(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】改善されたパッケージング効率を有する組換え改変アデノ随伴ウイルス
(51)【国際特許分類】
C12N 7/01 20060101AFI20220930BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20220930BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220930BHJP
C12N 5/077 20100101ALN20220930BHJP
C12N 5/07 20100101ALN20220930BHJP
C12N 15/864 20060101ALN20220930BHJP
【FI】
C12N7/01 ZNA
A61K35/76
A61K48/00
C12N5/077
C12N5/07
C12N15/864 100Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502942
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 US2020022326
(87)【国際公開番号】W WO2021011034
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502097366
【氏名又は名称】チャールズ・リバー・ラボラトリーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【氏名又は名称】臼井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】ワング,チィツァオ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4C084AA13
4C084NA20
4C084ZC80
4C087AA01
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA20
4C087ZC80
(57)【要約】
本発明は、改良されたパッケージング効率を有する組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、そのようなrAAVを含む薬学的組成物、ならびにそれらの製造および使用のための方法に関する。本発明は、特に、複製起点、プロモーターおよびエンハンサーを含むシスエレメントを含むようにさらに改変されており、rAAVゲノムの複製を調節することができ、rAAV複製を改善する組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)に関する。好ましくは、このようなシスエレメントは、rAAVの5’および/または3’逆方向末端反復配列(ITR)に先行および/または後続するrAAVのドメイン内に提供される。本発明は、特に、実際のまたは潜在的なG四重鎖配列を含むポリヌクレオチドシスエレメント、野生型AAV(wt AAV)からのDNA配列を含むポリヌクレオチドシスエレメント、および他のウイルスゲノムまたはヒトゲノムからのDNA配列を含むポリヌクレオチドシスエレメントの存在および使用に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)であってそのP1,P2,P3またはP4ドメインの1以上にシスエレメントを含む組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、
(1)前記P1ドメインは前記rAAVの5’ITRに対し5’であり;
(2)前記P2ドメインは前記rAAVの5’ITRに対し3’であり、かつ、前記rAAVの導入遺伝子カセットに対し5’であり;
(3)前記P3ドメインは前記rAAVの前記導入遺伝子カセットに対し3’であり、かつ、前記rAAVの3’ITRに対し5’であり;
(4)前記p4ドメインは前記rAAVの前記3’ITRに対し3’であり、そして
前記シスエレメントの存在は、rAAV産生細胞が、前記シスエレメントを欠く場合に得られるそのようなrAAVよりも高い産生力価で前記rAAVを産生することを引き起こす、組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項2】
前記使用されたrAAVが、そのP1ドメインに付加されたシスエレメントを含むように改変されている、請求項1に記載の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項3】
前記使用されたrAAVが、そのP2ドメインに付加されたシスエレメントを含むように改変されている、請求項1に記載の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項4】
前記使用されたrAAVが、そのP3ドメインに付加されたシスエレメントを含むように改変されている、請求項1に記載の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項5】
前記使用されたrAAVが、そのP4ドメインに付加されたシスエレメントを含むように改変されている、請求項1に記載の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項6】
前記使用されたrAAVが、そのP1ドメインおよびそのP2、P3またはP4ドメインの1つ以上に、付加されたシスエレメントを含むように改変されている、請求項1に記載の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項7】
前記使用されたrAAVが、そのP2ドメインおよびそのP3またはP4ドメインの1つ以上に、付加されたシスエレメントを含むように改変されている、請求項1に記載の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項8】
前記使用されたrAAVが、そのP3ドメインおよびそのP4ドメインに、付加されたシスエレメントを含むように改変されている、請求項1に記載の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項9】
前記付加されたシスエレメントが、前記使用されたrAAVにおいてG四重鎖構造を形成する、請求項1に記載の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項10】
付加されたシスエレメントが、以下からなる群から選ばれる、請求項1に記載の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV):
(1)野生型AAVゲノムの潜在的G四重鎖配列または野生型AAVゲノムの逆向きの潜在的G四重鎖配列;
(2)野生型AAVゲノムの実際のG四重鎖配列または野生型AAVゲノムの逆向きの実際のG四重鎖配列;
(3)野生型AAV由来のDNA配列または野生型AAV由来の逆向きのDNA配列;および
(4)別のウイルスゲノム由来のDNA配列、または別のウイルスゲノム由来の逆向きのDNA配列。
【請求項11】
前記導入遺伝子カセットが、タンパク質をコードするか、または転写された核酸を含み、それは遺伝子に関するまたは遺伝性の疾患または状態に対して治療的である、請求項1に記載の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項12】
前記使用されたrAAVが、rAAV1、rAAV2、rAAV5、rAAV6、rAAV7、rAAV8、rAAV9またはrAAV10の血清型、または前記血清型のハイブリッドに属する、請求項1に記載の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項13】
以下を含む薬学的組成物:
(A)請求項1に記載の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV);および
(B)薬学的に許容される担体。
【請求項14】
前記使用されたrAAVが、rAAV1、rAAV2、rAAV5、rAAV6、rAAV7、rAAV8、rAAV9またはrAAV10の血清型、または前記血清型のハイブリッドに属する、請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)の前記産生力価を増加させる方法であって、前記方法は:
(A)前記産生力価を産生するためのrAAVとして、そのP1,P2,P3またはP4ドメインの1以上に付加されたシスエレメントを含むrAAVを使用することであって:
(1)前記P1ドメインは前記rAAVの5’ITRに対し5’であり;
(2)前記P2ドメインは前記rAAVの5’ITRに対し3’であり、かつ、前記rAAVの導入遺伝子カセットに対し5’であり;
(3)前記P3ドメインは前記rAAVの前記導入遺伝子カセットに対し3’であり、かつ、前記rAAVの3’ITRに対し5’であり;
(4)前記p4ドメインは前記rAAVの前記3’ITRに対し3’である、使用すること、および
(B)前記使用されたrAAVでトランスフェクトされた細胞を培養すること、ただし、前記細胞はさらにAAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドおよび非AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドを含有する、ただし、前記培養は、培養培地中で、rAAVの産生を許容するのに十分な条件の下で行われること、
を含み、
前記使用されたrAAVにおける前記シスエレメントの存在は、前記細胞が、前記使用されたrAAVが前記シスエレメントを欠失している場合に達成されるのに比べ、増加した産生力価で前記rAAVを産生することを引き起こす、方法。
【請求項16】
前記細胞が、ヒト胚性腎細胞、ベビーハムスター腎細胞である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞がHEK293ヒト胚性腎細胞である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記細胞がBHK21ベビーハムスター腎細胞である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞がsf9昆虫細胞である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたパッケージング効率を有する組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、そのようなrAAVを含む薬学的組成物、ならびにそれらの製造および使用のための方法に関する。本発明は、特に、複製起点、プロモーターおよびエンハンサー、これらはrAAVゲノムの複製を調節することができ、rAAV複製を改善する、を含むシスエレメントを含むようにさらに改変されている組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)に関する。好ましくは、このようなシスエレメントは、rAAVの5’および/または3’逆方向末端反復配列(ITR)に先行および/または後続するrAAVのドメイン内に提供される。本発明は、特に、実際のまたは潜在的なG四重鎖配列を含むポリヌクレオチドシスエレメント、野生型AAV(wt AAV)からのDNA配列を含むポリヌクレオチドシスエレメント、および他のウイルスゲノムまたはヒトゲノムからのDNA配列を含むポリヌクレオチドシスエレメントの存在および使用に関する。
配列表の参照
【0002】
本出願は、37C.F.R.1.821以下に従った一以上の配列一覧を含み、この配列表は、コンピュータ可読媒体(ファイル名:2650-0003US_ST25.txt(2019年7月15日作成、サイズ63,309バイト))に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
I.アデノ随伴ウイルス(AAV)
アデノ随伴ウイルス(AAV)はParvoviridaeのDependovirus属に属する小型の自然発生非病原性ウイルスである(Balakrishnan,B.他(2014)“Basic Biology of Adeno-Associated Virus(AAV) Vectors Used in Gene Therapy,”Curr.Gene Ther.14(2):86-100;Zinn,E.他(2014)“Adeno-Associated Virus:Fit To Serve,”Curr.Opin.Virol.0:90-97)。疾患を引き起こさないにもかかわらず、 AAVはヒトおよび他の霊長類に感染し、ヒト集団で流行することが知られる(Johnson,F.B.他(1972)“Immunological Reactivity of Antisera Prepared Against the Sodium Dodecyl Sulfate-Treated Structural Polypeptides of Adenovirus-Associated Virus,”J.Virol.9(6):1017-1026)。AAVは広範囲の異なる細胞型(例えば、中枢神経系、心臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓、網膜色素上皮の細胞、または光受容細胞、または骨格筋細胞)に感染する。異なる組織感染能(「トロピズム」)を示すウイルスの12の血清型(例えば、AAV2、AAV5、AAV6など)が同定されている(Colella,P.他(2018)“Emerging Issues in AAV-Mediated In Vivo Gene Therapy,”Molec.Ther.Meth.Clin.Develop.8:87-104;Hocquemiller,M.他(2016)“Adeno-Associated Virus-Based Gene Therapy for CNS Diseases,”Hum.Gene Ther.27(7):478-496;Lisowski,L.他(2015)“Adeno-Associated Virus Serotypes For Gene Therapeutics,”24:59-67)。
【0004】
AAVは約4,700ヌクレオチドからなる一本鎖DNAウイルスである。ウイルスゲノムは、ウイルスのタンパク質をコードする遺伝子を一緒に含む5’ハーフおよび3’ハーフを有するものとして記載することができる。(
図1)。AAVゲノムの5’ハーフはAAV rep遺伝子を含み、AAV rep遺伝子は、複数のリーディングフレーム、スタガード開始プロモーター(p5、p19、およびp40)、および選択的スプライシングを用いて、ウイルスの転写制御および複製、ならびにウイルスゲノムのウイルスカプセルへのパッケージングに必要な4つの非構造Repタンパク質(Rep40、Rep52、Rep68、およびRep78)をコードする(Lackner,D.F.他(2002)“Studies of the Mechanism of Transactivation of the Adeno-Associated Virus p19 Promoter by Rep Protein,”J.Virol.76(16):8225-8235)。AAVゲノムの3’ハーフは、AAVキャプシド遺伝子(cap)を含み、VP1,VP2,VP3の3つのキャプシドタンパク質(VP)をコードする。3つのキャプシドタンパク質は、単一のプロモーター(AAV2の場合はp40)によって制御される単一のmRNA転写産物から翻訳される。AAVゲノムの3’ハーフはまた、AAP遺伝子を含み、AAVアセンブリ活性化タンパク質(AAP)をコードする。60個のVPモノマー(約5コピーのVP1、5コピーのVP2、および50コピーのVP3を含む)がAAVゲノムの周囲で自己集合し、成熟ウイルス粒子の正二十面体のタンパク質の殻(キャプシド)を形成する(Buning,H.他(2019)“Capsid Modifications for Targeting and Improving the Efficacy of AAV Vectors,”Mol.Ther.Meth.Clin.Devel.12:P248-P265;Van Vliet K.M.他(2008)The Role of the Adeno-Associated Virus Capsid in Gene Transfer.In:DRUG DELIVERY SYSTEMS,Jain,K.K.(編集),Meth.Molec.Biol.437:51-91)。AAV AAPタンパク質は、新たに産生されたVPタンパク質を安定化し、細胞質から細胞核へ輸送するために必要であると考えられている。AAVゲノムの3’ハーフはまた、AAV X遺伝子を含み、ゲノム複製をサポートするタンパク質をコードすると考えられている(Colella,P.他(2018)“Emerging Issues in AAV-Mediated In Vivo Gene Therapy,”Molec.Ther.Meth.Clin.Develop.8:87-104;Buning,H.他(2019)“Capsid Modifications for Targeting and Improving the Efficacy of AAV Vectors,”Mol.Ther.Meth.Clin.Devel.12:P248-P265;Cao,M.他(2014)“The X Gene Of Adeno-Associated Virus 2(AAV2) Is Involved In Viral DNA Replication,”PLoS ONE 9,e104596:1-10)。
【0005】
上述のAAV遺伝子コード配列は、145ヌクレオチドの二つのAAV特異的回文逆末端反復配列(ITR)に隣接している(Balakrishnan,B.他(2014)“Basic Biology of Adeno-Associated Virus(AAV) Vectors Used in Gene Therapy,”Curr.Gene Ther.14(2):86-100;Colella,P.他(2018)“Emerging Issues in AAV-Mediated In Vivo Gene Therapy,”Molec.Ther.Meth.Clin.Develop.8:87-104)。
【0006】
AAVは本質的に欠陥のあるウイルスであり、少なくとも2つの重要な機能を果たす能力を欠いている:すなわち、ウイルス特異的産物の合成を開始する能力と、そのような産物を集めて成熟した感染性ウイルス粒子の正二十面体のタンパク質の殻(キャプシド)を形成する能力である。したがって、AAVゲノムの遺伝子によってコードされていないウイルス関連(VA)RNAを提供するために、アデノウイルス(Ad)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ワクシニアウイルスまたはヒトパピローマウイルスのような、同時感染する「ヘルパー」ウイルスを必要とする。このようなVA RNAは翻訳されないが、他のウイルス遺伝子の翻訳を調節する役割を果たす。同様に、AAVゲノムはAdのウイルスタンパク質E1a、E1b、E2a、およびE4をコードする遺伝子を含まない;したがって、これらのタンパク質は、また、同時に感染する「ヘルパー」ウイルスによって供給されなければならない。E1aタンパク質は増殖性感染中のウイルス遺伝子転写を大きく刺激する。E1bタンパク質はアデノウイルス感染細胞のアポトーシスを阻止し、増殖性感染を進行させる。E2aタンパク質は、鋳型をほどいて転写開始を促進することにより、ウイルス鎖置換複製の伸長の段階において役割を果たす。E4タンパク質は、導入遺伝子の持続性、ベクター毒性、および免疫原性に影響を及ぼすことが示されている(Grieger,J.C.他(2012)“Adeno-Associated Virus Vectorology,Manufacturing,and Clinical Applications,”Meth.Enzymol.507:229-254;Dyson,N.他(1992)“Adenovirus E1A Targets Key Regulators Of Cell Proliferation,”Canc.Surv.12:161-195;Jones N.C.(1990)“Transformation By The Human Adenoviruses,”Semin.Cancer Biol.1(6):425-435;Ben-Israel,H.他(2002)“Adenovirus and Cell Cycle Control,”Front.Biosci.7:d1369-d1395;Hoeben,R.C.他(2013)“Adenovirus DNA Replication,”Cold Spring Harb.Perspect.Biol.5:a013003(1-11ページ);Berk,A.J.(2013)“Adenoviridae:The Viruses And Their Replication,In:FIELDS VIROLOGY,6th Edition(Knipe,D.M.他編集),Vol.2.,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,1704-1731ページ;Weitzman,M.D.(2005)“Functions Of The Adenovirus E4 Proteins And Their Impact On Viral Vectors,”Front.Biosci.10:1106-1117参照のこと)。
【0007】
AAVウイルスは分裂細胞と非分裂細胞の両方に感染し、環状エピソーム分子として存続するか、または特定の染色体座(アデノ随伴ウイルス組込み部位またはAAVS)において宿主細胞のDNAに組み込まれる。(Duan,D.(2016)“Systemic Delivery Of Adeno-Associated Viral Vectors,”Curr.Opin.Virol.21:16-25;Grieger,J.C.他(2012)“Adeno-Associated Virus Vectorology,Manufacturing,and Clinical Applications,”Meth.Enzymol.507:229-254)。AAVの複製と成熟に必要な機能を果たすヘルパーウイルスが存在しない限り、AAVは感染細胞内に潜伏したままである。
II.遺伝子治療におけるrAAVとその利用
【0008】
