(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】飲料調製用の容器
(51)【国際特許分類】
A47J 31/06 20060101AFI20220930BHJP
B65D 85/804 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
A47J31/06 320
B65D85/804 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503836
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2020070135
(87)【国際公開番号】W WO2021018616
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ドーガン, ニハン
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA20
4B104BA02
4B104EA30
(57)【要約】
本発明は、コーヒー層構造に関し、飲料調製用の容器に関する。容器のうちの1つによれば、容器は、抽出される挽いたコーヒー粒子(1、2)を収容する区画(91)を備え、区画(91)は、コーヒー粒子(1、2)から飲料を調製するために容器の注入壁(89)から容器の注出壁(92)に向かう圧力下の水の流れによって横切られるように適合されており、コーヒー粒子(1、2)は、第1の体積モーメント平均D[4,3]を有する第1のコーヒー粒子(1)の第1のグループと、第2の体積モーメント平均D[4,3]を有し、第1のコーヒー粒子(1)の第1のグループの下流に配置されている第2のコーヒー粒子(2)の第2のグループとを含み、第2のコーヒー粒子(2)の第2のグループは、注出壁(92)と直接接触しており、第2の体積モーメント平均は、第1の体積モーメント平均よりも大きい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出される挽いたコーヒー粒子(1、2)を収容する区画(91)を備える飲料調製用の容器であって、
前記区画(91)は、前記コーヒー粒子(1、2)から飲料を調製するために前記容器の注入壁(89)から前記容器の注出壁(92)に向かう圧力下の水の流れによって横切られるように適合されており、
前記コーヒー粒子(1、2)は、
第1の体積モーメント平均D[4,3]を有する第1のコーヒー粒子(1)の第1のグループと、
第2の体積モーメント平均D[4,3]を有し、第1のコーヒー粒子(1)の前記第1のグループの下流に配置されている第2のコーヒー粒子(2)の第2のグループと、
を含み、
第2のコーヒー粒子(2)の前記第2のグループは、前記注出壁(92)と直接接触しており、
前記第2の体積モーメント平均は、前記第1の体積モーメント平均よりも大きい、容器。
【請求項2】
前記第2の体積モーメント平均は、350μm以上、好ましくは400μm以上若しくは450μm以上若しくは500μm以上若しくは550μm以上若しくは600μm以上若しくは650μm以上若しくは700μm以上であり、及び/又は前記第2の体積モーメント平均は、900μm以下、好ましくは850μm以下若しくは800μm以下若しくは750μm以下若しくは700μm以下若しくは650μm以下若しくは600μm以下である、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第2の体積モーメント平均は、前記第1の体積モーメント平均よりも少なくとも15%又は少なくとも20%又は少なくとも30%大きい、請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記第1のコーヒー粒子(1)は第1の体積を有し、前記第2のコーヒー粒子(2)は第2の体積を有し、前記第1の体積対前記第2の体積の比は、20:1~1:1の範囲、好ましくは20:1~10:1の範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記第1のコーヒー粒子(1)は、前記第2のコーヒー粒子(2)上に積層されており、及び/又は前記第1のコーヒー粒子(1)は、前記第2のコーヒー粒子(2)と直接接触している、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記第2のコーヒー粒子(2)は、前記飲料を調製するための水の前記流れが前記第2のコーヒー粒子(2)を介してのみ前記容器から出ることができるように配置されており、並びに/又は前記第2のコーヒー粒子(2)は、前記注出壁(92)上に積層されており、並びに/又は前記第1のコーヒー粒子(1)及び/若しくは前記第2のコーヒー粒子(2)はコーヒー床として提供されており、並びに/又は前記第2のコーヒー粒子(2)は前記注出壁(92)の全体を覆う、請求項1~5のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記第2のコーヒー粒子(2)は、前記注出壁(92)から前記第1のコーヒー粒子(1)への高さ(h
1)、好ましくは第1の高さで、前記容器内に提供されており、特に前記容器内に積層されており、前記高さ(h
1)は、好ましくは、1000μm以上、より好ましくは1500μm以上若しくは2000μm以上若しくは2500μm以上若しくは3000μm以上若しくは3500μm以上若しくは4000μm以上若しくは4500μm以上若しくは5000μm以上であり、及び/又は、好ましくは、前記高さ(h
1)対前記第2の体積モーメント平均の比は、少なくとも2:1若しくは少なくとも5:1若しくは少なくとも9:1である、請求項1~6のいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
前記第1のコーヒー粒子(1)は、前記第2のコーヒー粒子(2)から、好ましくは前記第1の高さから前記コーヒー粒子の全体の高さ(h
全体)へのさらなる高さ(h
2)、好ましくは第2の高さで、前記容器内に提供されており、特に前記容器内に積層されており、好ましくは、前記さらなる高さは、5000μm以上若しくは6000μm以上若しくは7000μm以上若しくは8000μm以上若しくは9000μm以上若しくは10000μm以上若しくは11000μm以上若しくは12000μm以上若しくは13000μm以上若しくは14000μm以上若しくは15000μm以上若しくは16000μm以上若しくは17000μm以上であり、及び/又は、前記高さ(h
1)対前記さらなる高さ(h
2)の比は、好ましくは、1:1~1:20の範囲、より好ましくは1:10~1:20又は1:1~1:15の範囲、さらにより好ましくは1:2~1:5の範囲、例えば1:3~1:4の範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
前記区画(91)は、前記注入壁(89)の少なくとも一部分、及び/又は、前記注出壁(92)の少なくとも一部分、及び/又は、前記コーヒー粒子(1、2)を取り囲む側壁(88)を備え、前記注入壁(89)及び/又は前記注出壁(92)及び/又は前記側壁(88)は、好ましくは、前記コーヒー粒子(1、2)と直接接触している、請求項1~8のいずれか一項に記載の容器。
【請求項10】
前記第1の体積モーメント平均は、550μm未満、好ましくは500μm以下又は450μm以下又は400μm以下又は380μm以下又は350μm以下又は300μm以下又は250μm以下又は200μm以下又は150μm以下又は100μm以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の容器。
【請求項11】
