(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ
(51)【国際特許分類】
G01B 7/16 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
G01B7/16 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576662
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(85)【翻訳文提出日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2020118680
(87)【国際公開番号】W WO2021258573
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】202010591291.1
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】焦 鵬程
(72)【発明者】
【氏名】楊 ▲ヤン▼
(72)【発明者】
【氏名】候 博之
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA25
2F063BA14
2F063DA02
2F063DA05
2F063JA10
(57)【要約】
本発明は、構造ヘルスモニタリングの分野に属し、具体的に摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープに関する。リール及びテープ本体を含み、テープ本体が内側接着剤層、内側保護フィルム、内側電極、内側摩擦発電材料フィルム、外側摩擦発電材料フィルム、外側電極及び外側保護フィルムを含み、内側電極及び外側電極の両方にもワイヤーが接続されており、内側摩擦発電材料フィルムと外側摩擦発電材料フィルムが摩擦発電することができる。本発明は、以下の有益な効果を有する。本発明は、摩擦発電方法を革新的に使用して、構造ヘルスモニタリングの変形モニタリングを実現し、電池又は外部電源を必要とせずに電気エネルギーの自給自足を保証することができる。本発明は、変形が特定の電気信号に対応する方法を革新的に使用し、外部電気信号受信装置によって収集された信号を介して、変形を正確に反転することができる。本発明は、摩擦発電アノード材料フィルム及び摩擦発電カソード材料フィルムの摩擦発電の特性を革新的に使用して、変形の機械的エネルギーの電気エネルギーへの変換を実現した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール(1)及びリール(1)に巻かれたテープ本体(2)を含み、テープ本体(2)が内側から外側へ配置された内側接着剤層(7)、内側保護フィルム(4a)、内側電極(8a)、内側摩擦発電材料フィルム、外側摩擦発電材料フィルム、外側電極(8b)及び外側保護フィルム(4b)を含み、内側電極(8a)及び外側電極(8b)の両方にもワイヤー(9)が接続されており、内側摩擦発電材料フィルムと外側摩擦発電材料フィルムが摩擦発電することができることを特徴とする、摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【請求項2】
前記内側摩擦発電材料フィルムは、摩擦発電アノード材料フィルム(5)であり、外側摩擦発電材料フィルムは、摩擦発電カソード材料フィルム(6)であり、又は、内側摩擦発電材料フィルムは、摩擦発電カソード材料フィルム(6)であり、外側摩擦発電材料フィルムは、摩擦発電アノード材料フィルム(5)であることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【請求項3】
前記テープ本体(2)は、リール(1)から部分的又は完全に剥がして構造物に貼り付けられ、テープ本体(2)のワイヤー(9)が電気信号受信装置(3)と接続され、摩擦発電アノード材料フィルム(5)と摩擦発電カソード材料フィルム(6)の摩擦によって生成された電気信号が、電極及びワイヤー(9)を介して電気信号受信装置(3)に伝達されることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【請求項4】
前記電気信号受信装置(3)の内部には、アナログ-デジタルコンバータ、マイクロコントローラ、演算装置が配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【請求項5】
前記テープ本体(2)は、前記外側保護フィルム(4b)の外側に接着された外側接着剤層(10)をさらに含み、前記ワイヤー(9)が外側接着剤層(10)を介して外側保護フィルム(4b)の外側に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【請求項6】
前記内側保護フィルム(4a)及び外側保護フィルム(4b)の幅方向の両端が接続されており、それにより、前記内側電極(8a)、内側摩擦発電材料フィルム、外側摩擦発電材料フィルム、外側電極(8b)はいずれも、内側保護フィルム(4a)と外側保護フィルム(4b)との間に覆われていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【請求項7】
