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特表2022-542786電池、電力消費装置、電池製造方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】電池、電力消費装置、電池製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20220930BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220930BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220930BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20220930BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20220930BHJP
   H01M 50/375 20210101ALI20220930BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20220930BHJP
【FI】
H01M50/342 201
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/651
H01M10/6554
H01M50/342 101
H01M50/375
H01M50/367
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021578107
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(85)【翻訳文提出日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2020101437
(87)【国際公開番号】W WO2022006892
(87)【国際公開日】2022-01-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲曾▼ 毓群
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小波
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】李 耀
(72)【発明者】
【氏名】林 永寿
【テーマコード(参考)】
5H012
5H031
【Fターム(参考)】
5H012AA07
5H012BB08
5H012CC01
5H012DD02
5H012DD03
5H012FF08
5H012JJ10
5H031AA09
5H031EE01
5H031HH06
5H031KK01
(57)【要約】
本願の実施例は電池、電力消費装置、電池製造方法及び装置を提供する。前記電池は、圧力解放機構を含む電池セルであって、前記圧力解放機構は前記電池セルの第1壁に設置され、且つ前記圧力解放機構は前記電池セルの内部の圧力又は温度が閾値に達した場合に作動して前記内部の圧力を解放することに用いられる、電池セルと、流体を収容して前記電池セルの温度を調節することに用いられる熱管理部材とを含み、前記熱管理部材の第1表面は前記第1壁に取り付けられ、前記熱管理部材は前記圧力解放機構が作動する場合に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出されるように構成される。本願の実施例の技術案は、電池の安全性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池(10)であって、
圧力解放機構(213)を含む電池セル(20)であって、前記圧力解放機構(213)は前記電池セル(20)の第1壁(21a)に設置され、且つ前記圧力解放機構(213)は前記電池セル(20)の内部の圧力又は温度が閾値に達した場合に作動して前記内部の圧力を解放することに用いられる、電池セル(20)と、
流体を収容して前記電池セル(20)の温度を調節することに用いられる熱管理部材(13)とを含み、
前記熱管理部材(13)の第1表面は前記第1壁(21a)に取り付けられ、前記熱管理部材(13)は前記圧力解放機構(213)が作動する場合に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材(13)の内部から排出されるように構成される、ことを特徴とする電池(10)。
【請求項2】
前記熱管理部材(13)は前記圧力解放機構(213)が作動する場合に前記電池セル(20)の内部から排出された排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記熱管理部材(13)を通過するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記熱管理部材(13)に凹溝(134)が設置され、前記凹溝(134)の側面は前記電池セル(20)の内部から排出された排出物に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材(13)の内部から排出されるように構成される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記凹溝(134)の底壁は前記圧力解放機構(213)が作動する場合に前記排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記熱管理部材(13)を通過するように構成される、ことを特徴とする請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記凹溝(134)の側面は前記排出物に破壊され及び/又は溶融されて、それにより前記流体は前記熱管理部材(13)の内部から排出されるように構成される、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の電池。
【請求項6】
前記凹溝(134)の底壁は前記排出物に破壊され及び/又は溶融されて、それにより前記排出物は前記熱管理部材(13)を通過するように構成される、ことを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載の電池。
【請求項7】
前記凹溝(134)の半径方向寸法は前記圧力解放機構(213)から離れる方向に沿って徐々に小さくなる、ことを特徴とする請求項3~6のいずれか1項に記載の電池。
【請求項8】
前記凹溝(134)の底壁に脆弱領域(135)が設置され、前記脆弱領域(135)は前記圧力解放機構(213)が作動する場合に前記排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記脆弱領域(135)を通過するように構成される、ことを特徴とする請求項3~7のいずれか1項に記載の電池。
【請求項9】
前記脆弱領域(135)の厚さは3mm以下である、ことを特徴とする請求項8に記載の電池。
【請求項10】
前記脆弱領域(135)は前記熱管理部材(13)の他の部分より低い融点を有する、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の電池。
【請求項11】
前記脆弱領域(135)が採用する材料の融点は400℃より低い、ことを特徴とする請求項10に記載の電池。
【請求項12】
前記凹溝(134)が前記第1表面に設置される、ことを特徴とする請求項3~11のいずれか1項に記載の電池。
【請求項13】
前記熱管理部材(13)は第1熱伝導板(131)と第2熱伝導板(132)を含み、前記第1熱伝導板(131)は前記第1壁(21a)と前記第2熱伝導板(132)との間に位置し且つ前記第1壁(21a)に取り付けられ、前記第1熱伝導板(131)の第1領域(131a)は前記第2熱伝導板(132)へ凹んで前記凹溝(134)を形成し、前記第1領域(131a)は前記第2熱伝導板(132)に接続される、ことを特徴とする請求項12に記載の電池。
【請求項14】
前記第1領域(131a)に第1貫通孔(136)が設置され、前記第1貫通孔(136)の半径方向寸法は前記凹溝(134)の半径方向寸法より小さい、ことを特徴とする請求項13に記載の電池。
【請求項15】
前記第1貫通孔(136)に対応する前記第2熱伝導板(132)の厚さは他の領域の前記第2熱伝導板(132)の厚さより薄い、ことを特徴とする請求項14に記載の電池。
【請求項16】
前記凹溝(134)は前記圧力解放機構(213)が作動する場合に開かれることができる回避キャビティとして構成される、ことを特徴とする請求項3~15のいずれか1項に記載の電池。
【請求項17】
前記凹溝(134)の深さは前記圧力解放機構(213)の寸法に関連する、ことを特徴とする請求項16に記載の電池。
【請求項18】
前記凹溝(134)の深さが1mmより大きい、ことを特徴とする請求項16又は17に記載の電池。
【請求項19】
前記凹溝(134)の開口の面積は前記圧力解放機構(213)の面積に関連する、ことを特徴とする請求項16~18のいずれか1項に記載の電池。
【請求項20】
前記凹溝(134)の開口の面積と前記圧力解放機構(213)の面積との比の値の範囲は0.5-2である、ことを特徴とする請求項19に記載の電池。
【請求項21】
前記圧力解放機構(213)の少なくとも一部は前記第1壁(21a)から突出し、前記回避キャビティは前記圧力解放機構(213)の前記少なくとも一部を収容することに用いられる、ことを特徴とする請求項16~20のいずれか1項に記載の電池。
【請求項22】
前記第1壁(21a)の前記圧力解放機構(213)の周りに位置する部分は外部へ突出し、前記回避キャビティは前記第1壁(21a)の前記圧力解放機構(213)の周りに位置する突出部分を収容することに用いられる、ことを特徴とする請求項16~21のいずれか1項に記載の電池。
【請求項23】
前記熱管理部材(13)に第2貫通孔(137)が設置され、前記第2貫通孔(137)は、前記圧力解放機構(213)が作動する場合に前記電池セル(20)の内部から排出された排出物が前記第2貫通孔(137)を介して前記熱管理部材(13)を通過することができるように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項24】
前記第2貫通孔(137)の孔壁は前記排出物に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材(13)の内部から排出されるように構成される、ことを特徴とする請求項23に記載の電池。
【請求項25】
前記第2貫通孔(137)の孔壁は前記排出物に破壊され及び/又は溶融されて、それにより前記流体は前記熱管理部材(13)の内部から排出されるように構成される、ことを特徴とする請求項24に記載の電池。
【請求項26】
前記第2貫通孔(137)の半径方向寸法は前記圧力解放機構(213)から離れる方向に沿って徐々に小さくなる、ことを特徴とする請求項23~25のいずれか1項に記載の電池。
【請求項27】
前記第2貫通孔(137)の開口の面積は前記圧力解放機構(213)の面積に関連する、ことを特徴とする請求項23~26のいずれか1項に記載の電池。
【請求項28】
前記第2貫通孔(137)の開口の面積と前記圧力解放機構(213)の面積との比の値の範囲は0.5-2である、ことを特徴とする請求項27に記載の電池。
【請求項29】
前記圧力解放機構(213)の少なくとも一部は前記第1壁(21a)から突出し、前記第2貫通孔(137)は前記圧力解放機構(213)の前記少なくとも一部を収容することに用いられる、ことを特徴とする請求項23~28のいずれか1項に記載の電池。
【請求項30】
前記第1壁(21a)の前記圧力解放機構(213)の周りに位置する部分は外部へ突出し、前記第2貫通孔(137)は前記第1壁(21a)の前記圧力解放機構(213)の周りに位置する突出部分を収容することに用いられる、ことを特徴とする請求項23~29のいずれか1項に記載の電池。
【請求項31】
前記圧力解放機構(213)に破壊装置が設置され、前記破壊装置は前記圧力解放機構(213)が作動する場合に前記熱管理部材(13)を破壊して、それにより前記流体は前記熱管理部材(13)の内部から排出されることに用いられる、ことを特徴とする請求項1~30のいずれか1項に記載の電池。
