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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 37/12 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
D06F37/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576587
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 CN2020096063
(87)【国際公開番号】W WO2020259332
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】201910550829.1
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910551487.5
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】劉尊安
(72)【発明者】
【氏名】朱国防
(72)【発明者】
【氏名】楊麗梅
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA11
3B165AE01
3B165AE02
3B165BA73
3B165CB52
3B165CB60
3B165CB64
3B165DW05
3B165GA02
3B165GA12
(57)【要約】
洗濯機は、洗浄過程で独立して洗浄水を収容可能な内槽を含む。前記内槽の槽底(4)には排水口(14)が設置されている。また、排水密封装置を更に含む。排水密封装置は排水機構(19)及び密封機構を含む。排水機構(19)は、排水口(14)と連通する排水経路を有している。密封機構は、開閉可能に排水経路内に装着される。前記洗濯機は、排水密封装置を使用することで孔無し内槽の排水口(14)の密封及び開放制御を実現する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄過程で独立して洗浄水を収容可能な内槽を含み、前記内槽の槽底に排水口が設置されている洗濯機であって、
更に、排水密封装置を含み、前記排水密封装置は排水機構及び密封機構を含み、前記排水機構は排水口と連通する排水経路を有し、前記密封機構は開閉可能に前記排水経路内に装着されることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
更に、前記排水口に装着される装着フレームを含み、前記排水機構は、前記装着フレームに固定装着されて前記排水口と密封状に連通することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
更に、排水口カバーを含み、前記排水口カバーはエンドカバー部及び接続部を含み、前記エンドカバー部は前記排水口に覆設され、前記エンドカバー部には複数の排水口が設置されており、前記接続部は前記装着フレームに固定的に接続されることを特徴とする請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記装着フレームは、排水口の外周に覆設される環状スリーブであり、前記環状スリーブの内部に雌ネジを有し、前記接続部は、前記エンドカバー部の下方に接続される接続スリーブであり、前記接続スリーブは雌ネジに配設される雄ネジを有し、
前記排水機構の排水経路の一端は雌ネジを有し、前記接続スリーブの長さは前記環状スリーブの長さよりも大きく、前記接続スリーブにおける前記環状スリーブから伸出する部分と排水経路の雌ネジが螺接されることを特徴とする請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記排水口の外周には環状沈降溝が設置されており、前記エンドカバー部と前記環状沈降溝との間に第1シールリングが設置されることを特徴とする請求項3に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記排水機構の排水経路の内部には、内側に収縮する経路排水口が備わっており、前記密封機構は閉塞部材及び支持部材を含み、前記支持部材は排水経路内に固定装着されており、前記閉塞部材は相対的に摺動可能に前記支持部材に装着され、
洗浄又はすすぎ時には、前記閉塞部材が前記経路排水口と密封状に係合し、前記内槽に独立して洗浄水が収容され、排水時には、前記閉塞部材が前記経路排水口を開放することで、内槽内の洗浄水が排出されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記支持部材は固定部及び嵌装部を含み、固定部は、排水経路内に固定装着されて、嵌装部に固定的に接続され、嵌装部は中空の摺動経路を有しており、前記閉塞部材は密封部及び接続部を含み、密封部は経路排水口と密封状に係合し、接続部は、摺動可能に嵌装部の中空の摺動経路内に設置されて、密封部と排水口との密封及び分離を実現することを特徴とする請求項6に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記密封機構は弾性部材を含み、前記弾性部材は、一端が支持部材に当接し、他端が閉塞部材に当接し、前記弾性部材は、前記閉塞部材が経路排水口と分離した状態となるまで摺動する際に変形して、前記閉塞部材の弾性復元による密封を実現し、
好ましくは、前記弾性部材は初期状態において圧縮状態であり、前記閉塞部材と前記経路排水口との密封状の係合を維持することを特徴とする請求項6に記載の洗濯機。
【請求項9】
洗濯機は、前記内槽の外部に設置される集水装置を含み、排水密封装置は駆動機構を更に含み、前記駆動機構は、前記集水装置に装着されて密封機構に対応し、前記駆動機構は上下に伸縮可能な出力端を有し、
洗浄又はすすぎ時には、前記駆動機構の出力端が収縮し、前記密封機構が前記経路排水口と密封状に係合して、前記内槽に独立して洗浄水が収容され、排水時には、前記駆動機構の出力端が伸出し、前記密封機構を押し開けて前記経路排水口から分離させることで、前記経路排水口が開放されて排水が行われることを特徴とする請求項6に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記内槽は槽底及び槽体を含み、前記槽体は密閉領域を有し、密閉領域と槽底の双方によって洗浄水を独立して収容可能な貯水室が形成され、前記槽底の内表面には、前記内槽の内部に向かって突出する槽底突出部が密封状に配設されるか、一体成型されており、及び/又は、前記槽体の内表面には、前記内槽の内部に向かって突出する槽体突出部が密封状に配設されるか、一体成型されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項11】
