(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/36 20060101AFI20220930BHJP
B29C 69/02 20060101ALI20220930BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20220930BHJP
B32B 5/22 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
B32B27/36
B29C69/02
B32B27/32 C
B32B5/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506338
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 RU2019000644
(87)【国際公開番号】W WO2021020988
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522039326
【氏名又は名称】フォーペット エス.アー.エール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラストルグエフ、ドミトリー セルゲービチ
(72)【発明者】
【氏名】ニキテンコ、セルゲイ セルゲービチ
(72)【発明者】
【氏名】ツィルクレフ、ミハイル バレレビチ
【テーマコード(参考)】
4F100
4F213
【Fターム(参考)】
4F100AB10
4F100AB10E
4F100AB33
4F100AB33E
4F100AK04
4F100AK04C
4F100AK04D
4F100AK42
4F100AK42A
4F100AK42C
4F100AL01
4F100AL01C
4F100AL01D
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
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4F100CA01
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4F213WA41
4F213WA43
4F213WA58
4F213WA63
4F213WB01
(57)【要約】
本発明は、環境にやさしい条件下における貯蔵を目的とするパッケージング物品の製造が意図された多層構造体、及び前記構造体を製造するための方法に関する。発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする本発明の新規な多層組成物の発明者が解決しようとする課題は、公知の従来技術の欠点を克服するというものである。その技術的結果は、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート廃棄物から得られる)をベースとする多層組成物の作製にあり、これは製造し易く、使用に適している。本発明の本質は、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物が、印刷層、100kg/m3~900kg/m3の範囲の密度及び0.5dl/g~1.0dl/gの範囲の固有粘度を有する発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層、並びにポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー又はポリエチレンテレフタレートコポリマーの層を含むことである。発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物を製造するための方法は、ポリエチレンテレフタレート廃棄物を洗浄し、精製する工程、次いでそれを1mm~20mmの範囲のサイズを有する破片へと粉砕し、ポリマータイプ及び色に応じて分離する工程、続いて、そのポリエチレンテレフタレートを溶融し、ポリエチレンテレフタレート溶融物を、その後、押し出す工程、真空下で液相ポリエチレンテレフタレートの縮合重合を行い、0.5dl/g~1.0dl/gの範囲の固有粘度を有する粒状ポリエチレンテレフタレートを得る工程、次いで、その粒状ポリエチレンテレフタレートを、窒素及び/又は二酸化炭素を同時に供給しながら押し出す工程、ポリエチレンテレフタレート溶融物を発泡させ、その後、その発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートを冷却する工程、200μm~1000μmの範囲の厚さへとカレンダー加工し、ロールに巻き付ける工程からなる。押し出し積層化ラインを用いて、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層のロール又は非発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの共押し出し若しくはキャスト押し出し層を有する発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層のロールを、一次巻き戻しステーション上に設置し、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの層のロール及びアルミニウム箔の層のロールうちの少なくとも一方を、追加のステーション上に設置し、次いで、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの層及びアルミニウム箔の層を、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層に、又は非発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの共押し出し層を有する発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層に適用し、得られた材料を、カレンダーロール上で温度制御し、その際に、印刷層を、その外側表面に適用し、次いで、その材料に切り目を付け、個々のシートに切断する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物であって、
印刷層、
100kg/m
3~900kg/m
3の密度及び0.5dl/g~1.0dl/gの固有粘度を有する発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層、並びに
ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー、又は、ポリエチレンテレフタレートコポリマーの層
を含むことを特徴とする、多層組成物。
【請求項2】
発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層が200μm~1000μmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の多層組成物。
【請求項3】
ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー、又は、ポリエチレンテレフタレートコポリマーの主要層が、10μm~40μmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の多層組成物。
【請求項4】
発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層の代わりに、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層と組み合わせた非発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの共押し出し又は押し出しキャスト層が使用される、請求項1に記載の多層組成物。
【請求項5】
層が20μm~100μmの範囲の厚さを有する、請求項4に記載の多層組成物。
【請求項6】
印刷層と発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層との間に、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの層が追加されている、請求項1に記載の多層組成物。
【請求項7】
追加された層が、5μm~15μmの範囲の厚さを有する、請求項6に記載の多層組成物。
【請求項8】
発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層の後に、アルミニウム箔の層が追加されている、請求項1に記載の多層組成物。
【請求項9】
追加されたアルミニウム箔の層が、4μm~9μmの範囲の厚さを有する、請求項8に記載の多層組成物。
【請求項10】
発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物を製造するための方法であって、
ポリエチレンテレフタレート(PET)廃棄物を、洗浄し、精製し、次いで1mm~20mmのサイズの破片へと粉砕し、ポリマータイプ及び色に応じて分離し、
次いで、PETを溶融し、PET溶融物を押し出し、
次いで、PETを真空下での液相縮合重合に供して、0.5dl/g~1.0dl/gの固有粘度を有する粒状PETを得、
窒素及び/又は二酸化炭素を同時に供給しながら、粒状PETをさらに押し出し、
その後にPET溶融物を発泡させ、その際に発泡した二次PETを冷却し、200μm~1000μmの厚さへとカレンダー加工し、ロールに巻き付け、
その後、押し出し積層化ラインを用いて、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層のロール、又は非発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの共押し出し若しくは押し出しキャスト層と組み合わせた発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層のロールを、主要巻き戻しステーション上に設置し、
次にポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマーの層及びアルミニウム箔の層のうちの少なくとも一方のロールを追加の巻き戻しステーション上に設置し、
ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマーの層及びアルミニウム箔の層を、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層又は非発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの共押し出し層と組み合わせた発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層上に適用し、
得られた材料を、外側ロール上で温度制御し、
印刷層を、外側表面に適用し、
次いで、多層組成物に切り目を付け、個々のシートに切断する、
方法。
【請求項11】
印刷層が、ロートグラビア若しくはオフセット、若しくはフレキソ印刷、又はこれらの任意の組み合わせを用いて適用される、請求項10に記載の多層組成物を製造するための方法。
【請求項12】
ポリエチレンテレフタレート廃棄物として、ボトル、ファイバー、フィラメント、スプルー、フレークが使用される、請求項10に記載の多層組成物を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲条件における貯蔵を目的とするパッケージング製品の製造が意図された多層構造体、及びその構造体を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術は、多層パッケージング製品のための解決手段を開示しており、これは、段ボールの層(必須の層)、ポリエチレン(必須の層)及びアルミニウム箔の層(任意の層)からなり、主に押し出し積層化によって製造される。これらの解決手段としてELOPAK corporate groupによって開発されたパッケージング製品(http://www.elopak.com/products-and-services/boardを参照のこと)及びTetra Pak corporate groupによって開発されたパッケージング製品(https://www.tetrapak.com/en/packaging/materialsを参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。これらのタイプのパッケージング材料の欠点は以下のとおりである:同じパッケージング製品でパッケージング廃棄物を再使用することが不可能であること;パッケージング製品のリサイクルが、そこに含まれるポリエチレンの必須の層に起因して複雑であること;アルミニウムの層を含むパッケージング製品のリサイクルが複雑であること--通常それはか焼である;リサイクルパッケージング製品の自然分解が、そこに含まれるポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの必須の層に起因して長期間であること;段ボールの使用が、世界全体の森林資源の破壊を生じること、である。
