示す。
【
図4A】
図4Aは、さらに好ましい実施形態に係る第2のウェハの上面図を模式的に示す。
【
図4B】
図4Bは、さらに好ましい実施形態に係る第2のウェハの側面図を模式的に示す。
【
図5】
図5は、さらに好ましい実施形態に係る第1のウェハの側面図を模式的に示す。
【
図6A】
図6Aは、さらに好ましい実施形態に係るウェハアセンブリの側面図を模式的に示す。
【
図6B】
図6Bは、さらに好ましい実施形態に係るウェハアセンブリの側面図を模式的に示す。
【
図6C】
図6Cは、さらに好ましい実施形態に係るウェハアセンブリの側面図を模式的に示す。
【
図6D】
図6Dは、さらに好ましい実施形態に係るウェハアセンブリの側面図を模式的に示す。
【
図6E】
図6Eは、さらに好ましい実施形態に係るダイシングされた機能素子を模式的に示す。
【
図7A】
図7Aは、好ましい実施形態に係る方法の簡略化したフローチャートを模式的に示す。
【
図7B】
図7Bは、さらに好ましい実施形態に係る方法の簡略化したフローチャートを模式的に示す。
【
図7C】
図7Cは、さらに好ましい実施形態に係る方法の簡略化したフローチャートを模式的に示す。
【
図8】
図8は、さらに好ましい実施形態に係る封止された機能素子の透視図を模式的に示す。
【
図9A】
図9Aは、さらに好ましい実施形態に係る側面図を模式的に示す。
【
図9B】
図9Bは、さらに好ましい実施形態に係る側面図を模式的に示す。
【
図9C】
図9Cは、さらに好ましい実施形態に係る側面図を模式的に示す。
【
図9D】
図9Dは、さらに好ましい実施形態に係る機能素子の上面図を模式的に示す。
【
図10】
図10は、さらに好ましい実施形態に係るウェハアセンブリの上面図を模式的に示す。
【
図11】
図11は、さらに好ましい実施形態に係る、第1のウェハと第2のウェハの仮想的な重ね合わせの機能素子の上面図を模式的に示す。
【0041】
好ましい実施形態は、複数の(特に密閉的に)封止された機能素子FE1、FE2、FE3(
図6Eを参照)を製造する方法に関し、当該方法は、
図7Aを参照して例示的に以下に記載されるステップ:複数の機能素子FEを含む第1のウェハ210を提供すること100(
図1の上面図を参照);第2のウェハ220(
図2の上面図も参照)を提供すること110(
図7A);第2のウェハ220の第1の表面220a上に、封止材DM(
図2)を複数のフレーム構造RSの形態で付与すること120(
図7A);第1のウェハ210上に第2のウェハ220を、又はその逆に、配置すること130(
図7A);及び第1のウェハ210を第2のウェハ220と結合すること140(
図7A)を含む。上記結合すること140により、好ましくは、第1のウェハ210及び第2のウェハ220を含むモノリシックなウェハ構造200が得られる(例えば
図6Aの側面図を参照)。
図7Aを参照して例として上述した方法により、好ましい実施形態によれば、複数の封止された機能素子をウェハレベルで効率的に製造することが可能であり、したがって、従来の方法と比較して取り扱いを大幅に簡素化することが可能である。
【0042】
さらに好ましい実施形態では、上記方法の1つ又は複数のステップは、必要に応じて、時間的に少なくとも部分的に重なってもよいか、互いに同時に行ってもよいか、又は本明細書に記載される例示的な順序以外の順序で行ってもよい。例えば、ステップ100、110は、時間的に少なくとも部分的に重なって、又は互いに同時に、又は異なる順序(110、100)で実施することができる。さらに好ましい実施形態では、これは例えば以下に説明するさらに好ましい実施形態にも適用される。
【0043】
さらに好ましい実施形態では、第2のウェハ220は、(特に最初は、すなわち封止材DMの付与120の前には)構造化されていないウェハである。
【0044】
図1は、複数の機能素子FE(この例では9つの機能素子)を有する第1のウェハ210の上面図を模式的に示している。さらに好ましい実施形態では、機能素子FEのいくつか(好ましくは全て)が表面弾性波(SAW)機能素子FEであることが規定され、ここで、特に機能素子FEは第1のウェハ210の第1の表面210a上に配置されているか、又は第1の表面210aに少なくとも部分的に一体化されている。
