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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ピロクトンオラミン顆粒の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/89 20060101AFI20220930BHJP
   A61K 31/4412 20060101ALI20220930BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20220930BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220930BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20220930BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20220930BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220930BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
C07D213/89
A61K31/4412
A61K9/16
A61P17/00 101
A61K8/49
A61Q5/02
A61K47/18
A61K8/41
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022505426
(86)(22)【出願日】2020-07-27
(85)【翻訳文提出日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2020071162
(87)【国際公開番号】W WO2021018853
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】19189413.8
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596081005
【氏名又は名称】クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】デュバラ・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン・リーザ
(72)【発明者】
【氏名】グレーシェン・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】クルーク・ペーター
【テーマコード(参考)】
4C055
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C055AA17
4C055BA03
4C055BA06
4C055BA42
4C055CA01
4C055DA06
4C076AA31
4C076AA32
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD50
4C076FF01
4C076GG12
4C083AC541
4C083AC542
4C083AC851
4C083AC852
4C083CC38
4C083DD16
4C083EE23
4C086AA10
4C086BC17
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA41
4C086NA20
4C086ZA90
4C086ZA92
(57)【要約】
本発明は、以下を含む、標的粒径範囲を有するピロクトンオラミン顆粒を提供するための方法に関する:
a)ピロクトンオラミン結晶を圧縮して、圧密化物を形成すること;
b)前記圧密化物を粉砕して、ピロクトンオラミンのバルク顆粒を形成すること。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、標的粒径範囲を有するピロクトンオラミン顆粒を提供するための方法:
a)ピロクトンオラミン結晶を圧縮して、圧密化物を形成すること;
b)前記圧密化物を粉砕して、ピロクトンオラミンのバルク顆粒を形成すること。
【請求項2】
以下をさらに含む、請求項1に記載の方法:
c)標的粒径範囲を有するピロクトンオラミン顆粒をバルク顆粒から分離すること。
【請求項3】
