(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-06
(54)【発明の名称】冷却及び/又は液化システム及び方法
(51)【国際特許分類】
F25B 9/00 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
F25B9/00 G
F25B9/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506094
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(85)【翻訳文提出日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2020069187
(87)【国際公開番号】W WO2021023458
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ドゥラン、ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス、レミ
(72)【発明者】
【氏名】ゴンドランド、セシル
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール、ジャン-マルク
(57)【要約】
開示されるのは、ループを形成し且つ作動流体を含む作動回路(10)を含む低温冷凍装置であり、この装置(1)は、作動流体と熱を交換することにより、少なくとも1つの部材(25)から熱を取り出すための冷却用交換器(8)をさらに含み、作動回路(10)は、直列に接続された、圧縮機構(2、3)と、冷却機構(6)と、膨張機構(7)と、加熱機構(6、8)とを含むサイクルを形成し、作動流体を冷却する機構及び加熱機構が、作動流体が冷却されるか加熱されるかに従って回路の2つの別個の通路部分を反対方向に流れる共通の熱交換器(6)を含み、装置(1)が、共通の熱交換器(6)内の2つの通路部分内の等しい質量流量を保証するように構成され、装置(1)はまた、2つの通路部分のうちの一方を迂回するバイパス(9)を含み、前記バイパス(9)は、開かれた状態で2つの通路部分のうちの一方の質量流量を変更するバイバス弁(11)を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体、特に天然ガスの流れを冷却及び/又は液化する方法であって、低温冷凍装置(1)、すなわちマイナス100℃~マイナス273℃の間の温度での冷凍のための低温冷凍装置(1)を含み、前記装置(1)は、ループを形成し且つ作動流体を含む作動回路(10)を備え、前記装置(1)は、前記作動回路(10)内を循環する前記作動流体との熱交換により、少なくとも1つの部材(25)において熱を取り出すように意図された冷却用交換器(8)を備え、前記作動回路(10)は、直列に、前記作動流体を圧縮する機構(2、3)と、前記作動流体を冷却する機構(6)と、前記作動流体を膨張させる機構(7)と、前記作動流体を加熱する機構(6、8)とを含むサイクルを形成し、前記作動流体を冷却する前記機構及び前記加熱機構が、前記作動流体が冷却されるか加熱されるかに依存して前記回路の2つの別個の通路部分を向流式に通過する共通の熱交換器(6)を含み、前記装置(1)が、前記共通の熱交換器(6)内の前記2つの通路部分内の等しい質量流量を保証するように構成され、前記装置(1)が、前記2つの通路部分のうちの一方を迂回するバイパスダクト(9)を含み、前記バイパスダクト(9)が、開かれると前記2つの通路部分のうちの一方の質量流量を変更するバイバス弁(11)を含み、前記システムが、前記冷凍装置(1)の前記冷却用交換器(8)との熱交換において冷却される流体の前記流れのための循環ダクト(25)を含み、前記冷凍装置(1)が、前記バイパス弁(11)が閉じられているときに、前記ダクト(25)内を循環する冷却されるべき流体を冷却するために前記冷却用交換器(8)を冷却し、所与の量を超える凍結が存在する場合、前記冷却用交換器(8)内で固化した不純物を排出するために前記バイパス弁(11)が開かれた状態で前記冷却用交換器(8)を加熱するように構成されている方法において、前記方法が、前記バイパス弁(11)を開かない状態で前記冷凍装置を作動させることにより前記ダクト(25)内を循環する流体を冷却するために前記冷却用交換器(8)を冷却するステップを含み、前記方法が、前記冷却ステップ中に前記冷却用交換器(8)内で固化した不純物を解凍して排出するステップを含み、不純物を解凍して排出する前記ステップが、前記バイパス弁(11)が開位置にある状態で前記冷凍装置を作動させることにより前記冷却用交換器(8)を加熱することを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