【0045】
表面弾性波(SAWと略す)とは、表面上を平面的に伝播する構造物由来の音波のことである。SAW機能素子FE、又は1つ若しくは複数のSAW機能素子FEを有するSAWセンサは、表面波の速度が、例えば機械的応力(変形)及び/又は質量付与(例えば、表面への付着物)及び/又は温度(音速の温度係数)に依存することを利用している。特に、測定対象となる場所へのアクセスが何らかの理由で困難な場合に、SAW機能素子FE又はSAWセンサの使用が好適であり得る。
【0046】
SAW機能素子FE、又は1つ若しくは複数のSAW機能素子FEを備えるSAWセンサを製造及び使用する際に特に問題となるのが、SAW機能素子(複数可)FEの表面を汚染から保護することである。
【0047】
この点について、好ましい実施形態に係る原理により、SAW機能素子FE及び/又はSAWセンサをプロセスセーフでかつ特に経済的に製造することが有利に可能となり、また、製造プロセス及びその後の使用の際に、SAW機能素子(複数可)FEの特に表面を効率的に汚染から保護することが可能となる。
【0048】
さらに好ましい実施形態では、上記配置すること130(
図7A)の後、少なくとも1つのフレーム構造RS(
図2)が、複数の機能素子の少なくとも1つの機能素子FE(
図1)を囲んでいることが規定される。このことは、例えば、
図3に係る2つのウェハ210、220の概略的な重ね合わせにより示されており、ここで、第1のフレーム構造RS1が第1の機能素子FE1を囲んでおり、第2のフレーム構造RS2が第2の機能素子FE2を囲んでいる(第9のフレーム構造RS9に囲まれている第9の機能素子FE9を参照)。好ましい実施形態に係る上述のアプローチにより、それぞれの機能素子FEの領域に内部I(
図6Aの側面図を参照)を画定することができ、この内部は、少なくとも1つの機能素子FEを含み、2つのウェハ210、220及びフレーム構造RSによって周囲から(好ましくは密閉的に)封止することができる。言い換えれば、さらに好ましい実施形態では、第1のウェハ210の対応する領域(これは、例えば、フレーム構造RS、RS1、...によって囲まれている)は、内部Iを画定する底壁を形成してもよく(
図6A)、第2のウェハ220の対応する領域は、内部Iを画定する頂壁を形成してもよく、フレーム構造RS、RS1、RS2、...は、底壁及び頂壁に好ましくは密閉的に封止された形態で結合可能な少なくとも1つの側壁を形成してもよい。これにより、各内部Iを効率的に、好ましくは密閉的に封入することが可能となり、特に、そこに配置された機能素子(複数可)FEを、(更なる)製作又は加工の際及びターゲットシステム(例えば、トルクを特徴づける量を決定するためのSAWセンサ)におけるその後の使用の際に、周囲の影響から保護することが可能となる。
【0049】
さらに好ましい実施形態では、上記配置すること130(
図7A)の後、複数のフレーム構造RSがそれぞれ、少なくとも所定の第1の数の機能素子FEを囲んでいることが規定される。したがって、1つ又は複数の機能素子FEが、フレーム構造(複数可)RSによって少なくとも横方向に囲まれ得る。
【0050】
さらに好ましい実施形態では、上記付与することの後(
図7A)、複数のフレーム構造RSがそれぞれ、所定の第2の数の機能素子FEを正確に囲んでいることが規定され、ここで、特に第2の数は4以下であり、特に第2の数は正確に1である。この状態は、
図3及び
図6Aに例として示されている。
【0051】
しかし、さらに好ましい実施形態では、すでに上述したように、複数の機能素子FEは共通の内部Iに配置されることが可能であり、(単一の)フレーム構造RS(図示せず)で囲むことも可能である。この場合、複数の機能素子FEは、共通の封止された内部Iを擬似的に共有している。
【0052】
したがって、さらに好ましい実施形態では、1つ又は複数のフレーム構造RS、RS1、RS2、...が、第1のウェハ210上の機能素子FEの配置に応じて第2のウェハ220上に付与されることが規定されてもよい。さらに好ましい実施形態では、これは、a)機能素子FEの距離、b)機能素子の角度配向という本態様の少なくとも1つに関連してもよい。
【0053】