a)における圧縮が、25bar~200barの圧力で、好ましくは30bar~50barの圧力で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
圧縮ステップa)において適用される圧力が、980kg/m~1300kg/mの密度を有する圧密化物を成形するのに十分である、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
b)において、粉砕が、シーブミル、好ましくはロータリーシーブミルまたは振動シーブミルで行われる、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記ロータリーシーブミルまたは振動シーブミルのメッシュが、10mm以下のメッシュサイズ、好ましくは7mm以下のメッシュサイズ、より好ましくは4mm以下のメッシュサイズ、さらにより好ましくは2mmのメッシュサイズを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記標的粒径範囲が、標的d50範囲である、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記標的d50範囲が、0.2mm~8mm、好ましくは0.3mm~6mm、より好ましくは0.3mm~2.5mm、さらにより好ましくは0.5mm~2mmである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
c)において、標的粒径範囲にあるピロクトンオラミン顆粒の分離が以下を含む、請求項2~8のいずれか1つに記載の方法:
c1)標的粒径範囲の上限に対応するメッシュサイズを有する第1の篩を使用してバルク顆粒に対して行われる任意の第1の分離、ここで、当該第1の分離は、前記の第1の篩を通過したピロクトンオラミン顆粒を含む中間生成物と、通過しなかった粗いピロクトンオラミン顆粒を含む残留物とをもたらす;
c2)標的粒径範囲の下限に対応するメッシュサイズを有する第2の篩を使用して、前記の中間生成物に対してまたは第1の分離が存在しない場合にはバルク顆粒に対して行われる第2の分離、ここで、当該第2の分離は、前記の第2の篩を通過したピロクトンオラミン微粉と、通過しなかった標的粒径範囲にあるピロクトンオラミン顆粒とをもたらす。
【請求項10】
以下をさらに含む、請求項9に記載の方法:
d)前記ピロクトンオラミン微粉を再循環させ、それらをa)において圧縮するピロクトンオラミン結晶に加えること。
【請求項11】
第1の分離が行われた、請求項9または10に記載の方法であって、以下をさらに含む、前記方法:
e)残留物を粉砕すること;
f)粉砕した残留物を再循環させ、それをa)において圧縮するピロクトンオラミン結晶に加えること。
【請求項12】
a)における圧縮が、添加剤の非存在下で行われる、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
0.2mm~8mm、好ましくは0.3mm~6mm、より好ましくは0.3mm~2.5mm、さらにより好ましくは0.5mm~2mmのd50を有する、ピロクトンオラミン顆粒。
【請求項14】
0.6~1.0、好ましくは0.7~1.0、より好ましくは0.8~1.0の、直径(D)と長さ(l)との平均D/l比を有する、請求項13に記載のピロクトンオラミン顆粒。
【請求項15】
1.9mm以下のd90を有する、請求項13または14に記載のピロクトンオラミン顆粒。
【請求項16】
0.4mm以上のd10を有する、請求項13~15のいずれか1つに記載のピロクトンオラミン顆粒。
【請求項17】
400kg/m~600kg/m、好ましくは450kg/m~550kg/m、より好ましくは470kg/m~530kg/mの嵩密度を有する、請求項13~16のいずれか1つに記載のピロクトンオラミン顆粒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的粒径範囲を有するピロクトンオラミン顆粒を提供する方法、および標的粒径範囲を有するピロクトンオラミン顆粒に関する。
【背景技術】
【0002】
DE2234009A1(特許文献1)およびDE1795270A1(特許文献2)を参照すると、1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチル)-ペンチル-2(1H)-ピリドン,2-アミノエタノール塩(ピロクトンエタノールアミンまたはピロクトンオラミンとしても知られる)は、ふけの原因に対して有効な抗真菌活性剤である。パーソナルケア製品、例えばシャンプーにピロクトンオラミンを含ませることが知られている。DE1795270A1には、ピロクトンオラミンの製造方法も記載されている。