前記注出壁(92)は、少なくとも前記第2のコーヒー粒子(2)が前記注出壁(92)を通過することを防止するためのフィルタを備え、及び/又は前記注出壁(92)は、開口(92a)を備える、若しくは開口(92a)が設けられているように構成されており、前記開口(92a)のそれぞれは、前記第2の体積モーメント平均よりも小さく、それにより、前記第2のコーヒー粒子(2)は、前記開口(92a)、したがって前記注出壁(92)を通過することが防止されるが、前記飲料は、前記開口(92a)を通って流れることができ、好ましくは、前記開口(92a)のそれぞれの直径、又は前記開口(92a)のそれぞれの外形の2点間の最大可能距離は、前記第2の体積モーメント平均よりも小さい、好ましくは前記第2の体積モーメント平均よりも少なくとも10%若しくは20%若しくは30%若しくは40%若しくは50%小さい、請求項1~10のいずれか一項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー層構造に関し、容器に関する。本発明に鑑みて、「容器」は、「カプセル」(例えば、欧州特許第1808382B1号に記載のカプセル;
図1の容器は、欧州特許第1808382B1号に記載のカプセルと同種のカプセルである)、「カートリッジ」(例えば、欧州特許第3265404A1に記載のカートリッジ)、(例えば、フィルタ紙から全体的に又は部分的に作製された)「パッド」、「ポッド」(例えば、軟質又はそうでなければ可撓性ポッド)、カップ、トレイ、又は、欧州特許第18210108.9号に記載の容器からなる群のいずれかであり得る。
【背景技術】
【0002】
抽出によって挽いたコーヒー粒子から飲料を調製するコーヒーシステムでは、より小さいサイズのコーヒー粒子を使用することが一般的に好ましい。理由は、より小さいサイズのコーヒー粒は高い(総体的)表面積を提供し、したがって収率を増加させるためである。すなわち、水と接触するコーヒー粒子の比較的に高い表面積は、挽いたコーヒーと水との間のさらなる相互作用がもたらし、それによって挽いたコーヒーからより多くの固形物及び風味料を抽出する。
【0003】
しかしながら、より小さいサイズのコーヒー粒子は、容器内の高い圧力及び閉塞を生じさせる。これは、小さいコーヒー粒子の層が容器の注出壁と直接接触し、注出壁上に凝集するためである。注出壁は通常、容器の部分であり、注入された水、したがって挽いたコーヒー粒子から抽出された飲料は、注出壁を通って容器から出て、例えば、その後マグ内に注出される。例えば、注出壁は膜であり得る。注出壁上でのコーヒー粒子の凝集は、小さいサイズのコーヒー粒子に起因して、水が注出壁を通って、例えば、容器の(底部)膜又はフィルタに向かって適切に流れることを妨げ得、それによってカプセルの閉塞及び高い圧力をもたらし得る。閉塞は、凝集したコーヒー粒子によってもたらされる抵抗(容器又はカプセル抵抗)が、コーヒーマシンが圧送することができる最大圧力(マシンの静水頭)に達するため、発生する。通常、マシンのポンプは、12~16バールよりも高い圧力を送出することができない。開口及び(コーヒー)飲料の送出のために必要な平均圧力は、約9~12バールである。
【0004】
容器内の前述の閉塞は、飲料が適切に送出されないため、及び、マシンに欠陥若しくはさらに故障を生じさせ得る、又は容器(ポッド)若しくはマシンからの漏れを引き起こし得るため、不利益である。特に、小さいサイズのコーヒー粒子及びそのためにもたらされる閉塞は、長い時間のコーヒー飲料の流れをもたらし得る、又はコーヒー飲料が容器から出ないことを生じさせ得る;特に、ある圧力(例えば、9~10バール)にわたるバイパス弁を備えるシステムにおいて、これは、非常に長い時間の流れ/飲料調製を生じさせ得る。しかしながら、上述のように、小さいサイズのコーヒー粒子は、収率の増加に好ましい。
【0005】
したがって、本発明の目的は、前述の欠点を克服する、すなわち、特に、容器の閉塞をもたらさないがコーヒー抽出の収率を増加させる、コーヒー層構造、及び容器を提供することである。
【0006】
これらの目的、及び以下の説明を読むことで明らかとなる他の目的は、独立請求項の主題によって解決される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態に言及する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、飲料調製用のコーヒー層構造は、第1の体積モーメント平均D[4,3]を有する抽出される第1の挽いたコーヒー粒子の第1の層と、第2の体積モーメント平均D[4,3]を有する抽出される第2の挽いたコーヒー粒子の第2の層とを含む。コーヒー層構造は、コーヒー粒子から飲料を調製するための圧力下の水の流れによって横切られるように適合されている。第1の挽いたコーヒー粒子の第1の層は、第2の挽いたコーヒー粒子の第2の層上に積層されており、第2の体積モーメント平均は、第1の体積モーメント平均よりも大きい。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、飲料調製用の容器は、抽出される挽いたコーヒー粒子を収容する区画を備え、区画は、コーヒー粒子から飲料を調製するために、容器の注入壁から容器の注出壁に向かう圧力下の水の流れによって横切られるように適合されている。コーヒー粒子は、第1の体積モーメント平均D[4,3]を有する第1のコーヒー粒子の第1のグループと、第2の体積モーメント平均D[4,3]を有し、第1のコーヒー粒子の第1のグループの下流に配置されている第2のコーヒー粒子の第2のグループとを含み、第2のコーヒー粒子の第2のグループは、注出壁と直接接触しており、第2の体積モーメント平均は、第1の体積モーメント平均よりも大きい。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、飲料調製用の容器は、抽出される挽いたコーヒー粒子を収容する区画を含み、区画は、コーヒー粒子から飲料を調製するために、容器の注入壁から容器の注出壁に向かう圧力下の水の流れによって横切られるように適合されている。コーヒー粒子は、全体の高さにわたって区画内に配置されている。注出壁から第1の高さへと配置されているコーヒー粒子は、第2の体積モーメント平均D[4,3]を有する第2のコーヒー粒子であり、第1の高さからコーヒー粒子の全体の高さへと延びる第2の高さにわたって配置されているコーヒー粒子は、第1の体積モーメント平均D[4,3]を有する第1のコーヒー粒子である。第2の体積モーメント平均は、第1の体積モーメント平均よりも大きい。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、飲料調製用の容器は、抽出される挽いたコーヒー粒子を収容する区画を備え、区画は、コーヒー粒子から飲料を調製するために、容器の注入壁から容器の注出壁に向かう圧力下の水の流れによって横切られるように適合されている。注出壁と直接接触しているコーヒー粒子は、第2の体積モーメント平均D[4,3]を有する第2のコーヒー粒子であり、第2のコーヒー粒子の上流に配置されているコーヒー粒子は、第1の体積モーメント平均D[4,3]を有する第1のコーヒー粒子である。第2の体積モーメント平均は、第1の体積モーメント平均よりも大きい。
【0011】
本発明の第5の態様によれば、飲料調製用の容器は、
抽出されるコーヒー粒子を収容するための区画を容器に設ける工程であって、コーヒー粒子は、第1の体積モーメント平均D[4,3]を有する第1のコーヒー粒子の第1のグループと、第2の体積モーメント平均D[4,3]を有する第2のコーヒー粒子の第2のグループとを含み、区画は、コーヒー粒子から飲料を調製するために、容器の注入壁から容器の注出壁に向かう圧力下の水の流れによって横切られるように適合されている、区画を容器に設ける工程と、
第2のコーヒー粒子の第2のグループが注出壁と直接接触しているように、第2のコーヒー粒子の第2のグループを区画内に提供する工程と、
第2のコーヒー粒子の第2のグループが第1のコーヒー粒子の第1のグループの下流に配置されているように、第1のコーヒー粒子の第1のグループを第2のコーヒー粒子の第2のグループ上に積層する工程と
を含む方法であって、
第2の体積モーメント平均は、第1の体積モーメント平均よりも大きい、方法によって提供される。
【0012】
「質量モーメント平均」又は「De Brouckere平均直径」とも呼ばれ、慣性モーメントと類似する「体積モーメント平均」は、以下のように計算される。
【数1】
【0013】