【0003】
RU2183557は、多層組成物から作られるパッケージング製品を開示している。RU2183557によれば、飲料及び食品の容器を製造することが意図される材料は、コポリエチレンテレフタレートから作製され、2~20モル%の、イソフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸によって形成される単位から構成され、700kg/m3未満の密度、0.2~3mmの厚さ、及び120℃で5分間加熱される場合に結晶化度が15%より高い値に達しない晶析速度を有する実質的に無定形の発泡シートを含む。この材料の欠点として、その低品質、そして一次及び二次ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートコポリマーの両方の均質な発泡が不可能であることに起因して、その製造が複雑であることが挙げられる。なぜならRU2183557に開示されるリサイクル方法--すなわち、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートコポリマーの固相縮合重合--は、安定な固有体積粘性率を生じず(0.01dl/gより高い値に拡がる)、発泡プロセス全体をその後のリサイクル工程において不安定にするためである。より具体的には、その発泡プロセスの間に、異なる隔壁の厚さ及び異なる強度特性を有する異なるサイズの気泡が得られ、その生じた材料は、物理的及び機械的特性の点で不均質になり、それは、産業的リサイクルでのその使用の可能性を提供しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする新規な多層組成物の著者らによって設定される目的は、従来技術類似物の欠点を排除することである。その技術的結果は、発泡バージン及び/又はリサイクル(ポリエチレンテレフタレート廃棄物から得られる)ポリエチレンテレフタレートをベースとする、使いやすく且つ利用可能な多層組成物の作製にある。この技術的結果は、本質的な特徴の完全なセットによって達成される。
【0005】
本発明の本質は、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物が、印刷層、100kg/m3~900kg/m3の範囲の密度及び0.5dl/g~1.0dl/gの範囲の固有粘度を有する発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層、並びに、ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー又はポリエチレンテレフタレートコポリマーの層を含むことである。発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層は、200μm~1000μmの範囲の厚さを有する。ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー又はポリエチレンテレフタレートコポリマーの層は、10μm~40μmの範囲の厚さを有する。同時に、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層の代わりに、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層と組み合わせた非発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの共押し出し又は押し出しキャスト層が、使用され得る。さらに、このような層は、20μm~100μmの範囲の厚さを有する。同時に、印刷層と発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層との間に、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの層が追加されている。このような追加された層は、5μm~15μmの範囲の厚さを有する。さらに、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層の後に、アルミニウム箔の層が追加されている。さらに、追加されたアルミニウム箔の層は、4μm~9μmの範囲の厚さを有する。発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物を製造するための方法が、以下のとおりに行われる。ポリエチレンテレフタレート廃棄物を洗浄し、精製し、次いで1mm~20mmの範囲のサイズを有する破片へと粉砕し、ポリマータイプ及び色に応じて分離する。そのポリエチレンテレフタレートをさらに溶融し、続いてポリエチレンテレフタレート溶融物を押し出す。次いでポリエチレンテレフタレートの固相縮合重合を真空下で行って、0.5dl/g~1.0dl/gの範囲の固有粘度を有する粒状ポリエチレンテレフタレートを得る。次いでその粒状ポリエチレンテレフタレートを、窒素及び/又は二酸化炭素を同時に供給しながら、押し出す。続いてそのポリエチレンテレフタレート溶融物を発泡させ、その際に、その発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートを冷却し、200μm~1000μmの範囲の厚さへとカレンダー加工し、ロールに巻き付ける。次に、押し出し積層化ラインを用いて、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層のロール、又は非発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの共押し出し若しくは押し出しキャスト層と組み合わせた発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層のロールを、一次巻き戻しステーション上に設置する。さらに、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの層及びアルミニウム箔の層のうちの少なくとも一方のロールを、追加の巻き戻しステーション上に設置する。次いで、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの層及びアルミニウム箔の層を、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層上に、又は非発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの共押し出し層と組み合わせた発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層上に適用する。その後、得られた材料を、カレンダーロール上で温度制御し、その際に、印刷層を、その外側表面上に適用し、次いで、その材料に切り目を付け、個々のシートに切断する。同時に、印刷層を、ロートグラビア印刷若しくはオフセット印刷、若しくはフレキソ印刷、又はこれらの任意の組み合わせによって適用する。ポリエチレンテレフタレート廃棄物として、ボトル、ファイバー、フィラメント、スプルー、フレークが使用される。
