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特表2022-543003油圧・電気機械式サービス&パーキングディスクブレーキ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】油圧・電気機械式サービス&パーキングディスクブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 55/228 20060101AFI20220930BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20220930BHJP
   F16D 65/02 20060101ALI20220930BHJP
   F16D 65/18 20060101ALI20220930BHJP
   F16D 121/04 20120101ALN20220930BHJP
   F16D 121/24 20120101ALN20220930BHJP
   F16D 125/42 20120101ALN20220930BHJP
   F16D 127/06 20120101ALN20220930BHJP
   F16D 125/50 20120101ALN20220930BHJP
【FI】
F16D55/228
B60T13/74 G
F16D65/02 B
F16D65/18
F16D121:04
F16D121:24
F16D125:42
F16D127:06
F16D125:50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506284
(86)(22)【出願日】2020-07-23
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 IB2020056934
(87)【国際公開番号】W WO2021019380
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】102019000013512
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】サーラ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルッフェッロ,マルティーナ
(72)【発明者】
【氏名】マンゾーニ,コルラード
【テーマコード(参考)】
3D048
3J058
【Fターム(参考)】
3D048BB59
3D048CC05
3D048CC49
3D048HH18
3D048QQ07
3D048QQ12
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA66
3J058AA69
3J058AA73
3J058AA77
3J058AA79
3J058AA84
3J058AA87
3J058BA67
3J058CC03
3J058CC15
3J058CC25
3J058CC36
3J058CC62
3J058CC82
3J058FA06
3J058FA07
(57)【要約】
油圧式および電気機械式のサービスおよびパーキングディスクブレーキ(1)は、少なくとも1つの油圧式アクチュエータ(65)を有するサービスブレーキシステム(20)と、少なくとも1つの電気機械式アクチュエータ(64)の伝達不可逆性を有するパーキングブレーキシステム(21)と、サービスブレーキシステム(20)とパーキングシステム(21)に接続されている制御システム(22)と、ユーザインタフェース(23)とを備え、電気機械アクチュエータ(64)の並進部材(17)が、キャリパ(2)と一体で並進部材(17)の自由端とは反対側の後側に配置されたガイド部(35)との回転防止形状結合によってキャリパ(2)に対して回転不能に拘束されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧式および電気機械式のサービスおよびパーキング用のディスクブレーキ(1)であって、
前記ディスクブレーキ(1)は、
2つの側壁(3)を有するキャリパ(2)であって、前記2つの側壁が前記2つの側壁の間にブレーキディスク(5)の一部を収容するためのディスクスペース(4)を確定する、キャリパ(2)と、
前記キャリパ(2)を車両のサスペンションに固定するための手段と、
前記2つの側壁(3)のそれぞれによってそれぞれが支持された少なくとも2つのパッド(7)と、
前記2つの側壁(3)のそれぞれ支持される少なくとも
1つの油圧アクチュエータ(65)を有するサービスブレーキシステム(20)とを備え、
前記油圧アクチュエータ(65)は、前記側壁(3)に形成された油圧シリンダ(10)と、前記油圧シリンダ(10)に収容され、前記パッド(7)に臨む自由端(14)を有するピストン(11)とを含み、
前記油圧シリンダ(10)は、前記ピストン(11)に油圧を加えて、前記ピストン(11)を前記ブレーキディスク(5)に向かって作動方向(19)に並進させて前記パッド(7)を前記ブレーキディスク(5)に対して締め付けるために、作動油を供給し加圧するシステム(13)に連通しており、
前記ディスクブレーキ(1)はさらに、
前記2つの側壁(3)のそれぞれ配置された少なくとも1つの電気機械アクチュエータ(64)を有するパーキングブレーキシステム(21)を含み、
前記電気機械式アクチュエータ(64)は、回転部材(18)および並進部材(17)を有し、前記回転部材(18)の回転運動を並進部材(17)の並進運動に変換するように構成されたスクリューナットアセンブリ(17、18)を含み、
前記スクリューナットアセンブリ(17、18)は、ピストン(11)をロックするために前記ピストン(11)に対して前記並進部材(17)を前記作動方向(19)に並進させて締め付けることができるように、前記油圧シリンダ(10)に接続されており、