AAVの特性に照らして、組換え改変されたバージョンのAAV(rAAV)は、遺伝子治療用ベクターとして実質的な有用性を見出している(Naso,M.F.他(2017)“Adeno-Associated Virus(AAV) as a Vector for Gene Therapy,”BioDrugs 31:317-334;Berns,K.I.他(2017)“AAV:An Overview of Unanswered Questions,”Human Gene Ther.28(4):308-313;Berry,G.E.他(2016)“Cellular Transduction Mechanisms Of Adeno-Associated Viral Vectors,”Curr.Opin.Virol.21:54-60;Blessing,D.他(2016)“Adeno-Associated Virus And Lentivirus Vectors:A Refined Toolkit For The Central Nervous System,”21:61-66;Santiago-Ortiz,J.L.(2016)“Adeno-Associated Virus(AAV) Vectors in Cancer Gene Therapy,”J.Control Release 240:287-301;Salganik,M.他(2015)“Adeno-Associated Virus As A Mammalian DNA Vector,”Microbiol.Spectr.3(4):1-32;Hocquemiller,M.他(2016)“Adeno-Associated Virus-Based Gene Therapy for CNS Diseases,”Hum.Gene Ther.27(7):478-496;Lykken,E.A.他(2018)“Recent Progress And Considerations For AAV Gene Therapies Targeting The Central Nervous System,”J.Neurodevelop.Dis.10:16:1-10;Buning,H.他(2019)“Capsid Modifications for Targeting and Improving the Efficacy of AAV Vectors,”Mol.Ther.Meth.Clin.Devel.12:P248-P265;During,M.J.他(1998)“In Vivo Expression Of Therapeutic Human Genes For Dopamine Production In The Caudates Of MPTP-Treated Monkeys Using An AAV Vector,”Gene The.5:820-827;Grieger,J.C.他(2012)“Adeno-Associated Virus Vectorology,Manufacturing,and Clinical Applications,”Meth.Enzymol.507:229-254;Kotterman,M.A.他(2014)“Engineering Adeno-Associated Viruses For Clinical Gene Therapy,”Nat.Rev.Genet.15(7):445-451;Kwon,I.他(2007)“Designer Gene Delivery Vectors:Molecular Engineering and Evolution of Adeno-Associated Viral Vectors for Enhanced Gene Transfer,”Pharm.Res.25(3):489-499参照のこと)。
【0009】
rAAVは、典型的には環状プラスミド(「rAAVプラスミドベクター」)を用いて産生される。AAV repおよびcap遺伝子は、典型的には、そのような構築物から欠失され、プロモーター、βグロビンイントロン、選択された治療用遺伝子(導入遺伝子)が挿入されたクローニング部位、およびポリアデニル化(「polyA」)部位で置換される。しかし、rAAVの逆方向末端反復配列(ITR)は保持されるので、rAAVプラスミドベクターの導入遺伝子発現カセットはAAV ITR配列によって挟まれる(Colella,P.他(2018)“Emerging Issues in AAV-Mediated In Vivo Gene Therapy,”Molec.Ther.Meth.Clin.Develop.8:87-104;Buning,H.他(2019)“Capsid Modifications for Targeting and Improving the Efficacy of AAV Vectors,”Mol.Ther.Meth.Clin.Devel.12:P248-P265)。したがって、5’から3’方向に、rAAVは、5’ITR、rAAVの導入遺伝子発現カセット、および3’ITRを含む。
【0010】
rAAVは、多数の遺伝性疾患(例えば、遺伝性リポ蛋白リパーゼ欠損症(LPLD)、レーバー先天性黒内障(LCA)、芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素欠損症(AADC)、脈絡膜血症、血友病)のいずれかに罹患している患者に導入遺伝子を送達するために使用されており、干渉RNA(RNAi)療法およびCrispr/Cas9などの遺伝子改変戦略などの新しい臨床的方法において有用である(米国特許第8,697,359号,米国特許第10,000,772号,米国特許第10,113,167号,米国特許第10,227,611号;Lino,C.A.他(2018)“Delivering CRISPR:A Review Of The Challenges And Approaches,”Drug Deliv.25(1):1234-1237;Ferreira,V.他(2014)“Immune Responses To AAV-Vectors,The Glybera Example From Bench To Bedside”Front.Immunol.5(82):1-15),Buning,H.他(2019)“Capsid Modifications for Targeting and Improving the Efficacy of AAV Vectors,”Mol.Ther.Meth.Clin.Devel.12:P248-P265;Rastall,D.P.W.(2017)“Current and Future Treatments for Lysosomal Storage Disorders,”Curr.Treat Options Neurol.19(12):45;Kay,M.他(2017)“Future Of rAAV Gene Therapy:Platform For RNAi,Gene Editing And Beyond,”Human Gene Ther.28:361-372);Berns,K.I.他(2017)“AAV:An Overview of Unanswered Questions,”Human Gene Ther.28(4):308-313)。rAAVに関与する150以上の臨床試験が開始されている(Buning,H.他(2019)“Capsid Modifications for Targeting and Improving the Efficacy of AAV Vectors,”Mol.Ther.Meth.Clin.Devel.12:P248-P265;Clement,N.他(2016)“Manufacturing Of Recombinant Adeno-Associated Viral Vectors For Clinical Trials,”Meth.Clin.Develop.3:16002:1-7)。このような組換え改変AAVに最も一般的に使用されるAAV血清型はAAV2であり、中枢神経系、腎臓、網膜色素上皮および光受容体細胞の細胞に感染することができる。もう1つのAAV血清型はAAV9であり、筋細胞に感染し、また広く使用される(Duan,D.(2016)“Systemic Delivery Of Adeno-Associated Viral Vectors,”Curr.Opin.Virol.21:16-25)。AAV血清型は以下に記載される:米国特許第10,301,650号;米国特許第10,266,846号;米国特許第10,265,417号;米国特許第10,214,785号;米国特許第10,214,566号;米国特許第10,202,657号;米国特許第10,046,016号;米国特許第9,884,071号;米国特許第9,856,539号;米国特許第9,737,618号;米国特許第9,677,089号;米国特許第9,458,517号;米国特許第9,457,103号;米国特許第9,441,244号;米国特許第9,193,956号;米国特許第8,846,389号;米国特許第8,507,267号;米国特許第7,906,111号;米国特許第7,479,554号;米国特許第7,186,552号;米国特許第7,105,345号;米国特許第6,984,517号;米国特許第6,962,815号;および,米国特許733,757号。
III.rAAV製造の方法
【0011】
所望の導入遺伝子発現カセットを含むrAAVは、典型的には、懸濁で増殖させたヒト細胞(HEK293など)によって産生される。上述したように、rAAVは欠陥ウイルスであるため、rAAVを複製してパッケージングするためには、さらなる機能が提供されなければならない。
【0012】
典型的には、rAAVは、rAAVプラスミドベクターおよび第2のプラスミドベクターで細胞を一過性にトランスフェクトすることによって産生され得る。第2のプラスミドベクターはAAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドを含む。AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドは、ベクター転写制御および複製に、そしてウイルスゲノムのウイルスカプセルへのパッケージングに必要なRep52およびRep78遺伝子(Rep40およびRep68やrAAVの産生には必要とされない)、ならびにrAAVを産生するためにAAVから削除されたcap遺伝子を提供する。第2のプラスミドベクターは、さらに、AAV増殖に必要なウイルス転写因子および翻訳因子(E1a、E1b、E2a、VAおよびE4)をコードする非AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドを含むことができ、それにより、rAAVと協調して、ダブルプラスミドトランスフェクションシステムを含み得る(Grimm,D.他(1998)“Novel Tools For Production And Purification Of Recombinant Adeno-Associated Virus Vectors,”Hum.Gene Ther.9:2745-2760;Penaud-Budloo,M.他(2018)“Pharmacology of Recombinant Adeno-associated Virus Production,”Molec.Ther.Meth.Clin.Develop.8:166-180)。
【0013】
しかし、(必要とされるrepおよびcap遺伝子を提供する)AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドを「AAVヘルパープラスミド」にクローニングし、(ウイルスの転写因子と翻訳因子をコードする遺伝子を提供する)非AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドを異なるプラスミド(すなわち、「Adヘルパープラスミド」)上にクローニングすることは、ますます一般的になってきており、そのようなプラスミドは、rAAVプラスミドベクターと協働して、トリプルプラスミドトランスフェクションシステムを含む(
図2)。トリプルプラスミドトランスフェクションシステムの使用は、1つのcap遺伝子を別のcap遺伝子に容易に切り替えることができ、それによってrAAVの血清型の変化を容易にするという利点を有する。ヘルパーウイルスではなくヘルパープラスミドを用いることにより、ヘルパーウイルスの粒子をさらに産生することなく、rAAVを産生することができる(Francois,A.他(2018)“Accurate Titration of Infectious AAV Particles Requires Measurement of Biologically Active Vector Genomes and Suitable Controls,”Molec.Ther.Meth.Clin.Develop.10:223-236;Matsushita,T.他(1998)“Adeno-Associated Virus Vectors Can Be Efficiently Produced Without Helper Virus,”Gene Ther.5:938-945)。
【0014】
rAAVプラスミドベクター、AAV repおよびcap遺伝子、ならびにトランス作用AADヘルパー遺伝子を含むプラスミドDNAのリン酸カルシウム共沈によるHEK293細胞への一過性トランスフェクションは、研究室でrAAVを産生するための標準的な方法となっている(Grimm,D.他(1998)“Novel Tools For Production And Purification Of Recombinant Adeno-Associated Virus Vectors,”Hum.Gene Ther.9:2745-2760)。しかし、このようなリン酸カルシウムを介したトランスフェクション過程を懸濁培養されたトランスフェクトされた哺乳動物細胞で使用するには、培地交換が必要であり、したがって、治療用量のrAAVを産生するために必要とされる大規模なrAAV産生には理想的ではないと考えられる(Lock,M.他(2010)“Rapid,Simple,and Versatile Manufacturing of Recombinant Adeno-Associated Viral Vectors at Scale,”Hum.Gene Ther.21:1259-1271)。この理由ため、トランスフェクション試薬としてポリエチレンイミン(PEI)が使用され、リン酸カルシウム媒介トランスフェクションを用いて得られたものと類似のウイルスの収率を提供することが見出されている(Durocher,Y.他(2007)“Scalable Serum-Free Production Of Recombinant Adeno-Associated Virus Type2 By Transfection Of 293 Suspension Cells,”J.Virol.Meth.144:32-40)。
【0015】
あるいは、バキュロウイルスベクター(例えば、米国特許第9,879,282号;米国特許第9,879,279号;米国特許第8,945,918号;米国特許第8,163,543号;米国特許第7,271,002号;米国特許第6,723,551号を参照のこと)を用いて昆虫細胞(例えば、sf9細胞)、または、HSV感染ベビーハムスター腎(BHK)細胞(例えばBHK21)でrAAVを産生することができる(Francois,A.他(2018)“Accurate Titration of Infectious AAV Particles Requires Measurement of Biologically Active Vector Genomes and Suitable Controls,”Molec.Ther.Meth.Clin.Develop.10:223-236)。rAAVの産生の方法はGrieger,J.C.他(2012)“Adeno-Associated Virus Vectorology,Manufacturing,and Clinical Applications,”Meth.Enzymol.507:229-254,and in Penaud-Budloo,M.他(2018)“Pharmacology of Recombinant Adeno-associated Virus Production,”Molec.Ther.Meth.Clin.Develop.8:166-180でレビューされる。
IV.rAAVの精製および回収方法
【0016】
産生後、rAAVは、典型的には、1回以上、オーバーナイトのCsCl勾配遠心分離によって収集および精製され(Zolotukhin,S.他(1999)“Recombinant Adeno-Associated Virus Purification Using Novel Methods Improves Infectious Titer And Yield,”Gene Ther.6:973-985)、次いで脱塩によって精製されたrAAV産生ストックを形成する。1012~1013の感染性rAAVキャプシド/mLの力価が得られる。
【0017】
rAAV感染は細胞変性効果を引き起こさないためrAAV製剤の感染力価を測定するために、プラークアッセイは使用できない。したがって、感染力価は典型的には組織培養感染量の中央値(TCID50)として測定される。この方法では、HeLa由来AAV2 repおよびcap発現細胞株を96ウェルプレート中で増殖させ、血清型5のアデノウイルスの存在下で、rAAV調製物の複製10倍連続希釈液で感染させる。感染後、定量的PCR(qPCR)によりベクターゲノム複製を決定する(Zen,Z.他(2004)“Infectious Titer Assay For Adeno-Associated Virus Vectors With Sensitivity Sufficient To Detect Single Infectious Events,”Hum.Gene Ther.15:709-715)。あるいは、調製rAAVの感染力価は、感染中枢アッセイ(ICA)を用いて測定することができる。このアッセイは、HeLa rep-cap細胞およびAdを使用するが、インキュベーション後、細胞を膜に移すことを含む。使用される導入遺伝子の一部に相補的な標識プローブを用いて、ハイブリダイゼーションを介して(個々の感染細胞を表す)感染中心を検出する。より広く使用されるが、TCID50アッセイは、ICAよりも高いバックグラウンドを導き、ICAと比較してベクター感染性を過大評価することが報告されている(Francois,A.他(2018)“Accurate Titration of Infectious AAV Particles Requires Measurement of Biologically Active Vector Genomes and Suitable Controls,”Molec.Ther.Meth.Clin.Develop.10:223-236)。rAAVを産生および精製する方法は、特に米国特許第10,294,452号;米国特許第10,161,011号;米国特許第10,017,746号;米国特許第9,598,703号;米国特許第7,625,570号;米国特許第7,439,065号;米国特許第7,419,817号;米国特許第7,208,315号;米国特許第6,995,006号;米国特許第6,989,264号;米国特許第6,846,665号;および米国特許第6,841,357に記載される。
V.G四重鎖配列および構造
【0018】
DNAは古典的な二重らせん以外にもいくつかの二次構造を形成することができ、近年注目されているひとつがG四重鎖構造である。G四重鎖構造は、3つの平面状の「G四分子」(「グアニンカルテット」としても知られる)構造の積層から形成される。各G四分子は、4つのデオキシグアノシン残基を含む水素結合相互作用を介したフーグスティーン塩基対によって形成される。G四分子の平面構造はカチオン(例えばNa
+)によって安定化され得る。以下に示すG四分子構造において、グアニンは「R」を介してそれぞれのポリヌクレオチド鎖に結合している。
【化1】
G四分子/グアニンカルテット
【0019】
G四重鎖構造を形成するためのG四分子構造の積層は、共にG四重鎖配列を構成する1つ、2つまたは4つのポリヌクレオチド鎖のドメインの自発的相互作用および/またはループ形成によって達成される(
図3Aから3D)。
【0020】
G四重鎖構造は当技術分野でよく知られる(Bedrat,A.他(2016)“Re-evaluation of G-Quadruplex propensity with G4Hunter,”Nucleic Acids Res.44(4):1746-1759;Harris,L.M.他(2015)“G-Quadruplexes In Pathogens:A Common Route To Virulence Control?”PLoS Pathog.11(2):e1004562(1-15ページ);Siddiqui-Jain,A.他(2002)“Direct Evidence For A G-Quadruplex In A Promoter Region And Its Targeting With A Small Molecule To Repress c-MYC Transcription,”Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)99:11593-11598;Wieland,M.他(2007)“RNA Quadruplex-Based Modulation Of Gene Expression,”Chem.Biol.,14:757-763;Millevoi,S.他(2012)“G-Quadruplexes In RNA Biology,”Wiley interdiscip.Rev.RNA 3:495-507;Lopes,J.他(2011)“G-Quadruplex-Induced Instability During Leading-Strand Replication,”EMBO J.30:4033-4046;Paeschke,K.他(2011)“DNA Replication Through G-Quadruplex Motifs Is Promoted By The Saccharomyces Cerevisiae Pif1 DNA Helicase,”Cell 145:678-691;Besnard,E.他(2012)“Unraveling Cell Type-Specific And Reprogrammable Human Replication Origin Signatures Associated With G-Quadruplex Consensus Motifs,”Nat.Struct.Mol.Biol.19:837-844;および Valton,A.L.他(2014)“G4 Motifs Affect Origin Positioning And Efficiency In Two Vertebrate Replicators,”EMBO J.33:732-746)。
【0021】
G四重鎖構造を形成することができる配列は、最近、多くのウイルス、例えば、HIV、HSV、EBVインフルエンザ、パピローマウイルスおよびカリフラワーモザイクウイルスのゲノム内で同定されている(Piekna-Przybylska,D.他(2014)“U3 Region In The HIV-1 Genome Adopts A G-Quadruplex Structure In Its RNA And DNA Sequence,”Biochemistry 53(16):2581-2593;Artusi,S.他(2015)“The Herpes Simplex Virus-1 Genome Contains Multiple Clusters Of Repeated G-Quadruplex:Implications For The Antiviral Activity Of A G-Quadruplex Ligand,”Antivir.Res.118:123-131;Tluckova,K.他(2013)“Human Papillomavirus G-Quadruplexes,”Biochemistry 52(41):7207-7216;Metifiot,M.他(2014)“G-Quadruplexes In Viruses:Function And Potential Therapeutic Applications,”Nucleic Acids Res.42(20):12352-12366)。
【0022】