洗浄過程で独立して洗浄水を収容可能な内槽を含む洗濯機であって、
前記内槽の槽底の内表面には、前記内槽の内部に向かって突出する槽底突出部が密封状に配設されるか、一体成型されており、前記内槽の槽底には排水口が設置されており、洗濯機は更に排水密封装置を含み、前記排水密封装置は、前記排水口を閉塞及び密封可能な密封機構と、密封機構を駆動して排水口を開放/閉止する駆動機構を含むことを特徴とする洗濯機。
【請求項12】
前記密封機構は閉塞部材及び支持部材を含み、前記支持部材は前記内槽の底部に固定装着されて排水口まで延伸しており、前記閉塞部材は相対的に摺動可能に前記支持部材に装着され、
洗浄又はすすぎ時には、前記閉塞部材が前記排水口と密封状に係合し、前記内槽に独立して洗浄水が収容され、排水時には、前記駆動機構が閉塞部材を駆動して排水口を開放することで、内槽内の洗浄水が排水口から排出されることを特徴とする請求項11に記載の洗濯機。
【請求項13】
前記支持部材は固定部及び嵌装部を含み、前記固定部は、前記内槽の底部に固定装着されており、且つ排水口まで延伸して嵌装部に固定的に接続され、前記嵌装部は中空の摺動経路を有しており、前記閉塞部材は密封部及び接続部を含み、前記接続部は、摺動可能に前記嵌装部の中空の摺動経路内に設置されて、前記密封部と前記排水口との密封及び分離を実現することを特徴とする請求項12に記載の洗濯機。
【請求項14】
前記固定部のうち嵌装部に接続される一端であって、前記排水口の内部に位置する部分には、排水時に糸屑を円滑に滑落させる平滑構造が備わっており、
好ましくは、前記平滑構造は、両端が高く中央が低い鞍型構造をなしており、
より好ましくは、前記平滑構造の上面は下方に向かって湾曲した円弧面をなしていることを特徴とする請求項13に記載の洗濯機。
【請求項15】
前記嵌装部は、内部が中空のスリーブであり、前記閉塞部材の底面には、排水口と係合する円環密封部が備わっており、前記接続部は前記円環密封部の円心位置に設置されるセンターロッドであり、前記センターロッドは、スリーブ内に挿入されて相対的に摺動可能であり、
好ましくは、前記閉塞部材はガスケットを更に含み、前記ガスケットは前記円環密封部に設置されることを特徴とする請求項13に記載の洗濯機。
【請求項16】
前記密封機構は弾性部材を含み、前記弾性部材は、一端が支持部材に当接し、他端が閉塞部材に当接し、前記弾性部材は、前記閉塞部材が排水口と分離した状態となるまで摺動する際に変形して、前記閉塞部材の弾性復元による密封を実現し、
好ましくは、前記弾性部材は初期状態において圧縮状態であり、前記閉塞部材と前記排水口との密封状の係合を維持することを特徴とする請求項11~15のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項17】
前記弾性部材は圧縮バネであり、前記閉塞部材のセンターロッドの端部には留め具が装着され、前記嵌装部の上端には、中空の摺動経路の内部に一定の距離だけ延伸して形成される位置規制段差が備わっており、前記圧縮バネはセンターロッドに覆設され、一端が留め具に当接するとともに、他端が位置規制段差に当接することを特徴とする請求項16に記載の洗濯機。
【請求項18】
洗濯機は、前記内槽の外部に設置される集水装置を含み、前記駆動機構は、前記集水装置に装着されて密封機構に対応し、前記駆動機構は上下に伸縮可能な出力端を有し、
洗浄又はすすぎ時には、前記駆動機構の出力端が収縮し、前記密封機構が排水口と密封状に係合して、前記内槽に独立して洗浄水が収容され、排水時には、前記駆動機構の出力端が伸出し、前記密封機構を押し開けて排水口から分離させることで、排水口が開放されて、内槽内の洗浄水が排水口から集水装置内に流出して排出されることを特徴とする請求項11~17のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項19】
更に、集水装置に装着されるロック機構を含み、前記ロック機構は上下動するロックロッドを有し、前記内槽の槽底の外壁には、前記ロック機構と係合して前記内槽をロックするためのロック孔が設置されており、前記ロックロッドが上方に運動し、ロック孔内に挿入されて前記内槽をロックしたあと、駆動機構の出力端が伸出して密封機構を押し開けることで排水を実施することを特徴とする請求項18に記載の洗濯機。
【請求項20】
前記排水口は前記内槽の槽底の辺縁寄りの位置に設置され、前記排水口は槽底の辺縁外郭の円周に内接することを特徴とする請求項11~19のいずれか1項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動クリーニング洗濯機の技術分野に関し、具体的には洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗濯機は、図1に示すように、一般的に内槽及び外槽1という2つの部分を洗濯機の構造に含んでいる。内槽と外槽1は互いに連通している。また、内槽には脱水に用いられる脱水孔が開設されており、外槽1は密閉されて貯水槽となる。そのため、洗濯機の動作時には、内槽と外槽1の間の領域に水が満たされ、洗濯機を長期間にわたり使用及び運転しているうちに、内槽と外槽1の間の領域が水中に含まれる汚れや糸屑で覆われる。そして、長期間の使用によって細菌や異臭が発生することで、洗浄効果及びユーザエクスペリエンスの双方に大きな影響を及ぼす。
【0003】
このほか、従来の全自動パルセータ洗濯機におけるパルセータ3及び槽底4は異なる駆動軸により駆動され、パルセータ3が槽底4に対して回動可能である。そのため、パルセータ3と槽底4の間には隙間が存在する。また、一般的には、パルセータ3の底部に多くの補強リブが備わっている。よって、洗濯機の使用期間が延びるにつれて、パルセータ3と槽底4の間にも汚れや垢が溜まるとの問題が生じやすい。
【0004】
内槽と外槽の間に水が満たされることで内槽と外槽が汚染されるとの問題を解決するために、従来の新型の洗濯機では、内槽と外槽の間を密封することで汚染問題を根絶可能としている。既知の解決方案では、内槽を孔無し内槽として設計し、これにより、内槽と外槽を隔離して、内槽を貯水槽としている。また、内槽からの排水を実現するために、外部に位置する密封構造を内槽の排水口に押し当てることで、内槽の密封を実現している。これにより、孔無し内槽は、内槽と外槽の間に汚れが溜まるとの問題を解決可能であるが、パルセータと内槽底の間に汚れが溜まるとの問題については解決できていない。
