(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-06
(54)【発明の名称】連続脂肪相の少なくとも1種の短鎖ジオールをベースとする分散相の形態にあり、及び少なくとも1種の抗炎症性物質を含む、局所使用のための医薬品組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 47/10 20060101AFI20220929BHJP
A61K 31/381 20060101ALI20220929BHJP
A61K 31/403 20060101ALI20220929BHJP
A61K 31/196 20060101ALI20220929BHJP
A61K 31/216 20060101ALI20220929BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220929BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20220929BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220929BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220929BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220929BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20220929BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20220929BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220929BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220929BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61K47/10
A61K31/381
A61K31/403
A61K31/196
A61K31/216
A61P29/00
A61K9/107
A61K47/26
A61K45/00
A61K47/32
A61P29/00 101
A61P25/06
A61P19/00
A61P35/00
A61P3/10
A61P17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505576
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(85)【翻訳文提出日】2022-01-27
(86)【国際出願番号】 FR2020051430
(87)【国際公開番号】W WO2021028632
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ブルコート、カトリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】デニス、アリス
(72)【発明者】
【氏名】シグラニ、セヴェリーヌ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076BB31
4C076CC05
4C076CC18
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD39
4C076DD41
4C076DD45
4C076DD69
4C076EE14
4C076EE23
4C076FF36
4C084AA17
4C084MA22
4C084MA63
4C084NA03
4C084ZA081
4C084ZA082
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB151
4C084ZB152
4C084ZC351
4C084ZC352
4C086AA01
4C086BB02
4C086BC12
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA22
4C086MA63
4C086NA03
4C086ZA08
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZC35
4C206AA01
4C206DA23
4C206FA32
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA42
4C206MA83
4C206NA03
4C206ZA08
4C206ZA89
4C206ZA96
4C206ZB11
4C206ZB15
4C206ZC35
(57)【要約】
連続相(A2)の中に分散されたゲル化相(A1)を含む、局所使用(E1)のための医薬品組成物であって、前記医薬品組成物(E1)が、以下のものを含む:少なくとも1種の抗炎症性物質(AI)及び少なくとも1種の、3~8個の炭素原子を有し、式(Ia)又は式(Ib)のいずれかで表されるジオールを含む、ゲル化相(A1):Ra
1-(Rb
1)(OH)-(OH)(Rc
1)(Rd
1)(Ia)[式中、Ra
1、Rb
1、Rc
1、及びRd
1基のそれぞれは、相互に独立して、水素原子、又は1~5個の炭素原子を有する飽和脂肪族基を表す]、Ra
1-C(Rb
1)(OH)-[C(Re
1)(Rf
1)]t-C(OH)(Rc
1)(Rd
1)(Ib)[式中、tは、1、2又は3に等しく、Ra
1、Rb
1、Rc
1、Rd
1、Re
1、及びRf
1基のそれぞれは、相互に独立して、水素原子又は、1~5個の炭素原子を有する飽和脂肪族基を表す][Ra
1又はRb
1基の少なくとも1つ、及び/又はRc
1又はRd
1基の少なくとも1つは、水素原子を表すことはないことを理解されたい]、少なくとも1種の油、並びに少なくとも1種の乳化用界面活性剤(S1)及び少なくとも1種の乳化用界面活性剤(S2)の組合せを含む乳化系(S)を含む、脂肪相(A2)。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続相(A2)の中に分散されたゲル化相(A1)を含む、局所使用のための医薬品組成物(E1)であって、前記医薬品組成物(E1)が:
- 添加水を含まないゲル化相(A1)であって、少なくとも1種の抗炎症性物質(AI)、並びに3~8個の炭素原子を含み、次のいずれかの式で表される少なくとも1種のジオールを含む、ゲル化相;
式(I
a):
R
a
1-C(R
b
1)(OH)-C(OH)(R
c
1)(R
d
1) (I
a)
[式中、基R
a
1、R
b
1、R
c
1、及びR
d
1のそれぞれは、互いに他から独立して、水素原子又は1~5個の炭素原子を含む飽和脂肪族基を表す]、又は
式(I
b):
R
a
1-C(R
b
1)(OH)-[C(R
e
1)(R
f
1)]
t-C(OH)(R
c
1)(R
d
1) (I
b)
[式中、tは、1、2又は3に等しく、基R
a
1、R
b
1、R
c
1、R
d
1、R
e
1、及びR
f
1のそれぞれは、互いに他から独立して、水素原子又は1~5個の炭素原子を含む飽和脂肪族基を表す]
[基R
a
1又はR
b
1の内の少なくとも1つ、及び/又は基R
c
1又はR
d
1の内の少なくとも1つが、水素原子を表すことがないということは理解されたい];
- 少なくとも1種の油、並びに少なくとも1種の乳化用界面活性剤(S1)と少なくとも1種の乳化用界面活性剤(S2)との組合せを含む乳化系(S)を含む、脂肪相(A2);
を含む、医薬品組成物(E1)。
【請求項2】
その質量100%あたり、
- 60質量%~98質量%のゲル化相(A1)、及び
- 2質量%~40質量%の脂肪相(A2)
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項3】
- 前記乳化用界面活性剤(S1)が、アルキルポリグリコシド組成物、及びアルキルポリグリコシド、及び脂肪族アルコール組成物からなる群の要素から選択され、
- 前記乳化用界面活性剤(S2)が、ポリグリセロールエステル、アルコキシル化ポリグリセロールエステル、ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリコール、ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセロール、及びアルコキシル化ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセロールからなる群の要素から選択される
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項4】
前記ゲル化相(A1)が、その質量100%あたり、
- 0.625質量%~10質量%の架橋されたアニオン性高分子電解質(AP1)、
- 0.625質量%~5質量%の少なくとも1種の抗炎症性物質(AI)、
- 85質量%~98.75質量%の、請求項1において定義された式(I
a)又は請求項1において定義された式(I
b)のいずれかで表される、少なくとも1種の、3~8個の炭素原子を含むジオール
を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項5】
3~8個の炭素原子を含み、及び式(I
a)又は式(I
b)のいずれかで表される前記ジオールが、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、2,3-ブタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、又は2-メチル-2,4-ペンタンジオールから選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項6】
3~8個の炭素原子を含み、及び式(I
a)又は式(I
b)のいずれかで表される前記ジオールが、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、又は2-メチル-2,4-ペンタンジオールから選択されることを特徴とする、請求項5に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項7】
前記架橋されたアニオン性高分子電解質(AP1)が、25mol%以上の比率の、遊離酸の状態か、又は部分的若しくは全面的に塩化された形態にある、2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸から誘導されるモノマー単位を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項8】
前記抗炎症性物質(AI)が、
式(AIa)の、2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸(CAS番号=15307-86-5)、すなわちジクロフェナク、
【化1】
式(AIb)の、2-[2-[2-(2,6-ジクロロアニリノ)フェニル]アセチル]オキシ酢酸(CAS番号=89796-99-6)、すなわちアセクロフェナク、
【化2】
式(AIc1)の、R型鏡像異性体及び式(AIc2)のS型鏡像異性体の形にある、2-(5-ベンゾイルチオフェン-2-イル)プロパン酸(CAS番号=33005-95-7(RS))、すなわちチアプロフェン酸、
【化3】
式(AId)の、2-[4-(2-メチルプロプ-2-エニルアミノ)フェニル]プロパン酸(CAS番号=39718-89-3)、すなわちアルミノプロフェン、
【化4】
式(AIe)の、2-(1,8-ジエチル-4,9-ジヒドロ-3H-ピラノ[3,4-b]インドル-1-イル)酢酸(CAS番号=41340-25-4)、すなわちエトドラク、
【化5】
式(AIf1)の、R型鏡像異性体及び式(AIf2)のS型鏡像異性体の形にある、(±)-2-フルオロ-α-メチル-(1,1’-ビフェニル)-4-酢酸、すなわちフルルビプロフェン(CAS番号=5104-49-4(RS))、
【化6】
式(AIg1)の、R型鏡像異性体及び式(AIg2)のS型鏡像異性体の形にある、2-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]プロパン酸、すなわちイブプロフェン(CAS番号=15687-27-1(RS))、
【化7】
式(AIh)の、S(+)鏡像異性体(CAS番号=22161-81-5)及びR(-)鏡像異性体(CAS番号=56105-81-8)の形、並びにラセミ混合物(CAS番号=22071-15-4)の形にある、2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオン酸、すなわちケトプロフェン、
【化8】
式(AIi)の、S(+)鏡像異性体(CAS番号=22204-53-1)又はラセミ混合物(CAS番号=23981-80-8)の形にある、6-メトキシ-α-メチル-2-ナフタレン酢酸、すなわちナプロキセン、
【化9】
