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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】被検体の相対的認知能力の決定
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/40 20180101AFI20220930BHJP
【FI】
G16H10/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547209
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(85)【翻訳文提出日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 EP2020054722
(87)【国際公開番号】W WO2020173847
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】2019105162
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】フェドゥロヴァ イリーナ
(72)【発明者】
【氏名】グローザ ヴラディーミル
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
被検体の相対的認知能力の変化に応答する被検体の指標を決定するための方法及びシステムである。少なくとも2つの別個の機械学習アルゴリズムを使用して、被検体を監視する1つ又は複数のセンサの1つ又は複数の出力に基づいて、それぞれの数の中間指標を生成する。その後、中間指標が処理され、それによって、被検体の相対的認知能力の指標が生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視される被検体の相対的認知能力の出力指標を生成する方法であって、前記方法は、
被検体及び/又は前記被検体の環境を監視する少なくとも1つのセンサから少なくとも1つの出力を得るステップと、
第1の機械学習アルゴリズムを使用して前記少なくとも1つの出力を処理し、それによって、被検体の相対的認知能力を損ない得るファクタ又は被検体の相対的認知能力に対する障害によって影響を受ける特性の何れかの第1の中間指標を生成するステップと、
第2の異なる機械学習アルゴリズムを使用して少なくとも1つの出力を処理し、それによって、被検体の相対的認知能力を損ない得るファクタ又は被検体の相対的認知能力に対する障害によって影響を受ける特性の何れかの第2の異なる中間指標を生成し、前記第1及び第2の中間指標を処理して、それによって、前記被検体の相対的認知能力の出力指標を生成するステップと
を有する、方法。
【請求項2】
前記第1及び第2の中間指標を処理するステップは、第3の異なる機械学習アルゴリズムを使用して、前記被検体の相対的認知能力のレベルの前記出力指標を生成するように前記第1及び第2の中間指標を処理するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサは少なくとも2つのセンサを含み、前記少なくとも1つの出力は、各センサからの少なくとも1つの出力を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第1の機械学習アルゴリズムを使用して、前記少なくとも1つの出力を処理するステップは、第1の機械学習アルゴリズムを使用して、第1のセンサの出力を処理し、それによって前記第1の中間指標を生成し、
前記第2の機械学習アルゴリズムを使用して、前記少なくとも1つの出力を処理するステップは、前記第2の機械学習アルゴリズムを使用して、第2の異なるセンサの出力を処理し、それによって前記第2の中間指標を生成する、
請求項3に記載の方法 。
【請求項5】
前記第1及び第2の機械学習アルゴリズムは、互いに独立して訓練される、請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記出力指標は、被検体の相対的認知能力の尺度を有する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記出力指標を処理して、前記被検体の相対的認知能力が所定の閾値を下回るかを決定するステップと、
前記被検体の相対的認知能力が所定の閾値を下回ると決定することに応答して、警告を生成するステップと
をさらに有する、請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法 。
【請求項8】
前記警告を生成するステップは、ユーザインターフェースを介してユーザ知覚可能な出力を生成するステップを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
被検体によって実行される知的タスクの結果を表すユーザ入力を受信するように適合されるユーザ端末を操作する方法であって、前記方法は、
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法を実行するステップと、
前記出力指標に基づいて、前記被検体によって提供される前記ユーザ入力にフラグを立てるステップと
を有する、方法。
【請求項10】
被検体によって実行される知的タスクの結果を表すユーザ入力を受信するように適合されるユーザ端末を操作する方法であって、前記方法は、
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法を実行するステップと、
前記出力指標を処理して、前記被検体の相対的認知能力が所定の閾値を下回るかを決定するステップと、
前記被検体の相対的認知能力が前記所定の閾値を下回ると決定するステップに応答して、前記被検体がユーザ入力を提供することを回避するステップと
を有する、方法。
【請求項11】
前記監視される被検体は臨床医であり、前記知的タスクは、被検体の医用画像を評価又は診断するタスクである、請求項1乃至10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記プログラムがコンピュータ上で実行されるとき、請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法を実施するためのコード手段を有するコンピュータプログラム。
【請求項13】
監視される被検体の相対的認知能力を決定するためのシステムであって、前記システムは、
被検体及び/又は前記被検体の環境を監視する少なくとも1つのセンサから少なくとも1つの出力を取得するように適合される入力インタフェースと、
処理システムであって、
第1の機械学習アルゴリズムを使用して前記少なくとも1つの出力を処理し、それによって被検体の相対的認知能力を損ない得るファクタ又は被検体の相対的認知能力に対する障害によって影響を受ける特性の何れかの第1の中間指標を生成し、
第2の異なる機械学習アルゴリズムを使用して前記少なくとも1つの出力を処理し、それによって被検体の相対的認知能力を損ない得るファクタ又は被検体の相対的認知能力に対する障害によって影響を受ける特性の何れかの第2の異なる中間指標を生成し、
前記第1及び第2の中間指標を処理して、それによって前記被検体の相対的認知能力の出力指標を生成する、
ように適合される処理システムと
を有する、システム。
【請求項14】