【0005】
そこで、本発明は、主に、全自動パルセータ洗濯機のパルセータと内槽の槽底の間に汚れが溜まるとの問題を解決するために、更に孔無し内槽の自動クリーニング方案を組み合わせることで、洗濯機の全面的な自動クリーニングを実現し、汚れ蓄積の盲点を根絶する。
【0006】
上記に鑑みて、本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の目的は、洗濯機を提供することである。具体的には、以下の技術方案を採用する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
洗濯機は、洗浄過程で独立して洗浄水を収容可能な内槽を含む。前記内槽の槽底には排水口が設置されている。また、排水密封装置を更に含む。排水密封装置は排水機構及び密封機構を含む。排水機構は排水口と連通する排水経路を有し、密封機構は開閉可能に排水経路内に装着される。
【0009】
更に、排水口に装着される装着フレームを含む。前記排水機構は、装着フレームに固定装着されて排水口と密封状に連通する。
【0010】
更に、排水口カバーを含む。排水口カバーはエンドカバー部及び接続部を含む。前記エンドカバー部は排水口に覆設される。エンドカバー部には複数の排水口が設置されている。前記接続部は装着フレームに固定的に接続される。
【0011】
更に、前記装着フレームは、排水口の外周に覆設される環状スリーブであり、環状スリーブの内部に雌ネジを有している。前記接続部は、エンドカバー部の下方に接続される接続スリーブであり、接続スリーブは雌ネジに配設される雄ネジを有している。
【0012】
前記排水機構の排水経路の一端は雌ネジを有している。前記接続スリーブの長さは環状スリーブの長さよりも大きく、接続スリーブにおける環状スリーブから伸出する部分と排水経路の雌ネジが螺接される。
【0013】
更に、前記排水口の外周には環状沈降溝が設置されており、前記エンドカバー部と環状沈降溝の間に第1シールリングが設置される。
【0014】
更に、前記排水機構の排水経路の内部には、内側に収縮する経路排水口が備わっている。前記密封機構は閉塞部材及び支持部材を含む。支持部材は排水経路内に固定装着されており、閉塞部材は相対的に摺動可能に支持部材に装着される。
【0015】
洗浄又はすすぎ時には、前記閉塞部材が経路排水口と密封状に係合し、内槽に独立して洗浄水が収容される。排水時には、前記閉塞部材が経路排水口を開放することで、内槽内の洗浄水が排出される。
【0016】
更に、前記支持部材は固定部及び嵌装部を含む。固定部は、排水経路内に固定装着されて、嵌装部に固定的に接続される。嵌装部は中空の摺動経路を有している。前記閉塞部材は密封部及び接続部を含む。密封部は経路排水口と密封状に係合する。接続部は、摺動可能に嵌装部の中空の摺動経路内に設置されて、密封部と排水口との密封及び分離を実現する。
【0017】
更に、前記密封機構は弾性部材を含む。前記弾性部材は、一端が支持部材に当接し、他端が閉塞部材に当接する。前記弾性部材は、閉塞部材が経路排水口と分離した状態となるまで摺動する際に変形して、閉塞部材の弾性復元による密封を実現する。
【0018】
好ましくは、前記弾性部材は初期状態において圧縮状態であり、閉塞部材と経路排水口との密封状の係合を維持する。
【0019】
更に、洗濯機は、内槽の外部に設置される集水装置を含む。排水密封装置は駆動機構を更に含む。前記駆動機構は、集水装置に装着されて密封機構に対応する。前記駆動機構は上下に伸縮可能な出力端を有する。
【0020】
洗浄又はすすぎ時には、前記駆動機構の出力端が収縮し、密封機構が経路排水口と密封状に係合して、内槽に独立して洗浄水が収容される。排水時には、前記駆動機構の出力端が伸出し、密封機構を押し開けて経路排水口から分離させることで、経路排水口が開放されて排水が行われる。
【0021】
更に、内槽は槽底及び槽体を含む。前記槽体は密閉領域を有し、密閉領域と槽底の双方によって洗浄水を独立して収容可能な貯水室が形成される。槽底の内表面には、内槽の内部に向かって突出する槽底突出部が密封状に配設されるか、一体成型されている。及び/又は、槽体の内表面には、内槽の内部に向かって突出する槽体突出部が密封状に配設されるか、一体成型されている。
【0022】
本発明の洗濯機の内槽は、槽体が密閉状に設計されているため、洗浄/すすぎ時に内槽に独立して洗浄水を収容可能である。よって、内槽と外槽の間の溜水が回避され、内槽と外槽の間に汚れや垢が溜まるとの問題が解決される。
【0023】
本発明の洗濯機は、排水密封装置を使用することで孔無し内槽の排水口の密封及び開放制御を実現する。排水密封装置は、内槽内の水を排水口から内部の排水経路に導入可能な排水機構を含む。密封機構は、排水経路の開閉制御を実現可能である。そのため、排水密封装置は独立したモジュールとして排水口に装着可能であり、排水口に対する密封状の配設を考慮しなくてもよいため、装着がいっそう容易である。
【0024】
本発明の洗濯機の内槽は、内槽に対し回動可能なパルセータを省略し、槽底の内表面に、内槽の内部に向かって突出する槽底突出部を密封状に配設するか、一体成型するよう変更しており、及び/又は、槽体の内表面に、内槽の内部に向かって突出する槽体突出部を密封状に配設するか、一体成型するよう変更している。洗浄時には、内槽の回動に伴って、槽底突出部及び/又は槽体突出部が水流及び衣類を不随運動させることで、洗浄/すすぎを実現する。
【0025】
本発明の洗濯機の内槽は、槽底の内表面に、内槽の内部に向かって突出する槽底突出部を密封状に配設するか、一体成型し、及び/又は、槽体の内表面に、内槽の内部に向かって突出する槽体突出部を密封状に配設するか、一体成型することで、パルセータを省略している。これにより、パルセータと槽底の間に汚れが溜まりやすいとの問題が解決される。且つ、槽底突出部及び/又は槽体突出部により水流及び衣類を不随運動させて洗浄/すすぎを実現することで、洗濯の効果が確保される。
【0026】
本発明の目的は、洗濯機の内槽を提供することである。具体的には、以下の技術方案を用いる。
【0027】