からなる群の要素の、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、N,N-ジアルキルアンモニウム、及びN,N,N-トリアルキルアンモニウム(前記アルキル基のそれぞれが、1~4個の間の炭素原子を含む)の塩から選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項9】
前記抗炎症性物質(AI)が、2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸のナトリウム塩、2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸のジエチルアンモニウム塩、2-[2-[2-(2,6-ジクロロアニリノ)フェニル]アセチル]オキシ酢酸のナトリウム塩、2-[2-[2-(2,6-ジクロロアニリノ)フェニル]アセチル]オキシ酢酸のジエチルアンモニウム塩、2-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]プロパン酸のナトリウム塩、及び2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオン酸のナトリウム塩から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物。
【請求項10】
前記脂肪相(A2)が、その質量100%あたり:
- 乳化系(S)の100質量%あたり、1.25質量%~25質量%の、以下のものを含む前記乳化系(S):
・ 12質量%~88質量%の、アルキルポリグリコシド組成物、アルキルポリグリコシド、及び脂肪族アルコール組成物からなる群の要素から選択される、少なくとも1種の乳化用界面活性剤(S
1)、及び
・ 12質量%~88質量%の、ポリグリセロールエステル、アルコキシル化ポリグリセロールエステル、ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリコール、ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセロール、及びアルコキシル化ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセロールからなる群の要素から選択される、少なくとも1種の乳化用界面活性剤(S
2);
- 75質量%~98.75質量%の、少なくとも1種の油、及び場合によっては少なくとも1種のワックス
を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項11】
前記乳化用界面活性剤(S
1)が、少なくとも1種の、式(VII)
R
1-O-(G)
x-H (VII)
[式中、xは、1.05~2.5の間の10進数を表し、Gは、α,β-D-グルコピラノースからヘミアセタールヒドロキシル基を除去することにより得られる、グルコシル又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、及びR
1は、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、及びn-ベヘニル基からなる群の要素から選択される基を表し、前記組成物(C
1)は、式(VII
1)、(VII
2)、(VII
3)、(VII
4)、及び(VII
5)で表される化合物の混合物からなり:
R
1-O-(G)
1-H (VII
1)
R
1-O-(G)
2-H (VII
2)
R
1-O-(G)
3-H (VII
3)
R
1-O-(G)
4-H (VII
4)
R
1-O-(G)
5-H (VII
5)
それぞれのモル比、a
1、a
2、a
3、a
4、及びa
5が、以下のようである:
・ 合計(a
1+a
2+a
3+a
4+a
5)=1、及び
・ 合計(a
1+2a
2+3a
3+4a
4+5a
5)=x]
によって表されるアルキルポリグリコシド組成物(C
1)からなることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項12】
前記乳化用界面活性剤(S
1)が、その質量100%あたり、少なくとも1種の、以下:
- 10質量%~50質量%の、少なくとも1種の、式(VII)で表されるアルキルポリグリコシド組成物(C
1):
R
1-O-(G)
x-H (VII)
[式中、xは、1.05~2.5の間の10進数を表し、Gは、α,β-D-グルコピラノースからヘミアセタールヒドロキシル基を除去することにより得られる、グルコシル又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、及びR
1は、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、及びn-ベヘニル基からなる群の要素から選択される基を表すが、前記組成物は、式(VII
1)、(VII
2)、(VII
3)、(VII
4)、及び(VII
5)で表される化合物の混合物からなり:
R
1-O-(G)
1-H (VII
1)
R
1-O-(G)
2-H (VII
2)
R
1-O-(G)
3-H (VII
3)
R
1-O-(G)
4-H (VII
4)
R
1-O-(G)
5-H (VII
5)
それぞれのモル比、a
1、a
2、a
3、a
4、及びa
5が、以下のようであり:
・ 合計(a
1+a
2+a
3+a
4+a
5)=1、及び
・ 合計(a
1+2a
2+3a
3+4a
4+5a
5)=x];
並びに
- 50質量%~90質量%の、少なくとも1種の、式(VIII)の脂肪族アルコール:
R”
1-OH (VIII)
[式中、R”
1は、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、及びn-ベヘニル基からなる群の要素から選択される基を表すが、ここで、R”
1は、R
1と同一であっても異なっていてもよい]
を含む組成物(C
2)からなることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項13】
前記乳化用界面活性剤(S
1)が、少なくとも1種の、式(IX)
R
1-O-(G)
x-H (IX)
[式中、xは、1.05~2.5の間の10進数を表し、Gは、α,β-D-キシロピラノースからヘミアセタールヒドロキシル基を除去することにより得られるキシロシル又はα,β-D-キシロピラノシル基を表し、R
1は、2-オクチルドデル基を表すが、前記組成物(C’
1)は、式(IX
1)、(IX
2)、(IX
3)、(IX
4)、及び(IX
5)によって表される化合物の混合物からなり:
R
1-O-(G)
1-H (IX
1)
R
1-O-(G)
2-H (IX
2)
R
1-O-(G)
3-H (IX
3)
R
1-O-(G)
4-H (IX
4)
R
1-O-(G)
5-H (IX
5)
それぞれのモル比、a
1、a
2、a
3、a
4、及びa
5が、以下のようである:
・ 合計(a
1+a
2+a
3+a
4+a
5)=1、及び
・ 合計(a
1+2a
2+3a
3+4a
4+5a
5)=x]
によって表されるアルキルポリグリコシド組成物(C’
1)からなることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項14】
前記乳化用界面活性剤(S
1)が、その質量100%あたり、以下
- 10質量%~50質量%の、少なくとも1種の、式(X):
R
1-O-(G)
x-H (X)
で表されるアルキルポリグリコシド組成物(C’1)
[式中、xは、1.05~2.5の間の10進数を表し、Gは、α,β-D-キシロピラノースからヘミアセタールヒドロキシル基を除去することにより得られるキシロシル又はα,β-D-キシロピラノシル基を表し、及びR
1は、2-オクチルドデル基を表すが、前記組成物(C’
1)は、式(X
1)、(X
2)、(X
3)、(X
4)、及び(X
5):
R
1-O-(G)
1-H (X
1)
R
1-O-(G)
2-H (X
2)
R
1-O-(G)
3-H (X
3)
R
1-O-(G)
4-H (X
4)
R
1-O-(G)
5-H (X
5)
によって表される化合物の混合物からなり、
それぞれのモル比、a
1、a
2、a
3、a
4、及びa
5が、以下のようであり:
・ 合計(a
1+a
2+a
3+a
4+a
5)=1、及び
・ 合計(a
1+2a
2+3a
3+4a
4+5a
5)=x];
並びに
- 50質量%~90質量%の、少なくとも1種の、式(XI):
R”’
1-OH (XI)
[式中、R”’
1は、2-オクチルドデル基を表す]
の脂肪族アルコールを含む組成物(C’
2)からなることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項15】
前記乳化用界面活性剤(S
2)が、少なくとも1種の、式(XIV)
【化10】
[式中、y
2は、2以上且つ50以下の整数を表し、R
4は、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、Z
2は、式(XV)
【化11】
の基を表し(式中、y’
2は、0以上且つ10以下、より特には1以上且つ10以下の整数を表す)、Z’
2は、先に定義された式(XV)の基を表すが、Z’
2は、Z
2と同一であるか或いは異なり、又は水素原子である]
で表されるポリグリコールポリヒドロキシステアレートからなることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項16】
前記乳化用界面活性剤(S1)と前記乳化用界面活性剤(S2)との間の質量比が、1/4以上且つ1以上であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項17】
ヒト又は動物の治療に使用するための、請求項1~16のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項18】
局所的な痛み、関節、筋肉、腱、若しくは間膜の外傷性炎症、軟部組織リウマチの限局型、退行性リウマチ性疾患の限局型、日光への過度な露出が原因の紫外線角化症、急性偏頭痛、骨への転移に伴う痛み、悪性腫瘍のリンパ肉芽腫症(ホジキンリンパ腫)が原因の発熱、多剤耐性のE.コリ(E.coli)、シャイ・ドレーガー症候群、及び糖尿病の低減及び/又は除去のための、請求項1~16のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項19】
泡立て及び/又は洗浄用界面活性剤、増粘及び/又はゲル化用界面活性剤、増粘剤及び/又はゲル化剤、安定剤、成膜性化合物、溶媒及び共溶媒、ヒドロトロープ剤、可塑剤、乳白剤、真珠光沢剤、過脂剤、金属イオン封鎖剤、キレート化剤、抗酸化剤、香料、精油、保存剤、コンディショナー、脱臭剤、鉱物質充填剤、又は顔料から選択される添加化合物の少なくとも1種又は複数がさらに含まれることを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の局所使用のための医薬品組成物(E1)。
【請求項20】
ジャー、ポンプ・ボトル、ワイプ、マスク、経皮的装置、パッチ、パップ、圧迫ガーゼ、チューブ、又はスプレーの形態にある装置であって、請求項1~19のいずれか1項に記載の医薬品組成物を含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3~8個の炭素原子からなる少なくとも1種のジオールを含むゲル化相の分散体の形態にあり、オイル相の中に少なくとも1種の抗炎症性物質を含み、及びヒト又は動物の治療に使用することを目的とした、局所使用のための医薬品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚治療組成物及び医薬品組成物は、水溶液、エマルション、及び粉体の形態であってよい。
【0003】
エマルションは元々、2種の相互に非混和性の液体物質の不均一混合物であり、その2種の物質を、「相」と呼んでいる。前記混合物は、外部操作、例えば適切な速度とスピンドルとを用いて機械的撹拌をするか、又は界面活性剤と呼ばれる両親媒性物質を添加することによって、マクロ的には均一となる。マクロ的に均一な形態で存在させたときにも、その混合物は、他の相(「連続相」と呼ばれる)の中に分散された不連続相からなっている。
【0004】
エマルジョンは、それらが、これらの用途において一般に使用される水溶性物質及び油溶性物質の両方を搬送することを可能にするので、好ましい形態である。連続相が親水性相、一般に水相からなり、分散相が親油性脂肪相からなる水中油(O/W)エマルジョンと、連続相が親油性脂肪相からなり、分散相が親水性相、一般に水相からなる油中水(W/O)エマルジョンとの区別が行われる。
【0005】
水中油エマルジョンは、油中水エマルジョンよりも本来安定であり;それにもかかわらず、油中水エマルジョンは、多数の利点を有する。具体的には、水小滴間の分離は、微生物の増殖の可能性を低下させる。さらに、連続相が水性である場合には絶対に必要である、保存剤の使用は、連続相が脂肪状である場合には回避するか又は減らすことができる。油中水エマルジョンは、水中油エマルジョンよりも低温に対してはるかに感受性が低い。最後に、化粧用途向けの局所適用について、番号欧州特許出願公開第1961455 A1号明細書の下で公開された欧州特許出願は、油状連続相が、油中水エマルジョンの適用後に皮膚を覆うことを可能にし、それが皮膚を、脱水から、及び持続する油状フィルムを形成し、こうして乾燥皮膚の処理を可能にすることによって外部物質から、保護することを開示している。