ウイルスのG四重鎖構造は、DNAの複製および転写に対する、立体ブロックとして機能することが提唱されている(Satkunanathan,S.他(2017)“The Function Of DNA Binding Protein Nucleophosmin In AAV Replication,”Virol.510:46-54)。例えば、c-MYC転写の主要な調節因子である野生型ヌクレアーゼ高感受性エレメントIII遺伝子(NHE III1)におけるG四重鎖配列の存在は、その遺伝子を突然変異NHE III1遺伝子のそれよりも低いレベルで発現させる(Siddiqui-Jain,A.他(2002)“Direct Evidence For A G-Quadruplex In A Promoter Region And Its Targeting With A Small Molecule To Repress c-MYC Transcription,”Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)99:11593-11598;Harris,L.M.他(2015)“G-Quadruplexes In Pathogens:A Common Route To Virulence Control?”PLoS Pathog.11(2):e1004562(1-15ページ)。
【0023】
高力価AAV産生の限界は、AAVがヘルパーウイルスに依存していること、およびAAV複製に寄与するウイルス性または細胞性の因子を十分に理解していないことに起因している可能性があると提唱されている(Satkunanathan,S.他(2017)“The Function Of DNA Binding Protein Nucleophosmin In AAV Replication,”Virol.510:46-54)。この点に関して、AAVのライフサイクルの調査は、AAVヘルパー遺伝子が正常な細胞周期で欠損または不活性化された細胞因子を誘導するように機能することを明らかにした。Muzyczka,N.(1992)“Use Of Adeno-Associated Virus As A General Transduction Vector For Mammalian Cells,”Curr.Top.Microbiol.Immunol.158:97-129;Ni,T.H.他(1998)“Cellular Proteins Required For Adeno-Associated Virus DNA Replication In The Absence Of Adenovirus Coinfection,”J.Virol.72(4):2777-2787)。さらに、細胞のおよびウイルスのDNA結合タンパク質は、AAVの二本鎖DNAの巻き戻し、一本鎖DNAの切断、核との一本鎖DNAの会合の促進、および最終的にはウイルスDNAの産生およびタンパク質発現の増強において、AAVのライフサイクルにおける重要な役割を果たすことが見出されている(Weitzman,M.D.(2006)“The Parvovirus Life Cycle:An Introduction To Molecular Interactions Important For Infection,”In:Kerr,J.R.他(Eds.)PARVOVIRUSES,Hodder Arnold,London,UK;Satkunanathan,S.他(2017)“The Function Of DNA Binding Protein Nucleophosmin In AAV Replication,”Virol.510:46-54)。
【0024】
例えば、ヌクレオホスミン(NPM1)は、一本鎖核酸に結合する能力を介して、ゲノム安定性、DNA複製および転写調節などの多くの多様な機能において役割を果たす核小体蛋白質である。ヌクレオホスミンはAAVキャプシドを核小体の内外に動員するシャペロンタンパク質として作用することによりAAV感染を増強することが報告されている(Nash,K.他(2009)“Identification Of Cellular Proteins That Interact With The Adeno-Associated Virus Rep Protein,”J.Virol.83(1):454-469;Ni,T.H.他(1998)“Cellular Proteins Required For Adeno-Associated Virus DNA Replication In The Absence Of Adenovirus Coinfection,”J.Virol.72(4):2777-2787;Nicolas,A.他(2012)“Factors Influencing Helper-Independent Adeno-Associated Virus Replication,”Virology 432(1):1-9)。しかし、ヌクレオホスミンはG四重鎖配列に結合することによってDNA複製を負に調節することも見出されている(Gallo,A.他(2012)“Structure of Nucleophosmin DNA-binding Domain and Analysis of Its Complex with a G-Quadruplex Sequence from the c-MYC Promoter,”J.Biol.Chem.287(32):26539-26548)。ヌクレオホスミンのダウンレギュレーションは、AAV2およびAAV8ベクター産生の増加をもたらすことが見出されている(Satkunanathan,S.他(2017)“The Function Of DNA Binding Protein Nucleophosmin In AAV Replication,”Virol.510:46-54),そして、G四重鎖配列の破壊または除去は、HIVおよびHSVのウイルスDNA複製のG四重鎖構造媒介阻害を解除することが見出されている(Harris,L.M.他(2015)“G-Quadruplexes In Pathogens:A Common Route To Virulence Control?”PLoS Pathog.11(2):e1004562(1-15ページ))。このように、G四重鎖配列の存在は、AAVベクター産生を阻害することが報告されている(Satkunanathan,S.他(2017)“The Function Of DNA Binding Protein Nucleophosmin In AAV Replication,”Virol.510:46-54)。
【0025】
このようなこれまでのすべての前進にもかかわらず、遺伝子治療へのrAAVの適用性を現在制限している問題に取り組むことができる方法を開発する必要が残っている(Grieger,J.C.他(2012)“Adeno-Associated Virus Vectorology,Manufacturing,and Clinical Applications,”Meth.Enzymol.507:229-254;Kotterman,M.A.他(2014)“Engineering Adeno-Associated Viruses For Clinical Gene Therapy,”Nat.Rev.Genet.15(7):445-451;Kwon,I.他(2007)“Designer Gene Delivery Vectors:Molecular Engineering and Evolution of Adeno-Associated Viral Vectors for Enhanced Gene Transfer,”Pharm.Res.25(3):489-499;Naso,M.F.他(2017)“Adeno-Associated Virus(AAV) as a Vector for Gene Therapy,”BioDrugs 31:317-334)。
【0026】
本発明は、rAAVゲノムの複製の調節を介してAAVおよびrAAVパッケージングの効率を増加させるための改善された方法に関する。
【発明の概要】
【0027】
本発明は、改良されたパッケージング効率を有する組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、そのようなrAAVを含む薬学的組成物、ならびにそれらの製造および使用のための方法に関する。本発明は、特に、複製起点、プロモーターおよびエンハンサー、これらはrAAVゲノムの複製を調節することができ、rAAV複製を改善する、を含むシスエレメントを含むようにさらに改変されている組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)に関する。好ましくは、このようなシスエレメントは、rAAVの5’および/または3’逆方向末端反復配列(ITR)に先行および/または後続するrAAVのドメイン内に提供される。本発明は、特に、実際のまたは潜在的なG四重鎖配列を含むポリヌクレオチドシスエレメント、野生型AAV(wt AAV)からのDNA配列を含むポリヌクレオチドシスエレメント、および他のウイルスゲノムまたはヒトゲノムからのDNA配列を含むポリヌクレオチドシスエレメントの存在および使用に関する。
【0028】
詳細には、本発明は、組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、そのP1,P2,P3またはP4ドメインの1以上にシスエレメントを含む組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)を提供し、ここで
(1)前記P1ドメインは前記rAAVの5’ITRに対し5’であり;
(2)前記P2ドメインは前記rAAVの5’ITRに対し3’であり、かつ、前記rAAVの導入遺伝子カセットに対し5’であり;
(3)前記P3ドメインは前記rAAVの前記導入遺伝子カセットに対し3’であり、かつ、前記rAAVの3’ITRに対し5’であり;
(4)前記p4ドメインは前記rAAVの前記3’ITRに対し3’であり;そして
前記シスエレメントの存在は、rAAV産生細胞が、前記シスエレメントを欠く場合に得られるそのようなrAAVよりも高い産生力価で前記rAAVを産生することを引き起こす。
【0029】
また、本発明は以下を含む薬学的組成物を提供する:
(A)組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)であってそのP1,P2,P3またはP4ドメインの1以上にシスエレメントを含む組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)の調製物であって、
(1)前記P1ドメインは前記rAAVの5’ITRに対し5’であり;
(2)前記P2ドメインは前記rAAVの5’ITRに対し3’であり、かつ、前記rAAVの導入遺伝子カセットに対し5’であり;
(3)前記P3ドメインは前記rAAVの前記導入遺伝子カセットに対し3’であり、かつ、前記rAAVの3’ITRに対し5’であり;
(4)前記p4ドメインは前記rAAVの前記3’ITRに対し3’である、調製物、および
(B)薬学的に許容される担体。
【0030】
本発明は組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)の前記産生力価を増加させる方法を提供し、前記方法は:
(A)前記産生力価を産生するためのrAAVとして、そのP1,P2,P3またはP4ドメインの1以上に付加されたシスエレメントを含むように改変されたrAAVを使用することであって、:
(1)前記P1ドメインは前記rAAVの5’ITRに対し5’であり;
(2)前記P2ドメインは前記rAAVの5’ITRに対し3’であり、かつ、前記rAAVの導入遺伝子カセットに対し5’であり;
(3)前記P3ドメインは前記rAAVの前記導入遺伝子カセットに対し3’であり、かつ、前記rAAVの3’ITRに対し5’であり;
(4)前記p4ドメインは前記rAAVの前記3’ITRに対し3’である、使用すること;および
(B)前記使用されたrAAVでトランスフェクトされた細胞を培養することであって、前記細胞はさらにAAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドおよび非AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドを含有し、さらに、前記培養は、培養培地中で、rAAVの産生を許容するのに十分な条件の下で行われる、培養すること、
を含み、
前記使用されるrAAVにおける前記シスエレメントの存在は、前記細胞が、前記使用されるrAAVが前記シスエレメントを欠失している場合に達成されるのに比べ、増加した産生力価で前記rAAVを産生することを引き起こす。
【0031】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、使用されるrAAVは、そのP1ドメインに、付加されたシスエレメントを含むように改変されている。
【0032】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、使用されるrAAVは、そのP2ドメインに、付加されたシスエレメントを含むように改変されている。
【0033】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、使用されるrAAVは、そのP3ドメインに、付加されたシスエレメントを含むように改変されている。
【0034】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、使用されるrAAVは、そのP4ドメインに、付加されたシスエレメントを含むように改変されている。
【0035】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、使用されるrAAVは、そのP1ドメインおよびそのP2、P3またはP4ドメインの1つ以上に、付加されたシスエレメントを含むように改変されている。
【0036】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、使用されるrAAVは、そのP2ドメインおよびそのP3またはP4ドメインの1つ以上に、付加されたシスエレメントを含むように改変されている。
【0037】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、使用されるrAAVは、そのP3ドメインおよびそのP4ドメインに、付加されたシスエレメントを含むように改変されている。
【0038】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、付加されたシスエレメントは、使用されたrAAVにおいてG四重鎖構造を形成する。
【0039】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、付加されるシスエレメントは以下からなる群から選ばれる:
(1)野生型AAVゲノムの潜在的G四重鎖配列または野生型AAVゲノムの逆向きの潜在的G四重鎖配列;
(2)野生型AAVゲノムの実際のG四重鎖配列または野生型AAVゲノムの逆向きの実際のG四重鎖配列;
(3)野生型AAV由来のDNA配列または野生型AAV由来の逆向きのDNA配列;および
(4)別のウイルスゲノム由来のDNA配列、または別のウイルスゲノム由来の逆向きのDNA配列。
【0040】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、導入遺伝子カセットは、タンパク質をコードするか、または転写された核酸を含み、それは遺伝子に関するまたは遺伝性の疾患または状態に対して治療的である。
【0041】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、使用されたrAAVが、rAAV1、rAAV2、rAAV5、rAAV6、rAAV7、rAAV8、rAAV9またはrAAV10の血清型、またはこれらの血清型のハイブリッドに属する。
【0042】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、使用されたrAAVが、rAAV2、rAAV5、またはrAAV9の血清型、またはこれらの血清型のハイブリッドに属する。
【0043】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、細胞は、ヒト胚性腎細胞、ベビーハムスター腎細胞、またはsf9昆虫細胞である。
【0044】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、細胞はHEK293ヒト胚性腎細胞である。
【0045】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法の実施形態を提供し、ここで、細胞はBHK21ベビーハムスター腎細胞である。
【0046】
本発明はまた、そのような組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、または薬学的組成物を提供し、ここで、導入遺伝子カセットは、タンパク質をコードするか、または転写された核酸を含み、それは遺伝子に関するまたは遺伝性の疾患または状態に対して治療的であり、遺伝性の疾患または状態を治療のために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】
図1は野生型(Wt)AAVゲノムの概略的な遺伝子の地図を提供する。
【
図2】
図2は、野生型AAV2ゲノム(1)、組換えAAV(rAAV)(2)、補足する「AAVヘルパープラスミド」(3)、およびアデノウイルスヘルパープラスミド(「Adヘルパープラスミド」)(4)の構造ドメインの概略図を提供する。野生型(Wt)AAV2(1)は、AAV特異的回文逆末端反復配列(ITR)、Repタンパク質をコードする遺伝子を含む5’ハーフ、およびCapタンパク質をコードする遺伝子を含む3’ハーフからなる。rAAV(2)は、野生型(Wt)AAV2(1)のRepおよびCapをコードする遺伝子を、プロモーター(Pro)、目的の外来性導入遺伝子、およびポリアデニル化部位(pA)を含む導入遺伝子カセットで置換することによって形成される。rAAV(2)を産生するために、補足する「AAVヘルパー」プラスミドベクター(3)およびアデノウイルスヘルパープラスミドベクター(Adヘルパープラスミド)(4)が提供される。補足するAAVヘルパープラスミド(3)は、RepおよびCapタンパク質を提供する。Adヘルパープラスミド(4)は、アデノウイルスタンパク質E1a、E1b、E2a、VAおよびE4を提供する。
【
図3A】
図3Aは、複数のG四分子の積み重ねによって形成される例示的なG四重鎖構造を示す。
図3Aは、その頂点がポリヌクレオチド骨格に連結されているG四分子を灰色の平面長方形で示す。G四重鎖構造は、それ自体で自発的にループバックする単一のポリヌクレオチド鎖(
図3Aおよび3B)、互いにループバックする2本のポリヌクレオチド鎖(
図3C)、または互いにループバックする4本のポリヌクレオチド鎖(
図3D)から形成され得る。そのようなポリヌクレオチド鎖がそのようなG四分子を形成し、そのようなループを形成する能力は、それらのG四重鎖配列の存在に依存する;そのような1、2または4つのポリペプチド鎖は、逆平行様式(例えば、
図3A)または平行様式(例えば、
図3B)のいずれかでループを形成し得る(Harris,L.M.他(2015)“G-Quadruplexes In Pathogens:A Common Route To Virulence Control?”PLoS Pathog.11(2):e1004562(1-15ページ)を参照のこと)。
【
図3B】
図3Bは、複数のG四分子の積み重ねによって形成される例示的なG四重鎖構造を示す。
図3Bは、その頂点がポリヌクレオチド骨格に連結されているG四分子を灰色の平面長方形で示す。G四重鎖構造は、それ自体で自発的にループバックする単一のポリヌクレオチド鎖(
図3Aおよび3B)、互いにループバックする2本のポリヌクレオチド鎖(
図3C)、または互いにループバックする4本のポリヌクレオチド鎖(
図3D)から形成され得る。そのようなポリヌクレオチド鎖がそのようなG四分子を形成し、そのようなループを形成する能力は、それらのG四重鎖配列の存在に依存する;そのような1、2または4つのポリペプチド鎖は、逆平行様式(例えば、
図3A)または平行様式(例えば、
図3B)のいずれかでループを形成し得る(Harris,L.M.他(2015)“G-Quadruplexes In Pathogens:A Common Route To Virulence Control?”PLoS Pathog.11(2):e1004562(1-15ページ)を参照のこと)。
【
図3C】
図3Cは、複数のG四分子の積み重ねによって形成される例示的なG四重鎖構造を示す。
図3Cは、その頂点がポリヌクレオチド骨格に連結されているG四分子を灰色の平面長方形で示す。G四重鎖構造は、それ自体で自発的にループバックする単一のポリヌクレオチド鎖(
図3Aおよび3B)、互いにループバックする2本のポリヌクレオチド鎖(
図3C)、または互いにループバックする4本のポリヌクレオチド鎖(
図3D)から形成され得る。そのようなポリヌクレオチド鎖がそのようなG四分子を形成し、そのようなループを形成する能力は、それらのG四重鎖配列の存在に依存する;そのような1、2または4つのポリペプチド鎖は、逆平行様式(例えば、
図3A)または平行様式(例えば、
図3B)のいずれかでループを形成し得る(Harris,L.M.他(2015)“G-Quadruplexes In Pathogens:A Common Route To Virulence Control?”PLoS Pathog.11(2):e1004562(1-15ページ)を参照のこと)。
【
図3D】
図3Dは、複数のG四分子の積み重ねによって形成される例示的なG四重鎖構造を示す。
図3Dは、その頂点がポリヌクレオチド骨格に連結されているG四分子を灰色の平面長方形で示す。G四重鎖構造は、それ自体で自発的にループバックする単一のポリヌクレオチド鎖(
図3Aおよび3B)、互いにループバックする2本のポリヌクレオチド鎖(
図3C)、または互いにループバックする4本のポリヌクレオチド鎖(
図3D)から形成され得る。そのようなポリヌクレオチド鎖がそのようなG四分子を形成し、そのようなループを形成する能力は、それらのG四重鎖配列の存在に依存する;そのような1、2または4つのポリペプチド鎖は、逆平行様式(例えば、
図3A)または平行様式(例えば、
図3B)のいずれかでループを形成し得る(Harris,L.M.他(2015)“G-Quadruplexes In Pathogens:A Common Route To Virulence Control?”PLoS Pathog.11(2):e1004562(1-15ページ)を参照のこと)。
【
図4】
図4は、AAVヘルパープラスミドベクターpAAV-RC2の地図を示す。
【
図5】
図5は、非AAVヘルパープラスミドベクターpHelper-Kanの地図を示す。
【
図6】
図6はrAAVプラスミドベクターpAV-CMV-EGFPの地図を示す。
【
図7】
図7はrAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPの地図を示す。
【
図8】
図8は、本明細書に記載される例示的なrAAV構築物(ITR:アデノ随伴ウイルス(AAV)特異的回文逆末端反復配列;Pro:プロモーター,遺伝子:導入遺伝子;ポリA:ポリデオキシアデノシン配列からなるポリヌクレオチド;CisE:シスエレメントを含むポリヌクレオチド)の開発のために従う全体的な構造およびアプローチを示す。
【
図9A】
図9Aは、rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP2ドメインにシスエレメントを導入することによって得られたrAAV産生力価の増加を示す。