記開かれたバイパス弁(11)が前記2つの通路部分のうちの一方における質量流量を変更して、前記2つの通路部分における異なる質量流量を保証することにより、前記装置が前記2つの部分において同一の質量流量で動作しているときと比較して、前記冷却用交換器(8)における所与の加熱量又はより弱い冷却を保証することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バイパスダクト(9)及び前記バイパス弁(11)が、当該通路部分に供給される作動流体の質量流量を所与の量だけ減少させるように構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記バイパスダクト(9)及び前記バイパス弁(11)が、当該通路部分に供給される質量流量を2%~30%、好ましくは5%~15%減少させるように構成されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バイパスダクト(9)が、前記共通の熱交換器(6)内で前記作動流体を加熱するために設けられた前記通路部分のバイパスを形成し、前記バイパスダクト(9)は、前記共通の熱交換器(6)の上流側で前記作動回路(10)に接続された上流端と、前記共通の熱交換器(6)の下流側で前記回路(10)に接続された下流端とを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記バイパスダクト(9)の上流端が、前記膨張機構(7)の下流側で前記膨張機構(7)と前記共通の熱交換器(6)との間で、又は前記膨張機構(7)の上流側で前記共通の熱交換器(6)と前記膨張機構(7)との間で前記作動回路(10)に接続されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記バイパスダクト(9)の前記下流端が、前記共通の熱交換器(6)と前記圧縮機構(2、3)との間で、又は前記圧縮機構(2、3)内で前記回路(10)に接続されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記共通の熱交換器(6)内で前記作動流体を冷却するために設けられた前記通路部分のバイパスを形成するバイパスダクト(9)を有し、前記バイパスダクト(9)は、前記共通の熱交換器(6)の上流側で前記作動回路(10)に接続された上流端と、前記共通の熱交換器(6)の下流側で前記回路(10)に接続された下流端とを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記バイパスダクト(9)の前記上流端が、前記圧縮機構(2、3)と前記共通の熱交換器(6)との間で、又は前記圧縮機構(2、3)内で前記作動回路(10)に接続されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記バイパスダクト(9)の前記下流端が、前記共通の熱交換器(6)と前記膨張機構(7)との間で、又は前記膨張機構(7)と前記共通の熱交換器(6)との間で前記作動回路(10)に接続されることを特徴とする、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記バイパス弁(11)に接続された電子コントローラ(12)を含み、前記電子コントローラ(12)は、前記バイパス弁(11)の開度を制御して、所与のプロファイルに従う前記共通の熱交換器(6)の温度上昇を保証し、及び/又は、前記共通の熱交換器(6)の温度上昇の速度を所与の閾値未満に制限するように構成されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記共通の熱交換器(6)の代表的な温度を測定するセンサ(13)を含むこと、及び、前記電子コントローラ(12)が、前記熱交換器(6)の代表的な温度を測定する前記センサ(3)によって取得された測定値に応じて前記バイパス弁(11)の開度を制御するように構成されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記圧縮機構(2、3)が、1つ又は複数の圧縮機と、前記圧縮機(2、3)を回転させるための少なくとも1つの駆動モータ(4、5)とを含み、前記装置の冷凍能力が可変であり、前記駆動モータ(4、5)の回転速度を調節することによって制御されること、及び、前記電子コントローラ(12)が、前記バイパス弁(11)が開かれているときに前記装置の冷凍能力を低下させるように構成されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記バイパス弁(11)が、徐々に開かれる弁、及び/又は、所与の較正された流量を許容する全か無かの弁、又は、所与の流量制限部材に関連付けられた弁であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍装置と、そのような装置を使用する冷却及び/又は液化システム及び方法とに関する。