【請求項32】
前記破壊装置はスパイクである、ことを特徴とする請求項31に記載の電池。
【請求項33】
前記電池はさらに、
複数の前記電池セル(20)を収容することに用いられる電気キャビティ(11a)と、
前記圧力解放機構(213)が作動する場合に前記電池セル(20)の内部から排出された排出物及び前記熱管理部材(13)の排出物を収集することに用いられる収集キャビティ(11b)とを含み、
前記熱管理部材(13)は前記電気キャビティ(11a)と前記収集キャビティ(11b)を分離することに用いられる、ことを特徴とする請求項1~32のいずれか1項に記載の電池。
【請求項34】
前記熱管理部材(13)は前記電気キャビティ(11a)及び前記収集キャビティ(11b)により共用される壁を有する、ことを特徴とする請求項33に記載の電池。
【請求項35】
前記電池は保護部材(115)をさらに含み、
前記保護部材(115)は前記熱管理部材(13)を保護することに用いられ、前記保護部材(115)と前記熱管理部材(13)とは前記収集キャビティ(11b)を形成する、ことを特徴とする請求項33又は34に記載の電池。
【請求項36】
前記電気キャビティ(11a)は前記熱管理部材(13)によって前記収集キャビティ(11b)から分離される、ことを特徴とする請求項33~35のいずれか1項に記載の電池。
【請求項37】
前記熱管理部材(13)は、前記圧力解放機構(213)が作動する場合に、前記電池セル(20)の内部から排出された排出物は前記熱管理部材(13)を通過して前記収集キャビティ(11b)に入ることができるように構成される、ことを特徴とする請求項33~36のいずれか1項に記載の電池。
【請求項38】
前記電池セル(20)の第2壁に電極端子が設置され、前記第2壁は前記第1壁(21a)と異なる、ことを特徴とする請求項1~37のいずれか1項に記載の電池。
【請求項39】
前記第2壁と前記第1壁(21a)とは対向して設置される、ことを特徴とする請求項38に記載の電池。
【請求項40】
前記圧力解放機構(213)は温度感受性の圧力解放機構であり、前記温度感受性の圧力解放機構は前記電池セル(20)の内部の温度が閾値に達した場合に溶融できるように構成され、及び/又は、
前記圧力解放機構(213)は感圧圧力解放機構であり、前記感圧圧力解放機構は前記電池セル(20)の内部の気圧が閾値に達した場合に破裂できるように構成される、ことを特徴とする請求項1~39のいずれか1項に記載の電池。
【請求項41】
電力消費装置であって、請求項1~40のいずれか1項に記載の電池(10)を含む、ことを特徴とする電力消費装置。
【請求項42】
前記電力消費装置は車両(1)、船又は宇宙船である、ことを特徴とする請求項41に記載の電力消費装置。
【請求項43】
電池製造方法(300)であって、
電池セル(20)を提供するステップ(310)であって、前記電池セル(20)は圧力解放機構(213)を含み、前記圧力解放機構(213)は前記電池セル(20)の第1壁(21a)に設置され、且つ前記圧力解放機構(213)は前記電池セル(20)の内部の圧力又は温度が閾値に達した場合に作動して前記内部の圧力を解放することに用いられる、ステップ(310)と、
流体を収容することに用いられる熱管理部材(13)を提供するステップ(320)と、
前記熱管理部材(13)の第1表面を前記第1壁(21a)に取り付けるステップ(330)とを含み、前記熱管理部材(13)は前記圧力解放機構(213)が作動する場合に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材(13)の内部から排出される、ことを特徴とする電池製造方法(300)。
【請求項44】
前記熱管理部材(13)は、前記圧力解放機構(213)が作動する場合に前記電池セル(20)の内部から排出された排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記熱管理部材(13)を通過する、ことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記熱管理部材(13)に凹溝(134)が設置され、前記凹溝(134)の底壁は、前記圧力解放機構(213)が作動する場合に前記電池セル(20)の内部から排出された排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記熱管理部材(13)を通過し、前記凹溝(134)の側面は前記排出物に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材(13)の内部から排出される、ことを特徴とする請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
前記凹溝(134)の底壁に脆弱領域(135)が設置され、前記脆弱領域(135)は前記圧力解放機構(213)が作動する場合に前記排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記脆弱領域(135)を通過するように構成される、ことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記熱管理部材(13)に第2貫通孔(137)が設置され、前記第2貫通孔(137)は、前記圧力解放機構(213)が作動する場合に前記電池セル(20)の内部から排出された排出物は前記貫通孔を介して前記熱管理部材(13)を通過することができ、前記第2貫通孔(137)の孔壁は前記排出物に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材(13)の内部から排出される、ことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項48】
電池製造装置(400)であって、
提供モジュール(410)と、装着モジュール(420)とを含み、
前記提供モジュール(410)は、電池セル(20)を提供することであって、前記電池セル(20)は圧力解放機構(213)を含み、前記圧力解放機構(213)は前記電池セル(20)の第1壁(21a)に設置され、前記圧力解放機構(213)は前記電池セル(20)の内部の圧力又は温度が閾値に達した場合に作動して前記内部の圧力を解放することに用いられる、ことと、
流体を収容する熱管理部材(13)を提供することと、に用いられ、
前記装着モジュール(420)は、前記熱管理部材(13)の第1表面を前記第1壁(21a)に取り付けることに用いられ、前記熱管理部材(13)は前記圧力解放機構(213)が作動する場合に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材(13)の内部から排出される、ことを特徴とする電池製造装置(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は電池分野に関し、具体的には、電池、電力消費装置、電池製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーと排出削減は自動車産業の持続可能な発展の鍵である。この場合、電気自動車はその省エネルギーや環境にやさしい利点により、自動車産業の持続可能な発展の重要な部分になっている。電気自動車にとっては、電池の技術はその発展に関連する重要な要素である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池技術の発展には、電池の性能を向上させることに加えて、安全上の問題も無視できない問題である。電池の安全上の問題を確保できないと、該電池は使用できない。従って、どのように電池の安全性を向上させるかは、電池技術における、早急に解決しなければならない課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の実施例は電池、電力消費装置、電池製造方法及び装置を提供し、電池の安全性を向上させることができる。
【0005】
第1態様によれば、電池を提供し、圧力解放機構を含む電池セルであって、前記圧力解放機構は前記電池セルの第1壁に設置され、且つ前記圧力解放機構は前記電池セルの内部の圧力又は温度が閾値に達した場合に作動して前記内部の圧力を解放することに用いられる、電池セルと、流体を収容して前記電池セルの温度を調節することに用いられる熱管理部材とを含み、前記熱管理部材の第1表面は前記第1壁に取り付けられ、前記熱管理部材は前記圧力解放機構が作動する場合に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出されるように構成される。
【0006】
本願の実施例では、熱管理部材の第1表面は圧力解放機構が設置された第1壁に取り付けられ、このように、圧力解放機構が作動する場合に、電池セルの排出物は熱管理部材へ排出され、同時に、熱管理部材は圧力解放機構が作動する場合に破壊されて、それにより流体は熱管理部材の内部から排出されるように構成される。このように、流体は電池セルの熱を吸収して、排出物の温度を下げることができる。流体が冷却されるため、電池セルの排出物の温度を迅速に下げることができ、それにより単一の電池セルの異常に起因する危険性をタイムリーに抑制でき、電池の爆発の可能性を低減させ、それにより電池の安全性を向上させることができる。
【0007】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材は前記圧力解放機構が作動する場合に前記電池セルの内部から排出された排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記熱管理部材を通過するように構成される。
【0008】
圧力解放機構によって作動する場合に、電池セルの内部から排出された排出物は熱管理部材を通過して電池セルから迅速に離れ、さらに排出物の危険性を低減させる。
【0009】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材に凹溝が設置され、前記凹溝の側面は前記電池セルの内部から排出された排出物に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出されるように構成される。
【0010】
いくつかの実施例では、前記凹溝の底壁は前記圧力解放機構が作動する場合に前記排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記熱管理部材を通過するように構成される。
【0011】
いくつかの実施例では、前記凹溝の側面は前記排出物に破壊され及び/又は溶融されて、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出されるように構成される。
【0012】
いくつかの実施例では、前記凹溝の底壁は前記排出物に破壊され及び/又は溶融されて、それにより前記排出物は前記熱管理部材を通過するように構成される。
【0013】
前記凹溝を採用すると、圧力解放機構が作動する場合に、電池セルの排出物は前記凹溝に流れ込み、前記凹溝の底壁は薄いため、前記排出物は前記凹溝の底壁を破壊して前記収集キャビティに入る。また、前記凹溝内に流れ込んだ排出物はさらに前記凹溝の側面を同時に溶融して、流体は前記熱管理部材の内部から排出され、それにより高熱の排出物の温度を下げる。
【0014】
いくつかの実施例では、前記凹溝の半径方向寸法は前記圧力解放機構から離れる方向に沿って徐々に小さくなる。このようにして、排出物との接触面積を増大させることができ、さらに前記排出物に破壊されやすくなる。
【0015】
いくつかの実施例では、前記凹溝の底壁に脆弱領域が設置され、前記脆弱領域は前記圧力解放機構が作動する場合に前記排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記脆弱領域を通過するように構成される。
【0016】
脆弱領域を設置することで、排出物は熱管理部材を通過することに利便性をもたらす。
【0017】
いくつかの実施例では、前記脆弱領域の厚さが3mm以下である。
【0018】
いくつかの実施例では、前記脆弱領域は前記熱管理部材の他の部分より低い融点を有する。
【0019】
いくつかの実施例では、前記脆弱領域が採用する材料の融点は400℃より低い。
【0020】
