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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-06
(54)【発明の名称】トイレモジュールに関する改良
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/12 20060101AFI20220929BHJP
   E03D 11/02 20060101ALI20220929BHJP
   A47K 17/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
E03D11/12
E03D11/02 Z
A47K17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504524
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 AU2020050752
(87)【国際公開番号】W WO2021012008
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】2019902634
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522028858
【氏名又は名称】トムソン,スティーブン ジョン
【氏名又は名称原語表記】THOMSON,Stephen John
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】トムソン,スティーブン ジョン
【テーマコード(参考)】
2D037
2D039
【Fターム(参考)】
2D037EA01
2D039AA02
2D039AB00
(57)【要約】
水トラップおよび洗い流し可能な便器を有するトイレは、しゃがむタイプのトイレよりも衛生的であると考えられている。しかしながら、しゃがむタイプのトイレの方が健康的な排便を補助するのに優れている場合がある。本発明は、便器を有するトイレモジュールであって、便器支持機構も有するトイレモジュールを提供する。便器支持機構は、トイレを使用する人が排便する際に、よりしゃがんだ姿勢をとる位置に便器を移動させることができる。便器支持機構は、便器を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成され、第1の位置は、便器の前端が便器の後端よりも低いことを特徴とし、第2の位置は、便器の前端が便器の後端よりも上にあることを特徴とする。第1の位置では、身体の不自由な人がトイレに座り易くなり、第2の位置では、座っている人がしゃがんだ姿勢をとることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器および便器支持機構を有するトイレモジュールであって、
前記便器が前記便器支持機構によって支持され、前記便器が前端および後端を有し、前記前端および前記後端が、前記トイレモジュールの使用時に前記トイレモジュールに座る人の正面および背面にそれぞれ対応し、前記前端および前記後端がそれぞれ前記便器の上面に位置または隣接しており、前記便器支持機構が、前記便器を第1の位置、第2の位置、および前記第1の位置と前記第2の位置との間に移動させるように構成され、前記第1の位置は、前記便器の前端が前記便器の後端よりも低いことを特徴とし、前記第2の位置は、前記便器の前端が前記便器の後端よりも上にあることを特徴とする、トイレモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のトイレモジュールにおいて、
前記便器支持機構が、前記便器の前端に位置または隣接する点を通る回転軸を中心に、前記便器を回転させるように構成されていることを特徴とするトイレモジュール。
【請求項3】
請求項2に記載のトイレモジュールにおいて、
前記便器の回転軸が、前記便器の横軸に平行であることを特徴とするトイレモジュール。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のトイレモジュールにおいて、
前記便器支持機構が、前記第1の位置、前記第2の位置、および前記第1の位置と前記第2の位置との間への前記便器の移動を容易にするように構成された1または複数のボウルガイドを含むことを特徴とするトイレモジュール。
【請求項5】
請求項4に記載のトイレモジュールにおいて、
前記便器支持機構がボウル構造支持部材を含み、このボウル構造支持部材が、前記ボウル構造支持部材の第1の部分または前方部分において前記便器に剛結合され、かつ前記ボウル構造部材の第2の部分または後方部分において前記ボウルガイドまたは各ボウルガイドとスライド可能に係合することを特徴とするトイレモジュール。