洗濯機は、洗浄過程で独立して洗浄水を収容可能な内槽を含み、以下を特徴とする。即ち、前記内槽の槽底の内表面には、内槽の内部に向かって突出する槽底突出部が密封状に配設されるか、一体成型されている。内槽の槽底には排水口が設置されている。更に、洗濯機は排水密封装置を含む。排水密封装置は、前記排水口を閉塞及び密封可能な密封機構と、密封機構を駆動して排水口を開放/閉止する駆動機構を含む。
【0028】
更に、前記密封機構は閉塞部材及び支持部材を含む。支持部材は内槽の底部に固定装着されており、且つ排水口まで延伸している。閉塞部材は相対的に摺動可能に支持部材に装着される。
【0029】
洗浄又はすすぎ時には、前記閉塞部材が排水口と密封状に係合し、内槽に独立して洗浄水が収容される。排水時には、前記駆動機構が閉塞部材を駆動して排水口を開放することで、内槽内の洗浄水が排水口から排出される。
【0030】
更に、前記支持部材は固定部及び嵌装部を含む。固定部は、内槽の底部に固定装着されており、且つ排水口まで延伸して嵌装部に固定的に接続される。嵌装部は中空の摺動経路を有している。前記閉塞部材は密封部及び接続部を含む。接続部は、摺動可能に嵌装部の中空の摺動経路内に設置されて、密封部と排水口との密封及び分離を実現する。
【0031】
更に、前記固定部のうち嵌装部に接続される一端であって、前記排水口の内部に位置する部分には、排水時に糸屑を円滑に滑落させる平滑構造が備わっている。
【0032】
好ましくは、前記平滑構造は、両端が高く中央が低い鞍型構造をなしている。
【0033】
より好ましくは、前記平滑構造の上面は下方に向かって湾曲した円弧面をなしている。
【0034】
更に、前記嵌装部は、内部が中空のスリーブである。前記閉塞部材の底面には、排水口と係合する円環密封部が備わっている。前記接続部は円環密封部の円心位置に設置されるセンターロッドである。前記センターロッドは、スリーブ内に挿入されて相対的に摺動可能である。
【0035】
好ましくは、前記閉塞部材はガスケットを更に含む。前記ガスケットは円環密封部に設置される。
【0036】
更に、前記密封機構は弾性部材を含む。前記弾性部材は、一端が支持部材に当接し、他端が閉塞部材に当接する。前記弾性部材は、閉塞部材が排水口と分離した状態となるまで摺動する際に変形して、閉塞部材の弾性復元による密封を実現する。
【0037】
好ましくは、前記弾性部材は初期状態において圧縮状態であり、閉塞部材と排水口との密封状の係合を維持する。
【0038】
更に、前記弾性部材は圧縮バネである。前記閉塞部材のセンターロッドの端部には留め具が装着される。前記嵌装部の上端には、中空の摺動経路の内部に一定の距離だけ延伸して形成される位置規制段差が備わっている。前記圧縮バネはセンターロッドに覆設され、一端が留め具に当接するとともに、他端が位置規制段差に当接する。
【0039】
更に、洗濯機は、内槽の外部に設置される集水装置を含む。前記駆動機構は、集水装置に装着されて密封機構に対応する。前記駆動機構は上下に伸縮可能な出力端を有する。
【0040】
洗浄又はすすぎ時には、前記駆動機構の出力端が収縮し、密封機構が排水口と密封状に係合して、内槽に独立して洗浄水が収容される。排水時には、前記駆動機構の出力端が伸出し、密封機構を押し開けて排水口から分離させることで、排水口が開放されて、内槽内の洗浄水が排水口から集水装置内に流出して排出される。
【0041】
更に、集水装置に装着されるロック機構を含む。前記ロック機構は上下動するロックロッドを有している。前記内槽の槽底の外壁には、ロック機構と係合して内槽をロックするためのロック孔が設置されている。ロックロッドが上方に運動し、ロック孔内に挿入されて内槽をロックしたあと、駆動機構の出力端が伸出して密封機構を押し開けることで排水を実施する。
【0042】
更に、前記排水口は内槽の槽底の辺縁寄りの位置に設置され、前記排水口は槽底の辺縁外郭の円周に内接する。
【0043】
本発明の洗濯機の内槽は、槽体が密閉状に設計されているため、洗浄/すすぎ時に内槽に独立して洗浄水を収容可能である。よって、内槽と外槽の間の溜水が回避され、内槽と外槽の間に汚れや垢が溜まるとの問題が解決される。
【0044】
本発明の洗濯機の内槽は、内槽に対し回動可能なパルセータを省略し、槽底の内表面に、内槽の内部に向かって突出する槽底突出部を密封状に配設するか、一体成型するよう変更しており、及び/又は、槽体の内表面に、内槽の内部に向かって突出する槽体突出部を密封状に配設するか、一体成型するよう変更している。洗浄時には、内槽の回動に伴って、槽底突出部及び/又は槽体突出部が水流及び衣類を不随運動させることで、洗浄/すすぎを実現する。
【0045】
本発明の洗濯機の内槽は、槽底の内表面に、内槽の内部に向かって突出する槽底突出部を密封状に配設するか、一体成型し、及び/又は、槽体の内表面に、内槽の内部に向かって突出する槽体突出部を密封状に配設するか、一体成型することで、パルセータを省略している。これにより、パルセータと槽底の間に汚れが溜まりやすいとの問題が解決される。且つ、槽底突出部及び/又は槽体突出部により水流及び衣類を不随運動させて洗浄/すすぎを実現することで、洗濯の効果が確保される。
【0046】
本発明の排水密封装置は内槽自体の構造に設計されている。密封機構の閉塞部材は内槽のセルフ密封を可能とするため、洗濯機の動作時には内槽と外槽の間に水が存在し得ず、汚染されるとの事態が防止される。且つ、ユーザにとっては節水技術の応用でもある。このほか、内槽を密封機構でセルフ密封したあとに、駆動モータは内槽を回転駆動可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、従来の全自動パルセータ洗濯機の構造の略図である。
図2図2は、本発明の実施例1における洗濯機の構造の略図である。
図3図3は、本発明の実施例1における洗濯機の内槽の槽底構造の正面図である。
図4図4は、本発明の実施例1における洗濯機の内槽の槽底構造の平面図である。
図5図5は、本発明の実施例2、3における洗濯機の構造の略図である。
図6図6は、本発明の実施例2における洗濯機の図5の部分拡大図(排水口が閉状態)である。
図7図7は、本発明の実施例2における洗濯機の図5の部分拡大図(排水口が開状態)である。
図8図8は、本発明の実施例3における洗濯機の図5の部分拡大図(排水口が閉状態)である。
図9図9は、本発明の実施例3における洗濯機の図5の部分拡大図(排水口が開状態)である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の洗濯機について詳細に述べる。
【実施例1】
【0049】
