(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-06
(54)【発明の名称】ベバシズマブの眼科の組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220929BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220929BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220929BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20220929BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220929BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220929BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220929BHJP
A61P 33/02 20060101ALI20220929BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220929BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220929BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20220929BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P27/02
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/26
A61K47/36
A61P33/02
A61P35/00
A61P3/10
A61P27/06
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506724
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 IN2020050677
(87)【国際公開番号】W WO2021019576
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】201921017385
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522043161
【氏名又は名称】ジェノバ バイオファーマシューティカルズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GENNOVA BIOPHARMACEUTICALS LIMITED
【住所又は居所原語表記】Block1,Plot No.P-1&P-2,I.T.B.T.Park,Phase II,MIDC,Hinjawadi,411057 Pune-Maharashtra,INDIA
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ガリマ,クシャル
(72)【発明者】
【氏名】カヴィラジュ,スワルネンドゥ
(72)【発明者】
【氏名】ラグワンシ,アルジュン
(72)【発明者】
【氏名】シン,サンジャイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076BB11
4C076BB24
4C076CC10
4C076DD07
4C076DD26Z
4C076DD38Q
4C076DD38Z
4C076DD41Z
4C076DD42Z
4C076DD43Z
4C076DD46
4C076DD51Z
4C076DD67Q
4C076EE30Q
4C076EE38Q
4C076FF36
4C076FF43
4C076FF61
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB31
4C085CC05
4C085DD61
4C085EE01
4C085GG01
(57)【要約】
本発明は、貯蔵寿命の間の投与のための、安全で、無毒で、有効な、単回使用予備充填シリンジにおける、ベバシズマブの眼科の組成物に関係し、眼科の溶液が、有意に減少された内毒素レベルとともに、および生成物の2年間の貯蔵寿命の間、硝子体内使用のために好適である低い凝集物レベルとともに、肉眼で見えない粒子状物質の数に関して、制御されることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベバシズマブの眼科の組成物;
a.ここで、細菌内毒素試験(BET)の制限は、0.001~0.4EU/mgの範囲、および、好ましくは0.001~0.2Eu/mgの範囲、および、より好ましくは、0.001~0.16Eu/mgの範囲である;
b.ここで、粒子状物質は、以下である;
iv.mlあたり1~50の粒子≧直径10μm
v.mlあたり0~5の粒子≧直径25μm、および、
vi.mlあたり0~2の粒子≧直径50μm;ならびに;
c.ここで、組成物は、2~3年間、好ましくは2~2.5年間、最も好ましくは2年間の間、0.1~5%、より好ましくは0.1~4%、および最も好ましくは0.1~3.5%の凝集物を、有する。
【請求項2】
以下のステップを含む請求項1に記載の眼科の組成物を調製するプロセス:
i.CHO細胞の連続発酵方法によってベバシズマブの細胞を培養すること;
ii.さらなる清澄化のため、CHO細胞培養から得られた無細胞収穫を、吸着ベースの深部ろ過に付すこと;
iii.シングルパスタンジェンシャルフローろ過を使用してステップ(ii)の試料を濃縮して、濃縮された収穫を得ること;
iv.ステップ(iii)の濃縮された収穫を、プロテインAクロマトグラフィーに付して、ベバシズマブを捕獲して、部分的に精製されたベバシズマブを含有する溶出液を得ること;
v.ステップ(iv)の溶出液を、低pHウイルス不活化に付し、ウイルスの不活化試料を得ること;
vi.追加の精製のために、ステップ(v)のウイルス不活化試料を、さらなるカチオン交換クロマトグラフィーに付して、主に高度に精製されたベバシズマブを含有する溶出液を得ること;
vii.ステップ(vi)の溶出液を、アニオン交換クロマトグラフィーに付して、トレース不純物、例として、宿主細胞タンパク質(HCP)、宿主細胞DNA(HCD)、内毒素を取り除くこと;
viii.ステップ(vii)の溶出液を、ウイルス減少ろ過およびウイルスの完全な除去に付すこと;
ix.ステップ(viii)の試料を濃縮し血液透析濾過して、ベバシズマブを得ること;
および;
x.ステップ(ix)から得られた試料を製剤化して、本発明のベバシズマブの組成物を達成すること。
【請求項3】
弱いウイルス不活化が、pH3.0~5.0の範囲、好ましくは3.0~4.0の範囲、最も好ましくは、3.5~4.0の範囲におけるpHで、実行される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
カチオン交換クロマトグラフィーの固定相が、SO
3-スルホニルイソブチル、SO
