(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵システム(ESS)に組み込まれているバッテリーモジュールの冷却システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/633 20140101AFI20220930BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220930BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20220930BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20220930BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/613
H01M10/6563
H01M10/42 P
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503883
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 KR2020013015
(87)【国際公開番号】W WO2021085866
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0134646
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・チョル・パク
【テーマコード(参考)】
5H030
5H031
【Fターム(参考)】
5H030BB23
5H030FF22
5H030FF43
5H030FF44
5H031HH01
5H031HH06
(57)【要約】
本発明は、バッテリーモジュールの冷却システム及びその方法に係り、さらに詳しくは、エネルギー貯蔵システム(ESS)に組み込まれている各バッテリーモジュールの温度、電圧状態を考慮して、当該冷却ファンをそれぞれ別々に制御することが可能であり、冷却ファンの駆動のために各冷却ファンごとに別途の外部電源ケーブルを接続せねばならない作業を必要としないバッテリーモジュールの冷却システム及びその方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つ以上のバッテリーモジュールを備えるバッテリーラックを一つ以上備えてなるエネルギー貯蔵システム(ESS)において、
各バッテリーモジュールは、
直並列に接続される多数のバッテリーセルと、
前記バッテリーセルの電圧を駆動電源として用いて動作する冷却ファンと、
バッテリーモジュールの温度及び電圧状態に応じて、前記冷却ファンのオン/オフの動作有無を制御するバッテリー管理システム(BMS)と、
を備えてなるバッテリーモジュールの冷却システム。
【請求項2】
前記バッテリー管理システム(BMS)は、
所定の周期おきに、前記バッテリーモジュールの温度を測定する温度測定部と、
所定の周期おきに、前記バッテリーモジュールの電圧を測定する電圧測定部と、
他のバッテリーモジュールとの通信を接続する通信部と、
前記バッテリーセルから電圧を印加されて、前記冷却ファンを駆動する電圧に変換して出力するDC/DCコンバーターと、
前記温度測定部及び電圧測定部において測定されたモジュール温度及びモジュール電圧の状態に応じて、前記冷却ファンのオン/オフの動作有無を判断する冷却ファン制御部と、
を備えてなることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュールの冷却システム。
【請求項3】
前記冷却ファン制御部は、
前記温度測定部及び電圧測定部において測定された当該バッテリーモジュールのモジュール温度及びモジュール電圧を、前記通信部を介して通信接続された他のバッテリーモジュールに送信するモジュール情報送信部と、
前記通信部を介して通信接続された他のバッテリーモジュールからそのモジュール情報を受信するモジュール情報受信部と、
前記温度測定部において測定されたモジュール温度を所定の温度基準値と比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファンのオン/オフの動作有無を判断する第1の判断部と、
前記モジュール情報受信部において受信した他のバッテリーモジュールのモジュール情報に基づいて、当該バッテリーモジュールと隣り合う隣接バッテリーモジュールの隣接モジュール温度を所定の温度基準値と比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファンのオン/オフの動作有無を判断する第2の判断部と、
前記電圧測定部において測定されたモジュール電圧と、前記モジュール情報受信部において受信した他のバッテリーモジュールのモジュール情報に基づいて、当該バッテリーモジュールのモジュール電圧が他のバッテリーモジュールのモジュール電圧よりも高い状態であるか否かを比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファンのオン/オフの動作有無を判断する第3の判断部と、
を備えてなることを特徴とする請求項2に記載のバッテリーモジュールの冷却システム。
【請求項4】
前記第1の判断部は、
当該バッテリーモジュールのモジュール温度が所定の温度基準値以上であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンを動作させるためのファン動作信号を出力し、
前記モジュール温度が所定の温度基準値未満であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンが動作しないようにファン中止信号を出力することを特徴とする請求項3に記載のバッテリーモジュールの冷却システム。
【請求項5】
前記第2の判断部は、
前記隣接バッテリーモジュールのモジュール温度が所定の温度基準値以上であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンを動作させるためのファン動作信号を出力し、
前記隣接バッテリーモジュールのモジュール温度が所定の温度基準値未満であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンが動作しないようにファン中止信号を出力することを特徴とする請求項3に記載のバッテリーモジュールの冷却システム。
【請求項6】
前記第3の判断部は、
前記電圧測定部において測定されたモジュール電圧と、前記モジュール情報受信部において受信した他のバッテリーモジュールのモジュール情報に含まれているモジュール電圧との差分をそれぞれ算出するモジュール電圧ばらつき算出部と、