図9Aは、rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP2ドメインを示す。rAAVの産生力価は、親または誘導体のrAAVプラスミドを用いて、AAV repおよびcap機能を提供するヘルパープラスミドおよび必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミドを有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステムで得た。
【
図9B】
図9Bは、rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP2ドメインにシスエレメントを導入することによって得られたrAAV産生力価の増加を示す。
図9Bは、シスエレメントCisE1からCisE27(表1)のいずれかを含有するrAAVプラスミドベクターを用いて得られたrAAVの産生力価を、親rAAVプラスミドベクターであるpAV-TBG-EGFPを用いて得られたものと比較して示す。rAAVの産生力価は、親または誘導体のrAAVプラスミドを用いて、AAV repおよびcap機能を提供するヘルパープラスミドおよび必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミドを有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステムで得た。
【
図10A】
図10Aは、rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP1ドメインにシスエレメントを導入(
図10A)することによって得られたrAAV産生力価の増加を示す。rAAVの産生力価は、親または誘導体のrAAVプラスミドを用いて、AAV repおよびcap機能を提供するヘルパープラスミドおよび必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミドを有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステムで得た。
【
図10B】
図10Bは、rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP1ドメインにシスエレメントを導入(
図10A)することによって得られたrAAV産生力価の増加を示す。
図10Bは、シスエレメントCisE1、CisE20、CisE21、CisE27、CisE28、CisE29、またはCisE30(表1)のいずれかを含有するrAAVプラスミドベクターを用いて得られたrAAVの産生力価を、親rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPを用いて得られたものと比較して示す。rAAVの産生力価は、親または誘導体のrAAVプラスミドを用いて、AAV repおよびcap機能を提供するヘルパープラスミドおよび必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミドを有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステムで得た。
【
図11A】
図11Aは、rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP1ドメインまたはP2ドメインにシスエレメントを導入(
図11A)することによって得られたrAAV産生力価の増加を示す。rAAVの産生力価は、親または誘導体のrAAVプラスミドを用いて、AAV repおよびcap機能を提供するヘルパープラスミドおよび必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミドを有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステムで得た。
【
図11B】
図11Bは、rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP1ドメインまたはP2ドメインにシスエレメントを導入(
図11A)することによって得られたrAAV産生力価の増加を示す。
図11Bは、シスエレメントCisE1、CisE20、またはCisE21(表1)のいずれかを含有するrAAVプラスミドベクターを用いて得られたrAAVの産生力価を、親rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPを用いて得られたものと比較して示す。rAAVの産生力価は、親または誘導体のrAAVプラスミドを用いて、AAV repおよびcap機能を提供するヘルパープラスミドおよび必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミドを有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステムで得た。
【
図12A】
図12Aは、P1ドメインにrAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPを挿入したシスエレメントのrAAV産生力価の増加を引き起こす能力に対するシスエレメントの配向の効果を示す(
図12A)。rAAVの産生力価は、親または誘導体のrAAVプラスミドを用いて、AAV repおよびcap機能を提供するヘルパープラスミドおよび必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミドを有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステムで得た。
【
図12B】
図12Bは、P1ドメインにrAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPを挿入したシスエレメントのrAAV産生力価の増加を引き起こす能力に対するシスエレメントの配向の効果を示す(
図12A)。
図12Bは、順方向(配列番号41)(「CisE21-For-P1」)または逆方向(配列番号42)(「CisE21-Rev-P1」)にシスエレメントCisE21(表1)を含有するrAAVプラスミドベクターを用いて得られたrAAVの産生力価を、親rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPを用いて得られたものと比較して示す。rAAVの産生力価は、親または誘導体のrAAVプラスミドを用いて、AAV repおよびcap機能を提供するヘルパープラスミドおよび必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミドを有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステムで得た。
【
図13A】
図13Aは、AAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP1ドメインおよびそのようなプラスミドベクターのP4ドメインの両方内に挿入されたシスエレメントのrAAV産生力価の増加を引き起こす能力に対するシスエレメント配向の効果を示す(
図13A)。rAAVの産生力価は、親または誘導体のrAAVプラスミドを用いて、AAV repおよびcap機能を提供するヘルパープラスミドおよび必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミドを有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステムで得た。
【
図13B】
図13Bは、AAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP1ドメインおよびそのようなプラスミドベクターのP4ドメインの両方内に挿入されたシスエレメントのrAAV産生力価の増加を引き起こす能力に対するシスエレメント配向の効果を示す(
図13A)。
図13Bは、rAAVプラスミドベクターのP4ドメイン内に同じシスエレメント(CisE30-Rev)を維持する一方で、P1ドメイン内に異なるシスエレメント(シスエレメントCisE21、CisE22、CisE23、CisE24、CisE25、CisE26、CisE28、CisE29、CisE31、CisE32、CisE33、CisE34、またはCisE35)を含有するrAAVプラスミドベクターを用いて得られたrAAVの産生力価を示す。rAAVの産生力価は、親または誘導体のrAAVプラスミドを用いて、AAV repおよびcap機能を提供するヘルパープラスミドおよび必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミドを有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステムで得た。
【
図13C】
図13Cは、AAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP1ドメインおよびそのようなプラスミドベクターのP4ドメインの両方内に挿入されたシスエレメントのrAAV産生力価の増加を引き起こす能力に対するシスエレメント配向の効果を示す(
図13A)。
図13Cは、そのP1ドメイン内の異なるシスエレメント(シスエレメントCisE21、CisE22、CisE23、CisE24、CisE25、CisE27、CisE28、CisE32、CisE33、またはCisE34)およびそのP4ドメイン内のシスエレメントCisE35-Revを含有するrAAVプラスミドベクターを用いて得られたrAAVの産生力価を示す。rAAVの産生力価は、親または誘導体のrAAVプラスミドを用いて、AAV repおよびcap機能を提供するヘルパープラスミドおよび必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミドを有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステムで得た。
【
図13D】
図13Dは、AAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP1ドメインおよびそのようなプラスミドベクターのP4ドメインの両方内に挿入されたシスエレメントのrAAV産生力価の増加を引き起こす能力に対するシスエレメント配向の効果を示す(
図13A)。
図13Dは、rAAVプラスミドベクターのP1ドメイン内に同じシスエレメント(CisE28)を維持する一方で、P4ドメイン内に異なるシスエレメント(シスエレメントCisE22-Rev、CisE27-Rev、CisE29-Rev、またはCisE35-Rev)を含有するrAAVプラスミドベクターを用いて得られたrAAVの産生力価を示す。rAAVの産生力価は、親または誘導体のrAAVプラスミドを用いて、AAV repおよびcap機能を提供するヘルパープラスミドおよび必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミドを有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステムで得た。
【発明を実施するための形態】
【0048】
I.本発明の方法
本発明は、改良されたパッケージング効率を有する組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、そのようなrAAVを含む薬学的組成物、ならびにそれらの製造および使用のための方法に関する。本発明は、特に、複製起点、プロモーターおよびエンハンサーを含むシスエレメントを含むようにさらに改変されており、rAAVゲノムの複製を調節することができ、rAAV複製を改善する組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)に関する。好ましくは、このようなシスエレメントは、rAAVの5’および/または3’逆方向末端反復配列(ITR)に先行および/または後続するrAAVのドメイン内に提供される。本発明は、特に、実際のまたは潜在的なG四重鎖配列を含むポリヌクレオチドシスエレメント、野生型AAV(wt AAV)からのDNA配列を含むポリヌクレオチドシスエレメント、および他のウイルスゲノムまたはヒトゲノムからのDNA配列を含むポリヌクレオチドシスエレメントの存在および使用に関する。
【0049】
本発明は、部分的には、高レベルのDNA複製が、rAAVゲノム粒子の量およびその結果としてのrAAVパッケージングの効率の両方を増加させ、したがって、rAAVストックの高い産生力価をもたらすという認識に基づいている。このような所望される高レベルのDNA複製は、複製起点、プロモーター、エンハンサーなどを含むさらなるポリヌクレオチドを含有するようにrAAVまたはrAAVプラスミドベクターを改変することによって達成することができる。本発明は、このようなシスエレメントを担持する組換えAAVベクターおよびrAAVプラスミドベクター、ならびに高力価のrAAV調製物を生成することができる新規な安定な細胞株の産生におけるそれらの使用を包含する。本発明のシスエレメントは、好ましくは、rAAVプラスミドベクターに導入される。このような導入は、好ましくは、組換えDNA技術の周知の方法を用いて達成される。そのようなポリヌクレオチドは、それらが存在するrAAVベクターの複製を増加させるように作用するので、本明細書では、それらを「シスエレメント」と呼ぶ。本発明は、このようなシスエレメントを担持する組換えAAVベクターおよびrAAVプラスミドベクター、ならびに高力価のrAAV調製物を生成することができる新規な安定な細胞株の産生におけるそれらの使用を包含する。本発明のシスエレメントは、好ましくは、rAAVプラスミドベクターに導入される。このような導入は、好ましくは、組換えDNA技術の周知の方法を用いて達成される。
【0050】
本明細書での使用において、用語「AAV」は、アデノ随伴ウイルスを示すことを意図し、ウイルス自体またはその誘導体を指すために使用され得る。この用語は、全ての亜型および自然発生型と組換え体の両方を含む。本明細書での使用において、用語「rAAV」は、AAV起源でないポリヌクレオチド配列(すなわち、AAVに対して異種性のポリヌクレオチド)を含む、AAVの組換え改変型を示すことを意図する。rAAVは一本鎖または二本鎖であり得、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドで構成され得る。
【0051】
本明細書での使用において、「AAVヘルパー機能」は、rAAVの複製およびパッケージングに必要なAAVタンパク質(例えば、RepとCap)および/またはAAVのポリヌクレオチドを示す。このようなAAVヘルパー機能は、「AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチド」によって提供され、この用語は、本明細書での使用において、AAVヘルパー機能を提供する、ウイルス、プラスミドベクター、非プラスミドベクター、または細胞染色体に組み込まれたポリヌクレオチドである。AAVヘルパー機能を提供するために本発明に従って使用され得るAAVヘルパープラスミド、例えばpAAV-RC(Agilent;Addgene;Cell Biolabs)、pAAV-RC2(Cell Biolabs)などは商業的に入手可能である。プラスミドpAAV―RC2(配列番号1;
図4)は、AAVヘルパー機能を提供するために本発明に従って使用され得るAAVヘルパープラスミドである。
プラスミドpAAV―RCのコード鎖(配列番号1):
ccgggccccc cctcgaggtc gacggtatcg ggggagctcg cagggtctcc attttgaagc gggaggtttg aacgcgcagc cgccatgccg gggttttacg agattgtgat taaggtcccc agcgaccttg acgagcatct gcccggcatt tctgacagct ttgtgaactg ggtggccgag aaggaatggg agttgccgcc agattctgac atggatctga atctgattga gcaggcaccc ctgaccgtgg ccgagaagct gcagcgcgac tttctgacgg aatggcgccg tgtgagtaag gccccggagg ctcttttctt tgtgcaattt gagaagggag agagctactt ccacatgcac gtgctcgtgg aaaccaccgg ggtgaaatcc atggttttgg gacgtttcct gagtcagatt cgcgaaaaac tgattcagag aatttaccgc gggatcgagc cgactttgcc aaactggttc gcggtcacaa agaccagaaa tggcgccgga ggcgggaaca aggtggtgga tgagtgctac atccccaatt acttgctccc caaaacccag cctgagctcc agtgggcgtg gactaatatg gaacagtatt taagcgcctg tttgaatctc acggagcgta aacggttggt ggcgcagcat ctgacgcacg tgtcgcagac gcaggagcag aacaaagaga atcagaatcc caattctgat gcgccggtga tcagatcaaa aacttcagcc aggtacatgg agctggtcgg gtggctcgtg gacaagggga ttacctcgga gaagcagtgg atccaggagg accaggcctc atacatctcc ttcaatgcgg cctccaactc gcggtcccaa atcaaggctg ccttggacaa tgcgggaaag attatgagcc tgactaaaac cgcccccgac tacctggtgg gccagcagcc cgtggaggac atttccagca atcggattta taaaattttg gaactaaacg ggtacgatcc ccaatatgcg gcttccgtct ttctgggatg ggccacgaaa aagttcggca agaggaacac catctggctg tttgggcctg caactaccgg gaagaccaac atcgcggagg ccatagccca cactgtgccc ttctacgggt gcgtaaactg gaccaatgag aactttccct tcaacgactg tgtcgacaag atggtgatct ggtgggagga ggggaagatg accgccaagg tcgtggagtc ggccaaagcc attctcggag gaagcaaggt gcgcgtggac cagaaatgca agtcctcggc ccagatagac ccgactcccg tgatcgtcac ctccaacacc aacatgtgcg ccgtgattga cgggaactca acgaccttcg aacaccagca gccgttgcaa gaccggatgt tcaaatttga actcacccgc cgtctggatc atgactttgg gaaggtcacc aagcaggaag tcaaagactt tttccggtgg gcaaaggatc acgtggttga ggtggagcat gaattctacg tcaaaaaggg tggagccaag aaaagacccg cccccagtga cgcagatata agtgagccca aacgggtgcg cgagtcagtt gcgcagccat cgacgtcaga cgcggaagct tcgatcaact acgcagacag gtaccaaaac aaatgttctc gtcacgtggg catgaatctg atgctgtttc cctgcagaca atgcgagaga atgaatcaga attcaaatat ctgcttcact cacggacaga aagactgttt agagtgcttt cccgtgtcag aatctcaacc cgtttctgtc gtcaaaaagg cgtatcagaa actgtgctac attcatcata tcatgggaaa ggtgccagac gcttgcactg cctgcgatct ggtcaatgtg gatttggatg actgcatctt tgaacaataa atgatttaaa tcaggtatgg ctgccgatgg ttatcttcca gattggctcg aggacactct ctctgaagga ataagacagt ggtggaagct caaacctggc ccaccaccac caaagcccgc agagcggcat aaggacgaca gcaggggtct tgtgcttcct gggtacaagt acctcggacc cttcaacgga ctcgacaagg gagagccggt caacgaggca gacgccgcgg ccctcgagca cgacaaagcc tacgaccggc agctcgacag cggagacaac ccgtacctca agtacaacca cgccgacgcg gagtttcagg agcgccttaa agaagatacg tcttttgggg gcaacctcgg acgagcagtc ttccaggcga aaaagagggt tcttgaacct ctgggcctgg ttgaggaacc tgttaagacg gctccgggaa aaaagaggcc ggtagagcac tctcctgtgg agccagactc ctcctcggga accggaaagg cgggccagca gcctgcaaga aaaagattga attttggtca gactggagac gcagactcag tacctgaccc ccagcctctc ggacagccac cagcagcccc ctctggtctg ggaactaata cgatggctac aggcagtggc gcaccaatgg cagacaataa cgagggcgcc gacggagtgg gtaattcctc gggaaattgg cattgcgatt ccacatggat gggcgacaga gtcatcacca ccagcacccg aacctgggcc ctgcccacct acaacaacca cctctacaaa caaatttcca gccaatcagg agcctcgaac gacaatcact actttggcta cagcacccct tgggggtatt ttgacttcaa cagattccac tgccactttt caccacgtga ctggcaaaga ctcatcaaca acaactgggg attccgaccc aagagactca acttcaagct ctttaacatt caagtcaaag aggtcacgca gaatgacggt acgacgacga ttgccaataa ccttaccagc acggttcagg tgtttactga ctcggagtac cagctcccgt acgtcctcgg ctcggcgcat caaggatgcc tcccgccgtt cccagcagac gtcttcatgg tgccacagta tggatacctc accctgaaca acgggagtca ggcagtagga cgctcttcat tttactgcct ggagtacttt ccttctcaga tgctgcgtac cggaaacaac tttaccttca gctacacttt tgaggacgtt