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特表2022-542732固体風味剤を含む喫煙物品用フィルターおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】固体風味剤を含む喫煙物品用フィルターおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20220930BHJP
   A24D 3/14 20060101ALI20220930BHJP
   A24D 3/02 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/14
A24D3/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021553035
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 KR2021008432
(87)【国際公開番号】W WO2022010191
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0082717
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、イック ジョーン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、キュン ビン
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045BA08
4B045BB03
4B045BC16
4B045BC23
4B045BD34
(57)【要約】
本発明の一部の実施例によれば、少なくとも一つの天然ワックスおよび前記少なくとも一つの天然ワックスに担持された香味成分で構成された、常温で固体状態の風味剤が内部に均一に内添された喫煙物品用フィルターと、前記喫煙物品用フィルターと、を含む喫煙物品が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品用フィルターであり、
前記喫煙物品用フィルターの内部には、常温で固体状態の風味剤が均一に内添されており、
前記風味剤は、少なくとも一つの天然ワックスおよび前記少なくとも一つの天然ワックスに担持された香味成分で構成される喫煙物品用フィルター。
【請求項2】
前記風味剤の融点が30℃~80℃である請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項3】
前記少なくとも一つの天然ワックスは融点が30℃~50℃であり、前記風味剤の融点が25℃~45℃である請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項4】
前記喫煙物品用フィルター内に含有された前記風味剤の総重量が1mg~25mgである請求項1~3のいずれか一項に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項5】
前記喫煙物品用フィルター内に含有された前記喫煙物品用フィルターの単位体積(mm)当たり前記風味剤の重量が1μg~30μgである請求項1~4のいずれか一項に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項6】
前記風味剤内に含まれた前記少なくとも一つの天然ワックスの重量が、前記風味剤の総重量に対して20%~98%である請求項1~5のいずれか一項に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の前記喫煙物品用フィルターと、
前記喫煙物品用フィルターの上流に位置する喫煙物質部と、を含む喫煙物品。
【請求項8】
前記喫煙物品用フィルターと前記喫煙物質部との間に位置し、内部に中空が設けられ、前記風味剤が均一に内添されたチューブフィルターをさらに含む請求項7に記載の喫煙物品。
【請求項9】
少なくとも一つの天然ワックスおよび香味成分が混合溶融した風味剤を準備する段階と、
溶融した前記風味剤を喫煙物品用フィルターロッド(rod)に投入する段階と、
前記喫煙物品用フィルターロッドを切断して喫煙物品用フィルターを製造する段階と、を含む喫煙物品の製造方法。
【請求項10】
溶融した前記風味剤を前記喫煙物品用フィルターロッドに投入する段階は、
溶融した前記風味剤を噴射型ノズル(jet nozzle)により前記喫煙物品用フィルターロッドにスプレーする段階を含む請求項9に記載の喫煙物品の製造方法。
【請求項11】
前記風味剤を準備する段階および前記風味剤をスプレーする段階で溶融した前記風味剤の温度が30℃~80℃であり、溶融した前記風味剤の粘度(viscosity)が10cP~35cPである請求項10に記載の喫煙物品の製造方法。
【請求項12】
前記少なくとも一つの天然ワックスは、ココアバターおよびシアバターのうち少なくとも一つを含み、前記香味成分は、L-メントールを含む請求項9~11のいずれか一項に記載の喫煙物品の製造方法。
【請求項13】
前記風味剤内に含まれた前記少なくとも一つの天然ワックスの重量が、前記風味剤の総重量に対して20%~98%であり、
前記少なくとも一つの天然ワックスは融点が30℃~50℃であり、前記風味剤の融点が25℃~45℃である請求項12に記載の喫煙物品の製造方法。
【請求項14】