【0006】
油中水形態にある皮膚用エマルジョンを調製するために先行技術において提案された解決策は、用いられるシリコーン誘導体が揮発性であり、且つ、環境及びユーザーに関して有害な影響を及ぼし得るか、又は用いられるシリコーン誘導体が非常に揮発性であるわけではなく、その結果それらが局所適用後に不快な知覚特性、例えば皮膚上でのべとべとする知覚を付与するので、いずれも満足できるものではない。さらに、それらに、例えば特には非ステロイド系抗炎症性物質(すなわち、NSAID)、より特にはアリール酢酸(又はアリールアルカン酸)誘導体及び2-アリールプロピオン酸(すなわちプロフェン)のような、治療のための物質が特に含まれている場合には、それらの油中水型のエマルションは、貯蔵安定性の問題、或いはさらには安定な油中水型の形態を達成することさえ不可能という問題を呈する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このことに基づくと、1つの課題は、油中水型のエマルションの形態にある新規な組成物を開発することであって、その組成物は上で示したような欠点を有さず、最低3ヶ月貯蔵した後でも室温(25℃)及び45℃で均一性を保ち、並びに有効な治療剤として、特定の非ステロイド系抗炎症剤(すなわちNSAID)及び、より特にはアリール酢酸(又はアリールアルカン酸)誘導体及び2-アリールプロピオン酸(すなわちプロフェン)からなる群の要素から選択される物質を含む。
【0008】
このことが、その連続相が油状であり、その分散相が極性ではあるが非水系であって添加水を含まず、上述の欠点を有さず、且つ少なくとも3ヶ月貯蔵した後でも、室温(20℃以上且つ25℃以下)及び45℃で均一性を保つような、新規な分散体を、本発明者らが開発しようとした理由である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決法は、ゲル化相(A1)を含み、添加水を含まず、及び連続相(A2)の中に分散された、局所使用のための医薬品組成物(E1)であって、前記医薬品組成物(E1)は、以下のものを含む:
- 少なくとも1種の抗炎症性物質(AI)、並びに3~8個の炭素原子を含み、次のいずれかの式で表される少なくとも1種のジオールを含む、ゲル化相:
式(Ia):
Ra
1-C(Rb
1)(OH)-C(OH)(Rc
1)(Rd
1) (Ia)
[式中、基Ra
1、Rb
1、Rc
1、及びRd
1のそれぞれは、互いに他から独立して、水素原子又は1~5個の炭素原子を含む飽和脂肪族基を表す]、又は
式(Ib):
Ra
1-C(Rb
1)(OH)-[C(Re
1)(Rf
1)]t-C(OH)(Rc
1)(Rd
1) (Ib)
[式中、tは、1、2又は3に等しく、基Ra
1、Rb
1、Rc
1、Rd
1、Re
1、及びRf
1のそれぞれは、互いに他から独立して、水素原子又は1~5個の炭素原子を含む飽和脂肪族基を表す]
[基Ra
1又はRb
1の内の少なくとも1つ、及び/又は基Rc
1又はRd
1の内の少なくとも1つが、水素原子を表すことがないということは理解されたい];
- 少なくとも1種の油、並びに少なくとも1種の乳化用界面活性剤(S1)と少なくとも1種の乳化用界面活性剤(S2)の組合せを含む乳化系(S)を含む、脂肪相(A2)。
【0010】
局所使用のための医薬品組成物(E1)が、その質量100%あたり、以下の量で含んでいるのが好ましい:
- 60質量%~98質量%、より特には60質量%~95質量%、さらにより特には60質量%~90質量%の、ゲル化相(A1)、及び
- 2質量%~40質量%、より特には5質量%~40質量%、さらにより特には10質量%~40質量%の、脂肪相(A2)。
【0011】
その乳化用界面活性剤(S1)は、アルキルポリグリコシドの組成物、並びにアルキルポリグリコシドと脂肪族アルコールとの組成物からなる群の要素から選択されることが好ましく、及びその乳化用界面活性剤(S2)は、ポリグリセロールエステル、アルコキシル化ポリグリセロールエステル、ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリコール、ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセロール、及びアルコキシル化ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセロールからなる群の要素から選択されることが好ましい。
【0012】
本発明の目的のためには、「抗炎症性物質(AI)」という用語は、炎症との戦い、発熱、疼痛、発赤、及び腫張の徴候が現れることを特徴とする、外部からの攻撃に対する生体防御プロセスに使用される化学物質を意味している。
【0013】
抗炎症性物質(AI)の中でも、ステロイド系抗炎症性物質と非ステロイド系抗炎症性物質は、区別されている。
【0014】
1つの具体的な態様においては、本発明の抗炎症性物質(AI)は、非ステロイド系抗炎症性物質、より特には、アリール酢酸(又はアリールアルカン酸)誘導体及び2-アリールプロピオン酸(すなわちプロフェン)である。
【0015】
連続相(A2)の中のゲル化相(A1)の分散体の形態にあり、及び上で定義されたような、本発明による組成物(E1)の定義で使用される、「局所使用のため」という用語は、前記組成物(E1)が、皮膚、頭髪、頭皮又は粘膜への適用に採用されるということを意味しており、それが、化粧料的、皮膚化粧料的、皮膚治療的組成物、又は医薬品組成物の場合の直接的な適用であっても、或いは、例えば、繊維若しくは紙のワイプか、又は、皮膚又は粘膜と接触することを意図した健康製品の形態にあるボディ衛生製品の場合の間接的な適用であってもよい。
【0016】
本発明の目的のためには、「ゲル化相(A1)」という用語は、前記相(A1)の動的粘度が、温度20℃でブルックフィールドLVT粘度計を使用し6rpmの速度で測定して、1000mPa・s以上且つ100,000mPa・s以下、より特には10,000mPa・s以上且つ100,000mPa・s以下であることを特徴とする、均一相を表している。
【0017】
状況に応じて、本発明による組成物(E1)は、以下の特徴の1つ又は複数を有することができる:
- 前記組成物(E1)が、その質量100%あたり、以下のものを含む:
・ 0.625質量%~10質量%、より特には0.625質量%~8.5質量%、さらにより特には0.625質量%~7質量%の、架橋されたアニオン性高分子電解質(AP1)、
・ 0.625質量%~5質量%、より特には0.625質量%~3.5質量%、さらにより特には0.625質量%~2質量%の、少なくとも1種の抗炎症性物質(AI)、及び
・ 85質量%~98.75質量%、より特には88質量%~98.75質量%、さらにより特には91質量%~98.75質量%の、少なくとも1種の、3~8個の炭素原子を含み、先に定義された式(Ia)又は先に定義された式(Ib)のいずれかで表されるジオール。
【0018】
本発明による組成物の定義において、「架橋されたアニオン性高分子電解質(AP1)」という用語が、水には不溶性であるが、水中で膨潤することが可能であり、それにより化学ゲルの生成がもたらされる、三次元の網状の形態にある、非線形の架橋されたアニオン性高分子電解質を表しているということには注目されたい。
- 3~8個の炭素原子を含み、及び式(Ia)又は式(Ib)のいずれかで表されるジオールは、以下のものから選択される:1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、2,3-ブタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、又は2-メチル-2,4-ペンタンジオール。
- 3~8個の炭素原子を含み、及び式(Ia)又は式(Ib)のいずれかで表されるジオールは、以下のものから選択される:1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、又は2-メチル-2,4-ペンタンジオール。
- 架橋されたアニオン性高分子電解質(AP1)には、25mol%以上の比率の、遊離酸の状態か、又は部分的若しくは全面的に塩化された形態にある、2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸から誘導されるモノマー単位が含まれている。
- その架橋されたアニオン性高分子電解質(AP1)には、以下のものが含まれる:
・ (a2)場合によっては、0mol%を超え且つ75mol%以下の比率の、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、又はN-イソプロピルアクリルアミドからなる群の要素から選択される少なくとも1種のモノマーから得られる、モノマー単位;
・ (a3)場合によっては、0mol%を超え且つ20mol%以下、より特には0mol%を超え且つ15mol%以下、さらにより特には0mol%以上且つ10mol%以下の比率の、アクリル酸(2-ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2,3-ジヒドロキシプロピル)、メタクリル酸(2-ヒドロキシエチル)、メタクリル酸(2,3-ジヒドロキシプロピル)、及びビニルピロリドンからなる群の要素から選択される、少なくとも1種のモノマーから誘導されるモノマー単位;
・ (a4)場合によっては、0mol%を超え且つ75mol%以下の比率の、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、及び3-メチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]ブタン酸からなる群の要素から選択される、少なくとも1種のモノマーから誘導されるモノマー単位(前記モノマーのカルボキシル基は、遊離酸の形態であっても、或いは部分的若しくは全面的に塩化された形態であってもよい);
・ (a5)場合によっては、0mol%を超え且つ5mol%以下の、少なくとも1種の式(M1)のモノマー:
【化1】
[式中、Rは、8~20個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、及びnは、0以上且つ20以下の整数を表す];
・ (a6)0mol%を超え且つ1mol%以下の比率の、少なくとも1種のジエチレン性又はポリエチレン性の架橋モノマー(AR)から得られるモノマー単位;
a1)、a2)、a3)、a4)、a5)、及びa6)に従うモノマー単位の前記モル比を合計したものは、100mol%に等しい。
【0019】
本発明の目的のためには、「塩化された」という用語は、モノマーの中に存在している酸官能基が、カチオン、特にアルカリ金属塩、例えばナトリウム若しくはカリウムカチオンと共に塩の形態に会合してアニオン性の形態にあるか、或いは、窒素系塩基、例えばアンモニウム塩、リシン塩、又はモノエタノールアミン塩(HOCH2-CH2-NH4
+)のカチオン性の形態にあることを意味している。それらが、ナトリウム塩又はアンモニウム塩であるのが好ましい。
【0020】
「少なくとも1種のジエチレン性又はポリエチレン性架橋モノマー(AR)」という用語は、特には、前記架橋されたアニオン性高分子電解質(AP1)の定義において、メチレンビス(アクリルアミド)、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジアリル尿素、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジアリルオキシ酢酸又はその塩、例えばジアリルオキシ酢酸ナトリウム、又はそれらの化合物の混合物からなる群の要素から選択されたモノマー;並びに、より特には、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート、若しくはメチレンビス(アクリルアミド)、又はそれらの化合物の混合物から選択されるモノマーを表している。
【0021】
本発明の他の具体的な態様においては、その局所使用のための医薬品組成物(E1)が、以下のことを特徴とする:上で定義された前記架橋モノマー(AR)が、0.5%以下、より特には0.25%以下、最も特には0.1%以下のモル比で使用される。それは、より特には、0.005mol%以上である。
【0022】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)の中で使用される架橋されたアニオン性高分子電解質(AP1)にはさらに、例えば錯化剤、連鎖移動剤、又は連鎖抑制剤のような、各種の添加物が含まれていてもよい。
【0023】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)の中で使用される架橋されたアニオン性高分子電解質(AP1)は、当業者には公知のラジカル重合プロセス、例えば、溶液重合、懸濁重合、逆懸濁重合、乳化重合、逆乳化重合のプロセス、或いは溶媒媒体の中で重合させ、その後で形成されたポリマーを沈降させるステップを実施することにより、調製することができる。
