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特表2022-542821二次元カラーバーコード及び関連するセキュリティデバイスの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】二次元カラーバーコード及び関連するセキュリティデバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/06 20060101AFI20220930BHJP
   G06K 7/12 20060101ALI20220930BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20220930BHJP
   B42D 25/305 20140101ALI20220930BHJP
   B42D 25/41 20140101ALI20220930BHJP
【FI】
G06K19/06 140
G06K19/06 037
G06K7/12
G06K7/14 017
B42D25/305
B42D25/41
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502608
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 FR2020051268
(87)【国際公開番号】W WO2021009461
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】1908087
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519260337
【氏名又は名称】アイデミア フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100202201
【弁理士】
【氏名又は名称】兒島 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】ベルト,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】アズエロス,ポール
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005HA22
2C005HB02
2C005HB03
(57)【要約】
【解決手段】本発明は実質的に、少なくとも1つの情報要素を符号化する色付き基本構造要素の配列を含む二次元カラーバーコードの製造方法に関し、この製造方法は:データ処理手段によって、少なくとも1つの情報要素に対応する色付き基本構造要素のグループを特定するステップ(E304)であって、そのグループの少なくとも1つの構造要素はパターンを含むステップと、そのグループの少なくとも1つの構造要素を支持体上に形成して、配列を生成するステップ(E308)と、を含み、支持体は複数のピクセルを含む印刷されたマトリクスを含み、少なくとも1つの色付き基本構造要素の形成は、マトリクスの少なくとも1つのピクセルの少なくとも1つのサブピクセルの少なくとも一部において支持体を変更するステップを含み、変更によって、少なくとも1つの基本構造要素の色とパターンを得ることが可能となる。
【選択図面】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの情報要素を符号化する色付き基本構造要素(114)の配列(112)を含む二次元カラーバーコード(110)の製造方法であって、
- データ処理手段によって、前記少なくとも1つの情報要素に対応する色付き基本構造要素の群を特定するステップ(E304)であって、前記群の少なくとも1つの構造要素はパターンを含むステップと、
- 前記群の前記少なくとも1つの構造要素を基材(220)上に形成して、色付き基本構造要素(114)の前記配列(112)を作るステップ(E308)と、
を含み、
- 前記基材(220)は複数のピクセル(226)を含む印刷マトリクス(224)を含み、各ピクセル(226)は少なくとも2つの異なる色のサブピクセル(228)を含み、
- 前記少なくとも1つの色付き基本構造要素(114)を形成する前記ステップは、前記マトリクス(224)の少なくとも1つのピクセル(226)の少なくとも1つのサブピクセル(228)の少なくとも一部のレベルにおいて前記基材(220)を変更するステップを含み、前記変更によって、前記少なくとも1つの基本構造要素(114)の色とパターンを得ることが可能となる、製造方法。
【請求項2】
前記情報要素は参照バイオメトリック特徴であり、前記少なくとも1つの情報要素を前記情報要素のデジタル表現に基づいて取得するステップ(E302)をさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記基材(220)は透明層(222)を含み、前記マトリクス(224)は前記透明層(222)に面するように印刷され、
前記変更は、前記マトリクス(224)の少なくとも1つのピクセル(226)の少なくとも1つのサブピクセル(228)の前記少なくとも一部に面する前記透明層(222)の不透明化である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記不透明化はレーザビームによって行われ、前記レーザビームは前記透明層(222)を間欠的に炭化して、少なくとも1つのサブピクセル(228)の前記少なくとも一部に面する点の連続を形成する、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記変更は、前記マトリクス(224)のピクセル(226)の少なくとも1つのサブピクセル(228)の前記少なくとも一部の、レーザビームにより実行されるアブレーションによる消去であり、例えば少なくとも1つのサブピクセル(228)の前記少なくとも一部の色を少なくとも部分的に消去する、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの情報要素は、複数のデジタルデータサブグループ(402)を含むデジタルデータグループの形態をとり、
前記少なくとも1つの情報要素に対応する色付き基本構造要素(114)の群(112)を特定する前記ステップは、異なるデータサブグループ(402)の各々を固有の色の、及び/又は固有のパターン(404)を含む異なる構造要素(114)に関連付ける対応表(400)によって行われる、
