(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】血管を閉鎖するための開放多孔性外科用脈管クリップ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/122 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
A61B17/122
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506307
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(85)【翻訳文提出日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2020070667
(87)【国際公開番号】W WO2021018687
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】102019120640.5
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ショルテン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD53
4C160DD64
(57)【要約】
本発明は、血管などの中空器官を閉鎖するための、結紮クリップ又は動脈瘤クリップのような外科用脈管クリップ(100)と;クリップ適用鉗子などの対応する好適なアプリケータと;外科用アクセサリと組み合わせた脈管クリップ(100)を備える、対応する医療製品セット、特にクリップトレイと;に関する。別の態様において、脈管クリップ(100)を製造するための粉末治金成形方法を開示する。外科用脈管クリップ(100)は、細長い第1及び第2保持アーム部分(110、120)を備えており、第1及び第2保持アーム部分(110、120)は、脈管クリップ(100)の接続部分(130)により、各保持アーム部分の一端において、可撓的に相互接続されており、及び/又は、相互接続されることが可能であり、第1及び第2保持アーム部分(110、120)は、各保持アーム部分の他端に、それぞれの閉鎖部分(140)を備えており、閉鎖部分(140)において、第1及び第2保持アーム部分(110、120)の相互に対向するそれぞれのクリップ内面は、互いからより長い距離を有する開放位置から開始して、閉鎖位置へと互いに近接させることができるとともに、互いに接続することができ、脈管クリップ(100)の少なくとも1つのクリップ内面部分(111、121、131)は、少なくとも1つの一体的に形成された気孔(1)、好ましくは、複数の気孔(1、1、…)、を有する開放多孔性設計を有していることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管などの中空器官を閉鎖するための、結紮クリップ又は動脈瘤クリップのような外科用脈管クリップ(100、200)であって、
細長い第1及び第2保持アーム部分(110、120、210、220)を備えており、
前記第1及び第2保持アーム部分(110、120、210、220)は、前記脈管クリップ(100、200)の接続部分(130、230)により、それらの一端が可撓的に相互接続されているか、又は相互接続されることが可能であり、
前記第1及び第2保持アーム部分(110、120、210、220)は、それらの他端に、それぞれの閉鎖部分(140、240)が設けられており、前記閉鎖部分(140、240)において、前記第1及び第2保持アーム部分(110、120、210、220)の相互に対向するそれぞれのクリップ内面は、互いからより長い距離を有する開放位置から開始して、閉鎖位置へと互いに近接させることができるとともに、互いに接続することができ、
前記脈管クリップ(100、200)の少なくとも1つのクリップ内面部分(111、121、131、211、221、231)は、少なくとも1つの一体的に形成された気孔(1)、好ましくは、複数の前記気孔(1、1)を有する開放多孔性設計を有しており、
前記第1及び/又は前記第2保持アーム部分(110、120、210、220)の少なくとも前記接続部分(130、230)及び/又は前記閉鎖部分(140、240)は、中実材料からなることを特徴とする、外科用脈管クリップ(100、200)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの開放多孔性クリップ内面部分(111、121、131、211、221、231)が、
前記第1保持アーム部分(110、210)に配置された第1クリップ内面部分(111、211)、及び/又は、
前記第2保持アーム部分(120、220)に配置された第2クリップ内面部分(121、221)、及び/又は、
前記接続部分(130、230)に配置された第3クリップ内面部分(131、231)、
として設けられている、請求項1に記載の外科用脈管クリップ(100)。
【請求項3】
前記脈管クリップ(100、200)が、少なくとも60体積パーセント、好ましくは少なくとも90体積パーセントの開気孔又は多孔性であり、より一層好ましくは完全に開気孔又は多孔性である、請求項1又は2に記載の外科用脈管クリップ(100、200)。
【請求項4】
前記脈管クリップ(100、200)が、最大で70体積パーセント、好ましくは最大で50体積パーセント、より一層好ましくは最大で35体積パーセントの開気孔又は多孔性であり、及び/又は、
前記脈管クリップ(100、200)が、前記脈管クリップ(100、200)の少なくとも1つの非開放多孔性クリップ内面部分(111、121、131、211、221、231)を備えており、及び/又は、
前記脈管クリップ(100、200)の外側クリップ外面部分の少なくとも一区分が中実材料からなり、及び/又は、前記少なくとも1つの気孔(1)が、横方向に排出する排液装置として設計されており、好ましくは、クリップ側面に向かってL字形状に屈曲されている、請求項1又は2に記載の外科用脈管クリップ(100、200)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの気孔(1)が、第1気孔サイズを有しており、及び/又は、複数の前記気孔(1、1、…)の場合、平均第1気孔サイズを有しており、前記第1気孔サイズ及び/又は前記平均第1気孔サイズが、対応する前記開放多孔性クリップ内面部分(111、121、131、211、221、231)の気孔入口高さ(50)において、
0.01mmから0.2mm、好ましくは0.02mmから0.08mm、より一層好ましくは約0.05mmであり、及び/又は、
前記第1及び/又は第2保持アーム部分(110、120、210、220)の中央部分の横方向において決定可能な保持アーム幅の、1%から35%、好ましくは2%から20%、より好ましくは3%から14%、より一層好ましくは5%から10%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の外科用脈管クリップ(100、200)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの気孔(1)が、毛細管状であり、及び/又は、
前記好ましくは複数の前記気孔(1、1、…)が、互いの間に共連続気孔構造を形成しており、前記共連続気孔構造が、さらに好ましくは、スポンジ状であり、及び/又は網目状であり、及び/又は繊維編地状であり、及び/又はフィラメント状であり、及び/又は梁状(2)であり、及び/又は閉気孔を備えており、及び/又は、
前記少なくとも1つの気孔(1)が、圧力安定気孔構造を有しており、及び/又は、前記開放位置と前記閉鎖位置との間で比較して一定である、請求項1から5のいずれか一項に記載の外科用脈管クリップ(100、200)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの気孔(1)が、親水性の気孔内面部分(11)、及び/又は、水性流体相により湿潤性を有する気孔内面部分(11)、を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の外科用脈管クリップ(100、200)。
【請求項8】
前記外科用脈管クリップ(100、200)を前記中空器官に取り付けるとき、又は、前記外科用脈管クリップ(100、200)を用いて前記中空器官を閉鎖するときに、前記少なくとも1つの気孔(1)、好ましくは、前記複数の前記気孔(1、1、…)が、血液(血球)、リンパ液、組織粒子、体脂肪、及び/又は焼灼生成物などの体液の成分を含む周囲の流体相を、毛細管現象によって前記気孔の内部に受容及び/又は除去し、並びに/或いは、吸収する、請求項1から7のいずれか一項に記載の外科用脈管クリップ(100、200)。
【請求項9】
前記クリップ内面部分(111、121、131、211、221、231)で隣接するクリップ体積分率に対する、前記少なくとも1つの気孔(1)、好ましくは前記複数の前記気孔(1、1、…)の、空隙体積分率及び/又は体積多孔率が、10%から90%、好ましくは30%から88%、より好ましくは35%から86%、より一層好ましくは50%から75%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の外科用脈管クリップ(100、200)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの気孔(1)の気孔内面部分(11)が、より小さい平均第2気孔サイズの微小気孔を有する開放多孔性であり、前記平均第2気孔サイズが、前記気孔内面部分(11)の微小気孔入口高さにおいて、
前記第1気孔サイズの1%から20%、好ましくは3%から15%、より好ましくは約10%であり、及び/又は、
1マイクロメートルから10マイクロメートル、好ましくは約5マイクロメートルである、請求項1から9のいずれか一項に記載の外科用脈管クリップ(100、200)。