前記ディスクブレーキ(1)はさらに、
電源(26)に接続され、前記スクリューナットアセンブリ(17、18)を作動させる電気モータ(15)と、
前記電気モータ(15)と前記回転部材(18)との間に接続されたトランスミッション機構(16)とを含み、
前記少なくとも1つの電気機械アクチュエータ(64)は、前記電気モータ(15)がオフのとき、前記並進部材(17)の並進応力が前記並進部材(17)を前記ブレー
、キディスク(5)から離れることができないように、前記少なくとも1つの電気機械アクチュエータ(64)の伝達不可逆性によってセルフロックされ、
前記ディスクブレーキ(1)はさらに
前記サービスブレーキシステム(20)および前記パーキングシステム(21)に接続され、かつ前記ユーザインターフェース(23)に接続された制御システム(22)を含み、
前記並進部材(17)は、前記ピストン(11)の自由端(14)とは反対側の前記並進部材(17)の後側に配置されたガイド部(35)との回転防止形状結合によって、前記キャリパ(2)に固定されて前記キャリパ(2)に対して回転不能に固定されて拘束されていることを特徴とする、キャリパ(2)。
【請求項2】
前記ガイド部(35)は、油圧シリンダ(10)の底部(39)から突出し、並進部材(17)に形成されたガイドシート(36)に相対回転不能に且つ摺動可能に収容されている、請求項1に記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項3】
前記ガイド部(35)は、前記キャリパ(2)のプラグシート(38)に螺合したシリンダプラグ(37)に形成され、
前記シリンダプラグ(37)は前記油圧シリンダ(10)を閉塞して前記油圧シリンダ(10)の底部(39)を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項4】
前記シリンダプラグ(37)が、予め組み立てられた自己支持型の運動変換アセンブリ(40)を支持しており、
前記シリンダプラグ(37)と、
前記ガイド部(35)と回転不能だが並進摺動可能な結合により、前記シリンダプラグ(37)と回転可能に固定された前記並進部材(17)と、
前記油圧シリンダ(10)の底部(39)において前記シリンダプラグ(37)に固定された軸受(41)により、前記シリンダプラグ(37)に対して摺動不能に且つ並進不能な状態で拘束され、前記回転部材(18)が前記並進部材(17)と螺合している、回転部材(18)と
前記軸受(41)に隣接して前記回転部材(18)に形成されたギアリング(42)と、を含む請求項3に記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項5】
前記電気モータ(15)が、モータ軸(27)が、前記作動方向(19)を画定する前記ピストン(11)の中間軸(34)に対して横方向に向けられるが、前記中間軸(34)から間隔をおいて、好ましくは前記中間軸(34)の垂直方向または接線方向に向けられるモータ位置において、前記側壁(3)に固定されている、前記請求項1から4のいずれかに記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項6】
前記モータ軸(27)が、前記回転部材(18)のギアリング(42)に接し、
前記モータ軸(27)は、前記ブレーキディスク(5)のディスク面(29)と実質的に平行なモータ面(28)内に延び、
前記モータ軸(27)は、前記ディスク面(29)に垂直で且つ前記キャリパ(2)の2つの対向する長手方向端部(31)の間に延びるキャリパ平面(30)に対して、30°未満、または20°未満、または15°未満傾斜している、請求項1から5のいずれか1つに記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項7】
前記キャリパ(2)の両側にある前記2つの電気モータ(15)は、前記ディスク平面(29)に対して非対称に且つ前記ブレーキディスク(5)の前記回転軸に対して放射状である任意の平面に対して非対称に配置されており、
前記トランスミッション機構(16)に接続された前記電気モータ(15)の作動側(32)は、前記ブレーキディスク(5)の前記回転軸に対して前記電気モータ(15)の後側(33)よりも半径方向内側にあり、
前記キャリパ(2)の両側にある前記2つの電気モータ(15)は、前記電気モータ(15)の前記作動側(32)を、前記ブレーキディスク(5)の周方向の反対側に向けて対向している、請求項1から6のいずれか1つに記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項8】
前記電気モータ(15)は、前記キャリパ(2)と一体に形成されたモータハウジング(53)内に少なくとも部分的に収容され、
前記電気モータ(15)と分離不可能な前記電気モータ(15)の支持構造(55)が、前記キャリパ(2)に直接ねじ止めされている、請求項1から7のいずれか一つに記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項9】
前記トランスミッション機構(16)は、前記モータ軸(27)と同軸である、請求項5から7の1つに記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項10】
前記トランスミッション機構(16)は、
前記電気モータ(15)に接続された、1つの減速段のみを有する遊星減速機(58)と、
前記遊星減速機(58)に連結され、前記回転部材(18)のギアリング(42)に噛み合うウォームねじ(69)と、を備えた請求項1から9のいずれか1つに記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項11】
