IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロードの特許一覧

特表2022-542862圧縮及び分離装置並びに圧縮プロセス
<>
  • 特表-圧縮及び分離装置並びに圧縮プロセス 図1
  • 特表-圧縮及び分離装置並びに圧縮プロセス 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】圧縮及び分離装置並びに圧縮プロセス
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/06 20060101AFI20220930BHJP
   F25J 3/08 20060101ALI20220930BHJP
   F04D 25/16 20060101ALI20220930BHJP
   C01B 3/00 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
F25J3/06
F25J3/08
F04D25/16
C01B3/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504062
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 FR2020051310
(87)【国際公開番号】W WO2021014086
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】1908371
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1911369
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1913329
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】レ ボット、パトリック
【テーマコード(参考)】
3H130
4D047
4G140
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AA28
3H130AB27
3H130AB42
3H130AB62
3H130AB69
3H130AC01
4D047AA07
4D047AB07
4D047BA03
4D047BB00
4D047BB03
4D047BB08
4D047DA01
4G140AB01
(57)【要約】
少なくとも1つの第1の圧縮段(C2)及び1つの第2の圧縮段(C3)を有する動圧縮機における圧縮プロセスにおいて、10g/mol未満の第1の分子量を有する第1のガス(1)は、圧縮され、50g/molより大きい第2の分子量を有する少なくとも1つの第2の流体(21)は、10g/molより大きい分子量を有する、圧縮される第3のガス(3)を形成するために第1のガスと混合され、第3のガスは、第1の圧縮段(C2)に送られ、第3のガスは、第3のガスが部分的に凝縮される、第1の圧縮段の下流の第1の熱交換器(R1)で冷却され、部分的に凝縮された第3のガスは、第3のガス(9)より低い分子量を有する第4のガス及び第3のガスより高い分子量を有する第1の凝縮液体(11)を形成するために、第1の相分離装置(P1)に送られ、第4のガスは、第1の相分離装置から第2の圧縮段(C3)に送られ、第2の圧縮段で圧縮された第4のガスは、第4のガスが部分的に凝縮する第2の熱交換器(R2)で冷却するために送られ、及び部分的に凝縮された第4のガスは、第4のガスより低い分子量を有する第5のガス(13)を生成するために、第2の相分離装置(P2)に送られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10g/mol、又はさらに7.5g/mol未満、又はさらに5g/mol未満の第1の分子量を有する第1のガス(1)を圧縮するための第1及び第2の圧縮段(C2、C3)を有する動圧縮機を含む圧縮及び分離装置であって、
i.第1のガスのための入口と、
ii.10g/molより大きい分子量を有する、圧縮される第3のガス(3)を形成するために、50g/molより大きい第2の分子量を有する少なくとも1つの第2の流体(21)を前記第1のガスと混合するための手段と、