【請求項6】
請求項5に記載のトイレモジュールにおいて、
前記ボウル構造支持部材が、前記便器を片持ち支持することを特徴とするトイレモジュール。
【請求項7】
請求項4乃至6の何れか一項に記載のトイレモジュールにおいて、
前記ボウルガイドまたは各ボウルガイドが、ガイドの湾曲セクションを含むことを特徴とするトイレモジュール。
【請求項8】
請求項4乃至7の何れか一項に記載のトイレモジュールにおいて、
前記ボウルガイドまたは各ボウルガイドが、ほぼ鉛直方向に整列されていることを特徴とするトイレモジュール。
【請求項9】
請求項7または8に記載のトイレモジュールにおいて、
前記ボウル構造支持部材が前記ボウルガイドまたは各ボウルガイドの湾曲セクションに沿ってスライドする際に、前記ボウルガイドまたは各ボールガイドの湾曲セクションが前記便器の回転運動を生じさせるために使用されることを特徴とするトイレモジュール。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のトイレモジュールにおいて、
前記便器が、前記第2の位置にあるときの前記便器の状況と比較すると、前記第1の位置にあるときに全体として高い位置にあることを特徴とするトイレモジュール。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載のトイレモジュールにおいて、
前記便器支持機構が、前記便器を前記第1の位置に向けて付勢するように構成された少なくとも1のバネを含むことを特徴とするトイレモジュール。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載のトイレモジュールにおいて、
前記便器支持機構が、前記便器を前記第1の位置、前記第2の位置、および前記第1の位置と前記第2の位置の間に移動させるように構成された1または複数の動力付きアクチュエータを含むことを特徴とするトイレモジュール。
【請求項13】
請求項4乃至12の何れか一項に記載のトイレモジュールにおいて、
前記ボウルガイドまたは各ボールガイドが、キャリッジアセンブリが移動可能なレールの形態であることを特徴とするトイレモジュール。
【請求項14】
請求項13に記載のトイレモジュールにおいて、
前記ボウル構造支持部材または各ボール構造支持部材が、関連するボウルガイドに沿って移動するキャリッジアセンブリに接続されていることを特徴とするトイレモジュール。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載のトイレモジュールにおいて、
前記トイレモジュールが、可動式のフットレストと、前記フットレストを上方位置、下方位置、および前記上方位置と前記下方位置との間に移動させるように構成されたフットレスト支持機構とをさらに含むことを特徴とするトイレモジュール。
【請求項16】
請求項15に記載のトイレモジュールにおいて、
前記フットレスト支持機構が、前記フットレストを前記上方位置、前記下方位置、および前記上方位置と前記下方位置との間に移動させるのを容易にするように構成された1または複数のフットレストガイドを含むことを特徴とするトイレモジュール。
【請求項17】
請求項16に記載のトイレモジュールにおいて、
前記フットレスト支持機構が1または複数のフットレスト構造支持部材を含み、この1または複数のフットレスト構造支持部材が、前記フットレスト構造支持部材または各フットレスト構造支持部材の第1の部分または前方部分で各フットレストに剛結合され、かつ前記フットレスト構造部材または各フットレスト構造部材の第2の部分または後方部分で前記フットレストガイドまたは各フットレストガイドとスライド可能に係合することを特徴とするトイレモジュール。
【請求項18】
請求項17に記載のトイレモジュールにおいて、
前記フットレスト構造支持部材または各フットレスト構造支持部材が、前記フットレストを片持ち支持することを特徴とするトイレモジュール。
【請求項19】
請求項15乃至18の何れか一項に記載のトイレモジュールにおいて、
前記フットレスト支持機構が、前記フットレストを前記下方位置、前記上方位置、および前記下方位置と前記上方位置との間に移動させるように構成された1または複数の動力付きアクチュエータを含むことを特徴とするトイレモジュール。
【請求項20】
請求項16乃至19の何れか一項に記載のトイレモジュールにおいて、
前記フットレストガイドまたは各フットレストガイドが、前記ボウルガイドまたは各ボウルガイドの延長部であることを特徴とするトイレモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレモジュールにおける改良に関し、特に、排便時の姿勢を改善し、トイレモジュールの便座に座ったり便座から立ち上がったりするのを容易にすることを目的としたトイレモジュールに関する改良に関するものであるが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