前記少なくとも一つの天然ワックスは、30重量%~70重量%の前記ココアバターおよび30重量%~70重量%の前記シアバターを含むように構成される請求項13に記載の喫煙物品の製造方法。
【請求項15】
前記喫煙物品用フィルターの上流末端に喫煙物質部を結合巻取する段階をさらに含み、
前記風味剤を準備する段階および前記風味剤を投入する段階で溶融した前記風味剤の温度が30℃~80℃であり、
前記喫煙物品用フィルターと前記喫煙物質部を結合巻取する段階で固体状態の前記風味剤の温度が15℃~30℃である請求項9に記載の喫煙物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体風味剤を含む喫煙物品用フィルターおよびその製造方法に関し、より詳細には、天然ワックスを用いた固体風味剤を含む喫煙物品用フィルターおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
巻きタバコから提供されるエアロゾルに香味を付加する技術に対する研究が進行されている。例えば、エアロゾルに香味を付加できるように、巻きタバコを構成する媒質部またはフィルター部に香料を噴射する方法などが巻きタバコの製造に活用されている。
【0003】
なお、従来のように、水、エタノール、プロピレングリコールおよび中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの溶媒に香りを溶かして巻きタバコの構成に投入時に巻きタバコ内香味成分の保留性と持続性が低下し、消費者が喫煙時に香り発現率が高くなく、タバコ味と香り発現も一定でないという短所がある。
【0004】
このような点を克服するために、最近では、顆粒、シート、カプセルなどのような固体風味剤を巻きタバコに適用する技術が紹介されており、ただし、このような固体風味剤を巻きタバコに適用するには、別途の投入装置が必要であり、均一な投入に困難が発生するなど適用方法において液体風味剤に比べて難しいという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、巻きタバコへの風味剤の適用を容易にすると同時に、風味剤の保留性と均一性および香り発現の持続性を確保することができる固体風味剤を含む喫煙物品用フィルターおよびその製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の技術者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するための本発明の一部の実施例によれば、喫煙物品用フィルターであり、前記喫煙物品用フィルターの内部には、常温で固体状態の風味剤が均一に内添されており、前記風味剤は、少なくとも一つの天然ワックスおよび前記少なくとも一つの天然ワックスに担持された香味成分で構成された喫煙物品用フィルターが提供される。
【0008】
一部の実施例において、前記風味剤の融点が30℃~80℃、好ましくは、20℃~50℃でありうる。より好ましくは、前記少なくとも一つの天然ワックスは、融点が30℃~50℃であり、前記風味剤の融点が25℃~45℃でありうる。
【0009】
前記喫煙物品用フィルター内に含有された前記風味剤の総重量が、1mg~25mg、好ましくは、1mg~15mgでありうるが、フィルター内に含有された前記風味剤の総重量が、喫煙物品用フィルターの物理的規格によって異なり得ることはもちろんである。
【0010】
一部の実施例において、前記喫煙物品用フィルター内に含有された前記喫煙物品用フィルターの単位体積(mm)当たり前記風味剤の重量が1μg~30μgでありうる。
【0011】
なお、前記風味剤内に含まれた前記少なくとも一つの天然ワックスの重量が、前記風味剤の総重量に対して20%~98%、好ましくは、40%~60%でありうる。
【0012】
本発明の一部の実施例によれば、前記喫煙物品用フィルターと、前記喫煙物品用フィルターの上流に位置する喫煙物質部と、を含む喫煙物品が提供される。
【0013】
一部の実施例において、前記喫煙物品は、前記喫煙物品用フィルターと前記喫煙物質部との間に位置し、内部に中空が設けられ、前記風味剤が均一に内添されたチューブフィルターをさらに含むことができる。
【0014】
本発明の一部の実施例によれば、少なくとも一つの天然ワックスおよび香味成分が混合溶融した風味剤を準備する段階と、溶融した前記風味剤を喫煙物品用フィルターロッド(rod)に投入する段階と、前記喫煙物品用フィルターロッドを切断して喫煙物品用フィルターを製造する段階と、を含む喫煙物品の製造方法が提供される。
【0015】
一部の実施例において、溶融した前記風味剤を前記喫煙物品用フィルターロッドに投入する段階は、溶融した前記風味剤を噴射型ノズル(jet nozzle)により前記喫煙物品用フィルターロッドにスプレーする段階を含むことができる。
【0016】
なお、前記風味剤を準備する段階および前記風味剤をスプレーする段階で溶融した前記風味剤の温度が30℃~80℃でありうる。好ましくは、前記風味剤を準備する段階で溶融した前記風味剤の温度が60℃~80℃であり、前記風味剤をスプレーする段階で溶融した前記風味剤の温度が50℃~70℃であり、溶融した前記風味剤の粘度(viscosity)が10cP~35cPでありうる。
【0017】
一例として、前記少なくとも一つの天然ワックスは、ココアバターおよびシアバターのうち少なくとも一つを含み、前記香味成分は、L-メントールを含むことができる。
【0018】