計算システムのためのユーザ端末であって、前記ユーザ端末は、
被検体によって実行される知的タスクの結果を表すユーザ入力を受信するように適合される入力ユーザインターフェースと、
請求項13に記載のシステムであって、前記システムは、前記出力指標に基づいて、前記被検体によって提供される前記ユーザ入力にフラグを立てるようにさらに適合される、システムと
を有する、ユーザ端末。
【請求項15】
計算システムのためのユーザ端末であって、前記ユーザ端末は、
被検体によって実行される知的タスクの結果を表すユーザ入力を受信するように適合される入力ユーザインターフェースと、
請求項13に記載のシステムであって、前記システムは、
前記出力指標を処理して、前記被検体の相対的認知能力が所定の閾値を下回るかを決定し、
前記被検体の相対的認知能力が前記所定の閾値を下回ると決定することに応答して、前記被検体が前記ユーザ入力を提供することを回避する
ように更に適合される、システムと
を有する、ユーザ端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の相対的認知能力を決定するための概念に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体がその能力を最大限に発揮できるようにすることに関心が高まっている。これは、臨床状況において特に重要であり、認知障害のある臨床医は患者を不正確に診断したり、さもなければ分析したりする可能性が高く、患者の負の結果につながる。これは、認知障害のある臨床医が患者又は医用画像を見直す際に潜在的に重要な所見を見落としたり、誤認したりすることによる可能性がある。
【0003】
したがって、認知能力の変化を識別又は定量化し、それによって、知的タスクが不正確に実行される可能性があるときを識別することが望ましい。これは、診断などの知的タスクを実行する被検体によって行われる回避可能な間違いを回避するのに役立つ。
【0004】
現在、被検体は自分の作業手順を修正するように被検体に促すために、又は技術的タスクの不正確な性能を防止するために休憩をとるために、例えば、自分の疲労のレベルを自己評価することによって、自分の認知能力自体の変化を意識的に監視するように求められる。しかしながら、このような測定は主観的であり、したがって不正確及び/又は一貫性がない可能性がある。これは、その被検体が行う知的作業、例えば患者の不正確な診断などの結果につながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、認知タスクを実行する被検体の能力に対する可能な障害を評価し、したがって認知タスクの結果の正確さを予測するために、被検体の相対的認知能力又はそれに対する変化の非主観的指標を正確に生成することが技術的に望まれている。
【0006】
被検体の相対的認知能力の正確な指標が確実に増加されることによって、被検体の誤差が気付かれずに進むか、又は被検体が知的タスクを実行し続ける可能性が低減される。さらに、潜在的なエラーは、後のレビューのためにフラグを立てることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、請求項によって規定される。
【0008】
本発明の一態様による例によれば、監視対象の相対的認知能力の出力指標を生成する方法が提供される。本方法は被検体及び/又は被検体の環境を監視する少なくとも1つのセンサから少なくとも1つの出力を取得するステップと、第1の機械学習アルゴリズムを使用して少なくとも1つの出力を処理し、それによって被検体の相対的認知能力を損なう可能性があるファクタ又は被検体の相対的認知能力の障害によって影響を受ける特性の何れかの第1の中間指標を生成するステップと、第2の異なる機械学習アルゴリズムを使用して少なくとも1つの出力を処理し、それによって被検体の相対的認知能力を損なう可能性があるファクタ又は被検体の相対的認知能力の障害によって影響を受ける特性の何れかの第2の異なる中間指標を生成するステップと、それによって被検体の相対的認知能力の出力指標を生成するために第1及び第2の中間指標を処理するステップとを含む。
【0009】
したがって、提案される方法は、被検体の相対的認知能力に影響を及ぼすか、又はそれによって影響を受ける可能性があるそれぞれのファクタについて少なくとも2つの中間指標を生成することと、その後、これらの中間指標に基づいて被検体の相対的認知能力の指標を生成することとを含む。異なる機械学習アルゴリズムを使用して、異なる中間指標を生成する。
【0010】
したがって、相対的認知能力の主観的な尺度は、相対的認知能力の指標を生成する、より正確な機械学習に基づく方法に置き換えられる。被検体の相対的認知能力の指標の正確な生成は、被検体の知的作業の正確さ又は有効性を評価するために重要である。
【0011】
異なる中間指標を生成するために別々の機械学習アルゴリズムを用いることにより、提案した方法により提供される出力指標の精度を改善した。認知能力の変化を識別することは、困難で複雑な作業であり、本発明者らは相対的認知能力に寄与する異なる態様(中間指標)を別々に決定することは各中間指標自体を正確に識別することができ、機械学習アルゴリズムを各中間指標について具体的に訓練することができるので、相対的認知能力を決定する精度を高めることを認識した。したがって、提案される概念は、被検体の認知能力を評価する際の困難性を考慮に入れた、被検体の相対的認知能力を決定するために特に適合される方法を提供する。出力指標は、被検体の相対的認知能力のレベル又は尺度を示す。
【0012】
したがって、出力指標に対する変化は、被検体の相対的認知能力のレベルに対する変化を示す。相対的認知能力は例えば、その認知能力に影響を及ぼすファクタが存在しなかったシナリオと比較して、被検体が正確に又は首尾よく知的タスクを実行する尤度の尺度であり得る。中間指標は、認知能力の変化に影響を及ぼす又は影響を及ぼすファクタの指標である。
【0013】
好ましくは、第1及び第2の中間指標を処理するステップが第3の異なる機械学習アルゴリズムを使用して、第1及び第2の中間指標を処理して、被検体の相対的認知能力のレベルの出力指標を生成するステップを含む。機械学習アルゴリズムを使用すると、指標の精度が向上する。
【0014】
少なくとも1つの実施形態では、出力指標が例えばユーザインターフェースを介して被検体に提示される。出力指標はタスクを実施する際に被検体に自身の相対的知能障害を認識させることになるので、被検体が知的技術タスク(例えば、患者を診断すること)を実施するのを補助する。提示される出力指標を継続的に監視することによって、被検体はその出力指標を追跡し、それによって、どの程度正確にタスクを実行するかを決定することができる(例えば、相対的認知能力に応答してその行動を修正するために、又はその環境を変更するために)。被検体の相対的認知能力を監視する能力は(診断タスクなどの)認知能力の低下によって引き起こされる知的タスクの不正確な性能を防止し、それによって、知的タスクの性能の信頼性及び信頼性を改善するために使用することができる。したがって、提示される出力指標は、ユーザが知的タスクを実行する能力を評価する技術的タスクを実行することを可能にし、それによって、知的タスクのパフォーマンスを改善する。
【0015】