【0006】
本発明を図面によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】PET液相縮合重合方法を用いて、PETパッケージング廃棄物及び/又はリサイクルPET(ボトル、ファイバー、フィラメント、スプルー、PETフレーク)をベースとする発泡リサイクルポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/シートを製造するプロセスを模式的に示す図である。
【0008】
【
図2】PET液相縮合重合プロセスを示す図である。
【0009】
【
図3】発泡リサイクルPETの構造を示す図である。
【0010】
【
図4】切り目を有する発泡リサイクルPETの構造を示す図である。
【0011】
【
図5】切り目及び非発泡リサイクルPETの共押し出し又は押し出しキャスト層を有する発泡リサイクルPETの構造を示す図である。
【0012】
【
図6】特許請求される多層組成物を模式的に示す図である。
【0013】
【
図7】非発泡リサイクルPETの共押し出し又は押し出しキャスト層を含む特許請求される多層組成物の一実施形態を模式的に示す図である。
【0014】
【
図8】ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層を含む特許請求される多層組成物の一実施形態を模式的に示す図である。
【0015】
【
図9】ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層及びアルミニウム箔の層を含む特許請求される多層組成物の一実施形態を模式的に示す図である。
【0016】
【
図10】ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層、アルミニウム箔の層、及び非発泡リサイクルPETの共押し出し又は押し出しキャスト層を含む特許請求される多層組成物の一実施形態を模式的に示す図である。
【0017】
【
図11】ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層及びアルミニウム箔の層を含む特許請求される多層組成物の一実施形態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発泡リサイクル(ポリエチレンテレフタレート廃棄物から得られる)ポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物(
図6に示される)は、印刷層1、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2、ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー又はポリエチレンテレフタレートコポリマーの主要層3を含む。印刷層1は、多層組成物の外側に適用される情報保持層である。印刷層1は、様々な種類の消費者が意図した情報及び画像を載せるように構成される。印刷層1は、ロートグラビア印刷若しくはオフセット印刷、若しくはフレキソ印刷、又はこれらの任意の組み合わせを用いて作製され、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2の上に適用される。発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2は、主要支持キャリア層として働き、段ボール及び/又は紙のキャリア層の代わりとして作用する。その細胞様構造に起因して、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2は、直線の溝--切り目4(
図4に示されるとおり)を適用するという操作を行うことを可能にする。切り目4は、ポリエチレンテレフタレート発泡の間に形成される空隙間の隔壁の一部の破壊に起因して、その形状を保持する。発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2は、切り目4の場所で、折り曲げる-真っ直ぐにする、の反復サイクルに耐える十分な強度を保持する。発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2は、100kg/m
3~900kg/m
3の範囲の密度及び0.5dl/g(デシリットル/グラム)~1.0dl/gの範囲の固有粘度(IV)を有する。ポリマー溶液の固有粘度値は、ポリマー及び溶媒のタイプに依存し、線状高分子の分子量が増大するにつれて増大する。固有粘度は極限粘度数としても公知であるが、ポリマーが添加される場合の溶液の粘度の相対的変化によって決定される値である。固有粘度は、粘度測定データをゼロポリマー濃度に外挿することによって決定される。固有粘度の測定値単位は、溶液中のポリマー濃度の測定値単位--cm
3/gに逆に関連する。固有粘度は、極めて希薄な溶液に関して考慮され、その溶液において、ポリマー高分子の互いとの相互作用が完全に存在しないことが想定され、物理的意味では、溶液フローにおける高分子の回転変形及び粘弾性変形によって引きおこされるそのフローの間の追加のエネルギー損失の尺度である。ポリマー溶液の固有粘度値は、ポリマー及び溶媒のタイプに依存し、線状高分子の分子量が増大するにつれて増大する。発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層は、200μm~1000μmの範囲の厚さを有する(