例えば、この値は、レーザー回折法又は光散乱法で計算/測定され得る。光散乱法又はレーザー回折法によって体積モーメント平均を測定するための例示的な機械は、例えば、Malvern Instruments社製である。例えば、Malvern Mastersizer 3000(https://www.malvernpanalytical.com/en/products/products-range/mastersizer-range/mastersizer-3000)と呼ばれる機械(又は装置)があり、これは、当該体積モーメント平均を測定するのに特に適する。測定するための粒子の分離のために、乾燥分散法又はMalvern Instruments社製の「Aero S」と呼ばれる乾式分散機が使用され得る(https://www.malvernpanalytical.com/en/products/products-range/mastersizer-range/mastersizer-3000/accessories/aero-s/)。粒径分析、及び粒径、例えば、体積モーメント平均の測定に関しては、以下の技術資料、https://www.researchgate.net/profile/Ioan_Tanu/post/What_is_the_meaning_of_D4_3_and_D0_5_values_in_grain_size_analysis_and_how_is_it_calculated/attachment/59d63265c49f478072ea189a/AS%3A273632960417813%401442250590500/download/Basic_principles_of_particle_size_analysis_MRK034.pdf)から取得されるRAWLE,Alanの「Basic Principles of Particle Size Analysis」を参照されたい。
【0014】
換言すれば、本発明は、より小さいサイズのコーヒー粒子、すなわち、第1の体積モーメント平均を有するコーヒー粒子が注出壁と直接接触しないように、より大きいサイズのコーヒー粒子、すなわち、第2の体積モーメント平均を有するコーヒー粒子を、注出壁と直接接触して、例えば、容器の底部上に提供することを提案する。しかしながら、第2の体積モーメント平均を有するコーヒー粒子は、水をこれらのコーヒー粒子間に流れさせ、それにより、水、したがって飲料は、注出壁に到達することができ、注出壁を介して容器から出ることができる。それによって、第2の体積モーメント平均を有するコーヒー粒子は、注出壁上の第1のコーヒー粒子の凝集に起因する容器の閉塞を防止し又は少なくとも低減する。同時に、コーヒー抽出の収率は改善され、これは、注出壁を介して容器から出る飲料が、第2の体積モーメント平均を有するコーヒー粒子から抽出され、第2の体積モーメント平均よりも小さく、したがって所与の総体的体積について、第2の体積モーメント平均を有するコーヒー粒子よりも高い(総体的)表面積をもたらす、第1の体積モーメント平均を有するコーヒー粒子から抽出されるためである。
【0015】
第2の体積モーメント平均は、350μm以上、好ましくは400μm以上又は450μm以上又は500μm以上又は550μm以上又は600μm以上又は650μm以上又は700μm以上であり得る。第2の体積モーメント平均のこれらの値は、第1の体積モーメント平均を有するコーヒー粒子が注出壁と直接接触し注出壁上に凝集することを効果的に防止することができる。したがって、容器の閉塞が効果的に防止される又は少なくとも有意に低減される。
【0016】
第2の体積モーメント平均は、900μm以下、好ましくは850μm以下又は800μm以下又は750μm以下又は700μm以下又は650μm以下又は600μm以下であり得る。第2の体積モーメント平均のこれらの値は、第2の体積モーメント平均を有するコーヒー粒子からのコーヒー抽出の高い収率を依然として確実にしつつ、閉塞を特に防止する又は少なくとも有意に低減する。
【0017】
第2の体積モーメント平均は、第1の体積モーメント平均よりも少なくとも15%又は少なくとも20%又は少なくとも30%大きくてもよい。したがって、コーヒー抽出の特に改善された収率を有しつつ、容器の閉塞は効果的に防止される又は少なくとも低減される。
【0018】
好ましくは、第1の体積モーメント平均を有する第1のコーヒー粒子は、第1の体積を有し、第2の体積モーメントを有する第2のコーヒー粒子は、第2の体積を有する。第1の体積対第2の体積の比は、1:1~20:1の範囲、好ましくは10:1~20:1の範囲である。それによって、第1の体積は、第2の体積のコーヒー粒子の総体的表面積よりも大きい、コーヒー粒子の総体的表面積を提供し、このため、コーヒー抽出の収率は改善され、容器の閉塞は効果的に防止される又は少なくとも有意に低減される。
【0019】
第1のコーヒー粒子は、第2のコーヒー粒子上に積層され得、及び/又は第1のコーヒー粒子は、第2のコーヒー粒子と直接接触し得る。したがって、第1及び第2のコーヒー粒子は、例えば、容器をそれぞれのコーヒー粒子で単に充填することによって、容器内に容易に提供され得る。
【0020】
第2のコーヒー粒子は、飲料を調製するための水の流れが、第2のコーヒー粒子を介してのみ容器から出ることができるように配置され得る。したがって、コーヒー抽出のための第1のコーヒー粒子間を流れる水が、その後、常に第2のコーヒー粒子間を流れた後に、注出壁に到達することが確実にされる。それによって、コーヒー抽出の高い収率を確実にしつつ、容器の閉塞の防止又は少なくとも低減が効果的に達成される。
【0021】
第2のコーヒー粒子は注出壁上に積層されてもよく、並びに/又は第1のコーヒー粒子及び/若しくは第2のコーヒー粒子はコーヒー床として提供されてもよく、並びに/又は第2のコーヒー粒子は、注出壁の全体を覆ってもよい。
【0022】
第2のコーヒー粒子は、注出壁から第1のコーヒー粒子への高さ、好ましくは、(前述の)第1の高さで、容器内に提供されてもよく、特に積層されてもよく、高さは、好ましくは1000μm以上、より好ましくは1500μm以上又は2000μm以上又は2500μm以上又は3000μm以上又は3500μm以上又は4000μm以上又は4500μm以上又は5000μm以上である。高さは、好ましくは、注出壁に実質的に垂直である、及び/又は容器の軸、例えば、容器の対称軸に平行である線に沿って測定される。第2のコーヒー粒子のこれらの高さは、第1のコーヒー粒子が注出壁と直接接触することを特に確実に防止し、これは、これらの高さによれば、第1のコーヒー粒子が、注出壁と直接接触するまで第2のコーヒー粒子間の比較的長い経路を移動しなければならないためである。
【0023】
好ましくは、高さ対第2の体積モーメント平均の比は、少なくとも2:1又は少なくとも5:1又は少なくとも9:1である。例えば、第2のコーヒー粒子、例えば第2のコーヒー粒子の層は、5mmの高さ及び600μmの第2の体積モーメント平均を有し得、例えば、第1のコーヒー粒子、例えば、第1のコーヒー粒子の層は、15mmの高さ及び330μmの第1の体積モーメント平均を有し得る。
【0024】
第1のコーヒー粒子は、第2のコーヒー粒子から、好ましくは第1の高さからコーヒー粒子の全体の高さへのさらなる高さ、好ましくは(前述の)第2の高さで、容器内に提供されてもよく、特に積層されてもよい。例えば、さらなる高さは、5000μm以上又は6000μm以上又は7000μm以上又は8000μm以上又は9000μm以上又は10000μm以上又は11000μm以上又は12000μm以上又は13000μm以上又は14000μm以上又は15000μm以上又は16000μm以上又は17000μm以上であり得る。さらなる高さは、好ましくは、注出壁に実質的に垂直である、及び/又は容器の軸、例えば、容器の対称軸に平行である線に沿って測定される。さらなる高さは、特に、第1のコーヒー粒子の量、したがって第1のコーヒー粒子の総体的表面積を定める。したがって、さらなる高さのこれらの範囲によれば、コーヒー抽出の特に良好な収率が達成され得る。
【0025】
コーヒー抽出の改善された収率を依然として有しつつ、容器の閉塞を特に良好に防止するために、高さ対さらなる高さの比は、例えば、好ましくは1:1~1:20の範囲、より好ましくは1:10~1:20又は1:1~1:15の範囲、さらにより好ましくは1:2~1:5の範囲、例えば1:3~1:4の範囲である。