実施形態では少なくとも1つのセンサが少なくとも2つのセンサを含み、少なくとも1つの出力は各センサからの少なくとも1つの出力を含む。複数のセンサを使用すると、出力指標の精度が改善し、システムの冗長性が改善する。認知能力は評価するための複雑なファクタであるので、単一のセンサ又は単一の信号のみを使用することは不十分な精度につながり得、その結果、相対的認知能力を決定するときに複数のセンサを使用することは改善される精度につながることが認識されている。
【0016】
例えば、パルスベース(すなわち、心拍数)検出器は、パルスの変化がないか、又は制限されるため、訓練を受けた運動選手には機能しない場合がある。したがって、単一の(パルス)センサに頼ることは、相対的認知能力の変化の正確な評価をもたらさないであろう)。同様に、EEGベースの検出器からの信号は相対的認知能力を正確に決定するために処理され得るが、それらが良好な信号品質を捕捉する場合にのみ信頼性があり、かつ/又は正確である。電極と被検体の頭皮との間の接触が悪い場合、EEGベースの検出器全体の品質が低下する可能性があり、したがって、センサデータは信頼できない可能性がある。別の例として、被検体は何らかの外部事象又は雑音(それらの相対的認知能力の低下を引き起こす)によって注意散漫になることがあり、この注意散漫は、物理的ベースの検出器(心拍数モニタなど)によって見逃されることになる。
【0017】
言い換えれば、そのセンサのノイズ、損傷、又は(例えば、認知能力に影響を及ぼすか、又はそれによって影響される特定の被検体又は要因に対する)非感受性が、被検体の相対的認知能力を決定する精度を著しく低下させることを、単一のセンサ手段に依存する。したがって、2つ以上のセンサを使用することにより、ノイズ、損傷、及び被検体の変動に対してよりロバストな相対的認知能力を評価する方法が提供される。
【0018】
2つ以上のセンサは、好ましくは被検体の異なるパラメータを監視するように適合される2つ以上の異なるセンサを備える。
【0019】
いくつかの実施形態では第1の機械学習アルゴリズムを使用して、少なくとも1つの出力を処理するステップは第1の機械学習アルゴリズムを使用して、第1のセンサの出力を処理して、それによって、第1の中間指標を生成することを含み、第2の機械学習アルゴリズムを使用して、少なくとも1つの出力を処理するステップは第2の機械学習アルゴリズムを使用して、第2の異なるセンサの出力を処理して、それによって、第2の中間指標を生成することを含む。
【0020】
したがって、異なるセンサの出力は、異なる中間的な機械学習アルゴリズムによって処理されて、異なる中間指標を生成することができる。したがって、各中間指標は他の中間指標から独立していてもよく、各中間指標は異なるセンサに関連付けられていてもよい。特定の実施形態において、第1の機械学習アルゴリズムは第2のセンサからの入力を受け取らず、第2の機械学習アルゴリズムは第1のセンサからの入力を受け取らない。
【0021】
第1及び第2の機械学習アルゴリズムは、好ましくは互いに独立して訓練される。従って、既存の機械学習アルゴリズムをシステムに実装することができ、中間指標の高精度識別を可能にする。特に、本方法が使用される環境専用ではない機械学習アルゴリズムを利用することができ、それによって、機械学習アルゴリズムを訓練することの容易さを増大させ、中間指標を生成するアルゴリズムを訓練するためのデータの利用可能性を拡張する。
【0022】
出力指標は、被検体の相対的認知能力の尺度を含むことができる。被検体の相対的認知能力の尺度は、その被検体の「正常」又は「ベースライン」の認知能力と比較した認知能力を示す。正常又はベースラインの認知能力は、認知影響ファクタ(感情状態、ストレスレベル又は環境的注意散漫など)によって障害されていない場合、被検者の認知能力を表している可能性がある。
【0023】
この方法は、出力指標を処理して、被検体の相対的認知能力が所定の閾値未満であるかを決定するステップと、被検体の相対的認知能力が所定の閾値未満であると決定することに応答して、警告を生成するステップとをさらに含むことができる。警告を生成することによって、被検体の不十分な認知能力を認識するか、又はエンティティ(例えば、被検体又は別の人物)の注意を引くことができる。
【0024】
警告を生成するステップは、ユーザインターフェースを介してユーザが知覚可能な出力を生成するステップを含むことができる。ユーザに自分の認知能力の低下を警告することによって、ユーザは休憩をとるように促され、それによって、将来の知的タスクが不正確に実行される尤度を低減することができる。
【0025】
被検体によって実行される知的タスクの結果を表すユーザ入力を受信するように適合されるユーザ端末を操作する方法も提案され、この方法は、出力指標を生成する任意の記載される方法を実行することと、出力指標に基づいて被検体によって提供されるユーザ入力にフラグを立てることとを含む。
【0026】
被検体によって実行される知的タスクの結果を表すユーザ入力を受信するように適合されるユーザ端末を操作する別の方法が提案され、この方法は、出力指標を生成する任意の記載される方法を実行するステップと、出力指標を処理して、被検体の相対的認知能力が所定の閾値未満であるかを決定するステップと、被検体の相対的認知能力が所定の閾値未満であると決定することに応答して、被検体がユーザ入力を提供することを防止するステップとを含む。
【0027】
一つ以上の所定の閾値が存在することがあり、その各々は異なるタスクを実行することに関連している(例えば、警告の生成、被検体によるユーザ入力の提供の妨げ、別の被検体への警告、被検体のユーザ入力が別の装置によって保存又は受信されないようにする、ユーザ入力のフラグを変更するなど)。
【0028】
好ましくは、監視対象は臨床医であり、知的タスクは対象の医用画像を評価又は診断するタスクである。
【0029】
また、プログラムがコンピュータ上で実行される場合に、記述される任意のメソッドを実施するためのコード手段を含むコンピュータプログラムも提案される。
【0030】
本発明の一態様による例によれば、監視対象の相対的認知能力を決定するためのシステムが提供される。システムは、被検体を監視する少なくとも1つのセンサから少なくとも1つの出力を得るように構成される入力インタフェースと、処理システムとを備える。処理システムは第1の機械学習アルゴリズムを使用して少なくとも1つの出力を処理し、それによって、被検体の相対的認知能力を損なう可能性があるファクタ又は被検体の相対的認知能力の障害によって影響される特性の何れかの第1の中間指標を生成し、第2の異なる機械学習アルゴリズムを使用して少なくとも1つの出力を処理し、それによって、被検体の相対的認知能力を損なう可能性があるファクタ又は被検体の相対的認知能力の障害によって影響される特性の何れかの第2の異なる中間指標を生成し、それによって、第1及び第2の中間指標を処理して、それによって、被検体の相対的認知能力の出力指標を生成するように適合される。
【0031】
コンピューティングシステムのためのユーザ端末も提案され、ユーザ端末は被検体によって実行される知的タスクの結果を表すユーザ入力を受信するように適合される入力ユーザインターフェースを備え、システムは出力指標に基づいて被検体によって提供されるユーザ入力にフラグを立てるようにさらに適合される。コンピューティングシステムのための別のユーザ端末が提案され、ユーザ端末は、被検体によって実行される知的タスクの結果を表すユーザ入力を受信するように適合される入力ユーザインターフェースと、被検体の相対的認知能力が所定の閾値未満であるかを決定するために出力指標を処理するようにさらに適合されるシステムとを備え、被検体の相対的認知能力が所定の閾値未満であると決定することに応答して、被検体がユーザ入力を提供することを防止する。