請求項1~5の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記対応表(400)の異なる各構造要素(114)の前記色は、前記形成するステップの後に、サブピクセル(228)のユニット表示に必要な解像度より低い解像度を有するデジタルイメージセンサ(807)により他の色と区別されることができるように選択される、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1~7に記載の製造方法により製造された二次元カラーバーコード(110)を含む、セキュリティデバイス(1110)。
【請求項9】
請求項1~7の何れか1項に記載の前記製造方法により製造された二次元カラーバーコード(110)において符号化される少なくとも1つの情報要素の取得方法であって、
- 前記バーコード(110)をデジタルイメージセンサ(807)により読み取るステップ(E902)と、
- データ処理手段によって、前記情報要素を色付き基本構造要素(114)の前記配列(112)に基づいて抽出するステップであって、前記抽出は、前記配列(112)内の各構造要素(114)の位置に応じて、及び前記配列(112)の各構造要素(114)の前記色及び/又は前記パターンに応じて行われるステップと
を含む、取得方法。
【請求項10】
構造要素(114)の前記配列(112)は異なる色の複数の基本構造要素を含む参照シーケンスを含み、前記読み取るステップ(E902)は、前記参照シーケンスに基づく前記デジタルイメージセンサ(807)の色較正を含む、請求項9に記載の取得方法。
【請求項11】
少なくとも1つの参照バイオメトリック特徴を符号化する色付き基本構造要素(114)の配列(112)を含むカラーバーコード(110)を含む請求項8に記載のセキュリティデバイスの所持者の認証方法であって、
- 前記少なくとも1つの参照バイオメトリック特徴を請求項9又は10に記載の取得方法にしたがって取得するステップと、
- バイオメトリックセンサによって、前記所持者を表す少なくとも1つの認証対象バイオメトリック特徴を取得するステップ(E1208)と、
- データ処理手段によって、前記少なくとも1つの認証対象バイオメトリック特徴を前記少なくとも1つの参照バイオメトリック特徴と比較するステップ(E1210)であって、前記少なくとも1つの認証対象バイオメトリック特徴と前記少なくとも1つの参照バイオメトリック特徴との対応は、前記所持者の認証の成功条件であるステップと、
を含む、認証方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの認証対象バイオメトリック特徴は、前記少なくとも1つの参照バイオメトリック特徴に、所定の比較関数によるそれらの距離が所定の閾値より小さいならば対応する、請求項11に記載の認証方法。
【請求項13】
前記二次元バーコード(110)の構造要素(114)の前記配列(112)はさらに、前記文書の物理的一意性に関する少なくとも1つの情報を符号化し、
- 前記文書の前記物理的一意性に関する前記少なくとも1つの情報要素を抽出するステップと、
- 前記文書の少なくとも1つの物理的一意性要素を検出するステップ(E1212)と、
- 前記文書の前記物理的一意性に関する前記少なくとも1つの情報要素と前記文書の前記少なくとも1つの物理的一意性要素を比較するステップ(E1214)であって、前記文書の前記物理的一意性に関する前記少なくとも1つの情報要素と前記文書の前記少なくとも1つの物理的一意性要素との対応は、前記所持者の認証の成功条件であるステップと、
を含む、
請求項11又は12に記載の認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次元バーコードの分野に関し、より詳しくは、二次元カラーバーコードを製造することに関する。
【0002】
本発明は、パスポート、IDカード、運転免許証等の身分証明書タイプのセキュリティデバイスに非排他的に応用可能である。
【背景技術】
【0003】
知られているように、セキュリティ文書の所持者の認証は、セキュリティ文書内に記憶された参照バイオメトリック特徴を、バイオメトリックデータセンサにより取得される所持者の認証対象のバイオメトリック特徴と比較することによって実行できる。
【0004】
参照特徴は、それらの大きさ及びセキュリティ上の重要な問題により、セキュリティ文書の電子チップのメモリに記憶される。
【0005】
しかしながら、セキュリティ文書内の電子チップを使用することにより、セキュリティ文書の初期製造及びそのリサイクルは特に面倒でコストのかかるものとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的はこの問題を軽減することであり、より一般には、安全且つ生態学的に健全な方法で、バイオメトリック特徴等の大量のデータをセキュリティデバイス内に格納することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも1つの情報要素を符号化する色付き基本構造要素の配列を含む二次元カラーバーコードの製造方法に関し、
前記製造方法は:
- データ処理手段によって、前記少なくとも1つの情報要素に対応する色付き基本構造要素の群を特定するステップであって、その群の少なくとも1つの構造要素はパターンを含むステップと、
- その群の前記少なくとも1つの構造要素を基材上に形成して、色付き基本構造要素の配列を作るステップと、
を含み、
- 基材は複数のピクセルを含む印刷マトリクスを含み、各ピクセルは少なくとも2つの異なる色のサブピクセルを含み、
- 前記少なくとも1つの色付き基本構造要素を形成するステップは、マトリクスの少なくとも1つのピクセルの少なくとも1つのサブピクセルの少なくとも一部のレベルにおいて基材を変更するステップを含み、前記変更によって、前記少なくとも1つの基本構造要素の色とパターンを得ることが可能となる。
【0008】
本発明により、限定的な表面、例えばセキュリティ文書の表面の一部においてバーコードに大量の情報を符号化し、したがって格納することが可能となる。
【0009】
具体的には、バーコードに色を使用することによって、同じサイズの黒白の二次元バーコード、すなわち各基本構造要素が全て黒又は全て白のバーコードより格段に多いデータを符号化することが可能となる。このような黒白の二次元バーコードのデータ密度、すなわち単位表面(平方ミリメートル)あたりに記憶されるデータ量(オクテット)は、具体的には1オクテット毎平方ミリメートル未満であるのに対し、本発明によれば、より高いデータ密度、典型的には少なくとも4オクテット毎平方ミリメートルを実現できる。
【0010】