【0002】
本発明は特に、低温冷凍装置、すなわちマイナス100℃~マイナス273℃、特にマイナス100℃~マイナス253℃の間の温度での冷凍のための低温冷凍装置であって、ループを形成し且つ作動流体を含む作動回路を備え、作動回路内を循環する作動流体との熱交換により、少なくとも1つの部材において熱を取り出すように意図された冷却用交換器を備え、作動回路は、直列に、作動流体を圧縮する機構と、作動流体を冷却する機構と、作動流体を膨張させる機構と、作動流体を加熱する機構とを備えるサイクルを形成し、作動流体を冷却する機構及び加熱機構は、作動流体が冷却されるか加熱されるかに依存して回路の2つの別個の通路部分を向流式に通過する共通の熱交換器を備え、装置は、共通の熱交換器内の前記2つの通路部分内の等しい質量流量を保証するように構成される、低温冷凍装置に関する。
【0003】
本発明は、特に、例えば、サイクルガス(ヘリウム、窒素、又は他の純粋なガス又は混合物)が熱力学的なサイクルを経て、冷却されるように意図された部材又はガスに伝達され得る冷気を生成する、「ターボブレイトン」サイクル又は「ターボブレイトン冷却器」を有するタイプの極低温冷凍機又は液化機に関する。
【背景技術】
【0004】
これらの装置は幅広い用途で使用され、特に、タンク内の天然ガスを冷却するために使用される(例えば船舶内で)。液化された天然ガスは、例えば、気化を回避するためにサブクールされ、又はガス状の部分が再液化のために冷却される。
【0005】
例えば、天然ガスの流れを、冷凍機/液化機のサイクルガスによって冷却される熱交換器内で循環させることができる。
【0006】
この熱交換器で冷却されたガスには、不純物(…など)が含まれていることがあり、この不純物は熱交換器で達成される低温で固化する可能性がある。これは、熱交換器を詰まらせ、システムの効率を損なう可能性がある。
【0007】
1つの解決策は、熱交換器を電気ヒータで積極的に加熱することであり得る。しかしながら、この方法はエネルギーの点でコストがかかり、爆発性雰囲気には適さないことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の従来技術の欠点の全部又は一部を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明による装置は、他の点では上記の前提部に提示された一般的な定義に従うが、本質的には、装置が、2つの通路部分のうちの一方を迂回するバイパスダクトを含み、前記バイパスダクトが、開かれると2つの通路部分のうちの一方の質量流量を変更するバイバス弁を含むことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含み得る:
- 開かれたバイパス弁が2つの通路部分のうちの一方における質量流量を変更して、前記2つの通路部分における異なる質量流量を保証することにより、装置が2つの部分において同一の質量流量で動作しているときと比較して、冷却用交換器における所与の加熱量又はより弱い冷却を保証するとき、
- バイパスダクト及びバイパス弁が、当該通路部分に供給される作動流体の質量流量を所与の量だけ減少させるように構成される、
- バイパスダクト及びバイパス弁が、当該通路部分に供給される質量流量を2%~30%、好ましくは5%~15%減少させるように構成される、
- 装置が、共通の熱交換器内で作動流体を加熱するために設けられた通路部分のバイパスを形成するバイパスダクトを有し、前記バイパスダクトは、共通の熱交換器の上流側で作動回路に接続された上流端と、共通の熱交換器の下流側で回路に接続された下流端とを含む、
- バイパスダクトの上流端が、膨張機構の下流側で膨張機構と共通の熱交換器との間で、又は膨張機構の上流側で共通の熱交換器と膨張機構との間で作動回路に接続される、
- バイパスダクトの下流端が、共通の熱交換器と圧縮機構との間で、又は圧縮機構内で回路に接続される、
- 装置が、共通の熱交換器内で作動流体を冷却するために設けられた通路部分のバイパスを形成するバイパスダクトを有し、前記バイパスダクトは、共通の熱交換器の上流側で作動回路に接続された上流端と、共通の熱交換器の下流側で回路に接続された下流端とを含む、
- バイパスダクトの上流端が、圧縮機構と共通の熱交換器との間、又は圧縮機構内で作動回路に接続される、
- バイパスダクトの下流端が、共通の熱交換器と膨張機構との間、又は膨張機構と共通の熱交換器との間で作動回路に接続される、