前記算出されたモジュール電圧ばらつきのうち、所定のばらつき基準値を超える値が存在するか否かを比較するモジュール電圧ばらつき比較部と、
を備えてなることを特徴とする請求項3に記載のバッテリーモジュールの冷却システム。
【請求項7】
前記モジュール電圧ばらつき比較部は、
比較の結果、所定のばらつき基準値を超えるモジュール電圧ばらつきが存在する場合、当該バッテリーモジュールの放電のために冷却ファンを動作させるためのファン動作信号を出力することを特徴とする請求項6に記載のバッテリーモジュールの冷却システム。
【請求項8】
前記DC/DCコンバーターは、
前記ファン動作信号が出力されれば、前記冷却ファンが駆動されるように電圧の大きさを高めに調節して前記冷却ファンに出力し、
ファン中止信号が出力されれば、前記冷却ファンが駆動されないように電圧の大きさを低めに調節して前記冷却ファンに出力することを特徴とする請求項4、5、及び7のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールの冷却システム。
【請求項9】
バッテリーラック内に組み込まれている多数のバッテリーモジュール同士の通信を接続する通信接続ステップと、
所定の周期おきに、前記バッテリーモジュールのモジュール温度及びモジュール電圧を測定するモジュール状態データ測定ステップと、
前記測定した当該バッテリーモジュールの前記モジュール温度及び前記モジュール電圧をはじめとするモジュール情報を前記通信接続された他のバッテリーモジュールに送信し、前記通信接続された他のバッテリーモジュールからそのモジュール情報を受信するモジュール情報送受信ステップと、
前記モジュール状態データ測定ステップにおいて測定した当該バッテリーモジュールの前記モジュール温度及び前記モジュール電圧と、前記モジュール情報送受信ステップにおいて受信した他のバッテリーモジュールのモジュール情報に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファンの動作有無を判断する冷却ファンの動作有無判断ステップと、
前記冷却ファンの動作有無判断ステップの判断結果に基づいて、バッテリーセルから印加された電圧の大きさを調節して前記冷却ファンに出力する冷却ファン駆動電源供給ステップと、
を含んでなるバッテリーモジュールの冷却制御方法。
【請求項10】
前記冷却ファンの動作有無判断ステップは、
前記モジュール状態データ測定ステップにおいて測定した当該バッテリーモジュールのモジュール温度を所定の温度基準値と比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファンの動作有無を判断する第1の冷却動作判断ステップと、
前記モジュール情報送受信ステップにおいて受信した他のバッテリーモジュールのモジュール温度のうち、当該バッテリーモジュールと隣り合う隣接バッテリーモジュールのモジュール温度を所定の温度基準値と比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファンの動作有無を判断する第2の冷却動作判断ステップと、
前記モジュール状態データ測定ステップにおいて測定した当該バッテリーモジュールのモジュール電圧が、前記モジュール情報送受信ステップにおいて受信した他のバッテリーモジュールのモジュール電圧よりも高い状態であるか否かを比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファンの動作有無を判断する第3の冷却動作判断ステップと、
を含んでなることを特徴とする請求項9に記載のバッテリーモジュールの冷却制御方法。
【請求項11】
前記第1の冷却動作判断ステップにおいては、
当該バッテリーモジュールのモジュール温度が所定の温度基準値以上であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンを動作させるためのファン動作信号を出力し、
前記モジュール温度が所定の温度基準値未満であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンが動作しないようにファン中止信号を出力することを特徴とする請求項10に記載のバッテリーモジュールの冷却制御方法。
【請求項12】
前記第2の冷却動作判断ステップにおいては、
前記隣接バッテリーモジュールのモジュール温度が所定の温度基準値以上であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンを動作させるためのファン動作信号を出力し、
前記隣接バッテリーモジュールのモジュール温度が所定の温度基準値未満であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンが動作しないようにファン中止信号を出力することを特徴とする請求項10に記載のバッテリーモジュールの冷却制御方法。
【請求項13】
前記第3の冷却動作判断ステップは、
前記モジュール状態データ測定ステップにおいて測定した当該バッテリーモジュールのモジュール温度と、前記モジュール情報送受信ステップにおいて受信した他のバッテリーモジュールのモジュール電圧との差分をそれぞれ算出するモジュール電圧ばらつき算出ステップと、
前記算出されたモジュール電圧ばらつきのうち、所定のばらつき基準値を超える値が存在するか否かを比較するモジュール電圧ばらつき比較ステップと、
を含んでなることを特徴とする請求項10に記載のバッテリーモジュールの冷却制御方法。
【請求項14】
前記モジュール電圧ばらつき比較ステップにおける比較の結果、所定のばらつき基準値を超えるモジュール電圧ばらつきが存在する場合、当該バッテリーモジュールの放電のために冷却ファンを動作させるためのファン動作信号を出力することを特徴とする請求項13に記載のバッテリーモジュールの冷却制御方法。
【請求項15】
前記冷却ファン駆動電源供給ステップにおいては、
前記ファン動作信号が出力されれば、前記冷却ファンが駆動されるように電圧の大きさを高めに調節して前記冷却ファンに出力し、