iii.前記第3のガスを前記第1の圧縮段(C2)に送るための手段、前記第3のガスを部分的に凝縮するために、前記第1の圧縮段の下流の前記第3のガスを冷却するための第1の熱交換器(R1)、第1の相分離装置(P1)、前記第3のガスより低い分子量を有する第4のガス(9)及び前記第3のガスより高い分子量を有する第1の凝縮液体(11)を形成するために、前記部分的に凝縮された第3のガスを前記第1の相分離装置に送るための手段と、
iv.前記第4のガスを前記第1の相分離装置から前記第2の圧縮段(C3)に送るための手段、前記第2の圧縮段の下流の第2の熱交換器(R2)、前記圧縮された第4のガスを前記第2の圧縮段に送り、且つ前記第4のガスを部分的に凝縮するために前記第4のガスを前記第2の熱交換器で冷却するための手段、第2の相分離装置(P2)並びに前記第4のガスより低い分子量を有する第5のガス(13)及び前記第4のガスより高い分子量を有する第2の凝縮液体(15)を生成するために、前記部分的に凝縮された第4のガスを前記第2の相分離装置に送るための手段と、
v.分離装置並びに10g/mol未満、又はさらに7.5g/mol未満、又はさらに5g/mol未満の分子量を有するガス生成物(23)及び50g/molより大きい分子量を有する任意の成分の10ppm未満、又はさらに5ppm未満、又はさらに1ppm未満の組成物を生成するために、その中で分離される前記第5のガス又は前記第5のガスに由来するガスを前記分離装置(A)に送るための手段と
を含む圧縮及び分離装置。
【請求項2】
前記第1の凝縮液体(11)及び/又は前記第2の凝縮液体(15)を回収するための手段であって、任意選択的に共通リザーバ(S)を含む手段と、任意選択的に気化後、前記第1及び/又は第2の凝縮液体を前記第1のガスと混合するための手段とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1及び/又は第2の凝縮液体(11、15)を少なくとも部分的に気化するための手段(H)と、第2の流体として前記気化部分を少なくとも部分的に再利用するための手段とを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1及び/又は第2の凝縮液体を気化するために、圧縮(C2、C3)によって発生した熱の一部を使用するための手段(H、R1、R2)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1及び/又は第2の相分離装置(P1、P2)は、周囲空気から断熱されていない、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つの第1の圧縮段(C2)及び1つの第2の圧縮段(C3)を有する動圧縮機における圧縮プロセスであって、10g/mol未満、又はさらに7.5g/mol未満、又はさらに5g/mol未満の第1の分子量を有する第1のガス(1)は、圧縮され、50g/molより大きい第2の分子量を有する少なくとも1つの第2の流体(19、21)は、10g/molより大きい分子量を有する、圧縮される第3のガス(3)を形成するために前記第1のガスと混合され、前記第3のガスは、前記第1の圧縮段(C2)に送られ、前記第3のガスは、前記第3のガスが部分的に凝縮される、前記第1の圧縮段の下流の第1の熱交換器(R1)で冷却され、前記部分的に凝縮された第3のガスは、前記第3のガス(9)より低い分子量を有する第4のガス及び前記第3のガスより高い分子量を有する第1の凝縮液体(11)を形成するために、-50℃を上回る温度で動作する第1の相分離装置(P1)に送られ、前記第4のガスは、前記第1の相分離装置から前記第2の圧縮段(C3)に送られ、前記第2の圧縮段で圧縮された前記第4のガスは、前記第4のガスが部分的に凝縮する第2の熱交換器(R2)で冷却するために送られ、前記部分的に凝縮された第4のガスは、前記第4のガスより低い分子量を有する第5のガス(13)及び前記第4のガスより高い分子量を有する第2の凝縮液体(15)を生成するために、-50℃を上回る温度で動作する第2の相分離装置(P2)に送られる、圧縮プロセス。
【請求項7】