世界には、主に東側諸国で使用されているしゃがむタイプのトイレモジュールと、主に西側諸国で使用されている座るタイプのトイレモジュールの2種類が存在する。
【0003】
どちらのタイプのトイレモジュールにも長所と短所がある。座るタイプのトイレモジュールの大きな短所は、座った人の姿勢が排便に理想的ではないことである。人が立っている時や座っている時は、排泄抑制を補助するための恥骨直腸筋が肛門管を塞いでしまう。しゃがむと恥骨直腸筋が弛緩し、排便に備えて肛門管が真っ直ぐになる。
【0004】
さらに、高齢者や肥満の人々は、従来の座るタイプのトイレモジュールに身を屈めたり、あるいはしゃがんだ姿勢をとったりすることが困難な場合がある。また、この同じグループの人々は、同様に、便座から立ち上がることや、しゃがんだ姿勢から立ち上がることが難しいと感じている。
【0005】
座るタイプのトイレモジュールは、排泄物を回収するための便器および水トラップを有し、かつ洗い流して洗浄することができるため、一般に、しゃがむタイプのトイレよりも清潔であると考えられている。
【0006】
上記の理由から、必要とされているのは、弁座および便器を組み込んでいるが、排便中に人々がしゃがむような姿勢をとることができ、同時に、座るタイプのトイレモジュールに屈むこと、あるいは座るタイプのトイレモジュールから立ち上がることが難しい人々が利用できる、改良されたトイレモジュールである。
【0007】
この明細書では、反対のことが明示されていない限り、文書、行為または知識の項目が引用または検討されている場合、この引用または検討は、文書、行為または知識の項目またはそれらの任意の組合せが、優先日において、公然と利用可能であり、公衆に知られており、共通の一般的知識の一部であり、または本明細書に関する任意の問題の解決の試みに関連することが知られていたことを認めるものではない。
【発明の概要】
【0008】
目的
そこで、本発明の目的は、少なくとも上述した問題の1または複数を克服する方向に向かうか、または少なくとも公衆に有用な選択肢を提供する、トイレモジュールに関連する改良を提供することである。
【0009】
本発明の説明
すなわち、第1の態様において、本発明は、広義には、便器および便器支持機構を有するトイレモジュールにあると云うことができ、便器が便器支持機構によって支持され、便器が前端および後端を有し、前端および後端が、トイレモジュールの使用時にトイレモジュールに座る人の正面および背面にそれぞれ対応し、前端および後端がそれぞれ便器の上面に位置または隣接しており、便器支持機構が、便器を第1の位置、第2の位置、および第1の位置と第2の位置との間に移動させるように構成され、第1の位置は、便器の前端が便器の後端よりも低いことを特徴とし、第2の位置は、便器の前端が便器の後端よりも上にあることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、便器支持機構は、便器の前端に位置または隣接する点を通る回転軸を中心に、便器を回転させるように構成されている。
【0011】
好ましくは、便器の回転軸は、便器の横軸に平行である。
【0012】
好ましくは、便器支持機構は、第1の位置、第2の位置、および第1の位置と第2の位置との間への便器の移動を容易にするように構成された1または複数のボウルガイドを含む。
【0013】
好ましくは、便器支持機構は、ボウル構造支持部材を含み、このボウル構造支持部材が、ボウル構造支持部材の第1の部分または前方部分において便器に剛結合され、かつボウル構造部材の第2の部分または後方部分においてボウルガイドまたは各ボウルガイドとスライド可能に係合する。
【0014】
好ましくは、ボウル構造支持部材は、便器を片持ち支持する。
【0015】
好ましくは、ボウルガイドまたは各ボウルガイドは、ガイドの湾曲セクションを含む。
【0016】
好ましくは、ボウルガイドまたは各ボウルガイドは、ほぼ鉛直方向に整列されている。
【0017】
好ましくは、ボウル構造支持部材がガイドまたは各ガイドの湾曲セクションに沿ってスライドする際に、ボウルガイドまたは各ボールガイドの湾曲セクションが便器の回転運動を生じさせるために使用される。
【0018】
好ましくは、便器は、第2の位置にあるときの便器の状況と比較すると、第1の位置にあるときに全体として高い位置にある。
【0019】
好ましくは、便器支持機構は、便器を第1の位置に向けて付勢するように構成された少なくとも1のバネを含む。
【0020】