【0003】
ピロクトンオラミンは、パーソナルケア製品に添加し得る結晶の形態で存在する。上記で言及した方法などの方法によって製造された市販のピロクトンオラミンは、典型的には、約1:7の直径/長さ(d/l)比および約100マイクロメートルの範囲にメジアン直径(d50)を有する一次結晶を有する。一次結晶は結晶化プロセスの間であるが、さらなる処理およびバルクハンドリングステップの前に形成される結晶である。このようなさらなる処理およびバルク量でのハンドリングの後、結晶は寸法を変化させ得る。特に、一次結晶は、砕けたり、壊れたりするおそれがあり、その結果、そのようなバルク量に関してのd50は、一次結晶に関するd50よりも小さくなり得る。このようなバルク量のピロクトンオラミン結晶は、特に貯蔵中に、一緒に集まって凝集塊を形成し得る。凝集現象は、バルク結晶を取り扱い、処理する際に困難を引き起こし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE2234009A1
【特許文献2】DE1795270A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような背景のもとに発明されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によると、本発明は、以下を含む、標的粒径範囲を有するピロクトンオラミン顆粒を提供するための方法に関する:
a)ピロクトンオラミン結晶を圧縮して、圧密化物(compactate)を形成すること;
b)前記圧密化物を粉砕して、ピロクトンオラミンのバルク顆粒を形成すること。
有利には、前記方法はさらに、以下を含む:
c)標的粒径範囲を有するピロクトンオラミン顆粒を、前記バルク顆粒から分離すること。
【0007】
理論に束縛されることを望むものではないが、特定の粒径範囲、特に一次結晶よりも大きい粒径を含む特定の範囲は、貯蔵の間に、より流動性のままであり、凝集しにくいと考えられる。
【0008】
a)における圧縮は、添加剤の非存在下または存在下で行うことができる。一実施態様によれば、添加剤または他の材料を含まない純粋なピロクトンオラミン結晶が、a)で圧縮される。一実施態様では、a)における圧縮は、添加剤の非存在下で行われる。一実施態様では、a)における圧縮は、可塑剤(plastifiers)および滑沢剤の非存在下で行われる。別の実施態様によれば、前記ピロクトンオラミン結晶は、添加剤、例えば可塑剤または滑沢剤と混合される。この場合に使用し得る適切な添加剤には、ポリエチレングリコール、ステアリン酸またはエチレングリコールジステアレートが含まれる。a)における圧縮は、水の非存在下または存在下で行うことができる。a)における圧縮において、水の量は、典型的には、3%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、特に好ましくは0.5%未満である。
【0009】
本発明の第1の態様の一実施態様によれば、a)における圧縮は、25bar~200barの圧力で、好ましくは30bar~50barの圧力で行われる。
【0010】
本発明の第1の態様の別の実施態様によれば、圧縮ステップa)において適用される圧力は、920kg/m~1300kg/mの密度を有する圧密化物を形成するのに十分である。完全を期すために、これは、圧密化物の実際密度であり、嵩密度ではない。
【0011】
本明細書で使用されるような「圧密化物(compactate)」という用語は、当業者に周知である。圧密化物は、任意の形態であり得る。例えば、圧密化物は、ブリケット(briquettes)、シガー(cigars)、タブレット(tablets)または「フレーク(Schuelpen)」の形態であり得る。好ましくは、前記圧密化物は、ブリケットまたは「フレーク(Schuelpen)」の形態にある。特に好ましくは、前記圧密化物は、ブリケットの形態にある。また特に好ましくは、前記圧密化物は、「フレーク(Schuelpen)」の形態にある。
【0012】