前記電気機械アクチュエータ(64)は、前記キャリパ(2)の前記側壁(3)に形成され、前記モータハウジング(53)から前記油圧シリンダ(10)まで延びる前記キャビティ(63)内に収容され、
前記電気機械アクチュエータ(64)の前記キャビティ(63)と前記シール部(66)との間のシールガスケット(67)は、前記油圧シリンダ(10)の前記内部空間(12)と前記モータハウジング(53)から密閉分離することを特徴とする請求項1から10のいずれか記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項12】
前記キャリパ(2)は、固定キャリパであり
前記サービスブレーキシステム(20)は、前記側壁(3)にそれぞれ配置された2つの前記油圧アクチュエータ(65)を含み、
前記パーキングブレーキシステム(21)は、前記側壁(3)にそれぞれ配置された前記電気機械式アクチュエータ(64)を含む、請求項1から11のいずれか一つに記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項13】
ユーザのパーキングブレーキコマンドに応答して、前記制御システム(22)は、
前記サービスブレーキシステム(20)を作動して、前記ブレーキディスク(5)に対して前記パッド(7)を締め付ける駐車位置において、前記ピストン(11)を前記ブレーキディスク(5)に向かって前記作動方向(19)に移動させ、
前記パーキングブレーキシステム(21)を作動して、前記ピストン(11)を前記パーキング位置にロックし、前記ピストン(11)の復帰動作を防止する、請求項1から12のいずれか一つに記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項14】
ユーザの駐車解除コマンドに応答して、
前記制御システム(22)は、まず、前記油圧アクチュエータ(65)を作動させて、前記ピストン(11)に圧力を与え、電前記気機械アクチュエータ(64)の前記スクリューナットアセンブリ(17、18)をアンロードし、
前記スクリューナットアセンブリ(17、18)がアンロードされると、前記制御システム(22)は、前記電気機械アクチュエータ(64)を作動させて、前記並進部材(17)を前記ピストン(11)から分離し、
並進部材(17)がピストン(11)から分離されると、前記制御装置(22)は前記油圧アクチュエータ(65)を作動させて再び油圧を下げ、パーキングブレーキを解除する、請求項13に記載のディスクブレーキ(1)。
【請求項15】
前記ユーザパーキングブレーキコマンドに応答して、
前記制御システム(22)は、前記ピストン(11)を、前記パッド(7)を前記ブレーキディスク(5)に押し付けるパーキング位置に移動させることにより、前記サービスブレーキシステム(20)を作動させ、
前記制御システム(22)は、前記サービスブレーキシステム(20)の作動時に、前記ピストン(11)が既に前記駐車位置にある状態で、前記作動方向(19)に前記並進部材(17)を前記ピストン(11)に対して並進させて前記駐車位置にロックしその復帰動作を防止することにより、電気モータ(15)を前進方向に作動させ、
前記ピストン(11)が前記パーキング位置にロックされると、前記制御システム(22)は、作動油の圧力を下げることによって前記サービスブレーキシステム(20)を解除し、電気モータ(15)をオフし、
前記ピストン(11)は、電気機械アクチュエータ(64)の伝達不可逆性により、ロックされたままである、請求項13または14に記載のディスクブレーキ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車用の油圧式および電気機械式のサービスおよびパーキングディスクブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
電動回転アクチュエータと、サービスディスクブレーキの油圧ピストン、またはパーキングブレーキが自律した構造体である場合は特殊なパーキングピストンに作用するねじ・ナットスラストアセンブリ、を装備した電気機械式のパーキングブレーキと非常用ブレーキが知られている。
【0003】
ブレーキディスクの両側に配置され、ディスクを跨いで延びる2つ以上の連結ブリッジによって互いに連結された2つの壁を有するキャリパボディを備えた電気機械式ディスクブレーキも知られている。キャリパボディの車内側を向く壁には、キャリパボディを車両サスペンションに回転固定および並進固定するための各締結ねじを収容するための孔が設けられている。キャリパ本体の両壁には、ブレーキディスクの方を向いて摩擦材コーティングを担持するパッドを収容するためのシートが得られ、壁の少なくとも1つは、パッドをブレーキディスクに対して締め付けてブレーキ力を生成するように適合されたピストン用の1つまたは複数のシートを画定している。ピストンは、電気機械式アクチュエータに接続されている。電気機械アクチュエータは、例えば、電気モータ、トランスミッション、および減速機からなり、対応するナットに係合するねじを回転させる。ナットは、回転に対してロックされるが並進は自由であり、ピストンに係合するか、その一体的部分を形成する。このようにして、ねじの回転は、ブレーキディスクに対するピストンおよび対応するパッドの並進を引き起こす。
【0004】
電気機械アクチュエータ(パーキングブレーキ用)のねじとナットの間の係合は、機械的伝達不可逆性に、すなわち入力回転モーメントは出力並進運動を引き起こすが、(反対方向に)入力並進力は出力回転を引き起こさないように構成することが可能である。その結果、ピストンとパッドをブレーキディスクのブレーキバンドに対して締め付けるために必要なトルクを加えた後、その締め付けは、モータに電力が供給されない限り、セルフロックされたままとなる。
【0005】
機械的伝達不可逆性は、並進要素から回転要素への運動の伝達を防止するような、2つの歯車部品のねじ山または歯の摩擦角および接触点の傾斜の選択によって達成される。この考え方は、本発明によるブレーキにも適用される。