【0026】
容器は、コーヒー粒子を予め定められた様式で保持するように、好ましくは第1及び/又は第2のコーヒー粒子をそれぞれの第1及び第2の高さで保持するように適合されてもよい。例えば、区画は、コーヒー粒子を予め定められた様式で保持するように設計されている保持構造を備える。追加的又は代替的に、コーヒー粒子は、区画内に圧縮して提供され得、圧縮は、第1及び/又は第2のコーヒー粒子が予め定められた様式で残ることをもたらす。すなわち、圧縮は、コーヒー粒子間及び区画上に作用する生じる力をもたらし得、それによって、特に容器の取り扱い及び輸送中に、第1及び/又は第2のコーヒー粒子を予め定められた様式で保持し得る。それによって、第1のコーヒー粒子、又は少なくとも有意でない少量の第1のコーヒー粒子は、容器の取り扱い又は輸送中に第2のコーヒー粒子間を移動しない。
【0027】
保持構造は、区画と一体的に形成され得る。例えば、保持構造は、区画の突起部又は陥凹部であり、突起部又は陥凹部は、好ましくは(円周方向に)第1及び/又は第2のコーヒー粒子を取り囲む。代替的に、保持構造は、区画に対して別個に設けられてもよい。
【0028】
区画は、注入壁の少なくとも部分、及び/又は注出壁の少なくとも部分、及び/又はコーヒー粒子を取り囲む側壁を備えてもよく、注入壁及び/又は注出壁及び/又は側壁は、好ましくは、コーヒー粒子と直接接触している。注入壁及び/又は注出壁及び/又は側壁は、好ましくは、保持構造を備え、並びに/又は、好ましくは、保持構造は、注入壁及び/又は注出壁及び/又は側壁と一体的に形成されている又は別個に設けられている。
【0029】
第1の体積モーメント平均は、550μm未満、好ましくは500μm以下又は450μm以下又は400μm以下又は380μm以下又は350μm以下又は300μm以下又は250μm以下又は200μm以下又は150μm以下又は100μm以下であり得る。これらの体積モーメント平均(好ましくは、また、第2のコーヒー粒子の体積モーメント平均)は、適切な粉砕機、例えば、ロール粉砕機、及び/又は適切な(物理)ふるいを使用することによって達成され得る。これらの体積モーメント平均は、第1のコーヒー粒子が第2のコーヒー粒子間を流れて注出壁と直接接触し閉塞をもたらすこと防止するのに依然として十分に大きくありつつ、高い収率のコーヒー抽出のための第1のコーヒー粒子の高い表面積を効果的にもたらす。
【0030】
注出壁は、少なくとも第2のコーヒー粒子が注出壁を通過するのを防止するためのフィルタを備え得る。特に、フィルタは、注出壁と一体的に設けられてもよく、若しくは注出壁に対して別個に設けられてもよく、及び/又はフィルタは、注出壁から下流若しくは上流に設けられてもよい。
【0031】
注出壁は、開き口を備えてもよく、又は開き口が設けられているように構成されてもよい。開き口は、フィルタのフィルタリング機能を提供するための前述のフィルタの開き口(又は細孔若しくは小さい(フィルタリング)開口部)であってもよく、又は、開き口は、フィルタリング機能を提供するための、メッシュ、例えば、前述のフィルタのメッシュの開き口であってもよい。別の例では、(容器と共に設けられている、又は容器に対して別個に設けられている)開口手段は、注出壁と係合して、開き口を設けることができる。開き口のそれぞれは、第2の体積モーメント平均よりも小さく、それにより、第2のコーヒー粒子は、開き口、したがって注出壁を通過することが防止されるが、飲料は、開き口を通って流れることができる。好ましくは、(注出壁がメッシュ又はフィルタである場合、開き口のメッシュサイズによって定められ得る)開き口のそれぞれの直径、又は開き口のそれぞれの外形の2つの点間の最大可能距離は、第2の体積モーメント平均よりも小さく、好ましくは、第2の体積モーメント平均よりも少なくとも10%又は20%又は30%又は40%又は50%小さい。特に、開き口のそれぞれの流れ領域が円の形態である例では、対応する開き口は直径を有する。一般に、開き口のそれぞれは、特定の外形に限定されない。対応する外形、すなわち対応する流れ領域の外形は、円、楕円形、長方形、多角形などの形態であり得る。外形が円の形態である例では、外形の2つの点間の最大可能距離は、開き口の直径である。例えば、開き口のそれぞれの直径又は当該最大可能距離、すなわち開き口の開口サイズは、400μm以下、好ましくは350μm以下、及び/又は200μm以上、好ましくは250μm以上である。
【0032】
本発明の第6の態様は、飲料の調製のための飲料調製マシンにおける前述の容器の使用である。飲料調製マシンは、例えば、少なくとも給水部(例えば、別の給水源(例えば、外部給水源)に(直接又は間接的に)接続される水接続部、及び/又は補充され得る水槽若しくは水保持部)と、抽出によってコーヒー粒子から飲料を調製するために圧力下の水の流れを提供するためのポンプとを備える。飲料調製マシンはまた、容器内に注入される水槽の水を加熱するための加熱器、例えばサーモブロックを備え得る。飲料調製マシンは、抽出機であり得る。
【0033】
飲料調製用の容器、例えば、本明細書の上記の容器を製造するための方法は、
抽出されるコーヒー粒子を収容するための区画を容器に設ける工程であって、コーヒー粒子は、第1の体積モーメント平均D[4,3]を有する第1のコーヒー粒子の第1のグループと、第2の体積モーメント平均D[4,3]を有する第2のコーヒー粒子の第2のグループとを含み、区画は、コーヒー粒子から飲料を調製するために、容器の注入壁から容器の注出壁に向かう圧力下の水の流れによって横切られるように適合されている、区画を容器に設ける工程と、
コーヒー粒子の第2のグループが注出壁と直接接触しているように、コーヒー粒子の第2のグループを区画内に提供する工程と、
コーヒー粒子の第2のグループがコーヒー粒子の第1のグループの下流に配置されているように、コーヒー粒子の第1のグループをコーヒー粒子の第2のグループ上に積層する工程と
を含み、
第2の体積モーメント平均は、第1の体積モーメント平均よりも大きい。
【0034】
区画内に収容されたコーヒー粒子は、ある量で、例えば、1つのマグ又は2つ以上のマグのコーヒー飲料の調製に十分な量で提供され得る。ある量は、好ましくは4~30gで変化し得る。第1のコーヒー粒子の量は、例えば、4~10gで変化し得、及び/又は第2のコーヒー粒子の量は、例えば、0.5~5gで変化し得る。
【0035】
以下、本発明について、添付の図を参照して例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による容器の概略斜視図である。
【
図2】コーヒー層構造が第2のコーヒー粒子を含まない、
図1による容器の概略断面詳細図である。
【
図3】本発明の好ましい例によるコーヒー層構造を有する、
図1による容器の概略断面詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、好ましい実施形態による容器の概略斜視図である。
図1に示す容器は、カプセルであり得る。しかしながら、本発明は、容器が、圧力下での飲料の調製、例えば、圧力下でのコーヒー抽出によって調製されるコーヒー飲料(例えば、エスプレッソコーヒー)の調製に適する限り、特定の容器に限定されない。容器は、マシンに挿入可能である容器であり得る。容器は、飲料の調製のための物質(すなわち、以下に記載のコーヒー粒子)を収容するパッケージであってもよく、パッケージは、好ましくは、物質を全ての側で取り囲む。容器は、物質をアロマ非透過性(aroma-proof)様式で収容し得る。容器は、カプセル(例えば、欧州特許第1808382B1号に記載のカプセル;
図1の容器は欧州特許第1808382B1号に記載のカプセと同種のカプセルである)、カートリッジ(例えば、欧州特許第3265404A1号に記載のカートリッジ)、(例えば、フィルタ紙から全体的に又は部分的に作製された)(コーヒー)パッド、(コーヒー)ポッド(例えば、軟質又はそうでなければ可撓性ポッド)、カップ、トレイ、又は、欧州特許第18210108.9号に記載の容器であり得る。容器は、全体的に可撓性又は少なくとも部分的に可撓性、すなわち半剛性であり得る。
【0038】