前記内側保護フィルム(4a)及び外側保護フィルム(4b)の幅方向の両端は、圧接又は接着されていることを特徴とする、請求項6に記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【請求項8】
前記内側保護フィルム(4a)及び外側保護フィルム(4b)は弾性を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【請求項9】
前記テープ本体(2)は、リール(1)に複数回巻かれており、テープ本体(2)が長さ方向に沿って固定長のいくつかの部分として設計されており、各部分のテープ本体(2)がそれぞれ切り取って別々に使用でき、各部分のテープ本体(2)には、独立したワイヤー(9)が配置されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造ヘルスモニタリングの分野に関し、具体的に摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープに関する。
【背景技術】
【0002】
温度変動による熱膨張・収縮及び構造が力を受けて発生する様々な荷重は、機械設備、インフラストラクチャーの安定性や耐久性に大きな影響を与え、これらの不利な荷重は、構造に大きな変形、ひび割れ、損傷などの悪影響を与える恐れがあり、機械設備の通常の使用又はインフラストラクチャーの耐用年数に影響を与える。近年、機械設備やインフラストラクチャーの安定性と耐久性を向上させ、設備の損傷による経済的損失と死傷者を減らすために、研究者は、構造ヘルスモニタリングに関する一連の調査を実施した。構造ヘルスモニタリング技術は、実際のエンジニアリングにおけるスマートマテリアル構造の非常に重要なアプリケーションであり、構造ヘルスモニタリングシステムは、構造の「ヘルス」状態をオンラインで監視できるバイオニックスマートシステムである。神経系として埋め込まれたセンサー又は表面に貼り付けられたセンサーを使用し、構造内部の損傷や欠陥を敏感に認識して予測することができる。構造が非「ヘルス」状態にある場合、非「ヘルス」情報を信号受信装置に時間内に送信することができ、関係する管理者は信号を受信した後、状況に応じて対応することができる。現在、構造ヘルス検出技術の急速な発展に伴い、研究者は主に安全性、経済性、合理化、省エネルギー、高効率の方向で構造ヘルスモニタリング機器を設計している。
【0003】
摩擦電気や静電気の現象は、日常生活のあらゆる面で広く見られる非常に一般的な現象であるが、収集や使用が難しいため、人々に無視されるエネルギーの一種である。新しい方法を使用して、摩擦によって生成する電気エネルギーを収集するか、又は該方法を使用して日常生活の不規則な運動エネルギーを使用可能な電気エネルギーに変換することを可能にすれば、構造ヘルスモニタリング技術とエネルギー供給分野に重要な影響を与えると研究者は考えている。研究者はマイクロ静電発電機を開発し、それらはマイクロ電気機械の分野で広く使用されてきた。しかし、マイクロ静電発電機の設計は主に無機シリコン材料に基づいており、デバイスの製造には複雑なプロセスと精密な操作が必要である。装置全体の準備には、大規模な設備と特別な製造条件が必要であり、コストが高すぎるため、発電機の商業化と日常の使用には役立たない。最近、研究開発チームは、摩擦帯電と静電誘導の原理に基づいて、柔軟な摩擦電気発電機、及び該原理に基づいた、高性能圧力センサーの機能を兼ねた透明な摩擦電気発電機の開発に成功した。この新しいタイプの機器は、構造ヘルスモニタリングの分野により適している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の欠点を補うために、本発明は、摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープの技術的解決手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープであって、リール及びリールに巻き取られたテープ本体を含み、テープ本体が内側から外側へ配置された内側接着剤層、内側保護フィルム、内側電極、内側摩擦発電材料フィルム、外側摩擦発電材料フィルム、外側電極及び外側保護フィルムを含み、内側電極及び外側電極の両方にもワイヤーが接続されており、内側摩擦発電材料フィルムと外側摩擦発電材料フィルムが摩擦発電することができることを特徴とする。
【0006】
前記摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープであって、前記内側摩擦発電材料フィルムは、摩擦発電アノード材料フィルムであり、外側摩擦発電材料フィルムは、摩擦発電カソード材料フィルムであり、又は、内側摩擦発電材料フィルムは、摩擦発電カソード材料フィルムであり、外側摩擦発電材料フィルムは、摩擦発電アノード材料フィルムであることを特徴とする。
【0007】