cctttccaca gcagctacgc tcacagccag agtctggacc gtctcatgaa tcctctcatc gaccagtacc tgtattactt gagcagaaca aacactccaa gtggaaccac cacgcagtca aggcttcagt tttctcaggc cggagcgagt gacattcggg accagtctag gaactggctt cctggaccct gttaccgcca gcagcgagta tcaaagacat ctgcggataa caacaacagt gaatactcgt ggactggagc taccaagtac cacctcaatg gcagagactc tctggtgaat ccgggcccgg ccatggcaag ccacaaggac gatgaagaaa agttttttcc tcagagcggg gttctcatct ttgggaagca aggctcagag aaaacaaatg tggacattga aaaggtcatg attacagacg aagaggaaat caggacaacc aatcccgtgg ctacggagca gtatggttct gtatctacca acctccagag aggcaacaga caagcagcta ccgcagatgt caacacacaa ggcgttcttc caggcatggt ctggcaggac agagatgtgt accttcaggg gcccatctgg gcaaagattc cacacacgga cggacatttt cacccctctc ccctcatggg tggattcgga cttaaacacc ctcctccaca gattctcatc aagaacaccc cggtacctgc gaatccttcg accaccttca gtgcggcaaa gtttgcttcc ttcatcacac agtactccac gggacaggtc agcgtggaga tcgagtggga gctgcagaag gaaaacagca aacgctggaa tcccgaaatt cagtacactt ccaactacaa caagtctgtt aatgtggact ttactgtgga cactaatggc gtgtattcag agcctcgccc cattggcacc agatacctga ctcgtaatct gtaattgctt gttaatcaat aaaccgttta attcgtttca gttgaacttt ggtctctgcg tatttctttc ttatctagtt tccatgctct aggatccact agtaacggcc gccagtgtgc tggaattcgg ctttgtagtt aatgattaac ccgccatgct acttatctac gtagccatgc tctagaggtc ctgtattaga ggtcacgtga gtgttttgcg acattttgcg acaccatgtg gtcacgctgg gtatttaagc ccgagtgagc acgcagggtc tccattttga agcgggaggt ttgaacgcgc agccgccaag ccgaattctg cagatatcca aacactggcg gccgctcgac tagagcggcc gccaccgcgg tggagctcca gcttttgttc cctttagtga gggttaattg cgcgcttggc gtaatcatgg tcatagctgt ttcctgtgtg aaattgttat ccgctcacaa ttccacacaa catacgagcc ggaagcataa agtgtaaagc ctggggtgcc taatgagtga gctaactcac attaattgcg ttgcgctcac tgcccgcttt ccagtcggga aacctgtcgt gccagctgca ttaatgaatc ggccaacgcg cggggagagg cggtttgcgt attgggcgct cttccgcttc ctcgctcact gactcgctgc gctcggtcgt tcggctgcgg cgagcggtat cagctcactc aaaggcggta atacggttat ccacagaatc aggggataac gcaggaaaga acatgtgagc aaaaggccag caaaaggcca ggaaccgtaa aaaggccgcg ttgctggcgt ttttccatag gctccgcccc cctgacgagc atcacaaaaa tcgacgctca agtcagaggt ggcgaaaccc gacaggacta taaagatacc aggcgtttcc ccctggaagc tccctcgtgc gctctcctgt tccgaccctg ccgcttaccg gatacctgtc cgcctttctc ccttcgggaa gcgtggcgct ttctcatagc tcacgctgta ggtatctcag ttcggtgtag gtcgttcgct ccaagctggg ctgtgtgcac gaaccccccg ttcagcccga ccgctgcgcc ttatccggta actatcgtct tgagtccaac ccggtaagac acgacttatc gccactggca gcagccactg gtaacaggat tagcagagcg aggtatgtag gcggtgctac agagttcttg aagtggtggc ctaactacgg ctacactaga agaacagtat 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tacgccagct ggcgaaaggg ggatgtgctg caaggcgatt aagttgggta acgccagggt tttcccagtc acgacgttgt aaaacgacgg ccagtgagcg cgcgtaatac gactcactat agggcgaatt gggta
【0052】
配列番号1において、pAAV-RC2の85-1950残基はRepタンパク質、Rep78をコードし(484-663残基はP19プロモーターに相当、1464-1643残基はP40プロモーターに相当、1668-1676残基はドナー部位);1967-4174残基はキャプシドタンパク質VP1をコードし;1992-2016残基はRep68の部分をコードし;4175-4256残基はポリA配列をコードし;4610-4626残基はM13 Rev配列であり;4634-4650残基はLacオペレーター配列であり、;4658-4688はLacプロモーター配列であり;4951-5675残基はpMB ori 配列に相当し,5771-6631残基はアンピシリン耐性決定因子をコードし;そして、6632-6730残基はblaプロモーター配列である(
図4)。
【0053】
本明細書での使用において、「非AAVヘルパー機能」との用語は、rAVVの複製およびパッケージングに必要なAd,CMV,HSVまたは他の非AADウイルス(例えば,E1a,E1b,E2a,VAおよびE4)のタンパク質、および/またはAd,CMV,HSVまたは他の非AADウイルスのポリヌクレオチドを意味する。これらの非AAVヘルパー機能は「非AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチド」によって提供され、この用語は、本明細書での使用において、非AAVヘルパー機能を提供する、ウイルス、プラスミドベクター、非プラスミドベクター、または細胞染色体に組み込まれたポリヌクレオチドである。ベクター、pHelperおよびそれらの誘導体(Cell Biolabs,Inc.,InvitrogenおよびStratageneから商業的に利用可能である)は、適切な非AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドである(例えばMatsushita,T.他(1998)“Adeno-Associated Virus Vectors Can Be Efficiently Produced Without Helper Virus,”Gene Ther.5:938-945;Sharma,A.他(2010)“Transduction Efficiency Of AAV 2/6,2/8 And 2/9 Vectors For Delivering Genes In Human Corneal Fibroblasts,”Brain Res.Bull.81(2-3):273-278を参照のこと)。pHelper-Kanプラスミド(配列番号2;
図5)は非AAVヘルパー機能を提供するために本発明に従って使用され得る非AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドである。
プラスミドpHelper-Kanのコード鎖(配列番号2):
ggtacccaac tccatgctta acagtcccca ggtacagccc accctgcgtc gcaaccagga acagctctac agcttcctgg agcgccactc gccctacttc cgcagccaca gtgcgcagat taggagcgcc acttcttttt gtcacttgaa aaacatgtaa aaataatgta ctaggagaca ctttcaataa aggcaaatgt ttttatttgt acactctcgg gtgattattt accccccacc cttgccgtct gcgccgttta aaaatcaaag gggttctgcc gcgcatcgct atgcgccact ggcagggaca cgttgcgata ctggtgttta gtgctccact taaactcagg cacaaccatc cgcggcagct cggtgaagtt ttcactccac aggctgcgca ccatcaccaa cgcgtttagc aggtcgggcg ccgatatctt gaagtcgcag ttggggcctc cgccctgcgc gcgcgagttg cgatacacag ggttgcagca ctggaacact atcagcgccg ggtggtgcac gctggccagc acgctcttgt cggagatcag atccgcgtcc aggtcctccg cgttgctcag ggcgaacgga gtcaactttg gtagctgcct tcccaaaaag ggtgcatgcc caggctttga gttgcactcg caccgtagtg gcatcagaag gtgaccgtgc ccggtctggg cgttaggata cagcgcctgc atgaaagcct tgatctgctt aaaagccacc tgagcctttg cgccttcaga gaagaacatg ccgcaagact tgccggaaaa ctgattggcc ggacaggccg cgtcatgcac gcagcacctt gcgtcggtgt tggagatctg caccacattt cggccccacc ggttcttcac gatcttggcc ttgctagact gctccttcag cgcgcgctgc ccgttttcgc tcgtcacatc catttcaatc acgtgctcct tatttatcat aatgctcccg tgtagacact taagctcgcc ttcgatctca gcgcagcggt gcagccacaa cgcgcagccc gtgggctcgt ggtgcttgta ggttacctct gcaaacgact gcaggtacgc ctgcaggaat cgccccatca tcgtcacaaa ggtcttgttg ctggtgaagg tcagctgcaa cccgcggtgc tcctcgttta gccaggtctt gcatacggcc gccagagctt ccacttggtc aggcagtagc ttgaagtttg cctttagatc gttatccacg tggtacttgt ccatcaacgc gcgcgcagcc tccatgccct tctcccacgc agacacgatc ggcaggctca gcgggtttat caccgtgctt tcactttccg cttcactgga ctcttccttt tcctcttgcg tccgcatacc ccgcgccact gggtcgtctt cattcagccg ccgcaccgtg cgcttacctc ccttgccgtg cttgattagc accggtgggt tgctgaaacc caccatttgt agcgccacat cttctctttc ttcctcgctg tccacgatca cctctgggga tggcgggcgc tcgggcttgg gagaggggcg cttctttttc tttttggacg caatggccaa atccgccgtc gaggtcgatg gccgcgggct gggtgtgcgc ggcaccagcg catcttgtga cgagtcttct tcgtcctcgg actcgagacg ccgcctcagc cgcttttttg ggggcgcgcg gggaggcggc ggcgacggcg acggggacga cacgtcctcc atggttggtg gacgtcgcgc cgcaccgcgt ccgcgctcgg gggtggtttc 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gtgcgccgtg cacgacccct ggagagggat gcaaacttgc aagaacaaac cgaggagggc ctacccgcag ttggcgatga gcagctggcg cgctggcttg agacgcgcga gcctgccgac ttggaggagc gacgcaagct aatgatggcc gcagtgcttg ttaccgtgga gcttgagtgc atgcagcggt tctttgctga cccggagatg cagcgcaagc tagaggaaac gttgcactac acctttcgcc agggctacgt gcgccaggcc tgcaaaattt ccaacgtgga gctctgcaac ctggtctcct accttggaat tttgcacgaa aaccgcctcg ggcaaaacgt gcttcattcc acgctcaagg gcgaggcgcg ccgcgactac gtccgcgact gcgtttactt atttctgtgc tacacctggc aaacggccat gggcgtgtgg cagcaatgcc tggaggagcg caacctaaag gagctgcaga agctgctaaa gcaaaacttg aaggacctat ggacggcctt caacgagcgc tccgtggccg cgcacctggc ggacattatc ttccccgaac gcctgcttaa aaccctgcaa cagggtctgc cagacttcac cagtcaaagc atgttgcaaa actttaggaa ctttatccta gagcgttcag gaattctgcc cgccacctgc tgtgcgcttc ctagcgactt tgtgcccatt aagtaccgtg aatgccctcc gccgctttgg ggtcactgct accttctgca gctagccaac taccttgcct accactccga catcatggaa gacgtgagcg gtgacggcct actggagtgt cactgtcgct gcaacctatg caccccgcac cgctccctgg tctgcaattc gcaactgctt agcgaaagtc 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gttcagctgg ccctgcgaag ggacctacgg gatcgcggta tttttgttaa tgttccgctt ttgaatctta tacaggtctg tgaggaacct gaatttttgc aatcatgatt cgctgcttga ggctgaaggt ggagggcgct ctggagcaga tttttacaat ggccggactt aatattcggg atttgcttag agacatattg ataaggtggc gagatgaaaa ttatttgggc atggttgaag gtgctggaat gtttatagag gagattcacc ctgaagggtt tagcctttac gtccacttgg acgtgagggc agtttgcctt ttggaagcca ttgtgcaaca tcttacaaat gccattatct gttctttggc tgtagagttt gaccacgcca ccggagggga gcgcgttcac ttaatagatc ttcattttga ggttttggat aatcttttgg aataaaaaaa aaaaaacatg gttcttccag ctcttcccgc tcctcccgtg tgtgactcgc agaacgaatg tgtaggttgg ctgggtgtgg cttattctgc ggtggtggat gttatcaggg cagcggcgca tgaaggagtt tacatagaac ccgaagccag ggggcgcctg gatgctttga gagagtggat atactacaac tactacacag agcgagctaa gcgacgagac cggagacgca gatctgtttg tcacgcccgc acctggtttt gcttcaggaa atatgactac gtccggcgtt ccatttggca tgacactacg accaacacga tctcggttgt ctcggcgcac tccgtacagt agggatcgcc tacctccttt tgagacagag acccgcgcta ccatactgga ggatcatccg ctgctgcccg aatgtaacac tttgacaatg cacaacgtga 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ggccagccgg ggagaaagga ctgtgtactc tgtgtgttgg gagggaggtg gcaggttgaa tactagggtt ctgtgagttt gattaaggta cggtgatcaa tataagctat gtggtggtgg ggctatacta ctgaatgaaa aatgacttga aattttctgc aattgaaaaa taaacacgtt gaaacataac atgcaacagg ttcacgattc tttattcctg ggcaatgtag gagaaggtgt aagagttggt agcaaaagtt tcagtggtgt attttccact ttcccaggac catgtaaaag acatagagta agtgcttacc tcgctagttt ctgtggattc actagaatcg atgtaggatg ttgcccctcc tgacgcggta ggagaagggg agggtgccct gcatgtctgc cgctgctctt gctcttgccg ctgctgagga ggggggcgca tctgccgcag caccggatgc atctgggaaa agcaaaaaag gggctcgtcc ctgtttccgg aggaatttgc aagcggggtc ttgcatgacg gggaggcaaa cccccgttcg ccgcagtccg gccggcccga gactcgaacc gggggtcctg cgactcaacc cttggaaaat aaccctccgg ctacagggag cgagccactt aatgctttcg ctttccagcc taaccgctta cgccgcgcgc ggccagtggc caaaaaagct agcgcagcag ccgccgcgcc tggaaggaag ccaaaaggag cgctcccccg ttgtctgacg tcgcacacct gggttcgaca cgcgggcggt aaccgcatgg atcacggcgg acggccggat ccggggttcg aaccccggtc gtccgccatg atacccttgc gaatttatcc accagaccac ggaagagtgc ccgcttacag gctctccttt tgcacggtct agagcgtcaa cgactgcgca cgcctcaccg gccagagcgt cccgaccatg gagcactttt tgccgctgcg caacatctgg aaccgcgtcc gcgactttcc gcgcgcctcc accaccgccg ccggcatcac ctggatgtcc aggtacatct acggattacg tcgacgttta aaccatatga tcagctcact
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【0054】
配列番号2において、pHelper-Kanの1-5343残基はアデノウイルスに由来しE2Aタンパク質をコードするポリヌクレオチド(258-1847残基)を含み;5344-8535残基はアデノウイルスに由来し、E4またはE6タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み;9423-10011残基はori配列に相当し;10182-10976残基はblaプロモーター配列によって発現されるカナマイシン耐性決定因子(10977-11081残基)をコードし;11107-11561残基はf1 ori配列に相当する(
図5)。
【0055】
上記で議論されたように、AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドと非AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドは典型的にはrAAVプラスミドベクターと協働して使用され、トリプルトランスフェクションシステムを含む。複数の商業的に利用可能なrAAVプラスミドベクター(例えばpAV-CMV-EGFP,pGOIなど(Cell Biolabs,Inc.,Invitrogen and Stratagene))は、本発明に従って使用され得る。本発明に従って使用され得る例示的なrAAVプラスミドベクターは、5’ITR,U6プロモーター,CMVエンハンサーおよびプロモーター配列、増強された緑色蛍光タンパク質(EGFP)をコードするポリヌクレオチド(Gambotto,A.他(2000)“Immunogenicity Of Enhanced Green Fluorescent Protein(EGFP)In BALB/C Mice:Identification Of An H2-Kd-Restricted CTL Epitope,”Gene Ther.7(23):2036-2040;Tsien,R.Y.(1998)“The Green Fluorescent Protein,”Annu.Rev.Biochem.67:509-544;Cinelli,R.A.他(2000)“The Enhanced Green Fluorescent Protein As A Tool For The Analysis Of Protein Dynamics And Localization:Local Fluorescence Study At The Single-Molecule Level,”Photochem.Photobiol.71(6):771-776;Chopra A.(2008)“Recombinant Adenovirus With Enhanced Green Fluorescent Protein,”In:Molecular Imaging and Contrast Agent Database(MICAD),National Center for Biotechnology Information,Bethesda MD),発現タンパク質の回収および局在を容易化するFLAGタグおよび6×Hisタグ部位,SV40ポリ(A)部位および3’ITRを含むpAV-CMV-EGFP(配列番号3;
