(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】自動車のステアバイワイヤーステアリングシステムのステアリングのロッキングを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
B60R 25/0215 20130101AFI20220930BHJP
【FI】
B60R25/0215
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504212
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 EP2019072440
(87)【国際公開番号】W WO2021032303
(87)【国際公開日】2021-02-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500024274
【氏名又は名称】ティッセンクルップ・プレスタ・アクチエンゲゼルシヤフト
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ポルマンス, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シェペシー, イムレ
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 芳信
(72)【発明者】
【氏名】宮川 隼人
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 洋介
(72)【発明者】
【氏名】判治 宗嗣
(57)【要約】
自動車のステアバイワイヤーステアリングシステム(1)のステアリングロックを制御するための方法であって、(1)が、ステアリング装置(5)に対するステアリングフィールをシミュレートするフィードバックアクチュエーター(4)を含み、(4)が、トルクを伝達することができるようにステアリング軸(6)に接続されたモーター軸を有する電気モーター(9)、及びねじれ抵抗態様で(6)に接続されたラッチング要素(11)と(6)の回転を阻止するために離散ロッキング位置(L
1,L
2,L
3)でラッチング要素と係合するように構成されたロッキング要素(12)とを有するステアリングロックユニット(10)を含み、前記方法が、点火がスイッチオフされ、(5)の動きが検出される場合には、(6)の位置、及び(12)と、(5)の動きの方向における(11)の次のL
1,L
2,L
3との間の距離を決定すること;及び前記距離が予め規定された値より大きい場合には、L
1,L
2,L
3が(12)に到達し、(12)が(11)と係合できるまで、(6)に逆トルク(T
FBA)を(4)によってステアリング装置の動きとは反対の方向に伝達することを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のステアバイワイヤーステアリングシステム(1)のステアリングのロッキングを制御するための方法であって、ステアバイワイヤーステアリングシステム(1)が、ステアリング装置(5)に対するステアリングフィールをシミュレートするためのフィードバックアクチュエーター(4)を含み、前記フィードバックアクチュエーター(4)が、トルクを伝達することができるようにステアリング軸(6)に接続されたモーター軸を有する電気モーター(9)、及びねじれ抵抗態様でステアリング軸(6)に接続されたラッチング要素(11)とステアリング軸(6)の回転を阻止するために離散ロッキング位置(L
1,L
2,L
3)でラッチング要素(11)と係合するように構成されたロッキング要素(12)とを有するステアリングロックユニット(10)を含み、前記方法が、以下の工程を含むことを特徴とする方法:
- 点火がスイッチオフされ、ステアリング装置(5)の動きが検出される場合には、ステアリング軸(6)の位置、及びロッキング要素(12)と、ステアリング装置(5)の動きの方向におけるラッチング要素(11)の次のロッキング位置(L
1,L
2,L
3)との間の距離を決定すること;
- 前記距離が予め規定された値より大きい場合には、ロッキング位置(L
1,L
2,L
3)がロッキング要素(12)に到達し、ロッキング要素(12)がラッチング要素(11)と係合できるまで、ステアリング装置(5)の動きとは反対の方向にフィードバックアクチュエーター(4)によってステアリング軸(6)に逆トルク(T
FBA)を伝達すること。
【請求項2】
フィードバックアクチュエーター(4)によってステアリング軸(6)に付与された逆トルク(T
FBA)が、ロッキング要素(12)と、ステアリング装置(5)の動きの方向における次のロッキング位置(L
1,L
2,L
3)との間の決定された距離に依存することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
逆トルク(T
FBA)が、ロッキング要素(12)と、ステアリング装置(5)の動きの方向における次のロッキング位置(L
1,L
2,L