3-スルホエチル、スルホプロピル、カルボキシメチル、好ましくはスルホナートを含む群から選択され、およびアニオン交換クロマトグラフィーの固定相が、ジエチルアミノエチル、クオタナリアミン、ポリクオタニウム、N-ベンジル-Nメチルエタノールアミンを含む群から選択され、好ましくはクオタナリアミンであり、および、血液透析ろ過が、TFF-II血液透析ろ過緩衝液の存在において実行される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
請求項2に記載のプロセスによって生成される眼科の組成物、
a.ここで、細菌内毒素試験(BET)の制限は、0.001~0.4Eu/mgの範囲、および、好ましくは0.001~0.2Eu/mgの範囲、および、より好ましくは、0.001~0.16Eu/mgの範囲である;
b.ここで、粒子状物質は、以下である;
i.mlあたり1~50の粒子≧直径10μm、
ii.mlあたり0~5の粒子≧直径25μm、および、
iii.mlあたり0~2の粒子≧直径50μm;
c.ここで、組成物は、2~3年間、好ましくは2~2.5年間、最も好ましくは2年間の間、0.1~5%、より好ましくは0.1~4%、および最も好ましくは0.1~3.5%の凝集物を、有する。
【請求項6】
組成物が、ベバシズマブ、緩衝液、安定剤、および界面活性剤を含む、請求項1に記載の眼科の組成物。
【請求項7】
組成物中のベバシズマブの濃度が、24mg/ml~26mg/mlの範囲、好ましくは25mg/ml~26mg/mlの範囲、より好ましくは25mg/mlである、請求項6に記載の眼科の組成物。
【請求項8】
緩衝液が、ホスファート、シトラート、アセタート、ヒスチジン、スクシナート、グルコナート、グリシンを含む群から選択され、より好ましくはホスファート緩衝液であり、および、40mM~60mM、より好ましくは50mM~60mMの範囲の濃度であり、および、pHが、6.0~7.0、より好ましくは6.1~6.3の範囲である、請求項6に記載の眼科の組成物。
【請求項9】
安定剤が、単糖類、二糖類、三糖類、多糖類、糖アルコール、還元糖、非還元糖から選択される糖であり、好ましくは、糖が、グルコース、スクロース、トレハロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、デキストラン、グリセリン、デキストラン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、シリトール、ソルビトール、マンニトール、メリビオース、メレチトース、ラフィノース、マンノトリオース、スタキオース、マルトース、ラクツロース、マルツロース、グルシトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルツロース、より好ましくはトレハロースであり、および40mg/ml~70mg/mlの範囲であり、好ましくは該範囲が、45mg/ml~65mg/ml、より好ましくは、50mg/ml~60mg/mlの範囲である、請求項6に記載の眼科の組成物。
【請求項10】
界面活性剤が、非イオン性界面活性剤を含む群から選択され、好ましくはポリソルベート、ポリソルベート20またはポリソルベート80、より好ましくはポリソルベート20であり、および0.2mg/mL~0.6mg/mLの範囲、好ましくは0.3mg/mL~0.5mg/mLの範囲、より好ましくは0.35mg/mL~0.45mg/mlの範囲である、請求項6に記載の眼科の組成物。
【請求項11】
バイアル、カートリッジまたはペンまたは予備充填シリンジ、好ましくは予備充填シリンジ、好ましくは単回使用予備充填シリンジの形態において所定の用量として投与され、140マイクロL~200マイクロLの充填容量、および50マイクロLの用量を伴うものである、請求項1に記載の眼科の組成物。
【請求項12】
注入が、硝子体内で投与される、請求項11に記載の予備充填シリンジ。
【請求項13】
眼の障害が、滲出型加齢黄斑変性症、脈絡膜新血管新生、網膜血管腫状増殖、病的近視、血管様線条、ベスト病、成人卵黄状ジストロフィー、中心性漿液性網膜脈絡膜症、斑点状内側脈絡膜症、多病巣性脈絡膜炎、推定眼ヒストプラスマ症候群、脈絡膜骨腫、トキソプラズマ症、ブドウ膜炎、偽性脳腫瘍、乳頭周囲特発性網膜新血管新生、増殖糖尿病性網膜症、鎌状赤血球網膜症、未熟児網膜症、イールズ病、黄斑水腫、糖尿病性網膜症、中枢網膜静脈閉塞、網膜静脈分枝閉塞症、偽水晶体、ぶどう膜炎、閉塞性脈管炎、色素性網膜炎、血管新生緑内障、網膜中心静脈閉塞、網膜静脈分枝閉塞症、増殖糖尿病性網膜症、網膜中心動脈閉塞、眼虚血症候群、誘導放射線、放射線視覚神経障害、放射線網膜症、脈絡膜転移を伴う乳がん、黒色腫関連新血管新生、網膜動脈瘤、血管増殖性腫瘍、コーツ病、傍乳頭毛細管血管腫、特発性黄斑の毛細管拡張、ポリープ状脈絡膜脈管障害、中心性漿液性網膜脈絡膜症、非動脈炎性前虚血性視神経障害、疱疹性角膜新血管新生、瘢痕性天疱瘡様角膜新血管新生、後嚢新血管新生、角膜移植後拒絶反応新血管新生、角膜新血管新生関連ドライアイ、泡状突起修正、緑内障濾過手術の付随を含む群から選択され、好ましくは滲出性加齢黄斑変性である、目の障害における使用のための、請求項1および5~12のいずれか一項に記載の眼科の組成物および予備充填シリンジ。
【請求項14】
予備充填シリンジ、29~34ゲージの範囲におけるゲージを伴う針、ブリスター包装における使用のための取扱説明書を含む、請求項1および5~13のいずれか一項に記載の予備充填シリンジ中の眼科の組成物を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野:
本発明は、生物工学および薬物送達の分野に関する。とりわけ、本発明は、ベバシズマブの眼科の組成物および前記組成物を含むデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
ベバシズマブは、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)に結合し生物活性を阻害する、ヒトフレームワーク領域および、マウス抗体の相補性決定領域を含有する、組み換えヒト化モノクローナル抗体である。ベバシズマブは、転移性結腸直腸がん(mCRC)、非扁平上皮非小細胞性肺がん(NSCLC)、転移性乳がん(MBC)、転移性腎細胞がん(mRCC)、神経膠芽細胞腫、および末期子宮頸がんを含む、様々ながんを処置するために、認可されている。これらの適応症において、ベバシズマブは、患者の安全性および生存に関してその有効性を証明されてきた。加えて、それは、滲出性加齢黄斑変性(wAMD)、脈絡膜新血管新生(CNV)、糖尿病性黄斑水腫(DME)、網膜静脈閉塞(RVO)、および血管新生緑内障(NVG)を処置するための、適応外薬物としても、使用される。あるいは、別のモノクローナル抗体、ラニビズマブ、wAMDのためのUSFDA認可の薬物、CNV、DME等々も、市場に出ている。いくつかの試験によって証明されるベバシズマブとラニビズマブとの間に、有効性および安全性の違いがないように見えるが、ベバシズマブが、ラニビズマブの代わりに使用される場合、巨大なコスト面での有利さが存在する。
【0003】
