(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】フケ防止組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/362 20060101AFI20220930BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220930BHJP
A61K 8/368 20060101ALI20220930BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20220930BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20220930BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
A61K8/362
A61K8/37
A61K8/368
A61K8/49
A61Q5/02
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506167
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 EP2020070904
(87)【国際公開番号】W WO2021018754
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】カダムコデ,ヴィニタ
(72)【発明者】
【氏名】ミトラ,ルパック
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC291
4C083AC311
4C083AC371
4C083AC851
4C083BB05
4C083BB06
4C083BB07
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE23
(57)【要約】
安息香酸またはその塩、およびイタコン酸またはそのエステルと相乗的に相互作用する少量のピロクトンオラミンを含むフケ防止組成物が開示される。組成物は、パーソナルクレンジングに使用されてもよく、シャンプーまたはヘアコンディショナーとして送達されることが特に好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イタコン酸またはそのエステル;安息香酸またはその塩;およびピロクトンオラミンを含む抗微生物性組成物。
【請求項2】
イタコン酸の前記エステルがイタコン酸ジメチルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
安息香酸の前記塩が安息香酸ナトリウムである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
イタコン酸またはそのエステルの濃度が、前記組成物の重量の0.01~2%の範囲内である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
安息香酸またはその塩の濃度が、前記組成物の重量の0.01~2%の範囲内である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ピロクトンオラミンの濃度が、前記組成物の重量の0.0001~1%、好ましくは0.0001~0.0006、さらに好ましくは0.0001~0.0003%である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ピロクトンオラミンとイタコン酸またはそのエステルとの重量比が、1:10~1:250の範囲内である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ピロクトンオラミンと安息香酸またはその塩との重量比が、1:10~1:250の範囲内である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
シャンプーまたはヘアコンディショナーである、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤または双性イオン性界面活性剤から選択される化粧品的に許容可能な担体をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物を所望の皮膚表面に塗布することを含む、M.フルフルの増殖を阻害する方法。
【請求項12】
フケを防止するための、イタコン酸またはそのエステル;安息香酸またはその塩;およびピロクトンオラミンを含む組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フケ防止組成物に関する。本発明は、さらに詳細には、パーソナルケア組成物またはクレンジング組成物、例えば、フケ防止効果のために相乗的に相互作用する活性物質を含む、毛髪および頭皮に利益をもたらすものに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に毛髪および頭皮のパーソナルケアおよびクレンジングに有用なフケ防止組成物に関する。ヘアケア組成物は、一般に、クレンジング効果もしくはコンディショニング効果またはこれら2つの組合せを提供する。そのような組成物は、典型的には、望ましくない汚れ、粒子および脂肪物質を含まない、毛髪および/または頭皮の洗浄を一般に助ける1つ以上のクレンジング界面活性剤を含む。