図5に示される)。パッケージング製品を組み立てる場合、ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー又はポリエチレンテレフタレートコポリマーの主要層3は、溶接層として働き、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2にそれら層の溶融温度及び表面張力に起因して接続される。ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー又はポリエチレンテレフタレートコポリマーの主要層3は、10μm~40μmの範囲の厚さを有する。段ボール及び/又は紙の代わりに主要キャリア層として使用される、提唱される多層組成物は、リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2を含む。発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2は、いくつかのリサイクルステージ:--PET廃棄物を洗浄、精製する工程;--粉砕し、粉砕したPET廃棄物を、ポリマータイプ及び色に応じて分離する工程;--ポリエチレンテレフタレート溶融物を押し出す工程;--PET液相縮合重合を行う工程を行うことによって、PET廃棄物から得られる。PET液相縮合重合は、PETが溶融状態において真空下で縮合する固有の能力をベースとする。縮合は、固有粘度の増大をもたらす。高効率真空は、有害な化学不純物を材料から効果的に除去し、リサイクル材料が食品製品との100%安全な接触のために使用されることを可能にする。溶融したPETが、P:REACT(LSPリアクター)の垂直部分に入るにつれて、フィラメントが製造され、それは、体積関係において相当する表面を形成する。次いで、材料は、水平ドラムの中に集められ、ゆっくりと前方に移動される。縮合プロセスは、フィラメントの製造直後に始まり、PETがLSPリアクターを離れるまで継続する。固有粘度の増大は、LSPリアクターの中の溶融したPETの滞留時間及び真空の程度によって制御され、従って、所望のレベルへと設定され得る。パラメーター設定は、コントロールユニットが狭い許容範囲内で所定の固有粘度レベルを維持することを可能にする。不純物を除去するプロセスは、非常に効果的である。なぜならそれは、PETの液相で行われるからである。食品産業標準によって設定される限界を超える材料の精製効率が提供されるのみならず、潤滑剤はまた、精製プロセスの間にファイバーから効果的に除去される。固有粘度の増大は、1分間あたり約0.01dl/gのレベルで測定され得る。LSPリアクターの連続作動は、粒状物の狭い固有粘度範囲を提供し、これは、ハイエンド適用、例えば、紡糸又は押し出しによるシートの製造のために適している。大量生産の間の固有粘度の変動は、単純に除外される。有害不純物、例えば、潤滑剤又は食品製品との接触が意図されない物質の分離は、効果の高い真空下で行われる。不純物の高い除去率は、高い作動融通性を提供して、LSPリアクターが種々の適用において利用されることを可能にする。LSPリアクターの中で引きおこされる有利な条件(温度/溶融表面-体積比/高効率真空)は、PET縮合プロセスが自由に開始されることを可能にする。これは、1分間あたり約0.01dl/g程度の固有粘度の増大をもたらす。より迅速な応答時間は、必要とされる結果のより迅速な達成及びより高い利益になる。
【0019】
1つの実施形態(
図7に示される)において、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物は、印刷層1;非発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの共押し出し(CoEx)又は押し出しキャスト層5であって、それらの層の部分的表面混合に起因して、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2と組み合わされる、層5;発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2;ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー又はポリエチレンテレフタレートコポリマーの層3を含む。発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物のこの実施形態は、その組成物上での高品質多色印刷の適用を容易にする。さらに、非発泡ポリエチレンテレフタレートの共押し出し又は押し出しキャスト層5は、20μm~100μmの範囲の厚さを有する。これらのパラメーターは、最適であり、経験的に決定される。非発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの共押し出し(CoEx)又は押し出しキャスト層5の厚さの増大は、コストを増大させる一方で、その厚さの減少は、印刷品質を低下させる。なぜなら発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2の構造は、非発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの共押し出し(CoEx)又は押し出しキャスト層5を通り抜け始めるからである。
【0020】
1つの他の実施形態(
図8に示される)において、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物は、印刷層1;ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層8であって、押し出しキャスト方法によって適用され、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2と、それらの層の溶融温度及び表面張力に起因して組み合わされる層8;発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2;ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー又はポリエチレンテレフタレートコポリマーの主要層3を含む。ポリエチレンの追加の層8は、外側に提供され、上記で示した方法のうちのいずれかによって行われる印刷を保持するための層として作用する。発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物のこの実施形態は、先の実施形態と比較して、その実装の単純さ及び可能なコスト低減を特徴とするが、それは、完全にはリサイクルされ得ない(