本発明の第1の態様の別の実施態様によれば、b)において、粉砕は、シーブミル(sieve mill)、例えばロータリーシーブミル(rotary sieve mill)または振動シーブミル(oscillating sieve mill)で行われる。そのような場合、シーブミルのメッシュは、10mm以下のメッシュサイズ、好ましくは7mm以下のメッシュサイズ、より好ましくは4mm以下のメッシュサイズ、さらにより好ましくは2mmのメッシュサイズを有し得る。しかしながら、シーブミルを使用することは必須ではなく、当業者は代替の粉砕装置を選択することができるだろう。
【0013】
標的粒径範囲は、当業者によって選択される適切な測定基準に従って決定され得る。一実施態様によれば、測定基準は、標的d50範囲である。この実施態様によれば、標的d50範囲は、適切には、0.2mm~8mm、好ましくは0.3mm~6mm、より好ましくは0.3mm~2.5mm、さらにより好ましくは0.5mm~2mmであることができる。
【0014】
有利には、本発明の第1の態様によれば、前記方法は、さらに以下を含む:
c)標的粒径範囲を有するピロクトンオラミン顆粒をバルク顆粒から分離する。
【0015】
一実施態様では、c)において、標的粒径範囲にあるピロクトンオラミン顆粒の分離は以下を含む:
c1)標的粒径範囲の上限に対応するメッシュサイズを有する第1の篩を使用してバルク顆粒に対して行われる任意の第1の分離、ここで、当該第1の分離は、前記の第1の篩を通過したピロクトンオラミン顆粒を含む中間生成物と、通過しなかった粗いピロクトンオラミン顆粒を含む残留物とをもたらす;
c2)標的粒径範囲の下限に対応するメッシュサイズを有する第2の篩を使用して、前記の中間生成物に対してまたは第1の分離が存在しない場合にはバルク顆粒に対して行われる第2の分離、ここで、当該第2の分離は、前記の第2の篩を通過したピロクトンオラミン微粉と、通過しなかった標的粒径範囲にあるピロクトンオラミン顆粒とをもたらす。
【0016】
別の実施態様によれば、第1の分離は、振動ふるい(vibrating sieve)またはエアジェットふるい(air jet sieve)を用いて行われ、および/または第2の分離は、振動ふるいまたはエアジェットふるいを用いて行われる。b)における粉砕が、特定のサイズ未満の顆粒を高精度で生成することを可能にするミル、例えば、シーブミルで行われる場合、第1の分離は、それがミル中で効果的に行われ得るので、必要ではないかもしれない。しかしながら、その場合でもなお第1の分離を行うことが望ましいかもしれず、なぜなら、小さい割合の、標的粒径範囲の上限よりも大きい顆粒が、例えばそれらが針状物として成形されている場合には、ミル、例えばシーブミルを通過し得るからである。
【0017】
有利には、本発明の第1の態様によれば、前記方法は、さらに以下を含む:
d)ピロクトンオラミン微粉を再循環させ、それらをa)で圧縮する前記ピロクトンオラミン結晶に添加すること。
【0018】
有利には、本発明の第1の態様によれば、第1の分離が行われた場合、前記方法はさらに以下を含む:
e)残留物を粉砕すること;
f)粉砕した残留物を再循環させ、それをa)で圧縮する前記ピロクトンオラミン結晶に添加すること。
【0019】
これらの再循環ステップの一方または両方を行うことが、最終製品の顆粒の製造に必須ではないが、より緻密な圧密化物、従ってより緻密な顆粒を提供することが観察される。これは少なくとも部分的には、再循環生成物が予備圧密されているという事実のためである。再循環は、標的粒径範囲を有するピロクトンオラミン顆粒の収率を改善し、なぜならば、再循環は生成物の浪費がより少ないだけでなく、より緻密な圧密化物(および顆粒)は脆さがより少ないためである。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、0.2mm~8mm、好ましくは0.3mm~6mm、より好ましくは0.3mm~2.5mm、さらにより好ましくは0.5mm~2mmのd50を有するピロクトンオラミン顆粒が提供される。
【0021】
一実施態様によれば、ピロクトンオラミン顆粒は、0.6以上、好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上の、直径(D)と長さ(l)との平均D/l比を有する。一実施態様によれば、ピロクトンオラミン顆粒は、0.6~1.0、好ましくは0.7~1.0、特に好ましくは0.8~1.0の、直径(D)と長さ(l)との平均D/l比を有する。理論に束縛されることを望むものではないが、より「四角い(square)」または立方体の粒子は、貯蔵中により流動性なままであり得、より凝集しにくいと考えられる。
