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特表2022-542690板状または管状のワークピースをビーム加工するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-06
(54)【発明の名称】板状または管状のワークピースをビーム加工するための方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/38 20140101AFI20220929BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B23K26/38 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506155
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2020062953
(87)【国際公開番号】W WO2021018431
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】19188961.7
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521375302
【氏名又は名称】ダブリュ・エス・オプティクス テクノロジーズ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】WSoptics Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Gewerbepark 15, 87675 Rettenbach am Auerberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン ゼップ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ヴァイス
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD06
4E168AD07
4E168CB03
4E168CB13
4E168EA17
4E168FA00
4E168FB02
4E168FB03
4E168GA00
4E168JA01
(57)【要約】
本発明は、板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法であって、以下のステップ、すなわち、ワークピース(9)から製作すべきワークピース部材(11)の輪郭の少なくとも一部に相当する切断線(14)に沿って、ワークピース(9)を分離する切断ギャップ(15)の少なくとも1つの区分(15-1,15-2,15-3,15-4,15-5)を、加工ビーム(16)によって生成するステップと、切断線(14)に沿って延在する少なくとも1つの後加工区域(22)の少なくとも1つの区分(22-1,22-2,22-3,22-4,22-4’)において、部分的に切り取られたワークピース部材(11)を含むワークピース(9)を、後加工ビーム(16)によって1回または複数回後加工するステップであって、ワークピース(9)を、後加工区域(22)において、非接合かつ非分離に後加工するステップと、を含む方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工ビーム(16)によって、板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法であって、以下のステップ、すなわち、
前記ワークピース(9)から製作すべきワークピース部材(11)の輪郭の少なくとも一部に相当する切断線(14)に沿って、前記ワークピース(9)を分離する切断ギャップ(15)の少なくとも1つの区分(15-1,15-2,15-3,15-4,15-5)を、前記加工ビーム(16)によって生成するステップと、
前記切断線(14)に沿って延在する少なくとも1つの後加工区域(22)の少なくとも1つの区分(22-1,22-2,22-3,22-4,22-4’)において、部分的に切り取られたワークピース部材(11)を含む前記ワークピース(9)の非接合かつ非分離の1回または複数回の後加工を、前記加工ビーム(16)によって行うステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記切断ギャップ(15)の2つの区分(15-1,15-2,15-3,15-4,15-5)を生成する間に、前記ワークピース(9)を後加工する、請求項1記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
【請求項3】
前記切断ギャップ(15)の1つの区分(15-1,15-2,15-3,15-4)に少なくとも部分的に沿って延在する、前記後加工区域(22)の1つの区分(22-1,22-2,22-3,22-4,22-4’)において、前記ワークピース(9)を後加工する、請求項1または2記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
【請求項4】
少なくとも部分的に前記切断ギャップ(15)の区分を有していない、特に、前記切断ギャップ(15)の1つの区分(15-4)に沿って延在する、前記後加工区域(22)の区分(22-4)における後加工の継続的な延長部における、前記後加工区域(22)の1つの区分(22-4’)において、前記ワークピース(9)を後加工する、請求項1から3までのいずれか1項記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
【請求項5】
前記切断ギャップ(15)の前記区分(15-1,15-2,15-3,15-4,15-5)は、前記切断ギャップ(15)を連続的に延長する、請求項1から4までのいずれか1項記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
【請求項6】
前記切断ギャップ(15)の、最後に生成された区分(15-5)は、前記切断ギャップ(15)の、それ以前に生成された前記区分(15-1,15-2,15-3,15-4)の各長さよりも短い長さを有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
【請求項7】
前記切断ギャップ(15)の前記区分(15-1,15-2,15-3,15-4,15-5)の長さは、前記ワークピース部材(11)の切り離し点を起点として、前記切断ギャップ(15)を生成する方向に反して減少しない、請求項6記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
【請求項8】
少なくとも1つの後加工区域(22)の少なくとも1つの区分(22-1,22-2,22-3,22-4,22-4’)における前記ワークピース(9)の後加工の際に、前記切断ギャップ(15)のワークピース部材側の切断縁(19)および/または前記切断ギャップ(15)の残留格子側の切断縁(19’)が含まれている、請求項1から7までのいずれか1項記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
【請求項9】
少なくとも1つの後加工区域(22)の少なくとも1つの区分(22-1,22-2,22-3,22-4,22-4’)における前記ワークピース(9)の後加工の前に、付着防止剤(26)から成る層を、少なくとも前記後加工区域(22)において、前記ワークピース(9)上に設け、前記付着防止層は、前記後加工の際に生じる、溶融物またはスラグのような物質の付着を阻止するように形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
【請求項10】
前記ワークピース(9)の後加工の際に、前記切断線(14)の少なくとも1つの区分(14-1,14-2,14-3,14-4,14-5)に沿って蛇行状の動きで、前記加工ビーム(16)をガイドする、請求項1から9までのいずれか1項記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
【請求項11】
前記ワークピース(9)の1回または複数回の後加工後に、前記ワークピース部材(11)を前記加工ビーム(16)によって切り離す、請求項1から10までのいずれか1項記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
【請求項12】
前記ワークピース(9)の後加工の際に、
i)前記切断ギャップ(15)を生成する際に形成される酸化物層を除去する、かつ/または
ii)前記切断ギャップ(15)の領域におけるバリを除去する、かつ/または
iii)前記切断ギャップ(15)を画定する一方または両方の切断縁(19,19’)を丸み付けする、かつ/または
iv)前記切断ギャップ(15)を画定する一方または両方の切断縁(19,19’)の形状を変化させる、特に平滑化するまたは粗面化する、かつ/または
v)前記切断ギャップ(15)に沿って面取部(21)を生成する、かつ/または
vi)前記ワークピース(9)を前記切断ギャップ(15)に沿って熱処理する、特に硬化させる、または軟化焼鈍させる、かつ/または
vii)前記ワークピース(9)を前記切断ギャップ(15)に沿ってコーティングする、
請求項1から11までのいずれか1項記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
【請求項13】
ビームヘッド(3)によってガイドされる加工ビーム(16)を含むビーム加工装置(1)であって、板状または管状のワークピース(9)のビーム加工を制御するための電子制御装置(12)を有しており、前記制御装置は、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法を実施するためにプログラム技術的に調整されている、ビーム加工装置(1)。
【請求項14】
データ処理に適した、請求項13記載のビーム加工装置(1)のための電子制御装置用のプログラムコードであって、前記プログラムコードは、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法を、前記制御装置(12)に実行させる制御コマンドを含んでいる、プログラムコード。
【請求項15】