【0003】
さらに、ヘアケア組成物によって、フケ防止効果も提供されている。フケは、世界中の多くの人々に影響を及ぼす問題である。この状態は、頭皮から死んだ皮膚細胞の塊が脱落することによって現れる。これらは白色であり、審美的に不快な外観をもたらす。フケに寄与する1つの要因が、マラセチア(Malassezia)酵母(真菌の一形態)の特定の成員である。これらに対抗するために、フケ防止製品が毛髪クレンジングシャンプーの形態で開発されている。公知のフケ防止シャンプーの例は、フケ防止剤と組み合わせてラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エトキシル化アニオン性界面活性剤)を含む。ヘアケアに使用される典型的なフケ防止剤は、金属ピリチオン、例えば、ジンクピリチオン(ZPTO)、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、アゾール抗微生物剤(例えばクリンバゾール)、硫化セレンおよびそれらの組合せである。オクトピロックスに関する問題の1つが、高いコスト、および低濃度での効果の制限であった。
【0004】
本発明者らは、低濃度で効果を増強することによって、消費者に対する製品のコストを低く抑えることを確実にしながら、オクトピロックスの効果を利用することに関する上記の問題を解決しようと試みてきた。本発明者らは、優れた抗真菌効果のために非常に低濃度のオクトピロックスと相乗的に組み合わせることが見出された、イタコン酸またはそのエステルを安息香酸またはその塩と組み合わせることによってこれを達成することができた。
【0005】
本発明者らの知る限りでは、本明細書で特許請求される組合せを含む抗微生物性組成物は、これまで知られておらず、公開されてもいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、非常に低濃度のオクトピロックスからさらに高いフケ防止効果をもたらすことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、イタコン酸またはそのエステル;安息香酸またはその塩;およびピロクトンオラミンを含む抗微生物性組成物が開示される。
【0008】
本発明の別の態様は、所望の皮膚表面に第1の態様の組成物を塗布することを含む、M.フルフル(M.furfur)の増殖を阻害する方法に関する。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、フケを防止する際の、イタコン酸またはそのエステル、安息香酸またはその塩;およびピロクトンオラミンを含む組成物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
これらおよび他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読むことにより、当業者に明らかになるであろう。疑義を避けるために、本発明の一態様の任意の特徴が、本発明の他の任意の態様において利用されてもよい。用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙された工程または選択肢は網羅的である必要はない。以下の説明に示される実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図していないことに留意されたい。同様に、すべてのパーセンテージは、他に指示がない限り重量/重量%である。操作および比較実施例、または他に明示されている場合を除いて、材料の量または反応条件、材料および/または使用の物理的特性を示す本明細書および特許請求の範囲中のすべての数字が、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。「xからy」の形式で表される数値範囲は、xおよびyを含むと理解される。特定の特徴について複数の好ましい範囲が「xからy」の形式で記載されている場合、異なる端点を組み合わせるすべての範囲も企図されることが理解される。言い換えれば、いかなる数値範囲の指定においても、あらゆる特定の上限値はあらゆる特定の下限値を伴い得る。
【0011】
請求項が多項従属または重複なしに見出され得るという事実に関わりなく、本明細書に見出される本発明の開示は互いに多項従属しているため、特許請求の範囲に見出されるような実施形態をすべて包含するものと考えられるべきである。
【0012】
本発明の特定の態様(例えば、本発明の組成物)に関して特徴が開示されている場合、そのような開示は、必要な変更を加えて、本発明の任意の他の態様(例えば、本発明の方法)にも適用されると考えられるべきである。
【0013】
本明細書で使用される「フケ防止組成物」とは、哺乳動物、特にヒトの皮膚、毛髪および/または頭皮に局所塗布して、その上の真菌微生物の集団を排除するか最小限に抑えるための組成物を含むことを意味する。そのような組成物には、外観、クレンジング、臭気制御または一般的な美観も改善するために人体に塗布される任意の製品が含まれる。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ゲルまたはバーの形態であり得る。そのような組成物の非限定的な例には、ウォッシュオフシャンプー、シャンプー兼コンディショナー、シャワージェル、ヘアケア液またはジェルもしくはバーが挙げられる。本発明の組成物は、最も好ましくは、従来のローションまたは半液体形態のシャンプーまたはヘアコンディショナーである。