前記摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープであって、前記テープ本体は、リールから部分的又は完全に剥がして構造物に貼り付けられ、テープ本体のワイヤーが電気信号受信装置と接続され、摩擦発電アノード材料フィルムと摩擦発電カソード材料フィルムの摩擦によって発生された電気信号が、電極及びワイヤーを介して電気信号受信装置に伝達されることを特徴とする。
【0008】
前記摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープであって、前記電気信号受信装置の内部にアナログ-デジタルコンバータ、マイクロコントローラ、演算装置が配置されていることを特徴とする。
【0009】
前記摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープであって、前記テープ本体は、前記外側保護フィルムの外側に接着された外側接着剤層をさらに含み、前記ワイヤーが外側接着剤層を介して外側保護フィルムの外側に固定されていることを特徴とする。
【0010】
前記摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープであって、前記内側保護フィルム及び外側保護フィルムの幅方向の両端が接続されており、前記内側電極、内側摩擦発電材料フィルム、外側摩擦発電材料フィルム、外側電極はいずれも内側保護フィルムと外側保護フィルムとの間に覆われていることを特徴とする。
【0011】
前記摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープであって、前記内側保護フィルム(4a)及び外側保護フィルム(4b)の幅方向の両端は、圧接又は接着されていることを特徴とする。
【0012】
前記摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープであって、前記内側保護フィルム及び外側保護フィルムは弾性を有することを特徴とする。
【0013】
前記摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープであって、前記テープ本体は、リールに複数回巻かれており、テープ本体が長さ方向に沿って固定長のいくつかの部分に設計されており、各部分のテープ本体がそれぞれ切り取って別々に使用でき、かつ各部分のテープ本体には、独立したワイヤーが配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、従来の技術と比較して、以下の有益な効果を有する。本発明は、摩擦発電方法を革新的に使用して、構造ヘルスモニタリングの変形モニタリングを実現し、電池又は外部電源なしで、電気エネルギーの自給自足を保証できる。本発明は、変形が特定の電気信号に対応する方法を革新的に使用し、外部電気信号受信装置によって収集された信号を介して、変形を正確に反転することができる。本発明は、摩擦発電アノード材料フィルムと摩擦発電カソード材料フィルムとの2つフィルムの摩擦発電を革新的に使用して、変形機械エネルギーの電気エネルギーへの変換を実現する。本発明は、テープ貼り付け形態を革新的に使用して、構造変形モニタリングを実現し、取り付けプロセスを効果的に低減し、従来のモニタリング装置による構造物への追加負荷を効果的に低減し、製造及び取り付けのコストを効果的に削減した。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明におけるテープ本体の内部構造の概略図である。
【
図3】本発明において、テープ本体を貼り付けた構造物の変形が異なる場合の摩擦発電機の概略図である。
【
図4】構造変形を監視する際の本発明の使用状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明をさらに説明する。
【0017】
図に示すように、摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープは、外観が従来の円筒形テープと同じであり、リール1及びリール1に巻かれたテープ本体2を含み、テープ本体2が内側から外側へ配置された内側接着剤層7、内側保護フィルム4a、内側電極8a、内側摩擦発電材料フィルム、外側摩擦発電材料フィルム、外側電極8b及び外側保護フィルム4bを含み、内側電極8a及び外側電極4bの両方にもワイヤー9が接続されており、保護フィルムは、摩擦発電材料と電極が外部環境から絶縁されるように保護の役割を果たし、内側接着剤層7が貼り付けに使用され、保護フィルムと対応する電極が接着又は溶接され、内側摩擦発電材料フィルムと外側摩擦発電材料フィルムは、摩擦発電することができる。ここで、前記内側摩擦発電材料フィルムは摩擦発電アノード材料フィルム5であり、外側摩擦発電材料フィルムは摩擦発電カソード材料フィルム6である。
【0018】
本発明は、以下のように修正することができる。内側摩擦発電材料フィルムは摩擦発電カソード材料フィルム6であり、外側摩擦発電材料フィルムは摩擦発電アノード材料フィルム5である。
【0019】