データ処理に適した、請求項13記載のビーム加工装置(1)のための電子制御装置用のプログラムコードが記憶されている、コンピュータプログラム製品であって、前記プログラムコードは、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法を、前記制御装置(12)に実行させる制御コマンドを含んでいる、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、金属性のワークピース部材の製造であり、本発明は、板状または管状のワークピースをビーム加工するための方法に関し、加工ビームによって、切断ギャップを生成するためのワークピースの分離加工ならびにワークピースの非分離であると同時に非接合の後加工が行われる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザービームをガイドするための可動式ビームヘッドを備えた市販のレーザー切断装置では、大量かつ高精度のワークピース部材の自動生産が可能である。この場合、ワークピース部材は、レーザービームによって、板状または管状の金属性のワークピースから、それぞれの切断線に沿って切り取られる。これは、ビームヘッドとワークピースとの間で行われる相対運動によって行われる。
【0003】
使用されるレーザー切断方法の形式に応じて、切り取られたワークピース部材の切断縁は、通常、手間のかかる機械的な後加工を要する。すなわち、鋭い切断縁は丸み付けされるべきであり、例えば面取部を設けるべきであり、切断縁のバリは除去されなければならない。さらに、切断縁は多くの場合、そののちの加工プロセスのために、例えば平滑化または粗面化によって準備されなければならない。プロセスガスとして酸素を用いるレーザー切断の際に切断縁に生じる酸化も問題である。酸化物層の多くは塗装が困難であるので、これを研磨によって除去しなければならない。さらなる問題は、コーティングされた、特に亜鉛メッキされたワークピースでは、切断ギャップの領域でコーティングが失われるので、コーティングされたワークピースから製作されたワークピース部材を、後からコーティングしなければならないか、またはコーティングを通常、ワークピース部材が切り取られてから初めて行うということである。
【0004】
基本的に、ワークピース部材を完全に切り取った後で切断縁の領域で行われる機械加工は、しばしば手動でも行われるため時間がかかり、通常、極めて人的労力もかかる。さらに、後加工にはコストがかかるので、ワークピース部材の製造は、望ましくないことに、長期化し高価になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対して、本発明の課題は、板状または管状のワークピースから切断ビームによってワークピース部材を切り取る従来の方法を改良して、ワークピース部材の製造を自動化してより迅速かつ安価に、かつ高品質で行うことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題およびさらなる課題は、本発明の提案によれば、独立請求項の特徴を備えた、板状または管状のワークピースをビーム加工するための方法によって解決される。本発明の好適な構成は、従属請求項の特徴に記載されている。
【0007】
本発明によれば、板状または管状のワークピースをビーム加工するための方法が提示される。本発明による方法は、切断ビーム(熱切断)によってワークピースにおける切断ギャップの生成が行われるすべてのプロセス、例えばレーザー切断またはガス切断で、使用することができる。好適には、本発明による方法は、レーザー切断で使用され、この場合、加工ビームはレーザービームであり、ビーム加工はレーザービーム加工であるが、これに限定されるものではない。
【0008】
本発明の概念では、「ワークピース」の用語は、ワークピースから成る少なくとも1つのワークピース部材(製品部材)を製造すべき、板状または管状の、典型的には金属性の構成部材を意味する。板状のワークピースは典型的には平坦または扁平である。板状または管状のワークピースをビーム加工するための本発明による方法は、単一のワークピース部材について説明されているが、通常、このワークピースから複数のワークピース部材が製作されることを理解されたい。
【0009】
本発明による方法では、切断ギャップを生成するためのワークピースの分離加工のほかに、非分離であると同時に非接合のワークピースの後加工(後処理)も行われるので、切断ビームの代わりに「加工ビーム」というより広義の用語を使用する。その出力密度を調節することにより加工ビームを選択的に、ワークピースの分離加工のために、または代替的に、非分離であると同時に非接合の加工のために使用できることを理解されたい。
【0010】
加工ビームのエネルギ密度は、加工ビームによって照射されるワークピースの面積に関する加工ビームのエネルギを、例えば、J/mmの単位で測定して表している。ワークピースの切断ギャップの生成および後加工に関連するのは、ワークピースの照射面が照射される時間間隔に関して、例えば、J/(mm×秒)の単位で測定されるエネルギ密度であり、ここではおよび以下では「出力密度」と呼ばれる。実質的に、ワークピースによって吸収される出力密度が重要である場合には、出力密度は、ワークピースによって吸収される出力密度であると理解されてもよい。
【0011】
本発明によれば、板状または管状のワークピースのビーム加工は、少なくとも1つのワークピース部材の切断線に沿って、ワークピースを分離する切断ギャップを生成するステップを含む。切断線は、ワークピースから製作すべきワークピース部材の輪郭(アウトライン)に相当する。切断線には完全に切断ギャップが設けられる、すなわち分離される。
【0012】
切断ギャップの生成の際には、加工ビームをガイドするビームヘッドが、ワークピースの上方を移動し、このとき、加工ビームが切断線に沿ってガイドされる。したがって、切断線は、予め規定されたまたは予め規定可能な(仮想の)線または軌道であり、この線または軌道に沿って加工ビームまたはビームヘッドが、切断線によって輪郭付けられたワークピース部材を切り取るためにガイドされる。ワークピースの分離加工の際には、加工ビームは、ワークピースが(完全に)分離されるように算定された第1の出力密度を有している。加工ビームは、切口に向けられたプロセスガスビームと協働する。第1の出力密度は様々な出力密度値を取ることができ、すなわち一定である必要はない。
【0013】
本発明の説明においては、基準系はワークピースに対して常に定置であって、ビームヘッドは可動であり、ワークピースは定置であるとみなされる。しかしながら、局所的に見ると、ビームヘッドがまたはワークピースがまたは両方が可動であるかどうかは問題ではない。したがって、可動のビームヘッドに加えて付加的にワークピースも移動すること、またはビームヘッドとワークピースとの両方が移動することも同様に可能である。
【0014】
切断線に沿った切断ギャップの生成により、ワークピース部材は、その輪郭に沿って部分的にまたは完全に切り取られる。すなわち、切断ギャップは常に輪郭を形成する。したがって、本発明の概念では「切断ギャップ」の用語には、輪郭を形成せずワークピース部材の輪郭に沿って延在しない、切断ギャップの区分は含まれない。例えば、ワークピース部材を切り取る際にはしばしば、輪郭から離れたところでワークピースに突き刺しが行われ、切断ビームは最初に、短い距離だけ、ワークピース部材の輪郭を形成する切断線に向かって移動する。このときに、ワークピースに生成された切断ギャップは輪郭を形成するものではなく、したがって、本発明の概念で意味するような切断ギャップの用語には含まれない。
【0015】
ワークピースからのワークピース部材の切り離し、すなわち、ワークピースからワークピース部材を分離または除去することができるような、ワークピースからのワークピース部材の完全な切り取りは、ワークピース部材の切断線(輪郭)に沿った閉じられた切断ギャップの生成によって行われる。しかしながら、切断ギャップは、ワークピース部材の輪郭の1つの区分または複数の区分のみに沿って延在することもでき、これによりワークピース部材は加工ビームによって部分的にのみ切り取られ、ワークピース部材はワークピースに依然として接続されている。好適には、ワークピース部材は、加工ビームによって切り離される(すなわち、完全に切り取られる)。切断ギャップは様々な区分に分割することができ、これらの区分は相前後して製作され、切断ギャップを例えば連続的に延長する。
【0016】
ワークピースから少なくとも1つのワークピース部材が完全に切り取られる(すなわち、切り離される)と、残りのワークピースは、通常は「残留格子」と呼ばれる。本発明の概念では、少なくとも1つの切り取るべきワークピース部材が、少なくとも仮想的に除去される場合に、残っているワークピースを残留格子と記載する。本発明によれば、ワークピースの後加工は、ワークピース部材が部分的にのみ切り取られている場合に、すなわち完全には切り取られてない場合に行われる。記載を容易にするために、たとえワークピース部材がまだ切り離されていないとしても、少なくとも1つの切り取るべきワークピース部材の輪郭の内側の領域を有していない残っているワークピースは、残留格子と記載される。したがって、切断ギャップは、常に、互いに対向する2つの切断縁、すなわちワークピース部材側の切断縁と、残留格子側の切断縁とによって画定される。
【0017】
「切り取る」という用語は、本発明の概念では、ワークピースからのワークピース部材の完全な切り取りおよび部分的な切り取りの両方の意味を含む。部分的に切り取られたワークピース部材は、残りのワークピース(残留格子)に引き続き堅固に接続されており、すなわち、部分的に切り取られたワークピース部材はなお、ワークピースの堅固な構成部分である。本発明の概念では、部分的に切り取られたワークピース部材と残りのワークピース(残留格子)との接続は十分に剛性的であり、したがって、残りのワークピース(残留格子)に対する、部分的に切り取られたワークピース部材の位置変化は、ワークピースの後加工の際に生じないか、またはこの場合に生じる何らかの位置変化は問題にならないほど小さく、合理的に考えてワークピースの後加工における結果の考慮すべき変化とはならない。
【0018】