【請求項11】
以下の材料又は金属材料、特に粉末治金材料、即ち、
外科用インプラントを製造するためのISO5832規格の金属材料、及び/又は、
チタン(例えば、グレード2Ti;グレード4Ti;グレード5Ti)又はチタン合金、及び/又は、
タンタル又はタンタル合金、及び/又は、
熱処理用低合金鋼(例えば、FN02;100Cr6)、工具鋼(例えば、M2)、ステンレス鋼(例えば、Nitronic50;316L;17-4-PH;430;440C)、及び/又は、
他の合金(例えば、FN50;Inconel601;Cu99.9)、
を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の外科用脈管クリップ(100、200)。
【請求項12】
脈管クリップ(100、200)の、保管、輸送、及び/又は滅菌のための医療製品セット、特にクリップトレイであって、
前記脈管クリップ(100、200)に向けられた請求項1から11のいずれか一項に記載の複数の前記脈管クリップ(100、200)であって、好ましくは、異なるサイズ、及び/又は異なる形、及び/又は異なる硬度、及び/又は異なる曲げ剛性、及び/又は異なる材料、及び/又は異なる閉鎖形態に応じて、永続的に又は一時的に組み合わされている、複数の前記脈管クリップ(100、200)、及び/又は、
前記脈管クリップ(100、200)のそれぞれに対応する識別ラベル、及び/又は、
前記脈管クリップ(100、200)に向けられた請求項1から11のいずれか一項に記載の脈管クリップ(100、200)に嵌合するアプリケータ、特にクリップ適用鉗子、を備えており、
好ましくは、前記脈管クリップ(100、200)の前記閉鎖位置において前記中空器官に印加されるクランプ力が、最小許容第1力限度を下回らず、及び/又は、最大許容第2力限度を上回らないように、前記アプリケータのセットアップが実施可能であり、及び/又は、実施されている、医療製品セット。
【請求項13】
脈管クリップ(100、200)を製造するための粉末治金成形方法であって、
粉末治金フィード材料を、例えば、混合する、及び/又は混錬する、及び/又は押し出すことによって提供する工程(S101)と、
前記脈管クリップ(100、200)の形態で、ニアネットシェイプの微粒状及び/又は粗粒状のグリーン体を形成し、随意に、脱バインダ収縮及び/又は焼結収縮に応じて過大に前記グリーン体を形成するために、前記フィード材料を成形する工程(S102)と、
随意に、ブラウン体を形成するために、前記グリーン体を脱バインダする工程(S203)と、
前記脈管クリップ(100、200)に向けられた請求項1から11のいずれか一項に記載の、完成した前記脈管クリップ(100、200)を形成するために、随意に前記ブラウン体内で脱バインダされた、前記グリーン体を焼結する工程(S104)と、好ましくは、
随意に、特に前記気孔内面部分(11)を後処理、好ましくは、表面仕上げ及び/又はコーティングを行う工程(S205)、ことと、を含む、粉末治金成形方法。
【請求項14】
前記成形する工程(S102)が、前記グリーン体を形成するために、
成形工具において、好ましくは、粉末射出成形及び/又は粉末圧縮により、及び/又は、
付加製造工程において、好ましくは、金属3Dプリントにより、及び/又は、
連続製造工程において、好ましくは、押出により、より一層好ましくは、フィラメント押出により、
実施される、請求項13に記載の粉末治金成形方法。
【請求項15】
提供された(S101)前記粉末治金フィード材料の、金属粉末に基づくフィラー含有量が、75体積パーセント未満、好ましくは60体積パーセント未満、より一層好ましくは45体積パーセント未満である、前記成形方法に向けられた請求項13及び14のいずれか一項に記載の粉末治金成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、止血の目的で血管を閉鎖するために使用されるような、結紮クリップ又は動脈瘤クリップといった外科用脈管クリップに関する。また、本開示は、外科用脈管クリップを製造するための方法にも関する。さらに、対応するクリップ適用鉗子と、識別ラベルなどの少なくとも1つのアクセサリと組み合わせた外科用脈管クリップを備える対応する製品セットと、を提案する。
【背景技術】
【0002】
直視下手術及び内視鏡手術の先行技術では、血管などの中空器官を閉鎖するために、外科用脈管クリップ又は脈管クランプを使用することが知られている。一方では、結紮による止血の目的で、いわゆる結紮クリップが使用され、その意図される目的は、通常、脈管の永続的な閉鎖である。他方では、いわゆる動脈瘤クリップが使用され、その意図される目的は、脈管の永続的な及び/又は一時的な閉鎖である。このタイプの動脈瘤クリップは、例えば、商標名Yasargil(登録商標)動脈瘤クリップシステム(Aneurysm Clip System)(カタログ第C45601 0810/1.0/14号:これは本明細書において参照により本開示文書の一部を明示的に成す)の下に、AESCULAP AG社により販売されている。
【0003】
まず、止血という用語は、出血を止める全ての処置を指す。一方では一次止血又は細胞止血、他方では二次止血又は血漿止血が生じる、身体自体の又は生理学的な止血メカニズムに加え、様々な医療的又は外科的処置が存在する。これらの処置は、機械的に、熱的に、及び/又は、高電圧により、開いた血管の封止に至る。「結紮(Ligation)」(ラテン語「ligare」:「結ぶ」に由来)は、血管を結紮するか又は縛ることによる血管の封止であり、複数の外科的処置又は技術の中でも特に重要なオプションである。結紮の利点は、血管が機械的に確実に閉鎖される、その特段の信頼性である。したがって、結紮は、手術において、血管の縫合の代替であるとともに血管などの中空器官が結紮されるか又は縛られる、外科的慣行である。
【0004】
結紮術による結紮又は縛りには、しばしば、外科用糸、又はその代わりに、血管などの中空器官をクランプするか、ステープル留めするか、若しくは「クリッピングする」ために、より迅速に適用可能な外科用結紮クリップを使用する。したがって、本明細書において参照により本開示文書の一部を明示的に成す、本出願人の国際公開第2007/087834号は、外科用結紮クリップの実施形態における汎用脈管クリップに関する。そこに開示された結紮クリップは、2つの保持アームを備えており、これらの保持アームは、変形可能な接続箇所により、それぞれの端部において互いに接続されており、当該アームが互いからより長い距離を取っている開放位置から、当該アームの相互に対向する内面が永続的に互いにより近接する閉鎖位置へと、当該アームが動くように、互いに対して屈曲可能である。
【0005】
加えて、国際公開第2015147440号から、脈管クリップによる止血が、出血を抑制するとともに内側パッドの形態で別個に設けられる止血部材により、付加的に補助されることが以前より知られている。この止血要素は、脈管クリップの第1及び第2脚部の内面を取り囲んでおり、この目的のために、当該止血要素は、内側に突出する、脚部の少なくとも2つのピン部材により貫かれている。この目的のために、繊維性内側パッドとしての止血部材を、フィブリングルー、塩化カルシウム、トロンビンなどの止血物質に含浸させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、先行技術の解決策は、いくつかの欠点を内包している。まず、脈管クリップは、脈管結紮又は脈管閉鎖を維持するために、脈管上の自身の位置を確実に維持する必要がある。しかしながら、クリップ内側輪郭の表面が極めて滑らかであるか、又は、位置的安定性を有さない場合、クリップは、組織の生理学的水分のために、即ち、物理的及び/又は化学的な生命現象に基づいたこの水分が潤滑膜のように機能するために、脈管から滑り落ちる可能性がある。国際公開第2015147440号において提案されたような別個の内側パッドは、滑るという構造上の問題をさらに悪化させる可能性がある。
【0007】
加えて、いわゆる焼灼(cauterization)(ラテン語「cauterisatio」:「焼灼器で焼く」に由来)の場合における実際の外科的状況は、進行中の手術中に、より大量の油性の潤滑体液混合物が、開放された組織内において局所的に絶えず産出されるという、付加的に厄介な問題を呈する。ここでは、電気焼灼装置又は電気メスといった焼灼用の外科用器具が、物理的止血方法として使用される。この目的のために、電気メスには高周波交流が印加され、切断組織における血液は、即時に表在性凝固を生じ、これによって出血が実質的に止まる。しかしながら、血液、リンパ液、凝固した血球及び他の成分、焼かれた組織又は小体粒子等の、多相の生理学的な(及び場合によっては病理学的な)体液混合物が、局所的に前進する切断表面から連続的に出現する。
【0008】
この多相の体液混合物は、水性の懸濁固形部分を有する、一種の水中油型エマルションとして存在する。油性部分又は親油性部分を有するこの体液混合物により、潤滑層、又は、生理学的な(若しくは場合によっては病理学的な)潤滑膜のような、生理学的にただでさえ滑りやすい脈管表面の問題が増大する。その結果、外科医にとっては、外科的介入の現実の状況において、脈管クリップを位置的に確実な方法で正確に位置決めしてクランプすることが、より一層困難になる。
【0009】
従来の脈管クリップの場合、一方では、内側輪郭のプロファイリングを行うことによって、又は、他方では、クリップ剛性を相応じて増大させるとともに表面圧力を相応じて増大させることによって、生理学的に滑らかであり、ゴム状の弾性的に硬い(elastic-firm)脈管表面と、脈管クリップの内側輪郭と、の間の静止摩擦を向上させ、脈管クリップの滑りを防ぐための努力がなされている。しかしながら、プロファイリングは、プロファイルのグリップ力が増大することにより、脈管表面の外傷が結果的により大きくなるという欠点を有する。また、プロファイリングは一般的に、製造プロセスにおいて、追加の処理ステップ、又は、より複雑な成形器具を必要とする。他方では、クリップ剛性の増大は、クリップ適用鉗子に対する荷重の増大及び印加力の増大をもたらし、このことは、外傷の観点からやはり不利であるとみなされる。外科医による手動操作の繊細な運動の側面、及び、内視鏡の介入における空間的及び/又は運動学的に制限された範囲条件から、さらなる欠点及び限界が生じる。