図2図4に示すように、本実施例は、槽底4及び槽体2を含む洗濯機の内槽を提供する。前記槽体2は密閉領域を有しており、密閉領域と槽底4の双方によって、洗浄水を独立して収容可能な貯水室が形成される。槽底4の内表面には、内槽の内部に向かって突出する槽底突出部8が密封状に配設されるか、一体成型されている。及び/又は、槽体2の内表面には、内槽の内部に向かって突出する槽体突出部7が密封状に配設されるか、一体成型されている。
【0050】
本実施例の洗濯機の内槽は、槽体2が密閉状に設計されているため、洗浄/すすぎ時に内槽に独立して洗浄水を収容可能である。よって、内槽と外槽の間の溜水が回避され、内槽と外槽の間に汚れや垢が溜まるとの問題が解決される。
【0051】
このほか、本実施例の洗濯機の内槽は、内槽に対し回動可能なパルセータを省略し、槽底4の内表面に、内槽の内部に向かって突出する槽底突出部8を密封状に配設するか、一体成型するよう変更しており、及び/又は、槽体2の内表面に、内槽の内部に向かって突出する槽体突出部7を密封状に配設するか、一体成型するよう変更している。洗浄時には、内槽の回動に伴って、槽底突出部8及び/又は槽体突出部7が水流及び衣類を不随運動させることで、洗浄/すすぎを実現する。本実施例の洗濯機の内槽は、槽底4の内表面に、内槽の内部に向かって突出する槽底突出部8を密封状に配設するか、一体成型し、及び/又は、槽体2の内表面に、内槽の内部に向かって突出する槽体突出部7を密封状に配設するか、一体成型することで、パルセータを省略している。これにより、パルセータと槽底4の間に汚れが溜まりやすいとの問題が解決される。且つ、槽底突出部8及び/又は槽体突出部7により水流及び衣類を不随運動させて洗浄/すすぎを実現することで、洗濯の効果が確保される。
【0052】
本実施例における槽底4上の槽底突出部8は独立した部材としてもよいが、槽底4に密封状に接触させて、これらの間への洗浄水の進入を防止する必要がある。また、槽底突出部8を槽底4に一体成型して構成してもよい。
【0053】
同様に、本実施例における槽体2上の槽体突出部7は独立した部材としてもよいが、槽体2に密封状に接触させて、これらの間への洗浄水の進入を防止する必要がある。また、槽体突出部7を槽体2に一体成型して構成してもよい。
【0054】
本実施例における槽底突出部8は、主に、洗浄水の上下の転動を実現して衣類を上下に運動させるためのものであり、槽体突出部7は、主に、洗浄水の周方向の転動を実現して衣類を周方向に運動させるためのものである。本実施例の槽底突出部8及び槽体突出部7は、同時に設置してもよいし、一方を選択的に設置してもよい。好ましくは、本実施例の洗濯機の内槽内に槽底突出部8及び槽体突出部7を同時に設置することで、水流を十分とし、洗浄効果を向上させる。
【0055】
図3に示すように、本実施例で記載する槽底突出部8は、槽底4の内表面に一体成型して構成及び形成される。また、少なくとも1つの槽底突出部8を含む。前記槽底突出部8は、槽底の辺縁から中心に向かうほど高くなる上昇区間12と、槽底の中心から辺縁に向かうほど低くなる下降区間11を含む。本実施例における槽底突出部8の構造は、回動時に水流を攪動して上下に転動可能とするほか、衣類を上昇区間12に沿って最高位置まで上昇させたあと、下降区間11に沿って落下可能とする。これにより、衣類をある程度打ち付けることで、衣類の洗浄効果を向上させる。
【0056】
好ましくは、本実施例で記載する槽底の内表面は複数の槽底突出部8を有し、複数の槽底突出部8が槽底の周方向に沿って均一に分布している。これにより、水流の攪動を更に強化して、衣類の洗浄効果を向上させる。
【0057】
図4に示すように、本実施例では、孔無し内槽からの排水を実現するために、前記槽底4の最低位置に複数の排水口14が設置されている。また、複数の排水口14は、同一の円環13の内部に分布している。
【0058】
本実施例では、槽底4に複数の排水口14が設計されている。また、排水口14を小さく設計することが可能である。これにより、排水時に一定の糸屑フィルタ作用を有するため、糸屑の詰まりが回避される。また、複数の排水口14を同一の円環13の内部に分布させるのは、主に、排水口14を密封しやすくするためである。
【0059】
好ましくは、前記排水口13は槽底4の辺縁寄りの位置に設置される。且つ、少なくとも1つの排水口13が槽底4の辺縁外郭の円周に内接するか、前記円環13が槽底4の辺縁外郭の円周に内接する。これにより、排水口13が槽底4の最低位置に存在するよう保証可能となり、洗濯機の内槽内の水を完全に排出できるため、水の残留が回避される。
【0060】
本実施例の一実施形態として、本実施例で記載する槽体突出部7は、槽体2の内表面に一体成型して構成及び形成される。前記槽体突出部7は、内槽の中心軸線と平行である。本実施例の槽体突出部7は槽体2に一体成型されるため、これらの配設に伴う隙間の発生が回避される。よって、密封の問題を考慮する必要がなく、配設がより容易になるとともに、汚れが溜まるとの問題も完全に根絶される。
【0061】
好ましくは、前記槽体2の内表面は複数の槽体突出部7を有し、複数の槽体突出部7が槽体2の周方向に沿って均一に分布している。これにより、水流の攪動を更に強化して、衣類の洗浄効果を向上させる。
【0062】
本実施例の洗濯機の内槽は、洗浄及び脱水の過程で回動する。よって、内槽内の排水口13は、内槽とともに回動するため位置が定まらない。排水口の正確な密封及び開放を保証するために、本実施例で記載する槽底4の外壁には、ロック機構と係合して内槽をロックするためのロック孔が設置されている。これにより、ロック機構とロック孔を係合させて内槽を特定の位置に固定することで、排水口13が同じ位置で開放されるよう保証する。
【0063】
本実施例の槽底4と槽体2は、構造を利用して係合するか、一体成型することで、密封構造をなす。
【0064】
本実施例における槽体2の密閉領域の上部には脱水孔が設置されている。脱水孔の位置は、内槽内の水を収容可能な最高水位よりも高くなっている。そのため、洗浄/すすぎ時に、洗浄水は内槽の内部にのみ存在する。また、脱水時には、内槽が高速で回動することで、内槽内の水が遠心力によって槽壁沿いに脱水孔まで上昇して吐き出される。
【0065】
好ましくは、脱水孔は内槽口に設置される。また、内槽口にバランスリングを装着すると、バランスリングによって脱水孔を隠すことができ、見た目上は孔の無い内槽構造が実現される。
【0066】
好ましくは、前記ロック孔は止まり穴である。
【0067】