【0022】
別の実施態様によれば、前記のピロクトンオラミン顆粒は、1.9mm以下のd90を有する。
【0023】
さらなる実施態様によれば、前記のピロクトンオラミン顆粒は、0.4mm以上のd10を有する。
【0024】
別の実施態様によれば、ピロクトンオラミン顆粒は、400kg/m~600kg/m、好ましくは450kg/m~550kg/m、より好ましくは470kg/m~530kg/mの嵩密度を有する。
【0025】
本明細書では、本発明の全ての態様の全ての実施態様におけるのを含めて、別段の特定がない限り、以下の定義が適用される。
【0026】
本明細書で使用される粒径分布測定に関連して、d50、d(50)またはD50、すなわちメジアンは、母集団の半分がこの値未満である直径として定義される。同様に、母集団の10%は、d10、d(10)またはD10直径未満であり、母集団の90%は、d90、d(90)またはD90直径未満である。別段の記載がない限り、d50、d10、d90値は、体積分布に基づく。
【0027】
全てのパーセントは、組成物全体の重量(w/w)による。全ての比は重量比である。「重量%」は、重量によるパーセントを意味する。「部」への言及、例えば1部のXと3部のYとの混合物は、重量による比である。「QS」または「QSP」は、100%または100gのために十分な量を意味する。+/-は、標準偏差を示す。全ての範囲は、包含的であり、組み合わせ可能である。有効数字の数は、示した量に関しても、測定の精度に関しても限定を与えるものではない。全ての測定は、23℃および周囲条件で行われると理解され、ここで、「周囲条件」は1気圧(atm)の圧力および50%の相対湿度下であることを意味する。「相対湿度」は、同じ温度および圧力での飽和水分レベルと比較した空気の水分含有量の比率(パーセントとして表される)を示す。相対湿度は、湿度計、特にVWR(登録商標)Internationalからのプローブ湿度計を用いて測定することができる。本明細書において、「分(min)」は「分(minute)」または「分(minutes)」を意味する。本明細書において、「モル(mol)」はモルを意味する。本明細書において、数字に続く「g」は、「グラム(gram)」または「グラム(grams)」を、「kg」は、「キログラム(kilogram)」または「キログラム(kilograms)」を意味する。本明細書において、「含む(comprising)」は、他のステップおよび他の成分を追加できることを意味する。本明細書において記載される実施態様および態様は、不適合が言及されない限り、組み合わせて明確に例示されていないにもかかわらず、他の実施態様および/または態様の要素、特徴または構成成分を含み得るか、またはこれらと組み合わせ可能であり得る。「少なくとも1つの実施態様において」は、本発明の1つまたは複数の実施態様、任意選択的に全ての実施態様または実施態様の大きな部分集合が、続いて記載される特徴を有することを意味する。「分子量」または「M.Wt.」または「MW」および文法上の等価物は、数平均分子量を意味する。
【0028】
以下、添付の図面を参照して本発明をさらに説明する:
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明による方法に付されなかったピロクトンオラミンの結晶の、粒子の体積分布密度q(左側y軸)および体積累積分布Q(r)(右側y軸)対直径(x軸)を示す。
図2図2は、本発明による方法に付したピロクトンオラミンの顆粒の、粒子の体積分布密度q(左側y軸)および体積累積分布Q(r)(右側y軸)対直径(x軸)を示す。
図3図3は、本発明によるいくつかのピロクトンオラミン顆粒の顕微鏡画像を示す。前記画像は、後述する方法での幅および長さの測定を行うのに備えて、レチクルスケールを用いて4つの部分に分割される。
【0030】
ピロクトンオラミン結晶のための粒径分布(PSD)測定方法
ピロクトンオラミン結晶(出発材料)のPSDを測定するために、Horiba LA-950粒径分析装置を、結晶の直径、体積分布密度および体積累積分布を測定するために使用した。分析装置は、分布を測定するためにレーザー回折法(ISO 13320:2009、フラウンホーファー回折法)を使用し、直径に対する、粒子によって散乱した光の強度の正比例性に基づいている。さらに、散乱角は直径に反比例し、その逆も同様である。
【0031】
分析の準備において、必要量の結晶を1mmのメッシュサイズを有する篩上に置く。結晶を1.5mmの振幅で3分間篩にかける。