【0014】
本発明は、ピロクトンオラミン;イタコン酸またはそのエステル;および安息香酸またはその塩を含むフケ防止組成物に関する。
【0015】
ピロクトンオラミンまたは1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチルペンチル)-2-(1H)ピリジノン、2-アミノエタノール塩またはオクトピロックスは、ヒドロキサム酸誘導体ピロクトンの複素環式化合物およびエタノールアミン塩である。これは、一般的に使用される化合物ジンクピリチオンの代替物として、フケ防止シャンプーに使用されることが多い。これは、白色またはわずかに黄色の結晶性粉末である。これは、10%エタノール水溶液に可溶性であり、界面活性剤を含有する水溶液、または1%~10%エタノールに可溶性である。ピロクトンオラミンは、フケ防止活性成分であり、炎症を起こした頭皮を鎮静化し、剥落を減少させる。ピロクトンオラミンは、増粘、保存、および体臭の除去などの特別な機能を有する。
【0016】
ピロクトンオラミンは、以下の構造を有する:
【化1】
【0017】
組成物は、好ましくは組成物の重量の0.0001~1%、さらに好ましくは0.0001~0.01%、さらになお好ましくは0.0001~0.0006%、さらになお一層好ましくは0.0001~0.0003%のピロクトンオラミンを含む。
【0018】
イタコン酸は、有機不飽和ジカルボン酸である。イタコン酸は、メチル水素の1つがカルボン酸基によって置換されたメタクリル酸である。イタコン酸の他の名称は、2-メチレンコハク酸またはメチレンブタン二酸である。イタコン酸の分子量は130.1g/molである。イタコン酸は、乾燥白色粉末として入手可能である。水への溶解度は1g/12mlである。イタコン酸は、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、ウスチラゴ・ゼアエ(Ustilago zeae)およびトウモロコシ黒穂病菌(Ustilago maydis)などの様々な真菌、ならびに酵母カンジダ(Candida)種によって天然に産生される。アスペルギルス・テレウスは、イタコン酸の工業生産に使用されている。洗浄および衛生、エネルギーおよび産業、表面コーティングおよび農業では、イタコン酸のポリマーが広く使用されている。イタコン酸のポリマーは、ヘアコンディショニングジェルおよび臭気制御製品に広く使用されている。
【0019】
【0020】
イタコン酸エステルも本発明の組成物に使用され得る。好適なイタコン酸エステルは、イタコン酸ジメチルまたはイタコン酸ジブチル、好ましくはイタコン酸ジメチルである。
【0021】
本発明の組成物は、安息香酸またはその塩を含む。含まれ得る安息香酸の好適な塩は、安息香酸ナトリウムである。
【0022】
安息香酸は、カルボン酸置換基を有するベンゼン環コアを含む化合物である。安息香酸は、抗微生物性食品防腐剤としての役割を有する。安息香酸は、白色結晶性固体として現れる。安息香酸は、水に難溶である。市販の安息香酸の大部分は、液相で約200℃の温度で、触媒としてのコバルト塩およびマンガン塩の存在下で、トルエンと酸素との反応によって生成される。果汁(クエン酸)、発泡飲料(二酸化炭素)、清涼飲料(リン酸)、漬物(酢)などのような酸性の食品および飲料は、安息香酸を用いて保存される。安息香酸の構造は、以下の通りである:
【化3】
【0023】
イタコン酸またはそのエステルと安息香酸またはその塩との重量比は、1:9~9:1の範囲内であることが好ましい。
【0024】
フケ防止効果を可能にするイタコン酸またはそのエステルの濃度は、好ましくは組成物の重量の0.01~2%、さらに好ましくは0.1~2%の範囲内である。
【0025】
安息香酸またはその塩は、組成物の重量の0.01~2%、好ましくは0.1~2%の範囲で組成物に含まれることが好ましい。好ましくは、イタコン酸またはそのエステルと安息香酸またはその塩との総量は、組成物の重量の0.15~3%、好ましくは0.2~2%の範囲で組成物に含まれる。
【0026】
ピロクトンオラミンとイタコン酸またはそのエステルとの重量比は、1:10~1:250の範囲内であることが好ましい。
【0027】
ピロクトンオラミンと安息香酸またはその塩との重量比は、1:10~1:250の範囲内であることが好ましい。
【0028】
本発明の組成物は、化粧品的に許容可能な担体をさらに含むことが好ましい。担体は、好ましくは、本発明の組成物がパーソナルクレンジング組成物として使用するために送達され得るように選択される。一態様によれば、化粧品的に許容可能な担体は、水または水溶液である。別の好ましい態様によれば、担体は、界面活性剤をさらに含む。化粧品的に許容可能なビヒクルは、組成物がシャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュ、ハンドウォッシュもしくは洗顔製品、クリーム、ローション、ゲル、粉末、軟膏または石鹸バーとして調製され得るようなものである。