本発明によれば、部分的に切り取られたワークピース部材を含むワークピースが、切断線に沿って後加工される。部分的に切り取られたワークピース部材は、後加工の際に、1つ以上のいわゆるマイクロ接合部によってワークピースと接続されたままである。マイクロ接合部は、僅かな寸法のウェブであり、このようなマイクロ接合部は、ワークピース部材の輪郭に沿って典型的には、最大1.5mmの寸法を有している。好適には、部分的に切り取られたワークピース部材は、輪郭または切断線に沿って、好適には少なくとも2mmの、さらに好適には少なくとも3mmの、特に少なくとも5mmの寸法を有する領域を介して、ワークピースに接続されている。これは特に、0.5mm~30mmの範囲の薄板厚さを有する鋼板から成る従来のワークピースに対して該当する。マイクロ接合部は、通常、手動で(例えば、破断により)分離される。これとは相違して、部分的に切り取られたワークピース部材の、ワークピースからの切り離しは、好適には加工ビームによって行われる。
【0019】
本発明による方法では、ワークピースから製作すべきワークピース部材の輪郭の少なくとも一部に相当する切断線に沿って、ワークピースを分離する切断ギャップの少なくとも1つの区分(すなわち、1つ以上の区分)を、加工ビームによって生成する。好適には、切断線は、ワークピースから製作すべきワークピース部材の(完全な)輪郭に相当する。この場合、ワークピース部材は部分的にのみ切り取られ、すなわち、依然としてワークピース(残留格子)に堅固に接続されている。
【0020】
次いで、部分的に切り取られたワークピース部材を含むワークピース(すなわち、部分的に切り取られたワークピース部材および/または残留格子)の1回または複数回の後加工が加工ビームによって行われ、この場合、この後加工は、切断線に沿って延在する少なくとも1つの後加工区域の少なくとも1つの区分(すなわち、1つ以上の区分)で実施される。後加工の際、ワークピースは、非接合であると同時に非分離で後加工される。少なくとも1つの後加工区域が、切断線に沿って延在している。ワークピースの後加工が実施される少なくとも1つの区分は、切断ギャップが既に生成されていることを前提に、特に切断ギャップに沿って、または切断ギャップの一区分に沿って延在していてよい。基本的には、ワークピースの後加工は切断線に沿って行われる。
【0021】
切断線に沿った切断ギャップの生成は、1つ以上のステップで行うことができる。好適には、切断ギャップは、切断線に沿って区分ごとに生成され、すなわち、切断ギャップの複数の区分が生成されて、これらが共に補完し合って切断ギャップを形成するが、これは必須ではない。好適には、切断ギャップの既に形成された区分が、さらなる区分の生成の際に延長され、これにより切断ギャップは連続的に延長される。したがって、切断ギャップを区分ごとに生成する場合、ビームヘッドの移動運動ならびにワークピースの分離加工は継続的ではなく、好適には、ワークピースの1回または複数回の後加工によって少なくとも一度は中断される。
【0022】
切断ギャップの生成と同様に、ワークピースの後加工も区分ごとに行われてよく、すなわち、後加工は、相次いで、例えばワークピースの分離加工によって分離されて、少なくとも1つの後加工区域の複数の区分で行われてよい。ワークピースの複数回の後加工は、複数の様々な後加工区域で行われてもよい。本発明による方法では、ワークピースの後加工を、切断線に沿って、切断ギャップを有していないワークピースの領域でも、特にワークピース部材の切り離し直前に行うことができる。
【0023】
重要であるのは、ワークピース部材の領域におけるワークピースの後加工の際に、少なくとも1つのワークピース部材は、ワークピースから完全に切り取られているのではなく、部分的にのみ切り取られており、このとき、この部分的に切り取られたワークピース部材が残留格子に対して位置変化しないように、またはその位置変化が、後加工の際に合理的には考慮する必要のない程度に僅かであるように、ワークピースに堅固に(剛性的に)接続されているということである。ワークピースの後加工を、切断線に沿って、特に既に生成された切断ギャップに沿って、確実かつ安全に高い精度で行うことができるので、これは本発明の大きな利点である。これとは異なり、既に切り離されたワークピース部材の、残留格子に対する相対的な位置決めは、通常、規定することができず、したがって、ワークピース部材の後加工は、著しい不正確性を伴い、したがって、このようなやり方では、少なくとも、ワークピース部材の工業的な大量生産では使用できないほどの品質低下が生じる。これを回避するために、ワークピース部材の正確な位置決めのために相応な措置が必要となり、これは付加的な製造コストにつながる。さらに、ワークピース部材の製作時間も長くなる。
【0024】
本発明によれば、ワークピースは、部分的に切り取られたワークピース部材の切断線に沿って後加工される。ワークピースの後加工は、ワークピース部材自体の後加工を、すなわち、ワークピース部材に所属の、切断線の一方の側に位置している、ワークピースの領域の後加工を含む。好適には切断線(輪郭)が閉じられている場合は、ワークピース部材は閉じられた輪郭の内側に位置しており、すなわち閉じられた輪郭の内側の領域が後加工される。ワークピースの後加工は、残留格子の後加工も、すなわち、ワークピース部材に所属していない、切断線の他方の側に位置している、ワークピースの領域の後加工も含む。好適には、切断線(輪郭)が閉じられている場合は、閉じられた輪郭の外側の領域が後加工される。切断線が閉じられていない場合には、このことは相応に当てはまり、この場合、ワークピースの後加工は、切断線の両側で行われてよい。この場合、重要であるのは、後加工がワークピース部材自体に限定されるのではなく、(部分的に切り取られたワークピース部材を含む)残留格子にも後加工を行うことができるということである。これは、「ワークピースの後加工」という一般的な表現によって明確である。
【0025】
切断ギャップは切断線に沿って生成され、切断ギャップは完全な切断線にわたって延在する。ワークピース部材が完全に切り取られた(切り離された)場合、本発明によれば、切り離されたワークピース部材の後加工も、残っている残留格子(すなわち、切り離されたワークピース部材を有していない残留格子)の後加工も行われない。したがって、ワークピースの後加工は、引き続き切り取られるべきワークピース部材の切断線に沿って、常に行われ、特に、既に生成されているならば切断ギャップにも沿って行われる。
【0026】
加工ビームは、ワークピースの後加工の際には、ワークピースを分離加工するために使用される第1の出力密度よりも低い第2の出力密度を有しており、この場合、ワークピースは非接合であると同時に非分離に後加工される。すなわち、既に切断ギャップが生成された場合は、ワークピースの後加工の際に、部分的に切り取られたワークピース部材が、切断ギャップを越えて再び残留格子に接続されることはない。同様に、ワークピースの後加工の際には、ワークピースの分離は行われない。
【0027】
後加工の際には、切断ビームではなく、その出力密度によって後加工ビームである加工ビームが、後加工線に沿ってガイドされる。後加工線は、予め規定されたまたは予め規定可能な(仮想の)線または軌道であり、この線または軌道に沿って加工ビーム、または加工ビームをガイドするためのビームヘッドがガイドされる。
【0028】
ワークピースの後加工は、切断線に沿って延在する少なくとも後加工区域の少なくとも1つの区分において行われる。少なくとも1つの後加工区域は、加工ビームによる照射により生じる。典型的には、後加工区域は、ビームの拡張により、(仮想の)後加工線よりも幅が広い。
【0029】
後加工線と切断線とは同一であり得る。代替的に、後加工線は、切断線と同一ではない。例えば、後加工線は、切断線に対して側方にずらされて配置されており、この場合、後加工線は好適には、切断線に対して、垂直方向の(最短の)一定の間隔を有しており、すなわち後加工線と切断線とは等距離の線である。
【0030】
本発明による方法の特に好適な構成によれば、部分的に切り取られたワークピース部材は、切断線に沿ったワークピースの1回または複数回の後加工の後、加工ビームによって切り離される(すなわち、完全に切り取られる)。
【0031】
本発明による方法の特に好適な構成によれば、切断ギャップは区分ごとに生成され、この場合、切断ギャップの少なくとも2つの区分が、好適にはより多数の区分が生成されて、これらの区分は共に切断ギャップを形成する。したがって、ビームヘッドの移動運動およびワークピースの分離加工は、少なくとも1回は中断される。
【0032】
好適には、ワークピースは、切断ギャップの2つの区分を生成する間に、少なくとも1つの後加工区域の少なくとも1つの区分において、1回または複数回、後加工される。特に好適には、ワークピースは、事前に生成された、例えば直前に生成された、切断ギャップの区分に、少なくとも部分的に、特に完全に沿って延在する、少なくとも1つの後加工区域の1つの区分で、1回または複数回、後加工される。切断ギャップの、事前に生成された複数の区分、またはその一部に沿ってワークピースを後加工することもできる。切断ギャップの区分の間に、マイクロ接合部(すなわち、切断ギャップの最小限の中断部)が残されていてもよい。
【0033】
例えば、ワークピースの後加工は、切断ギャップが区分ごとに生成される場合は、それぞれ事前に(例えば直前に)生成された切断ギャップの区分のみに沿って行われ、この場合、切断ギャップの、直接隣接する2つの区分の生成は、それぞれ、切断ギャップの事前に(例えば直前に)生成された区分に沿ったワークピースの少なくとも1回の後加工により中断される。少なくとも1つの後加工区域の、後加工が行われる区分は、切断ギャップの、完全な(直前に生成された)区分に沿って、またはその一部のみに沿って延在していてよい。複数回の後加工が行われる場合は、これらの複数回の後加工は、互いに異なる複数の後加工区域で行われてよい。典型的には、ビームヘッドは、ワークピースの2つの分離加工の間に移動して、このような移動運動の間、加工ビームは好適にはオフにされる。ビームヘッドは、この場合、ワークピース上方も、特に、ワークピース部材の輪郭の内側も移動することができる。例えば、ビームヘッドは、切断ギャップの1つの区分を生成する際に、それぞれ第1の切断位置から、それぞれ第2の切断位置へと移動する。次いで、ビームヘッドは、切断ギャップの生成された区分に沿ってワークピースを後加工するために、それぞれ第1の後加工位置から、それぞれ第2の後加工位置へと移動する。第1の後加工位置は、第1の切断位置に一致していてもよいし、異なっていてもよい。第2の後加工位置は、第2の切断位置に一致していてもよいし、異なっていてもよい。
【0034】
ワークピースは、切断ギャップの1つの完全な区分に沿って、1回または複数回、後加工されてよい。しかしながら、ワークピースは、切断ギャップの区分の一部の内側でのみ、1回または複数回、後加工されてもよい。
【0035】