ベバシズマブが、がんのために承認され、そして、それは、体重に従い、完全な用量を個体に提供することが意図される100mgまたは400mgバイアルで、利用可能である。wAMDのためのベバシズマブを使用する場合に、眼科医は、典型的には、小バイアルから、おそらく反復して、硝子体内に1用量につき1.25mgの少なさで、かなりより小量を注入する(マルチ用量使用)。硝子体内投与のために意図されるいかなる薬物も、滅菌環境において調製され、維持されることを、必要とする。注入が、投与の前にデバイス中で再構成された溶液の取り出しによって、バイアル中で調製される場合に、汚染の危険がある。汚染された薬物は、眼内炎、α型連鎖球菌感染などの患者を、いくつかのさらなる感染の危険にさらす。地球上のいくつかの場所において、医師自身は、元のバイアルから必要とされた薬物を吸引し、同じバイアルが、多くの連続的な患者のために、使用されるが、同じバイアルからの穿刺の回数の増加が、汚染および患者への感染の可能性を増強するので、患者の安全性に対する文脈において間違った実行であると証明されていた。さらに、投与している医療またはパラメディカル職員による人為ミスに起因する、用量の不正確さが、あり得る。
【0004】
いくつかの国において、調剤薬局は、元のバイアルから複数のシリンジを、包装し直す。利用可能なサイズのバイアルからより小用量に薬物を包装し直すための必要性は、特にかかる手順の間、無菌状態を維持することが困難であるので、汚染の伝染の確率を増強し、そして、かかる手順が、調剤薬局で追跡されているかどうかをチェックするためのやり方が、ない。FDAは、これらの調剤薬局の無菌技術の使用および投薬量制御に関するいくつかの事例で、文書化されたおよび発行された警告通知を有するが、しかし、かかる習慣は、依然としてはびこっている。加えて、いくつかの調剤薬局は、無菌性の懸念に起因してベバシズマブ再包装シリンジを回収し、そして、米FDAが、眼内使用のためのベバシズマブの再包装注入の利用に対して、医療およびパラメディカルチームに、現在警告している。それに加えて、ベバシズマブは、静脈内投与のために製造され、そして、それ故、粒度分布のための基準は、決定的である。粒子が制御されない場合、それは、眼球などの感受性臓器の刺激および/または炎症を、構築する。粒度分布が、米国薬局方によって課された限度外であり、一般に標準化されず、および、異なる調剤薬局にわたって均質でないことに該当することが、かかる包装し直された注射可能な眼科の溶液のために報告された。
【0005】
安全問題に加えて、薬物自体は、生成物アリコート、取扱い、および分布に関連する様々な有効性を、有してもよい。悪化は、使用される特別な包装に対する問題であってもよく、そして、再包装されたベバシズマブの減少した安定性は、保存の期間と関連してもよい。これらの変化の潜在的な安全性の関係に加えて、薬物の有効性も、影響を受け得る。また、再包装ベバシズマブの保存安定性も、主な懸念であり、そして、ガイドラインが、インドのDCGIによって発行され、それは、分解および変性を阻止するために、再包装ベバシズマブシリンジを、特定の条件において14日間以内で使用することが、推奨されてきた。しかし、保存期間において、再構成および/または変性または分解の後制限時間を調査するために確認する有効な機構がない。投与のための包装された生成物のさらなる再構成は、複雑および煩雑な手順であり、そして、均一な溶液に、必ずしも結果としてなり得ない。その上、世界的なサプライチェーンが、より複雑になったので、ますます困難なことがわかったが、偽造されたアバスチンが、追加で国際的に追跡されている報告がある。
【0006】
硝子体内使用のために小単位にベバシズマブを調剤することおよび偽造されたベバシズマブに関する特定の問題は、厳しい規制ガイドラインの実行によって減少され得るが、しかし、細菌内毒素試験(BET)および粒子状物質試験(PMT)制限のような先行技術の問題は、先行技術の問題を除去し、眼の硝子体内注入に関して受け入れ可能な生成物を提供するための、具体的な技術的解決、および製造制御を限定する。
眼内滅菌炎症、伝染性の眼内炎、および上昇した眼内圧の出現を含む、ベバシズマブの硝子体内注入と関連する有害事象の報告の増加が、ある。
【0007】
ベバシズマブの硝子体内投与と関連する特定の報告された有害事象は、それが製造される方法か、またはプラスチックシリンジへの再包装による薬物の品質の悪化に、関し得る。それに加えて、硝子体内注入のために使用される針およびシリンジから来るシリコン液滴は、状態を最悪にする。
以下のとおり、先行技術の生成物の品質に関する問題が、ある:
【0008】
・ベバシズマブは、現在、肉眼で見えない粒子物質および内毒素レベルに関するよりストリンジェントな眼の標準よりもむしろ、静脈内品質規格を満たすだけである。
【0009】
・肉眼で見えない粒子および/またはシリコンオイルの存在は、硝子体内注入の場合において、重大である(重篤な眼内炎症の可能性につながる、眼球中の蓄積)。
【0010】
・データは、微生物学的なならびに生理化学的な観点から、再包装した後の生成物の品質を考えるために、提示されていない。一次包装との溶液の互換性は、考えられていない。
・世界のほとんどの部分において、再包装されたベバシズマブの保存期間設定、および安全性および品質上の影響の検査は、なかった。
【0011】
ゆえに、安全で、無毒の、および、長い貯蔵寿命を伴なう頓用投与のために有効である、ベバシズマブのための眼科の組成物のために、差し迫った必要性が、ある。
【0012】
本発明の目的
本発明の目的は、制御された粒子状物質、細菌内毒素、貯蔵寿命の間の凝集物を伴う、ベバシズマブの眼科の組成物、該組成物を調製するためのプロセス、安全で、無毒の、および頓用投与のために有効であるデバイスを、提供することである。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、ベバシズマブの眼科の組成物を開示し、それは、頓用の、予備充填シリンジとして、投与される。本発明の眼科の組成物は、2年の貯蔵寿命期間の間、細菌内毒素試験(BET)、粒子状物質、および凝集物の制限を、制御する。本発明は、細菌内毒素試験(BET)のごくわずかなまたは無量、および粒子状物質を伴なうベバシズマブである活性成分を得るためのプロセスも提供し、およびそこで製剤化される場合の本発明の組成物は、その貯蔵寿命期間の間、凝集物、BET、および粒子状物質のきわめて低いレベルを有し、硝子体内使用のために好適である。本発明は、ベバシズマブの眼科の組成物を含む、予備充填されたシリンジまたはキットなどの、デバイスも、提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、肉眼で見えない粒子状物質の数、生成物の貯蔵寿命の間の低い内毒素レベルに関して制御される、本発明の眼科の組成物を得るための、模型的な表現を、描く。
【
図2】
図2aおよび
図2bは、先行技術における他の試料のそれと比較した、本発明の試料の、肉眼で見えない粒子サイズを描く。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
貯蔵寿命の間、安全で、無毒の、および投与のために有効であるベバシズマブの眼科組成物は、眼科の組成物が、生成物の寿命期間の間、肉眼で見えない粒子状物質、低い内毒素レベル凝集物に関して、制御されるという点で、特徴づけられる。
本発明の眼科の組成物は、好ましくは溶液である。眼科の溶液は、予備充填されたシリンジの、個別注射可能薬物単位として、存在してもよい。
【0016】
本発明の眼科の組成物は、粒子状物質に関して制御される。粒子状物質は、意図せずに溶液に存在する、気体泡以外の組成物、不純物、およびいずれかの不安定物のいずれかの構成要素に由来する、移動性未溶解粒子から成り、ここで、硝子体内注入のための肉眼で見えない粒子状物質は、以下を含む;
(i)mlあたり1~50の粒子≧直径10μm