さらに好ましい実施形態では、複数のフレーム構造RS(
図2)の50%超がそれぞれ、(それぞれの)第2の数の機能素子FEを正確に囲んでいることが規定され、ここで、特に複数のフレーム構造の90%超がそれぞれ、第2の数の機能素子を正確に囲んでいる。
【0054】
さらに好ましい実施形態では、第1の数のフレーム構造は第2のウェハ220上に設けられ、その各々が、所定の第1の数の機能素子FE(例えば、正確に1つの機能素子FE毎)と関連付けられるか又は囲むように配置及び構成され、第2の数のフレーム構造は(同じ)第2のウェハ220上に設けられ、その各々が、所定の第2の数の機能素子FE(例えば、2つの機能素子FE毎)と関連付けられるか又は囲むように配置及び構成され得る。このようにして、上述の例を考慮すると、第1の数の個別に(特に密閉的に)封止された機能素子FEと、第2の数の(特に密閉的に)封止された機能素子のグループ(2つずつ)と、が存在するウェハアセンブリ200を得ることができる。
【0055】
さらに好ましい実施形態では、フレーム構造RSの少なくとも一部(好ましくはフレーム構造RSの全て)が1.0マイクロメートル(μm)~30μm、特に2.5μm~20μm、さらに特に5μm~15μm、好ましくは約10μmの高さH1(
図4B)を有することが規定される。このように、封止される内部I(
図6A)は、例えば結合すること140の後、第2のウェハ220に接触することなく、第1のウェハ210の表面から突出するSAW機能素子FE又はその個々のSAW構造を収容するのに対応する(特に十分な)高さを有している。
【0056】
さらに好ましい実施形態では、上記封止材DMを複数のフレーム構造RSの形態で付与すること120が、複数のフレーム構造RSを複数の行と複数の列とを有するマトリックス状配置で付与することを含むこと(例えば
図2を参照)が規定される。
【0057】
さらに好ましい実施形態では、上記封止材DMを複数のフレーム構造RSの形態で付与すること120が、特に第1の(
図2の水平方向の)座標軸x1に沿って見た、第2のウェハ220の第1の表面220a上の隣接するフレーム構造RSの少なくとも第1の距離d1(
図2)が、第1のウェハ210上の隣接する機能素子FEの対応する第2の距離d2(
図1)に対応するように、複数のフレーム構造RSを付与することを含むことが規定され、ここで、特に、上記封止材DMを複数のフレーム構造RSの形態で付与すること120が、特に第1の座標軸x1に沿って見た、第2のウェハ220の第1の表面220a上の隣接するフレーム構造RSの第1の距離d1が、第1のウェハ210上の隣接する機能素子FEの対応する第2の距離d2に対応するように、かつ、特に第1の座標軸x1に対して垂直(
図2では垂直)な第2の座標軸x2に沿って見た、第2のウェハ220の第1の表面220a上の隣接するフレーム構造RSの第3の距離d3(
図2)が、第1のウェハ210上の隣接する機能素子FEの対応する第4の距離d4(
図1)に対応するように、複数のフレーム構造RSを付与することを含む。
【0058】
さらに好ましい実施形態では、例えば、複数の機能素子FEが共通のフレーム構造RS(図示せず)で囲まれていてもよく、それぞれの距離についても同様にしてもよい。
【0059】
他の好ましい実施形態では、距離d1、d3は特に等しくない。これにより、一部の領域、特にフレーム構造RSの外側に電気的接触のためのスペースを設けることができる。さらに好ましい実施形態では、距離d2、d4にも同じ又は類似のことが適用される。これは、例えば、以下でさらに説明する
図11から導き出すことができる。
【0060】
さらに好ましい実施形態では、フレーム構造RS(
図2)の少なくとも一部(好ましくはフレーム構造RSの全て)が、実質的に多角形の基本形状、特に長方形(若しくは丸みを帯びた長方形)又は正方形の形状を有することが規定される。
【0061】
さらに好ましい実施形態では、封止材DMを付与すること120が、スクリーン印刷法を用いて行われることが規定される。このようにして、封止材DMは、例えば上述のフレーム構造RSを用いて、特に効率的に第2のウェハ220(
図2)に付与することができる。
【0062】