少なくとも部分的に切断ギャップの区分を有していない、特に好適には、切断ギャップの1つの区分に沿って延在する、後加工区域の区分における後加工の継続的な延長部における、後加工区域の1つの区分においてワークピースを後加工するならば、好適であり得る。したがって、ワークピースを、切断ギャップを越えて切断線に沿って、特に、切断ギャップがまだ生成されていないワークピースの領域で、特に好適には、ワークピース部材と残留格子との間の接続ウェブ(例えば、マイクロ接合部)におけるワークピースの切り離し直前に、さらに後加工することができ、この場合、ワークピース部材は、接続ウェブの分離により切り離される、または手動で破断される。後加工後は、部分的に切り取られたワークピースを、好適には加工ビームによる接続ウェブの分離によっても切り離すことができる。このような措置は、ワークピースを完全な(閉じられた)切断線に沿って1回または複数回、後加工することができるという特別な利点を有しており、すなわち、好適には加工ビームによってのちに切り離されるワークピース部材は、その完全な輪郭にわたって、1回または複数回の後加工を含む。相応して、残留格子に、完全な切断ギャップに沿って、1回または複数回の後加工を行うことができる。これは、製品部分の内側で、中断部を製作する場合に特に好適であり、この場合、後加工は、破断部の切断縁に沿って全周にわたって行われてよい。発明者の実験が示したように、このような措置により、後加工では特に満足のいく成果を得ることができる。これは、本発明による方法の大きな利点である。
【0036】
説明したように、切断ギャップを区分ごとに生成する場合は、切断ギャップの複数の区分が生成され、この場合、ワークピースの分離加工は、好適には少なくとも1回、特に複数回中断されて、特に切断ギャップの、または切断ギャップの一部の切断線に沿って、ワークピースの1回または複数回の後加工が実施される。好適には、切断ギャップの最後に生成される区分は、切断ギャップの事前に生成されたそれぞれ他の区分の各長さよりも小さい、切断線に沿って寸法設定された長さを有している。例えば、切断ギャップの、連続して生成される区分の長さは、ワークピース部材の切り離し点を起点として見て、切断ギャップを生成する方向に反して減少しない。ワークピースの後加工は、ワークピース部材がまだワークピースに堅固に接続されている場合にのみ行われるので、このような措置により、特に好適には、ワークピースを、切断線の可能な限り大きな部分に沿って後加工することができる。したがって、部分的に切り取られたワークピース部材をまだワークピースに接続している、ワークピースの後加工されていない部分は、切断ギャップに沿って加工された部分と比較して小さい。
【0037】
本発明による方法の別の好適な構成によれば、少なくとも1つの後加工区域の少なくとも1つの区分におけるワークピースの後加工の前に、付着防止剤から成る層を、少なくとも後加工区域において、ワークピース上に設ける。この付着防止層は、後加工の際に生じる、溶融物またはスラグのような物質の付着を阻止するように形成されている。付着防止層は、この目的で、分離剤、例えばオイルを含んでいる。
【0038】
基本的に、後加工線は、切断線とは異なる延在を有していてよい。本発明の1つの構成によれば、ワークピースの後加工の際に、切断線の少なくとも1つの区分に沿って蛇行状の動きで、加工ビームがガイドされる。好適には、後加工線は、切断線に沿って蛇行状の延在を有しており、これにより、簡単に、後加工区域の拡張が可能である。このように生成された後加工区域は、引き続き、切断線に沿って延在している。「蛇行状の延在」という表現は、一般的に理解される。蛇行状の延在には、切断線に対して垂直な、互いに逆方向に向けられた運動成分を含む加工ビームの往復運動を有する加工ビームのすべての運動が含まれる。好適には、互いに逆方向に向けられた運動成分は同じ大きさを有しており、したがって蛇行状の延在は均一であるが、これは必須ではない。例えば、蛇行状の延在は正弦曲線状に形成されている。
【0039】
本発明による方法は、切断ギャップの少なくとも1つの区分の生成後の、少なくとも1つの後加工区域の少なくとも1つの区分におけるワークピースの1回または複数回の後加工を含んでいる。後加工区域の少なくとも1つの区分におけるワークピースの、初回の、特にかつ唯一の後加工の際でも、後加工線は、好適には、ワークピースが、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁を含む領域および/または切断ギャップの残留格子側の切断縁を含む領域において、加工ビームによって照射されるような延在を有している。好適には、一方の切断縁の後加工が行われ、この場合、それぞれ他方の切断縁も共に照射される。
【0040】
本発明の概念において、「切断縁」の表現は、共に切断ギャップを形成する、残留格子およびワークピース部材の互いに向かい合う両(横断)面を意味する。典型的には、切断縁は、板状の(平坦な)ワークピースの平面に対して垂直、または管状のワークピースの切断ギャップの領域における接平面に対して垂直である。「残留格子」の概念の本発明による使用と同様に、部分的に切り取られたワークピース部材の切断縁に対向する、ワークピースの切断縁は、ワークピース部材が完全に切り取られているのではなく、部分的にしか切り取られていないにもかかわらず、「残留格子側の切断縁」と呼ばれる。各切断縁のほかに、後加工される領域は、切断縁に対して横方向に延在するワークピースの区分を有していてもよい。しかしながら、切断縁の部分ではない、ワークピースの別の区分を照射せずに、もっぱら切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁のみを後加工することもできる。
【0041】
本発明の構成によれば、少なくとも1つの後加工区域の少なくとも1つの区分におけるワークピースの後加工の際に、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または切断ギャップの残留格子側の切断縁が含まれている。
【0042】
好適には、少なくとも1つの後加工区域の少なくとも1つの区分におけるワークピースの複数回の後加工が行われるが、これは必須ではない。好適には、後加工区域は、初回の後加工の際に、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁を含んでいる。後続の後加工で、後加工区域は、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁を含んでいてよく、この場合も同様に、後加工区域が、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側切断縁を含んでいなくてもよい。例えば、初回の後加工は、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁を含む後加工区域において、または後加工区域の一区分において行われ、それぞれさらなる後加工では、切断縁は、後加工区域にまたは後加工区域の区分に含まれない。このような構成は、切断ギャップに面取部を生成する場合に特に好適である。特に、面取部は、後加工された切断縁を起点として生成され得る。少なくとも1回の後続の後加工では、切断縁をそれ以上、共に照射する必要はなく、加工ビームは、例えば面取部を拡大するために、切断縁から離れる方向で、ワークピース部材または残留格子内へとさらにずらされてよい。
【0043】
複数回の後加工が行われる場合には、後続の後加工の後加工区域は、好適には、先行する後加工の後加工区域を少なくとも部分的に含む。
【0044】
複数回の後加工が行われる場合には、同じまたは異なる後加工線、および/または加工ビームの同じまたは異なる出力密度が使用されてよい。本発明による方法の1つの構成では、後加工区域の同じ区分で実施される少なくとも2回の後加工は、異なる後加工線および/または加工ビームの異なる出力密度を有している。
【0045】
ワークピースの後加工のための方向は、切断ギャップを生成する方向と同じであってよい、または逆であってよい。
【0046】
加工ビームのビーム軸線は、ワークピースの分離の際には、好適には常に、板状または管状のワークピースに対して垂直にまたはワークピース表面に対して常に垂直に向けられているが、このビーム軸線が垂直ではないことも考えられる。加工ビームのビーム軸線は、ワークピースの後加工の際には、好適には常に、板状または管状のワークピースに対して垂直にまたはワークピース表面に対して常に垂直に向けられているが、このビーム軸線が垂直ではないことも考えられる。
【0047】
加工ビームの「向き」とは、加工ビームの、ワークピースに衝突するビーム円錐の中心ビーム(すなわち、ビーム軸線)と、ワークピースの平坦なワークピース表面との間の角度であると理解されたい。管状のワークピースの場合、ビーム軸線の衝突点におけるワークピース表面に対する接平面が考慮される。加工ビームの垂直の向きでは、ビーム軸線とワークピース表面との間の角度は90°である。
【0048】
本発明による方法の好適な構成によれば、後加工のためにワークピースを照射する際の加工ビームの向きは常に不変であり、切断ギャップを生成するためにワークピースを照射する際の加工ビームの常に不変の向きと同じである。好適には、加工ビームは、ワークピースの分離および後加工の際に、ワークピース表面に対して常に垂直に向けられている。したがって、加工ビームのビーム軸線は、切断ギャップの生成の際および後加工の際に不変に維持される。このような措置により、ワークピースの加工を、制御技術的観点で著しく簡単にすることができる。さらに、ワークピースに対するビームヘッドおよび/または加工ビームの相応の旋回機能の技術的実装のためのコストを削減することができる。
【0049】
本発明による方法の代替的な構成によれば、ワークピースの後加工のためにワークピースを照射する際の加工ビームの向きは、ワークピースの分離の際の加工ビームの向きと少なくとも時間ごとに異なっている。特に、後加工の際のビーム軸線は、少なくとも時間ごとに、ワークピース表面に対して90°とは異なる角度をとっていてよい。加工ビームの方向付けは、ビームヘッドの旋回機能によって(機械的に)かつ/または加工ビームの旋回性によって(光学的に)行うことができる。
【0050】
ワークピースの分離の際には、加工ビームまたはそのビーム軸線は、切断線に沿ってガイドされる。したがって、切断線は、切り取るべきワークピース部材のための切断ギャップを生成する際のワークピース表面上の加工ビームの経路を規定する。後加工の際には、加工ビームまたはそのビーム軸線は、後加工線に沿ってガイドされる。したがって、後加工線は、切断ギャップに沿って行うワークピースの後加工の際の、ワークピース表面上の加工ビームの経路を規定する。後加工区域は、後加工の際に照射されるワークピースの領域により生じる。