いくつかの実施例では、前記凹溝は前記第1表面に設置される。
【0021】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材は第1熱伝導板及び第2熱伝導板を含み、前記第1熱伝導板は前記第1壁と前記第2熱伝導板との間に位置し且つ前記第1壁に取り付けられ、前記第1熱伝導板の第1領域は前記第2熱伝導板へ凹んで前記凹溝を形成し、前記第1領域は前記第2熱伝導板に接続される。
【0022】
いくつかの実施例では、前記第1領域に第1貫通孔が設置され、前記第1貫通孔の半径方向寸法は前記凹溝の半径方向寸法より小さい。
【0023】
いくつかの実施例では、前記第1貫通孔に対応する前記第2熱伝導板の厚さが他の領域の前記第2熱伝導板の厚さより薄い。このように、前記脆弱領域は前記排出物に破壊されやすい。
【0024】
いくつかの実施例では、前記凹溝は前記圧力解放機構が作動する場合に開かれることができる回避キャビティとして構成される。
【0025】
回避キャビティは前記圧力解放機構に変形空間を提供して、それにより前記圧力解放機構は前記熱管理部材へ変形して割れる。
【0026】
いくつかの実施例では、前記凹溝の深さは前記圧力解放機構の寸法に関連する。
【0027】
いくつかの実施例では、前記凹溝の深さが1mmより大きい。
【0028】
いくつかの実施例では、前記凹溝の開口の面積は前記圧力解放機構の面積に関連する。
【0029】
いくつかの実施例では、前記凹溝の開口の面積と前記圧力解放機構の面積との比の値の範囲は0.5-2である。
【0030】
いくつかの実施例では、前記圧力解放機構の少なくとも一部は前記第1壁から突出し、前記回避キャビティは前記圧力解放機構の前記少なくとも一部を収容することに用いられる。
【0031】
いくつかの実施例では、前記第1壁の前記圧力解放機構の周りに位置する部分は外部へ突出し、前記回避キャビティは前記第1壁の前記圧力解放機構の周りに位置する突出部分を収容することに用いられる。
【0032】
このように、電池セルの第1壁は前記熱管理部材の表面に密接に貼り付けられ、電池セルを容易に固定するだけでなく、さらに空間を節約し、熱管理効率を向上させることができ、また、圧力解放機構が作動する場合に、電池セルの排出物は回避キャビティへ排出されて電池セルから離れることができ、その危険性を低減させ、それにより電池の安全性を向上させることができる。
【0033】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材に第2貫通孔が設置され、前記第2貫通孔は、前記圧力解放機構が作動する場合に前記電池セルの内部から排出された排出物が前記第2貫通孔を介して前記熱管理部材を通過するように構成される。
【0034】
いくつかの実施例では、前記第2貫通孔の孔壁は前記排出物に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出されるように構成される。
【0035】
いくつかの実施例では、前記第2貫通孔の孔壁は前記排出物に破壊され及び/又は溶融されて、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出されるように構成される。
【0036】
圧力解放機構が作動する場合に、電池セルの排出物は前記第2貫通孔に流れ込み、前記排出物は高圧高熱排出物であるため、前記排出物は前記第2貫通孔を通過する場合に前記第2貫通孔の孔壁を溶融して、それにより流体は前記熱管理部材の内部から排出されて、排出物の温度を下げる。
【0037】
いくつかの実施例では、前記第2貫通孔の半径方向寸法は前記圧力解放機構から離れる方向に沿って徐々に小さくなる。このようにして、排出物との接触面積を増大させることができ、さらに前記排出物に破壊されやすくなる。
【0038】
いくつかの実施例では、前記第2貫通孔の開口の面積は前記圧力解放機構の面積に関連する。
【0039】
いくつかの実施例では、前記第2貫通孔の開口の面積と前記圧力解放機構の面積との比の値の範囲は0.5-2である。
【0040】
いくつかの実施例では、前記圧力解放機構の少なくとも一部は前記第1壁から突出し、前記第2貫通孔は前記圧力解放機構の前記少なくとも一部を収容することに用いられる。
【0041】
このように、電池セルの第1壁は前記熱管理部材の表面に密接に貼り付けられ、電池セルを容易に固定できるだけでなく、さらに空間を節約し、熱管理効率を向上させることができ、また、圧力解放機構が作動する場合に、電池セルの排出物は第2貫通孔へ排出されて電池セルから離れることができ、その危険性を低減させ、それにより電池の安全性を向上させることができる。
【0042】
いくつかの実施例では、前記第1壁の前記圧力解放機構の周りに位置する部分は外部へ突出し、前記第2貫通孔は前記第1壁の前記圧力解放機構の周りに位置する突出部分を収容することに用いられる。
【0043】
いくつかの実施例では、前記圧力解放機構に破壊装置が設置され、前記破壊装置は前記圧力解放機構が作動する場合に前記熱管理部材を破壊して、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出されることに用いられる。
【0044】
いくつかの実施例では、前記破壊装置はスパイクである。
【0045】
いくつかの実施例では、前記電池はさらに、複数の前記電池セルを収容することに用いられる電気キャビティと、前記圧力解放機構が作動する場合に前記電池セルの内部から排出された排出物及び前記熱管理部材の排出物を収集することに用いられる収集キャビティとを含み、前記熱管理部材は前記電気キャビティと前記収集キャビティを分離することに用いられる。
【0046】
熱管理部材を利用して電池セルを収容する電気キャビティと排出物を収集する収集キャビティとを分離し、圧力解放機構が作動する場合に、電池セルの排出物は収集キャビティに入るが、電気キャビティに入らず又は電気キャビティに少し入り、それにより電気キャビティにおける電気的な接続に影響を与えず、従って電池の安全性を向上させることができる。
【0047】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材は前記電気キャビティ及び前記収集キャビティにより共用される壁を有する。
【0048】
前記熱管理部材は前記電気キャビティ及び前記収集キャビティにより共用される壁であるため、排出物と電気キャビティとをできるだけ分離することができ、それにより排出物の危険性を低減させ、電池の安全性を向上させる。
【0049】
いくつかの実施例では、前記電池は保護部材をさらに含み、前記保護部材は前記熱管理部材を保護することに用いられ、前記保護部材と前記熱管理部材は前記収集キャビティを形成する。
【0050】
前記保護部材と前記熱管理部材で形成される前記収集キャビティは、前記排出物を効果的に収集して緩衝し、その危険性を低減させることができる。
【0051】
いくつかの実施例では、前記電気キャビティは前記熱管理部材を介して前記収集キャビティから分離される。
【0052】
前記収集キャビティは前記電気キャビティと連通せず、前記収集キャビティ内の液体又はガス等は前記電気キャビティに入ることができず、それにより前記電気キャビティをより効果的に保護することができる。
【0053】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材は、前記圧力解放機構が作動する場合に、前記電池セルの内部から排出された排出物が前記熱管理部材を通過して前記収集キャビティに入ることができるように構成される。
【0054】
いくつかの実施例では、前記電池セルの第2壁に電極端子が設置され、前記第2壁は前記第1壁と異なる。
【0055】
圧力解放機構及び電極端子を電池セルの異なる壁に設置することにより、圧力解放機構が作動する場合に、電池セルの排出物は電極端子からより遠く離れることができ、それにより排出物による電極端子及びバス部材への影響を減少させ、従って電池の安全性を向上させることができる。
【0056】
いくつかの実施例では、前記第2壁と前記第1壁とは対向して設置される。
【0057】
いくつかの実施例では、前記圧力解放機構は温度感受性の圧力解放機構であり、前記温度感受性の圧力解放機構は前記電池セルの内部の温度が閾値に達した場合に溶融できるように構成され、及び/又は、前記圧力解放機構は感圧圧力解放機構であり、前記感圧圧力解放機構は前記電池セルの内部の気圧が閾値に達した場合に破裂できるように構成される。
【0058】
第2態様によれば、第1態様の電池を含む電力消費装置を提供する。
【0059】
いくつかの実施例では、前記電力消費装置は車両、船又は宇宙船である。
【0060】
第3態様によれば、電池製造方法を提供し、電池セルを提供するステップであって、前記電池セルは圧力解放機構を含み、前記圧力解放機構は前記電池セルの第1壁に設置され、且つ前記圧力解放機構は前記電池セルの内部の圧力又は温度が閾値に達した場合に作動して前記内部の圧力を解放することに用いられる、ステップと、流体を収容することに用いられる熱管理部材を提供するステップと、前記熱管理部材の第1表面を前記第1壁に取り付けるステップとを含み、前記熱管理部材は前記圧力解放機構が作動する場合に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出される。
【0061】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材は前記圧力解放機構が作動する場合に前記電池セルの内部から排出された排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記熱管理部材を通過する。
【0062】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材に凹溝が設置され、前記凹溝の底壁は前記圧力解放機構が作動する場合に前記電池セルの内部から排出された排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記熱管理部材を通過し、前記凹溝の側面は前記排出物に破壊されて、前記流体は前記熱管理部材の内部から排出される。
【0063】
いくつかの実施例では、前記凹溝の底壁に脆弱領域が設置され、前記脆弱領域は前記圧力解放機構が作動する場合に前記排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記脆弱領域を通過するように構成される。
【0064】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材に第2貫通孔が設置され、前記圧力解放機構が作動する場合に前記電池セルの内部から排出された排出物は前記第2貫通孔を通って前記熱管理部材を通過することができ、前記第2貫通孔の孔壁は前記排出物に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出される。
【0065】
第4態様によれば、上記第3態様の方法を実行するモジュールを含む電池製造装置を提供する。
ここで説明される図面は本願をさらに理解することに用いられ、本願の一部を構成し、本願の例示的な実施例及びその説明は、本願を解釈するものに過ぎず、本願に対する不適切な限定を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】本願の一実施例に係る車両の模式図である。
図2】本願の一実施例に係る電池の構造模式図である。
図3】本願の一実施例に係る電池モジュールの構造模式図である。
図4】本願の一実施例に係る電池セルの分解図である。
図5】本願の他の実施例に係る電池セルの分解図である。
図6】本願のいくつかの実施例に係る電池の構造模式図である。
図7】本願のいくつかの実施例に係る電池の構造模式図である。
図8a】本願の一実施例に係る電池の概略平面図である。
図8b図8aに示される電池のA-Aに沿う概略断面図である。
図8c図8bに示される電池のB部分の拡大図である。
図9a】本願の一実施例に係る熱管理部材の概略斜視図である。
図9b図9aの前記熱管理部材のA-Aに沿う概略断面図である。
図9c】本願の一実施例に係る熱管理部材の分解図である。
図10】本願のいくつかの実施例に係る電池の構造模式図である。
図11】本願のいくつかの実施例に係る電池の構造模式図である。