図1に例示的に示すように、容器は、抽出される挽いたコーヒー粒子、すなわち、焙煎した挽いたコーヒー粒子(R&G coffee)を収容する区画91を備える。コーヒー粒子は、(食用)添加物、特に飲料の風味に影響を及ぼす添加物、例えば、非可溶性要素(チコリ、シナモン片など)及び/又は可溶性要素(糖、可溶性コーヒー、乳粉末など)、インスタントコーヒー、シロップ濃縮物、果実濃縮物、チョコレート製品、乳ベースの製品、又は任意の他の脱水された食用物質を追加的に含み得る。添加物は、コーヒー粒子と(本質的に均質に)混合され得る。コーヒー粒子は、粉末形態であってよい。明確にするために、コーヒー粒子は
図1には示されていない。区画91は、コーヒー粒子を取り囲む側壁88を備え得る。区画91は、底部及び頂部を備え得る。側壁88は、区画91の底部から頂部へと延び得る。しかしながら、これは必須ではない。例えば、区画は、1つの壁のみ、例えば単一のシートを備え得、1つの壁は、好ましくは、コーヒー粒子を全ての側で取り囲む。代替的に、区画は、2つの壁のみ、例えば、頂壁及び底壁のみを備え得る。
【0039】
図1に示す区画91は、実質的に円筒又は円錐の形態、特に切頭円錐の形態を有する。区画91は、一般に、丸天井の形態、例えば、(以下にさらに記載の)注出壁92から注入壁89に向かって広がる若しくは先細になる形態、又はまた異なる形態を有し得る。例えば、区画91は、角柱の形態、切頭ピラミッドの形態、又は実質的に平坦な形態、例えば、円盤状の形態を有し得る。区画91の上面視では、区画91は、円、楕円形、角度付き(多角形、長方形、正方形など)の形態を有し得る。
【0040】
容器は、位置決め可能な又は位置決め不可能な容器であり得る。位置決め可能な容器とは、容器の形態に起因して、容器をマシン内に自動的に位置決め及び/又は方向決めし、それにより、容器が飲料の調製ためにマシン内で使用され得る、容器として理解されたい。側壁88は、容器の外壁であり得る。例えば、側壁88は、容器をマシン内に位置決め及び/又は方向決めし、それにより、容器が飲料の調製ためにマシン内で使用され得るように設計されている。容器をマシン内に適切に位置決め及び/又は方向決めするために、側壁88は、特定の形態(例えば、垂直及び/又は水平軸に沿う非対称形態)を有してもよく、及び/又は特定の構造、例えばフランジを備えてもよい。
【0041】
区画91は、区画91内に収容されたコーヒー粒子から飲料を調製するために、容器の注入壁89から容器の注出壁92に向かう圧力下の水の流れによって横切られるように適合されている。水は、好ましくは熱水又は温水であり、及び/又は好ましくは例えば90℃~100℃の範囲の高温を有する。しかしながら、容器は、熱水でのコーヒー抽出などの特定の形態のコーヒー抽出に限定されない。例えば、コーヒー抽出はまた、冷(コーヒー)抽出(cold extraction)又は冷(コーヒー)淹出(cold brewing)としても知られている比較的冷水でのコーヒー抽出であり得る。当該冷水は、好ましくは、冷抽出又は冷淹出に典型的に使用される温度、特に約室温、例えば、16℃~22℃の範囲、好ましくは19℃~21℃の範囲の温度を有する。特に冷抽出では、容器内の閉塞及び背圧は、それぞれ温度での水の粘度に起因して課題である。しかしながら、以下でさらに説明するように、本発明の容器は、この閉塞及び過度に高い背圧を効果的に防止する又は少なくとも低減することができる。
【0042】
区画91は、好ましくは、注入壁89の少なくとも部分又は全体を備える。注入壁89は、好ましくは、区画91の頂部上で区画91を閉鎖する;したがって、注入壁89は、好ましくは、区画91の蓋である。注入壁89は、水の流れが注入壁89を介して区画91内に導入され得るように適合されている。例えば、注入壁89は、注入壁89が、水の流れの導入のために、(針又は他の穿刺要素によって)穿刺される、又はそうでなければ引き裂かれるように設計されている。注入壁89はまた、例えば、注入壁89の適切な設計によって、注入壁89を穿刺することなく水が注入壁89を通って流れることができるように設計され得る。注入壁89は、好ましくは膜又は任意の他の薄膜である。注入壁89は、特定の形態又は形状に限定されない。例えば、注入壁89は、特に区画91、したがって注入壁89が水の流れによって加圧されていない状態で、平坦な形態、貝殻形態、凹状形態及び/又は凸状形態を有し得る。注入壁89の凹状形態は、好ましくは凹状側が区画91の内側に面するように、設けられている。注入壁89の凸状形態は、好ましくは凸状側が区画91の内側に面するように、設けられている。
【0043】
注入壁89は、側壁88に固定的に、特に流体密封式に取り付けられてもよい。例えば、注入壁89は、溶接、熱封止、又は任意の他の接着剤結合によって側壁88に取り付けられている。注入壁89は、区画91又は側壁88の周縁部上に取り付けられてもよく、例えば、区画91又は側壁88の周縁溶接線90に沿って溶接されてもよい。溶接線90は、側壁の上端から容器の外側へと延びるフランジであり得る。他の例では、注入壁89はまた、異なって取り付けられてもよく、例えば、側壁88を必要とせずに注出壁92に直接取り付けられてもよい。
【0044】
区画91は、好ましくは、注出壁92の少なくとも部分又は全体を備える。注出壁92は、好ましくは、区画92の底部上で区画92を閉鎖する。したがって、注出壁92は、コーヒー粒子を区画92内に区画92の底部において保持する。注出壁92は、側壁88に固定的に、特に流体密封式に取り付けられてもよい。例えば、注出壁92は、溶接、ヒートシール、又は任意の他の接着剤結合によって側壁88に取り付けられている。注出壁92は、側壁88の下端に取り付けられてもよく、例えば、下端から延びるフランジに取り付けられてもよい。注出壁92はまた、側壁88を必要とせずに、注入壁89に(直接)取り付けられてもよい。注出壁92は、側壁88又は注入壁89と一体的に形成され得る。注出壁92は、好ましくは、水の流れが、注出壁92を介して容器及び/又は区画91から出て、例えば、その後、注出壁92の下流に提供されたマグ内に注出され得るように構成又は適合されている。注出壁92は、好ましくは薄膜である。注出壁92は、特定の形態又は形状に限定されない。例えば、注出壁92は、特に区画91、したがって注出壁92が水の流れによって加圧されていない状態で、平坦な形態、貝殻形態、凹状形態及び/又は凸状形態を有し得る。注出壁92の凹状形態は、好ましくは、凹状側が区画91の内側に面するように、設けられている。注出壁92の凸状形態は、好ましくは、凸状側が区画91の内側に面するように、設けられている。例えば、容器は、容器が注出壁92の下流にさらなる要素を備えないように、すなわち、水が注出壁92を介して容器から出るように設計されてもよい。
【0045】
注出壁92は、水の流れを注出壁92を介して流れさせて区画91から出るために、1つ以上の要素(開口要素又は手段)が注出壁92の開口を可能にするように構成され得る。1つ以上の要素は、容器と共に設けられてもよく(すなわち、容器は、容器自体の1つ以上の(開口)要素を備え、1つ以上の(開口)要素は、例えば、容器内に、好ましくは区画91内又は区画91の外側に収納されている)、又は、1つ以上の要素はまた、例えば、容器が使用されているマシンの一部分として、容器の外側に設けられてもよい(すなわち、容器及び1つ以上の(開口)要素は互いに分離されている)。容器と共に1つ以上の要素を設けるために、1つ以上の要素は、容器の底部内及び/又は注出壁92の下流に設けられてもよい。注出壁92は、1つ以上の要素を覆うことができる。例えば、注出壁92の開口を1つ以上の要素によって可能にすることは、特にコーヒー抽出の時に、区画91内に導入された水(又は任意の他の液体又は流体)の圧力の上昇によって作動され得る。注出壁92の開口を1つ以上の要素によって可能にすることは、1つ以上の要素と注出壁92との間の相対的な係合によってもたらされ得る。「相対的な係合」とは、1つ以上の要素又は注出壁92のいずれかが、又は代替的に、両方が、注出壁92の開口をもたらすために、一方が他方に対して動かされ得ると理解されたい。相対的な係合は、注出壁92の穿刺又は引き裂きをもたらし得る。したがって、1つ以上の要素は、1つ以上の穿刺又は引き裂き要素として機能し得る。
【0046】