図2に示すように、本実施例は、更に、前記洗濯機の内槽を有する洗濯機を提供する。当該洗濯機は、駆動モータ6を含む。前記内槽の中心軸線は垂直に設置され、内槽の槽口は上方を向いている。前記駆動モータ6の出力軸10は、内槽の槽底4に固定的に接続されており、内槽を直に回転駆動させる。
【0068】
本発明の洗濯機は、駆動モータ6が内槽を直に回転駆動させる方式を採用しており、減速器を省略している。駆動モータ6の出力軸は外槽に装着されており、軸受を介して外槽と係合している。
【0069】
本実施例の洗濯機は孔無し内槽を採用しており、洗浄時には内槽に独立して洗浄水を収容可能である。そのため、従来の全自動洗濯機における貯水用の外槽が不要となるか、構造を改良可能である。本実施例の洗濯機は、更に、開口した集水室を有する集水装置を含み、内槽から排出された洗浄水を収集するために、少なくとも前記内槽の槽底4が集水室内に設置される。また、前記駆動モータ6は集水装置の底部に装着される。駆動モータ6の出力軸10は、集水装置を貫通して内槽の槽底4に直に固定接続される。
【0070】
本実施例における集水装置の主な役割は次の通りである。
【0071】
1.排水口から排出された水、及び脱水孔から吐き出された水を含む内槽内から排出された水を収集して排出するために用いられる。
【0072】
2.駆動モータ6、排水弁等の槽底構造部材の装着に用いられる。
【0073】
3.制震懸架ロッドの懸装に用いられ、内槽の装着を実現する。
【0074】
そのため、本実施例の集水装置には、従来の洗濯機における外槽1を選択可能である。
【0075】
本実施例における駆動モータ6の出力軸10と内槽の槽底4は、固定ネジ9によって固定的に接続される。
【0076】
出力軸10と槽底4との接続強度を強化することで、出力軸10の回動時に回動のトルクが槽底4に直に伝達されて槽底が変形するとの事態を防止するために、槽底4の下方にはホルダが固定装着されている。更に、ホルダが槽底4に直に装着されることで発生する漏水を防止するために、本発明ではホルダの装着方式を変更している。つまり、ホルダと槽底との固定構造を省略し、槽体2の下部を下方へ延伸させて槽底4の下面から突出させるよう設計している。そして、径方向に装着された固定ネジ9によってホルダと槽体2の下部を固定的に接続することで、ホルダを槽底4の下方に固定する。
【0077】
本実施例の洗濯機は減速クラッチを省略しているため、駆動モータは大きな負荷トルクを受け止めねばならない。よって、モータには送出トルクの大きなものを選択する。本実施例の一実施形態として、本実施例の駆動モータにはダイレクトドライブモータを採用し、更に、ダイレクトドライブ可変周波数モータを採用する。
【0078】
本実施例の洗濯機は、更に、集水装置に設置される排水密封装置を含む。排水密封装置は、前記排水口を閉塞及び密封可能な密封機構と、密封機構を駆動して排水口を開放/閉止する駆動機構を含む。
【0079】
本実施例の洗濯機は更にロック機構を含む。ロック機構は集水装置に設置される。ロック機構は上下動するロックロッドを有しており、ロックロッドは、上昇して内槽のロック孔内に挿入されることで洗濯機の内槽をロックする。
【0080】
更に、本実施例は、前記洗濯機の制御方法を提供する。洗浄過程において、洗濯機は、駆動モータが内槽を正逆に回転駆動させるよう制御する。また、脱水過程において、洗濯機は、駆動モータが内槽を一方向に高速に回転駆動させて脱水を行うよう制御する。
【0081】
更に、洗浄過程において、洗濯機は、内槽が第1の加速度で第1の所定時間だけ正回転するよう制御する。そして、正回転が終了すると、内槽が第2の加速度で第2の所定時間だけ逆回転するよう制御し、逆回転が終了すると、再び正回転を実行する。以上を繰り返す。
【0082】
好ましくは、洗濯機の負荷量の増加/減少に伴って、前記駆動モータの一方向動作時間及び停止時間は相応に調整可能であり、且つ、洗濯機の負荷量と正の相関関係をなすようにする。
【0083】
好ましくは、前記駆動モータの一方向動作時間は1.5~5Sであり、前記駆動モータの一方向停止時間は1.5~5Sである。
【0084】
更に好ましくは、前記駆動モータの一方向動作時間は2~4Sであり、前記駆動モータの一方向停止時間は2~4Sである。
【0085】
洗浄動作が開始すると、駆動モータは、大きな加速度で内槽部材を正回転させる。すると、水流及び衣類が槽底4上の槽底突出部8に伴われて上下に運動するとともに、槽体突出部7に伴われて周方向に運動する。これにより、上下運動と周方向運動が組み合わされて立体的な洗浄効果が形成される。正方向の動作が終了すると、内槽及び水流は正方向の速度が低下するか停止したあとに、逆回転を開始する。また、逆方向の動作が終了すると、内槽及び水流は逆方向の速度が低下するか停止したあとに、正回転を開始する。以上を繰り返す。
【0086】
本実施例の洗濯機の内槽は、一方向にのみ運動してもよく、正逆回転のいずれでもよい。
【実施例2】
【0087】
図5図7に示すように、本実施例は洗濯機を提供する。当該洗濯機は、洗浄過程で独立して洗浄水を収容可能な内槽を含む。前記内槽の槽底4には排水口14が設置されており、更には、排水密封装置を含んでいる。排水密封装置は排水機構19及び密封機構を含む。排水機構19は排水口14に装着されるとともに、内部に排水口と連通する排水経路を有している。密封機構は、開閉可能に排水経路内に装着される。
【0088】
本実施例の洗濯機は、排水密封装置を使用することで孔無し内槽の排水口の密封及び開放制御を実現する。排水密封装置は、内槽内の水を排水口から内部の排水経路に導入可能な排水機構を含む。密封機構は、排水経路の開閉制御を実現可能である。そのため、排水密封装置は独立したモジュールとして排水口に装着可能であり、排水口に対する密封状の配設を考慮しなくてもよいため、装着がいっそう容易である。
【0089】
図6に示すように、本実施例の洗濯機は、更に、排水口14に装着される装着フレーム22を含む。前記排水機構は、装着フレーム22に固定装着されて排水口14と密封状に連通する。
【0090】
本実施例の洗濯機は、更に、排水口カバー20を含む。排水口カバー20はエンドカバー部及び接続部を含む。前記エンドカバー部は排水口14に覆設される。また、エンドカバー部には複数の排水口が設置されている。前記接続部は装着フレーム22に固定的に接続される。
【0091】
本実施例では、排水口14に排水口カバー20を覆設し、排水口カバーに複数の小孔径の排水口を設置している。これにより、排水のフィルタリングを実現して、糸屑の詰まりを回避する。
【0092】