【0006】
電気モータと変速機は、摩擦を差し引いた必要なパーキング力をピストンに加えるようなトルクを供給できるように、電気的および機械的に寸法が決められていなければならない。
【0007】
電気機械(パーキング)アクチュエータのかなりの寸法のため、先行技術では、電気機械パーキングブレーキは、通常、片側(ユニラテラル)の油圧および電気機械アクチュエータによって特徴付けられるいわゆるフローティングキャリパに組み込まれ、車両の内側に向かって向き、スペース上の問題の少ないキャリパの内側のみに電気機械アクチュエータを設置することが可能である。
【0008】
両側(バイラテラル)に油圧アクチュエータを有するいわゆる固定キャリパに電気機械式パーキングアクチュエータに一体化することは、油圧アクチュエータに加えて、キャリパの両側に車両の外側に向けて直接ホイールリムに面する側にも追加の電気機械式アクチュエータを設ける必要があるため、今の時点では問題である。両側油圧アクチュエータと両側電気機械アクチュエータを備えた固定キャリパのコンセプトは、主にその高い重量と大きな全体寸法が原因で、依然として強い技術的偏見に悩まされている。
【0009】
先行技術のさらなる問題は、電気モータの回転運動をピストンに加わる並進運動に変換する機構に関するものである。摺動要素(ねじまたはナット)は、ピストンとの形状結合によって回転に対してロックされ、その回転は、ライニングおよびそれが突き当たるパッドのバックプレートとの摩擦によってのみ防止される。ピストンの「回転防止」摩擦の強さは、ピストンの回転、ひいては駐車機構の並進エレメントの回転を防止するには不十分な場合がある。その結果、ピストンの前進が減少し、それに伴ってパーキング力が減少する可能性がある。
【0010】
さらに、摺動体とピストンの間の形状結合は、少なくともパッド上の摩擦材料の厚みと同じ長さの並進ストロークを達成しなければならず、その結果、少なくともピストンストロークと同じ長さを達成する必要がある。ナット-スクリュー機構と直列に並進スライドゾーンを設けることは、望ましくないほど大きな軸方向寸法を追加することを意味する。
【0011】
本発明の目的は、先行技術を参照して述べた欠点の少なくともいくつかを回避するような特徴を有する油圧式および電気機械式のサービスおよびパーキングディスクブレーキを提供することである。
【発明の概要】
【0012】
一般的な目的の中で、本発明の特定の目的は、固定キャリパで実施するのに適した、油圧および電気機械式のサービスおよびパーキングディスクブレーキを提供することである。
【0013】
本発明のさらなる特定の目的は、先行技術の解決策よりも小さい全体寸法を有する油圧および電気機械式のサービスおよびパーキングディスクブレーキを提供することである。
【0014】
本発明の更なる特定の目的は、先行技術の解決策の重量に関して全体的に軽い重量を有する油圧式および電気機械式のサービスおよびパーキングディスクブレーキを提供することである。
【0015】
本発明のさらなる特定の目的は、パーキング機構の並進ストロークがピストンの望ましくない非計画的な回転スリップによって変化しない、油圧式および電気機械式のサービスおよびパーキングディスクブレーキを提供することである。
【0016】
本発明のさらなる特定の目的は、油圧ピストン-シリンダ組立体における回転-変速変換機構が先行技術に関して改善された油圧および電気機械式のサービスおよびパーキングディスクブレーキを提供することである。
【0017】
本発明のさらなる特定の目的は、電気モータによって行われる回転ストロークの依存性において、より大きなピストン変位ストローク確実性を得るような特性を有する油圧および電気機械式のサービスおよびパーキングディスクブレーキを提供することにある。
【0018】
前述の目的の少なくともいくつかは、請求項1に記載の油圧式および電気機械式のサービスおよびパーキングディスクブレーキによって達成される。いくつかの有利な実施形態は、従属請求項の目的である。
【0019】
本発明をよりよく理解し、その利点を理解するために、いくつかの非限定的な実施形態を、添付の図を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るディスクブレーキの透視図である。
図2図2は、図1におけるディスクブレーキの断面図である。
図3図3は、図1におけるディスクブレーキのさらなる断面図である。
図4図4は、図2における詳細の拡大図である。
図5図5は、図3における詳細の拡大図である。
図6図6は、実施形態によるディスクブレーキの、予め組み立てられた状態のアセンブリの断面図である。
図7図7は、実施形態に係るディスクブレーキの部品の分解透視図である。
図8図8は、実施形態に係るディスクブレーキの部品の分解透視図である。
図9図9は、実施形態に係るディスクブレーキの電気機械式パーキング機構の詳細を示す分解斜視図である。
図10図10は、実施形態に係るディスクブレーキの電気機械式パーキング機構の詳細を示す分解斜視図である。
図11図11は、実施形態に係るディスクブレーキの電気機械式パーキング機構を示す分解斜視図である。
図12図12は、図11の電気機械式パーキング機構を組み立てた状態で示す。
図13図13は、図11の電気機械式パーキング機構を組み立てた状態で示す。
図14図14は、実施形態に係るディスクブレーキの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
キャリパ2の概略説明
【0022】
図を参照すると、油圧式および電気機械式のサービスおよびパーキングディスクブレーキが参照符号1によって全体が示されている。ブレーキ1は、ブレーキディスク5の一部(図2の破線)を収容するためのディスク空間4を区画する2つの相互に離間した側壁3を有するキャリパ2を含む。ブレーキ1は、キャリパ2を車両のサスペンションに固定するための手段をさらに備える。例えば、前記締結手段は、側壁3の1つによって区画され、それぞれの締結ねじを収容するように適合された少なくとも2つの孔を有する。