【0024】
1つの、より具体的な態様においては、本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)において使用される架橋されたアニオン性高分子電解質(AP1)を、溶媒媒体の中で重合させ、次いでそのようにして形成されたポリマーを沈殿させるステップのプロセスか、又は逆乳化重合をさせ、場合によってはその後で濃縮及び/又は微粒化させるステップのプロセスかを実施することにより、調製してもよい。
【0025】
1つの、より具体的な態様においては、本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)において使用される架橋されたアニオン性高分子電解質(AP1)を、上述のプロセスの1つに従って調製し、及び連鎖移動剤又は連鎖抑制剤を使用することが含まれていてもよい。連鎖移動剤又は連鎖抑制剤は、より特には、以下のものからなる群より選択される:次亜リン酸ナトリウム、低分子量のアルコール例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、若しくはブタノール、チオール例えば、2-メルカプトエタノール、スルフェート官能基を含む連鎖移動剤例えば、メタアリルスルホン酸ナトリウム、又は前記連鎖移動剤の混合物。連鎖移動剤又は連鎖抑制剤は、より特には、採用されるモノマーの合計モル数を基準にして表して、0.001mol%~1mol%、より特には0.001mol%~0.5mol%、最も特には0.001mol%~0.1mol%のモル比で使用される。
【0026】
本発明のまた別な具体的な態様においては、前記架橋されたアニオン性高分子電解質(AP1)が、以下のものからなる群の要素である:2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩又はアンモニウム塩の形態にあり、トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)によって架橋されている)のホモポリマー;
2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩又はアンモニウム塩の形態にある)と、アクリル酸(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩又はアンモニウム塩の形態にあり、トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)によって架橋されている)とのコポリマー;
2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(γ)(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩又はアンモニウム塩の形態にある)と、アクリル酸(δ)(部分的若しくは全面的に塩化されて、ナトリウム塩の形態にある)とのコポリマーで、モル比(γ)/(δ)が、30/70以上且つ90/10以下であり、トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)によって架橋されたもの;
2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(γ)(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩の形態にある)と、アクリル酸(δ)(部分的若しくは全面的に塩化されて、ナトリウム塩の形態にある)とのコポリマーで、モル比(γ)/(δ)が、40/60以上且つ90/10以下であり、トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)によって架橋されたもの;
2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(γ)(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩の形態にある)と、アクリルアミド(ε)とのコポリマーであって、モル比(γ)/(ε)が、30/70以上且つ90/10以下であり、トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)によって架橋されたもの;
2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(γ)(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩の形態にある)と、アクリル酸ヒドロキシエチル(ζ)とのコポリマーであって、モル比(γ)/(ζ)が、30/70以上且つ90/10以下であり、トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)によって架橋されたもの;
2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩又はアンモニウム塩の形態にある)と、アクリルアミドと、アクリル酸(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩又はアンモニウム塩の形態にある)との、トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)によって架橋されたターポリマー;
2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩又はアンモニウム塩の形態にあり、モル比:30%以上且つ45%以下)と、アクリルアミド(モル比:45%以上且つ68%以下)と、アクリル酸(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩又はアンモニウム塩の形態にあり、モル比:2%以上且つ10%以下)との、トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)によって架橋されたターポリマー;
2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩又はアンモニウム塩の形態にあり、モル比:30%以上且つ45%以下)と、アクリルアミド(モル比:47%以上且つ68%以下)と、アクリル酸(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩又はアンモニウム塩の形態にあり、モル比:2%以上且つ8%以下)との、トリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)によって架橋されたターポリマー;
2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩又はアンモニウム塩の形態にあり、モル比:60%以上且つ80%以下)と、N,N-ジメチルアクリルアミド(モル比:15%以上且つ39.5%以下)と、テトラエトキシル化メタクリル酸ラウリル(モル比:0.5%以上且つ5%以下)との、トリメチロールプロパントリアクリレート及び/又はトリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)によって架橋されたターポリマー;
2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(部分的若しくは全面的に塩化されてナトリウム塩又はアンモニウム塩の形態にあり、モル比:60%以上且つ80%以下)と、N,N-ジメチルアクリルアミド(モル比:15%以上且つ39%以下)と、メタクリル酸ラウリル(モル比:0.5%以上且つ2.5%以下)と、メタクリル酸ステアリル(モル比:0.5%以上且つ2.5%以下)との、トリメチロールプロパントリアクリレート及び/又はトリアリルアミン及び/又はメチレンビス(アクリルアミド)によって架橋されたテトラポリマー。
【0027】
具体的な態様においては、先に定義された局所使用のための医薬品組成物(E1)は、以下のことを特徴とする:その抗炎症性物質(AI)が、以下のものからなる群の要素のアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、N,N-ジアルキルアンモニウム、及びN,N,N-トリアルキルアンモニウム(それらのアルキル基のそれぞれが1~4個の間の炭素原子を含む)の塩から選択される:
式(AIa)の、2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸(CAS番号=15307-86-5)、すなわちジクロフェナク、
【化2】
式(AIb)の、2-[2-[2-(2,6-ジクロロアニリノ)フェニル]アセチル]オキシ酢酸(CAS番号=89796-99-6)、すなわちアセクロフェナク、
【化3】
式(AIc1)の、R型鏡像異性体及び式(AIc2)のS型鏡像異性体の形にある、2-(5-ベンゾイルチオフェン-2-イル)プロパン酸(CAS番号=33005-95-7(RS))、すなわちチアプロフェン酸、
【化4】
式(AId)の、2-[4-(2-メチルプロプ-2-エニルアミノ)フェニル]プロパン酸(CAS番号=39718-89-3)、すなわちアルミノプロフェン、
【化5】
式(AIe)の、2-(1,8-ジエチル-4,9-ジヒドロ-3H-ピラノ[3,4-b]インドル-1-イル)酢酸(CAS番号=41340-25-4)、すなわちエトドラク、
【化6】
式(AIf1)の、R型鏡像異性体及びS式(AIf2)のS型鏡像異性体の形にある、(±)-2-フルオロ-α-メチル-(1,1’-ビフェニル)-4-酢酸、すなわちフルルビプロフェン(CAS番号=5104-49-4(RS))、
【化7】
式(AIg1)の、R型鏡像異性体及び式(AIg2)のS型鏡像異性体の形にある、2-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]プロパン酸、すなわちイブプロフェン(CAS番号=15687-27-1(RS))、
【化8】
式(AIh)の、S(+)鏡像異性体(CAS番号=22161-81-5)及びR(-)鏡像異性体(CAS番号=56105-81-8)の形、並びにラセミ混合物(CAS番号=22071-15-4)の形にある、2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオン酸、すなわちケトプロフェン、
【化9】
式(AIi)の、S(+)鏡像異性体(CAS番号=22204-53-1)、又はラセミ混合物(CAS番号=23981-80-8)の形にある、6-メトキシ-α-メチル-2-ナフタレン酢酸、すなわちナプロキセン。
【化10】
【0028】
好ましくは、その抗炎症性物質が以下のものから選択される:2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸のナトリウム塩、2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸のジエチルアンモニウム塩、2-[2-[2-(2,6-ジクロロアニリノ)フェニル]アセチル]オキシ酢酸のナトリウム塩、2-[2-[2-(2,6-ジクロロアニリノ)フェニル]アセチル]オキシ酢酸のジエチルアンモニウム塩、2-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]プロパン酸のナトリウム塩、及び2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオン酸のナトリウム塩。
【0029】
さらにより好ましくは、その抗炎症性物質が、2-[2-(2,6-ジクロロフェニル)アミノフェニル]エタン酸のナトリウム塩である。
【0030】
1つの、より具体的な態様においては、本発明の主題は、先に定義された局所使用のための医薬品組成物(E1)であり、その脂肪相(A2)が、その質量100%あたり、以下のものを含んでいる:
- 前記乳化系(S)の100質量%あたり、1.25質量%~25質量%、より特には1.25質量%~20質量%の、以下のものを含む乳化系(S):
・ 12質量%~88質量%、より特には15質量%~85質量%、さらにより特には20質量%~85質量%の、アルキルポリグリコシド組成物、アルキルポリグリコシド、及び脂肪族アルコール組成物からなる群の要素から選択される、少なくとも1種の乳化用界面活性剤(S1)、並びに
・ 12質量%~88質量%、より特には15質量%~85質量%、さらにより特には20質量%~85質量%の、ポリグリセロールエステル、アルコキシル化ポリグリセロールエステル、ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリコール、ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセロール、及びアルコキシル化ポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセロールからなる群の要素から選択される、少なくとも1種の乳化用界面活性剤(S2);