【0029】
本発明のさらに好ましい態様によれば、組成物は、シャンプー、ヘアコンディショナーまたはボディウォッシュ製品のいずれかであり、最も好ましくはシャンプーまたはヘアコンディショナー組成物である。組成物は、そのように製剤化される場合、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤または両性界面活性剤または双性イオン性界面活性剤から選択される化粧品的に許容可能な担体をさらに含む。
【0030】
本発明の特に好ましい態様によれば、組成物はシャンプーである。本発明の組成物、特にシャンプーは、アニオン性界面活性剤、例えば、アルキルサルフェートおよび/またはエトキシル化アルキルサルフェート界面活性剤とともに製剤化される。これらのアニオン性界面活性剤は、組成物の重量の1~20%、好ましくは2~16%、さらに好ましくは3~16%のレベルで存在することが好ましい。好ましいアルキルサルフェートは、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムなどの可溶化カチオンとの塩の形態のC8~18アルキルサルフェート、さらに好ましくはC12~18アルキルサルフェートである。
【0031】
好ましいアルキルエーテルサルフェートは、式:RO(CH2CH2O)nSO-3Mを有するものであり;
式中、Rは、8~18個(好ましくは12~18個)の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルであり、nは、少なくとも0.5よりも大きい、好ましくは1~3、さらに好ましくは2~3の平均値を有する数であり、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムなどの可溶化カチオンである。一例には、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)がある。0.5~3、好ましくは1~3の平均エトキシル化度を有するSLESが特に好ましい。
【0032】
本発明によるシャンプー組成物は、化粧品的に許容可能であり、毛髪への局所塗布に適した1つ以上の追加のアニオン性クレンジング界面活性剤を含んでもよい。
【0033】
本発明の組成物は、両性界面活性剤、好ましくはベタイン界面活性剤、好ましくはアルキルアミドプロピルベタイン界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタインをさらに含むことが好ましい。好ましい実施形態では、組成物は、0.1~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、さらに好ましくは1~5重量%のベタイン界面活性剤を含む。
【0034】
本発明の組成物、特にシャンプーからの活性物質の堆積を増強するために、カチオン性ポリマーが一般に含まれる。本発明ではまた、組成物が0.01~2.0%のカチオン性ポリマーをさらに含むことが好ましい。カチオン性ポリマーは、好ましくはグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。グアーポリマーは、ガラクトマンナンポリマー鎖を主に含む。このポリマーは、グアーがどの程度加水分解およびカチオン化されているかに応じて、様々な分子量およびカチオン置換度で利用可能である。カチオン性ポリマーは、好ましくは、組成物の重量の0.04~0.5%、さらに好ましくは0.08~0.25%で存在する。
【0035】
組成物のpHは、好ましくは4.0以上、さらに好ましくは5.0~10.0の範囲内である。
【0036】
好ましくは、本発明の組成物は、懸濁剤をさらに含む。好適な懸濁剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガムおよび結晶性長鎖アシル誘導体から選択される。
【0037】
懸濁剤は、含まれる場合、組成物の総重量に基づいて、懸濁剤の総重量により0.1~10%、好ましくは0.5~6%、さらに好ましくは0.5~4%のレベルで本発明のシャンプー組成物中に存在する。
【0038】
本発明の組成物は、性能および/または消費者の受容性を高めるための他の成分を含有してもよい。そのような成分には、芳香剤、染料および顔料、pH調整剤、真珠光沢剤または乳白剤、粘度調整剤、防腐剤、ならびに植物成分、果実抽出物、糖誘導体およびアミノ酸などの天然毛髪栄養素が含まれる。
【0039】
本発明の組成物は、好ましくは水性系である。本発明の組成物は、好ましくは、組成物の重量の70~95%という多量の水を含む。
【0040】