図12】本願のいくつかの実施例に係る電池の構造模式図である。
図13】本願のいくつかの実施例に係る電池の構造模式図である。
図14】本願のいくつかの実施例に係る電池の構造模式図である。
図15】本願のいくつかの実施例に係る電池の構造模式図である。
図16】本願のいくつかの実施例に係る電池の構造模式図である。
図17】本願のいくつかの実施例に係る電池の構造模式図である。
図18】本願の一実施例に係る電池の分解図である。
図19】本願の一実施例に係る電池製造方法の例示的なフローチャートである。
図20】本願の一実施例に係る電池製造装置の例示的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確に説明するために、以下、本願の実施例の図面を参照しながら本願の実施例の技術案を明確に説明し、明らかなように、説明される実施例は本願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに取得するすべての他の実施例は、いずれも本願の保護する範囲に属する。
【0068】
特に定義されていない限り、本願に用いられるすべての技術用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解する意味と同じである。本願では、出願の明細書に用いられる用語は具体的な実施例の目的を説明するものに過ぎず、本願を限定することを意図するものではない。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面の簡単な説明に用いられる用語「含む」、「有する」及びそれらのいずれかの変形は、非排他的な包含を含むことを意図する。本願の明細書及び特許請求の範囲又は上記図面に用いられる用語「第1」、「第2」等は、特定の順序又は主副関係を説明するためのものではなく、異なる対象を区別するために使用される。
【0069】
本願に言及される「実施例」は、実施例を参照しながら説明される特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書の各位置で現れる該句は、必ずしも同じ実施例を指すわけではなく、さらに他の実施例と相互に排他的で独立した実施例又は代替の実施例でもない。当業者は本願に説明される実施例が他の実施例と組み合わせてもよいことを明示的及び暗黙的に理解できる。
【0070】
なお、本願の説明では、特に明確に規定及び限定されていない限り、用語「装着」、「連結」、「接続」、「取り付け」は広い意味で理解されるべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体的接続であってもよく、直接接続、中間媒体を介した間接的接続、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0071】
本願の用語「及び/又は」は、単に関連対象の関連関係を説明するものであり、3種の関係が存在することを示し、例えば、A及び/又はBの場合、Aが単独で存在し、A及びBが同時に存在し、Bが単独で存在するという3種の状況を示す。また、本願の記号「/」は一般的には、前後の関連対象が「又は」という関係であることを示す。
【0072】
本願に現れる「複数」は、2つ以上(2つを含む)を指し、同様に、「複数のセット」は2つのセット以上(2つのセットを含む)を指し、「複数枚」は2枚以上(2枚を含む)を指す。
【0073】
本願では、電池セルはリチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含んでもよく、本願の実施例はそれを限定しない。電池セルは円柱体、偏平体、直方体又は他の形状等であってもよく、本願の実施例はそれを限定しない。電池セルは一般的にはカプセル化の方法で、円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルに分けられ、本願の実施例はそれを限定しない。
【0074】
本願の実施例に言及される電池は、1つ又は複数の電池セルを含んでより高い電圧と容量を提供する単一の物理モジュールを指す。例えば、本願に言及される電池は電池モジュール又は電池パック等を含んでもよい。電池は一般的には1つ又は複数の電池セルをカプセル化することに用いられるボックスを含む。ボックスは、液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避することができる。
【0075】
電池セルは電極アセンブリ及び電解液を含み、電極アセンブリは正極板、負極板及びセパレータで構成される。電池セルは主に金属イオンが正極板と負極板との間に移動することで動作する。正極板は正極集電体と正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面にコーティングされ、正極活物質層がコーティングされていない集電体は、正極活物質層がコーティングされた集電体から突出し、正極活物質層がコーティングされていない集電体は正極タブとする。リチウムイオン電池を例として、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極板は負極集電体と負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面にコーティングされ、負極活物質層がコーティングされていない集電体は、負極活物質層がコーティングされた集電体から突出し、負極活物質層がコーティングされていない集電体は負極タブとする。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質はカーボン又はシリコン等であってもよい。大電流を流すが溶解して切断しないことを確保するために、正極タブの数は複数であり且つ共に積層され、負極タブの数は複数であり且つ共に積層される。セパレータの材質はPP又はPE等であってもよい。また、電極アセンブリは巻き取り型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、本願の実施例はこれを限定しない。電池の技術の発展はさまざまな設計要素、例えばエネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電率等の性能パラメータを同時に考慮する必要が有り、さらに、電池の安全性を考慮する必要がある。
【0076】
電池セルにとって、主な安全上の問題は充電及び放電過程に起因すると同時に、適切な環境温度の設計もあり、不要な損失を効果的に回避するために、電池セルに対して、一般的には少なくとも3つの保護対策を行う。具体的には、保護対策は少なくともスイッチ素子、適切なセパレータ材料の選択及び圧力解放機構を含む。スイッチ素子は電池セル内の温度又は抵抗が所定の閾値に達した場合に電池の充電又は放電を停止させることができる素子を指す。セパレータは正極板と負極板を分離することに用いられ、温度が所定の値に上昇すると、セパレータに付着されたマイクロスケール(延いてはナノスケール)の微孔を自動に溶解することができ、それにより金属イオンはセパレータを通過できず、電池セルの内部の反応を停止する。
【0077】
圧力解放機構は電池セルの内部の圧力又は温度が所定の閾値に達した場合に作動して内部の圧力又は温度を解放する素子又は部材を指す。該閾値の設計は設計ニーズの異なりによって異なる。前記閾値は電池セルの正極板、負極板、電解液及びセパレータのうちの一種又は複数種の材料に決められてもよい。圧力解放機構は例えば防爆弁、空気弁、リリーフ弁又は安全弁等の形態を採用してもよく、且つ感圧又は温度感受性の素子又は構造を具体的に採用してもよく、即ち、電池セルの内部の圧力又は温度が所定の閾値に達した場合に、圧力解放機構は動作し又は圧力解放機構に設けられた脆弱構造が破壊され、それにより内部の圧力又は温度を解放することに用いられる開口又はチャンネルが形成される。
【0078】
本願で言及された「作動」は、圧力解放機構は動作し又は所定の状態にアクティブ化され、それにより電池セルの内部の圧力及び温度は解放されることを指す。圧力解放機構が生じた動作は、圧力解放機構の少なくとも一部が割れ、破砕し、裂けられ又は開かれる等を含むがそれらに限定されない。圧力解放機構が作動する場合に、電池セルの内部の高温高圧物質は排出物として作動部位から外部へ排出される。このような方式を使用すると、圧力又は温度が制御可能な状況において電池セルの圧力を解放することができ、それにより潜在的でより深刻な事故の発生を回避することができる。
【0079】
本願で言及された電池セルからの排出物は、電解液、溶解され又は分けられた正極板と負極板、セパレータの破片、反応による高温高圧ガス、炎等を含むがそれらに限定されない。
【0080】
電池セルの圧力解放機構は電池の安全性に深刻な影響を与える。例えば、短絡、過充電等の現象が発生すると、電池セルの内部に熱暴走が発生して圧力又は温度が突然上昇することを引き起こす可能性がある。この状況において、圧力解放機構を作動させることで内部の圧力及び温度を外部へ解放することができ、それにより電池セルの爆発、発火を防止する。
【0081】
従来の圧力解放機構の設計案において、主に電池セルの内部の高圧と高熱を解放し、即ち、前記排出物を電池セルの外部へ排出することに注目されている。しかしながら、電池の出力電圧又は電流を確保するために、常に複数の電池セルを必要とし且つ複数の電池セルの間がバス部材によって電気的に接続される。電池セルの内部から排出された排出物は、残りの電池セルの短絡現象の発生を引き起こす恐れがあり、例えば、排出された金属くずが2つのバス部材に電気的に接続されると、電池の短絡が発生することを引き起こし、従って安全上の問題が存在する。そして、高温高圧の排出物は電池セルの圧力解放機構を設置する方向へ排出され、より具体的に圧力解放機構が作動する領域に向かう方向に沿って排出され、このようにして、排出物の威力や破壊力は非常に大きくなる恐れがあり、延いては該方向における1つ又は複数の構造を破るのに十分であり、さらなる安全問題を引き起こす可能性もある。
【0082】
これに鑑みて、本願の実施例は技術案を提供し、電池セルの、圧力解放機構が設置された壁を熱管理部材に取り付け、圧力解放機構で作動する場合に熱管理部材を破壊し、それにより熱管理部材の内部の流体を排出させることで、排出物を冷却することができ、排出物の危険性を低減させ、従って電池の安全性を向上させることができる。
【0083】
熱管理部材は流体を収容して複数の電池セルの温度を調節することに用いられる。ここでの流体は液体又はガスであってもよく、温度調節は複数の電池セルを加熱し又は冷却することである。電池セルを冷却し又は温度を下げる場合、該熱管理部材は冷却流体を収容して複数の電池セルの温度を下げることに用いられ、この場合、熱管理部材は冷却部材、冷却システム又は冷却板等とも呼称され、それに収容された流体は冷却媒体又は冷却流体と呼称されてもよく、より具体的には、クーラント又は冷却ガスと呼称されてもよい。また、熱管理部材は加熱して複数の電池セルの温度を高めることに用いられてもよく、本願の実施例はそれを限定しない。選択可能に、前記流体は循環して流れるものであってもよく、それにより、より良好な温度調節効果を実現する。選択可能に、流体は水、水とエチレングリコールの混合流体又はエア等であってもよい。
【0084】
本願で言及された電気キャビティは複数の電池セル及びバス部材を収容することに用いられる。電気キャビティは封止されてもよく又は封止されなくてもよい。電気キャビティは電池セル及びバス部材の装着空間を提供する。いくつかの実施例では、電気キャビティにはさらに電池セルを固定することに用いられる構造が設置されてもよい。電気キャビティの形状は収容される複数の電池セル及びバス部材に決められてもよい。いくつかの実施例では、電気キャビティは四角形であり、6つの壁を有する。電気キャビティ内の電池セルは電気的な接続によって高い出力電圧を形成するため、電気キャビティは「高電圧キャビティ」とも呼称される。
【0085】
本願で言及されたバス部材は複数の電池セルの間の電気的な接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現することに用いられる。バス部材は電池セルの電極端子を接続することで電池セルの間の電気的な接続を実現することができる。いくつかの実施例では、バス部材は溶接によって電池セルの電極端子に固定される。「高電圧キャビティ」に対応して、バス部材で形成される電気的な接続は「高電圧接続」と呼称される。