前記風味剤内に含まれた前記少なくとも一つの天然ワックスの重量が、前記風味剤の総重量に対して20%~98%、好ましくは、40%~60%であり、この際、前記少なくとも一つの天然ワックスは融点が30℃~50℃であり、前記風味剤の融点が25℃~45℃でありうる。
【0019】
一部の実施例において、前記少なくとも一つの天然ワックスは、前記ココアバター30重量%~70重量%および前記シアバター30重量%~70重量%を含むように構成されることができる。
【0020】
なお、前記喫煙物品の製造方法は、前記喫煙物品用フィルターの上流末端に喫煙物質部を結合巻取する段階をさらに含むことができる。この際、前記風味剤を準備する段階および前記風味剤を投入する段階で溶融した前記風味剤の温度が30℃~80℃でありうる。好ましくは、前記風味剤を準備する段階で溶融した前記風味剤の温度が60℃~80℃であり、前記風味剤を投入する段階で溶融した前記風味剤の温度が50℃~70℃であり、前記喫煙物品用フィルターと前記喫煙物質部を結合巻取する段階で固体状態の前記風味剤の温度が15℃~30℃でありうる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施例による固体風味剤を含むフィルターを喫煙物品に適用するとき、フィルター内香味成分の保留性を増大させることができ、また、喫煙時に香り発現量も増大させることができる。
【0022】
また、本発明の実施例によって製造された固体風味剤が適用された喫煙物品は、保存期間中に各セグメント間の成分転移を最小化して、喫煙物質部に含有された保湿剤またはフィルターに含有された可塑剤などが各セグメントから他のセグメントに転移および反応して発生しうる異臭イシューを緩和させたり、このような異臭を香味成分でマスキングすることができる。
【0023】
また、本発明の実施例による固体風味剤は、液状の固体風味剤がフィルターにノズル噴射される方式で、別途の固体風味剤投入装置なくともフィルター内に固体風味剤を均一に投入することができ、これによって、固体風味剤投入工程の単純化および経済性の確保も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一部の実施例による喫煙物品用フィルターの製造方法を例示的に示すフローチャートである。
図2】本発明の一部の実施例による喫煙物品用フィルターが採用された燃焼型喫煙物品の構成を例示的に示す図である。
図3】本発明の一部の実施例による喫煙物品用フィルターが採用された非燃焼型喫煙物品の構成を例示的に示す図である。
図4】本発明の一部の実施例による喫煙物品の香り持続性の性能を確認するために各実施例におけるパフ別のメントール移行量の変化推移を示す図である。
図5】本発明の一部の実施例による喫煙物品の官能特性の評価結果である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述している実施例を参照すれば明確になるだろう。しかしながら、本発明は、以下で掲示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され得、単に本実施例は、本発明の掲示が完全になるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるのみである。明細書の全般において同一の参照符号は、同一の構成要素を指す。
【0026】
別途の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味として使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解析されない。
【0027】
また、本明細書において単数型は、文章において特に言及しない限り、複数型も含まれ得る。明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0028】
本明細書で使用される「第1」または「第2」などのように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は、前記用語により限定されるべきものではない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけで使用される。
【0029】
明細書の全般において、「喫煙物品」は、タバコ(巻きタバコ)、シガレットなどのように、エアロゾルを発生させることができる物を意味する。喫煙物品は、エアロゾル発生物質またはエアロゾル形成基質を含むことができる。また、喫煙物品は、板状葉タバコ、刻みたばこ、再構成タバコなどタバコ原料を基礎とする固体物質を含むことができる。喫煙物質は、揮発性化合物を含むことができる。
【0030】
また、喫煙物品に対する説明において「上流」または「上流方向」は、喫煙物品を喫煙するユーザの口部から遠ざかる方向を意味し、「下流」または「下流方向」は、喫煙物品を喫煙するユーザの口部から近づく方向を意味する。例えば、図2に示された喫煙物品100において、喫煙物質部120は、フィルター部110の上流または上流方向に位置する。
【0031】
図1は、本発明の一部の実施例による喫煙物品用フィルターの製造方法を例示的に示すフローチャートである。
【0032】
図1を参照すると、喫煙物品用フィルターの製造方法は、風味剤製造段階S10と、製造された風味剤を溶融させる段階S20と、溶融した風味剤を喫煙物品用フィルターロッドに投入する段階S30と、喫煙物品用フィルターロッドを切断して喫煙物品用フィルターを製造する段階S40と、を含むことができる。
【0033】