【0051】
加工ビームは、ビームヘッドの移動により、かつ/またはワークピース表面に対するビームヘッドの向きの変更(ビームヘッドの旋回)により、かつ/またはビームヘッドに対するビーム方向の変更(向きが不変のビームヘッドに対する加工ビームの光学的旋回)により、制御することができる。好適には、加工ビームの制御は、ビームヘッドの移動によってのみ行われ、この場合、ワークピースのビーム加工(分離加工および後加工)の際に、ワークピース表面に対するビームヘッドの向き、およびビームヘッドに対する加工ビームの向きは不変に維持され、したがって手間およびコストのかかる技術的な装備が回避される。
【0052】
本発明による方法の1つの構成によれば、後加工線と切断線との間の間隔は(後加工線は好適には切断線に対して等距離にずらされている)、最大で、ワークピース表面における加工ビームのビーム円錐の半径に、切断ギャップのギャップ幅の半分を加算したものである。しかしながら、例えば、面取部を多段階的に製作する場合に、後続の後加工における後加工線が、先行する後加工の後加工線よりも、切断ギャップから遠くに配置されている場合には、後加工線と切断線との間の間隔は、より大きくてもよい。面取部を多段階的に製作する場合、初回の後加工の際の後加工区域は、少なくとも1つの切断縁を含んでおり、この場合、少なくとも1回の後続の後加工の際の後加工区域は、好適には切断縁を含んでいない。
【0053】
例えば、後加工の間のビームヘッドの移動曲線は、分離の間のビームヘッドの移動曲線に対して、(特に等距離で)側方にずらされている。後加工の際のビームヘッドの移動曲線と、分離の際のビームヘッドの移動曲線とは、平行な延在を有していてよい。
【0054】
ワークピースの後加工の際には、加工ビームが、第1の出力密度とは異なる第2の出力密度を有しており、この第2の出力密度は、ワークピースの非接合であると同時に非分離の(しかしながら、場合によっては再溶融が生じる)後加工が行われるように算定されている。すなわち、後加工では、部分的に切り取られたワークピース部材とワークピース(残留格子)との間の結合が切断ギャップを越えて形成されることはなく、ワークピースの分離も行われない。この場合、プロセスガスの影響が考慮され、本発明によれば、加工ビームの出力密度とは、ワークピースによって吸収される出力密度であると理解されてよい。出力密度または吸収される出力密度の変更は、様々な措置によって行うことができ、特に、加工ビームのエネルギの変更、ビーム焦点の変更、ビームヘッドからワークピース表面までの距離の変更、プロセスガスの種類および/またはパラメータの変更等によって行うことができる。当業者には出力密度の変更のための措置がよく知られているので、ここではそれについて詳しく説明する必要はない。好適には、出力密度は、もっぱら、ビームヘッドとワークピース表面との間の垂直な距離の変更により変更される。
【0055】
例えば、第2の出力密度は、第1の出力密度の50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、または1%未満である。
【0056】
板状または管状のワークピースをビーム加工するための本発明による方法では、ワークピースの後加工を様々な形式で行うことができ、後加工の形式に応じて、後加工線および加工ビームの第2の出力密度が適切に選択される。本発明による方法は、多数の様々な後加工のために好適に利用することができ、そのうちの7つの使用例を以下に例として記載する。
【0057】
第1の使用例では、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁から酸化物層が除去される。これにより、好適には、完全に切り取られたワークピース部材における酸化物層の除去を省くことができる。場合によっては、照射領域を切断縁に限定することができる。
【0058】
第2の使用例では、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁からバリ(例えば、微細なバリ)が除去される。バリは、しばしば、ワークピース表面に隣接して(加工ビーム側に)、かつ/またはワークピース下面に隣接して(加工ビームとは反対側に)存在している。場合によっては、照射領域を切断縁に限定することができる。
【0059】
第3の使用例では、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁が(再溶融によって)丸み付けされる。この場合、後加工線を、切断線に対して、加工すべき切断縁の方向に側方へ、好適には最大で、ワークピース表面における加工ビームのビーム円錐の半径に切断ギャップ幅の半分を加算した分だけ、ずらすことができる。
【0060】
第4の使用例では、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁の形状が(再溶融によって)変更され、例えば、接合プロセスを改善するために、例えば平滑化または粗面化される。
【0061】
第5の使用例では、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁に面取部が生成される。これは、複数のステップで行われてもよく、好適な構成によれば、それぞれ後続の後加工における後加工線は、所属の切断縁からさらに遠くに配置される。
【0062】
第6の使用例では、ワークピースは、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁を含む領域、および/または切断ギャップの残留格子側の切断縁を含む領域で熱処理され、例えば、硬化または軟化焼鈍される。これは複数のステップで行われてもよく、好適な構成によれば、それぞれ後続の後加工における後加工線は、所属の切断縁からさらに遠くに配置される。
【0063】
第7の使用例では、ワークピース部材側の切断縁、および/またはワークピース部材側の切断縁を含む、部分的に切り取られたワークピース部材の領域に、かつ/または切断ギャップの残留格子側の切断縁、および/または残留格子側の切断縁を含む、残留格子の領域に、後加工の際に、コーティング(例えば、亜鉛コーティング)が設けられる。これは、コーティングを生成する物質(例えば、亜鉛)を第2のプロセスガスビームに添加することによって簡単に行うことができる。第2のプロセスガスビームは、加工ビームに対して好適には同軸にガイドされる(第1の)プロセスガスビームとは異なる。場合によっては、第2のプロセスガスビームによる照射領域を、切断縁に限定することができる。コーティングは、複数のステップで行われてもよく、好適な構成によれば、それぞれ後続の後加工における後加工線は、所属の切断縁からさらに遠くに配置される。このような措置により、特に好適には、コーティングされたワークピースも、切断ビームによって熱的に分離するように加工することができる。完全に切り取られたワークピース部材の場合によっては行われるコーティングは不要である。
【0064】
ワークピースをビーム加工するための本発明による方法は、上述した使用例に限定されるものではない。むしろ、本発明による方法を好適に利用することができる多数の別の使用例が考えられる。
【0065】
ワークピースを後加工する際には、上述した使用例ならびに別の使用例を、個々に、または任意の組み合わせで、実施することができる。
【0066】
ワークピースをビーム加工するための本発明による方法では、加工ビームはビームヘッドによってガイドされて、ビームノズル開口が設けられている端部側のビームノズルから出射する。必須ではないが典型的には、ビームノズルは、ワークピースまたはワークピース載置部に向かって円錐状に減径している。ビームノズル開口は、必須ではないが典型的には円形である。加工ビームは、必須ではないが典型的には、ワークピースに衝突するビーム円錐の形状で形成されている。典型的には、ビームヘッドは、(第1の)プロセスガスビームをガイドするためにも用いられ、プロセスガスビームは、必須ではないが典型的には、加工ビームと同じビームノズルから出射され、好適には、加工ビームと同軸にガイドされている。ビームヘッドのビームノズルから出る(第1の)プロセスガスビームは、必須ではないが典型的には、ワークピースに衝突するガス円錐の形状で形成されている。上述したように、ビームヘッドは、第1のプロセスガスビームとは異なる第2のプロセスガスビームをガイドするためにも使用することができ、第2のプロセスガスビームは、コーティング材料を搬送するために用いられ、加工ビームと同じ、ビームヘッドの穴からは出ない。
【0067】
ビームヘッドは、ワークピースに対して動かすことができる。典型的には、平坦なワークピース載置部上に載置されるワークピースは、ビームヘッドに対向する、例えば平坦なワークピース表面を有しており、このワークピース表面に対して、ワークピースの分離加工ならびに後加工のために加工ビームおよびプロセスガスビームを向けることができる。
【0068】
本発明はさらに、板状または管状のワークピースをビーム加工するための、ビームヘッドによってガイドされる加工ビームを含むビーム加工装置にまでおよび、このビーム加工装置は、上述した本発明による方法を実施するために(プログラム技術的に)調整されている、ワークピースのビーム加工を開ループ制御/閉ループ制御するための電子制御装置を有している。
【0069】
さらに本発明は、このようなビーム加工装置のための、データ処理に適した電子制御装置用のプログラムコードであって、上述した本発明による方法を制御装置に実行させる制御コマンドを含んでいる、プログラムコードにまで及ぶ。
【0070】
さらに本発明は、このようなビーム加工装置のための、データ処理に適した電子制御装置用のプログラムコードが記憶されたコンピュータプログラム製品(記憶媒体)であって、上述した本発明による方法を制御装置に実行させる制御コマンドを含んでいるプログラムコードが記憶された、コンピュータプログラム製品(記憶媒体)にまで及ぶ。
【0071】
本発明の上述した構成は、単独でまたは任意の組み合わせで、本発明の範囲を逸脱することなく利用できることを理解されたい。
【0072】