【0032】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。
【0033】
本発明をより良く理解し、本発明をどのように実施することができるかをより明確に示すために、単なる例として、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態を概念的に示す。
図2】本発明の一実施形態によるシステムを示す。
図3】本発明の一実施形態による方法を示す。
図4】本発明の一実施形態によるシステムを使用するユーザ端末を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、図面を参照して説明される。
【0036】
詳細な説明及び特定の例は装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を示しているが、例示のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことは理解される。本発明の装置、システム、及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からより良く理解されるのであろう。図面は単に概略的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことは理解される。また、同じ参照番号は同じ又は類似の部分を示すために、図面全体にわたって使用されることは理解される。
【0037】
本発明の概念によれば、被検体の相対的認知能力の変化に応答する被検体の指標を決定するための概念が提案される。少なくとも2つの別個の機械学習アルゴリズムを使用して、被検体を監視する1つ又は複数のセンサの1つ又は複数の出力に基づいて、それぞれの数の中間指標を生成する。その後、中間指標が処理され、それによって、被検体の相対的認知能力の指標が生成される。
【0038】
実施形態は少なくとも部分的に、センサ情報を使用して被検体の相対的認知能力を直接決定することは、認知の性質を予測するのが複雑で困難であるために、複雑で信頼できないタスクであるという認識に基づいている。中間指標を正確に生成するために別々の機械学習アルゴリズムを使用することが提案され、それは次いで、相対的認知能力の指標を生成するために使用することができる。したがって、機械学習アルゴリズムは特定のあまり複雑でないタスク(例えば、疲労又は注意の指標を生成する)を実行するために特に訓練され得、その結果は、相対的認知能力を決定するために使用される。
【0039】
例示的な実施形態は例えば、(例えば、患者を診断するために)医用画像の分析を実行する臨床医を監視するために、医療環境で使用されてもよい。これにより、臨床医は性能が低下したときに警告を受けることができ、又は、追加のレビューを必要とする場合には臨床医の分析にフラグを立てることができる。
【0040】
図1は、文脈的理解のための実施形態の高レベル概要を概略的に示す。図1を参照して説明される概念は任意の想定される実施形態に適切に適合され得、用語に対する明確化はこの説明の全体にわたって適用される。
【0041】
(1つ又は複数の)センサ101、102、103、104のセット100の各々は、被検体(図示せず)を監視して、被検体及び/又はその環境の監視される値を含む出力101A、102A、103A、104Aを生成するように構成される。適切なセンサの例には、ビデオカメラ、バイタルサインモニタ(例えば、パルスオキシメータ、バイタルサインカメラ、血圧カフ、被検体温度モニタなど)、脳波(EEG)システム(例えば、電極のヘッドセットを備える)、心電図(ECG)モニタ(例えば、胸部電極のアレイを備える)、ワークステーション使用モニタ、環境ノイズモニタ、環境温度モニタ、周囲光モニタなどが含まれる。
【0042】
複数の機械学習アルゴリズム111、112、113のセット110は、それぞれ、センサのセット100からの少なくとも1つの出力を処理して、それぞれの中間指標111A、112A、113Aを生成するように適合される。機械学習アルゴリズム111、112、113は例えば、(1つ又は複数の)センサの少なくとも1つの出力のサンプル又はサンプルのセットを(例えば、ある期間にわたって)処理し、それによって中間指標を生成することができる。従って、被検体を監視する少なくとも1つのセンサの少なくとも1つの出力から、複数の中間指標が生成される。
【0043】
各機械学習アルゴリズム111、112、113は好ましくは他とは独立して(例えば、別個の制御される実験において)訓練され、システム全体が使用されるセット外で訓練されてもよい。これは、異なる特殊化される機械学習訓練アルゴリズムに適応する方法の柔軟性を改善する。
【0044】
中間指標111A、112A、113Aは知的タスク(すなわち、被検体の認知能力を損なう可能性がある任意のファクタ)を正確に又は首尾よく実行する被検体の能力に影響を及ぼす可能性がある任意のファクタのレベル又は測定、又は被検体の認知能力の障害によって影響を受ける任意の特性のレベル/測定を示す。
【0045】
対象の認知能力に影響を及ぼす/損なう可能性がある適切なファクタの例には、注意散漫レベル、注意レベル、ストレスレベル、感情状態、及び疲労レベル、著しい環境ノイズ又は温度が含まれる。被検体の認知能力の障害によって影響を受ける/損なわれる可能性がある適切な特性の例には、被検体による作業パフォーマンスの異常、知的タスクの被検体のパフォーマンスの誤りなどが含まれる。
【0046】
したがって、適切な中間指標の例は、被検体の疲労レベルの測定、被検体の注意レベルの測定、被検体のストレスレベルの測定、被検体の感情、被検体による使用パターンの異常の指示、被検体の環境における温度/ノイズの著しい変化の指示を含む。
【0047】
中間指標は、被検体の正常又は「ベースライン」レベルに対する変化又は差、すなわち「相対的尺度」を示すことができる。例えば、中間指標は、ベースライン疲労レベルからの被検体の疲労レベルの偏差の尺度、ベースライン疲労レベルからの被検体の疲労レベルの偏差の尺度などを含むことができる。別の例として、中間指標は、被検体又はその環境の尺度が正常範囲外又は予想範囲外であるときを示すことができる。ベースラインレベルはコントロールされる「正常である」状態例えば、朝、疲れていないとき、基本的な試験の質問に応答した後、そして、おそらく、医師による被検体のレビューの後でさえも、被検体をモニタリングすることによって決定することができる。制御される監視の間、外部の気を散らす事象が起こらないことを保証することができ、例えば、他の人が何も起こらなかったことを確認する責任を負うことができる。このベースライン記録セッションは、1人につき1回だけ、又は定期的な間隔で、例えば6ヶ月ごと又は12ヶ月ごとに必要とされる。監視システムのモデルはこの被検体の「正常である」状態を記憶し、異常検出技法を使用して、逸脱した事例を異常値としてフラグ付けすることができる。
【0048】
ベースラインレベルからの有意な偏差を識別するために、様々な監視される異常検出技法及び監視されていない異常検出技法を使用することができる。例えば、密度ベースの技術、例えば、k最近傍又は局所外れ値ファクタを使用して、正規分布から遠く離れたデータ点を識別することができる。特定のセンサが時系列を提供している場合、ARIMA又は指数平滑化は、異常値データ点を検出するために有用であり得る。