さらに好ましい実施形態では、封止材DMとしてガラスはんだが使用されることが規定される。ガラスはんだは、好ましくは、各ウェハ210、220の各表面210a、220aとの封止された、特に凝集性のある接続を効率的に形成するために使用され得る。同時に、封止材DMとしてのガラスはんだは、機能素子FEのSAW構造及び/又は他の構造が、好ましくは密閉的に封止された状態で機能素子FEのSAW構造及び/又は他の構造の適切な機能を保証するために、第1のウェハ210に面する第2のウェハ220又はその第1の表面220aから十分に距離を空けるように、内部I(
図6A)のクリアランス高さを画定することができる。
【0063】
更に好ましい実施形態では、上記方法は、封止材DMが複数のフレーム構造RS、RS1、RS2、...の形態で付与されている第2のウェハ220(
図2)上で熱処理を行うこと125をさらに含むことが規定され、ここで、特に、熱処理は所定の温度プロファイルを有する(
図7Bのフローチャートも参照)。さらに好ましい実施形態では、熱処理を行うこと125は、付与するステップ120(
図7A)の後及び/又は配置するステップ130の前に行われてもよい。更に好ましい実施形態では、熱処理125が、いわゆる「プレビトリフィケーション」をもたらしてもよく、この場合、例えば、封止材DMの(特にガラスはんだの)粒子が融合し、好ましくは均質で流動性のある、好ましくは少なくとも実質的に気泡のない塊を形成する。さらに好ましい実施形態では、例えばマッフル炉を使用して、熱処理125又は熱処理125の少なくとも一部を行ってもよい。
【0064】
さらに好ましい実施形態では、熱処理を行うこと125(
図7B)が、第2のウェハ220を、第1の期間中に所定の第1の温度に加熱すること125aを含むことが規定され、ここで、特に第1の期間は20分~120分であり、好ましくは60分であり、特に第1の温度は420~690℃であり、好ましくは520~600℃であり、さらに好ましくは約560℃である。
【0065】
さらに好ましい実施形態では、熱処理を行うこと125が、第2の期間(好ましくは第1の期間に直接続く(加熱する段階125aを参照))中、所定の第2の温度を維持すること125bを含むことが規定され、ここで、特に所定の第2の温度は第1の温度に少なくともほぼ対応し、特に第2の期間は10分~90分であり、さらに特に約20分~約60分であり、さらに好ましくは約40分である。
【0066】
さらに好ましい実施形態では、熱処理を行うこと125は、第3の期間(好ましくは第2の期間に直接続く(維持する段階125bを参照))中、特に室温まで冷却すること125cを含むことが規定され、ここで、特に第3の期間は6時間~24時間であり、さらに特に12時間~20時間であり、さらに好ましくは15時間~18時間である。
【0067】
さらに好ましい実施形態では、上記方法は、第2のウェハ220の第1の表面220aから、好ましくは第2のウェハ220の厚みD2の80%未満、特に第2のウェハ220の厚みD2の60%未満である所定の第1の深さT1まで、材料を除去すること126(
図4Bを参照)をさらに含むことが規定される(
図7Bを参照)。これにより、例えば隣接するフレーム構造RS間に
図4Bに模式的に示すトレンチTRが形成され、その後のダイシングを簡素化する(
図6C、
図6Dを参照)。
【0068】
さらに好ましい実施形態では、除去すること126(
図7B)が、熱処理を行うこと125の後に行われることが規定される。
【0069】
さらに好ましい実施形態では、材料を除去すること126が、互いに隣接するフレーム構造RSの間で行われることが規定される(
図4Bを参照)。
【0070】
更に好ましい実施形態では、材料を除去すること126が、例えば、
図4Aに指定されていない破線の直線によって示されたソーラインに沿って(すなわち、特に、第2のウェハ220の平面内の複数の例えば互いに直交する座標方向にも沿って)、1回又は複数回のソーカットを行うことを含むことが規定される。例えば、更に好ましい実施形態では、
図4Bに係るトレンチTRは、互いに隣接するフレーム構造の間でそれぞれ1回のソーカットによって作成することができる。更に好ましい実施形態では、互いに隣接するフレーム構造の間に複数の、例えば2つのソーカットを設けることができ、