図1に示す好ましい実施形態では、1つ以上の要素は、ピラミッド形状の形態の隆起要素93を含む。1つ以上の要素はまた、任意の他の穿刺要素(点、ブレード、ナイフ、針など)又は、例えば、円錐形状、ピラミッド形状、又は注出壁92の開口を可能にするのに適する任意の他の幾何学形状の形態の任意の他の陥没要素又は隆起要素を含んでもよい。隆起要素93は、容器の底部に設けられている。したがって、隆起要素93は、好ましくは、容器の底部を形成する。1つ以上の要素は、陥没要素94をさらに含み得、陥没要素94はまた、好ましくは、当該容器の底部を形成する。1つ以上の要素、すなわち隆起要素93及び陥没要素94は、注出壁92によって覆われている。したがって、水は、注入壁89を介して導入され、圧力の上昇は、例えば注出壁92を引き裂くことによって注出壁92の開口を可能にするように、注出壁92を1つ以上の要素に押し付け、したがって、飲料は、容器から、例えば、容器の下方又は下流に配置されたマグ内に流れ出ることができる。
【0047】
注入壁89から注出壁92へと区画91を横切る水の流れの圧力は、コーヒーの抽出に十分である、すなわち、挽いたコーヒー粒子からの可溶性固形物及び風味料を、これらのコーヒー粒子から飲料を調製するための導入された水の中に溶解するのに十分である。好ましくは、水の流れの圧力はまた、注出壁92の開口を可能にするために、注出壁92を1つ以上の要素に押し付けるのに十分である。この(抽出)圧力は、4バール以上又は6バール以上又は8バール以上又は10バール以上、及び/又は15バール以下又は14バール以下又は13バール以下又は12バール以下又は11バール以下又は10バール以下であり得る。好ましくは、この圧力は、約13バール、例えば、12バール~14バールの範囲である。
【0048】
注出壁92は、コーヒー粒子が注出壁92を通過して、下流に、例えば、マグ内に流れるのを防止するように適合されている。したがって、注出壁92は、フィルタを備える、又はフィルタとして設計されている、又は例えば1つ以上の要素によってフィルタに形成され得る。例えば、
図2及び
図3で分かるように、注出壁92は、(少なくとも、飲料が容器から注出される時に、例えば、1つ以上の要素が注出壁92を開口する時に)小さい開口部又は開き口92a、例えば細孔を備え、開口部又は開き口92aは、コーヒー粒子が注出壁92から下流に流れることを防止するためにコーヒー粒子よりも小さいが、飲料が通って流れることを可能にする。
図2及び
図3は、例示的に、
図1の隆起要素93のうちの1つの詳細図を示す。隆起要素93は、注出壁92を開口し、それによって、小さい開口部92aのうちの1つ、したがってフィルタを形成するために、注出壁92と係合している。
図2及び
図3の矢印は、圧力下の水にに起因してコーヒー粒子に作用する圧力、したがって力を示し、力は、注出壁92を隆起要素93と係合させるために使用され得る。
【0049】
フィルタはまた、注出壁92に対して別個に、例えば、注出壁92の下流に設けられ得る。別の例では、1つ以上の(開口)要素は、フィルタリング機能を備え得る。例えば、1つ以上の要素のそれぞれは、対応する空洞を備え、空洞は、注出壁92の穿刺又は引き裂き後に、区画91の内部体積と連通し、このため、飲料は、1つ以上の要素の1つ以上の空洞を介して容器から流れ出る;しかしながら、それぞれの空洞は、(例えば、空洞の直径に起因して)コーヒー粒子が1つ以上の空洞を介して、したがって容器からマグ内に流れることを防止する。
【0050】
図2は、比較的小さいコーヒー粒子1、すなわち、350μm未満の体積モーメント平均を有するコーヒー粒子が、注出壁92と直接接触している例を概略的に示す。この例によれば、小さいコーヒー粒子1は、小さい開口部92a上に凝集し、小さい開口部92aの通路を低減する。これは、小さい開口部92aを圧搾し、したがって小さい開口部92aの通路を低減する小さいコーヒー粒子1及び水に起因する。結果として、コーヒー粒子1が注出壁92を通って流れることを防止するのみでなく、水が注出壁92を通って(適切に)流れることも妨げ、それによって、容器内の閉塞、したがって高い圧力を生じさせ、これはまた、飲料調製マシンに欠陥を生じさせて、水を必要な圧力で提供/圧送することができないことがある。
【0051】
特にコーヒー抽出の収率を増加させるための比較的小さい粒径のコーヒー粒子を依然として有しつつ、閉塞の前述の不利益に対処するために、本発明は、コーヒー粒子が、以下に記載の第1のコーヒー粒子1及び第2のコーヒー粒子2を含むように、区画91内に収容されたコーヒー粒子を提供することを提案する。
【0052】
第1の実施形態によれば、特に、
図2を参照して、区画91内に収容されたコーヒー粒子は、第1の体積モーメント平均D[4,3]を有する第1のコーヒー粒子1の第1のグループと、第2の体積モーメント平均D[4,3]を有する第2のコーヒー粒子2の第2のグループとを含む。第2のコーヒー粒子2の第2のグループは、第1のコーヒー粒子1の第1のグループの下流に配置されおり、注出壁92と直接接触している。第2の体積モーメント平均は、第1の体積モーメント平均よりも大きい。「グループ」とは、完全な、したがって、分離されていない構成単位として理解されたい。
【0053】
したがって、第1のコーヒー粒子1の第1のグループの第1の体積モーメント平均と比較して、より大きい第2の体積モーメント平均を有する第2のコーヒー粒子2の第2のグループに起因して、第1のコーヒー粒子1は、注出壁92と直接接触することが実質的に防止され、特に
図3に例示的に示すように、小さい開口部92aと直接接触することが防止される。したがって、第1のコーヒー粒子1による前述の閉塞は、効果的に防止される、又は少なくとも有意に低減される。しかしながら、第2の体積モーメント平均を有する第2のコーヒー粒子2は、水、したがって抽出されたコーヒー飲料をこれらの第2のコーヒー粒子2間に流れさせ、それにより、水は注出壁92に到達することができ、注出壁92を介して容器から出て、例えば、その後マグ内に注出され得る。例えば、開き口(小さい開口部又は細孔)92aのそれぞれは第2の体積モーメント平均よりも小さく、それにより、第2のコーヒー粒子2は、開き口2、したがって注出壁92を通過することが防止されるが、飲料は、開き口を通って流れることができる。それによって、第2のコーヒー粒子2が開き口92a及び注出壁92を閉塞することが効果的に防止される。開き口92aのそれぞれ、すなわち、開き口92aのそれぞれの流れ領域は、特定の外形(又はプロファイル)に限定されない。すなわち、当該外形は、円、楕円形、長方形、多角形などの形態であり得る。好ましくは、開き口のそれぞれの直径、又は開き口のそれぞれの外形の2つの点間の最大可能距離、又はフィルタ若しくはメッシュである注出壁92のメッシュサイズは、第2の体積モーメント平均よりも小さく、好ましくは、第2の体積モーメント平均よりも少なくとも10%又は20%又は30%又は40%又は50%小さい。例えば、開き口のそれぞれの直径又は当該最大可能距離、すなわち開き口の開口サイズは、400μm以下、好ましくは350μm以下、及び/又は200μm以上、好ましくは250μm以上である。
【0054】
第2のコーヒー粒子2の第2のグループは、好ましくは、第2のコーヒー粒子2の第2のグループが、少なくとも開口部92aのうちのいくつかを覆うように、又は開口部92aが設けられ得る注出壁92の部分を覆うように提供されている。注出壁92のこれらの部分は、開口部92aを設けるための1つ以上の要素によって開口され得る。したがって、第2のコーヒー粒子2の第2のグループは、例えばクラスタ又はヒルの形態の注出壁92の一部分のみを覆ってもよく、このため、閉塞が少なくとも注出壁92のこの部分について防止される。しかしながら、第2のコーヒー粒子2(の第2のグループ)は注出壁92の全体を覆い、それによって、開口部92aの全て、又は開口部92aが設けられ得る注出壁92の全ての部分を覆うことが好ましい。追加的又は代替的に、第2のコーヒー粒子2は、飲料を調製するための水の流れが、第2のコーヒー粒子2を介してのみ容器から出ることができるように配置され得る。第2のコーヒー粒子2は、側壁88と直接接触するように配置され得る。
【0055】