・ 75質量%~98.75質量%、より特には80質量%~98.75質量%、さらにより特には82質量%~98.75質量%の、少なくとも1種の油、及び場合によっては少なくとも1種のワックス。
【0031】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)の定義において、「油(oil)」という用語は、水不溶性で、25℃で液体である、単一の化合物及び/又は複数の化合物の混合物、より特には以下のものを表している:
- 11~19個の炭素原子を含む直鎖状のアルカン;
- 7~40個の炭素原子を含む分岐状のアルカン、例えばイソドデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、イソヘプタデカン、イソオクタデカン、イソノナデカン、若しくはイソエイコサン、又はそれらのいくつかの混合物、例えば、以下に示し、それらのINCI名称で区別されるもの:C7~8イソパラフィン、C8~9イソパラフィン、C9~11イソパラフィン、C9~12イソパラフィン、C9~13イソパラフィン、C9~14イソパラフィン、C9~16イソパラフィン、C10~11イソパラフィン、C10~12イソパラフィン、C10~13イソパラフィン、C11~12イソパラフィン、C11~13イソパラフィン、C11~14イソパラフィン、C12~14イソパラフィン、C12~20イソパラフィン、C13~14イソパラフィン、C13~16イソパラフィン;
- 場合によっては1個又は複数の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基で置換された、シクロアルカン;
- ホワイト鉱油、例えば、以下の名称で販売されている製品:Marcol(商標)52、Marcol(商標)82、Drakeol(商標)6VR、Eolane(商標)130、Eolane(商標)150;
- ヘミスクアラン(すなわち、2,6,10-トリメチルドデカン;CAS番号:3891-98-3)、スクアラン(すなわち、2,6,10,15,19,23-ヘキサメチルテトラコサン)、水素化ポリイソブテン、又は水素化ポリデセン;
- 15~19個の炭素原子を含むアルカンの混合物であって、前記アルカンが、直鎖状のアルカン、分岐状のアルカン、及びシクロアルカン、より特にはその質量100%あたり、分岐状のアルカンの質量比が90%以上且つ100%以下;直鎖状のアルカンの質量比が0%以上且つ9%以下、より特には5%未満;及びシクロアルカンの質量比が0%以上且つ1%以下で含む混合物(M1)、例えばEmogreen(商標)L15又はEmogreen(商標)L19の名称で販売されている混合物;
- 式(II)の脂肪族アルコールエーテル:
Z1-O-Z2 (II)
[式中、Z1及びZ2は、同一であっても、異なっていてもよく、5~18個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、例えばジオクチルエーテル、ジデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ドデシルオクチルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、(1,3-ジメチルブチル)テトラデシルエーテル、(1,3-ジメチルブチル)ヘキサデシルエーテル、ビス(1,3-ジメチルブチル)エーテル、又はジヘキシルエーテルを表す];
- 式(III)の脂肪酸とアルコールとのモノエステル:
R’1-(C=O)-O-R’2 (III)
[式中、R’1-(C=O)は、8~24個の炭素原子を含む、飽和若しくは不飽和で、直鎖状若しくは分岐状のアシル基を表し、及びR’2は、R’1とは独立して、1~24個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和で、直鎖状若しくは分岐状の炭化水素ベースの鎖であって、例えば、以下のものが挙げられる:ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸プロピル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸2-ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ココ酸メチル、ココ酸エチル、ココ酸プロピル、ココ酸イソプロピル、ココ酸ブチル、ココ酸2-ブチル、ココ酸ヘキシル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸2-ブチル、ミリスチン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸プロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸2-ブチル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸オクチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸プロピル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸2-ブチル、オレイン酸ヘキシル、オレイン酸オクチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリル酸2-ブチル、ステアリル酸ヘキシル、ステアリン酸オクチル、イソステアリン酸メチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸プロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸2-ブチル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル];
- 式(IV)及び式(V)の脂肪酸とグリセロールとのジエステル:
R’3-(C=O)-O-CH2-CH(OH)-CH2-O-(C=O)-R’4 (IV)
R’5-(C=O)-O-CH2-CH[O-(C=O)-R’6]-CH2-OH (V)
[式(VI)及び(VII)の中で、R’3-(C=O)、R’4-(C=O)、R’5-(C=O)、及びR’6-(C=O)は、同一であっても、異なっていてもよく、8~24個の炭素原子を含む、飽和若しくは不飽和で、直鎖状若しくは分岐状のアシル基を表す];
- 式(VI)の脂肪酸とグリセロールとのトリエステル:
R’7-(C=O)-O-CH2-CH[O-(C=O)-R’’8]-CH2-O-(C=O)-R’’9 (VI)
[式中、R’7-(C=O)、R’8-(C=O)、及びR’9-(C=O)は、同一であっても、異なっていてもよく、8~24個の炭素原子を含む、飽和若しくは不飽和で、直鎖状若しくは分岐状のアシル基を表す;
- 植物油、例えば、フィトスクアラン、スイートアーモンド油、ヤシ仁油、ヒマシ油、ホホバ油、オリーブ油、ナタネ油、ラッカセイ油、ヒマワリ油、麦芽油、トウモロコシ胚芽油、ダイズ油、綿実油、アルファルファ油、ケシ種子油、カボチャ種子油、オオマツヨイグサ油、キビ油、オオムギ油、ライムギ油、サフラワー油、ククイ油、トケイソウ油、ハシバミ油、パーム油、シアバター、杏仁油、ビューティーリーフ(beauty-leaf)油、シシンブリウム(sisymbrium)油、アボカド油、カレンデュラ油、花又は野菜由来の油;
- エトキシル化植物油。
【0032】
上で定義された局所使用のための医薬品組成物(E1)がワックスを含んでいる場合、前記ワックスは、より特には、以下のものから選択される:蜜蝋、カルナウバワックス、カンデリラワックス、オウリキュリー(ouricoury)ワックス、木蝋、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、パラフィンワックス、亜炭ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンワックス;オゾケライト;ポリエチレンワックス;シリコーンワックス;植物性ワックス;室温で固体である脂肪族アルコール及び脂肪酸;室温で固体であるグリセリド。
【0033】
本発明の具体的な態様においては、先に定義された局所使用のための医薬品組成物(E1)には、ヒマシ油、流動パラフィン、カプリン酸ココイル/カプリル酸ココイル、ミリスチン酸イソプロピル、及びカプリン酸/カプリル酸トリグリセリドなる群の要素から選択される少なくとも1種の油が含まれる。
【0034】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)の定義において、用語「アルキルポリグリコシド組成物」は、式(VII):
R1-O-(G)x-H (VII)
(式中、x、すなわち平均重合度は、1.05~5の小数を表し、Gは還元糖残基を表し、R1は、12~36個の炭素原子を含む、1個以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換された、飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐の脂肪族炭化水素ベースのラジカルを表す)
で表される組成物(C1)であって、前記組成物(C1)が:
- 合計a1+a2+a3+a4+a5が1に等しいような、且つ、
- 合計a1+2a2+3a3+4a4+5a5がxに等しいような、
それぞれのモル割合a1、a2、a3、a4及びa5で式(VII1)、(VII2)、(VII3)、(VII4)及び(VII5):
R1-O-(G)1-H (VII1)
R1-O-(G)2-H (VII2)
R1-O-(G)3-H (VII3)
R1-O-(G)4-H (VII4)
R1-O-(G)5-H (VII5)
で表される化合物の混合物からなる組成物(C1)を意味する。
【0035】
「1個以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換された、12~36個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐の脂肪族炭化水素ベースのラジカル」という用語は、上で定義されたような式(VII)におけるラジカルR1について:
- 飽和の線状アルキルラジカル、例えばn-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、n-エイコシル、及びn-ドコシルラジカル;
- ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ドコセニル、4-ドデセニル及び5-ドデセニルラジカルなどの不飽和の線状ラジカル;
- ヒドロキシドデシル、ヒドロキシテトラデシル、ヒドロキシヘキサデシル、ヒドロキシオクタデシル、ヒドロキシエイコシル及びヒドロキシドコシルラジカル、例えば12-ヒドロキシオクタデシルラジカルなどの、1個若しくは2個のヒドロキシル基で置換された、12~36個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐の脂肪族ラジカル;
- 式(1):
(CH3)(CH3)CH-(CH2)r-CH2-OH (1)
(式中、rは、8~20の整数を表す)
のイソアルカノールからのラジカル、例えばイソデシル、イソウンデシル、イソドデシル、イソトリデシル、イソテトラデシル、イソペンタデシル、イソヘキサデシル、イソペプタデシル、イソオクタデシル、イソノナデシル、イソエイコシル又はイソドコシルラジカル;
- 式(2):
CH(CsH2s+1)(CtH2t+1)-CH2-OH (2)
(式中、tは、6~18の整数であり、sは、4~18の整数であり、合計s+tは、10以上及び22以下である)
のGuerbetアルコールに由来する分岐アルキルラジカル、例えば2-ブチルオクチル、2-ブチルデシル、2-ヘキシルオクチル、2-ヘキシルデシル、2-オクチルデシル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、2-ドデシルヘキサデシル又は2-テトラデシルオクタデシルラジカル
を意味する。
【0036】
上に定義されたような式(VII)の定義において用語「還元糖」は、参考文献刊行物:“Biochemistry”,Daniel Voet/Judith G.Voet,page 250,John Wiley & Sons,1990に定義されているようにアノマー炭素とアセタール基の酸素との間に確立されたいかなるグリコシド結合もそれらの構造中に持たないサッカリド誘導体を意味する。オリゴマー構造(G)xは、それが光学異性、幾何異性又は位置異性であろうと、任意の異性体形態に存在し得;それはまた、異性体の混合物を表し得る。
【0037】
上で定義されたような式(VII)において、基R1-O-は、アセタール官能基を形成するように、サッカリド残基のアノマー炭素を介してGと結合している。
【0038】
上で定義されたような式(VII)の定義における特定の態様によれば、Gは、グルコース、デキストロース、スクロース、フルクトース、イドーズ、グロース、ガラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、ラクトース、セレビオーズ、マンノース、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース、アロース、アルトロース、デキストラン及びタロースから選択される還元糖残基を表し;より特にGは、グルコース、キシロース及びアラビノース残基から選択される還元糖残基を表す。