3)との間の角距離の減少とともに増加することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記増加が、指数関数によって記載されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
フィードバックアクチュエーターによって発生された最大逆トルク(T
FBA,max)が、ステアリング装置の動きの方向におけるラッチング要素(11)の次のロッキング位置(L
1,L
2,L
3)へのロッキング要素(12)の係合時に到達されることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ステアリング軸の角位置(α)にわたるフィードバックアクチュエーターによって発生された逆トルク(T
FBA)及びステアリングロックユニットの機械的ブロッキングによって発生されたトルク(T
SLU)からの移行が、連続的であり、かつ絶えず差異を生じることができることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
以下の工程をさらに含むことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の方法:
- 点火がスイッチオフされ、ステアリング装置(5)の動きが予め決められた時間間隔内に検出されない場合には、最も近いロッキング位置(L
1,L
2,L
3)が、回転の方向にかかわらず、ロッキング要素(12)に到達し、ロッキング要素(12)がラッチング要素(11)と係合できるまで、フィードバックアクチュエーター(4)によってステアリング軸(6)を能動的に回転させること。
【請求項8】
ロッキング要素(12)が、ばねによってステアリング軸(100)の回転軸に対して半径方向の内側に予め緊張されていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ラッチング要素(11)が、互いに隣接しかつ円周方向に均一に離間された、外部表面上に配置された離散数の同等の凹部(14)及び同等の凸部(15)を有するラッチング星状物であり、ロッキング要素(11)が、ラッチングボルトであり、そこでは凹部(14)の位置が、ラッチングボルト(12)のロッキング又はスナップイン位置(L
1,L
2,L
3)を画定することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
ステアリング軸(6)が、適合しうる外部及び内部プロファイルを有する回転軸(100)のまわりで回転可能な内部軸(61)及び外部軸(62)を有し、二つのステアリング軸部分が、互いに係合して、ねじれ抵抗及び入れ子式配置を形成できることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ラッチング星状物(11)が、外部軸(62)の周囲を包囲し、かつねじれ抵抗態様で外部軸(62)に固定されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
フィードバックアクチュエーター(4)が、外部軸(62)に作用し、内部軸(61)が、ステアリング装置(5)に接続されることを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
外部軸(62)とラッチング星状物(11)との間にトレランスリング(13)が共軸配置されることを特徴とする請求項10~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
ロッキング位置(L
1,L
2,L
3)間の角距離が、20~40度であることを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
ロッキング位置(L
1,L
2,L
3)間の角距離が、30~40度であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提文による自動車のステアバイワイヤーステアリングシステムのステアリングのロッキングを制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアバイワイヤーステアリングシステムでは、車両のステアリングホイールは、ステアリング機構からの連結が解かれている。ステアリングの動きは、電気モーターを有するステアリングアクチュエーターによって達成される。ステアリングアクチュエーターは、ステアリングホイール角度及び車両スピードなどの様々なステアリングパラメーターの検出値に応答して作動する。検出値は、センサーからステアリングアクチュエーターに電気的に通信され、それによって電気モーターは、ラックを駆動し、ステアリングホイールを希望の方向に向ける。
【0003】