さらに、第2のコーヒー粒子2(の第2のグループ)は、前述の閉塞が、防止される、又は注出壁92の部分又は開口部92aのうちのいくつか、好ましくは大部分(少なくとも50%)について少なくとも低減される限り、特定の形態に限定されない。したがって、第2のコーヒー粒子2は、注出壁上に(例えば、一定の厚さで)積層されてもよく、及び/又はコーヒー床として提供されてもよく、及び/又は断面視で球形の形態を有してもよい。
【0056】
図3に例示的に示すように、第1のコーヒー粒子1は、第2のコーヒー粒子2上に積層されてもよく、及び/又は第2のコーヒー粒子2と直接接触してもよい。したがって、仕切り壁などの要素は、第1のコーヒー粒子1と第2のコーヒー粒子2との間に設けられている必要はない。第1のコーヒー粒子1は、側壁88及び/又は注入壁89と直接接触しているように、区画91内に収容され得る。上記のように第2のコーヒー粒子2が注出壁92の一部分のみを覆う場合、第1のコーヒー粒子1は、注出壁92と直接接触し得る。したがって、第1のコーヒー粒子1は、注出壁92の一部分(例えば、いくつかの開口部93a)を閉塞し得るが、第2のコーヒー粒子2が注出壁92の大部分(したがって開口部92aの大部分)を依然として覆うため、容器の閉塞は有意に依然として低減される。しかしながら、第1のコーヒー粒子1は、注出壁92と直接接触していないことが好ましい。第1のコーヒー粒子1は、層として、及び/又はコーヒー床として提供され得る。
【0057】
第1のコーヒー粒子1は、区画91の内側に向き第2のコーヒー粒子2によって覆われていない区画91の面(すなわち、内面)の全体を覆うように、区画91を充填してもよい。例えば、第1のコーヒー粒子1は、第2のコーヒー粒子2と直接接触していない、注入壁89の内面及び/又は側壁88の内面を覆う。第1のコーヒー粒子1及び第2のコーヒー粒子2は、例えば区画の設計によって、区画91内に収容及び圧縮され得、それにより、圧縮は、予め定められた様式で、特に、第1のコーヒー粒子1による容器の閉塞を防止する又は少なくとも低減する様式で、第1のコーヒー粒子1及び第2のコーヒー粒子2を、例えば以下に記載の第1及び第2の高さで保持する。したがって、圧縮は、容器の輸送中に第1のコーヒー粒子1が第2のコーヒー粒子2間を注出壁92へと移動することを防止する又は少なくとも低減する。圧縮は、好ましくは、生じる力(例えば、1000N)をもたらし、該力は、コーヒー粒子がコーヒー粒子の予め定められた様式で実質的に一緒に保持されていることをもたらす。
【0058】
圧縮に追加的又は代替的に、区画91は、コーヒー粒子、すなわち、第1及び第2のコーヒー粒子1、2を対応する予め定められた様式で保持するように設計された保持構造を備え得る。保持構造は、区画91と一体的に(例えば、好ましくはそれぞれのコーヒー粒子を取り囲む1つ以上の陥凹部及び/又は突起部の形態で)形成され得る、及び/又は区画に対して別個に設けられ得る。特に、保持構造は、注入壁89及び/若しくは注出壁92及び/若しくは側壁88と一体的に形成され得る、又は注入壁89及び/若しくは注出壁92及び/若しくは側壁88に対して別個に設けられ得る。
【0059】
図1及び2に例示的に示すように、第2のコーヒー粒子2は、注出壁92から第1のコーヒー粒子の(下面)への(第1の)高さh
1で、容器又は区画91内に提供され得る、例えば積層され得る。高さh
1は、第2のコーヒー粒子2の層の厚さであり得、並びに/あるいは、特に、注出壁92が、加圧されていない、若しくは注出壁92を開口するための1つ以上の要素と係合していない、したがって例えば実質的に平坦である(
図1を参照されたい)注出壁92の状態で、注出壁92に垂直である及び/又は容器若しくは区画91の軸若しくは対称軸に平行である線に沿って測定され得る。高さh
1は、好ましくは、1000μm以上、より好ましくは1500μm以上又は2000μm以上又は2500μm以上又は3000μm以上又は3500μm以上又は4000μm以上又は4500μm以上又は5000μm以上である。
【0060】
特に
図1に示すように、第1のコーヒー粒子1は、第2のコーヒー粒子2(の上側)から、例えば、第1の高さh1からコーヒー粒子の全体の高さh
全体へのさらなる高さ(第2の高さ)h
2で、容器又は区画91内に提供され得る、例えば、積層され得る。コーヒー粒子の全体の高さh
全体は、区画91の高さ又は深さ、例えば、注入壁89と注出壁92との間の距離に対応し得る。第2の高さh
2及び全体の高さh
全体は、好ましくは、第1の高さh
1の測定に対応して測定される。すなわち、第2の高さh
2及び全体の高さh
全体は、特に、注出壁92が、加圧されていない、若しくは注出壁92を開口するための1つ以上の要素と係合していない、したがって例えば実質的に平坦である(
図1を参照されたい)注出壁92の状態で、注出壁92に垂直である及び/又は容器若しくは区画91の軸若しくは対称軸に平行である線に沿って測定され得る。第1のコーヒー粒子1の高さh
2は、第1のコーヒー粒子の層の厚さであり得、全体の高さh
全体は、第1のコーヒー粒子1及び第2のコーヒー粒子2からなるコーヒー粒子の層の全体の厚さであり得る。第2の高さh
2は好ましくは、5000μm以上又は6000μm以上又は7000μm以上又は8000μm以上又は9000μm以上又は10000μm以上又は11000μm以上又は12000μm以上又は13000μm以上又は14000μm以上又は15000μm以上又は16000μm以上又は17000μm以上である。第1の高さh
1対第2の高さh
2の比は、好ましくは、1:1~1:20の範囲、より好ましくは1:10~1:20の範囲、さらにより好ましくは1:10~1:15又は1:2~1:5の範囲、例えば1:3~1:4の範囲である。
【0061】
第1のコーヒー粒子1は、第1の体積を有し得、第2のコーヒー粒子2は、第2の体積を有し得る。体積のそれぞれは、それぞれのコーヒー粒子の量及びそれぞれのコーヒー粒子の体積モーメント平均によって定めされ得る。例えば、第1及び第2のコーヒー粒子1、2が区画91内に積層されており、それにより、コーヒー粒子1、2が特定の高さh1、h2で提供されており、側壁と直接接触している場合、対応する体積は、区画91の幾何学的形状(例えば、円柱又は円錐台の形態)及び対応する高さで計算され得る。第1の体積対第2の体積の比は、1:1~20:1の範囲、好ましくは10:1~20:1の範囲、さらにより好ましくは、10:1~15:1又は2:1~5:1の範囲、例えば3:1~4:1の範囲であり得る。
【0062】
以下、コーヒー抽出の収率の増加を達成するための比較的小さい粒径のコーヒー粒子を依然として有しつつ、閉塞の不利益を防止する又は少なくとも有意に低減する第2の好ましい実施形態について、
図1及び3を参照して説明する。特に第1の実施形態の前述の説明は、以下に別段記載されない限り、第2の実施形態に同様に適用される。
【0063】
第2の実施形態によれば、コーヒー粒子は、全体の高さ、例えば、上記の全体の高さh全体にわたって、区画91内に配置されおり、注出壁92から第1の高さ、例えば上記の第1の高さh1へと配置されているコーヒー粒子は、第2の体積モーメント平均D[4,3]を有する第2のコーヒー粒子2であり、第2の高さ、例えば、第1の高さh1からコーヒー粒子の全体の高さh全体へと延びる上記の第2の高さh2にわたって配置されているコーヒー粒子は、第1の体積モーメント平均D[4,3]を有する第1のコーヒー粒子1である。第2の体積モーメント平均は、第1の体積モーメント平均よりも大きい。
【0064】
以下、コーヒー抽出の収率の増加を達成するための比較的小さい粒径のコーヒー粒子を依然として有しつつ、閉塞の不利益を防止する又は少なくとも有意に低減する第3の好ましい実施形態について、
図1及び3を参照して説明する。特に第1及び第2の実施形態の前述の説明は、以下に別段記載されない限り、第2の実施形態に同様に適用される。
【0065】
第3の実施形態によれば、注出壁92と直接接触しているコーヒー粒子は、第2の体積モーメント平均D[4,3]を有する第2のコーヒー粒子2aであり、第2のコーヒー粒子2aの上流に配置されているコーヒー粒子は、第1の体積モーメント平均D[4,3]を有する第1のコーヒー粒子1であり、第2の体積モーメント平均は、第1の体積モーメント平均よりも大きい。したがって、第3の実施形態は、特に、第2のコーヒー粒子2aが、注出壁と直接接触しているコーヒー粒子であり、第2のコーヒー粒子2aであるという点で、他の実施形態と異なる。