風味剤製造段階S10で、風味剤は、少なくとも一つの天然ワックスおよび香味成分を混合溶融することによって製造することができる。
【0034】
前記風味剤は、略30℃~90℃、好ましくは、略60℃~80℃の温度条件で製造することができる。風味剤製造段階で、少なくとも一つの天然ワックスおよび香味成分は、いずれも、液体状態でありうる。すなわち、前記少なくとも一つの天然ワックスは、固体状態でなく、液体状態であってもよく、前記香味成分は、気体状態でなく、液体状態であってもよい。
【0035】
一部の実施例において、前記風味剤は、略30℃以下の温度で固体状態であり、50℃以上の温度で50cP以下の粘度(viscosity)を有する液体状態である、天然ワックスおよび香味成分の混合物でありうる。
【0036】
好ましくは、前記風味剤は、略45℃以下の温度で固体状態であり、50℃~70℃の温度(例えば、フィルターロッドへの投入段階での風味剤の温度)で10cP~35cPの粘度を有する液体状態であり、60℃~80℃の温度(例えば、風味剤製造段階)で1cP~15cPの粘度を有する液体状態である天然ワックスおよび香味成分の混合物でありうる。
【0037】
風味剤が上記した状態条件を有する場合、製造段階S10では、天然ワックスおよび香味成分をより均一に混合することができ、投入段階S30では、風味剤を噴射型ノズル目詰まりのイシューなしに噴射すると同時に、風味剤をフィルターに均一に吸収させることができ、フィルターを用いた巻きタバコの製造時の後続工程および巻きタバコの製造後の保存期間中に香味成分を巻きタバコ内に効果的に保有することができる。
【0038】
なお、後述するように、好ましい巻きタバコ保管時の香り保留性および喫煙時の香り発現特性を確保するために、上記した風味剤の状態条件は、風味剤内に少なくとも一つの天然ワックスが少なくとも20重量%(好ましくは、約40%~60%)以上含有された状態で満たさなければならない。この際、前記少なくとも一つの天然ワックスは、融点が約30℃~80℃(好ましくは、35℃~45℃)であり、前記風味剤の融点が約20℃~80℃(好ましくは、25℃~40℃)でありうる。
【0039】
なお、前記風味剤に含まれる天然ワックスおよび香味成分は、上記した風味剤の状態条件を満たすことができると、その種類に制限されない。
【0040】
一部の実施例において、前記少なくとも一つの天然ワックスは、長鎖脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸ジエステルおよび脂肪酸トリエステルのうち少なくとも一つを含むことができる。
【0041】
前記少なくとも一つの天然ワックスは、例えば、ココアバター、シアバター、蜜蝋、白蝋、ラノリン、シェラック、鯨蝋、パーム油、パーム核油、マンゴーオイル、大豆油、綿実油、ヤシ油、カルナバワックス、カンデリラワックス、ヤマモモワックス、サトウキビワックス、キャスターワックス、エスパルトワックス、木蝋、ホホバワックス、オーリキュリーワックス、ライスブランワックス、大豆ワックス、セレシンワックス、モンタンワックス、オゾケライトワックス、泥炭ワックスおよびこれらの組み合わせを含むことができる。
【0042】
前記香味成分は、例えば、メントール、甘草、ショ糖、果糖シロップ、イソ甘味剤、ココア、ラベンダー、シナモン、カルダモム、セロリ、コロハ、カスカリラ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、バラオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、ケイヒ、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、カモミール、ケイヒ、イランイラン、サルビア、スペアミント、ショウガ、コエンドロ、コーヒーおよびこれらの組み合わせを含むことができる。
【0043】
好ましくは、前記少なくとも一つの天然ワックスは、ココアバターおよびシアバターのうち少なくとも一つを含み、前記香味成分は、L-メントールを含むことができる。より具体的な例として、前記少なくとも一つの天然ワックスは、前記ココアバター30重量%~70重量%および前記シアバター30重量%~70重量%を含むように構成され、前記風味剤は、前記少なくとも一つの天然ワックス20重量%~98重量%(好ましくは、40重量%~60重量%)と、前記香味成分40重量%~60重量%とを含むことができる。
【0044】
製造された風味剤を溶融させる段階S20では、後述するフィルターへの風味剤投入のために常温に保管されて、固体状態で存在する風味剤を溶融させて液体状態に作ることができる。
【0045】
なお、本明細書では、風味剤の製造段階S10および溶融段階S20を別個の工程で説明したが、これとは異なって、風味剤の製造段階S10および溶融段階S20は、実質的に一つの工程で行うことができる。すなわち、風味剤の製造段階S10での液体状態風味剤は、製造後に固体化される中間過程なしにフィルターロッド(rod)に投入S30することができる。
【0046】
風味剤を喫煙物品用フィルターロッドに投入する段階S30により、風味剤が喫煙物品用フィルターロッドの内部に均一に内添され得る。
【0047】
風味剤の投入段階S30は、フィルターロッドに風味剤を自由落下させた後、染み込むようにしたり、フィルターロッドに風味剤を噴射型ノズル(jet nozzle)によりスプレーするなど多様な方式で行うことができる。
【0048】