図9A、
図9B、
図9Cを参照して以下にさらに説明する。
【0071】
さらに好ましい実施形態では、第1の深さT1(
図4B)が20μm~150μmであり、特に20μm~100μmであることが規定される。
【0072】
一方、第2のウェハの厚みD2は、例えば、200μm~400μmであってもよい。
【0073】
さらに好ましい実施形態では、第1のウェハ210(
図5)の厚みD1は、例えば、200μm~400μmであってもよい。
【0074】
さらに好ましい実施形態では、第2のウェハ200のクリーニングステップが、除去すること(特にソーイング)126の後(
図7B)、かつ、特に配置すること130又は結合すること140の前に行ってもよい。さらに好ましい実施形態では、クリーニングは、例えば、ソーイングダストの吸引及び/又はワイピングなどの機械的なクリーニングを含んでいてもよい。さらに好ましい実施形態では、クリーニングは、例えば、ステップ126に組み込まれてもよい。
【0075】
さらに好ましい実施形態では、結合すること140(
図7A)が、所定の圧力及び/又は所定の温度下で第1のウェハ210(
図5)を第2のウェハ220(
図4B)に押し付けることを含むことが規定され、ここで、所定の圧力は、約200パスカル(Pa)~約12000Paであり、特に500Pa~6000Paであり、特に所定の温度は、300~700℃である。特に、これは、要素210a、RS、220aの間に(好ましくは密閉的に)封止された密着的な連結を有利にもたらす。
【0076】
さらに好ましい実施形態では、押し付けることが、5秒~10時間、特に10秒~5時間、特に1分~1時間の期間行われることが規定される。
【0077】
さらに好ましい実施形態では、上記方法は、
図7Cを参照して、特に研削(grinding)及び/又はミリング(milling)によって、第2のウェハ220の第2の表面220b(
図6A)から材料を除去すること150をさらに含むことが規定され、ここで、特に、除去すること150は、第2のウェハのいくつかの領域が互いに分離される(ダイシングされる)ように行われる。この目的のために、
図6Bに、第2のウェハ220を2つの水平領域220’(ハッチングで示す)、220’’に分ける様子を模式的に示しており、例えば、ハッチングされた領域220’は、除去するステップ150(
図7C)において研削及び/又はミリングによって除去される。
図6bにおいて、除去されるハッチングされた領域220’の垂直方向の厚みは、好ましくは、除去されるハッチングされた領域220’が、ステップ126で以前に作成されたトレンチTRに接触又は交差するように選択することができ、それによって、第2のウェハ220の個々の領域B1、B2、B3は互いに画定又は分離される(
図6Cの参照符号TR’も参照)。除去すること150の後、これらの領域B1、B2、B3は、特にフレーム構造RSを介してのみ、第1のウェハ210又はその表面210aに保持される。前のように、
図6Cに示す状態では、第1のウェハ210がステップ150によってダイシングされた領域B1、B2、B3のための「ホルダ」を擬似的に形成するので、ウェハレベルでの配列200の簡単な取り扱いが可能である。
【0078】
さらに好ましい実施形態では、上記方法は、
図7Cを参照して、特にウェハレベルで、個々の又は複数の機能素子を試験すること160、特に好ましくは電気的特性評価を行うことをさらに含むことが規定される。電気的特性評価は、例えば、第1のウェハ210の第1の表面210a(
図1)にも配置されている電気接点(
図1には示されていないが、詳細は
図8に関して以下を参照)を電気的に接触させ、これらの接点で電気的測定を行うことを含んでもよい。これにより、例えば、
図6Cに示す状態で既に封止されている(特に密閉的に封止されている)個々の機能素子が、電気的に正しく作動しているかどうかを判断することができる。またここでは、ウェハレベルでの取り扱い、すなわちモノリシックウェハアセンブリ200の取り扱いは、例えば既に完全に分離されている機能素子の電気的特性評価と比較して、非常に有利である。
【0079】
さらに好ましい実施形態では、上記方法は、
図7Cを参照して、例えば