それに加えて、配列を作るためのこの技術により、バーコード内の情報要素の安全な格納が可能となる。具体的には、従来の印刷技術(例えば、インクジェット、スクリーン印刷、又はオフセット)とは異なり、配列はバーコードの基材を変化させなければ変更できず、それによって当初形成されたバーコードの上に他のバーコードを印刷することが可能となる。
【0011】
さらに、基本構造要素がその色とそのパターンにより情報要素を符号化することによって、バーコードを数種類のセンサ、例えば標準的な色センサ又はグレイスケールセンサによって読み取ることが可能となる。
【0012】
特定の実施形態において、前記情報要素は参照バイオメトリック特徴であり、方法は、前記少なくとも1つの情報要素を前記情報要素のデジタル表現に基づいて取得するステップをさらに含む。
【0013】
バーコードが提供するデータ密度の増大によって、そのバーコードを含むセキュリティ文書の所持者の信頼できる認証を可能にするのに十分な量の参照バイオメトリック特徴、すなわち参照バイオメトリック特徴と認証対象のバイオメトリック特徴を比較して、本人拒否率(FRR:False Rejection Rates)と他人受入率(FAR:False Acceptance Rates)との間のトレードオフを検証するために十分な量のバイオメトリック特徴を記憶することが可能となる。
【0014】
本発明により、例えば、少なくとも10キロオクテットの証明写真を符号化することが可能となり、それによって顔比較アルゴリズムを適正に演算できる。
【0015】
特定の実施形態において、基材は透明層を含み、マトリクスは透明層に面するように印刷され、変更は、マトリクスの少なくとも1つのピクセルの少なくとも1つのサブピクセルの前記少なくとも一部に面する透明層の不透明化若しくは代替的に少なくとも1つのサブピクセルの少なくとも一部のアブレーションによる消去、又は不透明化とアブレーションによる消去の組合せである。
【0016】
それゆえ、構造要素の形成は精密な技術を利用し、それによって汚すリスクを一切伴わずに色付き基本構造要素の配列を形成することが可能であり、これは従来のバーコード印刷技術とは異なる。
【0017】
それに加えて、配列を作るためのこの技術により、バーコード内の情報要素の安全な格納が可能となる。具体的には、配列が2つの異なる層のレベルで、又は1つの同じ層の異なる厚さレベルで製作されることによって、それはバーコードの基材を変化させなければ変更できない。
【0018】
特定の実施形態において、不透明化はレーザビームによって行われ、レーザビームは透明層を間欠的に炭化して、例えば少なくとも1つのサブピクセルの前記少なくとも一部に面する点の連続を形成する。
【0019】
特定の実施形態において、変更は、前記マトリクスのピクセルの少なくとも1つのサブピクセルの前記少なくとも一部の、レーザビームにより実行されるアブレーションによる消去であって、例えば少なくとも1つのサブピクセルの前記少なくとも一部の色を少なくとも部分的に消去する。
【0020】
それゆえ、構造要素を形成するステップは特定の技術を利用し、それによって汚すリスクを一切伴わずに色付き基本構造要素の配列を形成することが可能であり、これは従来のバーコード印刷技術とは異なる。
【0021】
それに加えて、配列を作るためのこの技術により、バーコード内の情報要素の安全な格納が可能となる。具体的には、配列はバーコードの基材を変化させなければ変更できない。
【0022】
特定の実施形態において、
前記少なくとも1つの情報要素は、複数のデジタルデータサブグループを含むデジタルデータグループの形態をとり、
前記少なくとも1つの情報要素に対応する色付き基本構造要素の群を特定するステップは、異なるデータサブグループの各々を固有の色の、及び/又は固有のパターンを含む異なる構造要素に関連付ける対応表によって行われる。
【0023】
特定の実施形態において、対応表の異なる各構造要素の色は、形成するステップの後に、サブピクセルのユニット表示に必要な解像度より低い解像度を有するデジタルイメージセンサにより他の色と区別されることができるように選択される。
【0024】
本発明は、前述の製造方法により製造された二次元カラーバーコードを含むセキュリティデバイスに関する。
【0025】
本発明はさらに、前述の製造方法により製造された二次元カラーバーコードにおいて符号化される少なくとも1つの情報要素の取得方法に関し、前記取得方法は:
- 前記バーコードをデジタルイメージセンサにより読み取るステップと、
- データ処理手段によって、前記情報要素を色付き基本構造要素の配列に基づいて抽出するステップと、
を含み、
抽出は、配列内の各構造要素の位置に応じて、及び配列の各構造要素の色及び/又はパターンに応じて行われる。
【0026】
特定の実施形態において、構造要素の配列は異なる色の複数の基本構造要素を含む参照シーケンスを含み、読み取るステップは、前記参照シーケンスに基づくデジタルイメージセンサの色較正を含む。
【0027】
本発明はまた、少なくとも1つの参照バイオメトリック特徴を符号化する色付き基本構造要素の配列を含むカラーバーコードを含む前述のようなセキュリティデバイスの所持者の認証方法にも関し、前記方法は:
- 前記少なくとも1つの参照バイオメトリック特徴を前述の取得方法にしたがって取得するステップと、
- バイオメトリックセンサによって、所持者を表す少なくとも1つの認証対象バイオメトリック特徴を取得するステップと、
- データ処理手段によって、前記少なくとも1つの認証対象バイオメトリック特徴を前記少なくとも1つの参照バイオメトリック特徴と比較するステップであって、前記少なくとも1つの認証対象バイオメトリック特徴と前記少なくとも1つの参照バイオメトリック特徴との対応は、所持者の認証の成功条件であるステップと、
を含む。
【0028】
特定の実施形態において、前記少なくとも1つの認証対象バイオメトリック特徴は、前記少なくとも1つの参照バイオメトリック特徴に、所定の比較関数によるそれらの距離が所定の閾値より小さいならば対応する。
【0029】
特定の実施形態において、二次元バーコードの構造要素の配列はさらに、文書の物理的一意性に関する少なくとも1つの情報を符号化し、
方法は:
- 文書の物理的一意性に関する前記少なくとも1つの情報要素を抽出するステップと、
- 文書の少なくとも1つの物理的一意性要素を検出するステップと、
- 文書の物理的一意性に関する前記少なくとも1つの情報要素と文書の前記少なくとも1つの物理的一意性要素を比較するステップであって、文書の物理的一意性に関する前記少なくとも1つの情報要素と文書の前記少なくとも1つの物理的一意性要素との対応は、所持者の認証の成功条件であるステップと、