ファン中止信号が出力されれば、前記冷却ファンが駆動されないように電圧の大きさを低めに調節して前記冷却ファンに出力することを特徴とする請求項11、12、及び14のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールの冷却制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュールの冷却システム及びその方法に係り、さらに詳しくは、エネルギー貯蔵システム(ESS)を構成するバッテリーモジュールの冷却ファンの制御を通したバッテリーモジュールの冷却システムとその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多数のバッテリーセル(Battery Cell)が直並列に接続されてバッテリーモジュールを構成し、多数のバッテリーモジュール(battery Module)が積載されてバスバーを介して互いに電気的に接続されて一つのバッテリーラック(Battery Rack)を構成し、このようなバッテリーラック(Battery Rack)がコンテナーなどのところに多数集約的に配設されてエネルギー貯蔵システム(ESS:Energy Storage System)を構築することになる。
【0003】
前記バッテリーセルは、充放電を通して発熱が起こるため、前記エネルギー貯蔵システム(ESS)を構成するそれぞれのバッテリーモジュールには、温度の上昇したバッテリーセルの冷却のための冷却ファンが備えられる。
【0004】
各バッテリーモジュールに備えられる冷却ファンは、一つの外部電源供給源と接続される別途の外部電源ケーブルに接続されて、これを通して外部電源供給源からの電源により駆動する方式でセルの冷却を行っていた。
【0005】
しかしながら、このように、外部電源供給源による駆動方式は、各バッテリーモジュールごとの温度の状態を考慮できないままで、全ての冷却ファンが同時に駆動されるが故に、全てのバッテリーモジュールの発熱状態を安定して管理する上で難点があり、多くの電気的なエネルギーが非効率的に消耗されてしまうという不都合を有する。
【0006】
また、バッテリーラック(Battery Rack)の構成に際して、積載されるバッテリーモジュールの各冷却ファンごとに別途の外部電源ケーブルを接続する作業が行われなければならないという煩雑さも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】KR10-2013-0051102 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した不都合を解決するために案出されたものであり、その目的は、エネルギー貯蔵システム(ESS)に組み込まれている各バッテリーモジュールの温度、電圧状態を考慮して、当該冷却ファンをそれぞれ別々に制御することが可能であり、冷却ファンの駆動のために各冷却ファンごとに別途の外部電源ケーブルを接続せねばならない作業を必要としないバッテリーモジュールの冷却システム及びその方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るバッテリーモジュールの冷却システムは、少なくとも二つ以上のバッテリーモジュールを備えるバッテリーラックを一つ以上備えてなるエネルギー貯蔵システム(ESS)において、各バッテリーモジュールは、直並列に接続される多数のバッテリーセルと、前記バッテリーセルの電圧を駆動電源として用いて動作する冷却ファンと、バッテリーモジュールの温度及び電圧状態に応じて、前記冷却ファンのオン/オフの動作有無を制御するバッテリー管理システム(BMS)と、を備えてなる。
【0010】
具体的に、前記バッテリー管理システム(BMS)は、所定の周期おきに、前記バッテリーモジュールの温度を測定する温度測定部と、所定の周期おきに、前記バッテリーモジュールの電圧を測定する電圧測定部と、他のバッテリーモジュールとの通信を接続する通信部と、前記バッテリーセルから電圧を印加されて、前記冷却ファンを駆動する電圧に変換して出力するDC/DCコンバーターと、前記温度測定部及び電圧測定部において測定されたモジュール温度及びモジュール電圧の状態に応じて、前記冷却ファンのオン/オフの動作有無を判断する冷却ファン制御部と、を備えてなることを特徴とする。
【0011】
前記冷却ファン制御部は、前記温度測定部及び電圧測定部において測定された当該バッテリーモジュールのモジュール温度及びモジュール電圧を、前記通信部を介して通信接続された他のバッテリーモジュールに送信するモジュール情報送信部と、前記通信部を介して通信接続された他のバッテリーモジュールからそのモジュール情報を受信するモジュール情報受信部と、前記温度測定部において測定されたモジュール温度を所定の温度基準値と比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファンのオン/オフの動作有無を判断する第1の判断部と、前記モジュール情報受信部において受信した他のバッテリーモジュールのモジュール情報に基づいて、当該バッテリーモジュールと隣り合う隣接バッテリーモジュールの隣接モジュール温度を所定の温度基準値と比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファンのオン/オフの動作有無を判断する第2の判断部と、前記電圧測定部において測定されたモジュール電圧と、前記モジュール情報受信部において受信した他のバッテリーモジュールのモジュール情報に基づいて、当該バッテリーモジュールのモジュール電圧が他のバッテリーモジュールのモジュール電圧よりも高い状態であるか否かを比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファンのオン/オフの動作有無を判断する第3の判断部と、を備えてなることを特徴とする。
【0012】
ここで、前記第1の判断部は、当該バッテリーモジュールのモジュール温度が所定の温度基準値以上であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンを動作させるためのファン動作信号を出力し、前記モジュール温度が所定の温度基準値未満であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンが動作しないようにファン中止信号を出力することを特徴とする。
【0013】
一方、前記第2の判断部は、前記隣接バッテリーモジュールのモジュール温度が所定の温度基準値以上であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンを動作させるためのファン動作信号を出力し、前記隣接バッテリーモジュールのモジュール温度が所定の温度基準値未満であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンが動作しないようにファン中止信号を出力することを特徴とする。
【0014】