【0023】
キャリパ2の2つの壁3は、ディスク空間4を跨いで延びる少なくとも1つの接続構造6によって互いに接続され、壁3の各々またはそれらに接続された支持部分は、パッド7を収容または支持するための少なくとも1つの座(シート)を画定している。
【0024】
実施形態によれば、支持部は、両側壁3に連結され、ディスク空間4を跨ぐ支持ピン8を有する。パッド支持プレートは、その上部(ブレーキディスクの軸線を基準にして半径方向外側)に、パッド7をキャリパ2から垂下式に拘束するために支持ピン8を受け入れる孔またはシート9を画定している。
【0025】
サービスブレーキシステム20の概略説明
【0026】
ブレーキ1はさらに、サービスブレーキシステム20を有する。サービスブレーキシステム20は、(特にキャリパ2が固定キャリパである場合)2つの油圧アクチュエータ65を有する。油圧アクチュエータは、パッド7をブレーキディスク5に押し付けて締め付けるように作動させることができる側壁3の1つにそれぞれ配置されている。
【0027】
各油圧アクチュエータ65は、側壁3に形成された油圧シリンダ10と、この油圧シリンダ10に収容され、パッド7に臨む自由端14を有するピストン11とを有する。油圧シリンダ10の内部空間12は、ピストン11に油圧を印加してピストン11をブレーキディスク5に向かって作動方向19に並進させ、パッド7をブレーキディスク5に押し付けるための作動液を供給し加圧するシステム13に連通している。
【0028】
代替の実施形態によれば、例えばキャリパ2がいわゆるフローティングキャリパである場合、サービスブレーキシステム20は、パッド7をブレーキディスク5に対して押し付けて締め付けるために作動させることができる単一の側壁3に配置された単一の油圧アクチュエータ65を備えていてもよい。この場合、油圧アクチュエータ65は、上述したように構成することができる。
【0029】
パーキングブレーキシステム21の概要説明
【0030】
ブレーキ1は、パーキングブレーキシステム21をさらに含む。パーキングブレーキシステム21は、2つの電気機械式アクチュエータ64を有する。電気機械式アクチュエータ64はそれぞれ、ブレーキディスク5に対してパッド7をブロックするために作動させることができる側壁3の1つに配置されている。
【0031】
各電気機械式アクチュエータ64は、
【0032】
スクリューナットアセンブリ17,18であって、回転部材18と並進部材17とを有し、回転部材18の回転運動を並進部材17の並進運動に変換するように構成され、スクリューナットアセンブリ17,18は、油圧シリンダ10内に接続されて、ピストン11に対して並進部材17を作動方向19に並進させて締め付けることによりそれをロックする、スクリューナットアセンブリ17,18と、
【0033】
側壁3に拘束され、電源26に接続され、スクリューナットアセンブリ17,18を作動させる電気モータ15と、
【0034】
電気モータ15と回転部材18との間に接続されたトランスミッション機構16とを有し、
【0035】
電気機械アクチュエータ64は、伝達不可逆性(すでにより詳細に説明)によりセルフロックされているので、電気モータ15がオフの場合、並進部材17の並進力は、回転部材18の回転を引き起こすことができず、並進部材17をブレーキディスク5から離間させることができない。
【0036】
代替の実施形態によれば、例えばキャリパ2がいわゆるフローティングキャリパである場合、パーキングブレーキシステム21は、側壁3の一方のみに配置され、ブレーキディスク5に対してパッド7をブロックするように作動可能な単一の電気機械式アクチュエータ64から構成されてもよい。この場合、単一の電気機械式アクチュエータ64は、上述したように構成することができる。
【0037】
制御システム22の説明
【0038】
ブレーキ1は、制御システム22をさらに有する。制御システム22は、サービスブレーキシステム20と、パーキングシステム21と、ユーザインタフェース23とに接続されている。ユーザインタフェース23は、例えば、サービスブレーキ制御インタフェース24(例えばサービスペダルまたはサービスボタンまたはサービスレバー)と、パーキングブレーキ制御インタフェース25(例えばパーキングペダルまたはパーキングボタンまたはパーキングレバー)とを有する。
【0039】
制御システム22は、作動油の加圧および電気モータ15の作動を制御するのに適した、電気式、電気機械式、電気油圧式および/または電子式の制御システムを備えていてもよい。制御システム22は、ブレーキ1の制御機能を所望の態様で実行するように、構成および/またはプログラムされている。
【0040】
本発明の一態様によれば、パーキングブレーキユーザコマンドに応答して(同時にサービスブレーキユーザコマンドがない場合でも)、制御システム22は、パーキングブレーキシステム21(より正確には、電気モータ15を前進方向に作動させ)、さらにサービスブレーキシステム20(より正確には、作動油供給装置13)を作動させ、サービスブレーキシステム20を用いて、ピストン11を作動方向19にブレーキディスク5に向かってパーキングポジションに移動し、そこで、パッド7をブレーキディスク5に対して締め付け、パーキングブレーキシステム21を用いてピストン11をパーキングポジションにロックしてその復帰動作を防止する。
【0041】
これにより、ブレーキディスク5から離れた後退位置からブレーキパッド7をブレーキディスク5に対して締め付ける長期的なパーキングポジションまで作動ストロークに沿ってピストン11を押すために必要な消費電力およびトルクよりもはるかに低い消費電力およびトルク対して、電気モータ15の寸法を決めることが可能になる。その理由は、ピストン11の前進およびブレーキディスク5の締め付けが、少なくとも部分的または完全に、サービスブレーキシステム20によって行われるからである。