【0086】
本願で言及された収集キャビティは排出物を収集することに用いられ、封止されてもよく又は封止されなくてもよい。いくつかの実施例では、前記収集キャビティ内に空気、又は他のガスが含まれてもよい。収集キャビティに電圧出力に接続される電気的な接続がなく、「高電圧キャビティ」に対応して、収集キャビティは「低電圧キャビティ」とも呼称される。選択可能に、又は付加的に、前記収集キャビティ内に、冷却媒体等の液体が含まれてもよく、又は、該液体を収容する部材が設置されてもよく、それにより収集キャビティに入る排出物の温度をさらに下げる。また、選択可能に、収集キャビティ内のガス又は液体は循環して流れるものである。
【0087】
本願の実施例で説明される技術案はいずれも電池を使用するさまざまな装置に適用でき、例えば、携帯電話、ポータブルデバイス、ノートパソコン、電動自転車、電気玩具、電動工具、電気自動車、船及び宇宙船等であり、例えば、宇宙船は飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙機等を含む。
【0088】
理解されるように、本願の実施例で説明される技術案は上記説明した機器に適用できるだけでなく、さらに電池を使用するすべての機器に適用できるが、簡潔に説明するために、以下の実施例はいずれも電気自動車を例として説明する。
【0089】
例えば、図1に示されるように、本願の一実施例の車両1の構造模式図であり、車両1は燃料自動車、ガス燃料自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー車両等であってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ30及び電池10が設置されてもよく、コントローラ30は電池10を制御してモータ40に給電させることに用いられる。例えば、車両1の底部又は車の先端部分又は車の後端部分に電池10が設置されてもよい。電池10は車両1に給電することに用いられ、例えば、電池10は車両1の操作電源とすることができ、車両1の回路システムに適用でき、例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び運転時の動作の電力需要を満たすことに用いられる。本願の他の実施例では、電池10は車両1の操作電源とすることができるだけでなく、さらに車両1の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替し又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供することができる。
【0090】
異なる電力需要を満たすために、電池は複数の電池セルを含んでもよく、複数の電池セルの間は直列接続又は並列接続又は直並列接続であってもよく、直並列接続は直列接続と並列接続の組み合わせである。電池は電池パックとも呼称される。選択可能に、先ず複数の電池セルは直列接続され又は並列接続され又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、次に複数の電池モジュールは直列接続され又は並列接続され又は直並列接続されて電池を構成してもよい。即ち、複数の電池セルは電池を直接構成してもよく、又は電池モジュールを構成してから、電池モジュールで電池を構成してもよい。
【0091】
例えば、図2は、本願の一実施例の電池10の構造模式図であり、電池10は複数の電池セル20を含んでもよい。電池10はボックス(又はカバーと呼ばれる)を含んでもよく、ボックスの内部は中空構造であり、複数の電池セル20はボックス内に収容される。図2に示されるように、ボックスは2つの部分を含んでもよく、それぞれ第1部分111と第2部分112と呼称され、第1部分111と第2部分112は締め付けられる。第1部分111と第2部分112の形状は複数の電池セル20を組み合わせた形状に基づいて決定され、第1部分111と第2部分112はいずれも1つの開口を有してもよい。例えば、第1部分111と第2部分112はいずれも中空の直方体であってもよく且つそれぞれは1つのみの面が開口面であり、第1部分111の開口と第2部分112の開口とは対向して設置され、且つ第1部分111と第2部分112は互いに締め付けられて封止チャンバを有するボックスを形成する。複数の電池セル20は互いに並列接続され又は直列接続され又は直並列接続されて組み合わせた後に、第1部分111と第2部分112が締め付けられた後に形成されるボックス内に置かれる。
【0092】
選択可能に、電池10はさらに他の構造を含んでもよく、ここで詳細な説明を省略する。例えば、該電池10はさらにバス部材を含んでもよく、バス部材は複数の電池セル20の間の電気的な接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現することに用いられる。具体的には、バス部材は電池セル20の電極端子を接続することによって電池セル20の電気的な接続を実現することができる。さらに、バス部材は溶接によって電池セル20の電極端子に固定されることができる。複数の電池セル20の電気エネルギーはさらに電気伝導機構によってボックスを通過して導出されることができる。選択可能に、電気伝導機構はバス部材に属してもよい。
【0093】
異なる電力需要に応じて、電池セル20の数を任意の値として設定してもよい。複数の電池セル20は直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続されて大きな容量又は電力を実現することができる。各電池10に含まれる電池セル20の数が多い可能性があるため、装着しやすくするために、電池セル20をグループ化して設置してもよく、各グループの電池セル20は電池モジュールを構成する。電池モジュールに含まれる電池セル20の数が限定されず、需要に応じて設定してもよい。例えば、図3は電池モジュールの一例である。電池は複数の電池モジュールを含んでもよく、これらの電池モジュールは直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続されてもよい。
【0094】
図4は、本願の一実施例の電池セル20の構造模式図であり、電池セル20は1つ又は複数の電極アセンブリ22、ハウジング211及びカバープレート212を含む。図4に示される座標系は図3の座標系と同じである。ハウジング211及びカバープレート212はシェル又は電池ケース21を形成する。ハウジング211の壁及びカバープレート212はいずれも電池セル20の壁と呼称される。ハウジング211は1つ又は複数の電極アセンブリ22を組み合わせた後の形状に基づいて決定され、例えば、ハウジング211は中空の直方体又は立方体又は円柱体であってもよく、且つハウジング211のうちの1つの面に開口があり、それにより1つ又は複数の電極アセンブリ22をハウジング211内に置くことができる。例えば、ハウジング211は中空の直方体又は立方体である場合に、ハウジング211のうちの1つの平面は開口面であり、即ち、該平面に壁がないため、ハウジング211の内部と外部が連通する。ハウジング211は中空の円柱体であってもよい場合に、ハウジング211の端面は開口面であり、即ち、該端面に壁がないため、ハウジング211の内部と外部が連通する。カバープレート212は開口をカバーし且つハウジング211と接続されて、電極アセンブリ22を置くことに用いられる封止キャビティが形成される。ハウジング211内に、電解液のような電解質が充填される。
【0095】
該電池セル20はさらに2つの電極端子214を含んでもよく、2つの電極端子214はカバープレート212に設置されてもよい。カバープレート212は一般的にフラット形状であり、2つの電極端子214はカバープレート212のフラット面に固定され、2つの電極端子214はそれぞれ正極端子214aと負極端子214bである。各電極端子214にそれぞれ1つの接続部材23が対応して設置され、又は集電部材23と呼称され、それはカバープレート212と電極アセンブリ22との間に位置し、電極アセンブリ22及び電極端子214の電気的な接続を実現することに用いられる。
【0096】
図4に示されるように、各電極アセンブリ22は第1タブ221aと第2タブ222aを有する。第1タブ221aと第2タブ222aは極性が逆である。例えば、第1タブ221aは正極タブである場合に、第2タブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1タブ221aは1つの接続部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2タブ222aは他の接続部材23を介して他の電極端子に接続される。例えば、正極端子214aは1つの接続部材23を介して正極タブに接続され、負極端子214bは他の接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0097】
該電池セル20において、実際の使用需要に応じて、電極アセンブリ22は単一、又は複数として設置されてもよく、図4に示されるように、電池セル20内に4つの独立した電極アセンブリ22が設置される。
【0098】
図5は、本願の他の実施例に係る圧力解放機構213を含む電池セル20の構造模式図である。
【0099】
図5のハウジング211、カバープレート212、電極アセンブリ22及び接続部材23は、図4のハウジング211、カバープレート212、電極アセンブリ22及び接続部材23と一致し、簡潔にするために、ここで詳細な説明を省略する。
【0100】
電池セル20の1つの壁、図5に示される第1壁21aにはさらに、圧力解放機構213が設置されてもよい。容易に説明するために、図5において、第1壁21aとハウジング211とを分離するが、ハウジング211の底側に開口があることを限定しない。圧力解放機構213は電池セル20の内部の圧力又は温度が閾値に達した場合に作動して内部の圧力又は温度を解放することに用いられる。
【0101】
該圧力解放機構213は第1壁21aの一部であってもよく、第1壁21aと分割式構造になって、例えば溶接方法で第1壁21aに固定されてもよい。圧力解放機構213は第1壁21aの一部である場合に、例えば、圧力解放機構213は第1壁21aにノッチを設置する方法で形成されてもよく、該ノッチに対応する第1壁21aの厚さが圧力解放機構213のノッチ以外の他の領域の厚さより薄い。ノッチ箇所は圧力解放機構213の最も薄い位置である。電池セル20が生じたガスは多すぎるとハウジング211の内部の圧力が高くなり且つ閾値に達し又は電池セル20の内部が反応して熱量が発生して、それにより電池セル20の内部の温度が高くなり且つ閾値に達した場合に、圧力解放機構213はノッチ箇所で割れてハウジング211の内部と外部が連通し、ガスの圧力と温度は圧力解放機構213の割れで外部へ解放され、さらに電池セル20の爆発が回避される。
【0102】
選択可能に、本願の一実施例では、図5に示されるように、圧力解放機構213が電池セル20の第1壁21aに設置される場合において、電池セル20の第2壁には電極端子214が設置され、第2壁は第1壁21aと異なる。
【0103】
選択可能に、第2壁と第1壁21aとは対向して設置される。例えば、第1壁21aは電池セル20の底壁であってもよく、第2壁は電池セル20の頂壁、即ちカバープレート212であってもよい。
【0104】
選択可能に、図5に示されるように、該電池セル20はさらにパッド24を含んでもよく、該パッド24は電極アセンブリ22とハウジング211の底壁との間に位置し、電極アセンブリ22を支持する役割を果たすことができ、さらに電極アセンブリ22はハウジング211の底壁の周りのフィレットと干渉することを効果的に防止することができる。また、該パッド24には1つ又は複数の貫通孔が設置されてもよく、例えば、均一に並ぶ複数の貫通孔を設置してもよく、又は、圧力解放機構213がハウジング211の底壁に設置される場合に、該圧力解放機構213に対応する位置に貫通孔を設置してもよく、それにより流体とガスを容易に導出して、具体的には、このようにして、パッド24の上表面と下表面の空間が連通し、電池セル20の内部が生じたガス及び電解液はいずれもパッド24を自由に通過することができる。
【0105】