一方、前記第3の判断部は、前記電圧測定部において測定されたモジュール電圧と、前記モジュール情報受信部において受信した他のバッテリーモジュールのモジュール情報に含まれているモジュール電圧との差分をそれぞれ算出するモジュール電圧ばらつき算出部と、前記算出されたモジュール電圧ばらつきのうち、所定のばらつき基準値を超える値が存在するか否かを比較するモジュール電圧ばらつき比較部と、を備えてなることを特徴とする。
【0015】
ここで、前記モジュール電圧ばらつき比較部は、比較の結果、所定のばらつき基準値を超えるモジュール電圧ばらつきが存在する場合、当該バッテリーモジュールの放電のために冷却ファンを動作させるためのファン動作信号を出力することを特徴とする。
【0016】
一方、前記DC/DCコンバーターは、前記ファン動作信号が出力されれば、前記冷却ファンが駆動されるように電圧の大きさを高めに調節して前記冷却ファンに出力し、ファン中止信号が出力されれば、前記冷却ファンが駆動されないように電圧の大きさを低めに調節して前記冷却ファンに出力することを特徴とする。
【0017】
本発明に係るバッテリーモジュールの冷却を制御する方法は、バッテリーラック内に組み込まれている多数のバッテリーモジュール同士の通信を接続する通信接続ステップと、所定の周期おきに、前記バッテリーモジュールのモジュール温度及びモジュール電圧を測定するモジュール状態データ測定ステップと、前記測定した当該バッテリーモジュールの前記モジュール温度及び前記モジュール電圧をはじめとするモジュール情報を前記通信接続された他のバッテリーモジュールに送信し、前記通信接続された他のバッテリーモジュールからそのモジュール情報を受信するモジュール情報送受信ステップと、前記モジュール状態データ測定ステップにおいて測定した当該バッテリーモジュールの前記モジュール温度及び前記モジュール電圧と、前記モジュール情報送受信ステップにおいて受信した他のバッテリーモジュールのモジュール情報に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファンの動作有無を判断する冷却ファンの動作有無判断ステップと、前記冷却ファンの動作有無判断ステップの判断結果に基づいて、バッテリーセルから印加された電圧の大きさを調節して前記冷却ファンに出力する冷却ファン駆動電源供給ステップと、を含んでなる。
【0018】
具体的に、前記冷却ファンの動作有無判断ステップは、前記モジュール状態データ測定ステップにおいて測定した当該バッテリーモジュールのモジュール温度を所定の温度基準値と比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファンの動作有無を判断する第1の冷却動作判断ステップと、前記モジュール情報送受信ステップにおいて受信した他のバッテリーモジュールのモジュール温度のうち、当該バッテリーモジュールと隣り合う隣接バッテリーモジュールのモジュール温度を所定の温度基準値と比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファンの動作有無を判断する第2の冷却動作判断ステップと、前記モジュール状態データ測定ステップにおいて測定した当該バッテリーモジュールのモジュール電圧が、前記モジュール情報送受信ステップにおいて受信した他のバッテリーモジュールのモジュール電圧よりも高い状態であるか否かを比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファンの動作有無を判断する第3の冷却動作判断ステップと、を含んでなることを特徴とする。
【0019】
ここで、前記第1の冷却動作判断ステップにおいては、当該バッテリーモジュールのモジュール温度が所定の温度基準値以上であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンを動作させるためのファン動作信号を出力し、前記モジュール温度が所定の温度基準値未満であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンが動作しないようにファン中止信号を出力することを特徴とする。
【0020】
一方、前記第2の冷却動作判断ステップにおいては、前記隣接バッテリーモジュールのモジュール温度が所定の温度基準値以上であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンを動作させるためのファン動作信号を出力し、前記隣接バッテリーモジュールのモジュール温度が所定の温度基準値未満であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファンが動作しないようにファン中止信号を出力することを特徴とする。
【0021】
一方、前記第3の冷却動作判断ステップは、前記モジュール状態データ測定ステップにおいて測定した当該バッテリーモジュールのモジュール温度と、前記モジュール情報送受信ステップにおいて受信した他のバッテリーモジュールのモジュール電圧との差分をそれぞれ算出するモジュール電圧ばらつき算出ステップと、前記算出されたモジュール電圧ばらつきのうち、所定のばらつき基準値を超える値が存在するか否かを比較するモジュール電圧ばらつき比較ステップと、を含んでなることを特徴とする。
【0022】
ここで、前記モジュール電圧ばらつき比較ステップにおける比較の結果、所定のばらつき基準値を超えるモジュール電圧ばらつきが存在する場合、当該バッテリーモジュールの放電のために冷却ファンを動作させるためのファン動作信号を出力することを特徴とする。
【0023】
このため、前記冷却ファン駆動電源供給ステップにおいては、前記ファン動作信号が出力されれば、前記冷却ファンが駆動されるように電圧の大きさを高めに調節して前記冷却ファンに出力し、ファン中止信号が出力されれば、前記冷却ファンが駆動されないように電圧の大きさを低めに調節して前記冷却ファンに出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、各バッテリーモジュール別の温度状態に応じて当該冷却ファンをそれぞれ別々に制御することができるので、より安定的に且つ効率よくバッテリーモジュールの発熱を管理することができ、さらに、エネルギー貯蔵システム(ESS)全体のエネルギーを効率よく管理することができる。
【0025】
また、バッテリーラックの配設に際して、各バッテリーモジュールの冷却ファンごとに別途の外部電源ケーブルを接続する作業による煩雑さが解消されて、既存の工程に比べて生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係るバッテリーモジュールの冷却システムの全体的な構成を概略的に示す図である。
【