【0049】
例えば、第1の機械学習アルゴリズム111は、被写体の顔を監視するビデオカメラ101から得られるビデオストリーム又は画像101Aに基づいて、被写体111Aの感情を決定することができる。当業者はその共通の一般的知識を用いて、容易に感情認識方法を実施することができるのであろう。例えば、B.C.Koの「A Brief Review of Facial Emotion Recognition Based of Visual Information」( Sensors 2018, 18, 401)に規定される方法論を採用する。
【0050】
別の例として、第2の機械学習アルゴリズム112は、被検体のストレス又は注意レベルの測度112Aを生成することができる。第2の機械学習アルゴリズム112は、バイタルサインモニタ102及び/又は脳波システム103の出力102A、103Aを処理して、ストレス/注意レベルを決定することができる。したがって、第2の機械学習アルゴリズムは、脈拍数、心拍数(変動性)、体温、呼吸数、脳活動などの生理学的指標102A、103Aに基づいて、被検体のストレス/注意レベルを決定することができる。適切な機械学習アルゴリズムを採用し、そのような入力パラメータに基づいてストレス/注意レベルを決定するために訓練することができる。
【0051】
さらに別の例として、別の機械学習アルゴリズム113は被検体による(例えば、ユーザ端末、コンピュータ、又は他の入力機構の)異常又は異常な使用パターン113Aを検出することができる。したがって、使用パターン検出器113は、被検体によるユーザ端末の使用特性104Aを監視するように適合される使用監視システム104から入力を受信することができる。適切な機械学習アルゴリズムを使用し、訓練して、監視される使用量104Aに基づいて異常使用量113Aを決定することができる。
【0052】
使用監視システムは例えば、マウスクリック、データ/文献の開放時間/遅延、設定される期間内にレビューされる文献の平均回数、文献又はデータセットのレビューに費やされる平均時間、データベースから情報をアップロード/ダウンロードするのにかかる時間又は時間、及び前述の何れかからの逸脱を監視することができる。たとえば、ワークフローの不規則な一時停止や、特定のドキュメントに費やされる通常以外の時間は、サブジェクトのワークフローがいくつかの要因によって中断されていることを示している場合がある。これは、例えば、de Naurois, Charlotte Jacobeらの「detection and prediction of driver drowsiness using artificial neural network models」(Accident Analysis & Prevention(2017))に記載されているように、運転者が眠っているかを検出するために操縦パターンの変化又は偏差が使用される、いくつかの運転者の眠気検出システムに類似している。当業者は、このようなシステムを、ステアリングパラメータではなく、ユーザ端末の使用を監視するように適応させることができるのであろう。もちろん、車両に採用されるいくつかの例では、使用監視システムが例えばde Nauroisらに規定されているように、車両のステアリングパラメータを監視する。
【0053】
次に、ステップ120において、中間指標111A、112A、113Aを処理して、被検体の相対的認知能力の出力指標130を生成する。
特定の実施の形態では、ステップ120が第3の(異なる)機械学習アルゴリズムを用いて中間指標を処理することを含む。
【0054】
特に、出力指標130は、被検体の相対的認知能力のレベルを示す。したがって、出力指標に対する変化は、被検体の相対的認知能力のレベルに対する変化を示す。相対的認知能力は例えば、その認知能力に影響を及ぼすファクタが存在しなかったシナリオと比較して、被検体が正確に又は首尾よく知的タスクを実行する尤度の尺度であり得る。
【0055】
したがって、例えば、出力指標は被検体が知的タスクを誤って実行する予測確率(「ヒューマンエラー確率」)、又は被検体の相対的認知能力の数値尺度(例えば、パーセンテージとして表される)であってもよい。他の例では、指標がカテゴリ指標(例えば、「高度障害」、「軽度障害」又は「障害なし」を表す値)又はバイナリ指標(例えば、対象の認知能力が障害されているか否かが予測されるか否かの指標)である。
【0056】
言い換えると、複数の中間指標111A、112A、113A(それぞれがそれぞれの機械学習アルゴリズムによって生成される)は、それによってステップ120で処理され、単一の出力指標130を生成する。これは例えば、シグモイド関数を通過した加重和を使用することによって実行されてもよく、又は前述のように、別の機械学習アルゴリズムを使用して中間指標を処理することを含んでもよい。
【0057】
特に、出力指標は、被検体の正常又は「ベースライン」レベルに対する変化又は差、すなわち「相対的尺度」を示すことができる。
【0058】
前と同様に、ベースラインレベルはコントロールされる「正常である」状態例えば、朝、疲れていないとき、基本的な試験の質問に応答した後、そして、おそらく、医師による被検体のレビューの後でさえも、被検体をモニタリングすることによって決定することができる。制御される監視の間、外部の気を散らす事象が起こらないことを保証することができ、例えば、他の人が何も起こらなかったことを確認する責任を負うことができる。このベースライン記録セッションは、1人につき1回だけ、又は定期的な間隔で、例えば6ヶ月ごと又は12ヶ月ごとに必要とされる。監視システムのモデルはこの被検体の「正常である」状態を記憶し、異常検出技法を使用して、逸脱した事例を異常値としてフラグ付けすることができる。
【0059】
したがって、機械学習アルゴリズムは(例えば、ベースライン中間指標に基づいて)被検体の正常又はベースラインレベルを認識し、ベースラインレベルからの有意な偏差を認識するように訓練されてもよい。ベースラインレベルからの有意な偏差を識別するために、様々な監視される異常検出技法及び監視されていない異常検出技法を使用することができる。例えば、密度ベースの技術、例えば、k最近傍又は局所外れ値ファクタを使用して、正規分布から遠く離れたデータ点を識別することができる。他の適切な機械学習アルゴリズム(例えば、ニューラルネットワーク)については後述する。
【0060】
上述したシステムは3つの別個の機械学習アルゴリズム111、112、113を使用して、3つの別個の中間指標111A、112A、113Aを生成するが、任意の数の(2つ以上の)機械学習アルゴリズムを使用して、ステップ120で出力指標を決定する際に使用するために、それぞれの複数の(2つ以上の)中間指標を生成することができることが理解されよう。
【0061】
もちろん、所与の機械学習アルゴリズム111、112、113は、1つ又は複数のセンサ101A、101B、101C、101Dの2つ以上の出力を使用して、中間指標を生成することができる。例えば、図示されるように、第2の機械学習アルゴリズム112は、センサの2つの出力102A、103Aを使用して、第2の中間指標112Aを生成してもよい。
【0062】
