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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】洗濯機および操作方法
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/60 20200101AFI20220930BHJP
   D06F 33/40 20200101ALI20220930BHJP
   D06F 103/18 20200101ALN20220930BHJP
   D06F 103/14 20200101ALN20220930BHJP
   D06F 105/08 20200101ALN20220930BHJP
【FI】
D06F33/60
D06F33/40
D06F103:18
D06F103:14
D06F105:08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574953
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2019066003
(87)【国際公開番号】W WO2020253945
(87)【国際公開日】2020-12-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513121384
【氏名又は名称】ベステル エレクトロニク サナイー ベ ティカレト エー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】キリスケン バルバロス
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AD07
3B167AE12
3B167BA54
3B167FB01
3B167JA31
3B167JC22
3B167KA16
3B167KA18
3B167KB02
3B167LA05
3B167LA06
3B167LA10
3B167LA19
3B167LA23
3B167LA32
3B167LC02
3B167LD11
3B167LE07
3B167LF02
3B167LG05
(57)【要約】
洗濯機(10)は、洗濯対象となる物品を収容する回転可能なドラム(18)と、ドラム(18)が回転可能に装着されるタブ(20)とを備える。第一水センサ(30)がタブ(20)の底部に、または底部に向けて配置され、タブ(20)の底部に集められた水の高さを測定するよう構成される。第二水センサ(32)がタブ(20)の一部に、第一水センサ(30)と離隔して配置され、ドラム(18)が回転する際にドラム(18)から排出される水の量を測定する。ドラム(18)は、センサ(30、32)の出力の差にしたがって回転される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機であって、
洗濯される物品を収容する回転可能なドラムと、
前記ドラムが回転可能に装着されるタブと、
前記タブ内の前記ドラムの回転を駆動するモータと、
少なくとも、前記タブの底部に、または前記底部に向けて配置され、前記タブの前記底部に集められた水の高さを測定するよう構成される第一水センサと、前記タブの一部に、前記第一水センサと離隔して配置され、前記ドラムが回転する際に前記ドラムから排出される水の量を測定するよう構成される第二水センサと、
前記センサからの出力が入力され、前記モータを制御して前記ドラムを回転させるコントローラとを備え、
前記コントローラは前記モータを制御して前記センサの出力の差に従って前記ドラムを回転させるよう構成されることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機であって、前記コントローラは脱水サイクル中の前記センサの出力の差にしたがって、前記センサの出力の差の大きさが閾値を超えた際に前記脱水サイクルが停止するよう前記モータを制御して前記ドラムを回転させるよう構成されることを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の洗濯機であって、前記コントローラは、前記コントローラによって前記モータを制御するのに用いられる前記センサの出力の差が平均された差であるように構成されることを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の洗濯機であって、前記水センサの少なくとも一つは静電容量式センサであることを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項4に記載の洗濯機であって、各水センサは静電容量式センサであることを特徴とする洗濯機。
【請求項6】
洗濯される物品を収容する回転可能なドラムと、前記ドラムが回転可能に装着された、固定されたタブとを備える洗濯機を操作する方法であって、
前記ドラムを回転し、
前記タブの底部に集められた水の高さを測定し、
前記底部と離隔した前記タブの一部において、前記ドラムが回転する際に前記ドラムから排出される水の量を測定し、