図2】本発明に係るバッテリーモジュールの冷却制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、添付図面に基づいて、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態について詳しく説明する。しかしながら、本発明は、種々の異なる形態に具体化可能であり、したがって、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。なお、図中、本発明を明確に説明するために、説明とは無関係な部分は省略し、明細書の全般に亘って、類似の部分には類似の図面符号を付している。
【0028】
以下、添付図面に基づいて、本発明について詳しく説明する。
【0029】
1.本発明に係るバッテリーモジュールの冷却システム
一般に、エネルギー貯蔵システム(ESS)は、多数のバッテリーセル(battery cell)が直並列の形状に接続されてバッテリーモジュール(battery module)を構成し、多数のバッテリーモジュール(battery module)がバスバー(bus bar)を介して互いに接続されて一つのバッテリーラック(battery rack)を構成して、このようなバッテリーラック(battery rack)が多数集められた形状を呈する。
【0030】
本発明は、このような形状を呈するエネルギー貯蔵システム(ESS)において、一つのバッテリーラック(battery rack)を構成する多数のバッテリーモジュール(battery module)の冷却システムに関するものであり、下記のような構成要素を備えていてもよい。
【0031】
【0032】
1.1.バッテリーモジュール100
一つのバッテリーラック(battery rack)を構成する各バッテリーモジュール100は、多数のバッテリーセル110、冷却ファン120及びバッテリー管理システム(BMS)130を備えていてもよい。
【0033】
ア.バッテリーセル110
バッテリーモジュール100は、直並列の形状に接続された多数のバッテリーセル110を備えていてもよい。上述したように、バッテリーセル110が一つのバッテリーモジュール100を構成し、このようなバッテリーモジュール100が多数集められてバスバー200を介して互いに接続されて一つのバッテリーラック(battery rack)を構成するのである。
【0034】
イ.冷却ファン120
冷却ファン120は、バッテリーモジュール120の電圧を駆動電源として印加されて駆動されて当該バッテリーモジュール120に対する冷却動作を行うことができる。
【0035】
具体的に、前記冷却ファン120は、当該バッテリーモジュール100の温度及び電圧状態に応じて、後述するバッテリー管理システム(BMS)130に配備されたDC/DCコンバーター134を介して印加されるバッテリーセル110の電圧により駆動されて、当該バッテリーセル110に対する冷却動作を行うことができる。
【0036】
ウ.バッテリー管理システム(BMS)130
バッテリー管理システム(BMS)130は、バッテリーモジュール100の温度及び電圧状態を測定して、それに基づいて、DC/DCコンバーター134が冷却ファン120に出力する電圧の大きさを調節するようにして、冷却ファン120の動作を制御することができる。このようなバッテリー管理システム(BMS)130は、下記の細部的な構成要素を備えていてもよい。
【0037】
1)温度測定部131
温度測定部131は、所定の周期おきに当該バッテリーモジュール100の温度を測定する構成要素であって、例えば、温度センサー(図示せず)を用いる方式などの周知の技術を用いて、バッテリーモジュール100の温度を測定することができる。このような温度測定部131において測定される当該バッテリーモジュール100の温度をモジュール温度と称して説明を行う。
【0038】
2)電圧測定部132
電圧測定部132は、所定の周期おきに当該バッテリーモジュール100の電圧を測定する構成要素であって、周知の技術を用いてバッテリーモジュール100の電圧を測定することができる。このような電圧測定部132において測定される当該バッテリーモジュール100の電圧をモジュール電圧と称して説明を行う。
【0039】
3)通信部133
通信部133は、バスバー(bus bar)200を介して電気的に互いに接続された他のバッテリーモジュールとの通信を接続する構成要素である。前記通信部133により、一つのバッテリーラック(battery rack)を構成する多数のバッテリーモジュール100は互いに通信接続されて、当該バッテリーモジュール100は、自分のモジュール情報を他のバッテリーモジュール100に送信することができ、他のバッテリーモジュール100からそのモジュール情報を受信することができる。
【0040】
ここで、モジュール情報は、上述した温度測定部131及び電圧測定部132において測定される当該バッテリーモジュール100のモジュール温度及びモジュール電圧、並びに当該バッテリーモジュール100を識別できるモジュール識別番号を含んでいてもよい。
【0041】
4)DC/DCコンバーター134
DC/DCコンバーター134は、当該バッテリーモジュール100に組み込まれているバッテリーセル110から電圧を印加されて、これを前記冷却ファン120に適した電圧に変換して出力する構成要素であって、これは、後述する冷却ファン制御部135の制御に従って、バッテリーセル110から印加された電圧を、冷却ファン120の駆動に適した電圧に変換して冷却ファン120に出力することができる。これにより、冷却ファン120の動作が制御されることが可能になる。
【0042】
具体的に、前記DC/DCコンバーター134は、後述する冷却ファン制御部135からファン動作信号が出力されれば、前記冷却ファン120が駆動できるように電圧の大きさを調節して出力することができる。このため、冷却ファン120は、前記DC/DCコンバーター134から入力された電源により動作することになる。
【0043】
これに対し、前記冷却ファン制御部135からファン中止信号が出力されれば、前記冷却ファン120が駆動されないように電圧の大きさを調節して出力することができる。このため、冷却ファン120は、動作しなくなる。
【0044】
すなわち、前記DC/DCコンバーター134は、冷却ファン制御部135の制御に従って、電圧の大きさを調節して冷却ファン120に出力することにより、当該冷却ファン120動作のオン/オフを制御するのである。
【0045】
5)冷却ファン制御部135
冷却ファン制御部135は、前記温度測定部131及び電圧測定部132において測定される当該バッテリーモジュール100のモジュール温度及びモジュール電圧に応じて、冷却ファン120の動作を制御する構成要素であってもよい。