好ましくは複数のセンサが存在し、各センサは少なくとも1つのそれぞれの出力を生成し、これらの出力は機械学習アルゴリズムによって使用されて、それぞれの中間指標を生成する。このようにして、いくつかのセンサからの情報を組み合わせて、複数の中間指標を生成することができる。出力指標の生成中に複数のセンサを使用することは、所与のセンサの潜在的なエラー(例えば、誤った読取値を与えること)を緩和することができるので、すなわち、冗長性を効果的に与えることができるので、出力指標の精度を高める。
【0063】
センサの出力は異なる中間指標を生成するときに、異なる機械学習アルゴリズム間で共有されてもよい。したがって、異なる機械学習アルゴリズムは異なる中間指標を生成するときに、同じセンサの同じ出力を使用してもよい。例として、ビデオカメラの出力は例えば、眼の瞬きの数及び頻度がストレス/注意レベルを示すことができるので、第2の機械学習アルゴリズム112に提供されてもよい。
【0064】
好ましくは、異なる機械学習アルゴリズムが複数のセンサによって生成される出力の異なる選択又はサブセットを使用して、それぞれの中間指標を生成する。したがって、2つ以上の機械学習アルゴリズムのそれぞれは、センサからの出力の固有のセットを使用して、それぞれの中間指標を生成することができる。
【0065】
したがって、例えば、第1の機械学習アルゴリズムは第1のセンサの出力を処理して、それによって第1の中間指標を生成してもよく、第2の機械学習アルゴリズムは第2の異なるセンサの出力を処理して、それによって、第2の中間指標を生成してもよい。この例では第1の機械学習アルゴリズムが第2の、異なるセンサの出力(第2の機械学習アルゴリズムによって使用される)を使用せず、第2の機械学習アルゴリズムは第1のセンサの出力(第1の機械学習アルゴリズムによって使用される)を使用しないことがある。
【0066】
好ましい実施形態では、中間指標を生成する各機械学習アルゴリズム110が少なくとも1つのセンサの出力を処理しない。これにより、故障又は不感センサが出力指標に与える影響を軽減することができ、システム全体の信頼性が向上する。
【0067】
センサの出力のうちの1つ以上は、機械学習アルゴリズム110への入力として提供される前に前処理されてもよい。例えば、ビデオカメラデータ101Aは機械学習アルゴリズムへの入力として使用される患者の特定の特性(例えば、被検体の色、被検体の呼吸数、瞬きの数/頻度など)を決定するために処理されてもよい。他の実施形態では、そのような前処理が機械学習アルゴリズム110の一部を形成する。
【0068】
いくつかの実施形態では、出力指標130がステップ140でさらに処理されてもよい。ステップ140は、出力指標を処理して、被検体の相対的認知能力が所定の閾値未満であるかを決定することができる。
【0069】
ステップ140の正確な動作は、出力指標の実装の詳細に依存し得る。例えば、出力指標が相対的認知能力の尺度である場合、ステップ140は、尺度自体が所定の閾値未満であるかを決定することを含むことができる。別の例では出力指標がカテゴリ的測定(例えば、「高度障害」、「軽度障害」又は「無障害」)である場合、特定のカテゴリ(例えば、「高度障害」又は「軽度障害」)は所定の閾値未満である相対的認知能力に関連付けられてもよく、その結果、ステップ140は出力指標がこれらのカテゴリのうちの1つにあるかを決定することを含む。
【0070】
被検体の相対的認知能力が所定の閾値未満であるとステップ140が決定したYに応答して、警告を生成するステップ141を実行することができる。ステップ141は代替的に又は追加的に、特定のアクションを実行することを含むことができる。
【0071】
被検体の相対的認知能力が所定の閾値を下回らないことをステップ140が決定したYに応答して、警告を生成しないステップ142が実行されてもよい。ステップ142は代替的に又は追加的に、特定のアクションを実行しないことを含んでもよい。
【0072】
警告はアクション又はタスクを開始するために使用される信号(例えば、電子信号)であってもよく、例えば、触覚、オーディオ、及び/又は視覚出力などのユーザ知覚可能警告を被検体に表示する。
【0073】
警告は(例えば、ユーザインターフェースで提供されるユーザ知覚可能な出力を介して)監視される被検体に提供され、(例えば、後のレビューのために)監視される被検体によって実行される活動にフラグを立てるために使用され、別の被検体(例えば、被検体の監督者)に渡され、又は監視される被検体が知的タスクをさらに実行することを防止するためのプロセスを開始する(例えば、被検体が監視されるタスクのためのさらなる入力を提供することを停止する)ことができる。したがって、アラートを生成すると、タスク又はアクションが開始される場合がある。言い換えると、相対的認知能力が所定の閾値を上回るか下回るかを決定することは、特定のタスクが実行されるかを決定することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、異なる警告又はアクションに関連する2つ以上の所定の閾値があってもよい。例えば、第1の所定の閾値は例えば、ユーザが知覚可能な出力を介して被検体に警告を提供することができ、一方、第2の所定の閾値は監視される被検体が知的タスクをさらに実行することを防止する(例えば、ユーザがデータを入力することを防止するなど)アクションを(例えば、異なる警告又は警告信号を介して)開始することができる。そのような実施形態では第1の所定の閾値が第1のレベルの相対的認知能力を表すことができ、第2の所定の閾値は第2のより低いレベルの相対的認知能力を表すことができる。異なるしきい値は、前述した警告の任意の使用に関連付けることができる。
【0075】
実施形態では、警告/アクションをグループ化することができ、1つ又は複数の警告/アクションの異なるグループを、異なる所定の閾値に関連付けることができる。
【0076】
所定の閾値(複数可)を決定するために、被検体の認知能力が初期時点(例えば、就業日の開始時又は被検体の雇用の開始時)に決定される較正ステップがあってもよい。この情報を使用して、機械学習アルゴリズム110を特定の被検体に合わせるか、又は調整することができる。
【0077】
もちろん、例えば入力ユーザインターフェースを介して、被検体が警告に応答する(例えば、誤警告であることを示す)フィードバックメカニズムがあってもよい。この情報は、システムにフィードバックされ、ステップ120を修正するために使用される。これは、システムが時間自動的に適合されることを保証する。
【0078】
言い換えれば、被検体は、提案される方法によって開始される警告又はアクションを無効にすることができる。いくつかの実施形態では、システム/方法がオーバーライドが発生したことを示すさらなるアラートを生成する(例えば、被検体のスーパーバイザなどの別の被検体への通知をトリガする)ように適合される。これは、潜在的に危険なオーバーライドが気付かれないことを防止するのに役立つ。
【0079】
当業者は図1を参照して説明される概念を実行するためのシステム及び方法を容易に実施することができるのであろうが、それにもかかわらず、完了のために、そのようなシステム及び方法のためのそれぞれの実施形態が、図2及び図3を参照して説明される。これらの実施形態は、上述の任意選択の特徴を組み込むように適切に適合されてもよい。
【0080】
図2は、本発明の一実施形態によるシステム20を示す。システム20は、少なくとも入力インタフェース201及び処理システム202を有する。
【0081】
入力インタフェース201は、被検体29を監視する少なくとも1つのセンサ25A、25B、25Cから少なくとも1つの出力を得るようになっている。したがって、センサのセット25は、入力インタフェース201によって受信されるべき1つ又は複数の出力を提供する。