【0039】
さらにより特定の態様によれば、本発明の主題である局所使用のための組成物(E1)に含まれる組成物(C1)を表す式(II)の定義において、x、すなわち平均重合度は、1.05以上及び2.5以下、より特に1.05以上及び2.0以下、さらにより特に1.25以上及び2.0以下の小数を表す。
【0040】
さらにより特定の態様によれば、上で定義されたような式(VII)の定義において、R1は、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、n-ドコシル、2-ヘキシルデシル、2-オクチルデシル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルドデシル及び2-デシルテトラデシルラジカルからなる群の要素の少なくとも1つから選択されるラジカルを表し;Gは、グルコース及びキシロース残基から選択される還元糖残基を表し、xは、1.05以上及び2.5以下の小数を表す。
【0041】
1つの、より具体的な態様においては、本発明の主題は、先に定義された局所使用のための医薬品組成物(E1)であって、その乳化用界面活性剤(S1)が、少なくとも1種の、式(VII)で表されるアルキルポリグリコシド組成物(C1)からなっていることを特徴とする:
R1-O-(G)x-H (VII)
[式中、xは、1.05~2.5の間の10進数を表し、Gは、α,β-D-グルコピラノースからヘミアセタールヒドロキシル基を除去することにより得られる、グルコシル又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、R1は、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、及びn-ベヘニル基からなる群の要素から選択される基を表し、前記組成物(C1)は、式(VII1)、(VII2)、(VII3)、(VII4)、及び(VII5)で表される化合物の混合物からなり:
R1-O-(G)1-H (VII1)
R1-O-(G)2-H (VII2)
R1-O-(G)3-H (VII3)
R1-O-(G)4-H (VII4)
R1-O-(G)5-H (VII5)
それぞれのモル比、a1、a2、a3、a4、及びa5が、以下のようである:
・ 合計(a1+a2+a3+a4+a5)=1、及び
・ 合計(a1+2a2+3a3+4a4+5a5)=x]。
【0042】
さらにより具体的な態様において、先に定義された組成物(E1)は、前記乳化用界面活性剤(S1)が、式(VII)で表される少なくとも1種のアルキルポリグリコシド組成物(C1)からなっていることを特徴とする:
R1-O-(G)x-H (VII)
[式中、xすなわち平均重合度は、1.05~2.5の間の10進数を表し、Gは、α,β-D-グルコピラノースからヘミアセタールヒドロキシル基を除去することにより得られる、グルコシル又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、及びR1は以下のもの表している:
- n-ヘキサデシル基及び/又はn-オクタデシル基、又は
- n-エイコシル基及び/又はn-ベヘニル基、又は
- n-テトラデシル基、又は
- n-ドデシル基、及び/又はn-テトラデシル基、及び/又はn-ヘキサデシル基、及び/又はn-オクタデシル基、及び/又はn-エイコシル基、及び/又はn-ベヘニル基]。
【0043】
本発明の主題である、先に定義された局所使用のための医薬品組成物(E1)の定義においては、「アルキルポリグリコシド及び脂肪族アルコール組成物」という用語は、その質量100%あたり、以下のものを含む組成物(C2)を表している:
- 10質量%~50質量%、より特には15質量%~40質量%、さらにより特には20質量%~30質量%の、少なくとも1種の、先に定義された式(VII)によって表される組成物(C1)、
- 90質量%~50質量%、より特には85質量%~60質量%、さらにより特には80質量%~70質量%の、少なくとも1種の、式(VIII)の脂肪族アルコール:
R’1-OH (VIII)
[式中、R’1は、R1と同一であっても異なっていてもよく、場合によっては1個若しくは複数のヒドロキシル基を用いて置換され、12~36個の炭素原子、好ましくは12~22個の炭素原子を含む、飽和若しくは不飽和で、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族炭化水素ベースの基を表す]。
【0044】
具体的な態様においては、組成物(C2)に含まれる組成物(C1)を表す式(VII)の定義において、R1は、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、及びn-ドコシル基から選択される基を表し、Gは、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基を除去することにより得られる、グルコシル又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、及びxは、1.05以上且つ2.5以下の10進数を表す。
【0045】
1つの、より具体的な態様においては、上で定義された式(VIII)の脂肪族アルコールの定義において、R’1は、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、及びn-ドコシル基から選択される基を表す。
【0046】
1つの、より具体的な態様においては、本発明の主題は、先に定義された局所使用のための医薬品組成物(E1)であって、前記乳化用界面活性剤(S1)が、その100質量%あたり、以下のものを含む、少なくとも1種の組成物(C2)からなっていることを特徴とする:
- 10質量%~50質量%、より特には15質量%~40質量%、さらにより特には20質量%~30質量%の、少なくとも1種の、式(VII)で表される、アルキルポリグリコシド組成物(C1)、
R1-O-(G)x-H (VII)
[式中、xは、1.05~2.5の間の10進数を表し、Gは、α,β-D-グルコピラノースからヘミアセタールヒドロキシル基を除去することにより得られる、グルコシル又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、及びR1は、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、及びn-ベヘニル基からなる群の要素から選択される基を表すが、前記組成物は、式(VII1)、(VII2)、(VII3)、(VII4)、及び(VII5)で表される化合物の混合物からなり:
R1-O-(G)1-H (VII1)
R1-O-(G)2-H (VII2)
R1-O-(G)3-H (VII3)
R1-O-(G)4-H (VII4)
R1-O-(G)5-H (VII5)
それぞれのモル比、a1、a2、a3、a4、及びa5が、以下のようであり:
- 合計(a1+a2+a3+a4+a5)=1、及び
- 合計(a1+2a2+3a3+4a4+5a5)=x];
並びに
- 50質量%~90質量%、より特には60質量%~85質量%、さらにより特には70質量%~80質量%の、少なくとも1種の、式(VIII)の脂肪族アルコール:
R”1-OH (VIII)
[式中、R”1は、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、及びn-ベヘニル基からなる群の要素から選択される基を表すが、ここで、R”1は、R1と同一であっても異なっていてもよい]。
【0047】
1つの、より具体的な態様においては、本発明の主題は、先に定義された局所使用のための医薬品組成物(E1)であって、その乳化用界面活性剤(S1)が、少なくとも1種の、式(IX)で表されるアルキルポリグリコシド組成物(C’1)からなっていることを特徴とする:
R1-O-(G)x-H (IX)
[式中、xは、1.05~2.5の間の10進数を表し、Gは、α,β-D-キシロピラノースからヘミアセタールヒドロキシル基を除去することにより得られるキシロシル又はα,β-D-キシロピラノシル基を表し、2-オクチルドデル基を表すが、前記組成物(C’1)は、式(IX1)、(IX2)、(IX3)、(IX4)、及び(IX5)によって表される化合物の混合物からなり:
R1-O-(G)1-H (IX1)
R1-O-(G)2-H (IX2)
R1-O-(G)3-H (IX3)
R1-O-(G)4-H (IX4)
R1-O-(G)5-H (IX5)
それぞれのモル比、a1、a2、a3、a4、及びa5が、以下のようである:
・ 合計(a1+a2+a3+a4+a5)=1、及び
・ 合計(a1+2a2+3a3+4a4+5a5)=x]。
【0048】
1つの、より具体的な態様においては、本発明の主題は、先に定義された局所使用のための医薬品組成物(E1)であって、前記乳化用界面活性剤(S1)が、その100質量%あたり、以下のものを含む、少なくとも1種の組成物(C’2)からなっていることを特徴とする:
- 10質量%~50質量%、より特には15質量%~40質量%、さらにより特には20質量%~30質量%の、少なくとも1種の、式(X)で表される、アルキルポリグリコシド組成物(C’1)、
R1-O-(G)x-H (X)
[式中、xは、1.05~2.5の間の10進数を表し、Gは、α,β-D-キシロピラノースからヘミアセタールヒドロキシル基を除去することにより得られるキシロシル又はα,β-D-キシロピラノシル基を表し、及びR1は、2-オクチルドデル基を表すが、前記組成物(C’1)は、式(X1)、(X2)、(X3)、(X4)、及び(X5)によって表される化合物の混合物からなり:
R1-O-(G)1-H (X1)
R1-O-(G)2-H (X2)
R1-O-(G)3-H (X3)
R1-O-(G)4-H (X4)
R1-O-(G)5-H (X5)
それぞれのモル比、a1、a2、a3、a4、及びa5が、以下のようであり:
・ 合計(a1+a2+a3+a4+a5)=1、及び
・ 合計(a1+2a2+3a3+4a4+5a5)=x];
並びに
- 50質量%~90質量%、より特には60質量%~85質量%、さらにより特には70質量%~80質量%の、少なくとも1種の、式(XI)の脂肪族アルコール:
R”’1-OH (XI)
[式中、R”’1は、2-オクチルドデル基を表す]。
【0049】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E
1)の定義において、用語「ポリグリセロールエステル」は、式(XII):
【化11】
[式中、Zは、R
2が11~35個の炭素原子を含む、飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐の脂肪族炭化水素ベースのラジカルを表す、式R
2-C(=O)-のアシルラジカル、より具体的にはドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、エイコサノイル、ドコサノイル、オレオイル、リノレオイル、リノレノイル及びイソステアロイルラジカルから選択されるラジカルを表し、Z’は、Zと同一であるか或いは異なるZ’で、上で定義されたようなR
2-C(=O)-のアシルラジカル、又は水素原子を表し、yは、2以上及び20以下の整数を表す]
の化合物を意味する。
【0050】
より特定の態様によれば、式(XII)の化合物は、デカグリセリルオレエート、デカグリセリルイソステアレート、デカグリセリルモノラウレート、デカグリセリルモノリノレエート及びデカグリセリルモノミリステートからなる群の要素から選択される。
【0051】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E
1)の定義において、用語「アルコキシル化ポリグリセロールエステル」は、式(XIII):
【化12】
[式中、Z
1は、R’
2が11~35個の炭素原子を含む、飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐の脂肪族炭化水素ベースのラジカルを表す、式R’
2-C(=O)-のアシルラジカル、より具体的にはドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、エイコサノイル、ドコサノイル、オレオイル、リノレオイル、リノレノイル及びイソステアロイルラジカルから選択されるラジカルを表し、Z
1’は、Z
1と同一であるか或いは異なるZ
1’で、上で定義されたようなR’
2-C(=O)-のアシルラジカル、又は水素原子を表し、R
3は、水素原子、メチルラジカル又はエチルラジカルを表し、y
1は、2以上及び20以下の整数を表し、同一であっても、異なっていてもよく、v
1、v
2及びv
3は、0以上及び50以下の整数を表し、合計[(y
1・v
1)+(y
1・v
2)+v
3)]は、1以上及び50以下の整数を表す]
の化合物を意味する。
【0052】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E