【0046】
このような冷却ファン制御部135は、下記のような細部的な構成要素を備えていてもよい。
【0047】
A.モジュール情報送信部1351
モジュール情報送信部1351は、前記温度測定部131及び電圧測定部132において測定されるモジュール温度及びモジュール電圧、並びにモジュール識別番号をはじめとする自分のモジュール情報を前記通信部133を介して通信接続された他のバッテリーモジュール100に送信する構成要素であってもよい。
【0048】
B.モジュール情報受信部1352
モジュール情報受信部1352は、前記通信部133を介して通信接続された他のバッテリーモジュール100からそのモジュール情報を受信する構成要素であってもよい。
【0049】
このようなモジュール情報送信部1351及びモジュール情報受信部1352により、一つのバッテリーラック(battery rack)を構成する多数のバッテリーモジュール100の間においてモジュール情報のやり取りが行われることが可能になる。
【0050】
ここで、モジュール情報は、当該バッテリーモジュール100を示すモジュール識別番号を含んでいるので、これを用いて、バッテリーモジュール別のモジュール情報を見極めることができる。
【0051】
C.第1の判断部1353
第1の判断部1353は、前記温度測定部131において測定されるモジュール温度を所定の温度基準値と比較して、その比較の結果に基づいて、冷却ファン120の動作有無を判断することができる。
【0052】
比較の結果、前記モジュール温度が所定の温度基準値以上である場合、当該バッテリーモジュールの温度を下げる必要があると判断し、冷却ファン120が動作できるようにファン動作信号を出力することができる。この場合、前記DC/DCコンバーター134は、冷却ファン120への出力電圧を高めて冷却ファン120が動作するようにして、当該冷却ファン120がバッテリーセル110を冷却させることにより温度の状態を低状態にすることができる。
【0053】
これに対し、前記モジュール温度が所定の温度基準値未満であれば、当該バッテリーモジュールは、冷却が不要な状態であると判断して、冷却ファン120が動作しないようにファン中止信号を出力することができる。これにより、前記DC/DCコンバーター134は、冷却ファン120への出力電圧を低めて冷却ファン120が動作しないようにして、前記バッテリーセル110の温度が必要以上に落ちないようにすることができる。
【0054】
このように、バッテリーモジュール100のモジュール温度に応じて、冷却ファン120の動作をそれぞれ別々に制御することにより、それぞれのバッテリーモジュールごとの温度状態に適した冷却動作が行われることが可能になる。
【0055】
D.第2の判断部1354
第2の判断部1354は、前記モジュール情報受信部1352において受信した他のバッテリーモジュールのモジュール情報に基づいて、それらのうち、自分と隣り合う位置のバッテリーモジュールのモジュール温度を所定の温度基準値と比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファン120の動作有無を判断することができる。
【0056】
このとき、説明のしやすさのために、自分と隣り合うバッテリーモジュールを隣接バッテリーモジュール、そのモジュール温度を隣接モジュール温度と称して説明を行い、これは、モジュール情報に含まれている当該モジュール識別番号を用いて自分と隣り合う位置のバッテリーモジュールに関するモジュール温度値を取得することができる。
【0057】
比較の結果、前記隣接モジュール温度が所定の温度基準値以上であれば、隣接バッテリーモジュールの発熱による当該バッテリーモジュールの影響を極力抑えるために、当該バッテリーモジュールの冷却ファン120が動作できるようにファン動作信号を出力することができる。この場合、前記DC/DCコンバーター134は、冷却ファン120への出力電圧を高めて冷却ファン120が動作するようにすることができる。その理由は、例えば、自分と隣り合うバッテリーモジュールの温度状態が高い状態であれば、その発熱により当該バッテリーモジュール100の温度まで上昇してしまうという状況が起こる虞があるため、このような状況を予め防ぐために、隣接モジュール温度が所定の温度基準値以上である状態であれば、当該バッテリーモジュールの冷却ファン120が動作しなければならないと判断してファン動作信号を出力することにより、隣接バッテリーモジュールの発熱による当該バッテリーモジュール100の温度の上昇を予め防ぐことができる。
【0058】
一方、前記隣接モジュール温度が所定の温度基準値未満であれば、冷却ファン120が動作する必要がないと判断してファン中止信号を出力することができる。これにより、前記DC/DCコンバーター134は、冷却ファン120への出力電圧を低めて冷却ファン120が動作しないようにすることができる。
【0059】
このように、当該バッテリーモジュール100と隣り合うバッテリーモジュールの隣接モジュール温度に応じて冷却ファン120の動作有無を判断し且つ制御することにより、当該バッテリーモジュールに隣接バッテリーモジュールの発熱による影響により起こり得る上述した状況を予め防ぐことができる。
【0060】
E.第3の判断部1355
第3の判断部1355は、前記電圧測定部132において測定された当該バッテリーモジュールのモジュール電圧と、前記モジュール情報受信部1351において受信した他のバッテリーモジュールのモジュール電圧とを比較して、その比較の結果に基づいて、当該冷却ファン120の動作有無を判断することができる。前記第3の判断部1355は、その細部的な構成要素として、モジュール電圧ばらつき算出部(図示せず)及びモジュール電圧ばらつき比較部(図示せず)を備えていてもよい。
【0061】
モジュール電圧ばらつき算出部(図示せず)は、前記温度測定部131において測定された当該バッテリーモジュールのモジュール電圧と、前記モジュール情報受信部1351において受信した他のバッテリーモジュールのモジュール電圧とのばらつきをそれぞれ算出することができる。前記モジュール電圧ばらつき算出部(図示せず)において算出する当該バッテリーモジュールのモジュール電圧と他のバッテリーモジュールのモジュール電圧との差分をモジュール電圧ばらつきと称して説明を行う。
【0062】
モジュール電圧ばらつき比較部135bは、前記モジュール電圧ばらつき算出部(図示せず)において算出した当該バッテリーモジュールと他のバッテリーモジュールとの電圧差であるそれぞれのモジュール電圧ばらつきを所定のばらつき基準値と比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファン120の動作有無を判断することができる。