測定値の差にしたがって前記ドラムの回転を制御することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、脱水サイクル中の前記測定値の差にしたがって、前記測定値の差の大きさが閾値を超えた際に前記脱水サイクルが停止するよう前記ドラムの回転が制御されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の方法であって、前記測定値の差を平均し、前記測定値の平均された差にしたがって前記ドラムの回転を制御することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載の方法であって、水センサの少なくとも一つは静電容量式センサであることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願開示は、洗濯機および洗濯機の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機は、例えば衣類、寝具類、タオルなどを含む洗濯物を洗濯するのに用いられる。回転乾燥機能を備える洗濯機もあり、一体型洗濯乾燥機(combined washing-drying machines)、洗濯乾燥機(washer-dryers)などと呼ばれることも多い。本明細書中で用いられる「洗濯機」との用語は、文脈上別の形で解釈される場合を除き、洗濯機能のみを備える機械と、洗濯機能および回転乾燥機能とを備える一体型洗濯乾燥機とを包含するものと理解される。
【0003】
一般に、洗濯機は洗濯サイクル後に行われる脱水サイクルを備える。脱水サイクル中、洗濯機のドラムは、比較的高速で回転し、洗濯物中の余分な水を(「遠心」力によって)脱水する。これにより、洗濯物が洗濯機から取り出されて(独立した回転乾燥機中で、または物干しロープ等の上で)乾燥される前の、または一体型洗濯乾燥機の場合に回転乾燥機能が実行される前の洗濯物の水分量が低減する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示される第一の側面によれば、洗濯機であって、
洗濯される物品を収容する回転可能なドラムと、
ドラムが回転可能に装着されるタブと、
タブ内のドラムの回転を駆動するモータと、
少なくとも、タブの底部に、または底部に向けて配置され、タブの底部に集められた水の高さを測定するよう構成される第一水センサと、タブの一部に、第一水センサと離隔して配置され、ドラムが回転する際にドラムから排出される水の量を測定するよう構成される第二水センサと、
センサからの出力が入力され、モータを制御してドラムを回転させるコントローラとを備え、コントローラはモータを制御してセンサの出力の差に従ってドラムを回転させるよう構成される洗濯機が提供される。
【0005】
(少なくとも)二つのセンサを用いることで、実装に際して比較的単純、かつ高価でない形で、ドラム内の物品に残留する水の量をより正確かつより実際の値に即した測定値を得ることが可能となる。タブの底部に、またはタブの底部に向けて配置される第一水センサは、第二水センサによる測定の基準を有効に提供する。
【0006】
一例において、コントローラは脱水サイクル中のセンサの出力の差にしたがってモータを制御してドラムを回転させ、センサの出力の差の大きさが閾値を超えた際に脱水サイクルが停止させるよう構成される。
【0007】
一例において、コントローラは、コントローラによってモータを制御するのに用いられるセンサの出力の差が平均された差であるように構成される。
【0008】
タブの底部に集まる水、およびドラムが回転する際にドラムから排出される水の量には、実際上スパイクが生じうることを考えると、この平均された、または「平滑化された」差を用いることは、センサの出力中の「スパイク」がコントローラに不正確に作用するのを防止するのに役立つ。コントローラが平均化または平滑化を行ってもよい。
【0009】
一例において、水センサの少なくとも一つは静電容量式センサである。
【0010】
一例において、各水センサは静電容量式センサである。
【0011】
本明細書に開示される第二の側面によれば、洗濯される物品を収容する回転可能なドラムと、ドラムが回転可能に装着された、固定されたタブとを備える洗濯機を操作する方法であって、
前記ドラムを回転し、
タブの底部に集められた水の高さを測定し、
底部と離隔したタブの一部において、ドラムが回転する際にドラムから排出される水の量を測定し、
測定値の差にしたがってドラムの回転を制御する方法が提供される。
【0012】
一例において、ドラムの回転は、脱水サイクル中の測定値の差にしたがって、測定値の差の大きさが閾値を超えた際に脱水サイクルが停止するよう制御される。
【0013】
一例において、この方法は、測定値の差を平均し、測定値の平均された差にしたがってドラムの回転を制御する工程を含む。
【0014】
一例において、水センサの少なくとも一つは静電容量式センサである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本願開示の理解を促進し、実施形態がどのように実施されるかを示すため、例示的に添付図面が参照される。
【0016】
図1】本願開示にかかる洗濯機の一例の正面図を模式的に示す。