【0042】
同じ理由で、またトランスミッション機構16の少なくとも一部は、ピストン11を駐車制動位置に移動させ締め付けるために必要な機械的ストレスよりはるかに少ない機械的ストレスに対して設計することができる。後に詳述する実施形態(図9図13)を参照すると、電気モータ15のモータピニオン55と、遊星キャリアプレート61、歯付きホイール57およびリングギア60からなる遊星減速機58は、ピストン11をパーキング位置で移動および締め付けるために必要な機械的応力よりはるかに小さい機械的応力に対して設計することが可能である。
【0043】
この結果、電気機械アクチュエータ64の幾何学的寸法および重量は、先行技術の解決策よりも減少し、特に、車両の外側、すなわちホイールリム側での軸方向寸法が減少し、それは、固定キャリパでこの発明を実施するために必要なことである。
【0044】
一方、パーキングブレーキとしてのブレーキ1の作動中に電気機械アクチュエータ64と共に油圧アクチュエータ65を使用することは、パーキングブレーキトルクよりもはるかに高いサービスブレーキトルクを適用するように既に必然的に設計されている油圧アクチュエータ65のサイズを大きくする必要性を示唆するものではない。
【0045】
並進部材にかかる荷重および摩擦は全駐車荷重および摩擦と等しいので、電気モータ15だけでは駐車ロックを解除することはできない。従って、変速機の不可逆点における摩擦は非常に大きく、電気モータ15は、好ましくは、その摩擦に打ち勝つような大きさでない。このため、ユーザの駐車解除コマンドに応答して、制御システム22は、
まず、油圧アクチュエータ65を作動させて、ピストン11に圧力を与え、電気機械アクチュエータ64のスクリューナットアセンブリ17、18をアンロードさせ、
スクリューナットアセンブリ17、18がアンロードされたとき(したがって、摩擦がかなり減少した状態で)、電気機械アクチュエータ64(のモータ15)を駆動して、並進部材17をピストン11から離脱させ、
並進部材17がピストン11から離脱すると、油圧アクチュエータ65を作動させて再び油圧を下げ、駐車を中断する(実際の解放のステップ)。
【0046】
駐車位置におけるピストン11のロックは、並進部材17をピストン11から離間させて移動させることによって解除される。
【0047】
実施形態において、サービスブレーキユーザコマンドの場合で、パーキングブレーキユーザコマンドがない場合、制御システムは、パーキングブレーキシステム21を作動させずにサービスブレーキシステム20のみを作動させる。
【0048】
これにより、ピストン11の戻り運動を阻害するおそれがなく、車両走行中のサービスブレーキを行うために、ピストン11を迅速に往復運動させることができる。
【0049】
実施形態によれば、パーキングブレーキユーザコマンドに応答して(サービスブレーキコマンドがない場合にも)、制御システム22は、
【0050】
サービスブレーキシステム20(より具体的には、作動油供給システム13)を作動させ、それによってピストン11を、パッド7をブレーキディスク5に対して押し付けるパーキング方向に移動させ、
【0051】
サービスブレーキシステム20の作動後にのみ、ピストン11が既にパーキング位置にある状態で、すなわちブレーキディスク5が既に締め付けられている状態で、パーキングブレーキシステム21(より正確には電気モータ15を前進方向に)作動させ、それによって並進部材17をピストン11に対して作動方向19に並進させてそれをパーキング位置にロックしその戻り運動を防止し、
【0052】
ピストン11が駐車位置にロックされると、サービスブレーキシステム20を非活性化し(より正確には作動油供給システム13、それにより作動油の圧力を下げ)、電気モータ15をオフにする。
【0053】
電気機械式アクチュエータ64の伝達不可逆性により、ピストン11はロックされたままである。
【0054】
パーキングブレーキのこの特定の作動シーケンスにより、ブレーキディスク5の締め付けに到達する機能と締め付けを保持する機能とを正確かつ有利に割り当て、電気機械アクチュエータ64が必要とする機械抵抗と電力を最小化するか、少なくとも可能な限り小さくすることを可能にする。
【0055】
キャリパ2が固定キャリパである、特に有利な実施形態では、
【0056】
パーキングブレーキシステム21の作動は、キャリパ2の対向する2つの側の両電気モータ15を同時に作動し、
【0057】
サービスブレーキシステム20の作動は、キャリパ2の2つの対向する側における作動液供給システム13を同時に動作し、
【0058】
パーキングブレーキシステム21の停止は、キャリパ2の2つの対向する側の両方の電気モータ15をオフし、
【0059】
サービスブレーキシステム20の作動停止は、キャリパ2の2つの対向する側の作動液供給システム13の作動を停止する。
【0060】
あるいは、キャリパ2が例えばフローティングキャリパである実施形態では、
【0061】
パーキングブレーキシステム21の作動は、キャリパ2の一方の作動側のみの電気モータ15を作動し、
【0062】
サービスブレーキシステム20の作動は、キャリパ2の唯一の作動側における作動液供給システム13を作動し、
【0063】
パーキングブレーキシステム21の作動停止は、キャリパ2の唯一の作動側の単一の電気モータ15をオフし、
【0064】
サービスブレーキシステム20の作動停止は、キャリパ2の唯一の作動側の作動液供給システム13の作動を停止する。
【0065】
制御システム22とは無関係に有利でもある実施形態(図3)によれば、電気機械アクチュエータ64の電気モータ15は、モータ軸27(ロータ軸の回転軸)が前述の作動方向19を規定するピストン11の中間軸34に対して横向きに、好ましくは直角または接線方向に、しかし距離をおいて向けられたモータ位置で側壁3に固定される。これにより、ブレーキディスク5の軸方向におけるブレーキ1の全体寸法が縮小される。