図6)である。
プラスミドpAV-CMV-EGFPのコード鎖(配列番号3):
cctgcaggca gctgcgcgct cgctcgctca ctgaggccgc ccgggcgtcg ggcgaccttt ggtcgcccgg ccctccagtg agcgagcgcg cagagaggga gtggccaact ccatcactag gggttcctgc ggccgcacgc gtctagttat taatagtaat cgaattcgtg ttactcataa ctagtaaggt cgggcaggaa gagggcctat ttcccatgat tccttcatat ttgcatatac gatacaaggc tgttagagag ataattagaa ttaatttgac tgtaaacaca aagatattag tacaaaatac gtgacgtaga aagtaataat ttcttgggta gtttgcagtt ttaaaattat gttttaaaat ggactatcat atgcttaccg taacttgaaa gtatttcgat ttcttgggtt tatatatctt gtggaaagga cgcgggatcc actggaccag gcagcagcgt cagaagactt ttttggaaaa gcttgactag taatactgta atagtaatca attacggggt cattagttca tagcccatat atggagttcc gcgttacata acttacggta aatggcccgc ctggctgacc gcccaacgac ccccgcccat tgacgtcaat aatgacgtat gttcccatag taacgccaat agggactttc cattgacgtc aatgggtgga gtatttacgg taaactgccc acttggcagt acatcaagtg tatcatatgc caagtacgcc ccctattgac gtcaatgacg gtaaatggcc cgcctggcat tatgcccagt acatgacctt atgggacttt cctacttggc agtacatcta cgtattagtc atcgctatta ccatggtgat gcggttttgg cagtacatca atgggcgtgg atagcggttt gactcacggg gatttccaag tctccacccc attgacgtca atgggagttt gttttgcacc aaaatcaacg ggactttcca aaatgtcgta acaactccgc cccattgacg caaatgggcg gtaggcgtgt acggtgggag gtctatataa gcagagctgg tttagtgaac cgtcagatcc gctagagatc cggtaccgag gagatctgcc gccgcgatcg ccggcgcgcc agatctcacg cttaactagc tagcggaccg acgcgtacgc ggccgctcga gatggtgagc aagggcgagg agctgttcac cggggtggtg cccatcctgg tcgagctgga cggcgacgta aacggccaca agttcagcgt gtccggcgag ggcgagggcg atgccaccta cggcaagctg accctgaagt tcatctgcac caccggcaag ctgcccgtgc cctggcccac cctcgtgacc accctgacct acggcgtgca gtgcttcagc cgctaccccg accacatgaa gcagcacgac ttcttcaagt ccgccatgcc cgaaggctac gtccaggagc gcaccatctt cttcaaggac gacggcaact acaagacccg cgccgaggtg aagttcgagg gcgacaccct ggtgaaccgc atcgagctga agggcatcga cttcaaggag gacggcaaca tcctggggca caagctggag tacaactaca acagccacaa cgtctatatc atggccgaca agcagaagaa cggcatcaag gtgaacttca agatccgcca caacatcgag gacggcagcg tgcagctcgc cgaccactac cagcagaaca cccccatcgg cgacggcccc gtgctgctgc ccgacaacca ctacctgagc acccagtccg ccctgagcaa 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aatgacttgg ttgagtactc accagtcaca gaaaagcatc ttacggatgg catgacagta agagaattat gcagtgctgc cataaccatg agtgataaca ctgcggccaa cttacttctg acaacgatcg gaggaccgaa ggagctaacc gcttttttgc acaacatggg ggatcatgta actcgccttg atcgttggga accggagctg aatgaagcca taccaaacga cgagcgtgac accacgatgc ctgtagcaat ggcaacaacg ttgcgcaaac tattaactgg cgaactactt actctagctt cccggcaaca attaatagac tggatggagg cggataaagt tgcaggacca cttctgcgct cggcccttcc ggctggctgg tttattgctg ataaatctgg agccggtgag cgtgggtctc gcggtatcat tgcagcactg gggccagatg gtaagccctc ccgtatcgta gttatctaca cgacggggag tcaggcaact atggatgaac gaaatagaca gatcgctgag ataggtgcct cactgattaa gcattggtaa ctgtcagacc aagtttactc atatatactt tagattgatt taaaacttca tttttaattt aaaaggatct aggtgaagat cctttttgat aatctcatga ccaaaatccc ttaacgtgag ttttcgttcc actgagcgtc agaccccgta gaaaagatca aaggatcttc ttgagatcct ttttttctgc gcgtaatctg ctgcttgcaa acaaaaaaac caccgctacc agcggtggtt tgtttgccgg atcaagagct accaactctt tttccgaagg taactggctt cagcagagcg cagataccaa atactgtcct tctagtgtag ccgtagttag gccaccactt caagaactct gtagcaccgc ctacatacct cgctctgcta atcctgttac cagtggctgc tgccagtggc gataagtcgt gtcttaccgg gttggactca agacgatagt taccggataa ggcgcagcgg tcgggctgaa cggggggttc gtgcacacag cccagcttgg agcgaacgac ctacaccgaa ctgagatacc tacagcgtga gctatgagaa agcgccacgc ttcccgaagg gagaaaggcg gacaggtatc cggtaagcgg cagggtcgga acaggagagc gcacgaggga gcttccaggg ggaaacgcct ggtatcttta tagtcctgtc gggtttcgcc acctctgact tgagcgtcga tttttgtgat gctcgtcagg ggggcggagc ctatggaaaa acgccagcaa cgcggccttt ttacggttcc tggccttttg ctggcctttt gctcacatgt
【0056】
配列番号3において、pAV-CMV-EGFPの1-128残基は5’ITRに相当し;201-441残基はU6プロモーター配列であり、562-865残基はヒトサイトメガロウイルス(CMV)最初期エンハンサー(immediate early enhancer)配列、866-1068残基はCMV最初期プロモーター(immediate early promoter)配列を含み;1192-1911残基はEGFPをコードする哺乳動物コドン最適化ポリヌクレオチドを含み;1918-1941残基はFLAGタグをコードし;1951-1968残基は6×Hisタグをコードし、2139-2260残基はSV40ポリ(A)配列をコードし、2293-2433残基は3’ITRに相当し;2508-22963残基はF1 ori配列に相当し;3350-4210残基はblaプロモーター配列(3245-3349残基)によって発現されるアンピシリン耐性決定因子とそのシグナル配列(3350-3418残基)をコードし;4381-4969残基はori配列に相当する(
図6)。
【0057】
本発明に従って使用され得る第二の例示的なプラスミドベクターは5’ITR,甲状腺ホルモン結合グロブリン(TBG)プロモーター,増強された緑色蛍光タンパク質(EGFP)をコードするポリヌクレオチド,発現タンパク質の回収および局在を容易化するFLAGタグおよび6×Hisタグ部位,SV40ポリ(A)部位および3’ITRを含むpAV-TBG-EGFP(配列番号4;
図7)である。
pAV-TBG-EGFPプラスミドのコード鎖(配列番号4):
cctgcaggca gctgcgcgct cgctcgctca ctgaggccgc ccgggcgtcg ggcgaccttt ggtcgcccgg cctcagtgag cgagcgagcg cgcagagagg gagtggccaa ctccatcact aggggttcct gcggccggtc gcgtctagta ctagtaggtt aatttttaaa aagcagtcaa aagtccaagt ggcccttggc agcatttact ctctctgttt gctctggtta ataatctcag gagcacaaac attccagatc caggttaatt tttaaaaagc agtcaaaagt ccaagtggcc cttggcagca tttactctct ctgtttgctc tggttaataa tctcaggagc acaaacattc cagatccggc gcgccagggc tggaagctac ctttgacatc atttcctctg cgaatgcatg tataatttct acagaaccta ttagaaagga tcacccagcc tctgcttttg tacaactttc ccttaaaaaa ctgccaattc cactgctgtt tggcccaata gtgagaactt tttcctgctg cctcttggtg cttttgccta tggcccctat tctgcctgct gaagacactc ttgccagcat ggacttaaac ccctccagct ctgacaatcc tctttctctt ttgttttaca tgaagggtct ggcagccaaa gcaatcactc aaagttcaaa ccttatcatt ttttgctttg ttcctcttgg ccttggtttt gtacatcagc tttgaaaata ccatcccagg gttaatgctg gggttaattt ataactaaga gtgctctagt tttgcaatac aggacatgct ataaaaatgg aaagatgttg ctttctgaga gacaggtacc gaggagatct gccgccgcga tcgccaccat ggtgagcaag ggcgaggagc tgttcaccgg ggtggtgccc atcctggtcg agctggacgg cgacgtaaac ggccacaagt tcagcgtgtc cggcgagggc gagggcgatg ccacttacgg caagctgacc ctgaagttca tctgcaccac cggcaagctg cccgtgccct ggcccaccct cgtgaccacc ctgacctacg gcgtgcagtg cttcagccgc taccccgacc acatgaagca gcacgacttc ttcaagtccg ccatgcccga aggctacgtc caggagcgca ccatcttctt caaggacgac ggcaactaca agacccgcgc cgaggtgaag ttcgagggcg acaccctggt gaaccgcatc gagctgaagg gcatcgactt caaggaggac ggcaacatcc tggggcacaa gctggagtac aactacaaca gccacaacgt ctatatcatg gccgacaagc agaagaacgg catcaaggtg aacttcaaga tccgccacaa catcgaggac ggcagcgtgc agctcgccga ccactaccag cagaacaccc ccatcggcga cggccccgtg ctgctgcccg acaaccacta cctgagcacc cagtccgccc tgagcaaaga ccccaacgag aagcgcgatc acatggtcct gctggagttc gtgaccgccg ccgggatcac tctcggcatg gacgagctgt acaagtagac gcgtacgcgg ccgctcgagg attataagga tgacgacgat aaattcgtcg agcaccacca ccaccaccac taataaggtt tatccgatcc accggatcta gataagatat ccgatccacc ggatctagat aactgatcat aatcagccat accacatttg tagaggtttt acttgcttta aaaaacctcc cacacctccc cctgaacctg aaacataaaa tgaatgcaat tgttgttgtt aacttgttta ttgcagctta taatggttac aaataaagca atagcatcac aaatttcaca aataaagcat ttttttcact gcattctagt tgtggtttgt ccaaactcat caatgtatct taacgcggta accacgtgcg gacccaacgg ccgcaggaac ccctagtgat ggagttggcc actccctctc tgcgcgctcg ctcgctcact gaggccgggc gaccaaaggt cgcccgacgc ccgggctttg cccgggcggc ctcagtgagc gagcgagcgc gcagctgcct gcaggggcgc ctgatgcggt attttctcct tacgcatctg tgcggtattt cacaccgcat acgtcaaagc aaccatagta cgcgccctgt agcggcacat taagcgcggc gggtgtggtg gttacgcgca gcgtgaccgc tacacctgcc agcgccttag cgcccgctcc tttcgctttc ttcccttcct ttctcgccac gttcgccggc tttccccgtc aagctctaaa tcgggggctc cctttagggt tccgatttag tgctttacgg cacctcgacc ccaaaaaact tgatttgggt gatggttcac gtagtgggcc atcgccctga tagacggttt ttcgcccttt gacgttggag tccacgttct ttaatagtgg actcttgttc caaactggaa caacactcaa ctctatctcg ggctattctt ttgatttata agggattttg ccgatttcgg tctattggtt aaaaaatgag ctgatttaac aaaaatttaa cgcgaatttt aacaaaatat taacgtttac aattttatgg tgcactctca gtacaatctg ctctgatgcc gcatagttaa gccagccccg 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ggcgaactac ttactctagc ttcccggcaa caattaatag actggatgga ggcggataaa gttgcaggac cacttctgcg ctcggccctt ccggctggct ggtttattgc tgataaatct ggagccggtg agcgtgggtc tcgcggtatc attgcagcac tggggccaga tggtaagccc tcccgtatcg tagttatcta cacgacgggg agtcaggcaa ctatggatga acgaaataga cagatcgctg agataggtgc ctcactgatt aagcattggt aactgtcaga ccaagtttac tcatatatac tttagattga tttaaaactt catttttaat ttaaaaggat ctaggtgaag atcctttttg ataatctcat gaccaaaatc ccttaacgtg agttttcgtt ccactgagcg tcagaccccg tagaaaagat caaaggatct tcttgagatc ctttttttct gcgcgtaatc tgctgcttgc aaacaaaaaa accaccgcta ccagcggtgg tttgtttgcc ggatcaagag ctaccaactc tttttccgaa ggtaactggc ttcagcagag cgcagatacc aaatactgtt cttctagtgt agccgtagtt aggccaccac ttcaagaact ctgtagcacc gcctacatac ctcgctctgc taatcctgtt accagtggct gctgccagtg gcgataagtc gtgtcttacc gggttggact caagacgata gttaccggat aaggcgcagc ggtcgggctg aacggggggt tcgtgcacac agcccagctt ggagcgaacg acctacaccg aactgagata cctacagcgt gagctatgag aaagcgccac gcttcccgaa gggagaaagg cggacaggta tccggtaagc ggcagggtcg gaacaggaga gcgcacgagg gagcttccag ggggaaacgc ctggtatctt tatagtcctg tcgggtttcg ccacctctga cttgagcgtc gatttttgtg atgctcgtca ggggggcgga gcctatggaa aaacgccagc aacgcggcct ttttacggtt cctggccttt tgctggcctt ttgctcacat gt
【0058】
配列番号4において、pAV-TBG-EGFPの1-130残基は5’ITRに相当し;150-854残基は,TBGを含む415-824残基と共にTBGプロモーター配列であり;886-1608残基はEGFPをコードし;1630-1653残基はFLAGタグをコードし;1663-1680残基は6×Hisタグをコードし;1851-1972残基はポリ(A)配列をコードし;2005-2145残基は3’ITRに相当し;2220-2675残基はF1 ori配列に相当し;3062-3922残基はblaプロモーター配列(2957-3061残基)によって発現されるアンピシリン耐性決定因子とそのシグナル配列(3062-3130残基)をコードし;4093-4681残基はori配列に相当する(
図7)。
【0059】
特に、本発明は、pAV-CMV-EGFPまたはpAV-TBG-EGFPなどの組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、そのP1,P2,P3またはP4ドメインの1以上にシスエレメントを含み、
(1)前記P1ドメインは前記rAAVの5’ITRに対し5’であり;
(2)前記P2ドメインは前記rAAVの5’ITRに対し3’であり、かつ、前記rAAVの導入遺伝子カセットに対し5’であり;
(3)前記P3ドメインは前記rAAVの前記導入遺伝子カセットに対し3’であり、かつ、前記rAAVの3’ITRに対し5’であり;
(4)前記p4ドメインは前記rAAVの前記3’ITRに対し3’であり;そして
前記シスエレメントの存在は、rAAV産生細胞が、前記シスエレメントを欠く場合に得られるそのようなrAAVよりも高い産生力価で該rAAVを産生することを引き起こす、rAAVを提供する。
【0060】
一実施形態では、シスエレメントは、rAAVベクター中に以前は存在しなかった導入されたヌクレオチド配列を含むことが好ましい。他の実施形態では、前記導入されたヌクレオチド配列は、そのようなrAAVプラスミドベクター中に以前に存在しており、そのような以前に存在したヌクレオチド配列に隣接して、またはすぐ隣に隣接して、組換えによって産生されたrAAVプラスミドベクター中に位置している。あるいは、そのような導入されたヌクレオチド配列は、そのような以前に存在したヌクレオチド配列に隣接しない部位に配置され得る。
【0061】
図8に示すように、本発明のrAAVまたはrAAVプラスミドベクターは、5’から3’の方向に、以下を有することが想定される:
(1)rAAVの5’末端;
(2)ポリヌクレオチド領域(「P1ドメイン」);
(3)rAAVの導入遺伝子カセットのコード鎖を構成するポリヌクレオチド鎖の5’末端またはその近傍に位置するITRである「5’ITR」;
(4)ポリヌクレオチド領域(「P2ドメイン」);
(5)導入遺伝子カセット(先行する(すなわち5’に位置する)プロモーター(「Pro」)、導入遺伝子コード配列(「Gene」)、および次の(すなわち、3’に位置する)ポリ-A配列(「PolyA」)を含む);
(6)ポリヌクレオチド領域(「P3ドメイン」);
(7)rAAVの導入遺伝子カセットのコード鎖を構成するポリヌクレオチド鎖の3’末端またはその近傍に位置するITRである「3’ITR」;
(8)ポリヌクレオチド領域(「P4ドメイン」);および
(9)rAAVの3’末端」。
【0062】