コンディショニング効果が本発明の組成物を介してもたらされる場合、組成物はヘアコンディショナーと呼ばれる。典型的には、ヘアケア組成物に使用される最も一般的なコンディショニング剤は、鉱油などの水不溶性油性材料、トリグリセリドおよびシリコーンポリマーなどの天然に存在する油である。コンディショニング効果は、油性材料が毛髪上に堆積されてフィルムを形成することによって達成され、これにより、濡れた際に毛髪が梳きやすくなり、乾燥した際に毛髪が扱いやすくなる。特に有用なコンディショニング剤は、シリコーン化合物、好ましくは不揮発性シリコーン化合物である。有利には、本明細書の組成物は、1つ以上のシリコーンを含み得る。シリコーンは、分散微粒子形態または懸濁微粒子形態で見られるコンディショニング剤である。それらは、毛髪上に堆積し、水を用いて毛髪をすすいだ後に残ることが意図されている。好適なシリコーン油には、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマーおよびそれらの混合物が含まれ得る。アミノシリコーンは、多くの場合、シャンプー組成物と配合される。アミノシリコーンは、少なくとも1つの第一級アミン基、第二級アミン基、第三級アミン基または第四級アンモニウム基を含むシリコーンである。高分子量シリコーンガムも利用することができる。別の有用な種類には、ジメチコン/ビニル/ジメチコンクロスポリマー(例えば、Dow Corning 9040および9041)などの架橋シリコーンエラストマーがある。
【0041】
存在する場合の組成物中のシリコーンの量は、ヘアケア組成物の重量の約0.1~約10重量%、好ましくは約0.1~約8重量%、さらに好ましくは約0.3~約5重量%の範囲であり得る。
【0042】
組成物のpHは、好ましくは4.0以上、さらに好ましくは5.0~7.0の範囲内である。
【0043】
ヘアコンディショニング組成物は通常、単独でまたは混合して使用されるカチオン性界面活性剤から選択されるコンディショニング界面活性剤を含む。本発明によるコンディショナー組成物に使用するのに適したカチオン性界面活性剤には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、タロウトリメチルアンモニウムクロリド、ジ水素化タロウジメチルアンモニウムクロリド(例えば、Akzo Nobel製のArquad 2HT/75)、ココトリメチルアンモニウムクロリド、PEG-2-オレアンモニウムクロリドおよびそれらの対応する水酸化物が含まれる。
【0044】
組成物に使用するための最も好ましいカチオン性界面活性剤は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘントリモニウムクロリドまたはステアリルトリメチルアンモニウムクロリドである。本発明のコンディショナーでは、カチオン性界面活性剤のレベルは、一般に、組成物の重量の0.1%~5%、好ましくは0.5~2.5%の範囲である。
【0045】
本発明のヘアコンディショニング組成物はまた、好ましくは脂肪アルコールをさらに含んでもよい。コンディショニング組成物中の脂肪アルコールおよびカチオン性界面活性剤の併用は、カチオン性界面活性剤が分散されたラメラ相の形成をもたらすため、特に有利であると考えられる。
【0046】
本発明のコンディショナー中の脂肪アルコールのレベルは、一般に、組成物の重量の0.5~10%、好ましくは0.1%~8%、さらに好ましくは0.2%~7%、最も好ましくは0.3%~6%の範囲である。カチオン性界面活性剤と脂肪アルコールとの重量比は、好適には1:1~1:10、さらに好ましくは1:1.5~1:8、最適には1:2~1:5である。
【0047】
本発明の組成物は、スキンケア、例えば身体、手または顔の洗浄に使用され得る。抗微生物性組成物は、界面活性剤をさらに含んでもよい。好ましい界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、例えば、製品が液体形態である場合、1~8個のエチレンオキシド基を含む、C8~C22、好ましくはC8~C16脂肪アルコールエトキシレートである。界面活性剤は、好ましくは、第一級アルキルサルフェート、第二級アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネートまたはエトキシル化アルキルサルフェートから選択される。組成物は、アニオン性界面活性剤、例えば、アルキルエーテルサルフェート、好ましくは天然源または合成源のいずれかに由来する、1~3個のエチレンオキシド基を有するもの、および/またはスルホン酸をさらに含み得る。ナトリウムラウリルエーテルサルフェートが特に好ましい。アルキルポリグルコシド、好ましくはC6~C16の炭素鎖長を有するものも組成物中に存在し得る。
【0048】
したがって、非常に好ましい態様では、抗微生物性組成物は、アニオン性界面活性剤、脂肪酸アミド、アルキルサルフェート、直鎖アルキルベンゼンスルホネートおよびそれらの組合せの群から選択される界面活性剤を含む。
【0049】
界面活性剤が存在する場合、抗微生物性組成物は、組成物の重量の1~90%の界面活性剤を含むことが好ましい。
【0050】
界面活性剤が使用される場合、特に好ましい界面活性剤は石鹸である。石鹸は、本発明の抗微生物性組成物のパーソナルウォッシング用途に適した界面活性剤である。石鹸は、好ましくはC8~C24石鹸、さらに好ましくはC10~C20石鹸、最も好ましくはC12~C18石鹸である。石鹸のカチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムであり得る。好ましくは、石鹸のカチオンは、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムから選択される。さらに好ましくは、石鹸のカチオンはナトリウムまたはカリウムである。
【0051】