を含む。
【0030】
特定の実施形態において、上述の取得方法及び/又は認証方法の異なるステップは、コンピュータプログラム命令により特定される。
【0031】
その結果、本発明はまた、情報媒体(又は記録媒体)上のコンピュータプログラムにも関し、このプログラムは、サーバにより、又はより一般的にはコンピュータにおいて実装されやすく、このプログラムは、上述の取得方法及び/又は認証方法のステップを実行するのに適した命令を含む。
【0032】
このプログラムは何れのプログラミング言語も使用でき、また、ソースコード、オブジェクトコード、若しくは特にコンパイルされた形態等の中間コード又は、他のあらゆる所望の形態とすることができる。
【0033】
特定の実施形態において、コンピュータプログラムが取得方法のステップを実行するのに適した命令を含む場合、そのコンピュータプログラムの命令により特に、デジタルイメージセンサを、それがバーコードを読み取るように制御し、そのようにして、デジタルバーコードイメージ又はバーコードの少なくとも一部を取得できるようにすることが可能となる。
【0034】
本発明はまた、サーバにより、又はより一般的にはコンピュータにより読取り可能である、上述のようなコンピュータプログラムの命令を含む情報媒体(又は記録媒体)にも関する。
【0035】
情報媒体は、プログラムを記憶することのできる何れの種類のデバイスとすることもできる。例えば、媒体としては、書き換え可能な不揮発性メモリ(例えば、EEPROM若しくはFlash NAND型のもの)、又はROM、例えばCD-ROM若しくは超小型電子回路ROM等の記憶手段、或いは磁気記録手段、例えばディスケット(フロッピディスク)又はハードディスクを含むことができる。
【0036】
さらに、情報媒体は、電気又は光ケーブルを介して無線又はその他の手段により搬送可能な電気又は光信号等の伝送可能媒体とすることができる。本発明によるプログラムは特に、インターネットタイプのネットワーク上でダウンロードすることができる。
【0037】
代替的に、情報媒体はその中にプログラムが組み込まれる集積回路とすることができ、回路は当該方法を実行することに、又はその実行において使用されることに適している。
【0038】
本発明のその他の特徴及び利点は、いかなる限定もせずにその例示的な実施形態を図解する添付の図面に関する以下の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図3の方法により製作可能なバーコードの例を概略的に表す。
図2A図3の方法の実行中に使用可能な基材の例の上面図を概略的に表す。
図2B図2Aの基材の一部を概略的に表す。
図3】本発明の実施形態のある例による製造方法の主要なステップをフローチャートの形で表す。
図4図3の方法の実行中に使用可能な対応表の例を概略的に表す。
図5A図4の対応表から色を選択するステップを概略的に表す。
図5B図4の対応表から色を選択するステップを概略的に表す。
図5C図4の対応表から色を選択するステップを概略的に表す。
図5D図4の対応表から色を選択するステップを概略的に表す。
図6A図2Aの基材上の構造要素の配列の例を概略的に表す。
図6B図6Aの構造要素の配列のA-A断面図を概略的に表す。
図7図3の方法の実行中に使用可能な変更シーケンスの例を概略的に表す。
図8図9の取得方法を実行できるバーコードリーダの例を概略的に表す。
図9】本発明の例示的な実施形態による取得方法の主要なステップをフローチャートの形態で表す。
図10A図9の方法の実行中に使用可能な比較表の例を概略的に表す。
図10B図9の方法の実行中に使用可能な比較表の他の例を概略的に表す。
図11】本発明の例示的な実施形態によるセキュリティデバイスの例を概略的に表す。
図12】本発明の例示的な実施形態による認証方法の主要なステップをフローチャートの形態で表す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、二次元カラーバーコード110の製造に関し、これは高密度カラーバーコード110としても知られ、典型的に「データマトリクス」型のコードの形状をとることができる。
【0041】
カラーバーコード110の例を概略的に表す図1に示されるように、カラーバーコード110は、色付き基本構造要素114の配列112を含み、この配列112は少なくとも1つの情報要素を、典型的に配列の符号化部118において符号化し、前記部分は不連続とすることができる。
【0042】
各情報要素は、その上にバーコード110が形成されるセキュリティデバイスに関するデジタルデータ項目、セキュリティデバイスの正規の所持者に関するデジタルデータ(例えば、参照バイオメトリック特徴)、又はセキュリティデバイスを製造した(又は発行した)組織に関するデジタルデータとすることができる。
【0043】
各基本構造要素114は、配列112の基本的エンティティに対応する。全ての基本構造要素は典型的に同じ幾何学形状、例えば三角形、長方形、六角形、又は正方形を有する。
【0044】
構造要素114の配列112は、1つ又は複数の参照シーケンス115を含んでいてよく、各参照シーケンス115は配列112の異なる場所に位置付けられる。
【0045】
各参照シーケンス115は典型的に、バーコード110上に存在できる、それぞれ異なる色の基本構造要素114を含む。各参照シーケンス115はそれゆえ、リーダによって較正目的に使用されることができ、これについては図9に関して後で説明する。
【0046】
さらに、バーコード110は、バーコード検出用のマーク116と情報領域検出用のマーク117を含んでいてよく、これらのマーク116、117はまた、バーコード110の読取り中にも使用できる。
【0047】
それに加えて、バーコード110は誤り訂正部119を含んでいてよく、この部分は不連続とすることができる。
【0048】
バーコード110は、例えば図2A及び2Bに示される基材220等の基材220上に形成される。基材220は典型的に、透明層222と透明層222に面するように、すなわち透明層222の面のうちの一方又は透明層222に面するように位置付けられた他の層220の上に印刷されたマトリクス224を含む基板である。マトリクス224は複数のピクセル226を含み、各ピクセル226は異なる色の少なくとも2つのサブピクセル228を含む。各ピクセル226は典型的に、異なる色、例えば原色である赤、緑、及び青又は黄、マゼンタ及びシアンの3つのサブピクセル228を含む。変形型として、各ピクセルは異なる色、例えば黄、マゼンタ、シアン、及び白の4つのサブピクセル228を含んでいてよい。
【0049】