図2】明確にするため一部を透視した図1の洗濯機の正面斜視図を模式的に示す。
図3図1の洗濯機のセンサの出力と、時間経過に伴うセンサの出力の差とを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述のように、洗濯機は、洗濯物を洗濯するのに用いられる。回転乾燥機能を備える洗濯機もあり、しばしば一体型洗濯乾燥機(combined washing-drying machines)、洗濯乾燥機(washer-dryers)などと呼ばれる。本明細書中で用いられる「洗濯機」との用語は、文脈上別の形で解釈される場合を除き、洗濯機能のみを備える機械と、洗濯機能および回転乾燥機能とを備える一体型洗濯乾燥機とを包含するものと解釈される。
【0018】
図面を参照すると、図1および2は、それぞれ本願開示にかかる洗濯機10の一例の正面図および部分的に透視した正面斜視図を模式的に示す。洗濯機10は、メイン外側ハウジング12を備える。ハウジング12は、ユーザが洗濯/乾燥プログラムと、温度、回転速度、「デリケートな」洗濯、綿衣類洗濯等の動作パラメータとを設定するための一つ以上の制御パネル、制御ノブ等14を備える。ハウジング12には、洗濯用洗剤および/または衣類柔軟剤等を投入可能な引き出しトレイ16も設けられる。
【0019】
洗濯機10は、タブ20内に回転可能に装着される円筒状ドラム18を備える。タブ20(タブアセンブリ20と呼ばれることもある)は、ハウジング12に対して固定され、ドラム18を支持する。電気モータ22が設けられ、必要時にドラム18を回転させる。洗濯機10は、さらに、例えばプロセッサ等のコントローラ24と、洗濯および/または乾燥プログラムを恒久的に記憶し、ユーザ設定等を一時的に記憶するデータ記憶部26とを備える。
【0020】
使用時、公知のように、ユーザは洗濯対象となる洗濯物をドラム18内に投入し、通常、制御パネルおよび/または制御ノブ14を介して所望の洗濯プログラムを選択する。ユーザは、洗濯時に用いられる水の温度、ドラム18の回転速度等の一つ以上を、選択された洗濯プログラム内で変更可能であることも多い。いずれにしても、通常、洗濯サイクルが完了した時点で、洗濯機10は脱水サイクルを実行する。脱水サイクル中、洗濯機10のドラム18は、比較的高速で回転し、洗濯物中の余分な水を(遠心力によって)脱水する。これにより、洗濯物が洗濯機10から取り出されて(独立した回転乾燥機中で、または物干しロープ等の上で)乾燥される前の、または一体型洗濯乾燥機10の場合に回転乾燥機能が実行されて洗濯物を乾燥する前の洗濯物の水分量が低減する。
【0021】
公知の洗濯機では、脱水サイクルの継続時間は固定されていることが多く、(選択された洗濯プログラムに応じて異なる継続時間が洗濯機によって設定される可能性はあるものの)変化しない。同様に、公知の洗濯機では、ドラムの回転速度は固定されていることが多く、(これも、選択された洗濯プログラムに応じて異なる回転速度が洗濯機によって設定され、また洗濯開始時にユーザによって手動で回転速度が設定される可能性はあるものの)変化しない。このような場合の脱水サイクルの継続時間および/またはドラムの回転速度は、製造業者により、製造中に行われるテストに基づき、一回設定されるのが通常である。ユーザが洗濯開始時にドラムの回転速度を設定可能であるとしても、この速度は当該洗濯については固定されることが普通である。いずれにしても、これが意味しうるのは、洗濯機10に投入された洗濯物が比較的少量で負荷が小さい場合、脱水サイクル中で十分に乾燥済みだとしても、洗濯物を回転し続けることでエネルギーが浪費されるということである。同様に、洗濯機10に大量の洗濯物が投入される場合には、これは脱水サイクル中で洗濯物が十分に乾燥されておらず、ユーザが洗濯物を洗濯機から取り出したとき、または一体型洗濯乾燥機の場合には回転乾燥機能が実行される前にはまだひどく濡れていることを意味しうる。
【0022】
これに対応するため、公知の洗濯機には、タブアセンブリから排水管等に延びて水を洗濯機から排水可能とする排水(ドレイン)管内の水位を検知する水位センサを備えるものもある。排水管内の水位が所定の閾値を下回ったとき、洗濯物が脱水サイクル中で十分に乾燥されたものと判定される。このとき、脱水サイクルは停止され、洗濯物はユーザによって取り出し可能、または一体型洗濯乾燥機の場合には、回転乾燥サイクルにかけることが可能となる。一体型洗濯乾燥機の場合には、類似の工程を回転乾燥サイクル中で実行可能であり、この場合、回転乾燥中に洗濯機から排出される水の量がモニタされ、洗濯物が十分に乾燥されたか否かが判定される。回転乾燥サイクル中に用いられるこのような構成の一例が、US2013219741A1に開示される。洗濯機に重量センサを設けて洗濯物中の水の量を推定しようとすることも公知である。
【0023】
しかし、このような構成における問題点は、これらが複雑で、実装するのに高価となりがち、および/またはこれらが特筆するほど正確ではないことである。
【0024】