【0010】
加えて、実際の外科的条件下で滑りを生じる主な影響因子、すなわち、多相の体液混合物の潤滑層に起因して低い静止摩擦がさらに低減されるという上述した状況は、公知の先行技術の解決策においても存続している。多相の体液混合物のこの潤滑層は、欠点として、血管とクリップの内側輪郭との間の不適切な面接触を生じる。
【0011】
よって、この発明の目的は、止血の目的で、血管などの中空器官を閉鎖するために使用されるような、外科用脈管クリップ、特に結紮クリップ又は動脈瘤クリップを作成することであり、このクリップは、上述した先行技術の欠点を克服する。それにより、血管とクリップの内側輪郭との間の良好な面接触を達成し、結紮、又は縛り、又はクランプの最中において脈管表面に対する脈管クリップの滑りの影響を最小化するために静止摩擦をほぼ最小化することが目的である。特に、例えば電気メスを用いた焼灼中、開かれた組織又は焼灼された組織において多相の体液混合物が連続的に湧出し、よって、潤滑層が連続的に(新しく)形成されるという悪影響があるため、外科医は、脈管クリップの手動操作において、最適に支援されるべきである。付加的な目的は、外科医及び/又は補佐する臨床スタッフなどのユーザに対し、対応するクリップ適用鉗子と、今日の複雑な臨床手順にとって簡便であって順応性があり、信頼可能に使用可能な、製品セットと、を提供することである。さらに、厳密な製品仕様に準拠して、工業規模でのロバストな実装が可能な脈管クリップを製造するための、対応する方法も必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様において、この目的は、本発明に従って、外科用脈管クリップに向けられた請求項1の特徴により達成される。
【0013】
本開示の第1の態様として、血管などの中空器官を閉鎖するために使用される外科用脈管クリップは、第1及び第2保持アーム部分と、接続部分と、閉鎖部分とを備えている。それにより、第1及び第2保持アーム部分の両方は、(形が)細長い。第1及び第2保持アーム部分のそれぞれの一端に設けられている、脈管クリップの接続部分により、これらの保持アーム部分は、互いに可撓的に接続されており、及び/又は、互いに可撓的に接続されることが可能である。それにより、第1及び第2保持アーム部分は、他端にそれぞれの閉鎖部分を備えている。この閉鎖部分において、第1及び第2保持アーム部分の、相互に対向するそれぞれのクリップ内面は、互いからより長い距離を有する開放位置から開始して、閉鎖位置へと互いに近接させることができるとともに、互いに接続することができる。閉鎖位置は、一時的又は永続的であってよく、なぜなら、特に動脈瘤クリップの場合、一時的又は永続的な閉鎖が、意図される目的であるためである。結紮クリップの場合、意図される目的が、永続的な脈管閉鎖である。この目的のために、脈管クリップは、血管の結紮のために、例えば対応するクリップ適用鉗子に補助されて、永続的な閉鎖位置へと押圧される。本発明によると、脈管クリップの少なくとも1つのクリップ内面部分は、少なくとも1つの一体的に形成された気孔、好ましくは、複数の気孔を有する開放多孔性設計を有している。
【0014】
本開示の根底にある技術的解決策の構想は、導入部分において説明され、そうでなければ中空器官又は血管と、それに隣接するクリップ内面部分との間に位置している生理的(又は、病理的でもある)潤滑膜を除去することによる、摩擦力の増大に基づいている。したがって、この発明による脈管クリップは、開放多孔性材料からなり、クリップ内側輪郭と血管との間の潤滑膜が、少なくとも1つの気孔、好ましくは、複数の気孔内に放出されることを可能にする。これにより、面接触が向上し、脈管クリップと中空器官又は血管との間の静止摩擦が増大する。要約すると、この発明による脈管クリップは、滑りに抗って中空器官又は血管上における位置安定性を増大させるという利点を有し、これにより、脈管の外傷が増大しない。
【0015】
本発明によると、中空器官を閉鎖するための外科用脈管クリップは、その内側輪郭に少なくとも1つの多孔性表面部分を備えている。この多孔性表面部分が、外科的介入又は外科的手術の状況において閉鎖又はクリッピングされるべき中空器官に接触又は当接すると、この中空器官上に存在するか又は広がっている湿潤表面膜は、少なくとも1つの気孔、好ましくは、複数の気孔、によって吸収され得る。中空器官に固有の湿潤表面膜、特に多相の生理的潤滑膜を、脈管クリップの内側輪郭に当接している中空器官又は血管の表面から気孔内へ少なくとも部分的に除去することにより、中空器官上における脈管クリップの滑りを、低減するか又は排除しさえもする。換言すると、血管は、脈管クリップが閉鎖されている間に、例えば、脈管クリップによって取り囲まれているその表面上において、もはや脂性又は滑りやすさを有さない。よって、脈管クリップが湿潤表面膜の上で摺動する又は滑るのではなく、本質的に中実の表面が、互いに付着するか又は互いに擦り合わされる。したがって、脈管クリップと中空器官との間の静止摩擦が、閉鎖又はクリッピングの処理中に有意に増大する。これにより、外科医は、中空器官又は血管に対して、外傷を生じるような高いクランプ力を印加する必要なしに、脈管クリップを正しい位置に確実に適用することがより容易になる。脈管クリップの、位置が実証された位置決めにより、その機能及び信頼性が有意に向上する。中空器官又は血管の局所的外傷が低減されるか又は排除さえもされるため、治癒も有意に促進される。
【0016】
本明細書で使用される、脈管クリップという用語は、(先行技術を含む)本開示の導入部分において説明したような、結紮クリップ又は動脈瘤クリップを含む。
【0017】
また、結紮クリップという用語は、(脳)動静脈異形又は動静脈奇形(anteriovenous malformations:AVM)を一時的に及び/又は永続的に結紮する目的での、いわゆるマイクロクリップも含む。本発明の意味において、マイクロクリップの場合、対応してより小さく寸法決めされた尺度が本発明の主題によって含まれることが理解される。しかしながら、ここで考慮されなければならないこととして、必要に応じて、製造の態様及び/又は液固界面物理学の考察を理由として、脈管クリップ全体の外部寸法又は外部寸法決めと同程度だけ、個々の気孔又は内部気孔構造をそのサイズの点で小型化することは、意味を成し得ないように思われる。
【0018】
「一体的に形成された」気孔又は複数の気孔という用語は、気孔が、脈管クリップの材料における間隙(間隙体積)又は穴として形成されることを意味するものと理解される。したがって、この用語は、脈管クリップに関して又は脈管クリップにおいて、準材料結合の(quasi materially bonded)方式で形成される気孔を指す。
【0019】
多くの場合、脈管クリップは、細長い保持アーム部分が接続部分において脚部を形成しているU字形状又はV字形状の構成を形成しており、この接続部分は、好ましくは、ほぼ中央に配置されている。しかしながら、原則として、そのタイプ、即ち、脈管クリップ、という用語は、ここでは、脈管クリップが、接続箇所とは反対側の開放端においてのみクランプされるか又は「クリッピングされる」、即ち、例えば、導入部分において上述した結紮クリップと同様に、一方側で係合する変形例のみに限定されるべきではない。この場合、「脈管クリップ」という用語は、両側での係合が生じる、即ち、クランプ又は「クリッピング」が、当初は開放されている2つの端部において生じる任意の実施形態も含む。さらに、任意の円周方向に閉鎖された、特に、リング形状又は多面体形状の脈管クリップの形態も含まれる。後者の閉鎖された形態は、別個の、例えば切断された中空器官又は脈管上のみに滑らせることができるので、その後、脈管周囲から突出している脈管クリップの自由部分を、後にクランプ又は「クリッピング」することができる。
【0020】
また、保持アーム部分などの脈管クリップの異なる領域が、特定の形態又は一定の断面積を有しているかどうかは、この発明の意味において関連性を有さない。よって、脈管クリップの展開したクリップ長さ又は長手方向軸に沿って変化する断面を有する脈管クリップの実施形態もまた、本明細書に含まれるものとする。追加的に又は代替的に、図面に示された2つの実施形態に加え、角丸矩形断面、並びに、楕円形、正方形、U字形状、T字形状、I字形状、凸状、及び/又は凹状の形態を有する断面を有している各実施形態も等しく好ましくてもよい。
【0021】
従属請求項は、本発明の、好ましいさらなる発展例を示す。
【0022】
好ましくは、外科用脈管クリップにおいて、少なくとも1つの開放多孔性クリップ内面部分が、第1保持アーム部分に配置された第1クリップ内面部分、及び/又は、第2保持アーム部分に配置された第2クリップ内面部分、及び/又は、接続部分に配置された第3クリップ内面部分、として設けられている。これにより、医療適応(medical indication)に依存して、脈管クリップの全体設計を、曲げ剛性及び/又は硬度及び/又は可撓性及び/又は弾性などの機械的特性について最適化できるという技術的利点がもたらされる。それぞれ個々の場合の医療歴又は医療適応に依存して、例えば、2つの保持アーム部分のうちの1つのみ、つまり、第1又は第2保持アーム部分のいずれかが、多孔性クリップ内面部分を有して設計されていることが好ましことがあってもよい。それにより、他の点においては同一の外部寸法を有する第1保持アーム部分と第2保持アーム部分との間の区別が、実際の外科的クリッピング処理の最中に中空器官への適用が行われる時間的順序によってのみ決定されることが、好ましいことがあってもよい。これは、とりわけ、適用されるべき脈管クリップが、対応するクリップ適用鉗子内にどのように配置又は挿入されるのか、又は、この配置又は挿入がどの挿入方向で行われるのか、によって決定されてもよい。