図2A及び2Bの例において、各ピクセル226は正方形であり、各サブピクセル228は長方形である。変形型において、マトリクス224のピクセル226は他の幾何学形状、例えば長方形又は三角形の形態(するとサブピクセル228も三角形の形状をとることができる)をとることができる。
【0050】
図2A及び2Bの例において、マトリクス224は9つのピクセルを含む。しかしながら、マトリクス224はもちろん、10以上のピクセルを含むこともできる。
【0051】
例えば、セキュリティ文書のために典型的に使用可能な85.6mm×26.99mmのマトリクス224の場合、ピクセルの大きさは(4×70μm)2とすることができる。すると、ピクセルの最大数は3.104ピクセルに近くなる。
【0052】
マトリクス224は、基材220の透明層222又は不透明層229の上に印刷できる。不透明層229は典型的に白色である。
【0053】
さらに、図2A及び2Bの例において、マトリクス224は基材220の透明層222と不透明層229との間に位置付けられる。変形型として、透明層はマトリクス224と不透明層229との間に位置付けることができる。
【0054】
変形型として、基材220は何れの透明層222も含まない。
【0055】
変形型として、基材220はブランク層を含み、その上に第一の透明層が位置付けられ、マトリクスは第一の透明層の上に位置付けられ、第二の透明層がマトリクスの上に位置付けられる。
【0056】
基材220は、セキュリティデバイス、例えば通行許可証又はセキュリティ文書に組み込むことができる。セキュリティ文書は、パスポート、IDカード、運転免許証等の身分証明書とすることができる。
【0057】
基材220はそれゆえ、カード本体又はセキュリティ文書の1ページ、例えばパスポートのデータのページとすることができる。
【0058】
図3図1のバーコード110等のカラーバーコード110の製造方法を表し、方法は、本発明の例示的な実施形態に適合する。製造方法は典型的に、デジタルデータ処理手段と典型的に1064nmの波長を有するレーザビームを含む製造システムにより実行される。
【0059】
データ処理手段は典型的にコンピュータの形態をとり、コンピュータにより読取り可能な情報媒体(又はメモリ)に記憶されたコンピュータプログラムを実行する。
【0060】
ステップE302で、1つ又は複数の情報要素が製造システムのデータ処理手段により取得される。
【0061】
説明の残りの部分を単純にするために、今後、ステップE302では1つの情報要素が取得されると考える。しかしながら、本発明の実施のためには、複数の情報要素がこのステップE302で取得され、そしてその後のステップの実行中にカラーバーコード110の中で符号化されてよいと理解されたい。
【0062】
情報要素は典型的に、複数のデジタルデータサブグループを含むデジタルデータグループの形態をとる。
【0063】
情報要素は典型的に、この情報要素のデジタル表現に基づいて、例えばデジタル画像に基づいて取得される。画像処理は、情報要素の性質に依存し、デジタル画像上で実行されて情報要素を抽出してよい。
【0064】
情報要素は例えば、典型的にデジタル画像から得られる参照バイオメトリック特徴であり、参照バイオメトリック特徴は、セキュリティ文書の所持者の認証のために使用できる。
【0065】
デジタル画像は典型的に、セキュリティ文書の所持者の顔、虹彩、又は指紋の画像又はシグネチャである。参照バイオメトリック特徴はそれゆえ、顔、虹彩、又は指紋の特徴点(これらの特徴点は指紋の場合、マニューシャと呼ぶことができる)の群とすることができる。この特徴点群は、セキュリティ文書の正規の所持者を確実に表すように選択される。
【0066】
変形型として、情報要素は、その上にバーコード110が形成されるセキュリティ文書に関するデジタルデータ、セキュリティデバイスの使用者(又は所持者)に関するデジタルデータ項目、又はセキュリティデバイスを製造した(又は発行した)組織に関するデジタルデータである。
【0067】
ステップE304で、ステップE302で取得した情報要素に対応する色付き基本構造要素の群が、製造システムのデータ処理手段により特定される。このステップにより、それゆえ、情報要素を基材上に形成する色付き基本構造要素の群に変換して、バーコード110を作ることが可能となる。
【0068】
構造要素の群の特定は典型的に、異なるデータサブグループの各々を固有の色の、固有のパターンを含むことのできる異なる構造要素に関連付ける第一の対応表によって行われる。
【0069】
それゆえ、情報要素の各データサブグループを第一の対応表の中で探索し、関連する構造要素114を取得し、構造要素の群を特定できる。
【0070】
探索されたデータサブグループの各々は、データグループのレベルで基数の変更を実行した後に取得できる。
【0071】
図4は、ステップE304で使用可能な第一の対応表400の例を概略的に表す。
【0072】
この第一の対応表は、16種類の構造要素114を16種類のデータサブグループ402に関連付け、異なるデータサブグループ402の各々は、異なる16進数のベースシンボルに対応する。それゆえ、情報要素が16進数で符号化されていない場合、基数の変更を行って16進数で符号化された情報要素を取得する必要がある。情報要素はしたがって、16進数のベースシンボルのグループを含んでいてよく、各シンボルは、第一の対応表400の中で探索可能なデータサブグループ402である。
【0073】
第一の表400の各構造要素114の色は固有であり、すなわち、第一の表400の他の構造要素114の色とは異なる。さらに、第一の表400の各構造要素114は固有のパターン404、すなわち第一の表400の他の構造要素114のパターン404とは異なるパターン404を含む。
【0074】
ステップE304で使用可能な対応表の構造要素114の各色は、構造要素114を形成するステップE308の後でカラーバーコード110の読取り中に、サブピクセルのユニットディスプレイに必要な解像度より低い解像度の後述のビデオカメラ(例えば、低解像度カラービデオカメラ)により他の色と区別できるように選択される。これによって、バーコード110の読取り中の誤りのリスクを最小化することができる。
【0075】
第一の対応表の構造要素114の色の選択は、第一の対応表の使用の前の予備フェーズ中、したがってステップE304の前に行われる。各色は、ピクセルマトリクスを形成する複数の異なる原色(例えば、赤、緑、及び青色)のグレイレベルを変えることによって定義できる。各原色は、可視スペクトル内の異なる位置を有する。
【0076】