圧力解放機構213及び電極端子214を電池セル20の異なる壁に設置することにより、圧力解放機構213が作動する場合に、電池セル20の排出物は電極端子214からより遠く離れることができ、それにより排出物による電極端子214及びバス部材への影響を減少させ、従って電池の安全性を向上させることができる。
【0106】
さらに、電極端子214が電池セル20のカバープレート212に設置される場合に、圧力解放機構213を電池セル20の底壁に設置することにより、圧力解放機構213が作動する場合に、電池セル20の排出物は電池10の底部へ排出される。このように、一方では、電池10の底部の熱管理部材等で排出物の危険性を低減させることができ、他方では、電池10の底部は一般的に使用者から離れるため、使用者への損傷を低減させることができる。
【0107】
圧力解放機構213はさまざまな可能な圧力解放構造であってもよく、本願の実施例はそれを限定しない。例えば、圧力解放機構213は温度感受性の圧力解放機構であってもよく、温度感受性の圧力解放機構は、圧力解放機構213が設けられた電池セル20の内部の温度が閾値に達した場合に溶融できるように構成され、及び/又は、圧力解放機構213は感圧圧力解放機構であってもよく、感圧圧力解放機構は圧力解放機構213が設けられた電池セル20の内部の気圧が閾値に達した場合に破裂できるように構成される。
【0108】
図6は本願の一実施例の電池10の模式図である。図6に示されるように、電池10は電池セル20及び熱管理部材13を含んでもよい。
【0109】
電池セル20は圧力解放機構213を含み、圧力解放機構213は電池セル20の第1壁21aに設置され、圧力解放機構213は電池セル20の内部の圧力又は温度が閾値に達した場合に作動して内部の圧力又は温度を解放することに用いられる。例えば、電池セル20は図5の電池セル20であってもよい。
【0110】
熱管理部材13は、流体を収容して複数の電池セル20の温度を調節することに用いられる。電池セル20の温度を下げる場合において、該熱管理部材13は冷却媒体を収容して複数の電池セル20の温度を調節することができ、この場合、熱管理部材13は冷却部材、冷却システム又は冷却板等とも呼称される。また、熱管理部材13は加熱することに用いられてもよく、本願の実施例はこれを限定しない。選択可能に、前記流体は循環して流れるものであってもよく、それにより、より良好な温度調節効果を実現する。
【0111】
熱管理部材13の第1表面(図6に示される上表面)は第1壁21aに取り付けられる。即ち、電池セル20の、圧力解放機構213が設置された壁は熱管理部材13に取り付けられる。熱管理部材13は圧力解放機構213が作動する場合に破壊されて、それにより流体は熱管理部材13の内部から排出されるように構成される。
【0112】
本願の実施例では、熱管理部材13の第1表面は圧力解放機構213が設置された第1壁21aに取り付けられ、このように、圧力解放機構213が作動する場合に、電池セル20の排出物は熱管理部材13へ排出され、同時に、熱管理部材13は圧力解放機構213が作動する場合に破壊されて、それにより流体は熱管理部材13の内部から排出されるように構成される。このように、流体は電池セル20の熱を吸収することができ、排出物の温度を下げることができる。流体が冷却されるため、電池セル20の排出物の温度を迅速に下げることができ、それにより単一の電池セル20の異常に起因する危険性をタイムリーに抑制でき、電池の爆発の可能性を低減させ、それにより電池の安全性を向上させることができる。
【0113】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材13はさらに圧力解放機構213が作動する場合に電池セル20の内部から排出された排出物に破壊されて、それにより排出物は熱管理部材13を通過するように構成されてもよい。
【0114】
具体的には、圧力解放機構213が作動する場合に、一方では、電池セル20の内部から排出された排出物は、熱管理部材13を破壊して熱管理部材13を通過して電池セル20から離れることができ、他方では、流体は熱管理部材13の内部から排出されるとともに、高熱の排出物の温度を下げる。排出物の温度が非常に高いため、流体は電池セル20を加熱することに用いられても、又は冷却することに用いられても、流体の温度はいずれも排出物の温度より低く、従って排出物を冷却することができる。このように、排出物は一方では、冷却され、他方では、熱管理部材13を通過して排出され、その危険性を最大限に低減させ、それにより電池の安全性を向上させることができる。
【0115】
本願の実施例では、さまざまな可能な方法を採用することにより、熱管理部材13は圧力解放機構213が作動する場合に破壊されて、以下では、例を挙げて説明する。
【0116】
選択可能に、図7に示されるように、本願の一実施例では、熱管理部材13に凹溝134が設置され、凹溝134の側面は電池セル20の内部から排出された排出物に破壊されて、それにより流体は熱管理部材13の内部から排出されるように構成される。例えば、凹溝134の側面は排出物に破壊され及び/又は溶融されて、それにより流体は熱管理部材13の内部から排出されるように構成される。
【0117】
選択可能に、本願の一実施例では、凹溝134の底壁は圧力解放機構213が作動する場合に排出物に破壊されて、それにより排出物は熱管理部材13を通過するように構成される。例えば、凹溝134の底壁は排出物に破壊され及び/又は溶融されて、それにより排出物は熱管理部材13を通過するように構成される。
【0118】
凹溝134を採用すると、圧力解放機構213が作動する場合に、電池セル20の排出物は凹溝134に流れ込み、凹溝134の底壁は薄いため、排出物は凹溝134の底壁を破壊して熱管理部材13を通過する。また、凹溝134内に流れ込んだ排出物は凹溝134の側面を同時に溶融して、流体は熱管理部材13の内部から排出され、それにより高熱の排出物の温度を下げる。
【0119】
選択可能に、本願の一実施例では、凹溝134の半径方向寸法は圧力解放機構213から離れる方向に沿って徐々に小さくなる。即ち、凹溝134の側面は傾斜面であり、このようにして、排出物との接触面積を増大させることができ、さらに排出物に破壊されやすくなる。例えば、凹溝134の側面の傾斜角(底壁が所在する平面との間の角度)の角度範囲は15-85度であってもよい。
【0120】
選択可能に、図7に示されるように、本願の一実施例では、排出物は熱管理部材13を通過することに利便性をもたらすために、凹溝134の底壁に脆弱領域135が設置され、脆弱領域135は圧力解放機構213が作動する場合に排出物に破壊されて、それにより排出物は脆弱領域135を通過するように構成される。
【0121】
選択可能に、脆弱領域135と圧力解放機構213とは対向して設置されてもよい。このように、圧力解放機構213が作動する場合に、排出物は脆弱領域に直接衝突して脆弱領域135を開くことができる。
【0122】
脆弱領域135は排出物に破壊されやすいさまざまな設置を採用してもよく、本願の実施例はこれを限定しない。
【0123】
選択可能に、凹溝134は第1表面に設置されてもよく、即ち、凹溝134は熱管理部材13の、第1壁21aに面する表面に設置される。つまり、凹溝134の開口は第1壁21aに対向する。
【0124】
理解されるように、凹溝134の開口は第1壁21aとの反対側に設置されてもよい。この場合、凹溝134の底壁は同様に排出物に破壊されやすい。
【0125】
熱管理部材13には熱伝導材料で流体の流路が形成されてもよい。流体は流路に流れ、且つ熱伝導材料によって熱を伝導して電池セル20の温度を調節する。選択可能に、脆弱領域には熱伝導材料のみがあるが流体がなくてもよくて、薄い熱伝導材料層を形成し、それにより排出物に破壊されやすい。例えば、凹溝134の底壁は脆弱領域135を形成するよう、熱伝導材料の薄層であってもよい。
【0126】
選択可能に、図8a~8cに示されるように、本願の一実施例では、熱管理部材13は第1熱伝導板131と第2熱伝導板132を含んでもよい。第1熱伝導板131と第2熱伝導板132とは流体を収容することに用いられる流路133を形成する。第1熱伝導板131は第1壁21aと第2熱伝導板132との間に位置し且つ第1壁21aに取り付けられる。第1熱伝導板131の第1領域131aは第2熱伝導板132へ凹んで凹溝134を形成し、第1領域131aは第2熱伝導板132に接続される。このように、凹溝134の周りに流路133が形成されるが、凹溝134の底壁内に流路がなく、それにより脆弱領域が形成される。
【0127】
選択可能に、さらにより薄い脆弱領域を形成するように、凹溝134の底壁箇所での第1熱伝導板131又は第2熱伝導板132を取り外してもよい。例えば、図8cに示されるように、本願の一実施例では、第1領域131aには第1貫通孔136が設置され、第1貫通孔136の半径方向寸法が凹溝134の半径方向寸法より小さく、即ち、凹溝134の底壁箇所での第1熱伝導板131を取り外し、且つ凹溝134の底部のエッジ箇所の第1熱伝導板131と第2熱伝導板132との接続を維持して、凹溝134の周りの流路133を形成する。
【0128】
選択可能に、さらに第1貫通孔136に対応する第2熱伝導板132に対して薄化処理を行ってもよく、即ち、第1貫通孔136に対応する第2熱伝導板132の厚さを他の領域の第2熱伝導板132の厚さより薄くし、それにより脆弱領域は排出物に破壊されやすい。選択可能に、さらに第1貫通孔136に対応する第2熱伝導板132に脆弱溝を設置してもよい。
【0129】
図9a-図9cは熱管理部材13の模式図を示す。図9a-図9cに示されるように、第1熱伝導板131は凹んで凹溝134を形成し、第2熱伝導板132は凹溝134に対応する領域において流路が設けられないが脆弱溝132aが設置され、このように、第1熱伝導板131を第2熱伝導板132に接続した後、凹溝134の底壁に脆弱領域が形成される。
【0130】
理解されるように、さらに他の薄化方法を採用して凹溝134の底壁を薄化してもよく、例えば、第1熱伝導板131の第1領域131aにブラインドホール又は段付き孔を設置してもよく、及び/又は第2熱伝導板132にブラインドホール等を設置してもよい。
【0131】
選択可能に、本願の一実施例では、脆弱領域135の厚さが3mm以下である。例えば、脆弱領域135の厚さが1mm以下であってもよい。
【0132】
厚さが薄い脆弱領域135を採用することに加えて、さらに低融点材料の脆弱領域135を採用してもよく、それにより排出物に溶融されやすい。即ち、脆弱領域135は熱管理部材13の他の部分より低い融点を有してもよい。例えば、脆弱領域135が採用する材料の融点は400℃より低い。
【0133】
理解されるように、脆弱領域135は低融点の材料及び厚さが薄いという設定を同時に採用してもよく、つまり、上記2種の実施形態を単独して実施してもよく、組み合わせて実施してもよい。
【0134】
圧力解放機構213は動作する場合に、変形して電池セル20の内部と外部が連通する。例えば、ノッチを採用する圧力解放機構213については、圧力解放機構213が動作する場合にノッチ箇所で割れ且つ両側へ開かれ、それに対応して、圧力解放機構213は所定の変形空間を必要とする。本願の一実施例では、凹溝134は圧力解放機構213が動作する場合に開かれる回避キャビティとして構成される。回避キャビティは圧力解放機構213に変形空間を提供して、圧力解放機構213は熱管理部材13へ変形して割れる。
【0135】
回避キャビティとする場合において、凹溝134の設置は圧力解放機構213が作動する場合に開かれることができるという要件を満たさなければならない。具体的には、凹溝134の深さは圧力解放機構213の寸法に関連する。
【0136】
本願の一実施例として、凹溝134の深さが1mmより大きい。例えば、凹溝134の深さは3mm以上であってもよく、それにより圧力解放機構213を開くことに利便性をもたらす。凹溝134の開口の面積は圧力解放機構213の面積に関連する。圧力解放機構213を開くために、凹溝134の開口の面積と圧力解放機構213の面積との比は所定の値より大きい。また、凹溝134の側面は排出物に破壊されやすくなるために、凹溝134の開口の面積と圧力解放機構213の面積との比は所定の値より小さい。例えば、凹溝134の開口の面積と圧力解放機構213の面積との比の値の範囲は0.5-2であってもよい。
【0137】