排水口カバー20、排水機構及び装着フレーム22の固定的な接続を実現するために、本実施例で記載する装着フレーム22は、排水口の外周に覆設される環状スリーブであり、環状スリーブの内部に雌ネジを有している。前記接続部は、エンドカバー部の下方に接続される接続スリーブであり、接続スリーブは雌ネジに配設される雄ネジを有している。
【0093】
前記排水機構19の排水経路の一端は雌ネジを有している。前記接続スリーブの長さは環状スリーブの長さよりも大きく、接続スリーブにおける環状スリーブから伸出する部分と排水経路の雌ネジが螺接される。
【0094】
排水口カバー20と排水口との密封状の接続を実現するために、前記排水口14の外周には環状沈降溝が設置されており、前記エンドカバー部と環状沈降溝の間に第1シールリング21が設置される。
【0095】
本実施例における前記排水機構19の排水経路の内部には、内側に収縮する経路排水口が備わっている。前記密封機構は閉塞部材24及び支持部材26を含む。支持部材26は排水経路内に固定装着されており、閉塞部材24は相対的に摺動可能に支持部材26に装着される。
【0096】
洗浄又はすすぎ時には、前記閉塞部材24が経路排水口と密封状に係合し、内槽に独立して洗浄水が収容される。また、排水時には、前記閉塞部材24が経路排水口を開放することで、内槽内の洗浄水が排出される。
【0097】
排水経路内には内側に突出した内凸区間が備わっている。内凸区間と排水経路の内壁の間には段差構造が形成されており、段差構造部分が経路排水口となる。前記排水口カバー20の接続部の端部と段差構造の端部の間には第2シールリング23が設置される。
【0098】
更に、本実施例で記載する支持部材26は固定部及び嵌装部を含む。固定部は、排水経路内に固定装着されて、嵌装部に固定的に接続される。嵌装部は中空の摺動経路を有している。また、前記閉塞部材24は密封部及び接続部を含む。密封部は経路排水口と密封状に係合する。接続部は、摺動可能に嵌装部の中空の摺動経路内に設置されて、密封部と排水口との密封及び分離を実現する。
【0099】
本実施例の支持部材26は、排水機構19の排水経路内に独立して構築及び装着してもよいし、排水経路の周壁を部分的に排水経路の内部に延伸形成することで、排水機構19と一体的に成型してもよい。
【0100】
更に、前記固定部のうち嵌装部に接続される一端であって、排水経路内に位置する部分には、排水時に糸屑を円滑に滑落させる平滑構造が備わっている。
【0101】
好ましくは、前記平滑構造は、両端が高く中央が低い鞍型構造をなしている。
【0102】
より好ましくは、前記平滑構造の上面は、下方に向かって湾曲した円弧面をなしている。
【0103】
具体的に、前記嵌装部は、内部が中空のスリーブである。前記閉塞部材の底面には、排水口と係合する円環密封部が備わっている。前記接続部は円環密封部の円心位置に設置されるセンターロッドである。前記センターロッドは、スリーブ内に挿入されて相対的に摺動可能である。
【0104】
好ましくは、前記閉塞部材はガスケット25を更に含む。前記ガスケット25は円環密封部に設置される。
【0105】
更に、前記閉塞部材24のセンターロッドの端部には留め具28が装着される。また、前記嵌装部1の上端には、中空の摺動経路の内部に一定の距離だけ延伸して形成される位置規制段差が備わっている。前記圧縮バネはセンターロッドに覆設され、一端が留め具28に当接するとともに、他端が位置規制段差に当接する。
【0106】
本実施例の一実施形態として、前記密封機構は弾性部材27を含む。前記弾性部材27は、一端が支持部材26に当接し、他端が閉塞部材24に当接する。前記弾性部材27は、閉塞部材24が経路排水口と分離した状態となるまで摺動する際に変形して、閉塞部材24の弾性復元による密封を実現する。
【0107】
好ましくは、前記弾性部材は初期状態において圧縮状態であり、閉塞部材と経路排水口との密封状の係合を維持することで、経路排水口の常時閉状態を維持する。
【0108】
本実施例の洗濯機は、内槽の外部に設置される集水装置を含む。また、排水密封装置は駆動機構を更に含む。前記駆動機構は、集水装置に装着されて密封機構に対応する。前記駆動機構は、上下に伸縮可能な出力端29を有する。
【0109】
洗浄又はすすぎ時には、前記駆動機構の出力端が収縮する。そして、密封機構が経路排水口と密封状に係合し、内槽に独立して洗浄水が収容される。排水時には、前記駆動機構の出力端が伸出し、密封機構を押し開けて経路排水口から分離させる。これにより、経路排水口が開放されて排水が行われる。
【0110】
駆動機構は、更に、上下に往復運動可能な往復部材30と、往復部材を駆動させる動力部材31を含む。前記出力端29は押上ロッドであり、押上ロッドが往復部材に接続される。
【実施例3】
【0111】
図5図8及び図9に示すように、本実施例の洗濯機は、洗浄過程で独立して洗浄水を収容可能な内槽を含む。前記内槽の槽底4の内表面には、内槽の内部に向かって突出する槽底突出部8が密封状に配設されるか、一体成型されている。また、内槽の槽底4には排水口14が設置されている。更に、洗濯機は排水密封装置を含む。排水密封装置は、前記排水口を閉塞及び密封可能な密封機構と、密封機構を駆動して排水口を開放/閉止する駆動機構を含む。
【0112】
更に、本実施例で記載する密封機構は閉塞部材24及び支持部材26を含む。支持部材26は内槽の底部に固定装着されており、且つ排水口まで延伸している。閉塞部材24は相対的に摺動可能に支持部材に装着される。
【0113】
洗浄又はすすぎ時には、前記閉塞部材が排水口と密封状に係合し、内槽に独立して洗浄水が収容される。また、排水時には、前記駆動機構が閉塞部材を駆動して排水口を開放することで、内槽内の洗浄水が排水口から排出される。
【0114】
本実施例の排水密封装置は内槽自体の構造に設計されている。密封機構の閉塞部材は内槽のセルフ密封を可能とするため、洗濯機の動作時には内槽と外槽の間に水が存在し得ず、汚染されるとの事態が防止される。且つ、ユーザにとっては節水技術の応用でもある。このほか、内槽を密封機構でセルフ密封したあとに、駆動モータは内槽を回転駆動可能となる。
【0115】
本実施例の一実施形態として、前記支持部材26は固定部及び嵌装部を含む。固定部は、内槽の底部に固定装着されており、且つ排水口まで延伸して嵌装部に固定的に接続される。嵌装部は中空の摺動経路を有している。また、前記閉塞部材24は密封部及び接続部を含む。接続部は、摺動可能に嵌装部の中空の摺動経路内に設置されて、密封部と排水口との密封及び分離を実現する。
【0116】