好ましくは、便器支持機構は、便器を第1の位置、第2の位置、および第1の位置と第2の位置の間に移動させるように構成された1または複数の動力付きアクチュエータを含む。
【0021】
任意選択的には、便器支持機構は、便器を第1の位置、第2の位置、および第1の位置と第2の位置の間に移動させるように構成された手動操作式アクチュエータを含む。
【0022】
好ましくは、便器支持機構は、ラックアンドピニオン式の歯車作動システムを含む。
【0023】
好ましくは、ボウルガイドまたは各ボールガイドは、キャリッジアセンブリが移動可能なレールの形態である。
【0024】
好ましくは、ボウル構造支持部材または各ボール構造支持部材は、関連するボウルガイドに沿って移動するキャリッジアセンブリに接続されている。
【0025】
好ましくは、トイレモジュールは、可動式のフットレストと、フットレストを上方位置、下方位置、および上方位置と下方位置との間に移動させるように構成されたフットレスト支持機構とをさらに含む。
【0026】
好ましくは、フットレスト支持機構は、フットレストを上方位置、下方位置、および上方位置と下方位置との間に移動させるのを容易にするように構成された1または複数のフットレストガイドを含む。
【0027】
好ましくは、フットレスト支持機構は、1または複数のフットレスト構造支持部材を含み、この1または複数のフットレスト構造支持部材が、フットレスト構造支持部材または各フットレスト構造支持部材の第1の部分または前方部分で各フットレストに剛結合され、かつフットレスト構造部材または各フットレスト構造部材の第2の部分または後方部分でフットレストガイドまたは各フットレストガイドとスライド可能に係合する。
【0028】
好ましくは、フットレスト構造支持部材または各フットレスト構造支持部材は、フットレストを片持ち支持する。
【0029】
好ましくは、フットレストガイドまたは各フットレストガイドは、ガイドの真っ直ぐなセクションを含む。
【0030】
好ましくは、フットレストガイドまたは各フットレストガイドは、ほぼ鉛直な向きで整列されている。
【0031】
好ましくは、フットレスト支持機構は、フットレストを上方位置に向けて付勢するように構成された少なくとも1のバネを含む。
【0032】
好ましくは、フットレスト支持機構は、フットレストを下方位置、上方位置、および下方位置と上方位置との間に移動させるように構成された1または複数の動力付きアクチュエータを含む。
【0033】
任意選択的には、フットレスト支持機構は、フットレストを下方位置、上方位置、および下方位置と上方位置との間に移動させるように構成された手動操作式アクチュエータを含む。
【0034】
好ましくは、フットレスト支持機構は、ラックアンドピニオン式の歯車作動システムを含む。
【0035】
好ましくは、フットレストガイドまたは各フットレストガイドは、キャリッジアセンブリが移動することができるレールの形態である。
【0036】
好ましくは、フットレスト構造支持部材または各フットレスト構造支持部材は、関連するフットレストガイドに沿って移動するキャリッジアセンブリに接続されている。
【0037】
好ましくは、フットレストガイドまたは各フットレストガイドは、ボウルガイドまたは各ボウルガイドの延長部である。
【0038】
好ましくは、トイレモジュールは、トイレモジュールの廃棄物出口通路に水シールを提供するように構成されたトラップを含む。
【0039】
好ましくは、トラップを通る流れの方向は、便器の回転軸に平行な方向である。
【0040】
好ましくは、トラップは、くびれセクションを含む。
【0041】
好ましくは、くびれセクションは、砂時計形状のくびれセクションの形態である。
【0042】
任意選択的には、トラップは、U字型ベンドまたはS字型ベンドを含む。
【0043】
好ましくは、トイレモジュールは、便器の出口とトイレモジュール近傍の廃水システムとの間の水密接続を提供するフレキシブル接続部を含む。
【0044】
任意選択的には、トイレモジュールは、側面図として見たときに凹状の上面を有する便座を含む。
【0045】
第2の態様において、本発明は、広義には、実質的に本明細書に規定される少なくとも1のトイレモジュールを組み込んだ建物または構造物にあると云うことができる。
【0046】
また、本発明は、広義には、本願明細書において個別にまたは集合的に参照または示される部分、要素および特徴、並びに、それら部分、要素または特徴のうちの任意の2以上の任意のまたはすべての組合せにあると云うことができ、既知の均等物を有する特定の完全体が本明細書で言及される場合、そのような均等物はあたかもそれらが個別に記載されているかのように本明細書に組み入れられるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明の更なる態様は、以下の添付図面を参照して与えられる例示に過ぎない以下の説明から明らかになるであろう。