好ましくは、風味剤は、噴射型ノズルによりフィルターロッドにスプレーすることができる。常温で固体状態の風味剤を噴射型ノズルでスプレーするために、風味剤の投入段階S30での風味剤は、融点以上の温度で加熱されて液体状態でありうる。
【0049】
一部の実施例において、風味剤の製造段階S10および風味剤の投入段階S30での風味剤の温度が約30℃~80℃でありうる。または、風味剤の投入段階S30での風味剤の温度が前記風味剤の融点より高く、かつ、風味剤の製造段階S10での風味剤の温度より低くてもよい。一例として、製造段階S10での風味剤の温度が約60℃~80℃であり、投入段階S30での風味剤の温度が50℃~70℃でありうる。
【0050】
風味剤投入段階S30で、風味剤の投入量は、フィルターロッドが延びる方向への単位の長さ(mm)当たり約50μg~1,000μgでありうる。1個のフィルターロッドが総80mmである場合を例として挙げると、1個のフィルターロッド内に投入された風味剤は、約4mg~135mgでありうる。1個のフィルターの長さが15mmである場合を例として挙げると、1個のフィルター内に投入された風味剤は、約0.75mg~25mgでありうる。
【0051】
一部の実施例において、フィルターロッドの単位体積(mm)当たり風味剤の投入量が約1μg~30μgでありうる。
【0052】
風味剤が投入されたフィルターロッドは、切断工程を通じて喫煙物品用フィルターを製造S40することができる。
【0053】
一部の実施例において、風味剤投入段階S30とフィルターロッド切断段階S40との間には、フィルターロッドをラッパー(wrapper)で巻取する段階を追加的に行うことができ、この場合、巻きタバコ製造の後続工程で発生しうる、フィルターロッド内に吸収された風味剤の消失をさらに防止することができる。
【0054】
喫煙物品用フィルターの製造段階S40後に、タバコ刻みおよび板状葉などエアロゾル発生物質が充填された喫煙物質部を製造されたフィルターに結合する段階などを追加的に行うことによって、本発明の喫煙物品用フィルターを含む喫煙物品を製造することができる。前記フィルターおよび前記喫煙物質部の結合は、ティッピングラッパー(tipping wrapper)などを用いて前記フィルターおよび前記喫煙物質部の少なくとも一部領域を巻き取ることによって行うことができる。
【0055】
一部の実施例において、風味剤製造段階S10での風味剤の温度が約60℃~80℃であり、風味剤投入段階S20での風味剤の温度が約50℃~70℃であり、フィルターおよび喫煙物質部の結合段階での風味剤の温度が約15℃~30℃でありうる。これを通じて、天然ワックスおよび香味成分をより均一に混合することができ、風味剤を噴射型ノズル目詰まりのイシューなしに噴射すると同時に、風味剤をフィルターに均一に吸収させることができ、巻きタバコ製造の後続工程または巻きタバコの保存期間中に香味成分の保留性を効率的に増進させることができる。
【0056】
図2は、本発明の一部の実施例による喫煙物品用フィルターが採用された燃焼型喫煙物品の構成を例示的に示す図である。
【0057】
図2を参照すると、喫煙物品100は、フィルターラッパー110aで包まれたフィルター部110と、喫煙物質ラッパー120aで包まれた喫煙物質部120と、前記フィルター部110および喫煙物質部120を結合させるチップペーパー130と、を含むことができる。
【0058】
フィルター部110は、喫煙物質部120の下流に配置されて、喫煙物質部120から発生したエアロゾル物質をユーザが吸入する直前に通過する領域でありうる。
【0059】
フィルター部110は、多様な材質で形成され得るが、例えばフィルター部110は、セルロースアセテートフィルターでありうる。
【0060】
一部の実施例において、フィルター部110は、内部に中空を含むチューブ形態の構造物であってもよい。また、フィルター部110は、内部(例えば、中空)に同じあるいは異なる材質のフィルム、チューブなどの構造物を挿入して製造することもできる。
【0061】
本実施例のフィルター部110は、単一フィルターからなるモノフィルターであることが示されたが、これに限定されない。例えば、フィルター部110は、フィルター効率を高めるために、2個のアセテートフィルターを具備したデュアルフィルターまたは三重フィルターなどで設けられ得ることは当然である。
【0062】
また、図示されてはいないが、フィルター部110の内部には、香料を含む内容液を皮膜で包んだ構造の破砕可能なカプセル(不図示)が含まれることもできる。
【0063】
上述したフィルター部110は、喫煙物質部120の下流に配置されて、喫煙物質部120から発生したエアロゾル物質をユーザが吸入する直前に通過するフィルターとしての役割を行うことになる。
【0064】
なお、前記フィルター部110は、図1を参照して上述した方式によって加香処理されたフィルターでありうる。すなわち、フィルター部110の内部には、少なくとも一つの天然ワックスおよび前記少なくとも一つの天然ワックスに担持された香味成分で構成され、かつ常温で固体状態の風味剤が均一に内添されている。前記フィルター部110に含有された前記風味剤の総重量が約1mg~25mg、好ましくは、約1mg~15mg、より好ましくは、約2mg~3mgでありうる。また、前記フィルター部110の単位体積(mm)当たり前記風味剤の重量が約1μg~30μg、好ましくは、2μg~10μgでありうる。
【0065】
前記フィルター部110は、フィルターラッパー110aにより包装され得る。フィルターラッパー110aは、耐油性を有する巻紙で製作され得、フィルターラッパー110aの内側面には、アルミホイルがさらに含まれることもできる。