前記第1の凝縮液体及び/又は前記第2の凝縮液体(11、15)は、任意選択的に共通リザーバ(S)において回収され、及び前記第1及び/又は第2の凝縮液体は、任意選択的に気化後、前記第1のガス(1)と混合される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第1及び/又は第2の凝縮液体(11、15)は、少なくとも部分的に気化され、及び前記気化部分(19)は、第2の流体として少なくとも部分的に再利用される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第1のガスは、水素である、請求項6~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか一項に記載の圧縮プロセスを含む圧縮及び分離プロセスであって、前記第5のガス又は前記第5のガスに由来するガス(13)は、分離装置(A)に送られて、10g/mol未満、又はさらに7.5g/mol未満、又はさらに5g/mol未満の分子量を有するガス生成物(23)及び50g/molより大きい分子量を有する任意の成分の10ppm未満、又はさらに5ppm未満、又はさらに1ppm未満の組成物を生成するために、その中で分離される、圧縮及び分離プロセス。
【請求項11】
前記分離装置(A)は、10g/molより大きい、又はさらに7.5g/molより大きい、又はさらに5g/molより大きい分子量を有するガス(25)及び50g/molより大きい分子量を有する任意の成分の10ppmより大きい、又はさらに5ppmより大きい、又はさらに1ppmより大きい組成物も生成し、及び前記ガスは、前記圧縮機(C2、C3)の上流に送られて、前記第1のガス(1)とともにその中で圧縮される、請求項10に記載のプロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に水素ガスのための圧縮及び分離装置並びに特に水素ガスのための圧縮プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
水素は、非常に低分子量のガスである。したがって、使用される水素圧縮機の大部分は、容積式圧縮機であり、動圧縮機ではない。
【0003】
大容量の水素液化装置に必要とされる、水素の大きい体積流量の圧縮に関して、容積式圧縮は、複数の圧縮機を並列に必要とするために問題がある。これは、そのような圧縮機の容積が限られているためである。
【0004】
動圧縮機(例えば、遠心装置)は、非常に大きい容積を有し、所望の大きい体積流量の圧縮により適している。しかしながら、高圧力比を実現するために、直列の多くの圧縮段が必要である。
【0005】
単軸遠心圧縮機を使用して水素(モル質量2g/mol)を6~25barに圧縮するには、直列の8つの圧縮段が必要である。比較すると、空気ガス(例えば、モル質量28g/molの窒素)を圧縮するには、同じ圧縮比を実現するために3つの段が必要である。
【0006】
より重いガスとの混合により圧縮されるガスのモル質量を増加させることにより、水素などの軽いガスを圧縮することが可能である。しかしながら、水素とともに最初から最後まで圧縮されるこのバラストガスは、同じ量の水素の圧縮に必要な電力を大幅に増加させる。
【0007】
例えば、水素(2g/mol)は、CO(44g/mol)と混合することができる。60%のCO+40%のHの混合物は、窒素のモル質量に類似したモル質量を有し、したがって同様に圧縮のために3つの圧縮段が必要である。
【0008】
しかしながら、消費は、バラストガスを追加しない圧縮よりも1/0.4=2.5倍大きい。
【0009】
例えば、フレオン(登録商標)など、COよりさらに重い化合物の使用も知られている(特開平2-75882号公報)。そのような化合物は、吸込圧力から最終段の排出まで軽いガスとともに完全に圧縮されるが、それらの高い分子量のため、加えられる量及びしたがって追加のエネルギーコストが最小化される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
提案される本発明は、水素を圧縮するために、重いガスの使用と関連付けられるエネルギー損失を最小化しながら、動圧縮機を使用することを可能にする。
【0011】
本発明の1つの目的によると、10g/mol未満、又はさらに7.5g/mol未満、又はさらに5g/mol未満の第1の分子量を有する第1のガスを圧縮するための第1及び第2の圧縮段を有する動圧縮機を含む圧縮及び分離装置であって、
i.第1のガスのための入口と、