圧力解放機構213を電池セル20の第1壁21aに設置する場合に、圧力解放機構213の少なくとも一部が第1壁21aから突出し、このようにして、圧力解放機構213を容易に装着することができ、且つ電池セル20の内部の空間を確保できる。選択可能に、図10に示されるように、本願の一実施例では、圧力解放機構213の少なくとも一部が第1壁21aから突出する場合に、回避キャビティは圧力解放機構213の少なくとも一部を収容することに用いることができる。このように、電池セル20の第1壁21aが熱管理部材13の表面に密接に貼り付けられることは可能になり、電池セル20を容易に固定するだけでなく、さらに空間を節約し、熱管理効率を向上させることができる。また、圧力解放機構213が作動する場合に、電池セル20の排出物は回避キャビティへ排出されて電池セル20から離れることができ、その危険性を低減させ、それにより電池の安全性を向上させることができる。
【0138】
選択可能に、本願の一実施例では、第1壁21aの圧力解放機構213の周りに位置する部分は外部へ突出し、回避キャビティは第1壁21aの圧力解放機構213の周りに位置する突出部分を収容することに用いられる。同様に、第1壁21aの圧力解放機構213の周りに位置する部分は外部へ突出する場合、回避キャビティは電池セル20の第1壁21aが熱管理部材13の表面に密接に貼り付けられることを確保でき、電池セル20を容易に固定するだけでなく、さらに空間を節約し、熱管理効率を向上させることができる。
【0139】
以上の実施例において、凹溝134を設置することで熱管理部材13は圧力解放機構213が作動する場合に破壊される。凹溝134の他に、さらに貫通孔を設置することで熱管理部材13は圧力解放機構213が作動する場合に破壊されてもよい。
【0140】
選択可能に、図11に示されるように、本願の一実施例では、熱管理部材13に第2貫通孔137が設置され、第2貫通孔137は、圧力解放機構213が作動する場合に、電池セル20の内部から排出された排出物が第2貫通孔137を通って熱管理部材13を通過することができるように構成される。
【0141】
選択可能に、第2貫通孔137と圧力解放機構213とは対向して設置されてもよい。このように、圧力解放機構213が作動する場合に、排出物は第2貫通孔137を通って熱管理部材13を直接通過することができる。
【0142】
選択可能に、本願の一実施例では、第2貫通孔137が設置される場合については、熱管理部材13の第2貫通孔137の周りに位置する部分は電池セル20の排出物に破壊されて、それにより流体は熱管理部材13の内部から排出される。
【0143】
具体的には、圧力解放機構213が作動する場合に、電池セル20の排出物は第2貫通孔137を通って熱管理部材13を通過する。また、排出物は第2貫通孔137の周りの部分を破壊し、例えば、高熱の排出物は周りの熱管理部材13を溶融し、それにより流体は熱管理部材13の内部から排出されて、高熱の排出物の温度を下げる。
【0144】
選択可能に、本願の一実施例では、第2貫通孔137の孔壁は排出物に破壊されて、それにより流体は熱管理部材13の内部から排出されるように構成される。
【0145】
圧力解放機構213が作動する場合に、電池セル20の排出物は第2貫通孔137に流れ込み、排出物は高圧高熱排出物であるため、排出物は第2貫通孔137を通過する場合に第2貫通孔137の孔壁を溶融し、それにより流体は熱管理部材13の内部から排出されて、排出物の温度を下げる。
【0146】
選択可能に、第2貫通孔137の半径方向寸法は圧力解放機構213から離れる方向に沿って徐々に小さくなる。つまり、第2貫通孔137の孔壁は傾斜面であり、このようにして、排出物との接触面積を増大させることができ、さらに排出物に破壊されやすくなる。
【0147】
選択可能に、上記凹溝134と同様に、第2貫通孔137の設置は圧力解放機構213が作動する場合に開かれることができるという要件を満たさなければならない。本願の一実施例として、第2貫通孔137の開口の面積は圧力解放機構213の面積に関連する。圧力解放機構213は開かれるように、第2貫通孔137の開口の面積と圧力解放機構213の面積との比は所定の値より大きい。また、第2貫通孔137の孔壁は排出物に破壊されやすくするために、第2貫通孔137の開口の面積と圧力解放機構213の面積との比は所定の値より小さい。例えば、第2貫通孔137の開口の面積と圧力解放機構213の面積との比の値の範囲は0.5-2である。
【0148】
選択可能に、本願の一実施例では、圧力解放機構213は圧力解放機構213が設けられた電池セル20の第1壁21aに設置され、第1壁21aは熱管理部材13に取り付けられ、圧力解放機構213の少なくとも一部は第1壁21aから突出し、第2貫通孔137は圧力解放機構213の少なくとも一部を収容することに用いられる。このように、電池セル20の第1壁21aは熱管理部材13の表面に密接に貼り付けられ、電池セル20を容易に固定するだけでなく、さらに空間を節約し、熱管理効率を向上させることができ、且つ圧力解放機構213が作動する場合に、電池セル20の排出物は第2貫通孔137へ排出されて電池セル20から離れることができ、その危険性を低減させ、それにより電池の安全性を向上させることができる。
【0149】
選択可能に、本願の一実施例では、第1壁21aの圧力解放機構213の周りに位置する部分は外部へ突出し、第2貫通孔137は第1壁21aの圧力解放機構213の周りに位置する突出部分を収容することに用いられる。第1壁21aの圧力解放機構213の周りに位置する部分は外部へ突出する場合、第2貫通孔137は電池セル20の第1壁21aが熱管理部材13の表面に密接に貼り付けられることを確保でき、電池セル20を容易に固定するだけでなく、さらに空間を節約し、熱管理効率を向上させることができる。
【0150】
理解されるように、熱管理部材13は圧力解放機構213が作動する場合に破壊される構造を熱管理部材13に設置する以外、さらに熱管理部材13は圧力解放機構213が作動する場合に破壊される構造を圧力解放機構213に設置することもできる。
【0151】
選択可能に、本願の一実施例では、圧力解放機構213に破壊装置が設置され、破壊装置は圧力解放機構213が作動する場合に熱管理部材13を破壊することに用いられ、それにより流体は熱管理部材13の内部から排出される。例えば、破壊装置はスパイクであってもよいが、本願の実施例はこれを限定しない。
【0152】
選択可能に、本願の一実施例では、図12に示されるように、電池10はさらに電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bを含んでもよい。熱管理部材13は電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを分離することに用いられる。ここでのいわゆる「分離」は分けることを指し、封止されなくてもよい。
【0153】
電気キャビティ11aは複数の電池セル20を収容することに用いられる。電気キャビティ11aはさらにバス部材12を収容することに用いられる。電気キャビティ11aは電池セル20及びバス部材12の収納空間を提供し、電気キャビティ11aの形状は複数の電池セル20及びバス部材12に応じて決定されてもよい。
【0154】
バス部材12は複数の電池セル20の電気的な接続を実現することに用いられる。バス部材12は電池セル20の電極端子214に接続されることで電池セル20の電気的な接続を実現することができる。
【0155】
収集キャビティ11bは圧力解放機構213が作動する場合に電池セル20の内部から排出された排出物及び熱管理部材13の排出物を収集することに用いられる。
【0156】
本願の実施例では、熱管理部材13を採用して電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを分離する。つまり、複数の電池セル20とバス部材12を収容する電気キャビティ11aと排出物を収集する収集キャビティ11bとが分離される。このように、圧力解放機構213が作動する場合に、電池セル20の排出物は収集キャビティ11bに入るが、電気キャビティ11aに入らず又は電気キャビティ11aに少し入り、それにより電気キャビティ11aにおける電気的な接続に影響を与えず、従って電池の安全性を向上させることができる。
【0157】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材13は、圧力解放機構213が作動する場合に電池セル20の内部から排出された排出物が熱管理部材13を通過して収集キャビティ11bに入ることができるように構成される。
【0158】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材13は電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bにより共用される壁を有する。図12に示されるように、熱管理部材13は同時に電気キャビティ11aの1つの壁及び収集キャビティ11bの1つの壁であってもよい。つまり、熱管理部材13(又はその一部)は直接的に電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bにより共用される壁としてもよく、このように、電池セル20の排出物は熱管理部材13を通過して収集キャビティ11bに入ることができ、同時に、熱管理部材13が存在するため、該排出物と電気キャビティ11aをできるだけ分離することができ、それにより排出物の危険性を低減させ、電池の安全性を向上させる。
【0159】
選択可能に、本願の一実施例では、電気キャビティ11aは開口を有するカバー及び熱管理部材13で形成されてもよい。例えば、図13に示されるように、カバー110は開口(図13の下側の開口)を有する。開口を有するカバー110は、半封止チャンバであり、外部と連通する開口を有し、熱管理部材13は該開口をカバーし、チャンバ、即ち電気キャビティ11aを形成する。
【0160】
選択可能に、カバー110は複数の部分で構成されてもよく、例えば、図14に示されるように、カバー110は第1部分111と第2部分112を含んでもよい。第2部分112の両側はそれぞれ開口を有し、第1部分111は第2部分112の一側の開口をカバーし、熱管理部材13は第2部分112の他側の開口をカバーし、それにより電気キャビティ11aを形成する。
【0161】
図14の実施例は図2を基礎として改善して得られる。具体的には、図2の第2部分112の底壁を熱管理部材13に置き換え、熱管理部材13を電気キャビティ11aの1つの壁として、それにより図14の電気キャビティ11aを形成する。言い換えれば、図2の第2部分112の底壁を取り外し、即ち、両側に開口がある環状壁を形成し、第1部分111及び熱管理部材13はそれぞれ第2部分112の両側の開口をカバーし、チャンバ、即ち電気キャビティ11aを形成する。
【0162】
選択可能に、本願の一実施例では、収集キャビティ11bについては、熱管理部材13及び保護部材で形成されてもよい。例えば、図15に示されるように、電池10は保護部材115をさらに含む。保護部材115は熱管理部材13を保護することに用いられ、且つ保護部材115と熱管理部材13とは収集キャビティ11bを形成する。
【0163】
保護部材115及び熱管理部材13で形成される収集キャビティ11bは、電池セルを収容できる空間を占用せず、従って大きな空間がある収集キャビティ11bを設置することができ、それにより排出物を効果的に収集して緩衝することができ、その危険性を低減させることができる。
【0164】
選択可能に、本願の一実施例では、収集キャビティ11b内にさらに、冷却媒体等の流体が設置されてもよく、又は流体を収容する部材が設置されてもよく、それにより収集キャビティ11b内に入る排出物の温度をさらに下げる。
【0165】
選択可能に、本願の一実施例では、収集キャビティ11bは封止チャンバであってもよい。例えば、保護部材115と熱管理部材13の接続箇所は封止部材で封止される。
【0166】
選択可能に、本願の一実施例では、収集キャビティ11bは封止チャンバではなくてもよい。例えば、収集キャビティ11bは空気と連通することができ、このように、一部の排出物はさらに収集キャビティ11bの外部へ排出される。
【0167】
上記実施例において、熱管理部材13はカバー110の開口をカバーして電気キャビティ11aを形成し、熱管理部材13と保護部材115とは収集キャビティ11bを形成する。選択可能に、熱管理部材13は直接的に封止カバーを電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bに分けることができる。