【0066】
モータ軸27は、有利には、さらに説明する回転部材18のギアリング42に当接する。
【0067】
さらに有利には、モータ軸27は、ブレーキディスク5のディスク面29と実質的に平行であるか、またはディスク面29に対して15°未満傾斜している駆動面28(図2)上を延びている。
【0068】
さらに、モータ軸27は、ディスク平面29に垂直であってキャリパ2の2つの対向する長手方向端部31の間に延びるキャリパ平面30に対して、30°未満、好ましくは20°未満または15°未満傾斜している(図3)。
【0069】
電気モータ15の上述の位置は、ブレーキディスク5の半径方向においても、ブレーキ1の全体寸法をさらに減少させる。
【0070】
有利には、キャリパ2の両側にある2つの電気モータ15は、ディスク平面29に対して非対称に、かつブレーキディスク5の回転軸に対して放射状である任意の平面に対して非対称に配置されている(図7、14)。これにより、内側で車両インターフェースを変更する必要がなくなり、ホイールリムの設置場所に適合させることが容易になる。
【0071】
電気モータ15がトランスミッション機構16に接続される電気モータ15の一方の作動側32は、ブレーキディスク5の回転軸よりも半径方向内側にある。一方、作動側32と反対側の電気モータ15の後側33は、ブレーキディスク5の回転軸よりも半径方向外側にある。モータのこの位置決めは、一方では、さらなる油圧シリンダピストンアセンブリのためのより多くの空間を残し、他方では、トランスミッション機構16をピストン11の中間軸34に近づけることを可能にする。
【0072】
有利には、キャリパ2の2つの反対側の2つの電気モータ15は、その作動側面32を、(ブレーキディスク5の回転軸に対して)反対側の周方向に向けている。これはまた、特にパーキングブレーキシステム21が関連する2つの対向するピストン11の中心軸34が、例えば図7および図14に示すようにキャリパの中間位置にない場合、ブレーキ1をよりコンパクトにすることに寄与する。
【0073】
制御システム22または電気モータ15の位置決めからも独立して有利な本発明のさらなる態様によれば、並進部材17は、キャリパ2と一体で且つピストン11の自由端14とは反対側の並進部材17の後側に配置されたガイド部分35との回転防止形状結合によって、キャリパ2に対して回転的に一体となるよう拘束されている。
【0074】
これにより、並進部材17とピストン11との間の回転防止形状結合の必要性と、先行技術を参照して説明した並進部材ストロークおよびさらなる軸方向寸法の不確実性という関連する問題とが解消される。
【0075】
実施形態(図2、4、6)によれば、ガイド部分35は、油圧シリンダ10の底部39から、好ましくはピストン11の中心軸34に沿って突出し、並進部材17に形成された対応するガイドシート36に摺動可能に、しかし相対回転(中心軸34を中心として)の可能性を持たずに収容される。
【0076】
回転防止の形状結合は、ガイド部分35とガイドシート36の相補的な非円形、例えば多角形または歯形の断面形状によって達成することが可能である。
【0077】
有利には、ガイド部分35は、キャリパ2の対応するプラグシート38、例えば内ねじにねじ込むことができる、シリンダプラグ37(例えば外ねじ)に形成されている。シリンダプラグ37をプラグシート38にねじ込むことにより、油圧シリンダ10をキャリパ2の外側に閉じ、油圧シリンダ10の底部39を形成することができる。
【0078】
実施形態によれば、シリンダプラグ37は、実質的に平坦で円形であって好ましくはピストン11の中心軸34と同軸のベースプレート52を有する。ガイド部35は、ベースプレート52からブレーキディスク5に向かって突出している。
【0079】
ベースプレート52の平面形状および円形形状は、キャリパ2の外観および電気機械アクチュエータ64の内部の機械的構成を変えることなく、シリンダプラグ37を、例えばねじ止めによって、異なる角度位置で固定することを可能にする。
【0080】
実施形態によれば、シリンダプラグ37は、好ましくはプレハブで自立した、運動変換アセンブリ40を支持し、位置決めするものであり、このアセンブリは、
【0081】
シリンダプラグ37自体と、
【0082】
ガイド部35との回転不能だが並進可能な結合により、シリンダプラグ37と回転可能に一体化された並進部材17と、
【0083】
好ましくは油圧シリンダ10の底部39でシリンダプラグ37に固定された軸受41によって、中心軸34を中心として回転可能に、しかし中心軸34に沿った並進は拘束された状態で、シリンダプラグ37に拘束されたロータリ部材18であって、ロータリ部材18は並進部材17と直接的または間接的に(例えばボールまたは遊星回転体の介在によって)螺合しているものと、
【0084】
軸受41に隣接して回転部材18に形成または固定されたギアリング42を有する。
【0085】
運動変換アセンブリ40は、1回の組立/分解操作でキャリパ2への接続とキャリパ2からの取り外しを容易かつ迅速に行うことができ、一方、その個々の構成要素は、キャリパ2への組立から独立して組立と試験を行うことができる。
【0086】
さらに、図6および図8から分かるように、このように構成された運動変換アセンブリ40は、軸方向および半径方向の両方において特にコンパクトであり、したがって、シリンダ10-ピストン11のアセンブリ内に容易に配置することが可能である。
【0087】
実施形態によれば、ガイドシート36は、並進部材17とは別に、場合によっては異なる材料で製造され、並進部材17の軸方向孔44に干渉して取り付けられたスライドブッシュ43を有する。並進部材17とキャリパ2との間の軸方向摺動および回転ロック形状結合は、摺動ブッシュ43とガイド部35との間の摺動界面45で(排他的に)行われる。