【0082】
もちろん、いくつかの実施形態では、センサ25がシステム20の一部を形成する。好ましくは、センサのいくつか(又はさらにより好ましくはすべて)が非侵襲的妨害性、及び/又は非接触センサ(ビデオカメラ、バイタルサインカメラ、環境モニタなど)である。
【0083】
処理システム202は第1の機械学習アルゴリズムを使用して少なくとも1つの出力を処理し、それによって、被検体の相対的認知能力を損なう可能性があるファクタ、又は被検体の相対的認知能力の障害によって影響を受ける特性の何れかの第1の中間指標を生成するように適合される。
【0084】
処理システム203はまた、第2の異なる機械学習アルゴリズムを使用して少なくとも1つの出力を処理し、それによって、被検体の相対的認知能力を損なう可能性があるファクタ又は被検体の相対的認知能力の障害によって影響を受ける特性の何れかの第2の異なる中間指標を生成するように適合される。
【0085】
処理システム202はまた、第1及び第2の中間指標を処理し、それによって被検体の相対的認知能力の出力指標を生成するように適合される。したがって、先に説明したように、処理システム202は、2つ以上の別個の機械学習アルゴリズムを使用して、それぞれの2つ以上の中間指標を生成する。次いで、処理システム202は、2つ以上の中間指標を使用して、監視対象の相対的認知能力の出力指標を生成する。これは、第3の機械学習アルゴリズムを使用して実行することができる。
【0086】
システム20は、被検体に出力指標を提供するように適合されるユーザインターフェース203をさらに備えてもよい。ユーザインターフェース203は出力指標を被検体に提供する視覚的、オーディオ、又は触覚的(例えば、振動)出力を提供するように適合されてもよい。
【0087】
処理システムは、警告を生成するかを決定するために出力指標を処理するようにさらに適合されてもよい。処理は、被検体の相対的認知能力が所定の閾値未満であるかを決定するために出力指標を処理することを含むことができる。被検体の相対的認知能力が所定の閾値未満であると決定することに応答して、警告を生成する(又は別の動作を実行する)ことができる。実施形態は2つ以上の所定の閾値を使用することができ、各閾値は、特定のアクションがいつ実行されるか、又は特定のアラートが生成されるかを定義する。
【0088】
実施形態において、ユーザインターフェースは例えば、警告が発行されることを示す特定の視覚、音声及び/又は触覚出力を提供することによって、警告に関する情報を提供してもよい。これはそれによって、被検体の認知能力が閾値を下回ったときに被検体に警告することによって、被検体が知的技術タスクを実行するのを支援する(したがって、被検体は適切なレベルまで技術的知的タスクを実行することができない場合がある)。
【0089】
図3は、本発明の一実施形態による方法30を示す。この方法は、被検体を監視する少なくとも1つのセンサから少なくとも1つの出力を取得するステップ301を含む。
【0090】
次いで、方法30は第1の機械学習アルゴリズムを使用して少なくとも1つの出力を処理するステップ302を実行し、それによって、被検体の相対的認知能力を損なう可能性があるファクタ、又は被検体の相対的認知能力の障害によって影響を受ける特性の何れかの第1の中間指標を生成する。
【0091】
本方法はまた、第2の異なる機械学習アルゴリズムを使用して少なくとも1つの出力を処理するステップ303を実行し、それによって、被検体の相対的認知能力を損なう可能性があるファクタ又は被検体の相対的認知能力の障害によって影響を受ける特性の何れかの第2の異なる中間指標を生成する。
【0092】
ステップ302及び303は、並行して、又は連続して実行されてもよい。
【0093】
続いて、方法30は第1及び第2の中間指標を処理するステップ304を実行し、それによって、被検体の相対的認知能力の出力指標を生成する。
【0094】
図4は、本発明の一実施形態によるユーザ端末40を示す。ユーザ端末40は、被検体、ここでは臨床医(例えば放射線科医)が医用画像を再検討するために使用するように適合されている。
【0095】
ユーザ端末は、コンピュータシステム401を備える。
コンピュータシステム401はディスプレイ402(又は他の出力ユーザインタフェース)及び入力ユーザインタフェース403(例えば、マウス及び/又はキーボード)に接続される。コンピュータシステム401は、臨床医によるレビューのために異なる医用画像を提供するようにディスプレイ402を制御する。コンピュータシステム401は、表示される医用画像に関する臨床医の記号、テキスト、及び/又は絵によるコメントなどの入力ユーザインターフェースを介して、臨床医からの入力を受け取る。それによって、臨床医は表示される医用画像をレビューしてコメントを提供する技術的知的作業、例えば、医用画像に関連する患者の診断を示すこと、又はさらなるレビューのためのフラグ表示領域を実行することができる。
【0096】
コンピュータシステム401は、被検体(臨床医)の相対的認知能力の出力指標を生成するためのシステムを備える。システム401は、前述の任意の方法で形成することができる。
【0097】
特に、1つ以上のセンサ410は中間指標を生成するためにシステムによって使用される2つ以上の別個の機械学習アルゴリズムによって処理されるセンサ出力を提供してもよく、中間指標は前述のように出力指標を生成するために処理される。1つ又は複数のセンサー410はビデオカメラ(図示のように)及び/又は臨床医の異常な使用パターンを検出するための使用検出システム(例えば、コンピュータシステムに組み込まれている)を備えることができる。
【0098】
これにより、ユーザ端末40は、ユーザ端末を用いて、被検体の相対的認知能力を正確に監視することができる。
【0099】
ユーザ端末は臨床医の決定される相対的認知能力が所定の閾値未満である場合に、臨床医から受信される入力にフラグを立てるようにさらに適合されてもよい。これは、ユーザの潜在的に誤ったコメントが識別されることを可能にする(例えば、さらなるレビューのために)。
【0100】
他の実施形態では、ユーザ端末が臨床医の相対的認知能力が所定の閾値未満に低下したことを示す出力指標に応答して、臨床医がさらなるユーザ入力を(入力ユーザインターフェースを介して)提供することを防止するように適合されてもよい。これは、例えば、ユーザがさらなる入力を提供することを防止するためにユーザ端末をロックすることによって、又はある期間にわたって臨床医から受信される入力を無視することによって実行され得る。これは、ユーザの相対的認知能力が所定の閾値未満であると決定される場合に、ユーザが入力を提供する(すなわち、ユーザの知的タスクの結果を記録する)ことを防止する。
【0101】
さらに他の実施形態では、ユーザ端末が出力指標に基づいてユーザ入力の信頼レベルを割り当てるように適合されてもよい。これは、ユーザ入力がさらなるレビューのためにフラグを立てられることを可能にすることができる。
【0102】
さらに別の例では、被検体の決定される相対的認知能力が所定の閾値を下回る場合、メッセージ又は警告が監視される被検体又は任務中の別の被検体の監督者などの別の被検体又は人に送信されてもよい。
【0103】