好ましくは、前記テープ本体2は、リール1から部分的又は完全に剥がして構造物に貼り付けられ、テープ本体2のワイヤー9が電気信号受信装置3と接続され、摩擦発電アノード材料フィルム5と摩擦発電カソード材料フィルム6の摩擦によって生成された電気信号が、電極及びワイヤー9を介して電気信号受信装置3に伝達される。
【0020】
上記の構造において、前記電気信号受信装置3の内部には、アナログ-デジタルコンバータ、マイクロコントローラ、演算装置が配置されている。
【0021】
好ましくは、前記テープ本体2は、前記外側保護フィルム4bの外側に接着される外側接着剤層10をさらに含み、前記ワイヤー9が外側接着剤層10を介して外側保護フィルム4bの外側に固定され、使用時には、外側接着剤層10を引き裂いて、ワイヤー9を露出することができる。
【0022】
好ましくは、前記内側保護フィルム4a及び外側保護フィルム4bの幅方向の両端が接続されており、それにより、前記内側電極8a、内側摩擦発電材料フィルム、外側摩擦発電材料フィルム、外側電極8bはいずれも、内側保護フィルム4aと外側保護フィルム4bとの間に覆われている。
【0023】
上記の構造において、前記内側保護フィルム4a及び外側保護フィルム4bの幅方向の両端は、圧接又は接着されている。
【0024】
好ましくは、前記内側保護フィルム4a及び外側保護フィルム4bは、弾性を有する。
【0025】
好ましくは、前記テープ本体2は、リール1に複数回巻かれており、テープ本体2が長さ方向に沿っていくつかの部分として設計され、各部分のテープ本体2がそれぞれ切り取って使用でき、かつ各部分のテープ本体2には、独立したワイヤー9が配置されている。
【0026】
図1と
図2を例として、摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープの設計及び製造要件を説明する。
図1に示されるリール1にテープ本体2が複数回巻かれ、製造中に、ユーザーが切り取りやすくするために、テープ本体2が固定長のいくつかの部分に分割されるように設計することができ、各部分のテープには、作業時に外部の電気信号受信装置3と接続するために2つのワイヤー9が配置され、2つのワイヤー9各々の一端が対応する電極と接続され、他端が引き出して外側接着剤層10を介して最外側保護フィルム4bの表面に配置され、使用時、外側接着剤層10を引き裂いて、露出したワイヤー9を電気信号受信装置3と接続させる。
図2に示すテープ本体の半径方向の多層構造は、次のように外側から内側へ順次取り付けられる。外側保護フィルム4b及び内側保護フィルム4bの幅方向の両端は、圧接又は密着され、摩擦発電アノード材料フィルム5及び摩擦発電カソード材料フィルム6を配置するために、中央部にスペースを残し、摩擦発電アノード材料フィルム5及び摩擦発電カソード材料フィルム6を密着して配置する必要があり、構造物が変形するとき、2層のフィルムが摩擦発電して明らかな電気信号を生成することができる。多層構造の最内層は内側接着剤層7であり、内側接着剤層7によって、テープ本体2がリール1に複数回連続して巻かれることが容易になり、また、テープ本体2が様々な構造物の表面に貼り付けたり巻いたりすることが容易になった。
【0027】
図3、
図4を例として、摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープの動作メカニズムを説明する。例えば、
図4に示すように、テープ本体2をいくつかの部分に切り取って、円管などの構造物に巻くか、又は円管の軸の方向に沿って、監視する構造物の表面に貼り付けることができる。テープを貼り付けた部分又は巻いた部分に変形がない場合、テープは
図3の上部に示す初期状態にある。テープが巻き付けられている円管が熱膨張、伸縮したり、管内の液圧が大きすぎると、円管が半径方向に変形し、管径が増加又は低減し、円管がまた、軸方向に変形するか、又は表面に膨らみやくぼみが生じたりする場合がある。管径の増加を例にとると、管径が大きくなると、円管の周長が大きくなり、円管の壁に巻いて貼り付けたテープは
図3の左下部に示すように変形し、管径が大きくなると、内側に近い摩擦発電カソード材料フィルム6が外側の摩擦発電アノード材料フィルム5に向かって圧迫されると同時に、管の周長が増加するため、摩擦発電カソード材料フィルム6が伸長し、接線方向に変位し、したがって、摩擦発電アノード材料フィルム5及び摩擦発電カソード材料フィルム6は、相対変位して摩擦発電し、摩擦によって生成された電子が、2層のフィルムにめっきされた電極およびワイヤー9を通して、外部の電気信号受信装置3に伝達して閉ループを形成し、電気信号受信装置3は、送信された電気信号に基づいて構造の変形程度を決定し、それにより、フルタイムの構造ヘルスモニタリングを実現する。同様に、軸方向に貼り付けられたテープの表面に膨らみやくぼみが生じた場合、テープが
図3の右下部に示すように変形し、2層のフィルムも相対変位して摩擦発電し、それによって、構造の軸方向における伸長及び収縮、並びに異常な膨らみやくぼみを監視する。
【0028】