【0023】
開放多孔性の第1及び/又は第2及び/又は第3クリップ内面部分の、任意の組み合わせが含まれる。これは、クリッピングされるべき脈管又は身体組織の個々の特性によって、異なる局所的設計が有利であり得るためである。また、個々の又はそれぞれの、開気孔の又は多孔性の、第1及び/又は第2及び/又は第3クリップ内面部分は、中央だけではなく、中央からずれて配置されることも考えられる。この文脈において「配置される」という用語は、脈管クリップの、対応する部分的領域にそれぞれ関連していること、即ち、第1保持アーム部分、又は第2保持アーム部分、又は接続部分にそれぞれ関連していることを意味する。
【0024】
さらに、脈管クリップの少なくとも1つの部分的領域、即ち、第1保持アーム部分、及び/又は第2保持アーム部分、及び/又は接続部分が、各ケースにおいて、開気孔領域又は多孔性クリップ内面部分を2つ以上有していることが好ましいことがあってもよい。
【0025】
このことにより、意図しない開放に対する、脈管クリップの全体としての機械的抵抗を、開気孔領域又は多孔性クリップ内面部分の特定の選択によって維持することができるという付加的な利点に至る。
【0026】
好ましくは、外科用脈管クリップは、少なくとも60体積パーセント、好ましくは少なくとも90体積パーセントの開気孔又は多孔性であり、より一層好ましくは(ほとんど)完全に、即ち(ほとんど)100体積パーセント、開気孔又は多孔性である。この文脈において、「ほとんど」という限定は、特に、非多孔性キンクなどの、非多孔性射出点又は幾何学的形状に関連する領域といった、製造に関連するエッジ効果が、多孔率の対応する決定に含まれるべきではないことを意味する。このタイプの一変形例において、脈管クリップは、中空器官又は血管から除去されるべき、より大量の水分又は潤滑膜に対して、特に受容性を有するようになっている。
【0027】
外科用脈管クリップの上述の好ましい実施形態に対する代替的な好ましい一変形例は、厳密には、脈管クリップの、高すぎない多孔率、又は空隙体積分率、又は間隙体積部分に関する。それにより、脈管クリップは、最大で70体積パーセント、好ましくは最大で50体積パーセント、より一層好ましくは最大で35体積パーセントの開気孔又は多孔性であるように設計される。特に、毛細管状の気孔及び/又は個々の気孔が好ましいことがあってもよい。共連続気孔構造の場合、例えば、スポンジ構造又は(モノモーダル又はマルチモーダルの)球充填の存在下では、低多孔率が好ましくてもよく、低多孔率が、より厚い壁構造、例えば、より強度の高い梁のようなより厚い網状構造に対応するためである。したがって、むしろ低多孔率のこのような気孔構造は、特にロバストであるとともに機械的強度が高い。
【0028】
代替的に又は追加的に、代替的な好ましい変形例における脈管クリップは、特に、脈管クリップのクリップ谷部における接続部分に対して、少なくとも1つの非開放多孔性クリップ内面部分を備える。よって、この変形例において好ましい脈管クリップは、少なくとも1つの開放多孔性クリップ内面部分と、少なくとも1つの非開放多孔性クリップ内面部分と、を備えている。特に、第1及び/又は第2保持アーム部分の少なくとも接続部分及び/又は閉鎖部分は、中実材料からなる。このタイプの一変形例では、脈管クリップは、特に安定性を有するようになるが、これは、1つのみ又はいくつかの領域が多孔性であり、及び/又は、気孔構造が、適度に開放多孔性である、即ち、表面単位当たりの気孔が少数であるためである。製造プロセス及びクリップ設計によって、多孔性設計が中実材料に比べ製造労力の増大を意味し得る限り、やはり、特段の製造上の利点が存在してもよい。
【0029】
少なくとも1つの気孔に基づいた所望の効果を達成するために、脈管クリップの内側領域のみ、例えば、クリップ脚部を構成している保持アーム部分の断面寸法の内側3分の1を、開放多孔性設計で製作することもまた、充分であるとともに好ましいことがあってもよい。このことは、連続的な開放多孔性の断面に比べ、脈管クリップの曲げ剛性が低減しにくいという利点を有する。特に有利な脈管クリップは、その内側輪郭が全体にわたって開放多孔性ではなく、むしろ、クリップ谷部を表す接続部分の領域(特に、展開したクリップ長さの近位20%)及び/又はクリップ先端を表す閉鎖部分の領域(特に、展開したクリップ長さの遠位10%)が中実材料で製作されていてもよい。特に、クリップ谷部を表す接続部分を中実材料で設計することにより、従来の脈管クリップに比べ、脈管クリップの最大限の曲げ剛性を保証する。代替的に又は追加的に、脈管クリップの外側クリップ外面部分の少なくとも一区分は、中実材料からなってもよく、及び/又は、少なくとも1つの気孔は、横方向に排出する排液装置として設計されてよく、好ましくは、クリップ側面に向かってL字形状に屈曲されていてもよく、つまり、好ましくは、脈管クリップの外面が中実材料を有しているとともに液体が側方に排出される。このことは、中空器官又は血管から除去されるべき水分又は潤滑膜の所望の排出効果を大幅に低減させることなく、脈管クリップの剛性を優先させて多孔性領域をさらに制限することができるという利点を有する。
【0030】
好ましくは、外科用脈管クリップにおける少なくとも1つの気孔は、第1気孔サイズを有しており、及び/又は、複数の気孔の場合、平均第1気孔サイズを有しており、平均第1孔サイズ及び/又は平均第1気孔サイズは、対応するクリップ内面部分の気孔入口高さにおいて、0.01mmから0.2mm、好ましくは0.02mmから0.08mm、より好ましくは約0.05mmである。代替的に又は追加的に、(平均)気孔サイズは、第1及び/又は第2クリップアーム部分の中央部分の横方向において決定可能なクリップアーム幅の、1%から35%、好ましくは2%から20%、より好ましくは3%から14%、より一層好ましくは5%から10%である。よって、結紮クリップについての慣例的な保持アーム幅又はウェブ幅は、0.5から2mmであってもよい。
【0031】
この文脈における「平均気孔サイズ」という用語は、気孔径、気孔表面積、及び/又は気孔体積に応じて密度分布から平均を取ることが可能な、統計的に形成される平均値を含む。(平均)気孔サイズを決定するための一般的な実験測定方法は、例えば、いわゆるバブルポイント法に基づいており、又は、例えば、写真平面図及び/又は電子顕微鏡写真を使用した光学的測定にも基づいている。さらに、気孔サイズだけではなく多孔率の決定には、個々の気孔又は内部気孔構造が水銀といった湿潤剤によって湿潤される(自動化)測定方法が知られている。それにより、ヒステリシス曲線に基づくだけではなく、個々の気孔についての毛細管ラプラス圧に基づいて、測定されるべき変数についての特定の結論が導かれてもよい。
【0032】
好ましくは、外科用脈管クリップにおける少なくとも1つの気孔は、毛細管状、又は円筒形、又は単独である。このことは、作製が容易であるという利点を有する。例えば、従来製造されている脈管クリップの中実材料には、毛細管状の気孔を設けてもよい。好ましくは、この目的のために、少なくとも1つの毛細管状の気孔が、レーザ又は精密穿孔工具により、皿座ぐり又は穿孔によって開けられており、貫通穴及び閉じた穴の両方が好ましい。
【0033】
代替的に又は追加的に、好ましい複数の気孔は、共連続、即ち、互いに対する連続的な気孔構造、を形成してもよい。より具体的には、「共連続」多孔性という用語は、2つの点において、途切れない又は連続的な方式で形成された気孔構造を指す。よって、中実材料、即ち壁又は支持体と、空隙体積又は気孔間隙との両方は、別個であるか、連続的であるか、又は相互接続されていると考えられる。この共連続気孔構造は、さらに好ましくは、スポンジ状、及び/又は網目状、及び/又は繊維編地状、及び/又はフィラメント状、及び/又は梁状であってもよい。さらに、好ましくは、閉気孔を有する及び/又は有さない、複数の気孔の共連続の実施形態が含まれる。
【0034】
本明細書で使用されるような、「梁状の」(trabecular)又は「梁」(trabecula)という用語(ラテン語「trabecula」:「小さな梁」に由来)は、小さな梁状の気孔構造、又は、小さな梁状の網状組織、又は、細いウェブ若しくは篩状メッシュの網状組織を指す。梁状構造は、器官の、例えば、心筋線維ストランド又は眼の虹彩角膜角における、内部解剖学的構造から知られている。
【0035】
特に好ましい共連続多孔性金属は、いわゆる「Trabecular metal(登録商標)材料」であり、ZIMMER SPINE,INC.社(米国ミネソタ州エダイナ)により、この商標名の下で販売されている。これは、医療技術分野において、特に、整形外科のインプラント治療において、使用される多孔性タンタル材料である。梁状金属材料は、生体適合性が非常に高い3次元材料である。梁状金属材料は、最大で80体積パーセントを超える多孔率を有する。熱堆積処理を使用して、基板上に元素タンタルを堆積する。これにより、3次元材料に、スポンジ状又は海綿状の共連続気孔構造が作成される。この気孔構造は、均一な3次元の細胞状アーキテクチャを呈する。梁状金属材料の表面全体は、ナノ構造の表面トポグラフィを呈する。圧縮試験において、梁状金属材料は、機械的破壊を伴わずに高い延性を呈し、このことは、この発明による脈管クリップの設計を特に有利にする。
【0036】
対応する製造プロセスを用いたこの梁状金属材料は、複数の特許明細書、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第8,323,322B2号、米国特許第5,282,61号、米国特許第5,443,515号、及び米国特許第6,063,442号に記載されている。これらの特許明細書は、タンタルをフォーム状炭素構造上に化学的に蒸着することに基づいた、梁状気孔構造を有する多孔性タンタル材料の形成について記載している。