図1図1は、本発明に係るトイレモジュールの第1の実施例の側面図である。
図2図2は、トイレモジュールの便器の角度の範囲を示す第1の実施例の側面図である。
図3図3は、トイレモジュールの第1の実施例の平面図である。
図4図4は、トイレモジュールの第1の実施例の正面図である。
図5図5は、トイレモジュールの第1の実施例の操作機構を示す正面断面図である。
図6図6は、可動範囲の上端にある便器の第1の実施例を示す側面図である。
図7図7は、本発明に係るトイレモジュールの第2の実施例の側面図である。
図8図8は、トイレモジュールの第2の実施例の平面図である。
図9図9は、トイレモジュールの第2の実施例の正面図である。
図10図10は、本発明に係るトイレモジュールの第3の実施例の側面図である。
図11図11は、上昇させたモードで示されるトイレモジュールの第3の実施例の側面図である。
図12図12は、降下させたモードで示されるトイレモジュールの第3の実施例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
第1の実施例
以下に、図1図6を参照して、本発明に係るトイレモジュール(11)の第1の実施例を説明する。このトイレモジュール(11)は、従来のトイレを使用することが困難な人々がよくある介護施設や病院などの建物で使用するように設計されている。また、トイレモジュール(11)は、必要に応じて、人々の家や、船舶や航空機などの他の構造物内で使用されることも想定されている。
【0049】
トイレモジュール(11)の目的は、排便を成功させるために、人々がしゃがんだ姿勢を達成するのを支援する衛生的なトイレ装置を提供することである。例えば、体調が悪いときや、年をとったときなど、この作業に苦労するときがある。また、肥満の人々も、この作業が困難な場合がある。しゃがむことは、排便を助けることが知られており、このトイレモジュール(11)は、しゃがむプロセスを助ける、美的に受け入れられ、機能的で衛生的な装置を提供するものである。また、このトイレモジュール(11)は、従来のトイレモジュールの上に腰を降ろすこと、あるいはそこから立ち上がることが困難であると感じる人々に適している。しゃがむ姿勢をとるのに補助が必要な人々は、便座に乗ったり降りたりするのに補助が必要な人々と同じであることが多い。
【0050】
トイレモジュール(11)は、便器(13)と、便器支持機構(15)とを有する。便器(13)は、便器支持機構(15)によって支持され、便器支持機構(15)は、便器(13)を様々な角度に向けることを可能にする。図2を参照すると、便器(13)は、便器(13)の前端(19)が便器(13)の後部または後端(21)よりも低い第1の角度(17)に向けることができることが分かる。また、便器(13)は、便器(13)の上面(25)が実質的に水平である第2の角度(23)や、便器(13)の前端(19)が便器(13)の後端(21)よりも高い第3の角度(27)にも向けることが可能である。
【0051】
また、便器支持機構(15)は、便器(13)を第1の角度(17)と第3の角度(27)との間の任意の角度に向けて保持できるように構成されていることにも留意されたい。この実施例では、第1の角度(17)は、水平より約20度上の角度であり、第3の角度(27)は、水平より約10度下の角度である。水平より30度上から水平より20度下までの範囲の角度が、トイレモジュール(11)の所望の目的を達成するのに適していることが想定される。
【0052】
上述したように、便器支持機構(15)は、ある範囲の角度の間で便器(13)を移動させるように構成されている。便器(13)が第1の角度(17)に向けられるとき、便器(13)はその第1の位置にあると云える。そして、便器(13)が第3の角度(27)に向けられるとき、便器(13)はその第2の位置にあると云える。
【0053】
便器(13)の第1の位置は、便器(13)の前端(19)が便器(13)の後端(21)より低いことを特徴とし、第2の位置は、便器(13)の前端(19)が便器(13)の後端(21)より上にあることを特徴とする。便器支持機構(15)は、便器(13)を第1の位置、第2の位置、および第1の位置と第2の位置との間に移動させる。
【0054】
例えば、第1の位置にあるとき又は第1の角度(17)に向けられたときなど、トイレモジュールの後端(21)が前端(19)よりも上に上がると、人は、トイレボウル(13)の上面(25)が水平であるときほど大きく体を下ろす必要がない点において、より容易にトイレモジュールに乗ることが可能である。第1の角度(17)に向けられたとき、人は、水平な便座から立ち上がるときほど大きく体を上げる必要がないため、より容易にトイレモジュールから降りることができる。
【0055】