【0066】
喫煙物質部120は、原料葉タバコ、板状葉または葉タバコと板状葉が配合された混合物で充填され得る。前記混合物は、シート形態または刻み形態で喫煙物質部120に充填され得る。喫煙物質部120は、長く延びたロッド形態を有することができ、その長さ、周りおよび直径は、多様でありうる。
【0067】
喫煙物質部120は、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち少なくとも一つのエアロゾル発生物質を含むことができる。また、喫煙物質部120は、風味剤、湿潤剤および/またはアセテート化合物のような他の添加物質を含有することができる。
【0068】
喫煙物質部120は、喫煙物質ラッパー120aにより包装され得る。図示されてはいないが、喫煙物質ラッパー120aは、二重巻紙構造を有することもでき、また、喫煙物質ラッパー120aは、一つ以上の低延焼性(Low Ignition Propensity,LIP)バンド(不図示)が形成された低延焼性巻紙であってもよい。
【0069】
フィルターラッパー110aにより包装されたフィルター部110および喫煙物質ラッパー120aにより包装された喫煙物質部120は、チップペーパー130により結合包装され得る。
【0070】
図3は、本発明の一部の実施例による喫煙物品用フィルターが採用された非燃焼型喫煙物品の構成を例示的に示す図である。
【0071】
図3を相互参照すると、喫煙物品200は、喫煙物質部210、支持構造体220、冷却構造体230、マウスピース部240およびラッパー250を含むことができる。図示されてはいないが、喫煙物質部210、支持構造体220、冷却構造体230およびマウスピース部240のうち少なくとも一つは、前記ラッパー250により包装される前に別個のラッパーでそれぞれ包装され得る。例えば、喫煙物質部210は、喫煙物質ラッパー(不図示)により包装され、支持構造体220、冷却構造体230およびマウスピース部240のうち少なくとも一つは、フィルターラッパー(不図示)により包装され得る。
【0072】
喫煙物質部210は、エアロゾル生成物質を含むことができる。例えば、エアロゾル生成物質は、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち少なくとも一つを含むことができるが、これらに制限されない。
【0073】
一部の実施例において、喫煙物質部210は、板状葉シートで充填されることもできる。他の一部の実施例において、喫煙物質部210は、板状葉シートが細切りされた複数のタバコ筋で充填されることもできる。例えば、喫煙物質部210は、複数のタバコ筋が互いに同じ方向(平行)にまたは無作為で合わさって形成されることができる。
【0074】
支持構造体220は、内部に中空220Hを含むチューブ形態の構造物でありうる。また、支持構造体220は、内部(すなわち中空220H)に同じあるいは異なる材質のフィルム、チューブなどの構造物を挿入して製造することもできる。
【0075】
支持構造体220は、セルロースアセテートを利用して製造することができる。これによって、ヒーター2300が挿入される状況で喫煙物質部210の内部物質が後方に(すなわち下流方向に)押される現象を防止することもでき、エアロゾルの冷却効果もまた発生することができる。
【0076】
冷却構造体230は、喫煙物品200と共に使用されるエアロゾル生成装置のヒーター(不図示)が喫煙物質部210を加熱することによって生成されたエアロゾルを冷却させる冷却部材としての役割を行うことができる。これによって、ユーザは、適当な温度で冷却されたエアロゾルを吸入することができる。
【0077】
前記冷却構造体230は、ポリ乳酸(PLA)などのポリマー繊維が製織された構造物、多孔性紙シートが巻き取られた構造物、内部に中空が設けられたチューブ形態のセルロースアセテート構造物または内部に中空が形成された紙材質の紙管など多様な構造を有することができる。
【0078】
マウスピース部240は、喫煙物品200の下流末端に位置することによって、上流から伝達されたエアロゾルをユーザに最終的に伝達するフィルターの役割を行うことができる。一部の実施例において、マウスピース部240は、セルロースアセテートフィルターでありうる。図示されてはいないが、マウスピース部240は、リセスフィルターで製作することもでき、マウスピース部240には、香味成分を含む少なくとも一つの破砕可能なカプセル(不図示)が含まれることもできる。
【0079】
ラッパー250は、喫煙物品200が燃焼する現象を防止することができる。また、ラッパー250は、喫煙物品200で生成される物質によりエアロゾル生成装置(不図示)のホルダーが汚染されることを防止することもできる。
【0080】
なお、図示されてはいないが、喫煙物品200は、喫煙物質部210の上流において喫煙物質部210と当接し、エアロゾルチャネルが設けられた前段フィルターセグメントをさらに含むこともできる(この場合、支持構造体220および冷却構造体230のうち少なくとも一つの構成は省略できる)。前段フィルターセグメントは、喫煙物質部210が喫煙物品300の外部に離脱することを防止することができ、喫煙中に喫煙物質部210から液状化したエアロゾルが喫煙物品の外部に流れることをも防止することができる。
【0081】