図5Aに示されるように、各原色R、V、Bの3つのグレイスケール(0;50;100)で27種類の異なる色501を生成することができる。しかしながら、特定の色同士は近すぎ、それゆえバーコードの読取り中の誤りの原因となる場合がある。しかしながら、例えば27種類の異なる色から16色を選択することによって、黒と白の二次元バーコードより4倍コンパクトなバーコードを得ることができる。選択される色の数が多いほど、データ密度は高くなる。
【0077】
色は、色群(例えば、図5Aの色群501)から、参照スキャナにより、群の中の、参照スキャナによるスキャン後に容易に区別可能な色だけが選択される。
【0078】
より詳細には、色選択の予備フェーズ中、群内の各色について、異なる色領域がデータ処理手段により定義されることができる。
【0079】
図5Bに示されるように、色付き領域502は例えば行であり、各行502は、同じ色の幾つかの基本構造要素114により形成される。
【0080】
色付き領域502は、シート等の平坦面上に形成される。色付き領域502は、例えばインクジェット又はレーザプリンタによって印刷できる。変形型として、図5Cに示されるように、色付き領域502は、例えば図2A及び2Bの基材と同じ構造を有する平坦基材を、定義された色領域502に基づく変更シーケンス504を使って変更することによって形成できる。基材の変更は、ステップE308に関する後述の方法を使って行うことができる。
【0081】
平坦面は次に、参照スキャナによりスキャンされ、参照スキャナは平坦面のデジタル画像506を取得する。デジタル画像506の各ピクセルの色は、典型的に原色のレベルで測定できる。図5Dは、測色空間内のデジタル画像506の4種類のピクセルi、j、k、及びmの色を表す。ピクセルjの色cjはピクセルkの色ckに近すぎるため(図中、原色空間RGB内の隣接色の所定の間隔l内に位置付けられる)、ピクセルjの色cjは選択されず、したがって使用可能な最終的な色の群ECに含まれない。色の選択は、バーコード内の色付き基本構造要素114の幾何学形状又は色付き基本構造要素114の位置等の他の区別パラメータを使って、相補的に行うことができる。
【0082】
第一の対応表とマトリクス224による符号化の考え得る組合せの数はMN通りであり、Mは表の異なる構造要素の数、Nはマトリクス224上で利用可能な位置の数、すなわちマトリクス224の、情報要素の符号化に使用可能なピクセルの数、例えば配列の符号化部118の構造要素を形成するために使用できるヒクセルの数である。
【0083】
例えば、図2A及び2Bのマトリクス224の全ピクセルが情報要素の形成に使用されると考えられる。図4の第一の対応表を使用する場合、このマトリクス224上で考え得る符号化の組合せは164通りある。
【0084】
読取り誤りのリスクを最小化するために使用される、追加の構造要素を、ステップE304で特定された色付き基本構造要素の群に加えることができる。これらの追加的構造要素は例えば、リード・ソロモン誤り訂正アルゴリズムを使って得られる。さらに、参照シーケンスの構造要素を群に追加できる。
【0085】
製造方法は、その上にバーコード110を形成できる基材220、例えば図2A及び2Bに示される基材220を取得するステップE306をさらに含むことができる。基材220は例えば製造され、基材220を製造するステップは、透明層222の上又は不透明層229上にマトリクス224を印刷するステップと、該当する場合は基材層220の積層を含む。
【0086】
次に、ステップE308で、色付き基本構造要素の群の少なくとも1つの構造要素114が基材220上に形成されて、色付き基本構造要素114の配列112が作られる。
【0087】
このステップE308で、構造要素114の配列112は、ステップE304で特定された群の構造要素114を、例えば所定の軌道に沿って形成することによって作ることができる。
【0088】
群の構造要素114を形成するステップは、マトリクス224の少なくとも1つのピクセル226の少なくとも1つのサブピクセル228の少なくとも一部のレベルで基材220を変更するサブステップを含み、この変更するステップによって、構造要素114の色と、該当する場合は構造要素114のパターン404を取得することが可能となる。変更は典型的に、製造システムのレーザによって行われる。
【0089】
このようにして、マトリクス224のピクセル226は、基材220をそのサブピクセル228の少なくとも1つの少なくとも一部のレベルで変更した後に配列112の構造要素114となる。
【0090】
変更は例えば、レーザビームによって行われる少なくとも1つのサブピクセル228の少なくとも一部に面した透明層222の不透明化である。例えば、群の各構造要素114に関して、レーザビームが透明層222を間欠的に炭化して、透明層222の前記少なくとも一部に面する(すなわち、透明層222の2つの外面間の)一連の点、例えば2又は4つの点を形成する。
【0091】
ピクセル224のサブピクセル228の少なくとも一部に関する透明層222の炭化により、このサブピクセル228のレベルにグレイレベルが生成され、それによってピクセル226に基づく構造要素114の色を得ることが可能となる。
【0092】
それに加えて、ピクセル226のサブピクセル228の少なくとも一部に面する透明層222の炭化によって、ピクセル226から作られる構造要素114のパターン404を得ることが可能となる。例えば、点の連続は第一の表400により示されるような構造要素114のパターン404を再現するように形成される。
【0093】
サブピクセルの色が印刷技術を使って行われる場合、基材220の変更は典型的に不透明化である。
【0094】
図6A及び6Bは、その上にステップE308の実行中に色付き基本構造要素114の配列112が作られた図2A及び2Bの基材220を表す。
【0095】
図6A及び6Bの配列112は、軌道Taに沿って配置された9つの構造要素114を含む。
【0096】
9つの構造要素114は、ステップE304で図4の第一の表400によって得られ、それによってこれらは1f59ce6b6をとる情報要素を符号化する。
【0097】
図6A及び6Bにおいてわかるように、各サブピクセル228は例えば長方形であってよく、それを3つの等しい部分(典型的に3つの正方形)に分割でき、レーザは透明層222を炭化して、各部分に面する1つ又は複数の点(例えば、2又は4つの点)を形成する。もちろん、その他の構成も想定できる。
【0098】
変更は、変形型として、少なくとも1つのサブピクセル228の前記少なくとも一部の、レーザビームによって行われるアブレーションによる消去とすることができる。例えば、群の各構造要素114について、レーザビームは少なくとも1つのサブピクセルの少なくとも一部の色を少なくとも部分的に消去する。