【0066】
全ての実施形態の共通の特徴は、第2の体積モーメント平均が第1の体積モーメント平均よりも大きく、それによって、第1の体積モーメント平均を有するコーヒー粒子が注出壁と直接接触することを防止することである。したがって、閉塞は、効果的に防止される又は少なくとも低減され、コーヒー抽出の収率は、第1の体積モーメント平均が第2の体積モーメント平均よりも小さいことに起因して、改善される。第2の体積モーメント平均は、好ましくは350μm以上、より好ましくは400μm以上又は450μm以上又は500μm以上又は550μm以上又は600μm以上又は650μm以上又は700μm以上である。第2の体積モーメント平均は、好ましくは900μm以下、より好ましくは850μm以下又は800μm以下又は750μm以下又は700μm以下又は650μm以下又は600μm以下である。第1の体積モーメント平均は、好ましくは550μm未満、より好ましくは500μm以下又は450μm以下又は400μm以下又は350μm以下、300μm以下又は250μm以下又は200μm以下又は150μm以下又は100μm以下である。第2の体積モーメント平均は、第1の体積モーメント平均よりも少なくとも15%又は少なくとも20%又は少なくとも30%大きくてもよい。
【0067】
容器、区画91、側壁88、注入壁89、及び注出壁92は、特定の材料に限定されない。側壁88、注入壁89及び/又は注出壁92は、プラスチック及び/又は金属材料、例えば、アルミニウム、及び/又は紙(複合材)から作製され得る。使用されるプラスチックは、食品の分野に適合しEVOH、PVDC、PP、PE、PAからなる群から選択される、単層での又は多層としてのプラスチックであり得る。側壁88、注入壁89及び/又は注出壁92はまた、フィルタ紙及び/又は任意の他の生分解性又は堆肥化可能な材料から作製され得る。材料とは、材料がEuropean Norm EN 13431(「パッケージング-堆肥化及び生分解を介して回収可能なパッケージングのための要件-パッケージングの最終的な承認のための試験スキーム及び評価基準」)によって確立された要件を満たすときに「堆肥化可能」として理解されたい。堆肥化可能な材料は、以下の材料、バイオマスから抽出されたポリマー(例えば、セルロース-デンプン、脂質、タンパク質などの多糖);合成ポリマー(例えば、デンプンの発酵から導出されるポリ乳酸-PLA);遺伝子改変微生物又は細菌(例えば、ポリヒドロキシアルカノエート-PHA)によって生成されたポリマー;化石モノマーからのポリマー(例えば、ポリブチルスクシネート-PBS);及びナノ粒子(例えば、タルカム、クロイサイト)などの添加物が導入されている又は導入されていない上記の混合物(いわゆる「化合物」)のうちの1つ以上であり得る。フィルタ紙の材料は、好ましくは、フィルタ紙、織繊維、及び不織繊維からなる群から選択される。繊維は、PET(ポリエチレンテレフタレート)又はPP(ポリプロピレン)又はある他のポリマーから作製され得る。使用される材料の厚さは、使用される材料の種類に応じて、好ましくは5~100マイクロメートルである。側壁88、注入壁89及び/又は注出壁92は、好ましくは、アロマ非透過性様式で区画91を閉鎖するように適合されている。側壁88、注入壁89及び/又は注出壁92は、単層又は多層構造を有し得る。側壁88、注入壁89及び/又は注出壁92は、コーティングを備え得る。
【0068】
注出壁92の材料は、12N以上の穿孔性(ASTM F 1306 90による、100μmの厚さの試料について測定された貫通の速度:300mm/分)を有し得る。注出壁92は、20μm~2mm、好ましくは50μm~0.5mmの厚さを有し得、特に好ましい方法では、60μm~300μmであり得る。好ましくは、注出壁92は、注出壁92の面の全体の少なくとも25%にわたって穿孔されている。
【0069】
容器はまた、圧力下の水の流れと相互作用するためのさらなる構造を含み得る。これらのさらなる構造は、注出壁92の上流又は下流に設けられ得る。注出壁の下流に設けられた例示的なさらなる構造は、単一の開口部95であり、開口部95は、好ましくは区画91と同心に、及び/又は容器の底部において設けられている。開口部95は、管状部分として形成され得る。それによって、飲料は、空間を形成する陥没要素94に沿って流れ得、開口部95上に達し得る。したがって、この開口部95は、飲料が開口部95の下方又は下流に配置されたマグ(図示せず)内に流れることを可能にする。容器は、熱成形によって製造され得、熱成形は、前述の1つ以上の要素を直接得ることを可能にし得る。
【0070】
以下、実施例1~6は、本発明の効果を例示的に実証するために示されている。実施例のそれぞれは、ポッド又はカプセルの形態の容器、すなわち、実施例1、5及び6においてネスプレッソ形状の容器、及び実施例2、3、4においてNestle Dolce Gusto(NDG)形状の容器を使用した;容器設計の列で、対応する容器設計に続く括弧内の比は、第1のコーヒー粒子対第2のコーヒー粒子の比を示す。表の最後の列は、対応する容器において、容器から出ない生成物(product not coming out of the container:PNCO)があるかどうか、すなわち容器が閉塞され、したがって飲料が容器から出ない若しくは実質的に出ない(PNCO:はい)、又は容器が閉塞されず、したがって飲料が容器から出る(PNCO:いいえ)かどうかを示す。
【0071】
【0072】
比較例1及び2において分かるように、第2の体積モーメント平均は非常に小さく、容器の閉塞を生じさせる。対照的に、実施例3~6のそれぞれにおいて、第2の体積モーメント平均は、それぞれ実施例1及び2の第2の体積モーメント平均よりも大きく、それによって、容器の閉塞を生じさせない;したがって、実施例3~6の第2のコーヒー粒子は、対応する容器内の圧力を効果的に制御し、それにより、閉塞が発生しない。さらに、実施例3及び6のそれぞれにおいて、対応する第2の体積モーメント平均は、対応する第1の体積モーメント平均よりも大きい。したがって、これらの実施例は、より小さい第1の体積モーメント平均に起因して、実施例4及び5と比較して、コーヒー抽出のより高い収率を達成する。ゆえに、実施例3及び6は、(実施例1及び2と対照的に)対応する容器の閉塞を防止するのみでなく、実施例4及び5よりも高いコーヒー抽出の収率も達成する。
【0073】
図示の実施形態は、好ましい実施形態のみであるが、しかしながら、容器の他の設計も使用し得ることが、当業者には明らかであるべきである。特に、容器は、第1及び第2のコーヒー粒子(例えば、コーヒー粒子の層又はグループ)のみに限定されない。例えば、容器は、第1及び/若しくは第2のコーヒー粒子の上流に又は第1のコーヒー粒子と第2のコーヒー粒子との間に提供され得る1つ以上のさらなるコーヒー粒子(例えば、コーヒー粒子の1つ以上のさらなる層又はグループ)(すなわち、全体で3つ以上(の層又はグループ)のコーヒー粒子)を含み得る。それによって、第2のコーヒー粒子は、カプセル内の閉塞を効果的に防止し、したがって、第2のコーヒー粒子の上流(又は頂部上)の任意の形態の粒子又は層、特に、第2のコーヒー粒子の体積モーメント平均より小さい体積モーメント平均を有する(コーヒー)粒子(のみでなく他の添加物も)を提供する自由度を提供する。
【0074】
本発明は、例としての様々な実施形態、及び実装形態と併せて記載されている。しかしながら、他の変形形態が、図面、本開示、及び独立請求項の研究から特許請求された発明を実施する当業者によって理解され成し遂げられ得る。特許請求の範囲及び説明において、「備える(comprising)」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。単一の要素又は他の構成単位は、特許請求の範囲に記載されたいくつかのエンティティ又は項目の機能を満たすことができる。ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利な実装形態において使用されないことを示さない。
【国際調査報告】