図6Dに模式的に示す線L1、L2に沿って、特にソーイングによって、機能素子のいくつかをダイシング(分離)すること170をさらに含むことが規定される。好ましくは、機能素子をダイシングするために、
図6Dの描画平面に対して少なくとも実質的に平行なウェハアセンブリ200の更なる平面において、更なるソーカットを行うこともできる。
【0080】
図6Eは、このようにして得られたダイシングされた機能素子FE1、FE2、FE3の側面図の一例である。
【0081】
さらに好ましい実施形態では、上記方法は、
図7Cを参照して、少なくとも1つのダイシングされた機能素子FE1、FE2、FE3をさらに処理すること180、特に、少なくとも1つのダイシングされた機能素子FE1、FE2、FE3をターゲットシステム(図示せず)に設置すること、例えば、a)機械的シャフト、b)キャリアにはんだ付け及び/又は接着すること、をさらに含むことが規定される。ここでは、封止された機能素子FE1は、例えば、シャフトによって伝達されるトルクを特徴付ける量(例えば、シャフトのねじれ又は他の変形)を決定するために使用することができる。
【0082】
さらに好ましい実施形態では、第1のウェハ210(
図1)及び/又は第2のウェハ220(
図2)が石英ウェハであることが規定される。さらに好ましい実施形態では、第1のウェハ210及び/又は第2のウェハ220が、次の材料:ニオブ酸リチウム(LiNbO
3)及び/又はタンタル酸リチウム(LiTaO
3)の少なくとも1種を含むことが規定される。
【0083】
さらに好ましい実施形態は、上記実施形態に係る方法により得られる、複数の機能素子FEを有する第1のウェハ210と、第2のウェハ220と、を備えるウェハアセンブリ200(
図6A)に関する。
【0084】
さらに好ましい実施形態は、上記実施形態に係る方法により得られる、封止された機能素子FE1(
図6E)に関する。
【0085】
さらに好ましい実施形態(
図6Eを参照)は、機能素子FEが配置された第1の基板S1(例えば、
図1に係る第1のウェハ210の一部)と、少なくとも1つの第2の基板S2(例えば、
図2に係る第2のウェハ220の一部)と、機能素子FEを囲む少なくとも1つのフレーム構造RSと、を備え、好ましくは密閉的に封止された機能素子FE1について言及しており(
図6E)、ここで、第1の基板S1は、フレーム構造RSによって第2の基板S2に連結(特に密着的に連結)されており、第1の基板S1と第2の基板S2とフレーム構造RSとの間に(特に密閉的に)封止された内部Iが画定されている。内部Iでは、機能素子FEは、製造プロセスの一部の間だけでなく、ターゲットシステムへの設置の際及びその後のターゲットシステムでの使用の際にも、周囲の影響から保護される。
【0086】
さらに好ましい実施形態は、トルクを特徴づける量を決定するための、上記実施形態に係る少なくとも1つの封止された機能素子FE1(
図6E)の使用に関する。
【0087】
図8は、更に好ましい実施形態に係る封止された機能素子FE1’の透視図を模式的に示している。第1の基板S1(例えば第1のウェハ210の一部;
図1)、本例では第1のウェハ210の第1の表面210a上に位置する機能素子FE’のための「保護カバー」を擬似的に形成する第2の基板S2(例えば第2のウェハ220の一部;
図1)、及び(基板S1、基板S2とともに)封止された内部Iを画定するフレーム構造RSを見ることができる。所望により、例えば機能素子FE’を電気的に接触させるための1つ又は複数の電気接点K1、K2も、好ましくは第1のウェハ210の第1の表面210aに設けられ得る。電気接点K1、K2は、例えば、電気接点を提供するステップ100(
図7A)のために既に存在するように、それ自体既知の製造技術によって作成することができる。
【0088】
さらに好ましい実施形態では、第2のウェハ220(
図4B)の第1の表面220aから材料を除去するステップ126(
図7B)において、第1のウェハ210又はその第1の表面210aに配置された接点K1、K2があれば、載置130(
図7A)によって第2のウェハ220の材料で覆われず、むしろトレンチTR(
図6B)が例えば接点K1、K2(
図8)に面するように、材料を除去してもよい。その後、接点K1、K2は、例えば、除去すること150(