【0088】
これにより、回転部材17の複雑な機械加工を回避し、運動変換アセンブリ40の異なる機能部分の材料とサイズを区別し、最適化することが可能となる。
【0089】
実施形態(図4、6、9)によれば、軸受41は、
【0090】
アウタリング軌道を形成し、シリンダプラグ37の軸受シート47に、好ましくは干渉によって取り付けられたアウタリング45と、
【0091】
回転部材18と一体に形成された第1の内側ハーフリング48と、
【0092】
第1の内側ハーフリング48とは別に作られ、第1の内側ハーフリング48と共に内側軌道を形成する第2の内側ハーフリング49と、
【0093】
第1および第2の内側ハーフリング48,49を互いに接続するために、第1の内側ハーフリング48に好ましくは干渉によって取り付けられた第1の端部と、第2の内側ハーフリング49に好ましくは干渉によって取り付けられた第2の端部を有するユニオンブッシング50を有する。
【0094】
これにより、組み立ての必要性と機構をコンパクトにする必要性が両立される。
【0095】
有利には、軸受シート47は、ガイド部35と同心の環状壁51によって形成されており、シリンダプラグ37のベースプレート52からブレーキディスク5に向かって突出している。
【0096】
好ましい実施形態によれば、並進部材17は内ねじであり、回転部材18はスクリューナットアセンブリ17、18の外ナット18である。
【0097】
運動変換アセンブリ40は、以下の一連のステップに従って、有利に、正確に、かつ簡単に取り付けることができる。
【0098】
並進部材(ねじ17)を回転部材(ナット18)に螺合させるステップ。
【0099】
摺動ブッシュ43を干渉によって並進部材17の軸孔44に取り付けるステップ。
【0100】
リングギア42を干渉によって回転部材18に取り付けるステップ。
【0101】
ユニオンブッシュ50を干渉によって並進部材17に取り付けるステップ。
【0102】
アウタリング46、転動体、第2内側ハーフリング49の組立品を干渉によってユニオンブッシュ50に取り付けて軸受41を完成させるステップ。
【0103】
シリンダプラグ37を干渉によって軸受41のアウタリング46に取り付けるステップ。
【0104】
キャリパ2の側壁3にシリンダプラグ37をねじ込みで取り付けるステップ。
【0105】
さらなる実施形態によれば、電気モータ15は、キャリパ2と一体に形成されたモータハウジング53に少なくとも部分的に収容され、有利には、キャリパ2とは別個に、それに接続された追加のモータハウジングまたはケーシングは設けられない。それどころか、モータ15の支持構造55(これはモータ15と不可分である)が、キャリパ2に直接ねじ止めされている。
【0106】
キャリパ2から別個のモータハウジングを排除することにより、ブレーキ1の全体寸法、重量、およびコストをさらに低減することができる。
【0107】
上述したように、運動変換アセンブリ40またはねじユニットアセンブリ17、18は、ピストン11の中心軸34と同軸に配置されている。
【0108】
逆に、電気モータ15および変速機構16は、横方向または中間軸34の接線方向に配向されている。
【0109】
実施形態によれば、トランスミッション機構16は、モータ15に接続された1段の遊星減速機58と、遊星減速機58に接続され、回転部材18のリングギア42と噛み合うウォームねじ69を有する。モータ15、遊星減速機58、ウォームねじ59は、互いに同軸であり、モータ軸27と同軸である。これにより、電気モータ15のみの位置決めに関連して既に説明した理由により、ブレーキ1の全体寸法をさらに小さくすることができる。
【0110】
好ましい実施形態によれば、モータ軸56の端部に形成されたモータピニオン55が遊星減速機58の遊星歯車57に噛み合うので、モータピニオン55は遊星減速機58の第1減速段のセンターピニオンを形成する。遊星歯車57は、キャリパ2の側壁3に静止している内歯式のリングギヤ60と噛み合っている。遊星歯車57は、ウォームねじ59に固定されたサテライトキャリアプレート61によって支持されており、このサテライトキャリアプレート61は、キャリパ2の側壁3において、ベアリング62によって回転自在に支持されている。ウォームねじ59とリングギヤ52との間の係合領域において伝達不可逆点が達成される実施形態によれば、電気モータ15および電気モータ15から伝達不可逆点まで、すなわちウォームねじ59までの伝達は、ウォームねじユニットの並進部材をピストン11まで動かすのに必要な(減少した)応力だけの寸法にすることが可能である。スクリューナットとリングギアアッセンブリは、ピストンから始まる不可逆点まで、代わりに駐車場クランプ荷重全体に耐えられる寸法にしなければならない。
【0111】
電気機械式アクチュエータ64は、キャリパ2の側壁3に形成され、モータハウジング53から油圧シリンダ10に延在するキャビティ63に収容され、キャビティ63とウォームギア59のシール部66との間のシールガスケット67が、遊星減速ギア58と、回転部材18のリングギア52を備えたウォームギア59のギアゾーンとの間のシール位置で、油圧シリンダ10の内部空間12をモータハウジング53から分離している。
【0112】
2つの電気モータ15が提供される実施形態において、前記電気モータは、
独立に、すなわち、各モータが直接電源に接続され、
並列回路で、すなわち、すべてのプラスおよびすべてのマイナス端子がそれぞれ互いにまた電源に接続され、
直列回路、すなわち、1つのモータのマイナス端子が次のモータのプラス端子に接続されて、電気的に接続され得る。。
【0113】
明らかに、当業者は、以下の請求項に定義される本発明の保護範囲から逸脱することなく、すべて本発明によるブレーキ1に対してさらなる変更および変形を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】