図7に示される)。さらに、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層8は、5μm~15μmの範囲の厚さを有する。これらのパラメーターは、最適であり、経験的に決定される。ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層8の厚さの増大は、コストを増大させる一方で、その厚さの減少は、印刷品質を低下させる。なぜなら発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2の構造は、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層8を通り抜け始めるからである。
【0021】
1つの他の実施形態(
図9に示される)において、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物は、印刷層1;発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2;アルミニウム箔の層7であって、一方の側に、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2及びポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層6がそれらの層の溶融温度及び表面張力に起因して、並びにもう一方の側に、ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー又はポリエチレンテレフタレートコポリマーの主要層3がそれらの層の溶融温度及び表面張力に起因して組み合わされる、層7を含む。発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物のこの実施形態は、パッケージング製品の高バリア特性を特徴とする。さらに、アルミニウム箔の層4は、4μm~9μmの範囲の厚さを有する。これらのパラメーターは、最適であり、経験的に決定される。アルミニウム箔の層7の厚さの増大は、パッケージング製品のバリア特性を増大させ、その物理的及び機械的特性を改善するが、そのコストを顕著に増大させる。
【0022】
1つの他の実施形態(
図10に示される)において、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物は、印刷層1;非発泡ポリエチレンテレフタレートの共押し出し(CoEx)又は押し出しキャスト層5;発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2;ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層6;アルミニウム箔の層7;ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー又はポリエチレンテレフタレートコポリマーの主要層3を含む。さらに、非発泡ポリエチレンテレフタレートの共押し出し又は押し出しキャスト層5は、20μm~100μmの範囲の厚さを有する。ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層6は、5μm~15μmの範囲の厚さを有する。アルミニウム箔の層4は、4μm~9μmの範囲の厚さを有する。これらのパラメーターは、最適であり、経験的に決定される。発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物のこの実施形態は、先の実施形態(
図9に示される)と比較して、パッケージング製品のバリア特製を保持し、その組成物上での高品質多色印刷の適用を容易にする。
【0023】
1つの他の実施形態(
図11に示される)において、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物は、印刷層1;ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層8であって、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2がそれらの層の溶融温度及び表面張力に起因して組み合わされる層8;発泡二次ポリエチレンテレフタレートの層2;ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層6;アルミニウム箔の層7;ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの主要層3を含む。さらに、非発泡ポリエチレンテレフタレートの共押し出し又は押し出しキャスト層5は、20μm~100μmの範囲の厚さを有する。ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層6及びポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層8は、各々、5μm~15μmの範囲の厚さを有する。アルミニウム箔の層4は、4μm~9μmの範囲の厚さを有する。発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物のこの実施形態は、先の実施形態(
図11に示される)に類似であるが、それが完全にリサイクルされ得ないことを特徴とする。
【0024】
ポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物を製造するための方法は、巻き戻しステーション;溶融キャスティングステーション;押し出し積層化ステーション;印刷ステーション;品質管理ステーション;巻き取りステーションを含む従来の押し出し積層化ラインを使用して行われる。その方法は、以下のとおりに行われる。第1に、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2を調製する。この目的のために、ポリエチレンテレフタレート廃棄物9(ボトル、ファイバー、フィラメント、スプルー、ポリエチレンテレフタレートフレーク)を洗浄し、デブリ、ラベル、接着剤から精製される。次いで、ポリエチレンテレフタレート廃棄物を粉砕して、1mm~20mmのサイズを有する破片を得、ポリマータイプ及び色に応じて分離する。次に、その分離したポリエチレンテレフタレート廃棄物を、ホッパー10に装填し、溶融し、そのポリエチレンテレフタレート溶融物を、真空ポンプ11によって、過剰な汚染物質及び水分を除去しながら押し出し成形機10を用いて押し出しライン上で押し出す。その後、ポリエチレンテレフタレートの液相縮合重合を、真空ポンプ13の作動下で、リアクター12の中で行う。縮合は、固有粘度の増大をもたらす。高効率真空は、有害な化学的不純物を材料から効果的に除去し、リサイクル材料が食品製品との100%安全な接触のために使用されることを可能にする。