【0032】
必要量の篩掛けした結晶を、乾燥分散ユニットのガター(gutter)に加えた。
【0033】
以下のパラメーターを用いて、HORIBA LA-950粒径分析装置で3回の測定を行った:
・ガターの初期値85-110(ユニットレス)、自動制御
・分散圧力0.3MPa
【0034】
3つの測定値をソフトウェアを用いて組み合わせて、平均測定値を形成する。分析のために、d10、d50およびd90体積フラクションに焦点を当てる。
【0035】
ピロクトンオラミン顆粒の粒径分布測定方法
本発明に従って圧縮されたピロクトンオラミン顆粒に関して、顆粒の直径、体積分布密度および体積累積分布を測定するために、Retsch Sieve Maschine「AS200 Control」を使用した。これは、本明細書では篩分析と呼ぶ。
【0036】
篩分析の準備において、篩は上下に積み重ねられ(篩塔)、篩機に固定される。篩塔における篩のメッシュサイズは、前記塔の底部から頂部にかけてサイズが増大する。200×50mmの寸法を有する分析用篩(DIN ISO 3310-1)が使用される。
【0037】
適切な量の顆粒(80~120g)を、最も大きいメッシュサイズを有する篩(篩塔の頂部における)上に置き、顆粒を1mmの振幅で2分間篩にかける。
【0038】
一つ一つの篩上の生成物を秤量することにより、粒径分布をRetschソフトウェア(「EasySieve」)を用いて計算する。
【0039】
ピロクトンオラミン結晶の幅/長さ比の測定
ふるいにかけた結晶(上記参照)のうちの少量を、スパチュラを用いてペトリ皿上に広げる。
【0040】
顕微鏡下で、単離した結晶がはっきりと見える位置を捜し求める。使用した顕微鏡は、VHX-S90BEフリーアングル観察システムを用いた、VH-Z20Wズームレンズを備えたキーエンスVHX2000シリーズデジタルマイクロスコープであった。前記顕微鏡は本発明の一部を形成するものではなく、当業者は適切な代替の顕微鏡を選択することができた。
【0041】
被写界深度に関して限界を設定し、顕微鏡の被写界深度機能を用いて適切な倍率で画像を作成する。
【0042】
バルク結晶の全体的な印象を得るために、写真を以下の倍率x50、x100、150、x200で撮る。
【0043】
できるだけ多くの個々の結晶を用いて3×3画像の領域を作ることができるペトリ皿上の位置が必要である。
【0044】
3×3のマージされた画像(すなわち、9つの画像が1つにマージされた)が、x200の倍率で作成される。
【0045】
画像は、レチクルスケールを使用して4つの部分に分割される。各4分の1において、5つの代表的な結晶が選択される(合計20個の結晶)。これらの20個の結晶の各々について、直径(D)および長さ(l)ならびにD/l比を決定する。次に、測定されたD/lの合計を結晶の数で割った(ΣD/l)/20)、全ての結晶に関する平均D/l比を算出する。
【0046】
ピロクトンオラミン顆粒の幅/長さ比の測定
ふるいにかけた顆粒(上記参照)のうちの少量を、スパチュラを用いてペトリ皿上に広げる。
【0047】
顕微鏡下で、単離した顆粒がはっきりと見える位置を捜し求める。使用した顕微鏡は、VHX-S90BEフリーアングル観察システムを用いた、VH-Z20Wズームレンズを備えたキーエンスVHX2000シリーズデジタルマイクロスコープであった。前記顕微鏡は本発明の一部を形成するものではなく、当業者は適切な代替の顕微鏡を選択することができた。
【0048】
被写界深度に関して限界を設定し、顕微鏡の被写界深度機能を用いて適切な倍率で画像を作成する。
【0049】
できるだけ多くの個々の顆粒を用いて3×3画像の領域を作ることができるペトリ皿上の位置が必要である。
【0050】
3×3のマージされた画像(すなわち、9つの画像が1つにマージされた)が、x20の倍率で作成される。図3は、そのような画像を示す。
【0051】
画像は、レチクルスケールを使用して4つの部分に分割される。各4分の1において、5つの代表的な顆粒が選択される(合計20個の顆粒)。これらの20個の顆粒の各々について、直径(D)および長さ(l)ならびにD/l比を決定する。次に、測定されたD/lの合計を顆粒の数で割った(ΣD/l)/20)、全ての顆粒に関する平均D/l比を算出する。
【0052】
流動性測定
結晶または顆粒の凝集は、低度の流動性とみなすことができる。凝集の客観的な測定値を得るために、従って、結晶の/顆粒の流動性を測定することができる。当業者は、凝集を特徴付けるための他の方法を知っているであろう。