【0037】
さらに好ましくは、この発明による脈管クリップは、M-PORE GmbH社(ドイツ、ドレスデン)の成形体について以前から知られているように、多孔性金属で製作することができる。これらの成形体では、フォームを介して通路が伸び、気孔を接続し、よって、気孔の、均一であって開放しているとともに相互接続された網状組織を形成する。この点に関し、その開示が参照によって組み込まれる独国特許出願公開第102014118177A1号は、電子コンポーネント上の熱交換器として使用するためのフォーム状金属成形体を製造する方法について教示している。それにより、金属成形体は、金属の原材料又は金属含有原材料から、その3次元の形態における一層ずつの3Dプリンティングにより、全てがプリントされる。これにより、コンピュータ上で任意に形作られた成形体を設計することと、それらを、中実材料及びフォーム領域を含む単一部品の金属構造として製造することと、が可能になる。3Dプリンティング処理において、各々が異なるタイプの金属を有する複数の原材料を使用することで、成形体を複数の金属から単一の処理ステップで構築することがもたらされ得、異なる金属の領域は、任意の形状を有しているとともに、結合されもする。これにより、気孔サイズ、ウェブ幅、気孔形状等の、金属フォームの構造上の特性を具体的に予め決定しておくことができるという利点がもたらされる。
【0038】
代替的に又は追加的に、圧力安定気孔構造を有する、及び/又は、開放位置と閉鎖位置との間で比較して一定である、少なくとも1つの気孔を設計することが好ましい。このことは、少なくとも1つの気孔によって中空器官又は血管の表面から吸収された、水分、又は液体相、又は生理的潤滑膜が、当該気孔内に蓄積された状態を保つという付加的な利点を有する。換言すると、少なくとも1つの気孔によって吸収された、或る量の流体は、戻されること又は絞り出されることがない。
【0039】
好ましくは、外科用脈管クリップの少なくとも1つの孔は、親水性の気孔内面部分、及び/又は、水性流体相により湿潤可能な気孔内面部分、を有している。少なくとも1つの気孔が、その気孔入口において、及び/又は、さらなる気孔内面部分において、水性の又は親水性の流体相により湿潤性を有するため、気孔の内部への湿潤効果の結果として、脈管クリップでクリッピングを行っているときに取り囲んでいる水分又は多相の潤滑膜が、気孔の内部へ又は内部気孔構造内へ、より速く、又は能動的に、又は自発的に、放出される。換言すると、気孔の内部への、つまり、湿潤性を有する気孔内面部分に沿った、能動質量輸送が、湿潤又は拡散によって生じている。特に、生理的潤滑膜に関して、また、血漿を含む血液に関しては、主に水性相を有するエマルション状及び/又は懸濁液状の混相を取り得る。この点に関し、共連続気孔構造の場合でさえも、単一の毛細管又は円筒孔内への流体相の湿潤モデルを、根拠としてほぼ用いることができる。
【0040】
好ましくは、外科用脈管クリップは、中空器官に取り付けるとき、又は、それを用いて中空器官を閉鎖するときに、少なくとも1つの気孔、好ましくは、複数の気孔が、血液(血球)、リンパ液、組織粒子、体脂肪、及び/又は焼灼生成物などの体液の成分を含む周囲の流体相を、毛細管現象によって気孔の内部に受容及び/又は放出し、並びに/或いは、吸収するような方式で設計される。これにより、純粋な蓄積機能に加え、少なくとも1つの気孔における、流体相に対する吸引効果又は流体相の能動的な除去、が生じる。
【0041】
好ましくは、少なくとも1つの気孔、好ましくは、複数の気孔の、空隙体積分率、及び/又は間隙体積分率、及び/又は体積多孔率が、10%から90%、好ましくは30%から88%、より好ましくは35%から86%、より一層好ましくは50%から75%である。それにより、これらの相対変数は、クリップ内面部分において隣接するクリップ体積部分に対して決定される。換言すると、これは、それぞれのクリップ内面部分において、随意に局所的であること又は随意にもたらされることが可能な体積多孔率を決定するために、中実材料の隣接領域、又は、有意に異なる体積多孔率を有している領域を含むことが、計測学の観点から意味を成さないであろうことを意味する。換言すると、この点に関し、これは、体積多孔率の決定については、体積バランス包絡線が、クリップ内面部分において隣接するクリップ体積部分と合致すべきであることを意味する。一貫した用途特性及び製品特性のために、予め規定された目標体積多孔率が有利である。特に、バランスが良い、選択された目標体積多孔率により、一方では脈管クリップの機械的特性を、及び、少なくとも1つの気孔の吸収効果又は蓄積機能を、最適な方式で特有の用途に対して制御及び調節することが可能になる。
【0042】
好ましくは、外科用脈管クリップの、1つの気孔又は複数の気孔又は内部気孔構造の内部に、より一層細かい気孔を有する下部構造が設けられる。この目的のために、少なくとも1つの気孔の気孔内面部分は、より小さい平均第2気孔サイズの微小気孔を有する開放多孔性設計を有する。それにより、平均第2気孔サイズは、第1(平均)気孔サイズの、1%から20%、好ましくは3%から15%、より好ましくは約10%である。代替的に又は追加的に、微小気孔の平均第2気孔サイズは、1マイクロメートルから10マイクロメートル、好ましくは約5マイクロメートルである。平均第2気孔サイズは、例えば、バブルポイント測定方により、気孔内面部分における微小気孔入口高さにおいて決定可能である。より大きな、即ち、第1気孔サイズの、少なくとも1つの気孔の気孔内面の少なくとも一区分における、微小気孔、即ち、第2気孔サイズのこのような下部構造は、気孔サイズの双峰性により相乗効果が生じる。よって、この好ましい実施形態は、一方では、より大量の生理的潤滑膜などの流体相を、受容し、放出し、及び蓄積するためのより大きな気孔と、他方では、脈管クリップに対する機械的圧力が印加されたときでさえも、物理的湿潤により、自身の蓄積効果を保つ微小孔と、の組み合わされた利点をもたらす。
【0043】
好ましくは、脈管クリップは、以下の材料又は金属材料、特に粉末治金材料、即ち:外科用インプラントを製造するためのISO5832規格の金属材料;チタン(例えば、グレード2Ti;グレード4Ti;グレード5Ti)又はチタン合金;タンタル又はタンタル合金;熱処理用低合金鋼(例えば、FN02;100Cr6);工具鋼(例えば、M2);ステンレス鋼(例えば、Nitronic50;316L;17-4-PH;430;440C);及び/又は、他の合金(例えば、FN50;Inconel601;Cu99.9)を含む。この文脈において、ISO5832規格は、外科用インプラントを製造するために使用される、鍛造可能であって冷間成形可能なステンレス金属材料についての特性及び試験方法を規定している、一連のISO規格である。
【0044】
本開示の第2の態様として、本発明による脈管クリップに好適にセットアップされる、対応するアプリケータ、特に、対応するクリップ適用鉗子が提案される。これにより、ユーザには、完璧に形作られ且つ設計された器具が提供される。好ましくは、アプリケータ又はクリップ適用鉗子は、それにより、脈管クリップの閉鎖位置において中空器官に印加されるクランプ力が、最小許容第1力限度を下回らないように、本発明による脈管クリップにセットアップされてもよく、及び/又は、セットアップされている。代替的に又は追加的に、最大許容第2力限度を上回ることはない。このタイプの製品セットは、中空器官又は血管をクリッピング又は閉鎖する際に外科医などのユーザにより印加される(力)が、少なくとも1つの気孔により吸収された流体相を再び押し出すことなく、又は、中空器官に対して過度な力がかかる方式で外傷作用を有することなく、クリッピング又は閉鎖を行うのに充分なものであることが製造業者により保証される、という特段の利点を有する。つまり、アプリケータ又はクリップ適用鉗子は、クリッピングの最中に手動で印加される力が、最適目標の半分の境界範囲、又は目標範囲、又はコリドー若しくは境界区間内に収まるという目標を支援する。
【0045】
本開示の第3の態様として、本発明による脈管クリップの、保管、輸送、及び/又は滅菌のための医療製品セット、特にクリップトレイが提案される。医療製品セット又はクリップトレイは、本発明による複数の脈管クリップを備えている。好ましくは、本発明による複数の脈管クリップは、異なるサイズ、及び/又は異なる形状、及び/又は異なる硬度、及び/又は異なる曲げ剛性、及び/又は異なる材料、及び/又は異なる閉鎖形態に応じて、永続的に又は一時的に組み合わされて提供され又は配置されている。代替的に又は追加的に、医療製品セットは、脈管クリップのそれぞれに対応する識別ラベルを含む。このような識別ラベルは、例えば、使用されているクリップのそれぞれを即時に追加注文するための、資料又は情報のために使用される。代替的に又は追加的に、本発明による脈管クリップに対応するアプリケータ、特にクリップ適用鉗子が含まれる。特に、このタイプの製品セットは、目標とする術前準備を支援する。さらに、保管、輸送、及び/又は滅菌の態様に関する臨床措置に関して利点がある。
【0046】
本開示の第4の態様として、本発明による脈管クリップを製造するための粉末治金成形方法が提案される。この点に関し、コンポーネントまたは製品としての、本の発明による脈管クリップの、粉末治金成形方法は、順次行われる以下の工程、即ち:粉末治金フィード材料又はいわゆるフィードストックを、例えば、混合する、及び/又は混錬する、及び/又は押し出すことによって提供する工程と;脈管クリップの形態で、ニアネットシェイプの微粒状及び/又は粗粒状のグリーン体を形成し、随意に、脱バインダ及び/又は焼結収縮に応じて過大にグリーン体を形成するために、フィード材料を成形する工程と;随意に、ブラウン体を形成するために、グリーン体を脱バインダする工程と;完成した脈管クリップを形成するために、随意にブラウン体内で脱バインダされた、グリーン体を焼結する工程と;を含む。
【0047】