- 装置が、バイパス弁に接続された電子コントローラを含み、電子コントローラは、バイパス弁の開度を制御して、所与のプロファイルに従う共通の熱交換器の温度上昇を保証し、及び/又は、共通の熱交換器の温度上昇の速度を所与の閾値未満に制限するように構成される、
- 装置が、共通の熱交換器の代表的な温度を測定するセンサを含み、電子コントローラは、熱交換器の代表的な温度を測定するセンサによって取得された測定値に応じてバイパス弁の開度を制御するように構成される、
- 圧縮機構が、1つ又は複数の圧縮機と、圧縮機を回転させるための少なくとも1つの駆動モータとを含み、装置の冷凍能力は可変であり、駆動モータの回転速度を調節することによって制御され、電子コントローラは、バイパス弁が開かれているときに装置の冷凍能力を低下させるように構成される、
- バイパス弁が、徐々に開かれる弁、及び/又は、所与の較正された流量を許容する全か無かの弁(all or nothing valve)、又は、所与の流量制限部材に関連付けられた弁である。
【0011】
また、本発明は、流体、特に天然ガスの流れを冷却及び/又は液化するシステムであって、上記又は下記の特徴のいずれか1つに従う冷凍装置を含み、冷凍装置の冷却用の冷却用交換器との熱交換において冷却される流体の前記流れのための循環ダクトを備え、冷凍装置が、バイパス弁が閉じているときに、ダクト内を循環する流体を冷却するために冷却用交換器を冷却し、前記冷却用交換器内で固化した不純物を排出するために冷却用交換器を加熱するように構成されているシステムに関する。
【0012】
また、本発明は、このようなシステムを用いて、流体、特に天然ガスの流れを冷却及び/又は液化する方法であって、方法は、バイパス弁を開かない状態で冷凍装置を作動させることによりダクト内を循環する流体を冷却するために冷却用交換器を冷却するステップを含み、方法は、冷却ステップ中に前記冷却用交換器内で固化した不純物を解凍して排出するステップを含み、不純物を解凍して排出するステップは、バイパス弁が開位置にある状態で冷凍装置を作動させることにより冷却用交換器を加熱することを含む方法に関する。
【0013】
また本発明は、特許請求の範囲内の上記又は下記の特徴の任意の組み合わせを備える任意の代替装置又は方法に関し得る。
【0014】
さらなる特定の特徴及び利点は、図を参照しながら与えられる以下の記載を読むことで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明を実施できるシステムの一例の構造及び動作を示す概略部分図を示す。
【
図2】本発明による冷凍及び/又は液化装置の可能な例示的な実施形態の構造及び動作を示す概略部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[
図1]の冷却及び/又は液化システムは、冷却用交換器8において冷気(冷却能力)を供給する冷凍装置1を備える。このシステムは、この冷却用交換器8と熱交換させる冷却すべき流体の流れを循環させるためのダクト25を備えている。例えば、流体は、タンク16からポンプ送給され、次に冷却され(好ましくはタンク16の外側で)、次にタンク16に戻される(例えばタンク16の気相中に降り注ぐ)、液体天然ガスである。これにより、内容物を冷却又はサブクールすること、及び気化の発生を制限することができる。例えば、タンク16からの液体はその飽和温度以下にサブクールされ(数K、特に5~20K、特に14Kの温度の低下)、その後タンク16内に再注入される。変形形態において、この冷凍をタンクからの気化ガスに適用することで、特に気化ガスを再液化することができる。
【0017】
低温冷凍装置は、循環ループを形成する作動回路10(好ましくは閉回路)を備える。この作動回路10は、作動流体(ヘリウム、窒素、ネオン、水素、又は別の適切なガス又は混合物、例えば、ヘリウムとアルゴン又はヘリウムと窒素又はヘリウムとネオン又はヘリウムと窒素とネオン)を含有する。
【0018】
作動回路10は、直列に、作動流体を圧縮する機構2、3と、作動流体を冷却する機構6と、作動流体を膨張させる機構7と、作動流体を加熱する機構6、8とを備えるサイクルを形成する。
【0019】
装置1は、作動回路10を循環する作動流体との熱交換により、少なくとも1つの部材25において熱を取り出すように意図された冷却用熱交換器8を備える。
【0020】
作動流体を冷却及び加熱するための機構は、作動流体が、冷却されるか加熱されるかに応じて、作動回路の2つの別々の通路部分を向流式に通過する共通の熱交換器6を従来備える。
【0021】
冷却用熱交換器8は、例えば、膨張機構7と共通の熱交換器6との間に配置される。図示のように、冷却用熱交換器8は、共通の熱交換器6とは別の熱交換器であり得る。しかしながら、変形形態において、この熱を冷却する熱交換器8は、共通の熱交換器6の一部から構成されてもよい(つまり、2つの熱交換器6、8は一体であることができる、すなわち、同一の交換構造を共有する別々の流体回路を有してもよい)。