次に、本発明を、添付の図面を参照して、実施例に基づき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図2】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図3】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図4】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図5】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図6】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図7】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図8】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図9】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図10】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図11】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図12】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図13】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図14】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図15】ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。
図16】ワークピースを後加工するための1つの使用例を示す図である。
図17】ワークピースを後加工するための別の使用例を示す図である。
図18】ワークピースを後加工するためのさらに別の使用例を示す図である。
図19】ワークピースを後加工するためのさらに別の使用例を示す図である。
図20】ワークピースを後加工するためのさらに別の使用例を示す図である。
図21】ワークピースを後加工するためのさらに別の使用例を示す図である。
図22】ワークピースの複数回行われる後加工の1つの例を示す図である。
図23】ワークピースの複数回行われる後加工の1つの例を示す図である。
図24】ワークピースの複数回行われる後加工の1つの例を示す図である。
図25】ワークピースの複数回行われる後加工の1つの例を示す図である。
図26】ワークピースの複数回行われる後加工の別の例を示す図である。
図27】ワークピースの複数回行われる後加工の別の例を示す図である。
図28】ワークピースの複数回行われる後加工の別の例を示す図である。
図29】ワークピースをビーム加工するための本発明による方法を実施するための例示的なビーム加工装置を概略的に示す図である。
図30】本発明による方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
まず図29を参照すると、そこには、プレート状のワークピースをビーム切断するための公知のビーム加工装置が示されている。全体を符号1で示したビーム加工装置は、ビームヘッド3を備えたビーム切断装置2と、ワークピース9(図29には図示せず、図1図15参照)、例えば平たい鋼板のためのワークピース載置部5を備えた作業テーブル4とを含む。ワークピース載置部5の上方にはクロスメンバ6が跨設されており、このクロスメンバは、第1の軸線方向(x方向)に沿って移動可能にガイドされている。
【0075】
クロスメンバ6には、ビームヘッド3用のガイドキャリッジ7が取り付けられていて、このガイドキャリッジはクロスメンバ6に沿って、第1の軸線方向に対して垂直な第2の軸線方向(y方向)で移動可能にガイドされている。したがって、ビームヘッド3は、これら両軸線方向(x方向、y方向)によって規定される平面内で、例えば水平方向のワークピース載置部5に対して平行かつ相対的に移動することができる。さらに、ビームヘッド3は、第1の軸線方向および第2の軸線方向に対して垂直な第3の軸線方向(z方向)で高さ方向に移動可能に形成されており、これにより、ワークピース載置部5に対する垂直方向の間隔を変更することができる。ワークピース載置部5が水平方向の場合は、z方向は重力方向に相当する。ビームヘッド3は、ワークピース載置部5に面した側に、ワークピース載置部5に向かって円錐状に減径するビームノズル13を有している。ビームヘッド3は、加工ビーム、この場合、例えばレーザービームならびにプロセスガスビームをガイドするために用いられる。加工ビームは、加工ビーム源8により生成され、例えばビームガイド管と複数の変向ミラーまたはライトガイドケーブルによって、ビームヘッド3へとガイドされる。集束レンズまたは補償光学を介して、加工ビームは、集束された形態でワークピースへと向けることができる。第1の軸線方向(x方向)および第2の軸線方向(y方向)に沿った、ビームヘッド3の可動性に基づき、加工ビームは、ワークピースのあらゆる任意の点に移動することができる。z方向でのビームヘッド3の高さ方向可動性により、ワークピース表面に対する(垂直方向の)間隔を変更することにより、ワークピースに対するビームノズル13の作業間隔を調節することができる。ワークピース表面からビームヘッド3までの距離、特に切断高さは、切断プロセス前、切断プロセス中、および切断プロセス後に調節することができる。ワークピースの分離加工は、特に切断高さの範囲内で変更可能な切断高さをもって実施することができる。加工ビームの焦点位置は、ビームヘッド3内の光学要素、例えば補償光学を介して調節することができる。
【0076】
第1のプロセスガスビーム(詳しくは図示せず)は、溶融物を切口から排出するために用いられる。プロセスガスビームは、詳しくは図示されていないガスビーム発生装置によって生成される。不活性プロセスガスとして、例えば、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、または窒素(N)が使用される。反応性のプロセスガスとしては、通常酸素(O)が使用される。混合ガスの使用も公知である。プロセスガスビームは、加工ビーム16と同じビームノズル13から噴出し、例えば、加工ビーム16と同軸に加工個所へとガイドされ、そこで、ガスビーム発生装置によって予め規定された(初期の)ガス圧で、ワークピースのワークピース表面へと衝突する。
【0077】
図29に示したように、ワークピース載置部5は例えば、例えば三角形状に形成された支持点先端を備えた複数の載置エレメントから成っており、これら複数の載置エレメントは共に、加工すべきワークピース9のための1つの載置平面を画定する。載置エレメントは、この場合、例えば細長い載置ウェブとして形成されており、これらの載置ウェブはそれぞれ、y方向に延在し、例えば一定の中間間隔を置いて、x方向に沿って平行な配置で、互いに隣接して配置されている。ビーム切断中に生じる切断煙、スラグ粒子、および小さな廃棄部分を吸い込むことができる吸引装置は詳しくは図示されていない。
【0078】
プログラム制御された制御装置12は、ビーム加工装置1におけるワークピース9のビーム加工のための本発明による方法を開ループ制御/閉ループ制御するために機能する。
【0079】
次に、図1図15を参照するが、これらの図には、図29のビーム装置1によるワークピースのビーム加工のための例示的なプロセスが示されている。図1図15はそれぞれ、この順序で、この方法のその後の状態に対応している。
【0080】
まずは、切断線14(破線)が示されている図1を参照されたい。切断線14は、切り取られたワークピース部材11の完全な輪郭(アウトライン)に相当する仮想線である。この輪郭は、切り取るべきワークピース部材11の外側の形状を示している。ワークピース部材11は、詳しくは図示されていない板状または管状のワークピース9から完全に切り取られるべきもので、この場合、残留格子10が残る。ワークピース部材11はこの場合、例えば、丸みの付いた角を備えた長方形状であるが、ワークピース部材11はいかなる任意の形状も有してよいことを理解されたい。
【0081】
図2には、ビームヘッド3から出射する加工ビーム16、例えばレーザービームが概略的に示されている。加工ビーム16は切断線14に沿ってガイドされ、このとき、相応の出力密度で、ワークピース9からワークピース部材11を切り取るために、ワークピース9に切断ギャップ15が生成される。ビームヘッド3は、この目的で、切断線14の上方で、加工ビーム16のビーム軸線が、切断線14の切断位置Aに重なる位置へと移動している。図2に示されるように、ビームヘッド3は切断線14に沿って移動され、このとき、加工ビーム16は切断位置Aから切断位置Bへと動かされる。これにより、ワークピース9を貫通する切断ギャップ15(実線)が、切断位置Aと切断位置Bとの間に生成される。
【0082】
さらなる説明により明らかであるように、切断ギャップ15は区分ごとに生成され、この場合は、切断ギャップ15の第1の区分15-1がまずは生成される。切断ギャップ15の第1の区分15-1は、切断線14の第1の区分14-1に相応して生成される。もちろん、加工ビーム16は、切断線14から離れてワークピース9を貫通することもできるが、本発明では、切断ギャップ15は、ワークピース部材11の輪郭(切断線14)に沿ってのみ延在する。
【0083】
図3には、切断位置Aと切断位置Bとの間に切断ギャップ15の第1の区分15-1が完全に生成された状態が示されている。ワークピース9の分離加工はここで中断される。加工ビーム16はオフにされ、ビームヘッド3は、切断線14の切断位置Aの上方の位置へと移動する。図3に矢印で示したように、ビームヘッド3の移動運動は切断線14の内側で、すなわち切り取るべきワークピース部材11の上方で、切断線14の切断位置Bと切断位置Aとの間の直線に沿って行われる。切断位置Aは、後加工線18(図4参照)の第1の後加工位置に相当する。移動運動が、切り取るべきワークピース部材11の上方で行われないことも同様に可能である。
【0084】
図4に示したように、加工ビーム16は今や再びオンにされ、ビームヘッド3は後加工線18(破線)に沿って移動し、このとき、加工ビーム16は、切断位置Aに相当する第1の後加工位置から、切断位置Bに相当する第2の後加工位置へと移動する。この場合、後加工区域22の第1の区分22-1(概略的に実線によって示す)においてワークピース9の後加工が行われる。
【0085】