これに対応するため、本例にかかる洗濯機10は(少なくとも)二つの水センサ30、32を備える。第一水センサ30は、タブ20の底部に、または底部に向けて配置される。第二水センサ32は、タブ20の一部に、第一水センサ30と離隔して配置される。第一、第二水センサ30、32の出力は、コントローラ24に送られる。コントローラ24は第一、第二水センサ30、32の出力の差に応じてモータ22を制御して、ドラム18を回転させる。すなわち、第一水センサ30はタブ20の底部に集められた水の高さを測定し、第二水センサ32は、ドラムが回転する際にドラム18の外に排出される水の量を測定する。第一水センサ30は、ある意味では第二水センサ32による測定の基線ないし基準として動作する。コントローラ22が脱水サイクル中に洗濯物が十分に乾燥されたと判断したら、コントローラ22は有効に脱水サイクルを停止させることができる。
【0025】
この例をさらに述べると、上述のように、第一水センサ30は、タブ20の底部(「6時」の位置、すなわちタブ20の頂部を0°としたとき180°の位置)に、または底部に向けて配置され、脱水サイクル中にタブ20の底部に集められた水の高さを測定する。公知のように、洗濯機10において、ドラム18は、回転中に遠心力によって水を排出させる貫通孔34を備える。ドラム18から排出された水は、図1に参照符号36として部分的に示されるドラム18とタブ20との間の環状空間に流入する。ドラム18から排出されたこの水は、タブ20の底部のドラム18とタブ20との間の空間に集まり、または「溜まる」。以下、センサ30、32の経時的な出力を模式的に示す図3を参照する。第一水センサ30の出力が300として模式的に示される。時点t0は、脱水サイクルの開始時点と考えることができる。t1までの間、ドラム18は回動または回転される。これにより、水がドラム18から外部に排出される。ドラム18とタブ20との間の環状空間内の水36は下に落ちる傾向にあり、これによりタブ20の底部の水位は上昇する。時点t1において、ドラム18の回転は停止する。そして、洗濯機10のポンプ(図示略)が動作してタブ20から水を排出する。これにより、t1の時点においてタブ20の底部の水位が急激に低下することになる。その後、脱水サイクルは、再びドラム18を回転することにより時点t2まで継続する。図に示すように、時点t2においてドラム18が停止して水が再び吐出されるまでタブ20の底部の水位は再上昇する。これは多数回繰り返されるのが通常である。
【0026】
第一水センサ30がタブ20の底部に集まる水の高さを測定しているのに対し、第二水センサ32は、任意の時点で回転するドラム18の外に排出されている水の量を測定している。上述のように、第二水センサ32は第一水センサ30と離隔して配置される。本例では、第二水センサ32はドラム18の一側面に向けて、通常およそ「8時」すなわち240°位置、またはおよそ「9時」すなわち270°位置に配置される。より一般的に、第二水センサ32は、例えば「7時」位置から、ドラム18の頂部を越えて、「5時」位置までの任意の場所、すなわち、頂部を0°としたとき、-150°から+150°の角度範囲のどこかに配置されてよい。
【0027】
第二水センサ32の出力は302として図3に模式的に示される。ドラム18の最初の回転開始時(すなわち時点t0において)、排出される水の量は比較的多い。ドラム18が回転するにつれて、ドラム18内に配置された洗濯物が水を失うにしたがって、ドラム18から排出される水の量は低減する。t1の時点では、ドラム18は停止している。第二水センサ32によって測定された水位は、水がドラム18とタブ20との間の環状空間の底部に排出される際に、急激に少量だけ低下する。時点t2において、ドラム18は再度回転し、第二水センサ32によって測定される水位は、再び(ドラム18の回転中は、水がドラム18とタブ20との間の空間内に滞留することから)より緩慢に低下する。これは、ドラム18が回転した後停止し、水が機械10から吐出されるのにしたがって多数回繰り返される。
【0028】
コントローラ24には、この期間中の二つのセンサ30、32の出力が入力される。コントローラ24は、一方のセンサ30、32の出力の値を他方のセンサ30、32の出力の値から減算する。(二つのセンサ30、32の一方または双方の出力を、必要に応じて出力を減算する前に定数を乗算することによってスケーリングしてもよい)。本例では、コントローラ24は、第一センサ30の出力300の値から第二センサ32の出力302の値を減算するが、この減算は逆であってもよく、差の大きさを用いてもよい。
【0029】
いずれにしても、二つのセンサ30、32の出力の差(の大きさ)が図3中の304として示される。図示されるように、この差は時間経過につれて増大する。これは、水がドラム18内で洗濯物から脱水される(第二センサ32の出力302の低下)が、タブ20の底部での水位の中央値は、経時的に平均しておよそ一定である(第一センサ30の出力300)との事実を反映したものである。(完全を期すと、タブ20の底部の水位は水が最後に排出される際に最終的に低下するが、これは図3には示されていない。)
【0030】