1)の定義において、「ポリグリコールポリヒドロキシステアレート」という用語は、式(XIV):
【化13】
の化合物を表す[式中、y
2は、2以上且つ50以下の整数を表し、R
4は、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、及びZ
2は、式(XV):
【化14】
の基を表す(式中、y’
2は、0以上且つ10以下、より特には1以上且つ10以下の整数を表す)、及びZ’
2は、先に定義された式(XV)の基を表すが、Z
2’は、Z
2と同一であるか或いは異なり、又は水素原子である]。
【0053】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E
1)の定義において、「ポリグリセリルポリヒドロキシステアレート」という用語は、式(XVI):
【化15】
の化合物を表す[式中、Z
3は、上で定義された式(XVI)の基を表し、Z’
3は、上で定義された式(XV)の基を表すが、Z
3’は、Z
3と同一であるか或いは異なり、又は水素原子であり、y
3は、2以上且つ20以下の整数を表す]。
【0054】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E
1)の定義において、「アルコキシ化ポリグリセリルポリヒドロキシステアレート」という用語は、式(XVII):
【化16】
の化合物を表す[式中、Z
4は、上で定義された式(XV)基を表し、Z’
4は、上で定義された式(XV)の基を表すが、ここで、Z
4’は、Z
4と同一であるか或いは異なり、又は水素原子であり、y
4は、2以上且つ20以下の整数を表し、V’
1、V’
2、及びV’
3は、同一であっても、或いは異なっていてもよく、0以上且つ50以下の整数を表すが、[(y
4・V’
1)+(y
4・V’
2)+V’
3)]の合計が、1以上且つ50以下の整数である]。
【0055】
1つの、より具体的な態様においては、本発明の主題は、先に定義された局所使用のための医薬品組成物(E
1)であって、その乳化用界面活性剤(S
2)が、少なくとも1種の、式(XIV):
【化17】
で表されるポリグリコールポリヒドロキシステアレートからなっていることを特徴とする[式中、y
2は、2以上且つ50以下の整数を表し、R
4は、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、及びZ
2は、式(XV):
【化18】
の基を表す(式中、y’
2は、0以上且つ10以下、より特には1以上且つ10以下の整数を表す)、及びZ’
2は、先に定義された式(XV)の基を表すが、Z’
2は、Z
2と同一であるか或いは異なり、又は水素原子である]。
【0056】
また別な、より具体的な態様においては、本発明の主題は、先に定義された局所使用のための医薬品組成物(E
1)であって、前記乳化系(S)が、その100質量%あたり、以下のものを含む、少なくとも1種の組成物(C
3)からなっていることを特徴とする:
- 12質量%~88質量%、より特には15質量%~85質量%、さらにより特には20質量%~32質量%の、その質量100%あたり、以下のものを含む少なくとも1種の組成物(C
2)からなる、少なくとも1種の乳化用界面活性剤(S
1):
・ 10質量%~50質量%、より特には15質量%~40質量%、さらにより特には20質量%~30質量%の、少なくとも1種の、式(VIII)で表される、アルキルポリグリコシド組成物(C
1):
R
1-O-(G)
x-H (VIII)
[式中、xすなわち平均重合度は、1.05~2.5の間の10進数を表し、Gは、α,β-D-グルコピラノースからヘミアセタールヒドロキシル基を除去することにより得られる、グルコシル又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、及びR
1は、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、及びn-ベヘニル基からなる群の要素から選択される基を表すが、前記組成物は、式(VIII
1)、(VIII
2)、(VIII
3)、(VIII
4)、及び(VIII
5)で表される化合物の混合物からなり:
R
1-O-(G)
1-H (VIII
1)
R
1-O-(G)
2-H (VIII
2)
R
1-O-(G)
3-H (VIII
3)
R
1-O-(G)
4-H (VIII
4)
R
1-O-(G)
5-H (VIII
5)
それぞれのモル比、a
1、a
2、a
3、a
4、及びa
5が、以下のようであり:
・ 合計(a
1+a
2+a
3+a
4+a
5)=1、及び
・ 合計(a
1+2a
2+3a
3+4a
4+5a
5)=x];
並びに
- 90質量%~50質量%、より特には85質量%~60質量%、さらにより特には80質量%~70質量%の、少なくとも1種の、式(IX)の脂肪族アルコール:
R’
1-OH (IX)
[式中、R’
1は、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、及びn-ベヘニル基からなる群の要素から選択される基を表すが、ここで、R’
1は、R
1と同一であっても異なっていてもよい];
- 12質量%~88質量%、より特には15質量%~85質量%、さらにより特には20質量%~32質量%の、式(XIV):
【化19】
[式中、y
2は、2以上且つ50以下の整数を表し、R
4は、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、及びZ
2は、式(XV)の基を表す:
【化20】
(式中、y’
2は、0以上且つ10以下、より特には1以上且つ10以下の整数を表す)、及びZ’
2は、先に定義された式(XIII)の基を表すが、Z
2’は、Z
2と同一であるか或いは異なり、又は水素原子である]
で表される少なくとも1種のポリグリコールポリヒドロキシステアレートからなる、少なくとも1種の乳化用界面活性剤(S
2)。
【0057】
また別な具体的な態様においては、本発明の主題が、先に定義された局所使用のための医薬品組成物(E1)であり、前記組成物(E1)の動的粘度が、ブルックフィールドLVT粘度計を使用し、6rpmの速度、温度20℃で測定して、500mPa・s以上且つ40000mPa・s以下であることを特徴とする。
【0058】
また別な具体的な態様においては、本発明の主題が、先に定義された局所使用のための医薬品組成物(E1)であって、乳化用界面活性剤(S1)と乳化用界面活性剤(S2)との間の質量比が、1/4以上且つ1以上、好ましくは1/3以上且つ1以下、さらにより好ましくは1/3以上且つ1/2以下であることを特徴とする。
【0059】
本発明の主題はさらに、ヒト又は動物の治療のための、本発明による局所使用のための医薬品組成物(E1)である。
【0060】
1つの具体的な態様においては、本発明の主題は、本発明による局所使用のための医薬品組成物(E1)であって、その目的としては以下のものが挙げられる:局所的な痛み、関節、筋肉、腱、若しくは間膜の外傷性炎症、軟部組織リウマチの限局型、退行性リウマチ性疾患の限局型、日光への露出化度が原因の紫外線角化症、急性偏頭痛、骨への転移に伴う痛み、悪性腫瘍のリンパ肉芽腫症(ホジキンリンパ腫)が原因の発熱、多剤耐性のE.コリ(E.coli)、シャイ・ドレーガー症候群、及び糖尿病の低減及び除去。
【0061】
本発明による局所使用のための医薬品組成物(E1)は、エアロゾル装置の中、若しくは「ポンプ・ボトル」型装置の中での加圧された形態、チューブの中、多孔壁を備えた装置例えばグリルの中、又はボール式塗布器を備えた装置(「ロール・オン」と呼ばれている)の中にパッケージ化することができる。
【0062】
本発明による局所使用のための医薬品組成物(E1)にはさらに、局所使用のための配合分野、特には医薬品又は皮膚医薬品配合物で一般的に使用されている医薬品添加物及び/又は有効成分を含んでいてもよい。
【0063】
1つの具体的な態様においては、本発明による局所使用のための医薬品組成物(E1)にはさらに、以下のものから選択される添加化合物の少なくとも1種又は複数が含まれる:泡立て及び/又は洗浄用界面活性剤、増粘及び/又はゲル化用界面活性剤、増粘剤及び/又はゲル化剤、安定剤、成膜性化合物、溶媒及び共溶媒、ヒドロトロープ剤、可塑剤、乳白剤、真珠光沢剤、過脂剤、金属イオン封鎖剤、キレート化剤、抗酸化剤、香料、精油、保存剤、コンディショナー、脱臭剤、鉱物質充填剤、又は顔料。本発明による組成物には、一般的には、局所的、特に医薬品的、又は皮膚医療的使用のための処方の分野で一般的に使用される医薬品添加物及び/又は有効成分を含んでいてよい。
【0064】
最後に、本発明の主題は、ジャー、ポンプ・ボトル、ワイプ、マスク、経皮的装置、パッチ、パップ、圧迫ガーゼ、チューブ、又はスプレーから選択される形態にある装置であるが、前記装置に、本発明による局所使用のための医薬品組成物(E1)が含まれている。
【0065】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に存在し得る発泡性及び/又は洗浄性界面活性剤の例として、この活動の分野において一般に使用される、局所的に許容されるアニオン性の、カチオン性の、両性の又は非イオン性の発泡性及び/又は洗浄性界面活性剤が言及され得る。
【0066】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)と組み合わせられ得る発泡性及び/又は洗浄性アニオン界面活性剤の中に、アルキルエーテルスルフェートの、アルキルスルフェートの、アルキルアミドエーテルスルフェートの、アルキルアリールポリエーテルスルフェートの、モノグリセリドスルフェートの、α-オレフィンスルホネートの、パラフィンスルホネートの、アルキルホスフェートの、アルキルエーテルホスフェートの、アルキルスルホネートの、アルキルアミドスルホネートの、アルキルアリールスルホネート、アルキルカルボキシレートの、アルキルスルホスクシネートの、アルキルエーテルスルホスクシネートの、アルキルアミドスルホスクシネートの、アルキルスルホアセテートの、アルキルサルコシネートの、アシルイセチオネートの、N-アシルタウレートの、アシルラクチレートの、N-アシルアミノ酸誘導体の、N-アシルペプチド誘導体の、N-アシルタンパク誘導体の又は脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩又はアミノアルコール塩が言及され得る。
【0067】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に存在し得る発泡性及び/又は洗浄性両性界面活性剤の中に、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、スルタイン、アルキルアミドアルキルスルホベタイン、イミダゾリン誘導体、ホスホベタイン、アンホポリアセテート及びアンホプロピオネートが言及され得る。
【0068】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に存在し得る発泡性及び/又は洗浄性カチオン界面活性剤の中に、特に第四級アンモニウム誘導体が言及され得る。
【0069】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に存在し得る発泡性及び/又は洗浄性非イオン界面活性剤の中に、より具体的には、線状若しくは分岐の、飽和若しくは不飽和の脂肪族ラジカルを含み、8~12個の炭素原子を含むアルキルポリグリコシド;ヒマシ油誘導体、ポリソルベート、ココナッツ核油アミド及びN-アルキルアミンが言及され得る。
【0070】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に存在し得る増粘性及び/又はゲル化界面活性剤の例として:
- アルキルポリグリコシドの任意選択的にアルコキシル化された脂肪エステル、最も特に、それぞれ、名称GlucamateTM LT及びGlumateTM DOE120で販売されるPEG 120メチルグルコーストリオレエート及びPEG 120メチルグルコースジオレエートなどのメチルポリグルコシドのエトキシル化エステル;
- 名称CrothixTM DS53で販売されるPEG 150ペンタエリスリチルテトラステアレート、又は名称AntilTM 141で販売されるPEG 55プロピレングリコールオレエートなどのアルコキシル化脂肪エステル;
- 名称ElfacosTM T211で販売されるPPG 14ラウレスイソホリル(laureth isophoryl)ジカルバメート、又は名称ElfacosTM GT2125で販売されるPPG 14パルメス(palmeth)60ヘキシルジカルバメートなどの、脂肪鎖を含むポリアルキレングリコールカルバメート
が言及され得る。
【0071】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に存在し得る乳化界面活性剤の例として、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤が言及され得る。