(ii)mlあたり0~5の粒子≧直径25μm、および、
(iii)mlあたり0~2の粒子≧直径50μm
【0017】
組み換え治療法における内毒素の存在は、これらの分子の多様なおよび潜在的に有害な生物活性に起因する、主な懸念である。装置の準備のためのストリンジェントなプロトコルと共に、生物学的製剤の製造において使用されるプロセスの無菌性を維持することは、生成物が、受け入れられるほどの内毒素の低いレベルを有することを、確保するのを助ける。論文からも明らかである眼球の前部および後部セグメントにおいて、後部セグメント(硝子体内注入部位)が、内毒素により感受性であり、そして、このセグメントにおける内毒素の滞流時間は、硝子体細胞の応答の遅い回復に結果としてなる、硝子体体腔のより高い粘度およびより低い流動性に、より多く起因する。最小の内毒素レベルさえ、患者の感度によって、眼内炎症に結果としてなるかもしれない。ベバシズマブの硝子体内注入は、毎月投与され、そして、1年に、7~8注入が、wAMDのために要求される。頻繁な硝子体内注入による眼球の内毒素の蓄積を回避するために、内毒素レベルをできるだけ低く保つことは不可避である。無菌性眼内炎の結果、およびベバシズマブの眼内注入の後に展開した眼内圧の増加が、いくつかの事例で報告された。いくつかの理論が、眼内炎症の病因論についてあるにもかかわらず、その原因は依然として知られていない。通常商業的に作成された免疫グロブリンの生成物によって出現する内毒素は、これらの無菌性反応において主な役割を果たすと思われる。近年では、IVB注入の後のTASS様培養陰性無菌性眼内炎のいくつかの報告が、あった。これは、不完全な保存に起因する、分解生成物に関する内毒素のためであってもよい。IVB注入の数の上昇するグラフとともに、かかるケースの数は、上昇することが確かであり、それゆえ、かかる状況を取扱う賢明な方法を見つける必要性を必要とする。無菌性眼内炎の病因論は、不十分に理解される。しかしながら、無数の可能な説明が、ある。実例として、費用効果的な方法として、ベバシズマブの商業的に入手可能なバイアルの個別のアリコートの分配の一般的な実行は、細菌内毒素による汚染の増大した危険を、もたらすかもしれない。投与されることとしての、先行技術におけるベバシズマブ組成物は、静脈内使用にとって安全であると考えられるレベルで、内毒素のトレースを含有するが、しかし、それは、硝子体内で炎症性反応を誘導することが、依然としてできる。注入後眼内炎において、調剤の間出現する余分の薬物操作も、重要な役割を演ずる。米国において報告された伝染性の眼内炎のいくつかの発生のため、硝子体内注入のためのベバシズマブを再包装することに関する懸念は、増加している。
【0018】
本発明の眼科の組成物は、0.001~0.4EU/mgの範囲の、および、好ましくは0.001~0.2EU/mgの範囲の、および、より好ましくは、0.001~0.16EU/mgの範囲において、内毒素濃度のレベルを制御する。
【0019】
本発明の眼科の組成物は、処方された貯蔵寿命まで凝集物がなくてもよく、または2~3年、好ましくは2~2.5年、もっとも好ましくは2年の期間の間0.1~5%、より好ましくは0.1~4%、および最も好ましくは0.1~3.5%の範囲の凝集物を有してもよい。
【0020】
コールドチェーンが、短時間、例として転送の間に、断続的に壊される場合であっても、本発明の眼科の組成物は、貯蔵寿命の期間の間、細菌内毒素、粒子状物質の限度、および凝集物の限度を維持することができる。前記文脈において、本発明の生成物は、安定性および有効性に関して優れた許容度を有する。
本発明の眼科の組成物は、それらが、オートメーションを通して決定された用量へと、予備充填されることができるので、単位間に、用量変動を有しない。
さらに、個々の単位の用量は、処方された貯蔵寿命まで不変を維持する。
【0021】
本発明のベバシズマブの眼科の組成物は、以下を含む:
a.0.001~0.4Eu/mgの範囲、および、好ましくは0.001~0.2Eu/mgの範囲、および、より好ましくは、0.001~0.16Eu/mgの範囲における細菌内毒素試験(BET);
b.ここで、粒子状物質は、以下である;
i.mlあたり1~50の粒子≧直径10μm
ii.mlあたり0~5の粒子≧直径25μm、および、
iii.mlあたり0~2の粒子≧直径50μm;および;
【0022】
c.ここで、組成物は、2~3年間、好ましくは2~2.5年間、最も好ましくは2年間の間、0.1~5%、より好ましくは0.1~4%、および最も好ましくは0.1~3.5%の凝集物を、有する。
【0023】
別の態様において、肉眼で見えない粒子状物質の数、低い内毒素レベルに関して制御された組成物を調製するプロセスが、提供され、そして、以下のステップを含む本発明の生成物の寿命期間の間シリコンオイルが、実質的に、または、完全に欠けている:
i.CHO細胞の連続発酵方法によってベバシズマブの細胞を培養すること;
ii.さらなる清澄化のため、CHO細胞培養から得られた無細胞収穫を、吸着ベースの深部ろ過に付すこと;
iii.シングルパスタンジェンシャルフローろ過を使用してステップ(ii)の試料を濃縮して、濃縮された収穫を得ること;
【0024】
iv.ステップ(iii)の濃縮された収穫を、プロテインAクロマトグラフィーに付して、ベバシズマブを捕獲して、部分的に精製されたベバシズマブを含有する溶出液を得ること;
v.ステップ(iv)の溶出液を、低pHウイルス不活化に付し、ウイルスの不活化試料を得ること;
【0025】
vi.追加の精製のために、ステップ(v)のウイルス不活化試料を、さらなるカチオン交換クロマトグラフィーに付して、主に高度に精製されたベバシズマブを含有する溶出液を得ること;
【0026】
vii.ステップ(vi)の溶出液を、アニオン交換クロマトグラフィーに付して、トレース不純物、例として、宿主細胞タンパク質(HCP)、宿主細胞DNA(HCD)、内毒素を取り除くこと;
viii.ステップ(vii)の溶出液を、ウイルス減少ろ過およびウイルスの完全な除去に付すこと;
ix.ステップ(viii)の試料を濃縮し血液透析濾過して、ベバシズマブを得ること;および;
x.ステップ(ix)から得られた試料を製剤化して、本発明のベバシズマブの組成物を達成すること。
【0027】
弱いウイルス不活化は、pH3.0~5.0の範囲、好ましくは3.0~4.0の範囲、最も好ましくは、3.5~4.0の範囲におけるpHで、実行されてもよい。
【0028】
溶出液のカチオン交換クロマトグラフィーは、SO3-スルホニルイソブチル、SO3-スルホエチル、スルホプロピル、カルボキシメチル等々を含む群から選択されるマトリックス、または固定相を使用することにより、実行されてもよく、好ましくは使用されるクロマトグラフィーマトリックスまたは固定相は、スルホナートである。
【0029】
溶出液のアニオン交換クロマトグラフィーは、ジエチルアミノエチル、クオタナリアミン、ポリクオタニウム、N-ベンジル-Nメチルエタノールアミン等々を含む群から選択されるマトリックス、または固定相を使用することにより、実行されてもよく、好ましくは使用されるクロマトグラフィーマトリックスまたは固定相は、クオタナリアミンである。
血液透析ろ過は、TFF-II血液透析ろ過緩衝液の存在下で、実行されてもよい。
本明細書に記載のプロセスは、所望の内毒素効果を伴なう生成物および組成物に、結果としてなる。
実例として、内毒素レベルは、以下のとおり連続して減少されてもよい:
(表Aを参照)
【表A】
【0030】