図5には、ワークピース9が、切断ギャップ15の完全な第1の区分15-1に沿って後加工された状態が示されている。後加工領域または後加工区域22の第1の区分22-1は、実線で概略的に示されている。切断ギャップ15の部分的な生成と同様に、後加工区域22も部分的に生成される。具体的には、ワークピース9が、後加工区域22の第1の区分22-1で後加工される。
【0086】
図4およびさらなる図5図15では、後加工線18および後加工区域22は、図示の都合上、それぞれ切断線14に対して等距離に平行にずらされて示されている。これは、所定の使用例に関しては、後加工線18の好適な位置決めにも相当する。ここに例として説明した後加工に関しては、後加工線18は、切断線14と同じであるのが望ましく、これは所定の使用例に関しては、後加工線18の等しい好適な位置決めに相当するが、図面では良好に示すことができない。
【0087】
もちろん、後加工区域22は、通常、その延在に対して垂直方向で、後加工線18よりも広い寸法を有しているが、このことは概略的な図面には図示されていない。後加工線18は、単にビームヘッド3の移動運動を示す。後加工区域22は、ビームによって後加工されたワークピース9の領域である。後加工線18は、切断線14に沿って延在している。したがって、一般的に、後加工区域22も切断線14に沿って延在している。しかしながら、後加工区域22は、切断線14および切断ギャップ15を含んでいなくてもよい。しかしながら、後加工区域22は、切断ギャップ15または切断ギャップ15の一区分を含むことができる。切断ギャップ15は、互いに対向する2つの切断縁19,19’によって画定される(図16以下参照)。
【0088】
後加工区域22の一区分における後加工は、それぞれ第1の後加工位置からそれぞれ第2の後加工位置へのビームヘッド3の移動により行われる。後加工区域22の各区分について、それぞれ第1の後加工位置と第2の後加工位置とが記載されている。
【0089】
図5に示したように、切断位置Bを起点として、ワークピース9はさらに分離加工され、この場合、既に生成された切断ギャップ15の第1の区分15-1が、切断位置Cまで延長される。
【0090】
図6には、切断位置Bと切断位置Cとの間に、切断線14の第2の区分14-2に沿って、切断ギャップ15のさらなるまたは第2の区分15-2が生成された状態が示されている。ワークピース9の分離加工はここで中断される。加工ビーム16はオフにされ、ビームヘッド3は、矢印で示したように、切断線14の切断位置Bの上方の位置へと移動する。切断位置Bは、後続の後加工のための、後加工線18の第1の後加工位置に相当する(図7参照)。
【0091】
図7に示したように、加工ビーム16は、再びオンにされ、ビームヘッド3は、後加工線18に沿って移動し、このとき、加工ビーム16は、切断位置Bに相当する第1の後加工位置から、切断位置Cに相当する第2の後加工位置へと移動する。
【0092】
図8には、ワークピース9が、切断位置Bに相当する第1の後加工位置と、切断位置Cに相当する第2の後加工位置との間で、切断ギャップ15の完全な第2の区分15-2に沿って、後加工区域22のさらなるまたは第2の区分22-2において後加工された状態が示されている。後加工区域22の第2の区分22-2は、後加工区域22のそれ以前に生成された第1の区分22-1を延長している。
【0093】
図8に示したように、次いで、切断位置Cを起点として、ワークピース9はさらに分離加工され、この場合、既に生成された切断ギャップ15の部分が、切断位置Dまで延長される。
【0094】
図9には、切断位置Cと切断位置Dとの間に、切断線14の第3の区分14-3に沿って、切断ギャップ15の第3の区分15-3が生成された状態が示されている。ワークピース9の分離加工はここで中断される。加工ビーム16はオフにされ、ビームヘッド3は、切断線14の切断位置Cの上方の位置へと移動する。切断位置Cは、後続の後加工のための、後加工線18の第1の後加工位置に相当する(図10参照)。切断ギャップ15の第3の区分15-3は、切断ギャップ15の第2の区分15-2を延長している。
【0095】
図10に示したように、加工ビーム16は再びオンにされ、ビームヘッド3は後加工線18に沿って移動し、このとき、加工ビーム16は、切断位置Cに相当する第1の後加工位置から、切断位置Dに相当する第2の後加工位置へと移動する。
【0096】
図11には、ワークピース9が、第1の後加工位置と第2の後加工位置との間で、切断ギャップ15の完全な第3の区分15-3に沿って、後加工区域22の第3の区分22-3において後加工された状態が示されている。後加工区域22の第3の区分22-3は、後加工区域22のそれ以前に生成された第2の区分22-2を延長している。
【0097】
図11に示したように、切断位置Dを起点として、ワークピース9はさらに分離加工され、この場合、既に生成された切断ギャップ15の部分が、切断位置Eまで延長される。
【0098】
図12には、切断位置Dと切断位置Eとの間に、切断線14の第4の区分14-4に沿って、切断ギャップ15の第4の区分15-4が生成された状態が示されている。ワークピース9の分離加工は中断される。切断ギャップ15の第4の区分15-4は、切断ギャップ15の第3の区分15-3を延長している。
【0099】
加工ビーム16はオフにされ、ビームヘッド3は、切断位置Dの上方の位置へと移動する。切断位置Dは、後続の後加工のための、後加工線18の第1の後加工位置に相当する(図13参照)。
【0100】
図13に示したように、加工ビーム16は再びオンにされ、ビームヘッド3は後加工線18に沿って移動し、このとき、加工ビーム16は、切断位置Dに相当する第1の後加工位置から、切断位置Eに相当する第2の後加工位置へと移動する。
【0101】
図14には、ワークピース9が、切断位置Dに相当する第1の後加工位置と、切断位置Eに相当する第2の後加工位置との間で、切断ギャップ15の完全な第4の区分15-4に沿って、後加工区域22の第4の区分22-4において後加工された状態が示されている。後加工区域22の第4の区分22-4は、後加工区域22のそれ以前に生成された第3の区分22-3を延長している。
【0102】
図14に示したように、次いで、切断位置Eを起点として、ワークピース9はさらに分離加工され、この場合、既に生成された切断ギャップ15の部分が、切断線14の第5の区分14-5に沿って切断位置Aまで延長される。これにより、切断ギャップ15が閉じられ、ワークピース部材11は残留格子10から切り離され、したがって取り外すことができる。切り離されたワークピース部材11では、本発明によれば後加工が行われないので、切り離されたワークピース部材11のさらなる後加工は行われない。この場合、切断ギャップ15の第4の区分15-4を延長する、切断ギャップ15の第5の区分15-5が生成される。
【0103】
しかしながら、図1図15に例として示した方法の特に好適な態様では、後加工区域22の第4の区分22-4におけるワークピース9の後加工後に、切断ギャップ15の第5の区分15-5を生成するよりも前に、すなわち、ワークピース部材11の切り離し前に、切断位置EとAとの間で(図14参照)、切断線14の第5の区分14-5に沿ってワークピース9のさらなる後加工が行われる。このことは、図14への描き込みにより概略的に示されている。この場合、後加工区域22の延長された第4の区分22-4’は、切断位置A(第2の後加工位置)まで延在しており、これにより後加工区域22は、完全な切断線14に沿った閉じられた細長い領域として、すなわち、ワークピース部材11の完全な輪郭を取り囲む全周にわたって、延在している。特にこのような後加工が行われた場合、好適には、切断線14の第5の区分14-5の領域で、切断ギャップ15ののちに生成すべき一方の切断縁または両方の切断縁に面取部を生成することができる。次いで、切断ギャップ15の第5の区分15-5を生成することにより、ワークピース部材11は切り離される。
【0104】
すべての分離加工において、加工ビーム16は、ワークピース9が分離されるように算定された第1の出力密度を有している。第1の出力密度は様々な値を取ることができ、すなわち、第1の出力密度は一定の値である必要はない。すべての後加工において、加工ビーム16は、ワークピース9が接合も分離も行われないように算定された第2の出力密度を有している。これにより、ワークピース9は切断線14に沿って後加工される。第2の出力密度は様々な値を取ることができ、すなわち、第2の出力密度は一定の値である必要はない。
【0105】
加工ビーム16のビーム軸線は、例えば、円錐状のビームノズル13に対して軸平行であって、ワークピース9に対して垂直に衝突する。すべての分離加工とすべての後加工とにおいて、加工ビーム16は、ワークピース表面17に対してそのビーム軸線の向きを変更することなく(例えば、90°で)ワークピース表面17に向けられる。
【0106】
後加工は、複数の形式で変更することができる。例えば、後加工線18を、切断線14に対して(例えば、等距離で)側方にずらして配置することができる。例えば、後加工区域22の区分22-1~22-4(22-4’)のそれぞれ第1の後加工位置とそれぞれ第2の後加工位置とを、ワークピース9が、切断線14の各区分14-1~14-5の一部のみに沿って、または切断ギャップ15の各区分15-1~15-5の一部のみに沿って後加工されるように、位置決めすることもできる。すなわち、後加工区域22の各区分22-1~22-4は、切断線14の所属の区分14-1~14-5の全長さにわたって、または切断ギャップ15の所属の区分15-1~15-5の全長さにわたって延在するのではない。例えば、後加工の方向は、切断ギャップ15を生成する方向の逆であってもよい。
【0107】
1つの構成によると、切断線14の各区分14-1~14-5には、1回だけの後加工を行うことができる。しかしながら、切断線14の1つの同じ部分または区分14-1~14-5に対して複数の後加工を施すこともできる。好適には、ワークピース9は、切断線14の1つの同じ部分または区分14-1~14-5の第1の後加工の際に、切断ギャップ15のワークピース部材側の切断縁19を含む領域および/または切断ギャップ15の残留格子側の切断縁19’を含む領域において、加工ビーム16によって照射される。例えば、切断縁19,19’の照射の際に、それぞれ対向する切断縁19’,19も共に照射される。
【0108】