このようなP1、P2、P3、およびP4ドメインは、いずれかの特定のrAAVまたはrAAVプラスミドベクター中にすべて存在する必要はなく、rAAVまたはrAAVプラスミドベクターは、これらのドメインのいずれか1、2、または3を欠失していてもよく、またはこのようなドメインの4つすべてを欠失していてもよい。このようなドメインの境界は、rAAVまたはrAAVプラスミドベクターの他のドメインによって規定される。したがって、P1ドメインは、rAAVまたはrAAVプラスミドベクターの5’末端から5’ITRの5’末端まで広がっている。pAV-CMV-EGFPまたはpAV-TBG-EGFPのPciI部位は、シスエレメントの挿入のためのrAAVまたはrAAVプラスミドベクターのP1ドメイン内の適切な部位の一例である。P2ドメインは、5’ITRの3’末端から導入遺伝子カセットの5’末端まで延びている。P3ドメインは、導入遺伝子カセットの3’末端から3’ITRの5’末端まで延びている。pAV-CMV-EGFPのEcoR1部位またはpAV-TBG-EGFPのSpeI部位は、シスエレメントの挿入のためのrAAVまたはrAAVプラスミドベクターのP2ドメイン内の適切な部位の例である。P3ドメインは、ポリ(A)配列の3’末端からrAAVまたはrAAVプラスミドベクターの3’ITRまで広がっている。pAV-CMV-EGFPまたはpAV-TBG-EGFPのPmlI部位は、シスエレメントの挿入のためのrAAVまたはrAAVプラスミドベクターのP3ドメイン内の適切な部位の例である。P4ドメインは、3’ITRの3’末端からrAAVまたはrAAVプラスミドベクターの3’末端まで広がっている。pAV-CMV-EGFPまたはpAV-TBG-EGFPのKasI部位は、シスエレメントの挿入のためのrAAVまたはrAAVプラスミドベクターのP4ドメイン内の適切な部位の一例である。特定のP1、P2、P3、またはP4ドメイン内での本発明のシスエレメントの正確な位置は、そのような位置にあるシスエレメントがrAAV産生力価の増加を媒介する能力にとって重要ではない。シスエレメントの挿入は、シスエレメントを適当な制限部位に連結することによって、またはそのようなシスエレメントを設置するためのプライマーを使用することによって行うことができる。
【0063】
本発明は、特定のシスエレメントを同定するために、CisE1、CisE2などの命名法を用いる。このような指示の後には、シスエレメントが(それぞれ)rAAVにその順方向または逆方向に挿入されていることを示すために、「For」または「Rev」が続く場合がある。「For」または「Rev」が示されていない場合、シスエレメントは順方向でrAAVに挿入されている。最後に、本発明は、シスエレメントが挿入されたドメインを示すために、命名法P1、P2、P3またはP4ドメインを使用する。したがって、例えば、P1ドメイン内に、その順方向に本発明のシスエレメントCisE1を含有するrAAVまたはrAAVプラスミドベクターは、本明細書においては、「CisE1-For-P1」または「CisE1-P1」という名称で呼ばれ、P2ドメイン内に、その順方向に本発明のシスエレメントCisE21を含有するrAAVまたはrAAVプラスミドベクターは、本明細書においては、「CisE21-For-P2」または「CisE1-P2」という名称で呼ばれ、P4ドメイン内に、その逆方向に本発明のシスエレメントCisE30を含有するrAAVまたはrAAVプラスミドベクターは、本明細書においては、「CisE30-Rev-P4」という名称で呼ばれる。したがって、
図8に概略的に示された構成体を参照すると、構成体CisE-P1、CisE-Rev-P1、CisE-P1&P4、CisE-P1~P4はすべて、P1ドメイン内にシスエレメントを含む(CisE-Rev-P1のように、シスエレメントの方向が反転する場合がある);CisE-P1&P4構築物には、P1ドメイン内およびP4ドメイン内にシスエレメントを含む。構築物CisE-P1~P4には、P1、P2、P3、およびP4ドメイン内にシスエレメントを含む。
【0064】
一実施形態では、そのようなシスエレメントは、G四重鎖構造を形成することができる、実際のまたは潜在的な「G四重鎖配列」である。本発明に特に関連するG四重鎖構造は、単一のポリヌクレオチド鎖のみを含み、各々が3個以上のデオキシグアノシン残基からなる4つのシリーズの一般式を有し、第1、第2および第3のそのようなシリーズは、第4のそのようなシリーズから他の1から7のヌクレオチド残基によって分離される。
【0065】
ある場合には、特定のポリヌクレオチドは、G四重鎖配列を含むことが知られている配列(すなわち、「実際のG四重鎖配列」)を含むだろう。他の場合には、特定の配列は、G四重鎖構造を形成し得るG四重鎖配列(すなわち、「潜在的G四重鎖配列」)を含むことが予測される。
特定のポリヌクレオチドが潜在的なG四重鎖配列であるかどうかを決定するための予測アルゴリズムはよく知られており、したがって、特定のポリヌクレオチドが潜在的なG四重鎖配列であるかどうかの認識は容易に達成され得る。そのような予測アルゴリズムの例は、G 4 P計算機を含む(Eddy,J.他(2006)“Gene Function Correlates With Potential For G4 DNA Formation In The Human Genome,”Nucleic Acids Res.34:3887-3896),QuadParser(Huppert,J.L.他(2005)“Preはlence Of Quadruplexes In The Human Genome,”Nucleic Acids Res.33:2908-29168)and GHunter(Bedrat,A.他(2016)“Re-evaluation of G-Quadruplex propensity with G4Hunter,”Nucleic Acids Res.44(4):1746-1759)は可能性のあるG四重鎖配列を同定するために開発された(Huppert,J.L.他(2007)“G-Quadruplexes In Promoters Throughout The Human Genome,”Nucleic Acids Res.35:406-413;Verma,A.他(2008)“Genome-Wide Computational And Expression Analyses Reveal G-Quadruplex DNA Motifs As Conserved Cis-Regulatory Elements In Human And Related Species,”J.Med.Chem.51:5641-5649)。
【0066】
本発明はさらに、高レベルの組換えウイルスゲノムを複製するように遺伝子操作されたプラスミドのような組成物を包含する。ウイルスゲノムの複製は、複製起点、プロモーターおよびエンハンサーを含むシスエレメントの使用を介して調節され得る。このようなシスエレメントは、AAVベクターをパックするように設計された組換えプラスミドに遺伝子操作することができる。さらに、本発明は、シスエレメントをITRの前または後に配置することができることを包括する。
【0067】
AAV産生を増加させる本発明のシスエレメントは特に以下を含む:
(1)野生型AAVゲノムの潜在的G四重鎖配列(すなわち,CisE1-CisE16(配列番号:5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33および35)),または逆方向の潜在的G四重鎖配列(すなわち、CisE1-Rev-CisE16-Rev(配列番号:6,8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,28,30,32,34および36));
(2)実際のG四重鎖配列(すなわち、CisE17-CisE20(配列番号:37,39,41および43))または逆方向の実際のG四重鎖配列(すなわち,CisE17-Rev-CisE20-Rev(配列番号:38,40,42および44);
(3)野生型AAVからの他のDNA配列(すなわち、CisE21-CisE26およびCisE31-CisE35(配列番号:45,47,49,51,53,55,65,67,69,71および73))または逆方向の野生型AAVからの他のDNA配列(すなわち、CisE21-Rev-CisE26-RevおよびCisE31-Rev-CisE35-Rev(配列番号:46,48,50,52,54,56,66,68,72および74);および
(4) 他のウイルスゲノムからのDNA配列(すなわち、CisE27-CisE30(配列番号:57,59,61および63))または逆方向の他のウイルスからのそのようなDNA配列(すなわち、CisE27-Rev-CisE30-Rev(配列番号:58,60,62および64)およびヒトゲノム。
【0068】
表1は、本発明のこのような好ましい例示的シスエレメントの配列、配列の名称、および起源を提供する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【0069】
本発明における1以上のCisエレメントを含むことはAAV産生力価を増大する。本明細書での使用において、用語「産生力価」は調製物中の感染性rAAVの濃度の量を示すことを意図する。このような量または濃度は、好ましくは、このような調製物中のAAVまたはrAAVを力価化(titering)することによって決定される。本発明のrAAV調製物の産生力価は、好ましくは、産生細胞(例えば、rAAVプラスミドベクター、RepおよびCapタンパク質を提供するAAVヘルパーベクター、および必要なアデノウイルス転写および翻訳因子を提供するAdヘルパーベクターで形質転換されたHEK293)を3回凍結/解凍した後、超音波処理してrAAV粒子の放出に供した後、力価化される。次いで、調製物は遠心分離される。使用されるAAVヘルパーベクターは上清に局在する。調製物のアリコートはプロテイナーゼKで処理され、AAVゲノムの数が決定される。調製物のアリコートを(AAV2 RepおよびCapを発現する)HeLa-32 C2細胞に感染させ、感染力価は感染中心アッセイ(ICA)(Francois,A.他(2018)“Accurate Titration of Infectious AAV Particles Requires Measurement of Biologically Active Vector Genomes and Suitable Controls,”Molec.Ther.Meth.Clin.Develop.10:223-236)を用いて、またはより好ましくは、組織培養感染用量の中央値(TCID 50)として測定される(Zen,Z.他(2004)“Infectious Titer Assay For Adeno-Associated Virus Vectors With Sensitivity Sufficient To Detect Single Infectious Events,”Hum.Gene Ther.15:709-715)。
【0070】
本明細書中において、もし、本発明の方法の使用から得られた産生力価が、追加的に提供されたイオンが提供されなかった同様に実施された産生から得られた力価より、少なくとも10%大きい、より好ましくは少なくとも20%大きい,さらに好ましくは少なくとも30%大きい,より好ましくは少なくとも40%大きい,より好ましくは少なくとも50%大きい,より好ましくは少なくとも60%大きい,より好ましくは少なくとも70%大きい,より好ましくは少なくとも80%大きい,より好ましくは少なくとも90%大きい,より好ましくは少なくとも2倍大きい,より好ましくは少なくとも110%大きい,より好ましくは少なくとも120%大きい,より好ましくは少なくとも130%大きい,より好ましくは少なくとも140%大きい,より好ましくは少なくとも2.5倍大きい,より好ましくは少なくとも160%大きい,より好ましくは少なくとも170%大きい,より好ましくは少なくとも180%大きい,より好ましくは少なくとも190%大きい,より好ましくは少なくとも3倍大きければ、rAAV産生力価が、本発明の方法によって「増加した」と言われる。
【0071】
本発明の方法を用いて産生力価を増加させることができるrAAVは、AAVキャプシド粒子内にカプセル化され得るrAAVプラスミドベクターにrAAVがパッケージングされることを可能にする任意の導入遺伝子カセットを含むことができる。限定されるものではないが、このような導入遺伝子カセットは、ヒト、霊長類(チンパンジー、テナガザル、ゴリラ、オランウータンなどを含む)、セルコピテクシン(cercopithecine)(ヒヒ、カニクイザル、ビロードサルなどを含む)、イヌ、グリリン(glirine)(ラット、マウス、ハムスター、モルモットなどを含む)、ネコ、ヒツジ、ヤギ、またはウマ起源であってもよい。
【0072】
好ましい実施形態において、そのようなrAAVまたはrAAVプラスミドベクターは、タンパク質(例えば、酵素、ホルモン、抗体、受容体、リガンドなど)をコードするか、または遺伝的もしくは遺伝的疾患もしくは状態に関連する転写された核酸を含み、その結果、そのような疾患もしくは状態を治療するための遺伝子治療において使用され得る。
【0073】
本発明の方法は、所望のrAAVまたはrAAVプラスミドベクター、ならびにそのようなrAAVまたはrAAVプラスミドベクターによって提供されないタンパク質またはRNA分子を提供することができる、1以上のウイルスおよび/またはヘルパープラスミドでトランスフェクトされた細胞において、rAAVおよびrAAVプラスミドベクターの産生力価を増加させるために使用することができる。上述のように、このようなタンパク質またはRNA分子には、ベクターの転写制御および複製、ならびにウイルスゲノムのウイルスカプセルへのパッケージングに必要なRep52およびRep78タンパク質をコードする遺伝子、およびrAAVの場合には、感染性粒子の形成に必要なVPキャプシドタンパク質をコードするcap遺伝子が含まれる。このようなタンパク質またはRNA分子には、AAVの増殖に必要なウイルス転写因子および翻訳因子(E1a、E1b、E2a、VAおよびE4)も含まれる。本発明のrAAVを産生するための、本発明の一実施形態において、これらの遺伝子およびRNA分子の全ては、rAAVと協働してダブルプラスミドトランスフェクションシステムを含むように、同一のヘルパーウイルス(より好ましくは、ヘルパーベクター)上に提供される。しかし、より好ましくは、本発明のrAAVを産生するために、必要なrepおよびcap遺伝子は、1つのプラスミドによって提供され、ウイルス転写および翻訳因子をコードする遺伝子は、第2のプラスミド上に提供され、そのようなプラスミドは、rAAVと協働して、トリプルプラスミドトランスフェクションシステムを含む。
【0074】
本発明の方法は、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9およびAAV10血清型ならびにrAAV1、rAAV2、rAAV5、rAAV6、rAAV7、rAAV8、rAAV9およびrAAV10血清型を含み、ハイブリッド血清型(例えば、AAV2/5およびrAAV2/5は、血清型2および5のハイブリッドであり、したがって、このような血清型の両方のトロフィズム(trophism)を含む、いずれかの血清型に属するrAAVの産生力価を増加させるために使用することができる。
【0075】
本発明の方法は、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、ワクシニアウイルスまたはパピローマウイルスによって提供される「ヘルパー」RNAまたはタンパク質を用いて産生されるrAAVの産生力価を増加させるために使用することができる。
【0076】
本発明の方法は、接着単層培養または懸濁培養において細胞によって産生されるrAAVの産生力価を増加させるために使用することができ、rAAVを産生することができる任意の方法とともに使用することができる。しかし、rAAVは、好ましくは、組織培養で成長させたベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、またはより好ましくは、ヒト胚腎臓(HEK)細胞を上述されたプラスミドベクターでトランスフェクトすることによって産生される。内因性レトロウイルスを欠くBHK細胞株BHK-21(ATCC CCL-10)は、好ましいBHK細胞株である。HEK細胞株HEK293(ATCC CRL-1573)、およびHEK293 T(ATCC CRL-3216:SV40T抗原に対する温度感受性遺伝子が挿入されたHEK293細胞株の高度にトランスフェクト可能な誘導体)またはHEK293T/17(トランスフェクションの容易さのために選択されたATCC(商標)CRL-11268)のような、その誘導体が特に好ましい。HEK293T/17SF細胞株(ATCC ACS-4500)は、無血清培地および懸濁液に適合した293T/17細胞株(ATCC CRL-11268)の誘導体であり、希望によって用いることができる。
【0077】
このような細胞を培養するための本発明の好ましい基本培地は、イーグル最小必須培地(ATCCカタログNo.30-2003)またはダルベッコの改変イーグル培地(DMEM;Mediatech,Manassas,VA)である。ウシ胎児血清(例えばFBS;HyClone Laboratories,South Logan,UT)を10%の最終濃度まで添加して完全増殖培地が作製される。イーグル最小必須培地およびダルベッコの改変イーグル培地は、様々な無機塩に加えて、アミノ酸、ビタミン、および必要に応じてグルコースを含有する複合培地である。ダルベッコの改変イーグル培地は、オリジナルのイーグル最小必須培地の約4倍のビタミンとアミノ酸を含み、2~4倍のグルコースを含むという点で培地は異なる。追加的に、それはpH表示用に硫酸第二鉄の形態の鉄とフェノールレッドを含有する(Yao,T他(2017)“Animal-Cell Culture Media:History,Characteristics,And Current Issues,”Reproduc.Med.Biol.16(2):99-117)。
【0078】
このようなトランスフェクションに使用される細胞は、好ましくは、指数増殖期に維持するために週2回継代される。小規模トランスフェクションについては、例えば、マルチウェルプレート上のウェル当たり1×106 HEK293またはBHK細胞、または15cmディッシュ当たり1.5×107 HEK293細胞のアリコートを使用することができる。大規模産生のために、HEK293またはBHK細胞は、複数のコンフルエントな15cmプレートから収集され、1リットルの完全な培養培地を含有する2つの10層細胞スタック(Corning,Corning,NY)に分割され得る。一実施形態において、そのような細胞は、トランスフェクション前にそのような培地中で4日間増殖される。トランスフェクションの前日に、2つの細胞スタックをトリプシン処理し、細胞(例えば、約6×108細胞)を200mlの培地中に再懸濁させてもよい。好ましくは、細胞をトランスフェクション前に24時間付着させる。細胞スタックの集密性は、顕微鏡ステージ上に細胞スタックを収容するために、位相コントラストハードウェアが除去された、ダイアポット(Diaphot)倒立顕微鏡(Nikon,Melville,NY)を用いてモニターすることができる。
【0079】
すなわち、特に本発明は組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)の産生力価を増加させる方法を提供し、そのような方法は:
(A)産生力価を産生するためのrAAVとして、そのP1,P2,P3またはP4ドメインの1以上にシスエレメントを含むrAAVを使用することであって、:
(1)P1ドメインはrAAVの5’ITRに対し5’であり;
(2)P2ドメインはrAAVの5’ITRに対し3’であり、かつ、rAAVの導入遺伝子カセットに対し5’であり;
(3)P3ドメインはrAAVの導入遺伝子カセットに対し3’であり、かつ、rAAVの3’ITRに対し5’であり;
(4)p4ドメインはrAAVの3’ITRに対し3’である、使用すること;および
(B)使用されたrAAVでトランスフェクトされた細胞を培養すること、ただし、細胞はさらにAAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドおよび非AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドを含有し、さらに、培養は、培養培地中で、rAAVの産生を許容するのに十分な条件の下で行われること、
を含み、
使用されたrAAVにおけるシスエレメントの存在は、細胞が、使用されたrAAVがシスエレメントを欠失している場合に達成されるのに比べ、増加した産生力価で前記rAAVを産生することを引き起こす。
II.本発明の薬学的組成物
【0080】
本発明は以下を含む薬学的組成物を提供する。
(A)そのP1,P2,P3またはP4ドメインの1以上にシスエレメントを含む組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)の調製物であって、
(1)P1ドメインはrAAVの5’ITRに対し5’であり;
(2)P2ドメインはrAAVの5’ITRに対し3’であり、かつ、rAAVの導入遺伝子カセットに対し5’であり;
(3)P3ドメインは前記rAAVの導入遺伝子カセットに対し3’であり、かつ、rAAVの3’ITRに対し5’であり;
(4)p4ドメインはrAAVの3’ITRに対し3’である、調製物、および
(B)薬学的に許容される担体。
【0081】
本発明は、さらに、本発明の方法に従って製造されたrAAVの薬学的に許容される調製物、および薬学的に受容可能な担体を含む薬学的組成物を含む。そのような薬学的組成物のrAAVは、タンパク質をコードする導入遺伝子カセットを含むか、または転写された核酸を含み、それは遺伝子に関するまたは遺伝性の疾患または状態を治療する、そのような薬学的組成物中に有効な量(「有効量」)で存在する。
【0082】
用語「薬学的に許容される」は、連邦政府または州政府の規制機関あるいは米国薬局方(U.S.Pharmacopeia)または他の一般に認められた薬局方にリストされた規制機関によって、動物、特にヒトにおける使用が承認されたことを意味する。用語「担体」は、それと共に治療薬が投与される、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントの完全および不完全アジュバント)、賦形剤、または賦形剤を指す。そのような医薬担体は、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などのような、石油、動物、植物または合成起源のものを含む、水および油のような滅菌液体であり得る。薬学的組成物を静脈内投与する場合、水は好ましい担体である。生理食塩水および水性デキストロースおよびグリセロール溶液も液体担体として、特に注射用溶液のための液体担体として用いることができる。適切な薬学的賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含む。組成物は、所望であれば、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することもできる。これらの組成物は、所望すれば、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することもできる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、徐放性製剤などの形態をとることができる。適切な薬学的形剤は、米国特許第8,852,607号;米国特許第8,192,975号;米国特許第6,764,845;米国特許第6,759,050号および米国特許第7,598,070号に記載される。
【0083】