ii.10g/molより大きい分子量を有する、圧縮される第3のガスを形成するために、50g/molより大きい第2の分子量を有する少なくとも1つの第2の流体を第1のガスと混合するための手段と、
iii.第3のガスを第1の圧縮段に送るための手段、第3のガスを部分的に凝縮するために、第1の圧縮段の下流の第3のガスを冷却するための第1の熱交換器、第1の相分離装置、第3のガスより低い分子量を有する第4のガス及び第3のガスより高い分子量を有する第1の凝縮液体を形成するために、部分的に凝縮された第3のガスを第1の相分離装置に送るための手段と、
iv.第4のガスを第1の相分離装置から第2の圧縮段に送るための手段、第2の圧縮段の下流の第2の熱交換器、圧縮された第4のガスを第2の圧縮段に送り、且つ第4のガスを部分的に凝縮するために第4のガスを第2の熱交換器で冷却するための手段、第2の相分離装置並びに第4のガスより低い分子量を有する第5のガス及び第4のガスより高い分子量を有する第2の凝縮液体を生成するために、部分的に凝縮された第4のガスを第2の相分離装置に送るための手段と、
v.分離装置並びに10g/mol未満、又はさらに7.5g/mol未満、又はさらに5g/mol未満の分子量を有するガス生成物及び50g/molより大きい分子量を有する任意の成分の10ppm未満、又はさらに5ppm未満、又はさらに1ppm未満の組成物を生成するために、その中で分離される第5のガス又は第5のガスに由来するガスを分離装置に送るための手段と
を含む圧縮及び分離装置が提供される。
【0012】
他の任意選択的な態様によると、
・装置は、第1の凝縮液体及び/又は第2の凝縮液体を回収するための手段であって、任意選択的に共通リザーバを含む手段と、任意選択的に気化後、第1及び/又は第2の凝縮液体を第1のガスと混合するための手段とを含む。
・装置は、第1及び/又は第2の凝縮液体を少なくとも部分的に気化するための手段と、第2の流体として気化部分を少なくとも部分的に再利用するための手段とを含む。
・装置は、第1及び/又は第2の凝縮液体を気化するために、圧縮によって発生した熱の一部を使用する手段を含む。
・第1及び/又は第2の相分離装置は、周囲空気から断熱されていない。
【0013】
本発明の別の目的によると、動圧縮機が少なくとも1つの第1の圧縮段及び1つの第2の圧縮段を有する圧縮プロセスであって、10g/mol未満、又はさらに7.5g/mol未満、又はさらに5g/mol未満の第1の分子量を有する第1のガスは、圧縮され、50g/molより大きい第2の分子量を有する少なくとも1つの第2の流体は、10g/molより大きい分子量を有する、圧縮される第3のガスを形成するために第1のガスと混合され、第3のガスは、第1の圧縮段に送られ、第3のガスは、第3のガスが部分的に凝縮される、第1の圧縮段の下流の第1の熱交換器で冷却され、部分的に凝縮された第3のガスは、第3のガスより低い分子量を有する第4のガス及び第3のガスより高い分子量を有する第1の凝縮液体を形成するために、-50℃を上回る温度で動作する第1の相分離装置に送られ、第4のガスは、第1の相分離装置から第2の圧縮段に送られ、第2の圧縮段で圧縮された第4のガスは、第4のガスが部分的に凝縮する第2の熱交換器で冷却するために送られ、部分的に凝縮された第4のガスは、第4のガスより低い分子量を有する第5のガス及び第4のガスより高い分子量を有する第2の凝縮液体を生成するために、-50℃を上回る温度で動作する第2の相分離装置に送られる、圧縮プロセスが提供される。
【0014】
1つのガスは、蒸留、吸着又は浸透によってガスを分離することで、同一の組成を有する2つの部分にガスを分離することにより、別のガスに由来し得る。
【0015】
他の任意選択的な態様によると、
・第1の凝縮液体及び/又は第2の凝縮液体は、任意選択的に共通リザーバにおいて回収され、及び第1及び/又は第2の凝縮液体は、任意選択的に気化後、第1のガスと混合される。
・第1及び/又は第2の凝縮液体は、少なくとも部分的に気化され、及び気化部分は、第2の流体として少なくとも部分的に再利用される。
・上記のような圧縮プロセスを含む圧縮及び分離プロセスにおいて、第5のガス又は第5のガスに由来するガスは、分離装置に送られて、10g/mol未満、又はさらに7.5g/mol未満、又はさらに5g/mol未満の分子量を有するガス生成物及び50g/molより大きい分子量を有する任意の成分の10ppm未満、又はさらに5ppm未満、又はさらに1ppm未満の組成物を生成するために、その中で分離される。