粉末治金フィード材料を提供する第1の工程では、均質なフィード材料又はフィードストックが提供される。好ましくは、フィード材料は、細かい金属粉末に加えて少なくとも1つの有機バインダを含む金属バインダ混合物である。場合によっては、成形形成工程に先立ち、予め組み合わされた状態の金属バインダ混合物を得ること、及び/又は、この金属バインダ混合物を混合しておくこと、が好ましくてもよい。予めの混合は、好ましくは、バッチ式の、及び/又は連続式の、及び/又はスクリュータイプの押し出しによる操作が可能な混合機又は混錬機において、実施されてもよい。
【0048】
続く、グリーン体を形成するためにフィード材料を成形する工程は、それにより、成形工具において、好ましくは、粉末射出成形及び/又は粉末圧縮により、実施されてよい。代替的に及び/又は追加的に、グリーン体を形成するためにフィード材料を成形する工程は、好ましくは、金属3Dプリンティングにより、付加製造工程において実施されてもよい。代替的に及び/又は追加的に、グリーン体を形成するためにフィード材料を成形する工程は、好ましくは、押出により、より一層好ましくは、フィラメント押出により、連続製造工程において実施されてもよい。その後、随意に、完成した脈管クリップを、それに続く工程において、表面仕上げといったさらなる後処理にかけてもよい。
【0049】
該当する場合、脱バインダしたグリーン体、又はブラウン体が得られるように、それに続く脱バインダの工程において再び、フィード材料内に随意に存在するあらゆるバインダを、脈管クリップのグリーン体又は予成形品から除去する。即ち、フィード材料に熱的に除去可能なバインダが使用されている場合、脱バインダオーブン内で脱バインダが実施される。それにより、ポリオレフィンワックス混合物をベースとする、熱的に除去可能なバインダを使用してもよい。バインダの少なくとも一部を有機溶媒により抽出することができる場合、即ち、(部分的に)可溶性のバインダが存在する場合、脱バインダは、熱的脱バインダの代わりに及び/又は熱的脱バインダに加えて、溶媒抽出を使用することによって実施される。よって、この場合、フィード材料において、例えば、ポリエチレンをベースとするポリマー成分がワックスと混合されている、部分的に可溶性のバインダ系を使用することが好ましい。代替的に及び/又は追加的に、フィード材料において、触媒作用で分解可能なバインダ系の使用が好ましくてもよい。後者の変形例に関して、ポリオキシメチレン(POM)の、強酸による触媒作用による分解に基づいたバインダ系、例えば、BASF提供のCatamold(登録商標)バインダ系、が好ましくは使用される。上述のバインダ又はバインダ系の主要な利点は、成形された脈管クリップのグリーン強度が高いことである。
【0050】
それに続く焼結工程では、随意に脱バインダしたグリーン体を、焼結炉内において高温で焼結する。それにより、焼結炉を脱バインダ炉と異ならせてもよく、又は、連続式に操作される工場の場合、焼結炉を、さらなる下流の炉のステージ又は焼鈍セクションに配置してもよい。好ましくは、焼結は、レーザ焼結処理として実施してもよい。
【0051】
グリーン体又はブラウン体は、焼結することにより圧密(compact)又は焼結されて、本発明による完成した脈管クリップを形成するが、この脈管クリップは、可能性があるさらなる後処理ステップの影響を除き、幾何学的形状、機械的挙動、内部材料構造、及び/又は多孔率の観点において、その最終特性を有している。その結果、脈管クリップは、純粋な金属製であるが故に、患者の体内で不活性に挙動する。
【0052】
随意の工程では、脈管クリップのさらなる後処理が実施される。好ましくは、これは、好ましくは気孔内面部分の、表面仕上げ及び/又はコーティングである。好ましくは、少なくとも1つの気孔により吸収される流体相による、当該気孔の湿潤性は、特定のコーティング、例えば、親水性-親油性バランス(hydrophilic-lipophilic-balance(HLB))機能性コーティングにより、具体的に調節してもよい。
【0053】
代替的に又は追加的に、本発明による脈管クリップの開放気孔領域の作製は、中実材料に対し、多孔性コーティングか、又は、少なくとも1つの気孔を形成するコーティングを適用することにより実現されることが考えられる。
【0054】
好ましくは、(金属)粉末射出成形は、この場合、コンポーネント又は製品としての、本発明による脈管クリップの、粉末治金成形方法の好ましい一変形例を表す。粉末射出成形(簡潔にはPIM法)又は金属射出成形(簡潔にはMIM法)は、複雑な2次元又は3次元の幾何学的形状の金属コンポーネント又はセラミックコンポーネントをも製造するための、鋳造又は一次成形の方法である。粉末射出成形は、材料科学におけるさらなる発展例であるとともに、熱可塑性物質のための射出成形技術の変形例である。特に、脈管クリップが、その顕著な曲線及び角度によって、3次元的に複雑な幾何学的形状を有するが故に、粉末射出成形は、機械加工及び/又は成形製造の方法に比べ、より簡単な成形の観点から、特段の利点をもたらす。
【0055】
粉末治金成形方法の好ましい一変形例として、(金属)粉末射出成形は、焼結コンポーネントの機械的利点を、射出成形の大きな成形汎用性と組み合わせる。粉末射出成形のさらなる利点は、大きな設計自由度に加え、機能的統合;アンダーカット、クロス穴、止まり穴、ねじ山、表面構造、ロゴの複製等の意味における多数の後処理工程の解消;融通が利く材料選択;及び、費用対効果の良い連続生産;を含む。
【0056】
この文脈において、好ましい粉末射出成形、又はPIM法、又はMIM法は、相継ぐ工程、即ち:フィード材料又はいわゆるフィードストックとして、粉末治金PIM/MIM材料を、例えば、混合する、及び/又は混錬する、及び/又は押し出すことによって提供する工程と;脈管クリップの形態で、ニアネットシェイプの微粒状及び/又は粗粒状のグリーン体を形成し、好ましくは、脱バインダ及び/又は焼結収縮に応じて過大にグリーン体を形成するために、フィード材料を成形体として成形工具内に射出成形する工程と;ブラウン体を形成するために、グリーン体を脱バインダする工程と;完成した脈管クリップを形成するために、ブラウン体又は脱バインダしたグリーン体を焼結する工程と;を含む。
【0057】
成形工程の好ましい一実施形態としての粉末射出成形工程において、脈管クリップのグリーン体又は予成形品は、射出成形部品として製造され、この目的のために、フィード材料は、対応する中空の幾何学的形状又は空隙を有する工具型内に射出される。この処理において、フィード材料は、閉鎖された工具型内に、好ましくは、液化した形で射出され、より好ましくは、高温において射出される。それにより、粉末射出成形を特有の温度制御によって制御することができ、それにより、フィード材料は、まず理想的に型を完全に充填し、その後ようやく可塑化する。結果的に得られるグリーン体又は予成形品は、完成した脈管クリップの輪郭に既に迫っており、又は、完成した脈管クリップの、本質的な外部幾何学的形状の特徴を既に呈している。
【0058】
好ましくは、粉末射出成形は、周囲圧力を上回る射出圧力において、好ましくは60バールよりも高い、より一層好ましくは90バールよりも高い射出圧力で実施される。機械側において提供される射出圧力は、脈管クリップの幾何学的形状が複雑化する及び/又は小型化される場合において、より一層増大してもよいことが理解される。特に狭窄した流れ断面及び/又は延長した流路が存在する限り、好ましい射出圧力は、脈管クリップの幾何学的形状に対応する成形工具の内壁に沿った、不均衡に発生する流れ抵抗に従って増大する。
【0059】
好ましくは、(金属)粉末圧縮は、この場合、粉末射出成形に加え、本発明による脈管クリップを製造する粉末治金成形方法のさらに好ましい一変形例を表す。成形工程の好ましい一実施形態としての粉末圧縮工程において、フィード材料、つまり、バインダを含むか又は含んでいない金属粉末がダイ工具型に提供されて、対応する雄工具型により、機械プレスの高い圧力下で圧密されて、脈管クリップのグリーン体又は予成形品を形成する。粉末射出成形の場合と同じように、粉末圧縮もまた、医療製品の高い品質要件を一様に満たすことが可能な、特に費用対効果の良い製造方法である。
【0060】
好ましくは、粉末治金フィード材料であって、当該フィード材料の、金属粉末に対するフィラー含有量が、75体積パーセント未満、好ましくは60体積パーセント未満、より一層好ましくは45体積パーセント未満である、粉末治金フィード材料が提供される。フィラー含有量は、焼結されて完成した脈管クリップの、内部気孔構造及び収縮サイズの両方を決定する。それにより、フィラー含有量が高くなるほど、完成した脈管クリップの焼結収縮が少なくなり、又は、間隙体積分率が低くなる。さらに、フィラー含有量が高すぎる場合、その場合のフィード材料の粘度及び/又は摩耗性が高すぎるが故に、特に射出成形といった成形工程におけるフィード材料の処理がもはや不可能となる。
【0061】
好ましくは、粉末治金成形方法において、グリーン体を形成するための成形工程は、工具型において、好ましくは、粉末射出成形及び/又は粉末圧縮により実施される。代替的に又は追加的に、この成形は、付加製造工程において、好ましくは、金属3Dプリンティングにより実施される。代替的に又は追加的に、この成形は、連続製造工程において、好ましくは、押出により、より一層好ましくは、フィラメント押出により実施される。これらの方法は、医療用エンジニアリング製品の高い品質保証要求がありながらも、大規模な有用性という利点を有する。
【0062】
要約すると、本発明による、少なくとも1つの気孔を有する脈管クリップは、中空器官又は血管上におけるクリップの、滑り落ちに抗う位置的安定性が、脈管の外傷を増大させることなく増大するという利点を有する。よって、本発明は、全体にわたって開気孔であるか、又は開放多孔性部分を有している、脈管クリップに関する。その結果、閉鎖されるべき中空器官又は血管といった組織表面上の液体膜が選択的に除去され、それにより、本発明による脈管クリップは、より良好に滑りが確実に防がれる。したがって、本発明による脈管クリップは、結紮すべき血管上での位置的安定性の増大を呈する。本発明による脈管クリップの好ましい一実施形態のさらなる利点は、開放気孔領域を選択的に選ぶことにより、開放に対する脈管クリップの抵抗が維持されることである。