上記表から、本発明のプロセスは、ゲル凝固法によって決定される内毒素含有量の数倍の減少に、結果としてなる。収穫されたブロスを製精プロセスに付す前に、内毒素含有量は、きわめて高い。プロテインA親和性精製の後に、内毒素含有量は、許容可能なレベルより、通常きわめて高い10EU/mg以下である。加えて、アニオン交換クロマトグラフィーは、内毒素を、活性であるベバシズマブから分離し、取り除くために、用いられてきた。
【0031】
アニオン交換クロマトグラフィーステップの最後に、タンパク質中の内毒素含有量は、0.5Eu/mg未満である。本発明のプロセスにおけるアニオン交換クロマトグラフィーの使用は、薬物生成物の重要な品質属性、例として、BET、バイオ負荷、凝集物、およびより狭い範囲におけるPMTの制御を、可能にする。
【0032】
内毒素除去は、下流のプロセス精製において、もっとも困難なステップの1つである。本発明のベバシズマブの内毒素制限の達成を可能にすることは、0.4Eu/mg未満、および0.2Eu/mg未満、およびより好ましくは0.16Eu/mg未満の内毒素濃度を有する眼科の組成物を得ることである。
加えて、該プロセスは、以下に関わらなければならない:
(i)無菌性溶液および微生物の導入を最小化する装置の使用、
(ii)0.22ミクロンフィルターによる精製の間、ろ過を使用すること、
(iii)低温で取り組んで、微生物増殖を最小化すること、
(iv)静菌剤を精製物に加えること、
(v)高純度原材料、
(vi)直交精製ステップ、
(vii)容器、カラムおよびプロセス機器のための、厳密な定置洗浄(CIP)手順。
本明細書に開示の本発明のプロセスは、新規で、所望されたパラメータを伴なう生成物に、結果としてなる。
【0033】
プロセスは、所望された特性を伴なう生成物を達成するために、本明細書に掲示の順序で、追跡されなければならない。このプロセスは、多くの実験、試行錯誤の後、進展する。
本発明のプロセスは、ベバシズマブの眼科の組成物を提供する;
【0034】
a.ここで、細菌内毒素試験(BET)の制限は、0.001~0.4Eu/mgの範囲、および、好ましくは0.001~0.2Eu/mgの範囲、および、より好ましくは、0.001~0.16Eu/mgの範囲にある。
b.ここで、粒子状物質は、以下である;
i.mlあたり1~50の粒子≧直径10μm
ii.mlあたり0~5の粒子≧直径25μm、および、
iii.mlあたり0~2の粒子≧直径50μm;および;
【0035】
c.ここで、組成物は、2~3年間、好ましくは2~2.5年間、最も好ましくは2年間の間、0.1~5%、より好ましくは0.1~4%、および最も好ましくは0.1~3.5%の凝集物を、有する。
別の態様において、本発明は、ベバシズマブ、緩衝液、安定剤、および界面活性剤を含む眼科の組成物を、開示する。
【0036】
組成物中のベバシズマブの濃度は、24mg/ml~26mg/mlの範囲、好ましくは25mg/ml~26mg/mlの範囲、より好ましくは25mg/mlであってもよい。
【0037】
組成物中に存在する緩衝液は、ホスファート、シトラート、アセタート、ヒスチジン、スクシナート、グルコナート、グリシンなどを含む群から選択されてもよく、より好ましくは、ホスファート緩衝液である。緩衝液の濃度は、好ましくは40mM~60mMの範囲、より好ましくは、50mM~60mMの範囲であってもよい。緩衝液のpHは、好ましくは6.0~7.0、より好ましくは、6.1~6.3の範囲であってもよい。
【0038】
安定剤は、糖であってもよい。糖は、単糖類、二糖類、三糖類、多糖類、糖アルコール、還元糖、非還元糖等々でもよい。本明細書中の糖の例は、グルコース、スクロース、トレハロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、デキストラン、グリセリン、デキストラン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、シリトール、ソルビトール、マンニトール、メリビオース、メレチトース、ラフィノース、マンノトリオース、スタキオース、マルトース、ラクツロース、マルツロース、グルシトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルツロースなどを含む。好ましい糖は、トレハロースなどの非還元二糖類でもよい。
【0039】
組成物中の糖の量は、40mg/mL~70mg/mLの範囲であってもよく、好ましくは、範囲は、45mg/mL~65mg/mLであってもよく、より好ましくは、範囲は、50mg/mL~60mg/mLである。
【0040】
組成物中に存在する界面活性剤は、表面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤を指す。本明細書中の界面活性剤の例は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20およびポリソルベート80)を含む。本明細書中の好ましい界面活性剤は、ポリソルベート20である。
【0041】
組成物の界面活性剤の量は、0.2mg/mL~0.6mg/mLの範囲、好ましくは0.3mg/mL~0.5mg/mLの範囲、より好ましくは0.35mg/mL~0.45mg/mLの範囲であってもよい。
本発明の組成物は、生成物の貯蔵寿命の間、均一な溶液および安定な溶液であり、それゆえ相乗的組成物である。
【0042】
さらに別の態様において、本発明の眼科の組成物は、バイアル、カートリッジまたはペンまたは予備充填シリンジ、好ましくは予備充填シリンジ、好ましくは単回使用予備充填シリンジの形態において所定の用量として投与されてもよく、140マイクロL~200マイクロLの充填容量、および50マイクロLの用量を伴うものであってもよい。該組成物は、シリコンオイルが、実質的に、または、完全に欠けている。
【0043】
シリンジの本体は、ポリマーまたはガラス、またはいずれかの表面にコートされた証印を含む群から選択される材料;熱可塑性プラスチック材料;環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、またはポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタラートなどのポリエステル;ポリカーボネート;またはそれらのいずれかの組み合わせまたはコポリマーで構成されてもよい。
【0044】
予備充填シリンジのプランジャーストッパーは、クロロブチル、ブロモブチル、または他のハロアルキルゴムから選択されるいずれかの好適な材料で、構成されてもよい。プランジャーは、シリコン、フルオロポリマー、パリレンなどを含む群から選択される材料で、任意にコートされてもよい。かかるコーティングは、保存の間に、または、輸送の間に、デバイスの異なる部分の間で、またはデバイスと薬物の間で起こり得るいずれかの相互作用および/または摩擦を最小化するために、利用されてもよい。プランジャーストッパーの先端は、平坦でも、凸状の形でもよい。プランジャー環は、プランジャーおよびバレル壁の密着したシーリングのために存在してもよい。ストッパーは、ブロモ、クロル、フルオロ、または関連するポリマーでシリコン処理されてもまたはコートされてもよい。
【0045】