・分離装置は、10g/molより大きい、又はさらに7.5g/molより大きい、又はさらに5g/molより大きい分子量を有するガス及び50g/molより大きい分子量を有する任意の成分の10ppmより大きい、又はさらに5ppmより大きい、又はさらに1ppmより大きい組成物も生成し、及びこのガスは、圧縮機の上流に送られて、第1のガスとともにその中で圧縮される。
【0016】
ここで、以下の特徴を有する、低分子量ガス(<10g/mol、7.5g/mol、5g/mol)の多段圧縮が提案される。
・圧縮前に、高分子量成分又は成分の混合物(>25g/mol、>35g/mol、>50g/mol)と混合し、10g/molより大きい分子量を有する、圧縮されるガスを形成する。
・動圧縮機におけるこのガスの多段圧縮は、少なくとも1つの中間冷却ステップを含む。
・中間冷却ステップ中、高分子量成分が豊富な凝縮相及び高分子量成分が枯渇したガス相を形成する。
・凝縮物の回収及び低分子量成分を富化された蒸気相の後段における圧縮。
・凝縮物の貯蔵及び圧縮機の上流での再利用。
・最後の圧縮段の出口において、最終的な冷却及び凝縮後、ガス相は、分離ユニットに送られ、分離ユニットでは以下の通りである。
・低分子量ガスは、圧力下において、10ppm未満(<5ppm、<1ppm)の高分子量成分の内容物とともに生成される。
・高分子量成分は、回収され、圧縮機の上流で再利用される。
【0017】
加えられる高分子量成分の合理的な選択により、圧縮機の動作条件(Pinlet、Poutlet)などに応じて、エネルギー損失は、従来技術と比較して非常に大きく減少する。
【0018】
例:8つの段における1barから25barへの水素の圧縮では、COサイクル(非凝縮性)による150%と比較して、ペナルティは、CHClを組み込むことによって26%まで減少する。
【0019】
100,000のNm/hの水素を6barから約51barまで圧縮するために、最終的な圧力値は、圧縮段のすべてに同一の前提を採用することによって計算することができる。すなわち、以下の通りである。
・断熱効率=85%
・各圧縮段間の圧力低下=0.1bar
・ポリトロープヘッド:100kJ/kg
・再凝縮温度:40℃。
【0020】
従来技術の容積式圧縮機における圧縮と比較して、以下が分かる。
・純粋な水素のための遠心圧縮機は、非常に大きい段数(およそ35)を有し、したがって非常にコストがかかり、非常に大きい専有面積を必要とする。
・12g/molの混合物を形成するために、非凝縮性の第2の流体44g/molのCOで重量を増加させることにより、5段で圧縮することができるが、大きいエネルギーペナルティを有する。
・本発明による部分的に凝縮されている(圧縮段入口において)12g/molの混合物を得るために、第2の流体で重量を増加させることにより、エネルギー損失を最小化することができる一方、圧縮段は、妥当な数以内のままである。
・本発明による部分的に凝縮されている(段入口において)17g/molの混合物を形成するために、第2の流体で重量を増加させることにより、COとの12g/molの混合物によるものと同じ数の段で圧縮することができ、さらにエネルギー損失も最小化される。
【0021】
表1は、H/他の分離効率が100%である場合及びこの効率が80%まで低下している場合に対応する。「混合」液のエネルギー消費は、この効率によってペナルティを課されることが単に注目されるであろう(ここで、1/0.8=125%である)。
【0022】
【表1】
【0023】
本発明は、図を参照してさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明によるプロセスを示す。
図2】本発明によるプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1において、10g/mol未満、又はさらに7.5g/mol未満、又はさらに5g/mol未満の第1の分子量を有する第1のガス、例えば水素又はヘリウム1は、圧縮段C1で圧縮される。50g/molより大きい第2の分子量を有するガス21と、任意選択的に、50g/molより大きい第2の分子量を有するガス25とも混合された後、第1のガスは、10g/molより大きい第3の分子量を有するガス混合物を形成する。ガス21は、例えば、ジクロロメタン(CHCl)であり得る。