【0022】
したがって、圧縮機構2、3を比較的高温で出た作動流体は、共通の熱交換器6で冷却されてから膨張機構7に入る。冷却される流体と熱を交換するために、圧縮機構7と熱交換器8を比較的低温で出た作動流体は、共通の熱交換器6で部分的に冷却された後、圧縮機構2、3に戻り、新たなサイクルを開始する。
【0023】
従来、通常の動作モード(作動ガスが圧縮、冷却、膨張、加熱のサイクルを経て、冷却用交換器8で冷気を生成する)において、等しい質量流量が共通の熱交換器6内で2つの通路部分を循環する(等しい質量流量とは、等しい又は実質的に等しい流量、すなわち数パーセントを超える差がない流量を意味する)。この循環は、概略図中に矢印で示されており、本記載で使用されている用語「上流」及び「下流」という用語は、回路内の作動流体の循環方向を意味する。
【0024】
本装置は、2つの通路部分の一方を迂回するバイパスダクト9を備え、前記バイパスダクト9にはバイパス弁11が設けられている。このバイパス弁11が開いていると、作動回路に熱力学的な不均衡が生じ、その結果、熱が生成され、したがって、冷却用交換器8で所与の加熱量が生成される。
【0025】
したがって、[
図2]に示されているように、通常の動作モードの場合、流体(液化天然ガス)の流れを冷却用交換器8で冷却することができる。この流体に、冷却されると固化する可能性のある不純物(二酸化炭素等)が含まれている場合、冷却用交換器8に閉塞17又は障害物が発生する可能性がある。
【0026】
バイパス弁11を一時的に開くことで、熱交換器8を十分に加熱し、これらの不純物を昇華又は液化させ、容易に排出することができる。好ましくは、この解凍加熱中に、冷却される流体の流れを中断(又は低減)することができる。
【0027】
バイパス弁11を閉じることにより、通常の動作モード(冷却)を再開することができる。
【0028】
例えば、バイパス弁11は、当該通路部分に供給される質量流量を2%~30%、好ましくは5%~15%低減するように構成されている。例えば、バイパス弁11は、徐々に開かれる弁、及び/又は、所与の較正された流量を許容するように設計された全か無かの弁、或いは、所与の流量制限部材に関連付けられた弁である。
【0029】
[
図2]に実線を用いて示すように、バイパスダクト9は、共通の熱交換器6内の作動流体を加熱するために設けられた通路部分(すなわち、圧縮機構2、3を出た流体を膨張機構7に到達する前に加熱する共通の熱交換器の部分)のバイパスを形成し得る。このように、バイパスダクト9は、上流側の端部が共通の熱交換器6の上流側で作動回路10に接続され、下流側の端部が共通の熱交換器6の下流側で作動回路10に接続されている。実線を用いたこの例では、バイパスダクト9の上流端は、膨張機構7及び冷却用交換器8の下流側で、冷却用交換器8と共通の熱交換器6の入口との間で作動回路10に接続される。
【0030】
このバイパスダクト9の下流端は、共通の熱交換器6と圧縮機構2、3の入口との間で作動回路10に接続されている。
【0031】
当然のことながら、この例は決して限定的なものではない。したがって、[
図2]では、破線を用いて、バイパスダクト9の他の非限定的な実施形態の変形例を示している。
【0032】
例えば、バイパスダクト9の上流端は、膨張機構7の上流側で、共通の熱交換器6と膨張機構7との間で、共通の熱交換器6の出口との間で接続されていてもよい。バイパスダクト9の下流端は、共通の熱交換器6と圧縮機構2、3との間(又は、圧縮機構2、3内、すなわち、例えば、2つの圧縮段の間)に接続されていてもよい。
【0033】
これらの配置には、次のような利点がある:圧縮機構2、3の入口における作動流体の温度が、通常のサイクルと比較して、仮にあったとしても、ごくわずかだけ乱される。
【0034】
同様に、変形例では、バイパスダクト9は、共通の熱交換器6において作動流体を冷却するために設けられた通路部分のバイパスを形成するように構成される。したがって、バイパスダクト9は、例えば圧縮機構2、3の出口と共通の熱交換器6との間、又は圧縮機構2、3内など、共通の熱交換器6の上流で作動回路10に接続された上流端を含み得る。同様に、バイパスダクト9の下流端は、共通の熱交換器6の下流側で、共通の熱交換器6と膨張機構7との間で、又はこの膨張機構7の下流側で、例えば冷却用熱交換器8の出口と共通の熱交換器6の入口との間で、作動回路10に接続されてもよい。
【0035】
これらの配置には、次のような利点がある:バイパス弁11が装置の高温部に(非極低温で)配置され、バイパスダクト9に入る作動流体の流れが(圧縮機構の出口で)比較的高圧であり、これにより、単純で比較的小さい弁を使用することが可能になる。