【0072】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に任意選択的に存在する乳化非イオン界面活性剤の例として、ソルビトールの脂肪酸エステル、例えば名称MontaneTM 80及びMontaneTM 85及びMontaneTM 60で販売される製品;エトキシル化ヒマシ油及びエトキシル化水素化ヒマシ油、例えば名称SimulsolTM 989で販売される製品;グリセロールステアレートと5モル~150モルのエチレンオキシドでポリ(エトキシル化された)ステアリン酸とを含む組成物、例えば名称SimulsolTM 165で販売される135モルのエチレンオキシドで(エトキシル化された)ステアリン酸とグリセロールステアレートとを含む組成物;エトキシル化ソルビタンエステル、例えば名称MontanoxTMで販売される製品;マンニタンエステル;エトキシル化マンニタンエステル;スクロースエステル;メチルグルコシドエステルが言及され得る。
【0073】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に存在し得る乳化アニオン界面活性剤の例として、デシルホスフェート、名称AmphisolTMで販売されるセチルホスフェート、グリセリルステアレートシトレート;セテアリルスルフェート;名称SensanovTM WRで販売されるアラキジル/ベヘニルホスフェート及びアラキジル/ベヘニルアルコール組成物;石鹸、例えばステアリン酸ナトリウム若しくはステアリン酸トリエチルアンモニウム、又は塩化されているアミノ酸のN-アシル化誘導体、例えばステアロイルグルタミネートが言及され得る。
【0074】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に存在し得る乳化カチオン界面活性剤の例として、アミンオキシド、クォータニウム-82並びに特許出願国際公開第96/00719号パンフレットに記載されている界面活性剤及び主として脂肪鎖が少なくとも16個の炭素原子を含むものが言及され得る。
【0075】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に存在し得る乳白剤及び/又は真珠光沢剤の例として、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート及び12~22個の炭素原子を含む脂肪アルコールが言及され得る。
【0076】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に存在し得るテクスチャリング剤の例として、N-アシルアミノ酸誘導体、例えば、名称AminohopeTM LLで販売されるラウロイルリジン、名称DryfloTMで販売されるオクテニルデンプンスクシネート、名称Montanov 14で販売されるミリスチルポリグルコシド、セルロース繊維、綿繊維、キトサン繊維、タルク、絹雲母及び雲母が言及され得る。
【0077】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)の中に存在させることが可能な溶媒及び共溶媒の例としては、以下のものを挙げることができる:水、有機溶媒例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、ベンジルアルコール、プロピレンカーボネート、グリセロール、ジグリセロール、グリセロールオリゴマー、PEG-400、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、水溶性アルコール例えば、エタノール、イソプロパノール、又はブタノール、及び水と前記有機溶媒との混合物。
【0078】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に存在し得る増粘剤及び/又はゲル化剤の例として、グルカン又はグルコースホモポリマーなどの、単糖類のみからなる多糖類、グルコマンノグルカン、キシログリカン、D-マンノース主鎖上のD-ガラクトース単位の置換度(DS)が、0~1、より特に1~0.25であるガラクトマンナン、例えばカシアガム(DS=1/5)、ローカストビーンガム(DS=1/4)、タラガム(DS=1/3)、グアーガム(DS=1/2)又はコロハガム(DS=1)に由来するガラクトマンナンが言及され得る。
【0079】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に存在し得る増粘剤及び/又はゲル化剤の例として、単糖誘導体からなる多糖類、例えば硫酸化ガラクタン、より具体的にはカラギーナン及び寒天など、ウロナン、より具体的にはアルギン、アルギネート及びペクチン、単糖類及びウロン酸のヘテロポリマー、より具体的にはキサンタンガム、ジェランガム、アラビアゴム滲出物及びカラヤゴム滲出物、並びにグリコサミノグリカンが言及され得る。
【0080】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に存在し得る増粘剤及び/又はゲル化剤の例として、セルロース、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど、シリケート、デンプン、親水性デンプン誘導体、及びポリウレタンが言及され得る。
【0081】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)中に存在し得る安定剤の例として、微晶質ワックスが、より具体的にはオゾケライト、及び塩化ナトリウム又は塩化マグネシウムなどの無機塩が言及され得る。
【0082】
本発明の主題である局所使用のための医薬品組成物(E1)と組み合わせてもよい熱水又はミネラルウォーターの例として、少なくとも300mg/Lの無機化を有する熱水又はミネラルウォーター、特にAvene水、Vittel水、Vichy滝つぼ水、Uriage水、La Roche-Posay水、La Bourboule水、Enghien-les-Bains水、Saint-Gervais-les-Bains水、Neris-les-Bains水、Allevard-les-Bains水、Digne水、Maizieres水、Neyrac-les-Bains水、Lons-le-Saunier水、Rochefort水、Saint Christau水、Les Fumades水及びTercis-les-Bains水が言及され得る。
【0083】
本発明の主題である及び前に定義されたような局所使用のための医薬品組成物(E1)は、以下の工程:
工程a)所望の割合で脂肪相を(A2)構成する要素の全てを混合することによって脂肪相(A2)を調製する工程。この混合工程は、20℃以上及び80℃以下、より特に20℃以上及び70℃以下、さらにより特に20℃以上及び460℃以下の温度で一般に行われ;それは、50rpm以上及び100rpm以下の適度のスピードでの機械撹拌を使って行われる工程;
工程b)所望の割合で水相(A1)を構成する要素の全てから水相(A1)を調製する工程。この混合工程は、20℃以上及び80℃以下、より特に20℃以上及び60℃以下、さらにより特に20℃以上及び40℃以下の温度で一般に行われ;それは、500rpm以上及び3000rpm以下の適度のスピードでの機械撹拌のもとで行われ;特に、工程b)の終わりに得られた水相(A1)は、200mPa・s以上及び40000mPa・s以下、より特に1000mPa・s以上及び40000mPa・s以下、さらにより特に2000mPa・s以上及び40000mPa・s以下の、6rpmのスピードでブルックフィールドLV型粘度計により20℃で測定される、動的粘度を有する工程;
工程c)局所使用のための医薬品組成物(E1)を得るために、その工程中に50rpm以上及び400rpm以下の適度のスピードで機械撹拌しながら、20℃以上及び80℃以下、より特に20℃以上及び60℃以下、さらにより特に20℃以上及び40℃以下の温度で脂肪相(A2)が水相(A1)に添加される工程
を含む調製プロセスを行うことによって得られる。
【0084】
以下の実施例は、本発明を例示するが、それを限定しない。
【実施例】
【0085】
本発明によるエマルション及び比較例のエマルションの調製及び評価
1)本発明によるエマルション及び比較例のエマルションの調製
3種の本発明によるエマルション((F1)~(F3)で表す)、及び4種の比較例のエマルション((F’1)~(F’3)で表す)を下記のプロセスを実施することにより調製するが、それらの成分の質量比を、下記の表1の中に列記し、高分子電解質の質量含量を、ポリマー性固形物のパーセントとして示している。
【0086】
ビーカーの中に脂肪相の成分を、順次導入し、混合し、80℃での加熱ステップの後に温度を20℃としたが、その混合は、100rpmの速度でのインペラー型の撹拌スピンドルを有する機械的撹拌器を使用して実施した。
【0087】
分散相の成分を、ビーカー中、2000rpmの速度での機械的撹拌器を使用して、室温で混合し、次いで増粘剤を添加する。均一なゲルの形態にある相を得ることを可能にする継続時間の間撹拌を維持する。脂肪相を、室温で及び碇型スピンドルを備えた攪拌機を用いる適度の撹拌スピード(75~300rpm)でゲルに一度に添加する。この撹拌を次いで10分間維持し、冷却工程は必要ではない。
【0088】
【0089】
2)本発明によるエマルション(F1)~(F3)及び比較例のエマルション(F’1)~(F’3)の物性の実証
2.1 本発明によるエマルション(F1)~(F3)及び比較例のエマルション(F’1)~(F’3)の外観及び粘度の評価
先に記述したプロセスに従って得られたエマルション(F1)~(F3)及び(F’1)~(F’3)を、次いで、温度25℃に調節した断熱気候チャンバーの中で、3ヶ月間保存する。この3ヶ月の期間が終了したら、調製されたエマルションそれぞれの外観(APP)を観察し、及び、それぞれのエマルションの動的粘度(μ)を、粘度計(ブルックフィールドLVT、速度6)の手段により25℃で測定する(単位:mPa・s)。
【0090】
これらと同一の、上述のプロセスに従って得られたエマルション(F1)~(F3)及び(F’1)~(F’3)の一部を、同様に、温度45℃に調節された断熱気候チャンバーの中で、3ヶ月間保存する。この3ヶ月の期間が終了したら、調製されたエマルションそれぞれの外観(APP)を観察し、及び、それぞれのエマルションの動的粘度(μ)を、粘度計(ブルックフィールドLVT、速度6)の手段により25℃で測定する(単位:mPa・s)。
【0091】
2.2 本発明によるエマルション(F1)~(F3)及び比較例のエマルション(F’1)~(F’3)の導電率(direction)の評価
本発明によるエマルション(F1)~(F3)及びエマルション(F’1)~(F’3)の導電率(σ)は、前記エマルションを、温度25℃に調節した断熱気候チャンバーの中で1日保存した後で、WTW社製のLF196(商標)導電率計(TetraCon(商標)96電極使用)の手段により、25℃で測定する。測定したエマルションで、(σ)が、0.5μS・cm-1以下であった場合には、そのエマルションは、非伝導性と考えられ、その結果、その外相(external phase)は、1,2-プロパンジオールをベースとする相ではなく、オイル相である。実際のところ、1,2-プロパンジオールの、25℃で測定した導電率は、4400μS・cm-1に等しい。
【0092】
測定したエマルションで、(σ)が0.5μS・cm-1を超えの場合には、そのエマルションは、導電性であると考えられ、その結果、その外相は、オイル相ではなく、1,2-プロパンジオール又はグリセロール又はPEG-400をベースとする相である。
【0093】
本発明によるエマルション(F1)~(F3)と比較例のエマルション(F’1)~(F’3)とで、この同じ導電率測定を、25℃で3ヶ月後、及び45℃で3ヶ月後に、25℃で測定する。
【0094】
2.3 本発明によるエマルション(F1)~(F3)及び比較例のエマルション(F’1)~(F’3)で得られた結果
セクション2.1及び2.2に記載した評価方法を、本発明によるエマルション(F1)~(F3)及び比較例のエマルション(F’1)~(F’3)に適用した。得られた結果を、次の表2に列記する。
【0095】
【0096】
2.4 結果の解析
以下のようにして本発明によるエマルション(F1)~(F3)の特性解析をする:
- 油の中に分散させた1,2-プロパンジオールをベースとするタイプの相の、温度25℃で3ヶ月保存した後での、それらの形態の安定性;この保存期間の後で観察された外観は、依然として均一である;
- 油の中に分散させた1,2-プロパンジオールをベースとするタイプの相の、温度45℃で3ヶ月保存した後での、それらの形態の安定性;この保存期間の後で観察された外観は、依然として均一である。
【0097】
油中水型の親油性界面活性剤としてのソルビタンモノオレエートを含む、比較例のエマルション(F’1)は、その中でその分散相が1,2-プロパンジオールをベースとする相であるようなエマルションを得ることはできない。
【0098】
親油性界面活性剤としてソルビタンモノオレエートを同様に含む、比較例のエマルション(F’2)及び(F’3)は、その中でその分散相が1,2-プロパンジオールをベースとする相であるようなエマルションを得ることは可能ではあるが、最小限の量の水が必要である。
【国際調査報告】