ステアリングホイールと車輪の間の機械的連結が除かれたとしても、ステアバイワイヤーステアリングシステムは、通常の機械的に連結されたステアリングシステムと同じ機能及びステアリングフィールを生み出すことが期待される。ロードホイールを動かす際に生成された力は、ステアリングホイールにフィードバックされ、車両の方向制御のための情報をドライバーに与えなければならない。フィードバックはまた、ステアリングフィールとして言及されるステアリングの感覚に寄与する。ステアバイワイヤーステアリングシステムでは、フィードバックとステアリングフィールは、それぞれステアリングホイールに接続されたフィードバックアクチュエーターで生成される。
【0004】
ステアリングコラムは、ロッキング装置、いわゆるステアリングロックを含み、それは、駐車車両を権限のない使用から守り、ステアリングホイールをブロックすることを意図され、ステアリングホイールは、車両への出入りを容易にするための取っ手として使用されることが多い。
【0005】
特許出願DE102017104510A1は、電気的に作動されるステアリングロックを有するステアバイワイヤーステアリングシステムのステアリングコラムを開示する。ステアリング軸の外部にはラッチング星状物が配置され、そこではスリーブ集成体によって車台に接続されたラッチングボルトは、ステアリング軸を止め、従ってステアリング操作を禁止して自動車の権限のない使用を防止するために公知の態様で係合することができる。しかしながら、ラッチングボルトのスナップイン位置間では、ステアリングホイールは、自由に動き、それは、もしドライバーが車への出入りのための取っ手としてステアリングホイールを使用するなら、ドライバーにとって極めて不快である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、より良好なステアリングロックを生み出す、自動車のステアバイワイヤーステアリングシステムのステアリングのロッキングを制御するための方法を提供することである。
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する自動車のステアバイワイヤーステアリングシステムのステアリングのロッキングを制御するための方法によって達成される。
【0008】
即ち、自動車のステアバイワイヤーステアリングシステムのステアリングのロッキングを制御するための方法が提供され、ステアバイワイヤーステアリングシステムは、ステアリング装置に対するステアリングフィールをシミュレートするためのフィードバックアクチュエーターを含み、前記フィードバックアクチュエーターは、トルクを伝達することができるようにステアリング軸に接続されたモーター軸を有する電気モーター、及びねじれ抵抗態様でステアリング軸に接続されたラッチング要素とステアリング軸の回転を阻止するために離散ロッキング位置でラッチング要素と係合するように構成されたロッキング要素とを有するステアリングロックユニットを含み、前記方法は、以下の工程を含む:
- 点火がスイッチオフされ、ステアリング装置の動きが検出される場合には、ステアリング軸の位置、及びロッキング要素と、ステアリング装置の動きの方向におけるラッチング要素の次のロッキング位置との間の距離を決定すること;
- 前記距離が予め規定された値より大きい場合には、ロッキング位置がロッキング要素に到達し、ロッキング要素がラッチング要素と係合できるまで、ステアリング装置の動きとは反対の方向にフィードバックアクチュエーターによってステアリング軸に逆トルクを伝達すること。
【0009】
この方法では、電力がスイッチオフされ、ドライバーがステアリング装置、特にステアリングホイールを取っ手として使用した後、アクチュエーターがトルクを発生し、それは、ステアリング軸の回転がロックされるまで操舵を難しくする。これは、ドライバーが電気機械ステアリングシステムにおいて経験するのと同じフィーリングをシミュレートする。ロッキング位置間の角距離は、一つのロッキング位置システムについて210~360度であることが好ましい。ロッキング位置間の角距離は、二つのロッキング位置システムについて150~210度であることが好ましい。二つより多いロッキング位置を有するシステムについては、ロッキング位置間の角距離は、好ましくは20~40度、より好ましくは30~40度である。
【0010】
好ましくは、ステアリングロックユニットのロッキング要素とラッチング要素との間の相対位置を決定するために位置センサーが使用される。フィードバックアクチュエーターは、ドライバーがまだ車両中にいる限り、活性したままに維持させることができるか、又はドライバーが車両のロックを解除したことを検出されるときに活性化させることができる。点火がオフであったとしても、フィードバックアクチュエーターは、電力源に接続される。
【0011】
好ましくは、フィードバックアクチュエーターによってステアリング軸に付与される逆トルクは、ロッキング要素と、ステアリング装置の動きの方向における次のロッキング位置との間の決定された距離に依存している。
【0012】
逆トルクが、ロッキング要素と、ステアリング装置の動きの方向における次のロッキング位置との間の角距離の減少とともに増加することが有利である。好ましくは、この増加は、指数関数によって記載される。
【0013】