【0036】
本装置は、バイパス弁11に接続された電子コントローラ12を含み得る。電子コントローラ12は、マイクロプロセッサ又はコンピュータを含み得、バイパス弁11の開度を動的に制御して、所与のプロファイルに従った共通の熱交換器6の温度上昇を保証し、且つ/又は共通の熱交換器6の温度上昇の速度を所与の閾値未満に制限するように構成され得る。これにより、共通の熱交換器6及び/又は冷却用交換器8が急速に昇温するのを防止することが可能になる場合があり、このことは、例えば、アルミニウムプレートを有する熱交換器の場合に有利である。
【0037】
この目的のために、装置1は、共通の熱交換器6の代表的な温度を測定し、その信号を電子コントローラ12に送信するための少なくとも1つのセンサ13を含む含み得る。電子コントローラ12は、このセンサ3による測定値に応じて、バイパス弁11の開度(持続時間及び/又は断面)を制御するように構成されていてもよく、例えば、弁11の開度はこの温度測定値に依存し得る。
【0038】
圧縮機構2、3は、1つ又は複数の圧縮機と、圧縮機2、3を回転させるための少なくとも1つの駆動モータ14、15とを備え、装置の冷凍能力は好ましくは可変であり、駆動モータ14、15の回転速度(サイクル速度)を調節することによって制御される。好ましくは、装置1によって生成される冷気能力は、モータの回転速度を変更することによって、公称能力又は最大能力の0~100%で適合させることができる。このような構造により、広い動作範囲にわたって高い性能レベルを維持することができる(例えば、公称冷気能力の50%で公称性能の97%)。
【0039】
冷却用交換器8の瞬間的な加熱(特に解凍のための加熱)は、冷却サイクルのための通常のサイクル速度で実現することができるが、好ましくは、電子コントローラ12(又は別の専用の電子コントローラ)は、バイパス弁11が開いているときに、装置のモータの速度を低下させるように構成されてもよい。例えば、モータは、最大速度又は公称速度の約1~60%、特に20~30%に減速される。
【0040】
モータの公称速度又は最大速度とは、最大冷凍能力の場合にモータが生み出すことができる最大速度を意味する。この最大速度又は公称速度は、冷凍装置1の動作のために推奨される最大速度であり、必要に応じて、モータが本質的に達成できる最大速度よりも低くてもよい。
【0041】
図示の例では、冷凍装置は、2つの圧縮段を形成する2つの圧縮機と、膨張タービンとを備える。これは、圧縮機構が、好ましくは遠心式の2つの圧縮機2、3を直列に備え、膨張機構が、1つのタービン7、好ましくは求心式タービンを備えることを意味する。当然のことながら、圧縮機とタービンの任意の他の数及び配置を考えることができ、例えば、3つの圧縮機と1つのタービン、3つの圧縮機と2つのタービン、又は2つの圧縮機と2つのタービンなどである。
【0042】
図示の例では、各圧縮機の出口に冷却用交換器4、5が設けられる(例えば、周囲温度の水又はいずれかの他の冷却剤又は流体による冷却)。これにより、等エントロピー、等温、又は実質的に等温の圧縮が可能になる。当然のことながら、他の任意の配置を考えることができる(例えば、1つ又は複数の圧縮段を有する冷却用交換器4、5はない)。同様に、等エントロピー又は等温膨張を実現するために、膨張タービン7の全部又は一部の出口に加熱用熱交換器を設けてもよいし、設けなくてもよい。好ましくはまた、作動流体の加熱及び冷却は好ましくは等圧性であるが、これは限定されるものではない。
【0043】
例えば、装置1は、2つの圧縮段2、3をそれぞれ駆動するための2つの高速モータ14、15(例えば、1分あたり1万回転又は1分あたり数万回転)を備える。タービンは、圧縮段2、3の一方のモータ2に結合可能であり、つまり、装置は、圧縮段2(特に第1)の駆動モータ2に結合された膨張機構を形成するタービン8を有し得る。
【0044】
したがって、タービン7の動力を有利に回収し、モータの消費量を抑えるために使用することができる。したがって、モータの速度(したがって、作動ガスのサイクルにおける流速)を上げることによって、生成される冷凍能力、したがって液化装置の電力消費量が増大される(逆もまた同様)。圧縮機2、3及びタービン7は、好ましくは、関連するモータの出力シャフトに直接結合される(ギア付き運動伝達機構なしに)。
【0045】
モータの出力シャフトは、磁気タイプ又は動的ガスタイプのベアリングに取り付けられると好ましい。このベアリングは、圧縮機及びタービンを支持するために使用される。
【0046】
さらに、装置の全部又は一部、特にその冷却部材は、熱的に絶縁された密閉ケーシング(特に、冷却構成要素:冷却用交換器8、タービン7、及び任意選択的に共通の向流熱交換器を含む真空チャンバ)に収容することができる。
【国際調査報告】