一般に、本発明の組成物の成分は、例えば、乾燥凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として、または活性剤の量を示すバイアル、アンプルまたはサシェットのような密封容器中の水溶液として、単位投与形態で別々に、または一緒に混合されて供給される。この組成物を注入によって投与する場合には、無菌医薬品グレードの水または生理食塩水を含有する注入ボトルを用いて投与することができる。組成物が注射によって投与される場合、注射または生理食塩水のための滅菌水のアンプル、または他の希釈剤を提供して、成分を投与前に混合することができる。
【0084】
本発明はまた、このような薬学的組成物の1つ以上の容器を含む薬学的パックまたはキットを提供する。このような容器には、適宜、薬品または生物由来製品の製造、使用または販売を規制する政府機関が定める様式による通知を関連付けることができる。その通知とは、人の投与のための、製造、使用または販売の機関による承認を反映するものである。
【0085】
このような薬学的組成物のrAAVは、好ましくは、バイアル、アンプルまたはサシェットのような密封容器内に包装され、分子の量を示し、任意に使用指示書を含む。一実施形態では、このようなキットのrAAVは、乾燥滅菌凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として密閉容器内に供給され、対象への投与のための適切な濃度まで、例えば、水、生理食塩水または他の希釈剤で再構成することができる。凍結乾燥物は、元の容器で2~8°Cで保存され、再構成された後12時間以内、好ましくは6時間以内、5時間以内、3時間以内、または溶解後1時間以内に投与される。別の実施形態では、このようなキットのrAAVは、密閉容器内の水溶液として供給され、例えば、水、生理食塩水、または他の希釈剤で、被験体への投与のための適切な濃度に希釈され得る。キットは、1つ以上の容器中に、疾患または状態の治療に有用な1つ以上の他の予防および/または治療剤をさらに含むことができる;および/またはキットは、癌に関連する1以上の癌抗原に結合する1以上の細胞傷害性抗体をさらに含むことができる。ある態様において、他の予防または治療剤は化学療法剤である。他の態様において、予防剤または治療剤は、生物学的またはホルモン治療剤である。
III.本発明の使用
【0086】
本発明の方法は、rAAVの産生を容易にするために使用することができ、特に、タンパク質(例えば、酵素、ホルモン、抗体、受容体、リガンドなど)をコードする導入遺伝子カセットを含むrAAVの産生を容易にするために使用することができ、または転写された核酸を含み、それは遺伝子のまたは遺伝性の疾患または状態に関連する、rAAVの産生を容易にするために使用することができ、そのような疾患または状態を治療するための遺伝子治療において使用することができる。そのような疾患および状態の例には、色盲(ACHM)、α1アンチトリプシン(AAT)欠損症;アルツハイマー病;芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)欠損症;脈絡膜血症(CHM);癌;デュシェンヌ型筋ジストロフィー;ジスフェルリン欠損症;ホリスタチン遺伝子欠損症(BMDSIBM);血友病A;血友病B;A型肝炎;B型肝炎;C型肝炎;ハンチントン病;特発性パーキンソン病;乳児後期神経セロイドリポフスチン症(LINCL,バッテン病の乳児型);レーベル先天性黒内障(LCA);レーベル遺伝性視神経症(LHON);肢帯型筋ジストロフィー1B(LGMD1B);肢帯型筋ジストロフィー1C(LGMD1C);肢帯型筋ジストロフィー2A(LGMD2A);肢帯型筋ジストロフィー2B(LGMD2B);肢帯型筋ジストロフィー2I(LGMD2I);肢帯型筋ジストロフィー2L(LGMD2L);リポタンパクリパーゼ(LPL)欠損症;異染性白質ジストロフィー;神経学的障害;神経運動障害;神経骨格障害;パーキンソン病;関節リウマチ;サンフィリッポA症候群;脊髄性筋萎縮症(SMA);X連鎖性網膜分離症(XLRS);αサルコグリカン欠損症(LGMD2D);βサルコグリカン欠損症(LGMD2E);γ-サルコグリカン欠損症(LGMD2C)およびδ-サルコグリカン欠損症(LGMD2F)。
IV.本発明の実施形態
【0087】
本発明は、AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドを含む組換え改変アデノ随伴ウイルス(AAV)ヘルパーベクター、その使用および組成物に関する。それは特に以下の実施形態E1からE22に関する:
E1.組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)であってそのP1,P2,P3またはP4ドメインの1以上にシスエレメントを含む組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、
(1)P1ドメインはrAAVの5’ITRに対し5’であり;
(2)P2ドメインはrAAVの5’ITRに対し3’であり、かつ、rAAVの導入遺伝子カセットに対し5’であり;
(3)P3ドメインはrAAVの導入遺伝子カセットに対し3’であり、かつ、rAAVの3’ITRに対し5’であり;
(4)p4ドメインはrAAVの3’ITRに対し3’であり、そして
シスエレメントの存在は、rAAV産生細胞が、シスエレメントを欠く場合に得られるそのようなrAAVよりも高い産生力価で前記rAAVを産生することを引き起こす、組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)。
E2.以下を含む学的組成物:
(A)そのP1,P2,P3またはP4ドメインの1以上にシスエレメントを含む組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)の調製物であって、
(1)P1ドメインはrAAVの5’ITRに対し5’であり;
(2)P2ドメインはrAAVの5’ITRに対し3’であり、かつ、rAAVの導入遺伝子カセットに対し5’であり;
(3)P3ドメインは前記rAAVの導入遺伝子カセットに対し3’であり、かつ、rAAVの3’ITRに対し5’であり;
(4)p4ドメインはrAAVの3’ITRに対し3’である、調製物、および
(B)薬学的に許容される担体。
E3.組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)の産生力価を増加させる方法であって:
(A)産生力価を産生するためのrAAVとして、そのP1,P2,P3またはP4ドメインの1以上に付加されたシスエレメントを含むrAAVを使用することであって:
(1)P1ドメインはrAAVの5’ITRに対し5’であり;
(2)P2ドメインはrAAVの5’ITRに対し3’であり、かつ、rAAVの導入遺伝子カセットに対し5’であり;
(3)P3ドメインはrAAVの導入遺伝子カセットに対し3’であり、かつ、rAAVの3’ITRに対し5’であり;
(4)p4ドメインはrAAVの3’ITRに対し3’である、使用すること、および
(B)使用されたrAAVでトランスフェクトされた細胞を培養すること、ただし、細胞はさらにAAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドおよび非AAVヘルパー機能提供ポリヌクレオチドを含有し、さらに、培養は、培養培地中で、rAAVの産生を許すのに十分な条件の下で行われること、
を含み、
使用されたrAAVにおける前記シスエレメントの存在は、細胞が、前記使用されたrAAVが前記シスエレメントを欠失している場合に達成されるのに比べ、増加した産生力価で前記rAAVを産生することを引き起こす、方法。
E4.使用されたrAAVが、そのP1ドメインに付加されたシスエレメントを含むように改変されている、E1の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、E2の薬学的組成物、またはE3の方法。
E5.使用されたrAAVが、そのP2ドメインに付加されたシスエレメントを含むように改変されている、E1の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、E2の薬学的組成物、またはE3の方法。
E6.使用されたrAAVが、そのP3ドメインに付加されたシスエレメントを含むように改変されている、E1の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、E2の薬学的組成物、またはE3の方法。
E7.使用されたrAAVが、そのP4ドメインに付加されたシスエレメントを含むように改変されている、E1の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、E2の薬学的組成物、またはE3の方法。
E8.使用されたrAAVが、そのP1ドメインおよびそのP2、P3またはP4ドメインの1つ以上に、付加されたシスエレメントを含むように改変されている、E1の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、E2の薬学的組成物、またはE3の方法。
E9.使用されたrAAVが、そのP2ドメインおよびそのP3またはP4ドメインの1つ以上に、付加されたシスエレメントを含むように改変されている、E1の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、E2の薬学的組成物、またはE3の方法。
E10.使用されたrAAVが、そのP3ドメインおよびそのP4ドメインに、付加されたシスエレメントを含むように改変されている、E1の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、E2の薬学的組成物、またはE3の方法。
E11.付加されたシスエレメントが使用されたrAAVにおいてG四重鎖構造を形成する、E1またはE4からE10のいずれかの組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、E2またはE4からE10のいずれかの薬学的組成物、またはE3からE10のいずれかの方法
E12.付加されたシスエレメントが以下からなる群より選ばれる、E1またはE4からE11のいずれかの組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、E2またはE4からE11のいずれかの薬学的組成物、またはE3からE11のいずれかの方法:
(1)野生型AAVゲノムの潜在的G四重鎖配列または野生型AAVゲノムの逆向きの潜在的G四重鎖配列;
(2)野生型AAVゲノムの実際のG四重鎖配列または野生型AAVゲノムの逆向きの実際のG四重鎖配列;
(3)野生型AAV由来のDNA配列または野生型AAV由来の逆向きのDNA配列;および
(4)別のウイルスゲノム由来のDNA配列、または別のウイルスゲノム由来の逆向きのDNA配列。
E13.導入遺伝子カセットが、タンパク質をコードするか、または転写された核酸を含み、それは遺伝子に関するまたは遺伝性の疾患または状態に対して治療的である、E1またはE4からE12のいずれかの組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、E2またはE4からE12のいずれかの薬学的組成物、またはE3からE12のいずれかの方法。
E14.使用されたrAAVが、rAAV1、rAAV2、rAAV5、rAAV6、rAAV7、rAAV8、rAAV9またはrAAV10の血清型、またはそれらの血清型のハイブリッドに属する、E1またはE4からE13のいずれかの組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、E2またはE4からE13のいずれかの薬学的組成物、またはE3からE13のいずれかの方法。
E15.使用されたrAAVが、rAAV2、rAAV5、rAAV9またはそれらの血清型のハイブリッドに属する、E14の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、薬学的組成物、または方法。
E16.細胞が、ヒト胚性腎細胞である、E1またはE4からE15のいずれかの組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、E3からE15のいずれかの方法。
E17.細胞が、ヒト胚性腎細胞である、E16の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、またはE16の方法。
E18.細胞がHEK293である、E17の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、またはE17の方法。
E19.細胞が、ベビーハムスター腎細胞である、E16の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、またはE16の方法。
E20.細胞がBHK21細胞である、E19の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、またはE19の方法。
E21.細胞が、sf9昆虫細胞である、E16の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)、またはE16の方法。
E22.導入遺伝子カセットが、タンパク質をコードするか、または転写された核酸を含み、それは遺伝子に関するまたは遺伝性の疾患または状態に対して治療的である、E14の組換え改変アデノ随伴ウイルス(rAAV)の調製物、またはE15の薬学的組成物。
【実施例】
【0088】
本発明を一般的に説明した後、以下の実施例を参照することにより、同じことがより容易に理解されるであろう。これらの実施例は、例示として提供され、特定されない限り、本発明を限定することを意図しない。
実施例1
rAAVプラスミドベクターのP2ドメイン内にシスエレメントを有するrAAVプラスミドベクターでトランスフェクトした細胞によるrAAV産生力価の比較
【0089】
rAAV産生力価を増加させる本発明のシスエレメントの能力を実証するために、親rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPを、そのP2ドメイン内にシスエレメントを含有するように改変した。
【0090】
プラスミドpAV-TBG-EGFPの一連の27の誘導体を、プラスミドのP2ドメイン(
図7;
図9A)内に位置するプラスミドのSpeI部位にシスエレメントCisE1からCisE27(表1)の1つを挿入することによって構築した。AAV repおよびcap機能を提供するAAVヘルパープラスミドpRC2および必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミドpHelperを有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステム(
図2)において、誘導体プラスミドを用いて得られたrAAVの産生力価を測定し、親pAV-TBG-EGFPプラスミドで得られたものと比較した。
【0091】
調査の結果を
図9Bに示し、rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP2ドメイン内に導入されたシスエレメントの全てが、rAAV産生力価の増加をもたらしたことを示す。rAAVプラスミドベクターのP2ドメインへのCisE19の挿入は、産生力価の2.5倍の増加を仲介することが分かった。rAAVプラスミドベクターのP2ドメインへのCisE26の挿入は、産生力価の4倍の増加を仲介することが分かった。
実施例2
rAAVプラスミドベクターのP1ドメイン内にシスエレメントを有するrAAVプラスミドベクターでトランスフェクトした細胞によるrAAV産生力価の比較
【0092】
rAAV産生力価を増加させる本発明のシスエレメントの能力をさらに実証するために、rAAVプラスミドベクター、pAV-TBG-EGFPを、プラスミドのP1ドメイン内にシスエレメントを含有するように改変した。次いで、rAAV力価に対するその改変の効果を上記のように評価した。
【0093】
より具体的には、rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPの一連の7つの誘導体を、プラスミドのP1ドメイン(
図7;
図10A)内に位置するプラスミドのPciI部位に、シスエレメントCisE1、CisE20、CisE21、CisE27、CisE28、CisE29、またはCisE30のうちの1つを挿入することによって構築した。rAAVの産生力価は、AAV repおよびcap機能を提供するAAVヘルパープラスミド(pHelper-Kan)および必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミド(pRC2)を有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステム(
図2)を用いて、実質的に実施例1に記載のように得た。産生力価を親pAV-TBG‐EGFPプラスミドで得たものと比較した。調査の結果を
図10Bに示し、pAV-TBG-EGFPのP1ドメイン内に導入されたシスエレメントの全てが、rAAV産生力価の増加をもたらしたことを示す。rAAVプラスミドベクターのP1ドメイン内へのCisE30の挿入は、産生力価の3.0倍の増加を仲介することが分かった。
実施例3
rAAVプラスミドベクターのP1ドメインまたはP2ドメイン内にシスエレメントを有するrAAVプラスミドベクターでトランスフェクトした細胞によるrAAV産生力価の比較
【0094】
基本的に上述したように、rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP1ドメインまたはプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP2ドメイン(
図11A)のいずれかにシスエレメントCisE1、CisE20またはCisE21を導入することによって、rAAVプラスミドベクターのP1ドメインまたはこのようなrAAVプラスミドベクターのP2ドメインのいずれかに同一のシスエレメントを挿入することによるrAAV産生力価への影響が調査された。
【0095】
rAAVの産生力価は、AAV repおよびcap機能を提供するAAVヘルパープラスミド(pHelper)および必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミド(pRC2)を有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステム(
図2)を用いて、実質的に実施例1に記載のように得た。調査の結果を
図11Bに示し、rAAVプラスミドベクターのP1またはP2ドメイン内にシスエレメントを配置すると、rAAV産生力価が増加したことを示す。
実施例4
rAAVプラスミドベクター中のシスエレメントの配向がトランスフェクトされた細胞により産生されるrAAV収率に及ぼす影響
【0096】
rAAV産生力価に及ぼすrAAVプラスミドベクター中のシスエレメントの配向の影響が、実質的に上述したように、rAAVプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPのP1ドメイン内に、シスエレメントCisE21(表1)を、「前方」配向(配列番号:45)または「逆」配向(配列番号:46)のいずれかに挿入することによって調査された(
図12A)。
【0097】
rAAVの産生力価は、AAV repおよびcap機能を提供するAAVヘルパープラスミド(pRC2)および必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミド(pHelper)を有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステム(
図2)を用いて、実質的に実施例1に記載したように得た。調査の結果を
図12Bに示し、挿入されたシスエレメントのいずれの配向を有するrAAVプラスミドベクターを用いても、増加したrAAV産生力価が得られたことを示す。
実施例5
rAAVプラスミドベクターのP1ドメインおよびP4ドメイン内にシスエレメントを有するrAAVプラスミドベクターでトランスフェクトした細胞によるrAAV産生力価の比較
【0098】
rAAVプラスミドベクターのP4ドメイン内に同一のシスエレメントを維持しながら、rAAVプラスミドベクターのP1ドメイン内に異なるシスエレメントを挿入すること(
図13A)によるrAAV産生力価への影響が、このようなrAAVプラスミドベクターのP4ドメイン内に位置するKasI部位に同一のシスエレメントを含有するrAAVプラスミドベクターのP1ドメイン内に異なるシスエレメントを導入することによって調査された。rAAVの産生力価は、AAV repおよびcap機能を提供するAAVヘルパープラスミド、および必要なアデノウイルス機能を提供するAdヘルパープラスミドを有するトリプルプラスミドトランスフェクションシステム(
図2)を用いて、実質的に実施例1に記載したように得た。
【0099】
調査の結果を
図13B、
図13Cに示す。
図13Bは、そのP1ドメイン内にシスエレメントCisE21、CisE22、CisE23、CisE24、CisE25、CisE26、CisE28、CisE29、CisE31、CisE32、CisE33、CisE34、またはCisE35を含有し、そのP4ドメイン内にシスエレメントCisE30-Revを含有するプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPを用いて得られたrAAVの産生力価を示す。
図13Cは、そのP1ドメイン内にシスエレメントCisE21、CisE22、CisE23、CisE24、CisE25、CisE27、CisE28、CisE32、CisE33、またはCisE34を含有し、そのP4ドメイン内にシスエレメントCisE35-Revを含有するプラスミドベクターpAV-TBG-EGFPを用いて得られたrAAVの産生力価を示す。調査の結果は、rAAVプラスミドベクター中の2つのシスエレメントの存在は、単一のシスエレメントのみを用いて得られたものと比較して、産生力価の増加を相乗的に増強することを示した。
【0100】
rAAVプラスミドベクターのP1ドメイン内に同一のシスエレメントを維持しながら、rAAVプラスミドベクターのP4ドメイン内に異なるシスエレメントを挿入することによるrAAV産生力価への影響が、rAAVプラスミドベクターpAV‐TBG‐EGFPのP1ドメインにシスエレメントCisE28を導入することにより調査された。次いで、プラスミドベクターを、そのP4ドメイン内にシスエレメントCisE22-Rev、CisE27-Rev、CisE29-Rev、またはCisE35-Revを含有するように、実質的に上述のように、さらに改変した(
図13D)。P1ドメイン内にCis28シスエレメントおよびP4ドメイン内にCisE35‐Revシスエレメントを有するrAAVは、親rAAVのそれと比較して2~3倍増加した産生力価を示した。
【0101】
本明細書に記載されているすべての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許出願がその全体が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、それは更なる修正が可能であることが理解されるであろうし、本出願は、一般的に、本発明の原理に従った、本開示からの逸脱を含む、本発明が関係する技術分野における公知のまたは慣習的な実施の範囲内で、かつ、先に述べた本質的特徴に適用され得る、本開示からの任意の変形、用途または適合をカバーすることを意図している。
【国際調査報告】