この差が閾値308を超えたとき、これをドラム18内の洗濯物が脱水サイクル中で十分に乾燥されたことを示す指標として扱うことができる。この差と閾値308とを比較する際、コントローラ24は、図3中で306として示されるように平均または他の形で平滑化された測定差を受け取ってよい。これは、コントローラ24による洗濯物が十分に乾燥したとの誤判定につながる一方または双方のセンサ30、32の出力中の「スパイク」を防ぐのに役立つ。ここでもコントローラ24は、差と閾値とを比較するのに先立って、スケーリングを目的として差に定数を乗算してもよい。
【0031】
コントローラ24は、閾値308を超過するまでドラム18を回転した後、水抜きをすることで脱水サイクルを継続する。安全対策として、閾値308が超過していない場合でも、一定の期間のみ、または一定回数のドラム18の回転および水抜きの間、脱水サイクルを継続してもよい。
【0032】
センサ30、32の出力の差304、306が閾値308を超えたら、コントローラ24により脱水サイクルが停止されてもよい。洗濯機10が単なる洗濯機である場合、または洗濯機10が一体型洗濯乾燥機であってユーザが回転乾燥機能を選択していない場合、(通常、コントローラ24によって扉を開錠してドラム18にアクセス可能とすることにより)洗濯物を取り出すことができる。洗濯機10が一体型洗濯乾燥機であってユーザが回転乾燥機能を選択している場合、コントローラ24は回転乾燥機能を開始してよい。
【0033】
センサ30、32は多数の異なる種類の内の一つであってよい。センサ30、32の一方または双方は、例えば静電容量式レベルセンサ、導電性レベルセンサ、抵抗センサ、光学センサ等であってよい。センサ30、32はアナログ式でもよく、センサ30、32が装着される基板上で測定が行われてもよい。あるいは、センサ30、32はオンボードのアナログ・デジタルコンバータ(ADC)を備え、例えばSPI(Serial to Peripheral Interface)またはI2C(Inter-Integrated Circuit)などのシリアル通信フォーマットで出力してもよい。いずれにしても、一例では、デジタル値が単位のない値(0-255または0-1024の範囲など)に変換される。
【0034】
ドラム18とタブ20との間の空間内の他の位置に配置される多数の第二センサ32を設けてもよい。この場合のコントローラ24は、タブ20の底部の第一センサ30の出力と合わせてこの複数の第二センサ32の出力を利用することができる。これにより、回転中にドラム18から排出される水をより正確に測定することが可能になる。
【0035】
なお、本明細書中に記載されるプロセッサまたは処理システムもしくは回路は、実際には、単一のチップもしくは集積回路、または複数のチップまたは集積回路によって設けられてもよく、チップセット、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、画像処理装置(GPU)などとして設けられてもよい。チップまたは複数のチップは、一つ以上のデータプロセッサ、一つ以上のデジタル・シグナル・プロセッサ、ベースバンド回路および無線周波数回路の少なくとも一つを実装するための回路(ならびに場合によりファームウェア)を備え、これらは実施形態にしたがって動作するよう構成可能である。この点、例示的実施形態は少なくとも部分的に(不揮発性)メモリーに記憶されプロセッサによって実行可能なコンピュータソフトウェア、またはハードウェア、または有形的に記憶されたソフトウェアおよびハードウェア(および場合により有形的に記憶されたファームウェア)の組み合わせによって実装されてもよい。
【0036】
本明細書には、データ記憶用のデータ記憶部が記載される。これは、単一の装置または複数の装置によって設けられてよい。適切な装置としては、例えばハードディスクおよび(例えばソリッドステートドライブ(SSD)などの)非揮発性半導体メモリーが挙げられる。
【0037】
図面を参照して本明細書に記載された実施形態の少なくともいくつかの側面は、処理システムまたはプロセッサにおいて実行されるコンピュータプロセスを含むが、本発明は、本発明を実施可能なコンピュータプログラム、特に搬送手段(carrier)上または内のコンピュータプログラムにも及ぶ。このプログラムの形式は、非一時的なソースコード、オブジェクトコード、部分的にコンパイルされた形式の中間ソースコード及びオブジェクトコード、またはその他任意の本発明に従った処理の実施に使用するのに適切な非一時的形式であってよい。搬送手段は、プログラムを搬送可能な任意の実態または装置であってよい。例えば、通信手段はソリッドステートドライブ(SSD)などの半導体ベースのRAM、例えばCD-ROMもしくは半導体ROMなどのROM、例えばフロッピーディスクまたはハードディスクなどの磁気記録媒体、光学メモリー装置一般などの記録媒体を含んでもよい。
【0038】
本明細書に記載される例は、本発明の実施形態の説明的事例として理解されるべきである。別の実施形態および事例も想定される。任意の一例または実施形態に関連して記載された任意の特徴は、単独で、または他の特徴と組み合わせて利用可能である。さらに、任意の一例または実施形態に関連して記載された任意の特徴は、他の例または実施形態の一つ以上の特徴と組み合わせて、または他の例または実施形態と組み合わせても利用可能である。さらに、本明細書に記載されない等価物または変形例も、請求項に定義される本発明の範囲内で利用可能である。
図1
図2
図3
【国際調査報告】