【0063】
最後に、注記されるべきこととして、本発明による脈管クリップは、止血の目的で血管を単に閉鎖するための使用に限定されない。この発明は、同様の医療的適応又は使用にとって、特に、種々の外科的状況及び措置にとって、等しく有利である。例えば、本発明による脈管クリップにより、リンパ管を閉鎖してもよい。特に、ヒト及び動物の両方の外科的治療は、同じ基本的原理及び目的に基づく。
【0064】
この点に関し、本用語、即ち、結紮クリップ又は動脈瘤クリップなどの外科用脈管クリップは、全て、具体的に有用な設計、及び/又はサイズ寸法、及び/又は材料を備えている。例えば、マイクロクリップの使用分野において、マイクロクリップは、本発明による、対応する脈管クリップの、比較的より小さな尺度を取らなければならない。例えば、これは、手動手術及び/又は顕微手術の分野における場合であってもよい。特に、小児、中でも新生児の外科的治療には、クリップ実サイズに対する気孔サイズのサイズ比率を変更したものを使用してもよい。それにより、脈管クリップの幾何学的形状の異なる態様についての異なる縮小要件の結果として、他の脈管クリップ寸法に対する気孔サイズの関係をシフトさせることができる。よって、技術的効果を維持したまま、クリッピングすべき中空器官又は血管又は身体組織のサイズに適合されるか又は一定尺度に応じて寸法決めされた一実施形態、特に、本明細書の比率係数に対して小型化されたものは、本開示により排除され得ず、むしろ本開示に含まれる。
【0065】
本発明の保護範囲は、請求項によって与えられるものであり、説明において解説されるか又は図面において示される特徴によって限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】本開示による開放位置における脈管クリップの第1例示的実施形態に従う斜視正面図である。
【
図2】第1例示的実施形態に従う長手方向図である。
【
図3】開放位置における脈管クリップの第1例示的実施形態に従う上面図である。
【
図4】開放位置における脈管クリップの第1例示的実施形態に従う幅図(側面図)である。
【
図5】開放位置における脈管クリップの第1例示的実施形態に従う、
図3のA-A線に沿う断面である。
【
図6】本開示による開放位置における脈管クリップの第2例示的実施形態に従う斜視正面図である。
【
図7】第2例示的実施形態に従う長手方向図である。
【
図8】開放位置における脈管クリップの第2例示的実施形態に従う上面図である。
【
図9】開放位置における脈管クリップの第2例示的実施形態に従う幅図(側面図)である。
【
図10】開放位置における脈管クリップの第2例示的実施形態に従う、
図8のA-A線に沿う断面である。
【
図11】梁状共連続気孔構造を有する脈管クリップの第3例示的実施形態に従う、ミクロ断面である。
【
図12】本開示による脈管クリップを製造する粉末治金成形方法の概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本開示の第1例示的実施形態について、添付の
図1から
図5に基づいて以下に説明する。ここから、本発明のさらなる詳細、特徴、及び利点が明らかになるであろう。
【0068】
図1から
図5は、血管を閉鎖するための脈管クリップとしての、本発明による結紮クリップ100の第1例示的実施形態に従った様々な図を示している。第1例示的実施形態において、結紮クリップ100は、複数の区分において開放多孔性であり、これらの区分の各々は、貫通穴として複数の円筒形毛細管1、1、…を有している。
【0069】
図1は、U字形状に屈曲されているとともに開放位置にある、結紮クリップ100の斜視正面図を示している。同じ形状を有しているとともに、ほぼ平行に又は僅かに角度をなして互いに離間している2つの細長いクリップウェブ110、120が、第1及び第2保持アーム部分として、
図1の左に位置しているそれらの端部において開き、結紮クリップ100の接続部分としてのU字形状の丸められたクリップ谷部130へと至る。2つのクリップウェブ110、120は、半アーチ形状の屈曲可能なクリップ谷部130を介して可撓的に互いに接続されており、それにより、
図1又は
図3に示される、互いからより長い距離を有している開放位置から開始して、閉鎖位置へと互いに近接させることができる。例えば、これは、ユーザとしての外科医が、まず、開いたU字形状の結紮クリップ100を、対応する結紮クリップ適用鉗子により、閉鎖すべき血管の周囲の当該血管に隣接する正しい位置に載置し、その後、結紮クリップ100を押圧して血管を縛るか又は結紮することにより行われる(不図示)。確実な永続的結紮のために、2つのクリップウェブ110、120は、クリップ谷部とは反対側のそれらの他端に、それぞれの閉鎖部分140、140を有している。これにより、両方のクリップウェブ110、120の相互に対向するそれぞれのクリップ内面を、互いに永続的に接続することができる。
【0070】
クリップ全長に沿って一定の僅かに丸みを帯びた準正方形の断面積(
図4及び
図5を参照)を有する結紮クリップ100を、細長い正方形の棒形状に想像上展開した(不図示)場合、以下のように、区別されるクリップ部分、即ち:
図1の右上に位置している閉鎖部分140と;第1クリップウェブ110(
図1の上)と;半アーチ形状のクリップ谷部130と;第2クリップウェブ120(
図1の下)と;
図1の右下に位置している閉鎖部分140と;が、互いに滑らかに合わさっているであろう。
【0071】
U字形状に屈曲された結紮クリップ100の内側輪郭に沿って、内側クリップ内面部分は、区別される上述のクリップ部分140、110、130、120、140と関連付けられるべきである。それにより、
図1、
図2、
図4、及び
図5から明らかなように、2つのクリップウェブ110及び120のそれぞれは、それぞれ対応するそれらのクリップ内面部分111及び121において、複数の気孔として、それぞれ複数の円筒形毛細管1、1、…を有する2つの列、つまり、クリップウェブ110又は120毎に24本×2の毛細管(したがって、結紮クリップ100において総数96本の毛細管)を有する。
【0072】
対照的に、
図1、
図2、
図4、及び
図5から明らかなように、屈曲可能なクリップ谷部131は、毛細管1を有していない中実材料で製作されている。
【0073】
図5の断面図(
図3の線A-Aに沿った断面)から明らかなように、個々の毛細管1、1、…の各々は、円筒形の貫通穴として設計されている。毛細管1、1の各々は、第1気孔サイズとして第1気孔径を有しており、当該毛細管は、結紮クリップ100に対して内側のそれぞれの気孔入口高さ50において、クリップ内面部分111又は121に進入している。結紮クリップ100の、この第1実施形態の毛細管又は毛細管形状の気孔1、1、…は、これらが円筒形の貫通穴である限り、外側クリップ外面部分において、一定の気孔径で等しく出現する。但し、これは随意の特徴であって、本発明にとって必須の構造上の特徴ではない。保持アーム幅又はウェブ幅は、例えば、
図5に示されるような同様の位置での断面で決定してもよく、この目的のために、当該断面は、クリップウェブ110、120のうちの一方の長手方向軸に対して垂直に選択されるべきである。
【0074】
図4はさらに、気孔内面11として円筒形の気孔壁包被を示しており、この気孔壁包被は、それぞれの毛細管1の円筒形の間隙体積又は空隙体積を囲んでいる。後者の空隙体積は、外科用用途において使用されて(不図示)、開放多孔性のクリップ内面部分111又は121の周囲で結紮すべき血管の生理的(又は病理的)潤滑膜を収容する。
【0075】
図6から
図10は、血管を閉鎖するための脈管クリップとしての、本発明による結紮クリップ200の第2実施形態に従った設計の詳細を例示している。これに関連して、第2例示的実施形態に従った
図6から
図10の様々な図は、第1実施形態に従った
図1から
図5の図に類似する表現を示している。したがって、繰り返しを避けるために、
図6から
図10の解説に対しては、同じくU字形状に屈曲された(矩形断面を有する)結紮クリップ200の基本構造に関して言及する。
【0076】
第2例示的実施形態において、結紮クリップ200は、第1例示的実施形態の結紮クリップ100とは対照的に、毛細管状の孔を備えているのではなく、複数の気孔を基礎とする、横方向に透過可能な又は連続的な、つまり共連続気孔構造1、1、…を有して、開気孔の態様で実施されている。スポンジ状の気孔構造のために、気孔入口高さ50において、非円形状を視認することができる。
【0077】
第2例示的実施形態に従った結紮クリップ200の多孔率は、第1例示的実施形態に従った結紮クリップ100のものに比べて有意に高く、この多孔率は、同等の気孔入口サイズの場合において、共連続開気孔構造から幾何学的に導出されてよい。
【0078】
脈管クリップの第1又は第2例示的実施形態の代替的又は追加的変形例(不図示)において、脈管クリップの外側クリップ外面部分の少なくとも一区分は、中実材料からなってよく、つまり、好ましくは、脈管クリップの外側が中実材料を含んでおり、液体が側方に排出される。このことは、中空器官又は血管から除去されるべき水分又は潤滑膜の所望の排出効果を大幅に低下させることなく、脈管クリップの剛性を優先して多孔性領域をさらに制限することができるという利点を有する。特に、少なくとも1つの気孔は、横方向に流体を排出するように構成してもよく、好ましくは、クリップ側面に向かってL字形状に屈曲させてもよい。
図1から
図5に従った第1例示的実施形態において、このことは、結紮クリップ100の気孔1、1、…が穴として構成されていることを前提とし、このことは、
図5において、第1又は第2クリップ内面部分111、112の、クリップ側面とのL字形状の接続(不図示)として認識可能であろう。