図7C)によって露出させることができる。
【0089】
図9Aは、更に好ましい実施形態に係る第2のウェハ2200の側面図を模式的に示している。
図4Bに係る第2のウェハ220と同様に、
図9Aの第2のウェハ2200もフレーム構造を有しており、そのうち2つの相互に隣接するフレーム構造RSa、RSbがここでは例として示されている。
図4Bに係る構成220とは対照的に、
図9Aの相互に隣接するフレーム構造RSa、RSbの間に2つのトレンチTRa、TRbが配置されており、このトレンチTRa、TRbは、例えば、ソーカットによって(特に互いに平行に)作成することができる。
【0090】
図9Bは、
図5に係る第1のウェハ210と同様の構成を有する第1のウェハ2100に配置して結合した後の
図9Aの第2のウェハ2200を示しており、一例として、第1のウェハ2100の2つの機能素子FE’’a、FE’’bが
図9Bに示されている。第1のウェハ2100の機能素子FE’’a、FE’’bはそれぞれ、例えば、
図8に係る構成FE’と同様の電気的接触を有しており、
図9Bでは、機能素子FE’’aの第2の接点K2’と、それに隣接する機能素子FE’’bの第1の接点K1’のみが示されている。同じことが、分かりやすくするために
図9Bには示されていないが、機能素子FE’’a、FE’’bの任意の更なる電気接点にも適用される。
【0091】
2つのトレンチTRa、TRbは、特に研削及び/又はミリングによって、第2のウェハ2200の第2の表面2200bから材料を除去した後(
図7Cに係るステップ150を参照)、第2のウェハ2200の領域2202が露出して、接触領域KBの電気接点K1’、K2’が外部から(
図9Bでは、例えば、上から)アクセス可能になることを保証し、これにより、例えば、機能素子FE’’a、FE’’b(
図9Cの矢印ECを参照)の電気的特性評価又は試験160(
図7C)を行うことができる。機能素子FE’’a、FE’’bはまだダイシングされていないが第1のウェハ2100を介してまだ接続されているため、これは有利にはウェハレベルで行うことができる(
図9C参照)。その後のダイシング170(
図7C)、例えば
図9Cの線L1’に沿ったソーイングによって(例えばウェハレベルでのオプションの試験ECの後)、最終的に複数のダイシングされた機能素子が得られる。
【0092】
図9Dは、さらに好ましい実施形態に係る機能素子の上面図を模式的に示している。第1のウェハ2100の表面上のフレーム構造RSの左右に配置された自由にアクセス可能な接点K1’、K2’と、密閉的に封止された内部Iの不特定のSAW構造が見える。
【0093】
図10は、更に好ましい実施形態に係るウェハアセンブリ2000の一部の上面図を模式的に示している。ウェハアセンブリ2000は、個別に指定されていない複数の密閉的に封止された機能素子を有している。
図10に示す状態では、各機能素子の電気接点K1、K2(
図8)が既に露出しているので、個々の(好ましくは全ての)機能素子の電気的特性評価及び/又は試験を、有利には依然としてウェハレベルで行うことができ、これにより取り扱いが容易になる。試験後、機能素子をダイシングすることができ(例えば、
図7Cのステップ170を参照)、これは、例えば、
図10に模式的に示すソーラインL1’’、L2(垂直)及びL1’’’、L2(水平;例として示された2本のラインのみ)に沿ってソーイングすることによって行うことができる。
【0094】
図3と同様に、
図11は、更に好ましい実施形態に係る第1のウェハと第2のウェハの仮想的な重ね合わせの機能素子FE’1、FE’2の上面図を模式的に示している。本例では、2つの隣接する機能素子FE’1、FE’2が、封止材DMからなる共通のフレーム構造RS1によって囲まれていることが分かる。このようにして、2つの機能素子FE’1、FE’2は、第1のウェハ及び第2のウェハの対応する領域間の好ましくは密閉的に封止された内部Iに共に配置することができる(そして、必要に応じて、後でダイシングすることができる)。電気接点は、分かりやすくするために
図11には示されていないが、更に好ましい実施形態では、例えば、
図8又は9Dと同様に設計することができる。
【国際調査報告】