【0053】
バルクの固体の流動性は、その単軸崩壊応力(unconfined yield strength)σにより、圧密応力σおよび貯蔵期間tに依存して特徴付けることができる。通常、圧密応力σと単軸崩壊応力σとの比ffが、流動性を数値的に特徴付けるために使用される:
ff=σ/σ
【0054】
ffが大きいほど、すなわち圧密応力σに対する単軸崩壊応力σの比が小さいほど、バルクの固体は良好に流動する。流動挙動は、以下のように定義される:
1未満のff、流動しない
1以上2未満のff、非常に凝集性
2以上4未満のff、凝集性
4以上10未満のff、容易に流動
10超のff、自由に流動
【0055】
パラメーターffは、リングせん断試験を用いて、Schulze, D (2009)「Pulver und Schuettgueter」, 2nd Edition, Springer, Berlinに記載される方法で生成することができる。この方法は本発明の一部を形成するものではなく、ピロクトンオラミン結晶に対する本発明の顆粒のより流動性の性質の効果を実証するために、流動性を特徴付けるための1つの方法として単に参照されるものである。当業者は、流動性を特徴付けるための他の方法を知っているであろう。
【実施例
【0056】
例1
出発材料は、表1に示す粒径分布特性を有する65%のピロクトンオラミン結晶と、35%のリサイクル微粉(0~0.5mmのd50を有する顆粒)とを含んでいた。前記のリサイクル微粉は、前のランからの圧密化ピロクトンオラミン100%からなる。図1は、ピロクトンオラミン出発材料の結晶の、粒子の体積分布密度q(左側y軸)および体積累積分布Q(r)(右側y軸)対直径(x軸)を示す。
【0057】
【表1】
【0058】
使用したデバイスは以下の通りであった:
【0059】
圧縮ステップa)は、200mmの凹状プレーンローラー直径および50mmの幅および150kNの最大圧縮力を有するHosokawa-Alpineの「Pharmapaktor L200/50P」コンパクターを用いて行った。
【0060】
粉砕ステップb)は、150mmのローター直径、および200mmのローター長さ、および2mmの篩メッシュサイズを有するHosokawa-Alpineの「FlakeCrusher FC200」シーブミルを用いて行った。
【0061】
分離ステップc)は、0.50mmメッシュサイズを有する800mm直径の篩を含むAllgaier Vibrating Tumbler Screening Machine VTS 800を用いて実施した。
【0062】
この例におけるプロセスの重要なパラメーターを表2に示す。標的粒径範囲を有するピロクトンオラミン顆粒を、以下「最終生成物」と呼ぶ。
【0063】
【表2】
【0064】
最終生成物を分析したところ、表3に示す特性を有していた。図3の画像を用いて、上記の方法で平均D/l値を決定した。
【0065】
【表3】
【0066】
完全性のために、上記方法を、微粉の再循環がない以外は全く同じ方法で行うと、最終生成物嵩密度が499kg/mであることが見出され、これは、微粉を再循環させた場合に測定される528kg/mという値(表2参照)より小さい。499kg/mという値は、許容可能な最終生成物嵩密度であるが、再循環によって達成される上記のより高い密度は、上で説明したような改善された収率のために好ましい。
【0067】
図2は、ピロクトンオラミン最終生成物の顆粒の、粒子の体積分布密度q(左側y軸)および体積累積分布Q(r)(右側y軸)対直径(x軸)を示す。
【0068】
出発材料と最終生成物との間の流動性の比較を表4に示す。全ての場合において、貯蔵は、2kPaの垂直圧力の適用による圧密下で、35℃および0%の相対湿度においてであった。
【0069】
【表4】
【0070】
当該結果は、同一の貯蔵および圧密条件下において、標的粒径を有するピロクトンオラミン顆粒が、非再結晶化生成物よりも顕著に流動性が高く、従って凝集しにくいことを実証している。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的粒径範囲を有するピロクトンオラミン顆粒を提供するための方法であって、前記標的粒径範囲が標的d 50 範囲であり、前記標的d 50 範囲が、体積分布に基づいて、0.3mm~6mmであり、前記ピロクトンオラミン顆粒が、0.6~1.0の、直径(D)と長さ(l)との平均D/l比を有する方法において、