図6から
図10に従った第2例示的実施形態において、結紮クリップ200の断面のうち、外側を向いている部分体積、好ましくは3分の1が、
図8のA-A線に沿う
図10に従った断面において、中実材料(不図示)であってもよい。
【0079】
図11は、梁形状で設計された共連続気孔構造を有する脈管クリップの第3例示的実施形態に従った、ミクロ断面を示している。ウェブ又は梁2の連続的なメッシュ又は開放網目形状は、高い開放多孔性の共連続気孔構造を形成している。例えば、
図11の中央は、気孔入口高さ50において、5つの梁2が、不等辺五角形の方式でどのように気孔1を形成しているかを示している。さらに、梁状の気孔壁は、それぞれの気孔内面11を有していることが見られる。アクセス可能な内部中実表面積としての内部気孔総表面積は、個々の梁状表面の総計としてもたらされ、例えば、示差的付着力測定等を介して実験的に決定可能である。
【0080】
フローチャートによって
図12に概略表示されている、脈管クリップの粉末治金成形のための方法は、本発明にとって必須のステップS101、S102、及びS104(実線で外形を描いたボックスとして図示)と、さらなる随意のステップS203及びS205(点線で外形を描いたボックスとして図示)と、備える。最初のステップS101では、粉末治金フィード材料が提供される。このフィードは、例えば、混合機における混合、及び/又は混錬機による混錬、及び/又は押出機による押し出しにより、好ましくは連続式に又は準連続式に実施される。それに続くステップS102では、このフィード材料を成形して、脈管クリップの形態で、ニアネットシェイプのグリーン体を形成する。それにより、このグリーン体の粒度又は粒子サイズ分布を、微粒状及び/又は粗粒状に調節してもよい。これにより、脈管クリップの完成品における所望の多孔率に具体的な影響を及ぼすことができる。それにより、好ましくは、事前に決定される焼結収縮に応じて、3次元的に過大な形成が実施される。それにより、随意のステップS203では、必要であれば、好ましくは事前に決定される脱バインダ収縮に基づく過大な形成を実施しつつ、グリーン体を脱バインダしてブラウン体を形成する。それに続くステップS104では、成形体、即ちグリーン体、又は、可能性として随意の脱バインダのステップS203において脱バインダしたブラウン体、を焼結して、完成した脈管クリップを形成する。好ましくは、焼結した脈管クリップの後処理も、随意のステップS205において行ってよい。これは、好ましくは、特に気孔内面部分の、表面仕上げ及び/又はコーティングである。
【符号の説明】
【0081】
1 気孔
2 梁
100、200 外科用脈管クリップ
110、210 第1保持アーム部分
111、211 第1クリップ内面部分
120、220 第2保持アーム部分
121、221 第2クリップ内面部分
130、230 接続部分
131、231 第3クリップ内面部分
140、240 閉鎖部分
11 気孔内面部分
50 気孔入口高さ
【手続補正書】
【提出日】2022-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管などの中空器官を閉鎖するための、結紮クリップ又は動脈瘤クリップのような外科用脈管クリッ
プであって、
細長い第1及び第2保持アーム部
分を備えており、
前記第1及び第2保持アーム部
分は、前記脈管クリッ
プの接続部
分により、それらの一端が可撓的に相互接続されているか、又は相互接続されることが可能であり、
前記第1及び第2保持アーム部
分は、それらの他端に、それぞれの閉鎖部
分が設けられており、前記閉鎖部
分において、前記第1及び第2保持アーム部
分の相互に対向するそれぞれのクリップ内面は、互いからより長い距離を有する開放位置から開始して、閉鎖位置へと互いに近接させることができるとともに、互いに接続することができ、
前記脈管クリッ
プの少なくとも1つのクリップ内面部
分は、少なくとも1つの一体的に形成された気孔
を有する開放多孔性設計を有しており、
前記第1及び/又は前記第2保持アーム部
分の少なくとも前記接続部
分及び/又は前記閉鎖部
分は、中実材料からなることを特徴とする、外科用脈管クリッ
プ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの開放多孔性クリップ内面部
分が、
前記第1保持アーム部
分に配置された第1クリップ内面部
分、及び/又は、
前記第2保持アーム部
分に配置された第2クリップ内面部
分、及び/又は、
前記接続部
分に配置された第3クリップ内面部
分、
として設けられている、請求項1に記載の外科用脈管クリッ
プ。
【請求項3】
前記脈管クリッ
プが、少なくとも60体積パーセン
トの開気孔又は多孔性で
ある、請求項1又は2に記載の外科用脈管クリッ
プ。
【請求項4】
前記脈管クリッ
プが、最大で70体積パーセン
トの開気孔又は多孔性であり、及び/又は、
前記脈管クリッ
プが、前記脈管クリッ
プの少なくとも1つの非開放多孔性クリップ内面部
分を備えており、及び/又は、
前記脈管クリッ
プの外側クリップ外面部分の少なくとも一区分が中実材料からなり、及び/又は、
前記少なくとも1つの気
孔が、横方向に排出する排液装置として設計され
ている、請求項1又は2に記載の外科用脈管クリッ
プ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの気
孔が、第1気孔サイズを有しており、及び/又は、複数の前記気
孔の場合、平均第1気孔サイズを有しており、前記第1気孔サイズ及び/又は前記平均第1気孔サイズが、対応する前記開放多孔性クリップ内面部
分の気孔入口高
さにおいて、
0.01mmから0.2m
mであり、及び/又は、
前記第1及び/又は第2保持アーム部
分の中央部分の横方向において決定可能な保持アーム幅の、1%から35
%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の外科用脈管クリッ
プ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの気
孔が、毛細管状であり、及び/又は、
前
記複数の前記気
孔が、互いの間に共連続気孔構造を形成しており
、及び/又は、
前記少なくとも1つの気
孔が、圧力安定気孔構造を有しており、及び/又は、前記開放位置と前記閉鎖位置との間で比較して一定である、請求項1から5のいずれか一項に記載の外科用脈管クリッ
プ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの気
孔が、親水性の気孔内面部
分、及び/又は、水性流体相により湿潤性を有する気孔内面部
分、を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の外科用脈管クリッ
プ。
【請求項8】
前記外科用脈管クリッ
プを前記中空器官に取り付けるとき、又は、前記外科用脈管クリッ
プを用いて前記中空器官を閉鎖するときに、前記少なくとも1つの気
孔が、体液の成分を含む周囲の流体相を、毛細管現象によって前記気孔の内部に受容及び/又は除去し、並びに/或いは、吸収する、請求項1から7のいずれか一項に記載の外科用脈管クリッ
プ。
【請求項9】
前記クリップ内面部
分で隣接するクリップ体積分率に対する、前記少なくとも1つの気
孔の、空隙体積分率及び/又は体積多孔率が
、30%から88
%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の外科用脈管クリッ
プ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの気
孔の気孔内面部
分が、より小さい平均第2気孔サイズの微小気孔を有する開放多孔性であり、前記平均第2気孔サイズが、前記気孔内面部
分の微小気孔入口高さにおいて、
前記第1気孔サイズの1%から20
%であり、及び/又は、
1マイクロメートルから10マイクロメート
ルである、請求項1から9のいずれか一項に記載の外科用脈管クリッ
プ。
【請求項11】
以下の材料又
は粉末治金材料、即ち、
外科用インプラントを製造するためのISO5832規格の金属材料、及び/又は、
チタ
ン又はチタン合金、及び/又は、
タンタル又はタンタル合金、及び/又は、
熱処理用低合金
鋼、工具
鋼、ステンレス
鋼、及び/又は、
他の合
金、
を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の外科用脈管クリッ
プ。
【請求項12】
脈管クリッ
プの、保管、輸送、及び/又は滅菌のための医療製品セッ
トであって、
請求項1から
10のいずれか一項に記載の複数の前記脈管クリップ
を備え、
前記脈管クリッ
プのそれぞれに対応する識別ラベル、及び/又は、
請求項1から
10のいずれか一項に記載の脈管クリッ
プに嵌合するアプリケータ
、をさらに備えて
いる、医療製品セット。
【請求項13】
脈管クリッ
プを製造するための粉末治金成形方法であって、
粉末治金フィード材料を、例えば、混合する、及び/又は混錬する、及び/又は押し出すことによって提供する工
程と、
前記脈管クリッ
プの形態で、ニアネットシェイプの微粒状及び/又は粗粒状のグリーン体を形成し
、前記フィード材料を成形する工
程と、
請求項1から
10のいずれか一項に記載の、完成した前記脈管クリッ
プを形成するために
、前記グリーン体を焼結する工
程と、を含む、粉末治金成形方法。
【請求項14】
前記成形する工
程が、前記グリーン体を形成するために、
成形工具において
、粉末射出成形及び/又は粉末圧縮により、及び/又は、
付加製造工程において
、及び/又は、
連続製造工程において
、押出により
、
実施される、請求項13に記載の粉末治金成形方法。
【請求項15】
提供され
た前記粉末治金フィード材料の、金属粉末に基づくフィラー含有量が
、60体積パーセント未
満である
、請求項13及び14のいずれか一項に記載の粉末治金成形方法。
【国際調査報告】