【0099】
サブピクセルの色が例えばホログラムを用いる光回折装置によって形成される場合、変更は典型的にアブレーションによる消去である。
【0100】
群の全構造要素114は例えば、ステップE308で基材220上に形成される。
【0101】
変形型として、群の1つ又は複数の構造要素114を形成するステップは基材220の何れの変更も必要としない。すると、これらの構造要素の各々は何れのパターン404も持たず、要素の色は関連するピクセルのサブピクセルによって定義される。
【0102】
基材220の変更中、例えばマトリクスの炭化又はアブレーションによる消去中にレーザを案内するために、変更のシーケンスを使用することができ、このシーケンスは基材220上に行わなければならない全変更を含む。このシーケンスは、形成しなければならない全構造要素114の全パターンを含んでいてよく、これらのパターンは配列の所定の軌道に沿って配置される。図7は、図1のバーコードを製造するために使用される変更シーケンス700の例を示す。
【0103】
図3の方法により作られたカラーバーコード110はすると、符号化された情報を所得するために読み取ることができる。
【0104】
図8は、例示的な実施形態による取得方法、例えば図9に関して説明する方法を実行できるカラーバーコードリーダ800を概略的に表す。
【0105】
リーダ800はコンピュータの従来のアーキテクチャを示しており、特にプロセッサ802、リードオンリメモリ803(ROM型)、書き換え可能不揮発性メモリ804(例えばEEPROM又はFlash NAND型)、書き換え可能揮発性メモリ805(RAM型)、通信インタフェース806、及び/又はデジタルイメージセンサ807を含むことができる。
【0106】
この例において、リードオンリメモリ804は本発明の特定の実施形態による情報(又は記録)媒体を構成する。リードオンリメモリ804にはコンピュータプログラムP1が記憶され、それによってリーダ800は本発明の例示的な実施形態による取得方法の少なくとも一部を実行できる。変形型として、コンピュータプログラムP1は書き換え可能不揮発性メモリ805に記憶される。リーダ800はそれゆえ、データ処理手段を含む。
【0107】
センサ807は典型的に、低解像度カラービデオカメラ、例えば高解像度のグレイスケールビデオカメラであるか、又はスキャナである。
【0108】
リーダ800は、通信インタフェース806及び電気通信ネットワークを介して、サーバ等の外部電子機器と通信可能とすることができる。
【0109】
リーダ800は、センサ807によって例示的な実施形態によるカラーバーコード110を読むことができる。
【0110】
図9は、図3の方法により製造されたカラーバーコード110、例えば図1又は図6Aのバーコード110の中で符号化される少なくとも1つの情報要素を取得する方法を表す。
【0111】
ステップE902で、バーコード110はデジタルイメージセンサ807によって読み取られる。
【0112】
バーコード110が少なくとも1つの参照シーケンス115を含む場合、読み取るステップE902はセンサ707の色較正を含んでいてよい。具体的には、参照シーケンス115は典型的に、カラーバーコード110上に存在することのできる、異なる色の各基本構造要素114を含み、このシーケンスはセンサ807をダイナミックに較正し、カラーバーコード110の読取り中に色を区別するためのモデルとして使用できる。
【0113】
この較正により、異なる種類の2つのセンサ若しくは同一の種類であるが異なるように較正された2つのセンサ間に生じ得る色の転写のばらつきか、又は、同一のセンサであるが異なる照明条件(例えば、色を歪曲させる白以外の照明条件)下での色の転写のばらつきを、オフセットすることが可能となる。
【0114】
この較正により、さらに、バーコードの製造による2つの異なるバーコード間の色のばらつきをオフセットすることも可能となる。これらの色のばらつきは典型的に、マトリクスのサブピクセルの色のばらつき、マトリクスの変形、レーザの出力又はレーザにより行われる変更の位置におけるばらつきによる。
【0115】
ステップE906で、リーダ800又はより正確にはリーダ800のデータ処理手段は、色付き基本構造要素114の配列112から情報要素を抽出する。
【0116】
抽出は、配列112内の各構造要素114の位置に応じて、又はより正確には、配列の軌道に応じて、及び、配列112の情報要素を符号化する各構造要素114、例えば符号化部118の各構造要素114の色及び/又はパターン404に応じて行われる。
【0117】
符号化部118の各構造要素114の色及びパターン404はそれゆえ、センサ807の精細度上可能であれば、組み合わせて使用できる。センサ807の精細度が低ければ、色だけを使用できる。
【0118】
具体的には、カラーバーコードの読取りはそれほど高性能なカメラを必要としない。しかしながら、カラーカメラに異常が生じた場合、より高性能なグレイスケールカメラNによってパターン404の読取りを常に取得できる。パターン404は、分離され、このようにしてカラーバーコードの読取り異常が生じた場合に「バックアップ」コードを形成できる。
【0119】
より正確には、第二の対応表を使って、配列112の各構造要素114を探索し、対応するデータサブグループを特定できる。データサブグループは、配列112の各構造要素114の位置にしたがって、そのため配列の軌道に沿って相互に関して位置付けられる。
【0120】
さらに、誤り訂正部119の構造要素114はまた、第二の対応表の中で探索し、その後データサブグループの特定に使用できる。
【0121】
配列112の各構造要素114は、構造要素114の色及び/又は構造要素114のパターンを使って第二の対応表の中で探索でき、構造要素114の色とパターンは同じ情報を符号化する。
【0122】
第二の対応表は、製造方法のステップE304で使用される第一の対応表又は、各データサブグループを異なる各構造要素の色に関連付ける対応表1002(図10Aを参照されたい)か、又は各々がデータサブグループを異なる各構造要素のパターン404に関連付ける対応表1004(図10Bを参照されたい)とすることができる。
【0123】
具体的には、センサ807が低解像度カラーカメラ等、色を区別できるセンサである場合、読取りステップE902中に取得した構造要素の色が第二の対応表中で探索される。
【0124】
センサ807がグレイスケールカメラ等、グレイレベルを区別できるセンサである場合、読取りステップE902中に取得した構造要素のパターンが第二の対応表中で探索される。