もしフィードバックアクチュエーターによって発生された最大逆トルクが、ステアリングホイールの動きの方向におけるラッチング要素の次のロッキング位置へのロッキング要素の係合時に到達されるなら、ドライバーのフィーリングは、さらに改良される。好ましくは、ステアリング軸の角位置にわたるフィードバックアクチュエーターによって発生された逆トルク及びステアリングロックユニットの機械的ロッキングによって発生されたトルクからの移行が、連続的であり、かつ絶えず差異を生じることができる。
【0014】
前記方法は、以下の工程をさらに含むことができる:
- 点火がスイッチオフされ、ステアリング装置の動きが予め決められた時間間隔内に検出されない場合には、最も近いロッキング位置が、回転の方向にかかわらず、ロッキング要素に到達し、ロッキング要素がラッチング要素と係合できるまで、フィードバックアクチュエーターによってステアリング軸を積極的に回転させること。
【0015】
この方法では、例えばドライバーが車のロックを解除し、中に入る場合、ステアリングロックユニットによってステアリングの回転がロックされていることを確実にすることができる。なぜならロッキングは、ドライバーが車をロックする前に既に行なわれているからである。
【0016】
一実施形態では、ロッキング要素は、ばねによってステアリング軸の回転軸に対して半径方向の内側に予め緊張されている。
【0017】
ラッチング要素は、互いに隣接しかつ円周方向に均一に離間された、外部表面上に配置された離散数の同等の凹部及び同等の凸部を有するラッチング星状物であることができ、ロッキング要素は、ラッチングボルトであることができ、そこでは凹部の位置が、ラッチングボルトのロッキング又はスナップイン位置を画定する。
【0018】
ステアリング軸が、適合しうる外部及び内部プロファイルを有する回転軸のまわりで回転可能な内部軸及び外部軸を有し、二つのステアリング軸部分が、互いに係合して、ねじれ抵抗及び入れ子式配置を形成できることが好ましい。この場合において、ラッチング星状物は、外部軸の周囲を包囲し、ねじれ抵抗態様で外部軸に固定されることが好ましい。フィードバックアクチュエーターは、外部軸に作用することが好ましい。さらに、トレランスリングが使用されることができ、それは、外部軸とラッチング星状物との間に共軸配置される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の一つの例示的な実施形態が図面の助けで以下に記載される。全ての図において、同じ参照符号は、同じ構成要素又は機能的に同じ構成要素を示す。
【
図1】
図1は、ステアバイワイヤーステアリングシステムを概略図で示す。
【
図2】
図2は、ロック位置でのステアリングロックユニットを有するステアリング軸の横断面を示す。
【
図3】
図3は、ロック解除位置でのステアリングロックユニットを有するステアリング軸の横断面を示す。
【
図4】
図4は、別のロック解除位置でのステアリングロックユニットを有するステアリング軸の横断面を示す。
【
図5】
図5は、ステアリングホイールの角位置に依存してステアリング軸にフィードバックアクチュエーターによって付与されるトルクのダイヤグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、車輪3を作動するための作動制御システム2、及び従来の機械的に連結されたステアリングシステムのステアリングフィールをシミュレートするためのフィードバックアクチュエーター4を含むステアバイワイヤーステアリングシステム1の概略図を表わす。ステアリング装置5(それは、例えばステアリングホイールである)は、ステアリング軸6に接続される。図示されていない位置センサー及びトルクセンサーは、ステアリング軸6に作動可能に連結されている。位置センサーは、ステアリング軸6の角位置を電子的に検出し、トルクセンサーは、ステアリング軸6に作用するねじれ力を電子的に検出し、評価する。ステアリングホイール5の角変位が検出され、作動制御システム2に伝達され、作動制御システム2で処理され、サーボモータ7に付与されてラック81及びピニオン82システム8によって操舵可能な車輪3を動かす。
【0021】
フィードバックアクチュエーター4は、モーター9によって回転可能に駆動されかつステアリング軸6(図示せず)に接続されたモーター軸を有する電気モーター9を含む。作動制御システムとステアリングホイールの間に直接的な機械連結はないので、ドライバーは、ステアリング機構を通して道路面からのいかなるフィードバックも受けない。それゆえ、フィードバックアクチュエーター4は、車両スピード、ステアリング装置角度、ステアリング装置角度スピード、ステアリング装置回転加速度、車両のヨーレート、道路面状態、及び車両のさらなる駆動パラメーターのようなステアリングパラメーターの数値に基づいてステアリングホイール5に反応トルクを発生する。
【0022】
図2は、ラッチング星状物11及びラッチングボルト12を有するステアリングロックユニット10を示し、ラッチング星状物11は、係合した位置で示されている。ステアリング軸6は、回転軸100のまわりで回転可能な内部軸61及び外部軸62を有する。内部軸61は、非円形、特にほぼクローバーの葉の形状の外形を含む。外部軸62は、二つのステアリング軸が互いに係合してねじれ抵抗の入れ子式配置を形成できるように対応して適合しうる内側形状を含む。ステアリング軸に接続されたステアリングホイール5は、横断面に隣接して概略的に示されている。