【0063】
具体的に、前記算出されたモジュール電圧ばらつきが所定のばらつき基準値を超える場合、当該バッテリーモジュールのモジュール電圧が他のバッテリーモジュールのモジュール電圧よりも高い状態であると判断し、当該バッテリーモジュールの冷却ファン120が動作するようにファン動作信号を出力することができる。
【0064】
これに対し、前記算出されたモジュール電圧ばらつきが所定のばらつき基準値以下であれば、当該冷却ファン120が動作しないようにファン中止信号を出力することができる。
【0065】
その原理について説明すると、本発明に係る冷却ファン120は、別途の外部電源ではなく、当該バッテリーモジュールに組み込まれているバッテリーセル110の電圧を駆動電源として用いるように構成される。このため、当該バッテリーモジュールの電圧状態が他のバッテリーモジュールよりも高い場合、冷却ファン120を駆動してバッテリーセル110を放電することにより、他のバッテリーモジュールとの電圧バランシングを成し遂げるのである。
【0066】
このように、当該バッテリーモジュール100の電圧状態が他のバッテリーモジュールの電圧状態よりも高いか否かを判断し、高い場合、当該バッテリーモジュールの冷却ファン120の駆動を通してバッテリーセル110を放電して他のバッテリーモジュールとの電圧状態のバランスを取ることにより、バッテリーラック(battery rack)内に組み込まれているバッテリーモジュールが均一な電圧状態を保持するようにすることができる。
【0067】
1.2.バスバー200
バスバー200は、一つのバッテリーラック(battery rack)を構成する多数のバッテリーモジュール100を互いに接続する構成要素であって、前記バスバー200を介して多数のバッテリーモジュール100が互いに電気的に接続されることが可能になる。
【0068】
このように、各バッテリーモジュールの温度及び電圧状態を考慮して、これに応じて、冷却ファンの動作をそれぞれ別々に制御することにより、それぞれのバッテリーモジュール内に組み込まれているバッテリーセルの熱管理がなお一層効果的に行われることが可能になる。なお、別途の外部電源ではなく、各バッテリーモジュールそれ自体の電圧で冷却ファンを駆動するので、従来の各冷却ファンを別途の外部電源ケーブルと接続しなければならないという作業が不要になって、これによる煩雑さを解消し、モジュールの組み立ての容易性及び便宜性を向上させることができる。
【0069】
2.本発明に係るエネルギー貯蔵システムに組み込まれているバッテリーモジュールの冷却制御方法(
図2参照)
本発明に係るバッテリーモジュールに対する冷却動作を制御する方法は、下記のようなステップを含んでいてもよい。
【0070】
2.1.通信接続ステップ(S100)
通信接続ステップ(S100)は、バッテリーラック(battery rack)を構成する多数のバッテリーモジュール100間の通信を接続するステップであって、これは、各バッテリーモジュール100のバッテリー管理システム(BMS)130に配備された上述した通信部133により行われることが可能である。
【0071】
2.2.モジュール状態データ測定ステップ(S200)
モジュール状態データ測定ステップは、所定の周期おきに当該バッテリーモジュール100の温度及び電圧を測定するステップであって、ここで測定されるバッテリーモジュール100の温度及び電圧値を、モジュール温度及びモジュール電圧とそれぞれ称して説明を行う。
【0072】
これは、上述した温度測定部131及び電圧測定部132により行われることが可能である。
【0073】
2.3.モジュール情報送受信ステップ(S300)
モジュール情報送受信ステップは、前記モジュール状態データ測定ステップ(S200)において測定された自分(当該バッテリーモジュール)のモジュール温度及びモジュール電圧をはじめとするモジュール情報を前記通信接続された他のバッテリーモジュールに送信し、前記通信接続された他のバッテリーモジュールからそのモジュール温度及びモジュール電圧をはじめとするモジュール情報を受信するステップであってもよい。
【0074】
ここで、モジュール情報は、前記モジュール状態測定ステップ(S200)において測定されたモジュール温度及びモジュール電圧と、当該バッテリーモジュールを識別するモジュール識別番号を含む。
【0075】
これは、上述したモジュール情報送信部1351及びモジュール情報受信部1352により行われることが可能である。
【0076】
2.4.冷却ファンの動作有無判断ステップ(S400)
冷却ファンの動作有無判断ステップは、前記モジュール状態データ測定ステップ(S200)において測定された当該バッテリーモジュールのモジュール温度及びモジュール電圧と、前記モジュール情報送受信ステップ(S300)を介して受信した他のバッテリーモジュールのモジュール温度及びモジュール電圧に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファン120の動作有無を判断するステップであって、下記の細部ステップを含んでいてもよい。
【0077】
ア.第1の冷却動作判断ステップ(S410)
第1の冷却動作判断ステップにおいては、前記モジュール状態データ測定ステップ(S200)において測定した当該バッテリーモジュールのモジュール温度を所定の温度基準値と比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファン120の動作有無を判断することができる。
【0078】
比較の結果、前記モジュール温度が所定の温度基準値以上である場合、冷却ファン120が動作しなければならないと判断してファン動作信号を出力することができる。この場合、当該バッテリーモジュール、すなわち、自分の温度が高い状態であるため、バッテリーセル110に対する冷却動作が行われる必要があるため、冷却ファン120が動作するようにファン動作信号を出力するのである。
【0079】
これに対し、前記モジュール温度が所定の温度基準値未満であれば、冷却ファン120が動作しなくてもよいと判断してファン中止信号を出力することができる。この場合、当該バッテリーモジュール、すなわち、自分の温度が正常状態であるため、バッテリーセル110に対する冷却動作が不要であるため、冷却ファン120が動作しないようにファン中止信号を出力するのである。
【0080】
このようなステップは、上述した第1の判断部1353により行われることが可能である。
【0081】
イ.第2の冷却動作判断ステップ(S420)