なお、上述した構造体220、冷却構造体230、マウスピース部240および前段フィルターセグメントのうち少なくとも一つは、図1を参照して上述した方式によって加香処理されたフィルターでありうる。すなわち、支持構造体220、冷却構造体230、マウスピース部240または前段フィルターセグメントの内部には、少なくとも一つの天然ワックスおよび前記少なくとも一つの天然ワックスに担持された香味成分で構成され、かつ常温で固体状態の風味剤が均一に内添され得る。一部の実施例において、各セグメントの単位体積(mm)当たり前記風味剤の重量が約1μg~30μg、好ましくは、2μg~10μgでありうる。
【0082】
このように本発明の固体風味剤が喫煙物品200の少なくとも一部のセグメントに適用される場合、投入された香味成分の保留性を確保することができ、特に支持構造体220および/または冷却構造体230に本発明の固体風味剤が適用される場合、支持構造体220および/または冷却構造体230は、喫煙物質部210およびマウスピース部240間の成分転移を防ぐ遮断層の役割を追加的に行うことができる。
【0083】
以下、実施例と比較例を通じて本発明の構成およびそれによる効果をより詳細に説明することとする。しかし、本実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0084】
実施例1
実施例のために試験用で製造されたレギュラー巻きタバコのフィルター部を除去し、固体風味剤が内添されたフィルターを媒質部と結合して図2に示された喫煙物品100と同じ構造を有する巻きタバコを製造した。具体的に、前記フィルターには、天然ワックス約50重量%およびL-メントール約50重量%からなる風味剤が約3mg投入され、ココアバター約50重量%およびシアバター約50重量%で配合された天然ワックスが使用された。風味剤は、約70℃の温度で製造された後、約60℃の温度でフィルターロッドにTJNS(Transfer Jet Nozzle System)方式で投入された。製造されたフィルターは、約2日間常温で保管された後、巻きタバコに組立製造された。
【0085】
比較例1
MCTG(medium chain fatty acid triglyceride)約50重量%およびL-メントール約50重量%からなる風味剤を使用した点を除いて、実施例1と同じ方式でフィルターおよび巻きタバコを製造した。
【0086】
比較例2
実施例1の天然ワックス約30重量%およびL-メントール約70重量%からなる風味剤を使用した点を除いて、実施例1と同じ方式でフィルターおよび巻きタバコを製造した。
【0087】
比較例3
実施例1の天然ワックス約70重量%およびL-メントール約30重量%からなる風味剤を使用した点を除いて、実施例1と同じ方式でフィルターおよび巻きタバコを製造した。
【0088】
比較例4
蜜蝋(Beeswax)で構成された天然ワックス約50重量%およびL-メントール約50重量%からなる風味剤を使用した点を除いて、実施例1と同じ方式でフィルターおよび巻きタバコを製造した。
【0089】
実験例1:フィルター内メントール残存量および煙成分内メントール量の分析
フィルター内香り保留性および喫煙時の香り発現程度を評価するために、実施例1および比較例1~4による巻きタバコそれぞれのフィルター内成分および煙成分を分析して表1に示し、パフ別のメントール移行量の変化推移を図4に示した。煙の捕集は、試料別3回ずつ、回別10パフを基準として反復実施され、3回ずつの捕集結果に対する平均値を算出した。巻きタバコは、温度が略20℃であり、湿度が略62.5%である喫煙室で自動喫煙装置を用いてHC(Health Canada)喫煙条件によってテストされた。表1で、第1ワックスは、ココアバター約50重量%およびシアバター約50重量%からなる天然ワックスを示し、第2ワックスは、蜜蝋100重量%からなる天然ワックスを示す。
【0090】
【表1】
【0091】
表1に示されたように、巻きタバコの製造直後、フィルター内L-メントール成分の残存量では、実施例および比較例の間に大きな差異が示されなかったが、製造後4週が経過した巻きタバコのフィルター内L-メントール残存量および主流煙内のL-メントール成分量では、実施例および比較例の間に大きな差異が示された。具体的に、天然ワックスが溶媒として使用された実施例1および比較例2~4が、MCTGが溶媒として使用された比較例1に比べて格別に高い香り保存率が示され、これを通じて、天然ワックスおよび香味成分で構成された風味剤を使用することが、香り保留性において有利であることを確認することができた。実施例1および比較例2~4の結果をみると、風味剤内の天然ワックス成分量が増加するにつれて香り残存率が増加することも分かる。主流煙の煙成分内L-メントール発現量をみると、第1ワックスが風味剤の50重量%を構成する実施例1が、他の比較例に比べて香り発現量が格別に高いことを確認することができる。具体的に、実施例1の場合、比較例3または4の場合より製造後4週が経過した後の香り残存率がさらに低いが、香り発現率がさらに高いことを確認することができ、これによって、香り保留性と香り発現特性は、実質的に比例の関係ではないことが分かった。
【0092】
上記した結果に照らしてみると、風味剤内に第1ワックスが35重量%~65重量%含まれた場合、香り保留性および発現特性が両方ともに優れていることが分かる。
【0093】
なお、表1のL-メントール発現率をみると、投入量よりさらに多い(すなわち100%超過)L-メントールが発現したケースがあるが、これは、フィルター部に風味剤としてL-メントール投入以外に、媒質部の工程上、ケーシング(casing)処理、ラッパーの加香処理などによって巻きタバコ内に添加された追加的なメントール成分に起因したと推測される。