【0026】
ガス21は、液体に置き換えることができる。この場合、液体21は、エアロゾル形態で第1のガスに注入される。
【0027】
第1のガスは、第1の主成分を有し、第2の流体は、任意選択的に、第2の主成分を有し、いずれの場合にも、主成分は、好ましくは、50mol%、又はさらに80mol%、又はさらに90mol%、又はさらに95mol%のガスを含む。
【0028】
第1のガスは、任意選択的に、ガス25とも混合することができる。10g/molより大きい又はさらに15g/molより大きい分子量を有する混合物3は、圧縮ガス5を形成するために、動圧縮段C2で圧縮され、圧縮ガスは、部分的に凝縮するために冷却器R1で冷却される。部分的に凝縮された流れ7は、相分離装置P1で分離される。第1の主成分が富化され、任意選択的に第2の主成分が枯渇された、相分離装置P1からのガス9は、動圧縮段C3で圧縮されて、別の部分的な凝縮ステップのために冷却器R2で冷却される。部分的に凝縮された流れ10は、相分離装置P2で分離される。
【0029】
第1の主成分が富化され、任意選択的に第2の主成分が枯渇された、相分離装置P2からのガス13は、第1のガスと同じ主成分を有する生成ガス23を生成するために分離され、この成分に関して第1のガスと同じ純度、この成分に関して第1のガスより高い純度又はこの成分に関して第1のガスより低い純度であり得る。ガス13は、ガス13と比較して及びガス10と比較して第1の主成分が富化され、任意選択的に第2の主成分が枯渇される。
【0030】
第1のガス1及び生成されたガス23は、少なくとも80mol%、又はさらに少なくとも90mol%、又はさらに少なくとも95mol%の第1の成分を含有する。
【0031】
生成されたガス23及び好ましくはガス13又はさらにガス10は、10g/mol未満、又はさらに7.5g/mol未満、又はさらに5g/mol未満の分子量を有する。
【0032】
装置1のガス23の分離は、蒸留、吸収、吸着、浸透、スクラビング又はこれらの技術のいくつかの組合せなどの任意の好適な手段によって実行することができる。
【0033】
装置1によって生成されるガス25は、第1のガス及び第2の流体の混合物を含み、2つの流体のいずれも失われないように、圧縮段C2の上流で再利用することができる。
【0034】
どのようなガスがガス1と混合されても、重要な態様は、圧縮段C2に入る混合物3がガス1より高い分子量を有することである。
【0035】
ガス10と比較して第2の主成分が富化され、第1の主成分が枯渇された、相分離装置P2からの液体15は、膨張され、貯蔵タンクSに送られる。この貯蔵タンクは、ガス7と比較して第2の主成分が富化され、第1の主成分が枯渇された、第1の相分離装置P1からの膨張された液体11も受け入れる。
【0036】
2つの相分離装置P1、P2は、-50℃を上回る、又はさらに-20℃を上回る、又はさらに0℃を上回る、又はさらに外気温を上回る温度で動作する。動作温度に応じて、それらは、断熱なしで露出させることができる。
【0037】
貯蔵タンクからの液体17は、膨張され、気化するために加熱器Hによって加熱され、ガス1の分子量を変更するためにガス21として送られる。貯蔵タンク19からのヘッドガスも加熱器Hの下流で混合することができる。
【0038】
図2に示される別の可能性は、貯蔵タンクSに蓄積された液体11、15を気化するために加熱器Hを貯蔵タンクSに組み込むことであり、そのため、ガス19は、ガス1と混合されるガス21としてのみ再利用される。
【0039】
好ましくは、第1のガス1からの圧縮熱の少なくとも一部は、液体11、15を加熱するために回収される。したがって、加熱器H並びに冷却器R1及び/又はR2は、互いに接続することができるか、又はさらに単一の熱交換器の一部を形成することができる。
【0040】
段C2、C3又はさらにC1は、動的段又はさらに遠心圧縮段である。
【0041】
好ましくは、2つの図の貯蔵タンクSは、-50℃を上回る、又はさらに-20℃を上回る、又はさらに0℃を上回る、又はさらに外気温を上回る温度で動作する。動作温度に応じて、それは、断熱なしで露出させることができる。

図1
図2
【国際調査報告】