シリンジは、任意にコートされてもよい。シリコンオイルの0.1mg~0.4mgの範囲における、タイコーティング、バリヤーコーティング、pH保護コーティング、または潤滑性コーティング、好ましくはシリコンオイル、フルオロポリマー、パリレン、および関連する化合物からなる群から選択される潤滑剤による潤滑性コーティングを含む群から選択される、内部コーティングまたは層。弱いシリコン処理をされたホウ珪酸ガラスシリンジバレルは、水中シリコンオイルエマルジョンでスプレーコートされてもよく、続いて熱固定(すなわち「焼かれたシリコン」)か、または架橋されていてもよい。かかるコーティングおよび/または層化は、保存の間に、または、輸送の間に、デバイスの異なる部分の間で、またはデバイスと薬物の間で起こり得るいずれかの相互作用および/または摩擦を最小化するために、利用されてもよい。好ましくは、予備充填されたシリンジは、シリコンオイルが完全にないか、欠けていてもよい。
【0046】
予備充填されたシリンジなどの本発明の所定の投与形態は窒素、アルゴン、ヘリウムを含む群から選択される不活性気体、好ましくは窒素で、満たされてもよい。
予備充填医薬シリンジは、140マイクロL~200マイクロLの充填容積、および、50マイクロLの用量を伴なう名目上の最大値を有してもよい。
本発明の組成物は、予備充填シリンジとして投与されてもよい。
【0047】
本発明の組成物は、硝子体内注入のための予備充填シリンジ中に満たされてもよい。眼球に注入されているシリコンオイル滴の可能性を減少させるために、本発明の予備充填されたシリンジは、実質的に、または、完全にシリコンオイルのないバレルを、含んでもよい。予備充填シリンジは、シリコンオイルの内部コーティングを、含んでもよく、かかる内部コーティングは、シリコンオイルの0.1mg~0.4mgを有してもよい。代替物において、予備充填シリンジは、タイコーティング、バリヤーコーティング、pH保護コーティングまたは層、および任意に潤滑性コーティングによって、内部にコートされてもよく、好ましくは、コーティングは、フルオロポリマー、パリレン、および関連した化合物でもよい。一態様において、予備充填されたシリンジは、シリコンオイルが完全になくてもよい。弱いシリコン処理をされたホウ珪酸ガラスシリンジバレルは、水中シリコンオイルエマルジョンでスプレーコートされてもよく、続いて熱固定(すなわち「焼かれたシリコン」)か、または架橋されていてもよい。かかるコーティングおよび/または層化は、保存の間に、または、輸送の間に、デバイスの異なる部分の間で、またはデバイスと薬物の間で起こり得る相互作用および/または摩擦を最小化するために、利用されてもよい。
【0048】
本発明において、含有量と容器の間の相互作用は、最小化されており、および、特に2年である貯蔵寿命の全期間の、長期の保存/使用のための安定性を維持するための有効性を保持するために、決定的である。出願人は、いくつかの試験を行って、そして先行技術のこの問題が、この点に関しては完全に取り組まれるように、努力した。
【0049】
さらに別の態様において、本発明の眼科の組成物は、眼の障害を処置するために使用されてもよい。眼の障害は、滲出型加齢黄斑変性症、脈絡膜新血管新生、網膜血管腫状増殖、病的近視、血管様線条、ベスト病、成人卵黄状ジストロフィー、中心性漿液性網膜脈絡膜症、斑点状内側脈絡膜症、多病巣性脈絡膜炎、推定眼ヒストプラスマ症候群、脈絡膜骨腫、トキソプラズマ症、ブドウ膜炎、偽性脳腫瘍、乳頭周囲特発性網膜新血管新生、増殖糖尿病性網膜症、鎌状赤血球網膜症、未熟児網膜症、イールズ病、黄斑水腫、糖尿病性網膜症、中枢網膜静脈閉塞、網膜静脈分枝閉塞症、偽水晶体、ぶどう膜炎、閉塞性脈管炎、色素性網膜炎、血管新生緑内障、網膜中心静脈閉塞、網膜静脈分枝閉塞症、増殖糖尿病性網膜症、網膜中心動脈閉塞、眼虚血症候群、誘導される放射線、放射線視覚神経障害、放射線網膜症、脈絡膜転移を伴う乳がん、黒色腫関連新血管新生、網膜動脈瘤、血管増殖性腫瘍、コーツ病、傍乳頭毛細管血管腫、特発性黄斑の毛細管拡張、ポリープ状脈絡膜脈管障害、中心性漿液性網膜脈絡膜症、非動脈炎性前虚血性視神経障害、疱疹性角膜新血管新生、瘢痕性天疱瘡様角膜新血管新生、後嚢新血管新生、角膜移植後拒絶反応新血管新生、角膜新血管新生関連ドライアイ、泡状突起修正、緑内障濾過手術の付随を含む群から選択されてもよく、好ましくは滲出性加齢黄斑変性である。
【0050】
さらに別の態様において、本発明は、予備充填シリンジ、バイアルまたはカートリッジ、好ましくは予備充填シリンジなどの、投与可能なフォーマットにおける、本発明の眼科の組成物を含むキットを提供する。キットは、ブリスター包装中に詰められた予備充填シリンジを含んでもよく、それは、内側でそれ自体無菌性でもよい。一態様において、発明に従うシリンジは、滅菌、例えば終末滅菌を受ける前に、かかるブリスター包装などの内側に置かれてもよい。ブリスター包装は、ガラス、ポリオレフィン、環状オレフィンポリマー、または環状オレフィンコポリマー、ポリプロピレンまたはポリエステルまたはそれらのいずれかの組み合わせなどの、好適な熱可塑性プラスチック材料で形成されてもよい。キットは、本発明の眼科の組成物の投与のための針を、含んでもよい。
【0051】
針は、31-ゲージおよび32-ゲージ、33-ゲージまたは34-ゲージ針が、代わりに使用されることができるが、29~33ゲージ×1/2インチ針のいずれでもよい。キットは、生成物添付文書を含有してもよく、それは、取扱説明書を含む。
【0052】
本発明は、予備充填シリンジ、29~34ゲージの範囲におけるゲージを伴なう針、ブリスター包装中の取扱説明書を含む、予備充填シリンジ中の眼科の組成物を含むキットを、開示する。
【0053】
組成物は、2~10℃、好ましくは2~8℃の温度で、少なくとも2年間安定である。本発明の眼科の組成物は、少なくとも2年間安定であり、そして、その2年の貯蔵寿命の間、使用の安全な使いやすさを維持するばかりでなく、少ない肉眼で見えない粒子状物質、BET、および凝集物を有する。
利点:
本発明の眼科の組成物は、以下の利点があるが、しかし、該利点は、本明細書の以下にリストされたものに限定されない:
・バイアルから調合される他の先行シリンジと比較して、生成物は、高度に安定である。
・本明細書に掲示の制限の範囲内で、BETを含む。
【0054】
・所定の投薬量を含有し、それにより投薬量過誤を減少させ、そして、単回投与の後の投与形態の処理を確保し、複数回使用を回避し、そしてそれにより複数回使用および複数の使用から生じる感染を防御する。
・潜在的に、より少ない予備注入および注入後効果を有する。
【0055】
・先行技術生成物の14日間から最大6ヵ月までの多様な貯蔵寿命(インドにおいて14日間、FDAは、再包装後5日間のみへの制限を提案している)と比較した場合に、2年間の貯蔵寿命を有する。
【0056】
・mlあたり50粒子以下≧直径10μm、mlあたり5粒子以下≧直径25μm、およびmlあたり2粒子以下≧直径50μmを有する本発明の組成物。
・本発明の予備充填シリンジ中に含有された眼科グレードのベバシズマブは、処方された貯蔵寿命のための2~8℃の温度で、安定である。
・本発明の組成物は、先行技術の、再包装されたか調剤された組成物と異なり、公開中に全ての処方された品質チェックを、受ける。
・病院訪問を最小限にし、薬物廃棄物を削減し、病院および産業廃棄物を最小限にし、そして、微生物汚染の危険を除去する。
本発明は、例によって例示される。例は、説明の目的のために意図され、限定するとして解釈されてはならない。
【0057】
例
例1:ベバシズマブの精製プロセス
CHO細胞からの灌流技術ベースのバイオリアクターから得られたベバシズマブモノクローナル抗体を含有する無細胞収穫。収穫を、0.2μmフィルターによってろ過し、そして収穫清澄化のために吸着ベースの深部ろ過に付した。