典型的な脂肪酸ブレンドは、石鹸の重量の5~30%のココナッツ脂肪酸および70~95%の脂肪酸からなっていた。例えば、落花生、大豆、獣脂、パーム、パーム核などの他の好適な油/脂肪に由来する脂肪酸もまた、他の所望の割合で使用され得る。
【0052】
本発明の石鹸は、存在する場合、組成物の重量の1~90%、好ましくは10~85%、さらに好ましくは25~75%の量で存在することが好ましい。
【0053】
好ましい組成物は、香料、顔料、防腐剤、軟化剤、日焼け止め剤、乳化剤、ゲル化剤および増粘剤などの他の公知の成分を含み得る。これらの成分の選択は、組成物の形態に大きく依存する。
【0054】
水が好ましい担体である。水は、存在する場合、好ましくは組成物の重量の少なくとも1%、さらに好ましくは少なくとも2%、さらになお好ましくは少なくとも5%で存在する。水が担体である場合、好ましい液体組成物は、10~99.8重量%の水を含む。
【0055】
本発明によれば、フケ防止効果をもたらすための組成物の非治療的使用も開示される。以下の非限定的な実施例は、本発明の好ましい実施形態をさらに説明する。実施例において、および本明細書全体を通して言及されるすべてのパーセンテージは、他に指示がない限り総重量に基づく。
【実施例】
【0056】
[実施例1~15]
本発明による組成物の抗真菌効果:
以下に記載するように、表1に示す試料をM.フルフルに対する抗真菌効果に供した。
【0057】
抗真菌活性:
アッセイで使用される試験生物は、マラセチア・フルフル(Malassezia furfur)14521である。1%トウモロコシ油を含有するYPD寒天プレート(酵母抽出物ペプトンデキストロース培地)中のグリセロールストックからM.フルフルを蘇生させた。YPDの組成は、酵母抽出物:10g/リットル、デキストロース20g/リットル、ペプトン20g/リットル、およびアガロース0.15%である。プレートを30℃で72時間インキュベートし、真菌コロニーを形成させた。YPDブロス中でプレートから得られたコロニーを使用して、M.フルフルの懸濁培養物を作製した。分光光度計を使用して、懸濁培養物の光学密度を0.6に調整した。この懸濁液をYPDブロスを使用して1:10の比で希釈し、この培養物100μlを96ウェル試験プレートの各ウェルに加えた。試験した濃度の各々について、ピロクトンオラミンの40倍強度のストック溶液を調製し、例えば、0.0.001%の試験濃度のピロクトンオラミンでは、0.04%のストックをDMSO(ジメチルスルホキシド)中で調製した。ピロクトンオラミン5μlをM.フルフル培養物100μlに加えた。試験した濃度の各々について、イタコン酸または安息香酸ナトリウムの4倍強度のストック溶液を調製し、例えば、0.0.001%の試験濃度のイタコン酸または安息香酸ナトリウムでは、0.004%のストックをYPDブロス中で調製した。イタコン酸または安息香酸ナトリウム50μlをM.フルフル培養物100μlに加えた。試験成分を1つのみ(イタコン酸または安息香酸ナトリウムのみ)含むウェルでは、試験成分50μlを真菌培養物100μlに加え、次いで、YPDブロスを用いて体積を200μlにした。ピロクトンオラミンのみを含むウェルでは、ピロクトンオラミン5μlを真菌培養物100μlに加え、次いで、YPDブロスを用いて体積を200μlにした。プレートを30℃で72時間インキュベートした。インキュベーション後、1%レサズリン10μlを各ウェルに加え、30℃で18時間インキュベートした。レサズリン(7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン10-オキシド)は、細胞生存率アッセイでは酸化還元指示薬として使用される青色色素である。生細胞では、デヒドロゲナーゼ酵素は、レサズリン(青色および非蛍光)を還元して、赤色蛍光色素レゾルフィンを形成する。生細胞を含むウェルはピンク色に見え、死細胞を含むウェルは青色/紫色に見える。成分、または成分の組合せの抗真菌効果は、発色に基づいて計算される。
【0058】
部分発育阻止濃度(ΣFIC)を使用した相乗効果の評価。
ΣFIC法を使用して、試験成分と相乗的な抗真菌効果との組合せを評価した。以下の式を使用して、組合せのΣFICを計算した:
組合せA+B+CのΣFIC=[Aの濃度]/AのMIC+[Bの濃度]/BのMIC+[Cの濃度]/CのMIC、式中、MICは、成分の最小発育阻止濃度(MIC)である。試験成分のMICは、試験生物の増殖を阻害するのに必要な、成分の最低濃度である。
【0059】
以下に示すように、使用した様々な活性物質のMICを決定した:
イタコン酸ジメチル:0.5重量%
安息香酸ナトリウム:0.5重量%
ピロクトンオラミン:0.002重量%
【0060】
様々な組合せのΣFIC値を以下の表1に示す:
【0061】
【0062】
上記の表1のデータは、イタコン酸、安息香酸ナトリウムおよび非常に低濃度のピロクトンオラミンの組合せが、相乗的な抗真菌活性をもたらすことを示している。
【0063】
[実施例16~25]
イタコン酸のエステルを使用する、本発明による組成物の抗真菌効果:
本明細書に上述されるように、表1に示す試料をM.フルフルに対する抗真菌効果に供した。
【0064】
様々な組合せのΣFIC値を以下の表2に示す:
【0065】
【0066】
表2のデータは、イタコン酸の代わりにイタコン酸ジメチルを使用しても同様のデータが得られることを示している。
【国際調査報告】