【0168】
例えば、図16に示されるように、本願の一実施例では、熱管理部材13はカバー110内部に設置され、且つカバー110の内部を電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bに分離する。つまり、封止カバー110はその内部にチャンバが形成され、熱管理部材13はカバー110の内部のチャンバを2つのチャンバ、即ち電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bに分離する。
【0169】
電気キャビティ11aは複数の電池セル20等を収容するために、大きな空間を必要とするため、熱管理部材13をカバー110のある壁に近い位置に設置してもよく、それにより比較的大きい空間の電気キャビティ11a及び比較的小さい空間の収集キャビティ11bに分離する。
【0170】
選択可能に、図17に示されるように、本願の一実施例では、カバー110は第1部分111と第2部分112を含んでもよい。第2部分112の一側に開口が設置されて半封止構造が形成される。半封止構造は開口を有するチャンバである。熱管理部材13は第2部分112の内部に設置され、第1部分111は第2部分112の開口をカバーする。言い換えれば、先ず熱管理部材13を半封止された第2部分112内に設置して、収集キャビティ11bを分離し、次に第1部分111を第2部分112の開口にカバーして、電気キャビティ11aを形成することができる。
【0171】
選択可能に、本願の一実施例では、電気キャビティ11aは熱管理部材13によって収集キャビティ11bから分離される。つまり、収集キャビティ11bは電気キャビティ11aと連通せず、収集キャビティ11b内の液体又はガス等は電気キャビティ11aに入ることができず、それにより電気キャビティ11aをより効果的に保護することができる。
【0172】
図18は本願の一実施例の電池10の分解図である。図18に示される実施例において、熱管理部材13には凹溝134が設置され、且つ保護部材115と収集キャビティを形成する。
【0173】
電池10の各部材についての説明は上記各実施例を参照すればよく、簡潔にするために、ここで詳細な説明を省略する。
【0174】
本願の一実施例は電力消費装置をさらに提供し、該電力消費装置は上記各実施例の電池10を含んでもよい。選択可能に、電力消費装置は車両1、船又は宇宙船であってもよい。
【0175】
上記のように、本願の実施例の電池及び電力消費装置を説明し、以下、本願の実施例の電池製造方法及び装置を説明し、詳細に説明されていない部分は上記各実施例を参照すればよい。
【0176】
図19は本願の一実施例に係る電池製造方法300の例示的なフローチャートを示す。図19に示されるように、該方法300はステップ310と、ステップ320と、ステップ330とを含む。
【0177】
ステップ310、電池セル20を提供し、電池セル20は圧力解放機構213を含み、圧力解放機構213は電池セル20の第1壁21aに設置され、且つ圧力解放機構213は電池セル20の内部の圧力又は温度が閾値に達した場合に作動して内部の圧力又は温度を解放することに用いられる。
【0178】
ステップ320、流体を収容することに用いられる熱管理部材13を提供する。
【0179】
ステップ330、熱管理部材13の第1表面を第1壁21aに取り付け、熱管理部材13は圧力解放機構213が作動する場合に破壊されて、それにより流体は熱管理部材13の内部から排出される。
【0180】
図20は本願の一実施例に係る電池製造装置400の例示的なブロック図を示す。図20に示されるように、電池製造装置400は提供モジュール410及び装着モジュール420を含んでもよい。
【0181】
提供モジュール410は、電池セル20を提供することであって、電池セル20は圧力解放機構213を含み、圧力解放機構213は電池セル20の第1壁21aに設置され、且つ圧力解放機構213は電池セル20の内部の圧力又は温度が閾値に達した場合に作動して内部の圧力又は温度を解放することに用いられる、ことと、流体を収容することに用いられる熱管理部材13を提供することと、に用いられる。
【0182】
装着モジュール420は、熱管理部材13の第1表面を第1壁21aに取り付けることに用いられ、熱管理部材13は圧力解放機構213が作動する場合に破壊されて、それにより流体は熱管理部材13の内部から排出される。
【0183】
なお、以上の実施例は、本願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではない。上記実施例を参照しながら本願を詳細に説明したが、当業者が理解できるように、それは依然として上記各実施例に記載されている技術案を変更することができ、又はその一部の技術的特徴に対して同等置換を行うことができるが、これらの変更や置換によって、対応する技術案の本質を本願の各実施例の技術案の精神及び範囲から逸脱させない。
【符号の説明】
【0184】
1 車両
10 電池
11a 電気キャビティ
11b 収集キャビティ
12 バス部材
13 熱管理部材
20 電池セル
21 電池ケース
21a 第1壁
22 電極アセンブリ
23 接続部材
24 パッド
30 コントローラ
40 モータ
110 封止カバー
111 第1部分
112 第2部分
115 保護部材
131 第1熱伝導板
131a 第1領域
132 第2熱伝導板
132a 脆弱溝
133 流路
134 凹溝
135 脆弱領域
136 第1貫通孔
137 第2貫通孔
211 ハウジング
212 カバープレート
213 圧力解放機構
214 電極端子
214a 正極端子
214b 負極端子
221a 第1タブ
222a 第2タブ
400 電池製造装置
410 提供モジュール
420 装着モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図9c
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2021-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
圧力解放機構を含む電池セルであって、前記圧力解放機構は前記電池セルの第1壁に設置され、且つ前記圧力解放機構は前記電池セルの内部の圧力又は温度が閾値に達した場合に作動して前記内部の圧力を解放することに用いられる、電池セルと、
流体を収容して前記電池セルの温度を調節することに用いられる熱管理部材とを含み、
前記熱管理部材の第1表面は前記第1壁に取り付けられ、前記熱管理部材は前記圧力解放機構が作動する場合に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出されるように構成される、電池。
【請求項2】
前記熱管理部材は前記圧力解放機構が作動する場合に前記電池セルの内部から排出された排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記熱管理部材を通過するように構成される、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記熱管理部材に凹溝が設置され、前記凹溝の側面は前記電池セルの内部から排出された排出物に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出されるように構成され、
前記凹溝の底壁は前記圧力解放機構が作動する場合に前記排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記熱管理部材を通過するように構成される、請求項1又は2に記載の電池
【請求項4】
前記凹溝の側面は前記排出物に破壊され及び/又は溶融されて、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出されるように構成され、及び/又は、
前記凹溝の底壁は前記排出物に破壊され及び/又は溶融されて、それにより前記排出物は前記熱管理部材を通過するように構成され、
前記凹溝の半径方向寸法は前記圧力解放機構から離れる方向に沿って徐々に小さくなる、請求項3に記載の電池
【請求項5】
前記凹溝の底壁に脆弱領域が設置され、前記脆弱領域は前記圧力解放機構が作動する場合に前記排出物に破壊されて、それにより前記排出物は前記脆弱領域を通過するように構成され、
前記脆弱領域の厚さは3mm以下であり、
前記脆弱領域は前記熱管理部材の他の部分より低い融点を有し、
前記脆弱領域が採用する材料の融点は400℃より低い、請求項3又は4に記載の電池
【請求項6】
前記凹溝が前記第1表面に設置され、
前記熱管理部材は第1熱伝導板と第2熱伝導板を含み、前記第1熱伝導板は前記第1壁と前記第2熱伝導板との間に位置し且つ前記第1壁に取り付けられ、前記第1熱伝導板の第1領域は前記第2熱伝導板へ凹んで前記凹溝を形成し、前記第1領域は前記第2熱伝導板に接続される、請求項3から5のいずれか一項に記載の電池
【請求項7】
前記第1領域に第1貫通孔が設置され、前記第1貫通孔の半径方向寸法は前記凹溝の半径方向寸法より小さく、
前記第1貫通孔に対応する前記第2熱伝導板の厚さは他の領域の前記第2熱伝導板の厚さより薄い、請求項6に記載の電池
【請求項8】
前記凹溝は前記圧力解放機構が作動する場合に開かれることができる回避キャビティとして構成され、
前記凹溝の深さは前記圧力解放機構の寸法に関連し、及び/又は、
前記凹溝の深さが1mmより大きく、
前記凹溝の開口の面積は前記圧力解放機構の面積に関連し、
前記凹溝の開口の面積と前記圧力解放機構の面積との比の値の範囲は0.5-2である、請求項3から7のいずれか一項に記載の電池
【請求項9】
前記圧力解放機構の少なくとも一部は前記第1壁から突出し、前記回避キャビティは前記圧力解放機構の前記少なくとも一部を収容することに用いられ、及び/又は、
前記第1壁の前記圧力解放機構の周りに位置する部分は外部へ突出し、前記回避キャビティは前記第1壁の前記圧力解放機構の周りに位置する突出部分を収容することに用いられる、請求項8に記載の電池。
【請求項10】
前記熱管理部材に第2貫通孔が設置され、前記第2貫通孔は、前記圧力解放機構が作動する場合に前記電池セルの内部から排出された排出物が前記第2貫通孔を介して前記熱管理部材を通過することができるように構成される、請求項1に記載の電池
【請求項11】
前記第2貫通孔の孔壁は前記排出物に破壊されて、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出されるように構成され、
前記第2貫通孔の孔壁は前記排出物に破壊され及び/又は溶融されて、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出されるように構成される、請求項10に記載の電池
【請求項12】
前記第2貫通孔の半径方向寸法は前記圧力解放機構から離れる方向に沿って徐々に小さくなり、及び/又は、
前記第2貫通孔の開口の面積は前記圧力解放機構の面積に関連し、
前記第2貫通孔の開口の面積と前記圧力解放機構の面積との比の値の範囲は0.5-2である、請求項10又は11に記載の電池
【請求項13】
前記圧力解放機構の少なくとも一部は前記第1壁から突出し、前記第2貫通孔は前記圧力解放機構の前記少なくとも一部を収容することに用いられ、及び/又は、
前記第1壁の前記圧力解放機構の周りに位置する部分は外部へ突出し、前記第2貫通孔は前記第1壁の前記圧力解放機構の周りに位置する突出部分を収容することに用いられる、請求項10から12のいずれか一項に記載の電池
【請求項14】
前記圧力解放機構に破壊装置が設置され、前記破壊装置は前記圧力解放機構が作動する場合に前記熱管理部材を破壊して、それにより前記流体は前記熱管理部材の内部から排出されることに用いられ、
前記破壊装置はスパイクである、請求項1から13のいずれか一項に記載の電池
【請求項15】
電力消費装置であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の電池を含む、電力消費装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図19
【補正方法】変更
【補正の内容】
図19
【国際調査報告】