【0058】
ろ過した収穫を、濃縮し、シングルパスTFFモジュールを使用することにより、ベバシズマブの濃縮を達成した。TFF-Iステップから得た『濃縮した収穫』を、0.2μmを使用してろ過し、Mab Select Sure LX樹脂を詰めた親和性クロマトグラフィーカラムに付した(GE Healthcare)。カラムを、150cm/hの流速で、EB-1の5カラム容積(CV)を通すことによって、平衡化緩衝液-1(EB-1、ホスファート緩衝液:20mm、NaCl:150mm(pH7.1±0.2))によって平衡化した。試料を、150cm/hの線形流速でカラム上へ装填し、続いて約150cm/hの流速で、5CVのEB-1を通した。これに、150cm/hの流速で、洗浄緩衝液-1(WB-1、ナトリウムアセタート:40mm、pH6.0)の5CVを続けた。結合した標的タンパク質を、溶出緩衝液-1(EUB-1、ナトリウムアセタート:30mm、pH3.5)の約5CVを通すことにより溶出し、280nmの吸光度に基づいて収集した。溶出液(E-1)を、タンパク質量、グリカン、HCP、電荷バリアント、凝集物、および内毒素含有量に関して分析した。このステップで、E-1の内毒素含有量は、10EU/mg以下(NMT)であり、そして、凝集物含有量は、NMT5%である。次のステップにおいて、E-1を、室温で、pH3.7での60分間の穏やかな連続撹拌によってインキュベートする低pH失活ステップに、付す。ウイルスの失活の後、該溶液を、CEX平衡化緩衝液-2(EB-2、ナトリウムアセタート:50mm、NaCl:80mm(pH5.3))で、希釈し、0.2μmフィルターを使用するろ過を続ける。次のステップにおいて、カチオン交換カラム(Capto S ImpAct, GE Healthcare)を、250cm/hの流速で、平衡化緩衝液-3(EB-3、ナトリウムアセタート:50mm、NaCl:80mm(pH5.3))の5CVによって、平衡化した。試料を、250cm/hの流速で、カラムに装填し、それに、250cm/hの流速で、洗浄緩衝液-2(Wb-2、ナトリウムアセタート:50mm、NaCl:80mm(pH5.3))の3CVを、続けた。試料を、1.5CVにおける0~15%Bの線形濃度勾配によって流し、250cm/hの流速で、EB-3および溶出緩衝液-2(EUB-2、ナトリウムアセタート:50mm、NaCl:500mm(pH5.3))を使用して、20CVにおける15~25%Bを続け、そして該画分を、UV280に基づいて収集した。溶出液(E-2)を、タンパク質量、電荷バリアント、凝集物、および内毒素含有量に関して分析した。このステップの後、E-2の内毒素含有量は、NMT5Eu/mgである。
【0059】
次のステップにおいて、E-2に関する電荷バリアントの分析結果に基づくCEX溶出分画を、プールし、AEX平衡化緩衝液(EB-4、トリス:20mm、pH8.0)を使用して希釈し、0.2μmフィルターを使用してろ過を続けた。
【0060】
次のステップにおいて、アニオン交換カラム(Capto Q、GeHealthcare)を、250cm/hの流速で、平衡化緩衝液-4(EB-4、トリス:20mm、pH8.0)の10CVによって、平衡化した。試料を、250cm/hの流速で、カラムに装填し、それに、250cm/hの流速で、洗浄緩衝液-3(WB-3、EB-4、トリス:20mm、pH8.0)の2CVを続けた。カラムを、再生緩衝液(トリス:20mm、NaCl:1M(pH8.0))の5CVによって再生し、そして、フロースルー(FT)を、「AEX FT」と称されるさらなる分析のために収集した。それを、タンパク質量、グリカン、HCP、電荷バリアント、凝集物、および内毒素含有量に関して分析した。このステップで、内毒素含有量は、0.5EU/mg以下(NMT)であり、そして、凝集物含有量は、3%以下である。さらに、「AEX FT」を、1.5±0.5バールの差圧で、直列に接続しているプレフィルターおよびナノフィルターを使用して濾過し、ナノろ過物を、濃縮し、血液透析ろ過緩衝液(Pb:51mm、トレハロース二水和物:20mg/ml(pH6.0±0.2))によって、血液透析濾過した。
【0061】
血液透析濾過した試料を、トレハロース二水和物によってスパイクし、最終濃度60mg/mlまで整え、そして、5%ポリソルバート20によってスパイクし、最終濃度0.04%までを整え、そしてさらに希釈し、ベバシズマブ薬物物質(DS)を生成するために特定されたベバシズマブ濃度を達成した。DSを、タンパク質量、グリカン、HCP、電荷バリアント、凝集物、内毒素含有量、粒子状物質、およびin vitroおよびin vivo受容体結合アッセイを含むが、これに限定されるものではない、総合的な分析特性評価に、付した。DSに関して、内毒素含有量は、0.16EU/mg未満であり、凝集物含有量は、0.8%、および肉眼で見えない粒子状物質の限度は下のとおり、本発明により特定された限度内にある。
(i)≧10μm粒子は、50粒子/ml以下である。
(ii)≧25μm粒子は、5粒子/ml以下である。
(iii)≧50μm粒子は、2粒子/ml以下である。
内毒素、凝集物低下、およびHCP低下に関して本発明の範囲を達成する能力は、この下の表1で提供される。
【0062】
【0063】
例2:本発明に従う組成物
例1において得たベバシズマブ。本発明の組成物は、表2において開示されているとおり、以下のとおり様々な成分を使用して製剤化されてもよい。
【表2】
組成物3(C3)を、さらなる実験のために下のとおり進行させた。
いくつかの図示する例は、表3にある。
【0064】
【表3】
本発明の組成物C33は、さらにこの下で分析し、および結果は、以下の実施例で提示される。
【0065】
例3:予備充填シリンジにおける本発明の組成物の分析特性評価
単回使用予備充填シリンジを、使用し、ベバシズマブの眼科の組成物を満たし、それを、溶液として存在させた。PFSにおけるベバシズマブの3つのバッチを、広範囲にわたって特徴づけ、適切な技法によって物理化学的特性、生物活性、免疫化学的性質、純度、および不純物を決定した。生成物特性は、下の表4に示すように容認基準を満たす:
【0066】
【0067】
例4:単回使用PFSにおける本発明の組成物の安定性試験
単回使用PFSにおけるベバシズマブ(眼科グレード)を、24ヵ月間、5℃±3℃で、長期安定性試験に付した。PFSを、25mg/mlベバシズマブ、ホスファート緩衝液、ポリソルバート20、およびトレハロース二水和物(pH6.2)で満たした。完全な安定性プログラムの間、タンパク質濃度およびpHにおいて著しい変化は、検出されなかった。薬物生成物の24ヵ月の安定性試験のデータは、物理化学的特性、生物活性、免疫化学的性質、純度、および不純物に関して広範囲にわたって分析し、および、生成物が、24ヵ月間5℃±3℃で安定であることを示した(表5)。
【0068】
【表5】
製品特性は、5℃±3℃で24ヵ月間安定であることを示す全期間の間の容認基準を満たす。
先行技術において、バイアル(アバスチン(登録商標))からシリンジへ再包装されたベバシズマブが、より長い期間で安定であることは見出せない。
【0069】