第2の冷却動作判断ステップは、前記モジュール情報送受信ステップ(S300)において受信した他のバッテリーモジュールのモジュール温度に基づいて当該バッテリーモジュールの冷却ファン120の動作有無を判断するステップである。
【0082】
具体的に、前記受信した他のバッテリーモジュールのモジュール温度のうち、自分と隣り合う隣接バッテリーモジュールのモジュール温度(隣接モジュール温度)を所定の温度基準値と比較して、その比較の結果に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファン120の動作有無を判断することができる。
【0083】
比較の結果、前記隣接モジュール温度が所定の温度基準値以上であれば、当該バッテリーモジュールに対する冷却動作が必要であると判断して、冷却ファン120が動作できるようにファン動作信号を出力することができる。これは、当該バッテリーモジュール、すなわち、自分と隣り合う隣接バッテリーモジュールの温度状態が高い状態であれば、その発熱の影響により自分の温度まで上昇してしまうという状況が起こる虞があるため、このような状況を予め防ぐために、自分の冷却ファン120が動作するようにファン動作信号を出力するのである。
【0084】
これに対し、前記隣接モジュール温度が所定の温度基準値未満であれば、当該バッテリーモジュール、すなわち、自分のバッテリーモジュールの冷却ファン120が動作する必要がないと判断し、冷却ファン120が動作しないようにファン中止信号を出力することができる。
【0085】
このような動作は、上述した第2の判断部1354により行われることが可能である。
【0086】
ウ.第3の冷却動作判断ステップ(S430)
第3の冷却動作判断ステップは、前記モジュール状態データ測定ステップ(S200)において測定した当該バッテリーモジュールのモジュール電圧と、前記モジュール情報送受信ステップ(S300)を介して受信した他のバッテリーモジュールのモジュール電圧との差分に基づいて、当該バッテリーモジュールの冷却ファン120動作有無を判断することができる。
【0087】
1)モジュール電圧ばらつき算出ステップ(図示せず)
まず、前記モジュール状態データ測定ステップ(S200)において測定した当該バッテリーモジュールのモジュール電圧と、前記モジュール情報送受信ステップ(S300)において受信したそれぞれの他のバッテリーモジュールのモジュール電圧との差分であるモジュール電圧ばらつきを算出することができる。これは、第3の判断部1355のモジュール電圧ばらつき算出部(図示せず)により行われることが可能である。
【0088】
2)モジュール電圧ばらつき比較ステップ(図示せず)
前記算出されたそれぞれのモジュール電圧ばらつきを所定のばらつき基準値と比較することができる。
【0089】
比較の結果、前記モジュール電圧ばらつきが所定のばらつき基準値を超える場合、当該バッテリーモジュールのモジュール電圧が他のバッテリーモジュールのモジュール電圧よりも高い状態であると判断し、当該バッテリーモジュールの冷却ファン120が動作するようにファン動作信号を出力することができる。
【0090】
これに対し、前記モジュール電圧ばらつきが所定のばらつき基準値以下であれば、当該バッテリーモジュールと他のバッテリーモジュールの電圧バランス状態が正常範囲内であると判断し、当該バッテリーモジュールの冷却ファン120が動作しないようにファン中止信号を出力することができる。
【0091】
その原理について説明すると、本発明に係る冷却ファン120は、別途の外部電源ではなく、当該バッテリーモジュールに組み込まれているバッテリーセル110の電圧を駆動電源として用いるように構成される。このため、当該バッテリーモジュールの電圧状態が他のバッテリーモジュールよりも高い場合、冷却ファン120を駆動してバッテリーセル110を放電して現在の他のバッテリーモジュールよりも高い状態の電圧を低めることにより、他のバッテリーモジュールとの電圧バランシングを成し遂げるのである。
【0092】
このような動作は、上述した第3の判断部1355のモジュール電圧ばらつき比較部(図示せず)により行われることが可能である。
【0093】
2.5.冷却ファン駆動電源供給ステップ(S500)
冷却ファン駆動電源供給ステップ(S500)は、前記冷却ファン動作制御ステップ(S400)において出力される制御信号に基づいて、DC/DCコンバーター134から冷却ファン120へとバッテリーセル110の電圧を印加して、前記冷却ファン120の動作を制御するステップである。
【0094】
具体的に、前記冷却ファン動作制御ステップ(S400)においてファン動作信号が出力されれば、前記DC/DCコンバーター134は、バッテリーセル110から印加される電圧を冷却ファン120の駆動が可能なようにその大きさを調節して出力することができる。このため、前記DC/DCコンバーター134を介して電圧を入力された冷却ファン120は、駆動されることになって、当該バッテリーモジュール100に対する冷却動作を行うことができる。
【0095】
これに対し、前記冷却ファン動作制御ステップ(S400)においてファン中止信号が出力されれば、前記DC/DCコンバーター134は、出力電圧の大きさを低めて出力することができる。このため、冷却ファン120は、動作しなくなって、当該バッテリーモジュール100に対する冷却動作が行われなくなる(S600)。
【0096】
このように、各バッテリーモジュールの温度及び電圧状態を考慮して、それに応じて、冷却ファンの動作をそれぞれ別々に制御することにより、それぞれのバッテリーモジュール内に組み込まれているバッテリーセルの熱管理がなお一層効果的に行われることが可能になる。なお、別途の外部電源ではなく、各バッテリーモジュールそれ自体の電圧で冷却ファンを駆動するので、従来の各冷却ファンを別途の外部電源ケーブルと接続しなければならないという不要になって、これによる煩雑さを解消し、モジュールの組み立ての容易性及び便宜性を向上させることができる。
【0097】
一方、本発明の技術的思想は、前記実施形態に基づいて具体的に記述されたが、前記実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が実施可能であるということが理解できる筈である。
【符号の説明】
【0098】
100:バッテリーモジュール
110:バッテリーセル
120:冷却ファン
130:バッテリー管理システム(BMS)
131:温度測定部
132:電圧測定部
133:通信部
134:DC/DCコンバーター
135:冷却ファン制御部
1351:モジュール情報送信部
1352:モジュール情報受信部
1353:第1の判断部
1354:第2の判断部
1355:第3の判断部
200:バスバー
【国際調査報告】