被検体は例えば、適切なユーザ入力を使用して、ユーザ端末によって実行されるアクション(例えば、ユーザ端末のロック)を無効にすることができる。実施形態では、ユーザ端末が監視対象の監督者などの別の対象に警告を生成し、送信するように適合される。
【0104】
少なくとも1つのセンサ410が知的タスクを実行する被検体を監視するようにどのように適合されるかについて説明した。ここで、センサ(複数可)410は、知的タスクを実行する被検体の顔を監視するためのビデオカメラを備える。センサは例えば、入力ユーザインターフェース403で受信されるユーザ入力の特性を監視するために、コンピュータシステム401内に形成されてもよい。
【0105】
ユーザ端末は医用画像を検討する臨床医の文脈で説明されてきたが、概念は他の設定、例えば工場、発電所、倉庫などでの使用に適合されてもよい。
【0106】
例えば、ユーザ端末は被検体が発電所の設定を制御することを可能にすることができ、出力指標が被検体の相対的認知能力が所定の閾値未満であることを示す場合に、ユーザがそのような設定を変更することを防止するように適合され得る。これは、被検体が疲れ過ぎているか、又は十分な注意を払っていない間に、被検体が発電プラントに変化を加えることを防止するのに役立ち、それによって発電プラントを動作させる安全性を改善する。
【0107】
さらに別の例では、全体的な概念が車両又は自動車などの自動車での使用に適合させることができる。ユーザインターフェースは運転インターフェース(例えば、ペダル及びステアリングホイール)であってもよい。監視システムは、被検体の相対的認知能力が所定の閾値未満であることを示す出力指標に応答して、1つ以上の動作を実行するように適合されてもよい。例えば、ブレーキをかける、車両の最高速度を制限する、自己運転モードに入る、ハザードライト/フラッシャーをオンにするなどのアクションが挙げられる。前述のように、異なるアクションを異なる所定の閾値に関連付けることができる。いくつかの実施形態では、アクションをグループ化することができ、アクションの異なるグループが異なる所定の閾値に関連付けられる。
【0108】
想定される概念に対する他の適応は、当業者には明らかであろう。
【0109】
本発明で使用される適切な機械学習アルゴリズムは、当業者には容易に明らかになるのであろう。適切な機械学習アルゴリズムの例には、決定木アルゴリズム及び人工ニューラルネットワークが含まれる。
【0110】
人工ニューラルネットワーク、又は単にニューラルネットワークは、当業者によく知られている。要約すると、ニューラルネットワークは、入力データに基づいて発生する特定のシナリオの確率を予測するなど、入力データを処理して出力データを生成するために使用することができる一種の機械学習モデルである。
【0111】
神経回路網の構造は人間の脳に刺激されている。ニューラルネットワークは層からなり、各層は複数のニューロンを含む。各ニューロンは、数学的演算を含む。入力データを処理するプロセスでは、入力データに対して各ニューロンの数学的演算が実行されて数値出力が生成され、ニューラルネットワーク内の各層の出力が次の層に順次供給される。最終層は出力を提供する。
【0112】
ニューラルネットワークを訓練する方法は周知である。典型的には、訓練入力データ及び対応する訓練出力データから形成されるデータの訓練セットが提供される。トレーニング入力データは、ニューラルネットワークによって処理されて、例示的な出力データを生成する。例示的な出力データは(例えば、損失関数を使用することによって)ニューラルネットワークの精度を決定するためにトレーニング出力データと比較される。ニューラルネットワーク、特にニューロンの数学的操作はニューラルネットワークの精度を向上させる(例えば、損失関数を最小化する)ために、決定される精度に基づいて修正される。ニューラルネットワークを修正する既知の方法には、勾配降下、逆伝播アルゴリズムなどが含まれる。
【0113】
当業者は、前述の方法を実行するための処理システムを容易に開発することができるのであろう。したがって、フローチャートの各ステップは処理システムによって実行される異なるアクションを表すことができ、処理システムのそれぞれのモジュールによって実行することができる。
【0114】
処理システムは必要とされる様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて、様々な方法で実現することができる。プロセッサは必要な機能を実行するためにソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされ得る1つ以上のマイクロプロセッサを使用する処理システムの一例である。しかしながら、処理システムはプロセッサを用いて、又は用いずに実装されてもよく、また、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1つ以上のプログラムされるマイクロプロセッサ及び関連する回路)との組み合わせとして実装されてもよい。
【0115】
本開示の種々の実施形態において採用され得る処理システムコンポーネントの例は従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むが、これらに限定されない。
【0116】
様々な実装において、プロセッサ又は処理システムは、RAM、PROM、EPROM、及びEEPROMなどの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリなどの1つ以上の記憶媒体に関連付けられてもよい。記憶媒体は、1つ以上のプロセッサ及び/又は処理システム上で実行されると、必要な機能を実行する1つ以上のプログラムで符号化されてもよい。様々な記憶媒体はプロセッサ又は処理システム内で固定されてもよく、又は、それに記憶される1つ以上のプログラムがプロセッサ又は処理システムにロードされ得るように、移送可能であってもよい。
【0117】
開示される方法は、好ましくはコンピュータで実施される方法であることが理解されるのであろう。このように、プログラムがコンピュータ上で実行されるときに、記述されるメソッドを実施するためのコード手段を含むコンピュータプログラムの概念も提案される。したがって、一実施形態によるプログラムのコードの異なる部分、ライン、又はブロックは本明細書で説明される任意の方法を実行するために、プロセッサ/コンピュータによって実行され得る。
【0118】
開示される実施形態に対する変形は図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求される発明を実施する際に当業者によって理解され、実施されることができる。特許請求の範囲において、単語「有する」は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に列挙されるいくつかのアイテムの機能を満たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムが上述されている場合、それは他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶/配布されてもよいが、インターネット又は他の有線もしくは無線電気通信システムなどを介して、他の形態で配布されてもよい。用語「適合される」が特許請求の範囲又は説明において使用される場合、用語「適合される」は、用語「構成される」と同等であることが意図される。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】