【0023】
ラッチング星状物11は、外部軸62の周囲を包囲し、ねじれ抵抗態様で外部軸62に固定される。
【0024】
トレランスリング13は、外部軸62とラッチング星状物11の間で共軸配置されている。トレランスリング13は、もし予め決められたトルクを超えるならラッチング星状物11が外部軸62に対して動かされることを可能にし、過負荷クラッチのように作用し、従って望ましくない損傷を避ける。
【0025】
互いに隣接しかつ円周方向に均一に離間された、離散数の同等の凹部14と同等の凸部15が、ラッチング星状物11の外部面に配置される。凹部14の位置は、ラッチングボルト12のロッキング又はスナップイン位置を画定する。凹部14の中央として画定されたロッキング位置間の周囲方向の角距離は、例えば30~40度であることができる。ラッチングボルト12は、ステアリング軸6が
図2に示されるようにその回転運動における遊びを持ってブロックされるようにラッチング星状物11の凹部14中に動かされることができる。機械的ブロッキングの遊びは、係合の領域におけるラッチングボルト12の幅に対する凹部14の幅によって画定される。
【0026】
ステアリング軸6を解放するためには、ラッチングボルト12は、ステアリング軸の回転軸100に対して半径方向外側に動かされ、ラッチング星状物の凹部14から出る。
【0027】
図3及び4は、ステアリングロックユニット10のロック解除位置を示す。
【0028】
点火がスイッチオフされ、ドライバーが車両への出入りのためにステアリングホイールを取っ手として使用したい場合には、ステアリング軸6は、ステアリングロックユニット10がステアリング軸6の回転をロックできない角位置になりやすい。なぜならラッチングボルト12は、ラッチング星状物11の凹部14と係合できないからである。この場合において、ステアリングホイール5は、自由に動き、それは、ドライバーにとってあまり快適でない。ステアリングホイールの自由な動きを克服するために、図示されていないフィードバックアクチュエーターが、ロック位置に到達するまでドライバーによって課されるステアリングホイールの動きとは反対の方向に逆トルクTFBAを導入するために使用される。フィードバックアクチュエーターは、たとえ点火がスイッチオフされたとしても、そうするための電力を有する。
【0029】
好ましくは、逆トルクT
FBAは、
図5に示されるように、ステアリング軸6の実際の角位置とステアリングホイールの動きの方向における次のロッキング位置との間の角距離に依存する。この逆トルクT
FBAは、ステアリングホイールの角運動を難しくする。
【0030】
図5は、ステアリングホイールの角位置に依存してステアリング軸にフィードバックアクチュエーターによって付与される逆トルクT
FBAを示す。ステアリングホイールの動きを妨げるトルクT
SWは、ステアリングホイール角αに対してプロットされている。x軸上の三つの点は、三つの連続したロッキング位置L
1,L
2,L
3を表わす。
【0031】
点火のスイッチオフでのステアリングホイールの角位置は、開始点SPを画定する。開始点SPは、二つのロッキング点の間にある。ドライバーによって導入されるステアリングホイールの動きの方向における次のロッキング位置は、ロッキング位置L2である。次のロッキング位置に対する実際のステアリングホイール位置の角距離の減少とともに逆トルクTFBAが増加することが好ましい。この挙動は、車輪摩擦に対してステアリングホイールの回転によって与えられる電気機械的なステアリングシステムから知られている。この増加は、指数関数によって記載されることができる。フィードバックアクチュエーターによって発生される最大トルクTFBA,maxは、示された例ではL2に相当する、ステアリングホイールの動きの方向における次のロッキング位置のラッチング星状物へのラッチングボルトの係合時に到達されるだろう。ステアリング軸の角位置αにわたるフィードバックアクチュエーターによって発生される逆トルクTFBA及びステアリングロックユニットの機械的ブロッキングによって発生されるトルクTSLUからの移行は、好ましくは連続的であり、特異性を防止するように絶えず差異を生じることができる。
【0032】
さらに、フィードバックアクチュエーターは、ステアリングホイールを能動的にロックするために回転の方向にかかわらず最も近いロッキング位置にステアリングホイールを能動的に動かすことが可能である。
【0033】
好ましくは、フィードバックアクチュエーターは、外部軸に作用する。
【0034】
好ましい実施形態では、電気モーターは、ロッキング及びロック解除のためにラッチングボルトをラッチング星状物に出たり入ったりするように動かす。
【0035】
また、ばねによってステアリング軸の回転軸に対して半径方向の内側に予め緊張されているラッチングボルトを使用することも可能である。
【国際調査報告】