例えば、第2の位置にあるとき又は第3の角度(27)に向けられたときなど、トイレモジュールの後端(21)が前端(19)よりも下に下がると、トイレモジュール(11)に座っている人は、しゃがむような姿勢をとることになる。しゃがんだ姿勢は、可動式のフットレスト(29)によっても補助され、この可動式のフットレストは、排便を補助する目的で、しゃがんだ姿勢を改善するために上昇させることができる。
【0056】
図面から分かるように、便器支持機構(15)は、便器(13)の前端(19)に位置または隣接する点を通る回転軸(31)を中心に、便器(13)を回転させるように構成されている。回転軸(31)は、便器(13)の横軸に平行である。
【0057】
この実施例では、便器支持機構(15)が2つのボウルガイド(33)を含み、それらボウルガイドが、第1の位置、第2の位置、および第1の位置と第2の位置との間への便器(13)の移動を容易にするように構成されている。便器支持機構(15)は、ボウル構造支持部材(35)を含み、このボウル構造支持部材(35)は、その第1の部分または前方部分(37)で便器(13)に剛結合され、ボウル構造部材(35)の第2の部分または後方部分(39)でボウルガイド(33)にスライド可能に係合する。このようにして、ボウル構造支持部材(35)は、便器(13)に対して片持ち支持を提供する。
【0058】
ボウルガイド(33)の各々は、ガイドレール(41)の湾曲セクションを含む。ボウルガイド(33)は、実質的に鉛直方向に整列している。ガイドレール(41)の湾曲セクションは、ボウル構造支持部材(35)がガイドレール(41)の湾曲セクションに沿ってスライドする際に、回転軸(13)を中心とする便器(13)の回転運動を生じさせるために使用される。便器(13)は、便器(13)の前端(19)からガイドレール(41)の湾曲セクションまでの距離にほぼ等しい半径(43)の周りを回転する。
【0059】
便器(13)は、第2の位置にあるときの便器(13)の状況と比較すると、第1の位置にあるときの方が全体として高い位置にある。そして、便器支持機構(15)は、便器(13)を第1の位置に向けて付勢する又は持ち上げるように構成されたバネ(45)を含む。また、便器支持機構(15)は、便器(13)を持ち上げたり下ろしたりするか、または第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された動力付きアクチュエータ(47)を含む。この実施例では、便器支持機構(15)は、便器(13)を持ち上げたり下ろしたりするように構成された長いハンドル(49)を有する手動操作式アクチュエータも含む。動力付きアクチュエータ(47)および/またはハンドル(49)は、ラックアンドピニオン式歯車作動システム(50)を介して作動して、ボウル構造支持部材(35)を動かし、それにより便器(13)をその回転軸(35)を中心に移動および回転させる。流体圧式またはガス充填式の減衰ストラット(55)は、便器(13)の上下運動を制御または減速させるために使用される。
【0060】
ボウルガイド(33)は、レール(51)の形態であり、それに沿ってキャリッジアセンブリ(図示せず)が移動することができる。ボウル構造支持部材(35)は、関連するボウルガイド(33)に沿って移動するキャリッジアセンブリに接続されている。キャリッジアセンブリは、本明細書に記載された、ボウル構造支持部材(35)とボウルガイド(33)との間の「スライド可能な係合」を提供する。
【0061】
上述したように、トイレモジュール(11)は、可動式のフットレスト(29)も含む。フットレスト支持機構(61)は、フットレスト(29)を支持し、フットレスト(29)を上方位置、下方位置、および上方位置と下方位置との間に移動させるように構成されている。下方位置は、フットレスト(29)が床面またはその近くにあるときであり、上方位置は、人がトイレモジュール(11)に座っている間にしゃがむような姿勢をとることを支援するために、フットレスト(29)が床面から約150mm~250mm上昇したときである。
【0062】
フットレスト支持機構(61)は、2つの鉛直フットレストガイド(63)を含み、それらフットレストガイドが、フットレスト(29)の上方位置および下方位置への移動、および上方位置と下方位置との間の移動を容易にするように構成されている。この実施例では、フットレストガイド(63)がそれぞれボウルガイド(33)の延長部であり、湾曲したボウルガイド(33)が、フットレストガイド(63)の真っ直ぐでほぼ鉛直なセクションの真上に位置している。
【0063】
フットレスト支持機構(61)は、フットレスト構造支持部材(67)を含み、このフットレスト構造支持部材(67)は、その第1の部分または前方部分において各フットレスト(29)に剛結合され、フットレスト構造部材(67)の第2の部分または後方部分においてフットレストガイド(63)にスライド可能に係合している。このようにして、フットレスト構造支持部材(67)は、フットレスト(29)に対して片持ち支持を提供する。