【0125】
それゆえ、図3の方法によるバーコード110の製造ステップによって、バーコード110を幾つかの異なる種類のセンサ807により読取り可能とすることができる。
【0126】
ステップE906の結果、すなわち誤り訂正コード及び配列112によって抽出された情報要素は、典型的には抽出が機械学習の一部として行われた場合、形成すべき次の参照シーケンスを定義するために、及びそれゆえ検出モデルを洗練するために使用できる。
【0127】
前述のように、その上に図3の方法によりカラーバーコード110が作られる基材220は、セキュリティ文書1110等のセキュリティデバイスと一体化できる(図11を参照されたい)。カラーバーコードにより符号化される情報要素は、そのセキュリティ文書の所持者を特徴付ける参照バイオメトリック特徴とすることができ、この参照バイオメトリックセンサは、セキュリティ文書の正規の所持者を認証するために使用できる。
【0128】
図8のリーダ800はそれゆえ、例示的な実施形態による認証方法、例えば図12に関して説明する方法を実行できる、セキュリティ文書リーダとすることができる。リーダ800はバイオメトリックセンサ1118をさらに含み、そしてコンピュータプログラムP1は、リーダ800に認証方法の全部又は一部を実行可能にさせることができる。
【0129】
バイオメトリックセンサ1118は例えば、典型的に指紋のデジタル画像を取得できる光センサ又は、顔及び/又は虹彩のデジタル画像を取得できるデジタルカメラ若しくはデジタルビデオカメラである。
【0130】
図12は、図3の方法により製造されたカラーバーコード110、例えば図1又は図6Aのカラーバーコード110を含むセキュリティ文書の所持者の認証方法を表す。
【0131】
カラーバーコード110は、セキュリティ文書の所持者を特徴付ける参照バイオメトリック特徴を符号化する。
【0132】
図9において説明した取得方法のステップE902及びE906は、リーダ800のデータ処理手段によって実行されて、バーコード110の参照バイオメトリック特徴が抽出される。
【0133】
ステップE1208で、所持者を表す少なくとも1つの認証対象のバイオメトリック特徴がバイオメトリックセンサ118により取得される。
【0134】
説明の残りの部分を単純にするために、本文の残りの部分では、ステップE1208で1つの認証対象のバイオメトリック特徴が取得されたと考えられる。しかしながら、本発明の実行のために、ステップE1208で複数の認証対象のバイオメトリック特徴を取得し、その後、後述のステップE1210で複数の参照バイオメトリック特徴と比較できると理解されたい。
【0135】
ステップE1210で、リーダ800のデータ処理手段は認証候補のバイオメトリック特徴を参照バイオメトリック特徴と比較し、認証対象のバイオメトリック特徴と参照バイオメトリック特徴との間の対応が所持者の認証の成功条件である。
【0136】
認証対象のバイオメトリック特徴は典型的に、所定の比較関数によるこれらの距離が所定の閾値より小さい場合に、参照バイオメトリック特徴に対応する。
【0137】
認証対象のバイオメトリック特徴が参照バイオメトリック特徴に対応する場合、所持者の認証は典型的に成功である。認証対象のバイオメトリック特徴が参照バイオメトリック特徴に対応しない場合、所持者の認証は失敗である。
【0138】
カラーバーコードの構造要素114の配列はさらに、セキュリティ文書の物理的一意性に関する少なくとも1つの情報要素を符号化できる。
【0139】
この情報要素はセキュリティ文書1110のシグネチャと呼ぶことができ、例えば所定の参照マークに関する点群の座標であり、これらの座標はPUF(物理複製困難関数:Physical Unclonable Function)を表す。
【0140】
物理複製困難関数は容易に実装可能な現象の結果であり、この結果は同じ動作条件下であっても複製不可能である。
【0141】
例えば、座標はセキュリティ文書1110の熱による変形を表す。セキュリティ文書1110の製造方法は、第一の層と少なくとも第二の層の入熱組立を含んでいてよく、この入熱には、該当する場合、これらの層への圧力の付加を伴う。第一の層(例えば、透明層222)は典型的に熱可塑性ポリマ材料で製作でき、参照パターン、例えばマトリクス自体を含み、これは特定された点群を含む。参照パターンは典型的に、セキュリティ文書の感受性領域、すなわち改造可能な領域、例えばセキュリティ文書1110の正規の所持者を識別する情報を含む領域、例えば正規の所持者の写真、セキュリティ文書のヒンジ等に印刷される。
【0142】
層の組立は第一の層の変形、したがって第一の層のパターンの変形につながり、この変形は事前に予測できない。当初印刷されたパターンの点と組立後に得られたパターンのそれらとの間の振幅及び方位の違いはそれゆえ、複製不可能なシグネチャを形成する。すると振幅と方位の違いは光により検出でき、その後、構造要素114の配列112内の座標の形態で記憶できる。
【0143】
それゆえ、図9に関して説明した取得方法のステップE902及びE906もまた、リーダ800のデータ処理手段によって実行されて、バーコード110からセキュリティ文書の物理的一意性に関する情報要素を抽出できる。
【0144】
ステップE1212で、文書の少なくとも1つの物理的一意性要素をリーダ800の適当なセンサによって、又は犯罪捜査中に法医学部門が使用する、より高解像度のリーダ800によって検出できる。検出された要素は典型的に、パターンの特定された点群の点の座標である。
【0145】
次に、ステップE1214で、文書の物理的一意性に関する情報要素は文書の物理的一意性要素と比較され、文書の物理的一意性に関する情報要素と文書の物理的一意性との間の対応が、所持者の認証の成功条件である。
【0146】
パターンがセキュリティ文書1110の製造後に改変された場合、文書の物理的一意性に関する情報要素はセキュリティ文書1110の物理的一意性に対応せず、所持者の認証は失敗する。
【0147】
パターンがセキュリティ文書の製造後に改変されていなければ、セキュリティ文書1110の物理的一意性に関する情報要素はセキュリティ文書1110の物理的一意性に対応する。すると、所持者の認証は成功する。変形型として、所持者の認証は、物理的一意性に関する情報要素とセキュリティ文書1110の物理的一意性要素とが対応した場合及び、ステップE1210で認証対象のバイオメトリック特徴と参照バイオメトリック特徴とが対応した場合に成功する。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
【国際調査報告】