硝子体内注入のためのプラスチックシリンジ(ポリプロピレンおよびポリカーボネート)へ再包装される調剤されたベバシズマブの品質が、3または6ヵ月まで分析された報告が、ある。これらの試験において、免疫グロブリンG(IgG)含有量における変化、シリコンオイルマイクロ滴の存在、肉眼で見えない粒子の増加、およびタンパク質凝集が、報告された。種々の供給者からの再包装されたベバシズマブが、様々な生成物品質を示したことも、観察された。
先行技術の1つにおいて、抗VEGF活性の15.9%の分解は、調剤されたベバシズマブの6ヵ月間における安定期間に観察された。
【0070】
安定性に関連した問題に起因して、USFDAは、予備充填アバスチン(登録商標)PFSの失効を5日に限定する提案をする指針を立案する。インドにおいて、インド医薬品規制当局(DCGI)は、調剤手順のための指針を立案し、そして、これらのシリンジの使用が、14日を越えてされてはならないと、述べられた。ゆえに、再包装されたシリンジの所望された品質を有する長い期間の間のベバシズマブの安定性は、重大な問題であり、眼球炎症のための原因となる。本発明は、これらの限定に打ち勝ち、そして、貯蔵寿命の間、本明細書に課されるすべての容認基準を満たすことによるベバシズマブの長い保存を、提供する。
【0071】
先行技術文献と比較すると、本発明の組成物は、2年間の全貯蔵寿命の間、>10μmおよび>25μmの粒子サイズを所有する。本発明の眼科の組成物は、2~8℃の温度で、少なくとも2年間の間安定であり、そして、貯蔵寿命の間、安全で、無毒で、および投与のために有効である。
【0072】
例5:本発明の組成物の毒性試験
眼科グレードのベバシズマブで満たされた単回使用予備充填シリンジを、ウサギ眼球における4週間の回復期間を伴なう硝子体内反復用量(4週)毒性試験のために、試験した。試験を、眼球におけるベバシズマブの毒性を評価するためのGLP施設において、実行した。PFSを、pH6.2で、25mg/mlベバシズマブ、51mM PB、0.04%ポリソルバート20、および60mg/mlトレハロース二水和物で、満たした。
【0073】
生成物は、貯蔵寿命の間、眼科の組成物のすべてのパラメータを満たした。眼の疾患におけるその治療の使用の間、ベバシズマブを、硝子体液、それは、眼球の特別な区画を含むが、それに直接注入した。試験生成物ベバシズマブ、またはビヒクル(希釈液)対照試料を、試験期間の間、4週間、2週間に一度、すなわち1、15、および29日目に、各ウサギの両眼へ硝子体内注入によって投与した。
【0074】
ウサギを、試験の間、死亡数の頻度および局所および全身性の毒性の兆候に関して観察し、次いで殺処分して、完全な検死に付した。ビヒクル対照および高用量レベルでの、追加の、各性別の3匹のウサギの同時回復群を、同様に処置したが、しかし、処置期間の停止の後、毒性の逆戻り/遅延毒性があるとした場合のために、28日間さらに観察した。
【0075】
試験は、標的器官に関する情報、蓄積の可能性、有毒効果の可逆性、曝露の非有効レベルの推定を提供し、それを、ヒト曝露のための安全基準を確立するために使用した。用量の3つのレベルを、毒性試験において選択した。試験において使用した用量レベルは、ウサギに関して、ベバシズマブのヒト当用量(HED)の倍数、すなわち眼球当たり1.25mg、2.50mg、または3.75mgであり、それは、絶対治療ヒト用量の、それぞれ1X、2X、および3Xであり、それを、50μLの容量において注入した。
【0076】
試験の所見に基づいて、生成物は、眼球あたり3.75mgの用量レベルで、およびそのレベルまでで処置したウサギにおいて、いかなる全身性の影響、有害、またはその他も、誘導しなかったと、結論づけた。眼球あたり1.25mg、2.50mg、または3.75mgの用量レベルでの硝子体内注入に続いて、ウサギの眼球において、眼科グレードのベバシズマブは、よく許容された;そして、ウサギにおける本発明の眼科の組成物の無有害作用量(NOAEL)が、眼球あたり3.75mg超であることを見出した。ゆえに、硝子体内前臨床の試験において、該薬物が、硝子体内経路にとって安全であることを見出した。
【0077】
具体的には、本発明は、硝子体内使用のために好適である、有意に減少された内毒素レベルおよび粒子状物質レベルを伴なう医薬組成物を、提供する。本発明は、眼内送達のために使用されることができる、医薬組成物などの特定の組成物の中で、PMTおよび内毒素レベルを減少させる方法にも関する。
【0078】
例6:本発明の組成物と先行技術組成物との比較
前の例において掲示されたとおり、調製した本発明の組成物を、市場で利用可能な流通組成物と比較し、そして、それを、患者に投与する。
A.肉眼で見えない粒子状物質の比較:
肉眼で見えない粒子状物質を、USP789法に従って、光散乱式粒度測定装置(LOPC)によって試験した。適切な容量の粒子がないガラス瓶を、試験のために使用した。約1mlの容量を形成する10PFSからの試料を、1つのガラス瓶に取り上げた。さらに、試料を、粒子がない水で希釈し、最終的な25ml容量を得た。粒子のない容器において全容器をプールすると共に、試料の内容を、ゆっくり混和させ、気泡を導入せずに20回連続して容器を反転させた。試料容器を、分析に先立ち少なくとも15分間放置を許し、気泡を取り除いた。各5ml以上の4つの部分を、各々取り除き、そして、10μm、25μm、および50μmに等しいおよびそれより大きい、粒子の数を計数した。
第1の部分において得た結果を顧みず、結果を、提示する。
【0079】
5つの英国調剤薬局(S1-S5)からの、再包装ベバシズマブの肉眼で見えない粒子状物質を、本発明の眼科の組成物と比較した。(Eye(2013)27,1090-1097)。結果を、
図2aおよび2bとして表す。
図2aおよび2bから、本発明の粒子サイズが、本発明において掲示の範囲内であり、それにより、眼球炎症の頻度に関する可能性は、きわめて低いことが、明確にわかる。
【0080】
B.
本発明の組成物の保存安定性の、先行技術のそれとの比較。
再包装ベバシズマブの保存安定性を、本発明の眼科の組成物および再構成ベバシズマブのそれと比較し、そして、結果を、下の表6において提示する。
【表6】
表6:先行技術組成物の保存安定性の、本発明のそれとの比較
【0081】
本発明において、本発明の組成物が、2年間安定であることを見出し、それは、上で参照される先行技術の組成物ときわめて異なり、経済上の利点および輸送上の利点をあたえる。
【0082】
C.本発明のベバシズマブ濃度と先行技術組成物との比較
試験「Retina2006;26(5):519-22」において、ベバシズマブの分解は、大部分の国において、薬物を調剤するために一般的に用いられたプラスチックツベルクリンシリンジのなかで引き出されたことが、示された。薬物を、4℃で6ヵ月間保存した。分解パターンを、下記表7中に示す:
【0083】
【0084】
6ヵ月間で、15.9%の分解を、先行技術の調剤されたベバシズマブにおいて観察した。本発明において、タンパク質の分解は、安定性期間の2年間の間に、%結合効率(ELISA)および%VEGF中和能力アッセイによっても証明される2年間において、観察されなかった(表8を参照)。
【0085】
【0086】
それゆえ、本明細書に開示の組成物において提示の本発明は、本明細書に提示のプロセスによって得られるベバシズマブによって製剤化され、そして、本明細書に開示の予備充填シリンジ中で、所望された製品特性、安定性、および有効性を単独で所有する。
【0087】
組成物、該組成物を調製するプロセス、および予備充填シリンジなどの組成物を含むデバイスは、相当なヒトの努力および実験の後達成され、そして、その固有の利点を有する。
【国際調査報告】