【0064】
フットレスト構造部材(67)とフットレストガイド(63)との間のスライド可能な係合は、各フットレストガイド(63)の各レールを上下に移動可能な一対のキャリッジアセンブリ(68)により提供されている。フットレスト構造支持部材(67)は、キャリッジアセンブリ(68)に剛結合されている。フットレスト構造支持部材(67)は、2つのキャリッジアセンブリ(68)の間に跨り、両方のフットレスト(29)が確実に一体的に動くのを補助するクロスバー(69)を含む。
【0065】
フットレスト支持機構(61)は、フットレスト(29)を下方位置、上方位置、および下方位置と上方位置との間に移動させるように構成された動力付きアクチュエータも含む。また、フットレスト支持機構(61)は、ラックアンドピニオン式の歯車作動装置(50)を使用して、フットレスト構造支持部材(67)を動かし、それによりフットレスト(29)を動かす。また、フットレスト支持機構(61)は、バネ(45)を利用して、フットレスト(29)をその上方位置に向けて付勢する。さらに、フットレスト支持機構(61)は、ハンドル(49)を利用して、フットレスト(29)をその下方位置、上方位置、および下方位置と上方位置との間に手動で移動させることができる。
【0066】
トイレモジュール(11)は、トイレモジュール(11)の廃棄物出口通路(73)において水シールまたは臭気バリアを提供するように構成されたトラップ(71)を含む。トラップ(71)を通る流れの方向は、便器(13)の回転軸(31)に平行な方向である。この実施例では、トラップ(71)が、便器(13)内の予め設定された水位(74)を維持する逆U字型ベンドを含む。そして、トラップ(71)を通る流れの方向は、回転軸(31)と平行な方向であるため、U字型ベンドによって維持される便器(13)内の水位は、回転軸(31)を中心とする便器(13)の回転に殆ど影響を受けない。
【0067】
トイレモジュール(11)は、便器(13)の出口(75)とトイレモジュール(11)の近傍の廃水システムとの間の水密接続を提供するフレキシブル接続部(図示せず)を含む。フレキシブル接続部は、便器(13)と廃水システムとの間の水密接続を壊すことなく、便器(13)を移動させることを可能にする。
【0068】
トイレモジュールは、様々な方法で使用することができる。例えば、便座に腰を下ろすことのみが難しい人は、モジュールに関わる間に便器をその第1の位置まで上げ、その後、従来の方法で使用するために便器をその水平位置まで下げることができる。
【0069】
排便するのが困難な人は、オプションで便器をその第2の位置に移動させた後、しゃがむような姿勢をとるのを補助するために、フットレストを部分的にまたは完全に上げることができる。
【0070】
第2の実施例
次に、図7図9を参照して、第2の実施例のトイレモジュール(81)について説明する。第2の実施例のトイレモジュール(81)は、代替的なトラップ構成を有することを除いて、本明細書で説明した第1の実施例のトイレモジュール(11)とすべての面で類似している。
【0071】
第1の実施例の逆U字型ベンドの代わりに、トイレモジュール(81)のトラップは、砂時計形状のくびれセクション(83)を含む。砂時計形状のくびれセクション(83)の主軸(85)は、便器(89)の回転軸(87)と平行である。砂時計形状のくびれセクション(83)のアイデアは、便器の向きが変わっても、便器(89)内の水位(91)は、砂時計形状の最も狭いセクションの最も低い部分によって決まるため、水位(91)が実質的に同じまま維持されるということである。
【0072】
明らかに、図面に示す完全な砂時計形状の代替として、部分的な砂時計形状を使用することも可能である。例えば、砂時計形状の上3分の1を省略して、便器(89)内の水位を、砂時計形状のトラップ(83)の下3分の2によって制御することも可能である。
【0073】
第3の実施例
次に、図10図12を参照して、第3の実施例のトイレモジュール(101)について説明する。第3の実施例のトイレモジュール(101)は、本明細書で説明した第1の実施例のトイレモジュール(11)および第2の実施例のトイレモジュール(81)と多くの面で類似している。主な相違点は、第1の実施例の便器支持機構(15)に代えて前方ピボット機構(103)を用いたこと、並びに、トイレモジュール(101)にフットレストがないことである。
【0074】