特に図15から明らかであるように、最後の(第5の)分離手順では、先行するすべての分離工程で生成された切断ギャップ15の区分の各長さよりも短い長さである、切断ギャップ15の部分または区分15-5が生成される。このような措置によって好適には、後加工が施されない切断ギャップ15の部分を最小限にすることができる。分離手順で生成される切断ギャップ15の部分の長さは、ワークピース部材11の切り離し点を起点として、例えば連続的に増大していてもよい。代替的に、図14との関連で上述したように、ワークピース9には、ワークピース部材11を切り離す前に、ワークピース9が残留格子10にまだ接続されている領域で後加工を施すことができる。したがって、切断線14の最後の(第5の)区分14-5の後加工の際には、まずはワークピース9の後加工が行われ、次いで、ワークピース部材11を切り離すために、切断ギャップ15の(第5の)区分の生成が行われる。
【0109】
好適な態様では、後加工線18は、切断線14に沿って蛇行状の延在を有している。これにより、後加工区域22は、好適には、切断線14に対して垂直な方向で広げることができる。
【0110】
次に図16図21を参照するが、これらの図には、図1図15に示した方法におけるワークピース9の後加工のための様々な使用例が示されている。
【0111】
図16では、加工ビーム16による後加工において、切断ギャップ15のワークピース部材側の切断縁19と残留格子側の切断縁19’とから酸化物層が除去される。酸化物層は、ピーリングによって良好に除去することができる。加工ビーム16は、切断ギャップ15内に進入し、両切断縁19,19’が照射されるように集束されている。後加工線18は、切断線14と一致していてもよいし、異なっていてもよい。
【0112】
酸化物層の除去に続いて、または酸化物層の除去に対して代替的に、コーティング(例えば、亜鉛コーティング)を、切断ギャップ15のワークピース部材側の切断縁19および/または残留格子側の切断縁19’に施すことができる。これは図21に示されており、図21では、加工ビーム16に対して例えば同軸にガイドされた第2のプロセスガスビーム23が、このガス内部で搬送されるコーティング材料24(例えば、亜鉛)によって示されている。コーティング材料24は、例えば、両切断縁19,19’を好適には完全に照射する第2のプロセスガスビーム23に添加され、その結果、コーティング材料24がそこに堆積し、コーティングが形成される(例えば、亜鉛コーティング)。
【0113】
図17では、加工ビーム16による後加工において、ワークピース表面17に隣接する、ワークピース部材11のワークピース部材側の切断縁19が再溶融によって丸み付けされる。後加工線18は好適には、切断線14に対して(例えば、等距離で)側方にずらされて配置されており、この場合、後加工線18と切断線14との間の最大の間隔が、ワークピース表面17における加工ビーム16のビーム円錐の半径に、切断ギャップ15の切断ギャップ幅の半分を加算したものであると好適である。
【0114】
図18では、加工ビーム16による後加工において、ワークピース下面20に隣接するワークピース部材側の切断縁19の丸み付けと、ワークピース表面17に隣接する残留格子側の切断縁19’の平滑化とが同時に行われる。後加工線18は、切断線と同じであってよく、または切断線14に対して(例えば、等距離で)側方にずらされていてもよい。
【0115】
図19では、加工ビーム16による後加工において、ワークピース表面17に隣接する、ワークピース部材側の切断縁19に面取部21が設けられる。後加工線18は、切断線14に対して(例えば、等距離で)側方にずらされている。この場合、面取部21の生成は例えば、切断ギャップ15の同じ区分で実施される複数のステップまたは後加工手順によって行われる。第1の後加工手順では、ワークピース部材11は、ワークピース部材側の切断縁19を含む領域で照射される。後加工線18は切断線と同じであってよく、または切断線14に対して(例えば、等距離で)側方に、(ワークピース部材の方向へ)ずらされていてもよい。これは、場合によっては、1回または複数回繰り返されてよい。1回以上の後続の後加工では、面取部21をさらにワークピース部材側の切断縁19から離して生成するために、後加工線18はさらにワークピース部材11の方向に、またはワークピース部材11を越えてずらされる。この場合、ワークピース部材側の切断縁19は、それ以上一緒に照射されない。最初にワークピース部材11を、ワークピース部材側の切断縁19を含まない領域が照射されてから、後加工線18が切断ギャップ15の方向に徐々にずらされ、最終的にはワークピース部材側の切断縁19が共に照射されるように、照射することも考えられる。特に好適には、面取部21の生成の際に、加工ビーム16は切断線14に沿って蛇行状に動かされ、これにより面取部21の幅を拡大することができる。特に好適には、面取部21の生成のほか、切断縁の領域でワークピース9から酸化物が除去される。相応の面取部を、対向する側に、すなわち残留格子側の切断縁19’に形成することもできる。
【0116】
図20では、加工ビーム16による後加工において、ワークピース下面20に隣接するワークピース部材側の切断縁19と、ワークピース下面20に隣接する残留格子側の切断縁19’とから同時にそれぞれ、バリが除去される。後加工線18は、切断線14と一致していてもよいし、異なっていてもよい。加工ビーム16の集束位置は、両切断縁19,19’が相応に照射されるように調節される。
【0117】
様々な使用例は、個々に、または任意に組み合わせて行われてよく、この場合、このために、後加工区域22の少なくとも1つの同じ部分もしくは区分に沿って、または後加工区域全体に沿って、または切断ギャップ15の少なくとも1つの同じ部分もしくは区分に沿って、または切断ギャップ15全体に沿って、または切断線14の少なくとも1つの同じ部分もしくは区分に沿って、2回以上の後加工が実施される。
【0118】
様々な使用例は、ワークピース部材11の後加工が、ワークピース部材11がまだ残留格子10に接続されている領域で(切断線14の第5の区分14-5)、ワークピース部材の切り離しが行われる直前に行われる上述した態様でも想定されてよい。このような態様における特に好適な後加工は、例えば、残留格子側の切断縁19’における面取部の生成である。
【0119】
図22図25では、ワークピース9の例えば複数回行われる後加工が説明されている。これによると、まずは切断ギャップ15が生成される(図22)。次いで、ワークピース部材側の切断縁19に面取部21が生成される。この場合、後加工区域22は、最初の後加工の際に、ワークピース部材側の切断縁19を含んでいる(図23)。次いで、面取部21が拡大され、この場合、後加工区域22は、ワークピース部材側の切断縁19をもはや含んでいない(図24)。さらなる後加工において、先行する後加工において生じた付着物25、例えば酸化物が、ワークピース部材11から除去される(図25)。
【0120】
図22図25によって基本的に、特に初回ではない後加工において、後加工区域22が必ずしも切断縁19,19’を含んでいないことが明らかである。通常、後加工区域22は、少なくとも部分的に、先行する後加工区域22を含んでいる。
【0121】
図26図28では、例として、ワークピース9の複数回行われる別の後加工が説明されている。これによると、まずは、切断ギャップ15が生成される(図26)。次いで、ワークピース9には、切断ギャップ15の領域で、付着防止剤26、例えばオイルがコーティングされる。このようなコーティングは、付着防止剤26をビーム円錐状に、ワークピース9の方向に放出する付着防止剤ノズル27によって行われる(図27)。さらに、ワークピース部材側の切断縁19に面取部21が生成される(図28)。付着防止剤26によって、好適には、付着物25(例えば、スラグ、溶融物)を回避することができる。このことは図28に概略的に示されている。
【0122】
図30には、本発明による方法のフローチャートが示されている。
【0123】
この方法は、ワークピースから製作すべきワークピース部材の輪郭の少なくとも一部に相当する切断線に沿って、ワークピースを分離する切断ギャップの少なくとも1つの区分を、加工ビームによって生成するステップ(ステップI)を含む。さらに、この方法は、切断線に沿って延在する少なくとも1つの後加工区域の少なくとも1つの区分において、部分的に切り取られたワークピース部材を含むワークピースを、加工ビームによって1回または複数回、後加工するステップを含み、この場合、ワークピースは、後加工区域で、非接合かつ非分離に後加工されるステップ(ステップII)を含む。
【0124】
上述したように、本発明は、板状または管状のワークピースのビーム加工のための新規の方法を提供し、これによりワークピース部材は部分的にまたは完全に切り取られ、まだ切り離されていない(すなわち、完全には切り取られていない)ワークピース部材および/または残留格子には、切断線に沿って、場合によっては切断ギャップに沿って、加工ビームによって少なくとも1回の後加工が施される。これにより、切り離されたワークピース部材の機械的な後加工を省くことができ、したがって、ワークピース部材の製造を、より簡単、迅速、かつ安価に行うことができる。特に好適には、部分的に切り取られたワークピース部材と、残っているワークピースとの間の、剛性的で固定された位置によって、部分的に切り取られたワークピース部材の特に正確な後加工を簡単に行うことができるので、高い品質要件を満たすことができる。既存のビーム加工装置における本発明による方法の実施は、このために手間のかかる技術的な措置を行う必要なく、簡単に可能である。むしろ、まだ残留格子に接続されているワークピース部材または残留格子自体の所望の後加工を、機械制御装置に介入するだけで、本発明による方法によって実現することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 ビーム加工装置
2 ビーム切断装置
3 ビームヘッド
4 作業テーブル
5 ワークピース載置部
6 クロスメンバ
7 ガイドキャリッジ
8 加工ビーム源
9 ワークピース
10 残留格子
11 ワークピース部材
12 制御装置
13 ビームノズル
14 切断線
14-1,14-2,14-3,14-4,14-5 切断線の区分
15 切断ギャップ
15-1,15-2,15-3,15-4,15-5 切断ギャップの区分
16 加工ビーム
17 ワークピース表面
18 後加工線
19,19’ 切断縁
20 ワークピース下面
21 面取部
22 後加工区域
22-1,22-2,22-3,22-4,22-4’ 後加工区域の区分
23 第2のプロセスガスビーム
24 コーティング材料
25 付着物
26 付着防止剤
27 付着防止剤ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【国際調査報告】