更に、前記固定部のうち嵌装部に接続される一端であって、前記排水口の内部に位置する部分には、排水時に糸屑を円滑に滑落させる平滑構造が備わっている。
【0117】
好ましくは、前記平滑構造は、両端が高く中央が低い鞍型構造をなしている。
【0118】
より好ましくは、前記平滑構造の上面は、下方に向かって湾曲した円弧面をなしている。
【0119】
具体的に、前記嵌装部は、内部が中空のスリーブである。前記閉塞部材24の底面には、排水口と係合する円環密封部が備わっている。前記接続部は円環密封部の円心位置に設置されるセンターロッドである。前記センターロッドは、スリーブ内に挿入されて相対的に摺動可能である。
【0120】
好ましくは、前記閉塞部材24はガスケット25を更に含む。前記ガスケット25は円環密封部に設置される。
【0121】
閉塞部材24によるセルフ密封と、排水口を開放したあとの位置復帰及び密封を維持するために、前記密封機構は弾性部材27を含む。前記弾性部材27は、一端が支持部材26に当接し、他端が閉塞部材24に当接する。前記弾性部材27は、閉塞部材24が排水口と分離した状態となるまで摺動する際に変形して、閉塞部材24の弾性復元による密封を実現する。
【0122】
好ましくは、前記弾性部材27は初期状態において圧縮状態であり、閉塞部材24と排水口との密封状の係合を維持する。
【0123】
本実施例の一実施形態として、前記弾性部材27は圧縮バネである。圧縮バネは嵌装部の中空の摺動経路内に嵌設される。圧縮バネの一端は嵌装部に当接し、他端は閉塞部材24に当接する。
【0124】
更に、前記閉塞部材24のセンターロッドの端部には留め具28が装着される。また、前記嵌装部1の上端には、中空の摺動経路の内部に一定の距離だけ延伸して形成される位置規制段差が備わっている。前記圧縮バネはセンターロッドに覆設され、一端が留め具28に当接するとともに、他端が位置規制段差に当接する。
【0125】
本実施例の前記閉塞部材は上部カバーを含む。上部カバーの上端面は円弧面をなしている。また、上部カバーの下端面は排水口と密封状に係合する密封部を有する。
【0126】
密封の動作原理:圧縮バネは圧縮されると、一端の力が支持部材26に作用するとともに、一端が留め具28に作用する。留め具28は閉塞部材24のセンターロッドを通じて閉塞部材24全体にバネ力を伝達し、閉塞部材24がバネ力の作用で槽底の排水口に押圧されることで密封効果が奏される。以上を図6に示す。
【0127】
排水の動作原理:排水準備時には、内槽がロック機構によって密封構造と駆動機構の位置の重なりを実現する。このとき、駆動機構の出力端29が留め具28を押し上げて上部カバーを上方へ移動させる。これにより、上部カバーと排水口の間に隙間が発生し、排水が実現される。また、このとき、圧縮バネも限界位置まで圧縮される。排水が完了すると、駆動機構の出力端29が収縮することで、上部カバーがバネ力の作用によって排水口を再び密封する。以上を図7に示す。
【0128】
本実施例の排水密封装置を設計する際には、内槽とガスケットの双方にテーパー状設計を採用する。これにより、衣類が排水口付近に集中した場合、水流の衝撃及び異物自体の重力の作用によって、異物をいっそう排出しやすくなる。また、長期間の運転による糸屑の堆積を防止するのにも都合がよい。
【0129】
また、密封用のゴムパッドを密封構造の上部全体に固定する。異物が当該内槽底に張り付いて排出される場合を考慮すると、内槽は金属であるステンレスからなり、摩擦減衰がゴムの摩擦抵抗よりも小さいため、異物の排出にいっそう都合がよい。また、長期間の運転による糸屑の堆積を防止するのにも都合がよい。
【0130】
支持部材26には鞍型構造を採用している。これにより、異物が内槽から排出される際にフレームに接触したとしても、フレームが平面の場合のように異物が滞る恐れが大きくなるとの事態が防止される。また、半円型の構造設計によれば、減衰が低減するため、長期間の運転による糸屑の堆積を防止するのにも都合がよい。
【0131】
支持部材26の嵌装部は、閉塞部材24のセンターロッドに対し中間ばめとすればよい。これにより、糸屑や異物がバネ空間内に進入してバネの動作を滞らせるとの事態が効果的に防止される。
【0132】
好ましくは、前記駆動機構として排水弁を選択可能である。排水弁の押上柱からの押動力が確実に留め具に作用するよう、排水弁の押上柱は留め具700の内側円柱の直径よりも大きくする必要がある。これにより、押動力が閉塞部材100のセンターロッドに直接作用して、押上柱が抜け落ちるとの潜在的リスクが防止される。また、当該箇所は、ネジにより係合及び固定してもよいし、弾性により係合及び固定してもよい。
【0133】
本実施例の洗濯機は、内槽の外部に設置される集水装置を含む。また、排水密封装置は駆動機構を更に含む。前記駆動機構は、集水装置に装着されて密封機構に対応する。前記駆動機構は、上下に伸縮可能な出力端29を有する。
【0134】
洗浄又はすすぎ時には、前記駆動機構の出力端が収縮する。そして、密封機構が経路排水口と密封状に係合し、内槽に独立して洗浄水が収容される。排水時には、前記駆動機構の出力端が伸出し、密封機構を押し開けて経路排水口から分離させる。これにより、経路排水口が開放されて排水が行われる。
【0135】
駆動機構は、更に、上下に往復運動可能な往復部材30と、往復部材を駆動させる動力部材31を含む。前記出力端29は押上ロッドであり、押上ロッドが往復部材に接続される。
【0136】
更に、図5に示すように、本実施例で記載する内槽の槽底の外壁には、ロック機構17と係合して内槽をロックするためのロック孔16が設置されている。洗濯機は、集水装置に装着されるロック機構を更に含む。前記ロック機構は上下動するロックロッドを有している。ロックロッドが上方に運動し、ロック孔内に挿入されて内槽をロックしたあと、駆動機構の出力端が伸出して密封機構を押し開けることで排水を実施する。上記の実施例は、単独で実施してもよいし、互いに組み合わせてより多くの組み合わせ方案を実施及び形成してもよい。
【0137】
以上の記載は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に制限するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変形或いは補足は、同等に変形された等価の実施例とみなされ、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる任意の簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】