【0094】
また、図4を参照すると、比較例1の場合、初期1~3パフで高いメントール移行量を示し、4パフ以降からメントール移行量が急激に減少することを確認することができるが、これとは異なって、実施例1の場合、序盤のパフから最後のパフまで実質的に類似したレベルのメントールが移行されることが分かる。すなわち、本発明の実施例による喫煙物品は、上述した香り保留性の優秀性だけでなく、香り持続性の観点からも有利な効果を有することを確認することができた。
【0095】
なお、本実験は、図2を参照して説明した燃焼型巻きタバコを対象に進行されたが、図3を参照して説明した非燃焼型巻きタバコの場合、香り発現特性においてさらに大きな差異が示されることが予想された。具体的に、比較例3および4におけるメントール発現量が(残存量がさらに少ない)実施例1に比べてさらに少ない理由は、天然ワックスの相変異およびそれによって天然ワックス内担持されていた香味成分の発現が実施例1に比べて遅く進行されたためである。より具体的に、実施例1より天然ワックスの量が必要以上で多い比較例3と、実施例1のココアバター、シアバターより融点が高い蜜蝋が使用された比較例4の場合、香り発現特性の観点から、実施例1より不利であり、このような差異は、主流煙の温度が燃焼型巻きタバコに比べてさらに低い非燃焼型巻きタバコにおいてさらに目立つためである。
【0096】
実験例2:巻きタバコの保存中にメントール移行パターンの分析
巻きタバコの保存保管中に香味成分の移行パターンを確認するために、製造後4週が経過した巻きタバコそれぞれのセグメントを分離して、セグメントそれぞれのメントール含有量を分析した。
【0097】
【表2】
【0098】
表2に示されたように、実施例および比較例の間に媒質部およびラッパーの構成において差異がないことを考慮して、第1ワックスが風味剤の50重量%を構成する実施例1が、フィルター部内の香味成分の他のセグメントへの移動が最も少ないことを確認することができる。具体的に、比較例1の場合、フィルター部での香り消失量が多いだけでなく、他のセグメントへの香り転移量も多く、比較例2の場合、比較例1に比べて相対的に低い香り消失量および転移量を示したが、実施例1に比べて少し増加したことを確認することができる。これを通じて、実施例1が、香味成分の他のセグメント転移による喫味阻害問題、異臭発生問題などが最も少ないことが予想された。
【0099】
比較例5
実施例のために試験用で製造されたレギュラー巻きタバコの喫煙物質部を除去し、固体風味剤が内添された喫煙物質部をフィルター部と結合して、図2に示された喫煙物品100と同じ構造を有する巻きタバコを製造した。
【0100】
具体的に、前記喫煙物質部には、天然ワックス約50重量%およびL-メントール約50重量%からなる風味剤が約3mg投入され、ココアバター約50重量%およびシアバター約50重量%で配合された天然ワックスが使用された。
【0101】
実験例3:喫煙官能特性の評価
第1ワックス(カカオバター、シアバター)が50重量%含まれた風味剤がフィルター部に内添された実施例1と、第2ワックス(蜜蝋)が50重量%含まれた風味剤がフィルター部に内添された比較例4と、第1ワックスが50重量%含まれた風味剤が媒質部に内添された比較例5とにおける外香強度、喫煙中の香り強度、香り満足度、香り持続性、喫味強度、調和味および全体的なタバコ味に対する官能評価を実施して図5に示した。官能特性の評価は、製造後4週が経過した各実施例の巻きタバコを用いて総20人の評価パネルを対象に実施し、総7点満点を基準とした。
【0102】
図5は、本発明の一部の実施例による喫煙物品の官能特性の評価結果である。
【0103】
図5に示されたように、実施例1は、比較例4および5に比べて優れた喫煙中の香り強度、香り満足度、香り持続性および調和味の特性を有することが示されて、第1ワックスが50重量%含まれた風味剤がフィルター部に内添された実施例1が、最も優れた官能特性を有することを確認することができる。
【0104】
なお、比較例5の場合、喫煙前の巻きタバコの外香強度は、実施例1および比較例4より格別に大きいが、実質的に喫煙中にユーザに伝達される香り特性(喫煙中の香り強度、香り満足度および香り持続性)は相対的に劣っていることが示されて、同じ風味剤が媒質部に適用される場合よりは、フィルター部に適用されることが、官能特性に有利であることも分かる。
【0105】
比較例4の場合、外香強度が最も低い点から、香り保留性の特徴が実施例1および比較例5に比べて優れていることが分かるが、フィルター部内に内添された香味成分の喫煙時の発現特性は、実施例1に比べて不利であることも分かる。
【0106】
上記した結果を通じて、本発明の実施例による固体風味剤が内添されたフィルターが巻きタバコに適用される場合、タバコ固有の満足度と香り満足度を全般的に増進させることができるが分かる。
【0107】
本実施例と関連した技術分野における通常の知識を有する者は、上記した記載の本質的な特性を逸脱しない範囲で変形された形態に具現され得ることを理解することができる。したがって、開示された方法は、限定的な観点でなく、説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述した説明でなく、特許請求範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての差異点は、本発明に含まれたものと解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】