PET溶融物は、P:REACT(LSPリアクター)12の垂直部分に入るにつれて、フィラメントを製造し、これは、体積関係において相当する表面を形成する。次いで、材料を、水平ドラムの中に集め、ゆっくりと前方に移動させる。縮合プロセスは、フィラメントの製造直後に始まり、PETがLSPリアクターを離れるまで継続する。固有粘度の増大は、LSPリアクターの中のPET溶融物の滞留時間及びLSPリアクターの中の真空の程度によって制御され、従って、必要とされるレベルへと設定され得る。パラメーター設定は、コントロールユニットが狭い許容範囲内で所定の固有粘度レベルを維持することを可能にする。不純物を除去するプロセスは、非常に効果的である。なぜならそれは、ポリエチレンテレフタレートの液相で行われるからである。食品産業標準によって設定される限界を超える材料の精製効率が提供されるのみならず、潤滑剤はまた、精製プロセスの間にファイバーから効果的に除去される。固有粘度の増大は、1分間あたり約0.01dl/gのレベルで測定され得る。LSPリアクターの連続作動は、粒状物の狭い固有粘度範囲を提供し、これは、ハイエンド適用、例えば、紡糸又は押し出しによるシートの製造のために適している。大量生産の間の固有粘度の変動は、単純に除外される。有害不純物、例えば、潤滑剤又は食品製品との接触が意図されない物質の分離を、真空ポンプ13の下で行う。不純物の高い除去率は、その高い作動融通性を提供して、LSPリアクターが種々の適用において利用されることを可能にする。LSPリアクターの中で引きおこされる有利な条件(温度/溶融表面-体積比/高効率真空)は、PET縮合プロセスが自由に開始されることを可能にする。これは、1分間あたり約0.01dl/g程度の固有粘度の増大をもたらす。より迅速な応答時間は、必要とされる結果のより迅速な達成及びより高い利益になる。ポリエチレンテレフタレート粒状物を、LSPリアクターの出口で製造する。次いで、ポリエチレンテレフタレート粒状物の押し出しを、窒素及び/又は二酸化炭素を同時に供給しながら行う。ダイの前にあるコネクタにおいて、ダイにおいて、及びダイの出口において、ポリエチレンテレフタレート溶融物を、温度制御可能な及び圧力制御可能な押し出しに供し、その際、その溶融物を、ダイから、その溶融物を冷却するカレンダーロール(温度制御される)へと供給し200μm~1000μmの厚さへと、カレンダー加工する。ポリエチレンテレフタレート溶融物5又はポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー溶融物8のいずれかの押し出しキャストのための追加のステーションを、続いて設置してもよく、反復カレンダー加工、温度制御及びロールへのフィルムの巻き付けを行う。次に、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2のロール、或いは非発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの共押し出し若しくは押し出しキャスト層5と、又はポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマーの追加の層8と組み合わせた発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2のロールを、主要巻き戻しステーション上に設置する。さらに、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの主要層3のロールを、追加の巻き戻しステーション上に設置する。必要であれば、アルミニウム箔の層7のロールをまた、追加の巻き戻しステーション上に設置する。必要であれば、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの追加の層8のロールをまた、追加の巻き戻しステーション上に設置する。次に、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーの層3を、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2、又は非発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの共押し出し層5と組み合わせた発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層2に適用し、得られた材料を、カレンダーロール上で温度制御する。その後、印刷層を、ロートグラビア印刷若しくはオフセット印刷、若しくはフレキソ印刷、又はこれらの任意の組み合わせを用いて、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートをベースとする多層組成物の外側表面に適用する。得られた多層組成物に切り目を付け、個々のシートに切断する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
特許請求の範囲に記載される発明は、段ボールと同様に、発泡リサイクルポリエチレンテレフタレートの層をリサイクルする;切り目の線に沿ったその後の折りたたみのために切り目を入れる;仕上げ操作(例えば、印刷)を行う;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン及びポリエチレンコポリマー並びにアルミニウム箔とともに押し出し積層化を行うことを可能にする。特許請求の範囲に記載される発明は、リサイクルポリエチレンテレフタレートの主要キャリア層からなるパッケージング製品を製造する、並びに粉砕して、アルミニウム濾過(アルミニウムが使用される場合)、及びその後のポリエチレンテレフタレートの液相縮合重合によって、発泡ポリエチレンテレフタレートの主要キャリア層を含む多層組成物をベースとする廃棄されたパッケージング製品を完全にリサイクルし、それによって、ポリエチレンテレフタレートの特性を、一次原材料の特性に戻すことを可能にする。特許請求の範囲に記載される発明は、発泡ポリエチレンテレフタレートの主要キャリア層を含む多層組成物を、適切であると思われる回数だけリサイクルすることを可能にする。大部分の場合において、特許請求の範囲に記載される発明は、段ボール及び/又は紙をベースとする類似の多層組成物の特性より良好な物理的及び機械的特性を有する発泡ポリエチレンテレフタレートの層を含む多層組成物を製造することを可能にする。特許請求の範囲に記載される発明は、段ボール又は紙の銘柄に応じて、及び必要とされる膨張係数に応じて、及びポリエチレンテレフタレートの固有粘度に応じて、段ボール又は紙よりコストが5%~30%安価である
【国際調査報告】