本発明の摩擦発電アノード材料フィルム5は、具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)で作られており、摩擦発電カソード材料フィルム6は、具体的にはポリイミド(Kapton)で作られている。摩擦発電アノード材料フィルム5はナイロンで作られてもよい。これに対応して、摩擦発電カソード材料フィルム6は、ポリテトラフルオロエチレンで作られてもよい。さらに、摩擦発電アノード材料フィルム5および摩擦発電カソード材料フィルム6はまた、摩擦発電機能を備えた他の材料の組み合わせであってもよい。
【0029】
なお、最後に、上記の各実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためにのみ使用され、それらを限定するものではない。前記各実施例を参照して本発明を詳細に説明してきたが、当業者は、前述の各実施例に記載された技術的解決手段を依然として修正可能であるか、又は技術的特徴の一部又はすべてを同等に置き換えることができ、これらの修正又は置き換えにより、対応する技術的解決手段の本質を、本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させないと理解すべきである。
【0030】
(付記)
(付記1)
リール(1)及びリール(1)に巻かれたテープ本体(2)を含み、テープ本体(2)が内側から外側へ配置された内側接着剤層(7)、内側保護フィルム(4a)、内側電極(8a)、内側摩擦発電材料フィルム、外側摩擦発電材料フィルム、外側電極(8b)及び外側保護フィルム(4b)を含み、内側電極(8a)及び外側電極(8b)の両方にもワイヤー(9)が接続されており、内側摩擦発電材料フィルムと外側摩擦発電材料フィルムが摩擦発電することができることを特徴とする、摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【0031】
(付記2)
前記内側摩擦発電材料フィルムは、摩擦発電アノード材料フィルム(5)であり、外側摩擦発電材料フィルムは、摩擦発電カソード材料フィルム(6)であり、又は、内側摩擦発電材料フィルムは、摩擦発電カソード材料フィルム(6)であり、外側摩擦発電材料フィルムは、摩擦発電アノード材料フィルム(5)であることを特徴とする、付記1に記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【0032】
(付記3)
前記テープ本体(2)は、リール(1)から部分的又は完全に剥がして構造物に貼り付けられ、テープ本体(2)のワイヤー(9)が電気信号受信装置(3)と接続され、摩擦発電アノード材料フィルム(5)と摩擦発電カソード材料フィルム(6)の摩擦によって生成された電気信号が、電極及びワイヤー(9)を介して電気信号受信装置(3)に伝達されることを特徴とする、付記1に記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【0033】
(付記4)
前記電気信号受信装置(3)の内部には、アナログ-デジタルコンバータ、マイクロコントローラ、演算装置が配置されていることを特徴とする、付記3に記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【0034】
(付記5)
前記テープ本体(2)は、前記外側保護フィルム(4b)の外側に接着された外側接着剤層(10)をさらに含み、前記ワイヤー(9)が外側接着剤層(10)を介して外側保護フィルム(4b)の外側に固定されていることを特徴とする、付記1に記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【0035】
(付記6)
前記内側保護フィルム(4a)及び外側保護フィルム(4b)の幅方向の両端が接続されており、それにより、前記内側電極(8a)、内側摩擦発電材料フィルム、外側摩擦発電材料フィルム、外側電極(8b)はいずれも、内側保護フィルム(4a)と外側保護フィルム(4b)との間に覆われていることを特徴とする、付記1~5のいずれか一つに記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【0036】
(付記7)
前記内側保護フィルム(4a)及び外側保護フィルム(4b)の幅方向の両端は、圧接又は接着されていることを特徴とする、付記6に記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【0037】
(付記8)
前記内側保護フィルム(4a)及び外側保護フィルム(4b)は弾性を有することを特徴とする、付記1~5のいずれか一つに記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【0038】
(付記9)
前記テープ本体(2)は、リール(1)に複数回巻かれており、テープ本体(2)が長さ方向に沿って固定長のいくつかの部分として設計されており、各部分のテープ本体(2)がそれぞれ切り取って別々に使用でき、各部分のテープ本体(2)には、独立したワイヤー(9)が配置されていることを特徴とする、付記1~5のいずれか一つに記載の摩擦発電に基づく構造変形モニタリングテープ。
【国際調査報告】