以下を含む、前記方法
a)ピロクトンオラミン結晶を圧縮して、圧密化物を形成すること;
b)前記圧密化物を粉砕して、ピロクトンオラミンのバルク顆粒を形成すること。
【請求項2】
以下をさらに含む、請求項1に記載の方法:
c)標的粒径範囲を有するピロクトンオラミン顆粒をバルク顆粒から分離すること。
【請求項3】
a)における圧縮が、25bar~200barの圧力で、好ましくは30bar~50barの圧力で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
圧縮ステップa)において適用される圧力が、980kg/m~1300kg/mの密度を有する圧密化物を成形するのに十分である、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
b)において、粉砕が、シーブミル、好ましくはロータリーシーブミルまたは振動シーブミルで行われる、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記ロータリーシーブミルまたは振動シーブミルのメッシュが、10mm以下のメッシュサイズ、好ましくは7mm以下のメッシュサイズ、より好ましくは4mm以下のメッシュサイズ、さらにより好ましくは2mmのメッシュサイズを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記標的d50範囲が、体積分布に基づいて、0.3mm~2.5mm、さらにより好ましくは0.5mm~2mmである、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
c)において、標的粒径範囲にあるピロクトンオラミン顆粒の分離が以下を含む、請求項2~7のいずれか1つに記載の方法:
c1)標的粒径範囲の上限に対応するメッシュサイズを有する第1の篩を使用してバルク顆粒に対して行われる任意の第1の分離、ここで、当該第1の分離は、前記の第1の篩を通過したピロクトンオラミン顆粒を含む中間生成物と、通過しなかった粗いピロクトンオラミン顆粒を含む残留物とをもたらす;
c2)標的粒径範囲の下限に対応するメッシュサイズを有する第2の篩を使用して、前記の中間生成物に対してまたは第1の分離が存在しない場合にはバルク顆粒に対して行われる第2の分離、ここで、当該第2の分離は、前記の第2の篩を通過したピロクトンオラミン微粉と、通過しなかった標的粒径範囲にあるピロクトンオラミン顆粒とをもたらす。
【請求項9】
以下をさらに含む、請求項8に記載の方法:
d)前記ピロクトンオラミン微粉を再循環させ、それらをa)において圧縮するピロクトンオラミン結晶に加えること。
【請求項10】
第1の分離が行われた、請求項8または9に記載の方法であって、以下をさらに含む、前記方法:
e)残留物を粉砕すること;
f)粉砕した残留物を再循環させ、それをa)において圧縮するピロクトンオラミン結晶に加えること。
【請求項11】
a)における圧縮が、添加剤の非存在下で行われる、請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記ピロクトンオラミン顆粒が、0.7~1.0、より好ましくは0.8~1.0の、直径(D)と長さ(l)との平均D/l比を有する、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
0.3mm~6mmの体積分布に基づく50を有し、かつ0.6~1.0の、直径(D)と長さ(l)との平均D/l比を有する、ピロクトンオラミン顆粒。
【請求項14】
0.3mm~2.5mm、さらにより好ましくは0.5mm~2mmの体積分布に基づくd 50 を有する、請求項13に記載のピロクトンオラミン顆粒。
【請求項15】
0.7~1.0、より好ましくは0.8~1.0の、直径(D)と長さ(l)との平均D/l比を有する、請求項13または14に記載のピロクトンオラミン顆粒。
【請求項16】
1.9mm以下の体積分布に基づく90を有する、請求項13~15のいずれか1つに記載のピロクトンオラミン顆粒。
【請求項17】
0.4mm以上の体積分布に基づく10を有する、請求項13~16のいずれか1つに記載のピロクトンオラミン顆粒。
【請求項18】
400kg/m~600kg/m、好ましくは450kg/m~550kg/m、より好ましくは470kg/m~530kg/mの嵩密度を有する、請求項13~17のいずれか1つに記載のピロクトンオラミン顆粒。
【国際調査報告】