前の実施例と同様に、トイレモジュール(101)の便器(105)は可動式であり、水平に対して様々な角度で位置決めすることが可能である。この実施例では、便器(105)が、前方ピボット機構(103)および便器昇降アクチュエータ(107)によって支持されている。便器昇降アクチュエータ(107)は、便器(105)の頂面または上面(111)およびそれに関連する便座(図示せず)を様々な角度に向けることができるように、便器(105)の後端(109)を昇降させるように構成されている。
【0075】
図11および図12を参照すると、便器(105)の前端(115)が便器(105)の後端(109)よりも低い第1の角度(113)に、便器(105)を向けることができることが分かる。便器(105)は、便器(111)の上部が実質的に水平である第2の角度(117)や、便器(105)の前端(115)が便器(105)の後端(109)よりも高い第3の角度(119)にも向けることが可能である。
【0076】
便器(105)は、ピボット機構(103)によってその前端(115)が支持されている。ピボット機構(103)自体は、実質的に鉛直な支持部材(121)に支持され、この支持部材は、トイレモジュール(101)の金属柱または前壁の形態であり得る。ベース部材(123)は、この場合、金属バーまたはトレイの形態であり、その前端で鉛直支持部材(121)を支持し、その後端で昇降アクチュエータ(107)を支持する。
【0077】
昇降アクチュエータ(107)は、連結ロッド(125)を使用して便器(105)の後端(109)に結合されている。このようにして、リニアアクチュエータである昇降アクチュエータ(107)の動作により、便器(111)の後端(109)を昇降させ、便器(105)の上面を第1の角度(113)と第3の角度(119)との間の任意の角度に動かすことができる。ピボット機構(103)、鉛直支持部材(121)、ベース部材(123)および昇降アクチュエータ(107)は、第3の実施例のトイレモジュール(101)の便器支持機構を形成している。
【0078】
第3の実施例のトイレモジュール(101)は、便器(105)内の所望の水位(129)を維持するために、本明細書の第1の実施例を参照して説明したものと同様のトラップ(127)構成を有している。
【0079】
変形例
本発明が関連する技術分野の当業者は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の多くの構造の変更および大きく異なる実施形態と応用を思い浮かべるであろう。本明細書の開示および記載は、単なる例示に過ぎず、いかなる意味においても限定することを意図するものではない。
【0080】
本明細書に記載の第1の実施例では、トイレモジュール(11)が、2つのボウルガイド(33)と2つのフットレストガイド(63)とを含む。代替的な構成では、トイレモジュール(11)が、1つ、または2つよりも多いボウルガイド(33)または2つのフットレストガイド(63)を含むことができる。
【0081】
図示のトイレモジュール(11)、(81)、(101)は、平らな便座を有するが、任意選択的には、トイレモジュール(11)、(81)、(101)は、凹状の上面を有する便座、すなわち便座を側面図で見たときに凹状の上面を有する便座を含むことができる。
【0082】
定義
混乱を避けるために、便器(13)の前端および後端を指す前端(19)および後端(21)という用語は、トイレモジュール(11)に座ったときの人の正面および背面にそれぞれ対応することに留意されたい。すなわち、前端(19)および後端(21)という用語は、トイレモジュール(11)に座っている人を基準にしている。
【0083】
また、便器(13)の前端(19)および後端(21)はそれぞれ、便器(13)の上面(25)が位置または隣接する点であることにも留意されたい。
【0084】
本明細書を通じて、「comprise」という語、およびこの語の「comprises」や「comprising」などの変化形は、他の追加物、コンポーネント、完全体またはステップを除外することを意図するものではない。
【0085】
利点
このように、本発明の少なくとも好ましい形態は、以下の利点を有するトイレモジュールを提供することが分かる。
・当該トイレモジュールは、人がしゃがんだ姿勢で排便することを可能にする。
・当該トイレモジュールは、従来の便座に座ったり、便座から立ち上がったりするのが難しい人が使用することができる。
・当該トイレモジュールは、上記のような利点を提供しながらも、美観に優れた衛生的なトイレ装置を提供する。
図1
図2
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図4
図5
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図10
図11
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【国際調査報告】